JP2018181501A - ガス遮断器 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱パッファ室と機械パッファ室との圧力損失を低減し、熱パッファ室の圧力を高め、中小電流遮断性能を向上させることが課題である。
【解決手段】密封タンク14内に可動側電極と固定側電極を対向して設け、前記可動側電極は可動側主電極2と可動側アーク電極4を有し、前記固定側電極は固定側主電極3と固定側アーク電極5を有し、前記可動側アーク電極はシャフト6を介して操作器1に接続され、前記可動側アーク電極の外周に同軸上に設けられたシリンダ20とシャフトによって熱パッファ室9と機械パッファ室7が構成され、前記機械パッファ室は前記熱パッファ室に直列に設けられ、前記熱パッファ室に連通する空間を形成する絶縁ノズル8を有するガス遮断器において、前記熱パッファ室内には自在に移動可能な浮遊板10と前記浮遊板の移動範囲を規定するストッパー12が設けられることを特徴とするガス遮断器。
【選択図】 図1
【解決手段】密封タンク14内に可動側電極と固定側電極を対向して設け、前記可動側電極は可動側主電極2と可動側アーク電極4を有し、前記固定側電極は固定側主電極3と固定側アーク電極5を有し、前記可動側アーク電極はシャフト6を介して操作器1に接続され、前記可動側アーク電極の外周に同軸上に設けられたシリンダ20とシャフトによって熱パッファ室9と機械パッファ室7が構成され、前記機械パッファ室は前記熱パッファ室に直列に設けられ、前記熱パッファ室に連通する空間を形成する絶縁ノズル8を有するガス遮断器において、前記熱パッファ室内には自在に移動可能な浮遊板10と前記浮遊板の移動範囲を規定するストッパー12が設けられることを特徴とするガス遮断器。
【選択図】 図1
Description
本発明は電力系統における短絡電流の電流遮断時に絶縁ガスを吹き付け、アークを消孤するガス遮断器に関する。
ガス遮断器は電力系統において、相間短絡や地絡などで生じる事故電流を遮断するためのものである。従来、パッファ形ガス遮断器が広く使われている。このパッファ形ガス遮断器は、可動アーク接触子と直結した可動パッファシリンダによって、消弧性ガスを機械的に圧縮して高圧のガス流を発生し、可動アーク接触子と固定アーク接触子の間に発生したアークに吹き付けて電流を遮断するものである。遮断性能はパッファ室の圧力上昇に依存するため、従来の機械的圧縮による圧力上昇に加え、アークの熱エネルギーを積極的に利用して圧力を上昇させる熱パッファ併用形ガス遮断器も広く使われている。熱パッファ形ガス遮断器は、アークの熱エネルギーを利用して消弧性ガスの吹き付け圧力を形成するもので、遮断動作に必要な操作エネルギーを従来の機械的に圧縮する方式と比較して低減することができる。
図1に熱パッファ形ガス遮断器の構造を示す。ガス遮断器は絶縁ガスが充填されたタンク14内に収納されている。固定側アーク電極と可動側アーク電極は電気的に接続されているが、電力系統の短絡故障時に開極指令が伝えられるとシャフトを介して操作器により可動側は操作器方向に動作し、固定側アーク電極と可動側アーク電極が物理的に開離された状態に移行する。電極が開離した後も、固定側アーク電極と可動側アーク電極間には電流が流れ、アークが発生する。熱パッファ室ではアークで発生した熱エネルギーを利用して消弧性ガスの吹き付け圧力を形成し、アーク接触子間に消弧性ガスを吹き付け、アークを消滅させる。
特に、大電流遮断時には、アークの熱エネルギーが大きく、熱パッファ室の圧力は著しく上昇するため、十分な遮断性能を確保できる。一方、中小電流遮断時(例えば、20kA以下)には、アークの熱エネルギーが小さく、熱パッファ室の圧力上昇は小さい。そのため、ピストンの圧縮で圧力を得る機械パッファ室を利用して、熱パッファ室の圧力を上昇させ、電流遮断に必要な圧力を得ている。
特許文献1では、中小電流遮断時の熱パッファ室の圧力を高めるため、熱パッファ室と機械パッファ室との連通穴に設けた逆止弁にばねを設けることで、逆止弁の動作を制御して熱パッファ室の圧力を高めている。
特許文献1にかかる逆止弁構造では、熱パッファ室と機械パッファ室との連通穴の圧力損失により、中小電流遮断時の熱パッファ室の圧力を十分に高めることができない。これは機械パッファ室の圧力を十分に高めたとしても、連通穴の圧力損失により熱パッファ室側に十分に圧力を伝えられないためである。
そこで、本願発明の課題は、熱パッファ室と機械パッファ室との圧力損失を低減し、熱パッファ室の圧力を高め、中小電流遮断性能を向上させることである。
本願発明は、密封タンク内に可動側電極と固定側電極を対向して設け、前記可動側電極は可動側主電極と可動側アーク電極を有し、前記固定側電極は固定側主電極と固定側アーク電極を有し、前記可動側アーク電極はシャフトを介して操作器に接続され、前記可動側アーク電極の外周に同軸上に設けられたシリンダとシャフトによって熱パッファ室と機械パッファ室が構成され、前記機械パッファ室は前記熱パッファ室に直列に設けられ、前記熱パッファ室に連通する空間を形成する絶縁ノズルを有するガス遮断器において、前記熱パッファ室内には自在に移動可能な浮遊板と前記浮遊板の移動範囲を規定するストッパーが設けられることを特徴とする。
本発明によれば、熱パッファ室と機械パッファ室との圧力損失を低減し、熱パッファ室の圧力を高めることができ、中小電流遮断性能を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、実施例1に係る熱パッファ室内に浮遊板を備えたガス遮断器の投入状態を示す断面図である。図1に示すように、ガス遮断器は、可動側が操作器1にシャフト6の一端が連結される。シャフト6の他端は可動アーク電極4に連結される。可動アーク電極4と同軸状に絶縁ノズル8及び可動側主電極2が設けられる。可動側主電極2が連結するシリンダ20の内側の空間に熱パッファ室9(熱膨張室)と機械パッファ室7(機械的圧縮室)が直列に形成される。遮断部が投入状態では、操作器1の油圧やばねによる駆動源により、可動側主電極2と固定側主電極3を導通させる位置に設定され、通常時の電力系統の回路を構成する。
落雷などによる短絡電流を遮断する際には、操作器1を開極方向に動作し、シャフト6を介し可動側主電極2及び固定側主電極3を引き離す。これらの2つの主電極が開離した後、可動アーク電極4と固定アーク電極5(アーク接触子)が開離し、その間にアークが生成される。
この2つのアーク電極間に生成されるアークには、熱パッファ室で形成された高圧が固定アーク電極5と可動アーク電極4間に発生したアークに吹付けられ、アークが消滅する。
図2は、大電流遮断時の浮遊板と逆止弁の位置の説明図である。熱パッファ室9内に浮遊板10を設け、浮遊板10には逆止弁11の移動範囲を規定するガイド19を設けている。浮遊板10は固定されておらず、熱パッファ室9内に設けた浮遊板10の浮遊板ストッパー12が位置する範囲内を自在に移動できる。例えば、浮遊板ストッパー12の設置位置は、浮遊板の圧縮量が熱パッファ室9の容積の1/2以上となる位置に設けるようにすると良い。
浮遊板10には機械パッファ室7の圧力を熱パッファ室9に供給するための穴18が設けられている。逆止弁11も同様、どこにも固定されておらず、浮遊板10に設けた逆止弁11の移動範囲を規定するガイド19内を自在に移動できる。
図2のように、大電流遮断時には、アーク接触子(図示していない)に発生するアークの熱エネルギーが大きく、機械パッファ室7の圧力と比べ、熱パッファ室9の圧力の方が非常に高いため、浮遊板10は熱パッファ室9と機械パッファ室7との仕切り板13に設けられた連通穴17を塞ぎ、逆止弁11は浮遊板10に設けられた穴18を塞ぐ位置に移動する。その後、電流零点でアーク接触子間のアークが減衰し、アーク接触子間の圧力と比べ、熱パッファ室9の圧力が高く、十分な差圧が生じ、熱パッファ室9からアーク接触子間に消弧性ガスを吹き付けることができる。
図3に中小電流遮断時の浮遊板と逆止弁の位置を示す。中小電流遮断時には、アーク接触子(図示していない)に発生するアークの熱エネルギーが小さく、機械パッファ室7の圧力と比べ、熱パッファ室9の圧力の方が低いため、この圧力差により、浮遊板10は浮遊板ストッパー12まで移動する。この浮遊板10の動作、すなわち、熱パッファ室9内を圧縮することで、熱パッファ室9内の圧力を高めることができる。
次に逆止弁11がアーク接触子方向に移動し、浮遊板10に設けられたガイド19で停止した状態となる。大電流遮断時と同様に、電流零点でアーク接触子間のアークが減衰し、アーク接触子間の圧力と比べ、熱パッファ室9の圧力が高く、十分な差圧が生じ、熱パッファ室9からアーク接触子間に消弧性ガスを吹き付けることができる。
図4に浮遊板10がない場合の従来のガス遮断器の熱パッファ室と機械パッファ室の圧力の時間変化の説明図を示し、図5に浮遊板10がある場合の実施例1の熱パッファ室と機械パッファ室の圧力の時間変化の説明図を示し、浮遊板10による熱パッファ室9の圧力上昇の原理を説明する。図4のように浮遊板10がない場合、機械パッファ室7の圧力はピストンの圧縮により上昇するが、熱パッファ室9と機械パッファ室7の連通穴17と逆止弁11間の隙間の最小面積での圧力損失が大きく、熱パッファ室9の圧力は機械パッファ室7の圧力の半分程度となる。
一方、図5のように浮遊板10がある場合、時刻ab間は浮遊板10が動作する区間であり、熱パッファ室9と機械パッファ室7の圧力上昇は一致している。これは、浮遊板10が熱パッファ室9を圧縮することで、圧力が上昇するためである。時刻bc間では浮遊板10は停止した状態であるが、機械パッファ室7は圧縮されるため、圧力は上昇する。このとき、逆止弁11がアーク接触子方向に移動し、浮遊板10に設けられたガイド19で停止した状態となっており、浮遊板10の穴18が開いた状態であり、機械パッファ室7の圧力が熱パッファ室9に供給されるため、圧力は上昇するが、浮遊板10での穴18の圧力損失が生じるため、機械パッファ室7の圧力の方が熱パッファ室9より圧力損失分だけ高くなる。このとき、熱パッファ室9と機械パッファ室7の連通穴17が最小面積となり、浮遊板10なしのときの連通穴17と逆止弁11間の隙間の最小面積より大きくなり、機械パッファ室7の圧力の最大値は浮遊板10がある方が小さくなる。時刻cd間はピストンの圧縮動作が終了するため、熱パッファ室9と機械パッファ室7の圧力は低下していく。
浮遊板10は投入動作によって、機械パッファ室7の圧力が負圧になるため、熱パッファ室9と機械パッファ室7との仕切りに設けられた連通穴17を塞ぐ位置まで戻るため、次の遮断が中小電流遮断でも上記と同様の効果を得ることができる。
本実施例によれば、熱パッファ室9と機械パッファ室7との圧力損失を低減し、熱パッファ室9の圧力を高めることができ、中小電流遮断性能を向上させることができる。
以下、図6に基づいて実施例2を説明する。図6は、実施例2に係る熱パッファ室内に浮遊板を備えたガス遮断器の投入状態を示す断面図である。実施例2では実施例1の構造に引き戻しばね15を追加した構造である。引き戻しばね15は浮遊板ストッパー12と浮遊板10間に設ける。これは、ばね力を変更することで、浮遊板10の動作特性を調整するためである。ばね力を大きく設定することで、機械パッファ室7の圧力と熱パッファ室9の圧力間の圧力差を大きくでき、浮遊板10の移動速度を上昇させ、浮遊板10の動作中の熱パッファ室9の圧力上昇率を高める効果が得られる。また、遮断動作終了後に確実に熱パッファ室9と機械パッファ室7との仕切り板13に設けられた連通穴17を塞ぐ位置まで戻すことが可能となる。
実施例2によれば、実施例1の効果に加えて、浮遊板10の動作中の熱パッファ室9の圧力上昇率を高める効果が得られ、また、浮遊板10を遮断動作終了後に確実に熱パッファ室9と機械パッファ室7との仕切り板13に設けられた連通穴17を塞ぐ位置まで戻すことが可能となる。
以下、図7に基づいて実施例3を説明する。図7は実施例3に係る熱パッファ室内に浮遊板を備えたガス遮断器の遮断状態を示す断面図である。実施例3では実施例1の構造に逆止弁ストッパー16を設け、浮遊板10の逆止弁のガイド19を取り除いた構造である。これは、浮遊板10から逆止弁11のガイド19を取り除くことで、浮遊板10を軽量化でき、スムーズに動作させるためである。
実施例3によれば、実施例1の効果に加えて、浮遊板10を軽量化でき、スムーズに動作させることが可能となる。
以上のように、アークの熱エネルギーが期待できない中小電流遮断時において、熱パッファ室内に浮遊板10を設置することで、熱パッファ室9の圧力が上昇し、アーク接触子と熱パッファ室9との間に十分な圧力差が生じ、熱パッファ室9からアーク接触子間に消弧性ガスを吹き付けることができる。
上記実施例では固定アーク電極5は固定されているが、可動側の可動アーク電極4に対向するアーク電極が相対的に可動する、双駆動遮断器に上記実施例で説明した浮遊板10を熱パッファ室9内に設置しても上記実施例と同様の効果を得られる。本実施例では絶縁ガスとしてSF6を使用したが、絶縁ガスの種類はSF6に限られるものでなく、乾燥空気・窒素ガス等他の絶縁ガスを使用できる。
上記実施例では固定アーク電極5は固定されているが、可動側の可動アーク電極4に対向するアーク電極が相対的に可動する、双駆動遮断器に上記実施例で説明した浮遊板10を熱パッファ室9内に設置しても上記実施例と同様の効果を得られる。本実施例では絶縁ガスとしてSF6を使用したが、絶縁ガスの種類はSF6に限られるものでなく、乾燥空気・窒素ガス等他の絶縁ガスを使用できる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1:操作器
2:可動側主電極
3:固定側主電極
4:可動アーク電極
5:固定アーク電極
6:シャフト
7:機械パッファ室
8:絶縁ノズル
9:熱パッファ室
10:浮遊板
11:逆止弁
12:浮遊板ストッパー
13:仕切り板
14:タンク
15:引き戻しばね
16:逆止弁ストッパー
17:連通穴
18:穴
19:ガイド
20:シリンダ
2:可動側主電極
3:固定側主電極
4:可動アーク電極
5:固定アーク電極
6:シャフト
7:機械パッファ室
8:絶縁ノズル
9:熱パッファ室
10:浮遊板
11:逆止弁
12:浮遊板ストッパー
13:仕切り板
14:タンク
15:引き戻しばね
16:逆止弁ストッパー
17:連通穴
18:穴
19:ガイド
20:シリンダ
Claims (5)
- 密封タンク内に可動側電極と固定側電極を対向して設け、前記可動側電極は可動側主電極と可動側アーク電極を有し、前記固定側電極は固定側主電極と固定側アーク電極を有し、前記可動側アーク電極はシャフトを介して操作器に接続され、前記可動側アーク電極の外周に同軸上に設けられたシリンダとシャフトによって熱パッファ室と機械パッファ室が構成され、前記機械パッファ室は前記熱パッファ室に直列に設けられ、前記熱パッファ室に連通する空間を形成する絶縁ノズルを有するガス遮断器において、
前記熱パッファ室内には自在に移動可能な浮遊板と前記浮遊板の移動範囲を規定するストッパーが設けられることを特徴とするガス遮断器。 - 請求項1に記載のガス遮断器において、
前記浮遊板の移動範囲を規定するストッパーの設置位置は前記浮遊板の圧縮量が前記熱パッファの容積の1/2以上となることを特徴とするガス遮断器。 - 請求項1又は2に記載のガス遮断器において、
前記浮遊板を前記熱パッファ室と前記機械パッファ室とが仕切られる位置まで引き戻すばねを前記浮遊板と前記ストッパー間に備えていることを特徴とするガス遮断器。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガス遮断器において、
前記浮遊板には弁と、前記弁の移動範囲を規定するガイドが備えられており、前記弁は前記浮遊板のガイド内を自在に移動可能であることを特徴とするガス遮断器。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガス遮断器において、
前記熱パッファ室内には弁と、前記弁の移動範囲を規定するストッパーが備えられており、前記弁は前記浮遊板と前記ストッパー間を自在に移動可能であることを特徴とするガス遮断器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017076404A JP2018181501A (ja) | 2017-04-07 | 2017-04-07 | ガス遮断器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017076404A JP2018181501A (ja) | 2017-04-07 | 2017-04-07 | ガス遮断器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018181501A true JP2018181501A (ja) | 2018-11-15 |
Family
ID=64277138
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017076404A Pending JP2018181501A (ja) | 2017-04-07 | 2017-04-07 | ガス遮断器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018181501A (ja) |
-
2017
- 2017-04-07 JP JP2017076404A patent/JP2018181501A/ja active Pending
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