JP2018199120A - 廃液蒸発装置、焼却炉、zldシステム及びノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明が解決しようとする課題は、廃液に泥のような固形分がある場合も目詰まりを起こさない廃液蒸発装置を提供する。【解決手段】上記の課題を達成するために、実施形態に係る廃液蒸発装置は、廃液供給部2と高圧空気噴射部3とを有する廃液蒸発装置であって、廃液供給部2は、廃液供給部2及び高圧空気噴射部3の外部の空間14に廃液を供給し、高圧空気噴射部3は、空間14に廃液供給部2から供給された廃液に高圧空気をあてて廃液を霧化する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、廃液蒸発装置、焼却炉、ZLDシステム及びノズルに関する。
近年の廃液処理においては、最終的に水を含む廃液を出さないで、固体の汚染物になるまで処理する廃液ゼロ放出システム、ZLD(Zero Liquid Discharge)システムが求められている。
ZLDシステムの開発では、さまざまな工程を経て、廃液の中に含まれる水を蒸発させて固化することで、水を含む廃液を一切出さないシステムを目指している。
ZLDシステムの最終工程では、ソーラーポンドと呼ばれる野外の大きなプールに例えば工業用水(廃液)を導入し、太陽熱で水を蒸発させるものがある。これは非常に大きな面積と、蒸発速度が遅いために莫大な時間を要し、処理速度も小さいものになる。そこで種々の装置が考案され使用されている。その中に、液体状態の廃液を霧化して、固体になるまで蒸発させる方法があるが、水と固形分を含む廃液を高圧空気噴射部に供給して霧化させるため、廃液を供給する配管と高圧空気噴射部との接続部で目詰まりを起こすことがあった。
本発明の実施形態は、廃液に泥のような固形分がある場合も目詰まりを起こさない廃液蒸発装置を提供する。
上記の課題を達成するために、実施形態に係る廃液蒸発装置は、廃液供給部と高圧空気噴射部とを有する廃液蒸発装置であって、廃液供給部は、廃液供給部及び高圧空気噴射部の外部の空間に廃液を供給し、高圧空気噴射部は、空間に廃液供給部から供給された廃液に高圧空気をあてて廃液を霧化する。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。同じ符号が付されているものは、互いに対応するものを示す。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る廃液蒸発装置を示す図である。
図1は、第1の実施形態に係る廃液蒸発装置を示す図である。
図1において、廃液蒸発装置は、水および固形分を含む廃液を溜める廃液タンク1と、溜めた廃液を少量ずつ外部の所定の位置に取り出すための廃液供給部2と、を含む。廃液供給部2を流れている状態の廃液を、例えば廃液供給部2から外部に廃液を所定の位置に自由落下させている。
廃液蒸発装置は、廃液供給部2から供給された廃液に対して、所定の位置で高圧空気をあてて霧化させる高圧空気噴射部3を含む。廃液が自由落下 する軌道上に高圧空気のあたるように高圧空気噴射部3は設けられる。すなわち、廃液供給部2は、廃液供給部2内の廃液を廃液供給部2及び高圧空気噴射部3の外部の空間14に供給し、その空間14で廃液が高圧空気噴射部3からの高圧空気によって霧化するともいえる。外部の空間14とは、廃液供給部2及び高圧空気噴射部3の外部であり高圧空気があたるところである。
廃液蒸発装置はさらに、高圧空気噴射部3によって、霧化した廃液を導入するチャンバー4と、チャンバー4上に取り付けられた蒸気回収部6と、チャンバー4下に取り付けられた汚染物(粉じん)回収部5と、を含む。
廃液とは、汚染物を含む液体を示している。また、汚染物とは、廃液における水以外の物質を意味している。また、廃液は、例えば工業排水が想定される。
ベンチュリー効果とは、流体の流れを絞ることによって、流速を増加させて、低速部に比べて低い圧力を発生させる効果である。従来の廃液を蒸発させる方法は高圧空気のベンチュリー効果によって吸い上げた液体を噴霧している方法がある。液体を吸い上げる配管は、一般に細い。
本実施形態に係る廃液蒸発装置は、ベンチュリー効果が及ばない、すなわち吸い上げるような供給機構が無い状態の空間14にある廃液に高圧空気をあてて廃液を霧化するものである。本実施形態に係る廃液蒸発装置は、廃液を霧化することで廃液に含まれる水分を蒸気に変えて、汚染物だけを汚染物回収部5で回収できる。本実施形態に係る廃液蒸発装置によれば、高圧空気噴射部3と廃液を供給する管との接続部をなくして目詰まりを起こさずに廃液を蒸発させることができる。また、霧とは、平均の水滴の直径が100μm以下の無数の水滴を示している。
以下、構成の詳細な説明をする。
廃液タンク1は、廃液を溜めている。
廃液供給部2は管である。廃液供給部2の管内を廃液は移動する。廃液供給部2の上端は廃液タンク1と接しており、下端は空気に暴露されている。廃液が、廃液タンク1内に一定量溜まれば、バルブ(図示せず)があいて、重力によって廃液供給部2を通って移動する。廃液は、廃液供給部2の下端から外に落下し、落下中にベンチュリー効果が及ばない空間14に存在する状態になる。
一般に、流体は、管内を流体が流れると、ベンチュリー効果の制約を多少なりとも受ける。しかし、本実施形態に係る廃液蒸発装置は、廃液供給部2である管の外に流体を供給するため、その制約を受けない。
高圧空気噴射部3は、高圧空気を噴射する噴射口として設けられている。高圧空気噴射部3は高圧空気を蓄える空気タンク(図示せず)に取り付けられており、その高圧空気を噴射することで気流をおこすことができる。高圧空気の気流によって、廃液が霧化する。高圧空気噴射部3が気流を起こす方向は、チャンバー4に向いており、霧化した廃液がチャンバー4に導入される。気流を起こす方向は、重力がかかる方向に対して直交する方向がより好ましい。また、高圧空気噴射部3は、一つだけ設けるのでなく、廃液に高圧空気噴射部3からの高圧空気があたるように必要に応じて高圧空気噴射部3を複数設けてもよい(図示せず)。また、その高圧空気をあてる方向が複数あってもよい。
チャンバー4は、廃液を蒸気と汚染物に分けるために設けられた部屋である。チャンバー4に導入された霧化した廃液は、霧化していない廃液に比べて表面積が増える。そのため、霧化した廃液の水分は効率的に大気の熱を奪って蒸発でき、固形の汚染物は重力で落下する。一般に固体分は細かい粒子になることが多いので、適当な手段、例えばサイクロン方式で回収することができる。チャンバー4内は、大気圧及び温度は、外部と同じでよい。
蒸気回収部6は、チャンバー4で発生した蒸気を回収するために設けられている。蒸気回収部6は、例えばスチームトラップである。回収した蒸気は、外気に直接排出してもよいし、工場等の施設で利用してもよい。
汚染物回収部5は、チャンバー4内に落下した固形の汚染物を回収するために設けられている。回収した汚染物は、焼却炉等で燃焼される。
従来の廃液の蒸発方法にスプレードライがあり、本実施形態と異なり、固形分を完全に廃液に溶解させる溶解処理を事前に行っておく必要がある。この方法は、溶解した固形分のない廃液が管を持つスプレーノズルに供給され、スプレーノズル内で高圧空気と混ざって加熱したチャンバーに廃液が霧化して放出される。すなわち、高圧空気噴射部と廃液供給部が一体になっている。廃液が高圧空気により瞬時に気化し、蒸気と汚染物にチャンバーで分かれる。汚染物は、汚染物回収部で回収される。しかし、溶解処理した廃液においては、例えば泥のような固形分が残っている場合もあり、その廃液を管内に流すと高圧空気噴射部と廃液供給部が一体になっているので固形分が目詰まりする可能性がある。本実施形態に係る廃液蒸発装置は、高圧空気噴射部3と廃液供給部2を分離して、廃液をベンチュリー効果が及ばない状態にし、この状態の廃液に気流をあて、霧化することで泥のような固形分がある場合も対応できる。
一般のスプレー式の廃液蒸発装置と本実施形態の廃液蒸発装置の違いは装置を上下逆さにして重力の効果をなくした場合にも、廃液を霧化するか否かで判別できる。一般の場合、重力の効果をなくしても、高圧空気をかけたときにベンチュリー効果によって廃液を吸って、霧化させるが、本実施形態は、上下逆さにしたときに廃液を高圧空気噴射部3からの高圧空気まで廃液を供給できずに廃液を霧化しない。「上」「下」は、重力がかかる方向における上、下である。
(変形例1)
第1の実施形態に係る廃液蒸発装置の変形例1を図2に示す。
第1の実施形態に係る廃液蒸発装置の変形例1を図2に示す。
チャンバー4内は、閉じた系だと廃液の蒸発で内部が冷えて効率が下がるので、加熱か、外気の供給をすることが望ましい。そのため、変形例1では、チャンバー4内部の温度を高めて水分の気化を容易にするため図2に示すようにチャンバー4内にバーナーなどの加熱機器7を入れる。加熱板などによって霧化した廃液が直火に触れないようにしてもよい(図示せず)が、廃液に含まれるのは不要な汚染物であるため、加熱板などを設けずに直火で燃焼した方が、熱効率の面でより好ましい。
(変形例2)
第1の実施形態に係る廃液蒸発装置の変形例2を説明する。
第1の実施形態に係る廃液蒸発装置の変形例2を説明する。
粘度が高い廃液を処理する場合、粘度の低い廃液に比べて処理速度が遅くなるため、廃液供給部2の管内部に回転式の撹拌装置を入れることが好ましい。廃液供給部2内部で撹拌装置が回転して廃液を撹拌することで、撹拌装置を導入しない場合と比べて廃液供給部2から出てくる廃液の流量は大きくなり、結果として廃液処理速度を高めることが可能となる。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る廃液蒸発装置を示す図である。主に第1の実施形態と異なる点を説明する。
図3は、第2の実施形態に係る廃液蒸発装置を示す図である。主に第1の実施形態と異なる点を説明する。
第2の実施形態に係る廃液蒸発装置は、廃液供給部2として、第1の実施形態で示した管の代わりにベルトコンベア8を備えている。
ベルトコンベア8上において廃液は、少量ずつ所定の位置まで搬送される。所定の位置まで搬送された廃液は高圧空気噴射部3からの高圧空気があたる。
ベンチュリー効果が及ばない廃液は、少量ずつベルトコンベア8上に載って、高圧空気噴射部3の高圧空気のあたる部分まで移動し、その部分で、霧化してチャンバー4に導入される。
ベルトコンベア8が設置される場所は、例えば、ベルトコンベア8に載った廃液が、高圧空気噴射部3からの気流があたる程度まで、高圧空気噴射部3よりも下であることが好ましい。
ベルトコンベア8のベルトの材質は、廃液の成分によってゴム、樹脂製、フェルト製のいずれであってもよい。
第2の実施形態に係る廃液蒸発装置は、ベルトコンベア8によって高圧空気噴射部3からの高圧空気のあたる部分まで廃液を運搬し、その廃液を霧化できる。第1の実施形態では、廃液が落下する延長線上に高圧空気噴射部3を配置しなければならないが、本実施形態では、廃液が落下する延長線上に高圧空気噴射部3を配置しなくてもよい。これにより、廃液が落下する延長線上に高圧空気の気流を阻害する障害などがあってもベルトコンベア8が廃液を運搬して、所定の位置で廃液が霧化される。また、泥やその他の固形物が多量にあっても、高圧空気で水を霧化することができる。
(変形例1)
さらに、図4に示すように省エネのために広大な人口池やプールのような設備すなわちソーラーポンド12に本実施形態に係る廃液蒸発装置を用いることが可能である。
さらに、図4に示すように省エネのために広大な人口池やプールのような設備すなわちソーラーポンド12に本実施形態に係る廃液蒸発装置を用いることが可能である。
本実施形態に係る廃液蒸発装置を用いると、太陽熱に加えて、霧化して廃液の表面積が増えるため、水分は大気の熱を奪って蒸発することができ、高速に廃液を蒸発させることができる。ここでは、ソーラーポンド12内に汚染物が残ればよいので、廃液タンク1、チャンバー4、汚染物回収部5及び蒸気回収部6は構成要件から省略する。
ソーラーポンド12に溜められた廃液をくみ出す容器を装備したベルトコンベア8がソーラーポンド12内部と高圧空気噴射部3からの高圧空気があたる部分の間を回転することで容器が廃液を汲みだして、少量ずつベルトコンベア8上に載った水と固形物を含む廃液は高圧空気噴射部3からの高圧空気があたる所定の位置まで運搬される。
図5は、第2の実施形態に係る廃液蒸発装置の変形例を用いて霧化するかを実証した図面代用写真である。
この変形例1では、ベルトコンベア8は、重力がかかる方向に沿って配置されている。また、この図5ではベルトコンベア8は廃液をくみ出す容器が装備されてなく、ベルトコンベア8の凹凸に廃液が入り込んで、容器の代わりをして、水をくみ上げている。これによって、ソーラーポンド12に溜まった廃液(水)をベルトコンベア8が運搬し高圧空気の気流によって、霧化することを確認した。大気の熱で蒸発するだけであるが、気化熱で冷却された空気に代わり、それより温度の高い大気が無限に供給可能である。この場合、蒸発した後の固体の汚染物が水中に落下して外気を汚染しないことが要求される。ZLDシステムででた廃液が海水淡水化における逆浸透膜設備の最終廃液のような場合には、塩分だけであるので問題は無い。
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係る廃液蒸発装置である。主に第1の実施形態と異なる点を説明する。
図6は、第3の実施形態に係る廃液蒸発装置である。主に第1の実施形態と異なる点を説明する。
第3の実施形態に係る廃液蒸発装置は、チャンバー4ではなく焼却炉の燃焼室9の壁に窓をあけてそこから噴霧する。
焼却炉は、例えば廃棄物焼却炉である。焼却炉は、霧化した廃液及び投入された廃棄物を燃焼する燃焼室9と、燃焼室9で燃焼された廃液及び廃棄物から生成された高温の蒸気を冷却する冷却塔10と、廃液の汚染物及び廃棄物の塵を収集する集塵機11、廃液処理部13を含んでいる。
廃液処理部13と廃液タンク1が配管されていて、廃液処理部13から配管を通って、廃液タンク1に廃液が運搬される。廃液処理部13は、工場等ででた廃液を回収するところである。
廃液蒸発装置によって廃液が噴霧する場所が廃棄物焼却炉の内部であれば、加熱が不要でさらに省エネになる。廃棄物焼却炉は固定式のものからキルン式のものまで、廃液の噴霧量と焼却炉のサイズのバランスさえ取れていれば、いかなる種類のものでも対応できる。このバランスとは焼却の際の燃焼に影響しない条件での噴霧量であることを指す。廃棄物焼却炉内部に噴霧する場合には、廃液の汚染物及び廃棄物の塵が、廃棄物焼却炉の集塵機11で回収される。キルン式とは、廃棄物をゆっくりとした回転により攪拌し、焼却する廃棄物焼却炉の燃焼室の方式のことをいう。
焼却炉に本実施形態に係る廃液蒸発装置を設けるにあたって、効率が良い方法は、図6に示すように廃棄物焼却炉の燃焼室9内部に直接廃液を噴霧する方式であり、この場合、熱バランスを崩して、消火してしまうことのない範囲で噴霧を行うことが要求される。燃焼性の廃棄物や、塩類なども処理でき、燃焼後の固体の汚染物と一緒に処理できる。噴霧量は焼却炉の規模等に依存して決まる。これはキルン形式の焼却炉の内部に噴霧することも可能である。
さらに、効率が良い方法は焼却炉の冷却塔10の内部に本実施形態に係る廃液蒸発装置をさらに用いることである。一般に、冷却塔10は、水を噴出し蒸発して、その気化熱によって冷却塔10を冷却する。この噴霧する水に廃液を使うことで、環境的負荷を軽減して冷却炉を冷却できる。
(実施例1)
図7は模擬の廃液に水を用いて、噴霧した様子を示す図面代用写真である。
図7は模擬の廃液に水を用いて、噴霧した様子を示す図面代用写真である。
以下に模擬の廃液と模擬の高圧空気噴射部3を用いて、霧化がなされるかを実証した結果を示す。実施例1では、模擬の廃液は、水を用いた。
10Lの小型200Wのコンプレッサーの空気タンクが0.7MPaになるまで空気を充填し、ここで自動的にポンプが停止する。一回の充填に8分程度で充填ができる。コンプレッサーに付属の直径1mmの針を模擬の高圧空気噴射部3として、100ccの滴下ロートを模擬の廃液供給部2として、ベンチュリー効果が及ばない液体が霧化するかどうかの実証を行った。
このときの電力は8分として26.7Whである。100ccの水を10秒から16秒で滴下ロートから落下させ、これを重力がかかる方向と交差する方向から針から噴出される気流によって100ccの水すべて霧化することが確認できた。この試験から、15秒で100ccを蒸発できるので、可能処理量は24L/hである。なお1Lの水を蒸発させるには水の蒸発潜熱(2257kJ/Kg)から計算して624Whなので、上記の噴霧方法の場合、加熱をしないで大気熱だけで蒸発する場合には267Whと計算されるので、少なくとも半分以下のエネルギーで処理できることが分かった。
さらに正確には、実際に圧力が0.6−0.4MPaまで落ちた分をコンプレッサーが回復するのに要する時間は2.75分なので、このときの電力は正味92Whである。これは加熱蒸発で要する値の7分の1である。
(実施例2)
主に実施例1と異なる点を説明する。
主に実施例1と異なる点を説明する。
図8は模擬の廃液にクレンザーを用いて噴霧する様子を示した図面代用写真である。
実施例2に関して、模擬の廃液は、液体クレンザーを用いた。
液体クレンザーは研磨材(50%)、界面活性剤(7%、脂肪酸アルカノールアミド)、安定化剤の成分構成であるが、これを滴下ロートに入れ、全開にした状態で0.6MPaで全く問題なく模擬の廃液である液体クレンザーを霧化することができた。この実証は汚泥のようなものに対しても蒸発乾燥の手段として使うことができることを示すものである。このようなものは小さな穴では落下する速度が遅いので、粘度の低い廃液に比べて処理速度が遅くなる。
(実施例3)
主に実施例1と異なる点を説明する。
主に実施例1と異なる点を説明する。
図9は模擬の廃液にポリビニルピロリドン水溶液を用いて噴霧する様子を示した図面代用写真である。
実施例3に関して、模擬の廃液は、ポリビニルピロリドン水溶液を用いた。
29000の分子量を有するポリビニルピロリドンを5〜60wt%まで水に溶かし、均一系にしたものを滴下ロートに入れて全開で摘下しながら0.6MPaで噴霧した。40wt%(粘度:210mPa/s)では、問題なく霧化することができた。この場合にも落下速度が遅いので、処理速度は遅くなる。また、同様にして60Wt%水溶液(粘度:1040mPa/s)では、気流をあてると同時に、水分が蒸発したポリマーが空中に舞う状態が観測された。
(実施例4)
主に実施例1と異なる点を説明する。
主に実施例1と異なる点を説明する。
図10は模擬の廃液にサッカロース水溶液を用いて噴霧する様子を示す図面代用写真である。
実施例4に関して、模擬の廃液は、サッカロースの飽和水溶液を用いた。
サッカロースを水に溶かし飽和水溶液にした後、滴下ロートに入れて全開で滴下しながら0.6MPaの気流をあてることで霧化することを確認した。
これらの実証が示すように、本実施形態に係る廃液蒸発装置は、通常のスプレードライ法では不可能な固形物を多量に含んだ廃液も蒸発乾燥することができる。
(第4の実施形態)
主に第1の実施形態と異なる点を説明する。
主に第1の実施形態と異なる点を説明する。
図11は第4の実施形態に係る廃液蒸発装置のノズル15の外観を示す図である。
第4の実施形態に係る廃液蒸発装置は、廃液供給部2と高圧空気噴射部3が一体となった円筒形のノズルを含む。なお、図11と図12では、廃液タンク1と、チャンバー4と、蒸気回収部6と、汚染物回収部5は省略する。
ノズル15の構造は廃液供給部2と高圧空気噴射部3を含む円筒形状の二重構造である。具体的には、外周の廃液供給部2の流路に廃液が流し込まれ、中央の高圧空気噴射部3の流路に高圧空気が導入される。廃液供給部2の入口20は、廃液タンク1(図示せず)に接続される。廃液供給部2の出口18は、廃液タンク1(図示せず)からの廃液を外部の空間14に供給するために外部に暴露されている。高圧空気噴射部3の入口17は、コンプレッサー(図示せず)と接続され、高圧空気は、外部の空間14に供給される。
図12は第4の実施形態に係る廃液蒸発装置のノズル15の断面を示す図である。円筒形のノズル15の中央に高圧空気噴射部3があり、その外側に廃液供給部2がある。また、高圧空気噴射部3から外側に向かって高圧空気を噴射する高圧空気噴射孔19が設けられている。高圧空気噴射孔19は、例えば、オリフィス状の孔又はスリットが想定される。なお、高圧空気噴射孔19の数は特に限定されない。廃液供給部2の出口18は、高圧空気噴出孔19よりも上に設けられるので、廃液供給部2から重力によって外部の空間14に廃液が供給されて、そこで霧化される。
従来のノズルは、粒子径が一定以下の廃液は用いることができるが、摩耗してしまう問題が起こる。しかし、第4の実施形態に係る廃液蒸発装置のノズルは、高圧空気と廃液が外部の空間14には摩耗する可能性のある構造が存在しない。したがって、ノズルが摩耗することなく廃液を霧化することができる。
(実施例5)
図13は第4の実施形態に係る廃液蒸発装置のノズルを用いて水を噴霧した様子を示す図面代用写真である。
図13は第4の実施形態に係る廃液蒸発装置のノズルを用いて水を噴霧した様子を示す図面代用写真である。
以下に模擬の廃液と模擬のノズル15Aを用いて、霧化がなされるかを実証した結果を示す。模擬の廃液は、水を用いて、2つの高圧空気噴出孔19Aを設けて実験した。また、実施例1で用いたコンプレッサーと高圧空気噴射部3Aを接続させて高圧空気を高圧空気噴出孔19に供給した。外周にあたる廃液供給部2としてチューブ2Aを用い、水を別途供給した。水がチューブ2Aから自由落下して高圧空気噴出孔19からの高圧空気によって噴霧することを確認した。また、このノズルを使って模擬の廃液を水からクレンザー(50Wt%固形分研磨剤)に代えても、同様に噴霧することを確認した。
これらの実証が示すように、本実施形態に係る廃液蒸発装置は、通常のスプレードライ法では困難な固形物を多量に含んだ廃液も蒸発乾燥することができる。
上記した全ての実施形態は、廃液に限られず、溶液全般に適用することもできる。例えば、溶液として、塩化ナトリウムなどの無機塩類、炭酸カルシウム、金属イオン、有機物などが溶解した水溶液などが想定される。また、汚染物に限られず、溶質も適用可能である。例えば、溶質として、塩化ナトリウムなどの無機塩類、炭酸カルシウム、金属イオン、有機物などが想定される。さらに、廃液蒸発装置は溶質を取り出すために用いられる溶液蒸発装置としても適用することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、説明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1・・廃液タンク、2・・廃液供給部、3・・高圧空気噴射部、4・・チャンバー、5・・汚染物回収部、6・・蒸気回収部、7・・加熱機器、8・・ベルトコンベア、9・・燃焼室、10・・冷却塔、11・・集塵機、12・・ソーラーポンド、13・・廃液処理部、14・・空間、15・・ノズル、17・・高圧空気噴射部の入口、18・・廃液供給部の出口、19・・高圧空気噴射孔、20・・廃液供給部の入口
上記の課題を達成するために、実施形態に係る廃液蒸発装置は、廃液供給部と高圧空気噴射部とを有する廃液蒸発装置であって、廃液供給部は、廃液供給部及び高圧空気噴射部の外部の空間に廃液を供給し、高圧空気噴射部は、空間に廃液供給部から供給された廃液に高圧空気を重力がかかる方向と交差する方向からあてて廃液を霧化する。
Claims (17)
- 廃液供給部と高圧空気噴射部とを有する廃液蒸発装置であって、
前記廃液供給部は、前記廃液供給部及び前記高圧空気噴射部の外部の空間に廃液を供給し、
前記高圧空気噴射部は、前記空間に前記廃液供給部から供給された前記廃液に高圧空気をあてて前記廃液を霧化する廃液蒸発装置。 - 廃液処理で用いられる廃液蒸発装置であって、
廃液を供給する廃液供給部と、
前記廃液供給部から供給されたベンチュリー効果が及ばない前記廃液に高圧空気をあてて前記廃液を霧化させる高圧空気噴射部と、
を具備する廃液蒸発装置。 - 前記廃液は前記廃液供給部から自由落下することにより供給される請求項1又は請求項2に記載の廃液蒸発装置。
- 霧化した前記廃液を加熱する加熱機器をさらに具備する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の廃液蒸発装置。
- 前記高圧空気噴射部を複数有する請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の廃液蒸発装置。
- 前記高圧空気をあてる方向が複数ある請求項5に記載の廃液蒸発装置。
- 前記廃液供給部は、ベルトコンベアである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の廃液蒸発装置。
- 前記廃液供給部内部の廃液を撹拌するさらに撹拌装置を備える請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の廃液蒸発装置。
- 前記廃液供給部と、前記高圧空気噴射部と、を含むノズルを有する廃液蒸発装置であって、
前記高圧空気噴射部は、前記高圧空気噴射部の外側に向かって設けられる高圧空気噴出孔を含み、
前記廃液供給部は、前記高圧空気噴射部の外側に設けられ、前記高圧空気噴出孔よりも上に設けられた請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の廃液蒸発装置。 - 前記ノズルは、円筒形である請求項9に記載の廃液蒸発装置。
- 廃棄物を燃焼させる燃焼室を有する焼却炉であって、
前記燃焼室に前記廃液を霧化する請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の廃液蒸発装置を具備する焼却炉。 - 前記燃焼室はキルン式である請求項11に記載の焼却炉。
- 廃棄物を燃焼させる燃焼室と、前記燃焼室で燃焼された前記廃棄物及び前記廃液から生成される蒸気を冷却する冷却塔を有する焼却炉であって、
前記冷却塔の内部に前記廃液を霧化する請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の廃液蒸発装置を具備する焼却炉。 - 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の廃液蒸発装置を備えるZLDシステム。
- 請求項11ないし請求項13のいずれか1項に記載の焼却炉を備える請求項14に記載のZLDシステム。
- 溶液を供給する溶液供給部と、高圧空気を噴射する高圧空気噴射部と、を含むノズルであって、
前記高圧空気噴射部は、前記高圧空気噴射部の外側に向かって設けられる高圧空気噴出孔を含み、
前記廃液供給部は、前記高圧空気噴射部の外側に設けられ、
前記廃液供給部が前記高圧空気噴出孔よりも上に設けられたノズル。 - 前記ノズルは、円筒形である請求項16に記載のノズル。
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Cited By (1)
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-
2017
- 2017-09-01 JP JP2017168532A patent/JP2018199120A/ja active Pending
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CN110469858A (zh) * | 2019-08-21 | 2019-11-19 | 杭州三祐环境科技有限公司 | 有机废液气化炉及废气处理工艺 |
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