JP2018186034A - 車両部品、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、図1から図9に基づいて本発明の実施形態1に係る車両部品について説明する。本実施形態に係る車両部品は、ランプユニットの一例である車両10のヘッドランプユニット20である。なお、図中に示す前後左右、及び上下はヘッドランプユニット20が取付けられる車両10の前後左右、及び上下に対応している。
ヘッドランプユニット20は、左右一対で使用される同一仕様のランプであり、左右対称に形成されている。ヘッドランプユニット20は、図1、図2に示すように、前面側に開口21hを備えるハウジング21を備えている。ハウジング21内には、そのハウジング21の内壁面21wを覆うように反射板23が設けられている。また、ハウジング21、及び反射板23の底部の位置には、LED等からなる光源25が設置されている。そして、前記ハウジング21の前面側の開口21hがアウタレンズ30によって塞がれている。また、ハウジング21の底部の端位置には、ヘッドランプユニット20の呼吸穴27が設けられている。
アウタレンズ30は、図2に示すように、ハウジング21の開口縁部21eに対して外側から嵌められるフランジ状のレンズ縁部32と、前記レンズ縁部32の内周側で光源25の光を通すレンズ本体部34を備えている。そして、レンズ本体部34の裏面34b(内面)に、曇り防止用の多数の突起35が形成されている。このように、アウタレンズ30が本発明の透明部に相当する。
アウタレンズ30(レンズ本体部34)の突起35は、図3、図4に示すように、例えば、円錐台状に形成されており、その突起35の突出寸法がH、突起35の径寸法がW、隣り合う突起35間の寸法がLに設定されている。寸法Hと寸法Wと寸法Lとはほぼ等しい値で、可視光線の半波長以下の寸法に設定されている。本実施形態に係るアウタレンズ30では、例えば、寸法H=寸法W=寸法L=150nm〜200nm(ナノメータ)に設定されている。このため、アウタレンズ30の多数の突起35は、肉眼では見ることができない。
多数の突起35は、ヘッドランプユニット20内の水蒸気がアウタレンズ30の内面に付着したときに、前記水蒸気が可視光線の半波長以上に成長しないようにするためのものである。ここで、水滴の成長は、ギブスの自由エネルギーG(G=H−TS)と界面移動速度Vの関係によって求まる臨海核半径Rcによって決まる。このため、突起35に起因するアウタレンズ30の内面の凹凸の間隙寸法が臨海核半径Rcよりも大きすぎると、水滴が大きく成長して可視光線の半波長以上になり、曇りの原因になる。逆に、凹凸の間隙寸法が小さすぎると、成長した水滴が凹凸間を乗り越えて可視光線の半波長以上になり、同じく曇りの原因になる。
ここで、臨海核半径Rcは、Rc=2γ÷(ΔH−TΔS)・・(1)
RcforV=0・・・(2)
で表される。
上式における、γは、界面張力である。即ち、水と空気界面において、室温で1気圧のときには、(1)(2)式により、臨海核半径Rcは、約366.4nmとなる。このため、突起35の寸法、及び隣り合う突起35間の寸法等は、400nm以下が望ましい。また、成長した水滴が凹凸間を乗り越えないように、隣り合う突起35間の寸法等は150nm以上が望ましい。このため、本実施形態では、上記したように、突起35における寸法H=寸法W=寸法L=150nm〜200nmに設定されている。
アウタレンズ30は、ポリアクリル、ポリスチレン、ポリカーボネイト、シンクロオレフィンポリマー、シンクロオレフィン・コポリマー等の素材を溶融させて射出成形型40内に圧入することにより成形される。射出成形型40は、図5に示すように、アウタレンズ30の表面側を成形する第1成形型41と、アウタレンズ30の裏面側を成形する第2成形型43とを備えている。そして、射出成形型40の第1成形型41と第2成形型43とが型締めされた状態で、射出成形型40の内部には、アウタレンズ30を成形するための空間Skが形成される。射出成形型40の第1成形型41には、アウタレンズ30の表面34f(図2参照)を成形する第1成形面41fが形成されており、第2成形型43には、アウタレンズ30の裏面34bを成形する第2成形面43fが形成されている。
ヘッドランプユニット20内に高湿度の空気が入り込み、暖められた空気が外気によって冷却されると、図7に示すように、ヘッドランプユニット20内の水蒸気の初期核W0(以下、水蒸気という)がアウタレンズ30の裏面34bに引き寄せられる。ここで、アウタレンズ30の裏面34bには、可視光線の半波長以下のサイズ(150nm〜200nm)の突起が多数形成されている。そして、突起35の突出寸法Hと、突起35の径寸法Wと、隣り合う突起35間の寸法Lとがほぼ等しい値に設定されている。
本実施形態に係るヘッドランプユニット20によると、アウタレンズ30(透明部)の裏面には、可視光線の半波長以下のサイズの突起(150nm〜200nm)が所定の間隔で多数形成されている。このため、アウタレンズ30の裏面に引き寄せられた水蒸気は突起35と、前記突起35間の窪み部に付着して成長する。このため、水滴Wtどうしがまとまり難く、多数の水滴Wtが比較的小さなサイズに保持される。ここで、突起35のサイズは可視光線の半波長以下のため、突起35に付着している水滴Wtも人間からは見えない。このように、水滴Wtが人間から見えないため、アウタレンズ30(レンズ本体部34)に曇りが生じたとは認識されなくなる。また、突起35は経時的に変化しないため、長期間に亘ってアウタレンズ30の内面の曇り防止を図ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、図3等に示すように、アウタレンズ30の裏面34bに円錐台状の突起35を形成する例を示した。しかし、図9に示すように、突起の突出端が平坦でない山形の突起50を形成することも可能である。また、本実施形態では、車両部品としてヘッドランプユニット20を例示したが、他のランプユニットに本発明を適用することも可能である。また、ランプユニット以外に、例えば、インストルメントパネルの計器類を覆う透明部裏面に本発明を適用することも可能である。また、ランプユニット等のアウタレンズ等(透明部)は無色であっても良いし、着色されていても良い。
30・・・・アウタレンズ(透明部)
34・・・・レンズ本体部
34b・・・裏面
35・・・・突起
40・・・・射出成形型
43z・・・凹部
43・・・・第2成形型
43f・・・第2成形面(成形面)
Wt・・・・水滴
Claims (9)
- 透明部を備える車両部品であって、
外気が直接的に接触しない前記透明部の裏面には、可視光線の半波長以下のサイズの突起が所定の間隔で多数形成されており、
前記突起の突出寸法と、前記突起の径寸法と、隣り合う突起間の寸法とがほぼ等しい値に設定されており、
多数の前記突起は独立して形成されている車両部品。 - 請求項1に記載された車両部品であって、
隣り合う前記突起間の寸法が150nm〜400nmに設定されている車両部品。 - 請求項1又は請求項2のいずれかに記載された車両部品であって、
前記突起の高さ寸法と径寸法は150nm〜400nmに設定されている車両部品。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載された車両部品であって、
前記突起の突出端面のなめらかさを表す平面度Raは30nm以下である車両部品。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載された車両部品であって、
前記突起の高さ寸法は、隣り合う前記突起間の寸法の1倍以上、3倍以下である車両部品。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載された車両部品であって、
前記突起が形成される前記透明部の裏面が平面であるときの接触角は60°〜100°に設定されている車両部品。 - 請求項1〜請求項6のいずれかに記載された車両部品であって、
前記透明部の材料は、プラスチック材料である車両部品。 - 透明部を備え、外気が直接的に接触しない前記透明部の裏面に可視光線の半波長以下のサイズの突起が所定の間隔で多数形成されている車両部品の製造方法であって、
射出成形金型において前記透明部の裏面を成形する成形面を反応性イオンエッチング法(Reactive Ion Etching)を利用して成形する工程と、
前記成形面を備える前記射出成形金型を使用して前記透明部を射出成形する工程と、
を有する車両部品の製造方法。 - 請求項8に記載された車両部品の製造方法であって、
前記射出成形金型の前記成形面は銅合金により製造されている車両部品の製造方法。
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