JP2018183723A - 遠心機 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠心機にとって高負荷となる遠心分離運転を繰り返すことによる製品寿命の低下や駆動部の軸受部等の故障を未然に防止する方法の提供。【解決手段】モータの回転軸に取り付けられるロータと、運転条件に応じてモータを制御する制御手段と、運転負荷状態を報知する報知手段を有し、ロータの回転を加速させて所定の回転数R1に到達してから停止に至らせる遠心分離運転をおこなう遠心機において、複数回の遠心分離運転にわたって蓄積された累積負荷値40を算出し、累積負荷値40が第1の値L1を超えると報知手段にて負荷が高いことを警告し、それよりも高い第2の値L2を超えたら遠心分離運転を停止させるようにする方法。累積負荷値40は、基準電流I0よりも高い電流量と運転時間の積を加算し、低い電流量と運転時間の積を減算することにより算出する方法。【選択図】図5
Description
本発明はモータによって回転されるロータを有する遠心機に関し、特に過度な加減速を繰り返すような負荷の高い運転を繰り返すことによる故障の発生又は寿命の低下を未然に防ぐことにある。
遠心機(遠心分離機)は、分離するサンプル(例えば、培養液や血液など)をチューブやボトルを介してロータに挿入し、ロータを高速に回転させることでサンプルの分離や精製を行う。設定されるロータの回転速度は用途によって異なり、低速(数千回転程度)から高速(最高回転速度は150,000rpm)までの複数の製品が提供されている。遠心機で用いられるロータには様々なタイプがあり、アングルロータやスイングロータなどがあって、モータ等の駆動部の回転軸に着脱される。
ロータが空気中で高速回転すると、空気との摩擦熱(風損)によってロータの温度が上昇する。分離するサンプルによっては低温を保たなければならないものもあるため、特許文献1のように運転中にロータを冷却する冷却装置と、回転室内を減圧する真空ポンプを備えた遠心機が広く用いられている。真空ポンプを有する遠心機は、回転室を減圧した状態でロータを回転させ、ロータの回転が停止したら、ユーザが減圧解除ボタン(真空ボタン)を押すことにより回転室に外部から大気を流入させる(エアリーク)。回転室内が大気圧に戻った後に、ドアが開閉可能な状態となる。
遠心機の駆動部は、その発熱を抑制するため、冷却ファンで冷却する等の制御が行なわれる。遠心機は、ユーザの使用方法や使用環境により様々な使われ方をされる可能性があるが、いずれの場合においても各機器、特に、ロータの駆動軸の軸受部等の過熱を防いて保護するようなシステムが提案されている。例えば特許文献1では、停電のような異常事態が発生した場合を検出するイレギュラー検知手段を設け、停電時でも冷却ファンの回転を継続させるようにして、局所的な過熱状態が起こらないようにしている。また、特許文献2では、モータの回転をベルトを介してロータに伝達する遠心稼働分離機において、モータ回転信号周波数fmとロータ回転信号周波数frを算出し、両者の周波数比Aを求め、周波数比Aが第1の範囲を超えた場合には、メインテナンスを促すワーニング表示を行い、第2の範囲を超えた場合にはアラーム表示を行ってモータを停止させる。これにより、動力伝達部材の消耗の度合いに合わせた制御ができ、動力伝達部材の寿命を延長するとともに、動力伝達部材の破損を防止できる。
先述したようにユーザの使用環境は様々であり、特許文献1に記載されたような電源断を検知してその対策を行なうだけでは不十分な場合がある。また、特許文献2に示すベルト駆動の回転ずれのように、明確な障害状態であればその検知は容易であるが、一見すると障害状態ではないような場合に、知らないうちに不具合が進行することがある。例えば、回転室を減圧した状態で運転する遠心機において、真空状態では軸受部の空気による熱伝導がないため、回転室内の冷却された空気による冷却効果は期待できない。従って、加減速を短間隔にて頻繁に繰り返す動作を行わせた場合、遠心機の意図しないタイミングでの製品停止や製品寿命が短くなる現象が起きる可能性がある。しかしながら、加減速の動作やその繰り返し動作自体は遠心機にとってイレギュラーなものではないため、先述した停電の検知のようなイレギュラー検知手段による監視を行なうことが困難である。よって、場合によってはユーザが気づかないうちに高負荷の使い方を続ける可能性があり、ユーザが意図しないタイミングでの運転の停止や消耗部品の短命化、及び、遠心機の基幹部品における故障が生じるリスクが高くなる。この対策のために軸受部の発熱状態をセンサ等で直接監視し、停止処理を行うこと等も考えられるが、そのためには付加装置が必要となりコスト上昇に繋がる。また、付加装置の設置場所や設置方法についても課題となり、他の部分に生じる発熱等の負荷検出には更なる付加装置が必要になるため、効果的な解決手段とはいえない。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、加減速を繰り返すことによる駆動部の軸受部等の故障など、ユーザの使用状態に依存する高負荷状態による問題を未然に防ぐことができるようにした遠心機を提供することにある。
本発明の他の目的は、運転中における遠心機の累積的な負荷の大きさを監視して、所定の累積負荷量又は累積負荷値を越えた場合は、ユーザに対して高負荷の使い方であることを警告するようにした遠心機を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、遠心機の運転開始前にユーザが運転プログラムを入力する際に、軸受部の負担の大きい運転であることが予想される場合は、高負荷の使い方になることを事前に報知するようにした遠心機を提供することにある。
本発明の他の目的は、運転中における遠心機の累積的な負荷の大きさを監視して、所定の累積負荷量又は累積負荷値を越えた場合は、ユーザに対して高負荷の使い方であることを警告するようにした遠心機を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、遠心機の運転開始前にユーザが運転プログラムを入力する際に、軸受部の負担の大きい運転であることが予想される場合は、高負荷の使い方になることを事前に報知するようにした遠心機を提供することにある。
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。
本発明の一つの特徴によれば、駆動部と、駆動部の駆動軸に取り付けられるロータと、駆動部を運転条件に応じて制御する制御手段と、駆動部の運転状態を報知する報知手段を有し、ロータの回転を加速させて所定の回転数に到達してから停止に至るまでの遠心分離運転をおこなう遠心機において、複数回の遠心分離運転にわたって蓄積された累積負荷を算出し、累積負荷が第1の値を超えると報知手段にて負荷が高いことを報知するようにした。この累積負荷は、駆動部への負荷が大きくなる高負荷運転状態における高負荷運転時間と、駆動部への負荷が小さくなる低負荷運転状態における低負荷運転時間に基づいて算出される。さらに、制御手段は、高負荷運転状態においては負荷の加算量と運転時間の積を累積負荷値に対して加算し、低負荷運転状態において負荷の低減量と運転時間の積を累積負荷値に対して減算するように構成した。高負荷運転状態か低負荷運転状態であるかは前記駆動部に流れる電流値の絶対値によって判定することが可能であり、所定の基準電流I0よりも電流値Iが高い場合は高負荷運転状態であり、低い場合は低負荷運転状態とすれば良い。ここで基準電流I0は、遠心機の発熱部位(軸受部等)の温度上昇が起こらない状態における電流値とすれば良く、例えばロータの加速時に想定される最大電流値よりも小さく、ロータの整定時の電流値よりも大きくなる値を設定できる。尚、継続的に算出される累積負荷値がマイナスになる際には、切り上げ処理により累積負荷値を0とする。
本発明の一つの特徴によれば、駆動部と、駆動部の駆動軸に取り付けられるロータと、駆動部を運転条件に応じて制御する制御手段と、駆動部の運転状態を報知する報知手段を有し、ロータの回転を加速させて所定の回転数に到達してから停止に至るまでの遠心分離運転をおこなう遠心機において、複数回の遠心分離運転にわたって蓄積された累積負荷を算出し、累積負荷が第1の値を超えると報知手段にて負荷が高いことを報知するようにした。この累積負荷は、駆動部への負荷が大きくなる高負荷運転状態における高負荷運転時間と、駆動部への負荷が小さくなる低負荷運転状態における低負荷運転時間に基づいて算出される。さらに、制御手段は、高負荷運転状態においては負荷の加算量と運転時間の積を累積負荷値に対して加算し、低負荷運転状態において負荷の低減量と運転時間の積を累積負荷値に対して減算するように構成した。高負荷運転状態か低負荷運転状態であるかは前記駆動部に流れる電流値の絶対値によって判定することが可能であり、所定の基準電流I0よりも電流値Iが高い場合は高負荷運転状態であり、低い場合は低負荷運転状態とすれば良い。ここで基準電流I0は、遠心機の発熱部位(軸受部等)の温度上昇が起こらない状態における電流値とすれば良く、例えばロータの加速時に想定される最大電流値よりも小さく、ロータの整定時の電流値よりも大きくなる値を設定できる。尚、継続的に算出される累積負荷値がマイナスになる際には、切り上げ処理により累積負荷値を0とする。
本発明の他の特徴によれば、累積負荷の算出は駆動部が停止中においても継続されるようにした。そして、累積運転時間が第2の値(>第1の値)を超えたら、制御装置は駆動部の運転を停止させるようにした。さらに、報知手段としてロータの運転状態の表示を行う表示部を設け、制御手段は、表示部に累積負荷の大きさを表示する。この表示の仕方は、例えば累積負荷を面積比で可視的に表示するデジタルバー表示や、表示される数値の目盛りを指針により読み取るアナログメータ表示とすれば良い。
本発明のさらに他の特徴によれば、遠心機には電源スイッチを有し、電源スイッチがオフにされて再度オンにされた際に、オフから再度オンにされた時間の間隔をもとに累積負荷を減算するようにした。このように遠心機の電源がオフにされていた停止時間も累積負荷の算出値に反映させるようにする。
本発明によれば、遠心機において、ユーザがある一定以上の間隔にて加減速を繰り返す等の高負荷動作をした場合、ユーザに高負荷の使い方をしていることを所定の報知手段により報知することで、ユーザは遠心機の負荷状況を適切に認識することができる。また、遠心運転時に、高負荷の使い方が一定レベル以上継続した場合は、まずはユーザにその旨を報知するので、ユーザは限界負荷状況に到達する前に容易にその状況を認識できる。報知がされた後に高負荷の使い方が継続した場合は、運転を停止するので、遠心機の故障の発生を未然に抑えて、寿命の低下を阻止することができる。さらに、遠心分離運転前の運転プログラムを入力する際に、高負荷運転であることが予想される場合は、ユーザにその旨を報知するので、ユーザは早めの段階で負荷状況を認識できる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。
図1は本発明の実施例に係る遠心機1の全体構造を示す概略図である。遠心機1は、箱形の板金などで製作される筐体2の内部に金属製の薄板で形成されたボウル3が設けられ、ボウル3とドア8によって回転室4が画定される。ドア8は回転室4の開口部を覆って閉鎖することにより回転室4を密閉するもので、筐体の一部に設けられる図示しないスライドレールに沿って水平方向に移動可能に固定される。ドア8には図示しない操作レバーが設けられ、ユーザによってドア8の開閉操作が行われる。ロータ5は、分離するサンプルを保持し高速回転するものであり、駆動装置たるモータ6の回転軸7に装着される。
ドア8の側方には、使用者がロータの回転速度や分離時間等の条件を入力すると共に、運転状況等の各種情報を表示する操作パネル10が配置される。操作パネル10は、遠心機に必要な制御情報を出力ための表示部となるものである。本実施例では、いわゆるタッチパネル方式の液晶表示器を用いることにより、操作者に対して必要な情報を入力するための入力部としての機能も果たす。尚、操作パネル10はタッチパネル方式のカラー液晶表示器だけでなく、その他の入出力装置で構成しても良いし、公知の表示装置と公知の入力装置の組み合わせで構成しても良い。
回転室4は上側に開口部が設けられ、ドア8を開けた状態で開口部から回転室4の内部に位置するロータ5にアクセスし、ロータ5の装着又は取り外しが行われる。ロータ5は、遠心分離を行うサンプルやそれを保持するサンプル容器に合わせて選択される。ロータ5はモータ6の回転軸7に装着されため、ロータ5の回転速度と、モータ6の回転速度は同一となる。制御装置9は遠心機1の全体を制御する手段であって、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と称する)を含んで構成され、操作パネル10から入力される遠心分離運転のための各種情報に従って、モータ6の回転制御、冷却装置11の稼働制御、真空ポンプ12の運転制御と、エアリーク用バルブ13の開閉制御等を行う。
ロータ5の温度は、回転室4に設置されるロータ用温度センサ14により測定される。ロータ用温度センサ14を設ける位置は種々考えられるが、本実施例ではボウル3の底部の上面に設けられる。ロータ用温度センサ14に隣接するように回転室用温度センサ15が設けられる。ロータ用温度センサ14と回転室用温度センサ15の出力は、図示しない信号線によって制御装置9に入力され、制御装置9によってロータ5の温度及び回転室4の温度が監視され、遠心機1の全体制御に利用される。
ボウル3はステンレス等の金属合金製であり、その下側にはペルチェ式の冷却装置11が設けられる。冷却装置11は上面視で円環状であって、ボウル3の底部の内、回転軸7を貫通させる貫通穴の外周部付近を冷やすことによって回転室4の内部及びロータ5を冷却する。冷却装置11を稼働させることによって回転室4の内部のロータが設定温度になるように冷却される。この際、制御装置9はロータ用温度センサ14の出力を用いて冷却装置11をフィードバック制御する。本実施例では、回転室4が減圧された状態にされるので、ペルチェ式の冷却装置11に要求される冷却能力は、回転室を大気圧下で冷却する場合に比べて小さくて済み、小型のものでも良い。尚、用いられる冷却装置11の種類はペルチェ式に限定されずに、ボウル3の外周側に銅パイプを巻き付けて、冷媒を流すようにしたコンプレッサー方式の冷却装置であっても良いし、その他の冷却装置であっても良い。ボウル3の内部には、ロータ5の回転開始直後に、ロータ5に設けられた図示しない識別子を読み取るロータ識別センサ16が設けられる。読み取られた識別子は図示しない信号線により制御装置9に出力される。
真空ポンプ12は、回転室4を減圧させて真空状態とするための装置である。図1においては、一つのブロック図で図示しているが、油拡散真空ポンプ、油回転真空ポンプ、その他の形式の真空ポンプ、又はそれらの組み合わせによって構成できる。図1には図示していないが、回転室の圧力を測定する気圧センサが設けられ、気圧センサの出力を制御装置9が監視して、真空ポンプ12のオン又はオフを含めた制御を行う。エアリーク手段、ここではエアリーク用バルブ13は、制御装置9からの制御によりオン又はオフが電気的に制御可能な電磁バルブである。遠心分離運転が開始すると、エアリーク用バルブ13はオフ状態、即ちバルブを閉鎖して回転室を密閉状態に保つようにする。エアリーク動作の実行期間中だけエアリーク用バルブ13が開放され、回転室と外気とを連通する通路が開放される。エアリークが完了したら再びエアリーク用バルブ13は閉じられる。ロータ識別センサ16は、装着されたロータ5に示されたID情報を読み取る装置であり、ロータ5が回転を開始した直後にID情報を読み取り、図示しない信号線を介して制御装置9に出力する。周囲温度センサ18は、遠心機1の設置された空間の温度(外気温度)を測定するためのものである。周囲温度センサ18は、吸気スリット近傍の外気温度をできるだけ正確に測定できる箇所に設けられ、その出力は信号線を介して制御装置9に送られる。ドア開閉センサ17は、ドア8が閉鎖位置にあるか否かを検出するためのセンサであり、その出力は信号線を介して制御装置9に送られる。尚、図1では図示していないが、遠心機1にはメインの電源スイッチ、ネットワーク等の通信網に接続する通信ソケット、外部記憶装置を接続するためのUSBソケットが設けられる。
図2は、遠心機1の制御回路構成を示すブロック図である。遠心機1は、ロータ5を回転させるモータ6のモータ駆動回路19と、モータ駆動回路19を含めた遠心機全体を制御する制御装置9を含んで構成される。制御装置9には中央処理装置91と、RAMやハードディスク装置等の記憶装置92と、USBソケット95を介して外部の記憶装置や情報処理装置とのデータのやりとりを可能とするUSBインターフェース(I/F)93と、ネットワーク80と情報のやりとりをするための通信制御装置94が含まれる。中央処理装置91はマイコンによって構成でき、マイコンには複数のA/D入力端子を有し、A/D入力端子には温度センサ14、15、18からの信号が入力される。通信制御装置94には、ネットワーク80への接続ケーブルを装着するための通信ソケット96が設けられる。尚、遠心機1の内部には、回転室4内を減圧する真空ポンプ(図示せず)や、回転室4を外気(回転室4の外部)と連通又は遮断するためのエアリークバルブや、回転室4内の圧力を測定する真空センサや、ドアの開閉をロックするドアロックや、ロータ5を収容するボウル3を冷却する冷却装置等が設けられ、これらの制御用の信号(図示せず)も中央処理装置91から出力される。
中央処理装置91は遠心機1の電源が投入された後に、所定の時間間隔で遠心機1の稼働データを作成し、それを自発的に外部のサーバ管理装置(図示せず)に送信する。そのためサーバ管理装置のIPアドレスを記憶装置92に記録しておく。また、記憶装置92には、本実施例に従って計算される累積負荷値(後述)を格納するための記憶領域を有する。尚、累積負荷値を記録する際には、その累積負荷値を算出した時刻と共に記憶すると良い。
次に図3を用いて遠心機1の運転例を説明する。図3(1)及び(2)の縦軸は回転数(rpm)と電流値(単位A)であり、横軸は時間(単位Sec)である。図3(1)おいて回転数20は、ロータ5の回転速度(モータ6の回転速度と同じ)を示すものであり、矢印21aのように停止状態から、時刻t0に起動して矢印22aのように加速して、矢印22bのように設定された所定の回転数R1で整定し、矢印22cのように減速してから矢印21bのように停止する。ここでは、ロータ5の回転を加速させて所定の回転数に到達させ、その後に減速させて停止に至るまでの運転(矢印22a〜22c)を“一つの遠心分離運転”と定義する。違う見方をすれば、ドア8を開けて試料をロータ5にセットし、ロータ5を回転させる運転を行ってから、再びドア8を開けるまでの一連の運転を“一つの遠心分離運転”と呼ぶこともできる。矢印22a〜22cのように一つの遠心分離運転が終了した後に、矢印21bの停止区間(ドア8を開けるタイミング)を挟んで次の遠心分離運転、即ち矢印23a〜23cのような運転を行う。図3(1)では加速−整定―減速だけの単純な遠心分離運転パターンを示すもので、矢印22b、23bのように比較的長い整定時間を有する。
電流30は、回転数20に示すような遠心分離運転の際のモータ6に流れる電流の大きさを示す図である。電流30は、モータ6が停止している際には矢印31aのようにゼロであるが、矢印32a、33aのようにモータ6が加速している最中に電流30が大きくなり、矢印32b、33bのようにモータ6が定速回転中は加速時よりも十分小さい電流30となる。モータ6が減速する際には、回生制御を行うために矢印32c、33cのように反対方向の電流が流れる。ここでは矢印32a、32c等の電流波形は、説明を容易にするために方形波のように簡略して図示しているが、実際には複雑な波形となる。遠心分離運転の終了後であってモータ6が停止している際の電流30は、矢印31b、31cのようにゼロになる。
図3(2)は、加速と減速を短い間隔で繰り返す遠心分離の運転例を示す図である。この例では、ロータ5の回転数25を0から所定の回転数R1まで加速し、矢印27b、28b、29bのように短い時間の整定状態を経てすぐに減速するような負荷の高い状態、即ち過度な運転状態を示している。ここでは、ロータ5の停止状態、即ち矢印26b、26c、26d、26e、26fの時にセットされた試料容器を素早く交換する作業を行っている。このような加速−減速を短い間隔で繰り返す上に、停止後にすぐに試料容器を交換するような場合には、電流35の状態も矢印37a、38a、39aのように加速時の大電流と、矢印37c、38c、39cのように減速時の反対方向への大電流の区間が相対的に多くなる。ここでは、大電流か小電流であるかを絶対的な基準電流I0によって行っている。一方、矢印37b、38b、39bのような整定時の小電流の区間が短い上に、電流の流れない区間、即ち矢印36b、36c、36d、36e、36fの区間はそれぞれが短い。この結果、大電流によるモータ6の発熱が大きくなる上に、その発熱状態が、真空ポンプ12が稼働して回転室4内が真空状態となって熱伝導が著しく低下している際に起こることになる。このような状態をユーザが繰り返し行うことにより、遠心機1は局所的に高温になる、例えば回転軸7の軸受部分等の温度が高くなり過ぎるという虞がある。一方、ユーザ側から見ると通常の遠心分離運転を繰り返しているだけであり、発熱異常等の問題が生じているかを知る術も判断する術もないのが現状であった。そこで本実施例では、過度な負荷が掛かるような遠心分離運転の繰り返しに起因する累積負荷を計算によって数値化し、それを累積することによって、複数の遠心分離運転にわたる累積的な負荷値を算出するようにした。そして、ある一定以上の高負荷の運転を繰り返し行うような場合に、高負荷な使い方又は過度の使い方をしていることを所定の報知手段(操作パネル10)によりユーザに報知するようにした。
次に累積負荷の計算例を説明する。ここでは累積負荷は、遠心機1の電源がオンとされてから電源をオフにするまでの単位時間毎の負荷量を積算するものであり、下記の式1を用いて算出される。
累積負荷値=Σ[k1×((I1―I0)×t1)]
−Σ[k2×((I0―I2)×t2)]
−Σ[k3×(I0×t3)] ・・・(式1)
ここで
I1:所定値I0以上の電流(主に加減速時の電流)
I2:所定値I0未満の電流(主に整定時の電流)
※ I0は、加減速時と整定時の中間程度の電流値
(温度上昇が見込まれる閾値程度の電流値)
t1:加減速時の時間
t2:整定時の時間
t3:停止時間
k1:ロータの種類、真空度、今までの使い方等で決まる係数
※ 重い/大きいロータ、真空時、過度な使い方が続いたとき等は、
より大きい値とする。
k2:ロータの種類、真空度、今までの使い方等で決まる係数
※ 重い/大きいロータ、真空時、過度な使い方が続いたとき等は、
より小さい値とする。
k3:ロータの種類、真空度、今までの使い方等で決まる係数
※ 重い/大きいロータ、真空時、過度な使い方が続いたとき等は、
より小さい値とする。
累積負荷値=Σ[k1×((I1―I0)×t1)]
−Σ[k2×((I0―I2)×t2)]
−Σ[k3×(I0×t3)] ・・・(式1)
ここで
I1:所定値I0以上の電流(主に加減速時の電流)
I2:所定値I0未満の電流(主に整定時の電流)
※ I0は、加減速時と整定時の中間程度の電流値
(温度上昇が見込まれる閾値程度の電流値)
t1:加減速時の時間
t2:整定時の時間
t3:停止時間
k1:ロータの種類、真空度、今までの使い方等で決まる係数
※ 重い/大きいロータ、真空時、過度な使い方が続いたとき等は、
より大きい値とする。
k2:ロータの種類、真空度、今までの使い方等で決まる係数
※ 重い/大きいロータ、真空時、過度な使い方が続いたとき等は、
より小さい値とする。
k3:ロータの種類、真空度、今までの使い方等で決まる係数
※ 重い/大きいロータ、真空時、過度な使い方が続いたとき等は、
より小さい値とする。
上記の式1を用いて算出した累積負荷値を図示したのが、図4の下側のグラフである。図4の回転数20と電流30のグラフは図3(1)と同じであり、本図ではそれに対応する累積負荷値40を下側に並べて図示した。累積負荷値40は、加速時及び減速時には矢印40a、40c、40e、40gで示す区間のように上昇し、整定時には矢印40b、40fの区間のように緩やかに減少し、ロータの回転停止時には矢印40d、40hの区間のようにやや大きく減少する。この累積負荷量は、上記k1、k2、k3の係数を適切に設定することによって、ロータ毎の遠心機1に与える負荷量を実際の量に近似させることができる。上述の式1によってわかるように、累積負荷値40はロータ5の加速時には大きく上昇し、ロータ5の整定時には緩やかに減少し、ロータ5の減速時には再び上昇する。ロータ5の停止時には累積負荷値40は大きく減少する。このようにして、複数回の遠心分離運転にわたり、累積負荷値の増減を算出することができる。尚、遠心機1のロータ5の回転を止めている場合だけでなく、メイン電源を落としたような場合にも累積負荷値の実質的な計算を継続できる。これは所定間隔毎に計算される累積負荷値の最新の算出時刻も合わせて制御装置9内の記憶装置92(図2参照)に記録するように構成すれば良い。電源を落とす前に記録した最後の累積負荷値に、算出時の時刻T1と共に記憶すれば、次に遠心機1のメイン電源をオンにした際に、その際の時刻T2から、T2−T1によって経過時間(電源OFFであった時間)が算出できるので、その経過時間を用いて累積負荷値の低減量を算出できる。尚、累積負荷値の算出値がマイナスになる場合は、0に切り上げるようにして、累積負荷値が負の値をとらないようにする。
図5は過度な加減速を繰り返す運転時における累積負荷値の推移を示す別の図である。図5の上側2つのグラフ、即ち、回転数25と電流35のグラフは図3(2)で示すものと同一である。ここでは回転数25と電流35のグラフと合わせた横軸にて、累積負荷値45を並べて示している。累積負荷値45の計算方法は上述の式1と同じである。従って、累積負荷値45はロータ5の加速時には大きく上昇し、整定時には緩やかに減少し、減速時には再び上昇する。ロータ5の停止時には累積負荷値45はやや大きく減少する。この図でわかるように頻繁にロータ5の加減速が繰り返されて、整定時間と停止時間が短い場合には、複数の遠心分離運転にわたる累積負荷値45が徐々に増加する。そこで本実施例では、累積負荷値45の許容上限値たる第2所定値L2を設定して、矢印48b(時刻t2)のように累積負荷値45が第2の値L2に到達したら遠心分離運転を強制的に停止するようにした。尚、いきなり停止させてしまうとユーザが困惑するので、第2所定値L2よりも低い第1所定値L1を設定し、矢印48a(時刻t1)のように累積負荷値45が第1の値L1に到達したら、操作パネル10等にてユーザに対してアラームを発するようにした。このようにアラームにて報知するようにすれば、矢印48bの時点に到達する前にユーザは対策を取ることが可能である。また、仮に第2所定値L2に到達して遠心分離運転が停止されたとしてもユーザは慌てずにすむ。時刻t2にてロータ5の回転が止まると矢印47iの区間でロータ5は惰性で回転しながら減速し、時刻t3においてロータ5の回転が停止する。さらに、矢印47kのように時間の経過と共に累積負荷値45はさらに減少して時刻t4にて0になる。制御装置9は時刻t4以降においては、操作パネル10からのユーザによる運転再開の入力を許可する。
次に図6、図7のフローチャートを用いて、本実施例の遠心機1における累積負荷値に基づく制御手順を説明する。これらのフローチャートは、制御装置9に含まれる中央処理装置91がプログラムを実行することによりソフトウェア的に制御できる。フローチャートに示す手順はメイン電源がオンになった時点で実行が開始される。まず、制御装置9は、遠心機1の電源がオンになった際に、最後に記録された累積負荷値とその記録時刻T1を記憶装置92(図2参照)から読み出して、現在の時刻T2と比較することにより、電源オフによる遠心機1の停止時間(=T2―T1)を算出し(ステップ101)、停止時間に基づく累積負荷値の減少状況を算出する(ステップ102)。次に、制御装置9は、ユーザが操作パネル10によって入力した運転条件を取得する(ステップ103)。ここでいう運転条件の入力とは、ロータの回転速度、運転時間、回転室4の温度等のパラメータだけの入力だけの場合もあるし、運転パターンを示すプログラム(複数の遠心分離運転を示すフロー)を入力するようにしても良い。ユーザが操作パネル10に表示されている前回と同じ運転条件を変更せずにそのままにした場合は、その運転条件が制御装置9に取得されることになる。次に制御装置9は、入力された運転条件が高負荷運転の予想される状態にあるかを判定する(ステップ104)。高負荷運転が予想される状態とは、例えば、その時点で保持されている累積負荷値と比較して、入力された運転条件を実行すると第1所定値L1を越えそうな状況であるかどうかで判定される。この第1所定値L1を越えそうか否かは、上記式1を用いてシミュレーションすることにより判定できる。第1所定値L1を越えそうもない場合はステップ106に進み、第1所定値L1を越えそうな場合は、操作パネル10に高負荷運転又は過度な運転が予想されることを示す警告報知を行う(ステップ105)。この警告のしかたを図8を用いて説明する。
図8は本発明の実施例に係る操作パネル10に表示される画面50を示す図である。この画面50は、遠心分離運転の運転直前の状態である。画面50は、主に、遠心機1の運転状態と運転条件(設定値)を表示するもので、その画面中の上側には、左側から遠心機の運転条件である回転速度表示欄51、運転時間表示欄52、温度表示欄53が設けられ、それぞれの表示欄には、現在の状況(値)と、設定値(SET値)が上下方向に並べて表示される。
ロータ表示欄54には装着されたロータ5の型式番号が表示される。本実施例の遠心機1ではロータ5の回転開始直後に、ロータ5に設けられた図示しない識別子をロータ識別センサ16にて読み取ることによりロータ表示欄54にロータ5の型式番号が表示される(図ではロータ5の回転前なので表示されていない)。ACCEL/DECEL表示欄55は、加速モードと、減速モードの設定を表示するもので、ここをタッチすることにより加速モードは加速勾配を複数の選択肢の中から選択でき、減速モードは減速勾配を複数の選択肢の中から選択できる。ファンクション表示欄56は、プログラム運転の設定や、タイマー運転等の各種機能を設定するための画面である。
スタートボタン59aは遠心分離運転の開始を指示するためのアイコンであり、ストップボタン59bは遠心分離運転の中止を指示するためのアイコンである。バキュームボタン58は、ロータ5の回転に先駆けて回転室4の真空度を下げておく際に用いる真空ポンプ12の起動ボタンとして機能し、また、稼働中の真空ポンプ12を停止させてエアリーク用バルブ13を稼働させるためのボタンでもある。バキュームボタン58はさらに、回転室4内部の真空度を表示する機能をも兼用し、3本のバー表示の点灯によって真空度が高いか低いかを示す。バキュームボタン58の上側には、自動エアリーク機能が有効であることを示す“Auto Release ON”とのメッセージ57(又はアイコン)が表示される。これは、自動エアリーク機能が有効の場合は、少なくとも遠心分離運転中に継続して表示されるものであり、ユーザはこのメッセージを見ることによって手動でエアリークを行う必要が無いことを認識することができる。自動エアリーク機能が無効の場合は、“Auto Release ON”との表示全体を消すようにするか、又は、“Auto Release OFF”と表示すれば良い。尚、“Auto Release ON”とのメッセージが表示されていないときは、バキュームボタン58をタッチことによって、ロータ5の回転速度がエアリーク実行可能な回転数未満に低下した時にエアリークが実行されることになる。
画面50の左下には、運転アドバイス表示欄60が設けられる。ここでは、累積負荷値が上昇して図5の第1所定値L1に到達した際に表示されるもので、ユーザに対する運転アドバイス61として「運転間隔を開けて下さい」と表示する。これは、後続の遠心分離運転を短い間隔で続けておこなうと軸受け等の局所的な温度上昇が許容値を超える虞がある場合に表示される。その他に表示されるアドバイスとして、「室内温度をもっと下げて下さい」等が考えられる。運転アドバイス表示欄60の下側には、図4、図5で示した累積負荷値をバーグラフで表示する使い方指数65が表示される。ここでは10本のバーのうち、8本が塗りつぶされた状態を示している。使い方指数65は、式1にて算出した累積負荷値が図5で示す第2所定値の何%に達しているかを10本のバーによって視覚的に表示するもので、1つのバーの点灯は10%分に対応する。使い方指数65は、累積負荷値が第1所定値L1に到達したら8本のバーが塗りつぶされた状態となり、第2所定値に到達したら10本のバーが塗りつぶされた状態となる。このように表示されているバーの本数を見ることにより、ユーザは遠心機1の受けている負荷が大きいのか小さいのかを即座に視認することができる。また、その負荷の大きい際にどうしたらよいかの情報が運転アドバイス表示欄60にメッセージとして表示されるので、ユーザはとるべき対策を容易に知ることができる。
再び図6に戻り、制御装置9はステップ106において操作パネル10のスタートボタン59aが押下(又はタッチ)されたか否かを判定する(ステップ106)。押下されていない場合はステップ103に戻り、押下された場合、即ち運転開始の場合は真空ポンプ12を稼働させると共にモータ6の回転を開始させる(ステップ107)。実際の遠心機1においては、運転開始後に、真空ポンプ12が稼働し、回転室4の内部の真空度が所定のレベルに到達するまではロータ5を低速で回転させ(真空待機運転)、所定の真空度に到達してからロータ5を設定された回転速度まで加速させる。しかしながら、真空ポンプ12の動作とモータ制御の方法は従来の遠心機と同様であって制御方法の変更はないので、ここでの詳細な説明は省略する。
次に図7のフローチャートに移り、制御装置9は負荷値を算出して、累積負荷値の値を更新する(ステップ108)。累積負荷値の算出方法は、例えば所定の時間間隔毎(例えば1秒おき)に上述した式1を用いれば良い。次に、制御装置9は操作パネル10に「過度な使用である」ことの警告が表示されている最中であるか否かを判定する(ステップ110)。警告が表示中の場合は、算出された累積負荷値が第1の所定値未満であるか否かを判定し(ステップ119)、第1の所定値未満になった場合は、表示画面から「「過度な使用である」ことの警告を解除してステップ108に戻る。ステップ119にて、累積負荷値が第1の所定値以上が継続されている時にはステップ113に進む。
ステップ110において、「過度な使用である」ことの警告が表示されていない状態である場合は、制御装置9は算出された累積負荷値が第1の所定値以上であるか否かを判定し(ステップ111)、第1の所定値以上の場合は、操作パネル10に「過度な使用である」ことの警告を表示する(ステップ112)。ステップ111において累積負荷値が第1の所定値未満である場合はステップ108に戻る。次に、ステップ113において制御装置9は算出された累積負荷値が第2の所定値以上であるか否かを判定し、第2の所定値未満の場合はステップ108に戻る。累積負荷値が第2の所定値以上の場合は、制御装置9はモータ6の回転を停止させて、運転を停止させた旨の報知を行う(ステップ114、115)。この報知のしかたは種々考えられ、例えば操作パネル10にて文字にて表示すると共に、ビープ音やその他の警告音を発すると良い。
ここで図9にて操作パネル10における報知の例を説明する。図9は、図5で示した累積負荷値が第2所定値に到達した際に表示される警告メッセージを示す図である。ここでは、使い方指数65にて10本のバーがすべて塗りつぶされていることから、許容される累積負荷値が上限値に到達していることが明白になる。また、画面50の中央に警告表示窓66が表示されて、そこに「警告! 一旦、運転を停止し、休止して下さい」と表示し、運転が停止されたとの制御装置9による措置と、その後にユーザがどう対応すべきかの指針情報である「休止して下さい」のメッセージを表示する。図9では画面50を白黒表示しているが、実際にはカラー表示による特徴のある色彩表示であっても良いし、警告表示窓66を点滅表示等にして、ユーザが容易に気づくような強調表示としても良い。
再び図7のフローチャートのステップ115に戻る。次に、制御装置9は運転の停止時間に応じて累積負荷値を更新する(ステップ116)。この更新は時間の経過と共に累積負荷値を減少させることになる。次に更新された累積負荷値の値0になったか否かを判定し(ステップ117)、累積負荷値が0になっていない場合は、警告表示窓66(図9参照)の表示状態を継続させたままで、運転開始の再受付を不許可状態のままとしてステップ116に戻る(ステップ118)。ステップ117において累積負荷値が0になったら、警告表示窓66(図9参照)の表示を消して、運転開始の再受付を許可状態とし(ステップ121)、図6のステップ103に戻る。
以上、本実施例によれば、高負荷となる過度な使い方の状態が一定以上継続した場合に、ユーザにその旨が報知され、それでも高負荷状態が継続した場合は、制御装置9が遠心分離運転を停止させる。よって、遠心機1の短寿命化や、故障の可能性を効果的に抑制できる。また、運転前に運転プログラムを入力する際に、高負荷運転であることが予想される場合は、ユーザにその旨を事前報知するので、動作中の本体保護回路の起動に伴う運転の強制停止、すなわち、遠心分離処理の中断などの可能性が抑制され、使いやすくて信頼性の高い遠心機を実現できる。
次に図10を用いて使い方指数65の別の表示態様を説明する。図10の画面50Aは使い方指数65Aの表示態様だけが異なり、それ以外の表示欄51〜53、59a、59b等の表示態様は図8で示した例と同じである。図8の使い方指数65は、横方向に延びる10個のバーの塗りつぶし表示又は白抜き表示によって指数値をデジタル的に表示した。これに対して図10の画面50Aでの使い方指数65Aは、円形のアナログメータとして、その針部が時計方向の8時の位置から4時の位置まで回転可能に構成し、針部の指す向きによって累積負荷値の大きさを示すようにした。針部が8時の位置を示す場合は累積負荷が0であり、4時の位置を示す場合は累積負荷値が100%(累積負荷値が図5の第2の所定値L2)であり、12時の位置を示す場合は累積負荷が50%(累積負荷値が図3に示す第2の所定値の半分)である。図8や図10においては白黒表示を例示しているが、第1の所定値L1を越えた状態の部分の表示を赤色等の視認性がより高いものとし、いわゆる“レッドゾーン”の領域として、ユーザにより強い注意喚起を促すようにしても良い。また、第1の所定値L1未満の近傍のエリア、例えば累積負荷値が70%〜80%のエリアを黄色く表示し、準注意喚起領域としてイエローゾーンで表示しても良い。このように累積負荷値の大きさ比率を示す使い方指数65Aを、デジタルメータや円形のアナログメータ形式で表示しても、作業中の作業者は遠心機1の現在の累積的な負荷量を視覚的に把握することができる。また、負荷の大きさに応じた運転改善のためのアドバイスが、運転アドバイス表示欄60に表示されるので、ユーザは運転アドバイス表示欄60に表示された内容に沿って適切な対応を取ることが可能となる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば上述の実施例では真空ポンプを有し、減圧を行う遠心機を例示したものであるが、真空ポンプを有する減圧型の遠心機に限定されるものではなく、大気圧や不活性ガス雰囲気下等で運転される遠心機や、減圧機能や冷却機能の何れか一方のみを有する方式の遠心機等、公知のあらゆる遠心機に対して適用することが可能である。
1 遠心機 2 筐体 3 ボウル 4 回転室 5 ロータ
6 モータ 7 回転軸 8 ドア 9 制御装置
10 操作パネル 11 冷却装置 12 真空ポンプ
13 エアリーク用バルブ 14 ロータ用温度センサ
15 回転室用温度センサ 16 ロータ識別センサ
17 ドア開閉センサ 18 周囲温度センサ 19 モータ駆動回路
20、25 回転数 30、35 電流 40、45 累積負荷値
50、50A 画面 51 回転速度表示欄 52 運転時間表示欄
53 温度表示欄 54 ロータ表示欄
55 ACCEL/DECEL表示欄 56 ファンクション表示欄
57 Auto Releaseメッセージ 58 バキュームボタン
59a スタートボタン 59b ストップボタン
60 運転アドバイス表示欄 61 運転アドバイス
65、65A 使い方指数 66 警告表示窓 80 ネットワーク
91 中央処理装置(CPU) 92 記憶装置
93 USBインターフェース 94 通信制御装置
95 USBソケット 96 通信ソケット
6 モータ 7 回転軸 8 ドア 9 制御装置
10 操作パネル 11 冷却装置 12 真空ポンプ
13 エアリーク用バルブ 14 ロータ用温度センサ
15 回転室用温度センサ 16 ロータ識別センサ
17 ドア開閉センサ 18 周囲温度センサ 19 モータ駆動回路
20、25 回転数 30、35 電流 40、45 累積負荷値
50、50A 画面 51 回転速度表示欄 52 運転時間表示欄
53 温度表示欄 54 ロータ表示欄
55 ACCEL/DECEL表示欄 56 ファンクション表示欄
57 Auto Releaseメッセージ 58 バキュームボタン
59a スタートボタン 59b ストップボタン
60 運転アドバイス表示欄 61 運転アドバイス
65、65A 使い方指数 66 警告表示窓 80 ネットワーク
91 中央処理装置(CPU) 92 記憶装置
93 USBインターフェース 94 通信制御装置
95 USBソケット 96 通信ソケット
Claims (11)
- 駆動部と、前記駆動部の駆動軸に取り付けられるロータと、前記駆動部を運転条件に応じて制御する制御手段と、前記駆動部の運転状態を報知する報知手段と、を有し、前記ロータの回転を加速させて所定の回転数に到達してから停止に至るまでの遠心分離運転をおこなう遠心機において、
複数回の遠心分離運転にわたって蓄積された累積負荷を算出し、前記累積負荷が第1の値を超えると前記報知手段にて負荷が高いことを報知することを特徴とする遠心機。 - 前記累積負荷は、前記駆動部への負荷が大きくなる高負荷運転状態における高負荷運転時間と、前記駆動部への負荷が小さくなる低負荷運転状態における低負荷運転時間に基づいて算出されることを特徴とする請求項1に記載の遠心機。
- 前記制御手段は、前記高負荷運転状態においては負荷の加算量と運転時間の積を前記累積負荷に対して加算し、前記低負荷運転状態において負荷の低減量と運転時間の積を前記累積負荷に対して減算することを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心機。
- 高負荷運転か低負荷運転であるかは前記駆動部に流れる電流値によって判定し、所定の基準電流I0よりも電流値Iが高い場合は高負荷運転状態であり、低い場合は低負荷運転状態であることを特徴とする請求項3に記載の遠心機。
- 前記累積負荷の算出は、前記駆動部が停止中においても継続されることを特徴とする請求項3又は4に記載の遠心機。
- 前記制御手段は、前記累積負荷が第2の値(>第1の値)を超えると前記駆動部の運転を停止させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の遠心機。
- 前記報知手段として前記ロータの運転状態の表示を行う表示部を設け、
前記制御手段は、前記表示部に前記累積負荷の大きさを表示することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の遠心機。 - 前記表示部における表示は、前記累積負荷を面積比で可視的に表示することを特徴とする請求項7に記載の遠心機。
- 前記遠心機には電源スイッチを有し、
前記電源スイッチがオフにされて再度オンにされた際に、前記オフから再度オンにされた時間の間隔をもとに前記累積負荷を更新することを特徴とする請求項8に記載の遠心機。 - 前記更新は、前記遠心機の電源がオフにされていた停止時間に応じて前記累積負荷の算出値を減算することを特徴とする請求項9に記載の遠心機。
- 前記制御手段には、前記累積負荷を算出するためのマイクロコンピュータと、前記マイクロコンピュータによって算出された累積負荷の値を記録する記憶装置を有することを特徴とする請求項10に記載の遠心機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017085890A JP2018183723A (ja) | 2017-04-25 | 2017-04-25 | 遠心機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017085890A JP2018183723A (ja) | 2017-04-25 | 2017-04-25 | 遠心機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018183723A true JP2018183723A (ja) | 2018-11-22 |
Family
ID=64357302
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017085890A Pending JP2018183723A (ja) | 2017-04-25 | 2017-04-25 | 遠心機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018183723A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021140815A1 (ja) * | 2020-01-07 | 2021-07-15 | ソニーグループ株式会社 | 情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法、並びにプログラム |
-
2017
- 2017-04-25 JP JP2017085890A patent/JP2018183723A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021140815A1 (ja) * | 2020-01-07 | 2021-07-15 | ソニーグループ株式会社 | 情報処理装置、情報処理システム、および情報処理方法、並びにプログラム |
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