糖尿病性網膜症(DR)および加齢黄斑変性症(AMD)などの慢性の進行性網膜疾患の合併症は、世界的に視力喪失の主な原因となっている。糖尿病性網膜症の合併症は、60歳未満の人々の視覚損失の主要原因のままである。糖尿病黄斑浮腫は、この患者群における法的盲の最も一般的な原因である。糖尿病性網膜症の原因である、真性糖尿病、および故に糖尿病黄斑浮腫は、世界的に発病率および有病率が増加しており、発展途上国だけでなく開発途上国においても流行している。糖尿病性網膜症は、疾患発症の3〜5年以内にI型(インスリン依存性)糖尿病の人に現われ始め得る。糖尿病性網膜症の有病率は、疾患の期間とともに増加する。10年までに、患者の14%−25%は糖尿病黄斑浮腫を患う。20年までに、およそ100%は、ある程度の糖尿病性網膜症を患う。臨床的に深刻な糖尿病黄斑浮腫を患う、未処置の患者は、32%が、潜在的に身体障害性の中程度の視力喪失を患う3年間のリスクがある。
様々な障害のための網膜の一般的なレーザー治療は、50年以上利用されてきた。従来から、故意のレーザーで誘起された網膜の熱破壊および乱切を特徴とするレーザー光凝固が利用されてきた。光凝固は、網膜瘢痕をもたらす有効な手段であることが分かり、糖尿病黄斑浮腫のための黄斑光凝固の技術基準になった。網膜のレーザー光凝固の臨床的な有効性が要因で、医療で長年抱かれてきた見解は、処置の有益な効果が、光凝固によって作り出された網膜損傷によるものであるということであった。
出血性であるか、検眼鏡で見えるか、または血管造影によって実証可能である網膜病変に対する異なる曝露閾値がある。「閾値」病変は、処置時に検眼鏡でかろうじて目に見える病変であり、「閾値以下」病変は、処置時に見えない病変であり、および「閾値上」レーザー治療は、容易に目に見えるエンドポイントまで実行された網膜光凝固である。従来の網膜光凝固処置は、容易に目に見えて且つ追跡されるように「閾値」病変あるいは「閾値上」病変をもたらすために、目に見えるエンドポイント必要とする。実際に、実際の組織損傷および瘢痕化はその手順の恩恵をもたらすために必要であると考えられている。灰色から白色への(gray to white)網膜火傷は、従来の閾値および閾値上の光凝固に固有の熱的な網膜の破壊の証拠となっている。
ここで図1を参照すると、参照符号10によって全体に言及される、眼の概略図が示される。光線療法を使用するときに、レーザー光線は、患者の角膜12、瞳孔14、および水晶体16に通され、網膜18上へと配向される。網膜18は、光を捕捉し、それを脳のための電気信号に変換する薄い組織層である。それは、栄養を与えるための、参照符号20によって言及されるような、多くの血管を有している。上に議論されるように、様々な網膜疾患および障害、および特に糖尿病性網膜症などの血管網膜疾患は、従来の熱的な網膜光凝固を使用して処置される。図1における参照符号22によって言及される、中心窩/黄斑の領域は、色覚および細かい詳細な視覚(fine detail vision)に使用される眼の一部である。中心窩は黄斑の中心にあり、ここで、中心視覚に必要とされる細胞の濃度は最も高い。加齢黄斑変性症などの疾患が損傷を加えるのがこの領域であるが、これは、中心窩領域の細胞に損傷を加えると患者の視覚を著しく損傷させかねないため、従来の光凝固の光線療法を使用できない領域である。したがって、現行の光凝固治療では、中心窩領域が回避される。
熱的な網膜光凝固が現れるまで、糖尿病性網膜症の有効な処置は一般になかった。治療上の手技としての光熱の網膜火傷をもたらすための光凝固の使用は、糖尿病性網膜症の合併症が、他の原因からの先在している網膜瘢痕化を有する眼において多くの場合それほど重度ではないという観察によって促された。Early Treatment of Diabetic Retinopathy Studyは、糖尿病黄斑浮腫の処置におけるアルゴンレーザーの黄斑光凝固の効果を実証した。網膜の病態の領域において全層の網膜のレーザー火傷がもたらされ、これは白色または灰色の網膜病変として処置の時間に可視である(「閾値上」網膜光凝固)。時間とともに、これらの病変は、脈絡網膜の瘢痕化および進行性萎縮の病巣領域へと進行した。
目に見えるエンドポイントでの光凝固とともに、レーザー光吸収によって、レーザー部位で色素性の組織は加熱される。熱伝導によって、この温度増加は、網膜色素上皮および脈絡膜から、重なる非色素性の隣接した曝露されていない組織まで広げる。レーザー病変は、レーザーサイトに重なる損傷した神経網膜が、その透明性を失い、白色の検眼鏡による光をオブザーバー方へと後方散乱させるとすぐに、目に見えるようになる。
従来の考えは、医師が、治療上有効な処置に対する前提条件として網膜損傷を故意に作り出すことを想定している。図2を参照すると、A−Dは、網膜血管疾患のための様々な様式の網膜のレーザー治療の有効表面積のグラフィック図である。灰色の背景は、レーザー治療による影響を受けない網膜30を表わす。黒色の領域32は、従来のレーザー技術によって破壊される網膜の領域である。薄灰色または白色の領域34は、レーザーによる影響を受けるが、破壊されない網膜の領域を表わす。
図2のAは、従来のアルゴンレーザーの網膜光凝固の治療効果を例証する。レーザーで誘起された熱的な網膜の破壊に起因する治療効果は、代謝要求の減少、病変網膜の減量、眼内の酸素分圧の増大、および血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を含む血管作動性サイトカインの超産生を含む。
図2のBを参照すると、従来のレーザー火傷の燃焼強度の増大が示される。焼かれた且つ損傷した組織領域32がより大きく、その結果、加熱されたが損傷されていない周囲組織34のより大きな「ハロー効果」がもたらされることが理解される。実験室での研究は、燃焼強度の増加が、治療効果の増強に関連付けられているが、機能的な網膜の損失および炎症の増加によって妨げられることを示している。しかしながら、図2のCを参照すると、従来のアルゴンレーザーの光凝固の強度が低下するときに、レーザーによる影響を受けたが破壊されていない網膜の領域34も縮小され、これは、図2のBで例証されるように、より高い強度/より高い密度での処置と比較して、より低い強度/より低い密度または「軽度の」アルゴンレーザーの格子光凝固からの劣った臨床結果を説明し得る。
図2のDを参照すると、選択的な網膜治療として知られている短パルス連続波レーザーの光凝固を用いる低フルエンスの光凝固は、レーザーによる影響を受けたが破壊されていない網膜の領域が最小から存在しない程度まで、レーザーの光熱組織効果の最小の光学的な及び水平の広がりをもたらすことが分かった。したがって、直接処置された網膜30の完全な切除にもかかわらず、治療上影響を受けた及び残存する組織の縁部は不足しているか又はかまたは欠損している。これは、最近のレポートが発見している糖尿病性網膜症のためのPASCALに対する従来のアルゴンレーザーの光凝固の優位性を説明している。
医原性の網膜損傷が網膜血管疾患の有効なレーザー治療に必要であることは、ほぼ50年間普遍的に認められており、通説のままである。目に見える灰色から白色への網膜の火傷および瘢痕化をもたらす現在の網膜光凝固治療は、未処置と比較して明確な利点をもたらすが、不利益および欠点もある。従来の光凝固は多くの場合痛みを伴う。局所麻酔が、それ自体の付帯リスクを伴って、必要とされ得る。代替的に、治療は、治療の痛み及び手術後の炎症を最小限にするために、長期間にわたって数段階に分割されてもよい。視力の一時的な低下は、従来の光凝固後に一般的なものである。
実際に、熱的な組織損傷は、即時の及び後期の視力喪失につながり得る従来の光凝固の多くの潜在的な合併症の唯一のソースであり得る。そのような合併症は、偶発性の中心窩の火傷、網膜前線維症、網膜下線維症、脈絡膜血管新生、およびレーザー瘢痕の進行性膨張を含む。組織破壊に起因する炎症は、黄斑浮腫、網膜剥離とともに血管結合組織の増殖の誘導された急峻な(precipitous)収縮、および硝子体出血を引き起こし得るか又は悪化させ得、ブドウ膜炎、漿液性脈絡膜剥離、隅角閉鎖または低眼圧を引き起こし得る。これらの合併症の幾つかは珍しいが、治療の痛み、進行性の瘢痕拡大、視野損失、一時的な視力喪失および夜間視力の低下を含む、他の合併症は、非常に共通なので、従来のレーザーの網膜光凝固の避けられない副作用として認められるように一般的である。実際に、従来の光凝固治療に固有の網膜損傷が原因で、密度および中心窩への接近が限定されており、ここで最も視覚的に身体障害性の糖尿病黄斑浮腫が生じる。
リスクおよび欠点があるにもかかわらず、典型的に可視レーザー光を使用する網膜光凝固治療は、増殖性糖尿病性網膜症の他に、網膜光凝固治療によく反応する糖尿病黄斑浮腫および網膜の静脈閉塞疾患を含む、他の網膜症および網膜疾患の治療に対する現在の標準である。実際に、網膜光凝固は、糖尿病性網膜症を含む多くの網膜疾患の治療に対する現在の標準である。
現在、網膜像および視力検査は、検出された網膜疾患の管理の手引きとなっている。終末器官の構造損傷および視覚損失が、遅れた疾患症状であるため、この時点で制定された処置は、集中的なものでなくてはならず、しばしば延長され、高価となり、頻繁に視力を改善させることに失敗し、めったに正常な視力を回復させない。
別の問題は、治療が大量のレーザー照射量(laser doses)の網膜への適用を必要とするということであり、これは面倒であり得、時間もかかり得る。典型的に、そのような治療は、数百ミリ秒から数秒まで、予め決められた時間の間、標的組織に適用されたレーザー光線スポットの形で個々の照射量の適用が求められる。典型的に、レーザースポットは、直径が50−500ミクロンの範囲である。それらのレーザー波長は、緑、黄、赤または赤外であり得る。何百もの又はさらに1000を超えるレーザースポットが、網膜を十分に処置するために必要とされることは珍しくない。医師は、各レーザビームスポットが、中心窩などの眼の敏感な領域から遠ざけて適切に位置付けられることを保証する責任を負っており、そうでないと、永久的な損傷につながりかねない。均一のパターンを設定することは困難であり、パターンは、分布が幾何学的であるというよりも典型的にランダムである。大多数の位置のポイントごとの治療は、長い手順とある傾向があり、これは頻繁に、結果として医師の疲労および患者の不快につながる。
したがって、従来の光凝固治療に起因する欠点および合併症の多くを伴わない、患者において網膜疾患の発症または症状を止める又は遅らせるために眼を処置するプロセスが継続的に必要とされている。網膜像の異常が検出可能となる前にも、そのような処置のためのプロセスが継続的に必要とされている。さらに、網膜組織を損傷させることなく同時の方法で、処置領域、またはさらに網膜全体への大量のレーザー照射量の適用を提供するプロセスが継続的に必要とされている。本発明は、これらの必要性を満たし、他の関連する利点も提供する。
添付図面に示されるように、例証目的で、本発明は、糖尿病性網膜症(DR)および加齢黄斑変性症(AMD)などの慢性の進行性網膜疾患を含む網膜疾患の発症または症状を止める又は遅らせるために眼を処置する治療のプロセスに関する。
上に議論されるように、組織の損傷および病変が、治療効果を有するために網膜のレーザー治療によって作り出されなければならないという思考は従来の思考である。しかしながら、本発明者は、これが単にそうではないことを発見し、そのような熱的な網膜損傷が不必要であることを示し、それが従来のレーザー治療の有益性の要因であるかどうかに疑問を呈した。本発明者は、従来の光凝固によって引き起こされた網膜色素上皮(RPE)サイトカイン産生における治療上の変化が、図2のA−Cにおいて参照符号26で言及される、レーザー露光による影響を受けたが死滅されていない、従来のレーザー火傷の残存部(margins)で細胞から生じることを発見した。
本発明者は、治療上のものであるが、網膜組織細胞に対して致死量以下であり、それ故、眼の網膜組織の予防的および保護的な処置を提供する網膜組織中の「真の閾値以下」の光凝固をもたらす、レーザー光線を生成ことができることが分かった。本発明者は、予め決められた強度またはパワーおよび予め決められたパルス長または曝露時間で、532nmを超える波長および10%未満のデューティーサイクルを有する、閾値以下で致死量以下のマイクロパルスレーザー光線を生成することによって、目に見える火傷領域または組織破壊なしで、図3のAおよびBで参照符号28によって示される、望ましい網膜光凝固がもたらされることを発見した。より具体的には、550nm−1300nmの間、および特に好ましい実施形態で810nmの波長、およそ5%以下のデューティーサイクルおよび予め決められた強度またはパワー(網膜での各処置スポットに対して1平方センチメートル当たり100−590ワットの間など)および予め決められたパルス長または曝露時間(500ミリ秒以下など)を有しているレーザー光線は、レーザー照射に曝露された網膜色素上皮のすべての領域が、保護されており、治療上寄与することが可能である、致死量以下で、「真の閾値以下」の網膜光凝固をもたらす。言いかえれば、本発明者は、網膜組織を、少なくとも治療上のレベルまでではあるが、細胞または組織の致死レベルより下のレベルまで上昇させることによって、網膜組織を破壊する、焼く、またはそうでなければ損傷させることなく、(図2のA−Cで参照符号26によって言及された)ハロー効果の恩恵が再びもたらされることが分かった。これは、閾値以下のダイオードマイクロパルスレーザー治療(SDM)として本明細書で言及される。
図3のAは、マイクロパルスレーザーなどの、致死量以下で「真の閾値以下」のSDMまたは低強度のレーザーの低密度治療、即ち、目に見える火傷領域のない、参照符号28によって示された、致死量以下で閾値以下の網膜光刺激をもたらすために網膜組織18に適用されたスポットを示す。SDMが、レーザーで誘起された網膜損傷(光凝固)をもたらさず、既知の有害な処置効果を有さず、(糖尿病黄斑浮腫(DME)、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)が原因の黄斑浮腫、および中心性漿液性脈絡網膜症(CSR)を含む)多くの網膜障害において有効な処置であると報告されているため、本発明は、処置領域全体および中心窩を含む網膜全体でさえ本質的にカバーするように図3のBで例証される通り、高密度の方法で実行され得る。伝統的な従来のレーザー光凝固処置は、それによって引き起こされた固有の火傷および損傷が、患者の視力を損なわせかねない又は失明すら引き起こしかねないため、中心窩を含む網膜全体を処置することができない。
定義によると、SDMは、組織損傷を引き起こさず、既知の有害な処置効果がない。SDMは、DME、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)が原因の黄斑浮腫、および中心性漿液性脈絡網膜症(CSR)を含む、多くの網膜障害において有効な処置であることが報告されてきた。SDMの安全性は、それが、初期の中心窩に関係するDMEが原因の視力喪失のリスクを減少させるために、20/20の視力の眼内で中心窩にわたって使用され得るような安全性である。SDMは、RPEを標的とし、保護し、およびその機能を正常化する(正常へと近づく)ことによって作用すると考えられる。
SDMが作用するかもしれない別の機構は、熱ショックタンパク質(HSP)の生成である。ほぼ無限の様々な細胞異常が考えられるのにもかかわらず、すべてのタイプの細胞が、共通の及び高度に保存された修復の機構を共有する:熱ショックタンパク質(HSP)。HSPは、ほぼすべてのタイプの細胞のストレスまたは損傷によって、数秒から数分で、ほぼすぐに誘発される。致死的な細胞損傷がない状態で、HSPは、生細胞をより正常な機能的状態へと修復および回復させることに極端に有効である。HSPは、一時的なものであり、一般に数時間でピークに達し、数日間持続するが、それらの効果は長く続き得る。HSPは、糖尿病性網膜症(DR)およびAMDを含む多くの網膜障害における共通因子である炎症を減少させる。
レーザー治療は、HSP産生を誘発し、網膜処置の場合には、網膜のサイトカイン発現を変更する。致命的でない細胞ストレス(レーザー照射など)がより突発的且つ重度なものであればあるほど、HSP産生はより迅速且つ強固なものとなる。したがって、各SDM曝露によってもたらされた非常に急激な変化率(各々が100μsのマイクロパルスである〜20℃の上昇、または20,000℃/sec)での爆発的な(a burst of)繰り返しの低温の熱スパイクは、特に、低い平均組織温度上昇のみを繰り返す(duplicate)ことができる、連続波レーザーによる閾値以下の処置への致命的でない曝露と比較して、HSPの産生を刺激することに特に有効である。
550nm未満のレーザー波長は、漸増的に細胞毒性の光化学効果を生む。810nmでは、SDMは、光化学的な細胞ストレスよりもむしろ、光熱をもたらす。したがって、SDMは、組織を損傷させることなく、RPEを含む組織に影響を与えることができる。HSP活性化と一致して、SDMは、網膜の電気生理、視力、および対比視力の迅速且つ著しい改善、マイクロペリメトリーによって測定された黄斑の感度の改善などの、迅速な臨床効果に加えて、DMEの減少および網膜の新血管新生の退行などの長期的な効果も生む。
網膜において、SDMの臨床的有用性は、それ故、サブ病的な(sub−morbid)光熱RPE HSP活性化によってもたらされる。機能障害のRPE細胞において、SDMによるHSP刺激は、結果としてサイトカイン発現を正常化させ、網膜の構造および機能を改善する。この「低強度」のレーザー/組織相互作用の治療効果は、その後、「高密度」のレーザー適用によって増幅されて、標的とされた領域に機能障害のRPEをすべて動員し、それによって処置効果を最大限にする。これらの原理は、本明細書に記載されるSDMの処置戦略を定義する。薬物および光凝固の両方に類似した治療効果を生むSDMの能力は、(焼灼以外の効果のための)レーザーで誘起された網膜損傷が不必要且つ非治療的なものであり;および実際に、網膜機能の損失および炎症の誘因が原因で有害であることを示している。
正常に機能する細胞が修復を必要としないため、正常細胞中のHSP刺激は、顕著な臨床効果を有さない傾向がある。様々な細胞タイプに対する、病的細胞に影響するが正常細胞に影響しない、SDMなどの近赤外レーザー効果の「病原性−選択性(patho−selectivity)」は、SDMの臨床観察と一致している。この能力は、慢性の進行性疾患を有する眼および最小の網膜異常および最小の機能不全を有する眼の初期の及び予防的な処置に対するSDMの適合性の鍵である。最終的に、SDMは、American National Standards Institute”Maximum Permissible Exposure”の予測と一致している、網膜のレーザー法の中でも独特な、臨床的に広い治療域を有すると報告された。SDMは、エントロピー(entropic)タンパク質のアンフォールディングおよび脱凝集などの直接的な光熱効果を引き起こし得るが、HSP媒介性の網膜修復の臨床的に安全且つ有効な刺激のために最適化されているように見える。
上に留意されるように、RPE HSPのSDM刺激が、疾患プロセスに関して非特異的である一方で、HSP媒介性の修復の結果は、その性質により、機能不全の状態に特異的である。HSPは、間違っていれば何であれ修復する傾向がある。したがって、網膜症状において観察されたSDMの有効性は、BRVO、DME、PDR、CSR、および薬物耐性のNAMDとは広く異なる。概念的に、この能力は、SDM作用の「デフォルトへのリセット(Reset to Default)」のモードの一種であると考えられ得る。RPE機能が重大である広範囲の網膜障害に関して、SDMは、HSP媒介性の細胞修復によって(「工場出荷時の設定」への)「リセット」を引き起こすことによってRPE機能を正常化する。もちろんSDMにも制限はある。例えば、この理論を用いる臨床経験は、慢性類嚢胞黄斑浮腫、網膜萎縮症および瘢痕化などにおけるRPE媒介性の疾患関連の解剖学的障害、または病理学的環境が、深刻及び/又は変性であるために網膜がもはやRPE自己調節性の影響に反応することができなくなると、SDMがそれほど有効ではないことを示唆している。重度の色素萎縮が原因の十分生存可能な標的RPEのその欠如は、治療反応を妨げるかもしれない。
本発明者は、加齢黄斑変性症(AMD)を患う患者のSDM治療が、AMDの進行を遅らせる又は止めることもできることを発見した。患者のほとんどは、SDM治療後に動的な機能的logMAR視力および対比視力が著しく改善され、より優れた視力を持つ患者もいた。SDMは、網膜色素上皮(RPE)を標的とし、保護し、および「正常化する」(正常へと近づく)ことによって機能すると考えられる。
SDMはまた、全身性糖尿病の持続性にもかかわらず、処置関連の損傷または副作用なしで、糖尿病性網膜症の疾患状態の発現を停止または逆転させることが示された。これに基づくと、SDMは、工場出荷時の設定を回復させるために電子装置の「リセット」ボタンを押すことに類似して、糖尿病の影響を受けたRPE細胞においてより正常な細胞機能およびサイトカイン発現へと戻ることを誘発することによって作用すると仮定される。
上記の情報および研究に基づくと、SDM治療は、標的組織、特に網膜色素上皮(RPE)層におけるサイトカイン発現および熱ショックタンパク質(HSP)の活性化に直接影響し得る。重度の非増殖性および増殖性の糖尿病性網膜症、AMD、DMEなどを含む、多くの網膜疾患の進行の速度を低下させるために、汎網膜および汎黄斑のSDが、本発明者によって留意されてきた。既知のSDMの有害な処置効果の欠如と結び付けられた、これらの網膜疾患を有している個体の既知の治療上の処置有益性は、必要に応じて、初期の及び予防的な処置、開放的な適用(liberal application)および再処置を考慮することが可能となる。リセットの理論はまた、SDMが、様々なタイプのRPE媒介性の網膜障害に応用され得ることを示唆している。実際、本発明者は最近、汎黄斑のSDMが、萎縮型加齢黄斑変性症、色素性網膜炎、錐体桿体の(cone−rod)網膜変性、およびシュタルガルト病において網膜の機能および健康、網膜の感度、および動的なlogMAR視力および対比視力を著しく改善することができることを示し、これは他の処置が以前には行うことができなかったことである。
現在、網膜像および視力検査は、慢性の進行性網膜疾患の管理の手引きとなっている。組織及び/又は臓器の構造損傷および視覚損失は、遅れた疾患症状であるため、この時点で制定された処置は、集中的なものでなくてはならず、しばしば延長され、高価となり、頻繁に視力を改善させることに失敗し、めったに正常な視力を回復させない。SDMは、有害な処置効果なしで多くの網膜障害の有効な処置であることが示され、その安全性および有効性によって、SDMはまた、網膜疾患の発症または症状を予防的に又はそのような網膜疾患の予防的な処置として止める又は遅らせるために眼を処置するために使用され得る。網膜機能および故に健康を改善する処置も、疾患の重症度、進行、不適当な事象および視力喪失を減少させるはずである。病理学的構造の変化の前に、治療を早期に開始することによって、および定期的な機能的に誘導された再処置による処置有益性を維持することによって、構造の変性および視力喪失が予防されない場合に遅らされるかもしれない。疾患進行の速度の適度の初期の低下でさえ、視力喪失における著しい長期的な低下および合併症につながり得る。一次欠陥の結果を軽減することによって、疾患の経過は弱められ、進行は遅くされ、合併症および視力喪失が減少され得る。
本発明に従うと、患者、およびより具体的には、患者の眼には網膜疾患のリスクがあると判定される。これは、網膜像の異常が検出可能となる前であり得る。そのような判定は、患者が、糖尿病を含む慢性の進行性網膜症のリスク、加齢黄斑変性症または色素性網膜炎のリスクにあるかどうかを確認することによって達成され得る。代替的に、またはさらに、患者の網膜検査または網膜試験の結果は異常であり得る。網膜の生理学的試験または遺伝子検査などの特定の試験は、患者が網膜疾患のリスクを有していると確証するために行われ得る。
致死量以下であり、真の閾値以下の光凝固および網膜組織を作り出す、SDMレーザー光線が生成され、網膜組織の少なくとも一部は、眼の網膜組織の予防的および保護的な処置を提供するように、曝露された網膜または中心窩の組織を損傷することなく、生成されたレーザー光線に曝露される。処置された網膜は、中心窩、小窩、網膜色素上皮、脈絡膜、脈絡膜新生血管膜、網膜下液、黄斑、黄斑浮腫、傍中心窩、及び/又は周中心窩を含み得る。レーザー光線は、網膜の一部のみ、または実質的に網膜および中心窩の略全体に曝露され得る。
ほとんどのSDM効果は永続的でないにしても長く続くように見えるが、臨床観察は、SDMが時々弱まるように見えることを示唆している。したがって、網膜は定期的に再処置される。これは、設定したスケジュールに従って、あるいは患者の網膜が患者の視覚的な及び/又は網膜の機能または症状を定期的にモニタリングすることなどによって再処置されると判定されるときに行われ得る。
ここで図4を参照すると、概略図は、本発明のプロセスを実現するためのシステムを示す。参照符号30によって一般に言及されるシステムは、例えば、好ましい実施形態における810nmの近赤外マイクロパルスダイオードレーザーなどの、レーザーコンソール32を含む。レーザーは、光学レンズまたはマスク、あるいは必要に応じて複数の光学レンズ及び/又はマスク34に通されるレーザー光線を生成する。レーザープロジェクター光学素子34は、レーザー光線を患者の眼38上へと投射するために、形成された光線を、同軸広視野非接触デジタル光学的視認システム/カメラ36に通す。36と標識されたボックスは、レーザー光線プロジェクターと視認システム/カメラの両方を表わすことができ、これは、実際に使用時に2つの異なるコンポーネントを含み得ることが理解される。同軸広視野非接触デジタル光学的視認システム/カメラ36は、レーザー32、光学素子34、及び/又は投射/視認コンポーネント36を操作するために、必要なコンピューター化されたハードウェア、データ入力部および制御部なども含んでもよい表示モニター40にフィードバックを提供する。
ここで図5を参照すると、一実施形態において、レーザー光線42は、コリメータレンズ44に通され、その後マスク46に通される。特に好ましい実施形態では、マスク46は回折格子を含む。マスク/回折格子46は、幾何オブジェクト、またはより典型的には同時に生成された複数のレーザースポットの幾何パターン、あるいは他の幾何オブジェクトをもたらす。これは、参照符号48を付けられた複数のレーザー光線によって表わされる。代替的に、複数のレーザースポットは、複数の光ファイバーワイヤーによって生成され得る。レーザースポットを生成する方法はいずれも、網膜全体から成るような非常に広い治療照射野にわたって大多数のレーザースポットを同時に生成することを可能にする。実際に、ひょっとすると何百、何千またはそれ以上もの数の大多数のレーザースポットが、黄斑および中心窩、網膜血管および視神経を含む、眼底全体および網膜全体をカバーし得る。本発明におけるプロセスの意図は、視力を改善するために惜しみなく網膜に対してレーザーを用いることによって、完全且つ全体的な適用範囲および処置をより確かなものとすることにある。
利用されるレーザーの波長と同等の形状サイズを有する光学的特徴を使用して、例えば、回折格子を用いて、非常に大きな標的領域のための大多数のレーザースポットの同時の適用を許可する量子力学的効果を活用することが可能である。そのような回折格子によって生成された個々のスポットはすべて、各スポットに対するパワー変動が最小である、入射ビームに類似した光学的形状である。結果として、十分な放射照度を有する複数のレーザースポットによって、大きな標的領域にわたって同時に、無害である上に有効な治療適用がもたらされる。本発明はまた、回折光学素子によってもたらされた他の幾何オブジェクトおよびパターンの使用を熟考する。
マスク46を通るレーザー光は回折し、図5において48と標識されたレーザー光線によって示された、マスク46とは距離を置かれた周期的パターンをもたらす。シングルレーザー光線42は、それ故、望ましいスポットのパターンまたは他の幾何オブジェクトを作り出すように、何百または何千もの個々のレーザー光線48へと形作られた。これらのレーザー光線48は、レーザー光線を伝送し、患者の網膜上に望ましいパターンを形成するために、追加のレンズおよびコリメーター50、52などに通され得る。そのような追加のレンズおよびコリメーター50、52などはさらに、必要に応じてレーザー光線48を変換する及びその向きを変えることができる。
光学マスク46の形状、間隔およびパターンを制御することによって、恣意的パターンが構築され得る。パターンおよび曝露スポットは、光工学分野の専門家による適用要件に従って望まれるように、恣意的に作成且つ変更され得る。フォトリソグラフィー技術、特に半導体製造の分野で開発された技術は、同時の幾何学的なスポットのパターンまたは他のオブジェクトを作成するために使用することができる。
図6は、複数の光源を、上に記載されるパターンを生成する光学サブアセンブリへと連結するシステムを図式で例証する。具体的には、このシステム30’は、上記の図4に記載されたシステム30に類似している。代替的なシステム30’と前に記載されたシステム30の主な違いは、複数のレーザーコンソール32を包含することであり、その出力は各々、ファイバカプラ54に供給される。ファイバカプラは、前のシステムに記載されたようなレーザープロジェクター光学素子34へと通される単一出力を生み出す。複数のレーザーコンソール32の単一の光ファイバーへの連結は、当該技術分野で既知なようにファイバカプラ54を用いて達成される。複数の光源を組み合わせるための他の既知の機構も利用可能であり、本明細書に記載されるファイバカプラと交換するために使用されてもよい。
このシステム30’において、複数の光源32は、前のシステム30に記載されたものと類似した経路に従う、つまり、コリメートされ、回折され、再びコリメートされ、およびステアリング機構を用いて網膜へと配向される。この代替的なシステム30’において、回折素子は、通る光の波長に依存して、前に記載されたものとは異なって機能しなければならず、これは、結果としてパターンのわずかな変化につながる。その変化は、回折されている光源の波長と直線状になっている。一般に、回折角の差は、異なる重複パターンが、処置のためにステアリング機構36を通って網膜38に向かう同じ光路に沿って配向され得るのに十分小さな差である。回折角のわずかな差は、ステアリングパターンがどれほどの網膜の適用範囲を達成するかに影響を与える。
結果として生じるパターンが各波長に対してわずかに変化するため、完全な適用範囲を達成するための連続するオフセットは、各波長に対して異なる。連続するオフセットは2つのモードで達成され得る。第1のモードでは、光の波長はすべて、同一の適用範囲なしで同時に適用される。複数の波長の1つに対する完全な適用範囲を達成するためのオフセットのステアリングパターンが使用される。したがって、選択された波長の光は、網膜の完全な適用範囲を達成しているが、他の波長の適用は、網膜の不完全な適用範囲または重複する適用範囲のいずれかを達成する。第2のモードは、その特定の波長に対する網膜の完全な適用範囲を達成するために、適切なステアリングパターンを用いて、変化する波長の各光源を連続して適用する。このモードは、複数の波長を使用する同時の処置の可能性を除外するが、光学的手法によって各波長に対する同一の適用範囲を達成することを可能にする。これは、光学波長のいずれに対する不完全な適用範囲および重複する適用範囲も回避する。
これらのモードはまた、組み合わされ、一致されてもよい。例えば、2つの波長が同時に適用されて、1つの波長が完全な適用範囲を達成し、もう1つの波長が不完全な又は重複する適用範囲を達成してもよく、その後、第3の波長が連続して適用されて、完全な適用範囲を達成してもよい。
図7は、本発明のシステム30’’のさらに別の代替的な実施形態を図式で例証している。このシステム30’’は、図4に描写されたシステム30と一般的には同じように構成されている。主な違いは、光源の特定の波長に合わせられた複数のパターンを生成するサブアセンブリチャネルを包含することである。複数のレーザーコンソール32が平行に配され、その各1つは、それ自体のレーザープロジェクター光学素子34へと直接つながっている。各チャネル58a、58b、58cのレーザープロジェクター光学素子は、図5に関連して上に記載されるように、コリメーター44、マスクまたは回折格子48、およびリコリメーター(recollimators)50、52を含み、光学素子の全セットは、対応するレーザーコンソール32によって生成された特定の波長に合わせられる。その後、光学素子34の各セットからの出力は、他の波長との組み合わせのためにビームスプリッター56に向けられる。逆に使用されるビームスプリッターが複数の光線を単一出力へと組み合わせるために用いられ得ることは、当業者に知られている。
その後、最終的なビームスプリッター56cから組み合わせたチャネル出力は、カメラ36に通され、ステアリング機構を適用して、網膜38の完全な適用範囲が可能となる。
このシステム30’’において、各チャネルに対する光学素子は、そのチャネルの波長に対する正確な指定されたパターンを生成するように調整される。結果的に、チャネルがすべて組み合わせられ、適切に整列されると、単一のステアリングパターンが使用されて、すべての波長に対する網膜の完全な適用範囲が達成され得る。
システム30’’は、処置に使用されている光の波長と同じくらい多くのチャネル58a、58b、58cなど及びビームスプリッター56a、56b、56cなどを使用し得る。
システム30’’の実施は、アラインメント制約の数を減少させるために異なる対称性を活用し得る。例えば、提案されたグリッドパターンは、二次元において周期的であり、完全な適用範囲を達成するために二次元で操作される。結果として、各チャネルに対するパターンが指定されたパターンと同一である場合、各チャネルの実際のパターンは、すべての波長に対する完全な適用範囲を達成するために同じステアリングパターンに対して整列させる必要はないだろう。各チャネルは、効率的な組み合わせを達成するために光学的に整列させる必要があるだけである。
システム30’’において、各チャネルは光源32とともに開始し、これは、パターンを生成するサブアセンブリの他の実施形態などにおける光ファイバーからのものであり得る。この光源32は、コリメーション、回折、リコリメーション、およびチャネルを主出力と組み合わせるビームスプリッターへの配向のために、光学アセンブリ34に配向される。
典型的には、本発明のシステムは、網膜の光刺激による完全且つ全体的な網膜処置を確かなものとするために、誘導システムを組み込む。本発明の処置方法が無害であるため、中心窩および視神経さえも含む網膜全体を処置することができる。さらに、偶発的な患者の運動による偶発的な視力喪失からの保護は問題ではない。代わりに、患者の運動は、十分な適用範囲を保証するためにレーザー光線の適用の追跡における誘導に主として影響するだろう。固視標、追跡機構から構成され、システムオペレーションにリンクされた、固定/追跡/登録のシステムは、多くの眼科用の診断システムにおいて一般的であり、本発明に組み込まれ得る。
ここで図8および9を参照すると、特に好ましい実施形態において、同時のレーザースポットの幾何パターンは、網膜表面の集密的且つ完全な処置を達成するように順次オフセットされる(offset)。網膜の部分は本発明に従って処置され得るが、より理想的には、網膜全体が1回の治療で処置される。これは、何百から何千ものスポットを眼底全体に一度に適用することによって、時間節約の方法で行われる。この同時のスポットのパターンは、網膜全体をカバーするように、アレイ全体として連続して、走査される、シフトされる、または向きを変えられる。
これは、光学走査機構60を使用して、制御された方法で行われ得る。図8および9は、MEMSミラーの形態の光学走査機構60を例証し、これは、電子的に作動される制御装置64および66を備えるベース62を有し、制御装置は、電気が適用され移される(removed)とミラー68を傾斜させパンする(pan)ように作用する。制御装置64および66に電気を適用することによって、ミラー68は移動し、それ故、同時のレーザースポットのパターンまたは他の幾何オブジェクトが、その上に反映され、したがって患者の網膜上に移動される。これは、例えば、網膜の完全な適用範囲、または処置されることが望まれる網膜の少なくとも一部が、光線療法にさらされるまで、光学走査機構60を調節する電子ソフトウェアプログラムを使用して、自動化方法で行われ得る。光学走査機構はまた、小さなビーム直径の走査検流計ミラーシステム、またはThorlabsによって流通されているものなどの、類似したシステムであってもよい。そのようなシステムは、望ましいオフセットパターンでレーザーをスキャンすることができる。
ここで図10を参照すると、レーザースポットを連続してオフセットするプロセスの概略図が示される。レーザースポットの幾何パターンが初期の曝露1に示され、幾何パターンはオフセットされ、網膜は曝露2において再び曝露され、ここで現在の曝露が円によって示され、前の曝露が黒色点によって表わされる。レーザースポットの間隔によって、組織に対する過熱および損傷が防がれる。これは、処置領域全体、または網膜全体さえもがSDMレーザー治療に曝露されるまで、複数の曝露にわたって繰り返される。このように、図3のAで例証されるような低密度治療は、図3のBで例証されるような高密度治療になることができる。しかしながら、もちろん、光学素子および生成されるレーザースポットの数、およびレーザースポット間の距離は、処置領域全体、または網膜全体さえもが、単一の曝露で同時に曝露され得るようなものであり得る。
本明細書に記載される本発明は、汎網膜の及び/又は中心窩にわたる処置に対して一般に安全である。しかしながら、使用者、つまり外科医は、疾患マーカーが位置付けられる網膜の特定の領域への処置を制限する、または瘢痕組織などからのより暗い色素形成を有する特定の領域における処置を予防することに備えること(preparing)が可能である。
American Standards Institute(ANSI)は、理論的および経験的なデータの組み合わせに基づいた安全な作業スペースでのレーザー露光に対する基準を開発した。「最大許容露光量」(MPE)は、生物学的作用を生むと期待されるレーザー露光レベルのおよそ1/10で設定された、安全レベルである。1倍(times)のMPEのレーザー露光レベルで、絶対的な安全性が予測され、このレベルでのレーザー放射の網膜曝露が生物学的影響を有さないと予測されるだろう。ANSIデータに基づいて、かろうじて目に見える(閾値)火傷を患うリスクの50%が、一般に、従来の連続波レーザー露光に対する10倍のMPEに遭遇する。同じパワーの低デューティーサイクルのマイクロパルスレーザー露光について、閾値の火傷のリスクは、およそ100倍のMPEである。したがって、低デューティーサイクルのマイクロパルスレーザー照射のための治療域(まったく何もしない状態と閾値の火傷をもたらす可能性の50%との間隔)は、同じエネルギーでの連続波レーザー照射に対する治療域よりも10倍広い。マイクロパルスダイオードレーザーを使用する安全且つ有効な致死量以下で、真の閾値以下の光凝固が、例えば、近赤外の810nmのダイオードレーザーに対する47倍のMPEでの網膜組織への好ましいレーザー露光を有して、18倍から55倍の間のMPEであると判定された。このレベルで、いかなる識別可能な網膜損傷もなく治療有効性があることが観察された。
網膜の処置スポットで1平方センチメートル当たり100ワットから590ワットの間、および好ましくは350ワットのレーザーの強度またはパワーが、効果的でありながらも安全であることが分かった。レーザー光線の特に好ましい強度またはパワーは、810nmのマイクロパルスダイオードレーザーに対して1レーザースポット当たりおよそ1ワットである。
現在のマイクロパルスダイオードレーザーにおけるパワー制限として、かなり長い曝露期間を必要とすることがある。曝露が長ければ長いほど、レーザースポットの残存部での曝露されていない組織への及び網膜におけるような基礎的な脈絡毛細管板へのセンタースポットでの放熱性がより重要となる。したがって、810nmのダイオードレーザーのマイクロパルスレーザー光線は、500ミリ秒以下、および好ましくはおよそ300ミリ秒の曝露(エンベロープ(envelope))期間を要するべきである。もちろん、マイクロパルスダイオードレーザーがより強力になった場合、曝露期間はそれにしたがって減少されるべきである。
本発明の別のパラメーターは、デューティーサイクル(一連のマイクロパルスの周波数、または連続するパルス間の熱緩和時間の長さ)である。同様のMPEレベルでの同様の放射照度でマイクロパルスレーザーを伝送するために調節された10%以上のデューティーサイクルの使用が、特により濃い眼底において致死的な細胞損傷のリスクを著しく増大させることが分かった。しかしながら、10%未満のデューティーサイクル、および好ましくはおよそ5%のデューティーサイクル(またはそれ以下(2.5%など))は、生物学的反応を刺激するのにMPE細胞のレベルで十分な熱上昇および処置を実証しているが、濃く染色された眼底においてさえ致死的な細胞損傷をもたらすと予測されるレベル以下のままである。さらに、デューティーサイクルが5%未満である場合、いくつかの実例における曝露(エンベロープ)期間は、500ミリ秒を超え得る。
特に好ましい実施形態では、小さなレーザースポットが使用される。これは、より大きなスポットが、大きなレーザースポット内の不均一な熱分布および不十分な熱放散に寄与し得るという事実が原因であり、これは、組織損傷またはより大きなレーザースポットの中心への組織破壊さえ引き起こす可能性がある。この用途において、「小さな」は、一般に直径1mm未満のスポットに当てはまる。しかしながら、スポットが小さければ小さいほど、熱放散および均一なエネルギー応用がより理想的になる。したがって、上に記載されるパワー強度および曝露期間では、レーザーの波長の大きさに沿ったスポットなどの小さなスポット、あるいは小さな幾何学的ラインまたは他のオブジェクトが、組織損傷を回避するべく均一な熱分布および熱放散を最大限にするために好まれる。
したがって、以下の重要なパラメーターが、本発明に従って、無害な「真の」閾値以下の光凝固を作り出すために発見された:a)低(好ましくは5%以下の)デューティーサイクル;b)蓄熱を最小限にする且つ熱放散を最大限にするように、与えられたレーザースポット内の均一の熱分布を確かなものとするための、小さなスポットサイズ;c)わずか7℃から14℃の組織温度上昇をもたらす18倍から55倍の間のMPEのレーザー露光をもたらす十分なパワー;および100−590W/cm2の間の放射照度。
先のパラメーターを使用して、従来の光凝固の光線療法の恩恵を生むと分かったが、従来の光線療法の欠点および複雑化を回避する、無害な「真の」閾値以下の光凝固の光線療法での処置が達成され得る。実際、本発明に従う致死量以下での、「真の」閾値以下の光凝固の光線療法によって、医師は、視力喪失または他の損傷をもたらすことなく、例えば、黄斑およびさらに中心窩などの敏感な領域を含む網膜全体の処置のために図3のBに示されたような、「低強度/高密度」の光線療法での処置を適用することができる。上に示されるように、網膜全体、特に中心窩上に従来の光線療法を使用することは、網膜での敏感な領域における組織損傷が原因で視力損失をもたらしかねないため、不可能であった。
議論されたSDM治療の有効性および安全性の分析は、プロセスについて記載する、レーザー吸収、熱拡散、およびアレニウス反応速度のための正確な方程式に対する近似値を用いて実行された。代替的なアプローチ(CWおよびパスカルおよびナノ秒のCWレーザー露光)のための同じ近似方程式を用いて、比較も行われた。以下は、典型的な操作パラメーターに関して、SDMが安全且つ有効である一方で、代替的な技術が、いずれも無効である且つ安全ではないことを示している。
<近似方程式からのアレニウス積分に対する結果>
最初の4つのケースでは、レーザー波長は810nmであり、一方でパスカルのケースでは、波長は532nmである。532nmに対する吸収係数は、810nmに対する吸収係数のおよそ4倍である。
これらの4つの療法に対する損傷およびHSP産生のためのアレニウス積分の結果は、表2に要約される。
Ω(dmg)>1であるときに損傷が生じ、Ω(HSP)>1であるときにHSP産生が生じる。したがって、望ましい処置結果は、Ω(dmg)<1およびΩ(HSP)>1である。
表2が示すように、標準的なSDM治療およびSDMに相当するCW温度だけが、これを達成する。
そのような高密度/低強度の閾値以下のダイオードマイクロパルスレーザーでの処置後に、処置の検証およびモニタリングが行われ得る。本明細書に記載される処置に対する反応は、治療前に網膜機能を試験することによって検出可能であり得る。そのような試験は、パターン網膜電図検査(PERG)、マイクロペリメトリー、および閾値のマイクロ視力検査を含んでもよく、これらはすべて既存の技術である。そのような処置後および治療前の網膜機能の試験は、処置の投与および効果の適合(conformation)を可能にする。これによってまた、網膜機能の試験の結果の悪化によって示唆された、再処置の必要性を判定するために、先を見越して患者を経過観察することができる。網膜機能の試験を真の閾値以下の処置と組み合わせることによって、検出可能な網膜損傷のない望ましい迅速な治療効果を実証することができる治療様式が可能となる。網膜機能の試験はまた、予防的に再処置の必要性に関して早い段階で検知することによって、疾患進行を予防することができる。
現在の網膜の治療手段は、解剖学的なものであり、これは、それらが、進行した及び末期の疾患においてのみ後期の(用語指標(term indicators))異常であることを意味している。解剖学的変化の進行前に明らかに正常な眼において改善し得る網膜機能の指標の使用は、解剖学的障害がない状態で治療効果を文書化する助けとなり得る。網膜機能の試験は、解剖学的疾患の進行前の再処置の必要性を示す(signal)ために使用され得る。臨床的/解剖学的な疾患、視力損失を予防する能力、およびより集中的且つ高価な処置の必要性は、合理的に最小限にされ得る。
本発明のプロセスおよび方法論は、初期の実験的な試行研究の主題であった。本発明を、高リスクのAMDおよび遺伝性変性症(IRD)に対する予防法/網膜保護として提供した。SDM治療前の1週間以内および処置後1か月以内に、試験を行った。SDM予防前後に評価されたこれらの患者の群における網膜および視覚機能の試験の結果を、パターン網膜電図検査(PERG)、自動化マイクロペリメトリー(AMP)および中心視アナライザー(CVA)試験によって評価した。
International Society for Clinical Electrophysiology of Visionの基準に従って、市販で利用可能なシステム(Diopsys(登録商標)Nova−ERG, Diopsys Corp., Pine Brook, New Jersey)の標準プロトコルを使用して、PERGを実行した。両眼を同時に試験し、個々に記録し、散大させず、60cmの試験距離で屈折させた。すべての視覚刺激のために、25°視野を占める輝度パターンが、15Hzの輝度反転率とともに提供される。
IRDに関しては、周辺部網膜の感度の分析のために最適化されたPERG「同心環(Concentric Ring)」(CR)の視覚刺激を利用し、これは1輝度の輪および対照的な輝度を備えた外環で表わされる。同心環の刺激は、それぞれ、16°と24°の視野を占める内輪を備えた2つのサブクラスの刺激を使用した。同心環の刺激は、100%のコントラストで117.6cd/m2の平均輝度を使用した。
AMDに関して、CRスキャンに加えて、対比感度(CS)刺激を利用し、64×64細胞の格子を示し、輝度レベルを交替し、112cd/m2の平均輝度および85%のコントラストを有する高コントラスト(HC)試験および106.4cd/m2の平均輝度および75%のコントラストを有する低コントラスト(LC)試験を記録した。
患者および機器の準備を、Diopsys(商標)ガイドラインに従って実行した。信号の取得および分析は、標準的な緑内障のスクリーニングプロトコルに従った。分析に利用可能な試験指数は、「Magnitude D」、「Magnitude(μV)」、および「MagD(μV)/Mag」(μV)比率を含んだ。「Magnitude D」[MagD(μV)]は、マイクロボルト(μV)での時間領域で平均化した信号の周波数応答である。黄斑及び/又は神経節細胞の機能不全は、信号レイテンシを引き起こし、結果として、位相相殺によってMagDを減少させる大きさ及び位相の変動性をもたらす。Magnitude(μV)[Mag(μV)]は、マイクロボルト(μV)での全信号の周波数応答を測定する。Mag(μV)は、個々の試験セッションの信号強度および電極インピーダンスに加えて、神経節機能の総計(gross measure)を反映している。MagD(μV)/Mag(μV)比率は、したがって、その特定の試験の電気品質に正常化された患者応答の測定値(measure)を提供する。MagD(μV)/Mag(μV)が、1(unity)に近づけば近づくほど、黄斑機能はより正常である。
AMP(MAIA, Centervue Inc, Fremont, CA)の試験を、製造販売会社の推奨事項に従って、散大または麻酔なしで実行した。記録されるデータは、パーセント減少した閾値、平均閾値、および一次および二次の固定局在化(fixation localization)を含んだ。
CVA(Visoptics, Mechanicsberg, PA)は、視力のFDAに承認された措置である。対話型コンピューターインターフェースを使用して、99%から35%までの範囲の、6つの異なるレベルのコントラストに対するlogMARの中心視力を動的に判定するために、閾値アルゴリズムを使用する。
インフォームドコンセントおよび瞳孔散大に従って、局所用プロパラカインを角膜に適用した。Mainsterの黄斑用のコンタクトレンズ(Ocular Instruments, Mentor, Ohio、拡大率1.05x)を、粘弾性溶液の助けを得て角膜上に置いた。最小の細隙灯照明の下で、主要な血管アーケードによって囲まれた後部網膜全体を、SDM(「汎黄斑」治療)の1800−3000の集密的な(confluent)スポット適用で「彩色した(painted)」。使用されるレーザーパラメーターは、810nmの波長、200umの空中スポットサイズ、5%のデューティーサイクル;および1.6ワットのパワーと0.075秒の持続時間(Oculight SLx, Iris Medical / Iridex Corp, Mountain View, California)であった。
データをすべて統計分析前に匿名化した。共変数としての時間の指標とともに、左眼または右眼に合わせて調節する、および考えられ得る眼間の相関性を補正するためのランダムな患者妨害(patient intercept)を含む、測定を予測する線形混合モデルを使用して、すべての分析を行った。最終的に、共変数としての処置前の値との差(処置後−処置前)を予測する、一変量の線形混合モデルを実行した。6つのそのようなモデルからの係数とp値を比較した。
下記では、「黄斑機能」および「網膜機能」は、網膜の生理機能および電気生理機能を指す。対照的に、「視覚機能」は、視力、視野、および対比感度などの測定値に言及するために使用される。
高リスクのAMDおよびIRDに対する汎黄斑のSDM予防法を受けている166人の患者の220の眼を識別した。これらは、AMDのために処置された158人の患者の210の眼;およびIRDのために処置された8人の患者の10の眼を含んでいた。これらのうち、AMDを患う108人の患者の167の連続する眼、およびIRDを患う8人の患者の10の連続する眼を、PERGによってSDM前後に評価し、これらは研究に対して適格であった。IRD診断は、桿体錐体の(rod−cone)変性(4つの眼)、錐体桿体の変性(3つの眼)、およびシュタルガルト病(3つの眼)を含んでいた。40の連続する眼にAMPを含む、PERGと同時の113の連続するAMDの眼において、視覚機能の試験を実行し、続く73の連続する眼においてCVA試験を実行した。
全体的に、149/168の眼は、SDM後にPERGによって改善された。手術前に20/20からCFまで及ぶスネレンの視力は変わらなかった。地図状萎縮を患う患者は、前の中心暗点の迅速な自覚的軽減または消失をしばしば報告した。有害な処置効果はなかった。
高リスクの萎縮型AMDを有する139/158の眼は、SDM後のPERGによって改善された。SDM後のCS HC MagD(uV)/Mag(uV)比率は、それほど改善されなかった(P=0.09)。しかしながら、CS LC MagD(uV)/Mag(uV)比率(P=0.0001)およびCS LC MagD(uV)振幅(P=0.02)は、著しく改善された。
表3は、PERG対比感度試験のデータセットに対する対象の比較を示す。各行は、2つのコントラストオプションでの、M(d)/M(uv)比率、M(d)測定、またはM(uv)測定における差(処置後−処置前)を示す。平均差がゼロとは異なるかどうかを試験するために、共変数としての時間に対する指標を使用する、また左眼または右眼に合わせて調節する、およびランダムな患者妨害を含む、測定を予測する線形混合モデルを実行した。p値は、時間(処置前対処置後(pre− versus post−))回帰係数に関連した値である。有意なp値は、平均差がゼロとは著しく異なることを示す。表は、M(d)/M(uv)比率(低コントラスト)の他に、M(d)測定(低コントラスト)が、処置前と比較して、処置後に著しく高いことを示している(正値はより高い処置後の値を示し、負値はより高い処置前の値を示す)。この方法は眼間の相関性を考慮している。
表4は、PERG Concentric Ring Testのデータセットに対する対象の比較を示す。各行は、24度および16度での、M(d)/M(uv)比率、M(d)測定、またはM(uv)測定における差(最初の処置後−処置前)を示す。平均差がゼロとは異なるかどうかを試験するために、測定を予測する線形混合モデルを、共変数としての時間に対する指標を使用して、また左眼または右眼に合わせて調節して、およびランダムな患者妨害を含んで、実行した。p値は、時間(処置前対処置後)回帰係数に関連した値である。有意なp値は、平均差がゼロとは著しく異なることを示す。表は、すべての比較が統計学的有意ではないことを示す。この方法は眼間の相関性を考慮している。
IRDを患う10/10の眼は、SDM後のPERGによって改善された。CR 16°試験は改善されなかった(P=0.19)が、CR 24°MagD(uV)/Mag(uV)比率(P=0.002)およびMagD(uV)振幅(P=0.006)は両方とも改善された。
表5はRPデータセットに対する対象の比較を示す。各行は、2つの度のオプション(two degree options)で、M(d)/M(uv)比率またはM(d)測定における差(処置後−処置前)を示す。すべての眼、処置された眼、および未処置の眼の統計が示される。小さなサンプルサイズおよび恐らくこれらの測定値の正規性の違反が原因で、ウイルコクソンの符号付き順位和検定を使用して、統計学的有意差を試験した。表は、M(d)/M(uv)比率、24度が、すべての眼(p=0.04、正値はより高い処置後の値を示し、負値はより高い処置前の値を示す)および処置された眼(p=0.002)において処置前と比較して処置後に著しくより高いことを示す。さらに、M(d)24度が、処置された眼において処置前と比較して処置後に著しくより高いことがわかる(p=0.006)。他の比較は統計学的に有意ではない。
AMDにおいて、AMPの平均閾値はSDM後に改善された(P=0.0439)。CVA試験は、99%から35%までの6つすべてのレベルのコントラストに対するVAにおいて著しい改善を示した。(P=0.049からP=0.006までのP値)。
表6は、AMPのデータセットに対する対象の比較を示す。各行は、低下した及び平均の閾値に加えて、P1およびP2における差(追加手術−手術前)を示す。平均差がゼロとは異なるかどうかを試験するために、共変数としての時間(手術前対追加手術)に対する指標を使用する、また左眼または右眼に合わせて調節する、およびランダムな患者妨害を含む、測定を予測する線形混合モデルを実行した。p値は、時間(手術前対追加手術)回帰係数に関連した値である。有意なp値は、平均差がゼロとは著しく異なることを示す。平均閾値のみが、手術前対追加手術で著しく異なる。
表7は、各コントラストレベルの差(処置後−処置前)を示す。平均差がゼロとは異なるかどうかを試験するために、共変数としての時間に対する指標を使用する、また左眼または右眼に合わせて調節する、およびランダムな患者妨害を含む、測定を予測する線形混合モデルを使用した。表は、すべてのコントラストレベルでの著しい改善を示す。この方法は眼間の相関性を考慮している。
線形回帰分析は、AMDとIRDの両方におけるすべての試験する測定に対する著しい逆相関を明らかにし、これは、手術前の測定が悪ければ悪いほど、術後の改善の可能性が高まることを示している。
SDMの1か月後にPERGによって改善された28/33の眼は、SDMの6−9か月後にPERGによって改善されたままであった。本発明の有益な効果を確証するために、他の試験の手段および測定が実施することも可能である。例えば、ラマン分光法が、リアルタイムの治療をモニタリングする方法として使用される可能性もある。超分光法および反射率測定を含む、他の試験手順も使用される可能性がある。
本発明に従う、網膜保護療法と、その後の時宜を得た機能的に誘導された再処置は、経時的に疾患進行を遅らせる及び合併症と視力喪失を減少させる可能性を有している。例えば、予防法としての本発明、汎網膜のSDMが、深刻な非増殖性から増殖性の糖尿病性網膜症の進行の速度を、1年当たりの予期される50%からたった8.5%まで減少させることが分かった。
幾つかの実施形態は、例証目的で詳細に記載されているが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよい。したがって、本発明は、添付の請求項を除いて、限定されないものとする。