JP2018176208A - 液冷ジャケットの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦攪拌装置に係る負荷を軽減しつつ各金属部材の熱歪みを小さくすることができるとともに、仮接合の作業時間を短縮することができる液冷ジャケットの製造方法を提供する。
【解決手段】周壁部11の端面11aと封止体3の裏面3bとを重ね合わせて第一重合部H1を形成する重合工程と、第一重合部H1に仮接合用回転ツールGの攪拌ピンG2のみを挿入し、攪拌ピンG2のみを封止体3のみ又はジャケット本体2及び封止体3に接触させた状態で前記第一重合部H1に沿って摩擦攪拌でスポット仮付けを行う仮接合工程と、第一重合部H1に封止体3の表面3aから本接合用回転ツールFの攪拌ピンF2のみを挿入しジャケット本体2及び封止体3に接触させた状態で第一重合部H1に沿って本接合用回転ツールFを移動させつつ封止体3周りに一周させて摩擦攪拌で本接合を行う本接合工程とを含む。
【選択図】図7B

Description

本発明は、液冷ジャケットの製造方法に関する。
従来の液冷ジャケットの製造方法として、金属製の構成部材同士を摩擦攪拌接合によって接合する技術が特許文献1で開示されている。図17Aは、従来の液冷ジャケットの製造方法を示す分解斜視図であり、図17Bは、従来の液冷ジャケットの製造方法における接合状態を示す要部断面図である。図17Aに示すように、従来の液冷ジャケットは、上方が開放された箱状のジャケット本体100と、ジャケット本体100の開口部を封止する板状の封止体110とで構成されている。
ジャケット本体100は、底部101と、底部101の周縁に立設された平面視矩形枠状の周壁部102とで構成されている。ジャケット本体100の内部には、凹部103が形成されている。液冷ジャケットの製造方法は、図17A及び図17Bに示すように、ジャケット本体100の端面102aに封止体110の裏面110bを載置した後、端面102aと裏面110bとが重ね合わされて形成された重合部H3の一部に沿って回転させた回転ツール120を移動させて摩擦攪拌で線状に仮接合を行う。その後、重合部H3の全域に亘って回転させた回転ツール120を移動させて摩擦攪拌で本接合を行う。
図17Bに示す回転ツール120は、円柱状のショルダ部121と、ショルダ部121の下端面から突出した攪拌ピン122とで構成されている。仮接合工程及び本接合工程とも、ショルダ部121の下端面を封止体110に数ミリ程度押し込みつつ摩擦攪拌接合を行う。仮接合工程では、所定の間隔を空けて複数の線状の塑性化領域が形成される。本接合工程では、回転ツール120を重合部H3に沿って凹部103周りに一周させることで、内部に中空部を有する液冷ジャケットを形成することができる。回転ツール120の移動軌跡には、塑性化領域Wが形成される。
特開2010−137268号公報
従来の液冷ジャケットの製造方法では、回転ツール120のショルダ部121の下端面を封止体110に押し込んで仮接合工程及び本接合工程を行うため、摩擦攪拌装置にかかる負荷が大きくなるという問題がある。また、回転ツール120のショルダ部121の下端面を封止体110に押し込んで仮接合工程及び本接合工程を行うため、入熱量が多くなりジャケット本体100及び封止体110の熱歪みが大きくなるという問題がある。また、重合部H3の一部に沿って線状に摩擦攪拌接合を行うため、仮接合の作業時間が長くなるという問題がある。
そこで、本発明は、摩擦攪拌装置に係る負荷を軽減しつつ各金属部材の熱歪みを小さくすることができるとともに、仮接合の作業時間を短縮することができる液冷ジャケットの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、底部と当該底部の周縁に立設される枠状の周壁部とを有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の凹部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とで形成される中空部に熱輸送流体が流れる液冷ジャケットの製造方法において、前記周壁部の端面に前記封止体を載置して前記端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第一重合部を形成する重合工程と、前記第一重合部に攪拌ピンを備えた仮接合用回転ツールの当該攪拌ピンのみを挿入し、当該攪拌ピンのみを前記封止体のみ、又は、前記ジャケット本体及び前記封止体に接触させた状態で前記第一重合部に沿って摩擦攪拌でスポット仮付けを行う仮接合工程と、前記第一重合部に前記封止体の表面から攪拌ピンを備えた本接合用回転ツールの当該攪拌ピンのみを挿入し、当該攪拌ピンのみを前記封止体のみ、又は、前記ジャケット本体及び前記封止体に接触させた状態で前記第一重合部に沿って前記本接合用回転ツールを移動させつつ前記凹部周りに一周させて摩擦攪拌で本接合を行う本接合工程と、を含むことを特徴とする。
また、前記課題を解決するために、本発明は、底部と当該底部の周縁に立設される枠状の周壁部とを有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の凹部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とで形成される中空部に熱輸送流体が流れる液冷ジャケットの製造方法において、前記封止体の裏面における外周を前記周壁部の端面における外周よりも一回り小さく形成する準備工程と、前記周壁部の端面に前記封止体を載置して前記端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第一重合部を形成するとともに、前記封止体の側面と前記周壁部の端面とで内隅を形成する重合工程と、前記内隅に攪拌ピンを備えた仮接合用回転ツールの当該攪拌ピンのみを挿入し、当該攪拌ピンのみを前記ジャケット本体及び前記封止体に接触させた状態で前記内隅に沿って摩擦攪拌でスポット仮付けを行う仮接合工程と、前記内隅に攪拌ピンを備えた本接合用回転ツールの当該攪拌ピンのみを挿入し、当該攪拌ピンのみを前記ジャケット本体及び前記封止体に接触させた状態で前記内隅に沿って前記本接合用回転ツールを移動させつつ前記凹部周りに一周させて摩擦攪拌で本接合を行う本接合工程と、を含むことを特徴とする。
かかる製造方法によれば、仮接合工程及び本接合工程とも、攪拌ピンのみを封止体のみ、又は、ジャケット本体及び封止体に挿入するため、摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができる。また、仮接合工程及び本接合工程とも、攪拌ピンのみを封止体のみ、又は、ジャケット本体及び封止体に挿入するため、入熱量を少なくすることができ、ジャケット本体及び封止体の熱歪みを小さくすることができる。また、仮接合工程では、スポット仮接合を行うため、仮接合の作業時間を短縮することができる。
また、前記ジャケット本体の底部及び前記封止体の裏面いずれか一方に、いずれか他方に当接する支持部が形成されていることが好ましい。
かかる製造方法によれば、封止体が支持部で支持されるため、耐変形性の高い液冷ジャケットを製造することができる。
また、前記ジャケット本体は、前記底部から立ち上がり、前記封止体の裏面に当接する支持部を有し、前記本接合工程では、前記第一重合部に対する摩擦攪拌接合に加えて、前記封止体の裏面と前記支持部の端面とが重ね合わされた第二重合部に対して摩擦攪拌接合を行うことが好ましい。
かかる製造方法によれば、第一重合部に加えて第二重合部に対しても摩擦攪拌接合を行うため、接合強度が向上するとともに耐変形性の高い液冷ジャケットを製造することができる。
また、前記支持部は、前記周壁部から連続して形成されており、前記本接合工程では、前記第一重合部及び前記第二重合部に対する摩擦攪拌接合を連続して行うことが好ましい。
かかる製造方法によれば、第一重合部及び第二重合部を連続して摩擦攪拌接合を行うことができるため、耐変形性の高い液冷ジャケットを製造することができるとともに、製造サイクルを向上させることができる。
また、前記支持部は、前記周壁部を構成する一の壁部から連続するとともに、前記一の壁部と対向する他の壁部とは離間して形成されており、前記本接合工程では、前記封止体の表面のうち前記支持部に対応する位置に前記本接合用回転ツールを挿入し、前記第一重合部及び前記第二重合部に対して摩擦攪拌接合を連続して行うとともに、前記第一重合部に形成された塑性化領域の外側で前記封止体から前記本接合用回転ツールを引き抜くことが好ましい。
かかる製造方法によれば、第一重合部及び第二重合部を連続して摩擦攪拌接合を行うことができるため、耐変形性の高い液冷ジャケットを製造することができるとともに、製造サイクルを向上させることができる。また、本接合用回転ツールを塑性化領域の内側に移動させると、周壁部と封止体とで構成される内隅部からの金属材料が流出するおそれがあるが、塑性化領域の外側に本接合用回転ツールを移動させて本接合用回転ツールを引き抜くことでかかる問題を解消することができる。
また、前記封止体の表面に残存する前記本接合用回転ツールの引抜跡に溶接金属を埋めて補修する補修工程を行うことが好ましい。
かかる製造方法によれば、引抜跡が無くなり液冷ジャケットの表面を平坦に仕上げることができる。
また、前記本接合工程では、前記ジャケット本体の底部に冷却板を設け、前記ジャケット本体及び前記封止体を冷却しながら摩擦攪拌接合を行うことが好ましい。
かかる製造方法によれば、摩擦熱を低く抑えることができるため、熱収縮による液冷ジャケットの変形を小さくすることができる。
また、前記冷却板の冷却媒体が流れる冷却流路は、少なくとも前記本接合用回転ツールの移動軌跡に沿う平面形状を備えて形成されていることが好ましい。
かかる製造方法によれば、摩擦攪拌される部分を集中的に冷却できるため、冷却効率を高めることができる。
また、前記冷却板の冷却媒体が流れる冷却流路は、前記冷却板に埋設された冷却管によって構成されていることが好ましい。
かかる製造方法によれば、冷却媒体の管理を容易に行うことができる。
また、前記本接合工程では、前記ジャケット本体の内部に冷却媒体を流して前記ジャケット本体及び前記封止体を冷却しながら摩擦攪拌接合を行うことが好ましい。
かかる製造方法によれば、摩擦熱を低く抑えることができるため、熱収縮による液冷ジャケットの変形を小さくすることができる。また、冷却板等を用いずに、ジャケット本体自体を利用して冷却することができる。
また、前記本接合工程では、前記本接合用回転ツールを前記凹部に対して右回りに移動させるときは、前記本接合用回転ツールを右回転させ、前記本接合用回転ツールを前記凹部に対して左回りに移動させるときは、前記本接合用回転ツールを左回転させることが好ましい。
摩擦攪拌接合においては、本接合用回転ツールを右回転させると進行方向左側、左回転させると進行方向右側に接合欠陥が発生する可能性があり、液冷ジャケットの中空部から近い位置に当該接合欠陥が形成されると水密性及び気密性が低下するおそれがある。しかし、かかる製造方法によれば、摩擦攪拌接合に伴う接合欠陥が液冷ジャケットの中空部から遠い位置に形成されるため、水密性及び気密性の低下を抑制することができる。
また、前記ジャケット本体の底部及び前記封止体の裏面の少なくともいずれか一方に複数のフィンが形成されていることが好ましい。
かかる製造方法によれば、冷却効率の高い液冷ジャケットを製造することができる。
本発明に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、摩擦攪拌装置に係る負荷を軽減しつつ各金属部材の熱歪みを小さくすることができるとともに、仮接合の作業時間を短縮することができる。
本実施形態の本接合用回転ツールを示した側面図である。 本実施形態の本接合用回転ツールの接合形態を示した模式断面図である。 本実施形態の仮接合用回転ツールを示した側面図である。 本実施形態の仮接合用回転ツールの接合形態を示した模式断面図である。 本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケットを示す分解斜視図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の重合工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の仮接合工程を示す斜視図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の仮接合工程を示す断面図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す平面図である。 図7AのI−I断面図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す平面図である。 図8AのII−II断面図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットを示す斜視図である。 図9AのIII−III断面図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の第一変形例を示す平面図である。 第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の第二変形例を示す斜視図である。 第二実施形態に係る液冷ジャケットを示す分解斜視図である。 第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の仮接合工程を示す斜視図である。 図13AのIV−IV断面図である。 第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の本接合工程を示す斜視図である。 図14AのV−V断面図である。 第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の変形例の仮接合工程を示す斜視図である。 図15AのVI−VI断面図である。 第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の変形例の本接合工程を示す斜視図である。 図16AのVII−VII断面図である。 従来の液冷ジャケットの製造方法を示す分解斜視図である。 従来の液冷ジャケットの製造方法における接合状態を示す要部断面図である。
〔第一実施形態〕
本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケット及び液冷ジャケットの製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。まずは、本実施形態で用いる本接合用回転ツールについて説明する。
図1Aに示すように、本接合用回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2とで構成されている。本接合用回転ツールFは、例えば工具鋼で形成されている。連結部F1は、図1Bに示す摩擦攪拌装置の回転軸Dに連結される部位である。連結部F1は、円柱状を呈し、ボルトが締結されるネジ孔B,Bが形成されている。
攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は、連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の長さは、後記する封止体3の板厚よりも大きくなっている。攪拌ピンF2の外周面には、螺旋溝F3が刻設されている。本実施形態では、本接合用回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝F3は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。
なお、本接合用回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝F3を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。螺旋溝F3をこのように設定することで、摩擦攪拌の際に塑性流動化した金属が螺旋溝F3によって攪拌ピンF2の先端側に導かれる。これにより、封止体3の外部に溢れ出る金属の量を少なくすることができる。
図1Bに示すように、本接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合をする際には、ジャケット本体2及び封止体3に回転した攪拌ピンF2のみを挿入し、封止体3と連結部F1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンF2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。本接合用回転ツールFの移動軌跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域Wが形成される。
仮接合用回転ツールGは、図2Aに示すように、本実施形態では本接合用回転ツールFよりも小型の回転ツールである。仮接合用回転ツールGは、連結部G1と、攪拌ピンG2とで構成されている。仮接合用回転ツールGは、例えば工具鋼で形成されている。連結部G1は、図2Bに示す摩擦攪拌装置の回転軸Dに連結される部位である。連結部G1は、円柱状を呈する。
攪拌ピンG2は、連結部G1から垂下しており、連結部G1と同軸になっている。攪拌ピンG2は、連結部G1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンG2の外周面には、螺旋溝G3が刻設されている。本実施形態では、仮接合用回転ツールGを右回転させるため、螺旋溝G3は、基端から先端に向かうにつれて左回りに形成されている。なお、仮接合用回転ツールGを左回転させる場合は、螺旋溝G3を基端から先端に向かうにつれて右回りに形成することが好ましい。
図2Bに示すように、仮接合用回転ツールGを用いて摩擦攪拌接合をする際には、ジャケット本体2及び封止体3に回転した攪拌ピンG2のみを挿入し、ジャケット本体2及び封止体3と連結部G1とは離間させつつ移動させる。言い換えると、攪拌ピンG2の基端部は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。詳しくは、第一重合部H1の側方から攪拌ピンF2のみを浅く挿入しつつ第一重合部H1に沿って断続的に摩擦攪拌接合を行う。仮接合用回転ツールGの挿入跡には、摩擦攪拌された金属が硬化することにより塑性化領域W1が点状に断続的に形成される。
次に、本実施形態の液冷ジャケットについて説明する。図3に示すように、本実施形態に係る液冷ジャケット1は、ジャケット本体2と、封止体3とで構成されている。ジャケット本体2は、上方に開口した箱状体である。
ジャケット本体2は、底部10と、周壁部11と、支持部12とを含んで構成されている。ジャケット本体2は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、チタン、チタン合金、マグネシウム、マグネシウム合金等の摩擦攪拌可能な金属から適宜選択される。ジャケット本体2は、本実施形態では、封止体3と同じ材種のアルミニウム合金で形成されているが、アルミニウム合金鋳造材(例えば、JIS AC4C,ADC12等)を用いてもよい。底部10は、平面視矩形の板状を呈する。周壁部11は、底部10の周縁に立設されており、平面視矩形枠状を呈する。周壁部11は、同じ板厚からなる壁部11A,11B,11C,11Dで構成されている。壁部11A,11Bは、短辺部となっており、互いに対向している。また、壁部11C,11Dは、長辺部となっており、互いに対向している。底部10及び周壁部11の内部には、凹部13が形成されている。
支持部12は、底部10に立設されており、直方体を呈する。支持部12は、壁部11Aから連続するとともに、壁部11Bに向けて延設されている。壁部11Bと支持部12の先端部は、所定の間隔をあけて離間している。支持部12の端面12aと周壁部11の端面11aとは、面一になっている。
封止体3は、平面視矩形を呈する板状部材である。封止体3の材料は、本実施形態では、ジャケット本体2と同じ材種のアルミニウム合金で形成されているが、アルミニウム合金展伸材(例えば、JIS A1050,A1100,A6063等)を用いてもよい。封止体3の封止体側面3cと周壁部11の外周面11bとは、面一になっている。
次に、第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。液冷ジャケットの製造方法では、準備工程と、重合工程と、固定工程と、仮接合工程と、本接合工程と、バリ除去工程とを行う。
準備工程は、図3に示すジャケット本体2及び封止体3を準備する工程である。
図4に示すように、重合工程では、ジャケット本体2に封止体3を載置する。これにより、封止体3の裏面3bと周壁部11の端面11aとが重ね合わされて第一重合部H1が形成される。第一重合部H1は、平面視矩形枠状を呈する。また、封止体3の裏面3bと支持部12の端面12aとが重ね合わされて第二重合部H2が形成される。第二重合部H2は、直線状となる。
固定工程では、ジャケット本体2及び封止体3をテーブル(図示省略)に固定する。ジャケット本体2及び封止体3は、クランプ等の固定治具によってテーブルに移動不能に拘束される。
図5及び図6に示すように、仮接合工程では、ジャケット本体2と封止体3とを仮接合する。仮接合工程では、第一重合部H1に対して仮接合用回転ツールGを用いてスポット仮接合を行う。仮接合工程では、第一重合部H1の側方から封止体3の封止体側面3cと周壁部11の外周面11bとの境界に攪拌ピンG2のみを浅く挿入しつつ第一重合部H1に沿って断続的に摩擦攪拌接合を行う。仮接合工程では、攪拌ピンG2のみを周壁部11及び封止体3に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。仮接合工程によって、塑性化領域W1が点状に断続的に形成される。仮接合用回転ツールGは小型であるため、当該仮接合におけるジャケット本体2及び封止体3の熱変形は小さくなっている。
なお、第一重合部H1に封止体3の表面3aから攪拌ピンG2のみを挿入しつつ第一重合部H1に沿って断続的に摩擦攪拌接合を行ってもよい。この場合には、攪拌ピンG2のみを周壁部11及び封止体3に接触させた状態で摩擦攪拌接合を行ってもよい。また、攪拌ピンG2のみを封止体3のみに接触させた状態で摩擦攪拌接合を行い、少なくとも塑性化領域W1が周壁部11の端面11aに達するように挿入深さを設定してもよい。
図7A乃至図8Bに示すように、本接合工程は、本接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合を行う工程である。本接合工程は、本実施形態では、第二重合部H2に対して摩擦攪拌接合する第二重合部接合工程と、第一重合部H1に対して摩擦攪拌接合を行う第一重合部接合工程と、を含んでいる。
第二重合部接合工程は、図7Aに示すように、封止体3の表面3aのうち、支持部12の先端部(壁部11B側の先端)に対応する位置に設定された開始位置s1に、右回転させた本接合用回転ツールFの攪拌ピンF2を挿入する。第二重合部接合工程では、図7Bに示すように、連結部F1を封止体3から離間させ、つまり、攪拌ピンF2の基端側は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。攪拌ピンF2の挿入深さは、攪拌ピンF2の先端が、支持部12の端面12aに達するように設定するとともに、支持部12及び封止体3に攪拌ピンF2のみが接触するように設定する。そして、本接合用回転ツールFを一定の高さを保った状態で第二重合部H2に沿って移動させる。つまり、本接合用回転ツールFを支持部12に沿って移動させる。
第二重合部接合工程によって、封止体3の裏面3bと支持部12の端面12aとが摩擦攪拌されて接合される。本接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域Wが形成される。
本接合用回転ツールFを第一重合部H1に設定された第一中間点s2まで移動させたら、本接合用回転ツールFを離脱させずにそのまま第一重合部接合工程に移行する。図8Aに示すように、第一重合部接合工程では、本接合用回転ツールFを第一重合部H1に沿って移動させる。つまり、本接合用回転ツールFを周壁部11に沿って凹部13の周りを右回りに一周させる。
第一重合部接合工程では、図8Bに示すように、連結部F1を封止体3から離間させ、つまり、攪拌ピンF2の基端側は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。攪拌ピンF2の挿入深さは、攪拌ピンF2の先端が、周壁部11の端面11aに達するように設定するとともに、周壁部11及び封止体3に攪拌ピンF2のみが接触するように設定する。そして、本接合用回転ツールFを一定の高さを保った状態で第一重合部H1に沿って移動させる。
なお、本接合用回転ツールFの挿入深さは、必ずしも一定でなくてもよい。例えば、第一重合部接合工程と第二重合部接合工程とで挿入深さを変えてもよい。本接合用回転ツールFは、ショルダ部を備えていないため、挿入深さの変更も容易に行うことができる。また、本接合用回転ツールFの先端を端面11a及び端面12aに接触させずに、少なくとも塑性化領域Wが端面11a及び端面12aに達するように挿入深さを設定してもよい。
本実施形態のように、本接合用回転ツールFを凹部13の周りを右回りに移動させる場合は、本接合用回転ツールFを右回転させることが好ましい。一方、本接合用回転ツールFを凹部13の周りに左周りに移動させる場合は、本接合用回転ツールFを左回転させることが好ましい。
本接合用回転ツールFを右回転させると進行方向左側、左回転させると進行方向右側に接合欠陥が発生する可能性があり、凹部13(中空部)側に当該接合欠陥が形成されると水密性及び気密性が低下するおそれがある。しかし、本接合用回転ツールFの移動方向及び回転方向を前記した設定にすることで、摩擦攪拌接合に伴う接合欠陥が凹部13から離れた位置に形成されるため、水密性及び気密性の低下を抑制することができる。
本接合工程では、凹部13から離れた位置にバリVが発生するように接合条件を設定するのが望ましい。バリVが発生する位置は、接合条件によって異なる。当該接合条件とは、本接合用回転ツールFの回転速度、回転方向、移動速度(送り速度)、進行方向、攪拌ピンF2の傾斜角度(テーパー角度)、被接合金属部材(ジャケット本体2および封止体3)の材質、被接合金属部材の厚さ等の各要素とこれらの要素の組み合わせで決定される。
例えば、本接合用回転ツールFの回転速度が遅い場合は、フロー側(retreating side:本接合用回転ツールFの外周における接線速度から本接合用回転ツールFの移動速度が減算される側)に比べてシアー側(advancing side:本接合用回転ツールFの外周における接線速度に本接合用回転ツールFの移動速度が加算される側)の方が、塑性流動材の温度が上昇し易くなるため、塑性化領域外のシアー側にバリVが多く発生する傾向にある。一方、例えば、本接合用回転ツールFの回転速度が速い場合、シアー側の方が塑性流動材の温度が上昇するものの、回転速度が速い分、塑性化領域外のフロー側にバリVが多く発生する傾向がある。
本実施形態では、本接合用回転ツールFの回転速度を遅く設定しているため、第一重合部H1の摩擦攪拌接合では、塑性化領域W外のシアー側である凹部13から離れた位置にバリVが多く発生する傾向にある。なお、本接合用回転ツールFの接合条件は、ここで説明したものに限定されるものではなく適宜設定すればよい。
このようにして、バリVが発生する側またはバリVが多く発生する側が凹部13から離れた位置となるように接合条件を設定すれば、図8Bに示すように凹部13から離れた位置にバリVを集約することができる。そのため、後記するバリ除去工程を容易に行うことができるため好ましい。
図8Aに示すように、本接合用回転ツールFを第一重合部H1に沿って一周させた後、第一中間点s2を通過させて、そのまま第二中間点s3まで移動させる。そして、封止体3の表面3aにおいて、第二中間点s3よりも外側に設定された終了位置e1まで本接合用回転ツールFを移動させたら、上方に移動させて封止体3から本接合用回転ツールFを離脱させる。
本接合用回転ツールFを封止体3から離脱させた後に、表面3aに引抜跡が残存する場合は、当該引抜跡を補修する補修工程を行ってもよい。補修工程は、例えば、肉盛溶接を行って当該引抜跡に溶接金属を埋めて補修することができる。これにより、表面3aを平坦にすることができる。
なお、本接合用回転ツールFを封止体3から離脱させる場合は、例えば、周壁部11に対応する封止体3の表面3a上で本接合用回転ツールFを移動させつつ、本接合用回転ツールFを徐々に上方に移動させて、本接合用回転ツールFの挿入深さが徐々に浅くなるようにしてもよい。このようにすることで、表面3aに本接合工程後の引抜跡が残存しないか、もしくは引抜跡を小さくすることができる。
バリ除去工程では、本接合工程によって封止体3の表面3aに露出するバリVを除去する。バリ除去工程では、切削工具等を用いて除去する。これにより、封止体3の表面3aをきれいに仕上げることができる。以上の工程により、図9A及び図9Bに示す液冷ジャケット1が形成される。
図9A及び図9Bに示すように、液冷ジャケット1は、ジャケット本体2と封止体3とを摩擦攪拌によって接合されて一体化されている。液冷ジャケット1は、封止体3の裏面3bと周壁部11の端面11aとが重ね合わされた第一重合部H1及び封止体3の裏面3bと支持部12の端面12aとが重ね合わされた第二重合部H2が摩擦攪拌によって連続的に接合されている。摩擦攪拌を行った部位には、塑性化領域Wが形成されている。液冷ジャケット1の内部には、熱を外部に輸送する熱輸送流体が流れる中空部が形成されている。
以上説明した本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、仮接合工程及び本接合工程とも、攪拌ピンG2,F2のみをジャケット本体2及び封止体3に挿入するため、回転ツールのショルダ部を押し込む場合に比べて摩擦攪拌装置にかかる負荷を小さくすることができるとともに、仮接合用回転ツールG及び本接合用回転ツールFの操作性も良好となる。また、仮接合工程及び本接合工程とも、攪拌ピンG2,F2のみをジャケット本体2及び封止体3に挿入するため、入熱量を少なくすることができ、ジャケット本体2及び封止体3の熱歪みを小さくすることができる。また、仮接合工程では、スポット仮接合を行うため、仮接合の作業時間を短縮することができる。また、本接合工程では、攪拌ピンF2のみを挿入するため、塑性化領域Wの幅を小さくすることができる。これにより、封止体3上における発熱体の設置領域を大きく確保することができる。
また、本実施形態に係る液冷ジャケット1は、ジャケット本体2の底部10に立設されるとともに封止体3の裏面3bに接合される支持部12が形成されているため変形しにくい。つまり、本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、耐変形性の高い液冷ジャケット1を製造することができる。
また、本実施形態に係る液冷ジャケット1は、第一重合部H1に加えて第二重合部H2も摩擦攪拌によって接合されている。つまり、本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、接合強度及び耐変形性の高い液冷ジャケット1を製造することができる。
また、本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、第一重合部H1及び第二重合部H2に対して連続して摩擦攪拌接合を行うため、製造サイクルを向上させることができる。
また、本接合用回転ツールFを塑性化領域Wの内側に移動させると、液冷ジャケット1の中空部に金属材料が流出するおそれがあるが、本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、塑性化領域Wの外側で本接合用回転ツールFを引き抜くことで、かかる問題を解消することができる。
また、本実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、本接合工程の前に仮接合工程を行うことで、本接合工程の際に第一重合部H1の目開きを防ぐことができる。
以上、本発明の第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、本接合工程において、ジャケット本体2の内部に冷却媒体を流してジャケット本体2及び封止体3を冷却しながら摩擦攪拌接合を行ってもよい。これにより、摩擦熱を低く抑えることができるため、熱収縮に起因する液冷ジャケット1の変形を小さくすることができる。また、別途冷却板、冷却手段等を用いずに、ジャケット本体2及び封止体3自体を利用して冷却することができる。
また、本実施形態では、第一重合部接合工程と第二重合部接合工程とを連続して行ったが、断続して行ってもよい。また、第一重合部接合工程を行った後に、第二重合部接合工程を行ってもよい。また、第一実施形態では、支持部12を周壁部11から連続して形成したが、これに限定されるものではない。例えば、支持部12を周壁部11から離間させて設けてもよい。この場合は、第一重合部接合工程及び第二重合部接合工程は断続的に行うこととなる。また、支持部12の形状は他の形状であってもよいし、複数個設けてもよい。さらに、第一実施形態では、ジャケット本体2に支持部12を設けたが、封止体3に設けてもよい。また、支持部12は省略してもよい。
また、第一実施形態では仮接合用回転ツールGを用いて仮接合を行ったが、本接合用回転ツールFを用いて仮接合を行ってもよい。これにより、回転ツールを交換する手間を省略することができる。
〔第一変形例〕
次に、第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の第一変形例について説明する。図10に示すように、第一変形例では、一周目の摩擦攪拌接合によって形成された塑性化領域Wa上で本接合用回転ツールFを離脱させる点で第一実施形態と相違する。第一変形例では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
図10に示すように、第一変形例の本接合工程では、第二重合部接合工程と、第一重合部接合工程と、引き抜き工程とを行う。第二重合部接合工程及び第一重合部接合工程は、第一実施形態と同等である。第二重合部接合工程において、本接合用回転ツールFを第一中間点s2まで移動させたら、本接合用回転ツールFを離脱させずにそのまま第一重合部接合工程に移行する。
第一重合部接合工程では、本接合用回転ツールFを右回転させつつ、第一重合部H1に沿って凹部13の周りを右回りに一周させる。一周目の摩擦攪拌接合によって、塑性化領域Waが形成される。
引き抜き工程は、一周目の摩擦攪拌接合によって形成された塑性化領域Wa上で本接合用回転ツールFを離脱させる工程である。引き抜き工程では、本接合用回転ツールFを第一重合部H1に沿って一周させた後、第一中間点s2を通過させて、そのまま塑性化領域Wa(第一重合部H1)上に設定された終了位置e2まで塑性化領域Waに沿って移動させる。この際、終了位置e2に向けて本接合用回転ツールFの挿入深さが徐々に浅くなるようにすることが好ましい。二周目の摩擦攪拌接合によって塑性化領域Waと重なる塑性化領域Wbが形成される。本実施形態では、二周目の本接合用回転ツールFの回転軸が、塑性化領域Waの中心を通るように本接合用回転ツールFのルートを設定している。そして、終了位置e2まで本接合用回転ツールFを移動させたら、上方に移動させて塑性化領域Wa(第一重合部H1)上で本接合用回転ツールFを離脱させる。
なお、本接合用回転ツールFの挿入深さを徐々に浅くせずに、塑性化領域Wa(第一重合部H1)上で本接合用回転ツールFを上方に引き抜いてもよい。
〔第二変形例〕
次に、第一実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の第二変形例について説明する。図11に示すように、第二変形例では、冷却板を用いて仮接合工程及び本接合工程を行う点で第一実施形態と相違する。第二変形例では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
図11に示すように、第二変形例では、固定工程を行う際に、ジャケット本体2及び封止体3をテーブルKに固定する。テーブルKは、直方体を呈する基板K1と、基板K1の四隅に形成されたクランプK3と、基板K1の内部に配設された冷却管WPによって構成されている。テーブルKは、ジャケット本体2を移動不能に拘束するとともに、特許請求の範囲の「冷却板」として機能する部材である。
冷却管WPは、基板K1の内部に埋設される管状部材である。冷却管WPの内部には、基板K1を冷却する冷却媒体が流通する。冷却管WPの配設位置、つまり、冷却媒体が流れる冷却流路の形状は特に制限されないが、第二変形例では第一重合部接合工程における本接合用回転ツールFの移動軌跡に沿う平面形状になっている。即ち、平面視した際に、冷却管WPと第一重合部H1とが略重なるように冷却管WPが配設されている。
第二変形例の仮接合工程及び本接合工程では、ジャケット本体2及び封止体3をテーブルKに固定した後、冷却管WPに冷却媒体を流しながら摩擦攪拌接合を行う。これにより、摩擦攪拌の際の摩擦熱を低く抑えることができるため、熱収縮に起因する液冷ジャケット1の変形を小さくすることができる。また、第二変形例では、平面視した場合に、冷却流路と第一重合部H1(本接合用回転ツールFの移動軌跡)とが重なるようになっているため、摩擦熱が発生する部分を集中的に冷却できる。これにより、冷却効率を高めることができる。また、冷却管WPを配設して冷却媒体を流通させるため、冷却媒体の管理が容易となる。また、テーブルK(冷却板)とジャケット本体2とが面接触するため、冷却効率を高めることができる。
なお、冷却管WPは、第二重合部H2に対応する位置に配設してもよい。また、テーブルK(冷却板)を用いてジャケット本体2及び封止体3を冷却するとともに、ジャケット本体2の内部にも冷却媒体を流しつつ摩擦攪拌接合を行ってもよい。このようにすると、摩擦熱を低く抑えることができるため、熱収縮による液冷ジャケット1の変形を小さくすることができる。ジャケット本体2の内部のみに冷却媒体を流しつつ摩擦攪拌接合を行うと、冷却板等を用いずに、ジャケット本体2自体を利用して冷却することができる。
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。図12に示すように、第二実施形態では、封止体3Aにフィン31が設けられている点で第一実施形態と相違する。第二実施形態では、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。
図12に示すように、液冷ジャケット1Aは、ジャケット本体2と、封止体3Aとで構成されている。ジャケット本体2は、第一実施形態と同一である。封止体3Aは、平面視矩形の板状部材である基部30と、基部30の裏面30bに設けられた複数のフィン31とで構成されている。フィン31は、所定の間隔をあけて基部30に対して垂直に配設されている。
第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法は、第一実施形態の準備工程、重合工程、固定工程、仮接合工程、第一重合部接合工程及びバリ除去工程を行う。第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、複数のフィン31が形成された液冷ジャケット1Aを形成することができる。液冷ジャケット1Aは、フィン31が形成されているため、冷却効率を高めることができる。なお、フィン31を設けつつ、ジャケット本体2側に支持部12(図3参照)を設けてもよい。また、ジャケット本体2及び封止体3Aの少なくともいずれか一方にフィン31を設けるようにしてもよい。
〔第三実施形態〕
次に、第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法について説明する。図13A及び図13Bに示すように、第三実施形態では、主に封止体3Bの外周を周壁部11の端面11aにおける外周よりも一回り小さく形成した点と、封止体3Bにフィン34が設けられている点で第一実施形態と相違する。
図13A及び図13Bに示すように、液冷ジャケット1Bは、ジャケット本体2と、封止体3Bとで構成されている。ジャケット本体2は、第一実施形態と同一である。封止体3Bは、平面視矩形の板状部材である基部32と、基部32の裏面32bの中央側から下方へ向けて突出する凸部33と、凸部33の先端面に設けられた複数のフィン34とで構成されている。凸部33は、凹部13内に挿入されている。凸部33の外周は、本実施形態では凹部13の内周と同等に設定されている。フィン34は、所定の間隔をあけて凸部33に対して垂直に配設されている。
第二実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法は、第一実施形態の準備工程、重合工程、固定工程、仮接合工程、本接合工程及びバリ除去工程を行う。第三実施形態では、第一実施形態と相違する準備工程、重合工程、仮接合工程及び本接合工程について説明する。
準備工程は、図13A及び図13Bに示すジャケット本体2及び封止体3Bを準備する工程である。準備工程では、基部32の外周を周壁部11の端面11aにおける外周よりも一回り小さく形成するとともに、基部32の外周を凹部13の内周よりも一回り大きく形成する。基部32は、所定の厚さ寸法t1を有している。
重合工程では、周壁部11の端面11aに封止体3Bを載置して、端面11aと基部32の裏面32bとを重ね合わせる。これにより、第一重合部H1が形成されるとともに、基部32の側面32cと周壁部11の端面11aとで内隅Cが形成される。また、凸部33が凹部13内に挿入される。
図13Aに示すように、仮接合工程では、ジャケット本体2と封止体3Bとを仮接合する。仮接合工程では、基部32の側面32cと周壁部11の端面11aとで構成される内隅Cに対して仮接合用回転ツールGを用いてスポット仮接合を行う。仮接合工程では、内隅Cに攪拌ピンG2のみを浅く挿入しつつ内隅Cに沿って断続的に摩擦攪拌接合を行う。仮接合工程では、攪拌ピンG2のみを周壁部11の端面11a及び基部32の側面32cに接触させた状態で摩擦攪拌接合を行う。仮接合工程では、周壁部11の端面11a及び基部32の表面32aに対して仮接合用回転ツールGを傾斜させた状態で摩擦攪拌を行う。攪拌ピンG2の挿入角度や挿入深さは、ジャケット本体2と封止体3Bとを仮接合できるように適宜設定すればよい。仮接合工程によって、塑性化領域W1が点状に断続的に形成される。本実施形態では、仮接合用回転ツールGを左回転させるため、螺旋溝G3は、基端から先端に向かうにつれて右回りに形成されている。
なお、本実施形態では、仮接合用回転ツールG及び本接合用回転ツールFともに、先端にスピンドルユニット等の回転駆動手段を備えたロボットアームに取り付けることが好ましい。これにより、仮接合用回転ツールG及び本接合用回転ツールFの回転中心軸を容易に傾斜させることができる。
図14A及び図14Bに示すように、本接合工程では、内隅C及び第一重合部H1に対して本接合用回転ツールFを用いて摩擦攪拌接合を行う。本接合工程では、内隅Cに設定された開始位置s4に、左回転させた本接合用回転ツールFの攪拌ピンF2のみを挿入する。本接合工程では、連結部F1をジャケット本体2及び封止体3Bから離間させ、つまり、攪拌ピンF2の基端側は露出させた状態で摩擦攪拌接合を行う。本接合工程では、周壁部11の端面11a及び基部32の表面32aに対して本接合用回転ツールFを垂直にした状態で摩擦攪拌を行う。攪拌ピンF2の挿入深さは、攪拌ピンF2の先端が周壁部11の端面11aに接触するように設定するとともに、周壁部11及び基部32に攪拌ピンF2のみが接触するように設定する。そして、本接合用回転ツールFを一定の高さを保った状態で内隅Cに沿って移動させる。つまり、本接合用回転ツールFを内隅Cに沿って凹部13の周りを左回りに一周させる。本接合用回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域Wが形成される。なお、攪拌ピンF2の先端を周壁部11の端面11aに接触させずに少なくとも塑性化領域Wが端面11aに達するように挿入深さを設定するとともに、封止体3Bのみに攪拌ピンF2のみが接触するように設定してもよい。
本実施形態では、本接合用回転ツールFを左回転させるため、螺旋溝G3は、基端から先端に向かうにつれて右回りに形成されている。本実施形態では、本接合用回転ツールFの回転速度を遅く設定しているため、内隅C及び第一重合部H1の摩擦攪拌接合では、塑性化領域W外のシアー側である凹部13から離れた位置にバリVが多く発生する傾向にある。
以上説明した第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、第一実施形態及び第二実施形態と同様の効果を奏することができる。
〔第三実施形態の変形例〕
次に、第三実施形態に係る液冷ジャケットの製造方法の変形例について説明する。変形例では、図15A及び図15Bに示すように、凸部33を備えない点と、基部35の厚さ寸法t2を第三実施形態の基部32の厚さ寸法t1よりも大きく設定した点で第三実施形態と相違する。変形例では、第三実施形態と相違する点を中心に説明する。
図15A及び図15Bに示すように、液冷ジャケット1Cは、ジャケット本体2と、封止体3Cとで構成されている。ジャケット本体2は、第三実施形態と同一である。封止体3Cは、平面視矩形の板状部材である基部35と、基部35の裏面35bに設けられた複数のフィン36とで構成されている。フィン36は、所定の間隔をあけて基部35に対して垂直に配設されている。
準備工程では、図15A及び図15Bに示すように、基部35の外周を周壁部11の端面11aにおける外周よりも一回り小さく形成するとともに、基部35の外周を凹部13の内周よりも一回り大きく形成する。基部35は、所定の厚さ寸法t2を有している。当該厚さ寸法t2は、図13Bに示す基部32の厚さ寸法t1よりも大きく形成されている(t2>t1)。重合工程は、第三実施形態と同等である。
図16Aに示す本接合工程は、第三実施形態と略同等である。
図16A及び図16Bに示すように、本接合工程では、攪拌ピンF2が内隅C及び第一重合部H1に挿入できるように、周壁部11の端面11a及び基部35の表面35aに対して本接合用回転ツールFを傾斜させた状態で摩擦攪拌を行う。すなわち、基部35の厚さ寸法t2が大きい場合には、攪拌ピンF2の先端が内隅Cに確実に達するように、周壁部11の端面11a及び基部35の表面35aに対して本接合用回転ツールFを傾斜させた状態で摩擦攪拌を行う。攪拌ピンF2の挿入角度や挿入深さは、ジャケット本体2と封止体3Cとを本接合できるように適宜設定すればよい。
以上説明した変形例に係る液冷ジャケットの製造方法によれば、第三実施形態と同様の効果を奏することができる。
1,1A,1B,1C 液冷ジャケット
2 ジャケット本体
3,3A,3B,3C 封止体
3a 表面
3b 裏面
3c 封止体側面
10 底部
11 周壁部
11a 端面
12 支持部
12a 端面
13 凹部
31,34,36 フィン
32 基部
32a 表面
32b 裏面
32c 側面
35 基部
35a 表面
35b 裏面
35c 側面
F 本接合用回転ツール
F2 攪拌ピン
G 仮接合用回転ツール
G2 攪拌ピン
K テーブル(冷却板)
H1 第一重合部
H2 第二重合部
C 内隅
W,W1 塑性化領域
V バリ
WP 冷却管

Claims (13)

  1. 底部と当該底部の周縁に立設される枠状の周壁部とを有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の凹部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とで形成される中空部に熱輸送流体が流れる液冷ジャケットの製造方法において、
    前記周壁部の端面に前記封止体を載置して前記端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第一重合部を形成する重合工程と、
    前記第一重合部に攪拌ピンを備えた仮接合用回転ツールの当該攪拌ピンのみを挿入し、当該攪拌ピンのみを前記封止体のみ、又は、前記ジャケット本体及び前記封止体に接触させた状態で前記第一重合部に沿って摩擦攪拌でスポット仮付けを行う仮接合工程と、
    前記第一重合部に前記封止体の表面から攪拌ピンを備えた本接合用回転ツールの当該攪拌ピンのみを挿入し、当該攪拌ピンのみを前記封止体のみ、又は、前記ジャケット本体及び前記封止体に接触させた状態で前記第一重合部に沿って前記本接合用回転ツールを移動させつつ前記凹部周りに一周させて摩擦攪拌で本接合を行う本接合工程と、を含む
    ことを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。
  2. 底部と当該底部の周縁に立設される枠状の周壁部とを有するジャケット本体と、前記ジャケット本体の凹部を封止する封止体とで構成され、前記ジャケット本体と前記封止体とで形成される中空部に熱輸送流体が流れる液冷ジャケットの製造方法において、
    前記封止体の裏面における外周を前記周壁部の端面における外周よりも一回り小さく形成する準備工程と、
    前記周壁部の端面に前記封止体を載置して前記端面と前記封止体の裏面とを重ね合わせて第一重合部を形成するとともに、前記封止体の側面と前記周壁部の端面とで内隅を形成する重合工程と、
    前記内隅に攪拌ピンを備えた仮接合用回転ツールの当該攪拌ピンのみを挿入し、当該攪拌ピンのみを前記ジャケット本体及び前記封止体に接触させた状態で前記内隅に沿って摩擦攪拌でスポット仮付けを行う仮接合工程と、
    前記内隅に攪拌ピンを備えた本接合用回転ツールの当該攪拌ピンのみを挿入し、当該攪拌ピンのみを前記ジャケット本体及び前記封止体に接触させた状態で前記内隅に沿って前記本接合用回転ツールを移動させつつ前記凹部周りに一周させて摩擦攪拌で本接合を行う本接合工程と、を含む
    ことを特徴とする液冷ジャケットの製造方法。
  3. 前記ジャケット本体の底部及び前記封止体の裏面いずれか一方に、いずれか他方に当接する支持部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  4. 前記ジャケット本体は、前記底部から立ち上がり、前記封止体の裏面に当接する支持部を有し、
    前記本接合工程では、前記第一重合部に対する摩擦攪拌接合に加えて、前記封止体の裏面と前記支持部の端面とが重ね合わされた第二重合部に対して摩擦攪拌接合を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  5. 前記支持部は、前記周壁部から連続して形成されており、
    前記本接合工程では、前記第一重合部及び前記第二重合部に対する摩擦攪拌接合を連続して行うことを特徴とする請求項4に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  6. 前記支持部は、前記周壁部を構成する一の壁部から連続するとともに、前記一の壁部と対向する他の壁部とは離間して形成されており、
    前記本接合工程では、前記封止体の表面のうち前記支持部に対応する位置に前記本接合用回転ツールを挿入し、前記第一重合部及び前記第二重合部に対して摩擦攪拌接合を連続して行うとともに、前記第一重合部に形成された塑性化領域の外側で前記封止体から前記本接合用回転ツールを引き抜くことを特徴とする請求項4に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  7. 前記封止体の表面に残存する前記本接合用回転ツールの引抜跡に溶接金属を埋めて補修する補修工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  8. 前記本接合工程では、前記ジャケット本体の底部に冷却板を設け、前記ジャケット本体及び前記封止体を冷却しながら摩擦攪拌接合を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  9. 前記冷却板の冷却媒体が流れる冷却流路は、少なくとも前記本接合用回転ツールの移動軌跡に沿う平面形状を備えて形成されていることを特徴とする請求項8に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  10. 前記冷却板の冷却媒体が流れる冷却流路は、前記冷却板に埋設された冷却管によって構成されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  11. 前記本接合工程では、前記ジャケット本体の内部に冷却媒体を流して前記ジャケット本体及び前記封止体を冷却しながら摩擦攪拌接合を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  12. 前記本接合工程では、
    前記本接合用回転ツールを前記凹部に対して右回りに移動させるときは、前記本接合用回転ツールを右回転させ、
    前記本接合用回転ツールを前記凹部に対して左回りに移動させるときは、前記本接合用回転ツールを左回転させることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の液冷ジャケットの製造方法。
  13. 前記ジャケット本体の底部及び前記封止体の裏面の少なくともいずれか一方に複数のフィンが形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一項に液冷ジャケットの製造方法。
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