JP2018513849A - 対象における全身性免疫応答を抑制または低減するための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
対象における全身性免疫応答を抑制する方法であって、それを必要とする対象にビタミンD類似体の薬学的有効量を外用投与する工程を含む方法を包含する。さらに、対象における自己免疫疾患を処置する方法であって、それを必要とする対象にビタミンD類似体の薬学的有効量を外用投与する工程を含む方法を包含する。
Description
関連出願の相互参照
本願は、2015年3月16日に出願された米国仮特許出願第62/133,665号に対して米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、前記仮特許出願は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる。
本願は、2015年3月16日に出願された米国仮特許出願第62/133,665号に対して米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張し、前記仮特許出願は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる。
連邦政府の後援による研究または開発に関する陳述
本発明は、米国国立衛生研究所によって交付された助成金番号R01HL111501の下に、政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
本発明は、米国国立衛生研究所によって交付された助成金番号R01HL111501の下に、政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
発明の背景
炎症性疾患における免疫応答を抑制または低減するには、免疫調節薬が免疫応答の調節に要求される有効濃度でリンパ器官に到達できるように、免疫調節薬を全身性に投与する必要があることが多い。その結果、免疫調節薬は体じゅうに全身性に拡がって、望ましくないオフターゲット副作用を引き起こすことになる。そのうえ、これらの薬物の大半は静脈内注射によって投与する必要があるが、それは、患者にとって煩わしく、輸注反応や感染症などの追加リスクを伴う。皮膚を介したまたは吸入による免疫調節薬の投与は、皮膚または気道を冒す限局性の自己免疫反応または過敏反応(例えばそれぞれ乾癬または喘息)の処置に限られてきた。
炎症性疾患における免疫応答を抑制または低減するには、免疫調節薬が免疫応答の調節に要求される有効濃度でリンパ器官に到達できるように、免疫調節薬を全身性に投与する必要があることが多い。その結果、免疫調節薬は体じゅうに全身性に拡がって、望ましくないオフターゲット副作用を引き起こすことになる。そのうえ、これらの薬物の大半は静脈内注射によって投与する必要があるが、それは、患者にとって煩わしく、輸注反応や感染症などの追加リスクを伴う。皮膚を介したまたは吸入による免疫調節薬の投与は、皮膚または気道を冒す限局性の自己免疫反応または過敏反応(例えばそれぞれ乾癬または喘息)の処置に限られてきた。
疫学的研究により、ビタミンD欠乏は、I型糖尿病(T1D)を含むさまざまな疾患と関連づけられている。免疫細胞に対するビタミンD欠乏の影響は直接的であると考えられており、ビタミンDは、T細胞、樹状細胞、単球/マクロファージ、およびB細胞などの免疫細胞の活性化を直接的に抑制できることが、研究によって示されている。しかし、患者における経口または静脈内ビタミンD補充の効果を調べる臨床治験は、限られた成功しか収めていない。治療効果を得るために全身性に投与する必要があるビタミンDの用量は、高カルシウム血などの重篤な副作用を引き起こすので、ビタミンD補充の効果は実効がないか、そうでなくてもあまり大きくはなかった。
したがって、当技術分野では、患者における全身性免疫応答を抑制する新規な方法を開発する必要がある。そのような方法は、全身性炎症性疾患の処置に有用であり、かつ薬物の全身曝露に関連する重篤な副作用を回避すべきである。本発明はこの必要を満たす。
本発明は、それを必要とする対象において全身の制御性T細胞(Treg)レベルを増加させる方法を提供する。本発明はさらに、それを必要とする対象において全身性免疫応答を抑制または低減する方法を提供する。本発明はさらに、それを必要とする対象において全身性の炎症性疾患または炎症性障害を処置する方法であって、前記疾患または前記障害が、I型糖尿病、II型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、および関節リウマチからなる群より選択される方法を提供する。本発明はさらに、対象における全身性免疫応答を抑制または低減するためのキットを提供する。
特定の態様において、本方法は、ビタミンD3類似体の薬学的有効量を対象に外用投与する工程を含む。別の態様において、該類似体は、対象に投与される唯一の生物学的活性作用物質である。さらに別の態様において、該類似体は、対象における全身の制御性T細胞(Treg)レベルを増加させるのに十分な量で対象に投与される唯一の生物学的活性作用物質である。別の態様において、対象における全身のTregレベルは、対照対象における全身のTregレベルよりも少なくとも約20%は高い。
特定の態様において、該類似体の投与は、対象における全身の制御性T細胞(Treg)レベルを増加させる。
特定の態様において、対象は炎症性疾患を患っている。別の態様において、対象は、I型糖尿病、II型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症および関節リウマチからなる群より選択される少なくとも1つの疾患または障害を患っている。
特定の態様において、該類似体は、1,25-ジヒドロビタミンD3より低い血漿カルシウム上昇活性を有する。別の態様において、該類似体は、1α,18,25-(OH)3D3; 23-(m-(ジメチルヒドロキシメチル)-22-イン-24,25,26,27(テトラノル)-1α-OH)2D3; 1α,25-ジヒドロキシ-trans-イソタキステロール(1,25-trans-Iso-T); (1S,3R,6S)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3; (1S,3R,6R)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3; 22-(p-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3; 22-(m-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3; 26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903またはカルシポトリオール); 1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(EB1089); 1α,25-(OH)-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリスホモビタミンD(KH1060); 22-オキサ-1α,25(OH)2D3(OCTまたは22-OXA); 1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。さらに別の態様において、該類似体は、MC903、EB1089、22-OXA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。さらに別の態様において、ビタミンD3類似体はMC903である。
特定の態様において、対象は哺乳動物である。別の態様において、哺乳動物はヒトである。
特定の態様において、該類似体は、処置の週の後に無処置の週が続く投与スケジュールで、対象に外用投与される。別の態様において、処置の週では、毎日および隔日からなる群より選択される頻度で、対象に該類似体が外用投与される。さらに別の態様において、該類似体は、所与の皮膚1cm2あたり約0.2nmol〜約20nmolの類似体が対象に投与されるように、対象の所与の皮膚面積に適用される。さらに別の態様において、対象における所与の皮膚面積は約100cm2〜2,500cm2の範囲である。さらに別の態様において、該類似体は、約0.005%〜約10%(w/w)の類似体を含む薬学的組成物に製剤化される。さらに別の態様において、薬学的組成物は、該類似体の他には、対象における全身の制御性T細胞(Treg)レベルを増加させる追加作用物質を含まない。
特定の態様において、本方法は、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)アイソフォームを含むポリペプチドの薬学的有効量を対象に投与する工程を含む。別の態様において、該アイソフォームは、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる群より選択される少なくとも1つに対して少なくとも85%、90%、95%または99%の同一性を有する。さらに別の態様において、TSLPアイソフォームは、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる群より選択される少なくとも1つである。さらに別の態様において、該ポリペプチドは、経口経路、経鼻経路、吸入経路、外用経路、口腔粘膜経路、直腸経路、胸膜経路、腹腔経路、非経口(皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内への注射または注入など)、膣経路、経皮経路、硬膜外経路、気管内経路、耳経路、眼内経路、および髄腔内経路からなる群より選択される少なくとも1つの経路によって投与される。さらに別の態様において、該ポリペプチドは、対象に投与される唯一の生物学的活性作用物質である。さらに別の態様において、該ポリペプチドは、対象における全身の制御性T細胞(Treg)レベルを増加させるのに十分な量で対象に投与される唯一の生物学的活性作用物質である。
特定の態様において、本キットは、ビタミンD3類似体とTSLPアイソフォームを含むポリペプチドとから選択される少なくとも1つの作用物質、および対象への該作用物質の投与に関する説明書を含む。別の態様において、該類似体は、対象に外用投与されるものである。
本発明を例示するために、図面に本発明の特定の態様を図示する。ただし本発明は、図面に図示した態様のまさにその配置および手段に限定されるわけではない。
発明の詳細な説明
本発明は、一局面において、対象へのビタミンD3類似体の、全身性投与ではなく、外用投与が、対象における全身性免疫応答を抑制または低減するという予想外の発見に関する。特定の態様において、該類似体の外用投与は対象における全身の制御性T細胞(Treg)を増加させる。Tregレベルのそのような増加は、例えば、対象の皮膚、血液および二次リンパ器官(リンパ節および脾臓)などにおいて観察することができる。
本発明は、一局面において、対象へのビタミンD3類似体の、全身性投与ではなく、外用投与が、対象における全身性免疫応答を抑制または低減するという予想外の発見に関する。特定の態様において、該類似体の外用投与は対象における全身の制御性T細胞(Treg)を増加させる。Tregレベルのそのような増加は、例えば、対象の皮膚、血液および二次リンパ器官(リンパ節および脾臓)などにおいて観察することができる。
特定の態様では、全身性免疫調節を達成するために、全身性のビタミンD3類似体曝露は必要でない。むしろ、ケラチノサイトを活性化するための皮膚におけるビタミンD3類似体の保持は、全身性ビタミンD3曝露と関連する毒性を伴わずに、望ましい免疫調節効果を達成する。別の態様において、該類似体は、有意な高カルシウム血を引き起こさない(すなわち低いまたは無視できる程度の血漿カルシウム上昇活性を有する)。さらに別の態様において、該類似体が引き起こす高カルシウム血は、同じ経路を使って同じ用量で投与された場合に、1,25-ジヒドロビタミンD3(1,25(OH)2D3としても公知である)よりも少ない。さらに別の態様において、該類似体は皮膚浸透性が低いかまたは無視できる程度である。さらに別の態様において、該類似体は、1,25-ジヒドロビタミンD3と比較して、ビタミンD結合タンパク質への結合が低いかまたは無視できる程度である。
本発明は、ビタミンD3類似体に限定されるとみなされるべきではなく、当技術分野において公知であり本明細書に記載する方法において有用である任意のビタミンD類似体を、さらに包含する。
別の一局面において、本発明は、対象における炎症性疾患または炎症性障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に本発明の組成物の薬学的有効量を外用投与する工程を含む、方法を包含する。
定義
本明細書において使用する場合、以下の用語のそれぞれは、このセクションにおいてその用語に関連づけられる意味を有する。
本明細書において使用する場合、以下の用語のそれぞれは、このセクションにおいてその用語に関連づけられる意味を有する。
別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用する技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野における通常の技能を有する者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。一般に、本明細書において使用する命名法、ならびに細胞培養、分子遺伝学および化学における実験手法は、当技術分野において周知であり、一般に使用されているものである。
本明細書において使用する冠詞「a」および「an」は、1つまたは複数(すなわち少なくとも1つ)の、その冠詞の文法上の目的語を指す。例えば「要素(an element)」とは、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
本明細書において使用する用語「約」は、当技術分野における通常の技能を有する者には理解され、それが使用される文脈によってある程度変動するであろう。測定可能な値、例えば量、継続時間などに関して、本明細書において使用する場合、用語「約」は、指定された値からの±20%または±10%、±5%、±1%、または±0.1%の変動を包含するものとする。そのような変動はここに開示する方法の実施にとって適当だからである。
本明細書において使用する用語「炎症性疾患」は、過剰な炎症応答(すなわち炎症性過剰応答)に起因する障害と定義される。炎症性疾患は、不適当な抗原に対する不適切で過剰な応答の結果である。炎症性疾患の例には、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、自己免疫性肝炎、アテローム性動脈硬化症、自己免疫性耳下腺炎、クローン病、糖尿病(I型)、栄養障害型表皮水疱症、精巣上体炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン-バレー症候群、橋本病、溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、脊椎関節症、甲状腺炎、血管炎、白斑、粘液水腫、悪性貧血、および潰瘍性大腸炎などが包含されるが、それらに限定されるわけではない。
「疾患」とは、動物がホメオスタシスを維持できず、その疾患が改善されなければ、その動物の健康が悪化し続ける、動物の健康状況である。対照的に、動物における「障害」とは、動物はホメオスタシスを維持することができるが、動物の健康状況は、その障害が存在しない場合ほどには好ましくない、健康状況である。障害は、処置せずに放置しても、その動物の健康状況のさらなる低下を必ずしも引き起こさない。
本明細書において使用する場合、ある化合物の「有効量」または「治療有効量」または「薬学的有効量」という用語は、その化合物が投与される対象に有益な効果を与えるのに十分な化合物の量を指すために、相互可換的に使用される。本明細書において使用する「処置する」という用語は、患者もしくは対象が経験する症状の頻度を低減すること、または経験される症状の重症度を低減するために作用物質もしくは化合物を投与することを意味する。どの個別例においても、適当な治療量は、当技術分野における通常の技能を有する者が、日常的な実験を使って決定しうる。
「免疫応答を強化する」という用語は、細胞媒介性(すなわち細胞傷害性Tリンパ球媒介性)応答を含む動物の免疫系の任意の応答を惹起および/または強化することを指す。これらの免疫応答は、当業者に周知の数あるインビトロまたはインビボアッセイ、例えば限定するわけではないが、免疫細胞拡大/増殖、細胞傷害性Tリンパ球アッセイ、サイトカインの生産、腫瘍の退縮、腫瘍担持動物の生存、同種移植片の拒絶反応、移植片対宿主病、動物からの病原体のクリアランス、動物における自己免疫疾患の誘発、および抗体アッセイなどによって、評価することができる。
本明細書において使用する用語「HFD」は高脂肪飼料を指す。
本明細書において使用する用語「免疫反応」とは、免疫細胞の刺激および/または活性化の検出可能な結果を意味する。
本明細書において使用する用語「免疫調節」は、免疫応答の改変を目指すあらゆる治療的介入を包含する。例えば免疫不全の状況において感染を防止するため、確立した感染症と戦うため、およびがんと戦うためには、免疫応答の増強が望ましい。
本明細書にいう「説明資料」には、対象における全身性免疫応答を抑制または低減するためのキットにおいて、本発明の化合物、組成物、アッセイまたは方法の有用性を伝達するために使用することができる刊行物、記録、図、または他の任意の表現媒体が包含される。本発明のキットの説明資料は、例えば、特定された本発明の化合物、組成物、アッセイ、または方法を含有する容器に添付するか、特定された本化合物、組成物、アッセイ、または方法を含有する容器と一緒に輸送することができる。あるいは、説明資料は、説明資料と化合物、組成物、アッセイ、または方法とが受領者によって連携的に使用されるものとするという意図の下に、容器とは別個に輸送することもできる。
組成物の「非経口」投与には、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、または胸骨内への注射または注入技法が包含される。
本明細書において使用する用語「薬学的に許容される」は、組成物の生物学的活性または生物学的性質を妨げず、比較的非毒性である、担体または希釈剤などの材料を指す。すなわち、この材料は、望ましくない生物学的効果を引き起こすことも、それを含有する組成物の構成要素のいずれとも有害な形で相互作用することもなく、個体に投与されうる。
本明細書において使用する用語「薬学的組成物」または「組成物」は、本発明において有用な少なくとも1つの化合物と他の化学構成要素、例えば担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤などとの混合物を指す。薬学的組成物は生物への化合物の投与を容易にする。当技術分野には、例えば限定するわけではないが、経口経路、経鼻経路、吸入経路、外用経路、口腔粘膜経路、直腸経路、胸膜経路、腹腔経路、非経口(皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、胸骨内への注射または注入など)、膣経路、経皮経路、硬膜外経路、気管内経路、耳経路、眼内経路、および髄腔内経路など、化合物を投与する技法が、いくつも存在する。特定の態様において、投与は外用投与を含む。
本明細書にいう「対象」とは、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を指す。非ヒト哺乳動物には、例えば家畜およびペット、例えばヒツジ、ウシ科、ブタ、イヌ科、ネコ科およびネズミ科の哺乳動物が包含される。特定の態様において、対象はヒトである。
本明細書にいう「外用投与」または「外用適用」は、皮膚または粘膜などの体表に適用される投薬を指す。
本明細書において使用する用語「処置」または「処置すること」とは、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害を発症する潜在的可能性を、治療する、治癒する、緩和する、軽減する、改変する、矯正する、改善する、改良する、またはそれらに影響を及ぼす目的でなされる、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害を発症する潜在的可能性を有する対象への、治療剤、すなわち本発明において有用な組成物の(単独での、または別の薬学的作用物質との組み合わせでの)適用もしくは投与、または前記対象から(例えば診断のために、またはエクスビボ応用のために)単離された組織もしくは細胞株への治療剤の適用もしくは投与と定義される。そのような処置は、薬理ゲノミクスの分野から得られる知識に基づいて、個別に調整または変更されうる。
本明細書において使用する用語「TSLP」は、胸腺間質性リンパ球新生因子を指す。
この開示の全体を通して、本発明のさまざまな局面は、範囲形式で表される場合がある。範囲形式での記載は単に便宜および簡潔のために過ぎず、発明の範囲に対する融通のきかない限定であると解釈すべきではないと、理解すべきである。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された可能な部分範囲のすべて、およびその範囲内の個々の数値を含むとみなすべきである。例えば1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲、例えば1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など、およびその範囲内の個々の数字、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を含むとみなすべきである。これは範囲の広さとは無関係に適用される。
開示
一局面において、本発明は、対象への、少なくとも1つのビタミンD3類似体(外用投与用に製剤化された組成物の一部であってもよい)の、全身性投与ではなく外用投与が、対象における全身性免疫応答を抑制または低減するという、予想外の発見に関係する。特定の態様において、類似体の外用投与は、対象における全身の制御性T細胞(Treg)を増加させる。Tregレベルのそのような増加は、例えば対象の皮膚、血液および二次リンパ器官(リンパ節および脾臓)において観察することができる。
一局面において、本発明は、対象への、少なくとも1つのビタミンD3類似体(外用投与用に製剤化された組成物の一部であってもよい)の、全身性投与ではなく外用投与が、対象における全身性免疫応答を抑制または低減するという、予想外の発見に関係する。特定の態様において、類似体の外用投与は、対象における全身の制御性T細胞(Treg)を増加させる。Tregレベルのそのような増加は、例えば対象の皮膚、血液および二次リンパ器官(リンパ節および脾臓)において観察することができる。
少なくとも図1A〜1Bにおいて証明されるとおり、対象へのビタミンD類似体を含む組成物の外用投与は、全身の制御性T細胞(Treg)を増加させる。制御性T細胞は、対象の免疫系を調節して抗原に対する寛容を維持し、炎症性疾患を妨げる。いかなる理論にも束縛されることは望まないが、これは、過剰な反応を防止するために免疫系に組み込まれている「セルフチェック(self-check)」である。
特定の態様において、対象の皮膚への類似体の投与は、例えば対象の皮膚、血液および/または二次リンパ器官(リンパ節および脾臓)におけるTregレベルを増加させる。
別の態様において、Tregレベルの増加は、対照と比較して約10%、約25%、約50%、約100%、約200%、または約400%からの範囲にある。対照は、プラセボで外用処置されたか、いかなる投薬も全く受けていないか、または外用投与以外の経路を使ったビタミンD3類似体による処置を受けた、類似する状況にある対象でありうる。あるいは、対照は、本発明において企図されるビタミンD3類似体による外用処置を受けていないときの当該対象でありうる。
別の態様において、Tregレベルの増加は、対照と比較して約10%、約25%、約50%、約100%、約200%、または約400%からの範囲にある。対照は、プラセボで外用処置されたか、いかなる投薬も全く受けていないか、または外用投与以外の経路を使ったビタミンD3類似体による処置を受けた、類似する状況にある対象でありうる。あるいは、対照は、本発明において企図されるビタミンD3類似体による外用処置を受けていないときの当該対象でありうる。
特定の態様において、類似体は対象の皮膚に投与される。別の態様において、類似体は、少なくとも1日1回、対象に投与される。さらに別の態様において、類似体は、対象に1日1回、対象に2日ごとに1回、対象に3日ごとに1回などの頻度で、投与される。
特定の態様において、炎症性疾患を処置するための類似体の投与スケジュールは、1週間の処置(毎日または隔日;最低で3日/週)と少なくとも1週間の無処置とを含み、これを、投与スケジュールとして周期的に繰り返すことができる。
特定の態様において、類似体の用量は、処置される皮膚1cm2あたり約0.2nmol〜約20nmolの範囲である。さらに別の態様において、処置される皮膚面積は約100cm2〜2,500cm2の範囲である。
特定の態様において、対象は哺乳動物である。別の態様において、哺乳動物はヒトである。
別の一局面において、本発明は、それを必要とする対象においてI型もしくはII型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、または関節リウマチを処置する方法であって、対象にビタミンD3類似体の薬学的有効量を外用投与する工程を含む、方法を包含する。
特定の態様において、本発明の方法は、炎症性疾患を処置するために使用することができ、その炎症性疾患には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、アテローム性動脈硬化症、皮膚筋炎、スティル病、混合性結合組織病、シェーグレン病、ベーチェット病、CREST症候群、免疫介在性血小板減少症、炎症性腸疾患、多発性硬化症、1型および2型糖尿病(T1D、T2D)、ギラン-バレー症候群、急性および慢性移植片対宿主病(GVHD)、移植拒絶反応、乾癬、グレーブス病、自己免疫性肝炎、マクロファージ活性化症候群、サイトカイン放出症候群、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、アテローム性動脈硬化症、ならびに血管炎が包含されるが、それらに限定されるわけではない。
特定の態様において、ビタミンD3類似体は、以下:
1α,18,25-(OH)3D3;
23-(m-(ジメチルヒドロキシメチル)-22-イン-24,25,26,27(テトラノル)-1α-OH)2D3;
1α,25-ジヒドロキシ-trans-イソタキステロール(1,25-trans-Iso-Tとしても公知である);
(1S,3R,6S)-7,19-レトロ-1,25-(0H)2D3;
(1S,3R,6R)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3;
22-(p-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3;
22-(m-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3;
26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903またはカルシポトリオールとしても公知である);
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(EB1089としても公知である);
1α,25-(OH)-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリスホモビタミンD(KH1060としても公知である);
22-オキサ-1α,25(OH)2D3(OCTまたは22-OXAとしても公知である);
1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3;
およびそれらの任意の組み合わせ
からなる群より選択される少なくとも1つである。
1α,18,25-(OH)3D3;
23-(m-(ジメチルヒドロキシメチル)-22-イン-24,25,26,27(テトラノル)-1α-OH)2D3;
1α,25-ジヒドロキシ-trans-イソタキステロール(1,25-trans-Iso-Tとしても公知である);
(1S,3R,6S)-7,19-レトロ-1,25-(0H)2D3;
(1S,3R,6R)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3;
22-(p-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3;
22-(m-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3;
26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903またはカルシポトリオールとしても公知である);
1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(EB1089としても公知である);
1α,25-(OH)-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリスホモビタミンD(KH1060としても公知である);
22-オキサ-1α,25(OH)2D3(OCTまたは22-OXAとしても公知である);
1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3;
およびそれらの任意の組み合わせ
からなる群より選択される少なくとも1つである。
特定の態様において、ビタミンD類似体はMC903である。
別の一局面において、本発明は、TSLPアイソフォームを含むポリペプチドの治療有効量の対象への投与が、対象における全身性免疫応答を抑制または低減するという予想外の発見に関係する。
特定の態様において、本発明は、それを必要とする対象においてI型もしくはII型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、または関節リウマチを処置する方法であって、TSLPアイソフォームを含むポリペプチドの治療有効量を対象に投与する工程を含む、方法を包含する。
特定の態様において、対象はヒトであり、TSLPアイソフォームは、
からなる群より選択される少なくとも1つに対して、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、または少なくとも99%の同一性を有する。別の態様において、対象はヒトであり、TSLPアイソフォームは、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる群より選択される少なくとも1つである。さらに別の態様において、前記ポリペプチドの投与は、対象における全身の制御性T細胞(Treg)を増加させる。
からなる群より選択される少なくとも1つに対して、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、または少なくとも99%の同一性を有する。別の態様において、対象はヒトであり、TSLPアイソフォームは、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる群より選択される少なくとも1つである。さらに別の態様において、前記ポリペプチドの投与は、対象における全身の制御性T細胞(Treg)を増加させる。
本発明は、本明細書に記載する発明の方法のいずれかにおいて有用なキットにも関係する。そのようなキットは、本明細書に記載する方法のいずれかにおいて有用な構成要素、例えば対象における全身性免疫応答を抑制もしくは低減するかつ/または炎症性疾患もしくは炎症性障害を処置するための組成物および方法、本明細書の他の箇所に記載する態様のいずれかの構成要素を入れるための1つまたは複数の容器(例えば試験管、細胞培養ディッシュ、細胞培養プレート、細胞培養フラスコ、細胞培養バッグ)、ならびに説明資料などを含む。
製剤/投与
本発明の薬学的組成物中の活性成分、薬学的に許容される担体、および任意の追加成分の相対量は、処置される対象の固有性、サイズ、および状態に依存して変動するであろう。例えば組成物は、0.005%〜10%(w/w)もしくは0.005%〜1%(w/w)の活性成分、またはその任意の分数または倍数を含みうる。
本発明の薬学的組成物中の活性成分、薬学的に許容される担体、および任意の追加成分の相対量は、処置される対象の固有性、サイズ、および状態に依存して変動するであろう。例えば組成物は、0.005%〜10%(w/w)もしくは0.005%〜1%(w/w)の活性成分、またはその任意の分数または倍数を含みうる。
本明細書に記載する薬学的組成物の説明は、主として、ヒトへの倫理的投与(ethical administration)に適した薬学的組成物に関するが、そのような組成物があらゆる種類の動物への投与に広く適することは、当業者には理解されるであろう。ヒトへの投与に適した薬学的組成物をさまざまな動物への投与に適した組成物にするためになされる薬学的組成物の変更はよく理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者であれば、そのような変更を、仮に実験が必要だとしてもありきたりな実験だけで、計画し、実行することができる。本発明の薬学的組成物の投与が企図される対象には、ヒトおよび他の霊長類、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、およびイヌなどといった商業的に重要な哺乳動物を含む哺乳動物が包含されるが、それらに限定されるわけではない。
特定の態様において、少なくとも1つの活性成分を含む組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤または担体を使って製剤化される。別の態様において、本発明の薬学的組成物は、少なくとも1つの本発明の化合物の治療有効量と、薬学的に許容される担体とを含む。有用な薬学的に許容される担体には、グリセロール、水、食塩水、エタノールおよび他の薬学的に許容される塩溶液、例えばリン酸塩および有機酸の塩が包含されるが、それらに限定されるわけではない。これらのおよび他の薬学的に許容される担体の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences(1991, Mack Publication Co.,ニュージャージー州)に記載されている。
担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒でありうる。適正な流動性は、例えばレシチンなどのコーティングの使用によって、分散系の場合は必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持されうる。微生物の作用の防止は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどといった、さまざまな抗細菌および抗真菌作用物質によって達成されうる。多くの場合、等張剤、例えば糖類、塩化ナトリウム、またはポリアルコール、例えばマンニトールおよびソルビトールを、組成物中に含みうる。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを組成物に含めることによって引き起こしうる。
当技術分野には、例えば限定するわけではないが、経口経路、経鼻経路、吸入経路、外用経路、口腔粘膜経路、直腸経路、胸膜経路、腹腔経路、非経口(皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、胸骨内への注射または注入など)、膣経路、経皮経路、硬膜外経路、気管内経路、耳経路、眼内経路、および髄腔内経路など、化合物を投与する技法がいくつも存在する。特定の態様において、投与は、外用投与を含む。
製剤は、従来の賦形剤、すなわち、当技術分野にとって公知の、経口投与、非経口投与、経鼻投与、静脈内投与、皮下投与、経腸投与、または他の任意の適切な投与様式に適した薬学的に許容される有機または無機担体物質と混合して使用されうる。特定の態様において、投与は外用投与を含む。薬学的調製物は滅菌することができ、所望であれば、補助剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝剤に影響を及ぼすための塩、着色剤、香味剤および/または芳香物質などと混合することができる。所望であれば、それらを他の活性作用物質、例えば他の鎮痛剤と組み合わせてもよい。
本明細書にいう「追加成分」には、以下に挙げる成分のうちの1つまたは複数が包含されるが、それらに限定されるわけではない:賦形剤;表面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤;結合剤;潤滑剤;甘味剤;香味剤;着色剤;保存剤;ゼラチンなどの生理学的に分解されうる組成物;水性媒体および水性溶媒;油性媒体および油性溶媒;懸濁化剤;分散剤または湿潤剤;乳化剤、粘滑剤;緩衝剤;塩類;増粘剤;充填剤;乳化剤;酸化防止剤;抗生物質;抗真菌剤;安定剤;および薬学的に許容されるポリマー材料または疎水性材料。本発明の薬学的組成物に含めうる他の「追加成分」は当技術分野において公知であり、例えばGenaro編(1985, Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., ペンシルバニア州イーストン)に記載されており、この文献は参照により本明細書に組み入れられる。
本発明の組成物は、総重量で組成物の約0.005%〜2.0%の保存剤を含みうる。保存剤は、環境中の汚染物に曝露されたときの腐敗を防止するために使用される。本発明において有用な保存剤の例には、ベンジルアルコール、ソルビン酸、パラベン、イミド尿素およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるものが包含されるが、それらに限定されるわけではない。例示的保存剤は約0.5%〜2.0%のベンジルアルコールと0.05%〜0.5%のソルビン酸との組み合わせである。
組成物は、化合物の分解を阻害する酸化防止剤およびキレート剤を含みうる。例示的酸化防止剤は、総重量で組成物の約0.01%〜0.3%の範囲のBHT、BHA、アルファ-トコフェロール、およびアスコルビン酸、ならびに/または0.03%〜0.1重量%の範囲のBHTである。キレート剤は、総重量で組成物の0.01%〜0.5重量%の量で存在しうる。例示的キレート剤には、総重量で組成物の約0.01%〜0.20%の重量範囲の、より好ましくは0.02%〜0.10重量%の範囲の、エデト酸塩(例えばエデト酸二ナトリウム)およびクエン酸が包含される。キレート剤は、製剤の貯蔵寿命にとって有害となりうる組成物中の金属イオンをキレートするのに有用である。いくつかの化合物にとってBHTおよびエデト酸二ナトリウムはそれぞれ特に好ましい酸化防止剤およびキレート剤であるが、当業者には公知であるとおり、それらは、他の適切かつ等価な酸化防止剤およびキレート剤で置き換えうる。
活性成分を含む組成物は1日に数回の頻度で哺乳動物に投与するか、それより低頻度で、例えば1日1回、1週に1回、2週ごとに1回、1ヶ月に1回、またはさらにそれより低頻度で、例えば数ヶ月ごとに1回もしくは1年に1回またはそれより低頻度で投与することができる。
1日あたりの化合物投与量は、非限定的な例として、毎日、隔日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、または5日ごとに投与されうると理解される。例えば隔日投与の場合は、0.5〜5mgの1日量を月曜日に開始して、その後1回目の1日量0.5〜5mgは水曜日に投与し、その後2回目の1日量0.5〜5mgは金曜日に投与するなどとすることができる。投薬の頻度は、当業者にはすぐにわかるであろう。また、投薬の頻度は、多くの因子に、例えば限定するわけではないが処置される疾患のタイプおよび重症度、動物のタイプおよび齢などに、依存するであろう。
外用投与
薬剤の外用投与にとっての障害は、表皮の角質層である。角質層は、タンパク質、コレステロール、スフィンゴリピド、遊離脂肪酸および他のさまざまな脂質で構成された耐性の高い層であり、角質細胞および生細胞を含んでいる。角質層を通る化合物の浸透速度(フラックス)を制限する因子の1つは、皮膚表面に負荷または適用することができる活性物質の量である。皮膚の単位面積あたりに適用される活性物質の量が多いほど、皮膚表面と皮膚の下層との間の濃度勾配は大きくなり、ひいては、皮膚を通る活性物質の拡散力が大きくなる。それゆえに、含有する活性物質の濃度が高い製剤ほど、他の条件がすべて等しくて濃度が低い製剤と比べると、皮膚を通した活性物質の浸透を、より多く、より一貫した速度で、もたらす可能性が高い。
薬剤の外用投与にとっての障害は、表皮の角質層である。角質層は、タンパク質、コレステロール、スフィンゴリピド、遊離脂肪酸および他のさまざまな脂質で構成された耐性の高い層であり、角質細胞および生細胞を含んでいる。角質層を通る化合物の浸透速度(フラックス)を制限する因子の1つは、皮膚表面に負荷または適用することができる活性物質の量である。皮膚の単位面積あたりに適用される活性物質の量が多いほど、皮膚表面と皮膚の下層との間の濃度勾配は大きくなり、ひいては、皮膚を通る活性物質の拡散力が大きくなる。それゆえに、含有する活性物質の濃度が高い製剤ほど、他の条件がすべて等しくて濃度が低い製剤と比べると、皮膚を通した活性物質の浸透を、より多く、より一貫した速度で、もたらす可能性が高い。
外用投与に適した製剤には、液状または半液状調製物、例えばリニメント剤、ローション剤、水中油型または油中水型乳剤、例えばクリーム剤、軟膏またはペースト剤、および溶液剤または懸濁剤が包含されるが、それらに限定されるわけではない。そのような製剤は、皮膚に直接適用するか、スワブ、アプリケーター、スパチュラなどを使って皮膚に適用するか、経皮貼付剤の形態で皮膚に適用することができる。特定の態様において、貼付剤は、皮膚の洗浄、摩擦、引っ掻きおよび/またはこすりによる薬剤の喪失を最小限に抑える。別の態様において、貼付剤は、薬剤への皮膚の曝露を最小限に抑えつつ、皮膚を通した薬剤の吸収を増加させる。
外用投与可能な製剤は、例えば約0.005%〜約10%(w/w)の活性成分を含みうる。ただし、活性成分の濃度は、溶媒における活性成分の溶解度の限界と同じ高さにすることができる。外用投与用の製剤は、本明細書において記載する追加成分のうちの1つまたは複数をさらに含みうる。
特定の態様では、皮膚を横切る薬物の浸透の速度を増加させるために、透過促進剤が使用される。当技術分野における典型的促進剤には、エタノール、モノラウリン酸グリセロール、PGML(モノラウリン酸ポリエチレングリコール)、ジメチルスルホキシドなどが包含される。他の促進剤には、オレイン酸、オレイルアルコール、エトキシジグリコール、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルホキシド、極性脂質、またはN-メチル-2-ピロリドンが包含される。
特定の態様において、本発明の組成物は、全身曝露による急性毒性を回避するために、活性成分の透過を遅延させる作用物質を含有しうる。そのような作用物質は、例えば皮膚からの組成物の喪失を最小限に抑えるために、貼付剤の使用と組み合わせうる。
本発明の組成物の一部の外用送達のための許容できる媒体の1つはリポソームを含有しうる。リポソームの組成およびそれらの使用は当技術分野において公知である(例えば米国特許第6,323,219号)。
特定の態様において、本発明の薬学的組成物は、任意で、アジュバント、酸化防止剤、キレート剤、界面活性剤、発泡剤、湿潤剤、乳化剤、粘稠剤、緩衝剤、保存剤などといった他の成分と組み合わせうる。別の態様では、透過促進剤または浸透促進剤が組成物に含まれ、それらは、透過促進剤を欠く組成物に関して、角質層内への、および角質層を通した、活性成分の経皮浸透を改良するのに有効である。オレイン酸、オレイルアルコール、エトキシジグリコール、ラウロカプラム、アルカンカルボン酸、ジメチルスルホキシド、極性脂質、またはN-メチル-2-ピロリドンを含むさまざまな透過促進剤が、当業者に公知である。別の一局面において、組成物は、角質層の構造における無秩序を増加させるように機能し、よって角質層を横切る輸送を増加させる、ヒドロトロープ剤をさらに含みうる。イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、またはキシレンスルホン酸ナトリウムなど、さまざまなヒドロトロープ剤が当業者には公知である。
外用で活性のある薬学的組成物は、所望の変化に影響を及ぼすのに有効な量で適用されるべきである。本明細書にいう「有効な量」とは、変化が望まれる皮膚表面の領域を覆うのに十分な量を意味するものとする。活性化合物は、重量体積で組成物の約0.0001%〜約15%の量で存在すべきである。より好ましくは、組成物の約0.0005%〜約5%の量で存在すべきであり、最も好ましくは、組成物の約0.005%〜約1%の量で存在すべきである。そのような化合物は合成物であっても天然物であってもよい。
制御放出製剤および薬物送達システム
本発明の薬学的組成物の制御放出製剤または持続放出製剤は、従来の技術を使って作製しうる。多くの場合、使用される剤形は、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、もしくはマイクロスフェア、またはそれらの組み合わせを、所望の放出プロファイルを与えるように、さまざまな比率で使用することにより、その中の1つまたは複数の活性成分の徐放または制御放出として提供することができる。当技術分野における通常の技能を有する者に公知の適切な制御放出製剤は、本明細書に記載するものを含めて、本発明の薬学的組成物と共に使用するために、容易に選択することができる。したがって、外用投与に適するシングルユニット剤形(single unit dosage form)、例えば制御放出に適合させたリニメント剤、ローション剤、水中油型または油中水型乳剤、例えばクリーム剤、軟膏またはペースト剤、経皮貼付剤、および溶液剤または懸濁剤は、本発明に包含される。
本発明の薬学的組成物の制御放出製剤または持続放出製剤は、従来の技術を使って作製しうる。多くの場合、使用される剤形は、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、もしくはマイクロスフェア、またはそれらの組み合わせを、所望の放出プロファイルを与えるように、さまざまな比率で使用することにより、その中の1つまたは複数の活性成分の徐放または制御放出として提供することができる。当技術分野における通常の技能を有する者に公知の適切な制御放出製剤は、本明細書に記載するものを含めて、本発明の薬学的組成物と共に使用するために、容易に選択することができる。したがって、外用投与に適するシングルユニット剤形(single unit dosage form)、例えば制御放出に適合させたリニメント剤、ローション剤、水中油型または油中水型乳剤、例えばクリーム剤、軟膏またはペースト剤、経皮貼付剤、および溶液剤または懸濁剤は、本発明に包含される。
大半の制御放出医薬製品は、その非制御対応物によって達成されるものを上回るように薬物治療を改良するという、共通の目標を有する。理想的には、医学的処置における最適に設計された制御放出調製物の使用は、当該状態を最小の時間で治癒させるまたは管理するために最小量の原薬が使用されることを特徴とする。制御放出製剤の利点には、長期にわたる薬物の活性、投薬頻度の低減、および患者コンプライアンスの増大が包含される。加えて、制御放出製剤は、作用発現時間または他の特徴、例えば薬物の血中レベルなどに影響を及ぼすために使用することができ、よって副作用の発生に影響を及ぼすことができる。
大半の制御放出製剤は、まず、所望の治療効果を迅速にもたらす薬物量を放出し、このレベルの治療効果を長期にわたって維持するために、他の薬物量を徐々にかつ持続的に放出するように設計される。体内でこの一定した薬物レベルを維持するには、代謝され身体から排泄される薬物の量を置き換えることになる速度で、薬物が剤形から放出されなければならない。
活性成分の制御放出は、さまざまな誘導因子、例えばpH、温度、酵素、水、または他の生理的条件もしくは化合物によって、刺激することができる。本発明との関連において「制御放出構成要素」という用語は、限定するわけではないが、活性成分の制御放出を容易にするポリマー、ポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、リポソーム、もしくはマイクロスフェア、またはそれらの組み合わせを含む、1つまたは複数の化合物と、ここでは定義される。
特定の態様において、本発明の製剤は、短期放出製剤、迅速オフセット(rapid-offset)放出製剤、ならびに制御放出製剤、例えば持続放出製剤、遅延放出製剤およびパルス放出製剤でありうるが、それらに限定されるわけではない。
持続放出という用語は、長期にわたる薬物の徐放をもたらし、必ずしもその必要はないが、長期にわたって実質的に一定の血中薬物レベルをもたらしうる、薬物製剤を指すために、その従来の意味で使用される。その期間は、1ヶ月またはそれ以上の長さに及ぶことができ、ボーラス形式で投与された同量の作用物質より長い放出であるべきである。
持続放出の場合、化合物に持続放出特性を与える適切なポリマーまたは疎水性材料を使って、化合物を製剤化することができる。したがって、本発明の方法において使用される化合物は、微粒子の形態で例えば注射によって、またはウェハもしくはディスクの形態で埋植によって、投与されうる。
本発明の特定の態様において、本発明の化合物は、単独で、または別の薬学的作用物質と組み合わせて、持続放出製剤を使って患者に投与される。
遅延放出という用語は、本明細書では、薬物投与に続いて多少の遅延後に薬物の初期放出を与える薬物製剤であって、必ずしもそうではないものの、約10分から約12時間までの遅延を含みうる薬物製剤を指すために、その従来の意味で使用される。
パルス放出という用語は、本明細書では、薬物投与後にパルス状の血漿中薬物プロファイルを与えるような形での薬物放出をもたらす薬物製剤を指すために、その従来の意味で使用される。
即時放出という用語は、薬物投与直後に薬物の放出をもたらす薬物製剤を指すために、その従来の意味で使用される。
本明細書にいう短期とは、薬物投与後の薬物投与後の約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分、または約10分、およびそれらのありとあらゆる全増分または部分増分、ならびにそこまでの任意の期間を指す。
本明細書にいう迅速オフセットとは、薬物投与後の約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分、または約10分、およびそれらのありとあらゆる全増分または部分増分、ならびにそこまでの任意の期間を指す。
当業者であれば、本明細書に記載する具体的手順、態様、請求項、および実施例の数多くの等価物がわかるか、せいぜい日常的な実験を使って、それらを確認することができるであろう。そのような等価物は、本発明の範囲内にあり、本明細書に添付する特許請求の範囲によって包含されるとみなされた。例えば、当技術分野において認識されている代替物による反応条件の変更、およびせいぜい日常的な実験を使ってなされる反応条件の変更、例えば限定するわけではないが、反応時間、反応サイズ/体積、および溶媒、触媒などの実験試薬、圧力、雰囲気条件、例えば窒素雰囲気、および還元剤/酸化剤などの変更は、本願の範囲内にあると理解すべきである。
本明細書において値および範囲が掲載されている場合はいずれも、これらの値および範囲によって包含されるすべての値および範囲が、本発明の範囲内に包含されるものとすると理解すべきである。さらにまた、これらの範囲内にあるすべての値、および値の範囲の上限または下限も、本願によって企図されている。
以下の実施例は本発明の局面をさらに例示している。ただし、それらは決して、本明細書に記載される本発明の教示または開示を限定するものではない。
ここからは以下の実施例を参照して本発明を説明する。これらの実施例は、単に説明のために掲載されるのであって、本発明はこれらの実施例に限定されるわけではなく、むしろ本明細書において提供される教示の結果として自明であるすべての変形を包含する。
材料および方法
別段の注記がある場合を除き、すべての細胞株、出発材料および樹脂は、供給業者から入手し、精製せずに使用した。
別段の注記がある場合を除き、すべての細胞株、出発材料および樹脂は、供給業者から入手し、精製せずに使用した。
実施例1:ビタミンD3類似体MC903の効果
野生型(WT)マウスを、片耳の皮膚に、1日1回、7日にわたって、媒体(100%EtOH)またはMC903で処置した。8日目に、両耳の耳皮膚、血液、および二次リンパ器官(リンパ節および脾臓)を採取した。EtOH処置(MC903未処置)側と比較して、MC903処置した耳皮膚は、Tregの割合(CD4+ T細胞のうちの%Foxp3+;図1A)の有意な増加(約2倍)を示した。同様の増加が、血液および試験したすべての二次リンパ器官に、全身性に見られた(図1B)。MC903を腹腔内注射した場合は効果が観察されなかったことから、この効果は皮膚によって媒介されることが示唆された(図2)。
野生型(WT)マウスを、片耳の皮膚に、1日1回、7日にわたって、媒体(100%EtOH)またはMC903で処置した。8日目に、両耳の耳皮膚、血液、および二次リンパ器官(リンパ節および脾臓)を採取した。EtOH処置(MC903未処置)側と比較して、MC903処置した耳皮膚は、Tregの割合(CD4+ T細胞のうちの%Foxp3+;図1A)の有意な増加(約2倍)を示した。同様の増加が、血液および試験したすべての二次リンパ器官に、全身性に見られた(図1B)。MC903を腹腔内注射した場合は効果が観察されなかったことから、この効果は皮膚によって媒介されることが示唆された(図2)。
次に、外用MC903処置(処置は7日目に停止した)後のTregレベルの全身性増加の動態を調べた。MC903処置マウスの脾臓および血液では、Tregの絶対数および割合が、6日目と9日目の間のピークまで増加し、その後、徐々に低下した(図3A〜3B)。循環TSLPレベルは6日目にピークに達し、9日目までに急下降した(図3C)。15日目までには、EtOH処置群とMC903処置群との間にTregレベルの相違が見られなくなったことから、処置の停止後はMC903の効果は可逆的であることが示唆された。Tregレベルの増加はTregによるBrdU取り込みの増強を伴ったことから、Tregの増殖が増加していることが示唆された(図4A)。対照的に、通常のCD4+ T細胞(Tconv)にはBrdU取り込みの有意な増加が見られなかったことから(図4B)、Treg増殖に対するMC903の選択的効果があることが示唆された。
実施例2:MC903外用適用はNODマウスにおけるT1Dの発生率を減少させる
MC903による外用処置が炎症性傷害の改善につながるかどうかを試験するために、糖尿病の非肥満糖尿病(NOD)マウスモデルを使って、MC903がマウスをI型糖尿病(T1D)から保護するかどうかを試験した。NODマウスを週に3回、毎週耳を交替して、MC903で処置した。この処置プロトコールにより、アトピー性皮膚炎の証拠をほとんど示さずに、MC903処置を8週にわたって継続することができた。この処置を受けたNODマウスは、MC903による処置後8日目に、媒体と比較して増加した循環Tregレベルを呈した(図5A)。重要なことに、スポット血中グルコースレベルが2回連続して>250mg/dlの読みであることによって決定されるT1Dの発生率は、媒体と比較して外用MC903で処置されたマウスでは有意に減弱していた(図5B)。
MC903による外用処置が炎症性傷害の改善につながるかどうかを試験するために、糖尿病の非肥満糖尿病(NOD)マウスモデルを使って、MC903がマウスをI型糖尿病(T1D)から保護するかどうかを試験した。NODマウスを週に3回、毎週耳を交替して、MC903で処置した。この処置プロトコールにより、アトピー性皮膚炎の証拠をほとんど示さずに、MC903処置を8週にわたって継続することができた。この処置を受けたNODマウスは、MC903による処置後8日目に、媒体と比較して増加した循環Tregレベルを呈した(図5A)。重要なことに、スポット血中グルコースレベルが2回連続して>250mg/dlの読みであることによって決定されるT1Dの発生率は、媒体と比較して外用MC903で処置されたマウスでは有意に減弱していた(図5B)。
実施例3:MC903外用適用はApoE KOマウスにおける動脈硬化病変サイズを減少させる
アテローム性プラークに対するMC903の外用適用の効果を調べた。アテローム性動脈硬化症は、動脈壁に脂質沈着が起こって血流の閉塞につながる疾患状態である。これらの病変は、心臓(心筋梗塞;アンギナ)または脳(卒中)への血流に影響を及ぼすことにより、最終的には、罹患および死亡を引き起こす。これらの病変は高コレステロール血症を有する患者におけるコレステロール沈着によって形成されるが、プラーク進行には免疫活性化が必要であり、Tregは、アテローム性動脈硬化症の進行の鈍化に関連づけられている。MC903外用処置はアテローム性動脈硬化症におけるプラーク進行を減弱することができると考えられる。この仮説を試験するために、アテローム性動脈硬化症のApoE KOマウスモデルを使用した。高脂肪ウェスタン飼料を給餌したApoE KOマウスを、10週にわたって隔週、隔日(週3回)、MC903で外用処置した。MC903による処置はApoE KOマウスの総コレステロールレベルを変化させなかったが(図6A)、大動脈中でプラークが占める面積のパーセントは、有意に50%超減少させた(図6B)。これらのデータは、MC903外用処置が高コレステロール血症患者におけるアテローム性プラーク進行を低減するのに有効でありうることを示唆している。
アテローム性プラークに対するMC903の外用適用の効果を調べた。アテローム性動脈硬化症は、動脈壁に脂質沈着が起こって血流の閉塞につながる疾患状態である。これらの病変は、心臓(心筋梗塞;アンギナ)または脳(卒中)への血流に影響を及ぼすことにより、最終的には、罹患および死亡を引き起こす。これらの病変は高コレステロール血症を有する患者におけるコレステロール沈着によって形成されるが、プラーク進行には免疫活性化が必要であり、Tregは、アテローム性動脈硬化症の進行の鈍化に関連づけられている。MC903外用処置はアテローム性動脈硬化症におけるプラーク進行を減弱することができると考えられる。この仮説を試験するために、アテローム性動脈硬化症のApoE KOマウスモデルを使用した。高脂肪ウェスタン飼料を給餌したApoE KOマウスを、10週にわたって隔週、隔日(週3回)、MC903で外用処置した。MC903による処置はApoE KOマウスの総コレステロールレベルを変化させなかったが(図6A)、大動脈中でプラークが占める面積のパーセントは、有意に50%超減少させた(図6B)。これらのデータは、MC903外用処置が高コレステロール血症患者におけるアテローム性プラーク進行を低減するのに有効でありうることを示唆している。
実施例4:MC903外用適用はマウスにおけるEAE重症度を減少させる
MC903外用処置が多発性硬化症(MS)を処置するのに有効かどうかを試験するために、実験的アレルギー性脳炎(EAE)として公知であるMSのマウスモデルの臨床的重症度を低減させるMC903の効果を調べた。マウスを、疾患誘発の1日前から開始して、MC903で毎日、外用処置した。MC903外用処置はEtOH処置マウスと比較して減弱した臨床重症度をもたらした(図7)。このように、MC903外用処置は多発性硬化症の処置にも有益である可能性がある。
MC903外用処置が多発性硬化症(MS)を処置するのに有効かどうかを試験するために、実験的アレルギー性脳炎(EAE)として公知であるMSのマウスモデルの臨床的重症度を低減させるMC903の効果を調べた。マウスを、疾患誘発の1日前から開始して、MC903で毎日、外用処置した。MC903外用処置はEtOH処置マウスと比較して減弱した臨床重症度をもたらした(図7)。このように、MC903外用処置は多発性硬化症の処置にも有益である可能性がある。
実施例5:MC903外用適用は血清誘発性関節炎における腫脹および紅斑を減少させる
以下の実験では関節リウマチのマウスモデルにおける関節腫脹をMC903処置が減弱できるかどうかを試験した。このモデルでは、関節炎マウス(K/BxN)からの血清が正常野生型マウスに注射される。これは、約3〜5日後に、約2〜3週間で消散する関節腫脹をもたらす。マウスをMC903またはEtOHで外用処置し(毎日)、マウスに関節炎誘発性血清を注射した(0日目および2日目)。操作されていない野生型マウスと同様に、関節炎誘発性血清を注射したマウスでも、MC903処置は循環Tregレベルを増加させた(図8A)。MC903処置後7日目まで関節腫脹は両群間で同程度であったが、Tregパーセンテージの上昇に付随して、関節腫脹および紅斑の迅速な低減が見られた(図8B)。これらのデータは、MC903処置が関節リウマチに関連する関節腫脹を低減できることを示唆している。
以下の実験では関節リウマチのマウスモデルにおける関節腫脹をMC903処置が減弱できるかどうかを試験した。このモデルでは、関節炎マウス(K/BxN)からの血清が正常野生型マウスに注射される。これは、約3〜5日後に、約2〜3週間で消散する関節腫脹をもたらす。マウスをMC903またはEtOHで外用処置し(毎日)、マウスに関節炎誘発性血清を注射した(0日目および2日目)。操作されていない野生型マウスと同様に、関節炎誘発性血清を注射したマウスでも、MC903処置は循環Tregレベルを増加させた(図8A)。MC903処置後7日目まで関節腫脹は両群間で同程度であったが、Tregパーセンテージの上昇に付随して、関節腫脹および紅斑の迅速な低減が見られた(図8B)。これらのデータは、MC903処置が関節リウマチに関連する関節腫脹を低減できることを示唆している。
実施例6:全身性TSLP誘導におけるさまざまなビタミンD3類似体の調査
ケラチノサイトのVDR刺激はTSLP生産につながり、特定の態様では、それがTreg数の増加を引き起こした。TSLP生産およびTreg数に対する2種類のビタミンD3類似体(22-OXAとしても公知である22-オキサカルシトリオール、およびEB1089)の効果を評価した。MC903と同様に、22-OXAおよびEB1089を、エタノールに溶解して2nmol/耳の用量で、耳皮膚に両側に適用した。5日間の処置後に、マウスから採血し、血清中TSLPレベルを測定した。22-OXAおよびEB1089はどちらも、MC903外用処置で見られるものに匹敵する検出可能な量のTSLPを誘導した(図9A)。しかし、Tregに対する外用処置の効果は、22-OXAまたはEB1089で処置されたマウスの毒性関連罹患および毒性関連死亡ゆえに、評価することができなかった。毒性効果を回避するために、22-OXAおよびEB1089の用量を、マウスの罹患および死亡が観察されなくなる点(22-OXAの場合は0.4nmol/耳; EB1089の場合は0.04nmol/耳)まで下げた。この用量では、TSLPレベルの増加が、22-OXA処置マウスでは検出されなかった(図9B)。EB1089の場合は0.04nmol/耳で多少のTSLPが検出可能であったが(図9C)、この用量で観察される血中Tregの増加は、わずかでしかなかった(図10A)。そのうえ、EB1089(0.04nmol/耳)は、脾臓Treg数に対しては、何の効果もなかった(図10B)。これらのデータは、これら2種類のビタミンD3類似体が望ましい効果を呈さないことを示している。これに比して、MC903は、明白な全身性毒性を伴うことなく、TSLP生産を誘導し、全身のTreg数を増加させることができる。
ケラチノサイトのVDR刺激はTSLP生産につながり、特定の態様では、それがTreg数の増加を引き起こした。TSLP生産およびTreg数に対する2種類のビタミンD3類似体(22-OXAとしても公知である22-オキサカルシトリオール、およびEB1089)の効果を評価した。MC903と同様に、22-OXAおよびEB1089を、エタノールに溶解して2nmol/耳の用量で、耳皮膚に両側に適用した。5日間の処置後に、マウスから採血し、血清中TSLPレベルを測定した。22-OXAおよびEB1089はどちらも、MC903外用処置で見られるものに匹敵する検出可能な量のTSLPを誘導した(図9A)。しかし、Tregに対する外用処置の効果は、22-OXAまたはEB1089で処置されたマウスの毒性関連罹患および毒性関連死亡ゆえに、評価することができなかった。毒性効果を回避するために、22-OXAおよびEB1089の用量を、マウスの罹患および死亡が観察されなくなる点(22-OXAの場合は0.4nmol/耳; EB1089の場合は0.04nmol/耳)まで下げた。この用量では、TSLPレベルの増加が、22-OXA処置マウスでは検出されなかった(図9B)。EB1089の場合は0.04nmol/耳で多少のTSLPが検出可能であったが(図9C)、この用量で観察される血中Tregの増加は、わずかでしかなかった(図10A)。そのうえ、EB1089(0.04nmol/耳)は、脾臓Treg数に対しては、何の効果もなかった(図10B)。これらのデータは、これら2種類のビタミンD3類似体が望ましい効果を呈さないことを示している。これに比して、MC903は、明白な全身性毒性を伴うことなく、TSLP生産を誘導し、全身のTreg数を増加させることができる。
特定の態様において、ビタミンD3類似体は、ケラチノサイトからのTSLPを誘導する(本明細書において例えば22-OXAおよびEB1089について証明したとおり)。いかなる理論にも束縛されることは望まないが、ビタミンD3類似体の毒性は、それが低いバイオアベイラビリティ(限られた皮膚浸透)を有するのであれば、最小限に抑えられる。いかなる理論にも束縛されることは望まないが、ビタミンD3類似体の毒性は、ビタミンD結合タンパク質へのその結合が不十分であるか顕著でないなら、最小限に抑えられる。特定の態様において、ビタミンD3類似体とビタミンD結合タンパク質との不十分なまたは顕著でない会合は、体循環からの類似体の迅速な排泄を保証し、全身毒性を最小限に抑える。別の態様において、MC903は低い皮膚バイオアベイラビリティ(限られた皮膚浸透)を有する。さらに別の態様において、MC903は、ビタミンD結合タンパク質への結合が不十分であるか、または顕著でない。
実施例7:長期使用および全身のTreg数の持続的増加のためのMC903の投与スケジュール
本明細書の他の箇所で証明するように、MC903外用処置は、全身のTreg数の持続的増加につながり、それは炎症性障害の処置において有益である。慢性MC903処置がTreg数の持続的増加をもたらすかどうかを試験するために、マウスを2週以上にわたってMC903で継続的に処置した。
本明細書の他の箇所で証明するように、MC903外用処置は、全身のTreg数の持続的増加につながり、それは炎症性障害の処置において有益である。慢性MC903処置がTreg数の持続的増加をもたらすかどうかを試験するために、マウスを2週以上にわたってMC903で継続的に処置した。
1週間を超える慢性MC903処置(1回/日)は、耳皮膚のアトピー性皮膚炎の発症につながり、それが処置の継続を不可能にした。MC903のこの局所毒性効果を回避するために、毎週、耳を交互に処置した(右耳を1週間、続いて左耳を1週間、次に再び右耳を1週間など)。これにより、最小限のアトピー性皮膚炎でのMC903による慢性治療が可能になった。この耳交替プロトコールを使うと、Tregは予想どおり8日目には全身性に増加したが、処置の4週目以降、循環Tregは増加しなかった(図11)。いかなる理論にも束縛されることは望まないが、Tregの増加は慢性MC903処置に対して不応性になるようであった。そこで、週単位の処置の間に1週間の休薬期間(パルス処置)を設けるように、プロトコールを変更した。マウスを隔週で3日(隔日)/週、MC903で処置したところ(1週間の処置と1週間の休薬)、アトピー性炎症が回避され、循環Treg数の増加が10週にわたって増加した(図11〜12)。
特定の態様において、炎症性疾患を処置するための慢性MC903適用の投与スケジュールは、1週間の処置(毎日または隔日;最低3日/週)と少なくとも1週間の無処置とを含み、それを投与スケジュールとして周期的に繰り返すことができる。別の態様において、使用されるMC903の用量は、処置される皮膚1cm2あたり約0.2nmol〜約20nmolの範囲である。さらに別の態様において、処置される皮膚面積は、効果が達成されるためには、約100cm2〜2,500cm2の範囲である。
実施例8:MC903外用適用は高脂肪飼料のマウスにおける終夜絶食後グルコースレベルを改良する
高脂肪飼料(HFD)II型糖尿病マウスのモデルにおいてMC903の外用投与を評価した。試験の開始時点で8週齢である雄C57BL6マウスを使用した。マウスには20週にわたって高脂肪飼料(45kcal%の脂肪;研究用飼料番号D12451、OpenSource Diets)を給餌した。この期間中に、マウスに、実験の継続期間中は隔週で、週に3回(月曜日、水曜日および金曜日)、エタノールまたはMC903を外用投与した。図13に示すとおり、MC903で処置されたマウスは、改良された終夜絶食後グルコースレベルを示したことから、MC903による外用処置は哺乳動物におけるII型糖尿病の処置に役立ちうることが示唆された。
高脂肪飼料(HFD)II型糖尿病マウスのモデルにおいてMC903の外用投与を評価した。試験の開始時点で8週齢である雄C57BL6マウスを使用した。マウスには20週にわたって高脂肪飼料(45kcal%の脂肪;研究用飼料番号D12451、OpenSource Diets)を給餌した。この期間中に、マウスに、実験の継続期間中は隔週で、週に3回(月曜日、水曜日および金曜日)、エタノールまたはMC903を外用投与した。図13に示すとおり、MC903で処置されたマウスは、改良された終夜絶食後グルコースレベルを示したことから、MC903による外用処置は哺乳動物におけるII型糖尿病の処置に役立ちうることが示唆された。
本明細書において言及したありとあらゆる特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる。
本発明を具体的態様に関して開示したが、他の当業者が、本発明の真の要旨と範囲から逸脱することなく、本発明の他の態様および変形を考案しうることは、明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような態様および等価な変形をすべて包含すると解釈されるものとする。
Claims (51)
- それを必要とする対象において全身の制御性T細胞(Treg)レベルを増加させる方法であって、ビタミンD3類似体の薬学的有効量を該対象に外用投与する工程を含み、それによって該対象において全身のTregレベルが増加される、方法。
- 対象における全身のTregレベルが、対照対象における全身のTregレベルよりも少なくとも約20%高い、請求項1記載の方法。
- 対象が炎症性疾患を患っている、請求項1記載の方法。
- 対象が、I型糖尿病、II型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、および関節リウマチからなる群より選択される少なくとも1つの疾患または障害を患っている、請求項1記載の方法。
- 類似体が、1,25-ジヒドロビタミンD3より低い血漿カルシウム上昇活性を有する、請求項1記載の方法。
- 類似体が、1α,18,25-(OH)3D3; 23-(m-(ジメチルヒドロキシメチル)-22-イン-24,25,26,27(テトラノル)-1α-OH)2D3; 1α,25-ジヒドロキシ-trans-イソタキステロール(1,25-trans-Iso-T); (1S,3R,6S)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3; (1S,3R,6R)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3; 22-(p-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3; 22-(m-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3; 26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903またはカルシポトリオール); 1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(EB1089); 1α,25-(OH)-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリスホモビタミンD(KH1060); 22-オキサ-1α,25(OH)2D3(OCTまたは22-OXA); 1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3; およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項5記載の方法。
- 類似体が、MC903、EB1089、22-OXA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項5記載の方法。
- ビタミンD3類似体がMC903である、請求項5記載の方法。
- 対象が哺乳動物である、請求項1記載の方法。
- 哺乳動物がヒトである、請求項9記載の方法。
- 類似体が、処置の週の後に無処置の週が続く投与スケジュールで、対象に外用投与される、請求項1記載の方法。
- 処置の週では、毎日および隔日からなる群より選択される頻度で、対象に類似体が外用投与される、請求項11記載の方法。
- 所与の皮膚1cm2あたり約0.2nmol〜約20nmolの類似体が対象に投与されるように、対象の所与の皮膚面積に類似体が適用される、請求項1記載の方法。
- 対象における所与の皮膚面積が約100cm2〜2,500cm2の範囲である、請求項13記載の方法。
- 類似体が、約0.005%〜約10%(w/w)の類似体を含む薬学的組成物に製剤化される、請求項1記載の方法。
- それを必要とする対象において全身性免疫応答を抑制または低減する方法であって、ビタミンD3類似体の薬学的有効量を該対象に外用投与する工程を含み、それによって該対象における全身性免疫応答が抑制または低減される、方法。
- 類似体の投与が、対象における全身の制御性T細胞(Treg)レベルを増加させる、請求項16記載の方法。
- 対象における全身のTregレベルが、対照における全身のTregレベルよりも少なくとも約20%高い、請求項16記載の方法。
- 対象が炎症性疾患を患っている、請求項16記載の方法。
- 対象が、I型糖尿病、II型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、および関節リウマチからなる群より選択される疾患または障害を患っている、請求項16記載の方法。
- 類似体が、1,25-ジヒドロビタミンD3より低い血漿カルシウム上昇活性を有する、請求項16記載の方法。
- 類似体が、1α,18,25-(OH)3D3; 23-(m-(ジメチルヒドロキシメチル)-22-イン-24,25,26,27(テトラノル)-1α-OH)2D3; 1α,25-ジヒドロキシ-trans-イソタキステロール(1,25-trans-Iso-T); (1S,3R,6S)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3; (1S,3R,6R)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3; 22-(p-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3; 22-(m-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3; 26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903またはカルシポトリオール); 1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(EB1089); 1α,25-(OH)-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリスホモビタミンD(KH1060); 22-オキサ-1α,25(OH)2D3(OCTまたは22-OXA); 1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3; およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
- 類似体が、MC903、EB1089、22-OXA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項21記載の方法。
- 類似体がMC903である、請求項21記載の方法。
- 対象が哺乳動物である、請求項16記載の方法。
- 哺乳動物がヒトである、請求項25記載の方法。
- 類似体が、処置の週の後に無処置の週が続く投与スケジュールで、対象に外用投与される、請求項16記載の方法。
- 処置の週では、毎日および隔日からなる群より選択される頻度で、対象に類似体が外用投与される、請求項27記載の方法。
- 所与の皮膚1cm2あたり約0.2nmol〜約20nmolの類似体が対象に投与されるように、対象の所与の皮膚面積に類似体が適用される、請求項16記載の方法。
- 対象の所与の皮膚面積が約100cm2〜2,500cm2の範囲である、請求項29記載の方法。
- 類似体が、約0.005%〜約10%(w/w)の類似体を含む薬学的組成物に製剤化される、請求項16記載の方法。
- それを必要とする対象において全身性炎症性疾患または全身性炎症性障害を処置する方法であって、該方法が、ビタミンD3類似体の薬学的有効量を該対象に外用投与する工程を含み、該疾患または該障害が、I型糖尿病、II型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、および関節リウマチからなる群より選択される、方法。
- 類似体の投与が、対象における全身の制御性T細胞(Treg)レベルを増加させる、請求項32記載の方法。
- 対象における全身のTregレベルが、対照における全身のTregレベルよりも少なくとも約20%高い、請求項32記載の方法。
- 類似体が、1,25-ジヒドロビタミンD3より低い血漿カルシウム上昇活性を有する、請求項32記載の方法。
- 類似体が、1α,18,25-(OH)3D3; 23-(m-(ジメチルヒドロキシメチル)-22-イン-24,25,26,27(テトラノル)-1α-OH)2D3; 1α,25-ジヒドロキシ-trans-イソタキステロール(1,25-trans-Iso-T);(1S,3R,6S)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3;(1S,3R,6R)-7,19-レトロ-1,25-(OH)2D3; 22-(p-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3; 22-(m-(ヒドロキシフェニル)-23,24,25,26,27-ペンタノル-D3; 26,27-シクロ-22-エン-1α,24S-ジヒドロキシビタミンD3(MC903またはカルシポトリオール); 1(S),3(R)-ジヒドロキシ-20(R)-(5'-エチル-5'-ヒドロキシ-ヘプタ-1'(E),3'(E)-ジエン-1'-イル)-9,10-セコプレグナ-5(Z),7(E),10(19)-トリエン(EB1089); 1α,25-(OH)-20-エピ-22-オキサ-24,26,27-トリスホモビタミンD(KH1060); 22-オキサ-1α,25(OH)2D3(OCTまたは22-OXA); 1R,25-ジヒドロキシ-21-(3-ヒドロキシ-3-メチルブチル)ビタミンD3;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項35記載の方法。
- 類似体が、MC903、EB1089、22-OXA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項35記載の方法。
- 類似体がMC903である、請求項35記載の方法。
- 対象が哺乳動物である、請求項32記載の方法。
- 哺乳動物がヒトである、請求項39記載の方法。
- 類似体が、処置の週の後に無処置の週が続く投与スケジュールで、対象に外用投与される、請求項32記載の方法。
- 処置の週では、毎日および隔日からなる群より選択される頻度で、対象に類似体が外用投与される、請求項41記載の方法。
- 所与の皮膚1cm2あたり約0.2nmol〜約20nmolの類似体が対象に投与されるように、対象の所与の皮膚面積に類似体が適用される、請求項32記載の方法。
- 対象の所与の皮膚面積が約100cm2〜2,500cm2の範囲である、請求項43記載の方法。
- 類似体が、約0.005%〜約10%(w/w)の類似体を含む薬学的組成物の一部として製剤化される、請求項32記載の方法。
- それを必要とする対象において全身の制御性T細胞(Treg)レベルを増加させる方法であって、該方法が、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)アイソフォームを含むポリペプチドの薬学的有効量を該対象に投与する工程を含み、該アイソフォームが、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる群より選択される少なくとも1つに対して少なくとも85%の同一性を有する、方法。
- それを必要とする対象において全身性免疫応答を抑制または低減する方法であって、該方法が、TSLPアイソフォームを含むポリペプチドの薬学的有効量を該対象に投与する工程を含み、該アイソフォームが、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる群より選択される少なくとも1つに対して少なくとも85%の同一性を有する、方法。
- それを必要とする対象において全身性炎症性疾患または全身性炎症性障害を処置する方法であって、該方法が、TSLPアイソフォームを含むポリペプチドの薬学的有効量を該対象に投与する工程を含み、該アイソフォームが、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる群より選択される少なくとも1つに対して少なくとも85%の同一性を有し、該疾患または該障害が、I型糖尿病、II型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、および関節リウマチからなる群より選択される、方法。
- TSLPアイソフォームがSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:2からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項46〜48のいずれか一項記載の方法。
- 対象がヒトである、請求項46〜49のいずれか一項記載の方法。
- ビタミンD3類似体とTSLPアイソフォームを含むポリペプチドとから選択される少なくとも1つの作用物質、および対象への該作用物質の投与に関する説明書を含む、対象における全身性免疫応答を抑制または低減するためのキットであって、該類似体が該対象に外用投与されるものである、キット。
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