本明細書において利用される以下の用語については、以下に記載する定義が適用可能である。
平衡回転:回転質量体の質量中心が回転軸上に位置すること。
チャンバ容積:圧縮に使用する流体を収容可能な容積。
圧縮機:圧縮性流体の圧力を上げるのに使用される装置。流体は、気体または蒸気のいずれかであってもよく、様々な分子量を有する。
同心:一の物体の中心または軸が、別の物体の中心または軸と一致すること。
同心回転:一の物体の回転中心が別の物体の回転中心と同じ軸上にある回転。
容積型圧縮機:チャンバ内の一定量のガスを集め、チャンバの容積を減らすことによって当該ガスを圧縮する圧縮機。
近接:高圧領域と低圧領域との間の流体の流れを制限するのに十分に近いこと。制限は絶対的である必要はなく、多少の漏れは許容可能とする。
ロータ:機械的な力によって駆動され軸周りに回転する回転要素。圧縮機の設計で使用される場合、ロータは流体にエネルギーを与える。
ロータリー圧縮機:一つまたは複数の回転要素を動かす入力軸を介して圧縮されるガスにエネルギーを与える容積式圧縮機。
図1〜図7は、ばね付勢カム駆動ゲート位置決めシステムを備えるロータリー圧縮機の本発明の一実施形態の外観図を示す。本体ハウジング100は、本体ケーシング110および端板120を含み、各端板120はドライブシャフト140が軸方向に貫通する孔を有する。複数のリキッドインジェクタ(液体噴射)アセンブリ130は、本体ケーシング110に設けられた孔にそれぞれ位置する。本体ケーシングは、吸入口フランジ160用の孔、および、ゲートケーシング150用の孔を有する。
ゲートケーシング150は、本体ケーシング110の開口部の位置において本体ケーシング110の下側に位置し本体ケーシングに接続されている。ゲートケーシング150は、吸入側152と吐出側154の2つの部分からなる。ゲートケーシング150の他の実施形態では、単一構造であってもよい。図28に示すように、吐出側154は、吐出弁440に通じる孔である吐出ポート435を含む。これに代えて、吐出弁アセンブリを使用してもよい。
図1〜図7に示すように、ばね付勢カム駆動ゲート位置決めシステム200は、ゲートケーシング150およびドライブシャフト140に取り付けられている。ゲート位置決めシステム200は、ロータ500の回転に連動してゲート600を移動させる。可動アセンブリは、ゲート支持アーム220および軸受支持板156に接続されたゲート支柱210およびカム支柱230を含む。軸受支持板156は、ボルト締めされたガスケット接続を介して吸入側部分および吐出側部分と面することにより、ゲートケーシング150を密封している。軸受支持板156は、ゲートケーシング150を密閉し、十分に平行な態様で軸受ハウジング270を搭載して、圧縮ばね280を制限するように構成される。一実施形態では、ゲートケーシング150の内部は、Oリング、ガスケットまたはその他のシール材を使用して軸受支持板156によって気密封止される。他の実施形態では、軸受を他の位置で支持してもよく、この場合、別のプレートを使用してゲートケーシング内部を封止してもよい。シャフトシール、メカニカルシール、または他のシール機構を使用して、軸受支持板156または他のシーリングプレートを貫通するゲート支柱210の周囲を封止することができる。軸受台とも称される軸受ハウジング270は、ゲート支柱210およびカム支柱230と同心になっている。
図示の実施形態では、圧縮構造はロータ500を含む。しかしながら、他の実施形態では、他の実施形態に係る別の圧縮機を提供するために、別の種類の圧縮構造(例えば、歯車、ねじ、ピストンなど)を圧縮室と関連して使用することができる。
2つのカムフォロワ250が各カム240に対して接線方向に配置され、ゲートに下向きの力を提供する。ドライブシャフト140はカム240を回転させ、回転したカム240はカムフォロワ250に力を伝達する。カムフォロワ250は、両端に支持された貫通軸に取り付けられてもよいし、或いは、片持ち梁構造として片側のみ支持されてもよい。カムフォロワ250はカムフォロワ支持体260に取り付けられ、カムフォロワ支持体260はカム支柱230に力を伝達する。カム240が回転するとカムフォロワ250が押し下げられ、カム支柱230が下方に移動する。これにより、ゲート支持アーム220およびゲート支柱210が下降する。これにより、ゲート600が下方に移動する。
ばね280は上向きの復元力を提供して、ロータ500を密閉する位置にゲート600を適切なタイミングで保持する。カム240が回転し続けカムフォロワ250に下向きの力を及ぼすことができない状態になると、ばね280は上向きの力を提供する。この実施形態に示すように、圧縮ばねが利用されている。当業者には明らかなように、所望の上向きの力または下向きの力を提供するように、引張ばねおよび軸受支持板156の形状を変更してもよい。ばね280の上向きの力によってカムフォロワ支持体260が押されて、ゲート支持アーム220が押し上げられて、ゲート支持アーム220がゲート600を上方に動かす。
カムフォロワ250とカム240との間の圧力角が変化するため、好ましい実施形態は、ロータ500の輪郭とは異なる外部カム輪郭を採用してもよい。輪郭を変化させることにより変化する圧力角を補償することを可能にし、ゲート600の先端が圧縮サイクル全体を通じてロータ500に近接した状態を保つことができる。
図3、図6および図7の線Aは、図8の圧縮機の断面図の位置を示している。図8に示すように、本体ケーシング110は円筒形状を有している。ロータケーシング400に開口部を設けるように、リキッドインジェクタハウジング132が本体ケーシング110に取り付けられている、または、本体ケーシングの一部として成型されている。本実施形態では本体ケーシングが円筒形状であるので、ロータケーシング400はシリンダとも称される。内壁は、ロータケーシング容積410(圧縮室とも呼ばれる)を画定する。ロータ500は、ドライブシャフト140と同心に回転し、キー540を介してドライブシャフト140に固定される。ロータ500をドライブシャフト140に取り付けるための別の方法としては、例えばポリゴン、キー溝またはテーパー付きシャフトを使用することもできる。
図9は、ばねゲート位置決めシステムを有するタイミングベルトが利用される本発明の実施形態を示す。この実施形態290では、2つのタイミングベルト292を組み込んでおり、ベルトの各々が滑車294を介してドライブシャフト140に取り付けられている。タイミングベルト292は、滑車295を介して第2のシャフト142に取り付けられている。ゲート支柱ばね296は、ゲート支柱の周りに取り付けられる。ロッカーアーム(rocker arm)297は、ロッカーアーム支持体299に取り付けられている。ロッカーアーム297を押し下げるべく、滑車295がロッカーアームカム293に接続されている。内側リングがロッカーアーム297の一方の側を押し下げると、ロッカーアーム297の他方の側がゲート支持棒298を押し上げる。ゲート支持棒298は、ゲート支柱およびゲート支柱ばね296を押し上げる。これにより、ゲートが上方に移動する。ばね296は、ゲートを押し下げる下向きの力を提供する。
図10〜図17は、デュアルカムフォロワ・ゲート位置決めシステムを使用するロータリー圧縮機の実施形態の外観図を示す。本体ハウジング100は、本体ケーシング110および端板120を含み、各端板120はドライブシャフト140が軸方向に貫通する孔を有する。複数のリキッドインジェクタ(液体噴射)アセンブリ130は、本体ケーシング110に設けられた孔にそれぞれ位置する。本体ケーシングは、吸入口フランジ160用の孔、および、ゲートケーシング150用の孔を有する。ゲートケーシング150は、上述したように本体ケーシング110に取り付けられ、本体ケーシング110の下方に配置される。
デュアルカムフォロワ・ゲート位置決めシステム300は、ゲートケーシング150およびドライブシャフト140に取り付けられている。デュアルカムフォロワ・ゲート位置決めシステム300は、ロータ500の回転に連動してゲート600を動かす。好ましい実施形態では、カムのサイズおよび形状は、ロータの断面サイズおよび形状とほぼ同一である。他の実施形態では、ロータ、カム形状、曲率、カムの厚さおよびカムのリップの厚さの変動は、カムフォロワの迎え角の変動を考慮して調整することができる。また、より大きいまたはより小さいサイズのカムを使用することができる。例えば、同様な形状の小さいサイズのカムを使用してローラ速度を低減させることができる。
可動アセンブリは、ゲート支持アーム220および軸受支持板156に接続されたゲート支柱210およびカム支柱230を含む。本実施形態では、軸受支持板157は真っ直ぐである。当業者には明らかであるように、軸受支持板は異なる幾何学的形状を有してもよく、ゲートケーシング150の封止を行うように設計された構造、または、封止をしないように設計された構造を含んでもよい。本実施形態では、軸受支持板157は、ボルト締めされたガスケット接続により、ゲートケーシング150の底部を封止する役割を果たす。軸受台とも称される軸受ハウジング270は、軸受支持板157に取り付けられ、ゲート支柱210およびカム支柱230と同心になっている。特定の実施形態では、この可動アセンブリを含む構成要素は、重量を低減するように最適化されて、ゲート600の先端をロータ500の近くに保持するために必要な加速を達成するのに必要な力を低減させる。いずれかの可動部品の外側から材料を除去すること、および、ゲート支柱210またはゲート600のような可動部品の内部をくりぬくことによって、重量の低減を更に又および/または上記に代えて達成することができる。
ドライブシャフト140はカム240を回転させ、カム240は上側カムフォロワ252および下側カムフォロワ254を含むカムフォロワ250に力を伝達する。カムフォロワ250は、両端に支持された貫通軸に取り付けられてもよいし、或いは、片持ち梁構造として片側のみ支持されてもよい。本実施形態では、4つのカムフォロワ250が各カム240に使用されている。2つの下側カムフォロワ252が、カム240の下方に位置し、カム240の外側端に従動する。これらは貫通シャフトを使用して搭載される。2つの上側カムフォロワ254が、上記の2つのカムフォロワの上方に配置され、カム240の内側縁に沿って配置される。これらは片持ち梁接続を使用して搭載される。
カムフォロワ250はカムフォロワ支持体260に取り付けられ、カムフォロワ支持体260はカム支柱230に力を伝達する。カム240が回転すると、カム支柱230が上下に動く。これにより、ゲート支持アーム220およびゲート支柱210が上下に移動し、ゲート600が上下に移動する。
図11、図12、図15および図16の線Aは、図17の圧縮機の断面図の位置を示している。図17に示すように、本体ケーシング110は円筒形状を有している。ロータケーシング400に開口部を設けるべく、リキッドインジェクタハウジング132が本体ケーシング110に取り付けられている、または、本体ケーシングの一部として成型されている。ロータ500は、ドライブシャフト140の周りを同心回転する。
ベルト駆動システム310を使用する実施形態を図18に示す。タイミングベルト292は、滑車294を介してドライブシャフト140と接続されている。タイミングベルト292はそれぞれ、別のセットの滑車295を介して第2のシャフト142に取り付けられている。本実施形態では、第2のシャフト142は、ゲートケーシング150の下に配置された外部カム240を駆動する。上側カムフォロワ254と下側カムフォロワ252からなる組がカム240に適用され、ゲート支柱210およびゲート支持アーム220を含む可動アセンブリに力を提供する。当業者には明らかなように、ベルトを鎖または他の部材で置き換えてもよい。
オフセットゲートガイドシステムを使用する本発明の実施形態が、図19から図22および図33に示されている。圧縮ガスおよび注入された流体の排出は、内部照明機能を可能にするべく一緒にボルト止めされた2つの部分からなる開口ゲートシステム602によって達成される。流体は、ゲート602上部のチャネル630を通過して長さ方向に移動して、サイクル中にロータ500の回転角に関連したタイミングで、排液ポート344を通って吐出口へと向かう。離散点ばね付勢スクレーパーシール326は、単一部品のゲートケーシング336内のゲート602の封止を提供する。リキッドインジェクションは、様々なフラットスプレーノズル322および噴射器ノズル130によって達成され、様々なリキッドインジェクタポート324の位置および角度で行われ得る。
ツーピースゲート602の往復運動は、オフセットばね付勢カムフォロワ制御システム320を使用して制御され、ロータ回転と協働してゲートの動きを実現する。カム支柱338を通ってカムフォロワ250に力が伝達されることにより、シングルカム342がゲートシステムを下方に駆動する。これにより、ボルト(一部が328と図示されている)によってツーピースゲート602に接続されているクロスアーム334が制御されて動作する。クロスアーム334には、カムシャフト332の長さ方向に沿って往復運動するリニアブッシング330が取り付けられ、ゲート602およびクロスアーム334の動きを制御する。カム軸332は、カム軸支持ブロック340を用いて本体ケーシングに精度良く固定される。圧縮ばね346はクロスアーム334に戻る力を提供するべく使用され、カムフォロワ250がカムと常に転がり接触を維持することを可能にし、これによりツーピースゲート602の制御された往復運動が可能となる。
図23には、ゲート位置決めを行うリニアアクチュエータシステム350を使用した一実施形態が示されている。一対のリニアアクチュエータ352がゲートを駆動するのに使用される。この実施形態では、他の実施形態と同様にドライブシャフトをゲートに機械的に連結する必要はない。リニアアクチュエータ352は、ロータの回転に応じてゲートを昇降させるように制御される。アクチュエータは、電子式、油圧式、ベルト駆動式、電磁式、ガス駆動式、可変摩擦式、または他の手段によるものであってもよい。アクチュエータは、コンピュータ制御されてもよいし、他の手段によって制御されてもよい。
図24Aおよび図24Bは、磁気駆動システム360を示す。ゲートシステムは磁場発生器を配置することによって往復運動で駆動または制御されてもよく、磁場発生器は、ロータ500、ゲート600および/またはゲートケーシング150の任意の組み合わせに設けられた永久磁石または電磁石であってもよい。このシステムの目的は、ゲート600の先端からロータ500の表面までの距離をサイクル全体のあらゆる角度において一定に保つことである。好ましい磁気システムの実施形態では、永久磁石366がロータ500の端部に取り付けられ保持される。さらに、永久磁石364がゲート600内に設置され保持される。磁石の極は、ロータの磁石366とゲートの磁石364との間に発生する磁力が反発力となるように配置され、この反発力がサイクル全体にわたってゲート600を下向きに押して当該ゲートの動きを制御し一定の距離を保つようにする。ゲート600に上向きの元に戻る力を与えるには、ゲート600の底部およびゲートケーシング150の底部に更なる磁石(図示せず)を設置して、更なる反発力を提供する。磁気駆動システムは、ゲートの往復運動を正確に制御するように平衡がとられている。
他の実施形態では、ゲートの上部においてゲートとロータとの間に引力が提供され、ゲートの底部においてゲートとゲートケーシングとの間に引力が提供されるような、別の磁極配置を採用することができる。下に配置される磁石システムの代わりに、反発力を提供するべく、ばねを使用することができる。各実施形態において、永久磁石の代わりに電磁石を使用することができる。また、スイッチトリラクタンス電磁石を使用することもできる。別の実施形態では、電磁石はロータおよびゲート内でのみ使用されてもよい。電磁石の極は往復運動サイクルにおいてゲートの移動の各変曲点で切り替わり、引力および反発力で使用することができる。
これに代えて、直接油圧または間接油圧(ハイドロニューマチック)を使用してゲートに原動力/エネルギーを加えて、ゲートを駆動し、当該ゲートを適切な位置に配置してもよい。ソレノイドまたは他の流量制御弁を使用して、油圧要素または油空圧要素の位置および動きに動力を供給するおよび規制することができる。膜/ダイアフラムを使用するシリンダ式または直接式油圧アクチュエータを使用して、油圧力を、ゲートに作用する機械的力へと変換することができる。
図25には、スコッチヨーク・ゲート位置決めシステム370を使用する実施形態が示されている。ここでは、一対のスコッチヨーク372がドライブシャフトおよび軸受支持板に接続されている。ローラは、ドライブシャフトに対して一定の半径で回転する。ローラはヨーク372内の溝に沿って動作し、往復運動に制限される。ヨークの形状は、所望のゲート運動をもたらすような特定の形状にすることができる。
当業者には明らかなように、これら代替の駆動機構は、ドライブシャフトとゲートとの間に、特定数の連結を必要としない。例えば、単一のばね、ベルト、連結棒またはヨークを使用することができる。設計の実装に応じて、2つ以上のこのような要素を使用することができる。
図26A−図26Fは、チップシール(tip seal)620を使用する実施形態の圧縮サイクルを示す。ドライブシャフト140が回転すると、ロータ500およびゲート支柱210がゲート600を押し上げるため、ロータ500とゲートの動作のタイミングが合うようになっている。ロータ500が時計回りに回転すると、ゲート600は、ロータ500が図26Cに示す12時の位置になるまで上昇する。ロータ500が回転し続けると、ゲート600は図26Fの6時の位置に戻るまで下方に移動する。ゲート600は、ロータ500によって取り込まれていないシリンダの部分を、2つの構成要素、吸入部分412と圧縮部分414とに分けている。一実施形態では、チップシール620はゲート600の中心に配置されていなくてもよく、その代わりに、圧力がゲートに下向きの力を及ぼすことができるゲート上部の領域を最小にするように、一方にシフトして配置されていてもよい。このようにすることで、システムの隙間容積を最小化する効果もある。別の実施形態では、チップシール620のロータ500に近接する端部が丸く形成されていてもよく、丸くすることにより、チップシール620がその回転中に様々な点でロータ500に接触する際に接触角が変化するのに対応できる。
図26A〜26Fは、定常状態の動作を示している。したがって、ロータ500が6時の位置にある図26Aでは、ロータケーシング容積410のサブセットを構成する圧縮容積414は既に流体を受容している。図26Bでは、ロータ500が時計回りに回転しゲート600が上昇し、チップシール620がロータ500と接触して、ロータケーシング容積410のサブセットを構成する吸入容積412を圧縮容積414から分離する。チップシール620の代わりに以下に説明するローラーチップ650を使用する実施形態も同様に動作する。図26C〜Eにさらに示されるように、ロータ500が回転すると吸入容積412が増加し、それにより吸入口420から流体がさらに吸入され、圧縮容積414は減少する。圧縮容積414の容積が減少すると、圧力が上昇する。加圧された流体は吐出口430から排出される。圧縮サイクル中に所望の高圧に達する時点で吐出弁が開き、高圧流体が圧縮容積414から流出する。この実施形態では、弁は圧縮ガスと圧縮室に注入された液体との両方を流出させる。
図27A〜図27Fは、ゲート600がチップシールを使用しない一実施形態を示す。代わりに、ゲート600は、回転するにつれてロータ500に近接するようにタイミング調整される。ゲート600をロータ500に近接させることにより、高圧流体が逃げる場所として非常に小さな経路のみ残される。(リキッドインジェクタ136またはゲート自体に配置されているインジェクタによる)液体に近接することにより、ゲート600は吸入流体コンポーネント412および圧縮コンポーネント414を効果的に生成することができる。ノッチ640を組み込んだ実施形態も同様に動作する。
図28は、ロータケーシング400、ロータ500およびゲート600の断面斜視図である。吸入ポート420は、ガスが流入可能な経路を示している。吐出430は、吐出弁440に通じる吐出ポート435として機能するいくつかの孔からなる。ゲートケーシング150は、吸入側152と吐出側154の2つの部分からなる。戻り圧力経路(図示せず)をゲートケーシング150の吸入側152および吸入ポート420に接続して、ゲートシールを通過して漏れることによるゲート600に対する背圧の蓄積を防ぐことができる。当業者であれば分かるように、完全な気密封止は必要ないが、気密封止を達成することが望ましい。
別の実施形態では、吐出ポート435は、ゲートケーシング150ではなくロータケーシング400内に設けられてもよい。また、吐出ポートはロータケーシング内の様々な位置に配置することができる。吐出弁440は圧縮室に近い位置に配置され、吐出ポート430の容積を効果的に最小にして、吐出ポートに関連する隙間容積を最小にすることができる。1つ以上の吐出弁440を収容し、吐出弁440と吐出ポート435とが一列に並ぶようにロータケーシング400またはゲートケーシング150に直接接続される弁カートリッジを使用することができる。これにより、吐出弁440の取り付けおよび取り外しが容易になる。
図29には、フラットスプレー・リキッドインジェクタハウジング170が、ほぼ3時の位置で本体ケーシング110上に配置された他の実施形態が示されている。これらのインジェクタは、ゲートが高温に達しないように液体をゲート600の吸入側に直接注入するのに使用され得る。これらのインジェクタはまた、ロータ500上に液体のコーティングを提供するのに使用することもでき、圧縮機をシールするのに役立つ。
上述のように、好ましい実施形態では、ロータケーシング内で同心回転するロータを使用する。好ましい実施形態では、ロータ500は、本体ケーシング110の長さ方向に延在する非円形の断面を有する直円柱形状を有する。図30は、ロータ500のシール部分および非シール部分の断面図を示す。ロータ500の外形は、3つの部分からなる。区間Iおよび区間IIIにおける半径は、サイクロイド曲線によって定義される。この曲線はゲートの上昇と下降を表し、ゲートの最適加速度プロファイルを規定する。他の実施形態では、二重調和関数(double harmonic function)のような半径を定義する異なる曲線関数を使用することができる。区間IIは、ロータの最大半径に対応する一定の半径570を採用している。最小半径580は、ロータ500の底部の区間Iと区間IIIとの交差点に位置する。好ましい実施形態では、Φは23.8度である。他の実施形態では、圧縮機の所望のサイズ、ゲートの所望の加速度、および所望のシール面積に応じて、他の角度を利用することができる。
一の好ましい実施形態におけるロータ500の半径は、以下の関数を用いて計算することができる。
別の実施形態によれば、ロータ500の半径は3−4−5多項式関数として計算される。
好ましい実施形態では、ロータ500は1つの軸に沿って対称である。一般的に、ロータの断面形状は卵形に似ている。ロータ500は、ドライブシャフト140とキー540が取り付けられている孔530を有する。ロータ500は、区間IIに対応するロータ500の外面であるシール部510と、区間Iおよび区間IIIに対応するロータ500の外面である非シール部520とを有する。区間Iおよび区間IIIは、圧縮容積を生成する区間IIよりも小さい半径を有する。シール部分510はロータケーシング400の湾曲に対応するように成形され、それにより、吐出口430と吸入口420との間の連通を効果的に最小化するドエルシール(dwell seal)を形成する。ドエルシールには物理的接触は必要ない。代わりに、通過できる流体の量を最小限に抑える曲がりくねった経路を作成すれば十分である。好ましい実施形態では、この実施形態におけるロータとケーシングとの間の間隔は、0.008インチ未満(約0.203cm)である。当業者には明らかであるように、この間隔は、ロータ500およびロータハウジング400の機械加工、温度、材料特性における許容誤差および他の特定の適用要件の両方に応じて変更することができる。
後述するように、液体が圧縮室に注入される。シール部分510とロータケーシング400との間の隙間に取り込まれることにより、液体はドエルシールの有効性を高めることができる。
図31Aに示すように、ロータ500は、切り取られる部分と釣合い錘とのバランスを考えて形成される。切欠き孔のいくつかは550として示されており、ロータ500の軽量化が図られている。液体がロータ内部に侵入しないように、これらの軽量化孔を低密度材料で充填することができる。これに代えて、ロータ500の端部にキャップを配置して軽量化孔を密封することもできる。参照番号560と示されている釣合い錘は、ロータ500のその他残りの部分よりも密度の高い材料で形成されている。釣合い錘の形状は様々であり、必ずしも円筒状である必要はない。
ロータ設計にはいくつかの利点がある。図31Aに示すように、ロータ500は、一方の側に7つの切欠き孔550を有し、他方の側に2つの釣合い錘560を有して、質量中心が回転中心に一致するようにしている。開口部530は、ドライブシャフトおよびキーを収容する空間を含む。この重量分布は、バランスの取れた同心運動を実現するように設計されている。切欠き孔および釣合い錘の数および位置は、構造的完全性、重量分布および平衡回転パラメータに応じて変更することができる。様々な実施形態では、バランスのとれたロータの回転を達成するために必要な切り欠き孔および/または釣合い錘を使用する、または、いずれも使用しない場合もある。
ロータ500の断面形状は、ドライブシャフトの回転軸を中心とする同心回転、ドエルシール510部分、および、圧縮のためのガス容積を増加させるための非シール側の開放空間を実現するように構成されている。同心回転は、ドライブシャフトの主回転軸周りの回転を提供することから、より滑らかな運動となり、騒音も低減する。
別のロータ設計502が図31Bに示されている。この実施形態では、3つの孔550および円形の開口部530を使用して異なる曲率の弧が実現される。別の設計504が図31Cに示されている。この場合、堅固なロータ形状が使用され、(より大きいドライブシャフト用に)より大きな孔530が設けられている。図31Dにさらに別のロータ設計506が示されており、容積減少曲線を平滑にする非対称形状が組み込まれ、高い圧力において熱伝達が生じる時間を増加させることを可能にしている。圧縮室内の増加した容積に対応するため、または、異なる湾曲に対応するべく、別のロータ形状を採用してもよい。
幾つかの実施形態では、チップシールが接触するロータ表面が滑らかに形成されており、チップシールの摩耗を最小にすることができる。別の実施形態では、非接触シールの性能を向上させることができる乱流を形成するために、ロータ表面にテクスチャを付けてもよい。他の実施形態では、密封および熱伝達の両方を改善するべく、ロータケーシングの内部円筒壁を、更なる乱流を生成するようにテクスチャ加工してもよい。テクスチャ加工は、部品の機械加工または表面コーティングを利用して達成することができる。テクスチャ加工を達成する別の方法としては、ウォータージェット、サンドブラストまたは類似の装置を用いたブラストが挙げられ、これによって不規則な表面を作り出すことができる。
本体ケーシング110には、取り外し可能なシリンダライナをさらに使用することができる。上述の利点を得るために乱流を誘発するべく、ライナはマイクロサーフェシング加工されてもよい。ライナはまた、ロータおよびケーシングの信頼性を高めるべく、摩耗表面として作用し得る。取り外し可能ライナは、推奨メンテナンススケジュールの一環として、定期的に交換されてもよい。ロータはまた、ライナを含んでもよい。ロータ500のシール部分510に沿って好適な間隙が保たれるように、製造上の欠陥を修正するべく、ロータ500またはロータケーシング400に犠牲コーティングまたは摩耗コーティングを使用することができる。
本体ケーシング110の外面は、用途固有のパラメータを満足するように改質がなされてもよい。例えば、海中用途では、外圧に耐え得るようにケーシングを非常に厚くするか、または、二次圧力容器内に配置する必要がある場合がある。他の用途では、外部物体の取り付けまたは複数の圧縮機の積み重ねを容易にするために、ケーシングの外形を長方形または正方形にしてもよい。例えば、海中用途の場合、更なる熱伝達を達成するためにまたは圧力を均等にするために、ケーシング内で液体を循環させてもよい。
図32Aおよび図32Bに示すように、ロータ500(ここではロータ端部キャップ590で示す)、ゲート600、およびドライブシャフト140の組み合わせは、シリンダ内の流体をより効率的に圧縮する方法を提供する。ゲートは、ロータの長さに沿って配置されて、ロータの回転に応じて吸入部分と圧縮部分とを分離して画定する。
好ましい実施形態では、各端板120に1つの球面ころ軸受を使用して端板120にドライブシャフト140が取り付けられている。総荷重キャパシティを増加させるために、複数の軸受を各端板120に使用することができる。軸受に潤滑油を供給するためにグリースポンプ(図示せず)が使用される。用途に特有のパラメータに応じて、ローラベアリング、ボールベアリング、ニードルベアリング、円錐ベアリング、円筒ベアリング、ジャーナルベアリングなどを含む様々なタイプの他の軸受を使用することができる。グリース、オイル、または他の潤滑剤を使用する異なる潤滑システムを使用することもできる。さらに、乾式潤滑システムまたは乾式潤滑材料を使用してもよい。また、動的不均衡が発生する可能性がある用途の場合、軸方向の漂遊負荷を支持するべく複数軸受構成を使用してもよい。
本発明の実施形態に係るゲートの動作は、図8,図17,図22,図24B、図26A−26F、図27A−27F、図28,図32A−32Bおよび図33−36に示されている。図26A−26Fおよび図27A−27Fに示すように、ゲート600は、吸入容積412と圧縮容積414との間の圧力境界を作り出す。吸入容積412は、吸入口420と連通している。圧縮容積414は、吐出口430と連通している。往復運動する長方形のピストンのように、ゲート600は、ロータ500の回転に伴って昇降する。
ゲート600は、ロータ500と接触してロータ500とゲート600との間の界面を提供するチップシール620を必要に応じて有してもよい。チップシール620は、ロータ500上に乗っているゲート600の先端部に設けられた帯状の材料からなる。チップシール620は、ポリマー、グラファイトおよび金属を含む様々な材料で作製することができ、湾曲した、平坦なまたは傾斜した表面のような様々な形状をとすることができる。チップシール620は、加圧流体によって、もしくは、ばねまたはエラストマーが提供するばね力によって支持されるようにしてもよい。このように構成すると、チップシール620をロータ500と密封接触状態に保つ復元力を提供することができる。
異なる種類の接触先端(contacting tip)をゲート600と共に使用することができる。図35に示すように、ローラーチップ650を使用することができる。ローラーチップ650は、回転するロータ500と接触すると回転する。また、異なる強度のチップを使用してもよい。例えば、チップシール620またはローラーチップ650は、ロータ500の表面が摩耗する前に徐々に摩耗する柔らかい金属で形成されていてもよい。
これに代えて、非接触シールを使用してもよい。この場合、チップシールを省略することができる。これらの実施形態では、ゲート600の最上部は、ロータが回転するとロータ500の近傍に配置されるが、ロータ500と必ずしも接触する必要はない。許容される間隙の大きさは、用途に応じたパラメータに合わせて調整することができる。
図34Aおよび図34Bに示すように、ゲート600の先端がロータ500に接触しない実施形態では、当該先端は、ゲート600の先端にポケット状にガスを保持するように働くノッチ640を有してもよい。気体または液体の形態の同伴流体は、非接触シールを提供するのに役立つ。当業者には明らかなように、ノッチの数およびサイズは、圧縮機の仕様に応じた設計選択の範囲である。
これに代えて、ゲート自体から液体を注入してもよい。図36にはゲートの一部分の断面図が示されており、流体が通過することができる1つ以上のチャネル660をゲートに組み込むことができる。このような実施形態の1つでは、液体は複数のチャネル660を通過して、ロータ500が回転すると、ゲート600の最上部とロータ500との間に液体シールを形成することができる。別の実施形態では、残留圧縮流体を1つ以上のチャネル660に挿入してもよい。さらに、ゲート600は、ロータ500のある部分の湾曲と一致するように成形されて、ゲート600とロータ500との間の隙間を最小にしてもよい。
好ましい実施形態では、ゲートケーシング内にゲートを包囲するようにする。図8および図17に示すように、ゲート600は、ノッチを有するゲートケーシング150によって包囲さる。ノッチの1つは参照番号158で示されている。ノッチは、ゲート600が上下に動く時に圧縮された流体が圧縮容積414からゲート600とゲートケーシング150との間の界面を通って放出しないことを確実にするゲートシールを保持する。このゲートシールは、ポリマー、グラファイトまたは金属を含む様々な材料で作られてもよい。シールは様々な形状を有してもよい。様々な実施形態において、ノッチがゲートケーシングを部分的または完全に貫通しているものを含めた、様々なノッチ形状を利用することができる。
別の実施形態では、シールは、ゲートケーシング150内ではなくゲート600上に配置することができる。ゲート600の周りにリング状にシールを形成し、当該シールはゲートと共にケーシング150に対して移動し、ゲートケーシング150の内部を封止し続ける。シールの位置は、ゲート600の圧力中心がゲートケーシング150の内側のゲート600の部分上に位置するように選択されてもよく、これにより、ロータケーシング400内に延在するゲート600の部分に対する片持ち梁構造の力の影響を低減または排除してもよい。この構成により、ゲート600とゲートケーシング150との間の線接触を排除するのに役立ち、表面接触を提供して摩擦および摩耗の低減を可能にする。ゲート600上で1つ以上の摩耗プレートを使用して、ゲートケーシング150との接触を行ってもよい。シールおよび摩耗プレートの位置は、摩耗プレートを横切る力の適切な分配を保証するように最適化される。
シールは、ばねまたはエラストマーによって提供される付勢力を使用して、ゲートケーシング150の組立体がシールを圧縮するようにすることができる。シールを加圧するのに、加圧流体を使用することもできる。
ゲート600は、ゲートの端部に接続されたゲート支柱210を備える。様々な実施形態において、ゲート支柱210がその先端付近でゲート600に接続できるように、ゲート600をくり抜いて中空にしてもよい。これによりゲート600が受ける熱膨張の量を低減することができる。中空にしたゲートにより、可動アセンブリの重量を減少させることができる。また、より低い温度を維持するために、ゲートの内部に油または他の潤滑剤および冷却剤を飛散させることを可能にする。ゲート支柱210がゲート600に接続される相対的な位置およびゲートシールが配置される相対的な位置は、ゲート600とゲート支柱210の偏向モードが等しくなるように最適化されてもよく、これにより、ゲート600が圧力で撓んだ時に、圧力によって回転するのではなく、ゲート600がゲートケーシング150の内壁と平行に保持されるのを可能にする。平行に保持されると、ゲート600とゲートケーシング150とで負荷を分配し、摩擦および摩耗を低減することができる。
ロータ面シールをロータ500上に配置して、ロータ500と端板120との間の界面を提供することもできる。外側ロータ面シールはロータ500の外縁に沿って配置されて、流体がロータ500の端部を越えて流出するのを防止できる。第2の内側ロータ面シールは小さな半径でロータ面上に配置されて、外側ロータ面シールを越えて流出した流体が圧縮機から完全に逃げないようにする。このシールは、ゲートシールと同じ材料または他の材料を使用することができる。シールの有効性を最適化するために、様々な形状を使用することができる。これらのシールは、ばね、エラストマーまたは加圧流体によって供給される付勢力を利用することができる。油または他の潤滑剤を端板120の孔から注入することによって、ロータ面シールに潤滑を供給してもよい。
本明細書で説明したシールに加えて、それらのシールが接触する表面(対向面とも呼ばれる)もまた考慮され得る。様々な実施形態において、上記対向面の表面を、表面間の摩擦および摩耗を最小限に抑えるべく十分に滑らかに仕上げてもよい。他の実施形態では、潤滑剤の保持または漏出流体の乱流を促進するべく、表面を粗くするまたはクロスハッチングなどのパターンを与えることができる。シールが対向面よりも早く摩耗することを確実にするために,対向面はシールよりも硬質の材料で形成されてもよい、または、シールが対向面よりも硬い材料から構成されて対向面がシールよりも早く摩耗するように構成してもよい。対向面の所望の物理的特性(表面粗さ、硬度など)は、材料選択、焼入れ、焼き戻し、または加工硬化などの材料仕上げ技術、または、所望の特性を達成するコーティング剤の選択および塗布によって達成することができる。表面研削のような最終製造プロセスが、コーティングが適用される前または後に実施されてもよい。様々な実施形態において、対向面材料は、鋼またはステンレス鋼であってもよい。このような材料を、急冷または焼戻しによって硬化させてもよい。クロム、窒化チタン、炭化ケイ素または他の材料であるコーティングが適用され得る。
本体ハウジング100の外部に流体が漏れる可能性を最小にすることが望ましい。部品間の外部接続を封止するために、ガスケットやOリングなどの様々なシールが使用される。例えば、好ましい実施形態では、二重Oリングシールが本体ケーシング110と端板120との間に使用される。ドライブシャフト140の周囲には、ロータ面シールを通過して流体が漏れるのを防ぐために、さらなるシールが行われる。リップシールは、端板120を通過するドライブシャフト140をシールするのに使用される。様々な実施形態では、ドライブシャフト140に沿って複数のシールを使用して、それらの間に小さな隙間を設けてベントラインおよび油圧パッキンを配置し、圧縮室の外部のガス漏れを低減または排除することができる。メカニカルシールまたはラビリンスシールのような他の形態のシールも使用することができる。
おおよその等温圧縮を達成することが望ましい。圧縮プロセス中に冷却を行うために、リキッドインジェクション(液体噴射)が使用される。好ましい実施形態では、熱吸収のために、表面積を大きくするべく液体を噴霧する。他の実施形態では、噴霧の異なる適用または他の液体注入手段を使用することができる。
流体が圧縮される時に当該流体を冷却するのにリキッドインジェクションが使用され、圧縮プロセスの効率を高めることができる。冷却することにより、入力エネルギーの大部分をガスの熱生成ではなく圧縮に使用することを可能にする。液体は、気体に比べて非常に優れた吸熱特性を有し、液体が熱を吸収して作動流体の温度上昇を最小限に抑え、ほぼ等温圧縮を達成することができる。図8および図17に示すように、リキッドインジェクタアセンブリ130は、本体ケーシング110に取り付けられる。リキッドインジェクタハウジング132は、液体源134(ノズルに含まれていない場合)のアダプタおよびノズル136を含む。液体はノズル136を介して直接ロータケーシング容積部410に噴射される。
リキッドインジェクションの量およびタイミングは、液体排液速度、圧縮室内の液位、および/または、液体蓄積による任意の回転抵抗を、様々なセンサを使用して測定することができるコンピュータベースのコントローラを含む様々な器具によって制御することができる。噴射タイミングを選択的に制御するために、弁またはソレノイドをノズルと組み合わせて使用してもよい。また、可変開口制御を使用して、リキッドインジェクションの量および他の特性を調節してもよい。
分析および実験結果を使用して、インジェクタ136の数、位置および噴霧方向を最適化する。インジェクタ136は、シリンダの周囲に配置することができる。リキッドインジェクションは、ロータまたはゲートを介して行われてもよい。このような設計の本実施形態では、12時および10時に位置する2つのノズルを有する。用途によって異なるパラメータに応じて、好ましいノズル配置も異なる。
液体の熱容量は一般に気体よりも非常に大きいので、熱は主に液体によって吸収され、気体の温度はリキッドインジェクションが行われない場合より低く保たれる。
次の式に示すように、流体が圧縮される場合、ポリトロープ指数にまで上昇した圧力×容積は、サイクルを通して一定のままである。
ポリトロープ圧縮では、2つの特別な場合が圧縮スペクトルの両側を表す。上限では、断熱圧縮は、空気の場合n=1.4、メタンについてはn=1.28のポリトロープ定数によって定義される。断熱圧縮は、作動流体の冷却が全くないことを特徴とする(等エントロピー圧縮は、断熱圧縮のサブセットであり、プロセスは可逆的である)。これは、流体の体積減少に応じて、圧力および温度がそれぞれ上昇することを意味する。流体中に熱を発生させるのに費やされるエネルギーが膨大である上に、後で再び冷却する必要があることが多く、非効率的なプロセスである。非効率的なプロセスであるにもかかわらず、往復ピストン型および遠心型圧縮機を含むほとんどの従来の圧縮技術は、本質的に断熱圧縮である。もう一つの特別な場合とは等温圧縮であり、n=1である。これは、流体中で発生した全ての熱が周囲に伝達されて、作動流体を一定の温度に維持できる理想的な圧縮サイクルである。これは達成不可能な完璧な場合であるが、等温圧縮は、流体を圧縮するのに必要なエネルギー量の下限を提供するという点で有用である。
図37には、異なるいくつかの圧縮プロセスを比較するためのサンプルの圧力−容積(P−V)曲線が示されている。等温曲線は理論的に理想的なプロセスを示す。断熱曲線は断熱圧縮サイクルを表し、従来の圧縮機技術の多くがこれに従う。P−V曲線下の面積は圧縮に必要な仕事量を表すので、等温曲線に近づくということは、圧縮に必要な仕事量が少なくなることを意味する。本発明の様々な実施形態に係る一つまたは複数の圧縮機のモデルも示されており、等温プロセスとほぼ同じ結果を達成している。様々な実施形態によれば、上述の冷却剤噴射は、冷却剤による熱の吸収により、等温圧縮に近い状態を得るのを容易にする。このほぼ等温圧縮プロセスは必要とするエネルギーが少ないだけでなく、サイクルの終点におけるガス温度が、従来の圧縮機と比較して非常に低くなる。様々な実施形態によれば、このように圧縮作動流体の温度を下げることができることから、高価で効率の悪いアフタークーラーの使用は必要なくなるまたはそのサイズを小さくすることができる。
本発明の実施形態は、上述の液体冷却剤の噴射によって、このようなほぼ等温圧縮の結果を達成する。一のまたは複数の実施形態によれば、圧縮サイクルの間に液体を圧縮室に直接噴射することによって作動流体が冷却されるので、圧縮効率が改善される。様々な実施形態によれば、圧縮室内のガスが圧縮される領域に液体が直接噴射される。
圧縮点での作動流体と冷却液との間の急速な熱伝達は、高い圧力比の実現を容易にする。これは、熱伝達を改善し圧力比を上昇させるべく変更可能な本発明の様々な実施形態の幾つかの側面につながる。
考慮すべき事項の一つは、液体冷却剤の熱容量である。基本的な熱伝達方程式は次のように表される。
Qは熱、mは質量、ΔTは温度変化、cpは比熱である。
冷却剤の比熱が高いほど、より多くの熱伝達が生じる。
冷却剤の選択は、可能な限り高い熱容量を有する液体を単純に選択することよりも複雑な場合がある。コスト、入手可能性、毒性、作動流体との適合性などの他の要因も考慮することができる。加えて、粘度、密度および表面張力などの流体の他の特性は、後述するように冷却性能に影響を与える液滴形成等に影響を及ぼす。
様々な実施形態によれば、空気圧縮の冷却液体として水が使用される。メタン圧縮の場合、トリエチレングリコールと同様に、様々な液体炭化水素が有効な冷却剤であり得る。
考慮すべき別の事項として、作動流体に対する冷却剤の相対速度が挙げられる。作動流体の圧縮位置(熱発生点である)において当該作動流体に対して冷却剤を動かすことにより、作動流体から冷却液への熱伝達を高めることができる。例えば、圧縮が行われて熱が発生する時までに、圧縮機の吸入口から作動流体と共に動くように冷却剤を注入することは、冷却剤が冷却剤噴射の位置に隣接する作動流体の流れに対して垂直な方向または流れに逆らって注入される場合と比較して、冷却効率が低い。図38(a)〜(d)は、本発明の一実施形態に係る圧縮機における逐次圧縮サイクルの概略図である。図38(c)の点線の矢印は、システムの冷却性能を高めるために本発明の様々な実施形態に従って使用される噴射位置、方向およびタイミングを示す。
図38(a)に示すように、圧縮行程は、圧縮室内の最大作動流体容積(灰色で示されている)で始まる。図示された実施形態では、圧縮行程は、ロータが6時の位置にあるときに開始する(図38(a)〜(d)に示すように、6時の位置にゲートが配置され、ゲートの左側に吸入ポートがゲートの右側に吐出口が配置される実施形態)。図38(b)では、圧縮が開始されてロータが9時の位置にあり、冷却液体が圧縮室に注入されている。図38(c)では、圧縮行程の約50%が完了し、ロータは12時の位置に配置されている。図38(d)には、圧縮行程がほぼ完了した(例えば、約95%完了した)位置(3時)が示されている。ロータが図38(a)の位置に戻ると、最終的に圧縮が完了する。
図38(b)および図38(c)において、点線の矢印は冷却剤噴射のタイミング、位置および方向を示している。
様々な実施形態によれば、冷却剤注入は、圧縮サイクルの一部の間にのみ行われる。例えば、各圧縮サイクル/行程において、冷却剤注入は、圧縮ストローク/行程の最初の10%,20%,30%,40%,50%,60%および/または70%終了した時点またはそれ以降に実施されてもよい(圧縮ストローク/行程は、容積圧縮の観点で測定される)。様々な実施形態において、ロータがノズルを通り過ぎる直前に、冷却剤の噴射を各ノズルで終了させてもよい(例えば、各ノズルでの噴射が(図38に示すように時計回りに)順次終了していく)。様々な別の実施形態では、冷媒の噴射は、ロータの位置にかかわらず圧縮サイクル全体にわたって連続して行われてもよい。
図38(b)および図38(c)に示すように、ロータの掃引方向に対して垂直な方向に圧縮室内に冷却剤を噴射する(すなわち、ロータの回転軸に向かって、ロータの回転軸線に対して内向き半径方向に噴射する)。しかしながら、別の実施形態では、噴射の方向は、より上流側を狙って行われてもよい(例えば、冷却剤がロータの掃引方向に対して部分的に逆流する方向に噴射されるように半径方向に対して鋭角になるように噴射する)。様々な実施形態によれば、鋭角とは、ロータの回転軸からインジェクタのノズルまで延びる半径方向線に対して上流側に向かって0度と90度の間の任意の角度を言う。このような鋭角は、周囲の作動流体に対する冷却剤の速度をさらに増加させ、それによって熱伝達を高めることができる。
考慮すべき更なる事項として、ノズルが冷却剤を圧縮室内に噴射する位置によって規定される冷却剤噴射位置が挙げられる。図38(b)および図38(c)に示すように、おおよそ1時,2時,3時,4時方向に冷媒噴射ノズルが配置されている。これに限らず、本発明の範囲から逸脱することなく、追加のおよび/または代替の場所を選択可能である。様々な実施形態において、噴射の位置は、圧縮機の最高圧縮率(Δ容積/時間またはΔ容積/ロータの回転度合で見た場合、必ずしも両者が一致するとは限らないが)における圧縮容積(図38の灰色で示す)内に配置される。図38に示す実施形態では、最高圧縮率は、ロータが図38(c)に示す12時の位置から図38(d)に示す3時の位置へと回転している間に発生する。この位置は、採用されている圧縮機構に依存し、本発明の様々な実施形態で異なり得る。液体を噴射する際の圧力を最小限にして冷却材噴射に必要な電力を削減するべく、圧縮室内のより早い位置(例えば、図38(a)〜図38(d)の9時の位置)での噴射を選択することができる。更におよび/またはこれに代えて、作動流体が圧縮室に到達する前に、液体(例えば、冷却剤)を吸入ポートに注入してもよい。
当業者には明らかなように、ノズルの数および位置は、様々な要因に基づいて選択されてもよい。ノズルの数は、1個のように少なくてもよいし、256個以上のように多数であってもよい。様々な実施形態によれば、圧縮機は、(a)少なくとも1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,30,40,50,75,100,125,150、175、200、225および/または250個のノズル、(b)400,300,275,250,225,200,175,150,125,100,75,50,40,30,20,15および/または10個未満のノズル、(c)1〜400個のノズル、および/または(d)このような数字を境界とする任意の範囲の間の個数のノズルを有する。様々な実施形態では、液体冷却剤の噴射は、ノズルが使用されないように全く実施されなくてもよい。ロータケーシングの角度に沿った位置を変更するのに加えて、様々な個数のノズルをロータケーシングの長さに沿った様々な位置に設置することができる。ある実施形態では、同じ数のノズルが、ケーシングの長さに沿って様々な角度で配置される。他の実施形態では、ある角度のノズルが他の角度の長さに沿った全く同じ位置に別のノズルが存在しないように、複数のノズルをケーシングの長さに沿って異なる位置で散在させる/互い違いに配置することができる。様々な実施形態では、ロータケーシングに直接接続する1つ以上のノズルが設置されるマニホールドを使用して、複数のノズルの設置およびこれらのノズルへの液体ラインの接続を簡単にすることができる。
考慮すべき更なる事項として、冷却剤の液滴サイズが挙げられる。熱伝達率は、熱伝達が起こり得る液体の表面積に線形比例するので、上述の噴霧ノズルを介してより小さい液滴を生成することは、液体の表面積を増加させて熱伝達がより速くすることができることから、冷却を改善できる。冷却剤の液滴の直径を(所与の質量に対して)半分にすることにより、表面積を2倍に増加させることができ、熱伝達率を2倍にすることができる。さらに、小さな液滴の場合、通常、対流速度は導電率を大きく上回るので、液滴全体にわたって効果的に一定の温度にすることができ、温度勾配をなくすことができる。これは、大きい液滴では液滴の中心部の質量の一部分は冷却効果に寄与しない場合があるのとは対照的に、小さな液滴では気体を冷却するために液体の全質量が使用され得る。このように、可能な限り小さな液滴を噴射することが有利であると考えられる。しかし、図38(b)および図38(c)に示すように、高密度、高乱流領域に噴射された場合、小さすぎる液滴は作動流体によって掃き出されて、作動流体中を移動しなくなり、高い相対速度を維持するリスクがある。また、小さな液滴は蒸発し、圧縮機の内部表面上に固形物の堆積をもたらす場合がある。他の外的要因によって液滴サイズが影響を受ける場合もあり、例えば、ノズルを通って流れる冷却剤の力の損失や、圧縮機が内部で取り扱うことができる液体の量などが挙げられる。
様々な実施形態において、50〜500ミクロン、50〜300ミクロン、100〜150ミクロン、および/またはこれらの範囲内の任意の範囲の平均液滴サイズが有効であり得る。
考慮すべき更なる事項として、冷却液の質量が挙げられる。上記の熱方程式によって証明されるように、より多くの質量(体積に比例する)は、より多くの熱伝達をもたらす。しかしながら、噴射される冷却剤の質量は、圧縮機が収容することができる液体の量と、多量の冷却剤を取り扱うために必要とされる外部電力損失との間のバランスをとるように決定されてもよい。様々な実施形態において、有効質量流量は、(様々な実施形態において、非連続噴射の場合であっても圧縮行程全体で平均として)1〜100ガロン/分(gpm)、3〜40gpm、5〜25gpm、7〜10gpm、および/またはそれらの間の任意の範囲である。様々な実施形態において、圧縮室への液体冷却剤の体積流量は、少なくとも1,2,3,4,5,6,7,8,9および/または10gpmであってもよい。様々な実施形態において、圧縮室への液体冷却剤の流量は、1100,80,60,50,40,30,25,20,15および/または10gpm未満であってもよい。
ノズルアレイは、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10および/または15ガロン/分を超える高い流量、400psi,300psi,200psiおよび/または100psi未満の低差圧において、500ミクロン未満および/または150ミクロン以下の非常に小さなサイズの液滴を扱うことができるように設計されてもよい。2つの代表的なノズルの例としては、Spraying Systems社製、部品番号:1/4HHSJ−SS12007、および、Bexスプレーノズル品番:1/4YS12007が挙げられる。これらに限定するわけではないが、様々な実施形態での使用に適する他のノズルとして、スプレーシステムズ社の部品番号1/4LN−SS14および1/4LN−SS8が含まれる。好ましい流速および液滴サイズの範囲は、適用パラメータによって変化する。別の型のノズルを使用することもできる。例えば、一の実施形態において、シリンダに液体を噴射する用の微小穿孔を設けてし、孔のサイズを小さくすることにより十分に小さな液滴を生成することができる。他の実施形態では、アレイに組み合わされたときに、所与の用途に必要な注入要件を満たす様々な市販のまたはカスタム設計のノズルを使用することができる。
様々な実施形態によれば、上述した考慮すべき事項のうちの一つ、複数および/もしくは全て、ならびに/または、追加の/代替の外部検討事項とのバランスをとりながら、圧縮機の性能を最適化することができる。上記では特定の例が示されたが、異なる圧縮機の設計および用途によって異なる値が選択される場合がある。
様々な実施形態において、冷媒噴射タイミング、位置および/もしくは方向、他の要因、ならびに/または、圧縮機の効率が高いほど、より高い圧力比を得ることが容易になる。本明細書で使用される場合、圧力比とは、(1)圧縮室に入る元の作動流体の絶対吸入口圧力(上流圧力)と(2)圧縮された作動流体の絶対吐出口圧力との比(吐出口弁の下流側における下流圧力)によって規定される。したがって、圧縮機の圧力比は、作動流体が流れ着く下流の容器(パイプライン、タンクなど)の関数となる。本発明の様々な実施形態による圧縮機は、作動流体が周囲環境から取り出され且つ周囲環境に吐出される場合、1:1の圧力比(例えば、14.7psia/14.7psia)を有する。同様に、作動流体を周囲圧力(14.7psia上流圧力)から取り出し、385psia(下流圧力)で吐出した場合、圧力比は約26:1(385psia/14.7psia))になる。
種々の実施形態によれば、圧縮機は、(1)少なくとも3:1、4:1、5:1、6:1、8:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1および/または40:1またはそれ以上の圧力比、(2)200:1、150:1、125:1、100:1、90:1、80:1、70:1、60:1、50:1、45:1、40:1、35:1および/または30:1以下の圧力比、(3)そのような上限および下限の比の任意のおよび全ての組合せ(例えば、10:1〜200:1の間、15:1〜100:1の間、15:1〜80:1の間、15:1〜50:1の間など)を有する。
様々な実施形態では、液体容量が大きい作動流体(例えば、圧縮機の吸入ポートでの液体の体積割合が少なくとも、0.5,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35,40,50,60,70,75,80,85,90,91,92,93,94,95,96,97,98および/または99%)に対して、低い圧力比(例えば、3:1〜15:1)を使用してもよい。逆に、様々な実施形態において、ガス含有量と比較して低い液体容量を有する作動流体に対して、高い圧力比(例えば、15:1を超える)を使用してもよい。しかしながら、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、高い圧力比で湿った気体を圧縮することができ、低い圧力比で乾燥した気体を圧縮することができる。
本発明の様々な実施形態は、様々に異なる動作パラメータを使用する代替動作にも適している。例えば、一つ以上の実施形態における単一の圧縮機は、大きく異なる液体体積割合を有する作動流体を異なる圧力比で効率的に圧縮するのに適している。例えば、一つ以上の実施形態による圧縮機は、(1)3:1〜15:1の圧力比で10〜50パーセントの液体体積率を有する作動流体を圧縮する、または、(2)少なくとも15:1,2:20,30:1および/または40:1の圧力比で10パーセント未満の液体体積割合を有する作動流体を圧縮する、のに適している。
様々な実施形態によれば、圧縮機は、高圧比を使用して、湿ったガスと乾燥したガスの両方を効率的かつコスト効率的に圧縮する。
様々な実施形態によれば、圧縮機は、商業的に実行可能な速度(例えば、450〜1800rpm)で動作可能であり、運転可能である。様々な実施形態によれば、圧縮機は、(a)少なくとも350,400,450,500,550,600および/もしくは650rpmの速度、(b)3000,2500,2000,1800,1700,1600,1500,1400,1300,1200,1100,1050,1000,950,900,850,および/もしくは800rpmの速度、ならびに/または、(c)350〜300rpm、450〜1,800rpmおよび/もしくはこれらの非限定的な上限および下限の範囲内の任意の範囲の速度で動作し得る。様々な実施形態によれば、圧縮機は上記のような速度のうちの一つまたは複数で連続的に、少なくとも0.5,1,5,10,15,20,30,60,90,100,150,200,250,300,350,400,450および/もしくは500分の間運転される、ならびに/または、少なくとも10,20,24,48,72,100,200,300,400および/もしくは500時間運転される。
様々な実施形態において、圧縮された流体の吐出口圧力は、(1)少なくとも200,225,250,275,300,325,350,375,400,425,450,475,500,600,700,800,900,1000,1250,1500,2000,3000,4000および/もしくは5000psig、(2)6000,5500,5000,4000,3000,2500,2250,2000,1750,1500,1250,1100,1000,900,800,700,600および/もしくは500psig未満、(3)200〜6000psig、200〜5000psig、ならびに/または、(4)上記の高い圧力と低い圧力と間の範囲内の任意の圧力である。
様々な実施形態において、吸入口圧力は、圧縮機を取り囲む環境の周囲圧力(例えば、1気圧、14.7psia)である。これに代えて、吸入口圧力は、真空に近い(0psiaに近い)、または、真空と真空付近の圧力との間の圧力であってもよい。別の実施形態では、吸入口圧力は、(1)少なくとも−14.5,−10,−5,0,5,10,25,50,100,150,200,250,300,350,400,450,500,550,600,700,800,900,1000,1100,1200,1300,1400,および/もしくは1500psig、(2)3000,2000,1900,1800,1700,1600,1500,1400,1300,1200,1100,1000,900,800,700,600,500,400および/もしくは350psig未満、ならびに/または(3)−14.5〜3000psig、0〜1500psig、ならびに/または上記の大きな数値と小さな数値の組み合わせが上限下限となる範囲内の圧力、および/もしくは当該範囲内に存在する範囲の任意の圧力である。
様々な実施形態において、作動流体が圧縮室から吐出される時の作動流体の吐出口温度が、作動流体が圧縮室に入る時の作動流体の吸入口温度を超える場合、その温度差は、(a)700,650,600,550,500,450,400,375,350,325,300,275,250,225,200,175,150,140,130,120,110,100,90,80,70,60,50,40,30および/もしくは20℃未満、(b)少なくとも−10,0,10,および/もしくは20℃、ならびに/または(c)上記のうちの大きな数値と小さな数値との組み合わせが上限下限となる範囲内の温度差および/もしくは当該範囲内に存在する任意の範囲内の温度差である。
様々な実施形態において、作動流体の吐出口温度は、(a)700,650,600,550,500,450,400,375,350,325,300,275,250,225,200,175,150,140,130,120,110,100,90,80,70,60,50,40,30および/もしくは20℃未満、(b)少なくとも−10,0,10,20,30,40,および/もしくは50℃、ならびに/または(c)上記のうちの大きな数値と小さな数値との組み合わせが上限下限となる範囲内の温度および/もしくは当該範囲内に存在する任意の範囲内の温度である。
吐出口温度および/または温度上昇は、作動流体の関数であり得る。例えば、吐出口温度および温度上昇は、一の作動流体(例えば、空気)の場合よりも他の作動流体(例えば、メタン)の方が低い場合がある。
様々な実施形態において、温度上昇は圧力比に相関する。様々な実施形態において、20:1以下(または15:1〜20:1)の圧力比の場合、温度上昇は200℃未満であり、20:1〜30:1の間の圧力比の場合、温度上昇は300℃未満である。
様々な実施形態において、5%を超える吸入口液体体積比率を有する作動流体の圧力比は3:1〜15:1であり、1〜20%の吸入口液体体積比率を有する作動流体の圧力比は15:1〜40:1である。様々な実施形態において、圧力比は15:1以上であるが、吐出口圧力は250psigを超え、温度上昇は200℃未満である。様々な実施形態において、圧力比は25:1以上であるが、吐出口圧力は250psigを超え、温度上昇は300℃未満である。様々な実施形態において、圧力比は15:1以上であるが、吐出口圧力は250psigを超える、圧縮速度は450rpmを超える。
様々な実施形態によれば、本明細書に記載された様々なパラメータの異なる範囲の組み合わせ(例えば、圧力比、吸入口温度、吐出口温度、温度変化、吸入口圧力、吐出口圧力、圧力変化、圧縮機速度、冷却剤噴射速度など)は、本発明の様々な実施形態に従って組み合わせることができる。1つ以上の実施形態において、圧力比は3:1〜200:1の間の任意の値であり、作動圧縮機速度は350〜3000rpmの間であり、吐出口圧力は200〜6000psigであり、吸入口圧力は0〜3000psigであり、吐出口温度が−10〜650℃であり、吐出口温度が吸入口温度を0〜650℃越えており、圧縮機吸入口での作動流体の液体体積割合は1%〜50%の間である。
1つ以上の実施形態において、空気は、吐出口温度が100℃未満を保った状態で700rpmの速度で、周囲圧力(14.7psia)から385psia(26:1の圧力比)に圧縮される。断熱環境における同様な圧縮では、約480℃の温度に達する。
図示の圧縮機はロータリー圧縮機であるため、図示の圧縮機の動作速度はrpmで表される。しかし、本発明の別の実施形態では、他のタイプの圧縮機を使用することができる。当業者には周知のように、RPMの用語は、ストロークがクランクシャフトを介してRPMにつながるピストン圧縮機を含む、他のタイプの圧縮機にも適用される。
様々な冷却液を使用することができる。例えば、水、トリエチレングリコールおよび種々のタイプの油ならびに他の炭化水素を使用することができる。相変化特性が望ましい場合には、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノールまたは他のアルコールを使用することができる。また、アンモニア等の冷媒を用いてもよい。さらに、所望の特性を達成するために、様々な添加剤を冷却液と組み合わせることができる。圧縮プロセスを冷却するのに役立つ液体の熱伝達および熱吸収特性に加えて、相変化による大きな冷却効果を利用する設計の実施形態では、液体の蒸発を利用することもできる。
液体合体(liquid coalescence)の効果も、好ましい実施形態で利用される。液体が蓄積すると圧縮機構に対する抵抗力となり、最終的に圧縮機の全ての動きが止められ潜在的に修復不可能な害を引き起こすハイドロロックをもたらす可能性がある。図8および図17の実施形態に示されるように、吸入口420および吐出口430は、ロータケーシング400の底部のゲート600の両側に配置されて、圧縮される流体の吸込みならびに圧縮された流体および噴射された液体の排出を効率的に行うことができる位置に配置されている。吸入口420には弁は不要である。ドエルシールを含めることにより、吸入口420を開口とすることができ、システムを単純化し、吸入口弁に関する非効率性を低減できる。しかしながら、望ましい場合には、吸入口弁を組み込むことができる。更なる構造物を吸入口に追加して乱流を誘発し、熱伝達および他の利点を改善してもよい。液体/気体混合物がチョークおよび他のキャビテーションを誘発する条件になる場合、キャビテーションから保護するべく、硬化材料を圧縮機の吸入口および他の位置で使用することができる。
別の実施形態では、図面に示されている以外の位置に吸入口を配置してもよい。さらに、複数の吸入口がシリンダの周囲に沿って配置されてもよい。変動する圧力および流量を有する吸入流を受容するべく、複数の吸入口を単独でまたは組み合わせて利用することができる。吸入ポートは、自動または手動で拡大または移動させて、圧縮機の吐出容量を変化させることもできる。
このような実施形態では、多相圧縮が利用されるため、吐出口システムは気体および液体の両方の通過を可能にする。ロータケーシング400の底部近傍に吐出口430を配置することにより、液体の排出が可能になる。これにより、他のリキッドインジェクション式圧縮機に見られるハイドロロックの危険性が最小限に抑えられる。小さな隙間容積を設けることにより、圧縮室内に残っている液体を収容することを可能にする。重力によって余分な液体が収集されて取り除かれ、その後のサイクルにおいて液体が蓄積するのを防止する役割をはたす。さらに、ロータの掃引運動は、液体を吐出口に向かわせ圧縮室の外に導くことによって、各圧縮サイクル中に大部分の液体が圧縮機から確実に除去されるようにするのに役立つ。
圧縮された気体と液体とを、圧縮機の下流で分離することができる。後述するように、液体冷却剤は冷却され、圧縮機内で再循環される。
これらの特徴の様々なものは、様々な実施形態による圧縮機が、作動流体のガス相成分および液相成分の予圧縮分離を行わずに、多相流体(例えば、気体成分および液体成分を含む流体(「湿ったガス」と呼ばれることもある))を効果的に圧縮することを可能にする。本明細書において、圧縮機の吸入ポートにおける多相流体の液体体積割合は、(a)少なくとも0.5,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,15,20,25,30,35,40,50,60,70,75,80,85,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99および/もしくは99.5%、(b)99.5,99,98,97,96,95,94,93,92,91,90,85,80,75,70,60,50,40,35,30,25,20,15,10,9,8,7,6,5,4,3,2,1および/もしくは0.5%以下、(c)0.5〜99.5%、ならびに/または、(d)これらの上限値および下限値によって限定された範囲内の値、である。
圧縮室内が所望の圧力に到達すると、吐出口弁は、気体および液体(すなわち、湿性ガスおよび/または液体冷却剤からの気体および液体)を圧縮機から流出させることを可能にする。吐出口弁は、有効開口面積を増加させるまたは最大化することができる。作動流体中に液体が存在するため、流出する作動流体の方向の変化を最小限に抑えるまたは排除する弁を設けることが望ましいが、必須ではない。これにより、液体が方向を変える時に発生する水撃を防ぐことができる。さらに、隙間容積を最小にすることが望ましい。隙間容積を最小に抑えるために、使用されていない弁開口部をいくつかのアプリケーションに接続してもよい。様々な実施形態において、このような構成により、圧縮機の湿性ガスキャパシティならびにチャンバ内の液体冷却剤を利用する圧縮機の能力を改善することができる。
吐出口弁としてリード弁が望ましい場合もある。当業者には明らかなように、既知のまたは新規の他のタイプの弁を使用することができる。Hoerbiger社のR、CO型の弁およびリード弁を使用してもよい。さらに、CT、HDS、CE、CM型の弁またはポペット弁の使用も考慮できる。他の実施形態では、ガスが所与の圧力に達した時にガスを排出させるべく、ケーシング内の他の位置に弁を使用することができる。このような実施形態では、様々な形式の弁を使用することができる。受動的な弁または直接作動の弁を使用し、弁コントローラを実装することもできる。
好ましい本実施形態では、吐出口弁はケーシングの底部の近くに配置され、高圧部分から液体および圧縮ガスを排出するように機能する。他の実施形態では、本体ケーシングの周囲に沿って、底部付近以外の位置に更なる吐出口弁を設けることが有用であり得る。いくつかの実施形態では、端板上に設けられた吐出口が有用である。さらに他の実施形態では、吐出口弁を2つのタイプに分けることが望ましい場合があり、一つは主に高圧ガス用であり、他方は液体排出用とする。これらの実施形態では、2以上のタイプの弁を、互いに近接して配置してもよいし、または、異なる位置に配置してもよい。
冷却液をガス流から除去し、冷却して、閉ループシステムの圧縮機に再循環させてもよい。インジェクタノズルをシステムの全圧にならない圧縮室内の場所に配置することにより、噴霧された液滴を送達するための追加のポンプ(およびその後の効率損失)を再循環システムに設けなくてもよい。しかしながら、別の実施形態では、インジェクタノズルを介して液体を圧縮室に再循環させるためにポンプが利用される。さらに、インジェクタノズルは、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、システムの全圧にさらされる圧縮室内の場所に配置することができる。
様々な実施形態において、圧縮機によって圧縮された作動流体/ガス(例えば、天然ガス)は、冷却剤と共にインジェクタノズルを介して圧縮室内に再循環されて、冷却剤が噴霧されるのを良好にしてもよい(例えば、製氷装置が液体水流と圧縮ガス流とを組み合わせて水の噴霧化を増やす仕組みと同じまたは同様)。
1つ以上の実施形態では、熱負荷の大部分または全てが冷却液体中に存在することから、熱回収が簡単になる。様々な実施形態において、熱は圧縮機の下流の圧縮ガスからは除去されない。冷却液は、圧縮機から下流の能動冷却プロセス(例えば、冷凍および熱交換器)を通じて冷却されてもよい。しかし、様々な実施形態によれば、本発明の様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、(例えば、熱交換器を介して)圧縮ガスから熱をさらに回収することができる。
図8および図17に示すように、ロータのシール部分510は、ドエルシールの形成によって吐出ポートと吸入ポートとの間の流体連通を不可能にする。さらに、ロータ500とゲート600との間の界面では非接触シールまたはチップシール620を使用して、吐出口と吸入口との間の流体連通を不可能にする。このように、圧縮機は低速で作動しているときであっても、流体の戻りおよび放出を防止することができる。既存のロータリー圧縮機は、低速で運転する場合、吐出口から吸入口への漏れ経路が存在し、この流路を通る流体の排出/漏れ損失を最小にするには回転速度に依存する。
高圧作動流体は、ゲート600に大きな水平方向の力を印加する。ゲート支柱210が剛性を有するにもかかわらず、この水平方向の力によってゲート600が曲げられて、当該ゲートをゲートケーシング152の入口側に押し付ける。ゲート600のゲートケーシング152に対する摺動による摩耗および磨耗を最小にするために、非常に硬く摩擦係数が低い特殊コーティングで両面を被覆してもよい。流体軸受を利用することができる。あるいは、ペグ(図示せず)をゲート600の側面からゲートケーシング150内に延在させて、水平力に抗してゲート600を支持するのを補助することができる。ゲート600の非加圧側から非対称的にゲートを構成している材料を除去して、ゲート600がゲートケーシング150と干渉する前にゲートが屈曲するためのより多くのスペースを確保してもよい。
ゲートが遭遇する大きな水平方向の力の存在により、ゲートの往復運動の摺動摩擦を減少させるべく追加の考慮が必要になる場合もある。グリースまたは油のような種々の潤滑剤を使用することができる。これらの潤滑剤を更に加圧して、ゲートをゲートケーシングに押圧する力に抗するのに役立ててもよい。潤滑剤が含浸したまたは自己潤滑する材料を使用して、部品を摺動させるための受動的な潤滑剤供給源を提供してもよい。潤滑なしでまたは潤滑と併せて、交換可能な摩耗要素を摺動部品に使用することにより、保守スケジュールを守りさえすれば信頼性の高い動作を保証することができる。摩耗要素を、ゲートケーシング内でゲートを正確に位置決めするのに使用してもよい。当業者には明らかなように、交換可能な摩耗要素を圧縮機内の様々な他の摩耗面に使用してもよい。
圧縮機構造は、アルミニウム、炭素鋼、ステンレス鋼、チタン、タングステンまたは真ちゅうなどの材料から構成することができる。材料は、耐食性、強度、密度およびコストに基づいて選択される。シールは、PTFE、HDPE、PEEK(登録商標)、アセタールコポリマーなどのポリマー、グラファイト、鋳鉄、炭素鋼、ステンレス鋼またはセラミックから構成されてもよい。その他周知のまたは未知の材料を利用することができる。コーティングはまた、材料特性を高めるために使用されてもよい。
当業者であれば理解できるように、設計の特定の特徴に影響を及ぼす可能性のある本発明の実施形態を製造し、組み立てるために様々な技術を利用することができる。例えば、鋳造工程を用いて本体ケーシング110を製造することができる。この場合、ノズルハウジング132、ゲートケーシング150または他の構成要素は、本体ケーシング110と一体化して形成されてもよい。同様に、ロータ500とドライブシャフト140とは、強度要件または選択された製造技術のいずれかに起因して、単一部品として形成することができる。
圧縮機の外部に設けられる要素を利用してもよい。回転中のトルク曲線を滑らかにするために、ドライブシャフト140にフライホイールを追加してもよい。フライホイールまたは他の外部シャフト金具を使用して、バランスのとれた回転になるようにしてもよい。複数の圧縮機を必要とする用途では、単一のドライブシャフトに複数の圧縮機を組み合わせて、滑らかなトルク曲線を実現するべく位相をずらして複数のロータを取り付けてもよい。不整列の影響を最小にしトルク伝達効率を高めるべく、エンジンまたは電気モータなどの駆動力に駆動軸を取り付けるのにベルハウジングまたは他の軸継手を使用してもよい。ベルト、直接継手、歯車または他の伝達機構を使用してドライブシャフトによりポンプやジェネレータなどの付属構成要素を駆動してもよい。適切な場合には、付属構成要素を同期させるためにタイミングギアまたはベルトを利用してもよい。
弁を出た後、液体と気体の混合物は、以下の方法のいずれかまたはそれらの組み合わせのいずれかによって分離することができる。1.メッシュ、羽根、絡み合った繊維等を使用した捕捉。2.表面への慣性衝突。3.噴射された他のより大きな液滴への合体。4.液体カーテンを通す。5.液体貯蔵器を通じた気泡撹拌。6.凝集を助けるブラウン運動。7.方向を変える。8.壁および他の構造への合体のための遠心運動。9.急減速による慣性変化。10.吸着剤または吸収剤を使用した脱水。
圧縮機の吐出口において、脈動室が円筒状ボトルまたは他のキャビティおよび要素から構成されてもよく、脈動減衰および減衰ならびに最初の液体合体または最終液体合体を達成するために、当該脈動室を前述の分離方法のいずれかと組み合わせてもよい。液体と気体を分離する他の方法も同様に使用することができる。
図39〜図44には、別の実施形態に係る圧縮機1000が示されている。圧縮機1000は概して、上述の圧縮機と同様である。したがって、類似または同一の構成要素についての不必要な説明は省略する。圧縮機1000は、圧縮室1020を画定する本体ケーシング1010、ドライブシャフト1030、ロータ1040、カム1050、カムフォロワ1060、カムフォロワ1060に接続されるゲート支持体1070(例えば、カムフォロワ支持体、カム支柱、ゲート支持アーム、ゲート支柱等)、ゲートケーシング1010に取り付けられ(またはケーシング1010と一体的に形成され)ゲート支持体1070に接続されてゲート支持体1070の往復直線運動を可能にするゲート支持ガイド1075、ゲート支持体1070をカム1050に向けて付勢するばね1080、本体ケーシング1010および/またはゲート支持ガイド1075によって部分的に形成および/または取り付けられるゲートハウジング1100、ゲートハウジング1100によって摺動可能に支持されるゲート1110、圧縮室1020への吸入口1150に流体接続された吸入口マニホールド1140、圧縮室1020から導かれる吐出口1170に流体接続された吐出/出口マニホールド1160、吐出口1170に設けられた吐出口弁1180、冷却剤インジェクタ(噴射器)1190、ケーシング1010とゲート1110との間の静圧軸受装置1300(図48〜図51参照)、および、駆動軸1030の周りの周囲環境から圧縮室1020を密閉する機械/油圧シール1500を備える。
図示された実施形態では、冷却剤インジェクタ1190は、冷却剤を圧縮室1020に直接向ける。しかしながら、一つまたは複数の別の実施形態によれば、冷却剤インジェクタ1190は、作動流体または冷却剤が圧縮室に到達する前に、吸入口マニホールド1140内の作動流体に冷却剤を更におよび/または上記に代えて噴射してもよい。この実施形態によれば、製造コストを削減し、および/または、冷却剤を注入するのに必要な電力量を低減することができる。
図41、図43および図44に示すように、吐出出口弁1180は、圧縮流体を吐出口1170に導き、圧縮流体が圧縮室1020に逆流しないようにしている。図41に示すように、弁1180は、本体ケーシング1010とは別体に形成され、吐出口1170に嵌合されている。しかし、様々な別の実施形態によれば、弁1180またはその一部は、ケーシング1010と一体的に形成されてもよい。
図45〜図46に示すように、吐出マニホールド1160は複数のベーン1160aを含む。吐出出口1170(すなわち、マニホールド1160への入口)から円形吐出マニホールド出口1160b(すなわちマニホールド1160の下流出口)までのマニホールド1160内の流路の断面は、)吐出出口1170における軸方向に細長い断面(例えば、ドライブシャフト1030の回転軸に平行な方向にゲート1110の長さに沿って細長くされている)から円形吐出マニホールド出口1160bへと変化している。様々な実施形態では、断面積は、吐出流路全体にわたって相対的に一定のままである。ベーン1160aは、圧縮室1020から吐出マニホールド1160の吐出マニホールド出口1160bまでの圧縮流体の所望の流路に対して概ね垂直に向けて配置されている。ベーン1160aは、流路の断面形状が変化するにつれて圧縮流体の層流を促進するように配向されている。様々な実施形態によれば、ベーン1160aは、圧縮流体(例えば、多相液体/気体流体)が吐出口1170およびマニホールド1160を通って流れる時に、乱流を低減し、圧縮機1000の効率を高め、および/または、摩耗を低減する。
ベーン1160aおよび弁1180は、圧縮流体の流路を完全に横切って(例えば、図45に示すように紙面の中へと、図47に示すように上下に、図43に示すように左上から右下へと)延在している。したがって、ベーン1160aおよび弁1180は、軸方向に伸びた吐出口1170のいずれかの側におけるケーシング1010の円周方向に離間した部分1010a、1010b(図43参照)を構造的に支持する。したがって、ベーン1160aおよび弁1180は、(例えば、圧縮機1000の使用中にゲート1110とケーシング1010との間に生成される反作用力によって促進され得る)変形に抗するようにケーシング1010を補助する。
図48に示すように、複数のベーン/リブ1155が、圧縮室1020の円周方向に沿って(図48に示すように左下から右上へ)吸入口1150内に吸入口1150を横切って延在する。これらのリブ1155は、吸入口1150の領域においてケーシング1010を強化し、ケーシング1010がゲート1110の周りで撓むのを防止する役割をする。様々な実施形態によれば、吸入口1150は、複数の別個の孔1150(例えば、圧縮機1000の軸方向に沿って間隔を置いて配置された孔)に軸方向に分割されており、このような複数の孔の間のケーシング1010の部分によってベーン/リブ1155が構成されている。
図48〜図51に示すように、圧縮機1000は、ロータ1040との密接な接触を維持しながらゲート1110をゲートハウジング1100に対して上下に往復運動させる静圧軸受装置1300を備える。静圧軸受装置1300は、ゲート1110とゲートハウジング1100との間の摩擦を低減する。
図43、図48および図50に示すように、ゲート1110は、圧縮室1020の吸入口側1020aと圧縮室1020の吐出口側1020bとを分離する。吸入口側1020aの圧力は、吸入口1150を介して圧縮室1020に流入する流体の圧力に比較的近いままである。圧縮室1020の吐出口側1020bの圧力は、各圧縮行程/回転中に増加し、吐出口1170を通って吐出される圧縮流体の出力圧力に達する。図50に示すように、これは、吸入口側1020aよりもゲート1110の吐出口側1020bに高い圧力を生じさせ、その結果、入口側1020aに向かってゲートが押される。図50に示すように、この差圧はゲート1110に片持ち梁力を生じさせ、圧力室1020の圧力はサイクル毎において吐出するまで増加するので、片持ち梁力は常に循環する。静圧軸受装置1300は、この循環する片持ち梁力に適応して、ゲート1110上の片持ち梁モーメント/曲げモーメントを等しくする。
図48〜図51に示すように、静圧軸受装置1300は、ゲート1110の吸入口側1020aの上側静圧軸受1310と、ゲート1110の吸入口側1020aの下側静圧軸受1320と、ゲート1110の圧縮/吐出口側1020bの上側静圧軸受1330と、ゲート1110の圧縮/吐出口側1020bの下側静圧軸受1340とを含む。
図49に示すように、各軸受1310,1320,1330,1340はそれぞれ3つずつ存在して圧縮機1000の軸方向/長手方向に沿って(すなわち、図50の紙面に向かって)互いに間隔を空けて配置され、軸受1310,1320,1330,1340の3つの縦列(または、両側面1020a、1020bが分離していると考えられる場合は6つの縦列)が存在する。これに限定されないが、様々な実施形態によれば、軸受1310,1320,1330,1340の複数列を使用することにより、油圧流体が横方向に移動する必要がある長さを縮めることができる。これにより、油圧流体が軸受パッドの全表面にわたってより均等に分布する。軸受の数を増やすことによって、種々の問題(例えば、ごみ、軸受表面の撓み、軸受パッド表面の磨耗、オイルシステムの詰まりなど)を軸受1310,1320,1330,1340それぞれのうちの一つに集約して、軸受1310,1320,1330,1340それぞれの残りの軸受は正常に動作するように構成可能である。しかしながら、様々な実施形態から逸脱することなく(例えば、異なる軸受1310を単一の縦方向に長い軸受に組み合わせることによって)、より多くのまたはより少ない列数の軸受1310,1320,1330,1340を使用することができる。1つ以上の実施形態において、ゲートの両側に4列の軸受が設けられる。
様々な実施形態によれば、軸受1310,1320,1330,1340の複数の列を使用することにより、1つの列(または1つの列内の軸受)の抵抗器1410を他の列に対して微調整して、ゲート1110の長さに沿って変化する条件に対応するようにしてもよい。例えば、油圧によってスリーブ1360が中央で撓んでしまう場合、軸受1310,1320,1330,1340の中央の列をより下の位置に調整して、大きくなった隙間へと流れる量を減少させ、隙間が小さくゲートとスリーブとが最初に接触する端部列への流れを増加させるように調整することができる。
図48〜図50に示すように、静圧軸受装置1300は、ケーシング1010と嵌合する静圧軸受インサート/スリーブ1360内に形成されている。シムまたは他の適切な機構を使用して、スリーブ1360を小さな誤差で嵌合および位置決めを確実にすることができる。スリーブ1360は、スリーブ1360の交換および/またはメンテナンスを容易にするために、ケーシング1010から取り外し可能になっている。しかしながら、別の実施形態では、インサート1360はケーシング1010と一体的に形成されてもよい。
図51に示すように、軸受1310,1320,1330,1340はそれぞれ、ゲート1100と係合するインサート1360の側面のポケット溝1310b、1320b、1330b、1340bへと開口する供給口1310a、1320a、1330a、1340aを有する。溝1310b、1320b、1330b、1340bはそれぞれ、ゲート1110と密に嵌合するランド/軸受パッド1310c、1320c、1330c、1340cによって取り囲まれている。パッド1310c、1320c、1330c、1340cは、軸受1310,1320,1330,1340の全てに共通であり得るドレイン1370によって取り囲まれている。
図51に示すように、油圧ポンプ1380は、リザーバ1390からの油圧流体(例えば、オイル)を油圧流路1400を介して、軸受1310,1320,1330,1340のそれぞれの抵抗流バルブ1410に圧送する。次に、油圧流路1400は、それぞれの給口1310a、1320a、1330a、1340a、溝1310b、1320b、1330b、1340b、ランド/軸受パッド1310c、1320c、1330c、1340c、ドレイン1370へと油圧流体を導き、最後にリザーバ1390へと戻る。
既に知られているように、静圧軸受けは2つの流れ抵抗器(flow resistor)を使用することによって機能する。この実施形態では、第1の流れ抵抗器は、動作中一定に保たれる軸受1310,1320,1330,1340に先行するインラインの流れ抵抗弁1410である。第2の流れ抵抗器は、軸受パッド1310c、1320c、1330c、1340c自体である。軸受パッド1310c、1320c、1330c、1340cの抵抗は変化し、ゲート1110と軸受パッド1310c、1320c、1330c、1340cとの間の隙間の大きさに依存する。この隙間が減少すると、軸受パッド1310c、1320c、1330c、1340cおよびポケット溝1310b、1320b、1330b、1340bの圧力は上昇し、同様に隙間が大きくなると、パッド1310c、1320c、1330c、1340cおよび1340c、ポケット溝1310b、1320b、1330b、1340bの圧力は下降する。隙間は、ゲート1110に対する片持ち梁の押圧力によって生成された負荷によって変化する。
様々な実施形態によれば、流れ抵抗弁1410は、それぞれの流路1400内に設けられた軸受パッド抵抗器と同様に動作する設置された流れ抵抗器または環状体で置き換えることができる。弁パッド1310c、1320c、1330c、1340cに環状体を設計することができ、環状体は、隙間の大きさに応じた抵抗力を有しそこを流体が通過することを可能にする。典型的には、環状体は、油圧的に接続される軸受パッドの反対側の面に配置される。潤滑剤は軸受の一方の側の環状体を通って流れた後、対応する反対側の軸受パッドに流れる。したがって、様々な実施形態において、軸受1310,1320,1330,1340は、対向する軸受に組み込まれた流れ抵抗を有する自己補償軸受を含む。例えば、軸受1310用の流れ抵抗弁1400は、軸受1330の隙間が縮小された時に軸受1310への流れが減少するように、反対側の軸受1330に組み込まれてもよい。これは、(対向する軸受上の隙間が小さいために)大きな隙間を有する軸受1310,1320,1330,1340を過剰な油圧流体が通過するのを防止する、または、より高い負荷を有する軸受1310,1320,1330,1340へと流れるより大きな流量を可能にする。軸受1320,1340は、互いに対向して、同じように動作することができる。この種の自己補償静圧軸受は、米国特許第7,287,906号明細書に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図50に示されるように、様々な実施形態によれば、下側軸受1320,1340から分離された上側軸受1310,1330を使用することにより、圧縮室1020,1020b内およびロータ1040内の加圧された流体によってゲート1110に及ぼされる片持ち梁モーメント/曲げモーメントに軸受装置1300を適合させることを可能にする。圧縮室1020の入口側1020aおよび出口側1020bならびに軸受1310,1320,1330,1340によってゲート1110に及ぼされる力の大きさは、矢印の大きさによって表されている。図50に示すように、入口側1020aと比較して出口側1020bの力が大きい場合、モーメントは、上側遠位側の軸受1310および下側近位側の軸受1340からの大きな力によってバランスがとられて、隙間は最小となる。反対に、軸受の隙間は、ゲート1110と軸受1320,1330との間でより大きく、その結果、軸受1320,1330によって加えられる力は小さくなる。様々な別の実施形態によれば、ゲート1110に加えられる曲げモーメントを特に相殺するために、更なる上側、下側および/または中間の静圧軸受を追加することができる。しかしながら、別の実施形態によれば、上側および下側の静圧軸受(例えば、軸受1330,1340;軸受1310,1320)を、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく組み合わせることができる。
本明細書で使用される、軸受1310,1330,1320,1340に関する方向を示す用語「上側」および「下側」は、ゲート1110の往復運動の方向に沿って規定され、(様々な実施形態において、重力の上下方向とゲート1110の上下往復運動方向とが一致するが)必ずしも重力の上下方向に沿っているとは限らない。
様々な実施形態によれば、静圧軸受装置1300は、ゲート1110と圧縮室1020の吸入口側1020aのケーシング1010との間に流体膜隙間を形成し、これによりゲート1110とケーシング1010との間の摩耗接触を低減またはなくすことができ、および/または、ゲート1110をその往復経路に沿って移動させるのに必要な力を低減することができることから、ゲート1110および/またはケーシング1010の有効寿命を長くすることができる。
様々な別の実施形態において、静圧軸受は、ケーシングの代わりにロータと共にベーンが回転してロータに対して往復動するロータリーベーン圧縮機に使用される。このような実施形態では、軸受1300のような静圧軸受が、ケーシングとゲートとの間ではなく、ロータとゲートとの間に配置される。
図50に示すように、ゲート1110は、ゲート1110の本体1440の溝1440aに取り付けられるシール1430を有する。図50に示すように、シール1430および溝1440aは、圧縮機1000の動作中にシール1430を溝1440aに保持するのを助ける相補的な「+」形状の外形を有する。様々な別の実施形態によれば、溝1440aおよびシール1430は、ゲート本体1440からシール1430が剥がれるのを防ぐ任意の他の適切な相補的な外形を有してもよい(例えば、狭い上部開口および大きな中間部断面を有する外形(例えば、球根のような形状)、上向きの三角形等)。
図50に示すように、様々な実施形態によれば、ゲート本体1440および/またはスリーブ1360は、摩耗に強い硬質材料(例えば、440C鋼、17−4鋼、D2工具鋼またはインコネル、特に、35,40,45,50,55,60,65等を超えるHRCを有するもの)から形成される、または、耐摩耗性コーティングで被覆されているもしくは硬度を高めるために処理されている(例えば、窒化鋼、硬質セラミックコーティングされた鋼、表面硬度を高める表面熱処理を施した鋼など)。このように構成することにより、スリーブ1360とゲート本体1440とが互いに擦れ合った場合またはその時に、磨耗しないようにしている。更におよび/またはこれに代えて、スリーブ1360およびゲート本体1440のうちの一方が硬い表面(例えば、鋼)を有し、スリーブ1360およびゲート本体1440のうちの他方は比較的柔らかく形成されて(例えば真鍮のブロンズで形成される)、当該他方が運転中に犠牲となってすり減り、最終的に交換されてもよい。1つ以上の実施形態によれば、スリーブ1360は鋼などの硬質表面材料で形成され、ゲート本体1440は青銅などの軟質材料で形成される。1つ以上の別の実施形態によれば、スリーブ1360は青銅などの軟質材料で形成され、ゲート本体1440は鋼などの硬質材料で形成される。
様々な実施形態によれば、ゲート1110および/またはスリーブ1360の表面(またはそのコーティング)はマット加工されるまたは油の流れに乱流を生じさせるように構成されて、隙間に当該油が押し込まれて通過する時に油の剪断力を増大させて、静圧軸受圧力を増加させる。
別の実施形態によれば、静圧軸受装置1300を流体力学的軸受装置に置き換えて、流体力学的軸受装置は、ゲート本体1440とスリーブ1360との間の界面に作動液(例えば、油)を供給する。流体力学的軸受は、ゲート本体1440とスリーブ1360との間の相対運動に依存し、交差部を油圧流体によって加圧するおよび/または潤滑させる。
図40に示すように、圧縮機1000の各軸方向端部のメカニカルシール1500は、ドライブシャフト1030の周りの圧縮室1020の外側の環境に対して圧縮機1000の圧縮室1020を気密封止する。
2つのメカニカルシール1500の各々は、面シール1510,1520、ラジアルシャフトシール1550、ベント1560および油圧パッキン1590を備える。図40、図52および図54に示すように、内面シール1510および外面シール1520は、圧縮室1020を画定するケーシング1010の軸方向面に対してロータ1040の軸方向端部をシールする。図52に示すように、シール1510,1520は、ロータ1040の円周方向(シール1520の場合は非円形)面の溝1040b内に取り付けられて軸方向の移動(すなわち、図40における左右方向の移動)を可能とし、および、ばね1530,1540(例えば、ベルビルワッシャ、弾性特性を有するOリング、シール1501,1520の周囲に配置された一連の圧縮ばね)は、シール1510,1520を軸方向に圧縮室1020を画定するケーシング1010に対して付勢する。内面シール1510は円形であり、ドライブシャフト1030の回転軸と同心である。図41に示すように、外面シール1520はロータ1040の非円形周囲に沿って配置され、ロータ1040と共にドライブシャフト1030の軸の周りを回転する。様々な実施形態によれば、内面および外面シール1510,1520の外側シール部分は、より強い裏材(例えば、鋼)が貼り付けられた低摩擦材料(例えば黒鉛)を含む。
様々な実施形態によれば、シール1510,1520の磨耗表面(例えば、シール1510,1520のグラファイト部分)が摩耗しても、シール1510,1520はその溝1040bに保持される。例えば、図67および図68に示すように、シール1510,1520は、ロータの端面の凹部1040cに(例えば、ボルト1542または他の締結具を介して)接続されたロックワッシャ1541(例えば、シール1510,1520毎に複数のワッシャ)によって保持される。ロックワッシャ1541は嵌合するシール溝1040bからシール1510,1520が分離するのを防止するためにシール1510,1520内の肩部を有する溝1510a、1520a内に延在する。そして、シール1510,1520が溝1040b内で軸方向に移動して、シール1510,1520を圧縮室の係合面(例えば、摩耗プレート1545(図52参照)の面)に近接して保持できるようにする。
図52に示すように、圧縮室1020の各軸方向端部に配置されたエンドキャップ摩耗プレート1545は、ケーシング1010の残りの部分に(例えば、ボルトを介して)取り外し可能に取り付けられ、シール1510,1520に当接する。シール1510,1520とプレート1545との間に摩耗接触により、プレート1545が大幅に摩耗して交換可能となった時には、プレート1545を交換してもよい。
図54に示すように、ラジアルシャフトシール1550は、ドライブシャフト1030とケーシング1010の端部キャップとの間で半径方向に延在する。図54および図40に示すように、ベント1560は軸方向にラジアルシャフトシール1550よりも外側に配置される。図54に示すように、流路1570は、ベント1560を圧縮機1000の吸入口1150に流体接続させる。図54に示すように、油圧パッキン1590は対向する半径方向シール1600,1610と、それらの間に油圧流路1620とを有する。油圧ポンプ1380(または任意の他の適切な油圧流体源)は、シール1600,1610間の空間に通じるポート/流路1630を介して油圧パッキン1590へと、加圧された油圧流体を供給する。図54に示すように、回転軸受1650は、ドライブシャフト1030をケーシング1010に対して支持し、ドライブシャフト1030がケーシング1010に対して回転することを可能にする。
メカニカルシール1500の動作を図52および図54を参照して説明する。作動流体(例えば、天然ガスが圧縮されている)が圧縮室1020から漏出する場合、流体がシール1520,1510,1550を順次通って漏れると考えられる。作動流体が3つのシール1520,1510,1550全てを通過して漏れた場合、流体はベント1560に到達して、流路/ポート1570を介して流体が圧縮機吸入口1150に戻り、吸入口1150との流体連通によって当該流体は吸入口1150での圧力に維持される。ベント1560の軸方向外側の油圧パッキン1590は、油圧流体を介して吸入口1150の圧力よりも高い圧力に加圧されて、作動流体が油圧パッキン1590を越えてさらに漏れるのを防止する。吸入口1150は油圧パッキン1590よりもかなり低い圧力にあるので、漏れた作動流体は、油圧パッキン1590を通過するのではなく流路/ポート1570を通って吸入口1150に戻る。したがって、油圧パッキン1590を通る作動流体の漏れが低減される、好ましくは排除される。軸受1650の軸受穴内の圧力は、環境大気圧に維持される。
様々な実施形態において、メカニカルシール1500は、圧縮機の軸受のモーメント荷重をより小さくする軸方向にコンパクトなシールを提供する。
図52に示すように、圧縮機1000において、ドライブシャフト1030は、別個の回転軸受1650とスラスト軸受1660との組み合わせによりケーシング1010の各軸方向端部に取り付けられている。しかしながら、図53に示すように、別個の回転軸受1650およびスラスト軸受1660は、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、スラスト軸受機能および回転軸受機能の両方を行う統合軸受1670で置き換えることができる。軸受1670をドライブシャフトから容易に取り外すために、ドライブシャフトを貫通して潤滑流路を延在させ、ドライブシャフトと軸受1670との間の境界面に開口させるようにしてもよい。様々な別の実施形態によれば、軸受1650,1660は、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、ドライブシャフト1030とケーシング1010との間の任意の他のタイプの回転結合器(例えば、他のタイプの軸受、ブッシングなど)で置き換えることができる。
図示された実施形態において、シール1500は様々な構造を含むものとして記載されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、シール1500はより多くのまたはより少ない構造を含むことができる。例えば、シール1510,1520,1550のうちの一つまたは複数は、本発明の範囲から逸脱することなく省略されてもよい。
図69は、圧縮機5150がメカニカルシール1500の代わりにメカニカルシール5200の代替の実施形態を使用する点を除いて、圧縮機1000と概ね同様の構成を有する圧縮機5150を示す。メカニカルシール5200は、概してシール1500と同様であるので、同様のまたは同一の構成要素の重複する説明は省略する。メカニカルシール1500の様々な構成要素(例えば、ラジアルシール1550、ベント1560、ラジアルシール1600,1610および加圧された油圧流体流路1620)が軸方向に間隔を空けて配置された実施形態とは対照的に、メカニカルシール5200の様々な構成要素は軸方向に互いに間隔を空けて配置されていることから、軸方向によりコンパクトなシールを提供することができる。図69に示すように、圧縮機5150は、異なる形状のメカニカルシール5200を収容するべくケーシング5210がわずかに異なる形状を有することを除いて、ケーシング1010と概ね同一のケーシング5210を備える。
図69に示すように、シール5200は、ケーシング5210に対してドライブシャフト1030と共に回転するようにドライブシャフト1030にしっかりと密封的に接続されるかまたは一体的に形成される環状カラー5220を含む。様々な実施形態において、カラー5220は様々な別の方法によってドライブシャフト1030に取り付けられてもよい(例えば、シャフト1030上に熱収縮される、シャフト1030上に接着される、シャフト1030上に溶接される、シャフト1030上に圧入される等)。様々な実施形態において、カラー5220とシャフト1030との間の漏れを防止するために、カラー5220とシャフト1030との間にOリング5230が配置される。内側環状シール溝5220a、b、および、外側環状シール溝5220c、dが、ロータ1040に向かうおよびロータ1040から離れる方向のカラー5220の軸方向面に設けられる。面シール5240,5250,5260,5270は溝5220a、b、c、dに配置されて、カラー5220から離れる方向であってケーシング5210の嵌合する軸方向面5210a、5210bに向かってばね付勢されている。カラー5220とケーシング5210との間にベント5290が配置され、半径方向にカラー5220よりも外側に配置されている。ベント5290は、ケーシング5210内の流路5300を介して圧縮機5150への吸入口に流体接続される。油圧流路5310は、加圧油圧流体(または他の流体)(例えば、ポンプ1380)の源を、シール5250,5270、面5210b、およびカラー5220の間の空間5330に接続し、この空間5330を油圧流体によって加圧状態に保つ。
メカニカルシール5200の動作を図69を参照して説明する。作動流体が圧縮室1020から、面シール1520、面シール1510、面シール5240および面シール5260を順次通過して漏れると、漏れた作動流体はベント5290へと漏れ、漏れた作動流体は流路5300を介して圧縮機5150の吸入口へと戻される。シール1500と同様に、シール5250,5270によって形成された油圧パッキンと、空間5330内に配置された加圧流体は、ベント5290内に漏出した作動流体がシール5250,5270をさらに越えて漏れるのを防止する。圧縮機5150への吸入口の圧力は空間5330の圧力よりも低いので、漏れた流体は油圧パッキンを通って漏れるのではなく、吸入口へと戻るように流れる。
様々な実施形態において、シール5200は様々なシールを追加または除去することによって変更がなされる。例えば、圧縮機5150は、圧縮室とベントとの間に、圧縮機1000に含まれるよりも1つ多いシールを有する。特に、圧縮機5150では、圧縮室1020とベント5290との間に4つのシールが設けられている(すなわち、シール1520,1510,5240,5260)が、図示の圧縮機1000は3つのシール(すなわちシール1520,1510,1550)が設けられている。しかしながら、別の実施形態では、より多くのまたはより少ない数のシールが、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、圧縮室とベントとの間に配置され得る。例えば、シール1520,1510,5240,5260のうちの一つまたは複数を省略することができる。これに代えて、シール5240,5260のような更なるシールをカラー5220とケーシング5210の面5210aとの間に延在させて、圧縮室1020からの漏れをさらに低減し、好ましくは、メカニカルシール全体を軸方向に伸ばすことなく、カラー5220および面5210a、bを半径方向に拡張してこのような追加のシールを配置してもよい。これに加えておよび/またはこれに代えて、シール5200は、シール1510,5240の間の漏れ経路に沿って、ケーシング5210とシャフト1030との間に(例えば、シール1550のような)ラジアルシールを追加することによって変更されてもよい。これに加えておよび/またはこれに代えて、ベント5290は、シール1520,1510,5240,5260のうちの異なるもの同志の間の漏れ経路に沿って配置されてもよい。例えば、これに代えて、ベントを内面シール5240と外面シール5260との間の漏れ経路に配置してもよい。
図41および図43に示すように、様々な実施形態によれば、一つまたは複数の孔1040aがロータ1040全体の軸方向に延在して、ロータ1040の軸方向両端部をシール1520から半径方向内向き方向に流体的に接続する。これらの孔1040aは、圧縮された作動流体がロータ1040の一方の軸方向端部上のシール1520の1つを非対称的に通過してロータ1040の反対側の軸方向端部を超えて漏れ出す場合に、ロータ1040が圧縮室1020の軸方向の一端に向かって軸方向に押されるのを防いでいる。これに加えておよび/またはこれに代えて、ロータ1040の軸方向の両端部間の流体連通を、ロータ1040を通過するのではなく、ケーシング1010の端板1545(図52参照)を通る流路を延ばすことによって提供してもよい。
図52に示すように、様々な実施形態によれば、近接センサ1580(例えば、接触センサまたは非接触センサ、容量センサ、磁気センサなど)は、端板1545またはケーシング1010他の部分に対するロータ1040の軸方向の位置を監視する。センサ1580および関連するコントローラ(例えば、電子制御ユニット、アナログまたはデジタル回路、PCなどのコンピュータ)は、検出された距離が所定の距離を超えるまたは所定の距離を下回った場合に、一つまたは複数のアクション(例えば、オーディオまたはビジュアルアラーム、圧縮機の非アクティブ化)を発生させてもよい。
図55〜図44には、別の実施形態に係る圧縮機2000が示されている。圧縮機2000は概して、上述の圧縮機と同様である。したがって、類似または同一の構成要素についての不必要な説明は省略する。圧縮機2000は、圧縮室2020を画定する本体ケーシング2010と、ドライブシャフト2030と、ドライブシャフト2030に取り付けられドライブシャフト2030と共にケーシング2010に対して回転するロータ2040と、ケーシング2010に摺動可能に接続されて往復運動するゲート2050と、ゲート位置決めシステム2060とを備える。圧縮機2000のゲート位置決めシステム2060は、上述の圧縮機のゲート位置決めシステムとは異なる。
図55〜図58に示すように、ゲート位置決めシステム2060は、本体ケーシング2010に(例えば、ボルトを使用してまたは一体形成によって)取り付けられたゲート位置決めシステムケーシング2070(図56および図58参照)、ドライブシャフト2030と共に回転するべくドライブシャフトに取り付けられた駆動プーリ2080、主ドライブシャフト2030の軸に平行なカム軸線を中心に相対回転するべくケーシング2070に回転可能に取り付けられたカムシャフト2090と、ケーシング2070に対してカムシャフト2090と共に回転するべくカムシャフト2090に取り付けられた従動プーリ2095と、プーリ2080,2095に接続されたベルト2100と、カムシャフト2090と共に回転するべくカムシャフト2090に取り付けられた2つのカム2110と、シャフト2030,2090の回転軸と平行な軸周りにゲート支持部2130に対して回転するように、ゲート支持部2130に回転可能に取り付けられたカムフォロワ2120と、ケーシング2070,2010とゲート支持部2130との間に延在するばね2140と、を備える。
ゲート支持部2130は、ゲート2050の往復運動を駆動するためにゲート2050に取り付けられる。図57に示すように、ゲート支持部2130は、ゲート2050内の大きな下側開口2050aを通り抜けて、ゲート2050の上側シール縁部2050b近くのゲート2050の上側部分に(例えば、ネジ接続、保持キーまたはリング、保持ピン2135(図57に示すように)などを介して)しっかりと取り付けられている。下側開口部2050aは、ゲート支持部2130がゲート2050の下部に接触しないように、ゲート支持部2130と比較して大きく形成されている。様々な実施形態によれば、大きく形成された下側開口2050aを通過させてゲート支持部2130を延在させることにより、ゲート支持部2130の位置に対するゲート2050のシール2050bの位置決めに熱膨張/熱収縮が及ぼす影響を制限する。特に、ゲート2050がゲート支持部2130に取り付けられる部分下方のゲート2050の熱膨張は、ゲート支持部2130に対するゲートのシール2050bの位置決めに影響を与えない。様々な実施形態によれば、これにより、圧縮機2000の使用中にゲート2050が熱膨張または熱収縮するとき、ロータ2040に対してより精密で正確にゲートシール2050bを位置決めできる。
図56および図57に示すように、ゲート支持部2130は、リニア軸受2137(またはブッシングなどの他の直線的な接続部)を介してケーシング2070および/または2010に摺動可能に取り付けられて、ゲート支持部2130がゲート2050の往復方向 (図56および図57に示す上下方向)に移動可能にする。ばね2140の上端は、ケーシング2070および/またはケーシング2010のばね保持部分に当接する。ばね2140の下端は、ばね固定部2150または他の適切な結合部材を使用してゲート支持部2130に接続される。その結果、圧縮ばね2140は、ロータ2040から離れる方向に下方に且つカム2110に向かってゲート支持部2130およびゲート2050を押す。
圧縮機2000の動作中、ドライブシャフト2030はプーリ2080を回転駆動し、プーリ2080はベルト2100を回転駆動し、ベルト2100はカム2110を回転駆動するシャフト2090を回転駆動する。カム2110の回転は、ばね2140のばね付勢に抗して、カムフォロワ2120、ゲート支持部2130およびゲート2050を、ロータ2040に向かって上方に駆動する。ベルト2100およびプーリ2080,2095は、圧縮機2000の動作中にロータ2040が回転する間に、ゲート位置決めシステム2060がゲート2050のシール2050bをロータ2040に近接した状態(例えば、ロータの0.1、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.005、0.004、0.003、0.002および/または0.001mmの範囲内)に保つようにタイミングがとられ、カム2110はそのように構成される。したがって、ゲート位置決めシステム2060は、概して、図1に示したゲート位置決めシステムと同様に動作するが、圧縮機2000ではスプリングとカムとの相対的な役割が逆になっている(すなわち、カム2110はゲート2050をロータ2040から離れるように付勢するのではなく、ロータ2040に向かって押し、ばね2140はゲート2050をロータ2040に向かって付勢するのではなく、遠ざける方向に付勢する)。
これに限定されないが、様々な実施形態によるゲート位置決めシステム2060において、往復運動構成要素(例えば、ゲート2050、ゲート支持部2130、カムフォロワ2120、ばね2140の一部分およびばね固定部2150)の質量は、そのような往復運動を駆動するのに必要な力を小さくするべく、相対的に小さく保たれる。様々な実施形態によれば、往復運動質量を小さくすることにより、圧縮機2000の運転速度(RPMの点で)を大きくすることができる、ならびに/または、ばね2140およびシステム2060の他の構造的構成要素の小型化を容易にすることができる。
図示の実施形態では、カムシャフト2090は、プーリ2080,2095およびベルト2100を介してベルト駆動される。しかしながら、別の実施形態によれば、カムシャフト2090は、ドライブシャフト2030からカムシャフト2090に回転を伝達するための他の適切な機構(例えば、チェーン駆動、歯車駆動など)によって駆動されてもよい。
図56〜図58に示すように、ケーシング2070は、ゲート位置決めシステム2060の多くの構成要素を取り囲む。図示の実施形態では、ゲート2050/ケーシング2010境界面を介した周囲環境への唯一の作動流体漏れ経路は、ケーシング2070の穴2070aとケーシング2070の側面のカムシャフト2090との間の交差部を介した経路であり、カムシャフト2090はプーリ2095によって駆動されるべくケーシング2070を通って当該交差部に突出している。図57に示すように、油圧パッキン2170は、カムシャフト2090とケーシング2070との間のこの漏れ経路/交差部をシールする。様々な実施形態によれば、油圧パッキン2170は、上述した油圧パッキン1590と同様または同一の構成であってもよく、(例えば、シール1600,1610に類似または同一の)対向ラジアルシールを備え、当該対向するラジアルシールの間に油圧流路(例えば、流路1620と類似または同一である)を有する。油圧ポンプ1380は、シール間の空間に通じる開口/流路(例えば、開口/流路1630と同様または同一)を介して油圧パッキン2170へと、加圧された油圧流体を供給することができる。その結果、油圧パッキン2170内の圧力がケーシング2070内の圧力を超え、流体(例えば、ゲート2050を通ってケーシング2070の容積に漏れた作動流体)のケーシング2070からの漏出が防止される。ケーシング2070は、圧縮室2020を出た作動流体によって加圧されてもよく、その圧力によって流路を通じた更なる漏れを防止することができる。
これに加えておよび/またはこれに代えて、図56に示されるように、ベント通路2180は、ケーシング2070の内部を吸入口と(例えば、吸入口マニホールド2190またはケーシング2010の吸入口への直接接続を介して)流体的に接続することができる。このようなベント通路2180は、ケーシング2070内の圧力が油圧パッキン2170内の油圧よりも低く保たれるようにして、ケーシング2070内の作動流体が油圧パッキン2170を通って漏れないようにする役割をする。
別の実施形態では、油圧パッキン2170は、任意の他の適切なシールで置き換えてもよく(例えば、対向するシール間に著しい圧力差が生じる場合に回転シャフトをシールするように設計された従来の気密シール)、または、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、油圧パッキンを全て設けなくてもよい(例えば、ゲート2050のシールが十分である場合)。
別の実施形態によれば、ケーシング1010および2070はプーリ2080,2095およびカムシャフト2090を完全に囲むように軸方向に延在し、圧縮機2000の主ドライブシャフト2030のみがケーシング2010,2070から延出し、圧縮機2000を密閉するには、ドライブシャフト2030と細長いケーシングとの間のシール2170のような一つのメカニカルシールのみが必要である。
図59〜図60には、別の実施形態に係る圧縮機3000が示されている。圧縮機3000は概して、上述の圧縮機2000と同様である。したがって、類似または同一の構成要素についての不必要な説明は省略する。圧縮機3000は、互いに軸方向に離間した更なる2つの副圧縮機が追加されている点で、圧縮機2000とは異なる。したがって、圧縮機3000は、3つの副圧縮機3000a、3000b、3000cを備える。圧縮機3000は、3つの圧縮室3020a、3020b、3020cを画定する本体ケーシング3010と、駆動軸3030と、駆動軸3030と共にケーシング3010に対して回転するように駆動軸3030に取り付けられた3つのロータ3040a、3040b、3040cと、ケーシング3010に摺動可能に接続されて往復運動をする3つのゲート3050a、3050b、3050cと、カムシャフト3090に取り付けられた3つのカム3110a、3110b、3110cを有するゲート位置決めシステム3060と、3つのカムフォロワ3120a、3120b、3120cと、3つのゲートサポート3130a、3130b、3130cと、3つのばね3140a、3140b、3140cとを備える。圧縮機2000のゲート位置決めシステム2060は、上述の圧縮機のゲート位置決めシステムとは異なる。符号に付与されているa、b、およびcのセット(例えば、圧縮室3020a、ロータ3040a、ゲート3050a、カム3110a、カムフォロワ3120a、ゲート支持部3130aおよびばね3140a)はそれぞれ、圧縮機2000の対応する構成要素とほぼ同じ態様で動作する。
圧縮機3000の入口マニホールド3500は、副圧縮機3000a、3000b、3000cのそれぞれの入口に流体接続する。様々な実施形態によれば、3つの副圧縮機3000a、3000b、3000cの作動流体吸入口は、マニホールド3500の各下流に流体接続する。同様に、3つの副圧縮機3000a、3000b、3000cの圧縮された作動流体の吐出口は、圧縮機の吐出マニホールド3510に再結合する。様々な実施形態によれば、吐出流路が互いに結合する場所の上流の各副圧縮機の吐出口に逆止弁が配置される。
様々な実施形態によれば、逆止弁は、各副圧縮機の入口の下流に配置され、そこから入口流路がそれぞれの副圧縮機3000a、3000b、3000cに向かって分岐して(例えば、下流または入口マニホールド3500内に)、副圧縮機3000a、3000b、3000cの異相運転中に、チャンバ3020a、3020b、3020cの一つから別のチャンバ3020a、3020b、3020cへと逆流するのを防ぐ。
図59および図60に示すように、圧縮機3000a、3000b、3000cの圧縮サイクルは互いに120°位相がずれている。したがって、副圧縮機3000aがその圧縮サイクルを開始する時、副圧縮機3000bはそのサイクルの途中であり、副圧縮機3000cはそのサイクルの2/3である。副圧縮機3000a、3000b、3000cをこのように位相をずらして配置することにより、圧縮機3000に印加される最大瞬時トルクが低減され、圧縮機3000の駆動軸3030を駆動するために使用されるエンジン、モータまたは他の回転駆動装置のサイズ/出力/HPを低減することができる。また圧縮機3000の三相動作では、ゲート位置決めシステムの往復運動が3つの副圧縮機3000a、3000b、3000cにわたって概ね平衡になるので、振動を低減することができる。圧縮機3000の三相動作は、(圧縮機2000における単一の大きなバーストとは異なり)圧縮流体流がドライブシャフト3030の1回転毎に連続した3つのバーストに分割されるので、圧縮機3000の下流(例えば、吐出マニホールド3510内)の圧力スパイクを減少させることもできる。さらに、圧縮機2000では単一のゲートスロットであったが、圧縮機3000を三相動作とすることにより補強構造を有する3つのゲートスロットとなるので、ケーシング3010の強度を増加させ、ゲートの周りのケーシング3010の必要となる補強を削除できる。より狭いゲート3050a、3050b、3050cまたはロータ3040a、3040b、3040c(または圧縮機3000の他の構成要素)は長くないことから、より簡単に製作できるので、圧縮機3000を三相動作とすることは圧縮機3000のコストを低減することができると言える。圧縮機3000の三相動作では、隣接する圧縮室3020a、3020b、3020cの間に軸受を配置することができるため、ドライブシャフト3030の撓みを減少させることができ、 ロータ3040a、3040b、3040cとケーシング3010との間の小さな許容誤差を依然として維持しつつより安価な駆動軸3030および他の構成要素を採用可能となることから、圧縮機3000のコストを低減できる。
図示された圧縮機3000は、3つの副圧縮機3000a、3000b、3000cを備えるが、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、圧縮機はより多くのまたはより少ない副圧縮機を備えることができる(例えば360/n、nは1より大きい整数であり、好ましくは100より小さい整数(例えば、2,3,4,5,6,7,8,9,10))。
これに代えて、3つの別個の圧縮機(例えば、圧縮機1000,2000,5150のような上述の圧縮機のいずれか)を使用して圧縮機3000の多相化を導入してもよい。この場合、それぞれのドライブシャフトを(例えば、歯車、ベルト等を介して、共通の駆動軸に沿って互いに軸方向に離間するように軸方向に圧縮機が配置されるような共軸上の直接搭載によって)接続され、上記で説明した副圧縮機3000a、3000b、3000cが互いに位相がずれているのと同様に、圧縮機1000,2000,5150も互いに位相がずれるように設けられる。
図61〜図65には、別の実施形態に係る圧縮機4000が示されている。圧縮機4000は、直線的に往復運動するゲート1110ではなく、旋回ゲート4050を使用する点を除いて、概して上述の圧縮機2000と同様である。したがって、類似または同一の構成要素についての不必要な説明は省略する。圧縮機4000は、圧縮室4020(図61〜図62参照)を画定する本体ケーシング4010、ケーシング4010に回転可能に取り付けられたドライブシャフト4030、ケーシング4010に対してドライブシャフト4030と共に回転するようにドライブシャフト4030に取り付けられたロータ4040(図61〜図62を参照)、ゲート軸4055の周りでケーシング4010に対して共通の旋回運動をするべくゲートシャフト4052に取り付けられたゲート4050、ゲート位置決めシステム4060、圧縮室4020の吐出口4160と流体連通する吐出口マニホールド4150、圧縮室4020の吸入口4180と流体連通する吸入口マニホールド4170とを備える。
図61〜図62に示すように、吸入口4180はゲート4050を貫通している。これにより、より大きな吸入口4180面積ならびにより効率的なガス流路を実現している。しかしながら、別の実施形態では、吸入口4180は、様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、ゲート4050から離間していてもよい。
図63〜図65に示すように、ゲート位置決めシステム4060は、ドライブシャフト4030と共に回転するようにドライブシャフト4030に取り付けられるカム4110を有する。カム4110のカム外形は、一般的に、ロータ4040の輪郭を模倣(ただし、カム4110がカムフォロワ4120をゲート4050に対して駆動するように旋回位置に基づく変化を考慮して変更可能である)し、更に、カム4110に当接し軸4055(図63〜図65参照)周りにケーシング4010に対してシャフト4052およびゲート4050と共に共通回動するようにゲートシャフト4052に取り付けられたカムフォロワ4120、および、ケーシング4010とゲート4050の間に配置されてゲート4050を枢動させるようにロータ4040に向かって付勢するばね4140の輪郭を模倣する。ロータ4040が回転すると、ゲート位置決めシステム4060は、ゲートのシール縁部4050aをロータ4040の近くに保持する。ばね4140は、ゲート4050をロータ4040に向けて付勢する一方、カム4110およびカムフォロワ4120はその力を相殺して、シール縁部4050aが圧縮機4000の動作中にロータ4040の表面に近接して追従するようにしている。
旋回ゲート4050は、圧縮室4020内で旋回ゲート4050の圧縮流体吐出口4160側に蓄積する圧力抗する役割をする。図61〜図62に示すように、圧縮室4020の圧縮容積(図61および図62に示す右側)の高圧に曝されるゲート4050の凸状の半円筒形の面は、ゲートシャフト4052およびゲート軸4055と同心である。このように構成することにより、ゲート4050を枢動させることなく、圧力負荷がゲート4050を介してシャフト4052に直接伝達される。シャフト4052を介してケーシング4010へと直接力が伝達することで、ゲート4050の撓みを減少させ、シール縁部4050aをロータ4040の近くに保ちながら、圧縮機4000の圧縮サイクル毎にゲート4050を往復回動させるのに必要な力を低減する。
様々な実施形態によれば、ゲート4050およびシャフト4052は一体的に形成されてもよい。
図示の実施形態では、ねじりばね4140は、ゲート4050をロータ4040に向かって付勢する。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の他の適切な力付与機構(例えば、シャフト4052およびゲート4050上にトルクを付与するべく、ゲート4050またはシャフト4052に取り付けられたレバーアームとケーシング4010との間に設けられた圧縮ばねまたは引っ張りばね、モータ、磁石など)を使用してもよい。
図66には、別の実施形態に係る圧縮機5000が示されている。圧縮機5000は、圧縮機1000のゲート支持ガイド1075とは異なるタイプのゲート支持ガイド5075を使用する点を除いて、圧縮機1000と同じである。同一構造についての重複する説明は省略する。
図66に示すように、ゲート支持ガイド5075は、3つの部分5075a、5075b、5075cに分けられる。ガイド部5075a、5075cは、ゲート支持部5050の往復直線運動を(図66に示すように上下方向に)可能にするようにゲート支持部5050を案内するゲート支持ブッシングまたは軸受5080を備える。中央ガイド部5075bは、筐体1010に取り付けられている(または筐体1010と一体的に形成されている)。中央ガイド部5075bは、リニア軸受5090を介してガイド部5075a、5075cに接続されている。リニア軸受5090は、外側ガイド部5075a、5075cが中央ガイド部5075bに向かっておよび中央ガイド部5075bから離れるように(図66に示す矢印5100に沿って、図66における左右方向)移動することを可能にする。リニア軸受5090は、外側ガイド部5075a、5075cが矢印5100に垂直な方向(すなわち、図66の紙面に向かう/離れる方向)に中央ガイド部5075bに対して移動することを防止する。リニア軸受5090は、圧縮機5000の様々な部分(例えば、ゲート支持ガイド5075とゲート支持クロスアーム5055との間)の相対的な熱膨張を補正するために使用される。リニア軸受5090が使用されない場合、ゲート支持軸受5080が、ゲート支持部5050を矢印5100の方向に押すまたは引っ張って支持部5050が軸受5080に対して拘束されてしまう場合がある。
様々な別の実施形態によれば、リニア軸受5090は、ゲート支持部5050が矢印5100の方向に移動することを可能にする別の直線運動デバイスと置き換えることができる。例えば、リニア軸受5080に対してゲート支持部5050をわずかに小さく形成することによって、熱成長を説明することができる。これに加えておよび/またはこれに代えて、リニア軸受5080が必要に応じて熱的な成長のために軸方向(矢印5100の方向)に動くことができるようにゲートケーシング5075のスロット孔にリニア軸受5080を嵌合してもよく、垂直方向(すなわち、図66の紙面の方向に)移動することが制限されるまたは排除される。
図70〜図74には、別の実施形態に係る圧縮機6000が示されている。圧縮機6000は、以下に記載される点以外は、圧縮機1000とほぼ同じまたは同一である。よって、圧縮機1000の構造または特徴と同一または類似の圧縮機6000の構造および特徴の重複する説明は省略される。
図70〜図73に示すように、圧縮機6000には、圧縮機6000の一つまたは複数の端部から外側へと延在するドライブシャフト6020以外の圧縮機6000の多くのまたは全ての可動部品を囲むケーシング6010が追加されている。
図73に示すように、ケーシング6010の上部6030は、圧縮機6000の圧縮室6040を画定する本体ケーシングと一体的に形成されてもよい。吸入口および吐出口マニホールド6050,6060はそれぞれ、ケーシング6010の上側部分6030に一体的に形成されてもよい。上側部分6030は、静圧軸受6070およびゲート6080を構造的に支持し、ケーシングを補強するための補強構造を有して軸受6070およびゲート6080からの圧力によって引き起こされる撓みに抗するようにしてもよい。
図70および図71に示すように、ケーシング6010はまた、ばね6110を収容する内部空洞を有する下側部分6100を含む。上側部分6030は下側部分6100にボルト止めされるまたは他の方法で取り外し可能に取り付けられて、上側部分6030および圧縮機6000の主要構成要素が下側部分6100から(例えば、保守または交換のために)取り外し可能になるようにしてもよい。ばね6110は、上側部分6030および圧縮機6000の主要構成要素と共にユニットとして構成されて取り外し可能であってもよい。これに代えて、上側部分6030が取り外されたときに、ばねは下側部分6100に残るようにしてもよい。
様々な実施形態によれば、下側部分6100は、流体リザーバがケーシング6010内に設けられるように、圧縮機の油圧システムおよび潤滑システムからの油溜めを備えてもよい。
図70に示すように、ケーシング6010は、カムおよびカムフォロワ(例えば、図40に示すようにカム1050およびフォロワ1060)を包囲して保護するカムカバー6130も含む。潤滑剤分配システム6140(例えば、オイルポンプおよびオイル充填リザーバ)は、導管6150を介してカバー6130の内部に接続されて、潤滑剤をカムおよびカムフォロワに、特にカムとカムフォロワとの間の界面(図39に示されている)に塗布(例えば、噴霧または滴下)する。様々な実施形態では、システムはオイルバスを形成するように構成されてもよく、カムおよびカムフォロワの一部が、動作の一部または全体の間、オイルバスに沈められてもよい。このシステムは、カムおよびカムフォロワに提供される潤滑を最大にするように最適なオイルレベルを生成すると同時に、オイル飛散、オイル内の気泡の発生などの悪影響を最小限に抑えるように構成され得る。図70では、システム6140がケーシング6010の外側にあるものとして示されているが、例えば、これに代えて、システム6140全体および導管6150がケーシング6010の内側に配置されてもよい。図72に示すように、回転シール6160は、シャフト6020とカバー6130との間の回転界面をシールする。このようなシール6160は、メカニカルシール(例えば、リング)を含んでもよい。ドライブシャフトを通過してカバー6130の内部に漏れる可能性のある作動流体が、カバー6130およびケーシング6010外部の周囲環境にさらに漏出するのを防止するために、シール6160は、排水および静水圧を提供するシール1500,6200のようなマルチパート油圧シールを含んでもよい。
図73に示すように、上側部分6030内のオイル導管6170は、静圧軸受6070にオイルを供給することができる。静圧軸受6070は、(単一のO型または楕円形の軸受ではなく)ゲート6070をその間に挟む別の2つの軸受パッド6070a、b(図73の右側および左側に示す)を含む。ツーピース軸受6070は、軸受6070およびゲート6080がケーシング6010の上側部分6030に形成された合致するスロットに挿入された時に、軸受6070およびゲート6080の研削を容易にすることによい、軸受6070およびゲート6080の間の隙間を減少させる。
図74に示すように、ゲート環状機械的/油圧シール6200がゲート6080を取り囲み、圧縮室6040の内部を、静圧軸受6070およびケーシング6010の下側部分6100から密封する。ゲート環状油圧シール6200は、シール6200が回転ドライブシャフトではなく往復ゲート6080をシールする以外は、シール1500と同様に圧縮室6040を外部環境から隔離するよう機能する。シール6200は、圧縮室6040から軸受6070に向かって順に、第1のシール6210、排出溝(例えばベント)6220、第2のシール6230、油圧流体溝6240、および第3のシール6250を含む。様々な実施形態によれば、シール6210,6230,6250および溝6220,6240は、ゲート6080の全周囲に連続して延在する。シール6210,6230,6250は、それぞれ、O−リングのような単一の連続シールであってもよい、または、ゲート6080の周りに完全な外周を合わせて形成する複数の部分からなるシールであってもよい。
別の実施形態では、シール6210,6230,6250および溝6220,6240は、ゲート6080の周りに連続的に延在するのではなく、二組のシールおよび溝によって形成される。一組はゲート6080の吸入口側に配置され、もう一組はゲート6080の吐出口側に配置される。
図74に示すように、排出溝(例えば通気口)6220は流路6280を介して吸入口マニホールド6050に流体接続され、圧縮室6040から第1のシール6210を越えて漏れた作動流体は低圧吸入口マニホールド6050へと戻されて、圧縮室6040に再注入される。
図74に示すように、静圧流体溝6240は、加圧流体源(例えば、油圧ポンプ1380)から流路6290を介して溝6240に圧送される油圧流体(または他の適切な流体)によって加圧される。
図74に示すように、シール6200は、シール6210,6230,6250および溝/ベント6220,6240を支持し、流路6280,6290の一部を画定するハウジング/本体6300を含む。流路6280,6290の他の部分は、ケーシング部分6030または他の構造によって画定されてもよい。シール6200およびその構成要素は、好ましくは、単一ユニットとしてケーシング部分6030内の所定位置に取り外し可能に挿入される。図74に示すように、シール6200は、ケーシング部分6030の嵌合スロットに下方から挿入される。更なるシールリング6310によって、シール6200の本体6300とケーシング6030との間の境界面がシールされる。
シール6200の機能を図74を参照して説明する。ゲート6080が貫通する開口部を介して圧縮室6040から作動流体(例えば、圧縮されている天然ガス)が漏出する場合、作動流体はシール6210とゲート6080との間で漏出している可能性がある。作動流体がシール6210を通過して漏れた場合、流体はベント6220に到達して、流路/ポート6280を介して流体が低圧圧縮機吸入口6050に戻り、吸入口6050との流体連通によって当該流体は吸入口6050での圧力に維持される。第2のシール6230と第3のシール6250との間の領域は、流路6290および溝6240を通って供給される油圧流体によって、入口6050の圧力より高い圧力まで加圧される。それにより、作動流体がシール6230,6250および溝6240を越えてさらに漏れることを防ぐ。吸入口6050が溝6240よりもかなり低い圧力にあるので、漏出した作動流体は、シール6230,6250および溝6240を通過するのではなく、溝6220および流路6280を通って吸入入口6050に戻る。したがって、シール6200を通る作動流体の漏れが低減される、好ましくは排除される。
様々な代替の実施形態によれば、シール6210,6230,6250のような追加のシール、および、ベント6220,6240のような対応するベントは、これらシールのうちの第1のシールとこれらシールのうちの最後のシールと間の漏れ経路に沿って配置されてもよく、これらシールがベント/溝6220,6240のそれぞれを分離し、複数の排出ベント6220を吸入口および/または複数の加圧されたベント/溝6240へと戻す。様々な実施形態によれば、漏れ経路に沿ったそのようなシールの総数は、3〜50個のであってもよい。
別の実施形態によれば、第1のシール6210およびベント6220を設けずに、メカニカルシール6200が加圧溝/ベント6240に依存してシール6200を横切るような漏れを阻止するようにしてもよい。代替の実施形態によれば、第3のシール6250およびベント/溝6240を設けずに、メカニカルシール6200がベント6220に依存してシール6230を越える漏れを阻止するようにしてもよい。
様々な実施形態では、圧縮機6000の動作中にドライブシャフト6020上のねじり負荷を低減するべく、ドライブシャフト6020の一端または両端にフライホイールを追加することができる。
様々な実施形態によれば、上記で説明した圧縮機(例えば、圧縮機1000,2000,3000,4000,5000,5150,6000)のいずれかの構成要素または特徴(例えば、静圧軸受1300、メカニカルシール1500、多相流体の圧縮等)を、上記で説明した別の圧縮機で採用してもよい。例えば、吐出マニホールド1160が、図28に示す圧縮機のゲートケーシング150の吐出口側154に取り付けられ、吐出ポート435を通って排出される圧縮流体を受け取るようにしてもよい。
上記の好ましい実施形態を、膨張機として動作するように変更することができる。また、説明するために、上側および下側ならびに他の方向を用いたが、構成要素(例えば、ロータケーシング400の底部のゲート600)の向きは、本発明の実施形態を限定する事項として解釈されるべきではない。
上述した様々な実施形態は、ロータおよびドライブシャフトが圧縮室に対して一緒に回転するように、ドライブシャフトにしっかりと取り付けられたロータに依存するロータリー圧縮機を備えるが、これらの実施形態または本発明の範囲から逸脱することなく、上述した様々な特徴を、他のタイプの圧縮機(例えば、ローリングピストン、スクリュー圧縮機、スクロール圧縮機、ローブ圧縮機、液封圧縮機、および、ロータリーベーン圧縮機)に使用することができる。例えば、上述した静圧軸受装置1300は、そのような実施形態または発明の範囲から逸脱することなく、移動ゲート/ベーンを使用する様々な他のタイプの圧縮機(例えば、ローリングピストン圧縮機、ロータリーベーン圧縮機など)に組み込むことができる。
本発明の様々な実施形態の上記の説明は、当業者が現在その最良の形態であると考えられるものを製造し使用することを可能にするが、当業者であれば、本明細書で説明した本発明の特定の実施形態、方法および実施例の変形、組み合わせおよび等価物が存在することは理解できる。したがって、本発明は、上述の実施形態、方法および実施例によって限定されるものではなく、本発明の範囲および精神のすべての実施形態および方法によって限定されるべきである。
したがって、前述の詳細な説明は、限定ではなく例示としてみなされるべきであり、本発明の精神および範囲を規定する全ての等価物を含む以下の特許請求の範囲であると理解されるべきである。クレーム要素の要件を満足する要素が複数である可能性を強調するために「少なくとも1つ」とのフレーズが使用されるが、冠詞「a」は単数のみを意味するものと解釈されるべきではない。冠詞に「A」および「a」が使用された構成要素であっても、特に明記しない限り、複数の要素である場合も含まれる。