[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態に係る光受信装置の試験方法は、偏光方向が互いに直交する二つの偏光成分を含む信号光を一方の偏光成分と他方の偏光成分とに分岐する偏光ビームスプリッタを有し、偏光ビームスプリッタを通過した各偏光成分から電気信号を生成する光受信装置を試験する方法であって、光受信装置の信号光入力ポートに対し、偏光方向が互いに直交する第1の光及び第2の光を偏波合成器を用いて合成した試験光を導入しつつ、電気信号を測定する工程を含む。
この試験方法では、偏光方向が互いに直交する第1及び第2の光を偏波合成器によって合成し、信号光に代わる試験光として偏光ビームスプリッタに導入する。このとき、第1及び第2の光の偏光方向が互いに直交するので、試験光と偏光ビームスプリッタとの光軸周りの相対角度にかかわらず、偏光ビームスプリッタ通過後の光強度の変動を抑えることができる。すなわち、相対角度が或る一方向にずれた場合、第1の光については分岐後の一方の偏光成分の光強度が減り、他方の偏光成分の光強度が増すが、第2の光については分岐後の一方の偏光成分の光強度が増し、他方の偏光成分の光強度が減る。従って、分岐後の第1の光の偏光成分と第2の光の偏光成分とを合わせた光強度は常に一定であり、試験光と偏光ビームスプリッタとの光軸周りの相対角度の影響を殆ど受けない。これにより、図6に示された偏波コントローラ222による偏光方向の調整をしなくても、分岐後の試験光の光強度を精度良く所定の大きさにできる。従って、上記の試験方法によれば、光受信装置の試験を容易に且つ精度良く行うことができる。
また、電気信号を測定する工程では、第1の光及び第2の光を複数の光検知手段で検知することで、二つの偏光成分の測定を同時になしてもよい。
また、試験光は、1つの出力光を分岐し、偏光方向を互いに直交させた後に偏波合成器を用いて合成させてなるものであってもよい。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光受信装置の試験方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る試験方法の対象である光受信装置としてのコヒーレントレシーバ1を概略的に示す平面図である。コヒーレントレシーバ1は、局発光(Local Beam:Lo光)と信号光(Signal Beam:Sig光)とを干渉させ、位相変調された信号光に含まれる情報を復調する装置である。復調された情報は電気信号に変換されてコヒーレントレシーバ1の外部に出力される。コヒーレントレシーバ1は、局発光、信号光それぞれに対する光学系と、二つの多モード干渉器(Multi-Mode Interference:MMI)40,50とを備える。更に、コヒーレントレシーバ1は、これらの光学系とMMI40,50とを収容する筐体2を備える。光学系及びMMI40,50は、ベースを介して筐体2の底面2E上に搭載されている。ベースは、アルミナ(Al2O3)若しくは窒化アルミニウム(AlN)等の絶縁材料によって構成される。また、底面2E上には、復調された情報を処理する回路を搭載する回路基板46,56が搭載されている。二つのMMI40,50は半導体MMIであり、たとえばInP製である。MMI40は、Lo光導入口41及びSig光導入口42を有し、Lo光導入口41に入力された局発光と、Sig光導入口42に入力された信号光とを干渉させることにより、信号光の位相情報を復調する。同様に、MMI50は、Lo光導入口51及びSig光導入口52を有し、Lo光導入口51に入力された局発光と、Sig光導入口52に入力された信号光とを干渉させることにより、信号光の位相情報を復調する。なお、本実施形態では二つのMMI40,50が互いに独立して設けられているが、これらは一体に集積化されていてもよい。
筐体2は、前壁2Aを有する。以下の説明において、前壁2A側を前方、反対側を後方と呼ぶ。但し、これら前方/後方はあくまでも説明のためだけであり、本発明の範囲を制限するものではない。前壁2Aには、Lo光入力ポート5及びSig光入力ポート6が、たとえばレーザ溶接により固定されている。Lo光入力ポート5には偏波保持ファイバ35を介して局発光L0が提供され、Sig光入力ポート6には単一モードファイバ36を介して信号光N0が提供される。入力ポート5,6は、それぞれコリメートレンズを有しており、偏波保持ファイバ35、単一モードファイバ36から出射された局発光L0、信号光N0(それぞれのファイバから出射された状態では発散光)をそれぞれコリメート光に変更して筐体2内に導く。
Lo光用光学系は、Lo光入力ポート5から提供されたLo光をMMI40,50のLo光導入口41,51に導く。具体的には、Lo光用光学系は、偏光子(polarizer)11、光分波器(Beam Splitter:BS)12、反射器13、二つのレンズ群14,15、スキュー調整素子16、及び減衰器71を含む。なお、スキュー調整素子16及び減衰器71は、必要でなければ省かれてもよい。
偏光子11はLo光入力ポート5に光結合し、Lo光入力ポート5から提供された局発光L0の偏波方向を整える。局発光L0の光源は、極めて扁平な楕円偏光を出力する。また、局発光L0の光源が直線偏光を出力したとしても、光源からこのコヒーレントレシーバ1に至る光経路に挿入された光部品の実装精度などにより、Lo光入力ポート5から入力される局発光L0が所望の方向に沿った直線偏光を有しているわけではない。偏光子11は、Lo光入力ポート5から入力された局発光L0を、所望の偏光方向(たとえば底面2Eに平行な方向)を有する直線偏光に変換する。
BS12は、偏光子11から出力される局発光L0を二分岐する。分岐比は50:50である。分岐された一方の局発光L1はBS12を直進してMMI40に向かう。他方の局発光L0は、BS12によりその光軸を90°変換され、さらに、反射器13により再度その光軸を90°変換されてMMI50に向かう。なお、図1に示されるBS12及び反射器13はプリズム型であり、互いに張り合わされた二つのプリズムの界面が光分岐面あるいは光反射面とされている。しかしながら、BS12及び反射器13はプリズム型に限定されず、いわゆる平板型のBS及び反射器であってもよい。
レンズ群14は、BS12とMMI40との間の光路上に配置され、BS12によって分岐された一方の局発光L1を、MMI40のLo光導入口41に集光する。レンズ群15は、反射器13とMMI50との間の光路上に配置され、BS12によって分岐され反射器13において反射した他方の局発光L2を、MMI50のLo光導入口51に集光する。レンズ群14,15は、それぞれMMI40,50に相対的に近接配置された第1レンズ14b,15b、及び相対的にMMI40,50から離間して配置された第2レンズ14a,15aを有する。このように、第1レンズ14b,15bと第2レンズ14a,15aとを組み合わせて集光レンズとすることによって、MMI40,50の小さなLo光導入口41,51に対する局発光L1,L2の光結合効率を高めることができる。
スキュー調整素子16は、BS12とレンズ群14との間の光路上に配置され、BS12によって分岐された二つの局発光L1,L2の、BS12から各Lo光導入口41,51に至る光学長の差を補正する。すなわち、局発光L2の光路長は、BS12から反射器13に至る光路長の分だけ局発光L1の光路長よりも長い。スキュー調整素子16は、この光路長差、換言すると各Lo光導入口41,51に至るまでの局発光L1,L2の時間差を補償する。スキュー調整素子16はシリコン製であり、また、局発光L1,L2に対する透過率は99%程度と、局発光L1,L2の波長に対しては実質透明な材料で構成される。
Sig光用光学系は、偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter:PBS)21、反射器22、二つのレンズ群23,24、半波長(λ/2)板25、スキュー調整素子26、及び減衰器81を含む。なお、スキュー調整素子26及び減衰器81は、必要でなければ省かれてもよい。
PBS21は、Sig光入力ポート6に光結合し、単一モードファイバ36からSig光入力ポート6を介して提供された信号光N0の二つの偏光成分を分岐する。分岐比は例えば50:50である。単一モードファイバ36が提供する信号光N0の偏光方向は不定である。PBS21は、信号光N0の偏光方向に基づいてこれを二分する。たとえば、PBS21は、信号光N0のうち、筐体2の底面2Eに平行な偏光成分を透過して信号光N1とし、底面2Eに垂直な偏光成分を反射して信号光N2とする。
PBS21を透過した信号光N1は、減衰器81及びスキュー調整素子26を透過した後、レンズ群23によりMMI50のSig光導入口52に光結合する。スキュー調整素子26は、PBS21とレンズ群23との間の光路上に配置され、PBS21によって分岐された二つの信号光N1,N2の、PBS21から各Sig光導入口42,52に至る光学長の差を補正する。すなわち、信号光N2の光路長は、PBS21から反射器22に至る光路長の分だけ信号光N1の光路長よりも長い。スキュー調整素子26は、この光路長差、換言すると各Sig光導入口42,52に至るまでの信号光N1,N2の時間差を補償する。スキュー調整素子26は、スキュー調整素子16と同様の材料により構成される。
PBS21により反射された他方の信号光N2は、λ/2板25を通過する間にその偏光方向が90°回転される。分岐直後の信号光N1,N2の偏光は互いに直交している。信号光N2についてλ/2板25を通過させることで、信号光N2の偏光方向は90°回転され、他方の信号光N1と同様となる。そして、信号光N2は反射器22によりその光軸が90°変換され、MMI40のSig光導入口42にレンズ群24を介して光結合される。なお、図1に示されるPBS21及び反射器22はプリズム型であり、互いに張り合わされた二つのプリズムの界面が光分岐面あるいは光反射面とされている。しかしながら、PBS21及び反射器22はプリズム型に限定されず、透明平板部材の表面に光分岐機能或いは光反射機能を持たせた、いわゆる平板型のPBS及び反射器であってもよい。
レンズ群23は、PBS21とMMI50との間の光路上に配置され、PBS21によって分岐された一方の信号光N1を、MMI50のSig光導入口52に集光する。レンズ群24は、反射器22とMMI40との間の光路上に配置され、PBS21によって分岐され反射器22において反射した他方の信号光N2を、MMI40のSig光導入口42に集光する。レンズ群23,24は、それぞれMMI50,40に相対的に近接配置された第1レンズ23b,24b、及び相対的にMMI50,40から離間して配置された第2レンズ23a,24aを有する。このように、第1レンズ23b,24bと第2レンズ23a,24aとを組み合わせて集光レンズとすることによって、MMI50,40の小さなSig光導入口52,42に対する信号光N1,N2の光結合効率を高めることができる。
MMI40は、マルチモード干渉導波路(MMI導波路)と、この導波路に光結合したフォトダイオード(PD)とを含む。MMI導波路は、たとえばInP基板上に形成された導波路であり、Lo光導入口41に入力された局発光L1と、Sig光導入口42に入力された信号光N2とを干渉させて、信号光N2に含まれている情報を、局発光L1の位相に一致する位相成分と、局発光L1の位相と90°異なる位相成分とに分離して復調する。すなわち、MMI40は、信号光N2について二つの独立した情報を復調する。同様に、MMI50は、MMI導波路と、この導波路に光結合したPDとを含む。MMI導波路はInP基板上に形成された導波路であり、Lo光導入口51に入力された局発光L2と、Sig光導入口52に入力された信号光N1とを干渉させて、二つの互いに独立した情報を復調する。
筐体2は、前壁2Aとは反対側に後壁2Bを有する。また、筐体2は、前壁2Aと後壁2Bとを接続する二つの側壁から後壁2Bにわたって連続して設けられたフィードスルー61を有する。後壁2Bのフィードスルー61には複数の信号出力端子65が設けられ、MMI40,50によって復調された4つの独立情報は、集積回路43,53において信号処理された後、これらの信号出力端子65を介してコヒーレントレシーバ1の外部に導かれる。集積回路43,53には、アンプが実装されている。また、二つの側壁には別の端子66,67が設けられている。端子66,67は、MMI40,50を駆動するための信号、各光部品を駆動するための信号といったDCあるいは低周波の信号を筐体2内部に提供する。集積回路43,53それぞれは、MMI40,50を取り囲む回路基板46,56それぞれの上に実装されている。さらに、これらの回路基板46,56上には、抵抗素子、容量素子、また必要に応じてDC/DC変換器が実装される。
なお、MMI40に対する局発光L1の光結合効率が、MMI40に対する信号光N2の光結合効率よりも大きいとき、減衰器71が配置される。同様に、MMI50に対する信号光N1の光結合効率が、MMI50に対する局発光L2の光結合効率よりも大きいとき、減衰器81が配置される。これらの減衰器71,81により、MMI40,50に対する局発光L2,L1の結合効率と、信号光N1,N2の結合効率とを同程度に設定することが可能となり、MMI40,50での情報復調精度の劣化を抑制することができる。
コヒーレントレシーバ1は、Sig光入力レンズ27、可変光減衰器(VOA)31、BS32、及びモニタ用PD33を、PBS21とSig光入力ポート6との間の信号光N0の光路上に更に備える。BS32は、Sig光入力ポート6から入力された信号光N0を分離する。分離された信号光N0の一部は、モニタ用PD33に入射する。モニタ用PD33は、信号光N0の強度に応じた電気信号を生成する。
VOA31は、BS32を通過した信号光N0を必要に応じて減衰する。減衰度は、コヒーレントレシーバ1の外部からの電気信号によって制御される。例えば、上述したモニタ用PD33からの電気信号に基づいて過入力状態が検知された場合には、VOA31の減衰度を大きくして、MMI40,50に向かう信号光N1,N2の強度を小さくする。Sig光入力レンズ27は、VOA31を通過した信号光N0を平行化(コリメート)する。なお、VOA31は、Sig光入力ポート6の集光レンズとSig光入力レンズ27との間に形成されるビームウェストに位置することが望ましい。これにより、VOA31の開口に対して十分に絞られたビーム径を確保できる。また、Sig光入力レンズ27によって信号光N0がコリメート光となることにより、MMI40,50までの光路において高い結合効率を確保できる。BS32、VOA31、及びモニタ用PD33は、筐体2の底面2Eに搭載されたVOAキャリア30上に固定される。VOAキャリア30は、段差を形成する上下二つの面にこれらの光部品を搭載する。具体的には、一方の面にBS32及びモニタ用PD33を搭載し、他方の面にVOA31を搭載する。
図2は、コヒーレントレシーバ1の動作試験を実施するための試験システム100の構成の一例を示す図である。図2に示されるように、第1の光源(例えば半導体レーザ)112a及び第2の光源(例えば半導体レーザ)112bは、例えば偏波保持ファイバを介して偏波合成器(偏波ビームコンバイナ)113に光学的に結合され、偏波合成器113は、例えば偏波保持ファイバを介してコヒーレントレシーバ1のSig光入力ポート6に光学的に結合されている。第3の光源112cは、例えば光ファイバを介してコヒーレントレシーバ1のLo光入力ポート5に光学的に結合される。
なお、第1の光源112a及び第2の光源112bは、1つの光源であっても良い。図3は、コヒーレントレシーバ1の動作試験を実施するための試験システム101の構成の他の例を示す図である。図3に示されるように、1つの第4の光源112d(例えば半導体レーザ)から出力された出力光LS5をビームスプリッタ(BS)114で分岐し、分岐した2つの光LS6,LS7の少なくとも1つの光を偏光板(偏光子)115を用いて互いに直交させる。この偏光板115を用い偏光方向を互いに直交させた2つの光LS6,LS7を偏波合成器113によって合成させる。具体的には、2つの光LS6,LS7は、次のような動きをしたのち、偏波合成器113に到達する。すなわち、2つの光LS6,LS7のうち一方の光LS6は、BS114を直進したのち偏波合成器113に到達する。そして、他方の光LS7は、BS114によりその光軸を90°変換され、更に、反射器116により再度その光軸を90°変換されて偏光板115を直進する。このとき、偏光板115は、他方の光LS7の偏波方向を90°回転させる。その後、他方の光LS7は、反射器117によりその光軸を90°変換され偏波合成器113に到達する。このように光源を2つ用意しなくても偏光方向が直交した第1及び第2の光LS6,LS7を含む試験光LS8を出力することができる。なお、この偏波合成を行う際には、光路長による位相差が発生しないように遅延器118などを用いる。遅延器118は、例えばBS114と偏波合成器113との間の光路上に配置される。遅延器118は、BS114により分岐した2つの光LS6,LS7の、BS114から偏波合成器113に至る光路長の差を補正する。このような試験光LS8を用いることで、光源が2つあることによる光源の違いによる位相差などを考慮することもない。また、光源(すなわち第4の光源112d)が1つなので、コストも削減できる。
ここで、図4は、偏波合成器113の構成例を示す斜視図である。図4に示すように、偏波合成器113は、2本の偏波保持ファイバが中央部において結合された構成を備え、2つの入力端113a,113bと、一つの出力端113cとを有する。2つの入力端113a,113bは2本の偏波保持ファイバの各一端面であり、一方の入力端113aには第1の光源112aが光学的に結合され、他方の入力端113bには第2の光源112bが光学的に結合される。出力端113cは、Sig光入力ポート6に光学的に結合される。
再び図2を参照する。コヒーレントレシーバ1の複数の信号出力端子65は、治具130と電気的に接続されている。治具130は、4つの差動信号V1〜V4に対応する8個の出力端を有しており、これらの出力端は、オシロスコープ140に電気的に接続される。オシロスコープ140は、差動信号V1〜V4の時間波形をモニタする。
次に、上記の試験システムを用いたコヒーレントレシーバ1の試験方法について説明する。まず、第1の光源112a及び第2の光源112bから偏光方向が互いに異なる第1の光LS1及び第2の光LS2がそれぞれ出力され、第1の光LS1及び第2の光LS2は、偏波合成器113により合成され、試験光LS4となって偏波合成器113から出力される。一方、第3の光源112cからは第3の光LS3が出力される。第3の光LS3は第1の光LS1及び第2の光LS2とは異なる波長を有する。一例では、第1の光LS1及び第2の光LS2の波長は1550.116nm(193.4THz)であり、第3の光LS3の波長は1550.108nm(193.401THz)である。第1の光LS1及び第2の光LS2の各光強度は、互いに等しくされる。第1の光LS1、第2の光LS2及び第3の光LS3は、連続光である。第1及び第2の光LS1,LS2は、図4に示されるように、その偏光方向を維持しつつ偏波合成器113の中央部に進み、該中央部において互いに合成される。合成された試験光LS4は、互いに直交する2つの偏光面を有する光となり、その偏光方向を維持しつつ出力端113cから出力される。なお、図4では一例として、第1の光LS1の偏光方向が偏波保持ファイバのスロー軸方向に沿っており、第2の光LS2の偏光方向が偏波保持ファイバのファスト軸方向に沿っている場合を示している。そして、偏波合成器113から出力された試験光LS4、及び第3の光LS3は、コヒーレントレシーバ1において干渉し、その干渉光の強度変化に応じた差動信号V1〜V4に変換されたのち、治具130を介してオシロスコープ140に入力する。これにより、差動信号V1〜V4の時間波形が測定される。
これらの差動信号V1〜V4の時間波形を観察しながら、コヒーレントレシーバ1の出力信号特性試験を行う。出力信号特性試験とは、例えば、集積回路43,53のアンプの出力試験といった試験である。
また、コヒーレントレシーバ1にあるMMI40,50に内蔵している複数の受光素子(光検知手段)PDにおいて干渉光を受光することで、偏光方向が互いに異なる第1の光LS1及び第2の光LS2を同時に検知することができる。これにより、MMI40,50に内蔵している複数の受光素子PDの受光感度試験を同時に実施することができる。
以上に説明した、本実施形態による試験方法によって得られる効果は次のとおりである。この試験方法では、偏光方向が互いに直交する第1の光LS1及び第2の光LS2を偏波合成器113によって合成し、信号光N0に代わる試験光LS4としてPBS21に導入する。このとき、第1の光LS1及び第2の光LS2の偏光方向が互いに直交するので、試験光LS4とPBS21との光軸周りの相対角度にかかわらず、PBS21通過後の光強度の変動を抑えることができる。すなわち、相対角度が或る一方向にずれた場合、第1の光LS1については分岐後の一方の偏光成分の光強度が減り、他方の偏光成分の光強度が増すが、第2の光LS2については分岐後の一方の偏光成分の光強度が増し、他方の偏光成分の光強度が減る。従って、PBS21による分岐後の第1の光LS1の偏光成分と第2の光LS2の偏光成分とを合わせた光強度は常に一定であり、試験光LS4とPBS21との光軸周りの相対角度の影響を殆ど受けない。従って、本実施形態の試験方法によれば、図6に示された偏波コントローラ222による偏光方向の調整をしなくても、分岐後の試験光LS4の光強度を精度良く所定の大きさにできる。従って、本実施形態の試験方法によれば、コヒーレントレシーバ1の試験を容易に且つ精度良く行うことができる。
また、図6に示された試験方法では、各偏光成分を個別に入力する必要があるので、XI成分及びXQ成分の取得と、YI成分及びYQ成分の取得とを分けて行う必要がある。すなわち、各偏光成分ごとに試験を2回行う必要がある。これに対し、本実施形態の試験方法では、第1及び第2の光LS1,LS2を合成した試験光LS4をPBS21に導入するので、XI成分及びXQ成分と、YI成分及びYQ成分とを同時に取得することができる。すなわち、試験が1回で済むという利点がある。
本発明による光受信装置の試験方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では第1及び第2の光の波長を互いに異ならせて試験光と第3の光との干渉を利用した試験方法を例示しているが、第1及び第2の光の波長を等しくして試験光のみを光受信装置に入力し、MMIの内蔵PDの受光感度を試験してもよい。また、上記実施形態では光受信装置の例としてコヒーレントレシーバを挙げているが、これに限らず偏光ビームスプリッタを通過した各偏光成分から電気信号を生成する光受信装置であれば、本発明を適用できる。また、上記実施形態では偏波合成器として図4に示されるものを例示したが、偏波合成器は偏波保持型カプラ(例えば偏波保持型WDMカプラ或いは偏波保持型Tapカプラ)であってもよい。