JP2018206277A - 支持構造物の強度評価方法及び強度評価プログラム - Google Patents

支持構造物の強度評価方法及び強度評価プログラム Download PDF

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【課題】構造物の強度を自動的に計算して出力することで正確な評価を行える電車線等の支持構造物の強度評価方法及び強度評価プログラムを提供する。【解決手段】装柱の原形となるひな形図形を表示部の画面に表示する原形表示ステップと、評価対象の支持構造物の基本情報を入力させる入力画面を表示する準備ステップと、構造物の構成部品を選択可能に表示する部品選択ステップと、選択された構成部品に関する情報を入力させる入力画面を表示する部品情報入力ステップと、入力または選択された情報に基づいて記憶部より選択された部品のイラスト画像データを読み出して装柱図を表示する装柱図表示ステップと、装柱図に基づいて各部の強度を算出する強度計算ステップと、算出された強度および記憶部に予め記憶されている基準となる値に基づいて算出された強度が許容値以内か否か判定し判定結果を出力する判定ステップとを含むようにした。【選択図】図3

Description

本発明は、き電線や吊架線、トロリー線等の電車線を支持する構造物の強度を評価する支持構造物の強度評価方法及び強度評価プログラムに関する。
き電線や吊架線、トロリー線等の電車線を支持する電車線支持構造物は、電柱や基礎、ビーム、下束、腕金、やぐらなど複数の部品を組み合わせることで構成されているとともに、例えば電柱にはコンクリート柱や鋼管柱、角鋼管柱など、また基礎にはコンクリート基礎、井筒、砕石基礎などのように、各部品ごとに複数の種類や大きさの異なるものがあり、それらを適宜選択し組み合わせることで様々な形態の電車線支持構造物が構築される。
従来、電車線支持構造物の強度の評価は、先ず現場調査により強度計算に必要な各種データを収集し、収集したデータを参照しながら汎用のCADにより装柱図(図11参照)を作成し、装柱図を参照しながら長さ等の数値を元に部品ごとに構造計算に必要な荷重値を算出し、その荷重の向きを記入した図19に示すような荷重図を作成した後、荷重値と荷重のかかる位置を構造計算ソフトが動作するコンピュータに入力して構造計算を行い、構造計算で得られた数値に基づいて各部品の強度を計算して判定を行うという手順で行われていた。なお、強度計算は表計算ソフトによって行われ、表計算ソフトは算出した値と許容値と比較して判定を行う。
特開2013−011961号公報 特開2015−179347号公報
しかしながら、上述した従来の電車線支持構造物の強度評価方法にあっては、CADを使用した装柱図の作成に時間がかかる。また、荷重図の作成も人手で行われる作業でありかつ入力項目が多いため、荷重図の作成にも時間がかかる上、入力ミスによる信頼性の低下のおそれがあった。さらに、従来の強度評価方法は、現場調査で強度計算に必要な各種データを収集してから、構造計算ソフトが動作するコンピュータのある事務所に移動してデータを入力して強度を計算するため、強度評価によって強度が不足することが分かり再度現場調査を実施する必要が生じた場合に非常に多くの時間と労力を伴うという課題があった。なお、本発明に関連する技術として、特許文献1や特許文献2に開示されているものがある。
このうち特許文献1に記載されている技術は、架構(骨組構造)をモデリングするモデリング部と、モデリング部によってモデリングされた架構の三次元画像を表示する表示部と、モデリングされた架構の構造計算を行う構造計算部とを設けて、モデリング部は識別情報及び形状情報と関連付けられた構造部材を用いて架構をモデリングするようにしたものである。
また、特許文献2に記載されている技術は、建物の部位毎に指定された条件に従ってその部位に使用される構造材の配置を決定し、部位の全ての場所に使用することができる単数または複数の構造材を選択する部位毎計算モジュールと、選択する構造材が指定された条件を満たしているかどうかを検定する検定計算モジュールと、選択した構造材のうち接合部を有するものについてデータベースから読み出したデータを比較して接合部構造が共通するものを候補データに残して複数の構造材の候補には評価を付し、評価が最高位の構造材を採用する接合部計算モジュールと、所定の構造計算をしてその構造計算の結果を出力する構造計算モジュールとを備えた構造設計装置に関するものである。
特許文献1や2に記載されている技術は、自動的に構造計算を行う点で本発明と似ている部分があるものの、本発明の特徴である装柱図中の部品の種類をイラストで判別できるようにする点や階層的分類で簡単に使用目的の素材を検索できるようにする点、装柱図情報に荷重情報および荷重表作成に必要な情報を組み合わせて紐づけることで複雑な荷重情報作成を不要にする点、装柱図中のイラスト素材をカーソル操作で大きさを任意に変化させ数値入力を省略できるようにする点についての開示は無い。
本発明は、上述したような課題に着目してなされたもので、装柱図の作成が短時間に行えるとともに入力項目を少なくしてミスを減らすことができる上、構造物の強度を自動的に計算して出力することで正確な評価を行える電車線等の支持構造物の強度評価方法及び強度評価プログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る電車線支持構造物の強度評価方法は、
評価対象の支持構造物の基本情報を入力するための入力画面を表示部の画面に表示する準備ステップと、
表示部の画面に、評価対象の支持構造物の構成部品を選択可能に表示する部品選択ステップと、
前記準備ステップと前記部品選択ステップにおいて入力または選択された情報に基づいて、相当する部品のイラスト画像データを記憶部より読み出して、前記表示部の画面に、評価対象の支持構造物の装柱図を表示する装柱図表示ステップと、
前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図の情報に基づいて各部の強度を算出する強度計算ステップと、
算出された強度および記憶部に予め記憶されている判定基準となる値に基づいて、算出された強度が許容値以内か否か判定し、判定結果を出力する判定ステップと、を含むようにした。
上記方法によれば、使用可能な部品の種類がイラストで表示されるため、部品のイラストを見ながら直感的に選択することができ、効率良く作業を進めることができる。また、各部品の強度の計算が自動的に実行されるため、短時間に評価対象の構造物の強度の判定結果を知ることができる。
なお、前記準備ステップの前に、最終的な装柱の原形となるひな形図形を表示部の画面に表示する原形表示ステップを備えるようにしてもよい。これにより、入力操作回数を減らし、評価対象の構造物の強度判定に要する時間を短縮させることができる。
また、前記部品選択ステップによって選択された前記構成部品に関する情報を入力させる入力画面を表示部に表示する部品情報入力ステップを備えるようにしてもよい。これにより、より精度の高い強度判定結果を得ることができる。
また、望ましくは、前記記憶部には、予め前記構成部品のイラスト画像データおよび各イラスト画像データに対応して荷重情報および各部品の結合位置情報が記憶されており、
前記強度計算ステップにおいては、前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図を構成する前記構成部品のイラスト画像に対応する荷重情報および結合位置情報を読み出して強度計算を行うようにする。
かかる方法によれば、構造物のイメージ図を構成する部品のイラスト画像に対応する荷重情報および結合位置情報を記憶部から読み出して強度計算を行うため、各部品の荷重値等をいちいち入力する必要がなく、効率良く作業を進め、短時間に評価対象の構造物の強度の判定結果を知ることができる。
また、望ましくは、前記部品選択ステップにおいては、
支持構造物の使用可能な構成部品を特定するための分類が階層的に構成されたリストの全階層を同時に表示するようにする。
かかる方法によれば、使用可能な構成部品を特定するための分類が階層的に構成されたリストの全階層が表示されるため、絞込み検索が行えるとともに、最後まで絞り込みをすることなくどの段階でも候補が表示されるため、検索に要する時間を短縮することができる。
さらに、望ましくは、前記装柱図表示ステップにより前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図における各部品のイラスト画像に対する操作を検知して当該イラスト部品の寸法または配置に関する情報を変更する部品情報変更ステップをさらに含み、
前記強度計算ステップにおいては、前記表示部の画面に表示されている変更後の構造物の装柱図を構成する前記構成部品のイラスト画像に対応する荷重情報および結合位置情報に基づいて強度計算を行うようにする。
かかる方法によれば、構造物のイメージ図における各部品のイラスト画像に対する操作を検知して当該イラスト部品の寸法または配置に関する情報を変更することができるため、部品の寸法または配置に関する情報を数値で入力する必要がなく、これにより効率良く作業を進め、短時間に評価対象の構造物の強度の判定結果を知ることができる。
また、本出願の他の発明は、
表示部および記憶部を備えたコンピュータに搭載され、前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図に基づいて各部の強度を算出して判定し、結果を出力可能な支持構造物の強度評価プログラムにおいて、
評価対象の支持構造物の基本情報を入力するための入力画面を表示部の画面に表示する準備機能と、
表示部の画面に、評価対象の支持構造物の構成部品を選択可能に表示する部品選択機能と、
前記準備ステップと前記部品選択ステップにおいて入力または選択された情報に基づいて、相当する部品のイラスト画像データを記憶部より読み出して、前記表示部の画面に、評価対象の支持構造物の装柱図を表示する装柱図表示機能と、
前記装柱図表示機能により前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図における各部品のイラスト画像に対する操作を検知して当該イラスト部品の寸法または配置に関する情報を変更する部品情報変更機能と、
前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図の情報に基づいて各部の強度を算出する強度計算機能と、
算出された強度および記憶部に予め記憶されている判定基準となる値に基づいて、算出された強度が許容値以内か否か判定し、判定結果を出力する判定機能と、を備えるようにした。
かかるプログラムによれば、各部品の荷重値等をいちいち入力する必要がないとともに、いずれかの部品の寸法や配置を変更したい場合に情報を数値で入力する必要がないので、効率良く作業を進め、短時間に評価対象の構造物の強度の判定結果を知ることができる。また、かかる強度評価プログラムを格納したタブレット型端末のような携帯式のパーソナルコンピュータを現場に持ち込んで現場で強度計算を実施して評価することができる。その結果、強度計算に必要な各種データを収集するための現場調査を1回で済ませることができるようになる。
本発明によれば、装柱図の作成が短時間に行えるとともに入力項目を少なくしてミスを減らすことができる上、構造物の強度を自動的に計算して出力することで正確な評価を行える電車線等の支持構造物の評価方法及び強度評価プログラムを提供することができる。また、かかる強度評価プログラムを格納したタブレット型端末のような携帯式のパーソナルコンピュータを現場に持ち込んで現場で強度計算を実施して評価することができるため、強度計算に必要な各種データを収集するための現場調査を1回で済ませることができるようになるという効果が得られる。
本発明に係る評価方法を適用して有効な電車線支持構造物の一例を示す外観図である。 (A)〜(D)は本発明に係る評価方法の対象である電車線支持構造物における基本的な4種類の装柱の原形となるひな形図形を示す図である。 本発明に係る電車線支持構造物の評価方法の一実施形態における評価処理の手順を示すフローチャートである。 実施形態の強度評価プログラムにより表示される基本情報入力画面の例を示す図である。 実施形態の強度評価プログラムにより表示される部品選択画面の例を示す図である。 ビームの選択が行なわれた際に表示される画面の例を示す図である。 基礎の検索、選択の際に表示される階層的構成を有するリストの例を示す図である。 基礎の検索、選択の際に表示される基礎のイラストリストの例を示す図である。 基礎の選択が行なわれた際に表示される画面の例を示す図である。 電柱の選択が行なわれた際に表示される画面の例を示す図である。 一通りの部品の選択が行なわれた際に表示される装柱図画面の例を示す図である。 (A)は図3のステップS12で実行される荷重表自動作成処理の手順の一例を示すフローチャート、(B)は同じくラーメン構造計算処理の具体的な手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS13で実行される強度計算および強度判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 図11の装柱図を表示する画面において各部品の寸法を変更する際の操作例を示す図である。 図11の装柱図表示画面において電線情報編集指令が入力された際に表示される電線情報編集画面の例を示す図である。 図11の装柱図表示画面において荷重表表示指令が入力された際に表示される荷重表画面の例を示す図である。 図11の装柱図表示画面において屈曲情報編集指令が入力された際に表示される屈曲情報編集画面の例を示す図である。 図11の装柱図表示画面において応力図確認指令が入力された際に表示される応力図画面の例を示す図である。 従来の評価方法で作成されていた荷重図の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、本発明の実施形態に係る電車線支持構造物の評価方法の対象である電車線支持構造物について、図1を用いて簡単に説明する。なお、電車線支持構造物には敷設する架線の本数や地形等に応じて多種多様な形態が存在するが、部品の種類の紹介を兼ねて図1には比較的多くの部品で構成される電車線支持構造物の例が示されている。また、図1は各部品の形状を概略的に示したもので、実際の形状とは相違する。
また、図1には、2本の電柱と1本のビームからなる基本的な門型装柱構造のもの(図2(A)の1層1径間に相当)を示すが、電車線支持構造物には、上記の他、図2(B)に示すように3本の電柱と2本のビームからなる門型装柱(1層2径間)や、図2(C)に示すような4本の電柱と3本のビームからなる門型装柱(1層3径間)、図2(D)に示すような1本の電柱からなる単独装柱などがあり、本実施形態の電車線支持構造物の評価方法は、それらすべての形態の構造物について評価することができる。
図1に示す電車線支持構造物は、2本の電柱11A,11B、該電柱11A,11Bによって水平に支持されたビーム12、ビーム12の中央部から垂下された下束13、下束13に固定され吊架線14およびトロリー線15Aを支持する可動ブラケット16、下束13に固定されトロリー線15Bを支持する振止金具17、ビーム12の上側に固定されてき電線18を吊架するやぐら19A,19Bなどから構成されている。また、符号10が付されているのは基礎、符号20が付されているのは絶縁用の碍子である。
次に、本実施形態に係る電車線支持構造物の評価方法および本実施形態を適用して作成した強度評価プログラムについて、図3のフローチャートおよび図4〜図18に示す画面図を用いて説明する。因みに、本実施形態における強度評価プログラムは、特に限定されるものではないが、タッチパネル式の表示部を有するタブレット型端末のメモリに格納され、CPUによって実行されるように構成されている。
上記強度評価プログラムが起動されると、タブレット型端末の表示部に、新規作成を指示する入力ボタンと過去の検討履歴の一覧を示す初期画面が表示され(ステップS1)、新規作成ボタンにタッチすると、1層1径間や1層2径間、1層3径間など装柱の種類を示す複数のひな形図形(装柱の概略イメージ図)のリストが表示されるので、オペレータはその中から今回の評価対象となる電車線支持構造物の装柱を選択する(ステップS2)。
次に、例えば図4に示すような基本情報を入力する画面が表示され、該画面を使用して区間、電柱番号、標準径間の値、架線の曲率半径、地区など評価対象に関する基本情報を入力する(ステップS3)。架線の曲率半径を入力可能にしているのは、軌道の曲線区間では、電車線の張力に伴う横方向の力が働くので、その力を構造物の強度計算に反映させるためである。また、基本情報として「地区」を選択できるようにしているのは、気温や風の影響等、地域によって環境が構造物に対して影響するのでその影響を構造物の強度計算に反映させるためである。
ステップS3の基本情報の入力が終了すると、ステップS2で選択した装柱の概略イメージ図および部品名を付した選択ボタンB1〜B6を並べて表記した図5に示すような部品選択画面が表示される(ステップS4)。この画面で、例えば装柱の概略イメージのビーム部分をタッチすると、その表示色が変化して、ビームが選択されたことが分かるようになっている。図5では、表示色が変化したことを示すため、ビームを破線で示している。
続いて選択ボタンB3にタッチしてビームを選択すると、ビームの種類を検索するための画面が表示される。この画面には、「単鋼管」、「鋼管平面トラス」、「鋼管カゴ」などビームの種類を示すリストや、ビームの形状・大きさ(直径*厚み)を示すリスト、ビームの幅を示すリストを有する画面が表示される。
この画面で、リストの中からビームの種類を選択してタッチすると、各部品の実図形(イラスト素材)が種類ごとに記憶されている素材データベースから、選択された種類に含まれる複数の部品の実図形(イラスト素材)が読み出され、図形のリストが表示されるので、このリストの中から最終的な部品を選択すると、選択された部品の図形データが読み出されて、図6に示すように、装柱図に選択したビームの実図形(イラスト素材)が表示される(ステップS5)。このとき、ビームの実図形は、予め図形データに結合位置情報がそれぞれ紐づけられて素材データベースに記憶されているため、自動的にビームが結合されるべき電柱の所定位置(電柱の上端)に配置されて表示される。また、素材データベースには、各部品の実図形の他、該実図形に紐づけられて寸法や材質、重量、強度などの属性データが記憶されている。
本実施例では、上記のような絞込み検索で各部品を選択し、最終的に選択候補のビームのイラストを見ながら直感的に選択することができ、効率良く作業を進めることができる。また、選択したビームの実図形が装柱図に表示されるとともに、該ビームの寸法も表示される。これにより、荷重表を表示させてその数値をチェックしなくても、装柱図の表記を確認するだけで、正しい荷重表ができているか知ることができるようになる。
また、部品検索画面では、分類リスト(種類)と、該分類リストで選択すると表示される形状・大きさのリストと、該リストで選択すると表示される長さのリストとを、階層的に同時に表示することで、最後まで絞り込みをすることなくどの段階でも候補が表示されるようにすることができ、これにより検索に要する時間を短縮することができる。さらに、部品検索画面には、検索を指令する「検索」ボタンSBおよびキーワード検索を行えるようにするためのキーワード入力欄KWIも表示されるようになっている。
次に、図6に示す画面で、装柱の概略イメージの基礎部分にタッチし、続いて部品選択ボタンB1にタッチして「基礎」を選択すると、図7に示すような基礎の種類を検索するためのサブ画面が表示される。そして、このサブ画面には、「コンクリート基礎」、「井筒」、「砕石基礎」など基礎の種類を示すリストや、基礎の形式(I型,T型等)を示すリスト、基礎の深さを示すリストが、階層的に表示される。
図7の部品検索画面においては、1段目のリストの中から1つを選択してから「検索」ボタンSBにタッチすることで検索結果を表示させることも、1段目と2段目のリストの中からそれぞれ1つを選択してから「検索」ボタンSBにタッチ、あるいは1段目〜3段目のリストの中からそれぞれ1つずつを選択してから「検索」ボタンSBにタッチすることで検索結果を表示させることもできる。このように、本実施例においては、階層的な分類表示によって多様な絞込み検索が行えるようになっている。
さらに、上記リストを用いて絞込み検索を行い所望の項目を選択すると、図8に示すような選択された項目に属する複数の部品の実図形(イラスト素材)のリストが表示される。この画面を用いて、最終的な部品を選択すると、図9に示すように、選択した基礎の実図形が表記された装柱図が表示される(ステップS6)。このとき、基礎の実図形は、自動的に基礎が結合されるべき電柱の所定位置(電柱の下端)に配置されて表示される。
また、基礎の選択に際しては、「平地」、「盛土(左)」、「盛土(右)」のような地形条件を付加できるようになっている。図9には、一例として「盛土(左)」が選択された場合のイメージが示されている。
また、図9に示す画面で、装柱の概略イメージの電柱部分にタッチし、続いて部品選択ボタンB2にタッチして「電柱」を選択すると、電柱の種類を検索するための画面が表示される。この画面には、「コンクリート柱」、「鋼管柱」、「角鋼管柱」など電柱の種類を示すリストや、電柱の種別を示すリスト、電柱の荷重を示すリストを有する画面が表示される。この画面を用いて絞込み検索を行なって、最終的な部品を選択すると、図10に示すように、選択した電柱の実図形が表記された装柱図が表示される(ステップS7)。このとき、電柱の実図形は、自動的に電柱が結合されるべき位置(基礎の上部)に配置されて表示される。
さらに、図10に示す画面では、装柱の概略イメージの電柱部分もしくはビーム部分にタッチし、続いて部品選択ボタンB3〜B6にタッチすると「ブラケット」や「腕金・やぐら」、「電線類」の種類を選択できるようになっており、いずれかを選択すると、対応する部品の種類を検索するための画面が表示される。そして、この画面には、部品の種類を示すリストや、種別を示すリスト、支持形式を示すリスト、用途を示すリストなどを有する画面が表示され、この画面を用いて絞込み検索を行なって、最終的な部品を選択すると、例えば図11に示すような、選択した部品の実図形が表記された装柱図が表示される(ステップS8,S9)。
このとき、電柱の実図形は、自動的に電柱が結合されるべき位置(基礎の上部)に配置されて表示される。なお、表示されるリストの組合せは、部品によって異なる。また、図5に示す部品選択画面で選択可能な部品には、「引留め」が含まれている。そして、「引留め」が選択された場合には、強度計算において、支線による電柱に作用する垂直力が加味されるようになっている。
上記のような絞込み検索を可能にするため、本実施形態においては、検索の際に使用する参照テーブル(表)が階層的に構成され、タブレット端末のメモリに格納されている。そして、上位のテーブルには項目ごとに上位のテーブルから下位のテーブルへ移行する際に使用するリンク情報(アドレス)が格納されているとともに、最下位のテーブルには、各部品の実図形データや荷重や強度、他の部品の結合位置、荷重のかかる位置などの属性データが格納されている外部のデータベースへのリンク情報および該データベースに格納されている対応するデータを取得するための情報が格納されている。
なお、外部のデータベースへのリンク情報を取得すると、ソフトウェア割込み等によって、自動的にタブレット端末が備える無線通信機能を起動してデータベースへデータを取りに行くようにプログラムが構成されている。
これにより、上位のテーブルによる選択から下位のテーブルの選択へ順次処理を進めることで、最終的に荷重情報等の属性データに紐付けられた部品図形データにたどり着き、該部品図形データに基づいて画面のイラストに当該部品の図形および属性データを表示させることができるようになっている。
また、本実施形態においては、各部品に荷重や強度、荷重のかかる位置などの情報が紐付けられているため、後述の強度計算を、入力によらず部品の選択で自動的に実行することができる。そして、このように自動的に強度計算を行えるため、従来行われていた図19に示すような荷重図の作成作業が不要となる。また、強度計算に必要な部品の荷重の値や数量など、数値を入力する箇所が少なくミスが起こりにくくなるという利点がある。
また、各部品の実図形に紐付けられて、部品の種類、荷重や強度、荷重のかかる位置などの情報が記憶されているため、図11に示すように、装柱図において表示されている各部品の近傍に、部品の種類や径間(軌道方向に隣接する電柱との距離)、軌道の曲率半径、ゲージGの値などが付記されて表示される。そのため、荷重表を表示させなくても、各部品に付記表示されている数値を読み取ることで、正しい入力が行なわれたか否か等を容易に判断することができる。
さらに、本実施形態においては、各部品を選択して装柱図に表示させた図6〜図11において、図14に示すように、オペレータが指で例えば電柱の図形の上部にタッチして上方または下方へ移動させることで電柱の高さを変えたり、指で電柱の図形の下部にタッチして上方または下方へ移動させることで基礎上面からビームまでの高さを変えたり、線条の図形の上部にタッチして左方または右方へ移動させることで線条の位置を変えたりする各部寸法、配置の変更処理(ステップS10)を実行することができる。
続いて、画面に表示されている作業メニューボタンMB(画面左上)を操作すると表示されるプルダウンメニューの中から「強度判定」を選択すると(ステップS11)、ステップS5〜S9で入力された情報やステップS10における変更情報と部品図形に紐づけられたデータベース内の部品情報とに基づいて図16に示すような荷重表をプログラムが自動的に作成するとともに、門型装柱構造に関するラーメン構造計算を実行する(ステップS12)。それから、部品図形に紐づけられた情報(属性データや部品間結合情報等)を使用して各部品の強度をプログラムが計算して強度判定を行い、(ステップS13)、強度判定結果を、部品ごとに、荷重条件や曲げ応力許容率、座屈応力許容率、許容曲げモーメント、発生曲げモーメント、強度判定(可or不可)等を記載した表(強度判定表)として表示部に表示させる(ステップS14)。
また、メモリには判定基準となるデータ(座屈データ、許容モーメント)が記憶されており、強度評価プログラムは計算により得られた強度と許容値とを比較して、許容値をオーバーしているとき、計算値を赤色等正常値の表示色とは異なる色で表示するようになっている。なお、上記「強度判定」においては、強度評価プログラムは、任意の位置の横荷重をビーム高さ位置の水平力に換算する処理をしてから、全体の強度を計算するようにしている。これにより、強度計算が容易に行え、計算に要するCPUの負担を軽減し計算時間を短縮することができる。
図12(A),(B)には、作業メニューボタンにより「強度判定」が選択された際に実行される上記ステップS12の荷重表自動作成処理およびラーメン構造計算処理の具体的な手順の一例が示されている。
図12(A)の荷重表自動作成処理が開始されると、先ずメモリ内に格納されているテンプレート等を利用して荷重表のフォーマットを作成する(ステップS21)。続いて、ステップS5〜S10の処理で作成された装柱図の情報および設備データベース内から装柱図上の各部品に関する概略情報(部品名等)を読み出して、荷重表の対応する欄に書き込む(ステップS22)。
次に、装柱図上の各部品に関する詳細情報(寸法や単位重量、電線張力等)を部品データベース内から読み出すとともに、各部品に関する風圧等による荷重データを格納した荷重データベースから荷重情報を読み出して、荷重表の対応する欄に書き込む(ステップS23)。
なお、図12(A)の荷重表自動作成処理は、ステップS11で、作業メニューボタンにより「荷重表修正」が選択された際に移行するステップS19でも実行されるもので、荷重表自動作成処理では、ステップS23の後に、数値修正入力があったか否か判定し(ステップS24)、数値修正入力があった場合には、荷重表の修正に係る数値の変更を実行する(ステップS25)。その後、作成した荷重表のデータをメモリに格納して(ステップS26)、処理を終了する。
図12(B)のラーメン構造計算処理が開始されると、上記荷重表自動作成処理で作成されメモリ内に格納されている荷重表から必要な部品の数値データを取得する(ステップS27)。続いて、予め用意されている計算式を使用して、各部の応力等を計算するラーメン構造計算を実行する(ステップS28)。次に、構造計算結果に基づいて、モーメント図を作成する(ステップS29)。その後、上記計算結果および作成したモーメント図をメモリに格納して(ステップS30)、処理を終了する。
なお、図12(A),(B)に示す荷重表自動作成処理およびラーメン構造計算処理は、バックグラウンドジョブとして実行され、経過や結果が画面上に表示されることはない。
図13には、図3のステップS13で実行される強度計算および強度判定処理の手順の一例が示されている。
図13の強度計算および強度判定処理が開始されると、先ず上記荷重表自動作成処理で作成されメモリ内に格納されている荷重表から必要な部品の数値データを取得する(ステップS31)。続いて、上記ラーメン構造計算処理のステップS28で計算されメモリ内に格納されているラーメン構造計算結果を取得する(ステップS32)。
次に、データベースから各部材の許容曲げ応力度を読み込み(ステップS33)、対応する鋼材の座屈データをデータベースから取得する(ステップS34)。続いて、ステップS5〜S10の処理で作成された装柱図のうち「基礎」の情報を取得するとともに(ステップS35)、データベース内から「基礎」の許容モーメントを読み込む(ステップS36)。その後、「基礎」にかかるモーメント(計算値)と許容モーメントとを比較して、モーメントが許容値以下か否か判定して(ステップS37)、強度計算結果および判定結果を強度判定表として表示部に表示するとともにメモリに保存して(ステップS38)、処理を終了する。
上記ステップS14で強度計算結果および判定結果を表示した後は、強度が不足しているか否か判定し(ステップS15)、強度が不足している部品があるときはステップS4へ戻って、再度部品の選択や寸法の変更を実施する。一方、強度が不足していないときは、データ送信ボタンが操作されることで、ステップS16へ進んで、検討結果を記憶装置に保存するとともに、データをPDFファイルやCSVファイルに変換して他の端末へ送信する。
さらに、本実施形態の強度評価プログラムには、例えば作業メニューボタンMBを操作すると表示されるプルダウンメニューによって、上記強度評価の他に、荷重表確認・編集(図3のステップS19)、応力図確認(図3のステップS20)、取得された数値データ(計算諸元データ)の確認(図12のステップS27)などの処理機能が設けられている。
図15には、図3のステップS11で電線情報編集が選択されてステップS17へ移行した際に表示される画面例が示されている。図15に示すように、電線情報編集では、電線屈曲の有無を指定したり、径間(起点方および終点方)の距離や曲線の半径の値を編集することができるようになっている。
図17には図3のステップS11で屈曲情報編集が選択されてステップS18へ移行した際に表示される画面例が示されている。屈曲情報編集は、軌道が直線でなく曲がっている場合、電線類にかかる張力によって電柱に作用する横方向の力を考慮して応力を計算する必要があるため、その情報を入力させるための処理である。図17において、「B号」は評価対象の装柱であり、「A号」,「C号」は隣接する装柱である。また、Gはゲージ(電線の延長線上から電柱までの距離)であり、電線の曲がりの程度を示す指標となる値である。図17に示すように、屈曲情報編集では、イラストパターンを選択し、S1径間(起点方)やS2径間(終点方)の距離やゲージの値を入力することができるようになっている。
図3のステップS11で荷重表編集が選択されてステップS19へ移行した場合には、図16に示すものと同様な荷重表が表示されるとともに表示された荷重表により各部品の荷重値を確認できるとともに、任意の項目を指定して数値を変更することができるようになっている。さらに、数値の変更を行なった場合には、変更対象の数値の表示色が変化し、数値の変更が実施されたことが分かるようになっている。
図18には、図3のステップS11で応力図確認が選択されてステップS20へ移行した場合に表示される画面例が示されている。図18に示すように、応力図確認では、計算によって得られた荷重が作用した時に生じる各部の応力の大きさおよび風が作用した時に生じる各部の応力の大きさを応力図によって表示するようになっている。図18においては、破線が各部の応力の大きさを表わしている。この応力図より、装柱各部の応力の状態を容易に把握することができる。
なお、図18の応力図確認画面には、風の大きさや向き等荷重条件を指定するための指定ボタンB11〜B17が設けられている。指定ボタンB11〜B17の甲種、乙種、丙種は、法令で定められている風の大きさや気温等の環境条件を表わしている。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、タッチパネル式の表示部を有するタブレット型端末に搭載される強度評価プログラムとして具現化したものを説明したが、机上に設置されているコンピュータに搭載される強度評価プログラムとして具現化するように構成してもよい。この場合、マウスの操作でカーソルを移動して部品の選択指令や部品のサイズ、配置の変更等を行うように構成される。
また、上記実施形態では、評価対象の電車線支持構造物として、図2に示す4種類の装柱を示したが、4種類に限定されず、3種類以下あるいは5種類以上であっても良い。
さらに、上記実施形態では、本発明を電車線支持構造物の強度評価に適用した場合を説明したが、本発明は電車線支持構造物の強度評価に限定されず例えば送電設備や変電所設備など、複数の部品を組み合わせることで構成される構造物の強度評価一般に利用することができる。
10 基礎
11A,11B 電柱
12 ビーム
13 下束
14 吊架線
15A,15B トロリー線
16 可動ブラケット
17 振止金具
18 き電線
19A,19B やぐら

Claims (5)

  1. 評価対象の支持構造物の基本情報を入力するための入力画面を表示部の画面に表示する準備ステップと、
    表示部の画面に、評価対象の支持構造物の構成部品を選択可能に表示する部品選択ステップと、
    前記準備ステップと前記部品選択ステップにおいて入力または選択された情報に基づいて、相当する部品のイラスト画像データを記憶部より読み出して、前記表示部の画面に、評価対象の支持構造物の装柱図を表示する装柱図表示ステップと、
    前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図の情報に基づいて各部の強度を算出する強度計算ステップと、
    算出された強度および記憶部に予め記憶されている判定基準となる値に基づいて、算出された強度が許容値以内か否か判定し、判定結果を出力する判定ステップと、
    を含むことを特徴とする支持構造物の強度評価方法。
  2. 前記記憶部には、予め前記構成部品のイラスト画像データおよび各イラスト画像データに対応して荷重情報および各部品の結合位置情報が記憶されており、
    前記強度計算ステップにおいては、前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図を構成する前記構成部品のイラスト画像に対応する荷重情報および結合位置情報を読み出して強度計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の支持構造物の強度評価方法。
  3. 前記部品選択ステップにおいては、
    支持構造物の使用可能な構成部品を特定するための分類が階層的に構成されたリストの全階層を同時に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の支持構造物の強度評価方法。
  4. 前記装柱図表示ステップにより前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図における各部品のイラスト画像に対する操作を検知して当該イラスト部品の寸法または配置に関する情報を変更する部品情報変更ステップをさらに含み、
    前記強度計算ステップにおいては、前記表示部の画面に表示されている変更後の構造物の装柱図を構成する前記構成部品のイラスト画像に対応する荷重情報および結合位置情報に基づいて強度計算を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の支持構造物の強度評価方法。
  5. 表示部および記憶部を備えたコンピュータに搭載され、前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図に基づいて各部の強度を算出して判定し、結果を出力可能な支持構造物の強度評価プログラムであって、
    評価対象の支持構造物の基本情報を入力するための入力画面を表示部の画面に表示する準備機能と、
    表示部の画面に、評価対象の支持構造物の構成部品を選択可能に表示する部品選択機能と、
    前記準備ステップと前記部品選択ステップにおいて入力または選択された情報に基づいて、相当する部品のイラスト画像データを記憶部より読み出して、前記表示部の画面に、評価対象の支持構造物の装柱図を表示する装柱図表示機能と、
    前記装柱図表示機能により前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図における各部品のイラスト画像に対する操作を検知して当該イラスト部品の寸法または配置に関する情報を変更する部品情報変更機能と、
    前記表示部の画面に表示されている構造物の装柱図の情報に基づいて各部の強度を算出する強度計算機能と、
    算出された強度および記憶部に予め記憶されている判定基準となる値に基づいて、算出された強度が許容値以内か否か判定し、判定結果を出力する判定機能と、
    を備えることを特徴とする支持構造物の強度評価プログラム。
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