JP2018515447A - 軸索障害の処置用のパルテノライドおよびその誘導体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、軸索障害の処置用の、チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤およびチューブリンチロシンリガーゼ活性化剤ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物に関する。【選択図】図4

Description

本発明は、神経損傷または疾患時の軸索障害の処置に関する。
神経系、すなわち脳、脊髄および末梢神経の複雑かつ繊細な構造は、様々なタイプの障害を受けやすい。例えば末梢神経に対する傷害(末梢神経障害)は、裂傷、局所挫傷(銃創)、伸展/牽引損傷、圧迫、薬物注射損傷または電気損傷を含む様々な外傷により発生しうる。さらに、末梢神経障害は、糖尿病またはハンセン病、ビタミン欠乏症、投薬、例えば化学療法、放射線療法、アルコール過剰摂取、免疫系疾患もしくはウィルス感染等の全身性疾患の結果であることもある。CNSの軸索障害は、切断、断裂もしくは圧迫/挫傷によって引き起こされ、または軸索に損傷を与える疾患に関連する、例えば卒中または多発性硬化症により引き起こされる軸索障害および軸索破壊などであることもある。
末梢神経障害は、大きな機能低下および医療支出の一般的原因である。末梢神経切断または断裂の場合には、手術が行われうる。末梢神経再建においては、損傷した神経が特定され、損傷レベルの上下の正常神経組織を観察できように露出され、神経の損傷部分が除去され、それから切断神経末端が慎重に再接合される。しかし、大きなセクションの損傷は一次修復に適さず、標準の臨床管理では、複雑な顕微手術技術の厳密な応用にもかかわらず、大多数の症例で感覚回復および運動回復が不十分となる。
一般に、損傷した末梢神経組織は、切断された軸索を再生する能力があり、したがって修復能力がある。いわゆる神経再生の機序は、新たなグリアの生成、軸索の伸長、再ミエリン化または機能的シナプスの回復を含みうる。しかし、神経再生能力は、末梢神経系(PNS:peripheral nervous system)と中枢神経系(CNS:central nervous system)との間で大きく異なる。末梢神経系とは対照的に、中枢神経の軸索再生は、ミエリン由来因子および阻害性のグリア性瘢痕の形成により生じる軸索阻害環境により非常に限定的である。さらに、CNSニューロンは、損傷した軸索を再成長させる本来の能力がはるかに低い。しかし、PNSの損傷した軸索は一般に軸索再成長の本来の潜在力はより大きいものの、主にシュワン細胞からの神経栄養支持の経時的減少および軸索誘導障害により、機能再生は限定的であることが多い。これらの側面は、例えば脚の坐骨神経損傷または腕の正中神経障害の後などの長距離の再生の場合に特に明らかとなる。したがって、軸索再生を加速し、これにより機能回復を改善することを目的とした新規な治療方法の開発が非常に望ましい。
したがって、本発明の基礎となる目的は、軸索障害の処置で使用可能な化合物を提供することであった。
この問題は、軸索障害の処置用のチューブリンカルボキシペプチダーゼ(TCP:tubulin carboxypeptidase)阻害剤、チューブリンチロシンリガーゼ(TTL:tubulin tyrosine lligase)活性化剤、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物により解決される。
驚くべきことに、TCP阻害剤パルテノライドが培養下の成体後根神経節ニューロンの軸索成長を顕著に促進することが分かった。さらに、in vivoでの薬物投与により、野生型マウスにおいてそれぞれの対照と比較して軸索成長が加速され、坐骨神経機能再生が促進された。このことは、薬物の局所投与および全身投与で示すことができた。したがって、パルテノライド等のTCP阻害剤およびTTL活性化剤は、神経損傷の有望な薬物処置および神経修復の改良を提供する。
パルテノライドの有利な効果は、チューブリンカルボキシペプチダーゼ(TCP:tubulin carboxypeptidase)と表されるタンパク質の薬理学的阻害による軸索先端のチュービュリン脱チロシン化の減少によりもたらされると考えられる。本明細書で使用されるところの「チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤」という用語は、‐Glu‐Tyr結合を切り離して天然のチロシン化チューブリンからC‐末端チロシン残基を除去するTCPを標的としてその活性を阻害するかまたは微小管の脱チロシン化を阻害する薬物群を指す。本明細書で使用されるところの「チューブリンチロシンリガーゼ活性化剤」という用語は、他方でチューブリンにCOOH‐末端チロシン残基を付加するチューブリンチロシンリガーゼ(TTL:tubulin tyrosine lligase)と表されるタンパク質を標的としてその活性を活性化する薬物を指す。TCP阻害剤パルテノライドは、細胞培養下で軸索再生を増加させた。
注目すべきことに、in vivoでのTCP阻害剤の神経内投与または腹腔内投与は、損傷動物の坐骨神経再生を顕著に促進し、機能回復を加速した。このように、軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる薬理学的アプローチは、神経修復および中枢投射の修復を有意に改善し、軸索障害を処置するための新規かつ臨床的に適切な戦略を提供する。都合のよいことに、薬物の局所投与および全身投与が有効であることが示された。
本明細書で使用されるところの「軸索」という用語は、末梢または中枢ニューロンの細長い突出部を指す。軸索は通常、ニューロンの細胞体から外へ電気インパルスを行う。軸索とその絶縁鞘は、神経繊維と呼ばれる。中枢神経系では、乏突起膠細胞によりミエリンが生産される。末梢神経系では、シュワン細胞によりミエリンが形成される。末梢神経繊維は軸索、ミエリン鞘、シュワン細胞およびその神経内膜を含み、中枢神経繊維はシュワン細胞および神経内膜を含まず、乏突起膠細胞を含む。本明細書で使用されるところの「軸索先端」という用語は、軸索の終端または端を指す。軸索の先端には成長円錐と呼ばれる動的区画があり、これを介して成長する軸索がその環境を移動する。
本明細書で使用されるところの「軸索障害」という用語は、任意の神経繊維および神経組織の軸索に対する障害を指す。本明細書で使用されるところの「神経」という用語は、感覚繊維、運動繊維または両方を指す。「軸索障害」という用語は、軸索障害により引き起こされる神経損傷および末梢神経障害のほか、視神経または脊髄の障害を指す。末梢神経障害は、糖尿病またはハンセン病、ビタミン欠乏症、投薬、例えば化学療法、放射線療法、アルコール過剰摂取、免疫系疾患もしくはウィルス感染等の全身性疾患の結果であることもある。軸索障害は、神経損傷または神経疾患時に現れうる。神経損傷は、例えば四肢の骨折または切断により末梢神経系の神経に与えられることもあれば、脊髄が切断、断裂または圧迫/挫傷により損傷することもある。軸索障害は、軸索に損傷を与える疾患に関連する、例えば卒中または多発性硬化症により引き起こされる軸索障害および軸索破壊などであることもある。
神経損傷は、裂傷、局所挫傷、伸展/牽引損傷、圧迫、薬物注射損傷または電気損傷等の外傷により引き起こされることもある。具体的障害は、神経切断、断裂または圧迫/挫傷である。神経損傷は、Seddonにより三つの主なタイプの神経繊維損傷と連続性があるか否かに基づいて損傷の程度を症状、病理および予後と相関させて分類される。ニューラブラキシアとは、軸索は無事であるが、ミエリン損傷が存在して神経繊維のインパルスの伝達の妨害を引き起こしている、末梢神経系の障害を指す。アクソノトメーシスとは、神経繊維および神経鞘の両方が断裂する、ニューラプラキシアよりも重度の挫滅または挫傷の結果である損傷のタイプを指す。
ニューロトメーシスは最重度の病変であり、重度の挫傷、伸展または裂傷時に生じる。軸索だけでなく被包結合組織も連続性を失う。極度のニューロトメーシスは、切断(transsection)である。実施形態においては、神経損傷は、アクソノトメーシスまたはニューロトメーシスを指す。
したがって諸実施形態においては、軸索障害は、ニューロンの機能低下を引き起こす末梢神経系または中枢神経系の損傷である。好ましい実施形態では、軸索障害は、坐骨神経もしくは視神経または脊髄の中枢投射の損傷である。視神経または脊髄の中枢投射の軸索障害は、中枢神経系の好ましい損傷である。坐骨神経と同様に好ましい末梢神経のさらなる軸索障害は、腕および指に突き出る神経の障害である。坐骨神経または腕および指に突き出す神経は、長い神経であり、障害に特に弱い。障害は、患者に痛みだけでなく感覚および運動機能の不可逆的低下をもたらしうる。視神経の損傷は、生涯にわたる重度の視力障害、または当該の目の完全な失明さえももたらすことが多い。さらに、軸索再生は、軸索の他の中枢投射を含む損傷した脊髄では通常生じない。軸索障害は、四肢麻痺または対麻痺等の高度障害をもたらしうる。このため、パルテノライドの軸索成長促進効果は脊髄損傷後の臨床結果を有利に改善しうる。他の実施形態では、軸索障害は、脳神経、特に視神経または三叉神経、特にその眼枝の損傷である。さらなる実施形態では、軸索障害は、腕神経叢または内臓に分布する神経の損傷である。
軸索障害により引き起こされるさらなる障害または疾患は、視神経頭部の軸索が障害される場合の緑内障を含む群より選択されうる。諸実施形態において、軸索障害は、末梢神経障害、緑内障、卒中または多発性硬化症に関連する。末梢神経障害の例は、糖尿病性神経障害および細胞増殖抑制性神経障害(cytostatics‐induced neuropathy)である。
さらなる実施形態では、軸索障害は、角膜の損傷もしくは移植角膜の除神経、または病変を生じた視神経もしくは三叉神経、特にその眼枝の軸索切断繊維に関連する。角膜の損傷は、切断または剥離によって引き起こされうる。角膜は、一般に身体表面上の最も密に神経支配された組織である。しかし、角膜移植により角膜の軸索が切断され、その結果移植角膜の完全な除神経が生じる。ドナー組織に対する再神経支配には非常にばらつきがあり、初回手術後に長年にわたり感覚鈍麻が持続する場合が多い。したがって、眼神経から生じる軸索から角膜、特に移植角膜への成長の促進が非常に有利である。
パルテノライドは軸索の成長円錐と直接相互作用することを示しているため、パルテノライドによって角膜の軸索成長が加速される可能性が高い。都合のよいことに、パルテノライドが末梢神経だけでなく網膜神経節細胞等の中枢ニューロンの神経再生も促進できることが実証できたが、このことは、パルテノライドが緑内障または病変を生じた視神経の軸索切断繊維の処置に有用である可能性があることを示す。
軸索障害の処置用の軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる好ましい化合物は、チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤である。好ましいチューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤は、パルテノライドまたはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、薬学的に許容可能な塩、エステルおよび/もしくは誘導体もしくは構造アナログである。パルテノライドはセスキテルペンラクトンであり、これは通常、別名フィーバーフューとしても知られるキク科(Asteraceae)の植物であるナツシロギク(Tanacetum parthenium)から抽出される。パルテノライドは、4,5‐エポキシ‐6α‐ヒドロキシ‐ガンマ‐ラクトンの名称である。パルテノライドの化学式(1)が以下に示される:
パルテノライドはキラル中心を含み、したがってそのラセミ体、鏡像異性体または立体異性体が可能であり、使用することもできる。パルテノライドの好ましい立体異性体は、以下の化学式(1a)で示される:
パルテノライドは、IUPAC命名法にしたがい(1aR,4E,7aS,10aS,10bR)‐1a,5‐ジメチル‐8‐メチレン‐2,3,6,7,7a,8,10a,10b‐オクタヒドロオキシレノ[9,10]シクロデカ[1,2‐b]フラン‐9(1aH)‐オンとも表される。パルテノライドがin vitroでニューロンの軸索成長を顕著に促進でき、末梢神経再生(坐骨神経)を促進でき、in vivoで損傷後の機能回復を顕著に加速できることを示すことができた。さらにパルテノライドは、培養網膜神経節細胞等のCNSニューロンの神経突起成長を促進する。
諸実施形態では、パルテノライドの誘導体または構造アナログも、TCP阻害のために使用可能である。諸実施形態では、パルテノライド誘導体は、8‐、9‐または14‐ヒドロキシパルテノライドおよび/または例えばジメチルアミノパルテノライド(DMAPT:dimethylamino parthenolide)と通常呼称される13‐ジメチルアミノパルテノライド等の13‐アミノパルテノライドを含む群より選択される。ジメチルアミノパルテノライド(DMAPT)は、水溶性かつ経口で生物利用可能なパルテノライド誘導体であるのが有利である。
このようなパルテノライド誘導体は、化合物の可溶性を高めることができるが、これは適切な医薬製剤を製剤するために有利となる可能性があり、水性環境における化合物の生物学的利用能の改善を提供する。ヒドロキシ誘導体は、8‐、9‐または14‐ヒドロキシパルテノライド、特にヒドロキシ‐8a‐パルテノライドを含む群より選択されうる。13‐アミノパルテノライド誘導体は、11βH,13‐ジメチルアミノパルテノライド、11βH,13‐ジエチルアミノパルテノライド 11βH,13‐(tert‐ブチルアミノ)パルテノライド、11βH,13‐(ピロリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,3‐(ピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(モルホリン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(4‐メチルピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(ホモピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(ヘプタメチレンイミン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(アゼチジン‐1‐イル)パルテノライドおよび/または11βH,13‐ジアリルアミノパルテノライドを含む群より選択されうる。好ましいアミノパルテノライドは、13‐ジメチルアミノパルテノライドである。
パルテノライドの構造アナログも、TCP阻害剤として機能しうる。諸実施形態では、パルテノライドの構造アナログは、クニシン、下記の化学式(2)および(3)の化合物、ならびに/またはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、ならびに薬学的に許容可能な塩および/もしくはエステルを含む群より選択される:
クニシンは、IUPAC命名法にしたがい[(1R,2S,4E,8Z,10S)‐8‐(ヒドロキシメチル)4‐メチル‐13‐メチリデン‐12‐オキソ‐11‐オキサビシクロ[8.3.0]トリデカ‐4,8‐ジエン‐2‐イル](3S)‐3,4‐ジヒドロキシ‐2‐メチリデン‐ブタノエート、または、[(3aR,4S,6E,10Z,11aR)‐10‐(ヒドロキシメチル)‐6‐メチル‐3‐メチリデン‐2‐オキソ‐3a,4,5,8,9,11a‐ヘキサヒドロシクロデカ[b]フラン‐4‐イル](3R)‐3,4‐ジヒドロキシ‐2‐メチリデンブタノエートとも表される。クニシンの好ましい立体異性体は、以下の化学式(4)の通りである:
パルテノライドは、その溶媒和物、水和物、および薬学的に許容可能な塩およびエステルの形でさらに利用可能でありうる。「薬学的に許容可能な塩」という用語は、薬学的に許容可能な無毒性塩基または酸から調製される塩をいう。薬学的に許容可能な塩は、無機塩基および有機塩基を含む薬学的に許容可能な無毒性塩基、有機アニオン、有機カチオン、ハライドまたはアルカリから便利に調製されうる。薬学的に許容可能な塩という用語には、遊離酸または遊離塩基のアルカリ金属塩および付加塩が含まれる。融合タンパク質の薬学的に許容可能な適切な塩基付加塩には、金属塩および有機塩が含まれる。無機塩基から誘導される好ましい塩には、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩が含まれる。薬学的に許容可能な有機無毒性塩基から誘導される塩には、一級、二級、および三級アミンの塩が含まれる。パルテノライドおよびその誘導体またはアナログは、塩酸塩またはマレイン酸塩の形で使用されうる。
特に神経内投与では、化合物、特にパルテノライドの濃度は、≧0.01μM〜≦10μMの範囲内、特に≧0.01μM〜≦1μM、または≧0.05μM〜≦0.1μM、または≧0.05μM〜≦1μMの範囲内でありうる。
パルテノライド等の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物は、軸索障害の処置において単独で、または他の治療成分と組み合わせて使用することができる。諸実施形態では、上記のパルテノライド等の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物は、パクリタキセル、エポチロンBおよび/またはY27632等のROCK阻害剤より選択される化合物と組み合わせて使用することができる。パクリタキセルは、IUPAC命名法にしたがい(2α,4α,5β,7β,10β,13α)‐4,10‐ビス(アセチルオキシ)‐13‐{[(2R,3S)‐3‐(ベンゾイルアミノ)‐2‐ヒドロキシ‐3‐フェニルプロパノイル]オキシ}‐1,7‐ジヒドロキシ‐9‐オキソ‐5,20‐エポキシタクス‐11‐エン‐2‐イルベンゾエートと表され、タキソールの商品名で入手可能である。パクリタキセルまたはエポチロンBとの組み合わせは、中枢神経系の軸索障害の処置に特に有利でありうる。本明細書で使用されるところの「ROCK阻害剤」という用語は、Rho関連プロテインキナーゼ(ROCK)と表されるタンパク質を標的としてその活性を阻害する薬物を指す。適切なROCK阻害剤は、Y27632または(1R,4r)‐4‐((R)‐1‐アミノエチル)‐N‐(ピリジン‐4‐イル)シクロヘキサンカルボキサミドジヒドロクロリドと表される化合物である。
軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物は、医薬組成物として処方されうる。本発明のさらなる態様は、軸索障害の処置用の、チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤およびチューブリンチロシンリガーゼ活性化剤ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物を活性成分として含む医薬組成物に関する。
好ましい化合物は、TCP阻害剤である。医薬組成物の実施形態において、TCP阻害剤は、パルテノライドまたはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、薬学的に許容可能な塩、エステルおよび/もしくは誘導体もしくは構造アナログである。諸実施形態では、パルテノライド誘導体は、8‐、9‐または14‐ヒドロキシパルテノライドおよび/または13‐ジメチルアミノパルテノライド(DMAPT)等の13‐アミノパルテノライドを含む群より選択される。ヒドロキシ誘導体は、8‐、9‐または14‐ヒドロキシパルテノライド、特にヒドロキシ‐8a‐パルテノライドを含む群より選択されうる。13‐アミノパルテノライド誘導体は、11βH,13‐ジメチルアミノパルテノライド、11βH,13‐ジエチルアミノパルテノライド 11βH,13‐(tert‐ブチルアミノ)パルテノライド、11βH,13‐(ピロリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,3‐(ピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(モルホリン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(4‐メチルピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(ホモピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(ヘプタメチレンイミン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(アゼチジン‐1‐イル)パルテノライドおよび/または11βH,13‐ジアリルアミノパルテノライドを含む群より選択されうる。好ましいアミノパルテノライドは、13‐ジメチルアミノパルテノライドである。さらなる実施形態では、パルテノライドの構造アナログは、クニシン、化学式(2)および(3)の化合物、および/またはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、および薬学的に許容可能な塩および/もしくはエステルを含む群より選択される。
諸実施形態では、医薬組成物は、末梢神経系または中枢神経系の軸索障害、特に坐骨神経もしくは視神経または脊髄の中枢投射の損傷の処置用である。諸実施形態では、医薬組成物は、末梢神経障害、緑内障、卒中または多発性硬化症に関連する軸索障害の処置用である。末梢神経障害の例は、糖尿病性神経障害および細胞増殖抑制性神経障害である。さらなる実施形態では、医薬組成物は、損傷もしくは移植された角膜の除神経に関連する軸索障害、または病変を生じた視神経もしくは三叉神経、特にその眼枝の軸索切断繊維に関連する軸索障害の処置用である。
医薬組成物は、活性成分としての本発明による軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物、薬学的に許容可能な担体および任意に他の治療成分またはアジュバントを含みうる。したがって、本発明は軸索障害の処置用の医薬組成物にも関し、この組成物は、活性成分としての本発明による軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物、および薬学的に許容可能な担体を含む。
化合物は、薬学的に許容可能な担体に溶解または分散されうる。「薬学的または薬理学的に許容可能」という用語は、必要に応じて対象、例えばヒトに投与されたときに有害反応、アレルギー反応、または他の不都合な反応を生産しない分子実体および組成物をいう。薬剤担体は、例えば固体、液体または気体であってもよい。適切な担体およびアジュバントは、固体または液体とすることができ、医薬製剤のための製剤技術において通常利用される物質に対応する。例えば、水、グリコール、油、アルコールなどが、溶液等の液状製剤を形成するために使用されうる。固体担体の例には、ラクトース、白土、蔗糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、砂糖シロップ、落花生油、オリーブ油および水である。気体状担体の例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。
組成物は、経口または非経口投与に適しうる。非経口投与には、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、神経内投与、神経根周囲投与、腹腔内投与および局所投与が含まれる。諸実施形態において、組成物は、神経内投与もしくは神経根周囲投与等の局所投与用に、または腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与もしくは経口投与等の全身投与用に製剤される。末梢神経の処置では、組成物は、全身投与または例えば坐骨神経内などに神経内投与されうる。また、神経根周囲投与等の局所投与または局部投与が好ましいこともある。さらなる実施形態では、組成物は、眼内投与用に、または点眼剤として製剤される。点眼剤の形での投与は、特に損傷もしくは移植された角膜もしくは緑内障、または病変を生じた視神経もしくは三叉神経、特にその眼枝の軸索切断繊維の処置において有効でありうる。注射用に適した組成物には、滅菌水溶液または分散体が含まれる。
特に神経内投与では、化合物、特にパルテノライドの濃度は、≧0.01μM〜≦10μMの範囲内、特に≧0.01μM〜≦1μM、または≧0.05μM〜≦0.1μM、または≧0.05μM〜≦1μMの範囲内でありうる。既に0.01μM〜0.1μMの範囲の濃度がin vivoで坐骨神経損傷後の軸索再生を顕著に同様に増加させ、その一方で10μMを上回るより高い濃度は軸索再生をむしろ減少させることが分かった。
例えば中枢神経系の処置では、組成物が例えば神経注射、ミニポンプなどより局所投与されてもよいが、組成物が消化管経路を介して投与されるのが好ましい。特に、医薬組成物は全身投与、例えば経口投与、全身投与、または腹腔内投与されてもよい。さらなる実施形態では、組成物は、点眼剤として投与されてもよい。点眼剤の形での眼内投与は、特に損傷された角膜もしくは移植された角膜もしくは緑内障、または病変を生じた視神経もしくは三叉神経、特にその眼枝の軸索切断繊維の処置において有用でありうる。医薬組成物は、単位剤形で便利に提供され、調剤技術で公知の方法のいずれかにより調製されることができる。医薬組成物は、当業者に周知の標準の製薬技術を用いて無菌条件下で生産されうる。
製薬組成物は、パルテノライド等の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物を単独で、または他の治療成分と組み合わせて含みうる。好ましい治療成分は、中枢ミエリンまたはグリア性瘢痕の阻害因子に対する反阻害効果を提供する。諸実施形態では、医薬組成物は、上述のパルテノライド等の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物と、パクリタキセル、エポチロンBおよび/またはY27632等のROCK阻害剤より選択される化合物との組み合わせを活性成分として含む。パクリタキセルまたはエポチロンBをさらなる治療成分として含む医薬組成物は、中枢神経系の軸索障害の処置に特に有用でありうる。
本発明は、軸索障害の処置用の薬品を製造するための、チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤およびチューブリンチロシンリガーゼ活性化剤ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物の使用にも関する。諸実施形態では、TCP阻害剤は、パルテノライドまたはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、薬学的に許容可能な塩、エステルおよび/もしくは誘導体もしくは構造アナログである。諸実施形態では、パルテノライド誘導体は、8‐、9‐または14‐ヒドロキシパルテノライドおよび/または13‐ジメチルアミノパルテノライド(DMAPT)等の13‐アミノパルテノライドを含む群より選択される。ヒドロキシ誘導体は、8‐、9‐または14‐ヒドロキシパルテノライド、特にヒドロキシ‐8a‐パルテノライドを含む群より選択されうる。13‐アミノパルテノライド誘導体は、11βH,13‐ジメチルアミノパルテノライド、11βH,13‐ジエチルアミノパルテノライド 11βH,13‐(tert‐ブチルアミノ)パルテノライド、11βH,13‐(ピロリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,3‐(ピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(モルホリン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(4‐メチルピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(ホモピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(ヘプタメチレンイミン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(アゼチジン‐1‐イル)パルテノライドおよび/または11βH,13‐ジアリルアミノパルテノライドを含む群より選択されうる。好ましいアミノパルテノライドは、13‐ジメチルアミノパルテノライドである。さらなる実施形態では、パルテノライドの構造アナログは、クニシン、化学式(2)および(3)の化合物、および/またはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、および薬学的に許容可能な塩および/もしくはエステルを含む群より選択される。諸実施形態では、軸索障害は、末梢神経系または中枢神経系の損傷、特に坐骨神経もしくは視神経または脊髄の中枢投射の損傷である。諸実施形態において、軸索障害は、末梢神経障害、緑内障、卒中または多発性硬化症に関連する。末梢神経障害の例は、糖尿病性神経障害および細胞増殖抑制性神経障害である。さらなる実施形態では、軸索障害は、損傷もしくは移植された角膜の除神経に関連し、または病変を生じた視神経もしくは三叉神経、特にその眼枝の軸索切断繊維に関連する。
パルテノライド等の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物は、単独で使用することもできるし、または他の治療物質と組み合わせて使用することもできる。諸実施形態では、使用は、軸索障害の処置用の薬品の製造用の、上述のパルテノライド等の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物、ならびにパクリタキセル、エポチロンBおよび/またはY27632等のROCK阻害剤より選択される化合物の使用に関する。
本発明のさらなる態様は、軸索障害を処置する方法に関し、この方法は、チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤およびチューブリンチロシンリガーゼ活性化剤ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる治療上有効量の化合物を対象に投与することを含む。
対象には、ヒト対象および動物対象の両方、特に医学用のヒト対象またはマウスもしくはラット等の哺乳類対象が含まれる。「治療上有効量」という用語は、本明細書では、対象において臨床的に有意な状態の改善を引き起こすのに十分な量または用量を意味するために使用される。
諸実施形態では、方法は、TCP阻害剤を投与することをいう。諸実施形態では、TCP阻害剤は、パルテノライドまたはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、薬学的に許容可能な塩、エステルおよび/もしくは誘導体もしくは構造アナログである。諸実施形態では、パルテノライド誘導体は、8‐、9‐または14‐ヒドロキシパルテノライドおよび/または13‐ジメチルアミノパルテノライド(DMAPT)等の13‐アミノパルテノライドを含む群より選択される。ヒドロキシ誘導体は、8‐、9‐または14‐ヒドロキシパルテノライド、特にヒドロキシ‐8a‐パルテノライドを含む群より選択されうる。13‐アミノパルテノライド誘導体は、11βH,13‐ジメチルアミノパルテノライド、11βH,13‐ジエチルアミノパルテノライド 11βH,13‐(tert‐ブチルアミノ)パルテノライド、11βH,13‐(ピロリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,3‐(ピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(モルホリン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(4‐メチルピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(ホモピペリジン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(ヘプタメチレンイミン‐1‐イル)パルテノライド、11βH,13‐(アゼチジン‐1‐イル)パルテノライドおよび/または11βH,13‐ジアリルアミノパルテノライドを含む群より選択されうる。パルテノライドの構造アナログも、TCP阻害剤として機能することができる。好ましいアミノパルテノライドは、13‐ジメチルアミノパルテノライドである。さらなる実施形態では、パルテノライドの構造アナログは、クニシン、化学式(2)および(3)の化合物、および/またはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、および薬学的に許容可能な塩および/もしくはエステルを含む群より選択される。
諸実施形態では、方法は、上述のパルテノライド等の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物、ならびにパクリタキセル、エポチロンBおよび/またはY27632等のROCK阻害剤より選択される化合物を投与することに関する。
諸実施形態では、軸索障害は、末梢神経系または中枢神経系の損傷、特に坐骨神経もしくは視神経または脊髄の中枢投射の損傷である。諸実施形態において、軸索障害は、末梢神経障害、緑内障、卒中または多発性硬化症に関連する。末梢神経障害の例は、糖尿病性神経障害および細胞増殖抑制性神経障害である。さらなる実施形態では、軸索障害は、損傷もしくは移植された角膜の除神経に関連し、または病変を生じた視神経もしくは三叉神経、特にその眼枝の軸索切断繊維に関連する。
処置は、経口投与または非経口投与を含みうる。非経口投与には、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、神経内投与、神経根周囲投与、腹腔内投与および腹腔内投与が含まれる。諸実施形態では、組成物は、神経内経路、神経根周囲経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路または経口経路を介して投与される。末梢神経の処置では、組成物は、例えば坐骨神経内などに神経内投与されうる。また、神経根周囲投与等の局所パルテノライド投与が好ましいこともある。特に神経内投与では、化合物、特にパルテノライドの濃度は、≧0.01μM〜≦10μMの範囲内、特に≧0.01μM〜≦1μM、または≧0.05μM〜≦0.1μM、または≧0.05μM〜≦1μMの範囲内でありうる。中枢神経系の処置では、例えば組成物を消化管経路を介して投与するのが好ましいこともある。損傷した角膜組織もしくは移植された角膜または緑内障の処置では、組成物を点眼剤として投与するのが好ましいこともある。
処置は、連続した長期にわたる処置でもよいし、または単回もしくは数回の投与を含んでもよい。既に一回の注入が、in vivoで坐骨神経の機能再生を溶媒処置対照と比較して有意に加速するのに十分であることが分かった。
別段の定めがない限り、本明細書において用いられる技術的用語および科学的用語は、本発明が帰属する技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。
以下の実施例は、本発明をさらに詳細に例示するのに役立つが、その制限となるものではない。
図1Aは、図の様々なパルテノライド濃度で処置したwtマウスから解離し、2日培養後にβIII‐チューブリンを染色したDRGニューロンの図である。スケールバー:100μm。図1Bは、ニューロン培養物の軸索成長の定量を示した図である。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。ANOVAおよび事後Holm Sidac検定により統計的有意性を決定した。溶媒処置対照群と比較した処置効果:***p≦0.001。図1Cは、wtまたはGSK3S/Aダブルノックインマウス(α/β)から解離し、溶媒(−)、5μMのGSK3阻害剤SB216763(sb)、1nMのパルテノライド(par)、5μMのsbと1nMのparとの組み合わせ、10nMのノコダゾール(noco)、またはpar+nocoの組み合わせで処置した、2日培養後の後根神経節(DRG:dorsal root ganglion)ニューロンの軸索成長の定量を示した図である。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。ANOVAおよび事後Holm Sidac検定により統計的有意性を決定した。溶媒処置wt群と比較した処置効果:***p≦0.001;**p≦0.01。溶媒処置α/β群と比較した処置効果###p≦0.001;##p≦0.01。図1Dは、軸索切断から1日後の、2コンパートメントチャンバのマイクロチャネル内に成長する成体DRGニューロンのβIII‐チューブリン陽性軸索を示した培養物の図である。図のように、溶媒(veh)または5nMのパルテノライドを、細胞体コンパートメント(par、soma)または軸索コンパートメント(par、axon)内に投与した。スケールバー:250μM。図1Eは、軸索切断から1日後の、2コンパートメントチャンバのマイクロチャネル内培養物の軸索成長の定量を示す。5つの実験のデータを平均した。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。ANOVAおよび事後Holm Sidac検定により統計的有意性を決定した。処置効果:**p≦0.01。 溶媒(−)、5μMのSB216763(sb)または10nMのパルテノライド(par)への曝露から3日後の、野生型(wt)およびGSK3S/Aダブルノックインマウス(α/β)からの培養物の非脱チロシン化チューブリン陽性軸索先端の定量を示した図である。三つの独立した実験のデータを、溶媒処置wt群に正規化した。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。ANOVAおよび事後Holm Sidac検定により統計的有意性を決定した。処置効果:***p≦0.001。 溶媒(veh)または図の様々なパルテノライド濃度で処置後のSCG10染色軸索に基づく、坐骨神経挫滅から3日後の坐骨神経への軸索再生の定量を示した図である。処置群あたりの動物数が図示されている。 図4Aおよび4Bは、溶媒(veh)または50nMのパルテノライド(par)を神経内注入したSNCから3日後の坐骨神経の縦断切片を示した図である。再生軸索をSCG10(図4A)またはpMAP1B(図4B)につき免疫組織化学的に染色した。スケールバー:500μm。アスタリスクは、挫滅部位を示す。図4Cは、A/Bで説明したように溶媒(veh)またはパルテノライドで処置した動物の、坐骨神経の損傷部位から>1.5、>2、>2.5および>3ミリメートル先での軸索の定量を示した図である。エラーバーは、平均値の標準誤差を表す。ANOVAおよび事後Holm Sidac検定により統計的有意性を決定した。処置効果:***p≦0.001。図4Dは、坐骨神経挫滅から4日後の、パルテノライド(par)または溶媒(veh)処置したマウスの長母指伸筋全組織標本のα‐ブンガロトキシン(BTX:α‐bungarotoxin)およびニューロフィラメント(NF:neurofilament)染色を示した図である。白の矢印は、パルテノライド処置したマウスの再建されたシナプスを示す。スケールバー:50μM。図4Eは、坐骨神経挫滅(dpc)から1、4、7、9、12、14および21日後の、パルテノライド(par、n=11)または溶媒(veh、n=11)で処置した成体野生型マウスにおけるstatic sciatic index(SSI)により決定される運動機能回復の定量を示した図である。**p≦0.01;***p≦0.001。図4Fは、坐骨神経挫滅から1、4、7、12、14および21日後の、パルテノライド(par、n=11)または溶媒(veh、n=11)で処置した成体野生型マウスにおけるvon Freyテストにより決定される感覚機能回復の定量を示した図である。処置効果:**p≦0.01;p≦0.05。 様々なクニシンおよびパルテノライド(par)の濃度で処置後の、wtのDRG培養物における軸索成長の定量を示した図である。処置したニューロンのデータを、パルテノライドで933μm/ニューロンおよびクニシンで546μm/ニューロンの平均軸索長の溶媒対照に正規化した。データは、三つの独立した実験の平均値±SEMを表す。溶媒対照と比較した処置効果:**p≦0.01、***p≦0.001、##p≦0.01、###p≦0.001。 図6A)は、坐骨神経挫滅(SNC)と溶媒(上)もしくはパルテノライド(6.25pg par;中)の単回神経内(i.n.)注入、またはパルテノライドの腹腔内(i.p.)注入(200ng/kg;下)のいずれかとを行ってから3日後の坐骨神経の代表的な縦断切片を示した図である。再生軸索をSCG10につき免疫組織化学的に染色した。スケールバー:500μm。アスタリスクは、挫滅部位を示す。図6B〜D)は、Aに示した各領域の拡大図である。図6E、F)は、溶媒(veh)または図の様々な用量のパルテノライド(par)を神経内(E)または腹腔内(F)注入したマウスの、坐骨神経の損傷部位から1.5、2、2.5および3ミリメートル先での軸索の定量を示した図である。データは、実験群あたり少なくとも六匹の個体マウスからの五つの断片の平均値±SEMを表す。溶媒注入動物と比較した処置効果:p≦0.05、**p≦0.01、***p≦0.001。 1nMのパルテノライド(par)、リチウム(li)またはその両方で処置後の成体網膜神経節細胞の神経突起成長の定量を示した図である。溶媒対照(’)と比較した処置効果:**p≦0.01。
材料および方法:
パルテノライドは、Sigma‐Aldrich(セントルイス、ミズーリ州)から購入し、ジメチルスルホキシド(DMSO:dimethyl sulfoxide)に溶解して適切な濃度を得た。ノコダゾールは、Sigma‐Aldrichから購入し、DMSOに溶解して適切な濃度を得た。SB216763は、Sigma‐Aldrichから購入し、DMSOに溶解して適切な濃度を得た。
外科的手順:
C57BL/6,129/Olaの遺伝背景の雌雄の成体(8〜12週)野生型およびGSK3αS21A/GSK3βS9Aマウス(アレッシ博士教授(Prof.Dr.Alessi)、ダンディー大学)を、食餌と水を自由摂取として12時間の明/暗サイクルに維持し、パルテノライドの効果を調べる実験を除く全ての研究に使用した。パルテノライド実験は、C57BL/6J背景のマウスで行った。動物は、実験で使用する前に同一条件下で少なくとも10日間収容した。ゴブレヒト(Gobrecht)ら、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications.)2014;5:4561に記載のように、坐骨神経挫滅(SNC:Sciatic nerve crush)を行った。簡潔に説明すると、ケタミン(60〜80mg/kg、ファイザー(Pfizer)、ニューヨーク、米国ニューヨーク州)およびキシラジン(10〜15mg/kg、バイエル(Bayer)、レバークーゼン、ドイツ)の腹腔内注射により動物を麻酔した。臀部に約10mmの皮膚切開を行い、坐骨切痕から三枝分岐まで右坐骨神経を露出させた。組織損傷を最小にしながら、下肢後面筋肉組織を慎重に広げた。Dumon#5鉗子(ヘルムレ(Hermle)、トゥットリンゲン、ドイツ)を使用して脛腓分岐部の近位で30秒間挫滅損傷を行い、カーボン(Sigma)でマークした。6‐0縫合糸を使用して皮膚を閉じた。
神経挫滅の直後に、マイクロキャピラリおよびNanoject II(商標)インジェクタ(ドラモンドサイエンティフィック(Drummond Scientific)、ブルームオール、米国ペンシルベニア州)を使用して坐骨神経損傷部位への注入を行った。各69nlの注入を23nl/秒の速度および30秒の間隔で五回連続して行った。
DRGニューロン培養物および免疫細胞化学的染色手順:
ゴブレヒト(Gobrecht)ら、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications.)2014;5:4561に記載のように、成体野生型(wt;wild type)およびGSK3α/GSK3Pマウスから後根神経節(DRG)ニューロンを分離した。DRG(T8‐L6)を収集し、DMEM(ライフテクノロジーズ(Life Technologies)、カールズバッド、米国カリフォルニア州)中0.25%のトリプシン/EDTA(GEヘルスケア(GE Healthcare)、チャルフォントセントジャイルズ、英国)および0.3%のコラゲナーゼIA型(シグマ(Sigma)、セントルイス、米国ミズーリ州)において、37℃および5%COで45分間インキュベートし、機械的に解離した。10%のウシ胎児血清(GEヘルスケア(GE Healthcare))、ペニシリン/ストレプトマイシン(500U/ml;メルクミリポア(Merck Millipore)、ビルリカ、米国マサチューセッツ州)および5‐フルオロ‐2’‐デソキシウリジン(100nM;シグマ(Sigma))を含むDMEMに細胞を再懸濁した。ポリ‐D‐リシン(PDL、0.1mg/ml;分子量<300,000kDa;シグマ(Sigma))およびラミニン(20μg/ml;シグマ(Sigma))で被覆した96ウェルプレート(Nunc、ドイツ)で、37℃および5%COで細胞を培養した。
スレオニン1265でのMAP1Bリン酸化またはニューロン軸索先端の脱チロシン化チューブリンのレベルの評価のため、細胞培養物を溶媒、5μMのSB216763または1nMのパルテノライドで処置し、3日間培養した。その後、βIII‐チューブリン(1:2,000;コーヴァンス(Covance))およびpMAP1B(1:1000;サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific))または脱チロシン化チューブリン(1:2000;ミリポア(Millipore))に対する抗体で培養物を染色した。軸索先端は、βIII‐チューブリン陽性ニューロン伸長部の最後の15μmであると考えた。データは、少なくとも二つの別個の実験からの三つの反復ウェルの平均値±SEMとして提示する。群間差の有意性を、一元配置または二元配置分散分析(ANOVA:analysis of variance)の後、Holm‐Sidak事後検定を用いて評価した。
2コンパートメントチャンバ培養物:
2コンパートメントチャンバ(AXIS(商標)軸索分離デバイス、Millipore)をPDLおよびラミニンで被覆した培養皿に載置した。成体マウスのDRGニューロンを、ニューロンが全てのマイクロチャネルに軸索を伸ばすまで、細胞体コンパートメントで3日間培養した。
その後、軸索コンパートメントから培地を速やかに除去することにより、ニューロンの軸索を切断した。
その後、パルテノライド(5nM)または溶媒を細胞体側または軸索側に投与した。マイクロチャネル内への薬品の拡散を防ぐ流体の流れを生産するために、細胞体チャンバと軸索チャンバとの間に静水圧差を確立した。
さらに24時間培養後、ニューロンを4%PFAで固定した。免疫細胞化学的βIII‐チューブリン染色後に、平均軸索長を定量した。
α‐ブンガロトキシン(BTX)長母指伸筋染色:
神経筋接合部の再建を分析するために、マウスをSNCから4日後に屠殺した。ゴブレヒト(Gobrecht)ら、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications.)2014;5:4561に記載のように、長母指伸筋を切開し、1時間PFAで後固定した。その後、筋肉を、一晩PBS中2%TritonXで透過処理した。軸索を、ニューロフィラメントに対する抗体(1:2,000;Abcam)で標識した。PBS‐T中Alexa594結合α‐ブンガロトキシン(BTX)(1:1,000;インビトロジェン(Invitrogen))で1時間培養することにより、シナプスを視覚化した。
坐骨神経組織の再生軸索の定量:
坐骨神経を分離し、6時間、後固定し、一晩4℃で30%の蔗糖に移し、Tissue‐Tek(サクラ(Sakura)、ライデン、オランダ)に包埋した。クリオスタット(ライカ(Leica)、ヴェッツラー、ドイツ)で縦断切片および横断切片を切断し、被覆ガラススライド(Superfrost plus、フィッシャー(Fisher)、ピッツバーグ、米国ペンシルベニア州)上に解凍載置し、将来の使用のために−20℃で保存した。
坐骨神経の凍結切片(14μm)を、再生関連タンパク質SCG10(1:1,500;ノーバスバイオロジカルズ(Novus Biologicals))、ケンブリッジ、英国)に対する、またはpMAP1B(1:500;サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific))に対する抗体で免疫組織化学的に染色した。ゴブレヒト(Gobrecht)ら、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications.)2014;5:4561に記載のように、カーボン標識した損傷部位を越えた様々な地点でSCG10陽性軸索を定量した。一元配置ANOVAの後、Holm‐Sidak事後検定を用いて群間差の統計的有意性を評価した。各実験群は、五匹のマウスからの少なくとも五つの切片を含んだ。
Static sciatic index:
バプティスタ(Baptista AF)ら,ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス・メソッド(J Neurosci Methods.)2007;161(2):259‐64に記載されるように、溶媒を神経内注入した11匹のC57BL/6Jマウスおよびパルテノライドで処置した11匹の動物で、static sciatic index(SSI)を計算することにより運動機能回復を定量した。
マウスを地面から持ち上げて左および右後脚をそれぞれ写真撮影した。坐骨神経挫滅の対側(C、左)および同側(I、右)側の足趾の開きを、SNCから0、1、4、7、9、11、14、17および21日後の野生型およびトランスジェニックGSK3ノックインマウスにおいて、足長(PL:paw length)および第一趾と第五趾との間の距離(FF:the first and the fifth toe)を測定することにより評価した。バプティスタ(Baptista AF)ら、ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス・メソッド(J Neurosci Methods.)2007;161(2):259‐64に記載のように、既に説明された式に基づいてstatic sciatic index SSIを計算した:SSI=101.3((IFF−CFF)/CFF)−54.03((IPL−CPL)/CPL)−9.5。
データは、実験群あたり8〜10匹の動物の平均値および±SEMとして表される。
二元配置ANOVAの後、Holm‐Sidak事後検定を用いて群間差の統計的有意性を評価した。
Von Freyテスト:
ゴブレヒト(Gobrecht)ら、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications.)2014;5:4561に記載のように、von Freyフィラメントテストにより実験群あたり11匹の動物でSNCから0、1、4、7、14および21日後にSNC後の感覚機能回復を決定した。テストは、一日の同じ時間に、同じ実験者により行った。
この目的で、マウスを高架式金属格子(格子サイズ:2mm)上に置き、テストの前に15分間順応させた。その後、最小フィラメントから開始して足の素早い逃避により示される陽性反応が開始するまでフィラメントサイズを増加させることで、一連の無害なvon Freyフィラメント(室町機械株式会社、東京、日本)に対する同側後足の反応を検討した。二元配置ANOVAの後、Holm‐Sidak事後検定を用いて群間差の統計的有意性を評価した。
in vitroのパルテノライドによる軸索先端のチューブリンカルボキシペプチダーゼの阻害による軸索再生
1.1 培養下の軸索成長の決定
上述の成体野生型マウスから解離したDRGニューロンで、成熟ニューロンの軸索成長に対するチューブリンカルボキシペプチダーゼ(TCP)阻害剤パルテノライドの効果を決定した。細胞を溶媒、0.1nM、1nM、2.5nM、5nM、10nMまたは100nMのパルテノライドで処置し、2日間培養した。
図1Aは、溶媒、1nM、10nMおよび100nMのパルテノライドで処置し、2日培養後にβIII‐チューブリンを染色した細胞を示した図である。図1Bは、ニューロン培養物の軸索成長の定量を示した図である。三つの独立した実験のデータを、933μm/ニューロンの平均軸索長の溶媒処置対照群に正規化した。図1Aおよび1Bから分かるように、パルテノライドは軸索成長を有意かつ濃度依存的に増加させた。最も強い効果は1nM〜5nMで測定されたが、100nM以上の濃度は培養下の軸索成長を減少させた。これは、パルテノライドの効果が濃度依存的であったことを示す。
1.2 微小管動態の調節の決定
パルテノライドに影響された軸索成長が微小管動態の調節により媒介されたことを検証するために、微小管を不安定化し、軸索成長を減少させることが知られているグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3:Glycogen synthase kinase 3)阻害剤SB216763(sb)およびノコダゾール(noco)に対してパルテノライドの効果を評価した。
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)は、二つのイソ型(GSK3αおよびGSK3β)を含むプロテインキナーゼである。いずれのイソ型も坐骨神経挫滅(SNC)時にホスファチジルイノシタイド3キナーゼ(PI3K:phosphatidylinositide 3‐kinase)/AKTシグナリングを介してリン酸化され、不活性化される。GSK3αのセリン21およびGSK3βのセリン9がアラニンで置換されたGSK3α/GSK3βダブルノックインマウス(GSK3S/A)では、AKTによる阻害性GSK3リン酸化が妨げられ、これによりGSK3が構成的に活性化される。維持されたGSK3活性は、坐骨神経挫滅後の軸索再生を顕著に加速する。これらの効果は、MAP1Bのリン酸化の増加に関連する。
成体野生型マウスおよびGSK3α/GSK3βダブルノックインマウス(α/β)から解離したDRGニューロンを、それぞれ溶媒(veh)、1nMのパルテノライド、5μMのGSK3阻害剤SB216763(sb)、1nMのパルテノライド(par)、5μMのsbと1nMのparとの組み合わせ、10nΜのノコダゾール(noco)、またはpar+nocoの組み合わせで処置し、2日間培養した。図1Cは、2日培養後のそれぞれの軸索成長の定量を示した図である。図1Cから分かるように、SB216763はパルテノライドの有益な効果に影響しなかったが、GSK3αS/A/GSK3βS/Aで促進される軸索成長を効率的にブロックした。これに対し、ノコダゾールはGSK3αS/A/GSK3βS/Aおよびパルテノライドの有益な効果を同程度に抑制し、パルテノライドおよびGSK3αS/A/GSK3βS/Aが微小管破壊剤に対する感受性を高めることが示唆された。
この発見は、軸索再生に対するパルテノライドのプラスの効果が微小管動態の調節により媒介された可能性が高いことを示す。
1.3 パルテノライドの既存軸索との相互作用の決定
パルテノライドが培養下で軸索形成を開始させたのではなく既存の軸索と直接相互作用したこと、および既に成長刺激されたDRGニューロンの軸索再生を促進するのに十分であること検証するために、上述のように細胞体コンパートメントと軸索コンパートメントとの流体分離を可能にする2コンパートメント培養プラットフォームを利用した。この目的のため、成体DRGニューロンを2コンパートメントチャンバで3日間培養して再生状態にしてから軸索を切断した。軸索切断から1日後に、溶媒(veh)または5nMのパルテノライドを細胞体コンパートメント(par、soma)または軸索コンパートメント(par、axon)内のいずれかに投与し、他方のコンパートメントには溶媒をそれぞれ投与した。対照細胞の各コンパートメントには溶媒を投与した。
図1Dは、2コンパートメントチャンバのマイクロチャネル内に成長する成体DRGニューロンのβIII‐チューブリン陽性軸索を示した図である。図1Eは、軸索切断から1日後の軸索成長の定量を示した図である。5つの実験のデータを平均した。図1Eから分かるように、細胞体チャンバのパルテノライドは溶媒処置のレベルよりも軸索成長を増加させることはなかったが、軸索チャンバのパルテノライドは軸索再生を有意に増加させた。これは、既存の軸索の長さがパルテノライドにより増加したことを示す。
これらの観察は、パルテノライドによる中程度の薬理学的TCP阻害により微小管のダイナミシティが増加し、培養されたニューロンの軸索成長の促進がもたらされることを示す。
パルテノライドがin vitroで微小管の脱チロシン化をもたらしたことの決定
パルテノライドによりもたらされる成熟ニューロンの軸索成長が微小管の脱チロシン化の阻害を介して促進されたことを検証するために、野生型(wt)またはGSK3S/Aダブルノックインマウス(α/β)からの培養されたDRGニューロンの軸索先端を、溶媒(−)または5μMのGSK3阻害剤SB216763(sb)もしくは10nMのパルテノライド(par)に曝露した。曝露から3日後に、軸索を脱チロシン化チューブリンおよびβIII‐チューブリンにつき染色した。パルテノライド処置により、軸索先端の脱チロシン化チューブリンのレベルが減少したことが分かった。図2は、溶媒(−)、5μMのSB216763(sb)または10nMのパルテノライド(par)への曝露から3日後の、wtおよびGSK3S/Aダブルノックインマウス(α/β)からの培養物の非脱チロシン化チューブリン陽性軸索先端の定量を示した図である。三つの独立した実験のデータを、溶媒処置wt群に正規化した。図2から分かるように、パルテノライドは、成体野生型ニューロンの非脱チロシン化軸索先端の割合を有意かつGSK3αS/A/GSK3βS/Aニューロンで測定されたのと同程度に増加させた。
これは、パルテノライドによりもたらされる成熟ニューロンの軸索成長が微小管の脱チロシン化の阻害を介して促進されることを示す。
in vivoにおける坐骨神経再生に対するパルテノライドの効果の濃度依存性の決定
0.01μM、0.05μM、0.1μM、1μM、10μMおよび100μMの増加していく濃度のパルテノライドを、坐骨神経損傷の直後に野生型マウスの坐骨神経の挫滅部位内に投与し、坐骨神経切片の軸索再生を評価して濃度効果を決定した。坐骨神経挫滅および処置から3日後に、坐骨神経を分離し、再生関連タンパク質SCG10に対する抗体で染色した。SCG10陽性軸索を、カーボンで標識した損傷部位から2mmおよび3mm先で定量した。溶媒および0.05μMのパルテノライド群では、群あたり五匹の動物を使用し、他の濃度ではそれぞれ二匹の動物を使用した。動物あたり五つの坐骨神経切片を分析した。
図3は、溶媒(veh)または様々なパルテノライド濃度で処置後の、坐骨神経挫滅から3日後の坐骨神経への軸索再生の定量を示した図である。図3から分かるように、0.01μM〜0.1μMの範囲の濃度が、SNCから3日後の損傷坐骨神経の軸索再生を顕著かつ同程度に増加させ、10μMを上回るより高い濃度は軸索再生をむしろ減少させた。
in vivoの神経内パルテノライド投与
4.1 in vivoの坐骨神経再生の決定
パルテノライドの神経内投与がin vivoで坐骨神経再生を促進するか否かを調べるために、50nMのパルテノライドまたは溶媒を、野生型マウスの挫滅坐骨神経内に手術と同時に投与し、SNCから3日後に再生に対する効果を決定した。
図4Aおよび4Bは、溶媒(veh)または50nMのパルテノライド(par)を神経内注入したSNCから3日後の坐骨神経の縦断切片を示した図である。再生軸索を、図4Aに示すSCG10または図4Bに示すpMAP1Bにつき免疫組織化学的に染色した。図4Aおよび4Bから分かるように、パルテノライド処置により、軸索のpMAP1Bのレベルが増加せずに軸索が損傷部位を越えてより長い距離を再生することが可能になった。図4Cは、前述のように溶媒(veh)またはパルテノライド(par)で処置した動物の、坐骨神経の損傷部位から>1.5mm、>2mm、>2.5mmおよび>3mm先での軸索の定量を示した図である。図4Cで分かるように、パルテノライド投与により、病変部位を2.5mm越えた距離での軸索数が、溶媒処置対照と比較して6倍を超えて顕著に増加した。損傷部位を3mm過ぎた距離の軸索は、パルテノライドによる処置の後にのみ手術から3日後に観察された。
この発見は、一回の注入が機能再生を溶媒処置対照と比較して有意に加速するのに十分であったことを示す。TCP阻害剤の反復神経内注入または薬品の全身投与は、軸索再生をさらに加速することができると考えられる。さらに、パルテノライドの軸索再生促進効果は、GSK3αS/A/GSK3βS/Aノックイン動物と比較して強く、MAP1Bのリン酸化の増加を伴わなかった。
4.2 パルテノライド処置後の神経筋接合部の再建の決定
再生軸索がパルテノライド処置から4日後に既に標的に良好に再分布し始めていることを検証するために、長母指伸筋のBTXおよびニューロフィラメント染色を行った。マウスをSNCおよび50nMのパルテノライド(par)での処置から4日後に屠殺し、長母指伸筋を切開し、染色した。図4Dは、坐骨神経挫滅から4日後の、パルテノライド(par)または溶媒(veh)処置したマウスの長母指伸筋全組織標本のα‐ブンガロトキシン(BTX)およびニューロフィラメント(NF)染色を示した図である。図4Dに示されるように、パルテノライドで処置した動物には神経筋接合部が見られたが、溶媒処置対照には見られなかった。
4.3 機能回復の決定
パルテノライド投与がin vivoの機能回復も加速したか否かを試験するために、坐骨神経挫滅後に50nMのパルテノライドで処置後の成体野生型マウスの再生結果を、上述のようにstatic sciatic index(SSI)およびvon Freyテストを使用して機能的に評価した。
図4Eは、坐骨神経挫滅(dpc)から1、4、7、9、12、14および21日後の、パルテノライド(par、n=11)または溶媒(veh、n=11)で処置した成体野生型マウスにおけるstatic sciatic index(SSI)により決定される運動機能回復の定量を示した図である。図4Eで分かるように、パルテノライドで処置した動物は、損傷から4日後に既に溶媒処置対照動物と比較して有意に改善したSSIスコアを示し、これは3週間の全観察期間にわたり維持された。
図4Fは、坐骨神経挫滅から1、4、7、12、14および21日後の、パルテノライド(par、n=11)または溶媒(veh、n=11)で処置した成体野生型マウスにおけるvon Freyテストにより決定される感覚機能回復の定量を示した図である。図4Fで分かるように、パルテノライド処置は感覚回復も加速した。von Freyテストにおいて損傷から7日目に最初の改善が検出でき、12および14日目にも依然として有意であり、軸索が感覚回復のためにそれぞれの標的に到達するのに必要な距離がより長いことを反映する。
これらのデータは、パルテノライドの神経内投与がin vivoで坐骨神経再生を顕著に促進し、運動機能および感覚機能の回復を加速することを示す。
パルテノライドおよびクニシンの投与後のin vitroの軸索成長の決定
ゴブレヒト(Gobrecht)ら、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications.)2014;5:4561に記載のように、成体野生型(wt)およびGSK3α/GSK3βマウスから後根神経節(DRG)ニューロンを分離した。DRG(T8‐L6)を収集し、DMEM(ライフテクノロジーズ(Life Technologies)、カールズバッド、米国カリフォルニア州)中0.25%のトリプシン/EDTA(GEヘルスケア(GE Healthcare)、チャルフォントセントジャイルズ、英国)および0.3%のコラゲナーゼIA型(シグマ(Sigma)、セントルイス、米国ミズーリ州)において、37℃および5%COで45分間インキュベートし、機械的に解離した。10%のウシ胎児血清(GEヘルスケア(Healthcare))、ペニシリン/ストレプトマイシン(500U/ml;メルクミリポア(Merck Millipore)、ビルリカ、米国マサチューセッツ州)および5‐フルオロ‐2’‐デソキシウリジン(100nM;Sigma)を含むDMEMに細胞を再懸濁した。ポリ‐D‐リシン(PDL、0.1mg/ml;分子量<300,000kDa;シグマ(Sigma))およびラミニン(20μg/ml;シグマ(Sigma))で被覆した96ウェルプレート(Nunc、ドイツ)で、37℃および5%COで細胞を培養した。細胞を、溶媒または0.1nM、0.5nM、1nM、5nM、10nMまたは100nMのパルテノライド(シグマアルドリッチ(Sigma‐Aldrich))またはクニシン(エキストラシンシース(Extrasynthese))で処置し、2日間培養した。
48時間のインキュベーション後に、4%PFA(シグマ(Sigma))での固定ならびにNeuN(1:2,000;Abeam、ab177487、ケンブリッジ、英国)およびβIII‐チューブリン(1:2,000;コーヴァンス(Covance)、プリンストン、米国ニュージャージー州)に対する抗体による免疫細胞化学的染色により軸索成長を決定した。ウェルあたりの総軸索長およびニューロン数の画像化および定量を、Pathway855顕微鏡システム(BD、フランクリンレイクス、米国ニュージャージー州)およびAttovisionソフトウェアにより自動で行い、実験者に起因する定量バイアスを回避した。ニューロンあたりの平均軸索長および実験群あたりのニューロンカウントを、対照群に正規化した。
図5は、ニューロン培養物の軸索成長の定量を示した図である。データは、実験あたり少なくとも六つの反復ウェルおよび三つの独立した実験の平均値±SEMを表す。群間差の有意性を、一元配置または二元配置分散分析(ANOVA)の後、Holm‐Sidak事後検定を用いて評価した。図5から分かるように、パルテノライドは、軸索成長を有意かつ濃度依存的に増加させた。最も強い効果は1nMおよび5nMで測定されたが、100nM以上の濃度は培養下の軸索成長を減少させた。これは、パルテノライドの効果が濃度依存的であったことを示す。全ての試験濃度で細胞数に影響がなかったため、一般毒性は観察されなかった。パルテノライドと比較して、誘導体クニシンは、同様に有意であるがより目立たない軸索成長促進が見られ、0.5nMで効果が最も強かった。
パルテノライドの神経内および全身投与後のin vivoの坐骨神経再生の決定
6.1:神経内パルテノライド投与
実施例4.1に記載のように、1.25pg、6.25pg、12.5pg、125pg、1,250pgおよび12,500pgの用量のパルテノライドを、野生型マウスの坐骨神経挫滅部位に手術と同時に投与し、3日後に再生に対する効果を決定した。
図6A、BおよびCは、坐骨神経挫滅(SNC)と溶媒(上)またはパルテノライド(6.25pg par;中)の単回神経内(i.n.)注入のいずれかとを行ってから3日後の坐骨神経の代表的な縦断切片を示した図である。図6BおよびCは、Aに示した各領域の拡大図である。図6A、BおよびCから分かるように、溶媒注入動物(B)の病変から約2.5mm先で検出された軸索輪郭はほんの少数であったが、神経内(C)パルテノライド注入後には有意に多い再生軸索が存在した。図6Eは、溶媒(veh)またはパルテノライドを神経内注入したマウスの、坐骨神経の損傷部位から1.5mm、2mm、2.5mmおよび3ミリメートル先での縦断切片の軸索の定量を示した図である。図6Eから分かるように、神経内投与した1.25〜12.5pgの範囲の用量は、SNCから3日後の軸索再生を顕著に増加させた。最も強い成長促進は、6.25pgおよび12.5pgの用量で決定され、これらの用量は病変部位から2.5mmの距離での軸索数を溶媒処置対照と比較して3倍以上増加させた。
6.2:パルテノライドの全身投与
全身パルテノライド投与が坐骨神経再生を促進できるか否かをテストするために、20ng/kg、200ng/kg、2μg/kgおよび20のμg/kgのパルテノライド用量を、坐骨神経損傷後に腹腔内注入した。
図6AおよびDは、坐骨神経挫滅(SNC)および腹腔内(i.p.)パルテノライド注入(200ng/kg;下)から3日後の坐骨神経の縦断切片を示した図である。図6Dは、Aに示した腹腔内(i.p.)パルテノライド注入後の各領域の拡大図である。図6AおよびDから分かるように、腹腔内(D)パルテノライド注入後にも有意に多い再生軸索が存在した。図6Fは、溶媒(veh)またはパルテノライドを腹腔内注入した坐骨神経の損傷部位から1.5mm、2mm、2.5mmおよび3mm先の縦断切片の軸索の定量を示した図である。図6Fから分かるように、200ng/kgの単回注射は、2.5mmでの再生軸索の数を約2.5倍有意に増加させたが、これは神経内パルテノライド投与と比較してやや明白さが劣るものである。より高いテスト用量は、坐骨神経再生に有意に影響しなかった。
これらのデータは、パルテノライドの全身投与もin vivoで坐骨神経再生を顕著に促進し、運動機能および感覚機能の回復を加速することを示す。
中枢神経系の細胞に対するパルテノライドの効果の決定
パルテノライドが中枢神経系の細胞に対して有効か否かをテストするために、成体網膜神経節細胞の神経突起の伸展を決定した。この目的で、成体マウス網膜を解離し、溶媒(−)、リチウム(li)またはパルテノライド(Par、1nM)の存在下で4日間培養した。細胞を固定してβIII‐チューブリンにつき染色し、網膜神経節細胞ごとの神経突起の長さを決定した。1nMのパルテノライド(par)、リチウム(li)、または両方で処置後の網膜神経節細胞の神経突起成長の定量を図7に示す。図7から分かるように、パルテノライドは、未処置対照と比較して神経突起成長を顕著かつ有意に促進した。リチウムは有意な効果が見られなかったが、パルテノライドの有益な効果をさらに強めた。
これらのデータは、パルテノライドが、坐骨神経等の末梢神経だけでなく中枢ニューロンの神経再生を促進することもできることを示す。この発見は、パルテノライドが、視神経または脊髄の損傷の後等にCNS再生を促進するためにも有用である可能性を示唆する。
これらのデータがまとまって、神経再生を促進するため、および神経損傷の処置のための新規な治療アプローチを提供する。パルテノライドを用いたin vivoの薬理学的TCP阻害による損傷神経の成長円錐の微小管の脱チロシン化の阻害が、軸索再生を加速し、機能回復を改善するための新規かつ臨床的に実効可能なアプローチを提供することが示された。

Claims (15)

  1. 軸索障害の処置用の、チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤およびチューブリンチロシンリガーゼ活性化剤ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物。
  2. 前記チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤は、パルテノライドまたはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、薬学的に許容可能な塩、エステルおよび/もしくは誘導体もしくは構造アナログである、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記軸索障害は、末梢神経系または中枢神経系の損傷、特に坐骨神経もしくは視神経または脊髄の中枢投射の損傷である、請求項1に記載の化合物。
  4. 前記軸索障害は、末梢神経障害、緑内障、卒中または多発性硬化症に関連する、請求項1に記載の化合物。
  5. 前記軸索障害は、損傷もしくは移植された角膜の除神経に関連し、または病変を生じた視神経もしくは三叉神経、特にその眼枝の軸索切断繊維に関連する、請求項1に記載の化合物。
  6. 軸索障害の処置用の、チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤およびチューブリンチロシンリガーゼ活性化剤ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物を活性成分として含む、医薬組成物。
  7. 前記チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤は、パルテノライドまたはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、薬学的に許容可能な塩、エステルおよび/もしくは誘導体もしくは構造アナログである、請求項7に記載の医薬組成物。
  8. 前記組成物は、神経内投与もしくは神経根周囲投与等の局所投与用に、または腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与もしくは経口投与等の全身投与用に製剤される、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 前記組成物は、眼内投与用に、特に点眼剤として製剤される、請求項7に記載の医薬組成物。
  10. 軸索障害の処置用の薬品の製造のための、チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤およびチューブリンチロシンリガーゼ活性化剤ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる化合物の使用。
  11. 前記チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤は、パルテノライドまたはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、薬学的に許容可能な塩、エステルおよび/もしくは誘導体もしくは構造アナログである、請求項10に記載の使用。
  12. 前記軸索障害は、末梢神経系または中枢神経系の損傷、特に坐骨神経もしくは視神経もしくは脊髄の中枢投射の損傷であるか、または、損傷もしくは移植された角膜の除神経に関連するか、もしくは病変を生じた視神経もしくは三叉神経、特にその眼枝の軸索切断繊維に関連する、請求項10に記載の使用。
  13. 軸索障害を処置する方法であって、チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤およびチューブリンチロシンリガーゼ活性化剤ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される軸索先端の微小管の脱チロシン化を減少させる治療上有効量の化合物を対象に投与することを含む、方法。
  14. 前記チューブリンカルボキシペプチダーゼ阻害剤は、パルテノライドまたはそのラセミ体、鏡像異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、薬学的に許容可能な塩、エステルおよび/もしくは誘導体もしくは構造アナログである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記軸索障害は、末梢神経系または中枢神経系の損傷、特に坐骨神経もしくは視神経もしくは脊髄の中枢投射の損傷であるか、または、損傷もしくは移植された角膜の除神経に関連するか、もしくは病変を生じた視神経もしくは三叉神経、特にその眼枝の軸索切断繊維に関連する、請求項13に記載の方法。
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