以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
(第1実施形態)
本実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。本実施形態では、本発明の遠心送風機10を車室内の空気を循環させるサーキュレータに適用した例について説明する。遠心送風機10は、図示しないが、車両の天板と車室内の天井部分を構成する内装材(例えば、ルーフライニング)との間に配置される。
図1および図2に示すように、遠心送風機10は、ケーシング20、およびケーシング20の内部に配置された遠心ファン50を備える。図3に示すように、本実施形態の遠心送風機10は、ケーシング20の内部に遠心ファン50を駆動する電動モータ60が収容されている。
遠心ファン50は、ファン軸心CLfに沿って空気を吸入し、吸入した空気をファン軸心CLfに交差する方向に吹き出すファンである。なお、ファン軸心CLfは、遠心ファン50の回転中心となる軸心である。本実施形態では、ファン軸心CLfに沿って延びる方向をファン軸方向ADと呼ぶと共に、ファン軸心CLfに直交する方向をファン径方向RDと呼ぶことがある。
遠心ファン50は、複数のブレード52、複数のブレード52のファン軸方向ADの一方側を連結するファン側板54、複数のブレード52のファン軸方向ADの他方側を連結するファン主板56を含んで構成されている。
複数のブレード52は、隣り合うブレード52の間に空気が流通するブレード間通路500が形成されるように、ファン軸心CLfを囲むように並んで配置されている。各ブレード52は、ブレード間通路500における空気の流入部を形成する前縁部521、ブレード間通路500における空気の流出部を形成する後縁部522を有している。本実施形態では、隣り合うブレード52の後縁部522の間に形成される通路が、遠心ファン50における空気流出部53を構成している。
ファン側板54は、中央部が開口するリング状の部材で構成されている。ファン側板54は、各ブレード52におけるファン軸方向ADの一方側の端部が連結されている。ファン側板54には、遠心ファン50の内部に空気を吸い込むファン吸入口541が形成されている。
ファン主板56は、円盤状の部材で構成されている。ファン主板56は、各ブレード52におけるファン軸方向ADの他方側の端部が連結されている。ファン主板56の略中央部には、後述する電動モータ60の回転軸62を連結する連結部562が設けられている。連結部562は、回転軸62と共に遠心ファン50が回転するように、遠心ファン50を回転軸62に固定する部位である。
遠心ファン50は、遠心ファン50を構成する複数のブレード52、ファン側板54、およびファン主板56が一体となるように樹脂成形された一体成形物として構成されている。
このように構成される遠心ファン50は、ファン軸心CLfが、上下方向に沿って延びる姿勢で、ケーシング20の内部に収容されている。具体的には、本実施形態の遠心ファン50は、ファン側板54がファン主板56の下方に位置し、ファン吸入口541が下方に向かって開口する姿勢で、ケーシング20の内部に収容されている。
ケーシング20は、遠心ファン50を収容すると共に、外部からの空気を遠心ファン50に導く空気導入路240を形成するものである。具体的には、ケーシング20は、遠心ファン50を収容するファン収容部22、空気導入路240を形成する導入路形成部24を含んで構成されている。
ファン収容部22は、内部に遠心ファン50が収容された状態で、遠心ファン50のファン径方向RDの外側に渦巻き状の送風路220を形成するスクロールケースで構成されている。
ファン収容部22は、ファン軸方向ADにおいて遠心ファン50のファン吸入口541側に対向する対向壁部222を有している。対向壁部222は、ファン径方向RDに沿って延びている。対向壁部222には、その内側端部221に、空気を取り込む空気取込口221aが形成されている。
また、図1および図2に示すように、ファン収容部22には、ファン径方向RDの外側に、遠心ファン50からの空気を吹き出すための一対の空気吹出口223a、223bが形成されている。一対の空気吹出口223a、223bは、遠心ファン50を挟んで互いに対向するように形成されている。
さらに、ファン収容部22には、遠心ファン50から吹き出された空気の一部を、電動モータ60を冷却する冷却風として取り込む冷風取込口224が設けられている。冷風取込口224は、ファン収容部22内部の送風路220のうち、最も静圧が高くなり易い舌部225の直後に設けられている。
本実施形態のファン収容部22は、上方側分割体226と下方側分割体227と有しており、各分割体226、227をファン軸方向ADに組み付けた組付体で構成されている。ファン収容部22を構成する上方側分割体226および下方側分割体227は、プレスフィット等の結合要素によって組み付けられている。
図3に示すように、下方側分割体227は、前述の対向壁部222を含んで構成されている。対向壁部222は、下方側分割体227におけるファン径方向RDに延びる部位である。対向壁部222は、ファン軸方向ADにおいて遠心ファン50と重なり合うファン内側部位228、およびファン内側部位228よりもファン径方向RDの外側に位置するファン外側部位229を有している。そして、対向壁部222のうち、ファン内側部位228に空気取込口221aが形成されている。本実施形態では、ファン内側部位228が、対向壁部222における空気取込口221aを囲む周縁部位を構成している。なお、ファン内側部位228における詳細な構造については後述する。
本実施形態の対向壁部222は、ファン内側部位228とファン外側部位229とが別体で構成されている。ファン内側部位228およびファン外側部位229は、互いに結合されている。
具体的には、ファン外側部位229には、ファン径方向RDの内側の端部にファン軸方向ADに突き出る凸部229aが設けられている。また、ファン内側部位228には、ファン径方向RDの外側の端部にU字状の溝を有する凹部228aが設けられている。そして、ファン内側部位228およびファン外側部位229は、凹部228aに凸部229aを嵌合した状態で、タッピング等によって連結されている。
本実施形態のファン収容部22は、組付効率やメンテナンス効率を考慮して、ファン内側部位228をファン外側部位229から外すことで、内部に収容された遠心ファン50を取り出すことが可能となっている。すなわち、ファン内側部位228は、ファン軸方向ADにおいて遠心ファン50の外形よりも大きな外形を有している。
ファン収容部22には、導入路形成部24が連結されている。導入路形成部24は、下方側分割体227の対向壁部222との間に、外部からの空気をファン軸心CLfと交差する一方向に流して遠心ファン50に導く空気導入路240を形成するものである。空気導入路240は、ファン径方向RDのうち、任意の一方向(例えば、車両の前後方向)に延びている。
導入路形成部24は、ファン径方向RDに沿って延びる底壁部241、および底壁部241に連なると共に対向壁部222に連結される側壁部242を有している。導入路形成部24の底壁部241は、対向壁部222全体を覆う大きさを有している。導入路形成部24は、空気導入路240における空気流れ最上流に外部からの空気を取り込むための外部開口部240aが形成されている。
このように構成されるケーシング20の内部には、遠心ファン50だけでなく、遠心ファン50を駆動する電動モータ60についても収容されている。本実施形態の電動モータ60は、インナーロータ型のブラシレスモータで構成されている。
電動モータ60は、金属で構成された有底筒状の筐体61を備えている。筐体61は、円筒状の筐体筒部611、および筐体筒部611の両端部を閉塞する一対の筐体底部612、613を含んで構成されている。
一対の筐体底部612、613それぞれには、回転軸62を回転可能に支持する軸受部63、64が設けられている。また、回転軸62には、永久磁石を含むロータ65が固定されている。ロータ65は、筐体61の内部に配置されている。
一対の筐体底部612、613のうち、ファン側板54側に位置する第1筐体底部612には、その中央部に表裏を貫通する開口部612aが形成されている。第1筐体底部612に設けられた軸受部63は、その下端部が開口部612aを介して筐体61の外部に露出している。
また、一対の筐体底部612、613のうち、ファン主板56側に位置する第2筐体底部613には、その中央部に表裏を貫通する開口部613aが形成されている。回転軸62は、第2筐体底部613に形成された開口部613aを介して筐体61の外部に露出している。そして、回転軸62における筐体61の外部に露出した部位が、ファン主板56の連結部562に連結されている。
筐体筒部611には、その内側に、コア661にコイル662を巻装した円筒状のステータ66が固定されている。ステータ66は、コア661が筐体筒部611の内周面に当接した状態で、筐体61の内部に配置されている。
筐体61の内部におけるファン側板54側には、電気回路としての回路基板67が配置されている。回路基板67には、ロータ65の回転一に応じてコイル662への通電を制御するモータ駆動回路、モータ保護回路等が実装されている。
このように構成される電動モータ60は、その一部が遠心ファン50の内側に位置する状態でモータホルダ70に保持されている。モータホルダ70は、電動モータ60の筐体61を保持する有底円筒状のホルダ筒部71、ホルダ筒部71をケーシング20に連結するホルダ連結部72を含んで構成されている。
ホルダ筒部71は、遠心ファン50の内側に位置付けられている。ホルダ筒部71の内部には、電動モータ60の筐体61が保持されている。図2に示すように、ホルダ筒部71は、筐体61の外周面と当接する当接部位711と筐体61の外周面と当接しない非当接部位712とが形成されるように、その内周面が凹凸形状となっている。ホルダ筒部71は、当接部位711等によって筐体61を保持する構成となっている。また、ホルダ筒部71と筐体61との間には、非当接部位712によって電動モータ60を冷却する空気を流通させる冷却風通路700が形成されている。
ホルダ連結部72は、一端側がホルダ筒部71の外周側から径方向外側に突き出た3つのホルダ脚部721、722、723を有している。各ホルダ脚部721、722、723は、径方向の外側の部位が、他端側がケーシング20の対向壁部222に連結されている。具体的には、各ホルダ脚部721、722、723は、空気取込口221aの一部を遮るように、ホルダ筒部71の径方向の外側に延びている。
3つのホルダ脚部721、722、723のうち、ケーシング20の舌部225側に向かって延びるホルダ脚部721は中空状に構成されている。このホルダ脚部721は、その内部に冷風取込口224から取り込まれた冷風を冷却風通路700に導く冷却風導入路721aが形成されている。
これにより、遠心ファン50から吹き出された空気の一部は、冷風取込口224から冷却風導入路721aに導入される。そして、冷却風導入路721aを流れる空気は、冷却風通路700を流れた後、遠心ファン50の内側に排気される。このような構造によって、電動モータ60が冷却される。なお、ホルダ連結部72は、4つ以上のホルダ脚部で構成されていてもよい。
次に、ファン内側部位228における詳細な構造について、図3、図4を参照して説明する。図3に示すように、ファン内側部位228には、ファン軸心CLfに沿って延びると共に、対向壁部222側から空気導入路240側に向かって突き出る突出部30が設けられている。
本実施形態の突出部30は、空気取込口221aを形成する内側端部221に設けられた内側リブ32で構成されている。内側リブ32は、ファン軸心CLfに沿って延びると共に、対向壁部222側から空気導入路240側に向かって突き出ている。
本実施形態の内側リブ32は、空気取込口221aの全周を囲むように環状に構成されている。すなわち、内側リブ32は、ファン内側部位228における空気流れ上流側の領域である上流側周縁部228bおよび上流側周縁部228bよりも空気流れ下流側の下流側周縁部228cの双方に設けられている。なお、上流側周縁部228bは、空気導入路240を流れる空気の流れ方向に直交する方向にファン内側部位228を2つに分けた際に、外部開口部240a側に近い領域である。また、下流側周縁部228cは、ファン内側部位228のうち、上流側周縁部228bよりも外部開口部240aから離れた領域である。
内側リブ32は、ファン軸心CLfに沿う方向の寸法である突出高さHriが、その全周において略一定となっている。内側リブ32の突出高さHriは、空気導入路240が確保されるように、内側リブ32の先端部321が導入路形成部24の底壁部241と接しない大きさに設定されている。具体的には、内側リブ32の突出高さHriは、内側リブ32の先端部321と導入路形成部24の底壁部241との間隔Lhi以下となるように設定されている。
また、本実施形態の内側リブ32は、対向壁部222の一部および各ホルダ脚部721、722、723それぞれと一体に構成されている。具体的には、本実施形態の遠心送風機10は、ファン内側部位228、内側リブ32、および各ホルダ脚部721、722、723それぞれが射出成形等による一体成形物として構成されている。
ファン内側部位228、内側リブ32、および各ホルダ脚部721、722、723は、一体成形物の製造時にアンダーカットが生じないように、内側リブ32の突出方向において互いに重なり合わないように構成されている。
次に、本実施形態に係る遠心送風機10の作動を説明する。遠心送風機10は、電動モータ60に対して電力が供給されると、遠心ファン50が回転駆動する。そして、遠心ファン50が空気取込口221aから空気を吸引することで、空気導入路240が負圧になる。
空気導入路240が負圧になると、外部開口部240aから外部の空気が空気導入路240に流入する。外部からの空気は、空気導入路240を図3の矢印F1に示す一方向に流れる。空気導入路240を流れる空気は、図3の矢印F2、F3に示すように、空気取込口221aを介して遠心ファン50に吸入される。この際、図3の矢印F2に示すように上流側周縁部228b側から遠心ファン50の内部に流れる空気は、その向きが略180°ターンするように変化する。
遠心ファン50に吸入された空気は、図3の矢印F4に示すように、遠心ファン50の空気流出部53からファン収容部22の送風路220に吹き出される。そして、送風路220に吹き出された空気は、一対の空気吹出口223a、223bからケーシング20の外部に吹き出される。
ここで、図5は、本実施形態の比較例となる遠心送風機CEにおける遠心ファン50内部の空気の流れを示している。比較例となる遠心送風機CEは、ファン内側部位228に対して突出部30が設けられていない点が、第1実施形態と相違している。なお、説明の便宜上、図5では、比較例の遠心送風機CEにおける本実施形態の遠心送風機10と同様の構成に対して同一の参照符号を付している。
図5に示すように、比較例の遠心送風機CEでは、上流側周縁部228b側から流入した空気の向きが遠心ファン50の内部で略180°ターンするように急激に変化する。この際、気流の慣性によって、遠心ファン50のブレード52のファン主板56側に空気の流れが偏ってしまう。このような空気の流れの偏りが生ずると、遠心ファン50のブレード52のファン側板54側に殆ど空気が流れず、遠心ファン50の内部に空気の送風に寄与しない死水域DWが生ずることで、遠心送風機CEにおけるファン効率が低下してしまう。
これに対して、本実施形態の遠心送風機10は、ファン内側部位228に、ファン軸心CLfに沿って延びると共に、対向壁部222側から空気導入路240側に向かって突き出る突出部30が設けられている。具体的には、突出部30は、空気取込口221aを形成する内側端部221に設けられた内側リブ32で構成されている。
これによると、図6に示すように、突出部30を構成する内側リブ32によって、遠心ファン50に吸入される直前に空気の向きをファン軸線CLfに沿う方向に転向させることができる。すなわち、本実施形態の遠心送風機10では、遠心ファン50の内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうことを抑えることができる。このため、本実施形態の遠心送風機10によれば、遠心ファン50の内部に生ずる死水域DWを小さくして、遠心送風機10のファン効率の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、突出部30を構成する内側リブ32の突出高さHriは、内側リブ32の先端部321と導入路形成部24の底壁部241との間隔Lhi以下となるように設定している。これによると、空気導入路240を充分に確保しつつ、遠心ファン50の内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうこと抑制することができる。
さらに、本実施形態の電動モータ60は、少なくとも一部が、遠心ファン50の内側に位置するように、モータホルダ70に保持されている。このように、電動モータ60の一部を遠心ファン50の内側に位置付ける構成とすれば、ファン軸方向ADの体格を抑えることができる。
ここで、本実施形態の遠心送風機10は、ファン内側部位228、内側リブ32、および各ホルダ脚部721、722、723それぞれが射出成形等による一体成形物として構成されている。これによると、遠心送風機10における部品点数を低減させることができる。特に、突出部30を構成する内側リブ32がファン軸心CLfに沿って延びている構成では、ファン内側部位228、内側リブ32、および各ホルダ脚部721、722、723を構成する一体成形物の製造時にアンダーカットが生じ難いといった利点がある。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図7〜図9を参照して説明する。本実施形態の遠心送風機10は、対向壁部222に設けられた突出部30が、内側リブ32および外側リブ34で構成されている。なお、内側リブ32は、第1実施形態と同様に構成されるため、その説明を省略する。
図7に示すように、外側リブ34は、対向壁部222のうち、内側リブ32よりもファン径方向RDの外側の部位に設けられている。なお、図7は、第1実施形態で示した図2に対応する図である。
外側リブ34は、空気取込口221aの全周を囲むように環状に構成されている。具体的には、外側リブ34は、ファン内側部位228における上流側周縁部228bおよび下流側周縁部228cの双方に設けられている。本実施形態の外側リブ34は、内側リブ32と同心円となるように構成されている。なお、外側リブ34は、内側リブ32と同心円になっていなくてもよい。外側リブ34は、その中心が内側リブ32の中心とずれていてもよい。
本実施形態の外側リブ34は、図8に示すように、ファン内側部位228のうち、各ブレード52の後縁部522よりも外側に位置する部位に設けられている。具体的には、外側リブ34は、ファン内側部位228における径方向外側の外側端部に設けられている。これにより、外側リブ34は、ファン軸方向ADにおいて、遠心ファン50と重なり合わない構成となっている。なお、図8は、第1実施形態で示した図3に対応する図である。
外側リブ34は、ファン軸心CLfに沿って延びると共に、対向壁部222側から空気導入路240側に向かって突き出ている。外側リブ34は、ファン軸心CLfに沿う方向の寸法である突出高さHroが、その全周において略一定となっている。そして、外側リブ34は、突出高さHroが、外側リブ34の先端部341と導入路形成部24の底壁部241との間隔Lho以下となるように設定されている。本実施形態の遠心送風機10は、内側リブ32の突出高さHriと外側リブ34の突出高さHroとが同等の大きさに設定されている。
また、外側リブ34は、対向壁部222のファン内側部位228と一体に構成されている。本実施形態のファン内側部位228、内側リブ32、外側リブ34、および各ホルダ脚部721、722、723は、一体成形物の製造時にアンダーカットが生じないように、各リブ32、34の突出方向において互いに重なり合わないように構成されている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の遠心送風機10は、ファン内側部位228に、ファン軸心CLfに沿って延びると共に、対向壁部222側から空気導入路240側に向かって突き出る突出部30が設けられている。具体的には、突出部30は、空気取込口221aを形成する内側端部221に設けられた内側リブ32、および内側リブ32よりも外側に設けられた外側リブ34で構成されている。
これによると、図9に示すように、突出部30を構成する外側リブ34によって、空気導入路240を流れる空気が、ファン軸方向ADにおいて、遠心ファン50のファン吸入口541から遠ざかる。そして、空気導入路240を流れる空気は、内側リブ32によって、遠心ファン50に吸入される前にファン軸線CLfに沿う方向に転向する。このように、本実施形態の遠心送風機10では、遠心ファン50に吸入される前の段階で、空気の向きをファン軸線CLfに沿う方向に転向させることができるので、遠心ファン50の内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうことを抑えることができる。
このため、本実施形態の遠心送風機10によれば、第1実施形態と同様に、遠心ファン50の内部に生ずる死水域DWを小さくして、遠心送風機10のファン効率の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、対向壁部222のうち、ファン径方向RDにおいて、各ブレード52の後縁部522よりも外側に位置する部位に外側リブ34を設けている。これによると、空気導入路240の上流側を流れる空気を、ファン軸方向ADにおいてファン吸入口541から遠ざけることができるので、遠心ファン50に流入する前に、空気の向きをファン軸方向ADに転向させる区間を充分に確保することができる。この結果、遠心ファン50の内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうことを一層抑制することができる。
また、本実施形態の遠心送風機10では、外側リブ34の突出高さHroを、外側リブ34の先端部341と導入路形成部24の底壁部241との間隔Lho以下となるように設定している。これによると、空気導入路240を充分に確保しつつ、遠心ファン50の内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうこと抑制することができる。
さらに、本実施形態の遠心送風機10は、ファン内側部位228、内側リブ32、外側リブ34、および各ホルダ脚部721、722、723それぞれが射出成形等による一体成形物として構成されている。これによると、遠心送風機10における部品点数を低減させることができる。特に、突出部30を構成する各リブ32、34が、ファン軸心CLfに沿って延びている構成では、一体成形物の製造時にアンダーカットが生じ難いといった利点がある。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図10、図11を参照して説明する。本実施形態では、本実施形態の遠心送風機10は、対向壁部222に複数の外側リブ34A、34Bが設けられている点が、第1、第2実施形態と相違している。
図10に示すように、遠心送風機10は、対向壁部222に対して、内側リブ32よりも外側に第1外側リブ34Aが設けられると共に、第1外側リブ34Aよりも外側に第2外側リブ34Bが設けられている。なお、図10は、第1実施形態で示した図2に対応する図である。
第1外側リブ34Aは、対向壁部222における内側リブ32よりもファン径方向RDの外側の部位に設けられている。また、第2外側リブ34Bは、対向壁部222における第1外側リブ34Aよりもファン径方向RDの外側の部位に設けられている。各外側リブ34A、34Bは、空気取込口221aの全周を囲むように環状に構成されている。本実施形態の各外側リブ34A、34Bは、内側リブ32と同心円となるように構成されている。なお、各外側リブ34A、34Bは、内側リブ32と同心円となっていなくてもよい。各外側リブ34A、34Bは、その中心が内側リブ32の中心とずれていてもよい。
本実施形態の第1外側リブ34Aは、図11に示すように、ファン内側部位228のうち、各ブレード52の後縁部522よりも外側に位置する部位に設けられている。具体的には、第1外側リブ34Aは、ファン内側部位228における径方向外側の外側端部に設けられている。なお、第1外側リブ34Aは、第2実施形態の外側リブ34と同様に、対向壁部222のファン内側部位228と一体に構成されている。
また、本実施形態の第2外側リブ34Bは、ファン内側部位228ではなくファン外側部位229に設けられている。これにより、各外側リブ34A、34Bは、ファン軸方向ADにおいて、遠心ファン50と重なり合わない構成となっている。本実施形態の第2外側リブ34Bは、ファン外側部位229と一体に構成されている。なお、第2外側リブ34Bは、各ホルダ脚部721、722、723とは別体で構成されている。
各外側リブ34A、34Bは、ファン軸心CLfに沿って延びると共に、対向壁部222側から空気導入路240側に向かって突き出ている。各外側リブ34A、34Bは、ファン軸心CLfに沿う方向の寸法である突出高さHro1、Hro2が、その全周において略一定となっている。
本実施形態の第1外側リブ34Aは、突出高さHro1が、第1外側リブ34Aの先端部341Aと導入路形成部24の底壁部241との間隔Lho1以下となるように設定されている。
一方、本実施形態の第2外側リブ34Bは、突出高さHro2が、第1外側リブ34Aの突出高さHro1よりも小さくなっている。これにより、第2外側リブ34Bの先端部341Bと導入路形成部24の底壁部241との間隔Lho2は、第1外側リブ34Aの先端部341Aと導入路形成部24の底壁部241との間隔Lho1よりも大きくなっている。
さらに、本実施形態の内側リブ32は、突出高さHriが、第1外側リブ34Aの突出高さHro1よりも小さくなっている。すなわち、本実施形態の内側リブ32は、突出高さHriが、隣り合う第1外側リブ34Aの突出高さHro1よりも小さくなっている。
これにより、内側リブ32の先端部321と導入路形成部24の底壁部241との間隔Lhiは、第1外側リブ34Aの先端部341Aと導入路形成部24の底壁部241との間隔Lho1よりも大きくなっている。
本実施形態の内側リブ32は、突出高さHriが、第2外側リブ34Bの突出高さHro2と同様の大きさとなっている。なお、内側リブ32は、突出高さHriが、第2外側リブ34Bの突出高さHro2と異なる大きさとなっていてもよい。
その他の構成は、第1、第2実施形態と同様である。本実施形態の遠心送風機10は、対向壁部222に、ファン軸心CLfに沿って延びると共に、対向壁部222側から空気導入路240側に向かって突き出る突出部30が設けられている。具体的には、突出部30は、対向壁部222に設けられた内側リブ32および各外側リブ34A、34Bで構成されている。
これによると、図11に示すように、突出部30を構成する各外側リブ34A、Bによって、空気導入路240を流れる空気が、ファン軸方向ADにおいて、遠心ファン50のファン吸入口541から遠ざかる。そして、空気導入路240を流れる空気は、内側リブ32によって、遠心ファン50に吸入される前にファン軸線CLfに沿う方向に転向する。
このように、本実施形態の遠心送風機10では、遠心ファン50に吸入される前の段階で、空気の向きをファン軸線CLfに沿う方向に転向させることができるので、遠心ファン50の内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうことを抑えることができる。
以上の如く、本実施形態の遠心送風機10によれば、第1、第2実施形態と同様に、遠心ファン50の内部に生ずる死水域DWを小さくして、遠心送風機10のファン効率の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、第2外側リブ34Bの突出高さHroが、第1外側リブ34Aの突出高さHro1よりも小さくなっている。これによると、空気導入路240の上流側を流れる空気を、ファン軸方向ADにおいてファン吸入口541から徐々に遠ざけることができるので、空気導入路240における圧力損失を抑えることができる。
さらに、本実施形態では、内側リブ32の突出高さHriが、隣り合う第1外側リブ34Aの突出高さHro1よりも小さくなっている。これによると、空気導入路240を流れる空気が第1外側リブ34Aおよび内側リブ32によって徐々にファン吸入口541側に導かれるので、空気導入路240における圧力損失を抑えることができる。
したがって、本実施形態の遠心送風機10によれば、空気導入路240における圧力損失を抑えつつ、遠心ファン50の内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうことを一層抑制することができる。
ここで、本実施形態では、内側リブ32の外側に2つの外側リブ34A、34Bを設けた構成を例示したが、これに限定されない。遠心送風機10は、外側リブ34が内側リブ32の外側において3つ以上設けられた構成となっていてもよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図12を参照して説明する。本実施形態では、突出部30を構成する内側リブ32の突出高さHriを周方向において変化させている点が第1実施形態と異なっている。
図12に示すように、本実施形態の内側リブ32は、ファン内側部位228の上流側周縁部228bにおける突出高さHri1が、下流側周縁部228cにおける突出高さHri2よりも大きくなっている。具体的には、本実施形態の内側リブ32は、突出高さHriが空気流れ上流側から下流側に向かって徐々に小さくなっている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の遠心送風機10によれば、第1実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態の内側リブ32は、空気流れ上流側に位置する部位の突出高さHri1が、空気流れ下流側に位置する部位の突出高さHri2に比べて大きくなっている。換言すれば、内側リブ32は、空気流れ下流側に位置する部位の突出高さHri2が、空気流れ上流側に位置する部位の突出高さHri1に比べて小さくなっている。
これによると、上流側周縁部228bよりも空気流れ下流側に位置する部位における空気の流れが突出部30によって変化してしまうことが抑えられる。このため、上流側周縁部228bよりも空気流れ下流側に位置する下流側周縁部228cから遠心ファン50に流入する空気の流量を確保することができる。
特に、本実施形態の内側リブ32は、空気流れ上流側から下流側に向かって突出高さHriが徐々に小さくなっている。これによると、内側リブ32による空気流れの変化が上流側周縁部228b側から空気流れ下流側に向かって徐々に小さくなるので、突出部30の追加に伴う空気導入路240における圧力損失を充分に抑制することができる。
ここで、第2、第3実施形態の如く、突出部30が内側リブ32および外側リブ34で構成されている場合、外側リブ34についても、空気流れ上流側から下流側に向かって突出高さHroを小さくすることが望ましい。すなわち、突出部30は、空気流れ上流側から下流側に向かって突出高さが小さくなっていることが望ましい。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図13を参照して説明する。本実施形態では、突出部30を構成する内側リブ32を下流側周縁部228cの一部に設けない構成となっている点が第4実施形態と異なっている。
図13に示すように、本実施形態のファン内側部位228には、下流側周縁部228cにおける空気流れ最下流部に内側リブ32が設けられていない構成となっている。すなわち、下流側周縁部228cにおける空気流れ最下流部は、ファン軸方向ADに対して突出していない構成となっている。
その他の構成は、第4実施形態と同様である。本実施形態の遠心送風機10によれば、第4実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第4実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態の遠心送風機10は、下流側周縁部228cにおける空気流れ最下流部に内側リブ32を設けていないので、下流側周縁部228cの空気流れ最下流部から遠心ファン50に流入する空気の流量を確保することができる。
ここで、本実施形態では、ファン内側部位228のうち、下流側周縁部228cにおける空気流れ最下流部に内側リブ32を設けない構成について説明したが、これに限定されない。遠心送風機10は、ファン内側部位228のうち、上流側周縁部228bに内側リブ32が設けられ、下流側周縁部228cに内側リブ32が設けられていない構成となっていてもよい。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、図14〜図18を参照して説明する。本実施形態では、空気取込口221aの内側端部221以外の部位に内側リブ32Aが設けられている点が第1実施形態と異なっている。
図14および図15に示すように、本実施形態の遠心送風機10は、ファン内側部位228のうち空気取込口221aに連なる部位に空気導入路240側に向かって隆起するように湾曲する湾曲部25が設けられている。湾曲部25は、ファン内側部位228に沿って流れる空気の剥離を抑制して、空気導入路240を流れる空気を遠心ファン50の内側に円滑に導くために設けられている。
湾曲部25は、ファン内側部位228において空気取込口221aの全周を囲むように形成されている。湾曲部25は、ファン側板54の一部が覆われるように、その断面が略円弧状の形状になっている。なお、湾曲部25は、その断面が滑らかに湾曲している形状であれば、略円弧状の形状以外の形状になっていてもよい。
遠心送風機10には、ファン内側部位228のうち空気取込口221aの内側端部221よりも外側に内側リブ32Aが設けられている。すなわち、内側リブ32Aは、内側端部221に設けられていない。
内側リブ32Aは、ファン軸心CLfに沿って延びると共に、対向壁部222側から空気導入路240側に向かって突き出ている。内側リブ32Aは、その突出高さHriが、内側リブ32Aの先端部321と導入路形成部24の底壁部241との間隔Lhi以下となるように設定されている。
本実施形態の内側リブ32Aは、湾曲部25の頂部250に設けられている。具体的には、内側リブ32Aは、その根元となる部位が湾曲部25の頂部250に位置付けられている。
内側リブ32Aは、図16に示すように、その根元となる部位の略中央部分が湾曲部25の頂部250となるように設けられている。すなわち、内側リブ32Aは、その根元となる部位における内面と外面との略中央部が湾曲部25の頂部250となるように、湾曲部25に対して設けられている。
ここで、湾曲部25の頂部250は、ファン軸方向ADにおいて湾曲部25における最も空気取込口221aから離れた部位である。換言すれば、湾曲部25の頂部250は、ファン径方向RDにおいて湾曲部25における他の部位と重なり合わない部位である。
また、内側リブ32Aが湾曲部25の頂部250に設けられている状態は、ファン軸方向ADにおいて内側リブ32Aの少なくとも一部が頂部250と重なり合っている状態として解釈することができる。具体的には、図17に示すように、内側リブ32Aの外側面と湾曲部25の頂部250とがファン軸方向ADから見たときに重なり合っている状態も、内側リブ32Aが湾曲部25の頂部250に設けられている状態と解釈することができる。また、図18に示すように、内側リブ32Aの内側面と湾曲部25の頂部250とがファン軸方向ADから見たときに重なり合っている状態も、内側リブ32Aが湾曲部25の頂部250に設けられている状態と解釈することができる。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態の遠心送風機10は、ファン内側部位228に内側リブ32Aが設けられている。このため、第1実施形態と同様に、内側リブ32Aによって、遠心ファン50に吸入される直前に空気の向きをファン軸線CLfに沿う方向に転向させることができる。
特に、本実施形態の遠心送風機10は、内側リブ32Aが空気取込口221aに連なる湾曲部25の頂部250に設けられている。これによると、湾曲部25におけるコアンダ効果によって空気の向きを遠心ファン50に吸入され易い向きに転向させることが期待できる。
このように、本実施形態の遠心送風機10は、内側リブ32Aおよび湾曲部25における頂部250よりも内側の部位の双方によって、遠心ファン50に吸入される空気の向きを遠心ファン50に吸入され易い向きに転向させることができる。
(第6実施形態の変形例)
上述の第6実施形態では、内側リブ32Aを湾曲部25の頂部250に設けたものを例示したが、これに限定されない。遠心送風機10は、例えば、ファン内側部位228のうち湾曲部25の頂部250から内側端部221までの範囲に設けられていてもよい。すなわち、遠心送風機10は、ファン内側部位228における湾曲部25の頂部250よりも内側に設けられていてもよい。
上述の第6実施形態では、ファン内側部位228に対して内側リブ32Aが設けられ、外側リブ34が設けられていないものを例示したが、これに限定されない。遠心送風機10は、例えば、ファン内側部位228に対して内側リブ32Aおよび外側リブ34の双方が設けられた構成になっていてもよい。この場合、外側リブ34については、ファン内側部位228における内側リブ32Aよりもファン径方向RDの外側に設定すればよい。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について、図19を参照して説明する。本実施形態では、突出部30を構成する外側リブ34Cを下流側周縁部228cの一部に設けない構成となっている点が第2実施形態と異なっている。
図19に示すように、本実施形態のファン内側部位228には、下流側周縁部228cにおける空気流れ下流側に外側リブ34Cが設けられていない構成となっている。すなわち、外側リブ34Cは、ファン内側部位228における上流側周縁部228bおよび下流側周縁部228cにおける空気流れ上流側に設けられている。具体的には、外側リブ34Cは、上流側周縁部228bから下流側周縁部228cに位置するホルダ脚部721、722までの範囲に設けられている。
その他の構成は、第2実施形態と同様である。本実施形態の遠心送風機10によれば、第2実施形態と共通の構成から奏される作用効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
本実施形態の遠心送風機10は、下流側周縁部228cにおける空気流れ下流側に外側リブ34Cを設けていないので、下流側周縁部228cの空気流れ下流側から遠心ファン50に流入する空気の流量を確保することができる。
(第7実施形態の変形例)
上述の第7実施形態では、ファン内側部位228のうち、下流側周縁部228cにおける空気流れ下流側に外側リブ34Cを設けない構成について説明したが、これに限定されない。遠心送風機10は、例えば、ファン内側部位228のうち、上流側周縁部228bに外側リブ34Cが設けられ、下流側周縁部228cに外側リブ34Cが設けられていない構成となっていてもよい。
上述の第7実施形態では、上流側周縁部228bおよび下流側周縁部228cの双方に内側リブ32が設けられているものを例示したが、これに限定されない。遠心送風機10は、例えば、第5実施形態の如く、下流側周縁部228cの少なくとも一部に内側リブ32が設けられていない構成になっていてもよい。
(他の実施形態)
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
上述の各実施形態では、突出部30が、少なくとも内側リブ32を含んで構成される例について説明したが、これに限定されない。突出部30は、例えば、外側リブ34だけで構成されていてもよい。突出部30を外側リブ34だけで構成する場合、当該外側リブ34は、ファン内側部位228における空気取込口221aを形成する内側端部221よりも外側に設けられることになる。
上述の各実施形態の如く、突出部30を構成する内側リブ32の突出高さHriを、内側リブ32の先端部321と導入路形成部24の底壁部241との間隔Lhi以下となるように設定することが望ましいが、これに限定されない。内側リブ32は、例えば、突出高さHriが、内側リブ32の先端部321と導入路形成部24の底壁部241との間隔Lhiよりも大きくなるように設定されていてもよい。
上述の各実施形態では、ファン内側部位228、内側リブ32、各ホルダ脚部721、722、723等を一体成形物として構成する例について説明したが、これに限定されない。遠心送風機10は、例えば、ファン内側部位228、内側リブ32、各ホルダ脚部721、722、723等が別体で構成されていてもよい。
上述の各実施形態では、電動モータ60の少なくとも一部が遠心ファン50の内側に位置付けられた構成について説明したが、これに限定されない。遠心送風機10は、例えば、電動モータ60が遠心ファン50の外側に位置付けられた構成となっていてもよい。
上述の各実施形態では、本発明の遠心送風機10を、車室内の空気を循環させるサーキュレータに適用した例について説明したが、これに限定されない。本発明の遠心送風機10は、例えば、車両用空調装置の送風装置、シート空調装置の送風装置に対して適用することができる。また、本発明の遠心送風機10は、車両だけでなく、家屋や工場等に利用される送風装置等にも広く適用可能である。
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、遠心送風機は、ケーシングおよび遠心ファンを備える。ケーシングは、遠心ファンのファン吸入口側に対向する対向壁部に空気を取り込む空気取込口が形成されたファン収容部を有している。また、ケーシングは、対向壁部との間に、外部からの空気をファン軸心と交差する一方向に流して遠心ファンに導く空気導入路を形成する導入路形成部を有している。そして、対向壁部には、少なくとも空気取込口を囲む周縁部位のうち、空気導入路の空気流れ上流側に位置する上流側周縁部に、ファン軸心に沿って延びると共に、対向壁部側から空気導入路側に向かって突き出る突出部が形成されている。
また、第2の観点によれば、遠心送風機は、周縁部位のうち空気取込口に連なる部位に空気導入路側に向かって隆起するように湾曲する湾曲部が設けられている。そして、突出部は、周縁部位における湾曲部の頂点または湾曲部の頂点よりも内側に設けられた内側リブを含んで構成されている。
これによると、内側リブによって、遠心ファンに吸入される直前に空気の向きをファン軸線に沿う方向に転向させることができるので、遠心ファンの内部に生ずる死水域が生じてしまうことを充分に抑制することができる。また、内側リブを湾曲部の頂点または当該頂点と空気吸込口との間に設ける場合、湾曲部におけるコアンダ効果によって空気の向きを遠心ファンに吸入され易い向きに転向させることが期待できる。
また、第3の観点によれば、遠心送風機の内側リブは、対向壁部における空気取込口を形成する内側端部に設けられている。これによると、内側リブによって、遠心ファンに吸入される直前に空気の向きをファン軸線に沿う方向に転向させることができるので、遠心ファンの内部に生ずる死水域が生じてしまうことを充分に抑制することができる。
また、第4の観点によれば、遠心送風機の突出部は、対向壁部のうち、内側リブよりも外側に設けられた1つ以上の外側リブを含んで構成されている。これによると、外側リブによって、空気導入路を流れる空気が、ファン軸心に沿う方向においてファン吸込口から遠ざかるので、遠心ファンの内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうことを抑制することができる。
また、第5の観点によれば、遠心送風機の外側リブは、対向壁部のうち少なくとも上流側周縁部に設けられている。
遠心送風機では、空気取込口の上流側周縁部付近において、空気の流れる向きが略180°ターンするように変化する。このため、外側リブは、対向壁部のうち少なくとも上流側周縁部に設けることが望ましい。
また、第6の観点によれば、遠心送風機の外側リブは、ファン軸心に直交するファン径方向において、遠心ファンを構成する複数のブレードの後縁部よりも外側に設けられている。このように、ファン径方向において、複数のブレードの後縁部よりも外側に外側リブを設ける構成とすれば、空気導入路の上流側を流れる空気を、ファン軸心に沿う方向においてファン吸込口から遠ざけることができる。これによると、遠心ファンの内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうことを一層抑制することができる。
また、第7の観点によれば、遠心送風機の内側リブは、隣り合う外側リブよりも、ファン軸心に沿う方向の寸法が小さくなっている。これによると、空気導入路を流れる空気が外側リブおよび内側リブによって徐々にファン吸込口側に導かれるので、空気導入路における圧力損失を抑えつつ、遠心ファンの内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうことを一層抑制することができる。
また、第8の観点によれば、遠心送風機の突出部は、空気取込口を囲むように構成されている。そして、突出部における上流側周縁部側に位置する部位は、上流側周縁部よりも空気流れ下流側に位置する部位よりもファン軸心に沿う方向の寸法が大きくなっている。これによると、上流側周縁部よりも空気流れ下流側に位置する部位における空気の流れが突出部によって変化してしまうことが抑えられるので、上流側周縁部よりも空気流れ下流側に位置する部位から遠心ファンに流入する空気の流量を確保することができる。
また、第9の観点によれば、遠心送風機の突出部は、空気流れ上流側から下流側に向かってファン軸心に沿う方向の寸法が徐々に小さくなっている請求項1ないし6のいずれか1つに記載の遠心送風機。これによると、突出部による空気流れの変化が上流側周縁部側から空気流れ下流側に向かって徐々に小さくなるので、突出部の追加に伴う空気導入路における圧力損失を充分に抑制することができる。
また、第10の観点によれば、遠心送風機の突出部は、ファン軸心に沿う方向の寸法である突出高さが、ファン軸心に沿う方向における突出部の先端部と導入路形成部との間隔以下となっている。これによると、空気導入路を充分に確保することができるので、空気導入路における圧力損失を抑えつつ、遠心ファンの内部で空気の流れる向きが急激に変化してしまうこと抑制することができる。
また、第11の観点によれば、遠心送風機は、遠心ファンを駆動する電動モータと、電動モータを保持するモータホルダと、を備えている。そして、電動モータは、少なくとも一部が、遠心ファンの内側に位置するようにモータホルダに保持されている。このように、電動モータの一部を遠心ファンの内側に位置付ける構成とすれば、ファン軸心に沿う方向の体格を抑えることができる。
また、第12の観点によれば、遠心送風機は、少なくとも対向壁部における周縁部位、および突出部が、一体成形物として構成されている。これによれば、対向壁部における周縁部位と突出部とを別体で構成する場合に比べて、遠心送風機の部品点数を低減させることができる。特に、突出部がファン軸心に沿って延びている構成では、対向壁部における周縁部位と突出部との一体成形物の製造時にアンダーカットが生じ難いといった利点がある。