JP2018184725A - 遮音板、および遮音パネル - Google Patents

遮音板、および遮音パネル Download PDF

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真行 林
毅 川野辺
Takeshi Kawanobe
毅 川野辺
幸宏 播磨
Yukihiro Harima
幸宏 播磨
井上 誠二
Seiji Inoue
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Abstract

【課題】透光性樹脂板と防火ガラス板との接合性を確保でき、かつ要求される性能を満たす遮音板、および遮音パネルを提供する。【解決手段】遮音板20は、通路の側に配置される透光性樹脂板21と、通路の反対側に配置される防火ガラス板22と、透光性樹脂板21および防火ガラス板22を接合する中間膜23と、を備え、透光性樹脂板21は、防火ガラス板22と対向する面にガラスコート膜24が被覆される。防火ガラス板22は、網入りガラス板、耐熱強化ガラス板、又は低膨張ガラス板であり、透光性樹脂板21は、ポリカーボネイト板、又はアクリル板である。【選択図】図1

Description

本発明は、透光性樹脂板と防火ガラス板とを有する遮音板、および遮音パネルに関する。
車両の通路(例えば高速道路、一般道路、線路など)の側縁に沿って配置される遮音パネルとして、透光性を有するものが検討されている。透光性の遮音パネルを使用することにより、車両の乗員が周辺景色を視認でき、また近隣の住民に対して、日照を確保できる。
一方、遮音パネルには、車両火災等が発生した際の二次被害を防止するため耐防火性が求められる。
特許文献1には、ガラス板と網入りガラス板とを、樹脂中間層を介してはり合わせた合わせガラスで形成し、ガラス板を道路側に、網入りガラス板を民地側に配置して使用する道路用透光性パネルが開示されている。
特開2007−169957号公報 特開2015−151326号公報
しかしながら、特許文献1の道路用透光性パネルでは、車両が衝突等した場合、衝撃により網入りガラス板が破損し、1.0g以上のガラス片が民地側に落下する懸念がある。また、道路側からの飛び石等により、通路側のガラス板に中間膜に達するクラック等が生じる懸念がある。
このような懸念に対して、特許文献2に記載されている合わせガラス、すなわち、透光性樹脂板であるポリカーボネイト板と、防火ガラス板である網入りガラス板とを、中間膜により接合する合わせガラスを、道路用透光性パネルに適用することが考えられる。
しかしながら、特許文献2の技術では、透光性樹脂板と防火ガラス板との接合性が十分でない懸念がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、透光性樹脂板と防火ガラス板との接合性を確保でき、かつ要求される性能を満たす遮音板、および遮音パネルを提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、遮音板は、通路の側に配置される透光性樹脂板と、前記通路の反対側に配置される防火ガラス板と、前記透光性樹脂板および前記防火ガラス板を接合する中間膜と、を備え、前記透光性樹脂板は、前記防火ガラス板と対向する面にガラスコート膜が被覆される。
本発明の遮音板、および遮音パネルによれば、透光性樹脂板と防火ガラス板との接合性を確保でき、かつ要求される性能を満たすことができる。
図1は、第1実施形態による遮音板を含む遮音パネルを示す断面図である。 図2は、試験で使用する金属球の概略構成図である。 図3は、複合耐燃性試験の評価方法を説明するための図であって、固定治具に固定された試料を示した側面図である。 図4は、第2実施形態による遮音板を示す断面図である。
以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、実施形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。
<第1実施形態>
第1実施形態の遮音板を含む遮音パネルについて、図を参照して説明する。図1は、実施形態の遮音板を含む遮音パネルを示す断面図である。遮音パネル10は、車両の通路(例えば道路、線路など)の側縁に沿って配置される。例えば、遮音パネル10は、立体交差や高架上の通路に設置される。
遮音パネル10は、遮音板20と、遮音板20の外周部を支持する支持枠40とを有する。遮音板20は透明であり、車両の乗員は、遮音板20を介して周辺の景色を視認できる。なお、支持枠40は、透明でも不透明でもよい。
支持枠40は、遮音板20の外周部を支持することにより、遮音板20の変形を抑制することが可能となる。支持枠40は、遮音板20の外周部を収容する溝41を有する。溝41の溝幅は遮音板20の板厚よりも大きくてよく、支持枠40は緩衝材44を介して遮音板20を支持してよい。支持枠40は、アルミニウム若しくは鉄などの金属(合金を含む)、または樹脂で形成されることが好ましい。また、緩衝材44としてゴム、シリコンシーラント、または発泡樹脂を用いることが好ましい。図1に示されるように、遮音板20を支持する位置に応じて、緩衝材44は、溝41に配置される形態を変えることができる。
次に、実施形態の遮音板について説明する。図1に示されるように、遮音板20は、通路の側に配置される透光性樹脂板21と、通路の反対側に配置される防火ガラス板22と、を備える。
透光性樹脂板21とは、JIS K 7375(2008)に基づいて測定した全光線透過率が75%以上である樹脂製の板である。透光性樹脂板21の全光線透過率は、車両の乗員が遮音板20を介して周辺の景色を視認しやすいように、80%以上が好ましい。
透光性樹脂板21は、対向する2つの面と、2つの面を連なる側面とを有する。実施形態の透光性樹脂板21は、少なくとも一方の面を含む全面にガラスコート膜24が被覆される。一方の面とは、2つの面の中で、防火ガラス板22と接合される面を意味する。なお、実施形態においては、図1に示されるように、透光性樹脂板21は、対向する2つの面および側面を含む全面にガラスコート膜24が被覆される。ガラスコート膜24とは、ガラスと同様に二酸化ケイ素を主成分とする膜であって、その表面に水酸基を持つ膜を意味する。ガラスコート膜24は、透光性樹脂板21の防火ガラス板22と対向する面に被覆されていればよい。
図1に示されるように、防火ガラス板22は、対向する2つの面と、2つの面を連なる側面とを有する。防火ガラス板22とは、国土交通大臣が認定する防火設備を構成する主材料の1つであるガラス板を意味する。防火ガラス板22は、二酸化ケイ素を主成分として含み、その表面に水酸基を有している。
実施形態では、防火ガラス板22の一方の面が、透光性樹脂板21のガラスコート膜24の形成された一方の面と対向配置される。透光性樹脂板21と防火ガラス板22とが中間膜23により接合される。中間膜23は、水酸基を有する樹脂材料により構成される。
上記構成による接合性の確保の作用について説明する。まず、防火ガラス板22と中間膜23との接合について説明する。防火ガラス板22は、その表面に水酸基を有している。また、中間膜23は水酸基を有する樹脂で構成される。したがって、防火ガラス板22と中間膜23とは水素結合により接合される。防火ガラス板22および中間膜23の水酸基同士が結合され、防火ガラス板22と中間膜23とは強固に接合される。
次に、透光性樹脂板21と中間膜23との接合について説明する。透光性樹脂板21の防火ガラス板22と接合される面に、ガラスコート膜24が被覆されている。ガラスコート膜24は、ガラスと同様に、その表面に水酸基を有している。したがって、ガラスコート膜24と中間膜23とは水素結合により接合される。ガラスコート膜24および中間膜23の水酸基同士が結合されるので、ガラスコート膜24を介して透光性樹脂板21と中間膜23とは強固に接合される。その結果、中間膜23による透光性樹脂板21と防火ガラス板22との接合性が確保される。
透光性樹脂板21にガラスコート膜24を被覆しない場合、透光性樹脂板21と中間膜23とは水素結合ではなく、分子間力で接合されるので、透光性樹脂板21と中間膜23との接合性を確保することは困難となる。
次に、遮音板20に対して要求される性能について説明する。要求される性能として、(1)耐衝撃性試験、(2)複合試験、(3)壁用防耐火炉試験、および(4)耐飛び石性試験の各種試験に合格することが、遮音板20には求められる。それぞれの試験について説明する。
<耐衝撃性試験>
路面高さより1m程度の位置に遮音板の下端が位置するように配置し、遮音板の中心に図2に示される加撃体を2点吊りし、加撃位置より必要な位置エネルギーを鉛直方向の高さ(95cm)から振り子式に、試験体である遮音板に通路側から加撃を行い、遮音板の材料破片の、総破片の重量、破片最大重量を測定する。図2は、加撃体の概略図である。図2に示されるように、加撃体は、300kgの鉄球100と、直径24mmのヘッド104を有する50mmの突起102と、吊具106とを有している。ヘッド104により遮音板に衝撃が加えられる。
遮音板の材料破片の飛散防止率が99.0%以上、および材料破片の破片最大重量が1.0g以下を満たすことが求められる。
<複合試験>
路面高さより1m程度の位置に遮音板の下端が位置するように配置し、遮音板の中心に図2に示される加撃体を加撃位置より必要な位置エネルギーを鉛直方向の高さ(39.5cm)から振り子式に、遮音板の第1のガラスに加撃を行い、遮音板の材料破片の、総材料破片の重量、破片最大重量を測定する(耐衝撃性試験)。耐衝撃性試験を実施後、遮音板を在置させた状態で以下の複合耐燃性試験を実施し、バーナーの照射時間を連続照射8分30秒とする(耐燃性試験)。
耐衝撃性試験に対して、遮音板の材料破片の飛散防止率が99.0%以上、および材料破片の最大重量が1.0g以下、かつ耐燃性試験に対して、遮音板が8分30秒間の燃焼の終了時刻より3分30秒間以内に燃え抜けないこと(12分間燃え抜けないこと)、および遮音板の材料破片の飛散防止率が99.0%以上、および材料破片の最大重量が1.0g以下を満たすことが求められる。
複合耐燃性試験では、図3に示されるように、固定治具202に固定された試験体としての遮音板200からバーナー208の口元を40cm離し、遮音板200の中央に炎が当たる位置にバーナー208の口元を固定する。バーナー208は、プロパンガスタイプであり、口元の口径は100mmである。遮音板200の中央の燃焼側および背面側にそれぞれ温度測定機器210a、および温度測定機器210bを設置し、遮音板200の燃焼温度と時間とを記録する。ガス圧を0.075MPaとするが、着火30秒後に、バーナー208の口元から40cm離した位置の温度が800℃以上に上昇するように調整する。
<壁用防耐火炉試験>
高さ1m×幅2mの遮音板を試験炉の中心位置に設置する。試験炉は、JIS R 3204:2014に準拠した試験が可能な壁用防耐火炉とする。炉内側熱電対は、シース熱電とし、試験炉全面にわたり均等に9個以上を配置し、試験体(遮音板)から100mm離れた位置に設置する。背面側の熱電対は試験体の中央1点とし、試験体から100mm離れた位置に設置した。加熱温度および背面側の測定は、熱電対の各々について1分以内ごとに行う。
加熱は常温より始め、炉内熱電対によって測定した温度経過が、以下の式で表される数値になるよう加熱する。
T=345log10(8t+1)+20
T:平均炉内温度(℃)、t:試験の経過時間(分)
燃焼時間は12分間燃焼させた結果、温度と時間の積分値が401000℃・秒以上とする。
試験材料が12分間燃え抜けないこと、かつ試験の結果、遮音板の材料破片の飛散防止率が99.0%以上、および材料破片の最大重量が1.0g以下を満たすことが求められる。
<耐飛び石性試験>
試験体として高さ1.0m×幅2.0mの遮音板を3枚準備する。遮音板に、射出試験装置により質量4.5g±5%の鋼球(SUS440C)の加撃体を、21.0m/s±1.0m/sの加撃速度で衝突させる。まず、床面より1m程度の位置を遮音板の下端とし、H形鋼支柱に組まれた治具に遮音板を設置する。加撃位置を隅部2点、端部3点、中央部1点の6点とする。加撃体の遮音板への入射角を90°±5°とし、加撃位置6点に加撃する。
遮音板の損傷形態を目視により判断する。遮音板が合わせ構造の場合、全ての加撃位置において加撃側(通路側)の単板に貫通したヘルツ破壊およびクラックが認められないことが求められる。
実施形態の遮音板20は、通路側に透光性樹脂板21を、民地側に防火ガラス板22を備える。透光性樹脂板21は耐衝撃性に優れるので、遮音板20は耐衝撃性試験を満たすことができる。また、防火ガラス板22を耐防火性に優れるので、遮音板20は壁用防耐火炉試験を満たすことができる。遮音板20は透光性樹脂板21と防火ガラス板22とを備えるので、複合試験を満たすことができる。さらに、透光性樹脂板21は耐貫通性に優れるので、遮音板20は耐飛び石性試験を満たすことができる。
次に、遮音板20の好ましい形態について説明する。
透光性樹脂板21として、ポリカーボネイト板、およびアクリル板の何れかを用いることが好ましい。ポリカーボネイト板、およびアクリル板は透光性に優れ、耐衝撃性を有するからである。
透光性樹脂板21の厚さは、5mm以上15mm以下であることが好ましい。透光性樹脂板21の厚さが5mm以上15mm以下の範囲であれば、透光性樹脂板21は、優れた耐衝撃性を有し、また、十分な耐風圧強度を有する。さらに、透光性樹脂板21は、飛び石等に対しても耐貫通性を有する。透光性樹脂板21の厚さを15mm以下とすることにより、遮音板20を軽量化することができる。透光性樹脂板21の厚さは、10mm以上13mm以下がより好ましい。
ガラスコート膜24は、特に限定されないが、シリコーンポリマーからなり、その最表面が、シリコーンポリマーを硬化した二酸化ケイ素を主成分とする改質膜で構成されることが好ましい。シリコーンポリマーは、シロキサン結合を主骨格として含む。ガラスコート膜24の厚さは1μm以上10μm以下であることが好ましい。ガラスコート膜24の厚さを1μm以上とすることにより、透光性樹脂板21と中間膜23との接合性がよい。ガラスコート膜24の厚さを10μm以下とすることにより、改質膜が良好に形成される。ガラスコート膜24の厚さは、2μm以上8μm以下がより好ましい。
シリコーンポリマーからなるガラスコート膜24の最表面に紫外線を照射することにより、シリコーンポリマーを硬化した二酸化ケイ素を主成分とする改質膜が形成される。
ガラスコート膜24と透光性樹脂板21との間にプライマー層(不図示)を設けることが好ましい。プライマー層の材料として、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等の樹脂を用いることができる。プライマー層を設けることにより、透光性樹脂板21とガラスコート膜24との密着性を向上でき、また耐衝撃性を向上することができる。
透光性樹脂板21にガラスコート膜24を、例えば、以下の手順により、被覆することができる。透光性樹脂板21、またはプライマー層を形成した透光性樹脂板21の上にシリコーンポリマーをディップコート法により塗布する。その後この塗膜を硬化させるため、120℃前後の温度で1時間程度加熱し、その後さらに塗膜に紫外線を照射することによりガラスコート膜24を形成することができる。
また、実施形態では、ガラスコート膜24が、防火ガラス板22と対向する面と反対の透光性樹脂板21の他方の面に被覆される。他方の面にガラスコート膜24を被覆することにより、透光性樹脂板21の耐擦傷性を向上させることができる。
防火ガラス板22して、網入りガラス板、耐熱強化ガラス板、および低膨張ガラス板の何れかを用いることが好ましい。網入りガラス板とは、ガラス板に金網を封入した単板のガラス板を意味する。ガラス板の中に封入されている網によりガラスの破片が脱落したり、開口が生じたりすることを防止できる。耐熱強化ガラス板とは、物理強化処理をして耐熱強度を高めた網のないガラス板を意味する。低膨張ガラス板とは、ホウケイ酸ガラスを熱処理して耐熱性を高めた、網のないガラス板であって、線膨張係数が4.0×10−6(1/℃)以下のガラス板を意味する。網入りガラス板、耐熱強化ガラス板、および低膨張ガラス板の中で、網入りガラス板を用いることが、費用的、およびガラス片の脱落防止の観点からも好ましい。
防火ガラス板22の厚さは、3mm以上9mm以下であることが好ましい。防火ガラス板22の厚さが3mm以上であれば、優れた耐防火性を有する。防火ガラス板22の厚さが9mm以下にすることにより、衝撃を受けた際の破片を小さくすることができる。防火ガラス板22の厚さは6mm以上8mm以下がより好ましい。
実施形態の防火ガラス板22におけるガラスは、酸化物基準のモル百分率表示でSiOを56%以上75%以下、Alを0%以上20%以下、NaOを8%以上22%以下、KOを0%以上10%以下、MgOを0%以上14%、ZrOを0%以上5%、CaOを0%以上12%以下含有することが好ましい。以下、各成分について説明するが、%はモル%を意味する。
SiO(二酸化ケイ素)は、ガラス微細構造の中で網目構造を形成する成分として知られており、ガラスを構成する主成分である。SiOの含有量は、56%以上であり、好ましくは63%以上、より好ましくは66%以上、さらに好ましくは68%以上である。また、SiOの含有量は、75%以下であり、好ましくは73%以下、より好ましくは72%以下である。SiOの含有量が56%以上であるとガラスとしての安定性や耐候性の点で優位である。一方、SiOの含有量が75%以下であると熔解性および成形性の点で優位である。
Alは必須ではないが、化学強化におけるイオン交換性能を向上させる作用があり、特に表面圧縮応力(CS:Compressive Stress)を向上する作用が大きいため含有させてもよい。ガラスの耐候性を向上する成分としても知られている。また、フロート成形時にボトム面からの錫の浸入を抑制する作用がある。Alを含有する場合は、0.4%以上であり、好ましくは0.6%以上、より好ましくは0.8%以上である。また、Alの含有量は、20%以下であり、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。Alの含有量が0.4%以上であると、イオン交換により、所望のCSが得られ、また、錫の浸入を抑制する効果が得られる。一方、Alの含有量が20%以下であると、ガラスの粘性が高い場合でも失透温度が大きくは上昇しないため、ソーダライムガラス生産ラインでの熔解、成形の点で優位である。
SiOおよびAlの含有量の合計SiO+Alは80%以下であることが好ましい。80%超では高温でのガラスの粘性が増大し、溶融が困難となるおそれがあり、好ましくは76%以下、より好ましくは74%以下である。また、SiO+Alは68%以上であることが好ましい。68%未満では圧痕が付いた時のクラック耐性が低下し、より好ましくは70%以上である。
NaOはイオン交換により圧縮応力を形成させる必須成分であり、圧縮応力層の深さ(DOL:Depth of Layer)を深くする作用がある。またガラスの高温粘性と失透温度を下げ、ガラスの熔解性、成形性を向上させる成分である。NaOの含有量は、8%以上であり、好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上である。また、NaOの含有量は、22%以下であり、好ましくは16%以下、より好ましくは14%以下である。NaOの含有量が8%以上であると、イオン交換により所望の圧縮応力を形成することができる。また、十分な溶解性、成形性が得られる。一方、NaOの含有量が22%以下であると、十分な耐候性が得られる。
Oは必須ではないが、イオン交換速度を増大しDOLを深くする効果があるため含有してもよい。一方、KOが多くなりすぎると十分なCSが得られなくなる。KOを含有する場合は10%以下が好ましく、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。KOの含有量が10%以下であると、十分なCSが得られる。
MgOは必須ではないが、ガラスを安定化させる成分である。MgOの含有量は、2%以上、好ましくは4%以上、より好ましくは6%以上である。また、MgOの含有量は、14%以下であり、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下である。MgOの含有量が2%以上であると、ガラスの耐薬品性が良好になる。高温での熔解性が良好になり、失透が起こり難くなる。一方、MgOの含有量が14%以下であると、失透の起こりにくさが維持され、十分なイオン交換速度が得られる。
ZrOは必須ではないが、一般に、化学強化での表面圧縮応力を大きくする作用があることが知られている。しかし、少量のZrOを含有してもコスト増加の割には、その効果は大きくない。したがって、コストが許す範囲で任意の割合のZrOを含有することができる。含有する場合は、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。
CaOは必須ではないが、ガラスを安定化させる成分である。CaOはアルカリイオンの交換を阻害する傾向があるため、特にDOLを大きくしたい場合は含有量を減らす、もしくは含まないことが好ましい。一方、耐薬品性を向上させるためには、2%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上含有することが好ましい。CaOを含有する場合の量は、12%以下であり、好ましくは10%以下、より好ましくは9%以下である。CaOの含有量が10%以下であると、十分なイオン交換速度が保たれ、所望のDOLが得られる。
SrOは必須ではないが、ガラスの高温粘性を下げ、失透温度を下げる目的で含有してもよい。SrOはイオン交換効率を低下させる作用があるため、特にDOLを大きくしたい場合は含有しないことが好ましい。含有する場合のSrO量は3%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。
BaOは必須ではないが、ガラスの高温粘性を下げ、失透温度を下げる目的で含有してもよい。BaOはガラスの比重を重くする作用があるため、軽量化を意図する場合には含有しないことが好ましい。含有する場合のBaO量は3%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。
TiOは天然原料中に多く存在し、黄色の着色源となることが知られている。TiOの含有量は0.3%以下であり、好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.1%以下である。TiOの含有量が0.3%を超えるとガラスが黄色味を帯びる。
化学強化ガラスは、その他の成分を含有してもよい。その他の成分の含有量の合計は5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、典型的には1%以下である。以下、上記その他成分について例示的に説明する。
ZnOはガラスの高温での熔融性を向上するために、例えば2%まで含有してもよい。しかし、フロート法で製造する場合には、フロートバスで還元され製品欠点となるので含有しないことが好ましい。
は高温での熔融性またはガラス強度の向上のために、1%未満の範囲で含有してもよい。一般的には、NaOまたはKOのアルカリ成分とBを同時に含有す
ると揮散が激しくなり、煉瓦を著しく浸食するので、Bは実質的に含有しないことが好ましい。なお、本明細書において「実質的に含有しない」とは、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないことを意味する。
LiOは歪点を低くして応力緩和を起こりやすくし、その結果安定した圧縮応力を得られなくする成分であるので含有しないことが好ましく、含有する場合であってもその含有量は1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.01%未満である。
中間膜23、例えば、好ましくは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等で構成される。
これらの樹脂材料の中では、JIS K 6852(1994)(接着剤の圧縮せん断接着強さ試験方法)に準拠して測定される圧縮せん断強度が25N/mm以上である樹脂材料を中間膜23に用いることが好ましく、28N/mm以上であることがより好ましく、30N/mm以上であることが更に好ましい。防火ガラス板22が衝撃等により破損した場合であっても、ガラス片が中間膜23に接着されるので、ガラス片が飛散することを抑制することができる。
なお、中間膜23の圧縮せん断強度は大きいことが好ましい。なお、耐衝撃性の向上のために37N/mm以下であることが好ましく、35N/mm以下であることがより好ましい。
中間膜23を構成する樹脂材料として、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA:Ethylene-Vinyl Aacetate)、ポリビニルブチラール(PVB:Poly Vinyl Butyral)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート等が挙げられ、水酸基を有する樹脂材料であることが好ましい。これらの樹脂材料の中でも、圧縮せん断強度が大きいアイオノマー樹脂を中間膜23に用いることが好ましい。
中間膜23の厚さは、0.3mm以上3.0mm以下が好ましい。中間膜23の厚さを0.3mm以上にすることにより、遮音板20の耐衝撃性を向上できる。中間膜23の厚さを3.0mm以下にすることにより、遮音板20から透視される景色が歪むことを抑制できる。中間膜23の厚さは、0.7mm以上1.0mm以下がより好ましい。
透光性樹脂板21、中間膜23、および防火ガラス板22の総厚が10mm以上20mm以下であることが好ましい。総厚を10mm以上にすることにより、遮音板20の耐風圧強度を確保することができる。20mm以下にすることにより、遮音板20を軽量化することができる。
透光性樹脂板21、中間膜23、および防火ガラス板22の総厚が10mm以上20mm以下の範囲において、防火ガラス板22の厚さの透光性樹脂板21の厚さに対する比率(防火ガラス板22の厚さ/透光性樹脂板21の厚さ)は、0.2以上1.8以下であることが好ましく、0.5以上1.5以下であることがより好ましい。比率を0.5以上とすることにより、耐火災性を十分に確保することができる。また、比率を1.5以下とすることにより、耐衝撃性を十分に確保することができる。
透光性樹脂板21がポリカーボネイト板である場合、平均線膨張係数は6×10−5(1/℃)以上8×10−5(1/℃)以下の範囲であり、防火ガラス板22が網入りガラス板の場合、平均線膨張係数は0.8×10−5(1/℃)以上1.0×10−5(1/℃)以下の範囲である。ここで、透光性樹脂板21の平均線膨張係数は、JIS K7197(1991)に規定されている方法に従い測定される平均線膨張率であり、防火ガラス板22の平均線膨張係数は、JIS R3102(1995)に規定されている方法に従い測定される値である。実施形態の遮音板20は、透光性樹脂板21と防火ガラス板22との平均線膨張係数の差が、5.0×10−5(1/℃)以上7.2×10−5(1/℃)以下となる場合でも、温度変化による接合界面の剥離を抑制することができる。
遮音板20は、防火ガラス板22の側から見た投影面積が1m以上4m以下であることが好ましい。高速道路等に設置される遮音板20は、高さ1m×幅1m、高さ1m×幅2m、2m×2mの大きさ(防火ガラス板22の側から見た投影面積)であることが多い。実施形態の遮音板20は、上記の面積の範囲内においても、透光性樹脂板21と防火ガラス板22との接合性を確保でき、かつ要求される性能を満たすことができる。
遮音板20は、透光性樹脂板21と防火ガラス板22との間の気泡が1個/m以下であることが好ましい。ガラスコート膜がない遮音板と比べて、ガラスコート膜24を有する実施形態の遮音板20は、透光性樹脂板21の表面から排出される水蒸気がガラスコート膜24で遮断され、また、ガラスコート膜24と中間膜23との接着性が、ガラスコート膜のない透光性樹脂板と中間膜との接着性よりもよいため、気泡が入りにくく、意匠性がよい。
<第2実施形態>
第2実施形態の遮音板を、図4を参照に説明する。なお、第1実施形態の遮音板と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する場合がある。
遮音板20は、通路の側に配置され、少なくとも一方の面にガラスコート膜24が被覆される透光性樹脂板21と、通路の反対側であって、透光性樹脂板21のガラスコート膜24と対向配置される防火ガラス板22と、透光性樹脂板21および防火ガラス板22を接合する中間膜23と、を備える。
第2実施形態の遮音板20は、透光性樹脂板21の他方の面に対向配置されるガラス板30と、透光性樹脂板21およびガラス板30を接合する中間膜32と、を備える。
第2実施形態の遮音板20は、中間膜23および中間膜32を介して、透光性樹脂板21を防火ガラス板22とガラス板30とにより挟持する構造を有している。
ほぼ同じ平均線膨張係数を有する防火ガラス板22とガラス板30とにより、これらと異なる平均線膨張係数を有する透光性樹脂板21を挟持することで、平均線膨張係数の差に起因する反り等を抑制することができる。
ガラス板30として、通路側に配置されることから耐貫通性に優れる化学強化ガラス板を用いることが好ましい。
10…遮音パネル、20…遮音板、21…透光性樹脂板、22…防火ガラス板、23…中間膜、24…ガラスコート膜、30…ガラス板、32…中間膜、40…支持枠、41…溝、44…緩衝材、100…鉄球、102…突起、104…ヘッド、106…吊具、200…遮音板、202…固定治具、208…バーナー、210a、210b…温度測定機器

Claims (15)

  1. 通路の側に配置される透光性樹脂板と、
    前記通路の反対側に配置される防火ガラス板と、
    前記透光性樹脂板および前記防火ガラス板を接合する中間膜と、
    を備え、
    前記透光性樹脂板は、前記防火ガラス板と対向する面にガラスコート膜が被覆される遮音板。
  2. 前記防火ガラス板が、網入りガラス板、耐熱強化ガラス板、および低膨張ガラス板の何れかである請求項1に記載の遮音板。
  3. 前記透光性樹脂板が、ポリカーボネイト板、およびアクリル板の何れかである請求項1又は2に記載の遮音板。
  4. 前記透光性樹脂板の他方の面にガラスコート膜が被覆される請求項1から3の何れか一項に記載の遮音板。
  5. 前記透光性樹脂板の他方の面に対向配置されるガラス板と、前記透光性樹脂板と前記ガラス板とを接合する中間膜を備える請求項4に記載の遮音板。
  6. 前記ガラスコート膜がシリコーンポリマーからなり、その最表面が前記シリコーンポリマーを硬化した二酸化ケイ素を主成分とする改質膜で構成される請求項1から5の何れか一項に記載の遮音板。
  7. 前記ガラスコート膜と前記透光性樹脂板との間にプライマー層を有する請求項1から6の何れか一項に記載の遮音板。
  8. 前記透光性樹脂板、前記中間膜、および前記防火ガラス板の総厚が10mm以上20mm以下である請求項1から7の何れか一項に記載の遮音板。
  9. 前記防火ガラス板の厚さの前記透光性樹脂板の厚さに対する比率は、0.2以上1.8以下である請求項8に記載の遮音板。
  10. 前記透光性樹脂板と前記防火ガラス板との平均線膨張係数の差が5.0×10−5(1/℃)以上7.2×10−5(1/℃)以下である請求項1から9の何れか一項に記載の遮音板。
  11. 前記中間膜の厚さが0.3mm以上3.0mm以下である請求項1から10の何れか一項に記載の遮音板。
  12. 前記中間膜が、25N/mm以上の圧縮せん断強度を有する請求項1から11の何れか一項に記載の遮音板。
  13. 前記中間膜がアイオノマー樹脂で構成される請求項1から12の何れか一項に記載の遮音板。
  14. 前記防火ガラス板の側から見た投影面積が1m以上4m以下である請求項1から13の何れか一項に記載の遮音板。
  15. 請求項1から請求項14の何れか一項に記載の遮音板と、
    前記遮音板の外周部を支持する支持枠と、
    を有する遮音パネル。
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