JP2018185704A - 生体電気刺激装置、生体電気刺激システムおよび生体電気刺激方法 - Google Patents

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敏輝 和田
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弘 小泉
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一善 小野
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Abstract

【課題】音楽との連動の不適切さを改善して音楽体験を高めることができるようにする。【解決手段】刺激情報抽出部102が、音楽・音声信号から第1刺激情報を抽出し、刺激情報生成部103が、音楽・音声信号の可聴帯域内から第2刺激情報を生成し、合成部104が、第1刺激情報および第2刺激情報に基づいて合成信号を出力する。電気刺激部105は、合成部104が出力した合成信号に基づいて生体に電気刺激信号を印加する。【選択図】 図1

Description

本発明は、生体への皮膚覚提示を実現する技術に係り、特に音楽や音声に連動した皮膚覚提示を実現することができる生体電気刺激装置、生体電気刺激システムおよび生体電気刺激方法に関するものである。
電気刺激装置は、低周波治療装置や電気的筋肉刺激装置などの機能的電気刺激の分野だけでなく、感覚提示などの分野においても期待されている(非特許文献1参照)。電気刺激装置は、感覚提示の分野において、振動モータなどによる刺激に比べて、多くの情報量を提示することが可能であり、単なる通知を超えた感覚を人に伝えることが可能である。例えば、音楽・音声データの特徴量と同期した電気刺激を行う場合、聴覚のみならず皮膚感覚も用いたマルチモーダル提示により、ユーザに、より良い音楽体験を提供することができる。
一方で、音楽・音声データから特徴量を抽出する方法では、抽出した特徴量を閾値と比較して生体に電気刺激を与えることになるが、データの種類、例えば音楽の場合は音楽ジャンルや曲調により特徴量の変化が大きくなるので、適切な閾値を設定することが難しいという問題点があった。適切な閾値を設定できていないと、閾値が低過ぎてほとんど電気刺激が出力されない場合や、逆に閾値が高過ぎて電気刺激が出力され過ぎてしまう場合が起こり得る。
また、曲中で変化の大きい曲の場合は、前半は電気刺激の出力が多いのに、後半はほとんど電気刺激の出力が無いといった現象が起こり得る。このように、音楽・音声データから特徴量を抽出して生体に電気刺激を与える方法では、様々な要因により、音楽との連動が不適切となり音楽体験を高めることが困難であった。
梶本 之梶 他、「額に装着する電気触覚ディスプレイ」,日本バーチャルリアリティ学会第11回大会論文集、1−4頁、2006年。
上述したように、従来の技術では、音楽との連動が不適切となり音楽体験を高めることが困難であるという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、音楽との連動の不適切さを改善して音楽体験を高めることができるようにすることを目的とする。
本発明に係る生体電気刺激装置は、生体に与える電気刺激を規定する第1刺激情報が付加された音楽・音声信号を外部機器から受信する受信部と、受信部が受信した音楽・音声信号から第1刺激情報を抽出する刺激情報抽出部と、受信部が受信した音楽・音声信号から第2刺激情報を生成する刺激情報生成部と、第1刺激情報および第2刺激情報に基づいて合成信号を出力する合成部と、合成信号に基づいて生体に電気刺激信号を印加する電気刺激部とを備える。
上記生体電気刺激装置において、受信部は、第1刺激情報が可聴帯域外に付加された音楽・音声信号を外部機器から受信し、刺激情報生成部は、受信部が受信した音楽・音声信号の可聴帯域内から第2刺激情報を生成する。
上記生体電気刺激装置において、第1刺激情報および第2刺激情報は、電気刺激信号のオン/オフを示す信号であり、刺激情報抽出部は、第1刺激情報が付加されている可聴帯域外の特定の周波数帯の信号を取り出す第1フィルタと、第1フィルタが取り出した信号のレベルが所定の閾値を超えたときに第1刺激情報として第1刺激トリガ信号を出力する第1判定部とを備え、刺激情報生成部は、可聴帯域内の特定の周波数帯の信号を取り出す第2フィルタと、第2フィルタが取り出した信号のレベルが所定の閾値を超えたときに第2刺激情報として第2刺激トリガ信号を出力する第2判定部とを備え、合成部は、第1刺激トリガ信号および第2刺激トリガ信号を合成して合成信号を出力し、電気刺激部は、合成信号が出力される度に電気刺激信号を出力する。
上記生体電気刺激装置において、第1刺激トリガ信号を予め規定された第1パターンへと変換する第1変換部と、第2刺激トリガ信号を予め規定された第2パターンへと変換する第2変換部とを更に備え、合成部は、第1変換部に変換された第1刺激トリガ信号および第2変換部に変換された第2刺激トリガ信号を合成して合成信号を出力するようにしてもよい。
上記生体電気刺激装置において、第1刺激情報および第2刺激情報は、電気刺激部から出力される電気刺激信号の信号パターンを示すデジタルデータであり、刺激情報抽出部は、受信部が受信した音楽・音声信号の可聴帯域外から特定の周波数帯に埋め込まれたデジタルデータを第1刺激情報として抽出し、刺激情報生成部は、受信部が受信した音楽・音声信号の可聴帯域内から特定の周波数帯の特徴量のデジタルデータを第2刺激情報として抽出し、合成部は、刺激情報抽出部から出力されたデジタルデータおよび刺激情報生成部から出力されたデジタルデータに基づいたデジタルデータの制御信号を合成信号として出力し、電気刺激部は、デジタルデータの制御信号で規定された信号パターンの電気刺激信号を出力する。
上記生体電気刺激装置において、第1刺激情報は、音楽・音声信号の可聴帯域の上限周波数よりも高周波側で、かつ音楽・音声信号のフォーマットで決まる帯域の上限周波数よりも低周波側の特定の周波数帯に埋め込まれている。
上記生体電気刺激装置において、音楽・音声信号を再生する出力部を更に備えるようにしてもよい。
本発明に係る生体電気刺激システムは、生体に与える電気刺激を規定する刺激情報を、音楽・音声信号に付加する情報付加装置と、請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体電気刺激装置とを備える。
上記生体電気刺激システムにおいて、情報付加装置は、音楽・音声信号を記憶する記憶部と、使用者の指示に応じて記憶部から音楽・音声信号を読み出す読出部と、読出部が読み出した音楽・音声信号に対して、使用者の指示に応じて刺激情報を付加する刺激情報付加部と、刺激情報が付加された音楽・音声信号を生体電気刺激装置に送信する送信部とを備える。
また、本発明に係る生体電気刺激方法は、生体に与える電気刺激を規定する第1刺激情報が付加された音楽・音声信号を外部機器から受信する第1ステップと、第1ステップで受信した音楽・音声信号から第1刺激情報を抽出する第2ステップと、第1ステップで受信した音楽・音声信号から特徴量を抽出して第2刺激情報を生成する第3ステップと、第1刺激情報および第2刺激情報に基づいて合成信号を生成する第4ステップと、合成信号に基づいて生体に電気刺激信号を印加する第5ステップとを備える。
上記生体電気刺激方法において、第1ステップでは、第1刺激情報が可聴帯域外に付加された音楽・音声信号を外部機器から受信し、第3ステップでは、受信した音楽・音声信号の可聴帯域内から第2刺激情報を生成すればよい。
以上説明したように、本発明によれば、音楽・音声信号に付加された第1刺激情報と、音楽・音声信号より生成した第2刺激情報との合成信号に基づいて生体に電気刺激信号を印加するので、音楽との連動の不適切さを改善して音楽体験を高めることができるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態1における生体電気刺激システムの構成を示す構成図である。 図2は、本発明の実施の形態1における生体電気刺激方法を説明するためのフローチャートである。 図3は、本発明の実施の形態1における生体電気刺激装置の構成を示す構成図である。 図4は、本発明の実施の形態1における生体電気刺激装置によって処理される音楽・音声信号の周波数スペクトルの一例を示す説明図である。 図5は、本発明の実施の形態1における生体電気刺激装置の一部構成を示す構成図である。 図6は、本発明の実施の形態1における生体電気刺激システムにおける情報付加装置151の構成を示す構成図である。 図7は、本発明の実施の形態2における生体電気刺激装置の一部構成を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1における生体電気刺激システムについて、図1を用いて説明する。この生体電気刺激システムは、生体に電気刺激信号を印加する生体電気刺激装置100と、例えばスマートフォンなどの外部機器である情報付加装置151とを備える。
生体電気刺激装置100は、受信部101、刺激情報抽出部102、刺激情報生成部103、合成部104、電気刺激部105を備える。
受信部101は、生体に与える電気刺激を規定する第1刺激情報が付加された音楽・音声信号を、外部機器である情報付加装置151から受信する。第1刺激情報は、例えば、音楽・音声信号の可聴帯域外に付加されている。刺激情報抽出部102は、受信部101が受信した音楽・音声信号から上記第1刺激情報を抽出する。刺激情報生成部103は、受信部101が受信した音楽・音声信号から第2刺激情報を生成する。刺激情報生成部103は、例えば、音楽・音声信号の可聴帯域内から第2刺激情報を生成する。
合成部104は、第1刺激情報および第2刺激情報に基づいて合成信号を出力する。電気刺激部105は、合成部104が出力した合成信号に基づいて生体に電気刺激信号を印加する。電気刺激部105は、電極106により生体に電気刺激信号を印加する。また、生体電気刺激装置100は、音楽・音声信号を再生する出力部107を備える。
以下、実施の形態1における生体電気刺激システムの動作(生体電気刺激方法)を、図2を用いて説明する。まず、ステップS101で、スマートフォンなどの情報付加装置151が、生体(生体電気刺激システムを使用する使用者の身体)に与える電気刺激を規定する第1刺激情報を、音楽・音声信号に付加する。この第1刺激情報は、例えば、音楽音声信号の可聴帯域外に付加すればよい。例えば、第1刺激情報は、人の可聴帯域の上限周波数よりも高周波側で、かつ音楽・音声信号のフォーマットで決まる帯域の上限周波数(例えばMP3、RealAudioなどのファイルフォーマットで決まる帯域の上限周波数)よりも低周波側の周波数帯に埋め込まれる。
次に、ステップS102で、情報付加装置151は、刺激情報が付加された音楽・音声信号を生体電気刺激装置100に送信する。情報付加装置151と生体電気刺激装置100との通信は無線通信でもよく、また有線通信でもよいが、使用者の利便性の観点から無線通信であることが望ましい。
無線通信規格として、例えば、近距離無線規格のブルートゥース[Bluetooth(登録商標)]などを使用することで、生体電気刺激装置100と情報付加装置151の消費電力を抑えながら、近距離で高品質の通信を実現することができる。なお、情報付加装置151の具体的な構成については後述する。
次に、ステップS103で、生体電気刺激装置100の受信部101が、情報付加装置151から送信された音楽・音声信号を受信する(第1ステップ)。次に、ステップS104で、生体電気刺激装置100の刺激情報抽出部102が、受信部101が受信した音楽・音声信号から、付加されている第1刺激情報を抽出する(第2ステップ)。例えば、音楽・音声信号から可聴帯域外に付加されている第1刺激情報を抽出する。また、ステップS105で、生体電気刺激装置100の刺激情報生成部103が、受信部101が受信した音楽・音声信号から第2刺激情報を生成する(第3ステップ)。例えば、音楽・音声信号の可聴帯域内から第2刺激情報を生成する。
次に、ステップS106で、生体電気刺激装置100の合成部104が、第1刺激情報および第2刺激情報に基づいて合成信号を出力する(第4ステップ)。次に、ステップS107で、生体電気刺激装置100の電気刺激部105が、合成部104が出力した合成信号に基づいて生体(生体電気刺激システムを使用する使用者の身体)に電気刺激信号を印加する(第5ステップ)。
電気刺激部105は、生体の皮膚表面と接触するように配設される2つ以上の電極106により、電気刺激信号を生体に印加する。2つ以上の電極106を用いることで、生体内部を通じた閉ループが形成される。電気刺激部105は、2つの電極106の間に電気刺激信号を印加する。これにより、一方の電極106から印加された電流が、生体内部を通り、他方の電極106へ流れ込む。これにより、感覚器の神経や、筋肉繊維を刺激し、種々の感覚や、筋肉運動を誘起することが可能となる。
電極106の材料は、特に限定されないが、例えば銀、銅、金、ステンレスなどの金属を細線に加工して柔軟性を付与し、布帛として構成したものや、上記金属を繊維素材にメッキしたもの、カーボンファイバー、導電性高分子を繊維素材に含浸したものなどを用いることができる。
また、ステップS108で、出力部107が、受信部101が受信した音楽・音声信号を出力する。出力部107の例としては、音楽・音声信号を再生するスピーカがある。また、外部のイヤホンなどの出力機器で音楽・音声信号を再生する場合、出力部107は例えばイヤホンジャックとなる。なお、刺激情報が、人の可聴帯域の上限周波数よりも高周波側の周波数帯に埋め込まれていれば、受信部101が受信した音楽・音声信号をそのまま再生したとしても、使用者が刺激情報を識別することはできない。
上述した各ステップ、例えば使用者が生体電気刺激装置100の動作を停止させるまで(ステップS109のno)、ステップS104〜S108の処理が繰り返し実行される。
実施の形態1によれば、音楽・音声信号に付加された第1刺激情報と、音楽・音声信号より生成した第2刺激情報とを合成した合成信号に基づいて生体に電気刺激を与えるようにした。第1刺激情報に基づく電気刺激により、音楽との連動の不適切さを改善することが可能となり、音楽体験を高めることが可能となる。これに加え、第2刺激情報に基づく電気刺激も与えられるので、音楽との連動における刺激の安定性と楽曲そのものが持つランダム性が同時に提示されるようになり、音楽体験を高めることが可能となる。なお、第1刺激情報は、情報付加装置151で自由に設定・変更することが可能である。
次に、実施の形態1における生体電気刺激装置100について、図3を用いてより詳細に説明する。図3に示すように、刺激情報抽出部102は、デジタル−アナログ変換器(DAC)121と、第1フィルタ(バンドパスフィルタ)122と、アナログ−デジタル変換器(ADC)123と、判定部(第1判定部)141とから構成される。また、刺激情報生成部103は、DAC121と、第2フィルタ(バンドパスフィルタ)131と、ADC132と、判定部(第2判定部)142から構成されている。この例では、刺激情報抽出部102と刺激情報生成部103とで、DAC121を共用している。
受信部101で受信されたデジタル信号である音楽・音声信号は、DAC121により、アナログ信号変換される。DAC121により変換されたアナログ信号は、3分岐し、1つは増幅部108に出力され、増幅部108で増幅され出力部107より出力される。3分岐した残りの2つは、第1フィルタ122、第2フィルタ131に入力する。
第1フィルタ122に入力したアナログ信号は、フィルタリングされて第1フィルタ122の帯域のみの信号が取り出される。第1フィルタ122では、 第1刺激情報が付加されている領域である可聴帯域外の特定の周波数帯の信号が取り出される。これにより、この周波数領域に第1刺激情報が付加されていれば、第1刺激情報が抽出される。
また、第2フィルタ131に入力したアナログ信号は、フィルタリングされて第2フィルタ131の帯域のみの信号が取り出される。第2フィルタ131では、可聴帯域内の設定されている範囲の帯域(特定の周波数帯)の信号が取り出される。このようにして第2フィルタ131により取り出された信号とともに、第2刺激情報が生成される。
第1フィルタ122で抽出された第1刺激情報のアナログ信号は、ADC123によりデジタル信号へ再度変換される。また、第2フィルタ131で抽出された第2刺激情報のアナログ信号は、ADC132によりデジタル信号へ再度変換される。
変換された各デジタル信号は、判定部141,判定部142に入力される。判定部141では、入力された第1刺激信号と設定されている閾値との比較を行い、判定を実施する。この判定の結果から、第1刺激情報として第1刺激トリガ信号が生成される。また、判定部142でも、入力された第2刺激信号と設定されている閾値との比較を行い、判定を実施する。この判定の結果から、第2刺激情報として第2刺激トリガ信号が生成される。
以上のようにして生成された第1刺激トリガ信号および第2刺激トリガ信号が、合成部104で合成される。ここで、音楽・音声信号は、例えば、サンプリング周波数44.1kHz、サンプルビット数16bitのデジタルデータである。この場合、1/44100(秒)毎に、上述した第1刺激情報の抽出、第2刺激情報の生成、第1刺激トリガ信号の生成、第2刺激トリガ信号の生成が行われる。
従って、第1刺激トリガ信号、第2刺激トリガ信号は、時系列的に順次に生成されていく。このように生成されている第1刺激トリガ信号、第2刺激トリガ信号は、合成部104で合成されたことにより、1列のトリガ信号として電気刺激部105へ出力される。電気刺激部105では、入力される1列のトリガ信号に基づいて駆動され、電気刺激信号を出力する。
なお、図3に示す例では、受信部101や増幅部108などを制御するためのCPU109を備え、判定部141,判定部142,および合成部104は、CPU109における機能部として実現されている。CPU109は、図示しない内部のメモリに格納されたプログラムに従って、実施の形態で説明する処理を実行する。
次に、処理される信号について、図4を用いて説明する。フーリエ変換により、ある時刻における音楽・音声信号を周波数スペクトルに変換した信号スペクトルは、図3の(a)に示すように、可聴帯域の中に様々な周波数成分を持っている。この中で、図3の(b)に示すように、ある特徴的な周波数、および刺激情報信号が埋め込まれている周波数帯を選択し、理想的なバンドパスフィルタを用いてフィルタリングすると、図3の(c)に示すように、2つの周波数スペクトルを得ることができる。この中で、可聴帯域外で得られた信号が、第1刺激信号である。また、可聴帯域内で得られた信号が、第2刺激信号となる。
得られた各信号に対して、判定部141,判定部142において予め設定した閾値との比較を行い、閾値を超えていれば、“High”、超えていなければ“Low”の出力をすることで、埋め込んだ情報(第1刺激信号)の取り出し、および音楽・音声信号からの特徴量(第2刺激信号)生成が可能となる。この場合、第1刺激情報および第2刺激情報は、電気刺激信号のオン/オフを示す信号である。
予め埋め込んだ第1刺激情報が、可聴帯域外であれば、この帯域における音楽・音声信号の信号スペクトル強度は低く、大きなS/N比が取れる。このため、図3の(c)に示すように、安定的に閾値比較を行うことが可能となる。ここでは、高周波側の可聴帯域外に情報を埋め込む場合について例示し、フィルタはハイパスフィルタを用いて例示する。可聴帯域より低周波側の場合は、スピーカなどで再生した際に、振動として現れることがあるため、第1刺激情報は、高周波側に埋め込む方が望ましい。
可聴帯域における特徴量である第2刺激情報(第2刺激トリガ信号)生成に関しては、予め埋め込まれた第1刺激情報を補完する役割であるため、音圧から適切な閾値を設定することが望ましい。なお、設定する閾値が低過ぎると、閾値を超える信号が多くなるため、スペクトルのピーク値より低く、周波数スペクトルのベースラインよりも十分に大きな値に設定されることが望ましい。
スペクトルのピーク値は、音量に連動して変化する。従って、スペクトルのピーク値をVmax、ベースライン値をVB、閾値をVth、音量Vol、αを比例係数とし、「Vth=Vmax−α(Vmax−VB)・・・(1)」、「Vmax=f(Vol)・・・(2)」の関係式に基づき、上述した閾値を設定するとよい。上記式において、比例係数αは0.1程度が望ましい。
次に、第1刺激情報(第1刺激トリガ信号)と、第2刺激情報(第2刺激トリガ信号)との合成について説明する。第1フィルタ122で抽出されてADC123でデジタル化された信号が、判定部141で判定され、この結果、第1刺激トリガ信号が生成される。また、第2フィルタ131で抽出されてADC133でデジタル化された信号が、判定部141で判定され、この結果、第2刺激トリガ信号が生成される。
上述した第1刺激トリガ信号と第2刺激トリガ信号とは、合成部104により合成され、1つのトリガ信号列へと変換される。この合成において、安定的な刺激を提示するために優先されるのは第1刺激トリガ信号であり、第2刺激トリガ信号は、第1刺激トリガ信号に準ずる形で1つのトリガ信号列とする。
この合成されたトリガ信号列により、安定的なリズムを刻む第1刺激トリガ信号に基づく刺激に加え、楽曲の特徴量である第2刺激トリガ信号が加わることになる。ここで、重要なのは、楽曲の特徴量である第2刺激トリガ信号のみでは楽曲の本来の特徴を抽出することが困難であり、両者の情報が加わることで音楽体験が高まることである。また、安全性の観点から、出力する電圧レベルとパルス幅、パルス間隔から導かれる安全基準に基づき、抽出情報から間隔の第2刺激トリガ信号は無視され出力されないようにするとよい。
ところで、情報付加装置151は、図6に示すように、記憶部201、読出部202、操作部203、表示部204、DAC205、増幅部206、出力部207、送信部208、制御部209を備える。
記憶部201は、音楽・音声信号を記憶する。読出部202は、使用者による操作部203の操作による指示に応じて記憶部201から音楽・音声信号を読み出す。表示部204は、情報が表示される。DAC205は、読出部202が読み出した音楽・音声信号をアナログ信号に変換する。増幅部206は、DAC205から出力された音楽・音声信号を増幅する。出力部207は、増幅部206によって増幅された音楽・音声信号を、使用者に視聴可能に再生する。送信部208は、生体電気刺激装置100との通信を確立する。制御部209は、情報付加装置151の全体を制御し、刺激情報付加部としての機能を有する。
情報付加装置151の記憶部201には、音楽・音声信号(デジタル信号)が予め記憶されている。音楽・音声信号は、例えば図示しないサーバ装置などからネットワークを介して受信してもよいし、情報付加装置単体で例えばマイクロホンなどの収音部(不図示)により収音したものであってもよい。
生体電気刺激システムの使用者または生体電気刺激システムのメーカの担当者は、操作部203を操作して、音楽・音声信号に刺激情報を付加させる。具体的には、情報付加装置151の読出部202は、使用者またはメーカの担当者の操作に応じて記憶部201から音楽・音声信号を読み出す。
情報付加装置151のDAC205で、読出部202が読み出したデジタル信号がアナログ信号に変換され、増幅部206で音楽・音声信号を増幅され、出力部207は、増幅部206によって出力される。出力部207は、例えば、音楽・音声信号を再生するスピーカである。また、外部のイヤホンなどの出力機器で音楽・音声信号を再生する場合、出力部207は、例えばイヤホンジャックとなる。
情報付加装置151の制御部209は、読出部202が読み出した音楽・音声信号に対して第1刺激情報を付加する。ここで、使用者またはメーカの担当者が、再生中の音楽・音声信号を聞きながら所望のタイミングで第1刺激情報の適切な付加操作を行うことは難しい場合がある。この場合、使用者またはメーカの担当者の操作に応じて、制御部209は、読出部202に対して再生速度の変更、再生の一時停止などを指令し、音楽・音声信号の波形を表示部204に表示させるようにしてもよい。これにより、使用者またはメーカの担当者は、表示部204に表示された音楽・音声信号の波形を見ながら、所望のタイミングで所望の刺激情報を音楽・音声信号に付加することが可能になる。
記憶部201、読出部202、制御部209は、CPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って上述した処理を行う。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2における生体電気刺激装置ついて、図7を用いて説明する。この生体電気刺激装置は、刺激情報抽出部102、刺激情報生成部103、合成部104、第1変換部144、第2変換部145、電気刺激部105を備える。なお、他の構成は、前述した実施の形態1と同様であり、図7には示していない。
刺激情報抽出部102、刺激情報生成部103、合成部104は、前述した実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
実施の形態2では、実施の形態1に加えて、第1変換部144、第2変換部145を備える。
第1変換部144は、刺激情報抽出部102の判定部141より出力される第1刺激トリガ信号を、予め規定(定義)された第1パターンへと変換する。また、第2変換部145は、刺激情報生成部103の判定部142より出力される第2刺激トリガ信号を、予め規定(定義)された第2パターンへと変換する。合成部104は、第1変換部144に変換された第1刺激トリガ信号、および第2変換部145に変換された第2刺激トリガ信号を合成して合成信号を出力する。
上述したパターンとは、刺激パルス電圧、刺激パルス幅、1度のトリガ信号の当たりに出力されるパルス数、パルスインターバルを指し、これらは自由に設定可能である。このパターンの定義は、変更することが可能である。
実施の形態2においても、合成部104では、前述した実施の形態1と同様に、安全性を考慮し、第1刺激トリガ信号を優先に、第2刺激トリガ信号が加わる状態で電気刺激部105へ伝送され、刺激信号が出力される。これにより、出力される刺激信号は、実施の形態1比較して更に変化に富むものとなり、皮膚感覚と合わせた音楽体験を高めることができる。
以上に説明したように、本発明によれば、音楽・音声信号に付加された第1刺激情報と、音楽・音声信号より生成した第2刺激情報との合成信号に基づいて生体に電気刺激信号を印加するので、音楽との連動の不適切さを改善して音楽体験を高めることができるようになる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
100…生体電気刺激装置、101…受信部、102…刺激情報抽出部、103…刺激情報生成部、104…合成部、105…電気刺激部、106…電極、107…出力部、151…情報付加装置。

Claims (11)

  1. 生体に与える電気刺激を規定する第1刺激情報が付加された音楽・音声信号を外部機器から受信する受信部と、
    前記受信部が受信した前記音楽・音声信号から前記第1刺激情報を抽出する刺激情報抽出部と、
    前記受信部が受信した前記音楽・音声信号から第2刺激情報を生成する刺激情報生成部と、
    前記第1刺激情報および前記第2刺激情報に基づいて合成信号を出力する合成部と、
    前記合成信号に基づいて生体に電気刺激信号を印加する電気刺激部と
    を備えることを特徴とする生体電気刺激装置。
  2. 請求項1記載の生体電気刺激装置において、
    前記受信部は、前記第1刺激情報が可聴帯域外に付加された前記音楽・音声信号を外部機器から受信し、
    前記刺激情報生成部は、前記受信部が受信した前記音楽・音声信号の可聴帯域内から前記第2刺激情報を生成する
    ことを特徴とする生体電気刺激装置。
  3. 請求項1または2記載の生体電気刺激装置において、
    前記第1刺激情報および前記第2刺激情報は、前記電気刺激信号のオン/オフを示す信号であり、
    前記刺激情報抽出部は、
    前記第1刺激情報が付加されている可聴帯域外の特定の周波数帯の信号を取り出す第1フィルタと、
    前記第1フィルタが取り出した信号のレベルが所定の閾値を超えたときに前記第1刺激情報として第1刺激トリガ信号を出力する第1判定部と
    を備え、
    前記刺激情報生成部は、
    可聴帯域内の特定の周波数帯の信号を取り出す第2フィルタと、
    前記第2フィルタが取り出した信号のレベルが所定の閾値を超えたときに前記第2刺激情報として第2刺激トリガ信号を出力する第2判定部と
    を備え、
    前記合成部は、前記第1刺激トリガ信号および前記第2刺激トリガ信号を合成して前記合成信号を出力し、
    前記電気刺激部は、前記合成信号が出力される度に前記電気刺激信号を出力する
    ことを特徴とする生体電気刺激装置。
  4. 請求項3記載の生体電気刺激装置において、
    前記第1刺激トリガ信号を予め規定された第1パターンへと変換する第1変換部と、
    前記第2刺激トリガ信号を予め規定された第2パターンへと変換する第2変換部と
    を更に備え、
    前記合成部は、前記第1変換部に変換された前記第1刺激トリガ信号および前記第2変換部に変換された前記第2刺激トリガ信号を合成して前記合成信号を出力する
    ことを特徴とする生体電気刺激装置。
  5. 請求項1または2記載の生体電気刺激装置において、
    前記第1刺激情報および前記第2刺激情報は、前記電気刺激部から出力される前記電気刺激信号の信号パターンを示すデジタルデータであり、
    前記刺激情報抽出部は、前記受信部が受信した前記音楽・音声信号の可聴帯域外から特定の周波数帯に埋め込まれたデジタルデータを前記第1刺激情報として抽出し、
    前記刺激情報生成部は、前記受信部が受信した前記音楽・音声信号の可聴帯域内から特定の周波数帯の特徴量のデジタルデータを前記第2刺激情報として抽出し、
    前記合成部は、前記刺激情報抽出部から出力されたデジタルデータおよび前記刺激情報生成部から出力されたデジタルデータに基づいたデジタルデータの制御信号を前記合成信号として出力し、
    前記電気刺激部は、デジタルデータの前記制御信号で規定された信号パターンの前記電気刺激信号を出力する
    ことを特徴とする生体電気刺激装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の生体電気刺激装置において、
    前記第1刺激情報は、前記音楽・音声信号の可聴帯域の上限周波数よりも高周波側で、かつ前記音楽・音声信号のフォーマットで決まる帯域の上限周波数よりも低周波側の特定の周波数帯に埋め込まれていることを特徴とする生体電気刺激装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の生体電気刺激装置において、
    前記音楽・音声信号を再生する出力部を更に備えることを特徴とする生体電気刺激装置。
  8. 生体に与える電気刺激を規定する刺激情報を、音楽・音声信号に付加する情報付加装置と、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の生体電気刺激装置とを備えることを特徴とする生体電気刺激システム。
  9. 請求項8記載の生体電気刺激システムにおいて、
    前記情報付加装置は、
    前記音楽・音声信号を記憶する記憶部と、
    使用者の指示に応じて前記記憶部から前記音楽・音声信号を読み出す読出部と、
    前記読出部が読み出した前記音楽・音声信号に対して、使用者の指示に応じて前記刺激情報を付加する刺激情報付加部と、
    前記刺激情報が付加された前記音楽・音声信号を前記生体電気刺激装置に送信する送信部と
    を備えることを特徴とする生体電気刺激システム。
  10. 生体に与える電気刺激を規定する第1刺激情報が付加された音楽・音声信号を外部機器から受信する第1ステップと、
    前記第1ステップで受信した前記音楽・音声信号から前記第1刺激情報を抽出する第2ステップと、
    前記第1ステップで受信した前記音楽・音声信号から特徴量を抽出して第2刺激情報を生成する第3ステップと、
    前記第1刺激情報および前記第2刺激情報に基づいて合成信号を生成する第4ステップと、
    前記合成信号に基づいて生体に電気刺激信号を印加する第5ステップと
    を備えることを特徴とする生体電気刺激方法。
  11. 請求項10記載の生体電気刺激方法において、
    前記第1ステップでは、前記第1刺激情報が可聴帯域外に付加された前記音楽・音声信号を外部機器から受信し、
    前記第3ステップでは、受信した前記音楽・音声信号の可聴帯域内から前記第2刺激情報を生成する
    ことを特徴とする生体電気刺激装置。
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