JP2018202321A - メタン発酵槽 - Google Patents

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Abstract

【課題】メタン発酵槽の形状や攪拌機のレイアウトの制限を受けずに砂を効率的に排出できるメタン発酵槽を提供する。【解決手段】メタン発酵槽1は、発酵槽本体2と、発酵槽本体2の底部に堆積した砂Sを吸引する吸引管3と、発酵槽本体2の外部に設けられ、圧力水により作動して吸引管3に負圧を発生させる吸引ポンプ4と、を備え、吸引管3は、発酵槽本体2の側壁2Aに、槽の内外方向に移動自在に貫通して設けられている構成とした。【選択図】図1

Description

本発明は、メタン発酵槽に関する。
メタン発酵槽に投入される畜産糞には砂が含まれており、長期運転により槽の底部に砂が堆積していくことがある。砂が堆積すると、その分、槽の処理有効容積が減り、さらに消化液の引抜口が砂で埋まるおそれがあるため、砂を定期的に排出する必要がある。従来の砂の排出方法は、定期的に砂の量をチェックし、所定量となったときは、槽内の畜産糞の消化液を空にしたうえで、人が槽内に入ってバキュームホース等を用いて、堆積した砂を外部に排出するというものであった。
しかし、この排出方法では、「槽内の消化液の排出→槽内の換気→砂の排出」という一連の工程に日数がかかり、砂の排出が完了した後にも、「槽への消化液の返送→発酵菌のダブリングタイム等を考慮した発酵運転の再設定」の工程にかなりの日数がかかる。
この問題に対し、特許文献1には、メタン発酵槽の内部に設置した攪拌機を逆回転させて、堆積物を槽の底部中央に集め、ポンプで堆積物を槽外部に排出する技術が記載されている。
特開2014−161813号公報
特許文献1の技術では、メタン発酵槽内の消化液の対流により堆積物を移動させて吸引している。しかし、槽内で消化液の対流を発生させるには、メタン発酵槽の形状や攪拌機のレイアウトに制限を受けるという問題がある。また、消化液の流動性によっては所定の対流効果を得られない場合もある。
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、メタン発酵槽の形状や攪拌機のレイアウトの制限を受けずに砂を効率的に排出できるメタン発酵槽を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、発酵槽本体と、前記発酵槽本体の底部に堆積した砂を吸引する吸引管と、前記発酵槽本体の外部に設けられ、圧力水により作動して前記吸引管に負圧を発生させる吸引ポンプと、を備え、前記吸引管は、前記発酵槽本体の側壁に、槽の内外方向に移動自在に貫通して設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、槽の内外方向に移動自在に貫通する吸引管を備えることにより、発酵槽本体の形状や攪拌機のレイアウトに拘らず、堆積した砂を効率良く吸引できる。吸引ポンプとして、圧力水により作動して吸引管に負圧を発生させる吸引ポンプを備えることにより、砂や夾雑物によるポンプ内の機械的閉塞も起きにくくなる。
また、本発明は、前記吸引管は、管軸方向と直交する方向に移動自在に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、吸引管が槽の内外方向だけでなく、管軸方向と直交する方向に移動可能に設けられていることにより、広範囲に堆積した砂を一層効率的に吸引できる。
また、本発明は、前記吸引管は、可撓性の管から構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、可撓性の吸引管により、広範囲に堆積した砂を一層効率的に吸引できる。砂の堆積量が減るにしたがって、吸引管の先端周りも自重により下方に変位するので、発酵槽本体内の底部まで砂を効率的に吸引できる。
本発明によれば、メタン発酵槽の形状や攪拌機のレイアウトの制限を受けずに砂を効率的に排出できる。
本発明に係るメタン発酵槽の構成図である。 第1実施形態の吸引管周りの側断面図である。 第2実施形態の吸引管周りの側断面図である。 第3実施形態の吸引管周りの側断面図である。
図1に示すように、メタン発酵槽1の発酵槽本体2には、原槽21から畜産糞尿等の有機性廃棄物W1が投入される。発酵槽本体2は例えば円筒形状を呈している。発酵槽本体2内で、有機性廃棄物W1は嫌気性のメタン発酵菌によりメタン発酵し、消化ガスはガスエネルギーとしてボイラや発電機等に適宜に利用される。消化液は図示しない引抜口から下流の処理工程に移送される。畜産糞に含まれた砂はメタン発酵槽1の底部に堆積する。メタン発酵槽1内には、有機性廃棄物W1を攪拌するインペラ式の攪拌機5が回転軸を傾斜させた状態で配置されている。
メタン発酵槽1は、前記発酵槽本体2と、発酵槽本体2の底部に堆積した砂Sを吸引する吸引管3と、発酵槽本体2の外部に設けられ、圧力水により作動して吸引管3に負圧を発生させる吸引ポンプ4と、を備えている。
攪拌機5は前記したように回転軸が傾斜して配置されているので、インペラによって攪拌された砂Sは、図1に示すように発酵槽本体2の底部に攪拌機5とは反対側に偏って堆積される。吸引管3は、その先端の吸引口が砂Sの堆積部に臨むように配置されている。
「第1実施形態」
図2において、吸引管3は、発酵槽本体2の側壁2Aに、槽の内外方向に移動自在に貫通して設けられている。吸引管3は、直線状の金属管やプラスチック管等からなる。側壁2Aには、槽の外側に水平状に突設し、先端にフランジ11Aを有する筒状のドレンノズル11が取り付けられている。フランジ11Aには、ドレン開閉バルブ12が取り付けられている。本実施形態のドレン開閉バルブ12はナイフゲートバルブからなり、円形フランジ型の弁箱12Aと、上下に昇降自在な平板状の弁体12Bとを備えている。ドレン開閉バルブ12は、弁箱12Aの一面側がフランジ11Aにあてがわれて、ボルト13およびナット14によりドレンノズル11に固定される。ドレン開閉バルブ12は手動式であってもよいし、電動式であってもよい。
弁箱12Aの他面側にはパッキンケース15が取り付けられている。パッキンケース15は、一端側、他端側にそれぞれフランジ15A,15Bを有する筒状部材であり、フランジ15Aが弁箱12Aにあてがわれて前記ボルト13で弁箱12Aに固定されている。吸引管3は、ドレン開閉バルブ12が開いた状態で、パッキンケース15とドレン開閉バルブ12とドレンノズル11の内部を水平状に貫通して、先端の吸引口6が発酵槽本体2内の底部に臨む。吸引口6は、斜め下向きに開口するように形成されている。
吸引管3の外周面とパッキンケース15の内周面との間には、軸封部材としてパッキン16が介設されている。パッキン16は、断面角形を呈した紐状のグランドパッキンが好適である。パッキン16の一端側は、パッキンケース15の内周面に突設したパッキン押え17により移動が阻止され、パッキン16の他端側は、パッキンケース15のフランジ15Bにボルト18およびナット19で取り付けられたパッキン押え20により移動が阻止されている。パッキン押え17は、パッキンケース15に固定あるいは一体形成されたもので、その内径が吸引管3の外径より大きく形成されている。また、パッキン押え20の内径も吸引管3の外径より大きく形成されている。このパッキン押え20の先端をボルト18およびナット19によりパッキン16へ押し込むと、パッキン16が潰れ、吸引管3の外周面を押圧する。この押圧量を調整することにより、吸引管3を移動してもメタン発酵槽1内から液体が漏れるのを防止したり、漏れる液体の量を調整することができるようになっている。なお、パッキン16はOリングであってもよい。吸引管3の基端は、開閉バルブ22を介して吸引ポンプ4に接続されている。
吸引ポンプ4は、たとえばジェットポンプから構成される。図1に示すように、吸引ポンプ4は、駆動水ポンプ7から供給される圧力水により作動して、吸引管3に負圧を発生させる。駆動水ポンプ7で使用する駆動水は、地下水やメタン発酵槽1で得られた消化液を利用することができる。吸引管3で吸引された砂は圧力水とともに固液分離機8で砂と水に分離される。図示しない圧力水槽を設けて、固液分離機8で分離した水を貯留し、圧力水として再利用してもよい。この圧力水槽により圧力水を循環利用できる。
このような一連の排砂運転をタイマー制御等により定期的に行うことにより、発酵槽本体2内の砂Sの量を抑え、発酵槽本体2の処理有効容積の減少を阻止できる。勿論、有機性廃棄物Wの投入状況に応じて任意の時間に排砂運転を行ってもよい。また、発酵槽本体2の内部に、砂を検知する検知センサ(図示せず)を設け、この検知センサの検知信号に基いて排砂運転を行うようにしてもよい。
「作用」
排砂運転を行う際は、開閉バルブ22を開き、吸引ポンプ4により吸引管3に負圧を発生させて、吸引口6から砂Sを吸引する。そして、作業者が吸引ポンプ4を動かして吸引管3を管軸方向すなわち槽の内外方向に移動させ、吸引口6の位置を適宜に移動させていくことにより、広範囲に堆積した砂Sを効率的に吸引できる。吸引管3の外周面はグランドパッキン等からなるパッキン16により封密されているため、吸引管3を前後に移動させても発酵槽本体2内の有機性廃棄物Wが漏れることはない。なお、吸引ポンプ4の下部に車輪を取り付け、当該車輪を床上で走行させることで吸引ポンプ4を移動させるようにしてもよい。そして、作業終了時には開閉バルブ22を閉める。
また、パッキン16を交換またはメンテナンスする際には、吸引管3の先端周りをパッキン16の位置まで移動させ、ドレン開閉バルブ12の弁体12Bを閉じてから行う。このように、吸引管3の先端をドレン開閉バルブ12の外側まで、引き抜くことができる構造なので、外部から発酵槽本体2内に吸引管3を入れられ、砂の溜まった発酵槽本体2に後から取り付けることができる。さらに、既存のメタン発酵槽1のドレン開閉バルブ12の内径より小さい外径の吸引管3を使用すれば、既存の発酵槽本体2内の砂を除去することができる。よって、吸引管3を交換することでいろいろなメタン発酵槽1のドレン開閉バルブ12に対応することができる。
「第2実施形態」
図3において、第2実施形態の吸引管3は、発酵槽本体2の側壁2Aに、槽の内外方向に加えて、管軸方向と直交する方向、すなわち上下方向および左右方向(図3における紙面奥−手前方向)に移動可能となるように設けられている。なお、図3において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してその説明は省略する。
ドレン開閉バルブ12とパッキンケース15との間には、吸引管3を覆う可撓性の筒状のカバー部材23が設けられている。吸引管3は、直線状の金属管やプラスチック管等からなる。本実施形態のカバー部材23は蛇腹形状を呈している。カバー部材23は、一端が、ドレン開閉バルブ12の弁箱12Aの他面にボルト13で締結されたリング状のカバー押え24により固定され、他端が、パッキンケース15のフランジ15Aにボルト25およびナット26で締結されたリング状のカバー押え27により固定されている。
本実施形態によれば、作業者が吸引ポンプ4を動かすと、カバー部材23の蛇腹部が撓むことにより、吸引管3を槽の内外方向だけでなく仮想線で示すように上下方向、または左右方向に回動させることができる。これにより、広範囲に堆積した砂Sを一層効率的に吸引できる。
「第3実施形態」
図4において、第3実施形態の吸引管31は、可撓性の管(フレキシブルホース)から構成されている。なお、図4において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付してその説明は省略する。
本実施形態によれば、作業者が吸引ポンプ4を動かすことにより、フレキシブルホースからなる吸引管31で広範囲に堆積した砂Sを一層効率的に吸引できる。砂Sの堆積量が減るにしたがって、吸引管31の先端周りも自重により下方に変位するので、発酵槽本体2内の底部まで砂Sを効率的に吸引できる。
以上の3つの実施形態で説明したように、吸引管3,31を、発酵槽本体2の側壁2に、槽の内外方向に移動自在に貫通して設けることにより、発酵槽本体2の形状や攪拌機5のレイアウトに拘らず、砂Sを効率良く吸引できる。発酵槽本体2の形状や攪拌機5のレイアウトの制限を受けないので、既設のメタン発酵槽にも本発明を容易に適用できる。また、吸引ポンプとして、圧力水により作動して吸引管3,31に負圧を発生させる吸引ポンプ(ジェットポンプ)4を備えることにより、砂や夾雑物によるポンプ内の機械的閉塞も起きにくくなる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。本発明は、発酵槽本体2の形状や攪拌機5のレイアウトは図示したものに限定されずに実施可能である。また、攪拌機5は必ずしも設定する必要はない。
1 メタン発酵槽
2 発酵槽本体
3,31 吸引管
4 吸引ポンプ
5 攪拌機
6 吸引口
8 固液分離機
11 ドレンノズル
12 ドレン開閉バルブ
15 パッキンケース
16 パッキン

Claims (3)

  1. 発酵槽本体と、
    前記発酵槽本体の底部に堆積した砂を吸引する吸引管と、
    前記発酵槽本体の外部に設けられ、圧力水により作動して前記吸引管に負圧を発生させる吸引ポンプと、を備え、
    前記吸引管は、前記発酵槽本体の側壁に、槽の内外方向に移動自在に貫通して設けられていることを特徴とするメタン発酵槽。
  2. 前記吸引管は、管軸方向と直交する方向に移動自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のメタン発酵槽。
  3. 前記吸引管は、可撓性の管から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のメタン発酵槽。
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