JP2018207253A - マイクロホン - Google Patents
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Abstract
Description
前記マイクロホンが、前記振動部前面に位置する、前記振動部と前記筐体部とで形成される空間を有しており、
前記空間が、前記マイクロホンの外部空間から密閉された状態になるよう構成された空間であり、
少なくとも、前記密閉空間を包囲する前記マイクロホンの箇所が、非接触状態で使用されるか、又は、低剛性部材と接触状態で使用されることを特徴とする、密閉型マイクロホンである。
本発明(2)は、前記密閉空間は、無孔である前記筐体から構成されるか、又は、有孔である前記筐体上に密閉部材を設けることにより構成される、前記発明(1)の密閉型マイクロホンである。
以下に、本発明による密閉型マイクロホンについて、図1(b)及び図2(b)に基づいて説明する。本発明による密閉型マイクロホンは、その振動部310と、前記振動部310が内部に備え付けられた筐体部313と、前記振動部310に備え付けられており、前記振動部310の振動を電気信号に変換可能な信号変換部311と、前記信号変換部311と電気的に接続されており、前記筐体部313の外部へ電気信号を伝達可能な信号伝達部312と、を有するマイクロホンであって、前記マイクロホンが、振動部310前面に位置する、振動部310と前記筐体部とで形成される空間320を有しており、空間320が、前記マイクロホンの外部空間から密閉された状態になるよう構成された空間である密閉型マイクロホンである。
本発明における振動部310は、音波が振動として伝わることにより、振動する性質を有する。そして、当該振動は、信号変換部によって電気信号に変換される。ここで、前記振動部310は特に限定されず、前記密閉型マイクロホン300の用途や性能によって、選択されたマイクロホン方式に最適なものを選ぶことができる。例えばコンデンサマイクロホンの場合には、振動部310は、金属物が蒸着されたポリエステル樹脂フィルムや金属箔のダイヤフラムなどが用いられる。前記ダイヤフラム等の振動部310は、例えば図4(b)に示したように、貫通孔317等を有するものでもよく、又、図4(c)に示したように筐体部313との間に隙間318を設けるように固定してもよい。
本発明における信号変換部311は、前記振動部310の振動を電気信号に変換する。前記信号変換部311は、特に限定されず、前記密閉型マイクロホン300の用途や性能によって選択されたマイクロホン方式に、最適なものを選ぶことができる。例えばコンデンサマイクロホンの場合、信号変換部311は、振動部310と、振動部310に対向する金属製のバックプレートとで、コンデンサを構成している。振動部310と、バックプレートとの間の距離は、一般的に数十μmで、電気容量は数10pF程度である。また、信号変換部は、絶縁のため絶縁物に覆われていることが好適である。
本発明における信号伝達部312は、前記信号変換部311と電気的に接続されており、外部に電気信号を伝達する。前記信号伝達部312は、特に限定されず、選択されたマイクロホン方式に最適なものを選択できる。
本実施形態における筐体部313は、例えば、振動部を振動可能に収納するための側壁体(例えば筒状体)と、当該側壁体の両開口部を被覆する第一蓋体及び第二蓋体と、から構成される。ここで、側壁体と第一蓋体及び/又は第二蓋体とは、一体形成された部材であっても、別部材同士を接合(例えば溶接や接着や嵌合などによる。図3の315)させたものであってもよい{図3(a)〜(e)}。又、筐体部313の一部に、低剛性部材316(後述する低剛性部材に準ずる)を介して接合してもよい。ここで、側壁体と第一蓋体と振動部310(前面)との間には、第一の空間(320)が形成されている。当該第一の空間は、後述するように密閉空間である。即ち、当該空間を構成する前記部材である側壁体(の内、少なくとも第一蓋体から振動部までの側壁体の部分)と第一蓋体には、従来のマイクロホンのような孔が設けられていない。他方、側壁体と第二蓋体と振動部310(背面)との間には、第二の空間が形成されている。ここで、第二の空間は、第一の空間と異なり密閉空間でなくてもよい(例えば、振動部と繋がった配線を外部に出すための孔が第二蓋体に設けられており、当該孔の大きさが配線よりも大きく、結果として、当該孔と当該配線との間にギャップが存在していてもよい)。但し、用途として、防水性及び/又は防塵性が求められる場合には、第二の空間も密閉であることが好ましい。更に、第二の空間を構成する側壁体(の内、振動部から第二蓋体までの側壁体の部分)には、筐体固定用のねじ穴や、配線用の穴などを設けることができる。穴部や隙間部が生じる場合には、必要に応じてシール材等を使用して密閉構造とすることができる。
本発明における密閉空間320は、前述のように、前記筐体部313内の、前記振動部310前面に位置する空間であり、前記密閉型マイクロホンの外部空間から密閉された状態にある密閉空間である。
即ち、前記密閉空間は、例えば振動部310に設けられた貫通孔317や、筐体部313と振動部310との隙間部318を介して、他の空間と接続されていてもよく、空間全体として外部空間から密閉されている状態であればよい。
又、図5に例示したように、密閉空間320は、筐体部313の更に外側に筐体部340を設け、前記密閉型マイクロホンの外部空間から密閉状態とすることもできる。この場合には、前記筐体部313と外側の筐体部340の接続部は低剛性部材341を介して接続することができる。
前記密閉型マイクロホンは、上述の構成を維持する限りにおいて、例えばマイクロホンの電圧印加用の配線や、中空懸垂用の留め具などの、前記密閉型マイクロホンに使用上必要なものを備えることができる。
本発明による密閉型マイクロホンは、少なくとも、前記密閉空間を包囲する前記マイクロホンの箇所が、非接触状態で使用されるか(信号ケーブルや糸状線材による空中懸垂、などの方法による)、又は、低剛性部材と接触し、防振状態で使用されることを特徴とする。以下、両者を詳述する。本質的に、本発明は、構造的には、従来の密閉型マイクロホン(例えば、骨伝導型マイクロホン)と大きくは異ならない。特に、第一蓋体に相当する箇所が無孔である点は共通している。しかしながら、従来の骨伝導型マイクロホンは高剛性部材に直接マイクロホンを接触させる使用法であるのに対し、本発明に係るマイクロホンは少なくとも、前記密閉空間を包囲する前記マイクロホンの箇所が、非接触状態で使用されるか、又は低剛性部材と接触させる使用法である点で相違する。即ち、使用態様(用途)が全く異なる。従来の骨伝導型マイクロホンは、前記のように高剛性部材に接触させて使用する。これは、音の固体伝播により収音するという作用機序であると理解されており、それ故に、接触対象となる固体は高剛性部材である必要があると理解されてきた。このような技術常識の下、本発明者らは、従来の密閉型マイクロホンと構造的に大きく変わらない本発明に係るマイクロホンが、従来の技術常識とは反する作用効果、即ち、高剛性部材と接触させなくても(又は固体伝播を期待できない低剛性部材と接触させても)外環境の音を拾うことが可能なことを発見したのである。かかる発見により、これまで使用不可能又は困難な場所での収音を容易に行うことができるに至った訳である。
図6を例に説明する。懸垂支持体521によって、天井540に懸垂された包囲体520と、前記包囲体520の内部に、一つ又は複数のマイクロホン懸垂支持体530によって懸垂された前期密閉型マイクロホン300と、からなる、室内用収音マイクロホンが提供される。
懸垂支持体521は、包囲体520を天井から懸垂する。これにより懸垂支持体521は、天井部からの振動を吸収し、密閉型マイクロホン300に伝わる振動を減少させる。前記懸垂支持体521は特に限定されない。例としては棒材、紐、糸、ワイヤー、鎖、針金などが挙げられ、使用する環境に合わせて材質を選ぶことができる。外部から伝わる振動を減少させるという観点からは、振動を吸収できる紐状のゴムなどの弾性体が好ましい。
包囲体520は、内部に前記密閉型マイクロホン300を懸垂支持し、外環境の音波を前記密閉型マイクロホン300まで効率よく空気伝搬できるような開口部を有する構造とすることができる。前記包囲体520の構造は、特に限定されず、前記包囲体520の全周囲の外環境の音波を収音する場合には、例えば前記密閉型マイクロホンの全周囲を籠状や網状の包囲体で囲えばよい。又、ある方向からの外環境の音波のみを収音する場合には、該方向に開口部を設けることで、収音方向に指向性を持たせることができる。
前記密閉型マイクロホンは、一つ又は複数の低剛性部材であるマイクロホン懸垂支持体530により、前記包囲体520の内部に懸垂支持される。前記密閉型マイクロホン300の揺動を防止する観点から、複数のマイクロホン懸垂支持体530を使用することが好ましい。又、マイクロホン懸垂支持体530は、特に限定されないが、例としては紐、糸、ワイヤー、鎖、針金などが挙げられ、使用する環境に合わせて材質を選ぶことができる。密閉型マイクロホン300の筐体に伝わる振動を減少させるという観点からは、振動を吸収できる紐状のゴムなどの弾性体が好ましい。また、マイクロホン懸垂支持体530には、防振効果を改善するため、ブロッキングマス531を、取り付けることができる。ブロッキングマス531の重量や、取付位置を調整することで、前記密閉型マイクロホンの防振効果を改善することができる。ブロッキングマスの材質やサイズは、特に限定されない。
図7に基づき、下記に本発明による密閉型マイクロホン実施の態様例2について説明する。本発明の実施態様の例2によれば、前記密閉型マイクロホン300は、固体表面630に、低剛性部材620を介して固定され、外環境の音波を収音することを特徴とする。
固体表面630は、固体表面630は特に限定されず、低剛性部材620を介して前記密閉型マイクロホン300を固定することができればよい。固体表面630は、例えば建築物の壁面や、自動車のバンパーやボディー等のような構造物の一部であってもよい。
低剛性部材620は、前記密閉型マイクロホン300と、固体表面630との間に設けることができる。前記マイクロホン300は、前記低剛性部材620により、固体表面630とは一体化されていない状態にすることができる。前記低剛性部材620は、弾性部材及び粘弾性部材を含む。前記低剛性部材は、特に限定されず、例としてバネ、ゴム、ゲル状部材などが挙げられる。
筐体の材質が、アルミ合金であり、厚さが0.6mmである、エレクトレットコンデンサマイクロホン(以降、ECMとする。ホシデン株式会社製、型式:KUB8923)の収音面を1mm厚のゴムシートで塞いで本発明の密閉型マイクロホンを作製し、周波数応答特性の測定方法を行った。なおECMは空中に懸垂して評価した。結果を図9に示した。
実施例1で作製した密閉型マイクロホンを、低剛性部材として粘弾性体であるアルファゲルシート(タイカ株式会社製)をリング状に加工したものを介して、自動車のバンパーの内部側に固定した(図7)。
筐体の材質がアルミ合金であり、厚さが0.6mmである、ECM(ホシデン株式会社製、型式:KUB8923)に改造を加えないで、周波数応答特性の測定方法を行った。結果を図9に示した。
(ピンクノイズによる周波数応答特性の評価方法)
図8に基づいて説明する。ピンクノイズ発生源(リオン株式会社製SF06)で発生させたピンクノイズをパワーアンプ(自作)にて、増幅し、評価するマイクロホンの正面に設置したスピーカから出音させた。スピーカとマイクロホンの距離は800mmとして評価した。マイクロホンにて収音した音波は電気信号としてサウンドカード(クリエイティブ社製SoundBrasterSB−E−5)に出力し、サウンドカードにてPC用に信号を変換し、PC上のリアルタイムアナライザーでモニタした。横軸に周波数(Hz)を、縦軸に応答特性(dB)とした周波数応答特性を得た。
図9に示した実施例1と比較例1のピンクノイズによる周波数応答特性の評価結果の比較によると、本発明に係る密閉型マイクロホンと比較例の開口部を有す従来型のマイクロホンは収音性能に有意差がなく、実施例1で作成した密閉型マイクロホンによって、外環境の音波を収音可能であることが理解できる。また、実施例2の結果も同様の結果となった。このため実施例1の密閉型マイクは、低剛性部材を介して自動車のバンパーに固定することで、自動車外部の音波を収音できることが明らかとなった。このことにより、例えば高度の防水性が要求される自動車外部の音波を収音するマイクロホンの提供が可能となる。
200 従来型マイクロホンユニット
300 密閉型マイクロホンユニット
210,310 振動体
211,311 信号変換部
212,312 信号伝達部
213,313 筐体
500 懸垂支持の密閉型マイクロホン
600 固体表面固定の密閉型マイクロホン
Claims (2)
- 振動部と、
前記振動部を内包している筐体部と、
前記振動部に備え付けられており、前記振動部の振動を電気信号に変換可能な信号変換部と、
前記信号変換部と電気的に接続されており、前記筐体部の外部へ電気信号を伝達可能な信号伝達部と、
を有するマイクロホンであって、
前記マイクロホンが、前記振動部前面に位置する、前記振動部と前記筐体部とで形成される空間を有しており、
前記空間が、前記マイクロホンの外部空間から密閉された状態になるよう構成された空間であり、
少なくとも、前記密閉空間を包囲する前記マイクロホンの箇所が、非接触状態で使用されるか、又は、低剛性部材と接触状態で使用されることを特徴とする、密閉型マイクロホン。 - 前記密閉空間は、無孔である前記筐体から構成されるか、又は、有孔である前記筐体上に密閉部材を設けることにより構成される、請求項1に記載の密閉型マイクロホン。
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