[0098] ここで、本明細書の一部をなす図面に示される実施形態を参照して本開示が詳細に説明される。本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いることができ、および/または他の変更を行うことができる。詳細な説明に記載される説明的な実施形態は、本明細書に提示される主題を限定することを意図するものではない。更に、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を形成することができる。
[0099] ここで、図面に示されている例示的な実施形態を参照し、本明細書において、これらの実施形態を説明するために特定の言い回しが用いられる。それにもかかわらず、それによって本発明の範囲を制限することは意図されていないことを理解されたい。関連技術分野における、本開示を保有する当業者が思いつくであろう、本明細書に示される発明的特徴の変形および更なる変更、ならびに本明細書に示される本発明の原理の更なる応用は、本発明の範囲内にあるとみなされる。
I.ワイヤレス電力伝送のためのシステムおよび方法
A.システム実施形態のコンポーネント
[0100] 図1は、エネルギーポケット104を形成することによるワイヤレス電力伝送のためのシステム100を示す。システム100は、送信機101と、受信機103と、クライアントデバイス105と、ポケット検出器107とを備えることができる。送信機101は、受信機103によって捕捉することができる電力伝送波を含む電力伝送信号を送信することができる。受信機103は、捕捉された波を、受信機103に関連付けられたクライアントデバイス105の代わりに電気エネルギーの使用可能なソースに変換することができるアンテナ、アンテナ素子および他の回路部(以下で詳述する)を含むことができる。いくつかの実施形態では、送信機101は、電力伝送波の位相、利得および/または他の波形特徴を操作することによって、および/または異なる送信アンテナを選択することによって、1つ以上の軌道において、電力伝送波から作成された電力伝送信号を送信することができる。そのような実施形態では、送信機101は、基礎をなす電力伝送波が空間内のある位置において収束するように電力伝送信号の軌道を操作することができ、結果として、ある特定の形の干渉が生じる。電力伝送波の収束時に生成される1つのタイプの干渉「強め合う干渉(constructive interference)」は、電力伝送波が共に合わさり、その位置に集中するエネルギーを強化させるような、電力伝送波の収束によって生じるエネルギー場とすることができる。これは、「弱め合う干渉(destructive interference)」と呼ばれる、電力伝送波が互いから減算されるように共に合わさり、その位置に集中するエネルギーを減衰させる干渉とは対照的である。強め合う干渉における十分なエネルギーの累積によって、エネルギー場または「エネルギーポケット(pocket of energy)」104を確立することができ、このエネルギーポケットは、受信機103のアンテナが電力伝送信号の周波数で動作するように構成されているとすると、これらのアンテナによって取り入れることができる。したがって、電力伝送波は、受信機103が電力伝送波を受信し、取り入れ、使用可能な電気エネルギーに変換することができる空間内の位置において、エネルギーポケット104を確立し、これによって、関連付けられた電気クライアントデバイス105に電源供給するかまたはこれらを充電することができる。検出器107は、電力伝送信号の受信に応答して通知またはアラートを生成することが可能な受信機103を備えるデバイスとすることができる。例として、ユーザーのクライアントデバイス105を充電するために受信機103の最適な配置を探索しているユーザーは、LEDライト108を備える検出器107を用いることができ、このLEDライト108は、検出器107が単一のビームまたはエネルギーポケット104からの電力伝送信号を捕捉するときに明るさを増すことができる。
1.送信機
[0101] 送信機101は、デバイス105に関連付けられた受信機103に電力伝送信号を送信またはブロードキャストすることができる。後述する実施形態のうちのいくつかは、無線周波数(RF)波として電力伝送信号を記載しているが、電力伝送信号は、空間を通じて伝播されることが可能であり、かつ電気エネルギー源103に変換されることが可能な物理的媒体とすることができることが理解されるべきである。送信機101は、受信機103に向けられた単一のビームとして電力伝送信号を送信することができる。いくつかの場合、1つ以上の送信機101が、複数の方向において伝播される複数の電力伝送信号を送信することができ、物理的障害物(例えば、壁)を外れるように偏波することができる。複数の電力伝送信号が、3次元空間内の位置において収束し、エネルギーポケット104を形成することができる。エネルギーポケット104の境界内の受信機103は、電力伝送信号を捕捉し、使用可能なエネルギー源に変換することができる。送信機101は、電力伝送信号の位相および/または相対振幅調整に基づくポケット形成を制御して、強め合う干渉パターンを形成することができる。
[0102] 例示的な実施形態は、RF波送信技法の使用を挙げているが、ワイヤレス充電技法は、RF波送信技法に限定されるべきではない。むしろ、可能なワイヤレス充電技法は、送信されたエネルギーを電力に変換する受信機にエネルギーを送信するための任意の数の代替的なまたは更なる技法を含むことができることが理解されるべきである。受信デバイスによって電力に変換することができるエネルギーのための非限定的な例示的な伝送技法は、超音波、マイクロ波、共鳴磁場および誘導磁場、レーザー光、赤外線、または他の形態の電磁エネルギーを含むことができる。超音波の場合、例えば、受信デバイスに向かって超音波を送信するトランスデューサーアレイを形成するように1つ以上のトランスデューサー素子を配置することができ、この受信デバイスは、超音波を受信し、超音波を電力に変換する。共鳴磁場および誘導磁場の場合、送信コイルにおいて磁場が生じ、受信機コイルによって電力に変換される。更に、例示的な送信機101が、潜在的に複数の送信機(送信アレイ)を含む単一のユニットとして示されているが、電力のRF送信、およびこの段落で述べられた他の電力伝送方法の双方の場合に、送信アレイは、小型の規則的構造ではなく、空間の周りに物理的に拡散した複数の送信機を含むことができる。
[0103] 送信機は、アンテナが電力伝送信号を送信するために用いられるアンテナアレイを含む。各アンテナは電力伝送波を送信し、ここで、送信機は、異なるアンテナから送信された信号に異なる位相および振幅を適用する。エネルギーポケットの形成と同様に、送信機は、送信される信号の遅延したバージョンのフェーズドアレイを形成することができ、次に、信号の遅延したバージョンに異なる振幅を適用し、次に、適切なアンテナから信号を送信する。RF信号、超音波、マイクロ波等のような正弦波形の場合、信号を遅延させることは、信号に位相シフトを適用することと同様である。
2.エネルギーポケット
[0104] エネルギーポケット104は、送信機101によって送信された電力伝送信号の強め合う干渉パターンの位置において形成することができる。エネルギーポケット104は、エネルギーポケット104内に位置する受信機103によってエネルギーを取り入れることができる3次元場として現れることができる。ポケット形成中に送信機101によって生成されるエネルギーポケット104を、受信機103によって取り入れ、電荷に変換し、次に、受信機103(例えば、ラップトップコンピューター、スマートフォン、充電池)に関連付けられた電子クライアントデバイス105に提供することができる。いくつかの実施形態では、様々なクライアントデバイス105に電源供給する複数の送信機101および/または複数の受信機103が存在する場合がある。いくつかの実施形態では、アダプティブポケット形成は、電力レベルを調節し、および/またはデバイス105の動きを識別するために、電力伝送信号の送信を調整することができる。
3.受信機
[0105] 受信機103は、関連付けられたクライアントデバイス105に電源供給するかまたはこれを充電するために用いることができる。クライアントデバイス105は、受信機103に結合または一体化された電気デバイスとすることができる。受信機103は、1つ以上の送信機101から生じた1つ以上の電力伝送信号からの電力伝送波を受信することができる。受信機103は、送信機101によって生成された単一のビームとして電力伝送信号を受信することができるか、または受信機103は、エネルギーポケット104から電力伝送波を取り入れることができる。これは、1つ以上の送信機101によって生成される複数の電力伝送波の収束の結果として生じる空間内の3次元場とすることができる。受信機103は、電力伝送信号から電力伝送波を受信し、単一のビームまたはエネルギーポケット104の電力伝送信号からエネルギーを取り入れるように構成されたアンテナ112のアレイを含むことができる。受信機103は回路部を含むことができ、この回路部は、次に、電力伝送信号(例えば、無線周波数電磁放射)のエネルギーを電気エネルギーに変換する。受信機103の整流器は、電気エネルギーをACからDCに変換することができる。他のタイプの調整も適用することができる。例えば、電圧調整回路は、クライアントデバイス105による要求に応じて、電気エネルギーの電圧を増減させることができる。次に、継電器は、受信機103からの電気エネルギーをクライアントデバイス105に伝達することができる。
[0106] いくつかの実施形態では、受信機103は、データをリアルタイムでまたはほぼリアルタイムで交換するために、制御信号を送信機101に送信する通信コンポーネントを備えることができる。制御信号は、クライアントデバイス105、受信機103または電力伝送信号に関するステータス情報を含むことができる。ステータス情報は、数あるタイプの情報の中でも、例えば、デバイス105の現在の位置情報、受け取った電荷量、使用した電荷量、およびユーザーアカウント情報を含むことができる。更に、いくつかの用途では、受信機103は、受信機が収容する整流器を含めて、クライアントデバイス105に一体化することができる。実際的には、受信機103、配線111およびクライアントデバイス105は、単一のパッケージ内に含まれる単一のユニットとすることができる。
4.制御信号
[0107] いくつかの実施形態では、制御信号は、電力伝送信号の生成および/またはポケット形成の制御を担う様々なアンテナ素子によって用いられるデータ入力としての役割を果たすことができる。制御信号は、外部電源(図示せず)および局部発振器チップ(図示せず)を用いて受信機103または送信機101によって生成することができ、これはいくつかの場合、圧電材料を用いることを含むことができる。制御信号は、Bluetooth(登録商標)、RFID、赤外線、近距離通信(NFC)等のプロセッサ間でデータを通信することが可能なRF波または任意の他の通信媒体もしくはプロトコルとすることができる。後に詳述するように、制御信号は、送信機101と受信機103との間で、電力伝送信号を調整するのに用いられる情報を伝達するのに用いることができ、また、ステータス、効率性、ユーザーデータ、電力消費、課金、ジオロケーションに関する情報、および他のタイプの情報を含むことができる。
5.検出器
[0108] 検出器107は、検出器107が1つ以上の送信機101から生じた電力伝送信号を受信することを可能にすることができる、受信機103に類似のハードウェアを含むことができる。ユーザーによって検出器107を用いてエネルギーポケット104の位置を特定することができ、それによって、ユーザーは、受信機103の好ましい配置を決定することができる。いくつかの実施形態では、検出器107は、検出器がエネルギーポケット104内に配置されたときを示すインジケーターライト108を備えることができる。例として、図1において、検出器107a、107bは、送信機101によって生成されたエネルギーポケット104内に位置し、これによって、検出器107a、107bがエネルギーポケット104の電力伝送信号を受信していることに起因して、それぞれのインジケーターライト108、108bをオンにするように検出器107a、107bをトリガーすることができるのに対し、エネルギーポケット104の外側に位置する第3の検出器107cのインジケーターライト108cは、第3の検出器107cが送信機101からの電力伝送信号を受信していないことに起因してオフにされる。代替的な実施形態において、インジケーターライト等の検出器の機能も、受信機またはクライアントデバイスに一体化されてもよいことが理解されるべきである。
6.クライアントデバイス
[0109] クライアントデバイス105は、連続電気エネルギーを必要とするかまたは電池からの電力を必要とする任意の電気デバイスとすることができる。クライアントデバイス105の非限定的な例は、数あるタイプの電気デバイスの中でも、ラップトップ、携帯電話、スマートフォン、タブレット、音楽プレーヤー、玩具、電池、フラッシュライト、ランプ、電子時計、カメラ、ゲームコンソール、機器、GPSデバイス、および装着可能なデバイスまたはいわゆる「ウェアラブル」(例えば、フィットネスブレスレット、歩数計、スマートウォッチ)を含むことができる。
[0110] いくつかの実施形態では、クライアントデバイス105aは、クライアントデバイス105aに関連付けられた受信機103aと別個の物理デバイスとすることができる。そのような実施形態では、クライアントデバイス105aは、変換された電気エネルギーを受信機103aからクライアントデバイス105aに伝達する配線111を介して受信機に接続することができる。いくつかの場合、電力消費ステータス、電力使用メトリック、デバイス識別子および他のタイプのデータ等の他のタイプのデータを、配線111を介してトランスポートすることができる。
[0111] いくつかの実施形態では、クライアントデバイス105bは、受信機103bに恒久的に一体化するかまたは取り外し可能に結合し、それによって単一の一体化された製品またはユニットを形成することができる。例として、クライアントデバイス105bは、組込み受信機103aを有し、デバイス105bの電源入力に取り外し可能に結合することができるスリーブ内に配置することができる。この電源入力は、通常、デバイス105bの電池を充電するのに用いることができる。この例において、デバイス105bは、受信機から分離することができるが、デバイス105bが電荷を必要としているか否かまたはデバイス105bが用いられているか否かに関わらず、スリーブ内に留まることができる。別の例では、デバイス105bのための電荷を保持する電池を有する代わりに、デバイス105bは、明瞭に区別されない(indistinct)製品、デバイスまたはユニットを形成するようにデバイス105bに恒久的に一体化することができる、一体化された受信機105bを備えることができる。この例において、デバイス105bは、エネルギーポケット104を取り入れることによって電気エネルギーを生成するために、一体化された受信機103bにほぼ全面的に依拠することができる。当業者には、受信機103とクライアントデバイス105との間の接続を有線111とすることができるか、または回路基板もしくは集積回路上の電気接続とすることができるか、または更には、誘導もしくは磁気等のワイヤレス接続とすることができることが明らかであるべきである。
B.ワイヤレス電力伝送の方法
[0112] 図2は、例示的な方法200の実施形態によるワイヤレス電力伝送のステップを示す。
[0113] 第1のステップ201において、送信機(TX)は、接続を確立するかまたは他の形で受信機(RX)と連携する。すなわち、いくつかの実施形態では、送信機および受信機は、電気デバイスの2つのプロセッサ間で情報を送信することが可能なワイヤレス通信プロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE)、Wi-Fi、NFC、ZigBee(登録商標))を用いることにより制御データを通信することができる。例えば、Bluetooth(登録商標)またはBluetooth(登録商標)の変形形態を実施する実施形態において、送信機は、受信機のブロードキャストするアドバタイズメント信号をスキャンすることができるか、または受信機はアドバタイズメント信号を送信機に送信することができる。アドバタイズメント信号は、受信機の存在を送信機に知らせることができ、送信機と受信機との間の関連付けをトリガーすることができる。本明細書に記載されるとき、いくつかの実施形態では、アドバタイズメント信号は、様々なデバイス(例えば、送信機、クライアントデバイス、サーバーコンピューター、他の受信機)によって、ポケット形成手順を実行および管理するのに用いることができる情報を通信することができる。アドバタイズメント信号内に含まれる情報は、デバイス識別子(例えば、MACアドレス、IPアドレス、UUID)、受信した電気エネルギーの電圧、クライアントデバイス電力消費、および電力伝送に関連する他のタイプのデータを含むことができる。送信機は、送信されたアドバタイズメント信号を使用して受信機を特定することができ、いくつかの場合、2次元空間内または3次元空間内で受信機を位置特定することができる。送信機が受信機を特定すると、送信機は、送信機において受信機と関連付けられた接続を確立し、送信機および受信機が第2のチャネルを介して信号を通信することを可能にすることができる。
[0114] 次のステップ203において、送信機は、アドバタイズメント信号を用いて、電力伝送信号を送信するための1組の電力伝送信号特徴を決定し、次にエネルギーポケットを確立することができる。電力伝送信号の特徴の非限定的な例は、数ある中でも、位相、利得、振幅、大きさおよび方向を含むことができる。送信機は、受信機のアドバタイズメント信号または受信機から受信される後続の制御信号に含まれる情報を用いて、受信機が電力伝送信号を受信することができるように電力伝送信号をどのように生成および送信するかを決定することができる。いくつかの場合、送信機は、エネルギーポケットを確立するように電力伝送信号を送信することができ、このエネルギーポケットから受信機は電力エネルギーを取り入れることができる。いくつかの実施形態では、送信機は、電力伝送信号から受信機によって取り入れられる電気エネルギーの電圧等の、受信機から受信される情報に基づいて、エネルギーポケットを確立するのに必要とされる電力伝送信号特徴を自動的に特定することが可能なソフトウェアモジュールを実行するプロセッサを含むことができる。プロセッサおよびソフトウェアモジュールの機能は、特定用途向け集積回路(ASIC)においても実施することができることを理解するべきである。
[0115] 更にまたは代替的に、いくつかの実施形態では、第2の通信チャネルを介して受信機によって送信されるアドバタイズメント信号または後続の信号は、1つ以上の電力伝送信号特徴を示すことができ、次に、送信機がこれらの1つ以上の電力伝送信号特徴を用いて、電力伝送信号を生成および送信し、エネルギーポケットを確立することができる。例えば、いくつかの場合、送信機は、デバイスの位置およびデバイスまたは受信機のタイプに基づいて電力伝送信号を送信するのに必要な位相および利得を自動的に特定することができ、いくつかの場合、受信機は、送信機に、電力伝送信号を効果的に送信するための位相および利得を通知することができる。
[0116] 次のステップ205において、送信機は、電力伝送信号を送信するときに使用するのに適切な特徴を決定した後、制御信号と別個のチャネルを介して電力伝送信号の送信を開始することができる。電力伝送信号を送信して、エネルギーポケットを確立することができる。送信機のアンテナ素子は、電力伝送信号が受信機の周りの2次元空間または3次元空間において収束するように電力伝送信号を送信することができる。受信機の周りに結果として得られる場は、受信機が電気エネルギーを取り入れることができるエネルギーポケットを形成する。1つのアンテナ素子を用いて、電力伝送信号を送信し、2次元エネルギー伝送を確立することができ、いくつかの場合、第2のまたは追加のアンテナ素子を用いて、3次元エネルギーポケットを確立するために電力伝送信号を送信することができる。いくつかの場合、複数のアンテナ素子を用いて、エネルギーポケットを確立するために電力伝送信号を送信することができ、いくつかの場合、複数のアンテナは、送信機における全てのアンテナを含んでもよく、いくつかの場合、複数のアンテナは、送信機における1つ以上のアンテナだけを含んでもよく、全てのアンテナを含んでいなくてもよい。
[0117] 上述したように、送信機は、電力伝送信号特徴の決定された組に従って、電力伝送信号を生成および送信することができる。この組は、外部電源、および圧電材料を含む局部発振器チップを用いて生成および送信することができる。送信機は、受信機から受信した電力伝送およびポケット形成に関連する情報に基づいて電力伝送信号の生成および送信を制御するRFICを含むことができる。この制御データは、BLE、NFCまたはZigBee(登録商標)等のワイヤレス通信プロトコルを用いて、電力伝送信号と異なるチャネルを介して通信することができる。送信機のRFICは、必要に応じて、電力伝送信号の位相および/または相対的大きさを自動的に調整することができる。ポケット形成は、強め合う干渉パターンを形成するように電力伝送信号を送信する送信機によって達成される。
[0118] 送信機のアンテナ素子は、ポケット形成中に電力伝送信号を送信するときに、波干渉の概念を用いて、ある特定の電力伝送信号特徴(例えば、送信方向、電力伝送信号波の位相)を決定することができる。アンテナ素子は、強め合う干渉の概念を用いてエネルギーポケットを生成することもできるが、弱め合う干渉の概念を利用して特定の物理的位置における送信ヌルを生成することもできる。
[0119] いくつかの実施形態では、ポケット形成を用いて複数の受信機に電力を提供することができ、これには送信機が複数のポケット形成のための手順を実行することが必要となる場合がある。複数のアンテナ素子を備える送信機は、それぞれの受信機に電力伝送信号を送信する任務を課せられた送信機のアンテナ素子ごとに、伝送信号波の位相および利得を自動的に形成することによって、複数ポケット形成を達成することができる。送信機のアンテナ素子によって、電力伝送信号を受信機のそれぞれのアンテナ素子に送信するための、電力伝送信号ごとの複数の波経路を生成することができるので、送信機は、位相および利得を独立して計算することができる。
[0120] 2つの信号を送信する送信機の2つのアンテナ素子について位相/利得調整を計算する例として、XおよびYを仮定する。ここで、YはXを180°位相シフトしたものである(Y=−X)。累積受信波形がX−Yである物理的位置において、受信機はX−Y=X+X=2Xを受信するのに対し、累積受信波形がX+Yである物理的位置において、受信機はX+Y=X−X=0を受信する。
[0121] 次のステップ207において、受信機は、単一のビームまたはエネルギーポケットの電力伝送信号から電気エネルギーを取り入れるかまたは他の形で受信することができる。受信機は、整流器およびAC/DC変換器を備えることができ、整流器およびAC/DC変換器は、電気エネルギーをAC電流からDC電流に変換することができ、次に、受信機の整流器は、電力エネルギーを整流し、結果として、ラップトップコンピューター、スマートフォン、電池、玩具または他の電気デバイス等の受信機に関連付けられたクライアントデバイスのための使用可能な電気エネルギーを得ることができる。受信機は、ポケット形成中に送信機によって生成されたエネルギーポケットを利用して、電子デバイスに充電するかまたは他の形で電力供給することができる。
[0122] 次のステップ209において、受信機は、受信機電力伝送信号を提供する単一のビームまたはエネルギーポケットの効率性を示す情報を含む制御データを生成することができる。次に、受信機は、制御データを含む制御信号を送信機に送信することができる。制御信号は、送信機および受信機が同期して通信している(すなわち、送信機が受信機からの制御データを受信することを予期している)か否かに依拠して、断続的に送信することができる。更に、送信機は、送信機および受信機が制御信号を通信しているか否かに関わらず、電力伝送信号を受信機に連続的に送信することができる。制御データは、電力伝送信号を送信し、および/または効果的なエネルギーポケットを確立することに関する情報を含むことができる。制御データにおける情報のうちのいくつかは、送信機に、電力伝送信号の特徴をどのように効果的に生成および送信し、いくつかの場合には調整するかを通知することができる。制御信号は、BLE、NFC、Wi−Fi等の電力伝送信号および/またはポケット形成に関連する制御データを送信することが可能なワイヤレスプロトコルを用いて、電力伝送信号と独立して、第2のチャネルを介して送信および受信することができる。
[0123] 上述したように、制御データは、単一のビームの電力伝送信号の効果を示すかまたはエネルギーポケットを確立する情報を含むことができる。制御データは、受信機に関連付けられた受信機および/またはクライアントデバイスの様々な態様を監視する受信機のプロセッサによって生成することができる。制御データは、電力伝送信号および/またはポケット形成を調整するのに有用な数あるタイプの情報の中でも、電力伝送信号から受信した電気エネルギーの電圧、電力伝送信号受信の品質、充電の品質または電力受信の品質、および受信機の位置または動き等の様々なタイプの情報に基づくことができる。
[0124] いくつかの実施形態では、受信機は、送信機から送信された電力伝送信号から受信した電力量を決定することができ、次に、送信機が電力伝送信号をより強力でない電力伝送信号に「分割」するかまたは分けるべきであることを示すことができる。より強力でない電力伝送信号は、デバイスの近傍の物体または壁から跳ね返ることができ、それによって、送信機から受信機に直接送信される電力量が低減する。
[0125] 次のステップ211において、送信機は、電力伝送信号を送信するアンテナを較正することができ、それによって、アンテナは、より効果的な特徴組(例えば、方向、位相、利得、振幅)を有する電力伝送信号を送信する。いくつかの実施形態では、送信機のプロセッサは、受信機から受信した制御信号に基づいて、電力伝送信号を生成および送信するための、より効果的な特徴を自動的に決定することができる。制御信号は制御データを含むことができ、任意の数のワイヤレス通信プロトコル(例えば、BLE、Wi-Fi、ZigBee(登録商標))を用いて受信機によって送信することができる。制御データは、電力伝送波のためのより効果的な特徴を明示的に示す情報を含むことができるか、または送信機は、制御信号の波形特徴(例えば、形状、周波数、振幅)に基づいて、より効果的な特徴を自動的に決定することができる。次に、送信機は、新たに決定されたより効果的な特徴に従って、再較正された電力伝送信号を送信するようにアンテナを自動的に再構成することができる。例えば、送信機のプロセッサは、数ある電力伝送特徴のうちの特徴の中でも、電力伝送信号の利得および/または位相を調整し、ユーザーが、エネルギーポケットが確立された3次元空間の外側に受信機を動かした後に、受信機の位置の変化について調整することができる。
C.電力伝送システムのシステムアーキテクチャ
[0126] 例示的な実施形態によれば、図3は、ポケット形成を用いたワイヤレス電力伝送のためのアーキテクチャ300を示す。「ポケット形成」は、3次元空間内の位置において収束する2つ以上の電力伝送波342を生成し、結果としてその位置に強め合う干渉パターンを生成することを指すことができる。送信機302は、3次元空間において収束することができる制御された電力伝送波342(例えば、マイクロ波、電波、超音波)を送信および/またはブロードキャストすることができる。これらの電力伝送波342は、位相および/または相対的振幅調整を通じて、エネルギーポケットが意図される位置において強め合う干渉パターン(ポケット形成)を形成するように制御することができる。送信機は、同じ原理を用いて、ある位置における弱め合う干渉を生じさせ、それによって、送信ヌル、すなわち、送信された電力伝送波が互いに実質的に相殺し、大きなエネルギーを受信機によって収集することができない位置を生じさせることができることも理解されるべきである。通常の使用事例では、受信機の位置における電力伝送信号の照準合わせが目的であり、他の事例では、特定の位置への電力伝送を特に回避することが望ましい場合があり、他の事例では、電力伝送をある位置に照準合わせする一方で、同時に、第2の位置への送信を特に回避することが望ましい場合がある。電力伝送のためにアンテナを較正するとき、送信機は使用事例を考慮に入れる。
[0127] 送信機302のアンテナ素子306は、単一のアレイ、対のアレイ、4つ組のアレイ、または所望の用途に従って設計することができる任意の他の適切な構成で動作することができる。エネルギーポケットは、電力伝送波342が、3次元エネルギー場を形成するように蓄積する強め合う干渉パターンにおいて形成することができ、その周りに、弱め合う干渉パターンによって特定の物理的位置における1つ以上の対応する送信ヌルを生成することができる。特定の物理的位置における送信ヌルは、電力伝送波342の弱め合う干渉パターンに起因してエネルギーポケットが形成されない空間のエリアまたは領域を指すことができる。
[0128] 次に、受信機320は、送信機302によって放射される電力伝送波342を利用して、電子デバイス313に充電または電力供給し、これによりワイヤレス電力伝送を効果的に提供するためのエネルギーポケットを確立することができる。エネルギーポケットは、エネルギーまたは電力が、電力伝送波342の強め合う干渉パターンの形態で蓄積することができる空間のエリアまたは領域を指すことができる。他の状況では、様々な電子機器、例えば、スマートフォン、タブレット、音楽プレーヤー、玩具等に同時に電力供給するための複数の送信機302および/または複数の受信機320が存在することができる。他の実施形態では、アダプティブポケット形成を用いて、電子デバイスに対する電力を調節することができる。アダプティブポケット形成は、1つ以上の標的とされる受信機に対する電力を調節するようにポケット形成を動的に調整することを指すことができる。
[0129] 受信機320は、送信機302に対する受信機320の位置を示すために、アンテナ素子324を通じて短い信号を生成することによって送信機302と通信することができる。いくつかの実施形態では、受信機320は、ネットワークインターフェースカード(図示せず)または同様のコンピューターネットワーキングコンポーネントを更に利用してネットワーク340を通じて、送信機302のいくつかの集合体を管理するクラウドコンピューティングサービス等の、システム300の他のデバイスまたはコンポーネントと通信することができる。受信機320は、アンテナ素子324によって捕捉された電力伝送信号342を、電気デバイス313および/またはデバイスの電池315に提供することができる電気エネルギーに変換するための回路部308を備えることができる。いくつかの実施形態では、回路部は、受信機の電池335に電気エネルギーを提供することができ、受信機の電池335は、電気デバイス313が受信機320に通信可能に結合されることなくエネルギーを蓄えることができる。
[0130] 通信コンポーネント324は、受信機320が、ワイヤレスプロトコルを介して制御信号345を送信することによって送信機302と通信することを可能にすることができる。ワイヤレスプロトコルは、専用プロトコルとすることもできるし、Bluetooth(登録商標)、BLE、Wi−Fi、NFC、ZigBee(登録商標)等の従来のワイヤレスプロトコルを用いることもできる。次に、通信コンポーネント324を用いて、電子デバイス313のための識別子等の情報、ならびに電池レベル情報、地理的位置データ、または電力をいつ受信機320に送信するか、および電力伝送波342を送達してエネルギーポケットを生じさせる位置を決定する際に送信機302に有用とすることができる他の情報を転送することができる。他の実施形態では、アダプティブポケット形成を用いて、電子デバイス313に提供される電力を調節することができる。そのような実施形態において、受信機の通信コンポーネント324は、受信機320において受信される電力量、および/または電子デバイス313bもしくは電池315に提供される電圧量を示す電圧データを送信することができる。
[0131] 送信機302が受信機320を識別し、位置特定すると、制御信号345のためのチャネルまたは経路を確立することができ、このチャネルまたは経路を通じて、送信機302は、受信機320から到来する制御信号345の利得および位相を知ることができる。送信機302のアンテナ素子306は、制御された電力伝送波342(例えば、無線周波数波、超音波)の送信またはブロードキャストを開始することができ、制御された電力伝送波342は、少なくとも2つのアンテナ素子306を用いて、それぞれのアンテナ素子306から放射された電力伝送波342を操作することによって、3次元空間において収束することができる。これらの電力伝送波342は、適切な圧電材料を用いて外部電源および局部発振器チップを用いることによって生成することができる。電力伝送波342は、送信機回路部301によって制御することができ、送信機回路部301は、電力伝送波342の位相および/または相対的な大きさを調整するための専用チップを含むことができる。電力伝送波342の位相、利得、振幅および他の波形は、アンテナ素子306が強め合う干渉パターンを形成する(ポケット形成)ための入力としての役割を果たすことができる。いくつかの実施態様では、送信機302のマイクロコントローラー310または他の回路は電力伝送信号を生成することができ、電力伝送信号は電力伝送波342を含み、送信機回路部301に接続されたアンテナ素子306の数に依拠して、送信機回路部301によって複数の出力に分割することができる。例えば、4つのアンテナ素子306a〜306dが1つの送信機回路301aに接続されている場合、電力伝送信号は、4つの異なる出力に分割され、各出力は、アンテナ素子306に向かい、それぞれのアンテナ素子306から生じる電力伝送波342として送信される。
[0132] ポケット形成は、干渉を利用して、アンテナ素子306の指向性を変更することができる。ここで、強め合う干渉はエネルギーポケットを生成し、弱め合う干渉は送信ヌルを生成する。次に、受信機320は、電子デバイスを充電し、電子デバイスに電源供給するためのポケット形成によって生成されるエネルギーポケットを利用し、それによってワイヤレス電力伝送を効果的に提供することができる。
[0133] 送信機302の各アンテナ306から各受信機320への位相および利得を計算することによって、複数のポケット形成を達成することができる。
[0134] 図35は、例示的な実施形態による、ワイヤレス充電システムアーキテクチャ3500を示す。システムアーキテクチャ3500は、1つ以上のワイヤレス電力送信機3501と、1つ以上のワイヤレス電力受信機3520a、3530bとを備えることができる。いくつかの実施形態では、ワイヤレス充電システムアーキテクチャ3500は、1つ以上の電子デバイス3552を含むことができ、電子デバイス3552は、内蔵ワイヤレス電力受信機3520aを有していない場合がある。他の実施形態では、ワイヤレス充電システムアーキテクチャ3500は、内蔵電力受信機3520aを有する電子デバイス3552を備えることができる。ペアリングとは、ワイヤレス電力伝送システムの分散型システムデータベース内における、単一の電力受信機との単一の電子クライアントデバイスの関連付けを指すことができ、それによって、例えば、ユーザー、または自動システムプロセスが、クライアントデバイスが充電されるように命令する場合、システムは、この関連付けから、このクライアントデバイスを充電するためにいずれの電力受信機に電力を伝送するかを決定することができる。システムデータベースは、インストールされた製品のシステムデータベースの厳密なコピー、または任意のシステムコンピューター内に記憶され、任意のシステムコンピューターによってアクセス可能な、このデータベースのサブセットの厳密なコピーを指すことができる。
[0135] 電力送信機3501は、3D空間において収束することができる制御された無線周波数(RF)波を送信することができる。これらのRF波は、位相および/または相対的な振幅の調整を通じて、強め合う干渉パターンを形成する(ポケット形成)ように制御することができる。ポケット形成は、3D空間において収束し、制御された強め合う干渉パターンを形成する2つ以上のRF波を生成することを指すことができる。エネルギーポケットは、3次元形状をとることができる強め合う干渉パターンにおいて形成されることができるのに対し、特定の物理位置における送信ヌルは、弱め合う干渉パターンにおいて生成することができる。エネルギーポケットとは、RF波の強め合う干渉パターンの形態でエネルギーまたは電力が蓄積することができる空間のエリアまたは領域を指すことができる。特定の物理的位置における送信ヌルとは、RF波の弱め合う干渉パターンに起因してエネルギーポケットが形成されない空間のエリアまたは領域を指すことができる。アダプティブポケット形成とは、1つ以上の標的受信機に対する電力を調節するようにポケット形成を動的に調整することを指すことができる。電力とは、電気エネルギーを指すことができ、ここで、「ワイヤレス電力伝送」は、「ワイヤレスエネルギー送信」の同義語とすることができ、「ワイヤレス電力伝送」は、「ワイヤレスエネルギー送信」の同義語とすることができる。
[0136] 例示的な実施形態によれば、電力送信機3501は、数あるコンポーネントの中でも、電力送信機マネージャーアプリケーション3594aと、第三者BTLE API3512aと、BTLEチップ3512bと、アンテナマネージャーソフトウェア3593と、アンテナアレイ3586aとを備えることができる。電力送信機マネージャーアプリケーション3594aは、電力送信機3501内の不揮発性メモリにロードされた実行可能プログラムとすることができる。電力送信機マネージャーアプリケーション3594aは、数ある中でも、電力送信機3501の挙動を制御し、電子デバイス3552および電力受信機3520aの電荷の状態を監視することができ、電力受信機3520aの位置を追跡することができ、電力スケジュールを実行することができる。いくつかの実施形態では、電力送信機3501は、電力受信機3520a、電子デバイス3552、電力ステータス、電力スケジュール、ID、ペアリングに関係する情報、およびシステムを実行するのに必要な任意の情報を記憶するためのデータベース(図示せず)を含むことができる。BTLEまたはBLEとは、Bluetooth(登録商標)低エネルギー通信ハードウェアおよび/またはソフトウェアを指すことができる。データベースは、SQLファイル、または異なるフォーマットもしくは任意のフォーマットのファイル、またはコンピューターの揮発性もしくは不揮発性メモリ内のデータ構造のアレイとすることができるが、データベースのコンピューター内のデータを編成し、記憶し、取り出すために用いられるものを除く。第三者BTLE API3512aは、電力送信機マネージャーアプリケーション3594aとBTLEチップ3512bとの間の効果的な対話を可能にすることができる。アンテナマネージャーソフトウェア3593は、電力送信機マネージャーアプリケーション3594aからの命令を処理することができ、アンテナアレイ3586aを制御することができる。
[0137] 電力送信機3501に含めることができるアンテナアレイ3586aは、電力を伝送することが可能な複数のアンテナ素子を含むことができる。いくつかの実施形態では、アンテナアレイ3586aは、等間隔に配置されたグリッド内に分散させることができる64個〜256個のアンテナ素子を含むことができる。1つの実施形態では、アンテナアレイ3586aは、合計64個のアンテナ素子を有する8×8のグリッドを有することができる。別の実施形態では、アンテナアレイ3586aは、合計で256個のアンテナ素子を有する16×16のグリッドを有することができる。一方、アンテナ素子の数は、電力送信機3501の所望の範囲および電力伝送能力に関連して変動する場合がある。通常、より多くのアンテナ素子を用いると、より広い範囲およびより高い電力伝送能力を達成することができる。数ある中でも、円形パターンまたは多角形配置を含む代替的な構成も可能である。アンテナアレイ3586aのアンテナ素子は、900MHz、2.5GHz、5.250GHzまたは5.8Ghz等の周波数帯域において動作するためのアンテナタイプを含むことができ、アンテナ素子は、独立した周波数で動作することができ、ポケット形成のマルチチャネル動作を可能にする。
[0138] 電力送信機3501は、数ある中でも、Wi−Fi、ZigBee(登録商標)およびLAN等の他の通信方法を更に含むことができる。電力受信機3520aは、電力受信機アプリケーション3594bと、第三者BTLE API3512aと、BTLEチップ3512bと、アンテナアレイ3586bとを備えることができる。電力受信機3520aは、電子デバイス3552aおよび電子デバイス3520bを充電するかまたはこれらに電力供給するために、電力送信機3501によって生成されるエネルギーポケットを利用可能とすることができる。電力受信機アプリケーション3594bは、電力受信機3520a内の不揮発性メモリにロードされた実行可能命令とすることができる。第三者BTLE API3512aは、電力受信機アプリケーション3594bとBTLEチップ3512bとの間の効果的なインタラクションを可能にすることができる。アンテナアレイ3586bは、エネルギーポケットから電力を取り入れ可能とすることができる。
[0139] 電子デバイス3552および電子デバイス3520aは、ワイヤレス充電システムアーキテクチャ3500内のそれらのインタラクションを管理するためのGUIを含むことができる。GUIは、不揮発性メモリ内にロードされた実行可能プログラムに関連付けることができる。いくつかの実施形態では、電子デバイス3552および電子デバイス3520aは、電力受信機3520a、電力ステータス、電力スケジュール、ID、ペアリングに関係する情報、およびシステムを実行するのに必要な任意の情報を記憶するためのデータベース(図示せず)を含むことができる。システム管理GUIとは、ワイヤレス電力伝送システム内のコンピューター上で実行されるか、またはインターネットクラウド内にある場合がある遠隔サーバー上で実行されるソフトウェアアプリケーションプログラムを指すことができる。このシステム管理GUIは、システムユーザーまたはシステムオペレーターと、ワイヤレス電力伝送システム内のソフトウェアとの間のグラフィックユーザーインターフェースであり、構成、監視、命令、制御、報告、および任意の他のシステム管理機能のために用いられる。
[0140] いくつかの実施形態では、ワイヤレス充電システムアーキテクチャ3500は、複数の電子デバイス3552を充電するための複数の電力送信機3501および/または複数の電力受信機3520aを含むことができる。複数の電力送信機3501を含むシステムにおいて、2つ以上の電力送信機が、数ある中でも、Bluetooth(登録商標)、BTLE、Wi−Fi、ZigBee(登録商標)、LAN、LTEおよびLTEダイレクトを含む、利用可能な任意の通信チャネルを用いて常時通信することができる。
[0141] 図36は、本開示の1つ以上の実施形態が動作することができるワイヤレス電力伝送システム3600(WPTS)の例示的な実施形態を示す。ワイヤレス電力伝送システム3600は、1つ以上のワイヤレス電力送信機3601と、1つ以上のワイヤレスで電力供給される受信機3620aとの間の通信、およびクライアントデバイス3620b内の通信を含むことができる。クライアントデバイス3652は、適応可能なペアリングされる受信機3620aとペアリングすることができ、これにより、クライアントデバイス3652へのワイヤレス電力伝送を可能にすることができる。別の実施形態では、クライアントデバイス3620bは、デバイスのハードウェアの一部分として内蔵されたワイヤレス電力受信機を含むことができる。クライアントデバイス3652は、ラップトップコンピューター、固定式コンピューター、モバイルフォン、タブレット、モバイルゲーム機、テレビ、ラジオ等の、エネルギー電源を用いる任意のデバイス、および/またはエネルギー電源を必要とするかもしくはエネルギー電源から利益を得ることができる任意の機器の組とすることができる。
[0142] 1つの実施形態において、1つ以上のワイヤレス電力送信機3601は、組み込まれたソフトウェアとしての電力送信機マネージャーapp3694a(PWR TX MGR APP)と、Bluetooth(登録商標)低エネルギーチップ3612b(BTLE CHIP HW)のための第三者アプリケーションプログラミングインターフェース3612a(第三者API)とを一体化するマイクロプロセッサを含むことができる。Appとは、モバイル、ラップトップ、デスクトップまたはサーバーコンピューター上で実行されるソフトウェアアプリケーションを指すことができる。Bluetooth(登録商標)低エネルギーチップ3612aは、ワイヤレス電力送信機3601と、電力受信機3620a、クライアントデバイス3652および3620b等を含む他のデバイスとの間の通信を可能にすることができる。ワイヤレス電力送信機3601は、3D空間において収束し、ワイヤレスで電力供給される受信機上にエネルギーポケットを生じさせることができる制御されたRF波を形成するために用いることができるRFアンテナアレイを制御するアンテナマネージャーソフトウェア(アンテナMGRソフトウェア)も備えることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のBluetooth(登録商標)低エネルギーチップ3612bは、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)、LTEダイレクト等を含む他のワイヤレス通信プロトコルを利用してもよい。
[0143] 電力送信機マネージャーapp3694aは、数ある中でも、接続の確立、接続の終了、およびデータの送信を含む複数の機能を実行するための第三者アプリケーションプログラミングインターフェース3612aを呼び出すことができる。第三者アプリケーションプログラミングインターフェース3612aは、電力送信機マネージャーapp3694aによって呼び出された機能に従って、Bluetooth(登録商標)低エネルギーチップ3612bにコマンドを発行することができる。
[0144] 電力送信機マネージャーapp3694aは、分散システムデータベースも含むことができる。分散システムデータベースは、クライアントデバイス3652のための識別子、電力受信機3620aのための電圧範囲、クライアントデバイス3652の位置、クライアントデバイス3652に関連付けられた信号強度および/または任意の他の関連情報等の、クライアントデバイス3652に関連付けられた関連情報を記憶することができる。データベースは、受信機ID、送信機ID、エンドユーザーハンドヘルドデバイス、システム管理サーバー、充電スケジュール、充電優先度、および/またはワイヤレス電力ネットワークに関連した任意の他のデータを含む、ワイヤレス電力ネットワークに関連する情報も記憶することができる。
[0145] 第三者アプリケーションプログラミングインターフェース3612aは、同時に、ブート時に電力送信機マネージャーapp3694aに登録することができるコールバック機能を通じて、電力送信機マネージャーapp3694aを呼び出すことができる。第三者アプリケーションプログラミングインターフェース3612aは、1秒間に10回行うことができるタイマーコールバックを有することができ、接続が開始する度、接続が終了する度、接続が試行される度、またはメッセージが受信される度、コールバックを送信することができる。
[0146] クライアントデバイス3620bは、電力受信機app3694b(PWR RX APP)と、Bluetooth(登録商標)低エネルギーチップ3630b(BTLE CHIP HW)のための第三者アプリケーションプログラミングインターフェース3650a(第三者API)と、ワイヤレス電力送信機3601から送信されたエネルギーポケットを受信し利用するのに用いることができるRFアンテナアレイ3686bと備えることができる。
[0147] 電力受信機app3694bは、数ある中でも、接続の確立、接続の終了およびデータの送信を含む複数の機能を実行するための第三者アプリケーションプログラミングインターフェース3650aを呼び出すことができる。第三者アプリケーションプログラミングインターフェース3650aは、1秒間に10回行うことができるタイマーコールバックを有することができ、接続が開始する度、接続が終了する度、接続が試行される度、またはメッセージが受信される度、コールバックを送信することができる。
[0148] クライアントデバイス3652は、BTLE接続3696を介して適応可能な電力受信機3620aにペアリングすることができる。グラフィカルユーザーインターフェース(GUI3698)を用いて、クライアントデバイス3652からのワイヤレス電力ネットワークを管理することができる。GUI3698は、任意のアプリケーションストアからダウンロードすることができ、数ある中でも、iOSおよびAndroidを含む任意のオペレーティングシステム上で実行することができるソフトウェアモジュールとすることができる。クライアントデバイス3652は、BTLE接続3696を介してワイヤレス電力送信機3601と通信して、デバイスのための識別子、電池レベル情報、地理的位置データ、またはワイヤレス電力送信機3601のために有用とすることができる任意の他の情報等の重要なデータを送信することもできる。
[0149] ワイヤレス電力伝送システム3600を管理するために、ワイヤレス電力マネージャーソフトウェアを用いることができる。ワイヤレス電力マネージャーは、メモリ内でホスティングされ、コンピューティングデバイス内でプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールとすることができる。ワイヤレス電力マネージャーは、ローカルアプリケーションGUIを含むかまたはウェブページGUIをホスティングすることができ、これらのGUIから、ユーザーは、オプションおよびステータスを見て、ワイヤレス電力伝送システム3600を管理するためのコマンドを実行することができる。クラウドベースとすることができるコンピューティングデバイスは、数ある中でも、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー、Wi−FiまたはZigBee(登録商標)を含む標準的な通信プロトコルを通じてワイヤレス電力送信機3601に接続することができる。電力送信機マネージャーapp3694aは、クライアントデバイス3652によるアクセスおよびクライアントデバイス3652への電力伝送を制御するために、ワイヤレス電力マネージャーと情報を交換することができる。ワイヤレス電力マネージャーによって制御される機能は、個々のデバイスについて電力伝送をスケジューリングすること、異なるクライアントデバイス間で優先順位付けすること、クライアントごとに証明書にアクセスすること、電力送信機エリアに対する電力受信機の物理的位置を追跡すること、メッセージをブロードキャストすることと、および/またはワイヤレス電力伝送システム3600を管理するのに必要な任意の機能を含むことができる。
[0150] コンピューティングデバイスは、ネットワーク接続を通じてワイヤレス電力送信機3601に接続することができる。ネットワーク接続は、数ある中でも、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、ワイヤレスエリアネットワーク(WAN)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー、Wi−FiおよびZigBee(登録商標)を含む、コンピューター間の任意の接続を指すことができる。電力送信機マネージャーapp3694aは、デバイスによる電力伝送へのアクセスを制御するために、ワイヤレス電力マネージャーと情報を交換することができる。ワイヤレス電力マネージャーによって制御される機能は、個々のデバイスのための電力伝送のスケジューリング、クライアントデバイスに割り当てられるアンテナ数、異なるクライアントデバイス間の優先順位、クライアントごとのアクセス証明書、物理的位置、メッセージのブロードキャスト、および/またはワイヤレス電力伝送システム3600内でコンポーネントを管理するのに必要とされる任意の機能を含むことができる。
[0151] 1つ以上のワイヤレス電力送信機3601は、ワイヤレス電力送信機3601が通信を確立するのに十分近接した任意の単一ワイヤレス電力受信機に電力を自動的に送信することができる。次に、ワイヤレス電力受信機は、クライアントデバイス3652等の電気的に接続された電子デバイスに電力供給するかまたはこの電子デバイスを充電することができる。単一のワイヤレス電力送信機3601は、複数のワイヤレス電力受信機に同時に電力供給することができる。代替的に、ワイヤレス電力伝送システム3600内のコンポーネントは、ワイヤレス電力マネージャーグラフィカルユーザーインターフェースを通じて、数ある中でも、自動化された時間ベースでスケジューリングされた電力伝送の時刻、電力受信機の物理的位置、クライアントデバイスの所有者等の特定のシステム基準および/または条件に依拠して、特定のワイヤレス電力受信機にのみ電力を自動的に伝送するように構成されてもよい。
[0152] ワイヤレス電力受信機は、ワイヤレス電力送信機3601から送信されたエネルギーを、ワイヤレス電力受信機のアンテナ内に取得し、これを整流し、調整し、結果として得られた電気エネルギーを、電気的に接続されたデバイスに送信し、このデバイスに電力供給するかまたはこのデバイスを充電することができる。任意のワイヤレス電力受信機が異なる空間位置に動く場合、ワイヤレス電力送信機3601は、結果として得られるエネルギービームが受信機を標的に留めておくように、割り当てられるアンテナ数、送信されるRFの位相および振幅を変更することができる。
[0153] 図37は、一実施形態による、ワイヤレス電力伝送システムネットワークを示す。いくつかの実施形態によれば、ワイヤレス電力伝送システムネットワーク3700は、インターネットクラウド3769を通じて遠隔情報サービス3777と通信することが可能な複数のワイヤレス電力伝送システムを含むことができる。
[0154] いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力伝送システムは、1つ以上のワイヤレス電力送信機3701と、1つ以上の電力受信機3720と、1つ以上のオプションのバックアップサーバー3767と、ローカルネットワーク3740とを備えることができる。いくつかの実施形態によれば、各電力送信機3701は、ワイヤレス電力送信機マネージャー3765のソフトウェアと、分散ワイヤレス電力伝送システムデータベース3763とを備えることができる。各電力送信機3701は、電力を管理し、1つ以上の電力受信機3720に電力を伝送することが可能とすることができ、ここで、各電力受信機3720は、1つ以上の電子デバイス3761を充電可能であるか、またはこれらの電子デバイスに電力を供給可能とすることができる。
[0155] 電力送信機マネージャー3765は、数ある中でも、電力送信機3701の挙動を制御し、電子デバイス3761の充電状態を監視し、電力受信機3720を制御し、電力受信機3720の位置を追跡し、電力スケジュールを実行し、システムチェックアップを実行し、異なる電子デバイス3761の各々に提供されるエネルギーを追跡することができる。
[0156] いくつかの実施形態によれば、データベース3763は、電子デバイス3761の識別子、電力受信機3720からの測定値の電圧範囲、位置、信号強度、および/または電子デバイス3761からの任意の関連情報等の電子デバイス3761からの関連情報を記憶することができる。データベース3763は、受信機ID、送信機ID、エンドユーザーハンドヘルドデバイス名またはID、システム管理サーバーID、充電スケジュール、充電特性等のワイヤレス電力伝送システムに関連する情報、および/またはワイヤレス電力伝送システムネットワーク3700に関連する任意のデータも記憶することができる。更に、いくつかの実施形態では、データベース3763は、過去のおよび現在のシステムステータスのデータを記憶することができる。
[0157] 過去のシステムステータスデータは、数ある中でも、電子デバイス3761に送達された電力量、ユーザーに関連付けられた電子デバイス3761のグループに転送されたエネルギー量、電子デバイス3761がワイヤレス電力送信機3701に関連付けられた時間量、ペアリング記録、システム内のアクティブティ、システム内の任意のワイヤレス電力デバイスの任意のアクションまたはイベント、エラー、障害および構成問題等の詳細を含むことができる。過去のシステムステータスデータは、電力スケジュール、名前、顧客サインイン名、権限付与および認証証明書、暗号化情報、システム動作の物理的エリア、システムを実行するための詳細、および任意の他のシステムもしくはユーザー関連情報も含むことができる。
[0158] データベース3763内に記憶された現在のシステムステータスデータは、数ある中でも、システム内の位置および/または動き、構成、ペアリング、エラー、障害、アラーム、問題、ワイヤレス電力デバイス間で送信されたメッセージおよび追跡情報を含むことができる。
[0159] いくつかの例示的な実施形態によれば、電力送信機3701内のデータベース3763は、未来のシステムステータス情報を更に記憶することができ、システムの未来のステータスは、過去のシステムステータスデータからの履歴データおよび現在のシステムステータスデータに従って予測または評価することができる。
[0160] いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力伝送システム内の全てのデバイスデータベース3763からの記録を、サーバー3767内に記憶し、周期的に更新することもできる。いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力伝送システムネットワーク3700は、2つ以上のサーバー3767を含むことができる。他の実施形態では、ワイヤレス電力伝送システムネットワーク3700はサーバー3767を含まない場合がある。
[0161] 別の例示的な実施形態では、ワイヤレス電力送信機3701は更に、ワイヤレス電力伝送システムにおける障害を検出可能とすることができる。電力伝送システム502における障害の例は、数ある中でも、任意のコンポーネントの過熱、機能不良、過負荷を含むことができる。システム内のワイヤレス電力送信機3701のうちのいずれかによって障害が検出される場合、障害は、システム内の任意のワイヤレス電力送信機マネージャー3765によって解析することができる。解析が完了した後、推奨またはアラートを生成し、電力伝送システムの所有者に報告するか、またはシステム所有者もしくは製造者もしくは供給者に配信するために遠隔のクラウドベースの情報サービスに報告することができる。
[0162] いくつかの実施形態では、電力送信機3701は、情報を送受信するネットワーク3740を用いることができる。ネットワーク3740は、ローカルエリアネットワーク、またはワイヤレス電力伝送システムのコンポーネント間の任意の通信システムとすることができる。ネットワーク3740は、数ある中でも、電力送信機と、システム管理サーバー3767(存在する場合)と、他の電力伝送システム(存在する場合)との間の通信を可能にすることができる。いくつかの実施形態によれば、ネットワーク3740は、インターネットクラウド3779を通じた電力伝送システムと遠隔情報サービス3777との間のデータ通信を容易にすることができる。
[0163] 遠隔情報サービス3777は、システムの所有者、システムの製造者もしくは供給者、またはサービスプロバイダーによって運用することができる。遠隔管理システムは、ビジネスクラウド3775と、遠隔マネージャー3773のソフトウェアと、バックエンドサーバー3769とを備えることができ、ここで、遠隔マネージャー3773は、汎用データベース3771を更に含むことができる。バックエンドサーバー3769および遠隔マネージャー3773の機能は、単一の物理的サーバーまたは仮想サーバーに組み合わせることができる。
[0164] 汎用データベース3771は、デバイスデータベース3763に記憶された情報の更なるバックアップを記憶することができる。更に、汎用データベース3771は、数ある中でも、マーケティング情報、顧客の課金、顧客の構成、顧客の認証、および顧客のサポート情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、汎用データベース3771は、数ある中でも、より人気のない特徴、システムにおけるエラー、問題報告、統計および品質制御等の情報も記憶することができる。各ワイヤレス電力送信機3701は、数ある中でも、認証、問題報告目的、またはステータスもしくは使用の詳細の報告のために遠隔マネージャー3773とのTCP通信接続を周期的に確立することができる。
[0165] 図38は、例示的な実施形態によるワイヤレス電力伝送システムアーキテクチャ3800を示す。ワイヤレス電力伝送システムアーキテクチャ3800は、ワイヤレス電力伝送システムと、インターネットクラウド3879と、遠隔情報サービス3883とを含むことができる。開示されるワイヤレス電力伝送システムは、1つ以上のワイヤレス電力送信機3877、任意のクライアントデバイス3861に結合または内蔵することができる1つ以上のワイヤレス電力受信機3820、1つ以上のローカルシステム管理サーバー3867またはクラウドベースの遠隔システム管理サーバー3873(例えば、バックエンドサーバー)、およびローカルネットワーク3840を含むことができる。ネットワーク3840接続は、数ある中でも、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、ワイヤレスエリアネットワーク(WAN)、およびインターネット等のコンピューター間の任意の接続を指すことができる。
[0166] いくつかの実施形態によれば、各ワイヤレス電力送信機3877は、ワイヤレス電力送信機マネージャーソフトウェア3865と、分散システムデータベース3883と、TDM電力伝送3875のソフトウェアモジュールとを含むことができる。各ワイヤレス電力送信機3877は、1つ以上のワイヤレス電力受信機3820を管理可能であり、これらに電力を伝送可能とすることができ、各ワイヤレス電力受信機3820は、1つ以上のクライアントデバイス3861を充電可能であるかまたはこれらに電力を提供可能とすることができる。クライアントデバイス3861の例は、数ある中でも、スマートフォン、タブレット、音楽プレーヤーおよび玩具を含むことができる。ある種のクライアントデバイス3861は、システム管理GUIappを実行することができる。このappは、Apple iTunes、Android Play Storeおよび/またはamazon等のパブリックソフトウェアappストアまたはデジタルアプリケーション配信プラットフォームにおいて入手可能であり、ここからダウンロードおよびインストールすることができる。
[0167] 更なる実施形態によれば、ワイヤレス電力伝送システムは、システム管理GUIアプリケーションを、ローカルシステム管理サーバー3867またはクラウドベースの遠隔システム管理サーバー3873に含むか、またはこの管理サーバーにおいて実行するか、またはこの管理サーバーから実行することができる。このシステム管理GUIアプリケーションを用いて、数ある中でも、電力伝送スケジュール、およびクライアントデバイス3861の物理的位置等のシステム基準または動作条件に依拠して、特定のワイヤレス電力受信機3820へのワイヤレス電力の伝送を制御することができる、
[0168] 各ワイヤレス電力送信機マネージャーソフトウェア3865は、ワイヤレス電力送信機3877の挙動を制御して、数ある中でも、電力伝送が開始した時点、ワイヤレス電力送信機3877およびワイヤレス電力受信機3820の双方の一意のシステム識別、接続されたデバイス数、用いられるアンテナの方向角、ワイヤレス電力受信機3820の電力受信機アンテナにおける電圧、ワイヤレス電力送信機508とワイヤレス電力受信機3820との間のリアルタイム通信接続等の異なる態様を監視可能とすることができ、これらの態様を用いて、ワイヤレス電力受信機3820がどこに位置していようとまたはどこに動かされようと、ワイヤレス電力受信機3820からの情報を追跡することができる。更に、電力送信機マネージャーソフトウェア3865は、TDM電力伝送3875の使用を制御することができ、これにより、ワイヤレス電力伝送システムをTDM電力伝送3875モードに入れることまたは入れないことが可能であり得る。特に、TDM電力伝送3875モードは、アンテナグループを再割当てすることによって、ワイヤレス電力送信機3877のアンテナアレイを制御することができ、ここで、各グループを用いて、オンラインモードにあるクライアントデバイス3861に対してのみ定期的な時間間隔で電力を伝送することができ、その間、オフラインモードにある残りのクライアントデバイス3861はワイヤレス電力送信機3877によって電源供給されるのを待機している。
[0169] ワイヤレス電力送信機3877は、ワイヤレス電力送信機3877の十分近くにある全てのクライアントデバイス3861が十分な電力を受信するまで、TDM電力伝送3875モードを通じて、ワイヤレス電力受信機3820に結合されたクライアントデバイス3861のあるグループをオンラインにすることができ、クライアントデバイス3861の別のあるグループをオフラインにすることができ、逆もまた同様である。このTDM電力伝送サイクルは、同時に全てに電力供給するにはワイヤレス電力送信機3877のクライアントデバイス3861が多すぎる間、継続することができる。
[0170] いくつかの実施形態によれば、分散システムデータベース3883は、クライアントデバイス3861内のワイヤレス電力受信機3820、ワイヤレス電力送信機3877、およびローカルシステム管理サーバー3867からの関連情報を記録することができる。情報は、限定ではないが、クライアントデバイス3861のための識別子、ワイヤレス電力受信機3820内の電力回路の電圧測定値、位置、信号強度、ワイヤレス電力受信機3820のID、ワイヤレス電力送信機3877のID、エンドユーザーのハンドヘルドデバイス名のID、システム管理サーバーのID、充電スケジュール、充電特性、および/またはワイヤレス電力伝送システムに関連する任意のデータを含むことができる。更に、ワイヤレス電力送信機3877、クライアントデバイス3861に電力供給するワイヤレス電力受信機3820およびローカルシステム管理サーバー3867は、システム情報生成器として動作することができる。
[0171] 分散システムデータベース3871は、例えば、MySQL、PostgreSQL、SQLite、Microsoft SQLサーバー、Microsoft Access、Oracle、SAP、dBASE、FoxPro、IBM DB2、LibreOffice Base、FileMaker Pro、および/またはデータの集合を編成することができる任意の他のタイプのデータベース等の従来技術のデータベース管理システム(DBMS)を通じて実施することができる。
[0172] いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力送信機3877は、ネットワーク3840を用いて情報を送受信することができる。ネットワーク3840は、ローカルエリアネットワーク、WIFI、またはワイヤレス電力伝送システムのコンポーネント間の任意の通信システムとすることができる。ネットワーク3840は、2つ以上のワイヤレス電力送信機3877間の通信、システム管理サーバー3867とのワイヤレス電力送信機3877の通信を可能にすることができ、数ある中でも、インターネットクラウド3879を通じたワイヤレス電力伝送システムと遠隔情報サービス3883との間の通信を容易にすることができる。
[0173] 遠隔情報サービス3883は、システムの所有者、製造者、システムの供給者、またはサービスプロバイダーによって動作することができる。遠隔情報サービス3883は、バックエンドサーバー、遠隔情報サービスマネージャーおよび汎用遠隔情報サービスデータベース等の異なるコンポーネントを含むことができる。
[0174] 図39は、実施形態による、実装の1つ以上の実施形態が動作することができる例示的なコンピューティングデバイス3900である。1つの実施形態において、コンピューティングデバイス3900は、バス3995と、入力/出力(I/O)デバイス3985と、通信インターフェース3987と、メモリ3989と、ストレージデバイス3991と、中央処理装置3993とを備える。別の実施形態では、コンピューティングデバイス3900は、図39に示されるコンポーネントに対し、更なる、より少ない、異なる、または異なる配置のコンポーネントを備える。
[0175] 図39において、バス3995は、(I/O)デバイス3985、通信インターフェース3987、メモリ3989、ストレージデバイス3991および中央処理装置3993と物理的に通信する。バス3995は、コンピューティングデバイス3900内のコンポーネントが互いに通信することを可能にする経路を含む。(I/O)デバイス3985の例は、検査者または候補者が、キーボード、コンピューターマウス、ボタン、タッチスクリーン、タッチパッド、音声認識、生体メカニズム等を含む、コンピューティングデバイス3900に対する情報を入力することを可能にすることができる周辺装置および/または他のメカニズムを含む。(I/O)デバイス3985は、例えば、ディスプレイ、マイクロフォン、発光ダイオード(LED)、プリンター、スピーカー、向きセンサ等のコンピューティングデバイス3900のユーザーに情報を出力するメカニズムも含む。上記向きセンサは、1つ以上の加速度計、1つ以上のジャイロスコープ、1つ以上のコンパス等を含む。加速度計は、それぞれの軸を中心としたそれぞれの角度のそれぞれの変化を与える。ジャイロスコープは、それぞれの軸を中心としたそれぞれの角度のそれぞれの変化率を与え、コンパスはコンパス向首方向を与える。
[0176] 通信インターフェース3987の例は、コンピューティングデバイス3900がネットワーク接続を通じて他のコンピューティングデバイスおよび/またはシステムと通信することを可能にするメカニズムを含む。メモリ3989の例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ等を含む。ストレージデバイス3991の例は、磁気および/または光記録媒体、強誘電性RAM(F-RAM)ハードディスク、ソリッドステートドライブ、フロッピーディスク、光ディスク等を含む。1つの実施形態では、メモリ3989およびストレージデバイス3991は、中央処理装置3993によって実行するための情報および命令を記憶する。別の実施形態では、中央処理装置3993は、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはフィールドプログラマブルオブジェクトアレイ(FPOA)等を含むことができる。この実施形態では、中央処理装置3993は、メモリ3989およびストレージデバイス3991から取り出した命令を解釈し実行する。
[0177] これらの実施態様の例は、サーバー、権限付与されたコンピューティングデバイス、スマートフォン、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、タブレットコンピューター、PDA、デジタルデータを受信、処理、送信することができる別のタイプのプロセッサ制御デバイス等を含む。更に、コンピューティングデバイス3900は、システムアーキテクチャの適切な動作に必要とされる、ある動作を実行することができる。適切なコンピューティングデバイス3900は、中央処理装置3993が、メモリ3989等のコンピューター可読媒体に含まれるソフトウェア命令を実行するのに応答してこれらの動作を実行することができる。
[0178] 1つの実施形態では、システムのソフトウェア命令は、ストレージデバイス3991等の別のメモリ位置から、または通信インターフェース3987を介して別のコンピューティングデバイス3900(例えば、第1のクライアントデバイス、第2のクライアントデバイス、コンピューティングデバイス等)からメモリ3989内に読み出される。この実施形態では、メモリ3989内に含まれるソフトウェア命令は、中央処理装置3993にプロセスを実行させる。
[0179] 図40は、アダプティブ3Dポケット形成技法を用いてワイヤレスエネルギーを送信するためのワイヤレスエネルギー送信システム4000を示す機能ブロック図である。いくつかの実施形態では、ワイヤレスエネルギー送信システム4000は、クラウドサービスプロバイダーと、任意の数の適切なワイヤレス電力送信機4001〜4001nと、任意の数の適切なワイヤレス充電されるデバイスとを備える。他の実施形態では、ワイヤレスエネルギー送信システム4000は、図40に示されるコンポーネントに対し、更なる、より少ない、異なる、または異なる配置のコンポーネントを備える。
[0180] 図40において、クラウドサービスプロバイダーは、システム管理サービス4067および情報配信サービスを備える。ワイヤレス充電されるデバイスは、各々が関連付けられた受信機4020〜4020nと、クライアントデバイス4052〜4052nと、GUI4061〜4061nとを備える。いくつかの実施形態では、各々が受信機、クライアントデバイスおよびGUIを含む、更なるワイヤレス充電されるデバイス(例えば、最高でn個)が存在することができる。
[0181] いくつかの実施態様では、クラウドサービスプロバイダー、ワイヤレス電力送信機4001、およびワイヤレス充電されるデバイスは、互いに1つ以上と有線/ワイヤレス通信する。これらの実施形態において、ワイヤレス電力送信機4001は、任意の適切なワイヤレスプロトコルを介して、ワイヤレス充電されるデバイスとワイヤレスで結合および通信する。適切なワイヤレスプロトコルの例は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー、Wi−Fi、ZigBee(登録商標)等を含む。
[0182] いくつかの実施形態では、クラウドサービスプロバイダーは、任意の数のプロセッサ、ランダムアクセスメモリモジュール、物理ストレージドライブ、有線通信ポート、ワイヤレス通信ポート等を含む、アプリケーションの所望の組を実行するのに必要とされる任意の数のコンポーネントを含むコンピューターハードウェアおよびソフトウェアとして実装される。例において、クラウドサービスプロバイダーは、コンピューティングデバイスの1つ以上のコンポーネントを用いて実装される。これらの実施形態において、クラウドサービスプロバイダーは、ユーザー証明書、デバイス識別、デバイス認証、1人以上のユーザーに関連付けられた使用および支払いを管理し、サービス要求、情報要求を処理し、1人以上のユーザーに関係するデータを記憶し読み出すことが可能なソフトウェアを含む、システム管理サービス4067をホスティングするのに必要な任意のソフトウェアを実行する。他の実施形態では、クラウドサービスプロバイダーは、ユーザーデータ、デバイスデータ、支払いデータ等を記憶するためのデータベースを更に備える。
[0183] いくつかの実施形態では、システム管理サービス4067は、1つ以上のワイヤレス電力送信機から1つ以上の受信機への電力伝送、モバイルデバイスユーザーに関連付けられた証明書、ワイヤレス電力伝送に関連付けられた課金等を管理するように構成される。これらの実施形態において、システム管理サービス4067は、1つ以上のワイヤレス電力送信機4001に、1つ以上のワイヤレス電力受信機への電力伝送を開始、一時停止または停止するコマンド等を含むコマンドを発行するように構成されたハードウェアおよびソフトウェアである。例において、クラウドサービスプロバイダーは、コンピューティングデバイスと実質的に同様に機能する。別の例では、システム管理サービス4067は、ワイヤレス電力マネージャーと実質的に同様に機能する。
[0184] いくつかの実施形態では、クラウドサービスプロバイダーは、情報配信サービスをホスティングするのに必要とされる任意のソフトウェアを実行する。そのようなソフトウェアの例は、1つ以上のユーザーに関連するデータの記憶および読み出し、データに対する解析の実行等が可能なソフトウェアを含む。他の実施形態では、情報配信サービスは、使用データ、課金データ、人口統計データ等をシステム管理サービス4067、ワイヤレス電力送信機4001、受信機4020および/またはクライアントデバイス4052から収集するように構成されたハードウェアおよびソフトウェアである。データの例は、充電に費やされた総時間、デバイスに送信された総エネルギー、デバイスに送達されたエネルギーの月平均量、エネルギーがモバイルデバイスに送信された位置、モバイルデバイスユーザーの人口統計記述子等を含む。
[0185] 他の実施形態において、ワイヤレス電力送信機4001は、任意の数のプロセッサ、ランダムアクセスメモリモジュール、物理ストレージドライブ、有線通信ポート、アンテナへの結合を可能にするワイヤレス通信インターフェース等を含む、アプリケーションの所望の組を実行するのに必要とされる任意の数のコンポーネントを含むコンピューターハードウェアおよびソフトウェアとして実装される。例において、ワイヤレス電力送信機4001は、コンピューティングデバイスの1つ以上のコンポーネントを用いて実装される。いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力送信機4001は、アダプティブ3Dポケット形成技法を用いて、ワイヤレス充電されるデバイス(ワイヤレス電力受信機を含む)および(1つ以上の電気デバイスに結合された)ワイヤレス電力受信機に電力を伝送することが可能な送信機として実装される。これらの実施形態において、1つ以上のワイヤレス電力送信機4001が、(ワイヤレス充電されるデバイスの一部として、または1つ以上の電気デバイスに結合されて)1つ以上の受信機4020と通信し、3D空間における1つ以上の受信機4020を位置特定し、1つ以上の受信機4020においてエネルギーポケットを形成するように電力信号を送信する。
[0186] いくつかの実施形態では、ワイヤレス充電されるデバイスは、任意の数のプロセッサ、ランダムアクセスメモリモジュール、物理ストレージドライブ、有線通信ポート、アンテナへの結合を可能にするワイヤレス通信インターフェース等を含む、アプリケーションの所望の組を実行するのに必要とされる任意の数のコンポーネントを含むコンピューターハードウェアおよびソフトウェアとして実装される。いくつかの実施形態では、ワイヤレス充電されるデバイスは、適切なワイヤレス電力受信機に結合され、これと通信するコンピューティングデバイスとして実装される。ワイヤレス充電されるデバイスの例は、モバイルフォン、ラップトップ、ポータブルビデオゲームシステム、ビデオゲームコントローラー等を含む。例において、ワイヤレス充電されるデバイスは、コンピューティングデバイスの1つ以上のコンポーネントを用いて実装される。いくつかの実施形態では、ワイヤレス充電されるデバイスは、アダプティブ3Dポケット形成技法を用いてワイヤレス電力送信機から電力を受信するように動作可能な受信機(例えば、受信機4020)を含んで実装される。これらの実施形態では、1つ以上のワイヤレス充電されるデバイスに含まれる受信機部分(例えば、受信機4020)は、1つ以上のワイヤレス電力送信機4001と通信し、1つ以上のワイヤレス充電されるデバイスに関連付けられた受信機の位置において形成されるエネルギーポケットからエネルギーを受信する。ワイヤレス充電されるデバイスは、固有の受信機(例えば、受信機4020)を含むことができるか、または別個のワイヤレス受信機に結合され、これと電気通信することができる。
[0187] 動作時に、ワイヤレス電力送信機4001は、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー、ZigBee(登録商標)等を含む適切なワイヤレス通信プロトコルを用いて個々の送信機に関連付けられた識別子をブロードキャストする。適切な識別子の例は、MACアドレス、IMEI、シリアル番号、ID文字列等を含む。他の実施形態では、適切な識別子は、ワイヤレス電力送信機4001において用いられるソフトウェアのバージョンに関する情報を更に含む。いくつかの実施形態では、ワイヤレス充電されるデバイス内のクライアントデバイス4052は、1つ以上のワイヤレス電力送信機4001によってブロードキャストされる1つ以上の識別子を検出し、ワイヤレス電力送信機4001の1つ以上のグラフィック表現を、GUI4061を通じてモバイルデバイスユーザーに表示するように構成される。他の実施形態では、クライアントデバイス4052は、ワイヤレス電力送信機4001上で実行しているソフトウェアのバージョンを判断し、このバージョン情報を用いて、ワイヤレス電力送信機4001によってブロードキャストされる情報内でワイヤレス電力送信機4001に関連付けられた識別子の位置およびフォーマットを決定する。
[0188] いくつかの実施形態では、クライアントデバイス4052は、充電、充電の一時停止、充電の終了、支払い取引の権限付与等を開始することの要求を含むユーザー要求をシステム管理サービス4067に通信することができる。他の実施形態では、クラウドサービスプロバイダーは、1つ以上のワイヤレス電力送信機4001と通信し、1つ以上のワイヤレス電力送信機4001からの電力信号の配信を管理する。ワイヤレス電力送信機4001は、受信機4020とワイヤレス通信し、アダプティブ3Dポケット形成技法を用いて、ワイヤレス電力送信機4001からの電力信号を受信機4020に送信するように構成される。
[0189] 図41は、例示的な実施形態によるペアリングプロセス4100のフローチャートである。ペアリングプロセス4100は、電子デバイスが、システム内の利用可能な電力受信機を識別する(4121)ときに開始することができる。この際、信号強度を用いて、電子デバイスは、利用可能な電力受信機の各々の近接性を監視可能とすることができる(4123)。電子デバイスは、電力受信機のうちの1つがペアリングを実行するための近接性範囲内にあるか否かを絶えずチェックすることができる(4125)。電力受信機がいずれも範囲内にない場合、電子デバイスは、電力受信機の近接性の監視を継続することができる。電力受信機のうちの1つが範囲内にある場合、電子デバイスは、データベース4127のチェックに進み、電力受信機が既にペアリングされているか否かを判断することができる(4129)。電力受信機が別の電子デバイスに関連付けられている場合、電子デバイスは、電力受信機についてスキャンし続け、それらの近接性を追跡することができる。電力受信機が関連付けを有しない場合、電子デバイスは、ペアリングプロトコルを始めることができ、タイマーを開始し(4131)、電力受信機の近接性を継続的に監視することができる。時間が経過した後、電子デバイスは、電力受信機が依然として範囲内にあるか否かをチェックすることができる(4135)。電力受信機が近接性範囲内にない場合、電子デバイスは、電力受信機の近接性を追跡し続けることができる。電力受信機が依然として近接性範囲内にある場合、電子デバイスはデータベースを更新し(4137)、そのIDを電力受信機のIDと関連付けることができる。
[0190] いくつかの実施形態では、電子デバイスにおけるGUIは、データベースを更新する前に、所定の時間経過にわたっていくつかの信号強度測定値(RSSI)を解析することができる。いくつかの実施形態では、GUIは、信号強度測定値を計算し、その平均をとり、これを所定の基準値と比較することができる。内部データベースにおける情報を更新した後、電子デバイスは、更新されたデータベースのコピーを電力送信機に送信し(4139)、ペアリングプロセス4100が終了することができる。
[0191] 図42は、例示的な実施形態による、ペアリング解除プロセス4200のフローチャートである。ペアリング解除プロセス4200は、電力受信機にペアリングされている電子デバイスが、電力受信機の近接性を絶えず監視して(4241)、電力受信機がペアリング範囲外にあるか否かをチェックする(4243)ときに開始することができる。変化がない場合、電子デバイスは、ペアリングされた電力受信機の近接性を監視し続けることができる(4241)。変化がある場合、電子デバイスは、タイマーを開始することができる(4245)。時間が経過した後、電子デバイスは、電力受信機によってブロードキャストされたアドバタイズメント(ads)の信号強度をチェックして、電力受信機が依然として範囲内にあるか否かを判断することができる(4249)。これは、電子デバイスにおけるGUIによって行うことができる。GUIは、所定の時間経過にわたっていくつかの信号強度測定値(RSSI)を解析することができる。いくつかの実施形態では、GUIは、信号強度測定値を計算し、その平均をとり、これを所定の基準値と比較することができる。
[0192] 電子デバイスは、電力受信機が依然として近接性範囲内にあると判断する場合、電力受信機の近接性の通常監視を続けることができる。電子デバイスは、電力受信機がもはや近接性範囲内にないと判断する場合、内部データベースの更新(4251)に進むことができ、その後、データベースの更新バージョンを電力送信機に送信することができる(4253)。並列プロセスにおいて、電子デバイスは、利用可能な電力受信機をスキャンし識別することを開始し(4255)、利用可能な電力受信機の近接性を継続的に監視することができ、ペアリング解除プロセス4200は終了することができる。
[0193] 例示的な実施形態において、ワイヤレス充電システムとインタラクトするためのGUIを含むスマートフォンは、携帯電話カバーに組み込まれた電力受信機とペアリングされる。第1の時点において、スマートフォンは電力送信機と通信し、認証され、電力受信機のデータベースを受信し、電力受信機デバイスについてスキャンを開始する。スキャン後、スマートフォンは、3つの利用可能な電力受信機を見つける。スマートフォンは、信号強度に基づいて電力デバイスの近接性を追跡する。第2の時点において、電力受信機のうちの1つがスマートフォンの近くに配置される。スマートフォンは、電力受信機が範囲内にあると判断し、ペアリングプロセスを開始する。数秒後、スマートフォンは、信号強度を再びチェックし、電力受信機が依然として、ペアリングのための受容可能な距離内にあると判断する。次に、スマートフォンは、自身の内部データベースを更新し、更新されたデータベースのコピーを電力送信機に送信する。第3の時点において、スマートフォンは、電力要求を電力送信機に送信する。電力送信機は、データベースを探索して、いずれの受信機がスマートフォンに関連付けられているかを判断し、次に、アンテナアレイを、スマートフォンに関連付けられた電力受信機に向け、電力伝送を開始する。
D.エネルギーポケットを形成するシステムのコンポーネント
[0194] 図4は、ポケット形成手順を用いてワイヤレス電力伝送の例示的なシステム400のコンポーネントを示す。システム400は、1つ以上の送信機402と、1つ以上の受信機420と、1つ以上のクライアントデバイス446とを備えることができる。
1.送信機
[0195] 送信機402は、本明細書に記載されるように、ワイヤレス電力伝送のためのRF波442とすることができるワイヤレス電力伝送信号をブロードキャストすることが可能な任意のデバイスとすることができる。送信機402は、ポケット形成、アダプティブポケット形成および複数のポケット形成を含むことができる電力伝送信号を送信することに関係するタスクの実行を担うことができる。いくつかの実施態様では、送信機402は、RF波の形態でワイヤレス電力伝送を受信機420に送信することができ、このRF波は、任意の周波数または波長を有する任意の無線信号を含むことができる。送信機402は、1つ以上のアンテナ素子406と、1つ以上のRFIC408と、1つ以上のマイクロコントローラー410と、1つ以上の通信コンポーネント412と、電源414と、送信機402のための全ての要求されたコンポーネントを配置することができるハウジングとを備える。送信機402の様々なコンポーネントは、メタマテリアル、回路のマイクロプリント、ナノマテリアル等を含むことができ、および/またはこれらを用いて製造することができる。
[0196] 例示的なシステム400において、送信機402は、3次元空間内の位置において収束し、それによってエネルギーポケット444を形成する制御されたRF波442を送信するか、または他の形でブロードキャストすることができる。これらのRF波は、位相および/または相対振幅調節を通じて制御され、強め合う干渉パターンまたは弱め合うパターンを形成することができる(すなわち、ポケット形成)。エネルギーポケット444は、強め合う干渉パターンにおいて形成される場とすることができ、3次元の形状とすることができるのに対し、特定の物理的位置における送信ヌルは、弱め合う干渉パターンにおいて生成することができる。受信機420は、電子クライアントデバイス446(例えば、ラップトップコンピューター、携帯電話)を充電するかまたはこれに電源供給するためにポケット形成によって生成されるエネルギーポケット444から電気エネルギーを取り入れることができる。いくつかの実施形態では、システム400は、様々な電子機器に電力供給するための複数の送信機402および/または複数の受信機420を含むことができる。クライアントデバイス446の非限定的な例は、スマートフォン、タブレット、音楽プレーヤー、玩具等を同時に含むことができる。いくつかの実施形態では、アダプティブポケット形成を用いて、電子デバイスに対する電力を調節することができる。
2.受信機
[0197] 受信機420は、少なくとも1つのアンテナ素子424、1つの整流器426、1つの電力変換器428および通信コンポーネント430を含めることができるハウジングを含むことができる。
受信機420のハウジングは、信号または波の送信および/または受信を容易にすることが可能な任意の材料、例えば、プラスチックまたは硬質ゴムから作製することができる。ハウジングは、例えば、ケースの形態で異なる電子機器に付加することができる外付けハードウェアとすることができるか、または電子機器内に組み込むこともできる。
3.アンテナ素子
[0198] 受信機420のアンテナ素子424は、送信機402Aによって用いられる周波数帯域において信号を送信および/または受信することが可能な任意のタイプのアンテナを含むことができる。アンテナ素子424は、垂直偏波もしくは水平偏波、右偏波もしくは左偏波、楕円偏波、または他の偏波、および任意の数の偏波の組合せを含むことができる。複数の偏波を用いることは、使用中の好ましい向きがないか、または向きが経時的に連続して変化する場合があるデバイス、例えば、スマートフォンまたはポータブルゲーミングシステムにおいて有利であり得る。明確に定義された予期される向きを有するデバイス(例えば、両手を使うビデオゲームコントローラー)の場合、アンテナの好ましい偏波が存在する場合があり、これにより、複数のアンテナについて所与の偏波の比を指定することができる。受信機420のアンテナ素子424におけるアンテナのタイプは、約1/8インチ〜約6インチの高さと、約1/8インチ〜約6インチの幅とを有することができるパッチアンテナを含むことができる。パッチアンテナは、好ましくは、接続性に依拠した偏波を有することができ、すなわち、偏波は、いずれの側からパッチが供給されるかに依拠して変動することができる。いくつかの実施形態では、アンテナのタイプは、ワイヤレス電力伝送を最適化するようにアンテナ偏波を動的に変動させることが可能な、パッチアンテナ等の任意のタイプのアンテナとすることができる。
4.整流器
[0199] 受信機420の整流器426は、アンテナ素子424によって生成された交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に整流するための、ダイオード、レジスタ、インダクタ、および/またはキャパシタを備えることができる。整流器426は、技術的に可能な限りアンテナ素子424Bの近くに配置し、電力伝送信号から収集された電力エネルギーにおける損失を最小にすることができる。AC電圧を整流した後、結果として得られるDC電圧を、電力変換器428を用いて調節することができる。電力変換器428は、入力に関わらず、電子デバイスに、またはこの例示的なシステム400におけるように電池に、一定の電圧出力を提供するのに役立つことができるDC/DC変換器とすることができる。通常の電圧出力は、約5ボルト〜約10ボルトとすることができる。いくつかの実施形態では、電力変換器は、高い効率性を提供することができる電子切り替えモードDC/DC変換器を含むことができる。そのような実施形態では、受信機420は、電力変換器428の前に電気エネルギーを受信するように位置を定められたキャパシタ(図示せず)を備えることができる。キャパシタは、十分な電流が電子切り替えデバイス(例えば、切り替えモードDC/DC変換器)に提供され、それによって電子切り替えデバイスが効果的に動作することができることを確実にすることができる。電子デバイス、例えば電話またはラップトップコンピューターを充電するとき、電子切り替えモードDC/DC変換器の動作を起動するのに必要とされる最小電圧を超えることができる初期高電流が必要とされる場合がある。そのような場合、キャパシタ(図示せず)を受信機420の出力に付加して、必要とされる追加のエネルギーを提供することができる。その後、低電力を提供することができる。例えば、電話またはラップトップにまだ電荷を蓄積させている間に、総初期電力の1/80を用いることができる。
5.通信コンポーネント
[0200] 受信機420の通信コンポーネント430は、他の受信機420、クライアントデバイス、および/または送信機402等の、システム400の1つ以上の他のデバイスと通信することができる。以下の実施形態において説明されるように、受信機に関して、異なるアンテナ、整流器または電力変換器構成が可能である。
E.複数のデバイスのためのポケット形成の方法
1.一次構成
[0201] 図5は、例示的な実施形態による、複数の受信機デバイスに電源供給するステップを示す。第1のステップ501において、送信機(TX)は、接続を確立するか、または他の形で受信機(RX)と連携する。すなわち、いくつかの実施形態では、送信機および受信機は、電気デバイスの2つのプロセッサ間で情報を送信することが可能なワイヤレス通信プロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標)、BLE、Wi-Fi、NFC、ZigBee(登録商標))を用いることにより制御データを通信することができる。例えば、Bluetooth(登録商標)またはBluetooth(登録商標)の変形形態を実施する実施形態において、送信機は、受信機のブロードキャストするアドバタイズメント信号をスキャンすることができるか、または受信機はアドバタイズメント信号を送信機に送信することができる。アドバタイズメント信号は、受信機の存在を送信機に知らせることができ、送信機と受信機との間の関連付けをトリガーすることができる。後に記載されるように、いくつかの実施形態では、アドバタイズメント信号は、様々なデバイス(例えば、送信機、クライアントデバイス、サーバーコンピューター、他の受信機)によって、ポケット形成手順を実行および管理するのに用いることができる情報を通信することができる。アドバタイズメント信号内に含まれる情報は、デバイス識別子(例えば、MACアドレス、IPアドレス、UUID)、受信した電気エネルギーの電圧、クライアントデバイス電力消費、および電力伝送波に関連する他のタイプのデータを含むことができる。送信機は、送信されたアドバタイズメント信号を使用して受信機を特定することができ、いくつかの場合、2次元空間内または3次元空間内の受信機を位置特定することができる。送信機が受信機を特定すると、送信機は、送信機において受信機と関連付けられた接続を確立し、送信機および受信機が第2のチャネルを介して制御信号を通信することを可能にすることができる。
[0202] 例として、Bluetooth(登録商標)プロセッサを備える受信機が通電されるか、または送信機の検出範囲内に入れられるとき、Bluetooth(登録商標)プロセッサは、Bluetooth(登録商標)規格に従って受信機のアドバタイズメントを開始することができる。送信機は、アドバタイズメントを認識し、制御信号および電力伝送信号を通信するための接続の確立を開始することができる。いくつかの実施形態では、アドバタイズメント信号は一意の識別子を含むことができ、それによって、送信機は、そのアドバタイズメントを区別し、最終的に、範囲内の近傍にある全ての他のBluetooth(登録商標)デバイスとその受信機を区別することができる。
[0203] 次のステップ503において、送信機がアドバタイズメント信号を検出すると、送信機は、その受信機との通信接続を自動的に形成することができ、これによって、送信機および受信機が、制御信号および電力伝送信号を通信することを可能にすることができる。次に、送信機は、受信機がリアルタイムサンプルデータの送信を開始するかまたはデータを制御することを命令することができる。送信機は、送信機のアンテナアレイのアンテナからの電力伝送信号の送信も開始することができる。
[0204] 次のステップ505において、次に、受信機は、受信機のアンテナによって受信される電気エネルギーに基づいて、電力伝送信号の効率性に関係する数ある基準の中でも、電圧を測定することができる。受信機は、測定情報を含む制御データを生成することができ、次に、制御データを含む制御信号を送信機に送信することができる。例えば、受信機は、例えば、毎秒100回の速度で受信した電気エネルギーの電圧測定値をサンプリングすることができる。受信機は、制御信号の形態で、毎秒100回電圧サンプル測定値を送信機に返送することができる。
[0205] 次のステップ507において、送信機は、受信機から受信した電圧測定値等の基準を監視する1つ以上のソフトウェアモジュールを実行することができる。アルゴリズムは、送信機のアンテナによって電力伝送信号の生成および送信を変動させ、受信機の周りのエネルギーポケットの効率性を最大にすることができる。例えば、送信機は、受信機によって受信される電力が、受信機の周りで効率的に確立されたポケットエネルギーを示すまで、送信機アンテナが電力伝送信号を送信する位相を調整することができる。アンテナのための最適な構成が特定されると、送信機のメモリは、その最も高いレベルで送信機ブロードキャストを保持するように構成を記憶することができる。
[0206] 次のステップ509において、送信機のアルゴリズムは、電力伝送信号を調整することが必要であるときを判断し、そのような調整が必要であるという判断に応答して、送信アンテナの構成を変更することもできる。例えば、送信機は、受信機から受信されるデータに基づいて、受信機において受信される電力が最大未満であると判断することができる。次に、送信機は、電力伝送信号の位相を自動的に調整することができるが、同時に、受信機から折り返し報告される電圧の受信および監視も継続することができる。
[0207] 次のステップ511において、特定の受信機と通信するための定められた期間の後、送信機は、送信機の範囲内にあることができる他の受信機からのアドバタイズメントをスキャンし、および/または自動的に検出することができる。送信機は、第2の受信機からのBluetooth(登録商標)アドバタイズメントに応答して第2の受信機への接続を確立することができる。
[0208] 次のステップ513において、第2の受信機との第2の通信接続を確立した後、送信機は、送信機のアンテナアレイにおける1つ以上のアンテナの調整に進むことができる。いくつかの実施形態では、送信機は、第2の受信機にサービス提供するためのアンテナのサブセットを特定し、それによって、アレイを、受信機に関連付けられたアレイのサブセットにパースすることができる。いくつかの実施形態では、アンテナアレイ全体が、所与の期間にわたって第1の受信機にサービス提供することができ、次に、アレイ全体が、その期間にわたって第2の受信機にサービス提供することができる。
[0209] 送信機によって実行される手動または自動のプロセスは、第2の受信機にサービス提供するためのアレイのサブセットを選択することができる。この例において、送信機のアレイを半分に分割し、2つのサブセットを形成することができる。結果として、アンテナの半分を、電力伝送信号を第1の受信機に送信するように構成することができ、アンテナの半分を第2の受信機のために構成することができる。現在のステップ513において、送信機は、第2の受信機のためのアンテナのサブセットを構成または最適化するために上記で論考した同様の技法を適用することができる。電力伝送信号を送信するためのアレイのサブセットを選択する間、送信機および第2の受信機は制御データを通信することができる。結果として、送信機が第1の受信機と通信すること、および/または新たな受信機についてスキャンすることに交替して戻るまでに、送信機は、送信機のアンテナアレイの第2のサブセットによって送信される波の位相を調整し、電力伝送波を第2の受信機に効果的に送信するのに十分な量のサンプルデータを受信している。
[0210] 次のステップ515において、電力伝送信号を第2の受信機に送信するように第2のサブセットを調整した後、送信機は、第1の受信機と制御データを通信すること、または更なる受信機についてスキャンすることに交替して戻ることができる。送信機は、第1のサブセットのアンテナを再構成し、次に、所定の間隔で第1の受信機と第2の受信機とを交互に切り替えることができる。
[0211] 次のステップ517において、送信機は、受信機間で交互に切り替えることを継続し、所定の間隔で新たな受信機についてスキャンすることができる。各新たな受信機が検出されるとき、送信機は接続を確立し、それに応じて、電力伝送信号の送信を開始することができる。
[0212] 1つの例示的な実施形態において、受信機は、スマートフォンのようなデバイスに電気的に接続することができる。送信機のプロセッサは、任意のBluetooth(登録商標)デバイスについてスキャンすることができる。受信機は、これがBluetooth(登録商標)デバイスであるというアドバタイズメントを、Bluetooth(登録商標)チップを通じて開始することができる。アドバタイズメント内で、一意の識別子が存在することができ、それによって、送信機は、そのアドバタイズメントをスキャンしたときに、そのアドバタイズメントを区別し、最終的に、範囲内の近傍にある全ての他のBluetooth(登録商標)デバイスとその受信機を区別することができる。送信機がそのアドバタイズメント信号を検出すると、これが受信機であることを認識し、次に送信機は、その受信機との通信接続をすぐに形成し、その受信機がリアルタイムサンプルデータの送信を開始することを命令することができる。
[0213] 次に、受信機は、自身の受信アンテナにおいて電圧を測定し、その電圧サンプル測定値を送信機に返送する(例えば、毎秒100回)。送信機は、位相を調整することによって、送信アンテナの構成の変更を開始することができる。送信機が位相を調整するとき、送信機は、受信機から返送される電圧を監視する。いくつかの実施態様において、電圧が高いほど、より大きなエネルギーがポケット内に存在し得る。アンテナ位相は、電圧が最高レベルになり、受信機の周りに最大エネルギーポケットが存在するまで変えることができる。送信機は、電圧が最高レベルにあるように特定の位相にアンテナを保持することができる。
[0214] 送信機は、一度に1つずつ、各個々のアンテナを変更することができる。例えば、送信機内に32個のアンテナが存在し、各アンテナが8つの位相を有する場合、送信機は、第1のアンテナから開始することができ、第1のアンテナが8つ全ての位相を経るようにする。次に、受信機は、第1のアンテナの8つの位相の各々について電力レベルを返送することができる。次に、送信機は、第1のアンテナの最高の位相を記憶することができる。送信機は、第2のアンテナについてこのプロセスを繰り返し、8つの位相を経るようにすることができる。受信機は、再び、各位相からの電力レベルを返送することができ、送信機は最も高いレベルを記憶することができる。次に、送信機は、第3のアンテナについてプロセスを繰り返し、32個全てのアンテナが8つの位相を経るまで、プロセスを繰り返し続けることができる。プロセスの終了時に、送信機は、最も効率的な方式で受信機に最大電圧を送信することができる。
[0215] 別の例示的な実施形態では、送信機は、第2の受信機のアドバタイズメントを検出し、第2の受信機との通信接続を形成することができる。送信機が第2の受信機との通信を形成するとき、送信機は、第2の受信機に向けて元の32個のアンテナの照準合わせを行い、第2の受信機に照準合わせされた32個のアンテナの各々について位相プロセスを繰り返すことができる。プロセスが完了すると、第2の受信機は、送信機から可能な限り多くの電力を得ることができる。送信機は、1秒間第2の受信機と通信し、次に、所定の期間(例えば、1秒)にわたって第1の受信機に交替して戻り、送信機は、所定の間隔で第1の受信機と第2の受信機との間を交互に切り替えて往復し続けることができる。
[0216] 更に別の実施態様では、送信機は、第2の受信機のアドバタイズメントを検出し、第2の受信機との通信接続を形成することができる。第1に、送信機は第1の受信機と通信し、第1の受信機に照準合わせされた例示的な32個のアンテナの半分を再割当てし、16個のみを第1の受信機に専用にすることができる。次に、送信機は、アンテナの第2の半分を第2の受信機に割り当て、16個のアンテナを第2の受信機に専用にすることができる。送信機は、アンテナの第2の半分のための位相を調整することができる。16個のアンテナが8つの位相の各々を経たとき、第2の受信機は、受信機にとって最も効率的な方式で最大電圧を得ていることができる。
2.ポケット形成のための最適な位置の決定
[0217] 図43は、追跡および位置決めのフローチャート4300を示す。このフローチャートは、数ある中でも、コントローラー、CPU、プロセッサ、コンピューターにおけるアルゴリズムによって、ワイヤレス電力伝送を通じて電力および/または電荷を受信することができる電子デバイスの最適な位置および向きを決定するのに利用することができる。最適な効率を達成するために、電子デバイスは、多岐にわたるセンサを用いて、ワイヤレス電力伝送が開始するとき(4359)に受信される電池における電圧レベルおよび/または電力レベルを判断することができる。そのようなセンサは、デバイスが最大利用可能効率で電力を受信しているか否かを示すことができる(4359)。電力効率を判断するセンサおよび/または回路の例は、加速度計、周囲光センサ、GPSセンサ、コンパス、近接性センサ、圧力センサ、ジャイロスコープ、赤外線センサ、モーション検出器、OPSセンサ回路および/または任意の他のタイプのセンサもしくは回路のうちの1つ以上を含むことができる。
[0218] 最大利用可能効率は、数ある中でも、送信機からの距離、障害物、温度に依拠することができる。デバイスが最大利用可能効率で電力を受信している場合、電子デバイス上および/または受信機内にインストールされたアプリケーション、ソフトウェアまたはプログラムは、これを認識し、および/または現在の位置を維持するようにユーザーに通知することができる(4363)。更に、デバイスが最大利用可能効率よりも低い効率で電力を受信している場合、ソフトウェアまたはプログラムは、多岐にわたるセンサを用いて、送信機の位置および向きに対する電子デバイスの最適な位置を追跡し決定することができる。センサは、数ある中でも、加速度計、赤外線、OPSを含むことができる。更に、通信モジュールによって、追跡および位置決めのために通信相互関係を用いることができる。通信モジュールは、数ある中でも、Bluetooth(登録商標)技術、赤外線通信、Wi−Fi、FM無線を含み、これらを組み合わせることができる。電子デバイスの各位置および/または向きにおいて受信した電圧レベルおよび/または電力を比較することによって、ソフトウェアおよび/またはプログラムは、最適な位置および/または向きに向けるためにデバイス位置を変更するようにユーザーに通知し、および/またはユーザーを誘導することができる(4365)。
[0219] 図44Aは、送信機4401Aが複数の携帯電話4452Aにわたってポケット形成を生じさせることができるワイヤレス電力伝送4400Aを示す。図44Aに示すように、ワイヤレス電力伝送4400Aは、受信機におけるアンテナ4406BがRF波4442Bの同じ方向に面する場合があることに起因して、低い効率で携帯電話4452Aを充電しおよび/または携帯電話に電力を提供する場合があり、このため、エネルギーポケット4404Aは、より低い電荷および/または電力をアンテナ4406Bに提供する場合がある。
[0220] 図44Bは、例示的な実施形態による、携帯電話が低い効率で電荷および/または電力を受信するワイヤレス電力伝送を示す。図44Bに示すように、携帯電話4452Bを180°回すことによって、アンテナ4406Bは、より高い効率で電力を受信することができ、そのような効率は、アンテナ4406Bの向きをRF波4442Bの反対方向に向けることができることに起因して達成することができる。
3.充電を始動する受信機
[0221] 図45は、例示的な実施形態による、充電要求プロセス4500のフローチャートである。プロセス4500は、ワイヤレス充電システムと対話するためのGUIを含む電子デバイスが電力送信機と通信する(4569)ときに開始することができる。通信中、電子デバイスは、数ある中でも、デバイスIDおよび充電ステータスを含む情報を電力送信機に送信することができる。電力送信機は、自身のデータベースを更新することができ、システム内の利用可能な電力送信機のIDを含むコピーを電子デバイスに送信することができる。次に、電子デバイスは、自身のIDが電力受信機のIDと既に関連付けられているか否かをチェックすることができる(4571)。
[0222] 電子デバイスが既にペアリングされていない場合、電子デバイスは、電力受信機を求めてスキャンを開始することができる(4573)。システム内の全ての電力受信機が、任意の時点においてアドバタイズメントメッセージをブロードキャストすることができる。アドバタイズメントメッセージは、一意の32ビットデバイスIDおよびシステムIDまたはUUID(汎用一意識別子)を含むことができる。いくつかの実施形態では、アドバタイズメントメッセージは、追加の情報を含むことができる。電子デバイスは、異なる電力受信機によってブロードキャストされているアドバタイズメントの信号強度を監視可能であり、電子デバイスに対する電力受信機の近接性を追跡可能とすることができる。
[0223] 電子デバイスは、電力受信機がある時間量にわたって近接性範囲内にあることを検出するとき、データベースをチェックして、電力受信機が既に別の電子デバイスとペアリングされていないか否かを判断することに進むことができる。電力受信機が別のデバイスと既にペアリングされていない場合、電子デバイスは、ペアリング(4575)中に電子デバイスのIDとの電力受信機のIDの関連付けによりデータベースを更新することができる。次に、電子デバイスは、更新されたデータベースのコピーを電力送信機に送信することができる。
[0224] 電子デバイスがペアリングされると、ユーザーが電子デバイス内のGUIを通じて、または電子機器が、電力要求を電力送信機に送信することができる(4577)。電力送信機は、電子デバイスに電力を提供することが適切であるとみなす場合、電力受信機をオンにすることができる(4579)。
[0225] その後、電力送信機は、アンテナアレイを、電子デバイスに関連付けられた電力受信機に照準合わせし、電力受信機へのエネルギーの送信を開始することができる。次に、電力受信機は、電子デバイスへの充電を開始することができる(4581)。電子デバイスが充電されると、プロセスは終了することができる。
[0226] 図46は、マイクロコントローラーによって送信機4600からワイヤレス電力伝送を制御するのに利用することができる例示的なルーチン4600を示す。ルーチン4600は、送信機4600が受信機から電力送達要求4863を受信するときに開始することができる。電力送達要求(4863)時に、受信機は、遅延符号化、直交周波数分割多重(OFDM)、符号分割多重(CDM)、または受信機を含む所与の電子デバイスを識別するための他のバイナリコード化等の技法を用いてコード化することができる署名信号を送信することができる。この段階において、マイクロコントローラーは認証(4685)に進むことができ、認証において、マイクロコントローラーは受信機によって送信された署名信号を評価することができる。認証(4685)に基づいて、マイクロコントローラーは、判定(4687)に進むことができる。受信機が電力を受信する権限を付与されていない場合、マイクロコントローラーは、判定4687において、電力を送達しない(4689)ことを決定し、これにより終了(4691)時にルーチン4600を終了する。他方で、受信機が電力を受信する権限を付与されている場合、マイクロコントローラーは、デバイスタイプを決定すること(4693)に進むことができる。このステップにおいて、マイクロコントローラーは、受信機から、数あるそのような情報の中でも、デバイスのタイプ、製造者、シリアル番号、必要な総電力、電池レベル等の情報を得ることができる。その後、マイクロコントローラーは、デバイスモジュールの実行(4695)に進むことができ、ここで、デバイスモジュールは、認証されたデバイスに適したルーチンを実行することができる。更に、複数の受信機が電力を必要としている場合、マイクロコントローラーは、全ての受信機に等しく電力を送達することもできるし、受信機ごとに優先度ステータスを利用することもできる。そのような優先度ステータスは、ユーザー定義することができる。いくつかの実施形態では、ユーザーは、自身のゲームデバイスよりも自身のスマートフォンにより多くの電力を送達することを選択することができる。他の例では、ユーザーは、まず自身のスマートフォンに、次に自身のゲームデバイスに電力供給することを決めることができる。
[0227] 図47は、デバイスモジュールにおいてマイクロコントローラーによって利用することができるルーチン4700の例を示す。ルーチン4700は、電力送達プロファイルの決定(4741)を開始することができ、ここで、ルーチン4700は、デフォルト電力プロファイルで、またはユーザーカスタムプロファイルで実行することを決めることができる。前者の場合、マイクロコントローラーは電池レベルの検証(4743)に進むことができ、ここで、マイクロコントローラーは、受信機を含む電子デバイスの電力需要を判断することができる。その後、マイクロコントローラーは、判定4745に進むことができる。判定4745において、受信機を含む電子デバイスの電池が満充電されている場合、マイクロコントローラーは電力を送達しないこと(4747)に進むことができ、このため、終了(4751)時にルーチン4700を終了する。他方で、受信機を含む電子デバイスのバッテリが満充電されていない場合、マイクロコントローラーは、判定4749において、そのような電子デバイスが特定の電力供給基準を満たすか否かを検証することに進むことができる。上記の電力供給基準は、電力を必要とする電子デバイスに依拠することができる。例えば、スマートフォンは、数ある基準の中でも、使用されていない場合にのみ電力を受信することもできるし、ユーザーがそのスマートフォンで通話していない場合にのみ使用中に電力を受信することもできるし、またはWi−Fiを損なわない限り、使用中に電力を受信することもできる。ユーザーカスタムプロファイルの場合、数あるそのようなオプションの中でも、ユーザーは、電力を送達する前に自身の機器が有することができる最小電池レベルを指定することもできるし、またはユーザーは、自身のデバイスに電力供給するための基準を指定することもできる。
[0228] 代替的に、マイクロコントローラーは、送信機上のプロセッサにデータを記録することもできる。そのようなデータは、デバイスがどの程度頻繁に電力を必要とするか、デバイスが何時に電力を要求するか、デバイスに電力供給するのにどの程度時間がかかるか、そのようなデバイスにどれだけの電力が送達されたか、デバイスの優先度ステータス、デバイスが主にどこで電力供給されるか(例えば、自宅または職場)に関する電力供給統計を含むことができる。更に、そのような統計をクラウドベースのサーバーにアップロードして、ユーザーが全てのそのような統計を見ることができるようにすることができる。いくつかの実施形態では、二次サービスとしてワイヤレス電力を提供する店、コーヒーショップ等は、受信した総電力に対して対応する金額をユーザーに課金するために上述した統計を用いることができる。いくつかの場合、ユーザーは、電力供給時間を購入することができ、例えば、ユーザーは、1時間の電力について支払うことができる。このため、上述した統計は、マイクロコントローラーがそのようなユーザーへの電力の送達をいつ停止するかを決めるのに役立つことができる。
4.充電を始動する送信機
[0229] 図48は、例示的な実施形態による、他の受信デバイスに電力を更にリダイレクトすることができるポータブルマット上に少なくとも1つのエネルギーポケットを生じさせる送信機を示す。図48は、ワイヤレス電力伝送4800の形態でのWPTに対する代替的な構成を示し、ここで、送信機4801は、ポータブルマット4894上に少なくとも1つのエネルギーポケット4804を生じさせることができる。マット4894は、送信機4801からワイヤレス電力を受信し、ポケット形成を通じてデバイス、例えば、受信機(図示せず)に作動的に結合されたスマートフォン3852にそのような電力を再送信するための少なくとも1つの受信機および少なくとも1つの送信機(図示せず)を含むことができる。いくつかの実施形態では、マット4894は、そのアンテナ素子を通じて送信された短RF信号により、または標準的な通信プロトコルを介して、送信機4801に通信することができる。上記は、送信機4801がマット4894を容易に位置特定することを可能にすることができる。開示された構成は、スマートフォン4852が送信機4801に直接通信することができない場合はいつでも有利であり得る。この構成は、マット4894は、任意の所望の到達するのが容易な位置において仮想的に配置することができるので、有利であり得る。最後に、送信機4801は、起動時にマット4894上にエネルギーポケット4804を発生させることができる、送信機4801のボタンに類似のボタン(図示せず)を含むことができる。マット4894上のエネルギーポケット4804の持続時間は、様々なユーザーの需要に合うように定義されたカスタムとすることができる。WPTのまた更なる利点は、他のデバイスをマット4894の近傍に配置することができ、同様にワイヤレスで電力を受信することもでき、すなわち、充電を必要とする電子デバイスがマット4894上に配置されることを必要としない場合さえあることであり得る。
[0230] 図49は、ワイヤレス電力伝送4900Aを描く図49Aおよび図49Bを含む。まず図49Aを参照すると、受信機(図示せず)に作動的に結合されたスマートフォン4952Aは、使用可能な電力がない場合があり、送信機4901Aと通信することができない場合がある。この実施形態において、トレーサーを用いて、電力が送達されるべき位置を送信機4901Aに通信することができる。トレーサーは、上記の位置を送信機4901Aに通信するために、送信機および受信機について上記で説明したように、内部に通信コンポーネント(図示せず)を含むことができる。そのような通信コンポーネントは、ユーザーの要求時にアクティブになることができる。例えば、トレーサーは、押下された後に上述した通信コンポーネントを起動することができる起動ボタン(図示せず)を含むことができる。
[0231] 図49Bは、例示的な実施形態による、少なくとも1つの受信デバイスにわたってエネルギーポケットを生成するための所望の位置を確立する役割を果たすことができるトレーサーを含むワイヤレス電力伝送を示す。
[0232] この起動後、通信コンポーネントは、トレーサーの位置においてエネルギーポケット4904Bを生じさせるための要求を送信機4901Aに送信することができる。スマートフォン4952Aを充電するために、ユーザーがスマートフォン4952Aの同じ位置または近接位置においてトレーサーを起動することができる(図49B)。必要な電荷を蓄積するとき、スマートフォン4952Aは、ワイヤレス電力送達を継続するために、任意選択で、自身の位置を(独自の手段によって)送信機4901Aに通信することができる。他の実施形態において、エネルギーポケット4904Bは、ユーザーが到達するのが有益または容易であり得るが、電子デバイスが存在しない場合がある空間のエリアまたは領域において生じさせることができる。この場合、スマートフォン4952A等の充電を必要とする電子デバイスを、エネルギーポケット4904Bを利用するために上記の位置に動かすことができる。充電を必要とする電子デバイスがないときのエネルギーポケット4904Bの持続時間は、ユーザーによってカスタム定義することができる。いくつかの他の実施形態では、エネルギーポケット4904Bの持続時間は、トレーサーの動作によって与えることができ、例えば、トレーサーの起動時に、少なくとも1つのエネルギーポケット4904Bを生成することができる。そのようなエネルギーポケット4904Bは、トレーサーの起動ボタンの第2の押下までアクティブなままとすることができる。
[0233] ワイヤレス電力伝送の上記の構成において、スマートフォン4952A等の電子デバイスは、より小さくかつより安価な受信機を利用することができる。上記は、受信機が送信機4901Aに位置を通信するために独自の通信コンポーネントを必要としない場合があることに起因して達成することができる。むしろ、トレーサーを用いてそのような機能を実行することができる。そのような他の実施形態において、トレーサーは、ユニバーサルシリアルバス(USB)等の接続を介して電子機器に接続することができるアクセサリの形態をとることができる。この場合、トレーサーは、デバイスに接続されるとアクティブになることができ、ワイヤレス電力送達の全体性を制御することができる。いくつかの実施形態では、ユーザーは、デバイスが充電を必要とするのと同じだけエネルギーポケット4904Bを生じさせることができる。
[0234] 図50は、トレーサー5098を保有しているユーザーが、ポケット形成のための受信機を含むことができる様々な電子デバイスに電力供給するために異なる位置で様々なエネルギーポケット5004を生じさせることができるワイヤレス電力伝送5000を示す。エネルギーポケット5004は、要求時にユーザーが指定する位置で送信機5001によって形成することができる。更に、デバイスが電荷を蓄積すると、デバイスは、ワイヤレス電力送達を継続するために、任意選択で、自身の位置を(独自の手段によって)送信機5001に通信することができる。
5.時分割多重を利用した複数のデバイスの電力供給
[0235] 図51は、例示的な実施形態による、2つ以上のクライアントデバイスに同時に電力供給するためのアンテナアレイのサブセットを自動的に割り当てる方法を示すフローチャートを示す。
[0236] 方法5100は、ユーザーまたはシステムオペレーターが、ウェブサイトを通じてまたはクライアントコンピューティングデバイス上でシステム管理GUIにアクセスし、適応可能なペアリングされる受信機とペアリングすることができるクライアントデバイスに、またはデバイスのハードウェアの一部として内蔵されたワイヤレス電力受信機を含むクライアントデバイスに充電するようにワイヤレス電力伝送システムに命令する(5153)ときに開始することができる。他の実施形態では、システム自動充電スケジュールが、ワイヤレス電力伝送システムに、クライアントデバイスを充電するように命令することもできる。その後、システム管理は、全てのシステム送信機に充電コマンドを送信することができる(5155)。各システム送信機は、自身が前記電力受信機の電力範囲内にあるか否かを判断することができ、電力範囲内にない場合、電力供給するようにクライアントデバイスのワイヤレス受信機を制御するのに最も良好な送信機を選択することができ(5157)、その後、選択された送信機は、ワイヤレス電力受信機とのリアルタイム通信を開始し、送信アンテナアレイに対するワイヤレス電力受信機の方向を追跡し(5159)、電力伝送アンテナアレイ全体をワイヤレス電力受信機に照準合わせし、電力伝送を開始する。次に、ワイヤレス電力受信機は、前記電力を受信し、その後、クライアントデバイスに電力供給することができる。
[0237] 方法5100に続いて、ユーザーまたは自動スケジュールソフトウェアは、充電するように第2のクライアントデバイスに命令することができ(5161)、その後、選択された送信機は、第2のクライアントデバイス受信機とのリアルタイム通信を開始して、第2のワイヤレス電力受信機の方向を追跡し、送信機のアンテナアレイを半分に分割し(5163)、それによって、送信機が、電力アンテナアレイの半分またはサブセットを第1のクライアントデバイスに電力供給するために照準合わせおよび使用することができ、残りのアンテナを第2のクライアントデバイスに電力供給するために照準合わせおよび使用することができるようにし、双方のクライアントデバイスが継続的に電力を受信することができるようにする。次に、判定5165において、ユーザーまたは自動スケジュールソフトウェアが、充電するようにより多くのクライアントデバイスに命令する場合、選択された送信機は、第3のまたはそれ以降のクライアントデバイスとのリアルタイム通信を開始し、前記アンテナアレイをアンテナのサブセットに分割することによって自身のアンテナアレイを再割り当てし(5167)、各受信機に照準合わせおよび電力供給することができる。充電するクライアントデバイスがこれ以上ない場合、システムマネージャーは、判定5169において、充電または電力供給されているクライアントデバイスのうちのいずれかが電力供給を停止しているか否かをチェックすることができ、その後、1つ以上のクライアントデバイスが電力を停止している場合、前記クライアントデバイスの受信機に電力供給するように割り当てられたアンテナアレイのサブセットを、残りのクライアントデバイスの受信機間で再分配し(5171)、前記受信機に電力供給し続けることができる。送信機ソフトウェアは、アンテナアレイに対するそれらの厳密な方向を既に追跡し、迅速に用いているため、このプロセスは、電力供給されているデバイスについてほぼ瞬時に生じることができる。クライアントデバイスがいずれも電力を停止していない場合、システムマネージャーは、判定5165において、充電する更なるクライアントデバイスが存在するか否かをチェックし、上記で説明した同じステップを辿ることができる。この方法は、ワイヤレス電力供給システムが、1つ以上のクライアントデバイスの受信機を充電するかまたはこれに電力供給している限り、ループで継続することができる。
[0238] 図52は、ワイヤレス電力管理ソフトウェアによって利用することができる例示的なルーチン5200のフローチャートを示す。このルーチンは、ステップ5273において、システム管理GUIによって1つ以上のクライアントデバイスに充電するようにシステムに命令するために始動することができる。システム管理は、ワイヤレス管理ソフトウェアによって管理される全てのシステム送信機にコマンドを配信することができる。次に、充電されるクライアントデバイスの数に基づいて、管理ソフトウェアは、判定5275において、利用可能な十分なアンテナおよび通信チャネルが存在するか否かを判断することができる。クライアントデバイスを充電するための十分なアンテナおよび通信チャネルが存在する場合、ステップ5277において、管理ソフトウェアは、クライアントデバイスを充電するために最も近い送信機を割り当てることができ、専用通信チャネルを割り当ててクライアントデバイスとの通信を開始することができる。専用通信チャネルは、電力伝送アンテナアレイからクライアントデバイス方向を連続して追跡するため、または電池レベルを監視するため、または受信機から測定値もしくは他の遠隔測定値もしくはメタデータを受信するため、またはワイヤレス電力伝送をサポートする任意の他の機能のためのものであり得る。専用通信チャネルは、クライアントデバイスとの通信のために利用可能なチャネルから選択することができる。
[0239] その後、ワイヤレス管理ソフトウェアは、判定5279において、より多くのデバイスが電力を要求するまで、クライアントデバイスの充電を継続することができる。電力を要求する更なるクライアントデバイスが存在しない場合、ルーチン5200は終了することができる。一方、更なるデバイスが電力を要求している場合、判定5279において、ワイヤレス電力マネージャーは、新たなクライアントデバイスに利用可能な十分なアンテナおよび通信チャネルが存在するか否かを判断することができる。十分なアンテナおよび通信チャネルが存在しない場合、ステップ5281において、ワイヤレス電力マネージャーは、時分割多重(TDM)を利用することによって、アンテナアレイおよび通信チャネルから全てのアンテナまたはアンテナのグループを割り当てることができる。
[0240] TDMは、経時的に利用可能なチャネルを共有することによって、チャネルを有するよりも多くの電力受信機との送信機通信に用いられる。TDMは各受信機に交代で通信し、有限の時間量にわたって各々と通信する。この時間量は、1秒以下等の短い時間量とすることができる。限られた数の送信機通信チャネルを共有することにより全ての受信機との高頻度の通信を可能にすることによって、送信機は全てのこれらの受信機を追跡し、および/またはこれらの受信機(およびその後、電力受信機が電力を伝送する先のクライアントデバイス)に電力供給することができる。
[0241] TDMは、経時的に全てのデバイス間の送信機アンテナアレイ全体からの電力伝送の共有もサポートする。すなわち、送信機が電力を受信するようにスケジューリングされた受信機全体を通じて通信を自動的に切り替えるときに、送信機が、送信機アンテナアレイに対する受信機方向(角度)を追跡することができるように、送信機はまた、1つの受信機から別の受信機にアンテナアレイを迅速にリダイレクトし、各スケジューリングされた受信機が自身の「タイムスライス」中にアンテナ電力を周期的に得るようにする。送信機はまた、1つ以上の他のグループを1つ以上の他の受信機に同時に方向付けしながら、アンテナの個々のグループ(サブセット)を特定の受信機に向けることもできる。
[0242] TDMは、専用チャネルではなく、2つ以上のデバイスによって共有することができる既存の通信チャネルを用いることによって、送信機とクライアントデバイスの電力受信機との間の充電、およびより詳細には通信を可能にするために利用することができる。TDM技法を用いることによって、ワイヤレス電力送信機は、クライアントデバイスのあるグループに対し、自身の個々の送信アンテナおよび通信チャネルのうちの1つ以上を再割り当てすることを可能にすることができ、その結果、これらのクライアントデバイスは、オンラインモードにおいて同時に電力供給されることが可能である。オンラインクライントデバイスが電力供給され、限られた時間間隔において通信チャネルを保持している間、残りのクライアントデバイスをオフラインモードにすることができる。
[0243] その後、ワイヤレス電力マネージャーは、判定5279において、より多くのデバイスが電力を要求するまで、クライアントデバイスの充電を継続することができる。最終的に、判定5279において、電力を要求する更なるクライアントデバイスが存在しない場合、ルーチン5200は終了することができる。
[0244] 図53は、実施形態による、ワイヤレス電力伝送システムにおいて時分割多重(TDM)方法を用いて複数のクライアントデバイスに電力供給するプロセス5300のフローチャートである。プロセス5300は、ステップ5383において、ワイヤレス電力送信機システム内のユーザーによって操作されるシステム管理GUIが、システム管理サーバーに、ワイヤレス電力受信機から1つ以上のクライアントデバイスに手動でまたは自動で電力供給するように命令するときに開始することができる。その後、ステップ5385において、システム管理サーバーは、ワイヤレス電力伝送システムにおいて1つ以上のワイヤレス電力送信機にコマンドを通信することができる。
[0245] 各ワイヤレス電力送信機は、ステップ5387において、送信機がクライアントデバイスの電力範囲内にあるか否かを判断するために、ローカルシステム分散データベース、またはシステムステータス、制御および形成の他のストレージ手段を検査し、電力を受信するように命令されたクライアントデバイスのワイヤレス電力受信機を制御することができる。クライアントデバイスのワイヤレス電力受信機がワイヤレス電力送信機の電力範囲内にない場合、プロセスは終了することができる。一方、クライアントデバイスのワイヤレス電力受信機が任意のワイヤレス電力送信機の電力範囲内にある場合、ステップ5389において、前記ワイヤレス電力送信機は、クライアントデバイスのワイヤレス電力受信機とのリアルタイム通信を開始することができる。ワイヤレス電力送信機に対して命令された、電力供給される1つ以上のクライアントデバイスが存在する度に、ワイヤレス電力送信機は、自身の電力伝送アンテナをグループに再分割することができ、ここで、各グループは、クライアントデバイスごとに割り当てられ、全てのクライアントデバイスに同時に電力供給することを可能にすることができる。
[0246] その後、ワイヤレス電力伝送システム内のシステム管理サーバーは、ステップ5391において、電力範囲内のクライアントデバイスの全てのワイヤレス電力受信機に電力供給するための十分な送信機アンテナが存在しない場合、ワイヤレス電力送信機に命令することができる。ワイヤレス電力送信機内の送信機アンテナが、全てのワイヤレス電力受信機の電力需要を満たすことができる場合、ステップ5393において、ワイヤレス電力送信機は、全てのクライアントデバイスへの電力供給を継続することができる。一方、ワイヤレス電力送信機の現在の電力リソースが全てのワイヤレス電力受信機の電力需要を満たさない場合、ステップ5395において、システム管理サーバーは、電力送信機マネージャーに、ワイヤレス電力送信機内のTDM電力伝送を実施するように命令することができる。ワイヤレス電力送信機内のワイヤレス電力マネージャーは、電力供給されるクライアントデバイスに関するコマンドを受信することができ、いずれのワイヤレス電力受信機がクライアントデバイスに関連付けられるかを決定することができる。
[0247] ワイヤレス電力送信機は、TDM電力伝送を用いることによって、自身の送信アンテナのうちの1つ以上をグループ化または再割当てすることができ、それによって、各グループは、異なるワイヤレス電力受信機に電力を伝送し、それによって、受信機のクライアントデバイスは電力を同時に受信する。ワイヤレス電力受信機を有する残りのクライアントデバイスは、オンラインクライアントデバイスが電力供給されている間、オフラインに設定することができる。TDM電力伝送システムは、ステップ5397において、オンラインクライアントデバイスに十分な電力が存在するか否かを判断することができる。オンラインクライアントデバイスに十分な電力が存在しない場合、すなわち、1つ以上のクライアントデバイスが十分な電力を受信しない場合がある場合、ワイヤレス電力送信機は、1つ以上のオンラインクライアントデバイスをオフラインに設定し、再び試行し、次に、全てのオンラインクライアントデバイスが十分な電力を受信するまでより多くのデバイスをオフラインにすることに進む。
[0248] TDM電力伝送プロセスは、ステップ5399において、自動オンライン/オフラインプロセスを用いて、ワイヤレス電力送信機が、定期的な時間間隔(またはタイムスロット)において全てのクライアントデバイスに十分電力供給することを可能にすることができる。
[0249] 同様に、現在のオンラインクライアントデバイスのために十分な電力が存在しない場合、全てのオンラインクライアントデバイスが十分な電力を得るまで、最も長い間オンラインであったクライアントデバイスを1つずつオフラインにすることができる。一方、オンラインモードにあるクライアントデバイスが充分な電力を受信する場合、ステップ5393において、TDM電力伝送は、同じ量のクライアントデバイスをオンラインモードに維持し、それらに電力供給することを決めることができる。
[0250] 図54は、ワイヤレス電力送信機から受信機への電力伝送の平衡がよりとられるように、ワイヤレス電力受信機に割り当てられたアンテナ数を調整するためのプロセス5400のフローチャートである。プロセス5400は、ワイヤレス電力伝送のための全体プロセスの一部とすることができ、システムアーキテクチャの一部とすることができるマイクロプロセッサによって実行することができる。プロセス5400は、電力送信機マネージャーapp等の電力伝送管理アプリケーションにおけるソフトウェアコードを実行することによって、プロセッサによって実行することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、ワイヤレス電力マネージャーアプリケーションにおいて計画された命令を実行することによってプロセス5400を実行することができ、更に他の実施形態では、プロセッサは、システムアーキテクチャの一部でない場合があるソフトウェアアプリケーションにおいて計画された命令を実行することによってプロセス5400を実行することができる。
[0251] マイクロプロセッサによって実行されたコードは、システムアーキテクチャに含まれるいくつかのコンポーネントに、アクティビティを始動または終了させることができる。システムアーキテクチャに示されるものの代替として、有線接続された回路部を、ソフトウェア命令の代わりにまたはソフトウェア命令と組み合わせて用いて、本明細書に記載のプロセスを実施することができる。このため、本明細書に記載の実施態様は、ハードウェア回路部およびソフトウェアの任意の特定の組合せに限定されない。開示されるプロセス5400におけるブロックは特定の順序で示されているが、実際の順序は異なる場合がある。いくつかの実施形態では、いくつかのステップは並列に実行することができる。
[0252] プロセスは、ステップ5451において、プロセッサが、ワイヤレス電力送信機(WPT)がこのWPTとの通信を確立するのに十分近いワイヤレス電力受信機(WPR)と通信することを命令するときに開始することができる。WPRは、数ある中でも、WPRの識別番号、WPRの概算空間位置、およびWPRの電力ステータスを含むことができるデータをWPTに通信することができる。ステップ5453において、プロセッサは、受信したデータ、およびデータベース等のデータベースに記憶することができる更なるデータから、WPTがWPRに電力を伝送するべきか否かを判断することができる。プロセッサは、WPTがWPRに電力供給するべきでないと判断する場合、ステップ5465において、範囲内にあり電力供給されるべき更なるワイヤレス電力受信機の検索を継続することができる。プロセッサが、WPTがWPRに電力供給するべきであると判断する場合、ステップ5455において、プロセッサは、WPRから受信した適切な概算空間位置データ、ならびに、数ある中でも、信号強度、WPTタイプ、WPRをアタッチすることができるデバイスタイプを含むことができる更なるメトリックを用いることによってWPRの位置のより良好な近似を計算することができる。
[0253] ステップ5457において、プロセッサは、RF波をWPRに送信するのに用いることができる、アンテナアレイからのアンテナの組を割り当てるようにWPTに命令することができる。ステップ5459において、プロセッサは、送信されるRF波の数あるパラメーターの中でも、振幅および位相を変更して、WPRに焦点を合わせることができるビームを成形するようにWPTに命令することができる。ステップ5461において、プロセッサは、WPRから到来することができるステータスデータを読み出すことができる。WPRから到来するステータスデータは、数ある動作パラメーターの中でも、WPRによって受信されるエネルギーの測定値、WPRの電力レベル、WPRの知覚される空間位置、WPRをアタッチすることができる電子デバイスに電力供給するのに十分な最小電力を含むことができる。いくつかの実施形態では、最小電力設定は、システム内の他の場所にあるルックアップテーブル等の他のソースから到来することができる。
[0254] ステップ5463において、プロセッサは、読み出された情報を用いて、WPRに送信された電力が、他のWPRと比較して平衡が取られていないか否か、または任意のWPRが得る電力が過度に多いかもしくは過度に少ないか否かを判断することができる。WPRによって受信される電力が最小電力未満である場合、プロセッサは、ステップ5457に戻って、WPTに、より多くのアンテナを、WPRに電力供給するのに用いることができるアンテナの組に割り当てるように命令することができる。いくつかの実施形態では、利用可能なアンテナの数が、WPRに電力供給するのに十分でない場合、WPTは、時分割多重等の技法を利用して、より多くのアンテナをWPRと共有して、1つ以上のワイヤレス電力送信機の電力範囲内に存在し得るWPRの電力需要を満たすことができる。時分割多重等の技法は、自動オンラインモードおよびオフラインモードシーケンス中の定期的な時間間隔またはスロット時間を通じて、複数のWPRに充電することを可能にすることができる。
[0255] WPRによって受信される電力が、WPRの必要とされる最小電力よりも実質的に多い場合、プロセッサは、ステップ5457に戻って、WPRに割り当てられるアンテナ数を低減するようにWPTに命令し、割当て解除されたアンテナを用いて他のWPRに電力供給し、第1のWPRが同時にワイヤレス電力供給され続けることを可能にする。ステップ5465において、プロセッサは、範囲内にあり電力供給されるべき別のワイヤレス電力供給された受信機を探すことができ、見つかった場合、プロセスは、ステップ5453に戻って、新たなWPRとの通信を始動することができ、ステップ5453からのプロセスが繰り返すことができる。プロセッサは、WPRとの通信から、WPTがWPRへの電力送信を終えたと判断するとき、ステップ5451に戻って、電力伝送が終了したことをWPRに通信し、ステップ5453において通信を切断することができる。次に、WPTは、ステップ5465において、データベースを検査して、いずれのWPRが、存在する場合、WPTが電力を伝送するべき範囲内にあるかを判断することができる。
[0256] 図55Aは、ワイヤレス電力伝送のために利用することができる送信機5500Aのブロック図を描く。そのような送信機5500Aは、1つ以上のアンテナ素子5506Aと、1つ以上の無線周波数集積回路(RFIC)5508Aと、1つ以上のマイクロコントローラー5510Aと、通信コンポーネント5512Aと、電源5514Aと、送信機5500Aのための全ての要求されたコンポーネントを配置することができるハウジング5501Aとを備えることができる。送信機5500A内のコンポーネントは、メタマテリアル、回路のマイクロプリント、ナノマテリアル等を用いて製造することができる。
[0257] 送信機5500Aは、上記の段落で言及したコンポーネントの使用を通じたポケット形成、アダプティブポケット形成および複数ポケット形成を担うことができる。送信機5500Aは、無線信号の形態でワイヤレス電力伝送を1つ以上の受信機に送信することができ、そのような信号は、任意の周波数または波長を有する任意の無線信号を含むことができる。
[0258] 図55Bは、送信機5500Aにおいて用いることができるフラットパネルアンテナアレイ5500Bの例示的な図である。このとき、フラットパネルアンテナアレイ5500Bは、N個のアンテナ素子5506Aを含むことができ、ここで、電力伝送のための利得要件は、等間隔に配置されたグリッド内に分散させることができる64個〜256個のアンテナ素子5506Aとすることができる。1つの実施形態では、フラットパネルアンテナアレイ5500Bは、合計64個のアンテナ素子5506Aを有する8×8のグリッドを有することができる。別の実施形態では、フラットパネルアンテナレイ5500Bは、合計で256個のアンテナ素子5506Aを有する16×16のグリッドを有することができる。一方、アンテナ素子5506Aの数は、送信機5500Aの所望の範囲および電力伝送能力に関して変動する場合があり、アンテナ素子5506Aが多くなると、範囲が広くなり、電力伝送能力がより高くなる。円形パターンまたは多角形配置を含む代替的な構成も可能であり得る。フラットパネルアンテナアレイ5500Bを、多数の部分に分割し、複数の表面(多面)にわたって分散させることもできる。
[0259] アンテナ素子5506Aは、平面アンテナ素子5506A、パッチアンテナ素子5506A、ダイポールアンテナ素子5506A、およびワイヤレス電力伝送に適した任意のアンテナを含むことができる。適切なアンテナタイプは、約1/2インチ〜約6インチの高さと、約1/2インチ〜約6インチの幅を有することができるパッチアンテナを含むことができる。アンテナ素子5506Aの形状および向きは、送信機5500Aの所望の特徴に依拠して変動してもよく、向きは、X軸、Y軸およびZ軸において平坦であってもよく、3次元配置における様々な向きのタイプおよび組合せであってもよい。アンテナ素子5506Aの材料は、高い効率、良好な熱放散等で無線信号送信を可能にすることができる任意の適切な材料を含むことができる。
[0260] アンテナ素子5506Aは、900MHz、2.5GHzまたは5.8GHz等の周波数帯域で動作するのに適したアンテナタイプを含むことができる。なぜなら、これらの周波数帯域は、連邦通信委員会(FCC)規則のパート18(工業、科学、および医療用機器)に準拠しているためである。アンテナ素子5506Aは独立した周波数で動作し、ポケット形成のマルチチャネル動作を可能にすることができる。
[0261] 更に、アンテナ素子5506Aは、少なくとも1つの偏波または偏波の選択を有することができる。そのような偏波は、垂直極、水平極、円偏波、左偏波、右偏波、または偏波の組合せを含むことができる。偏波の選択は、送信機5500Aの特性に依拠して変動することができる。更に、アンテナ素子5506Aは、送信機5500Aの様々な面に位置することができる。
[0262] アンテナ素子5506Aは、単一のアレイ、ペアアレイ、クアッドアレイ、および所望の用途に従って設計することができる任意の他の適切な構成で動作することができる。
[0263] 図56は、様々な実施形態によるアンテナアレイ5686Aを示す。アンテナアレイ5686Aは、900MHz、2.5GHzまたは5.8GHz等の周波数帯域で動作するのに適したアンテナタイプを含むことができる。なぜなら、これらの周波数帯域は、FCC規則のパート18に準拠しているためである。
[0264] 図56Aは、全てのアンテナ素子5606Bが5.80hzで動作することができる単一のアレイ5686Aを示す。このため、単一のアレイ5686Aを用いて、単一のデバイスを充電するかまたはこれに電力供給することができる。
[0265] 図56Bは、アンテナ素子5606Bの上半分5688Bが5.8GHzで動作することができ、下半分5690Bが2.4GHzで動作することができるペアアレイ5686Bを示す。次に、ペアアレイ5686Bを用いて、上記で説明した周波数帯域等の異なる周波数帯域で動作することができる2つの受信機を同時に充電し、これらに電力供給することができる。図56Bに示すように、アンテナ素子5606Bは、アンテナタイプに従ってサイズが変動することができる。
[0266] 図56Cは、各アンテナ素子を、ワイヤレス電力伝送中に電力損失を回避するために仮想的に分割することができるクアッドアレイ5686Cを示す。この実施形態において、各アンテナ素子を、2つのアンテナ素子、すなわち、アンテナ素子5694Cおよびアンテナ素子5692Cに仮想的に分割することができる。アンテナ素子5694Cは、5.8GHzの周波数帯域で送信するために用いることができ、アンテナ素子5692Cは、2.4GHzの周波数帯域で送信するのに用いることができる。そして、クアッドアレイ5686Cは、異なる周波数帯域で動作している複数の受信機が充電されるかまたは電力供給される必要がある状況において用いることができる。
[0267] 第1の例示的な実施形態では、2.4GHzで動作することができるポータブル電子デバイスに電力供給することができるかまたはこれを充電することができる。この例において、送信機を用いて、エネルギーポケットを1つの電子デバイス上に送達することができる。この送信機は、全てのアンテナ素子が2.4GHzの周波数待機で動作することができるフラットパネルアンテナの8×8の単一のアレイを有することができ、フラットアンテナは、他のアンテナよりも占有体積を少なくすることができ、これによって、送信機が、壁、ミラー、ドア、天井等の小さく薄い空間に配置されることが可能になる。更に、フラットパネルアンテナは、ワイヤレス電力伝送が狭い通路内へ長距離まで動作するように最適化することができ、そのような機能により、ポータブルデバイスが、電車の駅、バスの停留所、空港等の長いエリアにおいて動作することを可能にすることができる。更に、8×8のフラットパネルアンテナは、その小さな体積に起因して、他のアンテナよりも小さいエネルギーポケットを生成することができ、これによって損失を低減することができ、より正確なエネルギーポケットの生成を可能にすることができ、そのような精度は、エネルギーポケットを付近にまたは上方に必要としないエリアおよび/または物体付近の多岐にわたるポータブル電子デバイスを充電するかまたはこれらに電力供給するのに用いることができる。
[0268] 第2の例示的な実施形態では、2つの異なる周波数帯域で動作することができる2つの電子デバイスに同時に電力供給するかまたはこれらを同時に充電することができる。この例では、送信機を用いて、エネルギーポケットを2つの電子デバイスに送達することができる。この例において、送信機は、異なるタイプのアンテナ、すなわち、フラットパネルアンテナおよびダイポールアンテナを有するペアアレイを有することができる、ここで、アンテナの1/2は、フラットパネルアンテナによって形成することができ、他方の半分は、ダイポールアンテナによって形成することができる。第1の例示的な実施形態において説明されたように、フラットパネルアンテナは、かなりの距離にある狭い通路内に電力を放射するように最適化することができる。他方で、ダイポールアンテナは、より近い距離で電力を放射するが、それらの放射パターンに起因して更なるエリアをカバーするために利用することができる。更に、ダイポールアンテナは、手動で調整することができ、この特徴は、送信機が混雑した空間に配置され、送信が最適化される必要があるときに有利とすることができる。
[0269] 図57は、ワイヤレス電力伝送においてTDMを利用した、経時的な通信チャネルの例示的な分布を描くチャート5700である。より詳細には、図57は、ワイヤレス電力送信機が4つの通信チャネルのみを可能にするのに対し、5つのクライアントデバイスへのチャネル割当てを有するテーブルを描く。
[0270] 図57のチャートは、送信機の限られた数の4つの通信チャネルをどのように用いて、5つの受信機、すなわち、送信機がチャネルを有する数よりも多くの受信機と通信することができるかを経時的に示す。時間は左から右に進み、10個のタイムスライスが表される。各タイムスライスは、有限量のクロック時間、例えば1秒を表す。各「Cn」は、送信機の通信チャネルのうちの1つを示す。各「Rn」は、ワイヤレス送信機から電力を受信し、そしてその後、電力をクライアントデバイスに伝送するワイヤレス電力受信機のうちの1つを示す。
[0271] タイムスライスt0中、送信機は、チャネルC1を用いて受信機R1と通信し、チャネルC2を用いて受信機R2と通信し、C3を用いてR3と通信し、C4を用いてR4と通信し、受信機R5との通信は存在しない。
[0272] タイムスライスt1中、送信機はここで、チャネルC1を用いて受信機R5と通信し、それによって、R5が電力受信の順番を得て、受信機R2はチャネルC2を通じた送信機との通信を継続し、受信機R3はチャネルC3を用いて継続し、受信機R4はチャネルC4を用いて継続する。受信機R1との通信は存在しない。
[0273] タイムスライスt2中、送信機はここで、チャネルC2を用いて受信機R1と通信し、それによって、R1が電力受信の順番を得て、受信機R3はチャネルC3を通じた送信機との通信を継続し、受信機R4はチャネルC4を用いて継続し、受信機R5はチャネルC1を用いて継続する。受信機R2との通信は存在しない。
[0274] 送信機が特定の受信機と通信しているタイムスライス中、送信機は、その通信を用いて受信機から受信機電力ステータスを得ることができ、その値を送信機が用いて、送信機アンテナをその受信機に照準合わせし、受信機のクライアントデバイスに電力供給する。システムは、受信機ビーコン信号送信および送信機ビーコン信号受信等の他の方法を用いて、受信機へのアンテナの照準合わせを制御することができる。送信機は、通信中の4つの受信機の各々にアンテナアレイのサブセットを照準合わせすることができる。
[0275] パターンは、受信機がユーザーによって電力を受信するようにスケジューリングされている間の時間を通じて継続する。より多くの受信機をスケジューリングされる受信機に加えることもできるし、またはいくつかを除去することもできる。利用可能な送信チャネル(この例では4つ)よりも多くが存在する場合、チャネルは経時的に共有され(TDM)、それによって、送信機は任意の数の受信機と通信することができる。利用可能な送信チャネルよりも多く存在しない場合、送信機は各チャネルを特定の受信機に専用にする。
[0276] ワイヤレス電力伝送においてTDMを利用する通信チャネルの例示的な分布が、ワイヤレス電力送信機が4つの通信チャネルのみを可能にするのに対し、5つのクライアントデバイスへのチャネル割当てを有するテーブルに描かれている。ワイヤレス電力マネージャーは、5番目のクライアントデバイスR5が時間段階t1において充電を開始するように命令されるとき、TDM技法を利用することができる。その後、時間段階t1において、ワイヤレス電力マネージャーは、第1のクライアントデバイスR1との第1の通信チャネルC1を用いた通信を止めるようにワイヤレス電力送信機に命令することができ、第5のクライアントデバイスR5との第1の通信チャネルC1を用いたリアルタイム通信を開始する。その後、有限時間量後の時間段階t2において、ワイヤレス電力マネージャーは、ワイヤレス電力送信機に、第2のクライアントデバイスR2との第2の通信チャネルC2を用いた通信を止めるように命じることができ、次に、ワイヤレス電力送信機は、第2の通信チャネルC2を用いて、第1のクライアントデバイスR1との通信を再開することができ、アンテナグループを第1のクライアントデバイスRlに照準合わせする。その後、有限時間量後の時間段階t3において、ワイヤレス電力マネージャーは、ワイヤレス電力送信機に、第3の通信チャネルC3を用いていた第3のクライアントデバイスR3との通信を止めるように命じることができる。ワイヤレス電力送信機は、ここで、第3の通信チャネルC3を用いて、第2のクライアントデバイスR2との通信を再開することができ、アンテナグループを第2のクライアントデバイスR2に照準合わせする。このプロセスは、電力供給されるクライアントデバイスの量が変化するまで継続することができる。
[0277] 図58は、いくつかの実施形態による、ワイヤレス電力受信機とワイヤレス電力送信機との間の例示的な潜在的インタラクションの図5800である。図5800は、TDM電力伝送(ソフトウェアモジュール)がワイヤレス電力送信機においてどのように動作することができるかに関するプロセスを説明することができる。特に、プロセスは時点t0において開始することができ、ここで、ワイヤレス電力デバイス(D1)は、ワイヤレス電力送信機の到達範囲内にあることができ、TDM電力伝送は、アンテナグループ(GA)をD1に電力供給するように割り当てるようにワイヤレス電力送信機に命令することができる。
[0278] D1が初期位置から移動する場合、時点t1において、TDM電力伝送は、ワイヤレス電力送信機に、元のグループからアンテナ数を変更し、アンテナグループ(GB1)をD1に電力供給するように割り当てるように命令することができる。同時に別のワイヤレス電力デバイス(D2)がワイヤレス電力送信機の到達範囲内に到来した場合、TDM電力伝送は、ワイヤレス電力送信機に、別のアンテナグループ(GB2)をD2に電力供給するように割り当てるように命令することができる。ここで、ワイヤレス電力送信機は、2つのワイヤレス電力受信機に電力供給することができる。
[0279] 時点t3において、D1およびD2の双方が自身の位置から移動する場合、TDM電力伝送は、ワイヤレス電力送信機に、元のグループからアンテナ数を変更し、アンテナグループ(GB1)をD1に電力供給するように割り当て、別のアンテナグループ(GC2)をD2に電力供給するように割り当てるように命令することができる。更なる2つのワイヤレス電力デバイス(D3およびD4)がワイヤレス電力送信機の到達範囲内に到来する場合、TDM電力伝送は、ワイヤレス電力送信機に、2つの更なるアンテナグループ(GC3およびGC4)をD3およびD4に電力供給するように割り当てるように命令することができる。ここで、ワイヤレス電力送信機は、4つのデバイスに電力供給することができ、更なるワイヤレス電力受信機に利用可能な送信アンテナをこれ以上有しない場合がある。
[0280] 時点t3において、更なるワイヤレス電力受信機(D5)がワイヤレス電力送信機の範囲内に到来し、D5に電力供給するための新たなグループに専用にするために利用可能な更なるアンテナが存在しない場合、TDM電力伝送は、アンテナ共有技法を利用して、全てのデバイスが電力を受信していることを確実にすることができる。例えば、TDM電力伝送は、定期的な時間間隔で、1つのデバイスから別のデバイスにアンテナグループを切り替えることができる。位置における他の変化が生じない場合、例えば、時点t4からt9まで、TDM電力伝送が継続し、最も多くの時間電力を伝送されているワイヤレス電力受信機から、最も少ない時間伝送されているワイヤレス電力受信機にグループを切り替え続けることができる。
[0281] 図59は、ワイヤレス電力伝送システムアーキテクチャの一部とすることができるワイヤレス電力受信機およびワイヤレス電力送信機の例示的な潜在的インタラクションのダイアグラム5900を示す。ダイアグラム5900は、ワイヤレス電力送信機によってサービングされるワイヤレス電力受信機の例を提供することができる。いくつかの実施形態によれば、更なるワイヤレス電力受信機を、それらがワイヤレス電力送信機の到達範囲内に到来するときにサービングすることができる。
[0282] 別の実施形態によれば、複数のワイヤレス電力送信機は、1つ以上の受信機に共に電力供給することができる。時点t0において、ワイヤレス電力デバイス(D1)がワイヤレス電力送信機の範囲内に到来する場合がある。プロセッサは、ワイヤレス電力送信機に、全ての送信機アンテナのアンテナグループ(GA)をクライアントデバイスD1に電力供給するように割り当てるように命令することができる。
[0283] 時点t1において、システムは、クライアントデバイスD2にも電力供給することを開始し、このため、送信機は、以前のアンテナグループGAを、電力供給され続ける、D1のためのアンテナグループGB1、および新たに電力供給されるデバイスD2のためのグループGB2である2つの新たなアンテナグループと交換する。2つのグループが存在するため、各々が、送信機アンテナアレイ全体の半分を得る。
[0284] 時点t2において、更なる2つのデバイスD3およびD4が電力を受信し始め、送信機は、以前の2つのアンテナグループGB1およびGB2を、現在電力供給されているクライアントデバイス(Dl D2 D3 D4)ごとに1つずつの、4つのアンテナグループ、すなわちGc1 Gc2 Gc3 Gc4と交換する。
[0285] 時点t3において、第5のクライアントデバイスD5が電力を受信するように構成される。一方、最大許容同時アンテナグループは4である。このため、5つのデバイスに電力供給するには、時分割多重を用いて、4つのアンテナグループを用いて4つのデバイスに同時に電力供給しなくてはならず、5つのデバイスのうちの1つは、各後続の時間間隔tn中に電力供給されない。このため、時点t3において、最大で4つのアンテナグループGC1 GC2 GC3 GC4がそれぞれクライアントデバイスD5、D2、D3、D4に電力供給する。時点t4において、D2への電力が停止し、D1への電力が再開し、D3、D4、D5は電力を受信し続ける。サイクルパターンは、デバイスが充電されるまで無期限に継続する。
6.電力伝送管理
[0286] 図60は、ワイヤレス電力をデバイスに伝送するための例示的な方法を包括的に示す流れ図6000である。この例示的な方法のステップは、コンピューター可読コードを含むコンピューター可読媒体に組み込まれ、それによって、コンピューター可読コードがコンピューティングデバイスによって実行されるときに、ステップが実施される。いくつかの実施態様では、本方法の目的から逸脱することなく、方法のいくつかのステップを組み合わせることができるか、同時に実行することができるか、異なる順序で実行することができるか、または省くことができる。
[0287] 図60において、クライアントデバイスがユーザーからの要求に応じてアプリケーションを開始するとき(6067)、プロセスが始まる。いくつかの実施形態では、クライアントデバイスは、自身が結合されている受信機を検出し、受信機から、受信機に関連付けられた識別子を読み出す。他の実施形態では、受信機はクライアントデバイスに内在し、したがって、クライアントデバイスは、受信機に関連付けられた識別子を既に含む。更に他の実施形態では、クライアントデバイスは、範囲内の他のデバイスに対し、受信機に関連付けられた識別子をブロードキャストするかまたは他の形でアドバタイズする。
[0288] 次に、クライアントデバイスは、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、ワイヤレスエリアネットワーク(WAN)Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー、Wi−Fi、ZigBee(登録商標)等を含む適切なネットワーク接続を通じてシステム管理サービスと通信する(6069)。いくつかの実施形態では、クライアントデバイスは、クライアントデバイスのユーザーに関連付けられた証明書、クライアントデバイスに関連付けられた受信機の識別子等を通信する。次にシステム管理サービスは、クライアントデバイスに関連付けられた証明書を認証する(6071)。いくつかの実施形態では、証明書を認証することができない場合、ユーザーは登録するように指示される。他の実施形態では、認証が失敗する場合、システム管理サービスは、ユーザーに対しアクセスを拒否する。
[0289] 次に、クライアントデバイスは、送信機からのブロードキャストを検出し、送信機に関連付けられた識別子を読み出す(6073)。いくつかの実施形態では、送信機は、自身の存在と、自身に関連付けられた識別子を、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(BTLE)、Wi−Fi等を用いてブロードキャストする。送信機に関連付けられた識別子は、送信機のMACアドレス、ネットワークアドレス、シリアル番号等を含むことができる。クライアントデバイスは、送信機の表現を、GUIを介してモバイルデバイスユーザーに表示する(6075)。いくつかの実施形態では、GUIは、モバイルデバイスユーザーが、送信機からクライアントデバイスへの電力伝送を要求することを可能にする送信機の表現を生成する。他の実施形態では、GUIは、例えば、送信機からクライアントデバイスへの距離、送信機から電力を受信することに関連付けられたコスト等の追加の情報を表示する。
[0290] 次に、クライアントデバイスは、モバイルデバイスユーザーから、クライアントデバイスに電力供給するためのコマンドを受信(6077)する。クライアントデバイスは、ワイヤレス電力送達のための要求をシステム管理サービスに送信する(6079)。いくつかの実施形態では、クライントデバイスによって送信される要求は、クライアントデバイスに関連付けられた証明書(例えば、ユーザーアカウント証明書)、1つ以上の付近の送信機に関連付けられた識別子、クライアントデバイスに関連付けられた識別子、クライアントデバイス(デバイスと一体でない場合)に結合された受信機に関連付けられた識別子、課金命令等を含む。
[0291] 次に、システム管理サービスは、クライアントデバイスを認証し、課金構成を検証し、クライアントデバイスがワイヤレス電力を受信する権限を与えられているか否かを検証する(6081)。いくつかの実施形態では、システム管理サービスは、要求内に含まれる証明書(例えば、ユーザーアカウント証明書)およびクライアントデバイスに関連付けられた識別子を、クラウドサービスプロバイダー内のデータベースに記憶されているデータと比較することによってクライアントデバイスを認証する。他の実施形態では、システム管理サービスは、ユーザーの課金構成が有効であることを更に検証する。次に、システム管理サービスは、クライアントデバイスが電力を受信する権限を与えられているか否かを判断する(6083)。いくつかの実施形態では、クライアントデバイスが権限を与えられていない場合、プロセスは終了する。他の実施形態では、プロセスは、モバイルデバイスユーザーがアカウントに更なる資金提供をすることによってクライアントデバイスに権限を与えること、第三者からの認可を要求すること等を可能にする別のプロセスに続く。
[0292] システム管理サービスは、送信機と通信し、送信機に、クライアントデバイスに関連付けられた受信機に電力供給するように命令する(6085)。いくつかの実施形態では、システム管理サービスは、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、ワイヤレスエリアネットワーク(WAN)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー、Wi−Fi、ZigBee(登録商標)等を含む適切なネットワーク接続を用いて送信機と通信する。他の実施形態では、コマンドは、所望の電力出力、充電時間量、伝送電力量等を含む、所望の充電方法を実行するのに適切な任意の数のパラメーターを含む。いくつかの実施形態では、受信機はクライアントデバイスと一体である。他の実施形態では、受信機は、1つ以上のクライアントデバイスと結合され、電気通信するワイヤレス受信機である。
[0293] 送信機は、受信機との通信を確立し、3D空間において受信機を位置特定する(6087)。次に送信機は、自身のアンテナを用いて、受信機におけるエネルギーポケットを形成する(6089)。次に、受信機は、送信機によって形成されたポケットからRFエネルギーを受信し、クライアントデバイスに電力供給する(6091)。
[0294] 図61は、デバイスに伝送されたワイヤレス電力を監視するための例示的な方法を包括的に示す流れ図6100である。この例示的な方法のステップは、コンピューター可読コードがコンピューティングデバイスによって実行されるときにステップが実施されるように、コンピューター可読コードを含むコンピューター可読媒体において具現化される。いくつかの実施態様では、本発明の目的から逸脱することなく、本方法のあるステップは組み合わせることができるか、同時に実行することができるか、異なる順序で実行することができるか、または省くことができる。
[0295] 図61において、プロセスは、送信機が受信機から電力およびエネルギーデータを読み出す(6151)ことによって始まる。いくつかの実施形態では、受信機は、クライアントデバイスと一体である。他の実施形態では、受信機は、1つ以上のクライアントデバイスに結合され、電気通信するワイヤレス受信機である。いくつかの実施形態では、データは、ワイヤレス電力送信機から受信機に送達される電力の速度、ワイヤレス電力送信機から受信機に転送される総エネルギー、クライアントデバイスの現時点の電池電力レベル等を含む。
[0296] 次に、送信機は、システム管理サービスと通信し、システム管理サービスに、自身がクライアントデバイスを充電していることを通知する(6153)。いくつかの実施形態では、送信機は、クライアントデバイスのための充電要求を満たすために送信されるエネルギー/電力、受信機の識別子等を更に報告する。
[0297] 次に、システム管理サービスは、要求される場合、送信機からクライアントデバイスに送信されるエネルギーについてモバイルデバイスユーザーに課金する(6155)。次に、システム管理サービスは、アカウント情報をクライアントデバイスに通信する(6157)。いくつかの実施形態では、アカウント情報は、現在の充電セッションに関連する課金情報および他の情報、以前の充電セッションからの情報、口座残高情報、現在の充電セッション中のワイヤレス電力の受信に関連付けられた料金(charges)、送信機からの電力伝送速度等を含む。
[0298] クライアントデバイスによって表示されるGUIは、クライアントデバイスが電力供給されていることを示す(6159)。いくつかの実施形態では、GUIは、上述した口座残高情報、口座情報等を表示する。
[0299] 次に、ワイヤレス電力送信機、受信機、および/またはシステム管理サービスのうちの1つ以上が、使用情報およびステータス情報を情報配信サービスに通信する(6161)。いくつかの実施形態では、使用情報およびステータス情報は、顧客挙動、人口統計、サービス品質等に対する解析を実行するために用いられる。いくつかの実施形態では、情報配信サービスは、遠隔クラウドにおいてホスティングされる。他の実施形態では、情報配信サービスは、ローカルネットワークにおいてホスティングされる。
[0300] 例えば、スマートフォンを有するユーザーは、歩いてコーヒーショップに入る。スマートフォンは、コーヒーショップによって運用されているワイヤレス電力送信機を検出し、送信機のIDを読み出す。次に、ユーザーは、スマートフォンの電力が低いことに気付き、モバイルappに、ローカルワイヤレス電力を要求するように命令することに進む。ユーザーは、ワイヤレス電力が利用可能であるときはいつでもおよび/またはどこでも自動的にこれを行うようにワイヤレス電力システム管理を構成しておくこともできる。次に、スマートフォンは自身のID、自身の受信機のID、および送信機のIDをシステム管理サービスに通信する。システム管理サービスは、自身のシステムデータベースをレビューし、スマートフォンまたは自身の受信機、および送信機を見つける。次に、システム管理サービスは送信機と通信し、ユーザーのスマートフォン受信機に電力供給するように送信機に命令する。次に、送信機は受信機と通信して受信機の位置を決定し、ポケット形成技法を用いてワイヤレスエネルギーを受信機に送信する。受信機は、このエネルギーを用いてスマートフォンに電力供給することに進む。
[0301] 別の例では、内蔵ワイヤレス電力受信機を有するウェアラブルデバイスを有するユーザーが、友人宅を訪問し、ここで、この家はワイヤレス電力送信機を備えている。ウェアラブルデバイスはこの家のワイヤレス電力送信機を検出し、送信機のIDを読出し、家の所有者の送信機は、任意のワイヤレス電力受信機に自動的に電力供給するようにシステム管理サービスを構成してある。ウェアラブルデバイスの受信機は、自身のIDおよび送信機のIDをシステム管理サービスに通信し、次に、システム管理サービスは、自身のシステムデータベースをレビューし、ウェアラブルデバイス、自身の受信機、および送信機を見つける。次に、システム管理サービスは送信機と通信し、ウェアラブルデバイス受信機に電力供給するように送信機に命令する。次に、送信機は、受信機と通信して受信機の位置を判断し、アダプティブ3Dポケット形成技法を用いて受信機にワイヤレスエネルギーを送信する。次に、受信機は、このエネルギーを用いてウェアラブルデバイスに電力供給する。
7.電力レベルの測定および報告
[0302] 図62は、実施形態による、ワイヤレス電力伝送システムにおける電池性能を監視するための方法6200のフローチャートである。いくつかの例示的な実施形態では、ワイヤレス電力伝送システムは、電子デバイスの電池が充電している現在の速度または実際の速度を求め、その値を予測基準速度と比較することが可能である。現在の速度が予測基準速度より著しく低い場合、電子デバイス内の電池または関連充電回路は機能不良である場合があり、著しく低い充電効率または性能を生じる場合がある。
[0303] ワイヤレス電力伝送システムがこのエラー条件を検出するとき、システムは、システムオペレーターもしくはクライアントデバイスのユーザー、または任意の他の適切な関係者に警告することができ、それによって問題を補正することができ、電子デバイス電池充電システムは、充電時に電力をもはや浪費しなくてよく、または必要より長い期間をかけて充電することを止める。
[0304] 代替的な実施形態では、ワイヤレス電力伝送システムは、デバイスが最初にシステムによるサービスを行ってからのクライアントデバイスの充電速度を監視し、これを基準として用いて、デバイスのための現在の充電速度と比較し、それによって、デバイスに対する現在の充電速度が、初期充電速度に基づく基準速度未満となる場合、システムによって、デバイスに何らかの不具合が生じており、充電に過度に長い時間がかかっているかまたは充電されているときに電力を浪費していることを示すアラートが生成される。
[0305] いくつかの例示的な実施形態において、電池性能を監視する(6281)方法は、ステップ6263から開始することができ、ここで、オペレーターまたはユーザーは、ワイヤレス電力伝送システムをインストールし動作させる。次に、ステップ6265において、クライアントデバイスをシステム内のワイヤレス電力受信機とペアリングすることができる。ペアリングは、クライアント電子デバイスが、電力受信機が適切な時間量にわたって適切な近接性範囲内にあることを検出するときに生じることができる。次に、電力受信機が既に別の電子デバイスとペアリングされていないか否かを判断するために内部データベースをチェックすることに進むことができる。電力受信機が既に別のデバイスとペアリングされていない場合、クライアント電子デバイスは、自身のIDを電力受信機のIDに関連付け、内部データベースを更新することができる。次に、電子デバイスは、更新されたデータベースレコードのコピーを電力送信機に送信することができる。このようにして、デバイスはワイヤレス充電を開始する準備を整えることができる。
[0306] ステップ6267において、ワイヤレス電力送信機は、クライアントデバイスの電池レベルを連続的に監視し、ステップ6269において、電池が充電される必要があるか否かを判断することができる。他の実施形態では、ワイヤレス電力送信機は、所定のスケジュールに従ってクライアントデバイスを充電することができる。ワイヤレス電力伝送システムは、クライアントデバイスの電池を充電する時点である場合はいつでも、もしくは電池レベルが満充電未満であり、電池が充電される必要がある場合、自動的に充電することができ、または、システムは、システム内に組み込むことができるかもしくはオペレーターもしくはユーザー等によって構成することができる何らかの他の条件もしくは状況に応答して自動的に電池を充電することができる。
[0307] ワイヤレス電力送信機は、クライアントデバイスが充電される必要があると判断する場合、ステップ6271において、クライアントデバイスに接続されたワイヤレス電力受信機への電力の伝送を開始することができる。これを行うために、ワイヤレス電力送信機は、ワイヤレス電力受信機とリアルタイムで継続的に通信する。
[0308] ステップ6273において、充電期間中、受信機は、充電電力値をワイヤレス電力送信機に常時送信する。更に、クライアントデバイスは、ステップ6275において、電池レベル値をワイヤレス電力送信機に常時送信することができる。
[0309] ステップ6273および6275において受信される値を用いて、ステップ6277において、ワイヤレス電力送信機は、クライアントデバイスの充電速度を計算することが可能である。いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力送信機は、クライアントデバイス電池の充電速度を計算するために、自身の独自のリアルタイムクロック回路等を監視して、現在のリアルタイム時間またはクロック時間を測定する。
[0310] 次に、ステップ6279において、ワイヤレス電力送信機は、クライアントデバイスの充電速度が許容範囲内にあるか否かを判断することができる。いくつかの例示的な実施形態において、ワイヤレス電力送信機は、基準テーブルにおいて、特定のクライアントデバイスのための予測充電速度を調べることができ、デバイスの一意の識別情報またはカテゴリは、システムに対し前もって、オペレーターもしくはユーザーによって知らされるか、または前記カテゴリのクライアントデバイス通信によって自動的にクライアントデバイスからワイヤレス電力送信機もしくはワイヤレス電力伝送システムの他のシステムコンピューターに直接知らされる。前記基準テーブルは、送信機メモリ内、もしくはローカルデータベース内に位置するか、または遠隔サーバー上の遠隔管理もしくは情報サービスから送信機にダウンロードもしくは通信される。
[0311] いくつかの実施形態では、特定のクライアントデバイスの予期される基準充電速度は、送信機のメモリに既に記憶されている。また、送信機が充電することを予期されるクライアントデバイスの各カテゴリまたはモデルの速度も全てメモリ内に記憶される。これらの速度は、送信機製造時に送信機のメモリに既に記憶されている場合があるか、またはワイヤレス電力伝送システムが充電することを予期される全てのタイプ、カテゴリまたはモデルのクライアントデバイスについて、更新された速度を含むシステム管理サーバー等の別のシステムコンピューターから送信機にアップロードまたは通信された場合がある。
[0312] ワイヤレス電力送信機が、デバイスの実際の充電性能が予測充電性能を下回ることを検出する場合、ステップ6281において、送信機は、システムオペレーターまたはクライアントデバイスのユーザーに、電池または充電回路またはクライアントデバイスのうちの他のものが機能不良であること、電力を失っている場合があること、充電に過度に長い時間がかかっていること、および調査または修理または交換される必要があることを警告することができる。いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力送信機は、クライアントデバイスの電池が低充電速度または電力損失を引き起こしていないとき、システム機能不良の根本原因を判断することも可能である。
[0313] いくつかの実施形態では、ワイヤレス電力送信機は、この情報を、自動データベース複製を通じて通信し、送信機と他のシステムコンピューターとの間のシステムネットワークにわたって、または他の適切な通信手段を通じてメッセージを送信する。更に、オペレーターまたはユーザーは、アラートを受信し、もはやクライアントデバイスをワイヤレス充電しないようにワイヤレスシステムを構成し、次に、クライアントデバイスをサービスから除去することによって応答し、それによって、このクライアントデバイスを調査、修理もしくは交換するかまたは他の適切な解決を行うことができる。
[0314] ワイヤレス電力送信機が、解析されるデータ内にシステムまたはコンポーネントの障害の証拠が見つからないと判断する場合、ワイヤレス電力送信機は、クライアントデバイスの充電を続け、ステップ6283において、クライアントデバイスの電池レベルが満充電であるか否かを継続してチェックすることができる。クライアントデバイスの電池が満充電でない場合、ワイヤレス電力送信機は、ワイヤレス電力を、クライアントデバイスに接続されたワイヤレス電力受信機に伝送し続け、クライアントデバイスの充電を保持することができる。クライアントデバイスの電池が既に満充電であるか、またはデバイスの充電を停止する時点である場合、ステップ6285において、ワイヤレス電力送信機はデバイスの充電を停止し、プロセスは終了することができる。
[0315] 図63は、本開示の例示的な態様による、電池性能を監視するための方法のシーケンス図6300である。シーケンス図6300は、クライアントデバイス6352と、システム管理コンピューター6373と、ワイヤレス電力送信機6301と、ワイヤレス電力受信機6320と、ユーザーまたはオペレーター6375とを含む。
[0316] システム管理コンピューターは、まず、クライアントデバイス6352の予測充電速度6355をワイヤレス電力送信機6301に送信する。次に、クライアントデバイス6352は、クライアントデバイス6373の電池レベルに関する情報6357を送信する。その後、ワイヤレス電力送信機6301は、クライアントデバイス6352に接続されたワイヤレス電力受信機6320へのワイヤレス電力の配信を開始する(6359)。次に、ワイヤレス電力受信機は、クライアントデバイス6352に送達された電力量の測定値6361を常時送信する。その後、クライアントデバイス6352は、最新の電池レベル6363をワイヤレス電力送信機6301に送信する。クライアントデバイス6352に送達された電力量の測定値6361および最新の電池レベル6363を用いて、ワイヤレス電力送信機6301は、クライアントデバイス6352の充電速度を計算する。クライアントデバイス6352の充電速度が閾値未満である場合、ワイヤレス電力送信機は、ユーザーまたはオペレーター6375にアラートを送信する(6365)。次に、ユーザーまたはオペレーター6375は、誤りを訂正するためのアクションを行う(6367)。
[0317] 例えば、家族は、自宅に設置されたワイヤレス電力伝送システムを有する。家族の一員が、スマートフォンにワイヤレスで電力供給し、これを充電するようにシステムを構成する。スマートフォンは、数年の使用年数である。システムは、スマートフォンがシステムの電力範囲内にあり、スマートフォンの電池レベルが充電を正当化するのに十分低いときはいつでも、スマートフォンに自動的に充電する。家族は、ワイヤレス電力伝送システムのためのシステム管理appである、パブリックappストアからダウンロードしたソフトウェアをスマートフォンにインストールしてある。このappは、スマートフォンの電池レベルの値をシステムに自動的に通信する。スマートフォンを充電した後、システムは、スマートフォンが、完全に充電されるのにかかるはずの時間の3倍時間がかかったことを観測する。次に、システムは、スマートフォン名、および問題の簡単な説明を有するテキストメッセージを所有者に送信することによって、家族のシステムの所有者にこの問題の警告を通信する。所有者は、その後、交換用のスマートフォンを購入する。
[0318] 別の例では、ユーザーは、ユーザーの腕で機能するウェアラブル製品を購入する。製品はワイヤレス電力受信機を含む。ワイヤレス電力送信機はユーザーの寝室内にあり、毎晩、ユーザーは、ユーザーの腕にウェアラブル製品を装着して就寝する。次に、ワイヤレス電力伝送システムは、電力受信機からある距離離れた寝室内の送信機から、ユーザーの腕のウェアラブル内の電力受信機まで電力を伝送することによって、ウェアラブル内の電池を自動的に充電する。毎晩、ウェアラブル電池はバックアップを充電する。
[0319] 送信機がウェアラブルクライアントデバイスを充電した最初の時点から始まり、送信機は、ウェアラブルの電池の充電速度を計算した。ワイヤレス電力伝送システムは、この特定のウェアラブル製品のための電池の充電速度に関する基準情報を有しない。
[0320]1年以上後、ワイヤレス電力伝送システムは、ウェアラブル電池を充電する時間量が、今や、ユーザーがシステムを用いてウェアラブルデバイスのワイヤレス充電を始めたときよりも長くかかっていることを検出する。その後、システムは、ユーザーのウェアラブルは、今や充電により長い時間がかかっているというメッセージを含む電子メールを送信することによって、ユーザーにアラートを発行する。その後、ユーザーは、ウェアラブル製品を最新モデルと交換する。
8.安全な電力伝送
[0321] 図64は、健康安全性の禁止された状況に基づいて、クライアントデバイスがワイヤレス電力伝送システムから電力を受信することを禁止する方法6400のフローチャートを示す。開示される方法は、ワイヤレス電力伝送システムの1つ以上のコンポーネントにおいて動作することができる。ワイヤレス電力伝送システムは、数ある中でも、1つ以上のシステムコンピューターと、クライアントデバイス上で実行されるGUIシステム管理ソフトウェアと、1つ以上の遠隔情報サービスサーバーと、1つ以上のシステム管理サーバーとを含む。システムコンピューターは、ワイヤレス電力伝送システムのコンピューターのうちの1つを指すことができ、ワイヤレス電力伝送システムの全てのコンピューター間の通信ネットワークの一部である。システムコンピューターは、前記ネットワークを通じて任意の他のシステムコンピューターに通信することができ、ワイヤレス電力送信機、ワイヤレス電力受信機、クライアントデバイス、システム管理サービスサーバー、および/または任意の他のコンピューティングデバイスとすることができる。クライアントデバイスの例は、数ある中でも、スマートフォン、タブレットおよび音楽プレーヤーを含むことができる。
[0322] 遠隔情報サービスサーバーは、ワイヤレス電力伝送システムにおいて動作する全てのネットワークコンピューターにわたって複製または分散することができるシステムデータベースに結合することができる。前記分散システムデータベースは、全てのネットワークコンピューター内で動作するデータベース分散管理ソフトウェアと共に、ワイヤレス電力伝送システムにおけるインスタント通信を可能にすることができる。ネットワークコンピューターとは、任意のシステムコンピューター、またはオンラインであり、特定のワイヤレス電力伝送システムのネットワークへの接続を有するアクティブ遠隔情報サーバーを指すことができる。
[0323] プロセスは、ステップ6469において、ワイヤレス電力伝送システム(WPTS)が起動し、システムチェックアップを実行して、全ての通信チャネルが適切に機能していることを確実にするときに開始することができる。その後、ステップ6471において、ユーザーは、WPTSのためのクライアントデバイスにシステム管理ソフトウェアapp(GUI App)をダウンロードしインストールするステップがまだ行われていない場合、このステップを行うことができる。このappは、Apple(登録商標)のiTunes(登録商標)、Google(登録商標)のPlay Store(登録商標)、Amazon(登録商標)のApp store(登録商標)等のパブリックソフトウェアappストアまたはデジタルアプリケーション配信プラットフォームにおいて入手可能であり、ここからダウンロードし、インストールすることができる。他の実施形態では、ユーザーは、ユーザーがWPTSに命令するか、WPTSを制御または構成することができるコンピューターまたはサーバーによってホスティングされるウェブページをブラウズすることができる。appまたはウェブページは、限定ではないが、業界標準チェックマーク制御、またはクライアントデバイスのビュースクリーン、もしくはワイヤレス電力伝送システムを管理するコンピューターによってサービングされるウェブページ上に表示および記載される健康安全性動作パラメーターを指定もしくは制御するための任意の他のユーザーインターフェース制御を含むユーザーインターフェースを有することができる。
[0324] プロセスに続いて、判定6473において、GUI appは、WPTSにおいて有効にされた電力伝送について任意の禁止事項が存在するか否かを検証する。電力伝送のための禁止事項が有効にされている場合、以下のステップ6485に続き、そうではなく、電力伝送のための禁止事項がまだ有効にされていない場合、判定6475において、GUIは、ユーザーがワイヤレス電力伝送のための健康安全性動作パラメーターを有効にすることを望むか否かを尋ねるメッセージをユーザーに対し表示することができる。ユーザーが禁止事項を有効にすることを受容しない場合、ステップ6491において、WPTSは禁止事項なしでの電力送達を可能にし、プロセスが終了する。判定508において、ユーザーが禁止事項を有効にすることを受容する場合、ステップ6477において、GUI appは、ユーザーによって使用される際に、ワイヤレス電力がデバイスに伝送されるべきでない状況をユーザーが指定することができるチェックリストをユーザーに対し表示することができる。次に、ステップ6479において、ユーザーは、限定ではないが、以下の基準を含むことができる禁止された状況を指定する。
[0325] 1)クライアントデバイスが現在移動しており、ユーザーがデバイスを身に着けているか、またはデバイスを保持もしくは装着していることを示す場合。クライアントデバイスの動きまたは移動とは、デバイスに電力を伝送している送信機に対する、または送信機の空間的位置に対するクライアントデバイスの物理的な3D移動を指すことができ、それによって、動いている間、クライアントデバイスは、送信機からの自身の物理的距離を変更する場合があるか、または送信機のアンテナアレイからの自身の角度を変更する場合がある。
[0326] 2)クライアントデバイスが、現在、使用中であることを示す任意の姿勢に物理的に向けられている場合。例えば、デバイスが、現在垂直に向けられているモバイル携帯電話である場合。
[0327] 3)クライアントデバイスが、現在、デバイスがユーザーの顔に向けて保持されている場合等、自身がユーザーの近傍範囲内にあることを検出する場合。
[0328] 4)クライアントデバイスが現在電話呼をかけている場合。
[0329] 5)ユーザーが現在、クライアントデバイスを、タッチしているか、タッピングしているか、もしくはスワイプしているか、ピンチしているか、回している等の指ジェスチャーを行っている、または任意の方法でクライアントデバイスとインタラクトしている場合。
[0330] 6)クライアントデバイスが現在ヘッドセットまたは任意の他の外部デバイスに接続されている場合。
[0331] その後、ステップ6487において、ユーザーが禁止された状況または基準を指定した後、全てのシステムコンピューターにわたって禁止状況ポリシーを適用する。次に、ステップ6483において、WPTSは、その分散データベース内のクライアントデバイスレコードを更新する。WPTSは、クライアントデバイスに関連付けられた禁止された状況を読み出し、検証する。その後、ステップ6485において、WPTSは、クライアントデバイスに関連付けられた禁止された状況を読み出し、検証する。次に、ステップ6487において、禁止された状況が存在する場合、ステップ6489において、電力送達が無効にされるか、または判定6487において、禁止された状況が存在しない場合、ステップ6489において、電力送達が有効にされる。プロセスが終了する。
[0332] 前記クライアントデバイス上で実行されるGUI appは、クライアントデバイスを連続して監視して、前記クライアントデバイスの現在の動作が健康安全性の禁止された状況のうちのいずれかに合致するか否かを検出することができる。クライアントデバイスの監視は、限定ではないが、前記クライアントデバイスの内部の加速度計もしくはジャイロスコープ、またはデバイスが直面するのに役立つかどうかを(if devices is help to face)示すセンサを用いることによって、デバイスの現在の速さ、ヨー、ピッチもしくはロール、もしくは姿勢を求める前記デバイス内の測定ハードウェアを読み出すこと、または禁止された状況が存在するかどうかを示すデバイスの任意の他の態様を検知することを含むことができる。
[0333] クライアントデバイスが、前記伝送システムから電力を受信することを禁止されている状況に現在あるか否かの健康安全性判断は、前記クライアントデバイスの制御および構成を記述するデータレコード内にGUI appによって記憶することができる。前記レコードは、WPTSの分散データベースの一部とすることができ、そのコピーは、前記クライアントデバイスのメモリ内に存在する。ワイヤレス電力伝送システム内のGUI appおよび他のコンピューターは、次に、上記システム全体にわたって前記更新されたレコードを自動的に分散して、WPTS全体にわたって前記データベースの全てのコピーを同一に保持する。
[0334] 例示的な実施形態は、クライアントデバイスに電力を伝送する判定をどのように行うかを説明する。システムデータベース内で、ペアリングされたクライアントデバイスのレコードは、前記クライアントデバイスに取り付けられるかまたは前記クライアントデバイス内に組み込まれたワイヤレス電力受信機のレコードに関連付けられる。
[0335] ユーザーがWPTSの任意のユーザーインターフェース(GUIまたはウェブページ)を用いて(前記ワイヤレス電力受信機によって受信される電力から)前記クライアントデバイスが充電されるように手動で命令する場合、またはユーザーが前記ユーザーインターフェースを用いて、時点、名前、もしくは物理的位置等によって、もしくは他の方法で前記クライアントデバイスを自動的に充電するように前記ワイヤレス電力受信機のレコードを構成した場合、前記ワイヤレス電力受信機のレコードは、前記ワイヤレス電力受信機のデータベースレコードの現在の制御を有するワイヤレス電力送信機が前記ワイヤレス電力受信機に最も近いワイヤレス電力送信機であるため、このワイヤレス電力受信機によって更新され、前記ワイヤレス電力送信機が、前記クライアントデバイスに電力を出力することを可能にするように、現在その出力スイッチを閉じるべきであることを示す。前記ワイヤレス電力受信機の前記レコードも、他のワイヤレス電力送信機が読み出すために前記システム全体を通じて前記ワイヤレス電力送信機によって分散される。
[0336] 前記ワイヤレス電力受信機を制御する前記ワイヤレス電力送信機は、前記ワイヤレス電力受信機に電力を伝送するべきであると判断すると、次に、前記ワイヤレス電力受信機に関連付けられるかまたはこれにペアリングされたクライアントデバイスのレコードを検査し、前記健康安全性判断が現在前記クライアントデバイスへの電力の伝送を禁止していない場合にのみ前記ワイヤレス電力受信機に電力を伝送する。電力伝送が禁止されていない場合、電力送信機は以下のアクションを行うことができる。
[0337] A)伝送アンテナを前記受信機に照準合わせされた状態に保持するために、受信した電力量の連続したフィードバックを得るように前記受信機とのリアルタイム通信を始める。
[0338] B)前記受信機への電力伝送を始める。
[0339] C)受信機に、クライアントデバイスと接続してこれに電気エネルギーを送信するための受信機の電気中継スイッチを閉じるように命令する。
[0340] ユーザーが前記安全性禁止事項を変更する場合、前記ワイヤレス電力送信機は、前記ワイヤレス電力受信機が電力を受信するべきか否かを再度判断する。
F.選択的範囲を用いたワイヤレス電力伝送
1.強め合う干渉
[0341] 図6Aは、例示的なポケット形成プロセス中に実施することができるワイヤレス電力伝送原理を実施する例示的なシステムである。アンテナアレイに複数のアンテナを含む送信機601は、送信機601の各アンテナから送信された電力伝送波607の数ある属性の中でも、位相および振幅を調整することができる。位相または振幅調整がない場合、電力伝送波607は、アンテナの各々から送信することができる。この場合、送信される波は、送信機の各アンテナ素子から各位置に配置された受信機への異なる距離に起因して、異なる位相で異なる位置に到達することになる。
[0342] 受信機は、複数のアンテナ素子から複数の信号607aを受信することができ、これらの信号の複合物は、信号が弱め合うように合わさる場合、本質的にゼロにすることができる。送信機のアンテナ素子は、厳密に同じ電力伝送信号(すなわち、同じ特徴を有する電力伝送波を含む)を送信することができるが、電力伝送信号607aの各々は、互いに180°オフセットされた受信機に到達することができ、したがってこれらの電力伝送信号は互いに「相殺する」ことができる。このように互いにオフセットする信号は、「弱め合う干渉」と言うことができる。対照的に、いわゆる「強め合う干渉」の場合、図6Bに示すように、信号607bは、互いに厳密に「同相で」受信機に到達するので、信号の振幅が増大する。図6Aにおける説明的な例では、送信信号の位相は、伝送において同じであり、受信機において弱め合うように合わさる。一方で、図6Bにおいて、送信信号の位相は、送信において調整され、それによって、位相が位置合わせされた状態で受信機に到達し、強め合うように合わさる。この説明的な例では、図6Bにおける受信機の周りに位置するエネルギーポケットが存在し、図6Aにおける受信機の周りに位置する送信ヌルが存在することになる。
[0343] 図7は、送信機702が電気デバイス701に関連付けられた複数の受信機のためのポケット形成を生成することができる選択的範囲700を用いたワイヤレス電力伝送を示す。送信機702は、選択的範囲700を用いたワイヤレス電力伝送を通じてポケット形成を生成することができ、この選択的範囲は、特定の物理的位置706に、1つ以上のワイヤレス充電半径704および1つ以上のヌル半径を含むことができる。ワイヤレス充電範囲704において、複数の電子デバイス701を充電するかまたはこれらに電力供給することができる。このため、いくつかのエネルギースポットを生じさせることができ、そのようなスポットは、電子デバイス701に電力供給し、電子デバイスを充電するための制約を可能にするために用いることができる。例として、制約は、ワイヤレス充電半径704内に含まれる特定のまたは限られたスポットにおいて特定の電子機器を動作させることを含むことができる。更に、選択的範囲700を有するワイヤレス電力伝送を用いることによって安全制約を実施することができ、そのような安全制約は、エネルギーが回避される必要があるエリアまたはゾーンにわたってエネルギーポケットを回避することができ、そのようなエリアは、エネルギーポケットに対し敏感な機器および/またはエネルギーポケットを自身の上および/または付近に望まない人々を含むエリアを含むことができる。図7に示す実施形態等の実施形態では、送信機702は、サービングされるエリアにおいて電気デバイス701に関連付けられた受信機と異なる平面に見られるアンテナ素子を含むことができる。例えば、電気デバイス701の受信機は、送信機702が天井に取り付けられる部屋内にあることができる。電力伝送波を用いてエネルギーポケットを確立するための選択的範囲は、送信機702のアンテナアレイを天井または他の高い位置に配置することによって、同心円として表すことができ、送信機702は、エネルギーポケットの「円錐」を生成する電力伝送波を放射することができる。いくつかの実施形態では、送信機701は、各充電半径704の半径を制御し、これによって、より低い平面にあるエリアまで下に向けられたエネルギーポケットを生じさせるようにサービスエリアの間隔を確立する。これにより、アンテナの位相および振幅の適切な選択を通じて円錐の幅を調整することができる。
[0344] 図8は、送信機802が複数の受信機806のためのポケット形成を生成することができる選択的範囲800を用いたワイヤレス電力伝送を示す。送信機802は、選択的範囲800を用いたワイヤレス電力伝送を通じてポケット形成を生成することができ、この選択的範囲は、1つ以上のワイヤレス充電スポット804を含むことができる。ワイヤレス充電スポット804において、複数の電子デバイスを充電するかまたはこれらに電力供給することができる。複数の受信機806にわたって、それらを取り囲む障害物804に関わらず、エネルギーポケットを生成することができる。エネルギーポケットは、本明細書に記載の原理に従って、ワイヤレス充電スポット804内に強め合う干渉を生じさせることによって生成することができる。エネルギーポケットの位置特定は、受信機806を追跡することによって、および、数ある中でも、Bluetooth(登録商標)技術、赤外線通信、Wi−Fi、FM無線等の多岐にわたる通信システムにより複数の通信プロトコルを可能にすることによって、実行することができる。
G.ヒートマップを用いた例示的なシステムの実施形態
[0345] 図9Aおよび図9Bは、例示的な実施形態による、クライアントコンピューティングプラットフォームをワイヤレス充電するためのアーキテクチャ900A、900Bの図を示す。いくつかの実施態様において、ユーザーは、部屋の中にいる場合があり、手に電子デバイス(例えば、スマートフォン、タブレット)を保持している場合がある。いくつかの実施態様では、電子デバイスは、部屋の中の家具の上にある場合がある。電子デバイスは、電子デバイスに組み込まれるか、または電子デバイスに接続された別個のアダプタとしての受信機920A、920Bを含むことができる。受信機920A、920Bは、図11に記載される全てのコンポーネントを含むことができる。送信機902A、902Bは、ユーザーのすぐ後ろの部屋の壁のうちの1つに掛かっている場合がある。送信機902A、902Bも、図11に記載される全てのコンポーネントを含むことができる。
[0346] ユーザーが受信機920A、920Bと送信機902A、902Bとの間の経路を遮るように見える場合があるとき、RF波は、受信機920A、920Bに対し線形方向に容易に照準合わせされない場合がある。しかし、受信機920A、920Bから生成される短い信号は、用いられるアンテナ素子のタイプについて無指向性とすることができ、これらの信号は、送信機902A、902Bに到達するまで、壁944A、944Bにわたって跳ね返ることができる。ホットスポット944A、944Bは、RF信号波を反射する部屋内の任意のアイテムとすることができる。例えば、壁上の大きな金属の時計を用いて、RF波をユーザーの携帯電話に反射することができる。
[0347] 送信機におけるマイクロコントローラーは、受信機から受信した信号に基づいて、各アンテナから送信される信号を調整する。調整は、受信機から受信した信号位相の共役を形成することと、アンテナ素子の組み込まれた位相を考慮に入れた、送信アンテナ位相の更なる調整を含むことができる。アンテナ素子は、所与の方向にエネルギーをステアリングするように同時に制御することができる。送信機902A、902Bは、部屋をスキャンし、ホットスポット944A、944Bを探すことができる。較正が行われると、送信機902A、902Bは、最も効果的な経路とすることができる経路を辿るチャネルにおけるRF波に焦点を当てることができる。その後、RF信号942A、942Bは、ユーザーおよび家具等の障害物を回避しながら、第1の電子デバイスにおけるエネルギーポケットおよび第2の電子デバイスにおける別のエネルギーポケットを形成することができる。サービスエリア、すなわち、図9Aおよび図9Bにおける部屋をスキャンするとき、送信機は、様々な方法を用いることができる。説明的な例として、ただし、用いることができる可能な方法を制限することなく、送信機は、受信機から到来する信号の位相および振幅を検出し、これらを用いて、例えば、これらの共役を計算し、送信時にこれらを適用することによって、送信位相および大きさの組を形成することができる。別の説明的な例として、送信機は、後続の送信において、送信アンテナの全ての取り得る位相を一度に1つずつ適用し、受信機からの信号を観測することによって各組合せにより形成されるエネルギーポケットの強度を検出することができる。次に、送信機は、この較正を随時繰り返す。送信機は、全ての可能な位相を探索する必要がなく、以前の較正値に基づいて強力なエネルギーポケットを生成する可能性がより高い位相の組内を探索することができることを留意されたい。更に別の説明的な例では、送信機は、アンテナのための送信位相のプリセット値を用いて、部屋内の異なる位置に向けられたエネルギーポケットを形成することができる。送信機は、例えば、後続の送信におけるアンテナのためのプリセット位相値を用いることによって、部屋内の物理的空間を上から下および左から右にスキャンすることができる。次に、送信機は、受信機からの信号を観測することによって、受信機の周りの最も強力なエネルギーポケットを結果として生成する位相値を検出する。本明細書において記載される実施形態の趣旨から逸脱することなく他の可能な方法が存在する。いずれの方法が用いられようと、スキャン結果は、部屋のヒートマップであり、そこから、送信機は、受信機の周りのエネルギーポケットを最大にするために送信アンテナのために用いる最良の位相および大きさの値を示すホットスポットを特定する。
[0348] 送信機902A、902Bは、Bluetooth(登録商標)接続を用いて受信機920A、920Bの位置を決定することができ、RF帯域の異なる重複しない部分を用いて、異なる受信機920A、920Bに対しRF波をチャネル設定することができる。いくつかの実施態様では、送信機902A、902Bは、部屋のスキャンを行って、受信機920A、920Bの位置を判断することができ、重複しないRF送信帯域によって、互いに直交するエネルギーポケットを形成する。複数のエネルギーポケットを用いてエネルギーを受信機に向けることは、いくつかの代替的な電力伝送方法よりも本質的に安全であり得る。なぜなら、いずれの単一の送信もあまり強力ではない一方、受信機において受信される合計の電力伝送信号は強力であるためである。
H.例示的なシステム実施形態
[0349] 図10Aは、1つの送信機1002Aおよび少なくとも2つ以上の受信機1020Aを含むことができる複数ポケット形成1000Aを用いたワイヤレス電力伝送を示す。受信機1020Aは送信機1002Aと通信することができ、これについては図11において更に説明される。送信機1002Aが受信機1020Aを識別し、位置特定すると、受信機1020Aから到来する利得および位相を知ることによって、チャネルまたは経路を確立することができる。送信機1002Aは、2つのアンテナ素子の最小値を用いることによって、3次元空間において収束することができる制御されたRF波1042Aの送信を開始することができる。これらのRF波1042Aは、適切な圧電材料を用いて、外部電源および局部発振器チップを用いて生成することができる。RF波1042Aは、RFICによって制御することができ、RFICは、アンテナ素子が強め合う干渉パターンを形成する(ポケット形成)ための入力としての役割を果たすことができるRF信号の位相および/または相対的な大きさを調整するための専用チップを含むことができる。ポケット形成は、干渉を利用してアンテナ素子の指向性を変更することができ、ここで、強め合う干渉はエネルギーポケット1060Aを生成し、弱め合う干渉はヌルを生成する。次に、受信機1020Aは、電子デバイス、例えば、ラップトップコンピューター1062Aおよびスマートフォン1052Aを充電するかまたはこれに電源供給し、これによりワイヤレス電力伝送を効率的に提供するためにポケット形成によって生成されたエネルギーポケット1060Aを利用することができる。
[0350] 送信機1002Aの各アンテナから各受信機1020Aへの位相および利得を計算することによって複数ポケット形成1000Aを達成することができる。送信機1002Aからのアンテナ素子によって受信機1020Aからのアンテナ素子まで複数の経路を生成することができるため、計算は独立して行うことができる。
I.例示的なシステム実施形態
[0351] 図10Bは、複数アダプティブポケット形成1000Bの例示的な説明である。この実施形態において、ユーザーは、部屋の中にいる場合があり、手に電子デバイスを保持している場合がある。この事例では、電子デバイスはタブレット1064Bとすることができる。更に、スマートフォン1052Bは、部屋の中の家具の上にあることができる。タブレット1064Bおよびスマートフォン1052Bは、各電子デバイスに組み込まれるか、またはタブレット1064Bおよびスマートフォン1052Bに接続された別個のアダプタとしての受信機を含むことができる。受信機は、図11に記載される全てのコンポーネントを含むことができる。送信機1002Bは、ユーザーのすぐ後ろの部屋の壁のうちの1つに掛かっている場合がある。送信機1002Bも、図11に記載される全てのコンポーネントを含むことができる。ユーザーが受信機と送信機1002Bとの間の経路を遮るように見える場合があるとき、RF波1042Bは、各受信機に対し視線内で容易に照準合わせされない場合がある。しかし、受信機から生成される短い信号は、用いられるアンテナ素子のタイプについて無指向性とすることができ、これらの信号は、送信機1002Bを見つけるまで、壁にわたって跳ね返ることができる。ほぼ即時に、送信機1002B内に存在するマイクロコントローラーは、各受信機によって送信される受信信号に基づいて、利得および位相を調整し、「弱め合う干渉」と呼ばれる、電力伝送波が互いから減算されるように共に合わさり、その位置に集中するエネルギーを減衰させる干渉とは対照的に、電力伝送波が共に合わさり、その位置に集中するエネルギーを強化させるように電力伝送波の収束を形成し、受信機から受信した信号位相の共役を形成し、アンテナ素子の組み込まれた位相を考慮に入れた、送信アンテナ位相の更なる調整を行うことによって、送信信号を再較正することができる。較正が行われると、送信機1002Bは、最も効率的な経路を辿るRF波に焦点を当てることができる。その後、ユーザーおよび家具等の障害物を考慮に入れながら、タブレット1064Bにおいてエネルギーポケット1060Bを形成し、スマートフォン1052Bにおいて別のエネルギーポケット1060Bを形成することができる。上記特性は、各エネルギーポケットに沿った送信があまり強力でないため、複数ポケット形成1000Bを用いたワイヤレス電力伝送が、本質的に安全とすることができるという点、およびRF送信が通常、生体組織から反射し、貫通しないという点で有利とすることができる。
[0352] 送信機1002Bが受信機を識別し、位置特定すると、受信機から到来する利得および位相を知ることによって、チャネルまたは経路を確立することができる。送信機1002Bは、2つのアンテナ素子の最小値を用いることによって、3次元空間において収束することができる制御されたRF波1042Bの送信を開始することができる。これらのRF波1042Bは、適切な圧電材料を用いて、外部電源および局部発振器チップを用いて生成することができる。RF波1042Bは、RFICによって制御することができ、RFICは、アンテナ素子が強め合う干渉パターンおよび弱め合う干渉パターンを形成する(ポケット形成)ための入力としての役割を果たすことができるRF信号の位相および/または相対的な大きさを調整するための専用チップを含むことができる。ポケット形成は、干渉を利用してアンテナ素子の指向性を変更することができ、ここで、強め合う干渉はエネルギーポケットを生成し、弱め合う干渉は、特定の物理的位置においてヌルを生成する。次に、受信機は、電子デバイス、例えば、ラップトップコンピューターおよびスマートフォンを充電するかまたはこれに電源供給し、これによりワイヤレス電力伝送を効率的に提供するためにポケット形成によって生成されたエネルギーポケットを利用することができる。
[0353] 送信機の各アンテナから各受信機への位相および利得を計算することによって複数ポケット形成1000Bを達成することができる。送信機からのアンテナ素子によって、受信機からのアンテナ素子まで複数の経路を生成することができるため、計算は独立して行うことができる。
[0354] 少なくとも2つのアンテナ素子の計算の例は、受信機からの信号の位相を決定し、受信パラメーターの共役を送信のためのアンテナ素子に適用することを含むことができる。
[0355] いくつかの実施形態では、2つ以上の受信機が異なる周波数において動作し、ワイヤレス電力伝送中の電力損失を回避することができる。これは、複数の組み込まれたアンテナ素子のアレイを送信機1002Bに含めることによって達成することができる。1つの実施形態では、アレイ内の各アンテナによって単一の周波数を送信することができる。他の実施形態では、アレイ内のアンテナのうちのいくつかを用いて、異なる周波数で送信することができる。例えば、アレイ内のアンテナの1/2は2.4GHzで動作することができ、他方の1/2は5.8GHzで動作することができる。別の例では、アレイ内のアンテナの1/3は900MHzで動作することができ、別の1/3は2.4GHzで動作することができ、アレイ内の残りのアンテナは5.8GHzで動作することができる。
[0356] 別の実施形態では、アンテナ素子の各アレイは、ワイヤレス電力伝送中に1つ以上のアンテナ素子に仮想的に分割することができ、ここで、アレイ内のアンテナ素子の各組は、異なる周波数で送信することができる。例えば、送信機のアンテナ素子は、2.4GHzで電力伝送信号を送信することができるが、受信機の対応するアンテナ素子は、5.8GHzで電力伝送信号を受信するように構成することができる。この例において、送信機のプロセッサは、送信機のアンテナ素子を調整して、アレイ内のアンテナ素子を、独立して供給することができる複数のパッチに仮想的にまたは論理的に分割することができる。結果として、アンテナ素子のアレイの1/4は、受信機に必要な5.8GHzで送信可能とすることができる一方、アンテナ素子の別の組は、2.4GHzで送信することができる。したがって、アンテナ素子のアレイを仮想的に分割することによって、受信機に結合された電子デバイスは、ワイヤレス電力伝送を受信し続けることができる。上記は、例えば、アンテナ素子の1つの組が約2.4GHzで送信することができ、他のアンテナ素子が5.8GHzで送信することができ、このため、異なる周波数で動作する受信機と共に機能するときに所与のアレイにおける複数のアンテナ素子を調整することができることに起因して、有利とすることができる。この例において、アレイはアンテナ素子の等しい組(例えば、4つのアンテナ素子)に分割されるが、アレイは、異なる量のアンテナ素子の組に分割されてもよい。代替的な実施形態では、各アンテナ素子は、選択周波数間で交互に切り替えることができる。
[0357] ワイヤレス電力伝送の効率および(ポケット形成を用いて)送達することができる電力量は、所与の受信機および送信機システムにおいて用いられるアンテナ素子1006の総数の関数とすることができる。例えば、約15フィートで約1ワットを送達するために、受信機は、約80個のアンテナ素子を含むことができる一方、送信機は約256個のアンテナ素子を含むことができる。別の同一のワイヤレス電力伝送システム(約15フィートで約1ワット)は、約40個のアンテナ素子を有する受信機と、約512個のアンテナ素子を有する送信機とを備えることができる。受信機におけるアンテナ素子の数を半分に低減することは、送信機におけるアンテナ素子の数を2倍にすることを必要とする。いくつかの実施形態では、システム規模の展開において、送信機の数が受信機よりもはるかに少ないので、コストに起因して、受信機におけるよりも送信機におけるアンテナ素子の数を多くすることが有利である場合がある。一方、送信機1002Bに少なくとも2つのアンテナ素子がある限り、例えば、送信機よりも受信機により多くのアンテナ素子を配置することによって、反対のことが達成され得る。
II.送信機−ワイヤレス電力伝送のための送信機システムおよび方法
[0358] 送信機は、以下で説明するコンポーネントを用いたポケット形成、アダプティブポケット形成および複数ポケット形成を担うことができる。送信機は、空間を通じて伝播し、使用可能な電気エネルギーに変換されることが可能な任意の物理的媒体の形態でワイヤレス電力伝送信号を受信機に送信することができ、例は、RF波、赤外線、音響、電磁場および超音波を含むことができる。電力伝送信号は、任意の周波数または波長を有するほとんど任意の無線信号とすることができることを当業者は理解するべきである。送信機は、RF送信を参照して例としてのみ説明され、範囲をRF送信のみに限定するものではない。
[0359] 送信機は、デスク、テーブル、床、壁等の複数の位置、表面、台、または埋込み構造に位置することができる。いくつかの場合、送信機は、本明細書に記載のプロセスおよびタスクを実行することが可能なプロセッサおよびソフトウェアモジュールを含む任意のコンピューティングデバイスとすることができるクライアントコンピューティングプラットフォーム内に位置することができる。クライアントコンピューティングプラットフォームの非限定的な例は、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、ハンドヘルドコンピューター、タブレットコンピューティングプラットフォーム、ノートブック、スマートフォン、ゲーミングコンソールおよび/または他のコンピューティングプラットフォームを含むことができる。他の実施形態では、クライアントコンピューティングプラットフォームは、多岐にわたる電子コンピューティングデバイスとすることができる。そのような実施形態において、クライアントコンピューティングプラットフォームの各々は、別個のオペレーティングシステムおよび/または物理的コンポーネントを有することができる。クライアントコンピューティングプラットフォームは同じオペレーティングシステムを実行してもよく、および/またはクライアントコンピューティングプラットフォームは異なるオペレーティングシステムを実行してもよい。クライアントコンピューティングプラットフォームおよびデバイスは、複数のオペレーティングシステムを実行可能とすることができる。更に、ボックス型送信機は、X軸、Y軸もしくはZ軸、またはそれらの任意の組合せに向けることができる、プリント回路基板(PCB)層のいくつかの構成を含むことができる。
[0360] ワイヤレス充電技法はRF波送信技法に限定されず、送信されたエネルギーを電力に変換する受信機にエネルギーを送信するための代替的なまたは追加の技法を含むことができることが理解されるべきである。受信デバイスによって電力に変換することができるエネルギーのための非限定的な例示的送信技法は、超音波、マイクロ波、共鳴磁場および誘導磁場、レーザー光、赤外線、または他の形態の電磁エネルギーを含むことができる。超音波の場合、例えば、トランスデューサーアレイを形成するように1つ以上のトランスデューサー素子を配置することができ、このトランスデューサーアレイは、超音波を受信デバイスに向けて送信し、受信デバイスは、超音波を受信し、超音波を電力に変換する。共鳴磁場および誘導磁場の場合、送信機コイルにおいて磁場が生じ、受信機コイルによって電力に変換される。
A.送信機デバイスのコンポーネント
[0361] 図11は、例示的な実施形態による、クライアントデバイスをワイヤレス充電するためのシステム1100アーキテクチャの図を示す。システム1100は、各々が特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる送信機1101および受信機1120を含むことができる。送信機1101ASICは、1つ以上のプリント回路基板(PCB)1104と、1つ以上のアンテナ素子1106と、1つ以上の無線周波数集積回路(RFIC)1108と、1つ以上のマイクロコントローラー(MC)1110と、通信コンポーネント1112と、電源1114とを備えることができる。送信機1101はハウジングに入れることができ、ハウジングは、送信機1101のための全ての要求されたコンポーネントを配分することができる。送信機1101におけるコンポーネントは、メタマテリアル、回路のマイクロプリント、ナノマテリアルおよび/または任意の他のマテリアルを用いて製造することができる。送信機全体または受信機全体を単一の回路基板で実装することができること、および機能ブロックのうちの1つ以上を別個の回路基板で実装させることは当業者に明らかであるはずである。
1.プリント回路基板1104
[0362] いくつかの実施態様では、送信機1101は複数のPCB1104層を含むことができ、複数のPCB層は、ポケット形成に対し、より大きな制御を提供するためのアンテナ素子1106および/またはRFIC1108を含むことができ、標的受信機について応答を増大させることができる。PCB1104は、非導電基板上に積層された銅シートからエッチングされた導電トラック、パッドおよび/または他の特徴を用いて、本明細書に記載の電子コンポーネントを機械的に支持し、電気的に接続することができる。PCBは、一面(1つの銅層)、二面(2つの銅層)および/または多層とすることができる。複数のPCB1104層は、送信機1101によって転送することができる電力の範囲および量を増大させることができる。PCB1104層は、単一のMC1110および/または専用MC1110に接続することができる。同様に、RFIC1108は、上記の実施形態に示されているように、アンテナ素子1106に接続することができる。
[0363] いくつかの実施態様において、内部に複数のPCB1104層を含むボックス型送信機は、ポケット形成に対し、より大きな制御を提供するアンテナ素子1108を含むことができ、標的受信機について応答を増大させることができる。更に、ボックス型送信機によってワイヤレス電力伝送の範囲を増大させることができる。複数のPCB1104層は、アンテナ素子1106の密度がより高いことに起因して、送信機1101によってワイヤレスで転送および/またはブロードキャストすることができる電力波(例えば、RF電力波、超音波)の範囲および量を増大させることができる。PCB1104層は、アンテナ素子1106ごとに単一のマイクロコントローラー1110および/または専用マイクロコントローラー1110に接続することができる。同様に、RFIC1108は、上記の実施形態に示されているように、アンテナ素子1101を制御することができる。更に、送信機1101のボックス形状は、ワイヤレス電力伝送の作用比を増大させることができる。
2.アンテナ素子
[0364] アンテナ素子1106は、指向性および/または無指向性とすることができ、平面アンテナ素子、パッチアンテナ素子、ダイポールアンテナ素子およびワイヤレス電力伝送に適した任意の他のアンテナを含むことができる。適切なアンテナタイプは、例えば、約1/8インチ〜約6インチの高さと、約1/8インチ〜約6インチの幅を有することができるパッチアンテナを含むことができる。アンテナ素子1106の形状および向きは、送信機1101の所望の特徴に依拠して変動してもよく、向きは、X軸、Y軸およびZ軸において平坦であってもよく、3次元構成における様々な向きのタイプおよび組合せであってもよい。アンテナ素子1106の材料は、高い効率、良好な熱放散等でRF信号送信を可能にすることができる任意の適切な材料を含むことができる。アンテナ素子1106の量は、送信機1101における所望の範囲および電力伝送能力に関連して変動することができ、アンテナ素子1106が多いと、範囲が広くなり、かつ電力伝送能力が高くなる。
[0365] アンテナ素子1106は、900MHz、2.5GHzまたは5.8GHz等の周波数帯域で動作するのに適したアンテナタイプを含むことができる。なぜなら、これらの周波数帯域は、連邦通信委員会(FCC)規則のパート18(工業、科学、および医療用機器)に準拠しているためである。アンテナ素子1106は独立した周波数で動作し、ポケット形成のマルチチャネル動作を可能にすることができる。
[0366] 更に、アンテナ素子1106は、少なくとも1つの偏波または偏波の選択を有することができる。そのような偏波は、垂直偏波、水平偏波、円偏波、左偏波、右偏波、または偏波の組合せを含むことができる。偏波の選択は、送信機1101の特性に依拠して変動することができる。更に、アンテナ素子1106は、送信機1101の様々な面に位置することができる。アンテナ素子1106は、単一のアレイ、対のアレイ、4つ組のアレイ、および所望の用途に従って設計することができる任意の他の適切な構成で動作することができる。
[0367] いくつかの実施態様において、プリント回路基板PCB1104の側面全体にアンテナ素子1106を密に詰めることができる。RFIC1108は複数のアンテナ素子1106に接続することができる。複数のアンテナ素子1106が単一のRFICを取り囲むことができる。
3.無線周波数集積回路
[0368] RFIC1108は、MC1110からのRF信号を受信し、RF信号を複数の出力に分割することができ、各出力はアンテナ素子1106にリンクされている。例えば、各RFIC1108は、4つのアンテナ素子1106に接続することができる。いくつかの実施態様では、各RFIC1108は、8つ、16個および/または複数のアンテナ素子1106に接続することができる。
[0369] RFIC1104は、増幅器、キャパシタ、発振器、圧電結晶等のデジタルおよび/またはアナログコンポーネントを含むことができる複数のRF回路を含むことができる。RFIC1104は、ポケット形成のための利得および/または位相等のアンテナ素子1106の特徴を制御し、方向、電力レベル等を通じてこれを管理することができる。各アンテナ素子1106におけるポケット形成の位相および振幅は、所望のポケット形成および送信ヌルステアリングを生成するために、対応するRFIC1108によって調節することができる。更に、RFIC1108はMC1110に接続することができ、MC1110は、デジタル信号処理(DSP)、ARM、PICクラスマイクロプロセッサ、中央処理装置、コンピューター等を利用することができる。送信機1101内に存在する、より少ない数のRFIC1108は、複数ポケット形成のより弱い制御、より低い粒度レベル、およびよりコストの低い実施形態等の所望の特徴に対応することができる。いくつかの実施態様では、RFIC1108は1つ以上のMC1110に結合することができ、MC1110は、独立した基地局にまたは送信機1101に含めることができる。
[0370] 送信機1101のいくつかの実施態様では、各アンテナ素子1106における各ポケット形成の位相および振幅は、所望のポケット形成および送信ヌルステアリングを生成するために、対応するRFIC1108によって調節することができる。各アンテナ素子1106に結合された、選抜されたRFIC1108は、処理要件を低減させることができ、ポケット形成に対する制御を増大させることができ、MC1110に対する、より低い負荷で複数ポケット形成およびより高い粒度のポケット形成を可能にし、より多くの数の複数ポケット形成のより高度な応答を可能にすることができる。更に、複数ポケット形成はより多くの数の受信機に充電することができ、そのような受信機に対するより良好な軌道を可能にすることができる。
[0371] RFIC1108およびアンテナ素子1106は、所望の用途に従って設計することができる任意の適切な構成で動作することができる。例えば、送信機1101は、平坦な構成においてアンテナ素子1106およびRFIC1108を含むことができる。4つ、8つ、16個、および/または任意の数のアンテナ素子1106のサブセットを、単一のRFIC1108に接続することができる。RFIC1108は、各アンテナ素子1106の後ろに直接組み込むことができ、そのような一体化により、コンポーネント間の距離が短くなることに起因した損失を低減することができる。いくつかの実施態様では、アンテナ素子1106の行または列を単一のMC1110に接続することができる。各行または列に接続されたRFIC1108は、行または列間の位相および利得を変更することによってポケット形成を生成することができる、よりコストの低い送信機1101を可能にする。いくつかの実施態様では、RFIC1108は、受信機1120が得るための2ボルト〜8ボルトの電力を出力することができる。
[0372] いくつかの実施態様において、RFIC1108のカスケード構成を実施することができる。RFIC1108のカスケード構成を用いた平坦な送信機1101は、ポケット形成に対するより良い制御を提供することができ、標的の受信機1106に対する応答を増大させることができ、RFIC1108の多重冗長性に起因して、より高い信頼性および正確度を達成することができる。
4.マイクロコントローラー
[0373] MC1110は、ARMおよび/またはDSPを実行するプロセッサを含むことができる。ARMは、縮小命令セットコンピューティング(RISC)に基づく汎用マイクロプロセッサのファミリーである。DSPは汎用信号処理チップであり、情報信号の数学的操作を提供し、これを何らかの形で変更または改善することができ、一連の番号またはシンボルおよびこれらの信号の処理による、別個の時間、別個の周波数、および/または他の別個の領域信号の表現によって特徴付けることができる。DSPは、連続した現実世界のアナログ信号を測定、フィルタリングおよび/または圧縮することができる。第1のステップは、信号をサンプリングし、次に、アナログ信号を別個のデジタル値のストリームに変換することができるアナログ/デジタル変換器(ADC)を用いて信号をデジタル化することによる、アナログ形式からデジタル形式への信号の変換とすることができる。MC1110は、Linuxおよび/または任意の他のオペレーティングシステムも実行することができる。MC1110は、ネットワーク1140を通じて情報を提供するために、Wi−Fiに接続することもできる。
[0374] MC1110は、ポケット形成の時間放出、ポケット形成の方向、跳ね返り角、電力強度等のRFIC1108の多岐にわたる特徴を制御することができる。更に、MC1110は、複数の受信機に対する、または単一の受信機に対する複数ポケット形成を制御することができる。送信機1101は、ワイヤレス電力伝送の距離の区別を可能にすることができる。更に、MC1110は、通信コンポーネント1112を制御することによって、通信プロトコルおよび信号を管理および制御することができる。MC1110は、通信コンポーネント1112によって受信される情報を処理することができ、通信コンポーネント1112は、受信機を追跡し、無線周波数信号1142(すなわち、エネルギーポケット)を受信機に対し集中させるために、受信機との間で信号を送受信することができる。受信機1120から、および受信機1120にネットワーク1140を通じて他の情報を送信することもでき、そのような情報は、数ある中でも認証プロトコルを含むことができる。
[0375] MC1110は、シリアル周辺インターフェース(SPI)および/または集積回路間(I2C)プロトコルを通じて通信コンポーネント1112と通信することができる。SPI通信は、例えば、組み込まれたシステム、センサおよびSDカードにおいて、短い距離の単一のマスター通信のために用いることができる。デバイスはマスター/スレーブモードで通信し、マスター/スレーブモードにおいて、マスターデバイスはデータフレームを始動する。個々のスレーブ選択線を用いて複数のスレーブデバイスが可能にされる。I2Cは、マルチマスター、マルチスレーブ、シングルエンド、低速周辺機器をコンピューターマザーボードに取り付けるのに用いられるシリアルコンピューターバス、および組込みシステムである。
5.通信コンポーネント
[0376] 通信コンポーネント1112は、数ある中でも、Bluetooth(登録商標)技術、赤外線通信、Wi−Fi、FM無線を含み、これらを組み合わせることができる。MC1110は、障害物に起因する損失を低減するために、ポケット形成を送信する最も効果的な軌道を含む、ポケット形成のための最適な時点および位置を決定することができる。そのような軌道は、直接ポケット形成、跳ね返り、およびポケット形成の距離区別を含むことができる。いくつかの実施態様では、通信コンポーネント1112は、複数のデバイスと通信することができ、これらの複数のデバイスは、受信機1120、クライアントデバイス、または他の送信機1101を含むことができる。
6.電源1101
[0377] 送信機1101は、AC電源またはDC電源を含むことができる電源1114によって供給することができる。電源1114によって提供される電圧、電力および電流強度は、送信される必要がある電力に依拠して変動することができる。無線信号への電力の変換は、MC1110によって管理することができ、RFIC1108によって実行することができる。RFIC1108は、複数の方法およびコンポーネントを利用して、多岐にわたる周波数、波長、強度および他の特徴で無線信号を生成することができる。無線信号生成のための多岐にわたる方法およびコンポーネントの例示的な使用として、発振器および圧電結晶を用いて、異なるアンテナ素子1106において無線周波数を生じさせ、変更することができる。更に、信号を平滑化するために多岐にわたるフィルターを用いることができ、送信される電力を増大させるために増幅器を用いることができる。
[0378] 送信機1101は、数ワットから、特定の充電可能な電子デバイスによって必要とされる所定の数のワットまでの電力容量を用いてポケット形成しているRF電力波を放射することができる。各アンテナは、ある特定の電力容量を管理することができる。そのような電力容量は、用途に関連付けることができる。
7.ハウジング
[0379] ハウジングに加えて、独立した基地局は、MC1110および電源1114を含むことができ、このため、いくつかの送信機1101を単一の基地局および単一のMC1110によって管理することができる。そのような能力により、送信機1101を、天井、装飾、壁等の多岐にわたる方策上の位置に配置することが可能になる。アンテナ素子1106、RFIC1108、MC1110、通信コンポーネント1112および電源1114は、複数の構成および組合せで接続することができ、これは、送信機1101の所望の特性に依拠することができる。
[0380] 図23は、例示的な実施形態による、ポータブルワイヤレス送信機を1つ以上のパワーアウトレットに接続することができる電源プラグを有するポータブル送信機2301を備えるワイヤレス電力伝送システム2300を示す。ポータブルワイヤレス送信機2301は、平坦な構成のアンテナ素子を含むことができる。ポータブルワイヤレス送信機2301は、1つ以上の電源プラグ2370を通じて電源に接続することができ、そのような電源プラグ2370は、各国および/または領域の標準に準拠することができる。電源プラグ2370は、ポータブルワイヤレス送信機2301を、壁、床、天井および/または電気アダプタにある1つ以上のパワーアウトレットに接続するように意図され得る。
[0381] ポータブルワイヤレス送信機2301の可搬性を増大させるために、電源プラグ2370は、折りたたみ可能、伸縮式、超小型等にすることができる。そのような特徴により、輸送およびポケット化(pocketing)のためにサイズを低減することができる。ポータブルワイヤレス送信機2301は、ハウジング2306に内蔵することができる。ハウジングは、水、高温、砂、虫、衝撃、振動、およびポータブルワイヤレス送信機2301の完全性に対する脅威となり得る他の悪条件に対し、更なる保護を提供することができる。このため、ハウジング2306は、上記の特性を提供することができる複数の材料を用いて作製することができる。
[0382] 図24は、例示的な実施形態による、複数の電源プラグがポータブルワイヤレス送信機を多岐にわたる電源および/または電気アダプタに接続する送信機2401を備えるワイヤレス電力伝送システム2400を示す。図24は、様々な電源プラグを示すポータブルワイヤレス送信機2401を示し、そのような電源プラグは、USBアダプタ2470bおよびシガレットライタープラグ2470cを含むことができる。USBアダプタ2470bは、USBポートを有する任意のデバイスから電力を受信するのに用いることができる。これらのデバイスは、ラップトップ、スマートTV、タブレット等を含むことができる。シガレットライタープラグ2470cは、自動車において用いられるような、任意のシガレットライターソケットから電力を受信するために用いることができる。更に、ポータブルワイヤレス送信機2401は、多岐にわたる電源プラグ2470aを含むことができ、そのような電源プラグ2470aは、最終的な用途に依拠して変化することができる。
[0383] 図25は、送信機2501が、起動時に上面に少なくとも1つのエネルギーポケット2504を生じさせることができるボタン2572を含むことができるワイヤレス電力伝送システム2500を示す。受信機(図示せず)に作動的に結合されたスマートフォン2552は、そのような表面上に配置されると、上述したエネルギーポケット2504を利用することによって、電力をワイヤレスで受信することができる。ワイヤレス電力伝送2500のためのこの構成は、スマートフォン2552が自身の位置を送信機2501に通信することができないときはいつでも、例えば、スマートフォン2552の電力が完全に切れているときはいつでも有利であり得る。通信とは、データとして表される情報が、1つのコンピューターからワイヤレス電力伝送システムの1つ以上のコンピューターまたはプロセッサに送信されることを指すことができる。データは、一連のバイトの形態をとり、ここで、各バイトは8バイナリビットであり、各バイナリビットは、「0」または「1」の数値である。ビットは、別個のまたは異なる電圧または電流または位相または周波数値として「0」および「1」を表すことによって、1つのコンピューターから別のコンピューターに電気的にまたは電子的に通信される。ビットは、無線周波数(RF)エネルギーとして「0」および「1」を表すことによって、1つのコンピューターから別のコンピューターにワイヤレスに通信される。更に、スマートフォン2552は、送信機2501に近接していることに起因して、より高速に充電することができる。この構成のまた更なる利点は、ユーザーが送信機2501の表面から(スマートフォン2552が送信機2501との通信を確立するための最小電荷を蓄積した後に)スマートフォン2552を除去することを決める場合、スマートフォン2552が依然として、ポケット形成を通じてワイヤレスに電力を受信することができることである。このため、スマートフォン2552の移動性は妥協されなくてよい。
B.電力を送信する例示的な方法
[0384] 図12は、アンテナ素子を用いて受信機位置1200を決定するための方法である。受信機位置1200を決定するための方法は、MCによって管理されるプログラムされた規則またはロジックの組とすることができる。プロセスは、アンテナアレイからのアンテナの第1のサブセットを用いて第1の信号を捕捉することによってステップ1201を開始することができる。アンテナ素子の異なるサブセットに切り替え、次のステップ1203において、アンテナの第2のサブセットを用いて第2の信号を捕捉することによるプロセスが直後に続くことができる。例えば、第1の信号は、アンテナの行によって捕捉することができ、第2の捕捉は、アンテナの列により行うことができる。アンテナの行は、球座標系における方位等の水平度向きを提供することができる。アンテナの列は、仰角等の垂直度向きを提供することができる。第1の信号および第2の信号を捕捉するのに用いられるアンテナ素子は、直線上、垂直、水平、または対角線上の向きに位置合わせすることができる。アンテナの第1のサブセットおよび第2のサブセットは、送信機の周りの角度(degrees)をカバーするために、十字状の構造で位置合わせすることができる。
[0385] 垂直値および水平値の双方が測定されると、MCは、次のステップ1205において、信号を捕捉するのに用いられる垂直アンテナ素子および水平アンテナ素子のための位相および利得の適切な値を決定することができる。位相および利得のための適切な値は、アンテナに対する受信機の位置の関係によって決定することができる。値は、電子デバイスに充電するために受信機によって用いることができるエネルギーポケットを形成するようにアンテナ素子を調整するために、MCによって用いることができる。
[0386] アンテナ素子の適切な値の計算に役立てるために、送信機における全てのアンテナ素子の初期値に関するデータを計算し、MCによって用いるために事前に記憶することができる。次のステップ1207において、信号を捕捉するために用いられる垂直アンテナおよび水平アンテナのための適切な値が決定された後、プロセスは、記憶されたデータを用いて、アレイ内の全てのアンテナについて適切な値を決定することによって継続することができる。記憶されたデータは、異なる周波数におけるアレイ内の全てのアンテナ素子について位相および利得の初期試験値を含むことができる。データの異なる組を異なる周波数について記憶することができ、MCは、それに応じて、適切なデータを選択することができる。次のステップ1209において、MCは次に、適切な位置においてエネルギーポケットを形成するために、RFICを通じて全てのアンテナを調整することができる。
C.アレイサブセット構成
[0387] 図13Aは、受信機位置を決定するための方法において用いることができるアレイサブセット構成1300Aの例示的な実施形態を示す。送信機は、アンテナ1306Aのアレイを含むことができる。アンテナの行1368Aは、まず、受信機によって送信される信号を捕捉するために用いることができる。次に、アンテナの行1368Aは、信号をRFICに転送することができ、RFICにおいて、信号は無線信号からデジタル信号に変換され、処理のためにMCに渡されることが可能である。次に、MCは、受信機位置に基づいて適切な位置においてエネルギーポケットを形成するために、アンテナの行1368Aにおける位相および利得のための適切な調整を決定することができる。第2の信号は、アンテナの列1370Aによって捕捉することができる。次に、アンテナの列1370Aは、信号をRFICに転送することができ、RFICにおいて、信号は、無線信号からデジタル信号に変換され、処理のためにMCに渡されることが可能である。次に、MCは、受信機位置に基づいて適切な位置においてエネルギーポケットを形成するために、アンテナの列1370Aにおける位相および利得のための適切な調整を決定することができる。アンテナの行1368Aおよびアンテナの列1370Aについて適切な調整が決定されると、MCは、アンテナに関する以前に記憶されたデータを用い、それに応じてアンテナの行1368Aおよびアンテナの列1370Aからの結果を用いて調整することによって、アンテナのアレイ1368Aにおける残りのアンテナ素子1306Aについて適切な値を決定することができる。
D.送信機、送信機コンポーネント、アンテナタイル、および送信機に関連するシステムの構成
1.例示的なシステム
[0388] 図13Bは、アレイサブセット構成1300Bの別の例示的な実施形態を示す。アレイサブセット構成1300Bにおいて、双方の初期信号がアンテナの2つの対角線上のサブセットによって捕捉される。プロセスは同じ経路を辿り、それによって、各サブセットはそれに応じて調整される。行われた調整および以前に記憶したデータに基づいて、アンテナアレイの残りのアンテナ素子1306Bが調整される。
2.平坦な送信機
[0389] 図14は、平坦な送信機1402の正面図、およびいくつかの実施形態の背面図を示す。送信機1402は、平坦な構成でアンテナ素子1406およびRFIC1408を備えることができる。RFIC1408は、各アンテナ素子1406の後ろに直接組み込むことができ、そのような一体化は、コンポーネント間の距離が短くなることに起因した損失を低減することができる。
[0390] 送信機1402における1つの実施形態(すなわち、ビュー1)において、アンテナ素子1406ごとのポケット形成の位相および振幅は、所望のポケット形成および送信ヌルステアリングを生成するために、対応するRFIC1408によって調節することができる。各アンテナ素子1406に結合された、選抜されたRFIC1408は、処理要件を低減させることができ、ポケット形成に対する制御を増大させることができ、MC1410に対する、より低い負荷で複数ポケット形成およびより高い粒度のポケット形成を可能にし、このため、より多くの数の複数ポケット形成のより高度な応答を可能にすることができる。更に、複数ポケット形成はより多くの数の受信機に充電することができ、そのような受信機に対するより良好な軌道を可能にすることができる。図11の実施形態に記載されているように、RFIC1408は、1つ以上のMC1410に結合することができ、マイクロコントローラー1410は、独立した基地局または送信機1402に含めることができる。
[0391] 別の実施形態(すなわち、ビュー2)において、4つのアンテナ素子1406のサブセットを単一のRFIC1408に接続することができる。送信機142内に存在する、より少ない数のRFIC1408は、複数ポケット形成のより弱い制御、より低い粒度レベル、およびよりコストの低い実施形態等の所望の特徴に対応することができる。図11の実施形態に説明されるように、RFIC1408は、1つ以上のMC1410に結合することができ、マイクロコントローラー1410は、独立した基地局にまたは送信機1402に含めることができる。
[0392] 別の実施形態(すなわち、ビュー3)において、送信機1402は、平坦な構成においてアンテナ素子1406およびRFIC1408を含むことができる。アンテナ素子1406の行または列を単一のMC1410に接続することができる。送信機1402内に存在する、より少ない数のRFIC1408は、複数ポケット形成のより弱い制御、より低い粒度レベル、およびよりコストの低い実施形態等の所望の特徴に対応することができる。各行または列に接続されたRFIC1408は、行または列間の位相および利得を変更することによってポケット形成を生成することができる、よりコストの低い送信機1402を可能にすることができる。図11の実施形態に記載されているように、RFIC1408は1つ以上のMC1410に結合することができ、マイクロコントローラー1410は独立した基地局または送信機1402に含めることができる。
[0393] いくつかの実施形態(すなわち、ビュー4)において、送信機1402は、平坦な構成においてアンテナ素子1406およびRFIC1408を含むことができる。この例示的な実施形態において、カスケード構成が示されている。2つのアンテナ素子1406を単一のRFIC1408に接続することができ、これを更に単一のRFIC1408に接続することができ、これを最終的なRFIC1408に接続することができ、これを更に1つ以上のMC1410に接続することができる。RFIC1408のカスケード構成を用いる平坦な送信機1402は、ポケット形成に対し、より大きな制御を提供することができ、標的受信機について応答を増大させることができる。更に、RFIC1408の多重冗長性に起因して、より高い信頼性および正確度を達成することができる。図11の実施形態に記載されているように、RFIC1408は1つ以上のMC1410に結合することができ、マイクロコントローラー1410は独立した基地局または送信機1402に含めることができる。
3.複数のプリント回路基板層
[0394] 図15Aは、ポケット形成に対し、より大きな制御を提供するためのアンテナ素子1506Aを含むことができ、標的受信機について応答を増大させることができる、複数のPCB層1204Aを含むことができる送信機1502Aを示す。複数のPCB層1504Aは、送信機1502Aによって転送することができる電力の範囲および量を増大させることができる。PCB層1504Aは、単一のMCまたは専用MCに接続することができる。同様に、RFICは、上記の実施形態に示されているように、アンテナ素子1506Aに接続することができる。RFICは1つ以上のMCに結合することができる。更に、MCは独立した基地局または送信機1502Aに含めることができる。
4.ボックス型送信機
[0395] 図15Bは、内部に複数のPCB層1504Bを含むことができるボックス型送信機1502Bを示す。ボックス型送信機1502Bは、ポケット形成に対し、より大きな制御を提供するアンテナ素子1506Bを含むことができ、標的受信機について応答を増大させることができる。更に、ボックス型送信機1502Bによってワイヤレス電力伝送の範囲を増大させることができる。複数のPCB層1504Bは、アンテナ素子1506Bの密度がより高いことに起因して、送信機1502Bによってワイヤレスで転送および/またはブロードキャストすることができるRF電力波の範囲および量を増大させることができる。PCB層1504Bは、アンテナ素子1506Bごとの単一のMCまたは専用MCに接続することができる。同様に、RFICは、上記の実施形態に示されるように、アンテナ素子1506Bを制御することができる。更に、送信機800のボックス形状は、ワイヤレス電力伝送の作用比を増大させることができる。このため、ボックス型送信機1502Bは、デスク、テーブル、床等の複数の表面に位置することができる。更に、ボックス型送信機1502Bは、X軸、Y軸もしくはZ軸、またはそれらの任意の組合せに向けることができる、PCB層1504Bのいくつかの構成を含むことができる。RFICは1つ以上のMCに結合することができる。更に、MCは、独立した基地局または送信機1502Bに含めることができる。
5.様々なタイプの製品のための不規則アレイ
[0396] 図16は、送信機1602を異なるデバイスに組み入れるためのアーキテクチャ1600の図を示す。例えば、平坦な送信機1602は、テレビ1646のフレームに、またはサウンドバー1648のフレームにわたって適用することができる。送信機1602は、平坦な構成においてアンテナ素子およびRFICを有する複数のタイル1650を含むことができる。RFICは、各アンテナ素子の後ろに直接組み込むことができ、そのような一体化により、コンポーネント間の距離が短くなることに起因した損失を低減することができる。
[0397] 例えば、テレビ1646は、複数のタイル1650を含むテレビ1646の周りのベゼルを有することができ、各タイルは、ある特定の数のアンテナ素子から構成される。例えば、テレビ1646のベゼルの周りに20個のタイル1650が存在する場合、各タイル1650は、24個のアンテナ素子および/または任意の数のアンテナ素子を有することができる。
[0398] タイル1650において、各アンテナ素子における各ポケット形成の位相および振幅は、所望のポケット形成および送信ヌルステアリングを生成するために、対応するRFICによって調節することができる。各アンテナ素子に結合された、選抜されたRFICは、処理要件を低減させることができ、ポケット形成に対する制御を増大させることができ、マイクロコントローラーに対する、より低い負荷で複数ポケット形成およびより高い粒度のポケット形成を可能にし、このため、より多くの数の複数ポケット形成のより高度な応答を可能にすることができる。更に、複数ポケット形成はより多くの数の受信機に充電することができ、そのような受信機に対するより良好な軌道を可能にすることができる。
[0399] RFICは、1つ以上のマイクロコントローラーに結合することができ、独立した基地局に、または送信機1602内のタイル1650に含めることができる。アンテナ素子の行または列を単一のマイクロコントローラーに接続することができる。いくつかの実施態様では、送信機1602内に存在する、より少ない数のRFICは、複数ポケット形成のより弱い制御、より低い粒度レベル、およびよりコストの低い実施形態等の所望の特徴に対応することができる。各行または列に接続されたRFICは、送信機1602の各々を制御するのに必要とされるRFICがより少ないため、より少ないコンポーネントを有することによってコストを低減することを可能にすることができる。RFICは、行または列間の位相および利得を変更することによってポケット形成電力伝送波を生成することができる。
[0400] いくつかの実施態様では、送信機1602は、RFICを含むタイル1650のカスケード構成を用いることができ、RFICは、ポケット形成に対し、より大きな制御を提供することができ、標的受信機について応答を増大させることができる。更に、RFICの多重冗長性から、より高い信頼性および正確度を達成することができる。
[0401] 1つの実施形態において、アンテナ素子を含む複数のPCB層が、ポケット形成に対し、より大きな制御を提供することができ、標的受信機について応答を増大させることができる。複数のPCB層は、送信機1602によって転送することができる電力の範囲および量を増大させることができる。PCB層は、単一のマイクロコントローラーまたは専用マイクロコントローラーに接続することができる。同様に、RFICはアンテナ素子に接続することができる。
[0402]ボックス型送信機1602は内部に複数のPCB層を含むことができ、ポケット形成に対し、より大きな制御を提供するアンテナ素子を含むことができ、標的受信機について応答を増大させることができる。更に、ボックス型送信機1602によってワイヤレス電力伝送の範囲を増大させることができる。複数のPCB層は、アンテナ素子の密度がより高いことに起因して、送信機1602によってワイヤレスで転送および/またはブロードキャストすることができるRF電力波の範囲および量を増大させることができる。PCB層は、アンテナ素子ごとに単一のマイクロコントローラーまたは専用マイクロコントローラーに接続することができる。同様に、RFICはアンテナ素子を制御することができる。送信機1602のボックス形状は、ワイヤレス電力伝送の作用比を増大させることができる。このため、ボックス型送信機1602は、デスク、テーブル、床等の複数の表面に位置することができる。更に、ボックス型送信機は、X軸、Y軸およびもしくはZ軸、またはそれらの任意の組合せに向けることができる、PCB層のいくつかの構成を含むことができる。
6.複数のアンテナ素子
[0403] 図17は、複数のアンテナ素子1706を含む送信機構成1700の例である。アンテナ素子1706は、アンテナの行1768およびアンテナの列1770を配列することによってアレイを形成することができる。送信機構成は、ポケット形成のための利得および/または位相等のアンテナ素子1706の特徴を制御する少なくとも1つのRFIC1708を含むことができ、これを、方向、電力レベル等を通じて管理することができる。アンテナ素子1706のアレイはMC1710に接続することができ、MC1710は、障害物に起因する損失を低減するための、ポケット形成を送信する最も効果的な軌道を含む、ポケット形成のための最適な時点および位置を決定することができる。そのような軌道は、直接ポケット形成、跳ね返り、およびポケット形成の距離区別を含むことができる。
[0404] 送信機デバイスは、アンテナ素子1706をどのように調整して適切な位置にエネルギーポケットを形成するかを決定するために、アンテナ素子1706を利用して受信機の位置を決定することができる。受信機は、情報を提供するために、トレーニング信号(train signal)を送信機に送信することができる。トレーニング信号は、アンテナ素子1706によって検出することができる任意の従来の既知の信号とすることができる。受信機によって送信される信号は、位相および利得等の情報を含むことができる。
7.強化型ワイヤレス電力送信機構成
[0405] 図26は、実施形態による、ワイヤレス電力伝送のために用いることができる強化型ワイヤレス電力送信機2601のブロック図を示す。送信機2601は、ハウジング2674、少なくとも2つ以上のアンテナ素子2606、少なくとも1つの受信(Rx)RF集積回路(RFIC)2626、複数の送信(Tx)RF集積回路(RFIC)2608、少なくとも1つのデジタル信号プロセッサ(DSP)および/またはマイクロコントローラー2610、および/または1つの通信コンポーネント2612を備えることができる。マイクロコントローラー2610を、独立した基地局または送信機2601に含めることができる。RF入力信号2642は、電源2614、および圧電材料を用いた局部発振器チップ(図示せず)を用いて生成することもできるし、または周波数チップ、Bluetooth(登録商標)およびWi−Fiから等、他のワイヤレスソース(図示せず)からのものとすることもできる。
[0406] ハウジング2674は、信号または波の送信および/または受信を可能にすることができる任意の材料、例えば、プラスチックまたは硬質ゴムから作製することができる。アンテナ素子2606は、900MHz、2.5GHzまたは5.8GHz等の周波数帯域で動作するためのアンテナタイプを含むことができる。なぜなら、これらの周波数帯域は、連邦通信委員会(FCC)規則のパート18、工業、科学、および医療用機器に準拠しているためである。アンテナ素子2606は、垂直偏波もしくは水平偏波、右偏波もしくは左偏波、楕円偏波、および/または他の偏波、および偏波の組合せを含むことができる。アンテナは、無指向性および/または指向性とすることができる。無指向性アンテナは、1つの平面における全ての方向に一様に電波電力を放射するアンテナのクラスである。指向性アンテナは、送信機の電力範囲内の3D物理空間においてワイヤレスエネルギーポケットが利用可能である場所を制御するように調整された方向または位相を有することができる、ワイヤレス電力送信機におけるアンテナまたはアンテナアレイとすることができる。アンテナタイプは、例えば、約1/8インチ〜約8インチの高さと、約1/8インチ〜約6インチの幅を有することができるパッチアンテナを含むことができる。用いることができる他のアンテナ素子2606のタイプは、数ある中でも、メタマテリアルベースのアンテナ、ダイポールアンテナおよび平板逆Fアンテナ(PIFA)を含む。
[0407] 送信機2601は、アンテナ素子2606をRX RFIC2626またはTX RFIC2608に接続することができる複数の配置を含むことができる。配置は、Rx RFIC2626に結合されたアンテナ素子2606の専用の行または列、およびTx RFIC2608に結合されたアンテナ素子2606の少なくとも2つ以上の行または列等の異なる構成を含むことができる。Rx RFIC2626は、RF入力信号2642の受信のための専用の組/構成のアンテナ素子2606から収集されたRF入力信号2642の位相および/または相対的な大きさを調整するための独自のチップを含むことができる。Rx RFICは、RF入力信号2642の受信および処理に特に専用のハードウェアおよび論理エレメントを含むように設計することができ、これらはTX RFIC2608のコンポーネントとしては含まれない。
[0408] 強化型ワイヤレス送信機の本実施形態において、24個のRFICをアンテナ素子2606に接続することができ(2674)、RF入力信号2642の専用受信機が、送信機2601の構成および動作に依拠して、少なくとも2つ以上のアンテナ素子2606、例えば8つのアンテナ素子2606の専用列に作動的に結合されるとき、Rx RFICの動作を可能にするように構成することができる。残りの23個のTx RFIC2608は、Rx RFICによってRF入力信号2642を受信するのに用いられるアンテナ素子を除いて、アンテナ素子2606の組/構成に作動的に結合することができる。Tx RFICは、マイクロコントローラー2610からの制御信号に依拠して、送信アンテナ素子2606に結合することができる。
[0409] マイクロコントローラー2610は、Rx RFIC2626の制御を実施し、Rx RFIC2626およびTx RFIC2608の動作における重複を伴うことなく送信と別個に受信を監視することを可能にする切り替え制御を用いてRx RFIC2626の動作を可能にする独自のアルゴリズムを含むことができる。RF入力信号2642は、マイクロコントローラー2610における制御を切り替えることによって、Rx RFIC2626が受信することを許可され得た後すぐにサンプリングすることができる。
[0410] Rx RFIC2626の動作の後、Tx RFIC2608は、受信機へのワイヤレス電力伝送を実施することができる。マイクロコントローラー2601は、ワイヤレス電力の伝送元の位置に応じて、アンテナ素子2606の列、アンテナ素子2606の行、またはTx RFIC2608に結合するためのアンテナ素子2606の配置の任意の補間を選択することができる。
[0411] マイクロコントローラー2610は、ポケット形成のための最適な時点および位置を決定するために通信コンポーネント2612を通じて受信機によって送信された情報も処理することができる。通信コンポーネント2612は、Bluetooth(登録商標)、Wi−FiまたはZigBee(登録商標)を含むことができる標準的なワイヤレス通信プロトコルに基づくことができる。更に、通信コンポーネント2612を用いて、デバイスまたはユーザーの識別子、電池レベル、位置または他のそのような情報等の他の情報を転送することができる。レーダー、赤外線カメラ、または電子デバイスの場所の音響三角測量のためのサウンドデバイスを含む、他の通信コンポーネント2612も可能である。
[0412] 図27は、実施形態による、専用Rx RFIC2762に結合することができるアンテナ素子2706の送信機配置2701を示す。RF入力信号を受信することができる位置と、ワイヤレス電力伝送の効率を向上させることができる、ポケット形成のための最適な時点および位置の決定に関する、通信コンポーネントによって処理される受信機によって送信される情報とに依拠して、マイクロコントローラー2710は、送信機の送信動作を最大限にするように、Tx RFICと、アンテナ素子2706の配置とを選択することができる。マイクロコントローラー2710は、RF入力信号を受信するアンテナ素子2706を含めるようにアンテナ列2706bまたはアンテナ行2706aのいずれかに結合されたRx RFIC2726に切り替え制御信号を送信することができる。Rx RFIC2726による信号の受信および処理の後に、補間ステップの結果としてのアンテナ素子2706の複数の構成を用いて残りのアンテナ素子2706をTx RFICに結合することができる。補間ステップは、マイクロコントローラー2710によって、マイクロコントローラー2710内のARMマイクロプロセッサを用いてTx RFICの動作を制御し、送信機のワイヤレス電力伝送性能を向上させるように実行することができ、ワイヤレス電力の伝送を適切な位置に方向付ける。
[0413] Rx RFIC2726に接続されたアンテナ素子2706は、処理要件を低減させることができ、ポケット形成に対する制御を増大させることができ、マイクロコントローラー2710に対するより少ない負荷で複数ポケット形成およびより高い粒度のポケット形成を可能にし、このため、伝送のためにより多くの数の複数ポケット形成のより高度な応答を可能にすることができる。更に、複数ポケット形成は、より多くの数の受信機に充電することができ、そのような受信機に対するより良好な軌道を可能にし、より安価な実施形態を提供することができる。
[0414] 図28は、実施形態による、強化型ワイヤレス電力送信機におけるRx RFIC2808のブロック図2800を示す。受信専用で、Rx RFIC2808に作動的に結合されたアンテナ素子2806によって受信されるRF入力信号は、それらがそこから送信機に放射され得る位置に依拠して、マイクロコントローラー2810を有効にする。次に、RF入力信号は、Rx RFIC2808に含まれるダウンコンバーターのアレイによる周波数サンプリングを受けることができ、ここで、約2.4GHzまたは約5.6GHzのRF入力信号の周波数範囲を、新たな周波数範囲のRF信号にシフトすることができる。
[0415] ダウンコンバーター2876は、RF入力信号と混合して和ヘテロダインおよび差ヘテロダインを生じさせる所定の周波数の信号を提供する局部発振器(図示せず)を含むことができ、ここから、ヘテロダインの一方をフィルタリングして所望の出力周波数を提供することができる。本実施形態において、約5.8GHzの信号を約5.0GHzの出力信号にダウンコンバートすることができる。次に、ダウンコンバーター2876からの5.0GHzの出力信号を、マイクロコントローラー2810によって処理するために10MHzでアドレシングライン(A20)2878に供給することができる。強化型ワイヤレス電力送信機は、1つの周波数、例えば2.4GHzで受信し、より高い周波数、例えば5.7GHzで送信することができる。
[0416] マイクロコントローラー2810は、約1msecまたは約100μsecの制御信号をRx RFIC2808に送信することを可能にされ、RF入力信号をどの程度高速に受信することができるかに依拠して、1msecごとに、または毎秒約10回1msecにわたって制御を有効にすることができる。RF入力信号を常時、例えば10μsecごとに受信することができる場合、更新は、毎秒約1000回まで実施することができる。
マイクロコントローラー2810において、独自のアルゴリズムは、各A20 2878から到来する信号のサンプリングを可能にすることができ、ARMマイクロプロセッサ(図示せず)を用いて、ワイヤレス電力を受信機の適切な位置に伝送するためにアンテナ素子2806の決定された組/構成に結合された必要なTx RFICを駆動することができる。ワイヤレス電力伝送を用いて電力供給または充電される電子デバイスに望ましい場合があるように、ARMマイクロプロセッサを用いることによって、コスト、熱および電力使用を低減することができる。ARMマイクロプロセッサの命令セットアーキテクチャは、マイクロコントローラー2810のためのより高い処理電力およびエネルギー効率を可能にすることができる。
8.複数の送信機の構成
[0417] 図29は、単一の基地局2980に接続された複数のワイヤレス電力送信機2901を含むことができるワイヤレス電力システム2900のブロック図を示す。送信機2901は、1つ以上のアンテナ素子2906と、1つ以上の無線周波数集積回路(RFIC)2908と、通信コンポーネント2912と、上述した全てのコンポーネントを割り当てることができるハウジング2974とを備えることができる。基地局2980は、1つ以上のマイクロコントローラー2910と、電源2914と、上述した全てのコンポーネントを割り当てることができるハウジング2974とを備えることができる。ワイヤレス電力システム2900および基地局内のコンポーネントは、メタマテリアル、回路のマイクロプリント、ナノマテリアル等を用いて製造することができる。
[0418] 基地局2980を多岐にわたる位置に配置することができ、ここで、送信機2910は、基地局2980に接続されたままにすることができる。そのような接続は、数ある中でも、同軸ケーブル、電話ケーブル、LANケーブル、ワイヤレス接続を含むことができる、多岐にわたる接続を含むことができる。基地局2980と送信機2910との間の接続は、RFIC2908とマイクロコントローラー2910との間のリンク、および電源2914の接続を確立することを目的とする。
[0419] マイクロコントローラー2910は、ポケット形成の時間放出、ポケット形成の方法、跳ね返り角、電力強度等のRFIC2908の多岐にわたる特徴を制御することができる。更に、マイクロコントローラー2910は、複数の受信機に対する、または単一の受信機に対する複数ポケット形成を制御することができる。更に、マイクロコントローラー2910は、通信コンポーネント2912を制御することによって、通信プロトコルおよび信号を管理および制御することができる。プロトコルは、バイナリビットまたはバイト等の低レベル情報データと、数字桁、英数字、文字、句読点、数字、またはASCIIテーブル内の文字等の高レベル情報データとの間の変換方法を指すことができる。プロトコルは、時間にわたる情報データの予測フォーマットまたは予測パターンも有することができる。このため、マイクロコントローラー2910は、いくつかの送信機2901における上記の特徴を同時に駆動することができる。
[0420] 基地局2980には、電源2914を供給することができ、電源は次に、送信機2901に給電することができる。電源2914は、AC電源またはDC電源を含むことができる。電源2914によって提供される電圧、電力および電流強度は、伝送される必要がある電力に依拠して変動することができる。無線信号への電力の変換は、マイクロコントローラー2910によって管理することができ、RFIC2908によって実行することができる。RFIC2908は、複数の方法およびコンポーネントを利用して、広範にわたる周波数、波長、強度および他の特徴において無線信号を生成することができる。
[0421] 無線信号生成のための多岐にわたる方法およびコンポーネントの例示的な使用として、発振器および圧電性結晶を用いて、異なるアンテナ素子2906において無線周波数を生じさせ、変更することができる。更に、信号を平滑化するために多岐にわたるフィルターを用いることができ、伝送される電力を増大させるために増幅器を用いることができる。一方、いくつかの実施態様において、本発明の充電技法は、RF伝送技法に限定されず、受信デバイスにエネルギーを送信する更なる技法を含む。ここで、受信デバイスは、送信されたエネルギーを電力に変換する。受信デバイスによって電力に変換することができるエネルギーの例示的な形式は、超音波、マイクロ波、共鳴磁場および誘導磁場、レーザー光、赤外線、または他の形態の電磁エネルギーを含むことができる。超音波の場合、例えば、受信デバイスに向かって超音波を送信するトランスデューサーアレイを形成するように1つ以上のトランスデューサー素子を配置することができ、この受信デバイスは、超音波を受信し、超音波を電力に変換する。共鳴磁場および誘導磁場の場合、送信コイルにおいて磁場が生じ、受信機コイルによって電力に変換される。更にRFIC2908、マイクロコントローラー2910、通信コンポーネント2914および残りの電子コンポーネントは、ワイヤレス電力システム2900の信頼度を増大させるために、ソリッドステート回路に内蔵することができる。電子コンポーネントの信頼性を増大させる他の技法が用いられてもよい。
[0422] 図30は、2つの送信機3001、基地局3080および接続3082を含むことができるワイヤレス電力システム3000を示す。基地局3080は、異なる部屋またはエリアカバレッジにおける異なる送信機3001の動作を可能にすることができる。各送信機3001は異なる周波数、電力強度および異なる範囲で動作することができる。更に、各送信機3001は、複数の受信機に電力を提供することができる。更に、基地局3080は、全ての送信機3001の単一の動作を可能にすることができ、このため、各送信機3001を単一の送信機として用いることによって、ワイヤレス充電に、より高い能力を提供することができる。
[0423] 図31は、2つの送信機3101と、基地局3180と、接続3182とを含むことができるワイヤレス電力システム3100を示す。基地局3180は、異なる部屋またはエリアカバレッジにおいて異なる送信機3101の動作を可能にすることができる。各送信機3101は、異なる周波数、電力強度および異なる範囲で動作することができる。更に、各送信機3101は、複数の受信機に電力を提供することができる。更に、基地局3180は、全ての送信機3101の単一の動作を可能にすることができ、これにより、各送信機3101を単一の送信機として用いることによって、ワイヤレス充電に、より高い能力を提供することができる。更に、送信機3101は、照明用ソケット3184にプラグインすることができる。そのような照明用ソケット3184は、送信機3101を設置することができる場所を増大させることができる。
III.受信機−ワイヤレス電力伝送を受信および利用するためのシステムおよび方法
A.受信機デバイスのコンポーネント
[0424] クライアントデバイスをワイヤレス充電するためのシステム1100のアーキテクチャを示す図11を参照すると、例示的な実施形態によれば、システム1100は、各々が特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる送信機1101および受信機1120を備えることができる。受信機1120のASICは、プリント回路基板1122、アンテナ素子1124、整流器1126、電力変換器1129、通信コンポーネント1130および/または電力管理集積回路(PMIC)1132を備えることができる。受信機1120は、全ての要求されたコンポーネントを割り当てることができるハウジングも含むことができる。受信機1120の様々なコンポーネントは、メタマテリアル、回路のマイクロプリント、ナノマテリアル等を含むことができるか、またはこれらを用いて製造することができる。
1.アンテナ素子
アンテナ素子1124は、送信機1101のアンテナ素子1106について説明した帯域に類似した周波数帯域において動作するのに適したアンテナタイプを含むことができる。アンテナ素子1124は、垂直偏波もしくは水平偏波、右偏波もしくは左偏波、楕円偏波、または他の適切な偏波、および適切な偏波の組合せを含むことができる。複数の偏波を用いることは、使用中の好ましい向きがないか、または向きが経時的に連続して変化する場合があるデバイス、例えば、スマートフォンまたはポータブルゲーム機において有利であり得る。対照的に、明確に定義された予期される向きを有するデバイス、例えば、両手を使うビデオゲームコントローラーの場合、アンテナの好ましい偏波が存在する場合があり、これにより、複数のアンテナについて所与の偏波の比を指定することができる。適切なアンテナタイプは、約118インチ〜約6インチの高さと、約1/8インチ〜約6インチの幅とを有するパッチアンテナを含むことができる。パッチアンテナは、偏波が接続性に依拠することができ、すなわち、偏波は、いずれの側からパッチが供給されるかに依拠して変化することができるという利点を有することができる。これにより、受信機1120等の受信機が、自身のアンテナ偏波を動的に変更してワイヤレス電力伝送を最適化することができるという利点を更に立証することができる。本明細書における実施形態において説明されるように、受信機について、異なるアンテナ、整流器または電力変換器構成が可能である。
2.整流器
[0425] 整流器1126は、周期的に方向が反転する交流電流(AC)を、非負値をとる直流電流(DC)に変換することができる。入力AC正弦波の交互の特性に起因して、整流プロセス単体で、非負であるが電流パルスからなるDC電流を生成する。整流器の出力は、電子フィルターによって平滑化され、一定の電流を生成することができる。整流器1126は、アンテナ素子1124によって生成される交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に整流する、ダイオードおよび/またはレジスタ、インダクタおよび/またはキャパシタを含むことができる。
[0426] いくつかの実施態様では、整流器1126は、全波整流器とすることができる。全波整流器は、入力波形全体を、その出力において一定の極性(正または負)のうちの一方に変換することができる。全波整流は、入力波形の双方の極性を、脈動DC(直流)に変換し、より高い平均出力電圧をもたらすことができる。2つのダイオード、およびブリッジ構成におけるセンタータップ付き変換器および/または4つのダイオード、および任意のACソース(センタータップを有しない変換器を含む)を全波整流器に利用することができる。単一位相ACについて、変換器がセンタータップされている場合、バックツーバック型の2つのダイオード(必要な出力極性に依拠して、カソード/カソードまたはアノード/アノード)を利用して、全波整流器を形成することができる。ブリッジ整流器の場合と同じ出力電圧を得るために二次変換器において2倍の巻線が必要とされる場合があるが、電力定格は変化しない。整流器1126は、アンテナ素子1124が損失を最小にすることが技術的に可能である限り近くに配置することができる。AC電圧を整流した後、電力変換器1129を用いてDC電圧を整流することができる。
3.電力変換器
[0427] 電力変換器1129は、一定の電圧出力を提供するのに役立ち、および/または受信機1120への電圧を昇圧させるのに役立つことができるDC/DC変換器とすることができる。いくつかの実施態様において、DC/DC変換器は、最大電力点追跡器(MPPT)とすることができる。MPPTは、より高いDC出力を、電池を充電するのに必要な、より低い電圧に変換する電子DC/DC変換器である。通常の電圧出力は、約5ボルト〜約10ボルトとすることができる。いくつかの実施形態では、電力変換器1129は、高い効率を提供することができる電子切り替えモードDC/DC変換器を含むことができる。そのような場合、キャパシタは、切り替えデバイスが動作するのに十分な電流が提供されることを確実にするように、電力変換器1129の前に含めることができる。電子デバイス、例えば、電話またはラップトップコンピューターを充電するとき、電子切り替えモードDC/DC変換器の動作を作動させるのに必要なレベルを超えることができる初期高電流が必要とされる場合がある。そのような場合、受信機1120の出力にキャパシタを加えて、必要とされる追加のエネルギーを提供することができる。その後、適切な量の電流を提供するために必要とされるのに応じて、より低い電力を提供することができ、例えば、電話またはラップトップにまだ電荷を蓄積させている間に、総初期電力の1/80を用いることができる。
[0428] 1つの実施形態では、複数の整流器1126をアンテナ素子1124に並列に接続することができる。例えば、4つの整流器1126は、アンテナ素子1124に並列に接続することができる。一方で、いくつかの更なる整流器1126を用いることができる。この構成は、各整流器1126が総電力の1/4を扱うことしか必要でないため、有利とすることができる。電子デバイスに1ワットが送達される場合、各整流器1126は、1/4ワットを扱うことしか必要でない場合がある。複数の低電力整流器1126を用いることは、同じ電力量を扱っている間、1つの高電力整流器1126を利用するよりもコストが低い可能性があるため、構成は、コストを大幅に削減することができる。いくつかの実施形態では、整流器1126が扱う総電力を結合して電力変換器1129に入れることができる。他の実施形態では、各整流器1126につき1つの電力変換器1129が存在してもよい。
[0429] 他の実施形態では、複数のアンテナ素子1124を整流器1126に並列に接続することができ、その後、DC電圧を、電力変換器1129を通じて調節することができる。この例では、4つのアンテナ素子1124を単一の整流器1126に並列に接続することができる。この構成は、各アンテナ素子1124が総電力の1/4しか扱わない場合があるため、有利であることができる。更に、信号は互いに相殺しない場合があるので、構成は、単一の整流器1126と異なる偏波のアンテナ素子1124の使用を可能にすることができる。上記の特性に起因して、構成は、明確に定義されていないか、あるいは経時的に変動する向きを有する電子クライアントデバイスに適したものとすることができる。最後に、構成は、等しい偏波のアンテナ素子1124を用いるときに有利とすることができ、大きく異ならない位相のために構成することができる。一方、いくつかの実施形態では、アンテナ素子1124ごとに1つの整流器1126および/またはアンテナ素子1124ごとに複数の整流器1126が存在してもよい。
[0430] 例示的な実施態様では、複数のアンテナ素子1124の出力を結合して並列な整流器1126に接続することができ、整流器1126の出力を更に結合して1つの電力変換器1129に入れることができる構成を実施することができる。出力を4つの並列な整流器1126において結合することができる16個のアンテナ素子1124が存在することができる。他の実施形態では、アンテナ素子1124は、(例えば4つの)グループに細分化することができ、独立した整流器1126に接続することができる。
[0431] 更に別の実施形態において、アンテナ素子1124のグループを異なる整流器1126に接続することができ、整流器1126を更に異なる電力変換器1129に接続することもできる構成を実施することができる。この実施形態では、アンテナ素子1124の4つのグループ(各々が並列な4つのアンテナ素子1124を含む)がそれぞれ、4つの整流器1126に独立して接続することができる。この実施形態では、各整流器1126の出力は、電力変換器1129(合計で4つ)に直接接続することができる。他の実施形態では、4つ全ての整流器1126の出力を各電力変換器1129の前で結合して、総電力を並列に扱うことができる。いくつかの実施形態では、各整流器1126の結合された出力は、単一の電力変換器1129に接続することができる。この構成は、整流器1126とアンテナ素子1124との間の大きな近接性を可能にするという点で有利とすることができる。この特性は、最小の損失を保つことができるため、望ましい場合がある。
4.通信コンポーネント
[0432] 通信コンポーネント1130は、送信機1101の場合と同様に、送信機とのまたは他の電子機器への通信のために受信機1120に含めることができる。いくつかの実施態様では、受信機1120は、電池レベル、ユーザーが予め定義した充電プロファイル等のプロセッサによって提供される要件に基づいて所与の送信機1120に通信するためのデバイスの内蔵通信コンポーネントを用いることができる。送信機1101は、1つ以上の1つ以上のプリント回路基板(PCB)1104、1つ以上のアンテナ素1106、1つ以上の無線周波数集積回路(RFIC)1108、1つ以上のマイクロコントローラー(MC)1110、通信コンポーネント1112、および電源1114を含むことができる。送信機1101は、送信機1101のための全ての要求されたコンポーネントを割り当てることができるハウジング内に収容することができる。送信機1101内のコンポーネントは、メタマテリアル、回路のマイクロプリント、ナノマテリアルおよび/または任意の他の材料を用いて製造することができる。受信機と送信機との間で通信コンポーネントによって通信される情報のタイプは、限定ではないが、数ある中でも電池における電力レベル、受信機において受信される信号強度および電力レベル、タイミング情報、位相および利得情報、ユーザー識別情報、クライアントデバイスの権利、セキュリティ関連シグナリング、緊急シグナリング、認証交換を含む。
5.PMIC
[0433] 電力管理集積回路(PMIC)1132は、ホストシステムの電力要件を管理するためのシステムオンチップデバイスにおける集積回路および/またはシステムブロックである。PMIC1132は、電池管理、電圧調節および充電機能を含むことができる。PMIC1132は、動的電圧スケーリングを可能にするDC/DC変換器を含むことができる。いくつかの実施態様では、PMIC1132は、最大で95%の電力変換効率を提供することができる。いくつかの実施態様ではPMIC1132は、動的周波数スケーリングと組み合わせて一体化することができる。PMIC1132は、移動電話および/またはポータブルメディアプレーヤー等の電池式デバイスにおいて実施することができる。いくつかの実施態様では、電池は、入力キャパシタおよび出力キャパシタと交換することができる。PMIC1132は、電池および/またはキャパシタに直接接続することができる。電池が直接充電されるとき、キャパシタは実施されない場合がある。いくつかの実施態様では、PMIC1132は、電池の周りにコイルを巻かれることが可能である。PMIC1132は、充電器としての役割を果たす電力管理チップ(PMC)を含むことができ、電池に接続される。PMIC1132は、パルス周波数変調(PFM)およびパルス幅変調(PWM)を用いることができる。PMIC1132は、切り替え増幅器(クラスD電子増幅器)を用いることができる。いくつかの実施態様では、出力変換器、整流器および/またはBLEもPMIC1132に含めることができる。
6.ハウジング
[0434] ハウジングは、信号または波送信および/または受信を可能にすることができる任意の適切な材料、例えば、プラスチックまたは硬質ゴムから作製することができる。ハウジングは、例えば、ケースの形態で異なる電子機器に追加することができる外付けハードウェアとすることができるか、または電子機器内に組み込むこともできる。
7.ネットワーク
[0435] ネットワーク1140は、送信機1101と受信機1120との間の通信を容易にする任意の共通通信アーキテクチャを含むことができる。当業者であれば、ネットワーク1140は、インターネット、プライベートイントラネット、または2つの何らかのハイブリッドとすることができることを理解するであろう。当業者には、ネットワークコンポーネントを、専用処理機器において実施することができるか、または代替的に、クラウド処理ネットワークにおいて実施することができることも明らかであるべきである。
A.受信機、受信機コンポーネント、および受信機に関係するシステムのための構成
1.アンテナ素子に並列に接続された複数の整流器
[0436] 図18Aは、複数の整流器1826Aをアンテナ素子1824Aに並列に接続することができる構成1800Aを示す。この例において、4つの整流器1826Aをアンテナ素子1824Aに並列に接続することができる。一方、いくつかの更なる整流器1826Aが用いられてもよい。構成1800Aは、各整流器1826Aが総電力の1/4のみを扱えばよいため、有利とすることができる。電子デバイスに1ワットが送達される場合、各整流器1826Fは、4分の1ワットのみを扱えばよい場合がある。複数の低電力整流器1826Aを用いることは、同じ電力量を扱う際、1つの高電力整流器1826Aを利用するよりも安価にすることができるので、構成1800Aはコストを大幅に削減することができる。いくつかの実施形態では、整流器1826Aによって扱われる総電力は、1つのDC/DC変換器1828Aに組み合わせることができる。他の実施形態では、整流器1826Aあたり1つのDC/DC変換器1828Aが存在することができる。
2.整流器に並列に接続された複数のアンテナ素子
[0437]図18は、複数のアンテナ素子1824Bを整流器1826Bに並列に接続し、その後、DC電圧をDC/DC変換器1828Bを通じて調節することができる構成1800Bを示す。この例では、4つのアンテナ素子1824Bを単一の整流器1826Bに並列に接続することができる。各アンテナ素子1824Bは総電力の1/4のみを扱えばよいので、構成1800Bは有利とすることができる。更に、信号が互いに相殺しない場合があるので、構成1800Bは、単一の整流器1826Bを用いて異なる偏波のアンテナ素子1824Bの使用を可能にすることができる。上記の特性に起因して、構成1800は、明確に定義されていないか、あるいは経時的に変動する向きを有する電子デバイスに適したものとすることができる。最後に、構成1800Bは、等しい偏波のアンテナ素子1824Bを用い、大きく異ならない位相のために構成されるときに有利とすることができる。一方、いくつかの実施形態では、アンテナ素子1824Bあたり1つの整流器1826Bまたはアンテナ素子1824Bあたり複数の整流器1826(図18Aに示すように)が存在し得る。
3.複数の整流器に並列に接続された複数のアンテナ素子
[0438] 図19Aは、複数のアンテナ素子1924Aの出力を組み合わせて、並列な整流器1926Aに接続することができる構成1900Aを示し、整流器1926Aの出力は1つのDC変換器1928Aにおいて更に組み合わせることができる。構成1900Aは、例示として、16個のアンテナ素子1924Aを示し、16個のアンテナ素子1924Aの出力は、4つの並列の整流器1926Aにおいて結合することができる。他の実施形態において、アンテナ素子1924Aは、グループ(例えば、4つのグループ)に細分化することができ、以下の図19Bに示すように独立した整流器に接続することができる。
4.グルーピングの置換
[0439] 図19Bは、アンテナ素子1624Bのグループを異なる整流器1926Bに接続することができる構成1900Bを示し、そしてこの整流器1926Bは、異なるDC変換器1928Bに接続することもできる。構成1900Bにおいて、アンテナ素子1924Bの4つのグループ(各々が、並列な4つのアンテナ素子1924Bを含む)は各々、4つの整流器1926Bに独立して接続することができる。この実施形態では、各整流器1926Bの出力はDC変換器1928B(合計4つ)に直接接続することができる。他の実施形態では、4つ全ての整流器1926Bの出力は、各DC変換器1928Bの前で組み合わせて、総電力を並列に扱うことができる。他の実施形態では、各整流器1926Bの組み合わされた出力は、単一のDC変換器1928Bに接続することができる。構成1900Bは、整流器1926Bとアンテナ素子1924Bとの間で大きな近接性を可能にするという点で有利とすることができる。この特性は、損失を最小限に保持することができるため、望ましい場合がある。
[0440] 受信機は、意図される機能を実行するために電力に頼ることができる電子デバイスまたは機器、例えば、電話、ラップトップコンピューター、遠隔テレビ、子供の玩具または任意の他のそのようなデバイスにおいて実施することができるか、これらに接続することができるか、またはこれらに組み込むことができる。ポケット形成を利用する受信機を用いて、「オン」もしくは「オフ」である間、または使用されているかもしくは使用されていない間、デバイスの電池を完全に充電することができる。更に、電池寿命を大幅に向上させることができる。例えば、1ワットを送達することができる受信機を利用して2ワットで動作するデバイスは、電池持続時間を約50%まで増大させることができる。最後に、電池上で現在実行しているいくつかのデバイスは、受信機を用いて完全に電力供給することができ、その後、電池はもはや必要とされない場合がある。この最後の特性は、壁時計等の、電池の交換を達成するのが厄介であるかまたは困難であり得るデバイスにとって有利である場合がある。以下の実施形態は、受信機の一体化を電子デバイスにおいてどのように実行することができるかのいくつかの例を提供する。
5.強化型ワイヤレス電力受信機構成
[0441] 図33は、1つ以上の電子デバイスにワイヤレスで電力供給するかまたはこれを充電するために用いることができる受信機3320のブロック図を示す。この実施形態のいくつかの態様によれば、受信機3320は、一定の安定した電力またはエネルギーを電子デバイスに送達するために送信されたRF技法波から生成される可変電源を用いて動作することができる。更に、受信機3320は、RF波から生成された可変電源を用いて、適切な動作のために受信機3320内の電子コンポーネントを起動することができる。
[0442] 受信機3320は、電子デバイスに一体化することができ、信号または波の送信および/または受信を可能にする任意の適切な材料、例えば、プラスチックまたは硬質ゴムから作製することができるハウジングを含むことができる。このハウジングは、例えばケースの形態で異なる電子機器に追加することができるか、または電子機器に組み込むこともできる外部ハードウェアとすることができる。
[0443] 受信機3320は、RF波またはエネルギーポケットを電力に変換することができるアンテナアレイ3386を含むことができる。アンテナアレイ3386は、1つ以上の整流器3326に作動的に結合された1つ以上のアンテナ素子3324を含むことができる。RF波は、送信機および伝送環境の特性に依拠することができる電圧振幅および電力範囲内の正弦波形状を呈することができる。伝送環境は、物理的境界内の物体の変化もしくはこれらの物体の移動、または境界自体の移動による影響を受ける場合がある。環境は、伝送媒体の変化、例えば、気温または湿度の変化によって影響を受ける場合もある。結果として、受信機3320においてアンテナアレイ3386によって生成される電圧または電力は変動し得る。限定ではなく、例示的な実施形態として、送信されたRF波またはエネルギーポケットからアンテナ素子3324によって生成される交流(AC)電圧または電力は、約0ボルトまたは0ワットから、3ワットで約5ボルトまで変動し得る。
[0444] アンテナ素子3324は、送信機について記載された帯域に類似した周波数帯域において動作するのに適したアンテナタイプを含むことができる。アンテナ素子3324は、垂直偏波もしくは水平偏波、右偏波もしくは左偏波、楕円偏波、または他の偏波、および適切な偏波の組合せを含むことができる。複数の偏波を用いることは、使用中の好ましい向きがないか、または向きが経時的に連続して変化する場合があるデバイス、例えば、電子デバイスにおいて有利であり得る。逆に、明確に定義された向きを有するデバイス、例えば、両手を使うビデオゲームコントローラーの場合、アンテナの好ましい偏波が存在する場合があり、これにより、複数のアンテナについて所与の偏波の比を指定することができる。適切なアンテナタイプは、約1/8インチ〜約6インチの高さと、約1/8インチ〜約6インチの幅とを有することができるパッチアンテナを含むことができる。パッチアンテナは、偏波が接続性に依拠することができ、すなわち、偏波は、いずれの側からパッチが供給されるかに依拠して変化することができるという利点を有することができる。受信機3320は、ワイヤレス電力伝送を最適化するように自身のアンテナ偏波を動的に変更することができるので、これは更に有利であることがわかる。
[0445] 整流器3326は、アンテナ素子3324によって生成されたAC電圧を直流(DC)電圧に整流するための、ダイオードもしくはレジスタ、インダクタ、またはキャパシタを備えることができる。整流器3326は、技術的に可能な限りアンテナ素子3324の近くに配置し、損失を最小限にすることができる。1つの実施形態では、整流器3326は同期モードで動作することができ、この場合、整流器3326は、整流の効率を改善することができる切り替え要素を含むことができる。限定ではなく、例示的な実施形態として、整流器3326の出力は、約0ボルトから約5ボルトまで変動することができる。
[0446] 入力ブースト変換器は、整流器3326の可変DC出力電圧を、受信機3320および/または電子デバイスのコンポーネントによって用いることができる、より安定したDC電圧に変換する受信機3320に含めることができる。入力ブースト変換器3258は、整流器3326からの電圧を、受信機3320の適切な動作に適した電圧レベルまで増大させるステップアップDC/DC変換器として動作することができる。限定ではなく、例示的な実施形態として、入力ブースト変換器3258は、少なくとも0.4ボルトから約5ボルトの入力電圧を用いて動作して、約5ボルトの出力電圧を生成することができる。更に、入力ブースト変換器は、レール間の偏差を低減するかまたはなくすことができる。1つの実施形態では、入力ブースト変換器は、電力変換効率を増大させるために同期トポロジを呈することができる。
[0447] RF波から生成された電圧または電力は、ワイヤレス電力伝送のいくつかの時点においてゼロになる場合があるので、受信機3320は、入力ブースト変換器から生じた出力電圧からのエネルギーまたは電荷を記憶するためのストレージ要素3352を含むことができる。このようにして、ストレージ要素3352は、出力ブースト変換器を通じて、連続的な電圧または電力を負荷に送達することができ、ここで、この負荷は、連続的な電力供給または充電を必要とする電子デバイスの電池または内部回路部を表すことができる。例えば、負荷は、2.5ワットで5ボルトの常時送達を必要とするモバイルフォンの電池とすることができる。
[0448] ストレージ要素3352は、入力ブースト変換器3258から受信した電力または電力からの電荷を格納する電池3392を含むことができる。電池3392は、限定ではないが、数ある中でも、アルカリ、ニッケル−カドミウム(NiCd)、ニッケル水素(NiHM)、およびリチウムイオンを含む様々なタイプとすることができる。電池3392は、受信機3320を適合させるのに適した形状および寸法を呈することができる一方、電池3392の充電容量およびセル設計は、負荷要件に依拠することができる。例えば、モバイルフォンを充電するかまたはこれに電力供給するために、電池3392は約3ボルトから約4.2ボルトの電圧を送達することができる。
[0449] 別の実施形態では、ストレージ要素3352は、受信機によって必要とされる電荷を格納および送達するために、電池3392の代わりにキャパシタを備えることができる。例として、モバイルフォンを充電するかまたはこれに電力供給する場合、受信機3320は、負荷要件に合致するのに適した動作パラメーターを有するキャパシタを含むことができる。
[0450] 受信機3320は、ストレージ要素3352および入力ブースト変換器に作動的に結合された出力ブースト変換器も備えることができ、ここで、この出力ブースト変換器は、負荷のインピーダンスおよび電力要件を適合させるために用いることができる。限定ではなく、例示的な実施形態として、出力ブースト変換器は、電池3392の出力電圧を、約3ボルトまたは4.2ボルトから、電子デバイスの電池または内部回路部によって必要とされる電圧とすることができる約5ボルトまで増大させることができる。入力ブースト変換器と同様に、出力ブースト変換器は、電力変換効率を向上させるための同期トポロジに基づくことができる。
[0451] ストレージ要素3352は、低損失レギュレーター(LDO)、マイクロコントローラー、および電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)を含むことができる通信サブシステムに電力または電圧を提供することができる。LDOは、マイクロコントローラーにおけるように、低エネルギーアプリケーションに適した定常電圧を提供するDC線形電圧レギュレーターとして機能することができる。マイクロコントローラーは、受信機3320の動作および監視に関するデータを記憶するようにEEPROMに作動的に結合することができる。マイクロコントローラーは、クロック(CLK)入力および汎用入力/出力(GPIO)も含むことができる。
[0452] 1つの実施形態において、マイクロコントローラーは、EEPROMと合わせて、負荷要件に従って入力ブースト変換器および出力ブースト変換器の動作を制御するためのアルゴリズムを実行することができる。マイクロコントローラーは、異なるノードにおいて1つ以上の電力測定値3388(ADC)を取得することによって、受信機3320の全体動作を能動的に監視することができる。例えば、マイクロコントローラーは、どれだけ多くの電圧または電力が整流器3326、入力ブースト変換器、電池3392、出力ブースト変換器、通信サブシステムおよび/または負荷に送達されているかを測定することができる。マイクロコントローラーは、これらの電力測定値3388を負荷に通信することができ、電子デバイスが、どれだけ多くの電力を受信機3320から引き出すことができるかを知ることができるようにする。別の実施形態では、マイクロコントローラーは、電力測定値3388に基づいて、出力ブースト変換器における負荷電流制限を調整することによって、負荷において送達される電力または電圧を制御することができる。更に別の実施形態において、マイクロコントローラーによって、最大電力点追跡(MPPT)アルゴリズムを実行して、入力ブースト変換器がアンテナアレイ3386から引き出すことができる電力量を制御し最適化することができる。
[0453] 別の実施形態において、マイクロコントローラーは、電力測定値3388の監視に基づいて、ストレージ要素3352からドレインすることができる電力またはエネルギーを調節することができる。例えば、入力ブースト変換器における電力または電圧が低すぎる場合、マイクロコントローラーは、負荷に電力供給するために、電池3392をドレインするように出力ブースト変換器に指示することができる。
[0454] 受信機3320は、負荷において送達される電力を再開するかまたは中断するためのスイッチ3390を含むことができる。1つの実施形態では、マイクロコントローラーは、ワイヤレス電力伝送の1つ以上のユーザーによって契約されるサービスの条項に従って、または管理者ポリシーに従って、スイッチ3390の動作を制御することができる。
[0455] 図34は、ワイヤレス電力伝送中に受信機において実施することができる電力変換プロセス3400を示す。この実施形態のいくつかの態様によれば、電力変換プロセス3400は、受信機108および電子デバイスの内部コンポーネントに適切な電圧または電力を提供するために、RF波および/またはエネルギーポケットからの電力抽出を可能にすることができる。
[0456] 電力変換プロセス3400は、アンテナ素子3324が、RF波および/またはエネルギーポケットをAC電圧またはAC電力に変換することができるときに開始することができる。ステップ3451において、整流器は、このAC電圧またはAC電力をDC電圧またはDC電力に整流することができる。この段階において、整流器において生成されたDC電圧またはDC電力は、RF波および/またはエネルギーポケットから電力を抽出するための条件に依拠して可変とすることができる。その後、ステップ3453において、入力ブースト変換器は、整流器から得られたDC電圧またはDC電力を、受信機のストレージ要素または他の内部コンポーネントによって用いることができる電圧または電力レベルに増大させることができる。1つの実施形態では、入力ブースト変換器は、アンテナアレイから引き出すことができる電力量の調整および最適化のためにマイクロコントローラーから(MPPTアルゴリズムに基づいて)入力を受信することができる。この段階において、入力ブースト変換器において安定化され増大された電圧を負荷によって直接利用することができるが、この電圧は、RF波の固有の特性を受けると、常に連続しているとは限らない場合がある。
[0457] 入力ブースト変換器によって生成される安定化されたDC電圧を用いて、ストレージ要素を充電することができ、ここで、ストレージ要素は、ステップ3455において、電池またはキャパシタの形態をとることができる。ストレージ要素は、連続した電力を負荷に送達するために常に適切な充電レベルを維持することができる。更に、ストレージ要素は、適切な電力または電圧を通信サブシステムに提供することができる。
[0458] ステップ3457において、ストレージ要素によって生成される電圧または電力は、出力ブースト変換器によって、負荷のインピーダンスおよび電力要件に合致するように増大させることができる。1つの実施形態では、マイクロコントローラーは、出力ブースト変換器において電流制限をセットアップし、用途に従って負荷に送達される電力量を調整することができる。
[0459] 第2のブースト変換後、ステップ3459において、出力ブースト変換器は、ここで、受信機に作動的に結合することができる電子デバイスを充電するかまたはこれに電力供給するための適切な電気規格範囲内で、安定し連続した電力または電圧を負荷に供給することができる。
[0460] マイクロコントローラーは、ワイヤレス電力伝送のユーザーによって契約されたサービス条項に従って負荷における電力または電圧の送達を中断または再開させるためのスイッチを制御することができる。例えば、ワイヤレス電力伝送が、受信機のユーザーに提供されるサービスである場合、マイクロコントローラーは、スイッチの使用を通じて、ユーザーの契約のステータスに従って電子デバイスの電力供給または充電を中断または再開することができる。更に、マイクロコントローラーは、1つ以上の電子デバイスのために確立された充電または電力供給の優先度に基づいてスイッチの動作を調節することができる。例えば、マイクロコントローラーは、受信機に結合された電子デバイスが、充電を必要とする場合があり、充電のより高い優先度を有する場合がある適切な受信機に結合された電子デバイスと比較して、低い電力供給または充電優先度を有する場合、スイッチを開くことができる。この場合、送信機は、RF波を、より高い充電または電力供給優先度を有する電子デバイスに結合された受信機に向かって方向付けることができる。
6.組込み受信機
[0461] 図20Aは、通常の電話、コンピューターまたは他のデバイスを表すことができるデバイス2000Aが組込み受信機2020Aを含むことができる実施方式を示す。デバイス2000Aはまた、電源と、通信コンポーネント2030Aと、プロセッサとを含むことができる。受信機2020Aは、デバイス2000Aからの電源に電力を提供するためのポケット形成を利用することができる。更に、受信機2020Aは、電池レベル、ユーザーが予め定義した充電プロファイル等のプロセッサによって提供される要件に基づいて所与の送信機に通信するためのデバイス2000Aの内蔵通信コンポーネント2030A(例えば、Bluetooth(登録商標))を用いることができる。
7.組込み受信機を有する電池
[0462] 図20Bは、デバイス2000Bが組込み受信機2020Bを有する電池を含むことができる別の実施方式を示す。電池は、ポケット形成を通じて電力をワイヤレスで受信することができ、自身の組込み受信機2020Bを通じて充電することができる。電池は、電源のための供給部として機能することもできるし、またはバックアップ供給部として機能することもできる。この構成は、電池が充電のために取り除かれる必要がないという点で有利とすることができる。これは、ゲームコントローラーにおいて、または電池、特にAAもしくはAAAを継続的に交換することができるゲーム機器において特に有用とすることができる。
8.外部通信コンポーネント
[0463] 図20Cは、受信機2020Cおよび通信コンポーネント2030Cを、デバイスに取り付けることができる外付けハードウェアに含めることができる代替的な実施方式2000Cを示す。ハードウェアは、電話、コンピューター、リモートコントローラー等に配置することができるケース等の適切な形態をとることができ、これらは、ユニバーサルシリアルバス(USB)等の適切なインターフェースを通じて接続することができる。他の実施形態では、ハードウェアは可撓性フィルム上にプリントすることができ、これは次に、電子機器に貼り付けるかまたは他の形で取り付けることができる。このオプションは、低いコストで生成することができ、様々なデバイスに容易に一体化することができるため、有利とすることができる。以前の実施形態におけるように、通信コンポーネント2030Cは、送信機または電子機器一般に通信を提供することができるハードウェアに含めることができる。
9.USBに接続する受信機のケーシングまたはハウジング
[0464] 図21Aは、フレックスケーブルまたはUSBを通じてスマートフォンおよび/または任意の他の電子デバイスに接続することができる受信機2102Aを含むケースの形態をとるハードウェアを示す。他の実施形態では、ハウジングまたはケースは、数あるそのようなオプションの中でも、コンピューターケース、電話ケースおよび/またはカメラケースとすることができる。
10.プリントフィルム上のPCB
[0465] 図21Bは、複数のプリント受信機2102Bを含むことができるプリントフィルムまたはプリントフレキシブル回路基板(PCB)の形態でハードウェアを示す。プリントフィルムは、電子デバイスに貼り付けるかまたは他の形で取り付けることができ、USB等の適切なインターフェースを通じて接続することができる。プリントフィルムは、特定の電子デバイスサイズおよび/または要件を満たすようにセクションをそこから切り取ることができるという点で有利である場合がある。ワイヤレス電力伝送の効率および(ポケット形成を用いて)送達することができる電力量は、所与の受信機および送信機システムにおいて用いられるアンテナ素子の総数の関数とすることができる。例えば、約15フィートで約1ワットを送達するために、受信機は約80個のアンテナ素子を含むことができるのに対し、送信機は約256個のアンテナ素子を含むことができる。別の同一のワイヤレス電力伝送システム(約15フィートで約1ワット)は、約40個のアンテナ素子を有する受信機と、約512個のアンテナ素子を有する送信機とを含むことができる。受信機におけるアンテナ素子の数が半分に減ることは、送信機におけるアンテナ数が二倍になることを必要とする場合がある。いくつかの場合、受信機よりも送信機において多くの数のアンテナ素子を置くことが、コスト効率が良い場合がある。一方、送信機に少なくとも2つのアンテナ素子がある限り(送信機よりも受信機により多くのアンテナ素子を配置することによって)、反対のことが達成され得る。
II.アンテナハードウェアおよび機能
A.間隔構成
[0466] 図22は、電子デバイス2252(例えば、スマートフォン)においてワイヤレス電力伝送を受信するために受信機2220を用いることができる内部ハードウェアを示す。いくつかの実施態様では、電子デバイス2252は、電子デバイス2252のケース2254(例えば、スマートフォンケース)の内部エッジの周りに組み込むことができる受信機2220を含むことができる。他の実施形態では、受信機2220は、ケース2254の背面を覆うように実装することができる。ケース2254は、数あるそのようなオプションの中でも、スマートフォンカバー、ラップトップカバー、カメラカバー、GPSカバー、ゲームコントローラーカバーおよび/またはタブレットカバーのうちの1つ以上とすることができる。ケース2254は、プラスチック、ゴムおよび/または任意の他の適切な材料から作製することができる。
[0467] 受信機2220は、図22に示されるグリッドエリア上に戦略的に分布されたアンテナ素子2224のアレイを含むことができる。ケース2254は、最適な受信のためにエッジの周り、および/またはケース2254の背面に沿って位置するアンテナ素子2224のアレイを含むことができる。アンテナ素子2224の数、間隔およびタイプは、電子デバイス2252の設計、サイズおよび/またはタイプに従って計算することができる。いくつかの実施形態では、アンテナ素子2224を含むケース2254と電子デバイス2252との間に間隔(例えば、1mm〜4mm)および/またはメタマテリアルが存在することができる。間隔および/またはメタマテリアルは、RF信号のための更なる利得を提供することができる。いくつかの実施態様では、ケース2254内に実装する多層PCBを作成する際にメタマテリアルを用いることができる。
B.メタマテリアル
[0468] 内部ハードウェアは、プリントフィルム2256の形態をとることができ、および/または可撓性PCBは、複数のプリントアンテナ素子2224(互いに直列に、並列に、または組み合わせて接続される)、整流器および電力変換器要素等の異なるコンポーネントを含むことができる。プリントフィルム2256は、電子デバイス2252および/またはタブレット等の任意の適切な電子デバイスに貼り付けるかまたは他の形で取り付けることができる。プリントフィルム2256は、可撓性ケーブル2258等の任意の適切なインターフェースを通じて接続することができる。プリントフィルム2256は、いくつかの利点を呈することができ、これらの利点のうちの1つは、特定のスマートモバイルデバイスサイズおよび/または要件を満たすようにプリントフィルム2256からセクションを切り取ることができることとすることができる。1つの実施形態によれば、受信機2220のためのアンテナ素子2224間の間隔は、約2nm〜約12nmの範囲を取ることができ、最も適切なのは約7nmである。更に、いくつかの実施態様では、スマートフォン等の電子デバイス2252のための受信機2220において用いることができるアンテナ素子2224の最適な量は、約20個〜約30個の範囲をとることができる。一方、受信機2220内のアンテナ素子2224の量は、電子デバイス2252の設計およびサイズに従って変動することができる。アンテナ素子2224は、数ある中でも、銅、金および銀等の異なる導電材料から作製することができる。更に、アンテナ素子2224は、数ある中でも、可撓性PCB等の任意の適切な非導電性可撓性基板上にプリント、エッチングまたは積層することができる。アンテナ素子2224の開示される構成および向きは、ワイヤレス充電のより良好な受信、効率および性能を呈することができる。
C 内部ハードウェア
[0469] 図32は内部ハードウェア3200を示し、ここで、受信機3220は、スマートフォン3252におけるワイヤレス電力伝送のために用いることができる。図32は、スマートフォン3252がスマートフォン3252のケースの内部エッジの周りに組み込まれた受信機3220を含むことができる第1の実施形態を示す。受信機3220は、グリッドエリア上に戦略的に分布されたアンテナ素子3224のアレイを含むことができる。受信機とは、クライアントデバイスの電力供給または充電のためにエネルギーポケットを利用することができる、少なくとも1つのアンテナ素子、少なくとも1つの整流回路、および少なくとも1つの電力変換器を含むデバイスを指すことができる。
[0470] アンテナ素子3224の数およびタイプは、スマートフォン3252の設計に従って計算することができる。電子デバイス、例えば、電話(スマートフォン)またはラップトップコンピューターを充電するとき、電子切り替えモードDC/DC変換器の動作を起動するのに必要な最小電圧を超え得る初期高電流が必要とされる場合がある。そのような場合、キャパシタ(図示せず)を受信機3220の出力に付加して、必要とされる追加のエネルギーを提供することができる。その後、電話またはラップトップにまだ電荷を蓄積させている間に、低電力、例えば、総初期電力の1/80を提供することができる。充電とは、アンテナを用いて受信機によってRFエネルギーを電気エネルギーに変換することを指すことができる。ここで、電気エネルギーは、受信機からの電気回路接続を通じて電気的に接続されたクライアントデバイスに送信することができ、ここで、送信されるエネルギーは、デバイスによって、自身の電池を充電するか、自身の機能に電力供給するか、および/または任意の組合せを行うために用いることができる。クライアントデバイスとは、ワイヤレス電力伝送システムにおいて、ワイヤレス送信機から、ワイヤレス電力受信機との電気的接続を通じてワイヤレス電力を受信する任意のデバイスを指すことができる。クライアントデバイスは、コンピューター、ラップトップコンピューター、スマートフォン等のモバイル電子デバイス、電子玩具、テレビもしくは他の消費者デバイスのためのリモートコントロール、またはワイヤレスで電力供給される任意の電子デバイスもしくは電気デバイスとすることができる。
[0471] 最後に、通信コンポーネントは、送信機または他の電子機器と通信するために受信機3220に含めることができる。送信機とは、2つ以上のRF信号を生成することができるチップを含むデバイスを指すことができ、少なくとも1つのRF信号は、他のRF信号に対して位相シフトされ利得調整されており、それらのうちの実質的に全てが1つ以上のRFアンテナを通過し、それによって、焦点を合わせられたRF信号がターゲットに方向付けされる。
[0472] 以下の実施形態において説明されるように、受信機のための異なるアンテナ、整流器または電力変換器配置が可能である。特に、プリントフィルム3256または可撓性プリント回路基板(PCB)の形態の内部ハードウェア3200は、複数のプリントアンテナ素子3224(互いに、直列に、並列にまたは組み合わせて接続される)、整流器206および電力変換器3229要素等の異なるコンポーネントを含むことができる。プリントフィルム3256は、スマートフォン3252またはタブレット等の任意の電子デバイスに貼り付けるかまたは他の形で取り付けることができ、可撓性ケーブル等の任意のインターフェースを通じて接続することができる。プリントフィルム3256はいくつかの利点を呈することができ、これらの利点のうちの1つは、特定のスマートモバイルデバイスサイズおよび/または要件を満たすようにセクションをそこから切り取ることができることである。
[0473] 1つの上記によれば、受信機3220のためのアンテナ素子3224間の間隔は、5nm〜12nmの範囲をとることができる。一方、受信機3220内のアンテナの量は、スマートフォン3252の設計およびサイズに応じて変動することができる。アンテナ素子3224は、数ある中でも、銅、金および銀等の異なる導電性材料から作製することができる。更に、アンテナ素子3224は、数ある中でも、可撓性プリント回路基板(PCB)等の任意の非導電性可撓性基板上にプリント、エッチングまたは積層することができる。アンテナ素子3224の開示される構成および向きは、ワイヤレス充電のより良好な受信、効率および性能を呈することができる。
[0474] 上記の方法記述およびプロセスフロー図は、単なる説明的な例として提供され、様々な実施形態のステップが提示される順序で実行されなくてはならないことを必要とするかまたは暗に意味するように意図されていない。当業者によって理解されるように、上記の実施形態におけるステップは任意の順序において実行することができる。「次に、」「次いで、」等の語は、ステップの順序を限定することを意図しておらず、これらの語は、単に、本方法の記述を通じて読み手を誘導するために用いられる。プロセスフロー図は、動作を連続したプロセスとして説明する場合があるが、動作の多くは、並列にまたは同時に実行することができる。更に、動作の順序は再配列することができる。プロセスは、方法、機能、手順、サブルーチン、サブプログラム等に対応することができる。プロセスが機能に対応するとき、その終了は、呼び出し機能またはメイン機能に機能が戻ることに対応することができる。
[0475] 本明細書に開示される実施形態に関連して説明される様々な説明的な論理ブロック、モジュール、回路およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピューターソフトウェア、または双方の組合せとして実施することができる。ハードウェアおよびソフトウェアのこの交換可能性を明確に示すために、様々な説明的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路およびステップが、通常、それらの機能の観点で説明された。そのような機能がハードウェアとして実施されるかまたはソフトウェアとして実施されるかは、システム全体に課される特定の用途および設計制約に依拠する。当業者は、説明された機能を、特定の用途ごとに様々な方法で実施することができるが、そのような実施の決定は、本発明の範囲からの逸脱を生じるものとして解釈されるべきではない。
[0476] コンピューターソフトウェアにおいて実施される実施形態は、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語またはそれらの任意の組合せで実施することができる。コードセグメントまたは機械実行可能命令は、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラス、または命令、データ構造もしくはプログラム文の任意の組合せを表すことができる。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメーターまたはメモリコンテンツを渡すおよび/または受信することによって別のコードセグメントまたはハードウェア回路に結合することができる。情報、引数、パラメーター、データ等は、メモリ共有、メッセージ共有、トークンパッシング、ネットワーク送信等を含む任意の適切な手段を介して渡すか、転送するか、または送信することができる。
[0477] これらのシステムおよび方法を実施するのに用いられる実際のソフトウェアコードまたは特殊化された制御ハードウェアは、本発明を限定するものではない。このため、システムおよび方法の動作および挙動は、特定のソフトウェアコードを参照することなく説明され、ソフトウェアおよび制御ハードウェアは、本明細書における説明に基づいてシステムおよび方法を実施するように設計することができると理解される。
[0478] ソフトウェアで実施されるとき、機能は、非一時的コンピューター可読ストレージ媒体またはプロセッサ可読ストレージ媒体における1つ以上の命令またはコードとして記憶することができる。本明細書に開示される方法またはアルゴリズムのステップは、コンピューター可読ストレージ媒体またはプロセッサ可読ストレージ媒体上に存在することができるプロセッサ実行可能ソフトウェアモジュールに埋め込むことができる。非一時的コンピューター可読媒体またはプロセッサ可読媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータープログラムの転送を容易にするコンピューターストレージ媒体および有形ストレージ媒体の双方を含む。非一時的プロセッサ可読ストレージ媒体は、コンピューターによってアクセス可能とすることができる任意の利用可能な媒体とすることができる。限定ではなく例として、そのような非一時的プロセッサ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、または、命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶することができ、コンピューターもしくはプロセッサによってアクセスすることができる、任意の他の有形ストレージ媒体を含むことができる。ディスク(disk)およびディスク(disc)は、本明細書において用いられるとき、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスクおよびブルーレイディスクを含み、ここで、ディスク(disk)は通例、磁気的にデータを再生し、ディスク(disc)はレーザーを用いて光学的にデータを再生する。上記の組合せもコンピューター可読媒体の範囲内に含まれるべきである。更に、方法またはアルゴリズムの動作は、コンピュータープログラム製品に組み入れることができる、非一時的プロセッサ可読媒体および/またはコンピューター可読媒体上のコードおよび/または命令の1つまたは任意の組合せまたは組として存在することができる。
[0479] 開示された実施形態の上記の説明は、任意の当業者が本発明を作成または使用することを可能にするように提供される。これらの実施形態に対する様々な変更が当業者には容易に明らかとなり、本明細書に定義される一般的な原理は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用することができる。このため、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図しておらず、添付の特許請求の範囲ならびに本明細書に開示される原理および新規の特徴に一致する最も広い範囲を与えられる。
[0480] 様々な態様および実施形態が開示されたが、他の態様および実施形態が予期される。開示される様々な態様および実施形態は、説明を目的としており、限定を意図しておらず、真の範囲および趣旨は添付の特許請求の範囲によって示される。