JP2018184362A - 殺菌性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 口腔内の歯周病菌などを含む雑菌を殺菌する一方、口腔内の粘膜組織にダメージが皆無であり、更に生体にアレルギー反応を惹き起こさない安全な側面を有し、また、歯周病の予防及び治癒、並びに歯周病原因菌由来の心筋梗塞などの病気の予防など、医療技術の革新的発展に大きく貢献できる価値の高い殺菌性組成物を提供する。
【解決手段】 本発明の殺菌性組成物は、銅イオン、鉄イオン及びカルシウムイオンを主成分とする水を含む殺菌性組成物であって、上記水に対する上記銅イオンの濃度が5〜150ppm、上記水に対する上記鉄イオンの濃度が5〜500ppm、及び上記水に対する上記カルシウムイオンの濃度が0.001〜2.0%であることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】 本発明の殺菌性組成物は、銅イオン、鉄イオン及びカルシウムイオンを主成分とする水を含む殺菌性組成物であって、上記水に対する上記銅イオンの濃度が5〜150ppm、上記水に対する上記鉄イオンの濃度が5〜500ppm、及び上記水に対する上記カルシウムイオンの濃度が0.001〜2.0%であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えば歯周病原因菌などの細菌を殺菌し歯周病の予防、治療に有効で安全性に優れた殺菌性組成物に関し、更に詳しくは、歯周病原因菌などの細菌を殺菌し、しかも口腔内の粘膜組織へのダメージがない殺菌性洗口剤や殺菌性歯磨剤等として用いることができる殺菌性組成物に関する。
世界の長寿国となっている日本ですが、現在、100歳まで生きた日本人は100年前に生まれた中で1%に過ぎない。ところが、非特許文献1によれば、2007年に生まれた日本人は、107歳まで生きる確率が50%であるという。アメリカ、カナダ、イタリア、フランスも日本と同様に長寿化傾向にあり、104歳まで生きる確率が50%と推定されている。
寿命100年時代に到達すべく革新的アプローチの一分野として例えば歯科分野がある。歯科分野では特に歯周病の予防と治癒が挙げられる。この場合、歯周病原因菌が歯根などの歯槽骨に作用して健全歯そのものが脱落するため、歯周病は今や歯科臨床の解決すべき重大な課題となっている。 更に、歯周病に関連して、インプラントの失敗例でみられるのは、インプラント埋入歯と歯槽骨の隙間への歯周病原因菌の侵入による問題である。
歯周病は今や全身の疾患にも深く関わりを持ち、例えば歯周病原因菌が血管を通して心臓や脳に到達することにより、心筋梗塞、あるいは脳梗塞でなどの深刻な病気の原因の一つであるとさえ云われており、歯科分野に限らず、循環器や脳外科などの分野においても歯周病が重要な題になっている。従って、歯周病の完治こそ、寿命100年時代の到来に向けて重要なアプローチの一つであると考えられる。
一方、胃がんの原因菌はピロリ菌である。その殺菌により胃がんが劇的に治癒されることが臨床的に証明されている。そこで、胃のピロリ菌と同様に、粘膜組織で覆われている口腔内の歯周組織に巣食う歯周病原因菌や雑菌を殺菌することにより、歯周病そのものを予防することが想定される。しかし、胃の粘膜と口腔内の粘膜とは大きく異なるだけでなく、口腔内に棲息する歯周病原因菌や雑菌の種類も胃の粘膜とは異なっているため、歯科分野には胃のピロリ菌用の殺菌性抗生物質のような特効薬もなく、歯周病予防やその完治には至ってないのが現状である。
また、口腔内の消毒には従来からヨード系うがい剤が汎用されているが、このうがい剤は、粘膜の細胞への障害性が認められ、体質によってはアレルギー反応を惹き起こし、また甲状腺に疾患のある人には禁忌とされている。そのため、うがい剤等の口腔内の歯周病原因菌等の細菌の殺菌にはヨード系うがい剤以外の消毒液が好ましい。
ヨード系うがい剤以外の消毒液として、例えば特許文献1、2に記載された消毒液がある。特許文献1にはアミノ酸、ビタミン及びミネラルを主成分とする万能殺菌消毒液の調製法、および効能として一般細菌、抗酸菌、真菌、芽胞およびウイルスに至るまでの広範囲な抗菌スペクトルを有し、皮膚、粘膜、傷口、及び器材のように広範囲に及び、利便性豊かであることが開示されている。
また、特許文献2には、抗菌作用を有する金属イオン、L−システィン、L-アスコルビン酸、非イオン系を除く界面活性剤、増粘剤及び収斂剤を含有する持続性口腔用殺菌消毒液が開示され、これは特許文献1の消毒液を改良したものである。金属イオンとしては、コバルトイオン、ニッケルイオンなどのように金属生体アレルギー反応をもたらす金属イオンも用いられている。
また、非特許文献2には、銅金属から銅イオン水を作る「銅しましょ」(有限会社エルアンドアールの商品名)について記載されている。そして、銅イオン水には抗菌作用と殺菌作用があり、「歯磨き粉の代わりに銅イオン水を歯ブラシにつけると歯槽膿漏に効果あり。」との記載が認められる。
このように最近、銅イオン水の殺菌作用が注目されている。しかし、銅イオンのみのイオン水を洗口剤またはうがい剤として口腔内に使用する場合、銅イオン濃度が高いと殺菌作用では優れた効果を示すものの、うがいの時の感触で粘膜への違和感とえぐみがあるなど、口腔内の生体組織の安全性に不安と懸念があった。
実際に口腔内に使用する洗口剤やうがい剤としては、歯周病原因菌を含む口腔内の雑菌の殺菌効果に加えて、生体への金属アレルギー反応を惹き起こさず、口腔粘膜への刺激がなく生体に安全であることなど、いわば二律背反の要件を完全に満たすことが非常に重要な要素と考えられる。殺菌性の洗口剤やうがい剤によって、いわゆる日常的な作業により、歯周病を完治もしくは予防できるのであれば、歯周病原因菌由来の心筋梗塞や心臓疾患及び脳梗塞などが将来的に激減することにもなり、寿命100年時代の到来への革新的アプローチの一つと云える。
『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』(著者 リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット;(訳)池村千秋)
有限会社エルアンドアールの 製 品 「 銅 し ま し ょ」 の「お客様の声」http://www.l-r.co.jp/cgi-bin/tesuto/sitemaker.cgi?mode=page&page=page2&category=4
しかしながら、特許文献1、2には殺菌作用を有する金属イオンとして鉄イオンの他、コバルトイオン、ニッケルイオンなどが用いられているが、医療分野では、例えばコバルトイオンやニッケルイオンを組み合わせた場合にはこれらのイオンに由来する生体への金属アレルギー反応が知られており、口腔内の消毒液として使用するには生体への安全性に課題があった。更に、口腔用消毒液として酸性度(pH)が比較的低い場合には、仮に口腔用消毒液としての殺菌作用が強くても口腔内の粘膜組織へのダメージが懸念される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、口腔内の歯周病原因菌等の細菌を殺菌し、口腔内の粘膜組織にダメージを与えることがなく、しかも、生体への金属アレルギー反応を惹き起こすことがない安全性に優れた殺菌性組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは、歯周病原因菌等の細菌を殺菌し、また、口腔内の粘膜組織にダメージを与えることなく、しかも生体へのアレルギー反応を惹き起こさないという二律背反する課題を解決するために、洗口剤及び歯磨剤等の殺菌性組成物について種々検討した結果、体のミネラル成分のうち特定の金属イオンを主成分として含む水を殺菌性組成物として構成することにより上記課題を解決し得るとの知見を得た。また、その金属イオンを特定の濃度範囲に設定することにより更に好ましい結果が得られることを知見した。
即ち、本発明は上記知見に基づいてなされたもので、本発明の請求項1に記載の殺菌性組成物は、銅イオンと鉄イオンを主成分とする水を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2に記載の殺菌性組成物は、銅イオン、鉄イオン及びカルシウムイオンを主成分とする水を含むことを特徴とするものである。
本発明の請求項3に記載の殺菌性組成物は、銅イオン及び鉄イオンを主成分とする水を含む殺菌性組成物であって、上記水に対する上記銅イオンの濃度が5〜150ppmであり、上記水に対する上記鉄イオンの濃度が5〜500ppmであることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項4に記載の殺菌性組成物は、銅イオン、鉄イオン及びカルシウムイオンを主成分とする水を含む殺菌性組成物であって、上記水に対する上記銅イオンの濃度が5〜150ppm、上記水に対する上記鉄イオンの濃度が5〜500ppm、及び上記水に対する上記カルシウムイオンの濃度が0.001〜2.0%%であることを特徴とするものである。
本発明の請求項5に記載の殺菌性組成物は、請求項1〜請求項3に記載の発明において、上記水のpHが4.5〜6.5であることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項6に記載の殺菌性組成物は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、洗口剤として構成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項7に記載の殺菌性組成物は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明において、歯磨剤として構成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項8に記載の殺菌性組成物は、請求項7に記載の発明において、上記歯磨剤が液体歯磨剤、ゲル状歯磨剤及び練歯磨剤から選択されるいずれか一つの歯磨剤であることを特徴とするものである。
而して、本発明に用いられる銅イオン(Cu2+)は、水の主成分として含まれている。銅イオンは、体のミネラル成分を構成する金属イオンであり、体内での生体アレルギーを惹き起こすことがなく、体に優しく、安全性に優れている。銅イオンは、例えば硫酸銅・五水和物、塩化銅・二水和物、塩化二アンモニウム銅・二水和物、硝酸銅・三水和物を水に溶解することによって得ることができる。また、銅イオンは、例えば銅線を水中に浸漬し、銅線に通電することによって得ることができる。銅イオン造水機として例えば「銅しましょ」(有限会社エルアンドアールの商品名)を用いることができる。
本発明では、銅イオン(Cu2+)の水に対する濃度は、5〜150ppmであり、15〜80ppmより好ましく、20〜70ppmが更に好ましい。この濃度範囲において銅イオンは鉄イオンと相俟って効果的に歯周病原因菌等の細菌を効果的に殺菌することができ、銅イオンに起因するえぐみがなく、上述のように生体へのアレルギーを惹き起こす虞がない。しかし、銅イオン単独の場合、500ppmを超えると、えぐみが出る虞がある。
本発明に用いられる鉄イオンは、銅イオンと共に本発明の殺菌性組成物の主成分として含まれている。鉄イオンは、体のミネラル成分を構成する金属イオンであり、体内で生体アレルギーを惹き起こすことがなく、体に優しく、安全性に優れている。鉄イオンは、II価の鉄イオン(Fe2+)及び/またはIII価の鉄イオン(Fe3+)からなり、これらの鉄イオンは、例えば塩化鉄・四水和物、塩化第二鉄、塩化第二鉄・四水和物、塩化第二鉄・六水和物、クエン酸鉄、クエン酸鉄・n水和物、硝酸第二鉄・六水和物、塩化第二鉄、硝酸第二鉄・九水和物、リン酸第二鉄・n水和物を水に溶解することによって得ることができる。また、鉄イオンは、例えば鉄釘や鉄線を水に浸して放置することによって得られる。
本発明では、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)の水に対する濃度は、5〜500ppmであり、30〜250ppmがより好ましく、40〜150ppmが更に好ましい。鉄イオンは、この濃度範囲で銅イオンと相俟って生体への負荷が少なく歯周病原因菌等の細菌を効率よく殺菌することができ、鉄イオンに起因するえぐみがなく、生体へのアレルギーを惹き起こす虞がない。しかし、鉄イオン単独の場合、500ppmを超えると、液の色が赤黒くなる虞がある。
金属アレルギーの原因となりやすい主な金属としては、例えばコバルト、ニッケル、スズ、パラジウム、インジウム、イリジウム、クロム、水銀がある。水銀は問題外だが、歯科分野においては未だに、コバルト、ニッケル、スズ、パラジウム、インジウムなどが金属合金の成分として使用されている。金属アレルギーの原因となりうるこれらの金属イオンは上述のように本発明では使用しない。本発明で使用される銅と鉄は生体内のミネラル成分であり、しかも金属アレルギーの原因金属でない。本発明では、金属イオンの中でも特に銅イオンと鉄イオンの共存が、極めて有効な殺菌効果を発揮している。これは、銅と鉄のイオン半径が極めて近似しているから反発し合う力が増幅して殺菌力を増すと考えられる。また、電位差が殺菌力を増すとも考えられる。
本発明に用いられるカルシウムイオン(Ca2+)は、ヒトを含む動物や植物の代表的なミネラル(必須元素)成分である。カルシウムイオンは、水溶性カルシウム及び不溶性カルシウムから得ることができる。不溶性カルシウムとしては、例えばリン酸カルシウムや炭酸カルシウムが好ましい。水溶性カルシウムとしては、例えば乳酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、L型発酵乳酸カルシウムが好ましい。
また、水溶性カルシウムは、水に混ぜるとイオン化し、カルシウムイオンとなり、水と一体化して透明になる。更に、銅イオンと鉄イオンにカルシウムイオン加えて洗口剤や液体歯磨剤として用いると、カルシウムイオンは銅イオン、鉄イオンとの相乗効果により洗口剤に収斂効果を付与し、口当たりも滑らかとなり、口腔内使用に適した一層効果的なものになる。また、銅イオンに鉄イオンが入ることで黒ずんで見えていた溶液の色がカルシウムを入れることで白っぽくなり、口腔内に適用する洗口剤や歯磨剤として好ましい。
イオン化されたカルシウムは水と一緒に体に染み渡るため、吸収率が高くなる。水溶性カルシウムは、自律神経を正常に保ったり、骨を強化することによる骨粗鬆症の予防効果があるとされているため、カルシウムイオンとしては水溶性カルシウムが好ましい。
本発明に用いられるカルシウムイオンの水に対する濃度は、0.001〜2.0%であり、0.1〜1.5%がより好ましく、0.1〜1.0%が更に好ましい。カルシウムイオンは、この濃度範囲において銅イオン及び鉄イオンの殺菌作用を高めることができると共に体内へ効率よく吸収される。カルシウムイオン濃度が高くなると、本発明の殺菌性組成物の色調を白っぽくするか透明にする効果があり、さらに収斂効果もあがる。しかし、2.0%を超えると、えぐみが出る虞がある。
本発明の殺菌性組成物は、金属アレルギーの原因金属を含有しないだけでなく、銅イオンや鉄イオンやカルシウムイオンのカウンターアニオン以外の有機酸を含まない。即ち、特許文献2にはL−システィン及びL−アスコルビン酸を含む口腔用殺菌消毒液が記載されているが、これでは、いわゆる有機酸による、口腔内への課題が新たに生じることになる。
本発明に用いられる水は、医療用に許容できる水であれば特に制限されるものではなく、例えば精製水、イオン交換水、水道水など水を用いることができる。
本発明の殺菌性組成物は、pHが4.5〜6.5であることが好ましい。pHがこの範囲内で銅イオン、鉄イオンの殺菌作用と相俟って口腔内の粘膜組織にダメージを与える虞がない。pHの調整には公知のpH調整剤を用いることができる。
本発明の殺菌性組成物は、洗口剤及び歯磨剤としても好適に用いることができる。歯磨剤として用いことにより、銅イオン、鉄イオン、カルシウムイオンを歯肉に浸透、定着させて殺菌作用を持続させることができる。歯磨剤としては、液体歯磨剤、液状歯磨、ゼリー状歯磨き、練歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤を挙げることができる。歯磨剤の場合、剤型に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の主成分に加えて副成分として従来公知の添加剤、例えば上述の増粘剤及び収斂剤の他、研磨剤、粘稠剤、界面活性剤、粘結剤、湿潤剤、香料、甘味料、殺菌剤、防腐剤、水溶性フッ化物、pH調整剤、各種薬効成分等を必要に応じて適宜配合することができる。
これらの化合物や材料と成分量は、例えば、WO2011/092835、WO2015/060426、特開2004−0122、特開2002−177134、特開2002−0618に記載されている化合物や材料を、本発明の効果を阻害しない範囲で任意に選択して使用できる。
本発明によれば、口腔内の歯周病原因菌等の細菌を適切に殺菌し、それ自体の酸性度が中性に近く口腔内の粘膜組織にダメージがなく、生体金属アレルギー反応を惹き起こす虞がなく、しかも口腔内でえぐみなどの違和感のない安全性に優れた殺菌性組成物を提供することができる。更に云えば、本発明の殺菌性組成物を用いることにより、口腔内の歯周病原因菌などを含む雑菌を殺菌する共に口腔内の粘膜組織にダメージがなくすことができ、しかも生体にアレルギー反応を惹き起こす虞がなく安全性に優れた、いわゆる二律背反の課題を解決した効果があるため、歯科臨床で長年課題となっていた歯周病の予防や治癒、及び歯周病原因菌由来の心筋梗塞や脳梗塞などの循環器科の病気の予防など、医療技術に貢献することができる。
本実施形態では、殺菌性洗口剤(以下、単に「洗口剤」と称す。)及び殺菌性歯磨剤(以下、単に「歯磨剤」と称す。)を例に挙げて本発明の殺菌性組成物を説明する。尚、本発明は本実施形態に何ら限定されるものではないことは云うまでもない。
本実施例では実施例1〜3の洗口剤A〜Cと比較例1、2の洗口剤D、Eを調製すると共に市販のヨード系うがい薬及び水道水を比較例F、Gの洗口剤として用意した。
実施例1
本実施例では、100gの精製水に対して硫酸銅・五水和物を0.055mg添加し、14ppmの銅イオンを含む水溶液を調製した。この銅イオン水溶液に対して塩化第二鉄・六水和物を0.193g添加し、14ppmの銅イオンと40ppmの鉄イオンを含む洗口剤Aを調製した。
本実施例では、100gの精製水に対して硫酸銅・五水和物を0.055mg添加し、14ppmの銅イオンを含む水溶液を調製した。この銅イオン水溶液に対して塩化第二鉄・六水和物を0.193g添加し、14ppmの銅イオンと40ppmの鉄イオンを含む洗口剤Aを調製した。
実施例2
本実施例では、実施例1で得られた90gの洗口剤Aに対してクエン酸カルシウム・四水和物を10g添加し、12.6ppmの銅イオン、36ppmの鉄イオン及び0.7%のカルシウムイオンを含む洗口剤Bを調製した。
本実施例では、実施例1で得られた90gの洗口剤Aに対してクエン酸カルシウム・四水和物を10g添加し、12.6ppmの銅イオン、36ppmの鉄イオン及び0.7%のカルシウムイオンを含む洗口剤Bを調製した。
実施例3
本実施例では、実施例1で得られた100gの洗口剤Aに対してアルギン酸ナトリウムを増粘剤として5g添加し、洗口剤Aに粘性を付与した洗口剤Cを調製した。
本実施例では、実施例1で得られた100gの洗口剤Aに対してアルギン酸ナトリウムを増粘剤として5g添加し、洗口剤Aに粘性を付与した洗口剤Cを調製した。
比較例1
本比較例では、100gの精製水に対して硫酸銅・五水和物9.76mg、塩化鉄・六水和物0.5g、塩化コバルト・六水和物0.5gを添加すると共にL−システインを10g添加し、水に対して0.25%の銅イオン及び水に対して0.01%の鉄イオン、水に対して0.23%のコバルトイオン及び0.26%のL−システインを含む洗口剤Dを調製した。
本比較例では、100gの精製水に対して硫酸銅・五水和物9.76mg、塩化鉄・六水和物0.5g、塩化コバルト・六水和物0.5gを添加すると共にL−システインを10g添加し、水に対して0.25%の銅イオン及び水に対して0.01%の鉄イオン、水に対して0.23%のコバルトイオン及び0.26%のL−システインを含む洗口剤Dを調製した。
比較例2
本比較例では、100gの精製水に対して硫酸銅・五水和物を0.02g、塩化鉄・六水和物を0.05g、硫酸ニッケル・七水和物0.05g、L−システイン0.5gを添加すると共にL−アスコルビン酸0.02gを添加し、水に対して0.05%の銅イオン、水に対して0.01%の鉄イオン、水に対して0.01%のニッケルイオン、水に対して0.5%のL−システイン及び水に対して0.02%のL−アスコルビン酸を含む洗口剤Eを調製した。
本比較例では、100gの精製水に対して硫酸銅・五水和物を0.02g、塩化鉄・六水和物を0.05g、硫酸ニッケル・七水和物0.05g、L−システイン0.5gを添加すると共にL−アスコルビン酸0.02gを添加し、水に対して0.05%の銅イオン、水に対して0.01%の鉄イオン、水に対して0.01%のニッケルイオン、水に対して0.5%のL−システイン及び水に対して0.02%のL−アスコルビン酸を含む洗口剤Eを調製した。
比較例3、4
比較例3として市販のヨード系うがい薬を洗口剤Fとして準備した。また、比較例4として水道水を洗口剤Gとして準備した。
比較例3として市販のヨード系うがい薬を洗口剤Fとして準備した。また、比較例4として水道水を洗口剤Gとして準備した。
次いで、pH計を用いて洗口剤A〜Eそれぞれの酸性度(pH)を測定し、その測定結果を表1に示した。
試験例1
本試験例では、洗口剤A〜Gを用いて口腔内に存在する細菌に対する殺菌作用を検証する試験を行った。本試験例では、3名の試験者について以下の要領でうがいまたは洗口を行い、うがいまたは洗口前後の口腔内の唾液中の生菌数を以下の要領で測定し、各洗口剤A〜Gの殺菌作用を観察した。3名の試験者が、本実施例1〜3の洗口剤A〜Cと比較例1〜4の洗口剤D〜Gの7種の洗口剤を用い、それぞれ1回20秒のうがいまたは洗口を1日2回行った。各試験者はそれぞれうがいまたは洗口の15分後と3時間後に口腔内の唾液0.5mlを採取し、0.5ml中に存在する生菌数を常法に従って測定し、それぞれの測定値を1.0ml中の生菌数に換算した。測定結果は表1に示した。表1には、各洗口剤A〜Gに対する3名の試験者それぞれの測定値の平均値を示した。測定時間中は3名の試験者は飲食物を一切口にすることが禁止された。
本試験例では、洗口剤A〜Gを用いて口腔内に存在する細菌に対する殺菌作用を検証する試験を行った。本試験例では、3名の試験者について以下の要領でうがいまたは洗口を行い、うがいまたは洗口前後の口腔内の唾液中の生菌数を以下の要領で測定し、各洗口剤A〜Gの殺菌作用を観察した。3名の試験者が、本実施例1〜3の洗口剤A〜Cと比較例1〜4の洗口剤D〜Gの7種の洗口剤を用い、それぞれ1回20秒のうがいまたは洗口を1日2回行った。各試験者はそれぞれうがいまたは洗口の15分後と3時間後に口腔内の唾液0.5mlを採取し、0.5ml中に存在する生菌数を常法に従って測定し、それぞれの測定値を1.0ml中の生菌数に換算した。測定結果は表1に示した。表1には、各洗口剤A〜Gに対する3名の試験者それぞれの測定値の平均値を示した。測定時間中は3名の試験者は飲食物を一切口にすることが禁止された。
3名の試験者についてうがい前後の生菌数の測定結果の平均値は表1に示す通りであった。表1中、うがい直前の生菌数、うがい15分後の生菌数、及びうがい3時間後の生菌数をそれぞれ示し、%表示はうがい前の生菌数を100として表し、その他はうがい直前の生菌数に対する割合を示している。
表1に示す結果により、本実施例の洗口剤A〜Cの酸性度はうがい後の口腔内の口腔内の殺菌作用が高いことが判った。また、pH5.5〜6.0と中性領域に近く、比較的マイルドであり、口腔内の上皮細胞(粘膜)への刺激は認められなかった。これに対して、比較例1、2の洗口剤D、Eは、うがい後の口腔内の殺菌作用が高いこと示したが、酸性度がpH3.0と低い値を示し、口腔内の上皮細胞への刺激が懸念された。
本実施例の洗口剤 A〜C は銅イオン及び鉄イオンの濃度が低く、pH 値が中性領域にあるため、安全性が高い特徴がある。また、本実施例の洗口剤 A〜C は生体内にある、体のミネラル成分である銅イオン、鉄イオン、及びカルシウムイオンのみで構成されており、しかもコバルトイオン、ニッケルイオンなど含まないため、生体アレルギー反応を惹き起こす虞がない。
これに対して、従来技術の成分から構成される比較例1、2の洗口剤D、Eは、金属イオン濃度が高いため口腔内の菌への殺菌効果は高いが、酸性度が低いため、口腔内の上皮細胞(粘膜)への刺激が懸念される。更に、比較例1の洗口剤Dにはコバルトイオン、及び比較例2の洗口剤Eにはニッケルイオンが存在するため、特定の患者に対して、生体アレルギー反応を惹き起こすことが懸念される。このため、これらの洗口剤D、Eは、本発明で定義されるところのいわゆる“口腔内で使用される”洗口剤としての要件を満たしていない。
本発明の殺菌性組成物である実施例1〜3の洗口剤A〜Cは、銅イオン、鉄イオン及びカルシウムイオンのカウンターアニオン以外の有機酸を含まない。即ち、例えば特許文献2にはL−システィン及びL−アスコルビン酸を含む口腔用殺菌消毒液が記載されている。しかし、比較例1、2に示す結果によれば、いわゆる有機酸によるpH値の低下に起因する口腔内への課題が新たに生じることが改めて判った。比較例3、4は、いずれも殺菌作用が比較例1、2よりも弱く、短時間で元の生菌数に戻ることが判った。
試験例2
本試験例では、洗口剤Bを用いて歯周病原因菌に対する殺菌作用を検証する試験を行った。
実施例2の洗口剤Bを使用し、歯周病が進行した6名に対して毎日3回、口腔内のうがいまたは洗口を2か月継続して行った。患者6名の歯周病進行はかなり深刻で、いずれも歯周病原菌の高いPoryphromonas gingivalis、Prevotella intermedia及びActinobcillus antinomycetemcomitansが多数存在し程度の差こそあれ歯肉が腫れて口臭が強く歯のぐらつきがみられた。更に、洗口剤Bで患者6名の口腔内を処置した後、口腔内の発疹などをチェックした。代表例の3名の試験結果は以下の通りであった。
本試験例では、洗口剤Bを用いて歯周病原因菌に対する殺菌作用を検証する試験を行った。
実施例2の洗口剤Bを使用し、歯周病が進行した6名に対して毎日3回、口腔内のうがいまたは洗口を2か月継続して行った。患者6名の歯周病進行はかなり深刻で、いずれも歯周病原菌の高いPoryphromonas gingivalis、Prevotella intermedia及びActinobcillus antinomycetemcomitansが多数存在し程度の差こそあれ歯肉が腫れて口臭が強く歯のぐらつきがみられた。更に、洗口剤Bで患者6名の口腔内を処置した後、口腔内の発疹などをチェックした。代表例の3名の試験結果は以下の通りであった。
本試験では、実施例2の洗口剤Bの殺菌力を便宜上「+」、「−」で表現、細菌の多少は「+」の数で以下の通り評価した。試験結果を表2に示した。
+++:細菌が非常に多い。
++ :細菌が多い。
+ :細菌が少ない。
− :細菌がほとんどいない。
+++:細菌が非常に多い。
++ :細菌が多い。
+ :細菌が少ない。
− :細菌がほとんどいない。
表2に示す結果から、実施例2の洗口剤Bが歯周病原因菌の殺菌除去に有効であることが判った。患者3人の歯周病原因菌は、治療前の数多い歯周病原因菌が2か月後は非常に少ないか全くなくなっている。更に、歯のぐらつきも歯周病原因菌の減衰に伴い、ぐらつきが殆どなくなった。実施例1、3の洗口剤A、Cにも実施例2の洗口剤Bに準ずる殺菌効果があることが判った。
患者6名に洗口剤Bで口腔内を処置した後、口腔内の発疹などをチェックしたが、全員の処置前の歯周組織は赤みの発疹があったが、2か月後はほぼきれいなピンク色の歯茎に変化した。
実施例4
本実施例では、市販の「銅しましょ」(有限会社エルアンドアール)を用いてカウンターアニオンを含まない洗口剤Hを以下の要領で調製した。それには、まず、「銅しましょ」の処方に従い、銅線の途中をプラスチックフィルムなどで捲いて完全に防水して先端部を水中に入れる。次いで、水中の銅線に通電することにより水中の銅線の先端部から銅イオンが微量に溶出した。1リットルの水道水中の銅線に1分通電すると3.5ppmの銅イオン水が得られた。更に、通電時間を20分にすると70ppmの銅イオン水が得られた。この溶液を銅イオン水aとした。鉄釘または鉄線を水道水に浸して8時間放置した。これにより、十分な量の薄い黒ずみの鉄錆が析出した。この上澄み液の鉄イオン濃度は100ppmであった。この溶液を鉄イオン水aとした。銅イオン水aと鉄イオン水aを2:1の割合で混合したイオン水を実施例4の洗口剤Hとして調製した。洗口剤Hは、銅イオン(46.7ppm)/鉄イオン(33.3ppm)/水を含む溶液であった。
本実施例では、市販の「銅しましょ」(有限会社エルアンドアール)を用いてカウンターアニオンを含まない洗口剤Hを以下の要領で調製した。それには、まず、「銅しましょ」の処方に従い、銅線の途中をプラスチックフィルムなどで捲いて完全に防水して先端部を水中に入れる。次いで、水中の銅線に通電することにより水中の銅線の先端部から銅イオンが微量に溶出した。1リットルの水道水中の銅線に1分通電すると3.5ppmの銅イオン水が得られた。更に、通電時間を20分にすると70ppmの銅イオン水が得られた。この溶液を銅イオン水aとした。鉄釘または鉄線を水道水に浸して8時間放置した。これにより、十分な量の薄い黒ずみの鉄錆が析出した。この上澄み液の鉄イオン濃度は100ppmであった。この溶液を鉄イオン水aとした。銅イオン水aと鉄イオン水aを2:1の割合で混合したイオン水を実施例4の洗口剤Hとして調製した。洗口剤Hは、銅イオン(46.7ppm)/鉄イオン(33.3ppm)/水を含む溶液であった。
実施例5
本実施例では、実施例4の洗口剤H95gに粉末カルシウム(アスパラギン酸カルシウム)を5g添加して混合、振盪して洗口剤Iを調製した。洗口剤Iは、銅イオン44.4ppm/鉄イオン31.6ppm/カルシウムイオン0.56%/水を含む溶液であった。
本実施例では、実施例4の洗口剤H95gに粉末カルシウム(アスパラギン酸カルシウム)を5g添加して混合、振盪して洗口剤Iを調製した。洗口剤Iは、銅イオン44.4ppm/鉄イオン31.6ppm/カルシウムイオン0.56%/水を含む溶液であった。
比較例5
本比較例では、銅イオンのみを含む洗口剤Jを調製した。即ち、「銅しましょ」によって上述と同一要領で銅イオン水を製造する際に、通電時間を45分にすると156ppm濃度の銅イオン水が得られた。これを比較例5の洗口剤Jとした。
本比較例では、銅イオンのみを含む洗口剤Jを調製した。即ち、「銅しましょ」によって上述と同一要領で銅イオン水を製造する際に、通電時間を45分にすると156ppm濃度の銅イオン水が得られた。これを比較例5の洗口剤Jとした。
比較例6
本比較例では、洗口剤Jの銅イオン調製よりも「銅しましょ」の通電時間の長い60分にすると、209ppmの銅イオン水が得られた。これを比較例6の洗口剤Kとした。
本比較例では、洗口剤Jの銅イオン調製よりも「銅しましょ」の通電時間の長い60分にすると、209ppmの銅イオン水が得られた。これを比較例6の洗口剤Kとした。
試験例3
本試験例では、洗口剤H〜Kを用いて試験例1と同様の試験を行い、これらの洗口剤の殺菌作用について検証した。本試験を行う前に、試験例1の場合と同様に各洗口剤の酸性度を測定し、その結果を表3に示した。次いで、試験例1と同様に、唾液中の生菌数を測定した。口腔内のうがいまたは洗口を15分後と3時間後に唾液を0.5ml採取し、唾液1ml中に存在する生菌数を常法に従って計測した。その測定結果を表3に示した。3名の試験者で計測しその平均値を求めた。測定時間中は3名の試験者は飲食物を一切口にすることは禁じた。更に、本試験では、試験者3名に4種の洗口剤H〜Kを使用した時の粘膜への影響及びうがいの感触を調査した。
本試験例では、洗口剤H〜Kを用いて試験例1と同様の試験を行い、これらの洗口剤の殺菌作用について検証した。本試験を行う前に、試験例1の場合と同様に各洗口剤の酸性度を測定し、その結果を表3に示した。次いで、試験例1と同様に、唾液中の生菌数を測定した。口腔内のうがいまたは洗口を15分後と3時間後に唾液を0.5ml採取し、唾液1ml中に存在する生菌数を常法に従って計測した。その測定結果を表3に示した。3名の試験者で計測しその平均値を求めた。測定時間中は3名の試験者は飲食物を一切口にすることは禁じた。更に、本試験では、試験者3名に4種の洗口剤H〜Kを使用した時の粘膜への影響及びうがいの感触を調査した。
表3に示す結果から以下のことが判った。即ち、酸性度の測定では、使用した洗口剤H〜Kの酸性度pH 値は、4種間に極端な違いはなく、洗口剤H〜Kはいずれも中性領域に近かった。また、洗口剤H〜Kの15分後及び3時間後の生菌数などを比べても、4種の洗口剤H〜K間に顕著な数値上の差は認められなかった。即ち、本試験例3で用いた実施例4、5の洗口剤H、I及び比較例5、6の洗口剤G、Hの殺菌作用について明確な差は認められなかった。
しかしながら、実際に試験者3名に4種の洗口剤H〜Kを使用した時の粘膜への影響及びうがいの感触を調査した結果には明確な違いが認められた。即ち、本実施例4、5の洗口剤H、Iを使用した場合、粘膜への影響は全くなく、うがいの感触は良好であり、口をすすぐとかなりなスッキリ感が得られた。これに対して、比較例5、6の洗口剤J、Kを使用した場合、洗口剤Jは、粘膜組織への影響による違和感が少しあり、また、うがいの感触では少しえぐみを感じた。また、比較例6の洗口剤Kは、粘膜組織への影響による違和感があり、また、うがいの感触はえぐみを感じた。実際に洗口剤を使用する場合には口腔内の雑菌の殺菌作用に加えて、粘膜組織への刺激がないことが必要になる。
以上の結果によれば、本実施例の洗口剤H、Iは、口腔内での殺菌作用に優れ、しかも粘膜組織など口腔内の生体組織への安全性が高いことが判った。これに対して、比較例5、6の洗口剤J、Kは、口腔内での殺菌作用には優れているものの、粘膜組織への違和感があり、しかもうがい時にえぐみを感じるなど口腔内の生体組織に対する安全性に不安があった。
本実施例4、5の洗口剤 H、Iをあらゆる歯磨きに混ぜ合わせて使用すると口臭がなくなり歯茎のひき締まり感が得られた。1か月後、3か月後と継続使用により、口腔内は清潔に保たれ、歯肉のキュッと締まり感がよく、歯周病には全く縁のないきれいな歯肉歯色を呈した。即ち、本実施例4、5の洗口剤H、Iは、口腔内の上皮細胞(粘膜)に刺激が少なく、しかもコバルトイオンやニッケルイオンのような生体アレルギー反応を惹起するようなこともなく、極めて安全で、殺菌効果も高かった。
実施例6
本実施例では、実施例2の洗口剤Bをそのまま本実施例の殺菌性液体歯磨剤(以下、単に「液体歯磨剤」と称す。)として用いた。本実施例では、洗口剤Bと同一組成で液体歯磨剤Bとして再度調整した。
本実施例では、実施例2の洗口剤Bをそのまま本実施例の殺菌性液体歯磨剤(以下、単に「液体歯磨剤」と称す。)として用いた。本実施例では、洗口剤Bと同一組成で液体歯磨剤Bとして再度調整した。
試験例4
本試験例4では、液体歯磨剤Bを用いて試験例2に準じて歯周病原因菌の処置を行った。但し、本実施例では口腔内のうがいではなく歯ブラシを使用して歯や歯茎や歯肉などに機械的な負荷を加えて口腔内の歯垢の除去と歯周病原因菌の殺菌を時間短縮で行えるかどうかを試験した。本試験例では、試験例2における患者とは別の患者6名から本試験への協力を得た。
本試験例4では、液体歯磨剤Bを用いて試験例2に準じて歯周病原因菌の処置を行った。但し、本実施例では口腔内のうがいではなく歯ブラシを使用して歯や歯茎や歯肉などに機械的な負荷を加えて口腔内の歯垢の除去と歯周病原因菌の殺菌を時間短縮で行えるかどうかを試験した。本試験例では、試験例2における患者とは別の患者6名から本試験への協力を得た。
実施例6の液体歯磨剤Bを用いて歯周病が進行した試験例2とは異なる別の患者6名に対し、毎日食後3回、液体歯磨剤Bを用いて口腔内のブラッシングを2か月継続して行った。患者6名の歯周病の進行はかなり深刻で、いずれも歯周病原因菌の高いPoryphromonas gingivalis、Prevotella intermedia及びActinobcillus antinomycetemcomitansが多数存在し程度の差はあれ、歯肉が腫れて口臭が強く歯のぐらつきが認められた。更に、患者6名に本実施例6の液体歯磨剤Bを用いてブラッシングした後、口腔内の発疹などをチェックし、代表例の3名の試験結果を表4に示した。
本試験では、本実施例6の液体歯磨剤のB殺菌力を便宜上「+」、「−」で表現し、細菌の多少は「+」の数で以下の通り評価した。その試験結果を表3に示した。
+++:細菌が非常に多い。
++ :細菌が多い。
+ :細菌が少ない。
− :細菌がほとんどいない。
+++:細菌が非常に多い。
++ :細菌が多い。
+ :細菌が少ない。
− :細菌がほとんどいない。
表4に示す結果から以下のことが判った。即ち、実施例6の液体歯磨剤Bが歯周病原因菌の殺菌に有効であるこが判った。患者3人の歯周病原因菌は、治療前の数多い歯周病原因菌が2か月後は全くなくなっていた。更に、歯のぐらつきも歯周病原因菌の消失に伴い、ぐらつきが殆どなくなった。
患者6名に、実施例6の液体歯磨剤Bで口腔内の処置をした後、口腔内の発疹などをチェックした。その結果、全員の歯周組織は赤みの発疹があったが、2か月後はほぼきれいなピンク色の歯茎に変化していた。
つまり、本実施例6の液体歯磨剤Bは、ブラッシングという機械的な処置により、本来の歯周病の原因菌を殺菌する効力を短時間で確実に実現できることが判った。そして、本発明の殺菌性組成物は、液体歯磨剤としても優れていることが判った。
実施例7〜10及び比較例7
本実施例7〜10では練歯磨剤を本発明の殺菌性組成物として調製した。本実施例の練歯磨剤の調製するに当たり、まず実施例5の洗口剤Iをそのまま用意した。また、市販の練り歯磨きであるガム・デンタルペースト(サンスター株式会社製)を用意した。実施例5の洗口剤Iとガム・デンタルペーストとをそれぞれ組み合わせ、前者と後者をそれぞれ1:4、2:3、3:2、4:1の配合割合で練って、実施例7〜10の練歯磨剤A〜Dをそれぞれ調製した。更に、比較例7としてガム・デンタルペーストそのまま用いた。
本実施例7〜10では練歯磨剤を本発明の殺菌性組成物として調製した。本実施例の練歯磨剤の調製するに当たり、まず実施例5の洗口剤Iをそのまま用意した。また、市販の練り歯磨きであるガム・デンタルペースト(サンスター株式会社製)を用意した。実施例5の洗口剤Iとガム・デンタルペーストとをそれぞれ組み合わせ、前者と後者をそれぞれ1:4、2:3、3:2、4:1の配合割合で練って、実施例7〜10の練歯磨剤A〜Dをそれぞれ調製した。更に、比較例7としてガム・デンタルペーストそのまま用いた。
試験例5
本実施例の試作練歯磨剤A〜D5gを別の歯周病が進行した5名の治験患者に用い、試験例4に準じて試験例5として試験を行い、練歯磨剤としての効能を検証した。本試験では、本実施例7〜10の練歯磨剤A〜D及び比較例7の殺菌力を便宜上「+++」で表現した。
+++:細菌が非常に多い。
++ :細菌が多い。
+ :細菌が少ない。
− :細菌がほとんどいない。
本実施例の試作練歯磨剤A〜D5gを別の歯周病が進行した5名の治験患者に用い、試験例4に準じて試験例5として試験を行い、練歯磨剤としての効能を検証した。本試験では、本実施例7〜10の練歯磨剤A〜D及び比較例7の殺菌力を便宜上「+++」で表現した。
+++:細菌が非常に多い。
++ :細菌が多い。
+ :細菌が少ない。
− :細菌がほとんどいない。
ここで、患者6名の口腔内の歯周病原因菌の殺菌力の変化を試験して、使用した練歯磨剤の代表例を以下に示した。また、患者は治療前の歯周病原因菌(+++)が同等な患者を選出した。実施例5の洗口剤Iから調製された練歯磨剤A〜Dで治験したが、表5では実施例8の練歯磨剤Bを患者G〜Iに用い、比較例7の練歯磨剤を患者J〜Lに用い、結果を表5に示した。
表5に示す結果によれば、実施例8の練歯磨剤Bでは歯周病の顕著な改善が認められた。これに対して、比較例7のガム・デンタルペーストは歯周病対策としてCetylpyridinium Chlorideを配合しているが、患者J〜Lの試験結果からも明らかなようにそれほどの殺菌効果は認められなかった。このように実施例8の練歯磨剤Bは市販のガム・デンタルペーストに比べて歯周病原因菌の殺菌、除去に優れていることが判った。
また、表5に示す結果によれば、本実施例9の練歯磨剤Bを使用することにより、歯周ポケットなどに巣食うあまたの歯周病原因菌を殺菌、除去することができる共にうえに、短時間の機械的ブラッシング作業によって歯磨剤本来の歯垢除去効果と相まって、極めて清潔な口腔内環境を作り、歯周病を予防または治療することができ、延いては口腔内の健康、更には関連する医学的疾患に大きく貢献できることが判った。
尚、本実施例の殺菌性練歯磨剤A、C、Dも殺菌性練歯磨剤Bと同等に優れた殺菌力を示すことが判った。
実施例11〜20
本実施例では液体歯磨剤を調製した。本実施例では液体歯磨剤を以下の要領で調製した。まず、実施例4の洗口剤Hの調製方法と同様に、市販の「銅しましょ」を用いて銅イオン水を製造し、29分の通電により100ppm濃度の銅イオン水を得た。これを銅イオン水bとした。更に、鉄線を水道水に浸して放置して鉄イオン濃度200ppm の溶液を製造し鉄イオン液bとした。次いで、銅イオン水bと鉄イオン液bをそれぞれ2:1、1:2、2:2、3:1、及び1:3の配合割合で混合し、それぞれの混合液を実施例11〜15の液体歯磨剤E、F、G、H、Iとして調製した。これらの液体歯磨剤のイオン成分及びイオン成分の濃度を表6に示した。
本実施例では液体歯磨剤を調製した。本実施例では液体歯磨剤を以下の要領で調製した。まず、実施例4の洗口剤Hの調製方法と同様に、市販の「銅しましょ」を用いて銅イオン水を製造し、29分の通電により100ppm濃度の銅イオン水を得た。これを銅イオン水bとした。更に、鉄線を水道水に浸して放置して鉄イオン濃度200ppm の溶液を製造し鉄イオン液bとした。次いで、銅イオン水bと鉄イオン液bをそれぞれ2:1、1:2、2:2、3:1、及び1:3の配合割合で混合し、それぞれの混合液を実施例11〜15の液体歯磨剤E、F、G、H、Iとして調製した。これらの液体歯磨剤のイオン成分及びイオン成分の濃度を表6に示した。
更に、上記各液体歯磨剤E、F、G、H、Iそれぞれに以下の要領で水溶性カルシウムである乳酸カルシウムを添加して本実施例16〜20の液体歯磨剤J、K、L、M、Nを調製した。ここで、乳酸カルシムはいずれも食品添加物用の乳酸カルシム・五水和物及び乳酸カルシムのいずれも使用できるが、後者の乳酸カルシムを使用した。即ち、液体歯磨剤E、F、G、H、Iをそれぞれ、97g、95g、90g、85g、80g用意し、これらの液体歯磨剤に合計量が100gになるように、乳酸カルシウム0.5g、1.0g、2.0g、97.5g、98.0gをそれぞれ混合、振蕩して液体歯磨剤J、K、L、M、Nを調製した。これらの混合液を実施例16〜20の液体歯磨剤J〜Nとして調製した。これらの液体歯磨剤J、K、L、M、Nのイオン成分を表6に示した。本発明の液体歯磨剤J、K、L、M、Nは同じく本発明の液体歯磨剤E、F、G、H、Iに比べて、透明感が増し収斂効果もカルシウム濃度が高まるところで向上していた。しかし、これらは本発明の殺菌性組成物の要件をそれぞれ満たすものであった。
試験例6
本試験では、歯科医院における歯科医師または衛生士の管理下における、歯周病の治療または処置及びインプラント埋入歯のケアを想定した試験を実施した。本実施例11〜20の液体歯磨剤E〜Nを用いて以下の試験行った。試験者はこれまでとは別の10名の試験者の協力を得た。試験者の中にはインプラントを埋植した試験者が5名いた。試験者10名が、上下顎の各歯肉縁下の歯周のポケットを含む歯根部周辺を超音波スケーラー(株式会社松風のEMS社製ピエゾンマスター700)で処置しながら殺菌性液体歯磨剤E〜Nを処置した。超音波スケーラーは通常のチップだけでなく、インプラント用のチップも使用した。試験期間として、初期、1か月後、及び3か月後に口腔内を観察した。また初期から1か月後、及び1か月から3か月後は、自宅にて1日3回の食後のブラッシングに実施例11〜20の液体歯磨剤E〜Nをそれぞれが使用した。その結果に試供した10名の試験者全員が口臭もなく歯肉の引き締まり感が得られた。1か月後、3か月後と継続使用により、口腔内は清潔に保たれ、歯肉のキュッと締まり感がよく、歯周病には全く縁のないきれいな歯肉歯色を呈した。
本試験では、歯科医院における歯科医師または衛生士の管理下における、歯周病の治療または処置及びインプラント埋入歯のケアを想定した試験を実施した。本実施例11〜20の液体歯磨剤E〜Nを用いて以下の試験行った。試験者はこれまでとは別の10名の試験者の協力を得た。試験者の中にはインプラントを埋植した試験者が5名いた。試験者10名が、上下顎の各歯肉縁下の歯周のポケットを含む歯根部周辺を超音波スケーラー(株式会社松風のEMS社製ピエゾンマスター700)で処置しながら殺菌性液体歯磨剤E〜Nを処置した。超音波スケーラーは通常のチップだけでなく、インプラント用のチップも使用した。試験期間として、初期、1か月後、及び3か月後に口腔内を観察した。また初期から1か月後、及び1か月から3か月後は、自宅にて1日3回の食後のブラッシングに実施例11〜20の液体歯磨剤E〜Nをそれぞれが使用した。その結果に試供した10名の試験者全員が口臭もなく歯肉の引き締まり感が得られた。1か月後、3か月後と継続使用により、口腔内は清潔に保たれ、歯肉のキュッと締まり感がよく、歯周病には全く縁のないきれいな歯肉歯色を呈した。
以上のことから、本実施例11〜20の液体歯磨剤E〜Nは、歯科医院における歯科医師または衛生士の管理下での歯周病の治療または処置をするにあたり、歯ブラシによる機械的除去に加えて、超音波スケーラーを併用することにより、歯周ポケットの雑菌の殺菌・除去も効果的であった。更に、本実施例は、インプラント埋設歯の管理上、歯周病による重篤な事態に至る臨床課題を解決しうる、重要な示唆を与えた。
歯肉縁上と縁下の歯周病原因菌を考えると、ブラッシングでは歯肉縁上の菌は液体歯磨剤E〜Nで機械的に殺菌・除去されるが、歯肉縁下は菌の残存があり得る。そこで、歯肉縁下や歯周ポケットの超音波スケーラーの機械的振動により除去する時に本実施例の液体歯磨剤E〜Nを併用するか、もしくは、スケーリングの後に処置することで歯周病原因菌を殺菌、除去することができる。本実施例の液体歯磨剤E〜Nを用いるブラッシングと超音波スケーラーすることにより、口腔内の歯周ポケットなどの歯周病の原因菌を殺菌、除去することができ、更に歯磨剤本来の歯垢除去や口臭除去などをすることができ、歯周病から解放された歯肉のキュッと締まり感が得られ、健全な歯肉歯色を獲得することができる。本発明殺菌性組成物は、更に、上記のような効果によって、例えば、インプラントの埋設歯を清潔に管理できる。
医療分野において殺菌性抗生物質を用いてピロリ菌を殺菌することと同様に、歯科臨床においても本実施例の液体歯磨剤E〜Nを超音波スケーリングと併用することにより歯肉縁上と縁下の歯周ポケットなどの歯周病原因菌を殺菌、除去することができ、口腔内を歯周病から解放することができ、更には歯周病原因菌由来の心筋梗塞や脳梗塞を未然に予防することができる。
尚、本発明の殺菌性組成物は、上述の特徴から、洗口剤、殺菌性歯磨剤の他、循環器科や整形外科等を含む医療分野全般、抗菌性の医療用器具の原材料への応用及び繊維業界における抗菌性繊維へ応用することにより、例えば生体に接触する肌着等へ応用することができる。
本発明の殺菌性組成物は、口腔内の歯周病原因菌などを含む細菌への殺菌作用を有する洗口剤や歯磨剤等に好適に利用することができる。
しかしながら、特許文献1、2には殺菌作用を有する金属イオンとして鉄イオンの他、コバルトイオン、ニッケルイオンなどが用いられているが、医療分野では、例えばコバルトイオンやニッケルイオンを組み合わせた場合にはこれらのイオンに由来する生体への金属アレルギー反応が知られており、口腔内の消毒液として使用するには生体への安全性に課題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、口腔内の歯周病原因菌等の細菌を殺菌し、生体への金属アレルギー反応を惹き起こすことがない安全性に優れた殺菌性組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは、歯周病原因菌等の細菌を殺菌し、生体へのアレルギー反応を惹き起こさないという二律背反する課題を解決するために、洗口剤及び歯磨剤等の殺菌性組成物について種々検討した結果、体のミネラル成分のうち特定の金属イオンを含む水を殺菌性組成物として構成することにより上記課題を解決し得るとの知見を得た。また、その金属イオンを特定の濃度範囲に設定することにより更に好ましい結果が得られることを知見した。
即ち、本発明は上記知見に基づいてなされたもので、本発明の請求項1に記載の殺菌性組成物は、生体アレルギーを惹き起こす金属イオンを含まず、上記生体アレルギーを惹き起こさない銅イオン及び鉄イオンを含む水を含有することを特徴とするものである。
本発明の請求項2に記載の殺菌性組成物は、生体アレルギーを惹き起こす金属イオンを含まず、上記生体アレルギーを惹き起こさない銅イオン及び鉄イオンを含む水を含有する殺菌性組成物であって、上記水に対する上記銅イオンの濃度が5〜150ppmであり、上記水に対する上記鉄イオンの濃度が5〜500ppmであることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項3に記載の殺菌性組成物は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記生体アレルギーを惹き起こす金属イオンがニッケルイオン、コバルトイオンであることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項4に記載の殺菌性組成物は、請求項1〜請求3のいずれか1項に記載の発明において、洗口剤として構成されてなることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項5に記載の殺菌性組成物は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、歯磨剤として構成されてなることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項6に記載の殺菌性組成物は、請求項5に記載の発明において、上記歯磨剤が液体歯磨剤、ゲル状歯磨剤及び練歯磨剤から選択されるいずれか一つの歯磨剤であることを特徴とするものである。
而して、本発明に用いられる銅イオン(Cu2+)は、体のミネラル成分を構成する金属イオンであり、体内での生体アレルギーを惹き起こすことがなく、体に優しく、安全性に優れている。銅イオンは、例えば硫酸銅・五水和物、塩化銅・二水和物、塩化二アンモニウム銅・二水和物、硝酸銅・三水和物を水に溶解することによって得ることができる。また、銅イオンは、例えば銅線を水中に浸漬し、銅線に通電することによって得ることができる。銅イオン造水機として例えば「銅しましょ」(有限会社エルアンドアールの商品名)を用いることができる。
本発明に用いられる鉄イオンは、体のミネラル成分を構成する金属イオンであり、体内で生体アレルギーを惹き起こすことがなく、体に優しく、安全性に優れている。鉄イオンは、II価の鉄(Fe2+)及び/またはIII価の鉄(Fe3+)からなり、これらの鉄イオンは、例えば塩化鉄・四水和物、塩化第二鉄、塩化第二鉄・四水和物、塩化第二鉄・六水和物、クエン酸鉄、クエン酸鉄・n水和物、硝酸第二鉄・六水和物、塩化第二鉄、硝酸第二鉄・九水和物、リン酸第二鉄・n水和物を水に溶解することによって得ることができる。また、鉄イオンは、例えば鉄釘や鉄線を水に浸して放置することによって得られる。
本発明の殺菌性組成物は、洗口剤及び歯磨剤としても好適に用いることができる。歯磨剤として用いることにより、銅イオン、鉄イオン、カルシウムイオンを歯肉に浸透させて定着させて殺菌作用を持続させることができる。歯磨剤としては、液体歯磨剤、液状歯磨、ゼリー状歯磨き、練歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤を挙げることができる。歯磨剤の場合、剤型に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の添加剤、例えば上述の増粘剤及び収斂剤の他、研磨剤、粘稠剤、界面活性剤、粘結剤、湿潤剤、香料、甘味料、殺菌剤、防腐剤、水溶性フッ化物、pH調整剤、各種薬効成分等を必要に応じて適宜配合することができる。
本発明によれば、口腔内の歯周病原因菌等の細菌を適切に殺菌し、生体金属アレルギー反応を惹き起こす虞がなく、しかも口腔内でえぐみなどの違和感のない安全性に優れた殺菌性組成物を提供することができる。更に云えば、本発明の殺菌性組成物を用いることにより、口腔内の歯周病原因菌などを含む雑菌を殺菌すると共に生体にアレルギー反応を惹き起こす虞がなく安全性に優れた、いわゆる二律背反の課題を解決した効果があるため、歯科臨床で長年課題となっていた歯周病の予防や治癒、及び歯周病原因菌由来の心筋梗塞や脳梗塞などの循環器科の病気の予防など、医療技術に貢献することができる。
Claims (8)
- 銅イオン及び鉄イオンを主成分とする水を含むことを特徴とする殺菌性組成物。
- 銅イオン、鉄イオン及びカルシウムイオンを主成分とする水を含むことを特徴とする殺菌性組成物。
- 銅イオン及び鉄イオンを主成分とする水を含む殺菌性組成物であって、上記水に対する上記銅イオンの濃度が5〜150ppmであり、上記水に対する上記鉄イオンの濃度が5〜500ppmであることを特徴とする殺菌性組成物。
- 銅イオン、鉄イオン及びカルシウムイオンを主成分とする水を含む殺菌性組成物であって、上記水に対する上記銅イオンの濃度が5〜150ppm、上記水に対する上記鉄イオンの濃度が5〜500ppm、及び上記水に対する上記カルシウムイオンの濃度が0.001〜2.0%であることを特徴とする殺菌性組成物。
- 上記主成分のpHが4.5〜6.5であることを特徴とする請求項1〜請求項4に記載の殺菌性組成物。
- 洗口剤として構成されてなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の殺菌性組成物。
- 歯磨剤として構成されてなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の殺菌性組成物。
- 上記歯磨剤が液体歯磨剤、ゲル状歯磨剤及び練歯磨剤から選択されるいずれか一つの歯磨剤であることを特徴とする請求項7に記載の殺菌性組成物。
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JP (1) | JP2018184362A (ja) |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH04279516A (ja) * | 1990-08-16 | 1992-10-05 | Unilever Nv | 安定化した銅を含有する口腔用組成物 |
JP2001506649A (ja) * | 1996-12-16 | 2001-05-22 | ノビシエンス、アクチボラグ | 医用組成物、ならびに局所保護調合物、uv−放射吸収調合物、または抗ウイルス、抗真菌もしくは抗炎症調合物の製造のためのその使用 |
JP2003137755A (ja) * | 2001-11-02 | 2003-05-14 | Lion Corp | 口腔用組成物 |
JP2009185018A (ja) * | 2008-01-10 | 2009-08-20 | Arashiro Keisaku | 口腔洗滌イオン水 |
JP2010508346A (ja) * | 2006-11-10 | 2010-03-18 | ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー | 抗菌剤及び宿主反応調節剤の組み合わせを含有する口腔ケア組成物 |
WO2011092835A1 (ja) * | 2010-01-29 | 2011-08-04 | パナセア ディシンフェクタント カンパニー リミテッド | 持続性口腔用殺菌消毒液 |
-
2017
- 2017-04-25 JP JP2017086709A patent/JP2018184362A/ja active Pending
Patent Citations (6)
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