JP2018186454A - 非可逆回路素子、非可逆回路モジュール、高周波フロントエンド回路および通信装置 - Google Patents

非可逆回路素子、非可逆回路モジュール、高周波フロントエンド回路および通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】20GHz以上の使用周波数帯域における不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の伝搬特性を有する小型の非可逆回路素子を提供する。【解決手段】分布定数回路で構成された非可逆回路素子1は、第1主面40aおよび第2主面40bを有するフェライト40と、第1主面40aに設けられ20GHz以上の高周波信号を伝搬させる中心電極41と、中心電極41を挟んで第1主面40a上に配置された永久磁石30と、永久磁石30、フェライト40、および中心電極41を第1主面40aに垂直な方向に挟むように配置された上側ヨーク20および下側ヨーク10と、を備え、上側ヨーク20は、フェライト40の第1主面40a側に位置し、永久磁石30、フェライト40、および中心電極41と電気的に接続されており、下側ヨーク10は、フェライト40の第2主面40b側に位置し、上側ヨーク20と電気的に絶縁されている。【選択図】図1

Description

本発明は、非可逆回路素子、非可逆回路モジュール、高周波フロントエンド回路および通信装置に関する。
アイソレータやサーキュレータ等の非可逆回路素子は、予め定められた特定方向にのみ信号を通過させ、逆方向には実質的に通過させない特性を有している。このような非可逆回路素子として、フェライトの非可逆性を利用した構成が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1では、多層基板、フェライト、中心電極および永久磁石が積み重ねられ、それらが下側ヨーク(ケース8)および上側ヨーク(キャップ4)で覆われた構造を有する集中定数型の非可逆回路素子が開示されている。
特開2005−020195号公報
近年では、ミリ波帯域を含む20GHz以上の周波数帯域で動作する小型かつ広帯域の非可逆回路素子が要望されている。この小型かつ広帯域なミリ波帯非可逆回路素子としては、分布定数型の非可逆回路素子が挙げられる。
特許文献1では、小型化(省面積化)に対応すべく、多層基板の垂直方向に、フェライト、中心電極および永久磁石が積み重ねられた構成をとっているが、当該構成の場合には、上側ヨークと下側ヨークとが電気的に導通しているため、当該導通により形成される磁束の閉ループ回路(閉磁路)により、不要な高周波ノイズ(不要波)が発生してしまう。使用周波数帯域がマイクロ波帯域であって集中定数型の非可逆回路素子であれば、上記不要波は、使用周波数帯域より十分高い周波数位置に存在するため問題とならない。これに対して使用周波数帯域が20GHz以上のミリ波帯域であって分布定数型の非可逆回路素子の場合には、上記不要波は使用周波数帯域内または近傍に発生してしまう場合があり、非可逆回路素子の特性に悪影響を与えてしまうという課題が発生する。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、20GHz以上の使用周波数帯域における不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の高周波伝搬特性を有する小型の非可逆回路素子、非可逆回路モジュール、高周波フロントエンド回路および通信装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る非可逆回路素子は、分布定数回路で構成された非可逆回路素子であって、第1主面および第2主面を有するフェライトと、前記第1主面に設けられ、20GHz以上の高周波信号を伝搬させる中心電極と、前記中心電極を挟んで前記第1主面上に配置され、前記フェライトに直流磁界を印加する永久磁石と、前記永久磁石、前記中心電極、および前記フェライトを、前記第1主面に垂直な方向に挟むように配置された第1ヨークおよび第2ヨークと、を備え、前記第1ヨークは、前記フェライトの前記第1主面側に位置し、前記永久磁石、前記フェライト、および前記中心電極と電気的に接続されており、前記第2ヨークは、前記フェライトの前記第2主面側に位置し、前記第1ヨークと電気的に絶縁されている。
これによれば、永久磁石がフェライトの第1主面に垂直な方向に配置されることで、永久磁石をフェライトの側面に配置する必要がないので、非可逆回路素子を小型化(省面積化)することが可能となる。また、20GHz以上のミリ波帯高周波信号を処理する分布定数回路を、第1ヨークと第2ヨークとが電気的に絶縁された状態で構成することで、第1ヨークと第2ヨークとの間で電界を遮断できる。このため、第1ヨークと第2ヨークとで囲まれた空間内における閉磁路の発生を抑制できるので、20GHz以上における不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の高周波伝搬特性を有する小型の非可逆回路素子を提供できる。
また、前記フェライト上の中心電極は、前記第1主面に垂直な方向から見た場合、直径が0.1mm以上5mm以下である円形状を有してもよい。
これにより、20GHz以上における不要波の発生が抑制された、小型かつ広帯域の分布定数型非可逆回路素子を実現できる。
また、前記フェライトは、ガーネット系フェライト、スピネル系フェライトもしくは六方晶系フェライトで構成されていてもよい。
上記フェライトの材料構成により、20GHz以上における不要波の発生が抑制された、小型かつ広帯域のミリ波帯非可逆回路素子を実現できる。
また、前記第1ヨークと前記第2ヨークとの間に配置され、前記第1ヨークと前記第2ヨークとを電気的に絶縁する絶縁体を有してもよい。
これにより、第1ヨークと第2ヨークとを電気絶縁するための構造を容易に形成できる。
また、前記第1ヨークは、電気絶縁性のフェライトからなり、前記第1ヨークと前記第2ヨークとは接していてもよい。
第1ヨークと第2ヨークとの電気絶縁を実現する構成としてセラミックや樹脂などの絶縁体を用いると、電界的に絶縁はできるが、第1ヨークと第2ヨークとの磁界の連続性も遮断させる構造となってしまう。この場合、第1ヨークと第2ヨークとで磁界の連続性がなくなり、絶縁体の大きさにより、漏れ磁束が大きくなる。漏れ磁束は小さい方が良いため、絶縁体の大きさは小さい方が望ましい。
これに対して、第1ヨークとして電気絶縁性を有し磁性体である材料を用いることで、電界を絶縁でき、当該磁性体により第1ヨークと第2ヨークとの磁界の連続性が確保され、閉磁路となる。よって、漏れ磁束を低減できるので、シールド性を向上させることができる。
また、前記第1ヨークと前記永久磁石との間隔は、前記高周波信号の波長の1/4以下であってもよい。
第1ヨークと第2ヨークとが電気絶縁されているので、永久磁石と第1ヨークとの間隔を狭くしても、第1ヨークと第2ヨークとで囲まれた空間内における閉磁路の発生を抑制でき、20GHz以上における不要波ノイズの発生を効果的に抑制できる。これにより、低背化が可能となる。
また、本発明の一態様に係る非可逆回路モジュールは、上記いずれかに記載の非可逆回路素子と、前記非可逆回路素子が実装される実装基板と、を備える。
これによれば、20GHz以上のミリ波帯において不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の高周波伝搬特性を有する非可逆回路モジュールを提供できる。
また、本発明の一態様に係る高周波フロントエンド回路は、上記いずれかに記載の非可逆回路素子、または、上記記載の非可逆回路モジュールを備えた高周波フロントエンド回路であって、前記非可逆回路素子は、さらに、前記第1主面に設けられ前記中心電極から引き出されている3つの引き出し電極と、前記第2ヨークに設けられ前記3つの引き出し電極のそれぞれに対応して接続された3つの入出力電極と、を有し、前記高周波フロントエンド回路は、さらに、前記3つの入出力電極のうちの1つに接続される送信側回路と、前記3つの入出力電極のうちの1つであって、前記送信側回路に接続された入出力電極と異なる入出力電極に接続された受信側回路と、前記3つの入出力電極のうちの1つであって、前記送信側回路または前記受信側回路に接続された入出力電極と異なる入出力電極に接続されたアンテナ端子と、を備える。
これによれば、20GHz以上のミリ波帯において不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の高周波伝搬特性を有する高周波フロントエンド回路を提供できる。
また、本発明の一態様に係る通信装置は、高周波信号を処理する信号処理回路と、上記記載の高周波フロントエンド回路と、を備える。
これによれば、20GHz以上のミリ波帯において不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の高周波伝搬特性を有する通信装置を提供できる。
本発明によれば、20GHz以上の使用周波数帯域における不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の伝搬特性を有する小型の非可逆回路素子、非可逆回路モジュール、高周波フロントエンド回路および通信装置を提供することが可能となる。
実施の形態1に係る非可逆回路素子および非可逆回路モジュールの斜視図である。 実施の形態1に係る非可逆回路素子および非可逆回路モジュールの分解斜視図である。 実施の形態1に係る非可逆回路素子および非可逆回路モジュールの断面図である。 比較例1に係る非可逆回路モジュールのSパラメータの計算結果を示すグラフである。 比較例2Aに係る非可逆回路モジュールのSパラメータの計算結果を示すグラフである。 実施例1Aに係る非可逆回路モジュールのSパラメータの計算結果を示すグラフである。 比較例1に係る非可逆回路素子の電磁界分布を示す概略断面図である。 比較例2Aに係る非可逆回路素子の電磁界分布を示す概略断面図である。 比較例2Bに係る非可逆回路モジュールのSパラメータの実測結果を示すグラフである。 実施例1Bに係る非可逆回路モジュールのSパラメータの実測結果を示すグラフである。 実施の形態1の変形例1に係る非可逆回路素子および非可逆回路モジュールの断面図である。 実施の形態1の変形例2に係る非可逆回路素子および非可逆回路モジュールの断面図である。 実施の形態2に係る通信装置を示す機能ブロック図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態およびその変形例に係る非可逆回路素子、非可逆回路モジュール、フロントエンド回路および通信装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態およびその変形例は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態およびその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態およびその変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する場合がある。また、以下では、簡明のため、上面図にハッチングを施している。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る非可逆回路素子は、例えば、携帯電話およびその基地局に搭載され、送信側回路からの送信信号をアンテナへと通過させ、アンテナで受信された受信信号を受信回路へと通過させるサーキュレータである。このため、非可逆回路素子は、予め定められた特定方向に信号を通過させ、逆方向には実質的に通過させない特性を有している。本実施の形態に係る非可逆回路素子は、例えば、ミリ波帯を含む20GHz以上の周波数帯域に適用される。
[1.1 非可逆回路素子および非可逆回路モジュールの構成]
図1は、実施の形態1に係る非可逆回路素子1および非可逆回路モジュール2の斜視図である。また、図2は、非可逆回路素子1および非可逆回路モジュール2の分解斜視図である。また、図3は、実施の形態1に係る非可逆回路素子1および非可逆回路モジュール2の断面図である。具体的には、図3は、図1に示す非可逆回路モジュール2をIII−III線で切断した場合の断面図である。
図1および図2に示すように、非可逆回路モジュール2は、非可逆回路素子1と、非可逆回路素子1が実装される実装基板50と、を備える。
非可逆回路素子1は、基材となる下側ヨーク10と、フェライト40と、永久磁石30と、中心電極41と、絶縁部材60と、上側ヨーク20とを備える。下側ヨーク10上にはフェライト40が配置され、フェライト40上には中心電極41が形成され、中心電極41上には永久磁石30が配置され、永久磁石30上には上側ヨーク20が配置されている。また、下側ヨーク10上の外縁部には絶縁部材60が配置され、絶縁部材60上に上側ヨーク20が配置されている。
上側ヨーク20は、図2に示すように、天面部21および側面部22を有し、側面部22の下側が絶縁部材60に接合されている。また、下側ヨーク10も、絶縁部材60に接合されている。つまり、上側ヨーク20と下側ヨーク10とは、直接接合されておらず、絶縁部材60を介して対向している。この構成により、上側ヨーク20は、下側ヨーク10とともに、永久磁石30によって形成される磁界に整磁作用を施し、また、永久磁石30およびフェライト40を適度に電磁シールドする。上側ヨーク20の材料としては、例えば、鉄(Fe)が用いられる。なお、上側ヨーク20の表面に銀めっきが施されていてもよい。
永久磁石30は、平板状であり、フェライト40に直流磁界を印加するように配置される。具体的には、永久磁石30は、フェライト40の上方に配置され、フェライト40上に形成された中心電極41に接している。
フェライト40は、磁性を有する部材であり、例えば、ガーネット系フェライト、スピネル系フェライトもしくは六方晶系フェライトが用いられる。
フェライト40は、平板状であり、第1主面40aと、第1主面40aに背向する第2主面40bとを有している。フェライト40の厚みは、例えば、0.15mmである。
フェライト40の第1主面40aには、図2に示すように、中心電極41、および、中心電極41に接続される3つの引き出し電極42が形成されている。中心電極41は、分布定数型の共振器であり、LC成分を有する。中心電極41および引き出し電極42の材料としては、例えば、銀を主成分とする金属または合金が用いられる。3つの引き出し電極42のそれぞれは、線路状であり、中心電極41から第2主面40b側に引き出されている。
絶縁部材60は、図1〜図3に示すように、下側ヨーク10と上側ヨーク20との間に配置され、下側ヨーク10と上側ヨーク20とを電気的に絶縁する絶縁体である。より具体的には、絶縁部材60は、その下面が下側ヨーク10の外縁部と接合し、上面が上側ヨーク20の側面部22と接合するように配置された枠体である。絶縁部材60の材料としては、例えば、エポキシ系などの樹脂、シリコン酸化物などのセラミック、レジスト、絶縁テープなどが挙げられる。なお、絶縁部材60は、枠体でなくてもよく、例えば側面部22の対向する2辺、いずれか1辺、3辺、または、1辺の一部など、下側ヨーク10と上側ヨーク20とで挟まれた領域の一部に介在していてもよい。また、絶縁部材60は空隙でもよく、これにより下側ヨーク10と上側ヨーク20とが接していない構成を実現できればよい。
下側ヨーク10は、図2および図3に示すように、平板状であり、第1主面10aと、第1主面10aに背向する第2主面10bとを有している。下側ヨーク10は、第1主面10aがフェライト40の第2主面40bに接するように配置される。また、下側ヨーク10は、フェライト40と実装基板50との間に設けられる。下側ヨーク10の厚みは、例えば、0.1mmである。
下側ヨーク10は、図2に示すように、3つの入出力電極11と、入出力電極11のそれぞれに所定間隔をあけて近接配置されているグランド電極12とを有している。入出力電極11は、ミリ波帯域の高周波信号が入出力される部分であり、グランド電極12は、基準電位に接地される部分である。入出力電極11とグランド電極12との間には、絶縁部13が設けられている。
入出力電極11およびグランド電極12の材料としては、例えば、鉄(Fe)が用いられる。電気特性を向上させるため、入出力電極11およびグランド電極12の露出面に銀めっきが施されていてもよい。
グランド電極12は、下側ヨーク10の大部分(例えば80%以上97%以下)の領域を占め、上側ヨーク20とともに磁界に整磁作用を施す。グランド電極12は、第1主面10aと第2主面10bとの間を貫いて形成されている。また、グランド電極12は、入出力電極11に入力される信号の放射損失を低減するため、第1主面10aに沿う方向に、入出力電極11に近接して配置される。
グランド電極12は、例えば、接着剤等(図示省略)を用いてフェライト40の第2主面40bに接合される。
3つの入出力電極11は、3つの引き出し電極42のそれぞれに対応し、はんだ等(図示省略)を用いて、引き出し電極42の他端に接続される。入出力電極11は、図3に示すように、第1主面10aと第2主面10bとの間を貫いて形成されている。
絶縁部13は、図2に示すように、3つの入出力電極11のそれぞれを芯材として、入出力電極11の側面を覆うように、それぞれ3つ設けられている。グランド電極12は、さらに、この絶縁部13の側面を覆うように設けられている。なお、絶縁部13は、入出力電極11のすべての側面に設けられている必要はなく、グランド電極12が絶縁部13を介して入出力電極11を支持できるように、少なくとも、入出力電極11の一部の側面とグランド電極12との間に形成されていればよい。
絶縁部13の材料としては、例えば、エポキシ系の樹脂が用いられる。下側ヨーク10は、例えば、絶縁部13、入出力電極11およびグランド電極12を一体モールド成形した後、スライスすることで形成される。
また、下側ヨーク10には、実装基板50との電気的かつ機械的な接続性を向上させるため、入出力端子16およびグランド端子17が設けられている。入出力端子16は、3つの入出力電極11のそれぞれに対応して3つ設けられている。入出力端子16のそれぞれは、グランド電極12に接続せず、対応する入出力電極11に接続するように第2主面10bに形成されている。また、グランド端子17は、グランド電極12に接して設けられている。入出力端子16およびグランド端子17の材料としては、例えば、銀や銅などが用いられる。
非可逆回路素子1は、これら入出力端子16およびグランド端子17から、はんだ等を用いて実装基板50の表面に実装される。なお、これら入出力端子16およびグランド端子17は必ずしも必要ではない。例えば、入出力端子16およびグランド端子17を設けずに、入出力電極11およびグランド電極12のそれぞれを、はんだ等を用いて実装基板50に接続してもよい。
次に、非可逆回路モジュール2について説明する。非可逆回路モジュール2は、非可逆回路素子1が実装基板50の表面に実装された構造をしている。
実装基板50は、図2に示すように、表面50aに沿って形成された、伝送線路パターン51とグランドパターン52とを有している。伝送線路パターン51は、非可逆回路素子1の3つの入出力電極11に対応して、実装基板50の表面50aに3本設けられている。グランドパターン52は、伝送線路パターン51以外の領域において、伝送線路パターン51に対して間隔をあけて近接配置されている。また、実装基板50は、表面50aと背向する裏面にもグランドパターンを有している(図示省略)。表面50aのグランドパターン52および裏面のグランドパターンは、複数のビア導体により互いに接続されている(図示省略)。実装基板50の基板本体は、セラミック材料または有機材料により形成される。伝送線路パターン51およびグランドパターン52は、銅を主成分とする導体材料により形成される。
本実施の形態に係る非可逆回路素子1は、以下の特徴を有している。
すなわち、下側ヨーク10および上側ヨーク20が、永久磁石30、フェライト40、および中心電極41を、フェライト40の第1主面40aに垂直な方向に挟むように配置されている。上側ヨーク20は、フェライト40の第1主面40a側に位置し、永久磁石30、フェライト40、および中心電極41と電気的に接続された第1ヨークである。下側ヨーク10は、フェライト40の第2主面40b側に位置し、上側ヨーク20と電気的に絶縁された第2ヨークである。
上記構成によれば、永久磁石30がフェライト40の第1主面40aに垂直な方向に配置されることで、永久磁石30をフェライト40の側面に配置する必要がないので、非可逆回路素子1を小型化(省面積化)することが可能となる。また、20GHz以上のミリ波帯高周波信号を処理する分布定数回路を、上側ヨーク20と下側ヨーク10とが電気的に絶縁された状態で構成することで、上側ヨーク20と下側ヨーク10とで囲まれた空間内における閉磁路の発生を抑制できるので、当該閉磁路に起因した20GHz以上における不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の高周波伝搬特性を有する小型の非可逆回路素子1を提供できる。
さらには、永久磁石30およびフェライト40が上側ヨーク20および下側ヨーク10で挟まれているので、非可逆回路素子1をマウンタで実装基板50に実装しようとする場合、漏れ磁束により発生する磁力により非可逆回路素子1がマウンタ冶具に引き寄せられて実装不良となることを回避できる。
[1.2 非可逆回路モジュールの高周波伝送特性]
以下、本実施の形態(実施例)に係る非可逆回路モジュール2の高周波伝搬特性について、従来の(比較例に係る)非可逆回路素子と比較しながら説明する。
従来、広帯域の高周波伝搬特性を有する非可逆回路素子を実現するにあたり、分布定数型回路を用いる必要があり、この場合には、1GHz〜5GHzの周波数帯域において12mm角〜72mm角程度のサイズが必要となる。このため、携帯電話等に搭載されるサーキュレータとしては、大き過ぎて使用されるには至らなかった。
一方、近年では、ミリ波帯域(30GHz〜)を含む20GHz以上の周波数帯域が使用され始めてきており、この周波数帯域であれば、分布定数型の非可逆回路素子として2mm角〜6mm角程度の小型化が可能であり、携帯電話およびその基地局などにも適用可能となる。
図4Aは、比較例1に係る非可逆回路モジュールのSパラメータの計算結果を示すグラフである。また、図4Bは、比較例2Aに係る非可逆回路モジュールのSパラメータの計算結果を示すグラフである。また、図4Cは、実施例1Aに係る非可逆回路モジュールのSパラメータの計算結果を示すグラフである。
具体的には、図4Aに示された比較例1に係る非可逆回路モジュールは、実施の形態1に係る非可逆回路モジュール2の構成と比較して、上側ヨーク20が配置されていない構成となっている。また、図4Bに示された比較例2Aに係る非可逆回路モジュールは、実施の形態1に係る非可逆回路モジュール2の構成と比較して、絶縁部材60が配置されておらず、上側ヨーク20と下側ヨーク10とが電気的に接続された状態となっている。また、図4Cに示された実施例1Aに係る非可逆回路モジュールは、実施の形態1に係る非可逆回路モジュール2と同様の構成を有している。また、比較例1、比較例2A、および実施例1Aのいずれも、分布定数型の回路構成となっている。
図4Aにおいて、比較例1に係る非可逆回路モジュールでは、Port2からPort1への挿入損失S(1,2)は、周波数帯域(25GHz±1.5GHz)において小さく、良好な通過特性を示している。これに対して、Port3からPort1への挿入損失S(1,3)は、周波数帯域(25GHz±1.5GHz)において15dB以上となっており、十分な減衰量(遮断特性)が確保されている。また、Port1の反射損失S(1,1)は、周波数帯域(25GHz±1.5GHz)において15dB以上となっている。比較例1に係る非可逆回路素子が、当該非可逆回路素子の中心に対して対称な構成となっていることから、比較例1に係る非可逆回路モジュールは、Port2からPort1への伝搬方向、Port1からPort3への伝搬方向、およびPort3からPort2への伝搬方向に上記周波数帯域の高周波信号を通過させ、Port1からPort2への伝搬方向、Port2からPort3への伝搬方向、およびPort3からPort1への伝搬方向に上記周波数帯域の高周波信号を通過させないという高周波伝搬特性を有している。
しかしながら、比較例1に係る非可逆回路素子のように、小型化に対応すべく上側ヨーク20が省略された構造の場合、永久磁石30が剥き出しとなるため漏れ磁束を抑制できない。このため、例えば、マウンタで非可逆回路素子を実装する場合に、マウンタ冶具が磁石の磁力に引き寄せられ実装不良が発生するという問題がある。
一方、図4Bの比較例2Aに係る非可逆回路モジュールでは、Port2からPort1への挿入損失S(1,2)において、周波数帯域(25GHz±5GHz)内における挿入損失の極大点(29GHz近辺)が発生している。使用周波数帯域がマイクロ波帯域であって集中定数型の非可逆回路素子であれば、上記不要波は、使用周波数帯域より十分高い周波数位置に存在することとなるため問題とならない。これに対して使用周波数帯域が20GHz以上のミリ波帯域であって分布定数型の非可逆回路モジュールの場合には、上記不要波は使用周波数帯域内または近傍に発生してしまう。このため、非可逆回路モジュールの特性に悪影響を与えてしまう。この発生要因としては、上側ヨーク20と下側ヨーク10とが電気的に接続されていることが挙げられる。
図5Aは、比較例1に係る非可逆回路素子の電磁界分布を示す概略断面図である。また、図5Bは、比較例2Aに係る非可逆回路素子の電磁界分布を示す概略断面図である。図5Aにおいて、比較例1に係る非可逆回路素子では、上側ヨーク20が配置されていないため、永久磁石30およびフェライト40を貫く磁界は、閉磁路を形成していない。このため、上記閉磁路に起因した不要波は発生しない。一方、図5Bにおいて、比較例2Aに係る非可逆回路素子では、上側ヨーク20および下側ヨーク10で囲まれた空間内において、永久磁石30およびフェライト40を貫く磁界が閉磁路を形成している。このため、上記閉磁路に起因した20GHz以上における不要波ノイズが発生する。
この不要波の発生周波数は、永久磁石30およびフェライト40の比誘電率、ならびに、上側ヨーク20および下側ヨーク10の寸法によって決定される。ただし、20GHz以上のミリ波帯域であって分布定数型の非可逆回路素子を構成する場合、永久磁石30およびフェライト40の比誘電率(後述する表1を参照)は、ほぼ決定される。このため、上記分布定数型の非可逆回路素子において、永久磁石30、フェライト40、上側ヨーク20および下側ヨーク10のパラメータにより不要波の発生周波数を変えることは困難である。また、上側ヨーク20と下側ヨーク10とが電気的に接続されると、中心電極41が形成するインダクタンス成分とキャパシタンス成分の変化により、不要波の周波数が下がり、動作周波数と重なってしまう。
これに対して、図4Cにおいて、実施例1Aに係る非可逆回路モジュールでは、Port2からPort1への挿入損失S(1,2)は、周波数帯域(25GHz±5GHz)において小さく、良好な通過特性を示している。これに対して、Port3からPort1への挿入損失S(1,3)は、周波数帯域(25GHz±1.5GHz)において15dB以上となっており、十分な減衰量(遮断特性)が確保されている。また、Port1の反射損失S(1,1)は、周波数帯域(25GHz±1.5GHz)において15dB以上となっている。実施例1Aに係る非可逆回路素子1が、当該非可逆回路素子の中心に対して対称な構成となっていることから、実施例1Aに係る非可逆回路素子1は、Port2からPort1への伝搬方向、Port1からPort3への伝搬方向、およびPort3からPort2への伝搬方向に上記周波数帯域の高周波信号を通過させ、Port1からPort2への伝搬方向、Port2からPort3への伝搬方向、およびPort3からPort1への伝搬方向に上記周波数帯域の高周波信号を通過させないという高周波伝搬特性を有している。
さらに、実施例1Aに係る非可逆回路素子1は、上側ヨーク20が配置されているので、永久磁石30が剥き出しとならず漏れ磁束を抑制できる。このため、マウンタで非可逆回路素子1を実装する場合であっても、上述したような実装不良を回避できる。
実施例1Aに係る非可逆回路素子1では、上側ヨーク20および下側ヨーク10が配置されているが、上側ヨーク20と下側ヨーク10とは電気的に接続されていない。このため、上側ヨーク20と下側ヨーク10とで囲まれた空間内において、永久磁石30およびフェライト40を貫く磁界は、閉磁路を形成しない。これにより、上記閉磁路に起因した20GHz以上における不要波ノイズの発生を抑制できる。
以下、上述した比較例2Aおよび実施例1Aに係る非可逆回路モジュールを作成し、当該作成されたものを実測した結果について説明する。
図6Aは、比較例2Bに係る非可逆回路モジュールのSパラメータの実測結果を示すグラフである。また、図6Bは、実施例1Bに係る非可逆回路モジュールのSパラメータの実測結果を示すグラフである。具体的には、図6Aに係る比較例2Bは、比較例2Aを実際に作成したものを実測した結果であり、図6Bに係る実施例1Bは、実施例1Aを実際に作成したものを実測した結果である。
ここで、比較例2Bおよび実施例1Bにおいて、永久磁石30の比誘電率を20とし、フェライト40の比誘電率を14とし、フェライト40の直径を2mmとしている。上記構成において、比較例2Bおよび実施例1Bの双方において、Port2からPort1への伝搬方向に周波数帯域(25GHz±1.5GHz)の高周波信号を通過させ、Port1からPort2への伝搬方向に上記周波数帯域の高周波信号を通過させないという高周波伝搬特性を有している。ただし、比較例2Bにおいて、Port2からPort1への挿入損失S(1,2)において、上記周波数帯域内において、挿入損失の極大点(20GHz近辺)が発生している。このため、上記周波数帯域において不要波を発生させてしまう。これに対して、実施例1Bにおいて、上側ヨーク20と下側ヨーク10とが電気的に接続されていないため、上側ヨーク20と下側ヨーク10とで囲まれた空間内に発生し得る閉磁路に起因した不要波ノイズが抑制されている。
ここで、ミリ波帯域(30GHz〜)を含む20GHz以上の周波数帯域において、広帯域かつ小型(0.1mm角〜6mm角)の分布定数型非可逆回路素子を実現するための、各構成要素の設計パラメータは、表1に示すとおりである。
Figure 2018186454
表1に示された非可逆回路素子1の各構成要素のパラメータにより、20GHz以上における不要波の発生が抑制された、小型かつ広帯域の非可逆回路素子1を実現できる。
なお、本実施の形態に係る非可逆回路素子1において、絶縁部材60は、電気絶縁性のフェライトで構成されていてもよい。このフェライトとしては、例えば、ガーネット系フェライト、スピネル系フェライトもしくは六方晶系フェライト、または、磁性粉入り樹脂ペーストなどが挙げられる。樹脂ペーストが絶縁体であるため、上記磁性粉は導体でもよい。上側ヨーク20と下側ヨーク10との電気絶縁を実現する構成として、セラミックや樹脂などで構成された絶縁部材60を用いると、上側ヨーク20と下側ヨーク10とを電界的に絶縁はできるが、磁界の連続性も完全遮断させる構造となってしまう。この場合、絶縁部材60の形状および物性により、大きな漏れ磁束が発生してしまう。
これに対して、絶縁部材60として電気絶縁性を有し磁性体である材料を用いることで、上側ヨーク20と下側ヨーク10との電界を絶縁でき、かつ、当該磁性体内を経路とする閉磁路を形成できる。よって、漏れ磁束をより低減できるので、シールド性を向上させることが可能となる。
また、上側ヨーク20と永久磁石30との間隔は、使用する高周波信号の波長の1/4以下であることが好ましい。上側ヨーク20と下側ヨーク10とが電気絶縁されているので、永久磁石30と上側ヨーク20との間隔を狭くしても、20GHz以上における不要波ノイズの発生を効果的に抑制できる。これにより、非可逆回路素子1の低背化が可能となる。
[1.3 変形例に係る非可逆回路モジュール]
図7は、実施の形態1の変形例1に係る非可逆回路素子1Cおよび非可逆回路モジュール2Cの断面図である。同図に示された非可逆回路素子1Cおよび非可逆回路モジュール2Cは、図3に示された実施の形態1に係る非可逆回路素子1および非可逆回路モジュール2と比較して、上側ヨーク23および絶縁部材61の構成が異なる。以下、本変形例に係る非可逆回路素子1Cおよび非可逆回路モジュール2Cについて、非可逆回路素子1および非可逆回路モジュール2と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
非可逆回路モジュール2Cは、非可逆回路素子1Cと、非可逆回路素子1Cが実装される実装基板50と、を備える。
非可逆回路素子1Cは、下側ヨーク10と、フェライト40と、永久磁石30と、中心電極41と、絶縁部材61と、上側ヨーク23と、を備える。下側ヨーク10上にはフェライト40が配置され、フェライト40上には中心電極41が形成され、中心電極41上には永久磁石30が配置され、永久磁石30上には上側ヨーク23が配置されている。また、下側ヨーク10上の外縁部には絶縁部材61が配置され、上側ヨーク23の外周部に絶縁部材61が配置されている。上側ヨーク23は、天面部のみを有し、当該天面部の外周に筒状の絶縁部材60が接合されている。また、下側ヨーク10の外縁部は、絶縁部材61に接合されている。つまり、上側ヨーク23と下側ヨーク10とは、直接接合されておらず、絶縁部材61を介して対向している。すなわち、下側ヨーク10および上側ヨーク23が、永久磁石30、フェライト40、および中心電極41を、フェライト40の第1主面40aに垂直な方向に挟むように配置されている。上側ヨーク23は、フェライト40の第1主面40a側に位置し、永久磁石30、フェライト40、および中心電極41と電気的に接続されている。下側ヨーク10は、フェライト40の第2主面40b側に位置し、上側ヨーク23と電気的に絶縁されている。
上記構成によれば、永久磁石30がフェライト40の第1主面40aに垂直な方向に配置されることで、永久磁石30をフェライト40の側面に配置する必要がないので、非可逆回路素子1Cを小型化(省面積化)することが可能となる。また、20GHz以上のミリ波帯高周波信号を処理する分布定数回路を、上側ヨーク23と下側ヨーク10とが電気的に絶縁された状態で構成することで、上側ヨーク23と下側ヨーク10とで囲まれた空間内における閉磁路の発生を抑制できるので、当該閉磁路に起因した20GHz以上における不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の高周波伝搬特性を有する小型の非可逆回路素子1Cを提供できる。
さらには、永久磁石30およびフェライト40が上側ヨーク23および下側ヨーク10で挟まれているので、非可逆回路素子1Cをマウンタで実装基板50に実装しようとする場合、漏れ磁束により発生した磁力により非可逆回路素子1Cがマウンタ冶具に引き寄せられて実装不良となることを回避できる。
図8は、実施の形態1の変形例2に係る非可逆回路素子1Dおよび非可逆回路モジュール2Dの断面図である。同図に示された非可逆回路素子1Dおよび非可逆回路モジュール2Dは、図3に示された実施の形態1に係る非可逆回路素子1および非可逆回路モジュール2と比較して、上側ヨーク24の構成が異なる。以下、本変形例に係る非可逆回路素子1Dおよび非可逆回路モジュール2Dについて、非可逆回路素子1および非可逆回路モジュール2と同じ構成については説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
非可逆回路モジュール2Dは、非可逆回路素子1Dと、非可逆回路素子1Dが実装される実装基板50と、を備える。
非可逆回路素子1Dは、下側ヨーク10と、フェライト40と、永久磁石30と、中心電極41と、上側ヨーク24とを備える。下側ヨーク10上にはフェライト40が配置され、フェライト40上には中心電極41が形成され、中心電極41上には永久磁石30が配置され、永久磁石30上には上側ヨーク24が配置されている。上側ヨーク24は、絶縁部材で構成されており、天面部と、側面部とを有している。下側ヨーク10の外縁部と上側ヨーク24の側面部とが接合されている。上側ヨーク24は、フェライト40の第1主面40a側に位置している。永久磁石30、フェライト40、および中心電極41は、電気的に接続されている。下側ヨーク10は、フェライト40の第2主面40b側に位置し、永久磁石30、フェライト40、中心電極41、および上側ヨーク24と、電気的に絶縁されている。
上記構成によれば、永久磁石30およびフェライト40が上側ヨーク24および下側ヨーク10で挟まれているので、非可逆回路素子1Dをマウンタで実装基板50に実装しようとする場合、上側ヨーク24が介在することで、漏れ磁束により発生した磁力により非可逆回路素子1Dがマウンタ冶具に引き寄せられて実装不良となることを低減できる。また、20GHz以上のミリ波帯高周波信号を処理する分布定数回路を、上側ヨーク24と下側ヨーク10とが電気的に絶縁された状態で構成することで、上側ヨーク24と下側ヨーク10とで囲まれた空間内における閉磁路の発生を抑制できるので、当該閉磁路に起因した20GHz以上における不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の伝搬特性を有する非可逆回路素子1Dを提供できる。
なお、本変形例に係る非可逆回路素子1Dにおいて、上側ヨーク24は、電気絶縁性のフェライトで構成されていてもよい。このフェライトとしては、例えば、ガーネット系フェライト、スピネル系フェライトもしくは六方晶系フェライト、または、磁性粉入り樹脂ペーストなどが挙げられる。樹脂ペーストが絶縁体であるため、上記磁性粉は導体でもよい。上側ヨーク24として、セラミックや樹脂などで構成された絶縁材料を用いると、上側ヨーク24と下側ヨーク10とを電界的に絶縁はできるが、磁界の連続性も遮断させる構造となってしまう。この場合、上側ヨーク24の形状および物性により、大きな漏れ磁束が発生してしまう。
これに対して、上側ヨーク24として電気絶縁性を有し磁性体である材料を用いることで、上側ヨーク24と下側ヨーク10との電界を絶縁でき、かつ、当該磁性体内を経路とする閉磁路を形成できる。よって、漏れ磁束をより低減できるので、シールド性を向上させることが可能となる。
(実施の形態2)
本発明は、実施の形態1およびその変形例に係る非可逆回路素子として実現できるだけでなく、このような非可逆回路素子を備える高周波フロントエンド回路および通信装置としても実現できる。そこで、以下、上述した非可逆回路素子を備える通信装置(非可逆回路素子を含む高周波フロントエンド回路を内蔵する通信装置)について、説明する。
図9は、実施の形態2に係る通信装置3を示す機能ブロック図である。図9に示すように、通信装置3は、非可逆回路素子1を有する高周波フロントエンド回路100と、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)200と、アンテナ素子300と、を備える。通信装置3は、例えば、携帯電話の基地局に適用される。なお、通信装置3は、アンテナ素子300を備えなくてもよい。
高周波フロントエンド回路100は、通信装置3のフロントエンド部に設けられ、RFIC200とアンテナ素子300との間で送信信号または受信信号を伝搬する。具体的には、高周波フロントエンド回路100は、非可逆回路素子1に加えて、さらに、PA(パワーアンプ:Power Amplifier)202等の送信側回路と、BPF(Band Pass Filter)203と、LNA(Low Noise Amplifier)204等の受信回路と、を有する。また、高周波フロントエンド回路100には、送信信号が入力される送信端子Ptx、送信信号を出力し、受信信号が入力されるアンテナ端子Pant、および、受信信号を出力する受信端子Prxが設けられている。なお、高周波フロントエンド回路100は、BPF203を備えなくてもよく、上記以外の整合回路あるいは送信用または受信用フィルタ等を備えてもかまわない。
非可逆回路素子1は、入出力端子16に対応する端子Port1、Port2およびPort3を有している。端子Port3は送信側回路(ここではPA202)に接続され、端子Port1は受信回路(ここではLNA204)に接続され、端子Port2はアンテナ端子Pantに接続されている。具体的には、端子Port3はPA202を介して送信端子Ptxに接続され、端子Port1はLNA204を介して受信端子Prxに接続され、端子Port2はBPF203を介してアンテナ端子Pantに接続されている。
PA202は、RFIC200の送信端子(図中のTX)から高周波フロントエンド回路100の送信端子Ptxに入力された送信信号(高周波送信信号)を増幅する、例えば電力増幅モジュールである。
BPF203は、非可逆回路素子1から出力された送信信号を所定の使用周波数帯域でフィルタリングして通過させる。また、BPF203は、アンテナ端子Pantから入力された受信信号を当該使用周波数帯域でフィルタリングして通過させる。
LNA204は、非可逆回路素子1から出力された受信信号(高周波受信信号)を増幅する、例えば低雑音増幅モジュールである。
このような高周波フロントエンド回路100は、送信端子Ptxに入力された送信信号を増幅かつフィルタリングしてアンテナ端子Pantから出力し、アンテナ端子Pantに入力された受信信号をフィルタリングかつ増幅して受信端子Prxから出力する。このとき、送信信号は非可逆回路素子1のTxパスを経由し、受信信号は非可逆回路素子1のRxパスを経由する。
RFIC200は、高周波フロントエンド回路100の送信端子Ptxおよび受信端子Prxに接続され、送信信号または受信信号を信号処理する回路である。例えば、RFIC200は、ベースバンド信号処理回路(図示省略)から入力された送信信号をアップコンバートして送信端子(図中TX)から出力し、高周波フロントエンド回路100から受信端子(図中RX)に入力された受信信号をダウンコンバートしてベースバンド信号処理回路に出力する。
アンテナ素子300は、高周波フロントエンド回路100のアンテナ端子Pantに接続され、送信信号を送信し、受信信号を受信する。アンテナ素子300の形状等については特に限定されず、通信装置3の使用周波数帯域に応じて適宜設計されていればよい。
以上説明した高周波フロントエンド回路100または通信装置3によれば、20GHz以上のミリ波帯において不要波ノイズの発生を抑制しつつ広帯域の高周波伝搬特性を有することが可能となる。
(その他の変形例)
以上、本発明の実施の形態に係る非可逆回路素子、非可逆回路モジュール、高周波フロントエンド回路および通信装置について、実施の形態および変形例を挙げて説明したが、本発明の非可逆回路素子、非可逆回路モジュール、高周波フロントエンド回路および通信装置は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本開示の非可逆回路素子、非可逆回路モジュール、高周波フロントエンド回路および通信装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態に係る非可逆回路素子の入出力電極11は、入出力端子16を介さず、導電性接着剤を用いて伝送線路パターン51に直接接合されていてもよい。また、グランド電極12は、グランド端子17を介さず、導電性接着剤を用いてグランドパターン52に直接接合されていてもよい。入出力電極11と引き出し電極42とは、導電性接着剤を介して接続されていてもよい。永久磁石30とフェライト40とは、非導電性接着剤等により接合されていてもよい。
例えば、実施の形態1に係る非可逆回路モジュール2の実装基板50をインターポーザ基板とし、実装基板50の裏面に入出力用の外部端子を設け、非可逆回路モジュール2を、実装基板50とは異なるプリント配線板に搭載してもよい。ミリ波帯対応の非可逆回路素子1を使用する場合は、高周波信号が放射されにくいように実装基板50の回路設計を行う必要があり、その回路設計に多大な労力を要する。しかし、非可逆回路素子1が適切に表面実装された上記の非可逆回路モジュール2が予め準備されることで、上記問題を解消することが可能となる。
例えば、上記説明では、非可逆回路素子として3ポート型の非可逆回路素子を例に説明したが、非可逆回路素子は4ポート以上の複数のポートを有してもかまわない。また、非可逆回路素子は、入力ポートおよび出力ポートを有する2ポートのアイソレータであってもよい。
例えば、グランド電位は、非可逆回路素子の回路グランドの電位(基準電位)であればよく、0V、大地グランドの電位(すなわちアースの基準電位)またはフレームグランドと異なる電位であってもかまわない。
本発明は、通信装置のフロントエンド部に配置される非可逆回路素子として、携帯電話およびその基地局等の通信装置に利用できる。
1、1C、1D 非可逆回路素子
2、2C、2D 非可逆回路モジュール
3 通信装置
10 下側ヨーク
10a、40a 第1主面
10b、40b 第2主面
11 入出力電極
12 グランド電極
13 絶縁部
16 入出力端子
17 グランド端子
20、23、24 上側ヨーク
21 天面部
22 側面部
30 永久磁石
40 フェライト
41 中心電極
42 引き出し電極
50 実装基板
50a 表面
51 伝送線路パターン
52 グランドパターン
60、61 絶縁部材
100 高周波フロントエンド回路
200 RFIC
202 PA
203 BPF
204 LNA
300 アンテナ素子
Port1、Port2、Port3 端子

Claims (9)

  1. 分布定数回路で構成された非可逆回路素子であって、
    第1主面および第2主面を有するフェライトと、
    前記第1主面に設けられ、20GHz以上の高周波信号を伝搬させる中心電極と、
    前記中心電極を挟んで前記第1主面上に配置され、前記フェライトに直流磁界を印加する永久磁石と、
    前記永久磁石、前記中心電極、および前記フェライトを、前記第1主面に垂直な方向に挟むように配置された第1ヨークおよび第2ヨークと、を備え、
    前記第1ヨークは、前記フェライトの前記第1主面側に位置し、前記永久磁石、前記フェライト、および前記中心電極と電気的に接続されており、
    前記第2ヨークは、前記フェライトの前記第2主面側に位置し、前記第1ヨークと電気的に絶縁されている、
    非可逆回路素子。
  2. 前記フェライト上の中心電極は、前記第1主面に垂直な方向から見た場合、直径が0.1mm以上5mm以下である円形状を有する、
    請求項1に記載の非可逆回路素子。
  3. 前記フェライトは、ガーネット系フェライト、スピネル系フェライトもしくは六方晶系フェライトで構成されている、
    請求項2に記載の非可逆回路素子。
  4. 前記第1ヨークと前記第2ヨークとの間に配置され、前記第1ヨークと前記第2ヨークとを電気的に絶縁する絶縁体を有する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の非可逆回路素子。
  5. 前記第1ヨークは、電気絶縁性のフェライトからなり、
    前記第1ヨークと前記第2ヨークとは接している、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の非可逆回路素子。
  6. 前記第1ヨークと前記永久磁石との間隔は、前記高周波信号の波長の1/4以下である、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の非可逆回路素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の非可逆回路素子と、
    前記非可逆回路素子が実装される実装基板と、を備える
    非可逆回路モジュール。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の非可逆回路素子、または、請求項7に記載の非可逆回路モジュールを備えた高周波フロントエンド回路であって、
    前記非可逆回路素子は、さらに、前記第1主面に設けられ前記中心電極から引き出されている3つの引き出し電極と、
    前記第2ヨークに設けられ前記3つの引き出し電極のそれぞれに対応して接続された3つの入出力電極と、を有し、
    前記高周波フロントエンド回路は、さらに、
    前記3つの入出力電極のうちの1つに接続される送信側回路と、
    前記3つの入出力電極のうちの1つであって、前記送信側回路に接続された入出力電極と異なる入出力電極に接続された受信側回路と、
    前記3つの入出力電極のうちの1つであって、前記送信側回路または前記受信側回路に接続された入出力電極と異なる入出力電極に接続されたアンテナ端子と、を備える、
    高周波フロントエンド回路。
  9. 高周波信号を処理する信号処理回路と、
    請求項8に記載の高周波フロントエンド回路と、を備える、
    通信装置。
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