JP2018193517A - 複合絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた高電圧機器および遮断器 - Google Patents

複合絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた高電圧機器および遮断器 Download PDF

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大嶽  敦
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Abstract

【課題】安価な絶縁破壊の発生を確実に防止可能な複合絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた高電圧機器および遮断器の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の複合絶縁樹脂組成物は、[A]熱硬化性または熱可塑性のマトリックス樹脂、および[B]フィラーを含有する複合絶縁樹脂組成物であって、[B]フィラーが、非線形抵抗を有する半導体物質の表面に疎水性基が結合したものである。上記半導体物質は、酸化亜鉛、酸化インジウム、二酸化スズ、インジウムスズ酸化物、およびカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1種で構成されていることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた高電圧機器および遮断器に関する。
遮断器のような高い電圧が印加される機器では、電極間の高電界に伴う絶縁破壊を防止することが重要である。このような耐電圧性能を改善する技術としては、例えば、絶縁装置における容器の内側表面に、非線形な電気抵抗特性を有する粉末が充填された樹脂層を形成し、この層により電界を緩和して絶縁性を改善するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この技術によれば、樹脂中に非線形な電気抵抗を有する酸化亜鉛粒子を分散させることで導電経路を形成し、これにより電界を緩和させる。
特開2009−284651号公報 特開2015−101714号公報
しかしながら、上述したような技術では、樹脂中において酸化亜鉛粒子が凝集、沈降する傾向にあり、その不均一な分散により十分な電気抵抗特性を発現できない虞がある。
これに対し、例えばエポキシ樹脂中に酸化亜鉛粒子とウィスカーとを分散させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この技術ではウィスカーとして用いる単結晶酸化亜鉛が高価であるためコスト的に採用が難しく、加えて酸化亜鉛粒子の脆さに起因するウィスカーの破損により導電経路が寸断されて結果として不十分な電界緩和により絶縁破壊が発生する可能性も指摘できる。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、安価な材料で絶縁破壊の発生を確実に防止可能な複合絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた高電圧機器および遮断器を提供することにある。
本発明は、
(1)[A]熱硬化性または熱可塑性のマトリックス樹脂、および
[B]フィラー
を含有する複合絶縁樹脂組成物であって、
[B]フィラーが、非線形抵抗を有する半導体物質の表面に疎水性基が結合したものであることを特徴とする複合絶縁樹脂組成物、
(2)半導体物質が、酸化亜鉛、酸化インジウム、二酸化スズ、インジウムスズ酸化物、およびカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1種で構成されている前記(1)に記載の複合絶縁樹脂組成物、
(3)疎水性基が、炭化水素もしくは炭化水素鎖にヘテロ原子を含む基である前記(1)または(2)に記載の複合絶縁樹脂組成物、
(4)疎水性基がゴム構造を含んでいる前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の複合絶縁樹脂組成物、
(5)[A]マトリックス樹脂に対するゴム構造の部位の含有率が、0.01質量%以上15質量%以下である前記(4)に記載の複合絶縁樹脂組成物、
(6)電位差を有する複数の部材間を接続するスペーサを備え、
前記スペーサの少なくとも一部であって前記複数の部材が接続される経路を横断する部位が、前記(1)から(5)のいずれか1項に記載の複合絶縁樹脂組成物を硬化したもの(硬化したものを、以下、「複合絶縁樹脂」ともいう)で形成されている高電圧機器、並びに
(7)電位差を有する複数の部材間を接続するスペーサを備え、
前記スペーサの少なくとも一部であって前記複数の部材が接続される経路を横断する部位が、前記(1)から(5)のいずれか1項に記載の複合絶縁樹脂組成物を硬化したもので形成されている遮断器
に関する。
本発明は、安価な材料で絶縁破壊の発生を確実に防止可能な複合絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた高電圧機器および遮断器を提供することができる。
本発明の複合絶縁樹脂組成物を用いて形成した複合絶縁樹脂の導電経路に関する概念図である。 本発明の複合絶縁樹脂組成物におけるフィラーを示す概念図である。 本発明の高電圧機器を説明するための概略図である。 本発明の遮断器を説明するための概略図である。
<複合絶縁樹脂組成物>
本発明の複合絶縁樹脂組成物は、[A]熱硬化性または熱可塑性のマトリックス樹脂、および[B]フィラーを含有する複合絶縁樹脂組成物であって、[B]フィラーが、非線形抵抗を有する半導体物質の表面に疎水性基が結合したものであることを特徴とする。
当該複合絶縁樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、上記[A]マトリックス樹脂および[B]フィラー以外の任意成分を含有してもよい。
当該複合絶縁樹脂組成物が上記構成であることで、安価な材料で絶縁破壊の発生を確実に防止可能な複合絶縁樹脂組成物を提供することができる。そのため、当該複合絶縁樹脂組成物を用い、絶縁性に優れた本発明の高電圧機器および遮断器を得ることができる。以下、当該複合絶縁樹脂組成物の各成分について詳述する。
[[A]マトリックス樹脂]
[A]マトリックス樹脂は、[B]フィラーを包持する樹脂である。当該複合絶縁樹脂組成物が、[A]マトリックス樹脂は熱硬化性または熱可塑性の樹脂であるので、硬化により[B]フィラーが[A]マトリックス樹脂中で配向することで所望形状の複合絶縁樹脂を得ることができる。
[A]マトリックス樹脂としては、硬化により[B]フィラーを上述のように包持することができれば特に限定されない。[A]マトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記ナイロン樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。
これらの中で、マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましく、エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましいが、所望の物性により類似のエポキシ樹脂を使ってもよい。マトリックス樹脂として上記樹脂を用いることで、[B]フィラーを配向を保持した状態で確実に保持することができる。
[[B]フィラー]
[B]フィラーは、非線形抵抗を有する半導体物質(非線形性半導体)の表面に疎水性基が結合したものである。非線形性半導体の主材料は、後述するように、酸化亜鉛をはじめとした半導体物質である。[B]フィラーが上記構成であるので、当該複合絶縁樹脂組成物は、硬化により絶縁破壊の発生を確実に防止可能な複合絶縁樹脂を形成することができる。また、フィラーが上記構成であるので、単結晶物質、たとえば酸化亜鉛ウイスカーに比べて材料コストが安価であり、幅広い分野で簡便に使用されることが期待される。
ここで、当該複合絶縁樹脂組成物を硬化することで得られる複合絶縁樹脂の絶縁破壊の発生が防止(絶縁性が向上)できるのは、複合絶縁樹脂1が、図1に示すように、親水性を有する半導体物質12どうしが相互に接触すると共に疎水性である疎水性基13どうしが相互に接触することで所謂膜構造を形成し、上記半導体物質(フィラー11)どうしが自発的に整列するように配向することで導電経路Dが形成されるためであると推察される。このような配向機構は、生体膜あるいは単分子膜などの形成に関する研究できわめてよく研究されている。
[B]フィラーを構成する物質の形状は、多結晶集合体であってもよく、単結晶であってもよい。
[B]フィラーを構成する半導体物質としては、印加する特定の電圧を境に急激に抵抗が減少するような非線形抵抗性を有するものが用いられる。上記半導体物質としては、例えば、酸化亜鉛、酸化インジウム、二酸化スズ、インジウムスズ酸化物、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
これらの中では、電圧に対して所望の抵抗率が得られる観点からは、上記半導体物質が、酸化亜鉛、酸化インジウム、二酸化スズ、インジウムスズ酸化物、およびカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1種で構成されていることが好ましく、酸化亜鉛で構成されていることがより好ましい。また、電圧に対する抵抗率を制御可能である観点からは、上記半導体物質が、インジウムスズ酸化物で構成されていることも好ましい。
上記半導体物質の粒径(疎水化処理前)としては、抵抗の非線形性および半導体物質の絶縁性樹脂中における分散性の向上の観点から、平均粒径で1μm〜500μmが好ましく、10μm〜300μmがより好ましく、20μm〜200μmがさらに好ましい。なお、上記平均粒径は、走査型電子顕微鏡により撮影した画像中における無作為に選んだ10個の粒子の長径の値を算術平均して得られたものである。
上記半導体物質に表面に結合する疎水性基としては、例えば、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭化水素鎖にヘテロ原子を含む基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
上記炭素数1〜20の鎖状炭化水素基としては、例えば、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基等の直鎖状のアルキル基;2−メチルデシル基、4−メチルドデシル基等の分岐状のアルキル基等が挙げられる。
上記炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
上記炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル等が挙げられる。
上記ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子等が挙げられる。
上記炭素−炭素間にヘテロ原子を有する基を与える化合物としては、例えば、ペンチルプロピルエーテル、プロピルペンチルフェニルアミン、1−(1−エトキシプロポキシ)ペンタン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。
これらの中で、疎水性基としては、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜20の鎖状炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜20の直鎖状炭化水素基がさらに好ましく、n−オクタデシル基が特に好ましい。上記疎水性基を上記炭化水素基とすることで半導体物質の配向性を向上させることができ、その結果、導電経路を確実に形成することができる。
上述の疎水性基を半導体物質の表面に結合させる疎水化処理方法としては、例えば、半導体物質を含む粒子の表面を、ビニルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤を用いて表面処理した後、疎水性基を与えるオクタデカンなどの化合物を反応させることで上記粒子に疎水性基を結合させる方法等が挙げられる。
ここで、上記疎水性基13は、図2に示すように、ゴム構造13aを含んでいることが好ましい。上記疎水性基がゴム構造13aを含んでいることで、硬化により得られる複合絶縁樹脂のじん性を向上させることができ、衝撃や変形に対する強度を向上させることができる。
上記ゴム構造としては、例えば、ゴムノキ由来のイソプレンを主成分とする天然ゴム由来の基、または合成ゴム由来の基等が挙げられる。
上記合成ゴムとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム等の二重結合を有するゴム類およびこれらの誘導体;エチレンプロピレンジエンゴム;ウレタンゴム;シリコーンゴム;フッ素ゴム;クロロスルホン化ポリエチレンゴム;塩素化ポリエチレンゴム;アクリルゴム;多硫化ゴム;エピクロルヒドリンゴムおよびこれらの誘導体等が挙げられる。
これらの中で、ゴム構造としては、じん性を効果的に向上させる観点から、合成ゴム由来の基が好ましく、二重結合を有するゴム類由来の基がより好ましく、ブタジエンゴム由来の基がさらに好ましい。
[A]マトリックス樹脂に対するゴム構造の部位の含有率は、0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましい。上記割合は、じん性向上の観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。また、上記割合は、複合絶縁樹脂の成形性向上の観点から、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。
[B]フィラーの[A]マトリックス樹脂に対する質量比としては、実用上十分な導電性を発現させる観点から、5/95以上が好ましく、7/93以上がより好ましく、10/90以上がさらに好ましい。また、上記質量比としては、じん性および成形性向上の観点から、20/80以下が好ましく、15/85以下がより好ましく、13/87以下がさらに好ましい。
[任意成分]
任意成分は、必要に応じ当該複合絶縁樹脂組成物が含有してもよい成分である。任意成分としては、例えば、重合開始剤、[A]マトリックス樹脂が硬化性樹脂である場合の硬化剤、硬化促進剤等が挙げられる。任意成分は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。任意成分の含有量は、その目的に応じて適宜決定することができる。
(重合開始剤)
重合開始剤は、[A]マトリックス樹脂の重合反応を開始させるために加えられる化合物である。当該複合絶縁樹脂組成物が重合開始剤を含有することで、加熱や光照射等によりマトリックス樹脂の重合を容易に開始させることができる。
重合開始剤としては、[A]マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である場合、例えば、アセトフェノン類等が挙げられる。
(硬化剤)
硬化剤は、[A]マトリックス樹脂を網目状に架橋させる化合物である。当該複合絶縁樹脂組成物が硬化剤を含有することで、得られる複合絶縁樹脂の硬度を高めることができる。
上記硬化剤としては、[A]マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である場合、例えば、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼンなどのアミン系硬化剤;フェノールノボラック樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂などのフェノール系硬化剤;3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1−イソプロピル−4−メチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、無水マレイン酸などの酸無水物等が挙げられる。これらの中では、酸無水物化合物が多く用いられ、低温硬化用にはアミン類が用いられる。
これらの中で、[A]マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である場合の硬化剤としては、低粘度に伴う成形容易性向上、および得られた複合絶縁樹脂の絶縁性向上の観点から、酸無水物が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。
上記硬化剤の含有量は、目的により異なるが、二剤型の場合には通常エポキシ当量と同じ量のアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物等を添加する。硬化剤の含有量としては、硬化剤がアミン系硬化剤である場合、エポキシ樹脂中の全エポキシ基に対するアミン系硬化剤中の全アミノ基のモル比は、0.7〜1.2が好ましい。また、硬化剤がフェノール系硬化剤である場合、エポキシ樹脂中の全エポキシ基に対するフェノール系硬化剤中のフェノール性水酸基のモル比は、0.8〜1.2が好ましい。また、硬化剤が酸無水物である場合、エポキシ樹脂中の全エポキシ基に対する−CO−O−CO−の当量比は、0.5〜1.5が好ましい。
(硬化促進剤)
硬化促進剤は、硬化反応の速度を速める化合物である。当該複合絶縁樹脂組成物が硬化促進剤を含有することで、結果的に得られる複合絶縁樹脂の硬度および強度を高めることができる。
上記硬化促進剤としては、[A]マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である場合、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレートなどのリン系化合物;トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7などの第3級アミン化合物;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物等が挙げられる。
これらの中で、[A]マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である場合の硬化促進剤としては、穏やかな反応を開始可能という観点から、イミダゾール化合物が好ましい。
上記硬化促進剤の含有量としては、[A]マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である場合、得られた複合絶縁樹脂の絶縁性、強度、および耐熱性向上の観点から、[A]マトリックス樹脂100質量部に対して1質量部〜20質量部が好ましく、3質量部〜15質量部がより好ましい。
<複合絶縁樹脂組成物の調製方法>
当該複合絶縁樹脂組成物は、[A]マトリックス樹脂および[B]フィラー、並びに必要に応じて任意成分を所定の割合で混合することにより調製することができる。なお、任意成分のうちの重合開始剤、[A]マトリックス樹脂として硬化性樹脂を用いる場合の硬化剤および硬化促進剤は、通常、複合絶縁樹脂を形成(硬化)する直前に[A]マトリックス樹脂および[B]フィラーと混合する。
<複合絶縁樹脂の形成方法>
複合絶縁樹脂は、当該複合絶縁樹脂組成物を所望形状の型に注入した後、例えば、これを所定の温度にて所定の時間加熱を行うことで複合絶縁樹脂を形成することができる。上記所定の温度としては、通常60℃〜180℃であり、好ましくは80℃〜150℃である。また、上記所定の時間としては、加熱する温度にもよるが、通常1時間〜24時間
であり、好ましくは5時間〜8時間である。
<高電圧機器>
本発明の高電圧機器は、電位差を有する複数の部材間を接続するスペーサを備え、上記スペーサの少なくとも一部であって上記複数の部材が接続される経路を横断する部位が、上述した当該複合絶縁樹脂組成物を硬化したもの(複合絶縁樹脂)で形成されている。
当該高電圧機器としては、例えば、モータ、発電機、変圧器、開閉器、遮断器等が挙げられる。本実施形態では、当該高電圧機器2は、図3に示すように、複合絶縁樹脂の部位21aがスペーサ21の中途に設けられている。
なお、当該複合絶縁樹脂組成物の構成、および上記複合絶縁樹脂の形成方法は、上述したものと同様であるので、上記説明を援用してここでの詳細な説明を省略する。また、当該高電圧機器2のスペーサ21における複合絶縁樹脂以外の部位21bには、例えば、部位21aと同じエポキシ系樹脂を用いることができる。また、必要に応じてその他の熱硬化樹脂、またはポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンもしくはこれらの誘導体、ポリイミド類などの絶縁性の材料を用いることができる。
このように、当該高電圧機器2が上記構成であることで、実用上十分な導電性の発現により、スペーサ21における絶縁破壊の発生を確実に防止することができる。なお、本明細書において「実用上十分な導電性」とは、部材(例えば、図3の符号22、23の部材)間に与えられた電位差に対し、上記絶縁性の部材の部分(例えば、図3の符号21bの部分)にて上記電位差に対して少なくとも80%以上、好ましくは100%以上の電圧値を示すことを意味する。
<遮断器>
本発明の遮断器は、電位差を有する複数の部材間を接続するスペーサを備え、上記スペーサの少なくとも一部であって上記複数の部材が接続される経路を横断する部位が、当該複合絶縁樹脂組成物組成物を硬化したもの(複合絶縁樹脂)で形成されている。
当該遮断器3は、図4に示すように、概略的に、電極32と、外部容器33と、スペーサ31とにより構成されている。
電極32は、外部容器33内に設置され、支持材34により固定されている。この電極32には、外部容器33に対して高電圧が印加される。外部容器は33は、上記電極32を覆うものであり、内部に六フッ化硫黄(SF)などのガスが充填されている。
スペーサ31は、電極32と外部容器33との間を接続する。本実施形態では、複合絶縁樹脂31aがスペーサ31の中途に設けられ、このスペーサ31の電極32と外部容器33とを結ぶ経路を横断するように形成されている。
なお、当該複合絶縁樹脂組成物の構成、および上記複合絶縁樹脂の形成方法は、上述したものと同様であるので、上記説明を援用してここでの詳細な説明を省略する。また、当該遮断器3のスペーサ31における複合絶縁樹脂以外の部位31bは、例えば、複合絶縁樹脂31aと同類、もしくは重合度や添加フィラー量の構成が若干異なっていてもよく、複合絶縁樹脂31aと同じであってもよい。
このように、当該遮断器3が上記構成であることで、実用上十分な導電性の発現により、スペーサ31における絶縁破壊の発生を確実に防止することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<[B]フィラーの合成(疎水化処理)>
[合成例1]
半導体物質としての平均粒径0.1μmの酸化亜鉛粒子97質量部と、オクタデカン2質量部と、カップリング反応剤1質量部を混合し、カップリング処理することで、酸化亜鉛粒子の表面にオクタデシル基が結合したフィラー(B−1)を得た。
[合成例2]
半導体物質としての平均粒径0.1μmのインジウム酸化物粒子97質量部と、オクタデカン2質量部と、カップリング反応剤1質量部とを混合し、カップリング処理することで、インジウム酸化物粒子の表面にオクタデシル基が結合したフィラー(B−2)を得た。
[合成例3]
半導体物質としての平均粒径0.1μmのカーボンナノチューブ80質量部と、オクタデカン18質量部と、カップリング反応剤2質量部とを混合し、カップリング処理することで、カーボンナノチューブの表面にオクタデシル基が結合したフィラー(B−3)を得た。
[合成例4]
[A]マトリックス樹脂の質量に対するゴム構造部位の質量が10質量%となるような量のスチレンブタジエンゴム構造をオクタデカンに結合させたもの、を用いたこと以外は、合成例1と同様に操作し、フィラー(B−4)を得た。
[合成例5]
[A]マトリックス樹脂の質量に対するゴム構造部位の質量が15質量%となるような量のスチレンブタジエンゴム構造をオクタデカンに結合させたもの、を用いたこと以外は、合成例1と同様に操作し、フィラー(B−5)を得た。
[合成例6]
[A]マトリックス樹脂の質量に対するゴム構造部位の質量が16質量%となるような量のスチレンブタジエンゴム構造をオクタデカンに結合させたもの、を用いたこと以外は、合成例1と同様に操作し、フィラー(B−6)を得た。
<複合絶縁樹脂組成物の調製>
各複合絶縁樹脂組成物の調製に用いた[B]フィラー以外の各成分について以下に示す。
[[A]マトリックス樹脂]
A−1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂
A−2:ナイロン6
[フィラー]
b−1:酸化亜鉛多結晶粉末
[硬化剤]
C−1:無水マレイン酸
[硬化促進剤]
D−1:イミダゾール類(四国化成製、商品名:キュアゾール)
[実施例1]
[A]マトリックス樹脂として(A−1)45質量部、[B]フィラーとして(B−1)10質量部、硬化剤として(C−1)45質量部、および硬化促進剤として(D−1)1質量部を配合し、複合絶縁樹脂組成物S−1を調製した。
[実施例2〜9、比較例1]
配合する各成分の種類および配合量(質量部)を表1に記載の通りとした以外は、実施例1と同様に操作し、各複合絶縁樹脂組成物S−2〜S−9、H−1を調製した。なお、表1中、「−」で表記した欄は、その成分を配合していないことを示している。
<遮断器(高電圧機器)の作製>
表1の記載の各複合絶縁樹脂組成物を型に注入した後、80℃で2時間加熱して硬化させ、成形された複合絶縁樹脂(一次硬化物)を得た。次いで、上記一次硬化物を150℃で8時間加熱して完成品の複合絶縁樹脂(二次硬化物)を得た。このようにして形成した二次硬化物の複合絶縁樹脂を用いて遮断器(高電圧機器)用のスペーサを作製し、このスペーサを用いて高電圧機器としての遮断器を得た。
<評価>
絶縁性、強度および成形容易性を評価し、その結果を表2に示す。
[絶縁性]
各複合絶縁樹脂組成物S−1〜S−9、H−1を型に注入した後、これを80℃で8時間加熱して一次硬化物を得た後、この一次硬化物を150℃で8時間加熱して硬化することで評価用の複合絶縁樹脂を作製した。次いで、作製した各複合絶縁樹脂を用い、AC課電試験にて0.1%破壊確率となる破壊電界値を測定し、この破壊電界値を絶縁性の指標とした。このとき、破壊電界値が30kV/mm以上の場合、絶縁性が良好、破壊電界値が30kV/mm未満の場合、不良であると評価できる。
[強度]
上記[絶縁性]評価用の複合絶縁樹脂と同様の方法で評価用の複合絶縁樹脂を作製した。次いで、作製した各複合絶縁樹脂を用い、引き裂き試験法を用いて25℃での破壊じん性を測定し、この測定値を強度の指標とした。このとき、破壊じん性が2.4MPa√m以上の場合、強度は非常に良好、破壊じん性が2.2MPa√m以上2.4MPa√m未満の場合、強度は良好、破壊じん性が1.0MPa√m以上2.2MPa√m未満の場合、強度はやや良好、1.0MPa√m未満の場合、強度は不良であると評価できる。
[成形容易性]
各複合絶縁樹脂組成物の粘度を粘度計を用いて測定し、この測定値を成形容易性の指標とした。このとき、80℃(注型前の温度に相当)での粘度が5Pa・s以下の場合、成形容易性は良好、上記粘度が5Pa・s超10Pa・s以下の場合、成形容易性はやや良好、上記粘度が10Pa・s超の場合、成形容易性は不良であると評価できる。
表2から明らかなように、実施例は、比較例よりも破壊電界の値が高く、優れた絶縁性を有している。また、実施例の中でも、疎水性基中にゴム構造を有するもの(実施例6〜8)は、ゴム構造を有していないものに比べて高い破壊じん性(強度、割れ難さ)を示している。
1 複合絶縁樹脂
11 フィラー
12 半導体物質
13 疎水性基
13a ゴム構造
2 高電圧機器
21 スペーサ
3 遮断器
31 スペーサ

Claims (7)

  1. [A]熱硬化性または熱可塑性のマトリックス樹脂、および
    [B]フィラー
    を含有する複合絶縁樹脂組成物であって、
    [B]フィラーが、非線形抵抗を有する半導体物質の表面に疎水性基が結合したものであることを特徴とする複合絶縁樹脂組成物。
  2. 半導体物質が、酸化亜鉛、酸化インジウム、二酸化スズ、インジウムスズ酸化物、およびカーボンナノチューブからなる群より選択される少なくとも1種で構成されている請求項1に記載の複合絶縁樹脂組成物。
  3. 疎水性基が、炭化水素もしくは炭化水素鎖にヘテロ原子を含む基である請求項1または請求項2に記載の複合絶縁樹脂組成物。
  4. 疎水性基がゴム構造を含んでいる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の複合絶縁樹脂組成物。
  5. [A]マトリックス樹脂に対するゴム構造の部位の含有率が、0.01質量%以上15質量%以下である請求項4に記載の複合絶縁樹脂組成物。
  6. 電位差を有する複数の部材間を接続するスペーサを備え、
    前記スペーサの少なくとも一部であって前記複数の部材が接続される経路を横断する部位が、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複合絶縁樹脂組成物を硬化したもので形成されている高電圧機器。
  7. 電位差を有する複数の部材間を接続するスペーサを備え、
    前記スペーサの少なくとも一部であって前記複数の部材が接続される経路を横断する部位が、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複合絶縁樹脂組成物を硬化したもので形成されている遮断器。
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