JP2018201125A - 多入力多出力系の直接逆同定方法及び装置及びプログラム及び記憶媒体、多入力多出力逆フィルタ装置及び方法 - Google Patents
多入力多出力系の直接逆同定方法及び装置及びプログラム及び記憶媒体、多入力多出力逆フィルタ装置及び方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 多入力多出力系を伝達系とする逆フィルタ装置は、第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MMと(Mは、2以上の整数)、第1〜第Mの出力部U1〜UMと、を備え、逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力を加算して出力する。処理部は、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)の各フィルタ係数の推定値g^ij kを、直接逆同定法による処理を実行して、多入力多出力系の入出力測定値から直接同定する。
【選択図】 図7
Description
音響的に臨場感を再現する方法としては、距離による音量の減衰や両耳間強度差により音像定位を再現する音量差、音波が到達する時間の差によって音像定位を再現する時間差などの方法に加え、周波数特性、位相、残響の変化によって再現する方法があるが、バイノーラル録音は実際に人間の耳で聞くように録音することで実際の臨場感も含め録音するものがある。
バイノーラル録音では、例えば、人間の頭部形状を模したダミーヘッドと呼ばれる人形の両耳部分にマイクを埋め込んで録音する。この音源をヘッドホンやイヤホンにより聴取した場合、録音時の情報がそのまま再現されるため高臨場感が得られる。
図2に、トランスオーラルシステムの説明図を示す。
トランスオーラル再生を実現するためには、スピーカから耳元へ至るクロストーク成分をキャンセルするために未知の2入力2出力系(H)の逆システムが必要となる[非特許文献1]。この逆システムの推定値が図2の逆フィルタG^となる。このとき、逆フィルタの伝達関数行列G^は次の関係式を満たすことが望まれる。なお、記号上に付される”^”は、推定値の意味であり、入力の都合上、文字の右上に記載するが、数式で示すように、文字の真上に記載されたものと同一である。
従来法[非特許文献2、非特許文献3等]では、まず未知の2入力2出力系を同定し、その結果を用いて逆フィルタ、すなわち逆システムを求めると云った2段階方式をとっていた。そのため、誤差が2重に蓄積すると共に系の変動の影響を受け易いことが想定される。
また、4入力4出力系の音響再生装置が考案されているが[特許文献3]、順方向の同定を行ってから、その結果を用いて逆同定を行うと云った従来法と同じ2段階方式をとっていた。よって、従来のトランスオーラルシステムと同様の課題を抱えている。さらに、この装置の逆フィルタは固定無限インパルス応答ディジタルフィルタ又は固定IIR(Infinite Impulse Response)デジタルフィルタを用いているため、生活空間での日常使いは困難な場合が想定される。
そのため、複数の試聴者が同じ臨場感を体感できるトランスオーラル再生を実用的なレベルで実現できず、現在まで商品化されていない。また、MIMO通信、地震の振動再現、ロボットの逆キネマティクスなどへの展開も進んでいない。
また、従来は、入出力が3チャンネル以上の場合に実用的な逆フィルタG^を求めるための方法や、そのような逆フィルタG^を用いた逆システム又はトランスオーラスシステム等が存在しなかった。
多入力多出力逆フィルタ装置のための多入力多出力系の直接逆同定方法であって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部は、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力し、
処理部は、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)の各フィルタ係数の推定値g^ij kを、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定する、
多入力多出力系の直接逆同定方法が提供される。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
k:時間のインデックス
多入力多出力逆フィルタ装置のための多入力多出力系の直接逆同定装置であって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
多入力多出力系の前記直接逆同定装置は、
処理部と、
記憶部と、
を備え、
前記処理部は、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力し、
前記処理部は、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)の各フィルタ係数の推定値g^ij kを、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定する、
多入力多出力系の直接逆同定装置が提供される。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
多入力多出力逆フィルタ装置のための多入力多出力系の直接逆同定プログラムであって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部が、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力するステップと、
処理部が、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)の各フィルタ係数の推定値g^ij kを、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定するステップと、
前記処理部が、同定した各フィルタ係数の推定値g^ij kを、記憶部に記憶するステップと、
をコンピュータに実行させるための多入力多出力系の直接逆同定プログラムが提供される。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
多入力多出力逆フィルタ装置のための多入力多出力系の直接逆同定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部が、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力するステップと、
処理部が、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)の各フィルタ係数の推定値g^ij kを、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定するステップと、
前記処理部が、同定した各フィルタ係数の推定値g^ij kを、記憶部に記憶するステップと、
をコンピュータに実行させるための多入力多出力系の直接逆同定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
多入力多出力系を伝達系とする多入力多出力逆フィルタ装置であって、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部により、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力し、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定した各フィルタ係数の推定値g^ij kが、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)に設定された、多入力多出力逆フィルタ装置が提供される。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
多入力多出力系を伝達系とする多入力多出力逆フィルタ装置を用いた多入力多出力逆フィルタ方法であって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部により、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力し、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定した各フィルタ係数の推定値g^ij kが、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)に設定された、多入力多出力逆フィルタ装置を用いた多入力多出力逆フィルタ方法が提供される。
本発明及び/又は本実施の形態によると、例えば、以下の方法又は装置を提供することができる。
1) 多入力多出力系の逆システムを入出力データから直接実時間で同定する方法・装置。
2) 上記で求めた逆フィルタを用いて多入力多出力系の等化器を構築する方法・装置。
3) 上記の逆フィルタを用いて複数の人が高臨場感を共有できる音場再生方法・装置。
4) 上記の逆フィルタを用いて所望の出力を与えるシステムの入力を生成する方法・装置。
未知のM入力M出力系HのM×M個の経路の伝達関数をそれぞれHij, i,j=1,・・・,Mとし、z変換された系の入力をU1,・・・,UM、系の出力をY1,・・・,YMとすれば次のように表すことができる。ここで、Mは、予め定められた2以上の整数であり、本発明及び/又は本実施の形態は、特に、Mが3以上の整数とした多入力多出力系にも適用することができる。
本発明及び/又は本実施の形態の特徴のひとつとしては、例えば、事前にHij, i,j=1,・・・,Mを求めることなく、直接、次式を満たす逆フィルタG^ij, i,j=1,・・・,Mを求めることである。
また、G^ij、Ui、Yjは、それぞれ、g^ij k、ui k、yj kのz変換である。
なお、記号の上に付される”^”は、推定値の意味である。また、”〜”、”U”等は、便宜上付加した記号である。これらの記号は、入力の都合上、文字の右上に記載するが、数式で示すように、文字の真上に記載されたものと同一である。また、数式中太字で標記される記号、Y、H、U、G、g、L、C、I,K、R等は行列であり、本来数式で示すように太文字で記されるものであるが、出願形式の制約上、普通の文字で記載する。
図7は、M入力M出力系の直接逆同定法の説明図を示す。
ここでは、M入力M出力系の一例として、音響系について説明するが、本発明及び/又は本実施の形態は、通信系、振動系、制御系等に適用することができる。例えば、通信系、振動系、制御系等の場合には、スピーカとマイクを、対応する送信機・送信部・送信器等の出力部と、対応する受信機・受信器・受信部・測定部・検出部等の入力部等に置き換えればよく、また、音源を、対応する信号源・送信源・情報源等のソースに置き換えればよい。ただし、例えば、伝達系への各入力Uiのソース(例、音源)Xiは互いに無相関とする。本実施の形態では、U1,...,UMの無相関性を用いて、通過領域の等化とクロストークキャンセルを並列分散的に実行している。U1+...+UMと重なっていても、U1,...,UMが無相関であれば、それぞれ別々に処理できる。
なお、順方向の同定(順同定)では、U1,...,UMが無相関であれば、入力信号の相関行列はブロック対角行列となり、並列分散的に実行することができる。本実施の形態(逆同定)では、U1,...,UMを無相関としても、一般に逆システムの入力信号Y1,...,YMの相関行列がブロック対角行列となる保証はない。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソース(例、音源)からi番目の伝達系・未知系Hへの入力(例、スピーカ等の出力部)への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソース(例、音源)を処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系・未知系Hからの出力(例、マイク等の入力部の出力系列)。
N:タップ数(インパルス応答長)
k:時間のインデックス
E〜 i:時間領域の誤差e〜i kのz変換
次に、式(6)〜式(11)の直接逆同定法によって得られた逆フィルタG^が未知の多入力多出力系Hの逆システムになること(すなわち、合成システムG^H=HG^がオールパス特性をもつという証明)を示す。
図7のU1に注意すればG^11,・・・,G^1Mは次式を満たすことがわかる。
特に、直接逆同定法では適応フィルタとしてJ−高速H∞フィルタを用いると効果的である。J−高速H∞フィルタをベースにした直接逆同定法の場合、各フィルタゲインKi s,k, i=1,・・・,M は次の再帰式で更新される。なお、Ki s,kは、他にも適宜の適応フィルタ等のアルゴリズム・処理により求めても良い(例えば、特許第4067269号公報、特許第4444919号公報、特許第5196653号公報、等参照)。
多入力多出力系を伝達系とする多入力多出力逆フィルタ装置200は、逆フィルタG^11〜G^MM、出力部U1〜UMと、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMからの出力を入力して加算して前記出力部に出力する加算器i(i=1,・・・,M)と、を備える。逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、出力部Uiは、加算器1〜Mの出力を出力する。
なお、S1からの信号(例、音)はY1だけに伝わり、同様にS2,・・・,SMからの信号(例、音)はそれぞれY2,・・・,YMだけに伝わるようにすることをトランスオーラル再生と言う。ソースの信号(例、音源の音)を逆フィルタG^で処理した後に出力部(例、スピーカ)U1〜UMから出力すれば、S1からの信号(例、音)はY2〜YMには伝わらない。これをクロストークキャンセルと言う。
以上の逆同定からトランスオーラル再生までの手順を、後述の図9のフローチャートに示した。
図3は、逆同定装置の構成図である。
逆同定装置100は、中央処理装置(CPU)である処理部101、入力部102、出力部103、表示部104及び記憶部105を有する。また、処理部101、入力部102、出力部103、表示部104及び記憶部105は、スター又はバス等の適宜の接続手段で接続されている。記憶部105は、測定値、予め定められた値、未知・既知のデータ、逆フィルタに関するデータ(フィルタ係数等)、処理部101により計算された各種データ等が記憶され、処理部101により、記憶部105に対して、それらの各データ等が必要に応じて書込み及び/又は読み出しされる。
逆同定装置100’では、測定部107が入出力を測定し、それらの測定値を入力部102又はI/F106を介して、記憶部105に入力するようにした点が、主に図3の逆同定装置100と異なる。なお、記憶部105は、例えば、逆フィルタに関するデータを記憶する逆フィルタデータファイル151、入出力データを記憶する入出力測定値ファイル152、等の適宜のファイルを含むようにしてもよい(図3においても同様)。また、入出力測定値ファイル152等のファイルは、例えば、リングバッファを用いても良い。
(S1) 処理部101は、フィルタゲインKi s,kの再帰変数を初期化する。たとええば、処理部101は、式(29)に示すような初期条件を記憶部105から読み出し、又は、初期条件を入力部102から入力し、Ri e,−1,R,ρ,γf,ε0,K〜i −1,P^i 0|−1,L〜i −1,Ri r,−1等に初期値を代入(式(29))する。なお、k=0とする。
(S2) 処理部101は、システムの入出力{ui k},{yi k}を測定する。なお、システムの入出力は、処理部101が予め複数のkについてのデータを測定して記憶部105に保存しておき、kに従い、処理の際にその都度データを読み出すようにしてもよい。
(S3) 処理部101は、フィルタゲインKi s,kを式(23)から式(28)により計算する。
(S4) 処理部101は、直接逆同定法で、g^ij kを式(6)から式(11)により求める。
(S5) 処理部101は、各フィルタ係数の推定値が収束したとき(||g^ij k−g^ij k−1||≒0)、トランスオーラル再生の処理(S7)へ移行する。一方、各フィルタ係数の推定値が収束しないとき、ステップS6へ移行する。
(S6) 処理部101は、時間のインデックスkに1を加え、ステップS2に戻る。
(S8)逆フィルタ装置は、M×Mトランスオーラル再生のためにG^Sを計算して、出力する。
(S9)逆フィルタ装置は、計算したG^Sを各々の出力部{Ui}(スピーカ等)から多出力する。
同様にチャンネル数を増やせば、原理的には3人、4人、・・・でも同じ音源の臨場感を共有できる。
例えば、図10の左側の音源(SL,SR)を日本語放送、右側の音源(SL,SR)を英語放送にすれば、同じ空間において左右のテレビ視聴者がそれぞれの言語でテレビを見ることもできる。
(1) 3×3トランスオーラルシステム
図11に、3入力3出力系の直接逆同定法と3×3トランスオーラルシステムの検証実験の例の説明図を示す。
また、図12から図17にそのときの各スピーカからの各マイクの信号の説明図を示す。
図12は、左スピーカから左マイクの伝達信号を表す図、図13は、右または中央スピーカから左マイクの伝達信号を表す図、図14は、中央スピーカから中央マイクの伝達信号を表す図、図15は、右または左スピーカから中央マイクの伝達信号を表す図、図16は、右スピーカから右マイクの伝達信号を表す図、また、図17は、左または中央スピーカから右マイクの伝達信号を表す図、である。
これより、本発明及び/又は本実施の形態によって3入力3出力系でもクロストークキャンセルが良好に行われることが確認できた。
図18に、4入力4出力系の直接逆同定法と4×4トランスオーラルシステムの検証実験の例の説明図を示す。
また、図5は、スピーカーSP1、SP2、SP3、SP4からマイクMic1への伝達特性の図を表している。
この例では、SP1からMic1への伝達特性は200Hz以上はほぼ平坦となり、良好な通過特性を示している。一方、SP2、SP3、SP4からマイクMic1への伝達特性は200Hz以上でほぼ10〜20dB利得が減衰しており、クロストークがキャンセルされている様子がわかる。
図6は、本発明及び/又は本実施の形態と従来法との違いを示す説明図である。
本実施の形態によると、未知の多入力多出力系の逆システムを1回の実時間同定で可能とすることができる。また、本実施の形態によると、逆同定で得られた逆フィルタを用いて、多入力多出力系の等化器の構築や所望の出力を与えるシステムの入力の生成を可能とすることができる。特に、本実施の形態によると、複数の人が高臨場感を共有できる音場再生を実現することができる。
101 処理部
102 入力部
103 出力部
104 表示部
105 記憶部
200 逆フィルタ装置
Claims (15)
- 多入力多出力逆フィルタ装置のための多入力多出力系の直接逆同定方法であって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部は、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力し、
処理部は、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)の各フィルタ係数の推定値g^ij kを、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定する、
多入力多出力系の直接逆同定方法。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
k:時間のインデックス
- 請求項1に記載された多入力多出力系の直接逆同定方法において、
前記処理部が、フィルタゲインKi s,kの再帰変数を初期化するステップと、
前記処理部が、前記多入力多出力系の入力及び出力の測定値を入力するステップと、
前記処理部が、フィルタゲインKi s,kを計算するステップと、
前記処理部が、各フィルタ係数の推定値g^ij kを前記式(6)〜式(11)により求める直接逆同定法による処理を実行するステップと、
前記処理部が、各フィルタ係数の推定値g^ij kが収束するまで、時間のインデックスkに1を加えて前記入力するステップ、前記計算するステップ、及び前記処理を実行するステップを繰り返し、収束した推定値g^ij kを記憶部に記憶するステップと、
を含むことを特徴とする多入力多出力系の直接逆同定方法。
- 請求項1乃4至のいずれかに記載された多入力多出力系の直接逆同定方法において、
前記Mは3以上の整数であることを特徴とする多入力多出力系の直接逆同定方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載された多入力多出力系の直接逆同定方法において、
さらに、求めた各フィルタ係数の推定値g^ij kにより設定された逆フィルタG^11〜G^MMを用いた前記多入力多出力逆フィルタ装置により、等化器を構築すること、又は、MIMOシステム若しくはその他の通信システムにおける空間多重化を行うことを特徴とする多入力多出力系の直接逆同定方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載された多入力多出力系の直接逆同定方法において、
さらに、求めた各フィルタ係数の推定値g^ij kにより設定された逆フィルタG^11〜G^MMを用いた前記多入力多出力逆フィルタ装置により、複数の人が高臨場感を共有できる音場再生を行うことを特徴とする多入力多出力系の直接逆同定方法。
- 請求項7に記載された多入力多出力系の直接逆同定方法において、
前記ソースSiは音源であり、
前記出力部Uiはスピーカであり、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、出力部Uiからの音をクロストークキャンセルし、トランスオーラル再生を実現することを特徴とする多入力多出力系の直接逆同定方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載された多入力多出力系の直接逆同定方法において、
さらに、求めた各フィルタ係数の推定値g^ij kにより設定された逆フィルタG^11〜G^MMを用いた前記多入力多出力逆フィルタ装置により、所望の出力を与えるシステムの入力を生成することを特徴とする多入力多出力系の直接逆同定方法。
- 多入力多出力逆フィルタ装置のための多入力多出力系の直接逆同定装置であって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
多入力多出力系の前記直接逆同定装置は、
処理部と、
記憶部と、
を備え、
前記処理部は、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力し、
前記処理部は、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)の各フィルタ係数の推定値g^ij kを、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定する、
多入力多出力系の直接逆同定装置。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
- 多入力多出力逆フィルタ装置のための多入力多出力系の直接逆同定プログラムであって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部が、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力するステップと、
処理部が、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)の各フィルタ係数の推定値g^ij kを、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定するステップと、
前記処理部が、同定した各フィルタ係数の推定値g^ij kを、記憶部に記憶するステップと、
をコンピュータに実行させるための多入力多出力系の直接逆同定プログラム。
ここで、
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
- 多入力多出力逆フィルタ装置のための多入力多出力系の直接逆同定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部が、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力するステップと、
処理部が、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)の各フィルタ係数の推定値g^ij kを、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定するステップと、
前記処理部が、同定した各フィルタ係数の推定値g^ij kを、記憶部に記憶するステップと、
をコンピュータに実行させるための多入力多出力系の直接逆同定プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
- 多入力多出力系を伝達系とする多入力多出力逆フィルタ装置であって、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部により、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力し、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定した各フィルタ係数の推定値g^ij kが、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)に設定された、多入力多出力逆フィルタ装置。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
- 請求項13に記載された多入力多出力逆フィルタ装置において、
さらに、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMからの出力を入力して加算し、加算値を前記出力部に出力する加算器i(i=1,・・・,M)を備えたことを特徴とする多入力多出力逆フィルタ装置。
- 多入力多出力系を伝達系とする多入力多出力逆フィルタ装置を用いた多入力多出力逆フィルタ方法であって、
前記多入力多出力逆フィルタ装置は、
第1〜第[M×M]の逆フィルタG^11〜G^MM
と(Mは、2以上の整数)、
第1〜第Mの出力部U1〜UMと、
を備え、
逆フィルタG^1i,・・・,G^Miは、ソースSi(i=1,・・・,M)を入力し、
出力部Uiは、逆フィルタG^i1,・・・,G^iMの出力の加算値を出力し、
処理部により、前記多入力多出力系を伝達系とした入出力測定値を入力し、以下の式(6)〜式(11)に従う直接逆同定法による処理を実行して、前記多入力多出力系の入出力測定値から直接同定した各フィルタ係数の推定値g^ij kが、逆フィルタG^ij(i,j=1,・・・,M)に設定された、多入力多出力逆フィルタ装置を用いた多入力多出力逆フィルタ方法。
g^ij k:N次元ベクトル;j番目のソースからi番目の伝達系の入力又は出力部への逆フィルタのフィルタ係数の推定値。
Kj s,k:N×1行列;j番目のソースを処理する逆フィルタを求めるためのフィルタゲイン。
Yj k:1×N行列;j番目の伝達系の出力又は入力部の出力系列。
e〜i k:i番目の時間領域の誤差
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