ポリエステル
本発明による組成物は、上に定義されたもの等の少なくとも1種のポリエステルを含む。したがって、それらは、単一のポリエステル、又は複数の異なるポリエステルの混合物を含んでもよい。
液体ポリエステルとは、室温(25℃)において1分間未満でその自重によって流れ始めるポリエステルを意味する。
「不飽和脂肪酸」とは、本発明の枠組みにおいては、14〜22個の炭素原子を含むモノ又はポリ不飽和脂肪酸のことを示す。不飽和脂肪酸ダイマーは、特に、それらの炭素鎖中に2〜4箇所の不飽和を含んでもよい。不飽和脂肪酸トリマーは、特に、それらの炭素鎖中に3〜6箇所の不飽和を含んでもよい。好ましくは、不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーは、分子当たり少なくとも2個且つ最大6個までのカルボン酸官能基を含むポリカルボン酸である。
好ましい実施形態においては、不飽和脂肪酸ダイマーは、28〜44個の炭素原子及び2個のカルボン酸官能基を含み得る。不飽和脂肪酸トリマーは、42〜66個の炭素原子及び3個のカルボン酸官能基を含み得る。
好ましい実施形態によれば、ポリエステルは、36個の炭素原子及び2個のカルボン酸官能基を含む不飽和脂肪酸ダイマーと、ジオールとを縮合することによって得られる。
不飽和脂肪酸及び/又は飽和脂肪酸のダイマー及びトリマー(非重合形態、したがってモノマーに相当する)の混合物もまた、本発明の枠組みの中に組み入れることができる。そのような混合物の場合、50質量%超のダイマーを含有する混合物、例えば酸の90質量%超、好ましくは95質量%超をダイマーの形態で含む混合物が好ましく、その混合物の残余は不飽和脂肪酸トリマー及び/又はモノマーであり得る。
不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーは、不飽和脂肪酸の重合反応の後、特にダイマー又はトリマー生成物の安定性を改善するために、可能性としては水素化されてもよい。
水素化脂肪酸ダイマー(オレイン酸又はリノール酸)は、特にCognis社によってEMPOL1008、EMPOL1004、EMPOL1025、EMPOL1011、及びEMPOL1062のブランドで、並びにUniqema, International社によってPripol 1006(ジリノール酸)が販売されている。Uniqema社はまた、Pripol 1013(水素化ジリノール酸)の名称で水素化脂肪酸ダイマーを販売している。
特に好ましくは、不飽和脂肪酸ダイマーは、ジリノール酸とも呼ばれるリノール酸ダイマーであり、リノール酸の分子間重合によって得られる。
不飽和脂肪酸は、天然由来、好ましくは植物由来であってもよい。植物由来の脂肪酸は、該脂肪酸を生成する任意の植物源に由来してよい。例えば、リノール酸の場合、ダイズ又はナタネから抽出された分子を使用することができる。
したがって、本発明による組成物中のポリエステルは、長鎖脂肪酸をジオールと縮合重合させることによって得られる。
本発明の枠組みにおいては、「ジオール」は、その炭素鎖が2個のヒドロキシル官能基によって置換されている、C2〜C10、好ましくはC2〜C8、優先的にはC2〜C6の炭化水素化合物のことを示す。炭化水素鎖は、酸素原子によって中断されていてもよい。
本発明に従って使用することができるジオールは、飽和又は不飽和の、直鎖、分岐鎖、又は環状アルコールであり得る。好ましくは、ジオールは飽和直鎖ジオールである。
特に好ましくは、ジオールは、ブタンジオール、特に1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、又は1,4-ブタンジオールであり、好ましくは1,4-ブタンジオールである。
有利なことには、本発明による組成物に組み入れるポリエステルは、500から2,000の間、好ましくは1,000から2,000の間、優先的には1,200から1,800の間の平均分子量を有する。
特に好ましい実施形態においては、不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーと、ジオールとを縮合することによって得られるポリエステルは、ジリノール酸と1,4-ブタンジオールとのポリマー又はポリエステルである。
好ましい実施形態によれば、本発明によるポリエステルは、好ましくは1,500の平均分子量、40℃において2500〜3500cStの粘度、及び25℃において1.475〜1.485の屈折率を有する、ジリノール酸と1,4-ブタンジオールとのポリエステルである。
この点に関して、Biosynthesis社によってViscoplast 14436H(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)の名称で販売されているポリマーを特に挙げることができる。
ある実施形態によれば、本発明の組成物中におけるポリエステルの含有量は、該組成物の総質量に対して厳密に12質量%未満、好ましくは10質量%以下、好ましくは7質量%以下、優先的には5質量%である。
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、該組成物の総質量に対して3質量%〜12質量%、優先的には5質量%〜10質量%のポリエステルを含む。
オイル
本発明による組成物は、少なくとも1種のオイルを含む。「オイル」とは、室温及び大気圧において液体の脂肪体を意味する。本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性オイル及び/又は少なくとも1種の追加的な不揮発性オイル、並びにこれらの混合物を含んでもよい。
揮発性オイル
本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発性オイルを含み得る。
「揮発性オイル」という用語は、室温及び大気圧において、皮膚と接触して1時間未満で蒸発しやすいオイル(又は非水性媒体)を表す。揮発性オイルは、室温で液体である揮発性の化粧用オイルである。より正確には、揮発性オイルは、0.01から200mg/cm2/分の間(範囲の両端を含む)の蒸発速度を有する。
この蒸発速度を測定するために、試験対象の15gのオイル又はオイルの混合物を直径7cmの晶析器に導入し、温度25℃及び湿度測定で相対湿度50%に管理されたおよそ0.3m3の大きなチャンバ内に配置された秤に載せる。液体を放置して、該オイル又は該混合物を収容する晶析器の真上に、ブレードを晶析器に向け且つ晶析器の基部に対して20cmの距離となるように配置されたファン(PAPST-MOTOREN社、参照名8550N、2700rpmで回転)を用いて換気することにより、撹拌せずに自然に蒸発させた。晶析器内に残っているオイルの質量を、一定の間隔で測定する。蒸発速度は、単位面積(cm2)当たり、及び単位時間(分)当たりの蒸発したオイルのmgで表される。
この揮発性オイルは、炭化水素オイルであってもよい。
炭化水素揮発性オイルは、7〜16個の炭素原子を有する炭化水素オイルから選択することができる。
本発明による組成物は、1種又は数種の揮発性分岐鎖アルカンを含有してもよい。「1種又は数種の揮発性分岐鎖アルカン」とは、任意の「1種又は数種の揮発性分岐鎖アルカンオイル」を意味する。
7〜16個の炭素原子を有する炭化水素揮発性オイルとしては、特にC8〜C16分岐鎖アルカン、例えばC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとも呼ばれる)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン等、及び例えばIsopar又はPermethylの商品名で販売されているオイル、ネオペンタン酸イソヘキシル等のC8〜C16分岐鎖エステル、並びにこれらの混合物を特に挙げることができる。好ましくは、8〜16個の炭素原子を有する炭化水素揮発性オイルは、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、及びこれらの混合物の中から選択され、特にイソドデカンである。
本発明による組成物は、1種又は数種の揮発性直鎖アルカンを含有してもよい。「1種又は数種の揮発性直鎖アルカン」とは、任意の「1種又は数種の揮発性直鎖アルカンオイル」を意味する。
本発明にとって好適である揮発性直鎖アルカンは、室温(約25℃)及び大気圧(760mmHg)において液体である。
本発明にとって好適である「揮発性直鎖アルカン」とは、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、即ち101325Pa)において、皮膚と接触して1時間未満で蒸発しやすく、室温で液体であり、特に室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において0.01〜15mg/cm2/分の範囲の蒸発速度を有する、化粧用の直鎖アルカンを意味する。
好ましくは植物由来の直鎖アルカンは、7〜15個の炭素原子、特に9〜14個の炭素原子、より特定すると11〜13個の炭素原子を含む。
本発明にとって好適である直鎖アルカンの例としては、Cognis社の特許出願、WO2007/068371又はWO2008/155059に記載されているアルカン(別個のアルカン混合物であり、少なくとも1個の炭素で異なる)を挙げることができる。
これらのアルカンは脂肪アルコールから得られ、これらの脂肪アルコール自体はココナッツオイル又はパームオイルから得られる。
本発明にとって好適である直鎖アルカンの例としては、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)、n-ペンタデカン(C15)、及びこれらの混合物、並びに特にSociete Cognis社の出願WO2008/155059の実施例1に記載されているn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)の混合物を挙げることができる。また、Sasol社によってPARAFOL 12-97及びPARAFOL 14-97の参照名でそれぞれ販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、並びにこれらの混合物も挙げることができる。
直鎖アルカンは単独で使用されてもよく、或いは少なくとも1個の炭素数で互いに異なる、少なくとも2種の別個のアルカンの混合物、特に少なくとも2個の炭素数で互いに異なる、10〜14個の別々の炭素原子を含む少なくとも2種の直鎖アルカンの混合物、特にC11/C13直鎖揮発性アルカンの混合物又はC12/C14直鎖アルカンの混合物、特にn-ウンデカン/n-トリデカンの混合物(このような混合物は、WO2008/155059の実施例1又は実施例2に従って得ることができる)として使用されてもよい。
代替的又は追加的に、作製された組成物は、化粧用途に適合する少なくとも1種の揮発性シリコーン溶媒又はオイルを含んでもよい。
シリコーンオイルとは、少なくとも1個のケイ素原子を含有し、特にSi-O基を含有するオイルを意味する。一実施形態によれば、該組成物は、組成物の総質量に対して10質量%未満、好ましくは5質量%未満の不揮発性シリコーンオイルを含むか、又は更にはシリコーンオイルを含まない。
シリコン揮発性オイルとしては、環状ポリシロキサン、直鎖ポリシロキサン、及びこれらの混合物を挙げることができる。直鎖揮発性ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、及びヘキサデカメチルヘプタシロキサンを挙げることができる。環状揮発性ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン(decamathylcyclopentasiloxane)、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン(dodemethylcyclohexasiloxane)を挙げることができる。
代替的又は追加的に、作製される組成物は、少なくとも1種のフッ化揮発性オイルを含んでもよい。
フッ化オイルという用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含有するオイルを指す。
揮発性フッ化オイルとしては、ノナフルオロメトキシブタン又はペルフルオロメチルシクロペンタン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
揮発性オイルは、本組成物の総質量に対して0.1質量%〜80質量%の範囲、好ましくは0.5質量%〜70質量%の範囲、優先的には本組成物の総質量に対して0.5質量%〜60質量%の範囲、より優先的には10質量%〜50質量%の含有量で存在してもよい。特に、揮発性オイルは、本組成物中に、本組成物の総質量に対して30質量%以上、更には35質量%以上、更には40質量%以上、更には45質量%以上の含有量で存在してもよい。
好ましい代替形態によれば、本組成物は少なくともイソドデカンを含み、好ましくは該組成物の総質量に対して20質量%以上、更には35質量%以上、更には40質量%以上、更には45質量%以上の含有量で含む。
追加の不揮発性オイル
上に定義されたもの等のポリエステルに加えて、本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性オイルを含んでもよい。
「不揮発性オイル」という用語は、室温及び周囲圧力において皮膚又はケラチン繊維上に留まるオイルを表す。より正確には、不揮発性オイルは、0.01mg/cm2/分を厳密に下回る蒸発速度を有する。
本発明にとって好適である追加の不揮発性オイルは、炭化水素オイル及びシリコーンオイルの中から選択することができる。
本発明にとって好適である不揮発性炭化水素オイルは、特に以下の中から選択することができる。
- 脂肪酸エステル及びグリセロールで構成されるトリグリセリド等の植物由来の炭化水素オイル(この場合、脂肪酸はC4〜C28の範囲の鎖長を有することができ、後者は直鎖状又は分岐状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい);これらのオイルは、特にコムギ胚芽、ヒマワリ、ブドウ種子、ゴマ、トウモロコシ、アンズ、トウゴマ、シア、アボカド、オリーブ、ダイズ油、スイートアーモンド、ヤシ、ナタネ、綿、ヘーゼルナッツ、マカダミア、ホホバ、アルファルファ、ポピーシード、カボチャ(pumpkin)、ゴマ、カボチャ(squash)、ナタネ、クロフサスグリ、マツヨイグサ、キビ、オオムギ、キノア、ライムギ、ベニバナ、ククイノキ、トケイソウ、マスクローズオイルである;或いはStearineries Dubois社によって販売されているもの、又はSasol社によってMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)、及び818(登録商標)の商品名で販売されているもの等のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド;
- 10〜40個の炭素原子を有する合成エーテル;
- ワセリン、ポリデセン、Parleam等の水素化ポリイソブテン、スクアレン、及びこれらの混合物等の鉱物由来又は合成由来の直鎖又は分岐鎖炭化水素、
- 式R1COOR2を有するオイル(式中、R1は1〜40個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖脂肪酸の残基を表し、R2は炭化水素鎖、特に1〜40個の炭素原子を含有する分岐鎖炭化水素鎖を表し、R1+R2≧10である)等の合成エステル、例えばピュアセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C12〜C15安息香酸アルコール、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、オクタン酸アルコール又はポリアルコール、ジオクタン酸プロピレングリコール等のデカン酸エステル又はリシノール酸エステル等;乳酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル等のヒドロキシル化エステル;及びペンタエリスリトールエステル、
- 室温において液体であり、12〜26個の炭素原子を有する分岐鎖且つ/又は不飽和炭素鎖を有する脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレインアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、又は2-ウンデシルペンタデカノール;
- オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びこれらの混合物等の高級脂肪酸。
本発明にとって好適である不揮発性シリコーンオイルは、特に以下の中から選択することができる。
- 本発明による組成物において使用することができる不揮発性シリコーンオイルは、不揮発性であるポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルキル基又はアルコキシ基を含み、これらの基が側鎖であるか、又はシリコーン鎖の末端にあり、前記基がそれぞれ2〜24個の炭素原子を有するポリジメチルシロキサン;フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニル-トリシロキサン、又は(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケート等のフェニル化シリコーンであってもよい。
本発明による組成物中の不揮発性オイルの含有量(上に記載されたもの等の液体ポリエステルを含める)は、本組成物の総質量に対して0.01質量%〜30質量%、特に0.1質量%〜25質量%、より特定すると0.1質量%〜20質量%の範囲であり得る。
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、該組成物の総質量に対して10質量%未満、特に5質量%未満、好ましくは3質量%未満、より好ましくは2質量%未満の水を含む。
特に、本発明による組成物は無水物であってもよい。
好ましくは、本発明による組成物は無水組成物である。「無水」という用語は特に、水が、好ましくは組成物に対して意図的に添加されることはないが、組成物中で使用される様々な化合物中に痕跡量で存在し得ることを示す。
オイルの存在に加えて、本発明による組成物は、少なくとも1種のワックス又はワックスの混合物を含む。
ワックス
本発明による組成物は、少なくとも1種のワックスを含み、またワックスの混合物を含んでもよい。
本発明の枠組みにおいて考慮されるワックスは、一般的に、室温(25℃)において固体であり、固体/液体の可逆的な状態変化を伴い、融点が30℃以上であり、最大200℃まで、特に120℃までである親油性化合物である。
特に、本発明にとって好適であるワックスは、45℃以上、特に55℃以上の融点を有し得る。
本発明によれば、融点は、ISO規格11357-3、1999年に記載されているように、熱分析(DSC)において観察された最高吸熱ピークの温度に等しい。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社によって「DSC Q2000」の名称で販売されている熱量計を用いて測定することができる。
好ましくは、ワックスは、70J/g以上の融解エンタルピーΔHfを有する。
好ましくは、ワックスの少なくとも一部分は、結晶化にとって好適であり、これはX線回折による観察で視覚化できる。
測定プロトコルは以下の通りである。
るつぼに入れたワックスの試料5mgを、10℃/分の加熱速度で-20℃から120℃への第1の温度上昇に供し、次いで、10℃/分の冷却速度で120℃から-20℃に冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で-20℃から120℃への第2の温度上昇に供する。第2の温度上昇中に、以下のパラメータを測定する。
- 上述のように、吸収された力の差の変動を温度の関数として表す、観察された融解曲線の、最高吸熱ピークの温度に等しいワックスの融点(Tf)、
- ΔHf:得られた融解曲線全体の積分に等しい、ワックスの融解エンタルピー。このワックスの融解エンタルピーは、化合物を固体状態から液体状態へと変化させるために必要とされるエネルギー量である。これは、単位J/gで表される。
ワックスは、炭化水素、フッ化及び/又はシリコーンワックスであってもよく、植物由来、鉱物由来、動物由来、及び/又は合成由来であってもよい。
ワックスは、本組成物の総質量に対して5質量%以上、好ましくは7質量%、優先的には本組成物の総質量に対して10質量%、より優先的には15質量%の含有量で存在してもよい。好ましくは、ワックスは、該組成物の総質量に対して12質量%〜40質量%、特に14質量%〜30質量%、より好ましくは15質量%〜25質量%の範囲の含有量で存在する。
ワックスとしては、炭化水素ワックス、例えばミツロウ、ラノリンワックス、及びイボタ蝋(Chinese insect wax)、ライスワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オウリキュリーワックス(Ouricury wax)、アルファワックス(Alfa wax)、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、木蝋(Japan wax)及びハゼ蝋(sumac wax);モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン及びオゾケライトワックス;ポリエチレンワックス、フィッシャー-トロプシュ合成によって得られるワックス、並びにワックス状コポリマー、並びにこれらのエステル等の使用が好ましくあり得る。
また、C8〜C32直鎖又は分岐鎖脂肪鎖を有する動物油又は植物油の触媒水素化によって得られるワックスも挙げることができる。
これらの中でも、Desert Whale社によってISO-JOJOBA-50(登録商標)の商品名で製造又は販売されているトランス異性化された部分水素化ホホバオイル等の異性化ホホバオイル、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化ココナッツオイル、水素化ラノリン油、HETERENE社によって「HEST 2T-4S」の名称で販売されているジ-(トリメチロール-1,1,1プロパン)テトラステアレート、HETERENE社によってHEST 2T-4Bの名称で販売されているジ-(トリメチロール-1,1,1プロパン)テトラベヘネートを特に挙げることができる。
また、16〜45個の炭素原子を有するアルキルジメチコーン又はアルコキシジメチコーン等のシリコンワックス、フッ化ワックスも挙げることができる。
また、SOPHIM社によって「PHYTOWAX Olive 18 L 57」の名称で販売されている、ステアリルアルコールでエステル化されたオリーブオイルを水素化することによって得られるワックス、又は「PHYTOWAX ricin 16L64及び22L73」の名称で販売されている、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油を水素化することによって得られるワックスを使用することもできる。そのようなワックスについては、出願FR-A-2792190に記載されている。
本組成物は、少なくとも1種の非極性ワックスを含んでもよい。好ましくは、ワックスは、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、及びこれらの混合物の中から選択される1種又は数種の非極性ワックスを含む。
本組成物は、少なくとも1種の極性ワックスを含んでもよい。「極性ワックス」という用語は、その化学構造内に、炭素原子及び水素原子に加えて、O、N、又はP等の少なくとも1個の電気陰性度の高いヘテロ原子を含むワックスを表す。
好ましくは、ワックスは、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、天然(又は漂白された)ミツロウ及び合成ミツロウ、パラフィン及び炭化水素ワックス、並びにこれらの混合物の中から選択される、1種若しくは数種の極性ワックス及び/又は非極性ワックスを含む。合成ミツロウとしては、Evonik Goldschmidt社によってCyclochem 326 Aの名称で販売されているワックス(INCI名:合成ミツロウ)を挙げることができる。
好ましくは、本組成物は、極性ワックスと非極性ワックスの混合物を含む。
本組成物は、0.05MPa〜15MPaの範囲、好ましくは6MPa〜15MPaの範囲の硬度を有する少なくとも1種のワックスを含んでもよい。硬度は、RHEO社によってTA-TX2iの名称で販売されているテクスチュロメータを用いて20℃において測定される圧縮力の測定によって判定される。このテクスチュロメータには、2mmの直径を有するステンレス鋼製シリンダーが装備されており、このシリンダーを、0.1mm/秒の測定速度で動かし、ワックスに0.3mmの貫入深さで貫入させる。
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、粘着性であると呼ばれる、即ち0.7N・s以上の粘着性及び3.5MPa以下の硬度を有する、少なくとも1種のワックスを含んでもよい。
そのような粘着性ワックスを使用することにより、特に、睫毛に対して容易に適用され、睫毛に対する良好な付着性を有し、滑らかで均質且つ太く見せるメークアップの形成をもたらす化粧用組成物を得ることが可能となり得る。
使用される粘着性ワックスは、特に0.7N・s〜30N・sの範囲、特に1N・s以上、特に1N・s〜20N・sの範囲、特に2N・s以上、特に2N・s〜10N・sの範囲、特に2N・s〜5N・sの範囲の粘着性を有し得る。
ワックスの粘着性は、時間に応じた力(圧縮力又は伸縮力)の変化を、RHEO社によって「TA-TX2i(登録商標)」の名称で販売されているテクスチュロメータを用いて20℃において測定することで判定される。このテクスチュロメータには、45°の角度を形成するコーンの形状のアクリルポリマー製可動装置が装備されている。
測定プロトコルは以下の通りである。
ワックスを、ワックスの融点+10℃に等しい温度で溶融する。溶融したワックスを、直径25mm及び深さ20mmの容器に注ぎ入れる。ワックスの表面が平坦且つ滑らかとなるように、ワックスを室温(25℃)で24時間再結晶させ、次いでワックスを20℃で少なくとも1時間保管した後、粘着力の測定を実行する。
テクスチュロメータの可動装置を0.5mm/秒の速度で動かし、次いでワックスに2mmの貫入深さまで貫入させる。可動装置がワックスに2mmの深さで貫入したら、可動装置を1秒間動かさずに保持し(緩和時間に相当する)、次いで0.5mm/秒の速度で引き抜く。
緩和時間の間に、力(圧縮力)はゼロになるまで実質的に減少し、その後、可動装置が引き抜かれている際には、力(伸縮力)はマイナスになり、次いで再び値ゼロまで上昇する。粘着性は、時間に応じた力の曲線の、力(伸縮力)の値がマイナスに相当している曲線の一部分に関する積分に相当する。粘着性の値はN・sで表される。
使用することができる粘着性ワックスは概して、3.5MPa以下、特に0.01MPa〜3.5MPaの範囲、特に0.05MPa〜3MPaの範囲、更には0.1MPa〜2.5MPaの範囲の硬度を有する。
硬度は、上に記載されたプロトコルに従って測定される。
ワックスとしては、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(アルキル基は20〜40個の炭素原子を含む)を、単独で又は混合物として使用することができ、特に、式(II)を有するC20〜C4012-アルキル(12'-ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート
(式中、mは18〜38の範囲の整数である)、
又は式(II)を有する化合物の混合物を使用することができる。
そのようなワックスは、特に、KOSTER KEUNEN社によって「Kester Wax K 82 P(登録商標)」及び「Kester Wax K 80 P(登録商標)」の名称で販売されている。
また、STRAHL and PITSCH社によってSP18の参照名で販売されているマイクロクリスタリンワックスを使用することもできる。このワックスは、約0.46MPaの硬度及び約1N・sの粘着性の値を有する。
ワックスは、ワックスの水性微粒分散体の形態で存在してもよい。「ワックスの水性微粒分散体」という用語は、ワックス粒子のサイズが約1μm以下である、該ワックス粒子の水性分散体を指す。
ワックスの微粒分散体は、ワックスのコロイド粒子の安定した分散体であり、特に「Microemulsions Theory and Practice」、L.M. Prince Ed.、Academic Press(1977年)21〜32頁に記載されている。
特に、これらのワックスの微粒分散体は、界面活性剤及び可能性としては一定量の水の存在下でワックスを溶融し、次いで撹拌しながら温水を段階的に添加することによって得ることができる。油中水型エマルジョンの中間的形成が観察されたら、続いて転相を行うことで、最終的に水中油型マイクロエマルジョンが得られる。冷却中に、ワックスの固体コロイド粒子の安定な微粒分散体が得られる。
ワックスの微粒分散体はまた、超音波、高圧ホモジナイザー、タービン等の撹拌手段を用いて、ワックス、界面活性剤、及び水の混合物を撹拌することによって得ることもできる。
ワックスの微粒分散体の粒子は、好ましくは、1μm未満(特に0.02μm〜0.99μmの範囲)、好ましくは0.5μm未満(特に0.06μm〜0.5μmの範囲)の平均寸法を有する。
好ましくは、本発明による組成物は、本組成物の総質量に対して5質量%以上の総含有量の極性ワックス、有利なことには極性炭化水素ワックスを含む。本発明による組成物は、有利なことには、本組成物の総質量に対して1質量%〜30質量%の範囲の総含有量の極性ワックス、好ましくは本組成物の総質量に対して5質量%〜20質量%のワックスを含む。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のパラフィンワックスを、好ましくは該組成物の総質量に対して少なくとも2質量%の含有量で含む。
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、本組成物の総質量に対して0.5質量%以上好ましくは1質量%〜15質量%、特に本組成物の総質量に対して1.5質量%〜10質量%、より優先的には本組成物の総質量に対して1.5質量%〜9質量%の総含有量の非極性ワックスを含む。
染料
本発明による組成物は、少なくとも1種の染料を含んでもよい。
この染料又はこれらの染料は、好ましくは、粉末材料、脂溶性染料、水溶性染料、及びこれらの混合物で構成される群から選択される。
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の粉末染料を含む。好ましくは、粉末染料は顔料の中から選択され得る。
好ましくは、本発明による組成物中に含有される顔料は、金属酸化物、好ましくは酸化鉄の中から選択される。
これらの染料は、本組成物の総質量に対して0.01質量%〜20質量%、特に本組成物の総質量に対して1質量%〜15質量%、好ましくは3質量%〜10質量%の範囲の含有量で存在し得る。
好ましくは、染料は、本組成物の総質量に対して2質量%以上、有利なことには本組成物の総質量に対して両端を含む3質量%から12質量%の間の含有量で存在する、1種又は数種の金属酸化物の中から選択される。
皮膜形成性親油性ポリマー
本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性皮膜形成性ポリマーを含んでもよい。
親油性皮膜形成性ポリマーは、本発明による組成物中に、本組成物の総質量に対して0.1〜20質量%、好ましくは2質量%〜15質量%、より好ましくは4質量%〜10質量%の範囲の乾燥物質含有量で存在し得る。
本発明において、「皮膜形成性ポリマー」とは、単独で又は補助の皮膜形成剤の存在下において、ケラチン繊維に対して付着する巨視的に連続する皮膜、好ましくは粘着性皮膜、より好ましくは粘着性及び機械的特性が、例えばテフロン(登録商標)又はシリコーンの表面等の付着防止性の表面上に注ぐことによって該皮膜が実行される場合に、該皮膜を単離することができ、且つ単離された様式で取り扱うことができるようなものである、皮膜を形成することができるポリマーを指す。
本発明の組成物において使用することができる皮膜形成性ポリマーの中でも、ラジカルタイプ又は重縮合体タイプの合成ポリマー、天然由来のポリマー、及びこれらの混合物を挙げることができる。
ラジカル皮膜形成性ポリマー
「ラジカル皮膜形成性ポリマー」という用語は、各モノマーが単独重合可能である(重縮合ではなく)不飽和モノマー、特にエチレン性の不飽和モノマーを重合させることによって得られるポリマーを指す。
ラジカル皮膜形成性ポリマーは、特にポリマー、又はコポリマー、ビニル、特にアクリル系ポリマーであり得る。
ビニル皮膜形成性ポリマーは、少なくとも1個の酸基を含有するエチレン性不飽和モノマー、及び/又はこれらの酸モノマーのエステル、及び/又はこれらの酸モノマーのアミドの重合から、結果として得ることができる。
酸基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等のα,β-エチレン性不飽和カルボン酸を使用することができる。好ましくは、(メタ)アクリル酸及びクロトン酸が使用され、より優先的には(メタ)アクリル酸が使用される。
酸モノマーのエステルは、有利なことには、(メタ)アクリル酸のエステル((メタ)アクリレートとも呼ばれる)、特にアルキル(メタ)アクリレート、特にC1〜C30アルキル、好ましくはC1〜C20アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、特にC6〜C10アリールメタ(アクリレート)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特にC2〜C6ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中から選択される。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、及びシクロヘキシルメタクリレートが挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中でも、ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2-hydroxypropyle acrylate)、ヒドロキシエチルメタクリレート、及び2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができる。
アリール(メタ)アクリレートの中でも、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートを挙げることができる。
特に好ましい(メタ)アクリル酸のエステルは、アルキル(メタ)アクリレートである。
本発明によれば、エステルのアルキル基は、フッ素化されていてもよく、或いは全フッ素置換されていてもよく、即ちアルキル基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置換されている。
酸モノマーのアミドとしては、例えば(メタ)アクリルアミド、特にN-アルキル(メタ)アクリルアミド、特にC2〜C12アルキルを挙げることができる。N-アルキル(メタ)アクリルアミドの中でも、N-エチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、N-t-オクチルアクリルアミド、及びN-ウンデシルアクリルアミドを挙げることができる。
また、ビニル皮膜形成性ポリマーは、ビニルエステル及びスチレンモノマーの中から選択されるモノマーの単独重合又は共重合から、結果として得ることができる。特に、これらのモノマーは、上述したもの等の酸モノマー及び/又はそれらのエステル及び/又はそれらのアミドと重合されてもよい。
ビニルエステルの例としては、ビニルアセテート、ネオデカノエート、ビニルピバレート、ビニルベンゾエート、及びビニルt-ブチルベンゾエートを挙げることができる。
スチレンモノマーとしては、スチレン及びα-メチルスチレンを挙げることができる。
皮膜形成性重縮合体
皮膜形成性重縮合体の中でも、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、及びエポキシエステル樹脂、ポリウレアを挙げることができる。
ポリウレタンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性のポリウレタン、アクリル系ポリウレタン、ポリ-ウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンポリウレア、及びこれらの混合物の中から選択することができる。
ポリエステルは、ポリオール、特にジオールとのジカルボン酸の重縮合によって連続的に得ることができる。
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式、又は芳香族であり得る。そのような酸の例としては、以下を挙げることができる:シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカンジオン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸。これらのジカルボン酸モノマーは、単独で又は少なくとも2種のジカルボン酸モノマーの組合せとして使用することができる。これらのモノマーの中でも、フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸が、好ましくは選択されることになる。
ジオールは、脂肪族、脂環式、芳香族のジオールの中から選択することができる。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、4-ブタンジオールの中から選択されるジオールが、好ましくは使用されることになる。他のポリオールとしては、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパンを使用することができる。
ポリエステルアミドは、ポリエステルと同様の様式で、二酸とジアミン又はアミノアルコールとを重縮合することによって得ることができる。ジアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタ-又はパラ-フェニレンジアミンを使用することができる。アミノアルコール(aminoalcool)としては、モノエタノールアミンを使用することができる。
本発明による組成物の代替的実施形態によれば、親油性皮膜形成性ポリマーは、上に記載されたもの等のオイルを含む液体脂肪相中に溶解したポリマーであり得る(そして、この皮膜形成性ポリマーは、脂溶性ポリマーであるとされる)。好ましくは、液体脂肪相は、可能性としては不揮発性オイル、上述のオイルの中から選択することができるオイルとの混合物として揮発性オイルを含む。
脂溶性ポリマーの例としては、ビニルエステル(既に存在しているビニルエステル以外の)、α-オレフィン(8〜28個の炭素原子を有する)、アルキルビニルエーテル(このアルキル基は2〜18個の炭素原子を含む)、又はアリル若しくはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合した1〜19個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基を有する)であり得る少なくとも1種の他のモノマーとのビニルエステルコポリマー(ビニル基はエステル基の酸素原子に直接結合しており、このビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合した1〜19個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基を有する)を挙げることができる。
これらのコポリマーは、架橋剤を用いることで部分的に架橋されていてもよく、この架橋剤は、ビニル型、又はアリル若しくはメタリル型のいずれか、例えばテトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエート、及びジビニルオクタデカンジオエート等であり得る。
コポリマーの例としては、以下のコポリマーを挙げることができる:ビニルアセテート/アリルステアレート、ビニルアセテート/ビニルラウレート、ビニルアセテート/ビニルステアレート、ビニルアセテート/オクタデシルビニルエーテル、ビニルプロピオネート/アリルラウレート、ビニルプロピオネート/ビニルラウレート、ビニルステアレート/エチルビニルエーテル、ビニルプロピオネート/セチルビニルエーテル、ビニルステアレート/アリルアセテート、ビニルジメチル-2,2-オクタノエート/ビニルラウレート、アリルジメチル-2,2-ペンタノエート/ビニルラウレート、ビニルジメチルプロピオネート/ビニルステアレート、アリルジメチルプロピオネート/ビニルステアレート、0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルプロピオネート/ビニルステアレート、0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルジメチルプロピオネート/ビニルラウレート、0.2%のテトラアリルオキシエタンで架橋されたビニルアセテート/オクタデシルビニルエーテル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルアセテート/アリルステアレート、0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルアセテート/オクタデセン-1、及び0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたアリルプロピオネート/アリルステアレート。
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の脂溶性ポリマーを含む。
特に、該脂溶性ポリマーは、ビニルエステルコポリマー(ビニル基はエステル基の酸素原子に直接結合しており、このビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合した1〜19個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基を有する)、アリル又はメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合した1〜19個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素基を有する)の中から選択される。
好ましくは、該脂溶性ポリマーは、ビニルアセテート/アリルステアレートコポリマーから選択される。
脂溶性皮膜形成性ポリマーとしては、脂溶性コポリマーを挙げることができ、特に、9〜22個の炭素原子を有するビニルエステル、又はアルキル基が10〜20個の炭素原子を有するアルキルアクリレート若しくはメタクリレートの共重合から、結果として得られる脂溶性コポリマーを挙げることができる。
そのような脂溶性コポリマーは、ビニルポリステアレートのコポリマー、ジビニルベンゼンを用いて架橋したビニルポリステアレートのコポリマー、ジアリルエーテル又はジアリルフタレート、ステアリルポリ(メタ)アクリレート、ビニルポリラウレート、ラウリルポリ(メタ)アクリレートのコポリマー(これらのポリ(メタ)アクリレートは、エチレングリコール又はテトラエチレングリコールジメタクリレートを用いて架橋することができる)の中から選択することができる。
上に定義された脂溶性コポリマーについては公知であり、特にFR2232303に記載されている。それらの脂溶性コポリマーは、2,000〜500,000、好ましくは4,000〜200,000の範囲の質量平均分子量を有し得る。
別の実施形態によれば、9〜22個の炭素原子を有するビニルエステルの共重合から結果として得られる少なくとも1種のコポリマー、特にビニルポリラウレートコポリマーを、脂溶性コポリマーとして使用することができる。
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、アリルビニル/ステアレートアセテートコポリマー、ビニルポリラウレートコポリマー、及びこれらの混合物の中から選択される少なくとも1種の脂溶性ポリマーを含む。
本発明において使用することができる脂溶性皮膜形成性ポリマーとしてはまた、ポリアルキレン、特にポリブテン等のC2〜C20アルケンコポリマー、エチルセルロース及びプロピルセルロース等の、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖C1〜C8アルキル基を有するアルキルセルロース、ビニルピロリドン(VP)のコポリマー、特にビニルピロリドンと、C2〜C40、より特定するとC3〜C20のアルケンとのコポリマーも挙げることができる。本発明において使用することができるVPコポリマーの例としては、ビニルVP/アセテートコポリマー、エチルVP/メタクリレート、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、エチル/メタクリル酸VP/メタクリレート、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレン、VP/アクリル酸/ラウリルメタクリレートを挙げることができる。
また、一般にシリコーンオイルに可溶性又は膨潤性であるシリコーン樹脂を挙げることもできる。これらのシリコーン樹脂は、架橋ポリオルガノシロキサンポリマーである。シリコーン樹脂の分類は、「MDTQ」という名称で知られており、樹脂はそれに含まれる様々なシロキサンモノマー単位に応じて記載され、文字「MDTQ」の各々が単位の種類を特徴付ける。
市販のポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、以下の販売されているものを挙げることができる。
- Wacker社によってResin MKの参照名で販売されているもの、例えばBelsil PMS MK等、
- SHIN-ETSU社によってKR-220Lの参照名で販売されているもの。
シロキシシリケート樹脂としては、General Electric社によってSR1000の参照名で販売されているもの又はWacker社によってTMS 803の参照名で販売されているもの等の、トリメチルシロキシシリケート樹脂(TMS)を挙げることができる。更に、シクロメチコーン等の溶媒中で販売されるトリメチルシロキシシリケート樹脂を挙げることもでき、例えばShin-Etsu社によって「KF-7312J」の名称で販売されており、又はDow Corning社によって「DC749」、「DC593」の名称で販売されている。
また、ポリジメチルシロキサンに関して上述したもの等のシリコーン樹脂コポリマー、例えばDow Corning社によってBIO-PSAの参照名で販売されており、文献US5162410に記載されている感圧接着性コポリマー等、又は上に記載されたもの等のシリコーン樹脂と、ジオルガノシロキサンとの反応から得られるシリコーンコポリマー、例えば文献WO2004/073626に記載されているもの等も挙げることができる。
本発明のある実施形態によれば、皮膜形成性ポリマーは、皮膜形成性の直鎖に配列されたエチレン性ポリマーである。このエチレン性ポリマーは、好ましくは、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1つの第1の配列及び少なくとも1つの第2の配列を含み、該第1及び第2の配列は、第1の配列を構成する少なくとも1個のモノマーと第2の配列を構成する少なくとも1個のモノマーとを含む中間配列によって接続されている。
有利には、配列されたポリマーの第1及び第2の配列は、互いに不適合性である。
そのようなポリマーについては、例えばEP1411069又はWO04/028488に記載されている。
親油性皮膜形成性ポリマーはまた、本組成物中に、非水性相中の分散体の粒子の形態で存在してもよい。皮膜形成性ポリマーの非水性分散体の例としては、イソドデカン中のアクリル系分散体、例えばCHIMEX社のMexomere PAP(登録商標)等、液体脂肪相中におけるグラフト化エチレン性ポリマー、好ましくはアクリル系ポリマーの粒子の分散体であって、エチレン性ポリマーが有利なことには粒子の表面上の追加的な安定化剤を伴わずに分散されているもの、特にWO04/055081に記載されているもの等を挙げることができる。
好ましくは、本発明による組成物は、特にビニルアセテート/アルキルステアレートコポリマー、ビニルポリラウレートコポリマー、及びこれらの混合物の中から選択される、少なくとも1種の脂溶性皮膜形成性ポリマーを含む。
親油性ゲル化剤
本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性ゲル化剤を含んでもよい。このゲル化剤は有機であっても無機であってもよく、高分子であっても分子的であってもよい。
無機親油性ゲル化剤の例としては、任意に修飾されたクレイ、例えばC10〜C22脂肪酸アンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライト等、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライト等、例えばELEMENTIS社によってBentone 38V(登録商標)の名称で販売されているもの等を挙げることができる。
また、粒径が1μm未満である、任意に疎水性表面処理を伴う焼成シリカを挙げることもできる。実際、シリカ表面上に存在するシラノール基における還元を引き起こす化学反応によって、シリカの表面を化学的に修飾することが可能である。シラノール基は特に疎水性基で置換することができるため、疎水性シリカが得られる。この疎水性基は以下であってもよい。
- 特にヘキサメチルジシラザンの存在下で焼成シリカを処理することによって得られるトリメチルシロキシル基。このようにして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)では「シリル化シリカ」と呼ばれる。これらは、例えばDEGUSSA社によってAerosil R812(登録商標)の参照名で販売されており、CABOT社によってCAB-O-SIL TS-530(登録商標)の参照名で販売されている、
- 特にポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下で焼成シリカを処理することによって得られるジメチルシリルオキシル基又はポリジメチルシロキサン基。このようにして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)では「ジメチルシリル化シリカ」と呼ばれる。これらは、例えばDEGUSSA社によってAerosil R972(登録商標)及びAerosil R974(登録商標)の参照名で販売されており、CABOT社によってCAB-O-SIL TS-610(登録商標)及びCAB-O-SIL TS-720(登録商標)の参照名で販売されている。疎水性焼成シリカは特に、例えばおよそ5〜200nmの範囲の、ナノメートル単位からマイクロメートル単位であり得る粒径を有する。
高分子有機親油性ゲル化剤は、例えば三次元構造を有する、部分的又は全体的に架橋されたエラストマー系オルガノポリシロキサン、例えばSHIN-ETSU社によってKSG6(登録商標)、KSG16(登録商標)、及びKSG18(登録商標)の名称で販売されているもの、DOW-CORNING社によってTrefil E-505C(登録商標)及びTrefil E-506C(登録商標)の名称で販売されているもの、GRANT INDUSTRIES社によってGransil SR-CYC(登録商標)、SR DMF10(登録商標)、SR-DC556(登録商標)、SR 5CYCゲル(登録商標)、SR DMF 10ゲル(登録商標)、及びSR DC 556ゲル(登録商標)の名称で販売されているもの、GENERAL ELECTRIC社によってSF 1204(登録商標)及びJK 113(登録商標)の名称で販売されているもの等;エチルセルロース、例えばDOW CHEMICAL社によってEthocel(登録商標)の名称で販売されている製品等;(α)ダイマー脂肪酸等の少なくとも32個の炭素原子を含有するジカルボン酸の中から選択される少なくとも1種の酸と、(β)アルキレンジアミン、特にエチレンジアミンとの間の縮合から結果として得られるポリアミド型重縮合体であって、ポリアミドポリマーが、12〜30個の炭素原子を含有し、直鎖且つ飽和である少なくとも1種のモノアルコール又は1種のモノアミンでエステル化又はアミド化されている少なくとも1個の末端カルボン酸基を含む、ポリアミド型重縮合体、特にエチレンジアミン/ジリノール酸ステアリルコポリマー、例えばARIZONA CHEMICAL社によってUniclear 100 VG(登録商標)の名称で販売されている製品等;単糖当たり1〜6個、特に2〜4個のヒドロキシル基を含有し、飽和又は不飽和アルキル鎖で置換されているガラクトマンナン、例えばC1〜C6、特にC1〜C3アルキル鎖でアルキル化されたグアーガム等、並びにこれらの混合物である。「ジブロック」、「トリブロック」、又は「ラジアル」タイプのブロックコポリマー、ポリスチレン/ポリイソプレン又はポリスチレン/ポリブタジエンタイプのブロックコポリマー、例えばBASF社によってLuvitol HSB(登録商標)の商品名で販売されているもの等、ポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)タイプのブロックコポリマー、例えばSHELL CHEMICAL CO社によってKraton(登録商標)の名称で販売されているもの等、又はポリスチレン/コポリ(エチレン-ブチレン)タイプのブロックコポリマー、イソドデカン中のトリブロックコポリマー及びラジアル(スター)コポリマーの混合物、例えばPENRECO社によってVersagel(登録商標)の商品名で販売されているもの等、例えばイソドデカン中のブチレン/エチレン/スチレントリブロックコポリマー及びエチレン/プロピレン/スチレンスターコポリマーの混合物(Versagel M 5960)。
また、本発明による組成物における使用にとって好適である親油性ゲル化剤の中でも、パルミチン酸デキストリン等のデキストリンと脂肪酸とのエステル、特にCHIBA FLOUR社によってRheopearl TL(登録商標)又はRheopearl KL(登録商標)の名称で販売されているもの等を挙げることもできる。
特定の実施形態によれば、親油性ゲル化剤は、無機親油性ゲル化剤、特にジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライトの中から選択される。
特定の実施形態によれば、親油性ゲル化剤は、親油性ポリアミド重縮合体の中から選択される。
「重縮合体」という用語は、本発明に関しては、重縮合、即ち、特に酸、アルコール、及びアミン官能基の中から選択される異なる官能基を有するモノマーの間での化学反応による重縮合を通じて得られるポリマーを指す。
「ポリマー」という用語は、本発明に関しては、少なくとも2個の繰り返しパターン、少なくとも3個の繰り返しパターン、より好ましくは10個の繰り返しパターンを有する化合物を意味する。
親油性ポリアミド重縮合体は、特に、a)少なくとも1個の側鎖ではないアミドパターンを備える、炭化水素の繰り返しパターンを有する高分子主鎖と、可能性としてはb)6〜120個の炭素原子、好ましくは8〜120個の炭素原子、より好ましくは12〜70個の炭素原子を含む少なくとも1個の脂肪側鎖、及び/又は少なくとも4個の炭素原子を含み、且つこれらの炭化水素パターンに連結している、官能化されていてもよい少なくとも1個の末端脂肪鎖とを含むポリアミドポリマーの中から選択することができる。
「官能化された鎖」という用語は、本発明に関しては、特にアミド、ヒドロキシル、エーテル、オキシアルキレン、又はポリオキシアルキレン基、ハロゲン、これらの中でフッ素化又は全フッ素置換された基、エステル、シロキサン、ポリシロキサンの中から選択される、1種又は数種の官能基又は反応物(reagent)を含むアルキル鎖を指す。更に、1種又は数種の脂肪鎖の水素原子は、フッ素原子で少なくとも部分的に置換されていてもよい。
「炭化水素の繰り返しパターン」という用語は、本発明に関しては、水素原子及び可能性としては酸素原子を有する、2〜80個の炭素原子、好ましくは2〜60個の炭素原子を含むパターンを指し、このパターンは、直鎖、分岐鎖、又は環状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい。これらのパターンは更に、有利なことには側鎖ではなく、高分子主鎖において見出される、少なくとも1個のアミド基を含む。
有利なことには、側鎖は、高分子主鎖の窒素原子のうちの少なくとも1個に直接結合している。
親油性ポリアミド重縮合体は、炭化水素パターンの間に、シリコーンパターン又はC2〜C3のオキシアルキレンパターンを含んでもよい。
更に、本発明の組成物の親油性ポリアミド重縮合体は、有利なことには、アミドパターン及び脂肪鎖の総数に対して40〜98%、より好ましくは50〜95%の脂肪鎖を含む。
好ましくは、脂肪側鎖は、ポリマーのアミドパターンの窒素原子のうちの少なくとも1個に結合している。特に、このポリアミドの脂肪鎖は、アミドパターン及び脂肪鎖の総数の40〜98%、より好ましくは50〜95%に相当する。
有利なことには、親油性ポリアミド重縮合体は、100,000未満(特に1000〜100000)、特に50,000未満(特に1000〜50,000)、より特定すると1000〜30,000、好ましくは2000〜20,000、より好ましくは2000〜10,000の質量平均分子量を有する。
親油性ポリアミド重縮合体は、特に25℃において水に対して不溶性である。特に、親油性ポリアミド重縮合体は、イオン性基を含まない。
本発明において使用することができる好ましい親油性ポリアミド重縮合体としては、6〜120個の炭素原子、より特定すると8〜120個、特に12〜68個の炭素原子を有する脂肪側鎖及び/又は末端脂肪鎖で分岐しているポリアミドを挙げることができ、ここで各末端脂肪鎖は、少なくとも1個の結合基Lによってポリアミド主鎖に結合している。結合基Lは、エステル、エーテル、アミン、ウレア、ウレタン、チオエステル、チオエーテル、チオウレア、チオウレタン基の中から選択することができる。好ましくは、これらのポリマーは、ポリアミド主鎖の各末端に脂肪鎖を含む。
これらのポリマーは、好ましくは、少なくとも32個の炭素原子を有する(特に32〜44個の炭素原子を有する)ジカルボン酸と、少なくとも2個の炭素原子(特に2〜36個の炭素原子)を有するジアミン、及び少なくとも2個の炭素原子(特に2〜36個の炭素原子)を有するトリアミンの中から選択されるアミンとの間の重縮合から結果として得られるポリマーである。二酸は、好ましくは、少なくとも16個の炭素原子、好ましくは16〜24個の炭素原子を有する、オレイン酸、リノール酸、又はリノレン酸等のエチレン不飽和脂肪酸に由来する二量体である。ジアミンは、好ましくはジアミンエチレン、ジアミンへキシレン、ジアミンヘキサメチレンである。トリアミンは、例えばトリアミンエチレンである。1個又は2個の末端カルボン酸基を含むポリマーでは、これらのポリマーを、少なくとも4個の炭素原子、好ましくは10〜36個の炭素原子、より好ましくは12〜24個、更により好ましくは16〜24個、例えば18個の炭素原子を有するモノアルコールでエステル化することが有利である。
本発明による組成物の親油性ポリアミド重縮合体は、特に、以下の式(A)を有するポリマーの中から選択することができる。
式中、
nは、1〜30で変動する整数であり、
R'1は、各出現時において独立して脂肪鎖を表し、少なくとも4個の炭素原子、特に4〜24個の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル(alcenyl)基の中から選択され、
R'2は、各出現時において独立して、1〜52個の炭素原子を含む二価炭化水素鎖を表し、
R'3は、各出現時において独立して、飽和又は不飽和であり、環状又は非環状であり、可能性としては置換されており、且つ/又は可能性としては好ましくは酸素及び窒素の中から選択される1個又は数個のヘテロ原子によって中断されており、少なくとも1個の炭素原子を含む二価炭化水素基を表し、特にR'3は、直鎖又は分岐鎖のアルキレン鎖(C1〜C8)、好ましくはエチレン等の直鎖アルキレン(C1〜C6)を表し、
R'4は、各出現時において独立して、水素原子、1〜10個の炭素原子を含む1個のアルキル基、又はR'3及び別のR'4から選択される少なくとも1個の基との直接結合(該基が別のR'4である場合、R'3及びR'4の両方に結合している窒素原子は、R'4-N-R'3によって定義される複素環式構造の一部を形成する)を表すが、但し、R'4のうち少なくとも50%は水素原子を表すことを条件とし、
Lは、上に定義されたもの等の少なくとも1個のR'1基によって可能性としては置換されている、エステル又はエーテル又はアミン又はウレア又はウレタン又はチオエステル又はチオエーテル又はチオウレア(thiurea)又はチオウレタン基の中から好ましくは選択される、結合基を表す。
ある実施形態によれば、これらのポリマーは、結合基Lがエステル基、エステル-C(O)-O-又は-O-C(O)-を表す式(A)を有するポリマーの中から選択される。
これらのポリマーは、より特別には、Union Camp社のUS-A-5783657に記載されているものである。
これらのポリマーの各々は、特に以下の式(B)を満たす。
式中、
- mは、エステル基の数が、エステル基及びアミド基の総数の10%〜50%に相当するようなアミド基の整数を示し、
- R1は、各出現時において独立して、少なくとも4個の炭素原子、特に4〜24個の炭素原子を有するアルキル基又はアルケニル基を表し、
- R2は、各出現時において独立して、C4〜C42炭化水素基を表すが、但し、R2基のうち50%は、C30〜C42炭化水素基を表すことを条件とし、
- R3は、各出現時において独立して、飽和又は不飽和であり、環状又は非環状であり、可能性としては置換されており、且つ/又は可能性としては好ましくは酸素及び窒素の中から選択される1個又は数個のヘテロ原子によって中断されており、少なくとも1個の炭素原子を含む二価炭化水素基を表し、特にR3は、直鎖又は分岐鎖のアルキレン鎖(C1〜C8)、好ましくはエチレン等の直鎖アルキレン(C1〜C6)を表し、
- R4は、各出現時において独立して、水素原子、C1〜C10アルキル基、又はR3若しくは別のR4との直接結合(R3及びR4の両方に結合している窒素原子は、R4-N-R3によって定義される複素環式構造の一部を形成する)を表し、R4のうち少なくとも50%は水素原子を表す。
式(B)の特定の場合においては、本発明に関して可能性としては官能化されている末端脂肪鎖は、ポリアミド主鎖の最後の窒素原子と連結している末端鎖である。
特に、本発明に関して、末端脂肪鎖及び/又は脂肪側鎖の一部である式(B)のエステル基は、エステル基及びアミド基の総数の15〜40%、特に20〜35%に相当する。
加えて、mは、有利なことには、1〜5の範囲の整数、より特定すると3以上の整数を表す。
好ましくは、R1は、C12〜C22、好ましくはC16〜C22アルキル基である。有利なことには、R2は、飽和又は不飽和であり、環状又は非環状である二価炭化水素基であってもよく、特にR2は、直鎖又は分岐鎖(C10〜C42)アルキレン鎖を表す。好ましくは、R2基の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%は、30〜42個の炭素原子を有する基である。その他のR2は、C4〜C19、更にはC4〜C12の炭化水素基である。
好ましくは、R3はC2〜C36炭化水素基又はポリオキシアルキレン基を表し、R4は水素原子を表す。好ましくは、R3はC2〜C12炭化水素基を表す。
炭化水素基は、直鎖、環状、又は分岐鎖であり、飽和又は不飽和の基であり得る。また、アルキル基及びアルキレン基は、直鎖又は分岐鎖であり、飽和又は不飽和の基であり得る。
一般に、式(B)のポリマーは、ポリマー混合物の形態を有し、これらの混合物は更に、nが0に等しい式(B)の化合物、即ちジエステルに相当する合成生成物を含有することも可能である。
本発明の特定の好ましい形態によれば、ジアミンエチレンにおいて縮合したC36二酸のコポリマーの混合物が使用される。末端エステル基は、残留する酸の末端を、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はこれらの混合物(セチルステアリルアルコールとも呼ばれる)によってエステル化することから結果として生じる(INCI名:エチレンジアミン/ジリノール酸ステアリルダイマーコポリマー)。その質量平均モル質量は、好ましくは6000であり、更に優先的には4000である。これらの混合物は、特にARIZONA CHEMICAL社によってUNICLEAR 80及びUNICLEAR 100 VGの商品名で、それぞれ、鉱油中80%(の活性材料)及び100%(の活性材料)の形態で販売されている。これらの混合物はまた、CRODA社によってOLEOCRAFT LP-10-PA-(MV)の商品名で、それぞれ、保存料を伴って99.7%(の活性材料)で販売されている。これらは、88℃〜94℃の軟化点を有する。
また、一般式(A)を満たすポリアミド重縮合体に関しては、少なくとも1個の第三級アミド結合基によって高分子主鎖に結合している少なくとも1個の末端脂肪鎖を含むポリマー(アミド末端ポリアミド又はATPAとも呼ばれる)を挙げることもできる。これらのポリマーに関する更なる情報については、US6503522を参照することができる。
本発明の特定の好ましい形態によれば、より特定すると、水素化リノール二酸、エチレンジアミン、ジ(C14〜C18)アルキルアミンのコポリマー(INCI名:エチレンジアミド/水素化ダイマージリノレートコポリマー ビス-ジ-C14〜C18アルキルアミド)が使用される。このコポリマーは、特にARIZONA CHEMICAL社によってSYLVACLEAR A200Vの商品名で販売されている。
また、別の実施形態によれば、式(A)を有するポリアミドは、エステル末端を有するポリ(エステル-アミド)(エステル末端ポリ(エステル-アミド)又はETPEA)、であってもよく、例えばその調製がUS6552160に記載されているものであってもよい。
本発明の特定の好ましい形態によれば、より特定すると、水素化リノール二酸、エチレンジアミン、ネオペンチルグリコール、及びステアリルアルコールのコポリマー(INCI名:ビス-ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化ダイマージリノレートコポリマー)が使用される。このコポリマーは、特にARIZONA CHEMICAL社によってSYLVACLEAR C75 Vの商品名で販売されている。
更に、本発明において使用することができるポリアミド重縮合体としては、少なくとも1個のエーテル又はポリエーテル結合基によって高分子主鎖に結合している少なくとも1個の末端脂肪鎖を含有するもの(そして、これはエーテル末端ポリ(エーテル)アミドと呼ばれる)を挙げることもできる。そのようなポリマーは、例えば文献US6399713に記載されている。
本発明によるポリアミドは、有利なことには、65℃超であり、且つ最大190℃までの範囲であり得る軟化点を有する。好ましくは、本発明によるポリアミドは、70℃〜130℃、より好ましくは80℃〜105℃の範囲の軟化点を有する。ポリアミドは、特に非ワックス状ポリマーである。
また、本発明において使用することができるポリアミド重縮合体としては、脂肪族ジカルボン酸及びジアミンの縮合から結果として得られるポリアミド樹脂(2個超のカルボニル基及び2個超のアミン基を有する化合物を含む)を挙げることもできる。隣接する単位パターンのカルボニル基及びアミン基は、アミド結合を介して縮合されている。これらのポリアミド樹脂は、特にGeneral Mills, Inc.社及びHenkel Corp.社によってVersamidのブランド名で販売されているもの(Versamid 930、744、又は1655)、又はOlin Mathieson Chemical Corp.社によってOnamidのブランド名で販売されているもの、特にOnamid S若しくはCである。これらの樹脂は、6000〜9000の範囲の質量平均モル質量を有する。これらのポリアミドに関する更なる情報については、文献US3645705及びUS3148125を参照することができる。より特定すると、Versamid 930又は744が使用される。
また、Arizona Chemical社によってUni-Rez(2658、2931、2970、2621、2613、2624、2665、1554、2623、2662)の参照名で販売されているポリアミド、並びにHenkel社によってMacromelt 6212の参照名で販売されている製品を使用することもできる。これらのポリアミドに関する更なる情報については、US5500209を参照することができる。
特許US5783657及びUS5998570に記載されているもの等の、植物由来のポリアミド樹脂を使用することも可能である。
好ましくは、親油性ポリアミド重縮合体は、ジアミンエチレンにおいて縮合したC36二酸のコポリマーである。末端エステル基は、残留する酸の末端を、セチルアルコール、ステアリルアルコール、又はこれらの混合物によってエステル化することから結果として生じる。
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性ゲル化剤、特に少なくとも1種の無機親油性ゲル化剤、特にジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで修飾されたヘクトライト、及び少なくとも1種の親油性ポリアミド重縮合体、並びにこれらの混合物、特に少なくとも1種の無機親油性ゲル化剤及び少なくとも1種の親油性ポリアミド重縮合体の混合物を含む。
親油性ゲル化剤は、本組成物中に、本組成物の総質量に対して0.05質量%〜12質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%の範囲の活性材料の量で存在してもよい。
フィラー
また、本発明による組成物は、少なくとも1種のフィラーを含んでもよい。
フィラーは、当業者に周知であり、化粧用組成物において一般的に使用されているものの中から選択することができる。フィラーは、無機であっても有機であってもよく、層状であっても球状であってもよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、Atochem社によってOrgasol(登録商標)の名称で販売されているNylon(登録商標)等のポリアミド粉末、ポリ-β-アラニン及びポリエチレン、Teflon(登録商標)等のテトラフルオロエチレンポリマー粉末、ラウロイル-リジン、デンプン、窒化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのもの等の高分子中空ミクロスフェア、例えばNobel Industrie社によってExpancel(登録商標)の名称で販売されているもの等、Dow Corning社によってPolytrap(登録商標)の名称で販売されているもの等のアクリル系粉末、メチルポリメタクリレート粒子及びシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば、Toshiba社のTospearls(登録商標))、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(MAPRECOS社のSilica Beads(登録商標))、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する有機カルボン酸に由来する金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、マグネシウム、又はリチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
また、熱で膨潤しやすい化合物、特にポリビニリデン/アクリロニトリル/塩化メチルメタクリレートのコポリマー、又はアクリロニトリルのホモポリマーのコポリマーの未膨張ミクロスフェア等の熱膨張性粒子、例えばAKZO NOBEL社によって、それぞれExpancel(登録商標) 820 DU 40及びExpancel(登録商標)007WUの参照名で販売されているもの等を使用することもできる。
フィラーは、本組成物の総質量に対して0.1質量%〜10質量%、特に0.2質量%〜5質量%に相当し得る。
添加剤
また、本発明による組成物は、少なくとも1種の添加剤を含んでもよい。
本発明による組成物において使用することができる添加剤としては、特にペースト状脂肪体、抗酸化剤、保存料、芳香剤、中和剤、皮膚軟化剤、増粘剤、融合助剤、可塑剤、保湿剤、ビタミン、及びこれらの混合物を挙げることができる。
無論のこと、当業者であれば、これらの任意の追加的化合物及び/又はその量を慎重に選択して、本発明による組成物の活性成分の有利な特性が、想定される添加によって悪影響を受けない、又は実質的に受けないようにする。
化粧用組成物
本発明はまた、生理学的に許容される媒体中に、上に定義されたもの等の組成物を含む、化粧用組成物にも関する。
「生理学的に許容される媒体」という用語は、皮膚、睫毛、又は眉毛に対する本発明の組成物の適用にとって特に好適である媒体を表すことを意図する。
生理学的に許容される媒体は、概して、本組成物が適用される支持体の性質に関して好適であり、本組成物がパッケージされる手段にとっても好適である。
実行される組成物は、特にマスカラ等の睫毛用製品の形態、又は眉毛用製品の形態を有し得る。より優先的には、本発明はマスカラに関する。「マスカラ」という用語は、睫毛への適用を意図する組成物を表す。これは、睫毛用のメークアップ組成物、睫毛用のメークアップベース(ベースコートとも呼ばれる)、マスカラの上に適用する組成物(トップコートとも呼ばれる)、又は睫毛の美容トリートメント用の組成物であり得る。マスカラは、より特定すると、ヒトの睫毛だけでなく、つけ睫毛も対象とする。
用途
本発明はまた、ケラチン物質、特に睫毛等のケラチン繊維をコーティングするための非治療的美容方法であって、該ケラチン物質、特に睫毛に、少なくとも上に定義されたような化粧用組成物を適用する工程を含む、方法にも関する。
本発明はまた、ケラチン物質、特に睫毛等のケラチン繊維をメークアップするための非治療的美容方法であって、ケラチン物質、特に睫毛に、上に定義されたような化粧用組成物を適用する工程を含む、方法にも関する。
キット
本発明はまた、対象として、ケラチン繊維をコーティングするための化粧用組成物のパッケージング及び適用のための、ユニット又はキットを有し、これは以下を含む。
- 上に記載したもの等のケラチン繊維をコーティングするための該化粧用組成物を、パッケージするためのデバイス、
- 該組成物のためのアプリケータ。
該アプリケータは、該パッケージングデバイス用のカバーを形成する把持部材と一体であってもよい。換言すれば、該アプリケータは、該組成物をパッケージするためのデバイスの分配用開口部の密閉位置と解放位置との間において、該デバイスの取り外し可能な位置に据え付けることができる。
本発明に対して適合されたケラチン繊維をコーティングするためのキットは、特に、ケラチン繊維をコーティングするための該化粧用組成物を適用するように構成されたアプリケータと、該当する場合には、該組成物を受容するように適合されたパッケージング用のデバイスとを含み得る。
アプリケータ
アプリケータは、睫毛又は眉毛等のケラチン繊維を滑らかにし、且つ/又は分離することを可能にする手段であり、特に歯、毛、ピン、又は他の起伏の形態である手段を備える。
アプリケータは、本組成物を睫毛又は眉毛に適用するように構成され、例えばブラシ又はコームを備えてもよい。
更に、アプリケータは、本組成物でメークアップした又は本組成物が付着した(loaded)睫毛又は眉毛の領域に、メークアップの仕上げを行うために使用することもできる。
ブラシは、ねじれた芯と、芯の渦巻きの間にある毛とを備えてもよく、或いは更に別の様式で実行されてもよい。
コームは、例えば、プラスチック材料の成型によって単一の部品で作製される。
ある特定の実施形態においては、適用のための要素は心棒の端部に据え付けられる。この心棒は可撓性であってもよく、これは、適用中の快適さの向上に寄与し得る。
パッケージングデバイス
パッケージングデバイスは、ケラチン繊維をコーティングするための組成物を収容することを意図した容器を備える。そして、この組成物は、アプリケータを容器内に浸すことによって、容器内から取り出すことができる。
このアプリケータは、容器を閉鎖するための要素と一体になっていてもよい。この閉鎖要素は、アプリケータを把持するための部材を形成してもよい。この把持部材は、ねじ留め、スナップ嵌め、プレス嵌め等の任意の好適な手段によって、該容器上に取り外し可能に据え付けるためのカバーを形成することができる。したがって、そのような容器は、該アプリケータを可逆的様式で収容することができる。
この容器には、アプリケータが取り出した余分な生成物を取り除くように適合された圧搾デバイスが装備されてもよい。
また、本発明による組成物を睫毛又は眉毛に適用するための方法は、以下の工程も含み得る。
- 本化粧用組成物の堆積物を睫毛又は眉毛の上に形成する工程、
- 堆積物を睫毛又は眉毛の上で放置して、この堆積物が乾燥できるようにする工程。
別の実施形態によれば、アプリケータが、生成物の容器を形成してもよいことに留意されたい。そのような場合、容器は例えば把持部材の中に設けられてもよく、内部チャネルが、この把持部材を突出する適用要素へと内部接続することができる。
最後に、パッケージング及び適用のためのユニットは、アプリケータ及びパッケージングデバイスを同じパッケージング物品に別個に収容することができるキットの形態を有してもよいことに留意されたい。
本出願全般にわたって、「を含む(comprising a)」又は「を含む(including a)」という用語は、別途特定されない限り、「を少なくとも1種含む(comprising at least one)」又は「を少なくとも1種含む(including at least one)」を意味する。
上の説明全般にわたって、別途特定されない限り、「xからyの間」という用語は、上限及び下限を包括する範囲を指し、即ち値x及びyは、その範囲内に含まれる。
上に定義されたもの等のポリエステルを伴う本発明による組成物、及びこのポリエステルを伴わない比較組成物を調製し、それらのボリューム効果、並びに適用、安定性、及びメークアップに関するそれらの性質について試験した。
該組成物の調製プロトコル
本組成物を、ローターステータを用いる方法に従って調製した。
第1の工程において、以下のプロトコルに従ってベントンゲルを調製した。
イソドデカンをビーカー中で秤量し、次いでRayneri撹拌器内に配置して室温で分散させた(速度は、溶媒の量に応じて400〜600rpmである)。次いで、室温のままで撹拌しながら、修飾されたヘクトライトをイソドデカン中に散布することによって添加した。
その後、炭酸プロピレンを添加し、全体を室温で約45分間静置した。
次いで、二重シェルのスキレット内でワックスが溶融するまで油浴と接続することでワックスを溶融させることによって、ワックス状の混合物を調製した(浴槽設定、120℃)。ワックスが溶融したら直ぐに、均質化するために、全体をローターステータを用いたRayneriによる撹拌下に配置した。
次いで、ローターステータを用いて約1500〜1700rpmで撹拌を続けながら、このワックス状混合物に顔料を添加した。スキレット内を95℃にするために、油浴の設定を下げ、全体を20〜30分間静置させた。
ローターステータで撹拌しながら(上に示されたように調製した)ベントンゲルを添加し、この撹拌を2000rpmまで増加した。混合物の温度を低下させ、温度が85℃で均質になるまで放置した。
その後、油浴の設定を25℃まで下げ、ローターステータ撹拌を取り外し、減速調整器による「ステップバイステップ」のブレードに切り替えた(Rayneriの設定、400rpm)。
40℃で開始して、Rayneriの下で、適切に均質化するために分散による撹拌へと切り替えることで、添加剤(ワックス、アルコール、活性材料等の微粒分散体)を添加した(Rayneriの速度、700〜1000rpm)。最後に、25℃まで冷却を継続するために、全体を再度「ステップバイステップ」のブレードの下に配置した。
以下の表に従って、本発明によるポリエステルを伴う化粧用組成物及びそれを伴わない化粧用組成物を調製した。
本発明による実施例1がポリエステルを含む一方で、比較例2は本発明によるポリエステルを含まない。
メークアップ試験
次いで、組成物1(発明)及び組成物2(比較)を、それらのメークアップ特性について試験した。
特に、本発明による組成物が、ポリエステルを伴わない比較組成物と比較して、有意に多くの積載量(charging)を有し、堆積物の増加(progression)が良好であることが観察された。
したがって、本発明によるポリエステルの添加によって、ポリエステルを伴わない組成物と比較して、睫毛におけるボリューム効果の改善が可能となる。
また、摩擦、水に対する安定性、及びスクアレンに対する安定性、並びにマスカラの除去に関する追加的試験を実施した。
本発明による組成物は、従来のウォータープルーフマスカラと類似する特性を有することが観察された。特に、本発明の組成物は、従来のウォータープルーフマスカラのものと同様の安定性特性を有し、同様に、本発明の組成物は、従来のウォータープルーフマスカラのものと同様のメークアップ除去特性を有する。