JP2018516267A - 代謝性疾患を治療するためのサクビトリルおよびバルサルタン - Google Patents

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Abstract

本発明は、必要とするヒト患者における代謝性疾患の予防または治療のための方法および医薬組成物に関し、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で前記患者に投与することを含む。

Description

本発明は、必要とするヒト患者における代謝性疾患の予防または治療のための方法および医薬組成物に関し、モル比1:1のサクビトリルまたは薬学的に許容されるその塩とバルサルタンまたは薬学的に許容されるその塩の組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で前記患者に投与することを含む。
発明の背景
代謝性疾患−肥満およびメタボリックシンドローム
過体重、脂肪症、および肥満は、健康を損なう可能性のある異常または過剰な脂肪蓄積として定義される状態である。これは、体内におけるエネルギーの摂取、消費、および貯蔵の調節の不均衡によって生じる。
肥満は、成人人口の3分の1超が肥満と認定されている米国において公衆衛生上の問題である。小児の肥満も増加している。肥満は、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、および高血圧などの様々な併発状態のリスク上昇にも関連している。また、肥満はメタボリックシンドロームの主要な危険因子の1つである。メタボリックシンドロームは、心疾患ならびに糖尿病および脳卒中などの他の健康上の問題に対する個体のリスクを上昇させる5つの危険因子の集合体である。その5つの状態または危険因子は、高血圧、血中HDLコレステロール低レベル、大きい胴囲、血中トリグリセリド高レベル、および空腹時高血糖である。これらの状態のうち3つ以上当てはまる個体は、メタボリックシンドロームと診断される。
米国において、メタボリックシンドローム(X症候群とも呼ぶ)は、肥満の割合が増加しているため、ますます一般的な診断となりつつある。さらに、メタボリックシンドロームの患者は、心血管疾患のリスクが高く、心血管疾患およびすべての原因のいずれであっても死亡率上昇のリスクが高い。したがって、医療従事者は、近い将来、メタボリックシンドロームが心疾患の主要な危険因子として喫煙を凌ぐであろうと予測している。メタボリックシンドロームは、インスリン刺激による糖取り込みに対する抵抗性、耐糖能異常、高インスリン血症、LDL−コレステロール増加、VLDLトリグリセリド増加、HDLコレステロール減少、高トリグリセリド血症などの診断基準のいくつかを併発し得る複合症候群である。メタボリックシンドロームの患者において、一般的に発症する疾患の1つが2型糖尿病であることは、公知である。同様に、2型糖尿病の患者における第一位の死因は、アテローム性動脈硬化症であり、この疾患は、動脈内にプラークが構築されることを原因とし、最終的に心臓発作および脳卒中を招く。
その結果、肥満(脂肪症)、メタボリックシンドローム、ならびにインスリン抵抗性および心血管疾患などを結果的に発症し得る状態を予防および治療するための治療法の開発に必要な新規標的を同定することに対する関心が大いに高まっている。
心血管疾患
慢性心不全(CHF)は、高い死亡率、頻繁な入院、および生活の質の低下を特徴とする、主要な公衆衛生問題であり、世界中で全体的な有病率が増加しつつある。米国(US)のみで、約500万人の患者が心不全(HF)に罹患しており、毎年新たに診断される症例は50万人を超える。欧州におけるHFの有病率は2〜3%の間であり、高齢者では、10〜20%の間であると推定される。
心不全は、ナトリウム利尿ペプチド(NP)系などの拮抗作用を持つ内因性保護システムの相対的な欠乏により強調されたレニン−アンジオテンシン−アルドステロン系(RAAS)の活性化が優位となっている神経ホルモンの不均衡を特徴とする。該神経ホルモンのパターン(neurohormonal pattern)は、末梢の代謝機能における変化の一因であると考えられており、この変化には、有毒な脂質中間体の蓄積を介してインスリン抵抗性を生じやすくし、さらに運動能力を制限し、不良な臨床転帰の一因となる可能性のある酸化能の低下が含まれる。
LVEF低下を伴うHFの転帰改善を目標とする薬物療法は、過去20年にわたり十分研究されており、生存率の向上と共に、主にHFによる再入院の減少という形で罹病率の低下に繋がっている。これらの薬物療法として、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、β遮断薬、および鉱質コルチコイド拮抗薬が挙げられる。
しかし、薬理学(および機器療法(device therapies))の進歩にもかかわらず、展望は不透明なままである。全体として患者の50%が4年以内に死亡し、HFによって入院した患者の40%が1年以内に死亡または再入院している。したがって、HFは依然として、心臓死および心疾患罹患の主要な原因であり、より良い治療法の必要性が高い。
高血圧もまた主要な公衆衛生問題であり:2000年には、経済先進国の約3億3300万人の成人および米国の約6500万人(3人に1人の成人)が高血圧であった。長期の管理不十分な高血圧性血管疾患は、最終的に心臓および腎臓などの標的器官における様々な病理的変化を引き起こす。持続性高血圧は、脳卒中の発生率上昇を招く可能性もある。高血圧には、Journal of Hypertension 1999, 17:151-183, especially on page 162に定義される軽度、中等度、および重度の高血圧が含まれるが、これらに限定されない。収縮期高血圧(ISH)は、50年を超える期間、ヒトにおける最も一般的な高血圧の形態である。これは、正常な拡張期血圧(90mmHg未満)に伴う上昇した収縮期血圧(140mmHg超)として定義される。上昇した収縮期血圧は、心血管疾患の独立した危険因子であり、例えば、心筋肥大および心不全を引き起こすことがある。さらに、ISHは収縮期と拡張期の間の血圧差として定義される、脈圧の上昇を特徴とする。上昇した脈圧は、十分な管理が最も困難なタイプの高血圧として認知されつつある。
サクビトリルおよびバルサルタン(LCZ696)
LCZ696は、高血圧および/または心不全などの心血管疾患を治療するために開発された、画期的新薬であるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(ARNI)である。LCZ696の摂取によって、モル比1:1のサクビトリル(AHU377;(2R,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4−(3−カルボキシ−プロピオニルアミノ)−2−メチル−ペンタン酸エチルエステル、またN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸エチルエステルとも呼ばれる)、活性型LBQ657(2R,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4−(3−カルボキシ−プロピオニルアミノ)−2−メチル−ペンタン酸)に変換されるネプリライシン(中性エンドペプチダーゼ24.11、NEP)阻害剤(NEPi)プロドラッグ、およびアンジオテンシンIIタイプ1(AT1)受容体の阻害をもたらすバルサルタンへの全身曝露がもたらされる。
ネプリライシン(NEP)の阻害によって、対象における、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)を含む、生理活性のあるナトリウム利尿ペプチド(NP)レベルが増加するであろう。NPは、ナトリウム利尿ペプチド受容体A(NPR−A)およびそのセカンドメッセンジャーであるサイクリックGMP(cGMP)の活性化を介したその心血管作用を媒介し、強力な血管拡張、ナトリウム利尿および利尿、レニンおよびアルドステロン放出の減少によるレニンアンジオテンシンアルドステロン系(RAAS)の阻害、交感神経活動(sympathetic drive)の低下、ならびに血管内皮および平滑筋細胞に対する抗増殖作用および抗肥大作用をもたらす。アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)遮断は、心血管系におけるアンジオテンシンIIの有害作用を媒介するアンジオテンシンタイプ1(AT1)受容体に特異的かつ競合的である。LCZ696は、NEP阻害およびAT1遮断を同時に提供し、それらが相補的に作用すると考えられている。したがって、LCZ696は、血管収縮、体液量増加(volume expansion)、および標的器官損傷が、病態生理学的に重要な役割を果たす、心不全および高血圧を含む心血管疾患の患者に臨床的利益をもたらすと思われる。
本明細書中に開示されている化合物および医薬組成物には、サクビトリルとバルサルタンの組合せが含まれており、サクビトリルおよびバルサルタンの化合物および医薬組成物は、国際公開第2003/059345号、国際公開第2007/056546号、国際公開第2009/061713号、および国際公開第2014029848号で過去に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
インスリン感受性に対するLCZ696の作用は不明である。しかし、アンジオテンシンIIタイプ1(AT1)受容体遮断薬(ARB)は、インスリン感受性を改善することが示されている(Jing et al 2012)。耐糖能異常および心血管疾患または危険因子のある患者に対し、生活習慣の改善と併せてバルサルタンを5年間投与したところ、糖尿病発症率が相対的に14%低下するに至った(McMurray 2010)。アンジオテンシンIIとは対照的に、糖代謝におけるNPの働きに関する知識は乏しい。健常な対象における短期間クロスオーバー試験によって、静脈内BNPは、インスリンの分泌およびクリアランスに影響することなく、糖負荷後の血中グルコース濃度を低下させることが示された(Heinisch 2011)。さらに、肥満の個体およびメタボリックシンドロームの個体では、血漿NPレベルが低く、このことは左室肥大および代謝危険因子に逆相関しており(Wang 2007、Beleigoli 2009)、NP低レベルが、これらの個体における有害心血管イベント発生の一因である可能性を示唆している(Rubattu 2008)。同様に、血中NPレベルが低下している個体は、2型糖尿病に進行する傾向がある(Magnusson et al 2012)。
さらに、ANPは、脂肪組織からの脂質動員を強力に促進し(Sengenes et al 2000、Birkenfeld et al 2005、Souza et al 2011)、食後の脂質酸化を増加させ(Birkenfeld et al. 2008)、アディポネクチン放出を誘導し(Birkenfeld et al. 2012)、またヒト骨格筋細胞の酸化能を増強させる(Engeli et al. 2012)。実際に、ナトリウム利尿ペプチド系の成分を長期間過剰に発現しているマウスは、食事による肥満およびインスリン抵抗性から保護されている(Miyashita et al 2009)。
しかし、脂肪分解および脂肪酸の酸化的代謝におけるANPの正味の影響ならびにその臨床的意義は不明である。アンジオテンシンIIおよびANPは、糖代謝および遊離脂肪酸代謝の調節に関連付けられており、また安静時および運動時のアンジオテンシン受容体遮断薬とネプリライシン阻害剤の組合せ(すなわちアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(ARNI))の包括的な好ましい作用を示唆すると思われるが、代謝リスクのある集団に対するARNIなどの長期投与による正味の代謝作用は不明である。
総合的に、肥満(脂肪症)、メタボリックシンドローム、ならびに結果的にインスリン抵抗性および心血管疾患などを発症し得る状態を治療するための治療法の開発に必要な新規標的を同定する必要性が依然として高い。特に、肥満(脂肪症)、および高血圧などの心血管障害を患っている患者におけるインスリン抵抗性のようなメタボリックシンドロームの治療のため、新規治療法の開発の必要性がある。
発明の概要
驚くべきことに、本明細書で定義されるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(ARNi)を治療上有効な量もしくは予防上有効な量で含有する医薬組成物、または本明細書で定義されるアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)であるバルサルタンと中性エンドペプチダーゼ阻害剤(NEPi)であるサクビトリルのモル比1:1の組合せを治療上有効な量もしくは予防上有効な量で含有する医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することによって、肥満した高血圧の対象における糖代謝に好ましい影響がもたらされることが示されている。したがって、結果的にARBおよびNP系の増強を同時に生じる治療的手法によって、HFを含む心血管疾患の患者に有益な代謝作用がもたらされることが示されている。特に、LCZ696は、代謝的に中性な比較物質(comparator)であるアムロジピンと比較して、インスリン感受性、および腹部皮下脂肪組織からの脂質動員を改善することが示されている。
したがって、第1の態様において、本発明は、代謝性疾患の予防または治療を必要とするヒト患者における代謝性疾患の予防または治療のための方法であって、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有する医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法に関する。
その一実施形態では、患者は心血管疾患にも罹患している。
前記医薬組成物は、モル比1:1の
(i)バルサルタンまたは薬学的に許容されるその塩、と
(ii)サクビトリルまたは薬学的に許容されるその塩
の組合せを含有する。
一実施形態では、前記組合せは、式(I)
[(A)(A)](Na・xHO(I)
(ここで、
はアニオン形態のバルサルタンであり、
はアニオン形態のサクビトリルであり、
Naはナトリウムイオンであり、
yは1〜3であり、かつ
xは0〜3である)
の化合物の形態で提供される。
その一実施形態では、式(I)の化合物は、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)である。
一実施形態では、医薬組成物は、さらに1種または複数の薬学的に許容される担体を含有する。
第2の態様において、本発明は、ヒト患者、好ましくは心血管疾患にも罹患している患者における代謝性疾患を予防または治療するための医薬の製造に対し、前述で定義された医薬組成物を使用することに関する。
第3の態様において、本発明は、ヒト患者、好ましくは心血管疾患にも罹患している患者における代謝性疾患の予防または治療に使用するための前述で定義した医薬品組成物に関する。
第4の態様において、ヒト患者、好ましくは心血管疾患にも罹患している患者における代謝性疾患の予防または治療に対し、前述で定義された医薬組成物を使用することに関する。
定義
本明細書および続く特許請求の範囲全体を通して、特に明記されていない限り、次の用語は以下に示す意味で定義される。
「予防」という用語は、本明細書に記載された状態の発症を予防するための健常な対象への予防的投与を指す。さらに、「予防」という用語は、治療される状態の前段階にある患者への予防的投与を意味する。
「治療」という用語は、疾患、状態、または障害に対処する目的で、患者を管理および看護することと理解される。
「治療上有効な量」という用語は、研究者または臨床医が求めている、組織、器官系(system)、または動物(ヒトを含む)における望ましい生物学的および/または医学的な反応を引き起こすと思われる薬物または治療剤の量を指す。
「患者」という用語は、以下に限定されないが、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ウシ、サル、ウサギ、およびマウスを含む。好ましい患者はヒトである。
化合物「の投与」および/または化合物「を投与すること」という用語は、本発明の化合物または薬学的に許容されるその塩、そのエステル、もしくはそのプロドラッグを、治療を必要とする対象に与えることを意味すると理解されるべきである。本治療方法を実施するための本発明の組成物の投与は、組成物中の化合物を治療上有効な量で、このような治療または予防を必要とする対象に投与することによって行われる。本発明の方法に従った予防的投与の必要性は、周知の危険因子を用いて判定される。各化合物の有効量は、最終分析時に、その症例を担当する医師によって決定されるが、治療対象の疾患、疾患および患者が患っている他の疾患または状態の重症度、選択される投与経路、患者が同時に必要とするであろう他の薬物および治療、ならびに医師の判断による他の要因などの要因に左右される。
本明細書で用いる場合、「予防上有効な量」という用語は、心房拡大および/または心房リモデリングを特徴とするかつ/またはこれらによって判明する疾患の発症を予防するために研究者、獣医師、医師、または他の臨床医が求めている、組織、器官系、対象、またはヒトにおける生物学的または医学的な反応を引き起こすと思われる、組成物中の活性化合物の量を意味する。
本明細書で用いる場合、「約」という用語は、値の+/−20%、+/−10%、または+/−5%を指す。
本明細書で用いる場合、「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、および他の問題となる合併症を伴うことのない、哺乳動物、特にヒトの組織との接触に適当であり、妥当な利益/リスク比に見合った化合物、物質、組成物、および/または剤形を指す。
本発明の文脈では、「モル比1:1のサクビトリルとバルサルタン」という用語は、
a)三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)、または
b)モル比1:1の
(i)バルサルタンまたは薬学的に許容されるその塩、と
(ii)サクビトリルまたは薬学的に許容されるその塩
を治療上有効な量で含む組合せ
であるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤(ARNi)を指す。
「代謝性疾患」という用語および本明細書で同様に使用される用語は、以下に限定されないが、脂肪症(肥満)、インスリン抵抗性、糖代謝異常、耐糖能異常(IGT)、高血糖症、空腹時血漿グルコース異常の状態、メタボリックシンドローム、2型糖尿病;高インスリン血症、高脂血症、脂質異常症、および高トリグリセリド血症を含む。
本発明の文脈では、「肥満」または「脂肪症」は、互換的に使用される。ヒト対象の用語において、ヒト対象は、体格指数(BMI)が30以上の成人として定義され得る(疾病管理予防センター)。
「インスリン抵抗性」は、正常量のインスリンが正常以下の生物学的反応をもたらす状態として定義される。
「耐糖能異常(Glucose intolerance)」または「耐糖能異常(Impaired Glucose Tolerance)」(IGT)は、心血管病変のリスク上昇に関連する糖代謝異常を呈する前糖尿病状態である。前糖尿病状態では、対象におけるグルコースの細胞への効率的な移動および効率的な燃料源としてのその利用が妨げられ、これによって血糖レベルが上昇し、ある程度のインスリン抵抗性が生じる。耐糖能異常は、空腹時血漿グルコースレベルが1デシリットル当たり140mgを下回り、耐糖能試験の30、60、90分後の血漿グルコース濃度が1デシリットル当たり200mgを超える病理学的状態を特徴とする。
「高血糖症」は、血中の糖(グルコース)が過剰であることとして定義される。
「高インスリン血症」は、血中のインスリンレベルが正常よりも高いこととして定義される。高インスリン血症は、体によるインスリンの過剰産生によって生じ、インスリン抵抗性に関連する。
「メタボリックシンドローム」は、次の徴候のうち少なくとも3つの複合として定義され得る:腹部脂肪−大半の男性において、胴囲40インチ以上、高血糖−空腹時少なくとも1デシリットル当たり110mg(mg/dL)、高トリグリセリド−少なくとも血中150mg/dL、低HDL−40mg/dL未満、および130/85mmHg以上の高血圧。
超低比重リポタンパク質(VLDL)は、トリグリセリドに富んだ大きいリポタンパク質であり、血液を介して循環し、VLDLレムナントが修飾され、LDLに変換されるまで、脂肪組織および筋肉組織にトリグリセリドを供給する。
高比重リポタンパク質(HDL)は、血液中でコレステロールを輸送するリポタンパク質であり、高比率のタンパク質と比較的少ないコレステロールから構成されており、高レベルであることが、冠動脈性心疾患およびアテローム性動脈硬化症のリスクを低下させることに関連すると考えられている。
「2型糖尿病(T2DM)」は、インスリン利用能にも関わらず、血中グルコース濃度が過剰であることを特徴とする状態である。
「脂質異常症」は、リポタンパク質の過剰産生または欠乏を含む、リポタンパク質代謝の障害である。脂質異常症は、血中の総コレステロール、低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール、もしくはトリグリセリド濃度の上昇、または高比重リポタンパク質(HDL)コレステロール濃度の低下によって判明されることがある。
「高トリグリセリド血症」は、血中のトリグリセリド濃度上昇によって定義される。
「高脂血症」は、血中の過剰な脂質の存在を特徴とする。
「中心性肥満」または「中心性脂肪症」は、四肢を除く体幹周囲の肥満の沈着を特徴とする。中心性肥満は、ウエスト/ヒップ比の測定によって判定される。ある定義において、中心性肥満は、男性で0.90を超えるもしくは女性で0.85を超えるウエスト/ヒップ比および/または30kg/mを超える体格指数(BMI)として定義される。
「腹部肥満」または「腹部脂肪症」は、胴囲の測定によって同定される。一実施形態において、「腹部肥満」または「腹部脂肪症」は、男性で102cmを超えるおよび女性で88cmを超える胴囲として定義される。
代謝性疾患の様々な公知の定義のうち、3つは特定の関連性を持つ:
メタボリックシンドロームは、次の判定基準のうち3つ以上を特徴とする:
1.腹部肥満:男性で102cmを超えるおよび女性で88cmを超える胴囲
2.高トリグリセリド血症:150mg/dL(1.695mmol/L)以上
3.低HDLコレステロール:男性で40mg/dL(1.036mmol/L)未満および女性で50mg/dL(1.295mmol/L)未満
4.高血圧:130/85mmHg以上
5.空腹時グルコース高値:110mg/dL(6.1mmol/L以上)以上。
メタボリックシンドロームは、さらに次の判定基準のうち3つ以上を特徴とすることがある:150mg/dLを超えるトリグリセリド、130mmHg以上の収縮期血圧(BP)もしくは85mmHg以上の拡張期BPまたは降圧剤投与中、40mg/dL未満の高比重リポタンパク質コレステロール、110mg/dLを超える空腹時血糖(FBS)、および28.8k/mを超えるBMI。
メタボリックシンドロームは、糖尿病、耐糖能異常、空腹時グルコース異常、またはインスリン抵抗性に次の異常のうち2つ以上を合わせ持つことを特徴とすることもある:
1.高血圧:160/90mmHg以上
2.高脂血症:150mg/dL(1.695mmol/L)以上のトリグリセリド濃度および/または男性で35mg/dL(0.9mmol/L)未満および女性で39mg/dL(1.0mmol/L)未満のHDLコレステロール
3.中心性肥満:男性で0.90を超えるもしくは女性で0.85を超えるウエスト/ヒップ比および/または30kg/mを超える体格指数(BMI)
4.微量アルブミン尿:20μg/分以上の尿中アルブミン排泄率または20mg/g以上のアルブミン/クレアチニン比。
ニューヨーク心臓協会(NYHA)分類は、心不全症状の重症度を4つの機能クラスの1つにグレード分けする。NYHA分類は、治療に対する反応を評価するため、また管理方針を決めるために使用され得る重症度の標準的記述を提供することから、臨床診療および研究で広く用いられている。ニューヨーク心臓協会機能分類は、症状の重症度および身体活動に基づいている:
クラスI:身体活動の制限なし。通常の身体活動によって、過度の息切れ、疲労、または動悸を生じない。
クラスII:身体活動の軽度の制限。安静時は安定しているが、通常の身体活動によって、過度の息切れ、疲労、または動悸を生じる。
クラスIII:身体活動の高度の制限。安静時は安定しているが、通常を下回る身体活動によって、過度の息切れ、疲労、または動悸を生じる。
クラスIV:不快感を伴わずにはいかなる身体活動も続行することができない。安静時、症状が現れることがある。いずれの身体活動を行っても、不快感が増す。
発明の詳細な記載
本発明は、実施例の項でより詳細に記載されている臨床試験に基づいて、8週間のLCZ696による治療によって、インスリン感受性が改善され、高血圧および腹部脂肪症の患者において安静時および運動時に、全身の脂肪分解および脂質酸化を変化させることなく腹部皮下脂肪組織からの脂質動員が引き起こされること、これによって、AT1受容体遮断を背景に、ナトリウム利尿ペプチドなどのネプリライシンの基質が増加し続けることとヒトの糖代謝および脂質代謝との関連性が初めて裏付けられたことを示している。
これらの発見は、LCZ696が、心血管疾患の患者における心血管状態および代謝状態を健全にする可能性があることを意味する。血漿ナトリウム利尿ペプチド濃度と血漿グルコースおよびインスリン濃度の間の逆相関はヒトにおいて説明がついており、肥満の個体(メタボリックシンドロームの個体)では、血漿ナトリウム利尿ペプチドレベルがより低い。このナトリウム利尿ペプチドの相対的な欠乏を改善し、これによって糖代謝および脂質代謝の改善を容易にするため、LCZ696が提案されている。
治療した肥満の高血圧患者は、インスリン感受性異常のためのヒトモデルとすることができる。脂肪症と2型糖尿病リスクの間の密接な関連性および近年の2型糖尿病の発症率の流行的な増加を踏まえると、インスリン感受性に対する付加的効果を持つ心血管系薬剤は、非常に望ましい。
さらに、LCZ696による代謝改善が、心不全の患者においても有益であると思われ、これによって、LCZ696は現在入手可能な心血管系薬物と区別されると結論付け得る。
したがって、本発明は以下に関する:
治療方法
本発明は、心不全または高血圧などの心血管系の疾患または状態の治療に有効な特定の薬物(すなわち、LCZ696)は、ヒト対象において、肥満およびインスリン抵抗性などのメタボリックシンドローム(metabolic disease syndromes)に対しても有益な効果を提供し、これによって、心血管疾患の治療の可能性を高めることが可能であるという驚くべき予想外の発見に基づく。
メタボリックシンドロームに対する有益な効果は、高血圧および腹部脂肪症の患者において、インスリン感受性および腹部の脂質動員を改善することによって示され、これによって、NPが増加し続けることとヒトの糖代謝および脂質代謝との関連性が初めて裏付けられた。
したがって、本発明は、代謝性疾患の予防または治療を必要とするヒト患者における代謝性疾患の予防または治療のための方法であり、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有する医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法を包含する。
その一実施形態では、代謝性疾患は、次の判定基準、肥満、インスリン抵抗性、糖代謝異常、耐糖能異常(IGT)、空腹時血漿グルコース異常の状態、メタボリックシンドローム、2型糖尿病;高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、腹部脂肪症、脂質異常症、および高トリグリセリド血症から選択される少なくとも1つによって判明する。
好ましい実施形態では、代謝性疾患は、次の判定基準、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、および肥満/脂肪症、具体的には腹部脂肪症から選択される少なくとも1つによって判明する。
別の実施形態では、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達される。
本発明は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンを治療上有効な量で含有する医薬組成物が、患者における代謝性疾患を予防または治療するために有効であることを提示する。本発明は、医薬組成物が、哺乳動物において、インスリン感受性の改善およびとりわけ全身の脂肪分解を変化させることのない、腹部皮下脂肪組織からの脂質動員の増加を含む、少なくとも1つの生理学的効果を引き起こすのに有効であることを提示する。
さらに、本発明は、医薬組成物が、アムロジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬のみを相当量で使用した場合に比べ、代謝性疾患のより良い予防または治療を提供することを提示する。
一実施形態では、医薬組成物は、メタボリックシンドロームのより良い予防、進行の遅延または治療を提供し、ここで、メタボリックシンドロームは、次の判定基準のうち3つ以上を特徴とする:
1.腹部肥満:男性で102cmを超えるおよび女性で88cmを超える胴囲
2.高トリグリセリド血症:150mg/dL(1.695mmol/L)以上
3.低HDLコレステロール:男性で40mg/dL(1.036mmol/L)未満および女性で50mg/dL(1.295mmol/L)未満
4.高血圧:130/85mmHg以上
5.空腹時グルコース高値:110mg/dL(6.1mmol/L以上)以上
別の実施形態では、医薬組成物は、メタボリックシンドロームのより良い予防、進行の遅延または治療を提供し、ここで、メタボリックシンドロームは、糖尿病、耐糖能異常、空腹時グルコース異常、またはインスリン抵抗性に次の異常のうち2つ以上を合わせ持つことを特徴とする:
1.高血圧:160/90mmHg以上
2.高脂血症:150mg/dL(1.695mmol/L)以上のトリグリセリド濃度および/または男性で35mg/dL(0.9mmol/L)未満および女性で39mg/dL(1.0mmol/L)未満のHDLコレステロール
3.中心性肥満:男性で0.90を超えるもしくは女性で0.85を超えるウエスト/ヒップ比および/または30kg/mを超えるBMI
4.微量アルブミン尿:20μg/分以上の尿中アルブミン排泄率または20mg/g以上のアルブミン/クレアチニン比。
別の実施形態では、医薬組成物は、メタボリックシンドロームのより良い予防、進行の遅延または治療を提供し、ここで、メタボリックシンドロームは、次のうち3つ以上を特徴とする:150mg/dLを超えるトリグリセリド、130mmHg以上の収縮期血圧(BP)もしくは85mmHg以上の拡張期BPまたは降圧剤投与中、40mg/dL未満の高比重リポタンパク質コレステロール、110mg/dLを超える空腹時血糖(FBS)、および28.8k/mを超えるBMI。
一実施形態では、ヒト患者は心血管疾患も罹患している。
その実施形態では、心血管疾患は、高血圧、慢性心不全、急性心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、虚血性心筋症、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、不整脈、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、僧帽弁狭窄症および僧帽弁逆流、心房粗動、有害な血管リモデリング、心臓標的臓器障害、プラーク安定化、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症、血栓症、血管動脈瘤、血管狭窄および梗塞、血管性認知症、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧症、肺うっ血、肺水腫、右室肥大、ならびに末梢血管疾患から選択される。
その追加の実施形態では、患者は高血圧または心不全にも罹患している。
具体的には、心不全は、うっ血性心不全、左心不全、右心不全、慢性心不全、進行した心不全、急性心不全、急性非代償性心不全、駆出率が低下した心不全、または駆出率が保持されている心不全である。
その別の実施形態では、患者は心不全、具体的には駆出率が低下した慢性収縮期心不全(HF−rEF)または駆出率が保持されている心不全(HF−pEF)にも罹患している。
前述の別の実施形態では、慢性収縮期心不全に罹患している患者、具体的には駆出率が低下した慢性収縮期心不全の患者は、次の特徴のうち少なくとも1つを有する:
i)NYHAクラスII、III、またはIVの心不全
ii)血漿BNPまたはNT−proBNPレベルの増加、好ましくは、血漿BNPが100pg/mL以上(またはNT−proBNPが400pg/mL以上)、より好ましくは、血漿BNPが150pg/mL以上またはNT−proBNPが600pg/mL以上、および
iii)左室駆出率(LVEF)が40%以下、好ましくは、35%以下に低下。
さらに、患者は次のうち1つまたは複数を特徴としてもよい:
iv)最近12カ月以内の心不全による入院歴
v)安定したACE阻害剤またはARB、用量10mg以上1日1回のエナラプリル+β遮断薬(禁忌または不耐性の場合を除く)+アルドステロン拮抗薬(適応通り)、
vi)収縮期血圧が95mmHg以上、
vii)eGFRが30mL/分/1.73m、および
viii)血清Kが5.4mEq/L。
一実施形態では、患者は、NYHAクラスII、III、またはIVとして分類される慢性心不全にも罹患しており、また収縮機能障害を有する。特に、患者は、左室駆出率(LVEF)が40%以下、より具体的には35%以下に低下している。
別の実施形態では、患者はNYHAクラスIIとして分類される心不全を有する。追加の実施形態では、患者は、収縮機能障害を伴う、NYHAクラスIIとして分類される心不全を有し、また左室駆出率(LVEF)が40%以下、具体的には35%以下に低下している。
別の実施形態では、患者は高血圧、具体的には軽度から中等度の本態性高血圧症にも罹患している。
一実施形態では、本発明は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンを治療上有効な量で含有する医薬組成物が、代謝性疾患および心血管疾患に罹患している、特に肥満(脂肪症)ならびに高血圧および/または心不全に罹患している患者において、インスリン感受性の改善および腹部脂質動員の増加から選択される少なくとも1つの生理学的効果を引き起こすのに有効であることを提示する。
一実施形態では、本発明は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンを治療上有効な量で含有する医薬組成物が、代謝性疾患および心血管疾患に罹患している患者において、糖代謝を改善するために有効であることを提示する。その一実施形態では、患者は高血圧および腹部脂肪症に罹患している。その別の実施形態では、患者は心不全および腹部脂肪症に罹患している。
別の実施形態では、本発明は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンを治療上有効な量で含有する医薬組成物が、心血管疾患および脂肪症に罹患している患者、特に高血圧および腹部脂肪症に罹患している患者において、糖代謝を改善し、かつ腹部脂質動員を増加するために有効であることを提示する。
前述のすべての治療の選択肢を適用する本発明の一態様では、医薬組成物は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せの1日の全用量である約50mgから約400mgを送達するために投与される。具体的には、医薬組成物は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを1日2回、用量50mg、100mg、または200mgで送達するために投与される。
その一実施形態では、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル24mgおよびバルサルタン26mgに相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル49mgおよびバルサルタン51mgに相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル97mgおよびバルサルタン103mgに相当する。
医薬組成物を用いた特定の実施形態では、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せは、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達され、ここで
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約56.6mgのLCZ696に相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約113.1mgのLCZ696に相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約226.2mgのLCZ696に相当する。
本発明の予防方法および治療方法に関する前述のすべての実施形態は、
− 本発明に従って使用する医薬を製造するための、本明細書で定義されるモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンを含有する医薬組成物の使用、
− 本明細書で定義されるモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンを含有する医薬組成物の本発明に従った使用、
− 本発明に従って使用するための、本明細書で定義されるモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンを含有する医薬組成物
に等しく適用可能である。
特に、本発明の予防方法および治療方法に関する前述のすべての実施形態は、ヒト患者における代謝性疾患の予防または治療に使用するための本発明の医薬組成物、ヒト患者における代謝性疾患の予防または治療のための本発明に従った医薬組成物の使用、およびヒト患者における代謝性疾患を予防または治療するための医薬を製造するための本発明に従った医薬組成物の使用に等しく適用可能である。
さらに、これらの態様のいくつかは、より詳細に以下に記載されるが、この記載は、限定するものとして解釈されるべきではない。
本発明に従って使用するための化合物および組成物
本発明の文脈では、「モル比1:1のサクビトリルとバルサルタン」という用語は、モル比1:1の
(i)バルサルタンまたは薬学的に許容されるその塩、および
(ii)サクビトリルまたは薬学的に許容されるその塩
を治療上有効な量で含有する組合せを指す。
サクビトリルは、N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸エチルエステルのINNである。これは、(2R,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4−(3−カルボキシ−プロピオニルアミノ)−2−メチル−ペンタン酸のプロドラッグである。
バルサルタンは、S−N−バレリル−N−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル]−メチル}−バリンである。
その一実施形態では、組合せは、モル比1:1の
(i)バルサルタン、と
(ii)N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸エチルエステルまたはナトリウム塩もしくはカルシウム塩などの薬学的に許容されたその塩
を含有する。
その別の実施形態では、前記組合せは、式(I)
[(A)(A)](Na・xHO(I)
(ここで、
はアニオン形態のバルサルタンであり、
はアニオン形態のサクビトリルであり、
Naはナトリウムイオンであり、
yは1〜3、好ましくは1、2、または3であり、かつ
xは0〜3、好ましくは0、0.5、1、1.5、2、2.5、または3である)
の化合物の形態で提供される。
一実施形態では、yは3であり、xは2.5である。
特に、化合物は、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)である。
好ましい実施形態では、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物は、結晶形態で存在する。
好ましい実施形態では、本発明は、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(化合物LCZ696)を治療上有効な量で含有する、使用のための医薬組成物を包含する。このような化合物および医薬組成物は、過去に国際公開第2007/056546号および国際公開第2009/061713号に開示されており、これらの調製のための教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の追加の実施形態では、本発明に従って使用するための医薬組成物は、三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)を含有し、NEP阻害剤のプロドラッグおよびアンジオテンシン受容体遮断薬を一緒に、患者に投与することで送達される。
医薬組成物は、すべてのその使用に関する本発明の一実施形態では、NEP阻害剤のプロドラッグであるサクビトリル、すなわちN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルまたはNEP阻害剤であるN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸もしくは薬学的に許容されるその塩、およびアンジオテンシン受容体遮断薬であるバルサルタンまたは薬学的に許容されるその塩を含有する。このような組合せは、例えば、国際特許出願国際公開第2003/059345号に開示されており、これは参照により本出願に組み込まれる。
一実施形態では、医薬組成物は、モル比1:1のNEP阻害剤のプロドラッグであるサクビトリル、すなわちN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステルまたはNEP阻害剤であるN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸もしくは薬学的に許容されるその塩、およびアンジオテンシン受容体遮断薬であるバルサルタンまたは薬学的に許容されるその塩を含有する。
(i)バルサルタンまたは(S)−N−バレリル−N−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−ビフェニル−4−イル]−メチル)}−バリン)もしくは薬学的に許容されるその塩は、市販業者から購入することができ、または米国特許第5,399,578号および欧州特許第0443983号に記載されているような公知の方法に従って調製することができ、これらの調製のための教示は、参照により本明細書に組み込まれる。バルサルタンは、本発明の特定の実施形態において、任意の適当な塩の形態と同様にその遊離酸の形態で使用されてもよい。状況に応じて、エステルまたはカルボキシル基(grouping)の他の誘導体を、テトラゾール基の塩および誘導体と同様に用いてもよい。
(ii)サクビトリル、すなわちN−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−(p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−2R−メチルブタン酸エチルエステルまたは(2R,4S)−5−ビフェニル−4−イル−4(3−カルボキシ−プロピオニルアミノ)−2−メチル−ペンタン酸は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,217,996号に記載されているような公知の方法に従って調製することができる。
対応する有効成分または薬学的に許容されるその塩は、水和物の形態で使用してもよく、または結晶化のために使用される他の溶媒を含有してよい。
好ましくは、化合物であるサクビトリルまたはその塩、バルサルタンまたはその塩、またはLCZ696は、実質的に純粋または実質的に純粋な形態である。本明細書で用いる場合、「実質的に純粋」は、少なくとも約90%の純度、より好ましくは少なくとも約95%、および最も好ましくは少なくとも約98%の純度を指す。
さらに、これらの化合物は固体、または固体の形態、または固体の状態であることが好ましい。固体、固体の形態、または固体の状態は、結晶性、部分的に結晶性、無定形、または多形性であってよく、好ましくは結晶性の形態である。
本発明の医薬組成物は、それ自体が公知である方法で調製することができ、またヒトを含む哺乳動物(温血動物)への経口または直腸投与などの経腸投与および非経口投与に適したものであり、治療上有効な量の薬理学的に活性な化合物を単独で、または特に経腸もしくは非経口投与に適した1種または複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する。
本発明の医薬製剤は、例えば、80%または90%など、約0.1%〜約100%、または約1%〜約60%の有効成分を含有する。本明細書の各例で用いる場合、「約(about)」と「約(approximately)」は、所定の値または範囲の10%以内、より好ましくは5%以内という意味を有する。
経腸または非経口投与用の本発明の医薬製剤は、例えば、糖衣錠、錠剤、カプセル剤、棒状剤、小袋剤、顆粒剤、シロップ剤、水性もしくは油性懸濁液、または坐剤、さらにアンプル剤などの単位剤形のものである。これらは、例えば、従来の混合、造粒、糖衣、溶解、または凍結乾燥工程を用い、それ自体が公知である方法で調製される。したがって、経口用の医薬製剤は、有効成分と固体担体を組み合わせて含有してよく、もし所望されれば、得られた混合物を造粒してよく、また所望されればまたは必要に応じて、適当な添加剤を加えた後、錠剤または糖衣錠のコアを得るため、混合物または顆粒を処理してよい。
錠剤は、活性化合物と充填剤、例えば、リン酸カルシウム、崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、結合剤、例えば、微結晶セルロースまたはポリビニルピロリドン、および公知の方法によって混合物を錠剤化するための当該分野に公知である他の任意の成分から形成されてよい。同様に、添加剤を加えたまたは加えていない活性化合物を含有するカプセル剤、例えば、硬または軟ゼラチンカプセルは、公知の方法によって調製されてよい。カプセルの内容物は、活性化合物に徐放性を付与するための公知の方法を用いて製剤化してよい。
経口投与のための他の剤形として、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの非毒性懸濁化剤の存在下、水性媒体中の活性化合物を含有する水性懸濁液、および適当な植物油、例えば、ラッカセイ油中の活性化合物を含有する油性懸濁液が挙げられる。
活性化合物は、添加剤を加えてまたは加えず、顆粒剤に製剤化してよい。顆粒剤は、患者に直接経口摂取されてよく、または経口摂取前に、顆粒剤に適当な液体担体(例えば、水)を加えてよい。顆粒剤は、液体媒体中への分散を容易にするため、崩壊剤、例えば、酸および炭酸塩または重炭酸塩から形成される発泡性の組合せ(effervescent pair)を含有してよい。
組成物の有効成分の投与量は、当然ながら、治療する状態の重症度の性質ならびに組成物中の特定の化合物およびその投与経路によって変更される可能性がある。投与量は、各患者の年齢、体重、および反応によっても変更される可能性がある。
医薬組成物が、本発明の文脈における使用のための医薬組成物中に三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)を含有する実施形態において、治療剤であるサクビトリルおよびバルサルタンを合わせた単位用量は、1日当たり40mg〜400mg(例えば、50mg、100mg、200mg、400mg)など、約1〜約1000mgの範囲内であろう。あるいは、低用量を、例えば、1日当たりの用量が0.5〜100mg、0.5〜50mg、または0.5〜20mgとすることがある。注釈として、2種類の薬剤であるサクビトリルとバルサルタンを100mg送達する、単位用量100mgのLCZ696は、113.1mgの三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物に相当する。相応して、単位用量50mgは56.6mg、単位用量200mgは226.2mg、また単位用量400mgは452.4mgの三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物を、それぞれ必要とする。
医薬組成物に含まれる組合せ中のサクビトリルおよびバルサルタンまたはこれらのそれぞれの塩の各化合物を合計した投与量は、40mg〜400mgなど、約1〜約1000mgの範囲内とし、以下に限定されないが、5mg、20mg、25mg、40mg、50mg、80mg、100mg、200mg、400mg、800mg、および1000mgを含む。サクビトリルおよびバルサルタンの各化合物のこのような投与量は、治療上有効な量または有効成分含有量(dosage strength)であると判断することができる。依然として心血管系効果を提供しつつ、最適な腎臓保護を成し得るための医薬組成物中の各化合物の量の割合は、好ましくはモル比約1:1である。依然として心血管系効果を提供しつつ、代謝異常に対する治療効果を得るための医薬組成物中の各化合物の量の割合は、好ましくはモル比約1:1である。好ましい実施形態では、サクビトリルおよびバルサルタンの各化合物の投与量は、LCZ696の用量50mg、100mg、200mg、または400mgを含有する医薬組成物におけるものと同じ分子量に相当する。例えば、LCZ696の用量200mgは、バルサルタン103mgとサクビトリル97mgにおおよそ相当する。
本発明に使用される医薬組成物は、速放性形成物として1日に任意の回数、すなわち1日に1回(q.d.)、2回(b.i.d)、3回、4回、または持続放出性もしくは徐放性形成物としてはより少ない頻回投与することができる。好ましくは、医薬組成物は1日2回(b.i.d)投与される。対応する用量は、例えば、朝、正午、または夕に投与されてもよい。
使用するための医薬組成物
個々の態様において、本発明は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有し、ヒト患者における代謝性疾患の予防または治療に使用するための医薬組成物に関する。
その一実施形態では、代謝性疾患は、次の判定基準、脂肪症、インスリン抵抗性、糖代謝異常、耐糖能異常(IGT)、空腹時血漿グルコース異常の状態、メタボリックシンドローム、2型糖尿病;高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、脂質異常症、および高トリグリセリド血症から選択される、具体的には、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、および脂肪症、特に腰部脂肪症から選択される少なくとも1つによって判明する。
その追加の実施形態で、ヒト患者は、心血管疾患にも罹患している。一実施形態では、心血管疾患は、高血圧、慢性心不全、急性心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、虚血性心筋症、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、不整脈、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、僧帽弁狭窄症および僧帽弁逆流、心房粗動、有害な血管リモデリング、心臓標的臓器障害、プラーク安定化、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症、血栓症、血管動脈腫、血管狭窄および梗塞、血管性認知症、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧症、肺うっ血、肺水腫、右室肥大、ならびに具体的には高血圧または心不全、より具体的には駆出率が低下した慢性収縮期心不全(HF−rEF)または駆出率が保持されている心不全(HF−pEF)による末梢血管疾患から選択される。
その追加の実施形態では、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量で含有し、本明細書で定義される使用のための医薬組成物は、代謝性疾患および心血管疾患に罹患している前記患者において、インスリン感受性の改善、糖代謝の改善、および腹部脂質動員の増加から選択される少なくとも1つの生理学的効果を引き起こすのに有効である。その一実施形態では、患者は高血圧および腹部脂肪症に罹患している。その別の実施形態では、患者は心不全および腹部脂肪症に罹患している。
したがって、一態様において、本発明は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有し、ヒト患者における代謝性疾患の予防または治療に使用するための医薬組成物に関し、ここで、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せの治療上有効な量は、心血管疾患および脂肪症に罹患している患者において、糖代謝を改善し、かつ腹部脂質動員を増加するために有効である。その一実施形態では、患者は高血圧および腹部脂肪症に罹患している。その別の実施形態では、患者は心不全および腹部脂肪症に罹患している。
前述のすべての実施形態において、医薬組成物は、治療上有効な量または予防上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で含有する。
前述のすべての実施形態において、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有する医薬組成物は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを1日2回、用量50mg、100mg、または200mgで送達するために投与され、ここで、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル24mgおよびバルサルタン26mgに相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル49mgおよびバルサルタン51mgに相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル97mgおよびバルサルタン103mgに相当する。
その一実施形態では、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達され、ここで、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約56.6mgのLCZ696に相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約113.1mgのLCZ696に相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約226.2mgのLCZ696に相当する。
医薬製造用の医薬組成物の使用
別の態様では、本発明は、ヒト患者における代謝性疾患の予防または治療に使用する医薬製造のための、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンを治療上有効な量または予防上有効な量で含有する医薬組成物の使用に関する。
その一実施形態では、代謝性疾患は、次の判定基準、脂肪症、インスリン抵抗性、糖代謝異常、耐糖能異常(IGT)、空腹時血漿グルコース異常の状態、メタボリックシンドローム、2型糖尿病;高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、脂質異常症、および高トリグリセリド血症から選択される;具体的には、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、および脂肪症、特に、腹部脂肪症から選択される少なくとも1つによって判明する。
その追加の実施形態では、ヒト患者は心血管疾患にも罹患している。一実施形態では、心血管疾患は、高血圧、慢性心不全、急性心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、虚血性心筋症、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、不整脈、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、僧帽弁狭窄症および僧帽弁逆流、心房粗動、有害な血管リモデリング、心臓標的臓器障害、プラーク安定化、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症、血栓症、血管動脈瘤、血管狭窄および梗塞、血管性認知症、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧症、肺うっ血、肺水腫、右室肥大、ならびに具体的には高血圧または心不全、より具体的には駆出率が低下した慢性収縮期心不全(HF−rEF)または駆出率が保持されている心不全(HF−pEF)による末梢血管疾患から選択される。
その追加の実施形態では、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量で含有する医薬組成物は、代謝性疾患および心血管疾患に罹患している前記患者において、インスリン感受性の改善、糖代謝の改善、および腹部脂質動員の増加から選択される少なくとも1つの生理学的効果を引き起こすのに有効である。その一実施形態では、患者は高血圧および腹部脂肪症に罹患している。その別の実施形態では、患者は心不全および腹部脂肪症に罹患している。
したがって、一態様において、本発明は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有し、ヒト患者における代謝性疾患を予防または治療するための医薬を製造するため、医薬組成物を使用することに関し、ここで、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せの治療上有効な量は、心血管疾患および脂肪症に罹患している患者において、糖代謝を改善し、かつ腹部脂質動員を増加するために有効である。その一実施形態では、患者は高血圧および腹部脂肪症に罹患している。その別の実施形態では、患者は心不全および腹部脂肪症に罹患している。
前述のすべての実施形態において、医薬組成物は、治療上有効な量または予防上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で含有する。
前述のすべての実施形態において、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有する医薬組成物は、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを1日2回、用量50mg、100mg、または200mgで送達するために投与され、ここで、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル24mgおよびバルサルタン26mgに相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル49mgおよびバルサルタン51mgに相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル97mgおよびバルサルタン103mgに相当する。
その一実施形態では、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達され、ここで、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約56.6mgのLCZ696に相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約113.1mgのLCZ696に相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約226.2mgのLCZ696に相当する。
以下の実施例は例示であって、本明細書に記載されている本発明の範囲を限定するものではない。
肥満した高血圧の対象におけるLCZ696およびアムロジピンの代謝作用を評価するための無作為化、二重盲検、並行群間試験(ClinicalTrials.gov Identifier:NCT01631864)
被験薬LCZ696:
LCZ696は、超分子複合体である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物を指す。この化合物およびその医薬組成物は、過去に国際公開第2007/056546号および国際公開第2009/061713号に開示されており、これらの調製のための教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
LCZ696は、単一の化合物として、NEP(中性エンドペプチダーゼEC3.4.24.11)阻害剤プロドラッグであるAHU377(N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸エチルエステル)およびアンジオテンシン受容体遮断薬であるバルサルタンの分子部分を含む、画期的新薬であるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤である。AHU377は、酵素的切断によって、心房性ナトリウム利尿ペプチドの分解を担う主な酵素である中性エンドペプチダーゼの活性な阻害剤であるLBQ657(N−(3−カルボキシ−1−オキソプロピル)−(4S)−p−フェニルフェニルメチル)−4−アミノ−(2R)−メチルブタン酸)に代謝される。
比較物質薬物アムロジピン:
アムロジピンまたはアムロジピンベシル酸塩は、市販業者から購入することができる。アムロジピンは、高血圧および冠状動脈疾患の治療薬として承認されている。
全体的な試験デザイン:
軽度から中等度の高血圧および腹部脂肪症の患者98名を、二重盲検、ダブルダミー様式で1日1回、8週間、LCZ696を400mg投与する群とアムロジピン(AML)を10mg投与する群に無作為化に割り付けた。ベースラインおよび8週目に、末梢インスリン感受性(高インスリン正常血糖クランプ法)、腹部皮下脂肪組織の脂肪分解(微小透析法)、全身の脂肪分解(グリセロールトレーサー動態)、エネルギー消費および基質酸化(間接熱量測定法)を判定した。
被験患者
試験集団には、未治療の(スクリーニング時平均座位収縮期血圧[msSBP]130mmHg以上および180mmHg未満)または2つのクラスまでの降圧剤を投与されている(スクリーニング時msSBP160mmHg以下および4週間のウォッシュアウト期間終了時180mmHg未満)高血圧を伴う、年齢18歳以上の肥満した男性および女性(それぞれ、胴囲102cm以上および88cm以上)が含まれている。女性は妊娠の可能性がない必要があった。主な除外基準は、重度の高血圧(スクリーニング時またはウォッシュアウト期間終了時msDBP100mmHg以上および/またはmsSBP180mmHg以上)、1型または2型糖尿病(空腹時血漿グルコース126mg/dL以上またはHbA1c6.5%以上)、薬物療法を必要とする脂質異常症、抗高血圧薬、抗糖尿病薬、もしくは糖代謝や脂質代謝に作用する薬物の併用、心臓の構造異常もしくは機能異常の過去もしくは現行の診断、HF(NYHAクラスII〜IV)の既往歴もしくは現行の診断、心筋梗塞の既往歴、スクリーニング6カ月前までの冠動脈バイパス手術もしくは経皮的冠動脈形成術、血管浮腫の既往歴、または治験薬に対する過敏症であった。
試験手順:
試験デザイン
これは、多施設共同、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照、並行群間試験であった。試験は、4週間に及ぶ初期スクリーニング期間、続く4週間のウォッシュアウト期間および8週間の無作為化、二重盲検治療期間を含む。スクリーニング時に抗高血圧薬を投与されていた患者は、ウォッシュアウト期間中に治療薬の投与を中止された。
二重盲検治療期間中、患者を、8週間にわたって、対応するプラセボと共にLCZ696を400mgで1日1回(QD)またはアムロジピンを10mgでQD投与される群に無作為に割り付けた。さらに、患者はベースラインにおけるインスリン抵抗性のホメオスタシスモデルアセスメント(HOMA−IR)(2.5未満および2.5以上)および無作為化前8週間以内のスタチン治療に基づいて4つの群に層別化された。
すべての参加者は、あらゆる試験の評価前にインフォームドコンセントを提出した。治験実施計画書は、各施設の独立倫理委員会または治験審査委員会によって検討され、試験は、ヘルシンキ宣言の倫理的原則に従って実施された。
インスリン感受性の測定
アムロジピンを10mgでQDに対するLCZ696を400mgでQDにおけるベースラインから8週目までのインスリン感受性の変化を、高インスリン正常血糖クランプ法(HEGC)によって測定した。HEGC評価は、空腹状態で1日目(ベースライン)および56日目に実施された。手の甲の静脈にカテーテルを挿入し、動脈血化血液サンプリングのために加温し続け、また反対側の腕にグルコースおよびインスリンを注入するためのカテーテルを挿入した。手順は、プライミング後の2時間のインスリン注入(最初の10分間にわたるプライミング投与[0〜5分に103mU/m/分および5〜10分に57mU/m/分]後、40mU/m/分で2時間後まで持続注入)と血糖レベルを90.1mg/dL(5.0mmol/L)に維持しつつ、定常状態血漿インスリンレベルとするための可変量のグルコース注入で構成された。HEGC中の血糖レベルを確定するための血液サンプルは、連続的に(自動クランプ)または約5分間隔で(手動クランプ)採取された。クランプの最後の30分間(90〜120分)は、定常状態期間とみなし、この期間の平均グルコース注入速度を算出した。
インスリン感受性指数(SI)を、定常状態のグルコース注入速度ならびに定常状態の血漿インスリンおよび血漿グルコース濃度から算出した(SI:グルコース注入速度/[血漿グルコース×血漿インスリン]、μg/kg分/[mmol/Lpmol/L])。さらに、全身グルコース処理率(M、mg/分)を、定常状態の平均グルコース注入速度から算出し、末梢インスリン感受性を評価した。最終的に、代謝クリアランス率(MCR)を、M値および定常状態の平均血糖濃度(BG)から算出した(MCR:M/BG、分mmol)。さらに、定常状態におけるグルコース処理率を、M値および血漿インスリン濃度から算出し、インスリン単位毎に表示した(M/I、U/分)。
腹部皮下脂肪組織の微小透析法
安静時の脂肪分解の評価は、1日目の最初の投与前および57日目に実施された。腹部皮下脂肪組織の脂肪分解は、空腹状態での微小透析法によって評価された。前述のとおり、微小透析プローブを、局所麻酔および無菌条件下で、臍から外側に5〜8cmの皮下脂肪組織内に留置した。26方法は、プローブを、流速0.3μL/分の灌流液(50mMエタノール+T1灌流液、μ Dialysis AB、Sweden)で満たす間の60分間の回復期間、続く60分間の流量校正期間で構成された。流量校正期間中、灌流速度を、最初の30分間は0.3μL/分に維持し、その後の残り30分間は2.0μL/分に上げた。分析物を測定するための微小透析液サンプルを、流量校正期間中の30分および45分の時点で採取した。
脂肪組織中の組織内濃度を反映する、微小透析液中のグリセロール(局所の脂肪分解の指標)、グルコース、および乳酸(lactate)の濃度を測定した。脂肪組織の血流の指標として、エタノール比(潅流液中のエタノール濃度に対する透析液中のエタノール濃度の比率)を測定した。
全身の脂肪分解
全身の脂肪分解は、[1,1,2,3,3−H]−グリセロールトレーサー動態の測定によって推測された。該評価は、微小透析法の手順と同時に1日目および57日目に行われた。微小透析法の流量校正期間の開始時にグリセロールトレーサーのボーラスを注入し、続いてサンプリング期間の終了時まで持続的に注入した。血液サンプルを、流量校正期間中の0、30、40、50、および60分の時点で採取し、その後の15、30、および45分の時点で採取した。内因性グリセロールの出現率(Ra)を、血漿グリセロールトレーサー濃縮物に対するグリセロールトレーサー注入速度の比率として算出した。定常状態において、グリセロールRaを、Steeleの式を用いてグリセロールトレーサー濃縮物から算出した。27
エネルギー消費および基質酸化
エネルギー消費および基質酸化を、換気フードシステムを使用し、間接熱量測定法によって並行して評価した。換気フード測定は、安静状態で30分間(流量校正期間中)記録された。安静時エネルギー消費は、Weirの簡易式28(REE=[3.9(VO)+1.1(VCO)]1.44kcal)(VOおよびVCOはL/分として表記)を用いて算出され、安静時の24時間以内に身体が必要とするエネルギーの推定量を提供する(すなわち、治療に伴うREEの増加は、エネルギー需要とは関係のない安静時の基質酸化の増加を示唆する)。
血圧モニタリング
座位BPを、スクリーニング時および本試験全体を通し、同じ装置を使用してモニタリングした。在宅期間中、患者は、自宅用測定装置を渡され、週2回、各朝のほぼ同じ時間(午前7〜9時)にBPをモニタリングするよう指示された。
安全性評価
安全性評価には、有害事象(AE)および重篤な有害事象(SAE)が含まれ、これらは本試験全体を通し、バイタルサイン(BPおよび脈拍の測定)、ECG、体調、および体重の評価に加え、血液学的検査、血液化学検査、および尿検査の定期的なモニタリングによって実施された。
統計的手法
薬力学(PD)解析対象集団には、PDデータの入手が可能であり、PDデータに関連する影響を伴う治験実施計画書からの逸脱がないすべての患者が含まれた。安全性解析対象集団には、いずれかの治験薬を投与されたすべての患者が含まれた。
試験を終了した対象90名(各群に45名)のサンプルサイズによって、両側対立仮説で有意水準2.5%の場合、8週目のSIにおける両投与群間の0.1の差を検出するため、検出力80%が得られると算出された。アムロジピンに対するLCZ696の平均効果の差を評価するため、治療を固定効果、ベースラインのインスリン感受性を共変量とした共分散分析法(ANCOVA)モデルを用いて、8週目のSIを分析した。試験終了後、有意水準2.5%における治療効果が同等であるという両側対立仮説のため、点推定および両治療群が同等であるというp値と共に、両投与群が異なるという97.5%CIを報告した。中間解析の実施について説明するため、より低い有意水準(2.5%)を選択した。SIのベースラインからの変化に関する治療群間の差を、上記のとおり分析した。
安静時の腹部皮下脂肪組織の微小透析データ(エタノール比、透析液乳酸、透析液グルコース、ならびに血漿グリセロール、グリセロール、NEFA、グルコース、インスリン、アドレナリン、およびノルアドレナリン)に対して、治療、来院、時間、および治療と来院と時間の相互作用を固定効果とし、対数変換した値による反復測定分析を用いてデータを分析した。各治療群における1日目(1日目に対する57日目)に対する比および1日目に対する比のアムロジピンに対するLCZ696の比を、対応する95%CIおよびp値と共に、30分および45分の時点を組み合わせて示した。
酸化的代謝を、治療を固定効果、ベースラインを共変量としたANCOVAを用いて分析し、95%CIおよびp値と共に治療群の平均差を報告した。
バイオマーカーに対して、治療、来院、時間、および治療と来院と時間の相互作用を固定効果とし、対数変換した値による反復測定分析を用いてデータを分析した。各治療群における1日目に対する比(1日目に対する57日目)および1日目に対する比のアムロジピンに対するLCZ696の比を、対応する95%CIおよびp値と共に示した。
結果:
対象
本試験に登録された患者98名のうち、92名の患者(93.9%)が試験を終了した。LCZ696治療群から2名の患者(動脈瘤のくも膜下破裂1例と掻痒症1例)およびアムロジピン群から3名の患者(腎結石症、高血圧、および末梢性浮腫を各1例ずつ)が、AEによって脱落した。
患者の背景およびベースライン特性は、以下の表1に示した。
インスリン感受性
クランプ中の血漿グルコースおよびインスリンのプロファイルは、手順を反映した。インスリンは、クランプ手順の最後の30分間にわたって定常状態に達した。
インスリン感受性は、96名の個体において評価された。
アムロジピンではなく、LCZ696は、ベースライン(平均[SD]:LCZ696、1.63[1.06];AML、1.69[0.97])から56日目(それぞれ、+0.192;95%CI:0.025、0.359および+0.065;95%CI:−0.116;0.246)までのSI(μg/kg分/[mmol/Lpmol/L])における有意な上昇に関連した。しかし、推定される治療群間差は、統計的有意性に達しなかった(表2参照)。
重要な点として、アムロジピンではなく、LCZ696は、ベースライン(3.68[2.07]および3.93[2.05])から56日目(平均変化[95%CI]:+0.64[0.30;0.98]と+0.03[−0.33;0.39])までの、体重によって正規化したグルコース注入速度(mg/分kg)を有意に増加させ、これは有意な治療群間差となった(p=0.016)。
さらに、グルコースMCR(分mmol)は、アムロジピン群に対してLCZ696群で、ベースライン(64.47[33.33]および71.19[31.28])から56日目(+10.74[4.77、16.71]と+1.087(−5.29;7.47);p=0.031)までに有意に増加した。
腹部皮下脂肪組織の微量分析
ベースラインから57日目までのグリセロールの増加は、LCZ696群のすべての時点で認められた(30+45分における調整幾何平均の比[95%CI]:1.05[0.93;1.18])が、この変化は、統計的有意性に達していなかった。アムロジピン群と比較して、ベースラインからのグリセロールレベルの変化は、57日目の45分の時点においてLCZ696群で有意に高かった(45分:1.26[1.04、1.53]、p=0.020;30+45分:1.22[1.03、1.45]、p=0.026)。(表3参照)
グルコースおよび乳酸のレベルは、いずれの治療群においてもベースラインとの有意差はなく、57日目における治療群間差はなかった(表3)。
エタノール比の変化は、LCZ696群における45分の時点を除く、いずれの時点においても治療群間に有意差が認められなかった。しかし、この増加は少なく、微小透析実験の分析に適していると判断されなかった。
全身の脂肪分解
1日目におけるベースラインの内因性グリセロール出現の幾何平均の比(95%CI)は、LCZ696およびアムロジピン群、それぞれにおいて、172.8(158.0;189.0)および200.6(182.4;220.6)μmol/kg.分−1であった。全身グリセロール放出(出現率)は、アムロジピン治療による有意な影響を受けなかったが、LCZ696投与群において1日目に対し57日目では有意に低下した(幾何平均の比[95%CI]、0.93[0.87、1.00];p=0.045)。
エネルギー消費および基質酸化
1日目の平均RQ(LCZ696およびAMLの群における平均[SD]:0.773[0.063]および0.768[0.051])および安静時エネルギー消費(2134.81[397.98]kcalおよび2180.30[548.78]kcal)は、群間で同程度であった。RQおよびREEは、いずれの治療群においても、また治療群間においても、57日目にベースラインとの有意差はなかった(平均群間差:[95%CI]:RQ、0.012[−0.028;0.051]、p=0.557;REE、−31.26(−149.75;87.24)kcal、p=0.601)。(表4参照)
血圧
ベースラインのmsSBP(141.7±11.2および139.7±12.6mmHg)およびmsDBP(90.2±6.1および91.9±5.9mmHg)は、それぞれ、LCZ696およびアムロジピン群間で同程度であった。57日目の、msSBP(それぞれ、−21.0±16.1mmHgと−12.4±14.7mmHg)およびmsDBP(それぞれ、−12.4±9.1mmHgと−10.0±7.8mmHg)における平均低下は、それぞれ、アムロジピン群と比較してLCZ696で有意に高かった。
安全性評価
安全性解析対象集団の患者98名のうち、67名の患者(68.4%)が、少なくとも1つのAEを経験した。AEの全体的な発生率は、アムロジピン群と比較してLCZ696群でより低かった(77.1%に対して60.0%)。合計5名の患者がAEのため投与中止となった:2名の患者は、治験薬との関連が疑われていないSAEのため投与中止となった(LCZ696群の患者1名に破裂性脳動脈瘤およびアムロジピン群の患者1名に腎結石症);3名の患者は、治験薬との関連が疑われるAEのため投与中止となった(LCZ696群の患者1名に掻痒症およびアムロジピン群で高血圧および末梢性浮腫が1例)。
最も多く発生するAEは、鼻咽頭炎、末梢性浮腫、および頭痛であり、それぞれの全体的な発生率は10%を上回った(表2)。治験薬との関連が疑われるAEは、LCZ696投与群においてより、アムロジピン群で発生頻度がより高かった(24%に対して46%)。アムロジピンとの関連が公知のAEである、末梢性浮腫は、アムロジピン投与群の患者16名およびLCZ696投与群の患者1名で報告された。掻痒症は、患者5名で報告され、その全員がLCZ696群であった。LCZ696群の患者2名は、軽度の起立性高血圧と報告されたが、どちらも本試験終了時には回復した。この両事象は、治験薬との関連が疑われた。本試験における死者の報告はなかった。
要約
LCZ696群およびAML群は、年齢、血圧、および体格指数(LCZ696で32.6±4.6kg/m、AMLで33.3±4.4kg/m)に関するベースライン特性が同等であった。8週目において、インスリン感受性指数は、LCZ696群で改善傾向を示し(LCZ696で1.88μg/kg分/(mmol/Lpmol/L);AMLで1.76μg/kg分/(mmol/Lpmol/L)、p=0.128)、グルコース注入速度/体重は、LCZ696群で有意に高かった(LCZ696で4.49mg/分kg;AMLで3.88;p=0.0156)。安静時の皮下脂肪組織の脂肪分解は、LCZ696群で増加したが、AML群で減少した(8週目の組織内グリセロールレベル;LCZ696で80.53μmol/L;アムロジピンで63.99μmol/L;p=0.003)のに対して、エタノール比ならびにグルコースおよび乳酸レベルには関連する変化が認められなかった。皮下脂肪組織の脂肪分解における見かけ上の運動による増加は、15分および30分の運動時、AML群と比較してLCZ696群で多かった(8週目の微小透析液グリセロール;15分の運動:128.8μmol/Lに対し153.1μmol/L、p=0.014;30分の運動:149.19μmol/Lに対し187.63μmol/L、p=0.010)。安静時および運動時の全身の脂肪分解に群間差はなかった。呼吸商は、両治療群で運動によって増加したが、安静時および運動時のエネルギー消費および呼吸商に群間差はなかった。
結論
結論として、8週間のLCZ696治療によって、インスリン感受性が改善され、高血圧および腹部脂肪症の患者において安静時および運動時に、全身の脂肪分解および脂質酸化を変化させることなく腹部皮下脂肪組織からの脂質動員が引き起こされ、これによって、AT1受容体遮断の背景に、ナトリウム利尿ペプチドなどのネプリライシンの基質が増加し続けることとヒト糖代謝および脂質代謝との関連性が初めて裏付けられた。
本発明の実施形態:
具体的には、本発明は以下の実施形態に関する:
実施形態1:代謝性疾患の予防または治療を必要とするヒト患者における代謝性疾患の予防または治療のための方法であって、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有する医薬組成物を前記患者に投与することを含む、方法。
実施形態2:代謝性疾患が、次の判定基準、脂肪症、インスリン抵抗性、糖代謝異常、耐糖能異常(IGT)、空腹時血漿グルコース異常の状態、メタボリックシンドローム、2型糖尿病;高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、脂質異常症、および高トリグリセリド血症から選択される少なくとも1つによって判明する、実施形態1に記載の方法。
実施形態3:代謝性疾患が、次の判定基準、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、および脂肪症、具体的には腹部脂肪症から選択される少なくとも1つによって判明する、実施形態1または2に記載の方法。
実施形態4:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達される、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5:ヒト患者が心血管疾患にも罹患している、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6:心血管疾患が、高血圧、慢性心不全、急性心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、虚血性心筋症、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、不整脈、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、僧帽弁狭窄症および僧帽弁逆流、心房粗動、有害な血管リモデリング、心臓標的臓器障害、プラーク安定化、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症、血栓症、血管動脈瘤、血管狭窄および梗塞、血管性認知症、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧症、肺うっ血、肺水腫、右室肥大、ならびに末梢血管疾患から選択される、実施形態5に記載の方法。
実施形態7:患者が高血圧または心不全に罹患している、実施形態6に記載の方法。
実施形態8:患者が心不全、具体的には駆出率が低下した慢性収縮期心不全(HF−rEF)または駆出率が保持されている心不全(HF−pEF)に罹患している、実施形態7に記載の方法。
実施形態9:患者が高血圧に罹患している、実施形態7に記載の方法。
実施形態10:治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、インスリン感受性の改善および腹部脂質動員の増加から選択される少なくとも1つの生理学的効果を引き起こすのに有効である、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11:治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、糖代謝を改善するために有効である、実施形態10に記載の方法。
実施形態12:前記患者が高血圧および腹部脂肪症に罹患している、実施形態10または11に記載の方法。
実施形態13:前記患者が心不全および腹部脂肪症に罹患している、実施形態10または11に記載の方法。
実施形態14:治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、心血管疾患および脂肪症に罹患している患者において、糖代謝を改善し、かつ腹部脂質動員を増加するために有効である、実施形態1から13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15:患者が高血圧および腹部脂肪症に罹患している、実施形態14に記載の方法。
実施形態16:医薬組成物が、さらに1種または複数の薬学的に許容される担体を含有する、実施形態1から15のいずれか1つに記載の方法。
実施形態17:医薬組成物が、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せの1日の全用量である約50mgから約400mgを送達するために投与される、実施形態1から16のいずれか1つに記載の方法。
実施形態18:医薬組成物が、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを1日2回、用量50mg、100mg、または200mgで送達するために投与される、実施形態1から17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19:
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル24mgおよびバルサルタン26mgに相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル49mgおよびバルサルタン51mgに相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル97mgおよびバルサルタン103mgに相当する、
実施形態18に記載の方法。
実施形態20:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達され、ここで、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約56.6mgのLCZ696に相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約113.1mgのLCZ696に相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約226.2mgのLCZ696に相当する、
実施形態19に記載の方法。
実施形態21:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有し、ヒト患者における代謝性疾患の予防または治療に使用するための医薬組成物。
実施形態22:代謝性疾患が、次の判定基準、脂肪症、インスリン抵抗性、糖代謝異常、耐糖能異常(IGT)、空腹時血漿グルコース異常の状態、メタボリックシンドローム、2型糖尿病;高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、脂質異常症、および高トリグリセリド血症から選択される少なくとも1つによって判明する、実施形態21に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態23:代謝性疾患が、次の判定基準、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、および脂肪症、具体的には腹部脂肪症から選択される少なくとも1つによって判明する、実施形態21または22に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態24:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達される、実施形態21から23のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
実施形態25:ヒト患者が心血管疾患にも罹患している、実施形態21から24のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
実施形態26:心血管疾患は、高血圧、慢性心不全、急性心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、虚血性心筋症、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、不整脈、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、僧帽弁狭窄症および僧帽弁逆流、心房粗動、有害な血管リモデリング、心臓標的臓器障害、プラーク安定化、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症、血栓症、血管動脈瘤、血管狭窄および梗塞、血管性認知症、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧症、肺うっ血、肺水腫、右室肥大、ならびに末梢血管疾患から選択される、実施形態25に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態27:患者が高血圧または心不全に罹患している、実施形態26に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態28:患者が心不全、具体的には駆出率が低下した慢性収縮期心不全(HF−rEF)または駆出率が保持されている心不全(HF−pEF)に罹患している、実施形態27に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態29:患者が高血圧に罹患している、実施形態27に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態30:治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、インスリン感受性の改善および腹部脂質動員の増加から選択される少なくとも1つの生理学的効果を引き起こすのに有効である、実施形態21から29のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
実施形態31:治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、糖代謝を改善するために有効である、実施形態30に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態32:前記患者が高血圧および腹部脂肪症に罹患している、実施形態30または31に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態33:前記患者が心不全および腹部脂肪症に罹患している、実施形態30または31に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態34:治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、心血管疾患および脂肪症に罹患している患者において、糖代謝を改善し、かつ腹部脂質動員を増加するために有効である、実施形態21に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態35:患者が高血圧および腹部脂肪症に罹患している、実施形態34に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態36:さらに1種または複数の薬学的に許容される担体を含有する、実施形態21から35のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
実施形態37:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せの1日の全用量である約50mgから約400mgを送達するために投与される、実施形態21から36のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
実施形態38:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを1日2回、用量50mg、100mg、または200mgで送達するために投与される、実施形態21から37のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
実施形態39:
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル24mgおよびバルサルタン26mgに相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル49mgおよびバルサルタン51mgに相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル97mgおよびバルサルタン103mgに相当する、
実施形態38に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態40:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達され、ここで、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約56.6mgのLCZ696に相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約113.1mgのLCZ696に相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約226.2mgのLCZ696に相当する、
実施形態39に記載の使用のための医薬組成物。
実施形態41:ヒト患者における代謝性疾患の予防または治療に使用する医薬製造のための、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンを治療上有効な量または予防上有効な量で含有する医薬組成物の使用。
実施形態42:代謝性疾患が、次の判定基準、脂肪症、インスリン抵抗性、糖代謝異常、耐糖能異常(IGT)、空腹時血漿グルコース異常の状態、メタボリックシンドローム、2型糖尿病;高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、脂質異常症、および高トリグリセリド血症から選択される少なくとも1つによって判明する、実施形態41に記載の使用。
実施形態43:代謝性疾患が、次の判定基準、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、および脂肪症、具体的には腹部脂肪症から選択される少なくとも1つによって判明する、実施形態41または42に記載の使用。
実施形態44:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達される、実施形態41から43のいずれか1つに記載の使用。
実施形態45:ヒト患者が心血管疾患にも罹患している、実施形態41から44のいずれか1つに記載の使用。
実施形態46:心血管疾患が、高血圧、慢性心不全、急性心不全、左室機能不全、内皮細胞機能不全、拡張機能障害、虚血性心筋症、肥大型心筋症、糖尿病性心筋症、不整脈、上室性および心室性不整脈、心房細動、心線維症、僧帽弁狭窄症および僧帽弁逆流、心房粗動、有害な血管リモデリング、心臓標的臓器障害、プラーク安定化、心筋梗塞およびその続発症、アテローム性動脈硬化症、狭心症、血栓症、血管動脈瘤、血管狭窄および梗塞、血管性認知症、続発性アルドステロン症、原発性および続発性肺高血圧症、肺うっ血、肺水腫、右室肥大、ならびに末梢血管疾患から選択される、実施形態45に記載の使用。
実施形態47:患者が高血圧または心不全に罹患している、実施形態46に記載の使用。
実施形態48:患者が心不全、具体的には駆出率が低下した慢性収縮期心不全(HF−rEF)または駆出率が保持されている心不全(HF−pEF)に罹患している、実施形態47に記載の使用。
実施形態49:患者が高血圧に罹患している、実施形態47に記載の使用。
実施形態50:治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、インスリン感受性の改善および腹部脂質動員の増加から選択される少なくとも1つの生理学的効果を引き起こすのに有効である、実施形態41から49のいずれか1つに記載の使用。
実施形態51:治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、糖代謝を改善するために有効である、実施形態50に記載の使用。
実施形態52:前記患者が高血圧および腹部脂肪症に罹患している、実施形態50または51に記載の使用。
実施形態53:前記患者が心不全および腹部脂肪症に罹患している、実施形態50または51に記載の使用。
実施形態54:治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、心血管疾患および脂肪症に罹患している患者において、糖代謝を改善し、かつ腹部脂質動員を増加するために有効である、実施形態51に記載の使用。
実施形態55:患者が高血圧および腹部脂肪症に罹患している、実施形態54に記載の使用。
実施形態56:医薬組成物が、さらに1種または複数の薬学的に許容される担体を含有する、実施形態41から55のいずれか1つに記載の使用。
実施形態57:医薬組成物が、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せの1日の全用量である約50mgから約400mgを送達するために投与される、実施形態41から56のいずれか1つに記載の使用。
実施形態58:医薬組成物が、モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを1日2回、用量50mg、100mg、または200mgで送達するために投与される、実施形態41から57のいずれか1つに記載の使用。
実施形態59:
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル24mgおよびバルサルタン26mgに相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル49mgおよびバルサルタン51mgに相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル97mgおよびバルサルタン103mgに相当する、
実施形態58に記載の使用。
実施形態60:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達され、ここで、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約56.6mgのLCZ696に相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約113.1mgのLCZ696に相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約226.2mgのLCZ696に相当する、
実施形態59に記載の使用。
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実施形態60:モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達され、ここで、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約56.6mgのLCZ696に相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約113.1mgのLCZ696に相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約226.2mgのLCZ696に相当する、
実施形態59に記載の使用。

本発明は以下の態様を包含し得る。
[1] モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有し、ヒト患者における代謝性疾患の予防または治療に使用するための医薬組成物。
[2] 前記代謝性疾患が、次の判定基準、脂肪症、インスリン抵抗性、糖代謝異常、耐糖能異常(IGT)、空腹時血漿グルコース異常の状態、メタボリックシンドローム、2型糖尿病;高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、脂質異常症、および高トリグリセリド血症から選択される少なくとも1つによって判明する、上記[1]に記載の使用のための医薬組成物。
[3] 前記代謝性疾患が、次の判定基準、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、および脂肪症、具体的には腹部脂肪症から選択される少なくとも1つによって判明する、上記[1]または[2]に記載の使用のための医薬組成物。
[4] モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達される、上記[1]から[3]のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
[5] 前記ヒト患者が心血管疾患にも罹患している、上記[1]から[4]のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
[6] 前記患者が高血圧または心不全に罹患している、上記[5]に記載の使用のための医薬組成物。
[7] 前記患者が心不全、具体的には駆出率が低下した慢性収縮期心不全(HF−rEF)または駆出率が保持されている心不全(HF−pEF)に罹患している、上記[6]に記載の使用のための医薬組成物。
[8] 治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、インスリン感受性の改善および腹部脂質動員の増加から選択される少なくとも1つの生理学的効果を引き起こすのに有効である、上記[1]から[7]のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
[9] 治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、糖代謝を改善するために有効である、上記[1]から[8]のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
[10] 前記患者が高血圧および腹部脂肪症に罹患している、または心不全および腹部脂肪症に罹患している、上記[1]から[9]のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
[11] 治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、心血管疾患および脂肪症に罹患している患者において、糖代謝の改善および腹部脂質動員の増加に有効である、上記[1]から[10]のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
[12] モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せの1日の全用量である約50mgから約400mgを送達するために投与される、上記[1]から[11]のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
[13] モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを1日2回、用量50mg、100mg、または200mgで送達するために投与される、上記[1]から[12]のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
[14] a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル24mgおよびバルサルタン26mgに相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル49mgおよびバルサルタン51mgに相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル97mgおよびバルサルタン103mgに相当する、
上記[13]に記載の使用のための医薬組成物。
[15] モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達され、ここで、
a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約56.6mgのLCZ696に相当し、
b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約113.1mgのLCZ696に相当し、かつ
c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約226.2mgのLCZ696に相当する、
上記[14]に記載の使用のための医薬組成物。

Claims (15)

  1. モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを治療上有効な量または予防上有効な量で含有し、ヒト患者における代謝性疾患の予防または治療に使用するための医薬組成物。
  2. 前記代謝性疾患が、次の判定基準、脂肪症、インスリン抵抗性、糖代謝異常、耐糖能異常(IGT)、空腹時血漿グルコース異常の状態、メタボリックシンドローム、2型糖尿病;高血糖症、高インスリン血症、高脂血症、脂質異常症、および高トリグリセリド血症から選択される少なくとも1つによって判明する、請求項1に記載の使用のための医薬組成物。
  3. 前記代謝性疾患が、次の判定基準、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、および脂肪症、具体的には腹部脂肪症から選択される少なくとも1つによって判明する、請求項1または2に記載の使用のための医薬組成物。
  4. モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達される、請求項1から3のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
  5. 前記ヒト患者が心血管疾患にも罹患している、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
  6. 前記患者が高血圧または心不全に罹患している、請求項5に記載の使用のための医薬組成物。
  7. 前記患者が心不全、具体的には駆出率が低下した慢性収縮期心不全(HF−rEF)または駆出率が保持されている心不全(HF−pEF)に罹患している、請求項6に記載の使用のための医薬組成物。
  8. 治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、インスリン感受性の改善および腹部脂質動員の増加から選択される少なくとも1つの生理学的効果を引き起こすのに有効である、請求項1から7のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
  9. 治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、前記患者において、糖代謝を改善するために有効である、請求項1から8のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
  10. 前記患者が高血圧および腹部脂肪症に罹患している、または心不全および腹部脂肪症に罹患している、請求項1から9のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
  11. 治療上有効な量のモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せが、心血管疾患および脂肪症に罹患している患者において、糖代謝の改善および腹部脂質動員の増加に有効である、請求項1から10のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
  12. モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せの1日の全用量である約50mgから約400mgを送達するために投与される、請求項1から11のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
  13. モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンの組合せを1日2回、用量50mg、100mg、または200mgで送達するために投与される、請求項1から12のいずれか1項に記載の使用のための医薬組成物。
  14. a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル24mgおよびバルサルタン26mgに相当し、
    b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル49mgおよびバルサルタン51mgに相当し、かつ
    c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、サクビトリル97mgおよびバルサルタン103mgに相当する、
    請求項13に記載の使用のための医薬組成物。
  15. モル比1:1のサクビトリルとバルサルタンが、化合物である三ナトリウム[3−((1S,3R)−1−ビフェニル−4−イルメチル−3−エトキシカルボニル−1−ブチルカルバモイル)プロピオネート−(S)−3’−メチル−2’−(ペンタノイル{2”−(テトラゾール−5−イルエート)ビフェニル−4’−イルメチル}アミノ)ブチレート]ヘミペンタ水和物(LCZ696)の形態で送達され、ここで、
    a)用量50mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約56.6mgのLCZ696に相当し、
    b)用量100mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約113.1mgのLCZ696に相当し、かつ
    c)用量200mgのモル比1:1のサクビトリルとバルサルタンは、約226.2mgのLCZ696に相当する、
    請求項14に記載の使用のための医薬組成物。
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