JP2018204259A - 橋梁の補修方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼角ストッパによって破壊された橋脚などの下部工を合理的に修復することが可能な橋梁の補修方法を提供する。【解決手段】コンクリート製の下部工と上部工とが鋼角ストッパによって連結された橋梁の補修方法である。そして、橋脚11の表面から鋼角ストッパ13の周囲のコンクリートの脆弱部を除去する工程と、橋脚の橋軸面111から脆弱部の除去箇所を経由して鋼角ストッパに隣接する位置を通過させてアンカー3,・・・を設ける工程と、除去箇所に充填材を充填して充填部5とする工程と、充填部から突出されたアンカーの頭部31を鋼板部4によって定着する工程とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、橋梁の橋脚や橋台などの下部工と橋桁などの上部工とが鋼角ストッパによって連結された橋梁の補修方法に関するものである。
特許文献1に開示されているように、矩形の橋脚の上に橋桁が架け渡された橋梁において、橋脚と橋桁とをストッパで連結させることで、大地震時や津波襲来時の落橋を防止する構造が知られている。
また、特許文献2に開示されているように、既存の橋梁の耐震性能を向上させるために、橋脚の外周面に鋼板や鉄筋コンクリートなどを巻き立てることで、せん断耐力を増加させる方法が知られている。
特開2016−75120号公報 特開2011−99201号公報
しかしながらコンクリート製の橋脚と橋桁とを鋼角ストッパによって連結させた場合、橋桁の脱落などの落橋を防止することはできるが、地震時の大きな変動による橋桁からの慣性力を鋼角ストッパが受けると、橋脚の埋込み部周辺が破壊することがある。
そこで、本発明は、鋼角ストッパによって破壊された橋脚などの下部工を合理的に修復することが可能な橋梁の補修方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の橋梁の補修方法は、コンクリート製の下部工と上部工とが鋼角ストッパによって連結された橋梁の補修方法であって、前記下部工の表面から前記鋼角ストッパの周囲のコンクリートの脆弱部を除去する工程と、前記下部工の橋軸方向側面から前記脆弱部の除去箇所を経由して前記鋼角ストッパに隣接する位置を通過させてアンカーを設ける工程と、前記除去箇所に充填材を充填する工程と、前記充填材の充填箇所から突出された前記アンカーの頭部を定着する工程とを備えたことを特徴とする。
ここで、前記アンカーは、前記鋼角ストッパから前記橋軸方向側面に向けて延びるひび割れと交差する箇所を通過するように設置させることができる。また、前記アンカーの頭部は、前記充填材の充填箇所の表面に鋼板によって定着される構成とすることができる。
さらに、前記アンカーは、アンカー自体の引張降伏耐力より前記下部工への付着破壊耐力の方が大きくなるようにアンカー長が設定されている構成とすることができる。
このように構成された本発明の橋梁の補修方法は、せん断破壊などによって損傷したコンクリートの脆弱部を下部工の表面から除去し、鋼角ストッパに隣接する位置を通過させてアンカーを設ける。そして、アンカーの頭部を脆弱部の除去箇所に充填材を充填した充填箇所に定着させる。
このようにすることで、鋼角ストッパによって破壊された橋脚などの下部工を合理的に修復することができる。特に、鋼角ストッパから延びるひび割れと交差する箇所をアンカーが通過するような配置とすることで、破壊された箇所を確実に修復することができる。
一方、アンカーの頭部は、鋼板によって定着させる構成とすることで、過密に配筋された下部工の鉄筋を避けてアンカーを配置した場合も、容易に定着させることができる。
さらに、アンカー自体の引張降伏耐力より下部工への付着破壊耐力の方が大きくなるようにアンカー長を設定することで、アンカー間に充分な間隔が確保できない場合であっても、確実に設計したアンカー力を発揮させることができる。
本実施の形態の橋梁の補修方法によって補修された橋梁の構成を説明する図であって、(a)は縦断面図、(b)は橋脚の上面と橋軸面とを連続して図示した展開図である。 橋脚と橋桁とが鋼角ストッパによって連結される橋梁の構成を説明する斜視図である。 鋼角ストッパの周辺に作用する力とひび割れ発生位置を説明する模式図である。 地震によって破損した橋梁の状況を説明する図であって、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A矢視方向で見た正面図、(c)は(a)のB−B矢視方向で見た平面図である。 本実施の形態の橋梁の補修方法の脆弱部を除去する工程を示した説明図である。 アンカーを設置する工程を示した説明図である。 充填材を充填してアンカーの頭部を定着させる工程を示した説明図である。 図7のC−C矢視方向で見た正面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態で説明する橋梁の補修方法によって補修された橋梁1の構成を説明する図であって、図2は補修対象となる橋梁1の概略構成を説明するための斜視図である。
橋梁1は、橋脚11や橋台などの下部工と、橋桁12,12Aなどの上部工とによって主に構成される。本実施の形態で説明する橋脚11は、鉄筋コンクリートによって構築されている。
橋脚11は、例えば本体が直方体状に成形され、橋桁12,12Aが載せられる上部が橋軸直交方向に拡幅された形状となっている。ここで、橋脚11の橋軸方向側面を橋軸面111とし、上面112には支承部を介して橋桁12,12Aが設置される。
橋桁12,12Aは、単純鉄筋コンクリート桁(単純RC桁)、プレストレストコンクリート桁(例えば連続PC桁)などのいずれの形態であってもよい。本実施の形態で説明する橋梁1では、図2に示すように、橋脚11の上面112に設置されたゴム支承14,・・・によって橋桁12,12Aが支持されている。
そして、コンクリート製の橋脚11と橋桁12(12A)とは、鋼角ストッパ13によって連結される。ここで、1体の橋脚11の上には、橋軸方向に延びる2本の橋桁12,12Aの端部がそれぞれ設置されることになる。以下では、橋桁12の符号で代表して説明する。
鋼角ストッパ13は、角形鋼管などによって四角柱状に形成される。この鋼角ストッパ13は、図1(a)に示すように、下部が埋込み部132となって橋脚11に埋め込まれ、橋脚11の上面112から上方に向けて突出された突出部131は、橋桁12の収容部121に収容される。
橋桁12の収容部121は、鋼角ストッパ13の突出部131よりも一回り大きな直方体状の空洞で、収容部121と突出部131との間には必要に応じて緩衝ゴムが配置される。
鉄筋コンクリート製の橋脚11には、主鉄筋となる縦筋や横筋に加えて、鋼角ストッパ13の周囲に補強鉄筋21,22,23が配置される。図1(b)に例示した補強鉄筋21,21は、平面視で鋼角ストッパ13を挟んだ両側に配置され、橋軸方向に延伸される。
また、補強鉄筋22,22は、平面視で橋軸面111側の補強鉄筋21,21の端部から背面側に広がるように斜めに配置される。また、橋軸面111側の補強鉄筋21,21(22,22)間には補強鉄筋23が配筋される。すなわち、断面長方形の鋼角ストッパ13を平面視略コ字形又はく字形(山形)に囲むように補強鉄筋21−23が配筋される。
さらに補強鉄筋21-23は、図1(a)に示すように、鉛直方向に間隔を置いて埋込み部132の範囲に配筋される。鉛直方向の間隔は、設計によって任意に設定することができるが、例えば大きな応力が生じる上方に密に配筋し、下方の配筋間隔は広げることができる。
このように鋼角ストッパ13の埋込み部132の周囲は、通常の橋脚11の配筋に加えて補強鉄筋21−23によって補強されているが、設計で想定した以上の地震が発生すると、橋脚11の一部が破壊することがある。
すなわち鋼角ストッパ13の埋込み部132は、橋桁12からの慣性力を受けて破壊に至ることがある。破壊に至るまでに生じる損傷は、鋼角ストッパ13によって押し抜かれるように発生するコンクリートのひび割れ(せん断破壊面)とせん断破壊面に交差する補強鉄筋の降伏によって起きる。要するに最大荷重時には、ひび割れが大きく開口することになるため、主にせん断破壊面に交差する補強鉄筋21−23が荷重を負担することになり、破壊耐力は、せん断破壊面に交差する補強鉄筋21−23の降伏強度と断面積とによって定まることになる。
図4に、橋脚11の破壊状況について例示した。図4(a)に示すように、大地震によって橋桁12が大きく変動し、鋼角ストッパ13の埋込み部132を介して大きな応力が橋脚11のコンクリートに生じると、ひび割れH1が発生したり、コンクリートの脆弱部6が出来たりする。
脆弱部6は、図4(a)に示すように埋込み部132より橋軸面111側に表れ、図4(b)に示すように橋軸面111に面的に広がり、図4(c)に示すように上面112にまで及ぶことがある。
ひび割れは、鋼角ストッパ13を起点に発生するものと想定される。図4(a)に示したひび割れH1は、鋼角ストッパ13の橋軸面111側のある深さから斜め下方に向けて延びて橋軸面111に露出されるせん断破壊面である。
橋脚11の上面112に現れる図4(c)に示したひび割れH2,H2は、鋼角ストッパ13の橋軸面111側の隅角部から外側に広がるように斜めに延びて橋軸面111に露出されるせん断破壊面である。さらに、鋼角ストッパ13の背面側の隅角部からも、斜めに広がるようにひび割れH3,H3が発生する。
そこで、本実施の形態の橋梁の補修方法では、上述したせん断破壊メカニズムに基づき、あと施工アンカーの設置位置、定着方法及び補強量(引張降伏強度と断面積)を設計によって定めた。橋脚11には既設の鉄筋が輻輳していることから、あと施工アンカーの設置位置を施工性に配慮して定める必要もある。
まず、ひび割れH1−H3の発生位置について検討する。図3は、鋼角ストッパ13に作用する荷重を模式的に示した図である。橋桁12が橋脚11に対して相対的に移動すると、突出部131の範囲eに長方形状の分布荷重が作用することになる。
そして、これと釣り合うように、埋込み部132の上部の範囲a−xには、直角三角形状の分布荷重が作用することになる。また、鉛直方向のひび割れH1は、「鉄道構造物等設計標準・同解説 コンクリート構造物」に従うと、橋脚11の上面112からa−xの深さ位置の鋼角ストッパ13の橋軸面111側の側面を基点に、斜め45°で下方に向けて延びるものとすることができる。
一方、水平方向のひび割れH2は、図1(b)に示すように、鋼角ストッパ13の隅角部から斜め45°で広がるものとする。すなわちひび割れH2は、鋼角ストッパ13の橋軸面111側の側面と橋軸面111との離隔dと同じとなる、橋軸直交方向の側面から範囲dまで進展すると言える。
また、鋼角ストッパ13の背面側のひび割れH3は、後述するアンカー3のアンカー長L(定着長)を設定する際に使用される。
このようにしてひび割れH1−H3の発生位置が特定できれば、補修を行う範囲も特定できるようになる。本実施の形態の橋梁1の補修方法は、アンカー3と、その頭部31を橋軸面111側に定着させる機械式定着部と、脆弱部6の除去箇所61に設けられる充填部5とによって主に構成される。
アンカー3は、橋脚11を削孔した孔に挿入されて接着材を介して一体化させる、いわゆる「あと施工アンカー」である。アンカー3の芯材には鉄筋や鋼棒などが使用でき、削孔に充填される接着材には、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの有機系接着材、セメントミルクやモルタルなどのセメント系(無機系)接着材などが使用できる。
この接着材を介して橋脚11と一体化させる範囲が、図1(b)に示したアンカー3のアンカー長Lとなる。アンカー長Lとして橋脚11に定着させる範囲は、ひび割れH3よりも背面側(健全部側)に設けられる必要がある。
さらに、アンカー3は、ひび割れH2となるせん断破壊面と確実に交差させるために、平面視では鋼角ストッパ13の橋軸直交方向の側面からd/2までの範囲内に入るように設置される。
一方、鉛直方向のアンカー3の設置範囲は、図1(a)に示すように、橋脚11の上面112からa−xの深さ位置までの範囲内とする。そして、アンカー3の頭部31は、例えば機械式定着の一種である鋼板部4を介して定着させる。鋼板部4は、複数のアンカー3,・・・の頭部31,・・・を定着可能な帯状の鋼板や、図8に示すような個別鋼板41などを、施工性に合わせて任意に選択することができる。
鋼板部4は、充填部5の表面51に配置される。鋼板部4を介して充填部5をアンカー3に接続させることで、充填部5を橋脚11と一体化させることができる。このような充填部5は、無収縮モルタルやコンクリートなどの充填材を充填箇所に充填することによって形成される。
次に、本実施の形態の橋梁1の補修方法について説明する。
本実施の形態の橋梁1の補修方法は、設計で想定した以上の地震が発生して橋脚11が破壊された後、又は大地震によって破壊するおそれがある場合などに実施される。
図6に示すように、橋脚11の橋軸面111や上面112に脆弱部6やひび割れH1−H3が発生した場合、又は発生するおそれがある場合に、まずこの脆弱部6を除去する工程が実施される。
この脆弱部6を除去する工程では、図5に示すように、脆弱部6がすべて含まれるそれより広い範囲で除去箇所61を設定し、はつり出しなどによって脆弱部6をすべて取り除く。
除去箇所61では、補強鉄筋21,22,23の一部が露出したり、鋼角ストッパ13の側面が露出したりする。そして、除去箇所61から橋軸方向に向けて水平に、アンカー3を挿入するための孔を削孔する。
アンカー3は、図1(b)に示すように、ひび割れH3よりも深部まで挿入される。このアンカー3のアンカー長Lは、アンカー3の本体(例えば異形鉄筋)の引張降伏耐力より、接着材を介してアンカー長Lの範囲が橋脚11に付着する付着破壊耐力の方が大きくなるように決定される。すなわち、アンカー3が先に降伏するように設定しておけば、アンカー3が密に配置されてコーン破壊耐力が低減されてしまうような場合でも、設計通りのアンカー力を発揮させることができるようになる。
設計された位置まで削孔された孔には、接着材を充填し、図6に示すようにアンカー3,・・・を挿入する。アンカー3となる芯材は、頭部31が橋軸面111よりも突出する長さのものが挿入される。
続いて橋軸面111の位置に合わせて除去箇所61に型枠を設置し、図7に示すように型枠の内側に無収縮モルタルなどの充填材を充填する。この充填材の充填箇所が充填部5となる。
橋軸面111と面一となる充填部5の表面51からは、アンカー3の頭部31が突出することになる。このアンカー3の頭部31には、図7,8に示すように、鋼板部4や個別鋼板41が配置される。
アンカー3の頭部31は、ナットや楔などを介して鋼板部4又は個別鋼板41に固定される。ここで、橋脚11の鋼角ストッパ13の周辺には、鉄筋が過密に配筋されているため、図8に示すように、アンカー3,・・・の頭部31,・・・を並べて一枚の鋼板部4に定着させることができないこともある。そのような場合は、個別鋼板41を使用して、過密鉄筋の隙間を縫って配置したアンカー3の頭部31を定着させればよい。
次に、本実施の形態の橋梁1の補修方法の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の橋梁1の補修方法は、せん断破壊などによって損傷したコンクリートの脆弱部6を橋脚11の橋軸面111や上面112から除去し、鋼角ストッパ13に隣接する位置を通過させてアンカー3を設ける。そして、アンカー3の頭部31を、脆弱部6の除去箇所61に充填した充填部5に定着させる。
このようにすることで、鋼角ストッパ13によって破壊された橋脚11を合理的に修復することができる。特に、鋼角ストッパ13から延びるひび割れH2と交差する箇所をアンカー3が通過するような配置とすることで、破壊された箇所を確実に修復することができる。
一方、アンカー3の頭部31を、鋼板部4及び個別鋼板41によって定着させる構成とすることで、過密に配筋された橋脚11の鉄筋を避けてアンカー3を配置した場合も、容易に定着させることができる。
さらに、アンカー長Lのコーン破壊耐力を考慮せずに、アンカー3自体の引張降伏耐力より橋脚11への付着破壊耐力の方が大きくなるようにアンカー長Lを設定することで、アンカー3,3間に充分な間隔が確保できない場合であっても、施工性を低下させることなく確実に設計したアンカー力を発揮させることができる。
以下、前記した実施の形態の橋梁の補修方法を実施するための設計例について説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
本実施例の設計例が適用される橋脚11には、正方形断面の1辺が300mmで長さが1400mmの角形鋼管が鋼角ストッパ13として設置される。図3に示した各記号に対応する諸元は、a = 900mm,b = 325mm, h = 150 mm,e =350 mmとなる。
また、図1に示した補強鉄筋H1−H3は異形鉄筋(D16,SD345)とし、a−xの範囲に配置される補強鉄筋H1−H3の鉛直方向の間隔は100mm、それよりも下方に配置される補強鉄筋H1−H3の鉛直方向の間隔は200mmとする。さらに、鋼角ストッパ13と橋軸面111との離隔dは、300mmとする。
アンカー3の水平方向の設置位置は、鋼角ストッパ13の隅角部から生じる45°の斜めひび割れH2に確実に交差するように、鋼角ストッパ13からd/2 以内の範囲とする。
d/2 =300/2 = 150mm
よって、例えば鋼角ストッパ13の橋軸直交方向の側面からの水平距離が75mmの位置をアンカー3が通過するような配置にする。
アンカー3の鉛直方向の設置位置は、斜めひび割れH1に確実に交差するように、a−xの範囲とする。
a - x = a- a(a + 3b)/ (3a + 6b)
= 900 - 900(900 + 3×325)/ (3×900 + 6×325) = 537 mm
よって、橋脚11の上面112から下方に537mmの範囲に、補強鉄筋H1−H3の間となるように各段のアンカー3を設置する。すなわち、鋼角ストッパ13の左右2本×鉛直方向4段 = 8本のアンカー3,・・・を挿入することとする。
アンカー3の諸元としては、補強程度に応じて、水平耐力式からアンカー3の引張降伏強度及び直径を設定する。但し、既設の補強鉄筋H1−H3の引張降伏耐力よりもアンカー3の引張降伏耐力の方が小さくなるように設定する。例えば、D16,SD345の異形鉄筋をアンカー3に使用すると、前記条件は満たされることになる。
アンカー3のアンカー長Lは、付着破壊耐力の方がアンカー3自体の引張降伏耐力より大きくなるように設定する。アンカー3の種類は、接着系アンカー(有機系接着材を使用)とする。この結果、必要なアンカー長Lは400mmとなった。すなわち、アンカー3の全長は、橋軸面111と鋼角ストッパ13との離隔d(=300mm)、鋼角ストッパ13の1辺の長さ(300mm)及びアンカー長L(=400mm)を合計して、1000mmとする。
このように図1に示す8本のアンカー3,・・・は、長さ1000mmの異形鉄筋(D16,SD345)を使用し、鋼角ストッパ13の左右側面からの水平方向の離隔75mmのそれぞれの位置に、橋脚11の上面112から537mmの範囲に、補強鉄筋H1−H3の間に配置されるように設置すればよいことになる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例で説明した橋脚11、橋桁12及び鋼角ストッパ13は例示であり、これに限定されるものではなく、橋台などの別の形態の下部工、上部工及び鋼角ストッパにも本発明を適用することができる。
1 橋梁
11 橋脚(下部工)
111 橋軸面(橋軸方向側面)
112 上面
12 橋桁(上部工)
13 鋼角ストッパ
132 埋込み部
3 アンカー
31 頭部
4 鋼板部(定着)
41 個別鋼板(定着)
5 充填部(充填箇所)
51 表面
6 脆弱部
61 除去箇所
L アンカー長
H1,H2,H3 ひび割れ

Claims (4)

  1. コンクリート製の下部工と上部工とが鋼角ストッパによって連結された橋梁の補修方法であって、
    前記下部工の表面から前記鋼角ストッパの周囲のコンクリートの脆弱部を除去する工程と、
    前記下部工の橋軸方向側面から前記脆弱部の除去箇所を経由して前記鋼角ストッパに隣接する位置を通過させてアンカーを設ける工程と、
    前記除去箇所に充填材を充填する工程と、
    前記充填材の充填箇所から突出された前記アンカーの頭部を定着する工程とを備えたことを特徴とする橋梁の補修方法。
  2. 前記アンカーは、前記鋼角ストッパから前記橋軸方向側面に向けて延びるひび割れと交差する箇所を通過するように設置されることを特徴とする請求項1に記載の橋梁の補修方法。
  3. 前記アンカーの頭部は、前記充填材の充填箇所の表面に鋼板によって定着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の橋梁の補修方法。
  4. 前記アンカーは、アンカー自体の引張降伏耐力より前記下部工への付着破壊耐力の方が大きくなるようにアンカー長が設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の橋梁の補修方法。
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