以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
[HMDシステムの構成]
図1を参照して、HMD(Head Mount Device)システム100の構成について説明する。図1は、ある実施の形態に従うHMDシステム100の構成の概略を表す図である。ある局面において、HMDシステム100は、家庭用のシステムとしてあるいは業務用のシステムとして提供される。
HMDシステム100は、HMD装置110(ユーザ端末)と、HMDセンサ120と、コントローラ160と、コンピュータ200とを備える。HMD装置110は、ディスプレイ112と、カメラ116と、マイク118と、注視センサ140とを含む。コントローラ160は、モーションセンサ130を含み得る。
ある局面において、コンピュータ200は、インターネットその他のネットワーク19に接続可能であり、ネットワーク19に接続されているサーバ150その他のコンピュータと通信可能である。別の局面において、HMD装置110は、HMDセンサ120の代わりに、センサ114を含み得る。
HMD装置110は、ユーザの頭部に装着され、動作中に仮想空間をユーザに提供し得る。より具体的には、HMD装置110は、右目用の画像および左目用の画像をディスプレイ112にそれぞれ表示する。ユーザの各目がそれぞれの画像を視認すると、ユーザは、両目の視差に基づき当該画像を3次元の画像として認識し得る。
ディスプレイ112は、例えば、非透過型の表示装置として実現される。ある局面において、ディスプレイ112は、ユーザの両目の前方に位置するようにHMD装置110の本体に配置されている。したがって、ユーザは、ディスプレイ112に表示される3次元画像を視認すると、仮想空間に没入することができる。ある実施の形態において、仮想空間は、例えば、背景、ユーザが操作可能なオブジェクト、およびユーザが選択可能なメニューの画像等を含む。ある実施の形態において、ディスプレイ112は、所謂スマートフォンその他の情報表示端末が備える液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイとして実現され得る。ディスプレイ112は、HMD装置110の本体と一体に構成されてもよいし、別体として構成されてもよい。
ある局面において、ディスプレイ112は、右目用の画像を表示するためのサブディスプレイと、左目用の画像を表示するためのサブディスプレイとを含み得る。別の局面において、ディスプレイ112は、右目用の画像と左目用の画像とを一体として表示する構成であってもよい。この場合、ディスプレイ112は、高速シャッタを含む。高速シャッタは、画像がいずれか一方の目にのみ認識されるように、右目用の画像と左目用の画像とを交互に表示可能に作動する。
カメラ116は、HMD装置110を装着するユーザの顔画像を取得する。カメラ116によって取得された顔画像は、画像解析処理によってユーザの表情を検知するために使用され得る。カメラ116は、例えば、瞳の動き、まぶたの開閉、および眉毛の動き等を検知するために、HMD装置110本体に内蔵された赤外線カメラであってもよい。あるいは、カメラ116は、ユーザの口、頬、および顎等の動きを検知するために、図1に示されるようにHMD装置110の外側に配置された外付けカメラであってもよい。また、カメラ116は、上述した赤外線カメラおよび外付けカメラの両方によって構成されてもよい。
マイク118は、ユーザが発した音声を取得する。マイク118によって取得された音声は、音声解析処理によってユーザの感情を検知するために使用され得る。当該音声は、仮想空間2に対して、音声による指示を与えるためにも使用され得る。また、当該音声は、ネットワーク19およびサーバ150等を介して、他のユーザが使用するHMDシステムに送られ、当該HMDシステムに接続されたスピーカ等から出力されてもよい。これにより、仮想空間を共有するユーザ間での会話(チャット)が実現される。
HMDセンサ120は、複数の光源(図示しない)を含む。各光源は例えば、赤外線を発するLED(Light Emitting Diode)により実現される。HMDセンサ120は、HMD装置110の動きを検出するためのポジショントラッキング機能を有する。HMDセンサ120は、この機能を用いて、現実空間内におけるHMD装置110の位置および傾きを検出する。
なお、別の局面において、HMDセンサ120は、カメラにより実現されてもよい。この場合、HMDセンサ120は、カメラから出力されるHMD装置110の画像情報を用いて、画像解析処理を実行することにより、HMD装置110の位置および傾きを検出することができる。
別の局面において、HMD装置110は、位置検出器として、HMDセンサ120の代わりに、センサ114を備えてもよい。HMD装置110は、センサ114を用いて、HMD装置110自身の位置および傾きを検出し得る。例えば、センサ114が角速度センサ、地磁気センサ、加速度センサ、あるいはジャイロセンサ等である場合、HMD装置110は、HMDセンサ120の代わりに、これらの各センサのいずれかを用いて、自身の位置および傾きを検出し得る。一例として、センサ114が角速度センサである場合、角速度センサは、現実空間におけるHMD装置110の3軸周りの角速度を経時的に検出する。HMD装置110は、各角速度に基づいて、HMD装置110の3軸周りの角度の時間的変化を算出し、さらに、角度の時間的変化に基づいて、HMD装置110の傾きを算出する。また、HMD装置110は、透過型表示装置を備えていてもよい。この場合、当該透過型表示装置は、その透過率を調整することにより、一時的に非透過型の表示装置として構成可能であってもよい。また、視界画像は仮想空間を構成する画像の一部に、現実空間を提示する構成を含んでいてもよい。例えば、HMD装置110に搭載されたカメラで撮影した画像を視界画像の一部に重畳して表示させてもよいし、当該透過型表示装置の一部の透過率を高く設定することにより、視界画像の一部から現実空間を視認可能にしてもよい。
注視センサ140は、ユーザ190の右目および左目の視線が向けられる方向(視線方向)を検出する。当該方向の検出は、例えば、公知のアイトラッキング機能によって実現される。注視センサ140は、当該アイトラッキング機能を有するセンサにより実現される。ある局面において、注視センサ140は、右目用のセンサおよび左目用のセンサを含むことが好ましい。注視センサ140は、例えば、ユーザ190の右目および左目に赤外光を照射するとともに、照射光に対する角膜および虹彩からの反射光を受けることにより各眼球の回転角を検出するセンサであってもよい。注視センサ140は、検出した各回転角に基づいて、ユーザ190の視線方向を検知することができる。
サーバ150は、コンピュータ200にプログラムを送信し得る。別の局面において、サーバ150は、他のユーザによって使用されるHMD装置に仮想現実を提供するための他のコンピュータ200と通信し得る。例えば、アミューズメント施設において、複数のユーザが参加型のゲームを行う場合、各コンピュータ200は、各ユーザの動作に基づく信号を他のコンピュータ200と通信して、同じ仮想空間において複数のユーザが共通のゲームを楽しむことを可能にする。サーバ150は、一または複数のコンピュータ装置により構成され得る。サーバ150は、後述するコンピュータ200のハードウェア構成と同様のハードウェア構成(プロセッサ、メモリ、ストレージ等)を備え得る。
コントローラ160は、ユーザ190からコンピュータ200への命令の入力を受け付ける。ある局面において、コントローラ160は、ユーザ190によって把持可能に構成される。別の局面において、コントローラ160は、ユーザ190の身体あるいは衣類の一部に装着可能に構成される。別の局面において、コントローラ160は、コンピュータ200から送られる信号に基づいて、振動、音、光のうちの少なくともいずれかを出力するように構成されてもよい。別の局面において、コントローラ160は、仮想空間に配置されるオブジェクトの位置および動き等を制御するためにユーザ190によって与えられる操作を受け付ける。
モーションセンサ130は、ある局面において、ユーザの手に取り付けられて、ユーザの手の動きを検出する。例えば、モーションセンサ130は、手の回転速度、回転数等を検出する。検出された信号は、コンピュータ200に送られる。モーションセンサ130は、例えば、手袋型のコントローラ160に設けられている。ある実施の形態において、現実空間における安全のため、コントローラ160は、手袋型のようにユーザ190の手に装着されることにより容易に飛んで行かないものに装着されるのが望ましい。別の局面において、ユーザ190に装着されないセンサがユーザ190の手の動きを検出してもよい。例えば、ユーザ190を撮影するカメラの信号が、ユーザ190の動作を表す信号として、コンピュータ200に入力されてもよい。モーションセンサ130とコンピュータ200とは、有線により、または無線により互いに接続される。無線の場合、通信形態は特に限られず、例えば、Bluetooth(登録商標)その他の公知の通信手法が用いられる。
[ハードウェア構成]
図2を参照して、本実施の形態に係るコンピュータ200について説明する。図2は、一局面に従うコンピュータ200のハードウェア構成の一例を表すブロック図である。コンピュータ200は、主たる構成要素として、プロセッサ10と、メモリ11と、ストレージ12と、入出力インターフェース13と、通信インターフェース14とを備える。各構成要素は、それぞれ、バス15に接続されている。
プロセッサ10は、コンピュータ200に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリ11またはストレージ12に格納されているプログラムに含まれる一連の命令を実行する。ある局面において、プロセッサ10は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)その他のデバイスとして実現される。
メモリ11は、プログラムおよびデータを一時的に保存する。プログラムは、例えば、ストレージ12からロードされる。メモリ11に保存されるデータは、コンピュータ200に入力されたデータと、プロセッサ10によって生成されたデータとを含む。ある局面において、メモリ11は、RAM(Random Access Memory)その他の揮発性メモリとして実現される。
ストレージ12は、プログラムおよびデータを永続的に保持する。ストレージ12は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ、その他の不揮発性記憶装置として実現される。ストレージ12に格納されるプログラムは、HMDシステム100において仮想空間を提供するためのプログラム、シミュレーションプログラム、ゲームプログラム、ユーザ認証プログラム、および他のコンピュータ200との通信を実現するためのプログラム等を含む。ストレージ12に格納されるデータは、仮想空間を規定するためのデータおよびオブジェクト等を含む。
なお、別の局面において、ストレージ12は、メモリカードのように着脱可能な記憶装置として実現されてもよい。さらに別の局面において、コンピュータ200に内蔵されたストレージ12の代わりに、外部の記憶装置に保存されているプログラムおよびデータを使用する構成が使用されてもよい。このような構成によれば、例えば、アミューズメント施設のように複数のHMDシステム100が使用される場面において、プログラムおよびデータ等の更新を一括して行うことが可能になる。
ある実施の形態において、入出力インターフェース13は、HMD装置110、HMDセンサ120またはモーションセンサ130との間で信号を通信する。ある局面において、入出力インターフェース13は、USB(Universal Serial Bus)インターフェース、DVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)その他の端子を用いて実現される。なお、入出力インターフェース13は上述のものに限られない。例えば、入出力インターフェース13は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信インターフェースを含み得る。
ある実施の形態において、入出力インターフェース13は、さらに、コントローラ160と通信し得る。例えば、入出力インターフェース13は、モーションセンサ130から出力された信号の入力を受ける。別の局面において、入出力インターフェース13は、プロセッサ10から出力された命令を、コントローラ160に送る。当該命令は、振動、音声出力、発光等をコントローラ160に指示する。コントローラ160は、当該命令を受信すると、その命令に応じて、振動、音声出力または発光のいずれかを実行する。
通信インターフェース14は、ネットワーク19に接続されて、ネットワーク19に接続されている他のコンピュータ(例えば、サーバ150)と通信する。ある局面において、通信インターフェース14は、例えば、LAN(Local Area Network)その他の有線通信インターフェース、あるいは、WiFi(Wireless Fidelity)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)その他の無線通信インターフェースとして実現される。なお、通信インターフェース14は上述のものに限られない。
ある局面において、プロセッサ10は、ストレージ12にアクセスし、ストレージ12に格納されている1つ以上のプログラムをメモリ11にロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行する。当該1つ以上のプログラムは、コンピュータ200のオペレーティングシステム、仮想空間を提供するためのアプリケーションプログラム、コントローラ160を用いて仮想空間で実行可能なゲームソフトウェア等を含み得る。プロセッサ10は、入出力インターフェース13を介して、仮想空間を提供するための信号をHMD装置110に送る。HMD装置110は、その信号に基づいてディスプレイ112に映像を表示する。
サーバ150は、ネットワーク19を介して少なくとも一つのHMDシステム100の各々の制御装置と接続される。図2に示される例では、サーバ150は、HMD装置110Aを有するHMDシステム100Aと、HMD装置110Bを有するHMDシステム100Bと、HMD装置110Cを有するHMDシステム100Cとを含む複数のHMDシステム100を互いに通信可能に接続する。これにより、共通の仮想空間を用いた仮想体験が各HMDシステムを使用するユーザに提供される。なお、HMDシステム100A、HMDシステム100B、HMDシステム100C、およびその他のHMDシステム100は、いずれも同様の構成を備える。ただし、各HMDシステム100は、互いに異なる機種であってもよいし、互いに異なる性能(処理性能、およびユーザ動作の検知に関する検知性能等)を有してもよい。
なお、図2に示される例では、コンピュータ200がHMD装置110の外部に設けられる構成が示されているが、別の局面において、コンピュータ200は、HMD装置110に内蔵されてもよい。一例として、ディスプレイ112を含む携帯型の情報通信端末(例えば、スマートフォン)がコンピュータ200として機能してもよい。
また、コンピュータ200は、複数のHMD装置110に共通して用いられる構成であってもよい。このような構成によれば、例えば、複数のユーザに同一の仮想空間を提供することもできるので、各ユーザは同一の仮想空間で他のユーザと同一のアプリケーションを楽しむことができる。なお、このような場合、本実施形態における複数のHMDシステム100は、入出力インターフェース13により、コンピュータ200に直接接続されてもよい。また、本実施形態におけるサーバ150の各機能(例えば後述する同期処理等)は、コンピュータ200に実装されてもよい。
ある実施の形態において、HMDシステム100では、グローバル座標系が予め設定されている。グローバル座標系は、現実空間における鉛直方向、鉛直方向に直交する水平方向、ならびに、鉛直方向および水平方向の双方に直交する前後方向にそれぞれ平行な、3つの基準方向(軸)を有する。本実施の形態では、グローバル座標系は視点座標系の一つである。そこで、グローバル座標系における水平方向、鉛直方向(上下方向)、および前後方向は、それぞれ、x軸、y軸、z軸と規定される。より具体的には、グローバル座標系において、x軸は現実空間の水平方向に平行である。y軸は、現実空間の鉛直方向に平行である。z軸は現実空間の前後方向に平行である。
ある局面において、HMDセンサ120は、赤外線センサを含む。赤外線センサが、HMD装置110の各光源から発せられた赤外線をそれぞれ検出すると、HMD装置110の存在を検出する。HMDセンサ120は、さらに、各点の値(グローバル座標系における各座標値)に基づいて、HMD装置110を装着したユーザ190の動きに応じた、現実空間内におけるHMD装置110の位置および傾きを検出する。より詳しくは、HMDセンサ120は、経時的に検出された各値を用いて、HMD装置110の位置および傾きの時間的変化を検出できる。
グローバル座標系は現実空間の座標系と平行である。したがって、HMDセンサ120によって検出されたHMD装置110の各傾きは、グローバル座標系におけるHMD装置110の3軸周りの各傾きに相当する。HMDセンサ120は、グローバル座標系におけるHMD装置110の傾きに基づき、uvw視野座標系をHMD装置110に設定する。HMD装置110に設定されるuvw視野座標系は、HMD装置110を装着したユーザ190が仮想空間において物体を見る際の視点座標系に対応する。
[uvw視野座標系]
図3を参照して、uvw視野座標系について説明する。図3は、ある実施の形態に従うHMD装置110に設定されるuvw視野座標系を概念的に表す図である。HMDセンサ120は、HMD装置110の起動時に、グローバル座標系におけるHMD装置110の位置および傾きを検出する。プロセッサ10は、検出された値に基づいて、uvw視野座標系をHMD装置110に設定する。
図3に示されるように、HMD装置110は、HMD装置110を装着したユーザの頭部を中心(原点)とした3次元のuvw視野座標系を設定する。より具体的には、HMD装置110は、グローバル座標系を規定する水平方向、鉛直方向、および前後方向(x軸、y軸、z軸)を、グローバル座標系内においてHMD装置110の各軸周りの傾きだけ各軸周りにそれぞれ傾けることによって新たに得られる3つの方向を、HMD装置110におけるuvw視野座標系のピッチ方向(u軸)、ヨー方向(v軸)、およびロール方向(w軸)として設定する。
ある局面において、HMD装置110を装着したユーザ190が直立し、かつ、正面を視認している場合、プロセッサ10は、グローバル座標系に平行なuvw視野座標系をHMD装置110に設定する。この場合、グローバル座標系における水平方向(x軸)、鉛直方向(y軸)、および前後方向(z軸)は、HMD装置110におけるuvw視野座標系のピッチ方向(u軸)、ヨー方向(v軸)、およびロール方向(w軸)に一致する。
uvw視野座標系がHMD装置110に設定された後、HMDセンサ120は、HMD装置110の動きに基づいて、設定されたuvw視野座標系におけるHMD装置110の傾き(傾きの変化量)を検出できる。この場合、HMDセンサ120は、HMD装置110の傾きとして、uvw視野座標系におけるHMD装置110のピッチ角(θu)、ヨー角(θv)、およびロール角(θw)をそれぞれ検出する。ピッチ角(θu)は、uvw視野座標系におけるピッチ方向周りのHMD装置110の傾き角度を表す。ヨー角(θv)は、uvw視野座標系におけるヨー方向周りのHMD装置110の傾き角度を表す。ロール角(θw)は、uvw視野座標系におけるロール方向周りのHMD装置110の傾き角度を表す。
HMDセンサ120は、検出されたHMD装置110の傾き角度に基づいて、HMD装置110が動いた後のHMD装置110におけるuvw視野座標系を、HMD装置110に設定する。HMD装置110と、HMD装置110のuvw視野座標系との関係は、HMD装置110の位置および傾きに関わらず、常に一定である。HMD装置110の位置および傾きが変わると、当該位置および傾きの変化に連動して、グローバル座標系におけるHMD装置110のuvw視野座標系の位置および傾きが変化する。
ある局面において、HMDセンサ120は、赤外線センサからの出力に基づいて取得される赤外線の光強度および複数の点間の相対的な位置関係(例えば、各点間の距離など)に基づいて、HMD装置110の現実空間内における位置を、HMDセンサ120に対する相対位置として特定してもよい。また、プロセッサ10は、特定された相対位置に基づいて、現実空間内(グローバル座標系)におけるHMD装置110のuvw視野座標系の原点を決定してもよい。
[仮想空間]
図4を参照して、仮想空間についてさらに説明する。図4は、ある実施の形態に従う仮想空間2を表現する一態様を概念的に表す図である。仮想空間2は、中心21の360度方向の全体を覆う全天球状の構造を有する。図4では、説明を複雑にしないために、仮想空間2のうちの上半分の天球が例示されている。仮想空間2では各メッシュが規定される。各メッシュの位置は、仮想空間2に規定されるXYZ座標系における座標値として予め規定されている。コンピュータ200は、仮想空間2に展開可能なコンテンツ(静止画、動画等)を構成する各部分画像を、仮想空間2において対応する各メッシュにそれぞれ対応付けて、ユーザによって視認可能な仮想空間画像22が展開される仮想空間2をユーザに提供する。
ある局面において、仮想空間2では、中心21を原点とするXYZ座標系が規定される。XYZ座標系は、例えば、グローバル座標系に平行である。XYZ座標系は視点座標系の一種であるため、XYZ座標系における水平方向、鉛直方向(上下方向)、および前後方向は、それぞれX軸、Y軸、Z軸として規定される。したがって、XYZ座標系のX軸(水平方向)がグローバル座標系のx軸と平行であり、XYZ座標系のY軸(鉛直方向)がグローバル座標系のy軸と平行であり、XYZ座標系のZ軸(前後方向)がグローバル座標系のz軸と平行である。仮想空間2内の各位置は、XYZ座標系における座標値によって一意に特定される。
HMD装置110の起動時、すなわちHMD装置110の初期状態において、仮想カメラ1は、例えば仮想空間2の中心21に配置される。仮想カメラ1は、現実空間におけるHMD装置110の動きに連動して、仮想空間2を同様に移動する。これにより、現実空間におけるHMD装置110の位置および傾きの変化が、仮想空間2において同様に再現される。
仮想カメラ1には、HMD装置110の場合と同様に、uvw視野座標系が規定される。仮想空間2における仮想カメラ1のuvw視野座標系は、現実空間(グローバル座標系)におけるHMD装置110のuvw視野座標系に連動するように規定されている。したがって、HMD装置110の傾きが変化すると、それに応じて、仮想カメラ1の傾きも変化する。また、仮想カメラ1は、HMD装置110を装着したユーザの現実空間における移動に連動して、仮想空間2において移動することもできる。
仮想カメラ1の向きは、仮想カメラ1の位置および傾きに応じて決まるので、ユーザが仮想空間画像22を視認する際に基準となる視線(基準視線5)は、仮想カメラ1の向きに応じて決まる。コンピュータ200のプロセッサ10は、基準視線5に基づいて、仮想空間2における視界領域23を規定する。視界領域23は、仮想空間2のうち、HMD装置110を装着したユーザの視界に対応する。
注視センサ140によって検出されるユーザ190の視線方向は、ユーザ190が物体を視認する際の視点座標系における方向である。HMD装置110のuvw視野座標系は、ユーザ190がディスプレイ112を視認する際の視点座標系に等しい。また、仮想カメラ1のuvw視野座標系は、HMD装置110のuvw視野座標系に連動している。したがって、ある局面に従うHMDシステム100は、注視センサ140によって検出されたユーザ190の視線方向を、仮想カメラ1のuvw視野座標系におけるユーザの視線方向とみなすことができる。
[ユーザの視線]
図5を参照して、ユーザの視線方向の決定について説明する。図5は、ある実施の形態に従うHMD装置110を装着するユーザ190の頭部を上から表した図である。
ある局面において、注視センサ140は、ユーザ190の右目および左目の各視線を検出する。ある局面において、ユーザ190が近くを見ている場合、注視センサ140は、視線R1およびL1を検出する。別の局面において、ユーザ190が遠くを見ている場合、注視センサ140は、視線R2およびL2を検出する。この場合、ロール方向wに対して視線R2およびL2がなす角度は、ロール方向wに対して視線R1およびL1がなす角度よりも小さい。注視センサ140は、検出結果をコンピュータ200に送信する。
コンピュータ200が、視線の検出結果として、視線R1およびL1の検出値を注視センサ140から受信した場合には、その検出値に基づいて、視線R1およびL1の交点である注視点N1を特定する。一方、コンピュータ200は、視線R2およびL2の検出値を注視センサ140から受信した場合には、視線R2およびL2の交点を注視点として特定する。コンピュータ200は、特定した注視点N1の位置に基づき、ユーザ190の視線方向N0を特定する。コンピュータ200は、例えば、ユーザ190の右目Rと左目Lとを結ぶ直線の中点と、注視点N1とを通る直線の延びる方向を、視線方向N0として検出する。視線方向N0は、ユーザ190が両目により実際に視線を向けている方向である。また、視線方向N0は、視界領域23に対してユーザ190が実際に視線を向けている方向に相当する。
また、別の局面において、HMDシステム100は、テレビジョン放送受信チューナを備えてもよい。このような構成によれば、HMDシステム100は、仮想空間2においてテレビ番組を表示することができる。
さらに別の局面において、HMDシステム100は、インターネットに接続するための通信回路、あるいは、電話回線に接続するための通話機能を備えていてもよい。
[視界領域]
図6および図7を参照して、視界領域23について説明する。図6は、仮想空間2において視界領域23をX方向から見たYZ断面を表す図である。図7は、仮想空間2において視界領域23をY方向から見たXZ断面を表す図である。
図6に示されるように、YZ断面における視界領域23は、領域24を含む。領域24は、仮想カメラ1の基準視線5と仮想空間2のYZ断面とによって定義される。プロセッサ10は、仮想空間2における基準視線5を中心として極角αを含む範囲を、領域24として規定する。
図7に示されるように、XZ断面における視界領域23は、領域25を含む。領域25は、基準視線5と仮想空間2のXZ断面とによって定義される。プロセッサ10は、仮想空間2における基準視線5を中心とした方位角βを含む範囲を、領域25として規定する。
ある局面において、HMDシステム100は、コンピュータ200からの信号に基づいて、視界画像をディスプレイ112に表示させることにより、ユーザ190に仮想空間を提供する。視界画像は、仮想空間画像22のうち視界領域23に重畳する部分に相当する。視界領域23内において仮想カメラ1と仮想空間画像22との間に後述する仮想オブジェクトが配置されている場合、視界画像には当該仮想オブジェクトが含まれる。すなわち、視界画像において、仮想空間画像22よりも手前側にある仮想オブジェクトが仮想空間画像22に重畳して表示される。ユーザ190が、頭に装着したHMD装置110を動かすと、その動きに連動して仮想カメラ1も動く。その結果、仮想空間2における視界領域23の位置が変化する。これにより、ディスプレイ112に表示される視界画像は、仮想空間画像22のうち、仮想空間2においてユーザが向いた方向の視界領域23に重畳する画像に更新される。ユーザは、仮想空間2における所望の方向を視認することができる。
ユーザ190は、HMD装置110を装着している間、現実世界を視認することなく、仮想空間2に展開される仮想空間画像22のみを視認できる。そのため、HMDシステム100は、仮想空間2への高い没入感覚をユーザに与えることができる。
ある局面において、プロセッサ10は、HMD装置110を装着したユーザ190の現実空間における移動に連動して、仮想空間2において仮想カメラ1を移動し得る。この場合、プロセッサ10は、仮想空間2における仮想カメラ1の位置および傾きに基づいて、HMD装置110のディスプレイ112に投影される画像領域(すなわち、仮想空間2における視界領域23)を特定する。すなわち、仮想カメラ1によって、仮想空間2におけるユーザ190の視野(視界)が定義される。
ある実施の形態に従うと、仮想カメラ1は、二つの仮想カメラ、すなわち、右目用の画像を提供するための仮想カメラと、左目用の画像を提供するための仮想カメラとを含むことが望ましい。また、ユーザ190が3次元の仮想空間2を認識できるように、適切な視差が、二つの仮想カメラに設定されていることが好ましい。本実施の形態においては、仮想カメラ1が二つの仮想カメラを含み、二つの仮想カメラのロール方向が合成されることによって生成されるロール方向(w)がHMD装置110のロール方向(w)に適合されるように構成されているものとして、本開示に係る技術思想を例示する。
[コントローラ]
図8を参照して、コントローラ160の一例について説明する。図8は、ある実施の形態に従うコントローラ160の概略構成を表す図である。
図8の状態(A)に示されるように、ある局面において、コントローラ160は、右コントローラ160Rと左コントローラ(図示しない)とを含み得る。右コントローラ160Rは、ユーザ190の右手で操作される。左コントローラは、ユーザ190の左手で操作される。ある局面において、右コントローラ160Rと左コントローラとは、別個の装置として対称に構成される。したがって、ユーザ190は、右コントローラ160Rを把持した右手と、左コントローラを把持した左手とをそれぞれ自由に動かすことができる。別の局面において、コントローラ160は両手の操作を受け付ける一体型のコントローラであってもよい。以下、右コントローラ160Rについて説明する。
右コントローラ160Rは、グリップ30と、フレーム31と、天面32とを備える。グリップ30は、ユーザ190の右手によって把持されるように構成されている。例えば、グリップ30は、ユーザ190の右手の掌と3本の指(中指、薬指、小指)とによって保持され得る。
グリップ30は、ボタン33,34と、モーションセンサ130とを含む。ボタン33は、グリップ30の側面に配置され、右手の中指による操作を受け付ける。ボタン34は、グリップ30の前面に配置され、右手の人差し指による操作を受け付ける。ある局面において、ボタン33,34は、トリガー式のボタンとして構成される。モーションセンサ130は、グリップ30の筐体に内蔵されている。なお、ユーザ190の動作がカメラその他の装置によってユーザ190の周りから検出可能である場合には、グリップ30は、モーションセンサ130を備えなくてもよい。
フレーム31は、その円周方向に沿って配置された複数の赤外線LED35を含む。赤外線LED35は、コントローラ160を使用するプログラムの実行中に、当該プログラムの進行に合わせて赤外線を発光する。赤外線LED35から発せられた赤外線は、右コントローラ160Rと左コントローラとの各位置および姿勢(傾き、向き)等を検出するために使用され得る。図8に示される例では、二列に配置された赤外線LED35が示されているが、配列の数は図8に示されるものに限られない。一列あるいは3列以上の配列が使用されてもよい。
天面32は、ボタン36,37と、アナログスティック38とを備える。ボタン36,37は、プッシュ式ボタンとして構成される。ボタン36,37は、ユーザ190の右手の親指による操作を受け付ける。アナログスティック38は、ある局面において、初期位置(ニュートラルの位置)から360度任意の方向への操作を受け付ける。当該操作は、例えば、仮想空間2に配置されるオブジェクトを移動させるための操作を含む。
ある局面において、右コントローラ160Rおよび左コントローラは、赤外線LED35その他の部材を駆動するための電池を含む。電池は、充電式、ボタン型、乾電池型等を含むが、これらに限定されない。別の局面において、右コントローラ160Rおよび左コントローラは、例えば、コンピュータ200のUSBインターフェースに接続され得る。この場合、右コントローラ160Rおよび左コントローラは、電池を必要としない。
図8の状態(A)および状態(B)に示されるように、例えば、ユーザ190の右手810に対して、ヨー、ロール、ピッチの各方向が規定される。ユーザ190が親指と人差し指とを伸ばした場合に、親指の伸びる方向がヨー方向、人差し指の伸びる方向がロール方向、ヨー方向の軸およびロール方向の軸によって規定される平面に垂直な方向がピッチ方向として規定される。
[HMD装置の制御装置]
図9を参照して、HMD装置110の制御装置について説明する。ある実施の形態において、制御装置は周知の構成を有するコンピュータ200によって実現される。図9は、ある実施の形態に従うコンピュータ200をモジュール構成として表すブロック図である。
図9に示されるように、コンピュータ200は、表示制御モジュール220と、仮想空間制御モジュール230と、メモリモジュール240と、通信制御モジュール250とを備える。表示制御モジュール220は、サブモジュールとして、仮想カメラ制御モジュール221と、視界領域決定モジュール222と、視界画像生成モジュール223と、基準視線特定モジュール224とを含む。仮想空間制御モジュール230は、サブモジュールとして、仮想空間定義モジュール231と、仮想オブジェクト制御モジュール232と、フィードバックモジュール233とを含む。
ある実施の形態において、表示制御モジュール220と仮想空間制御モジュール230とは、プロセッサ10によって実現される。別の実施の形態において、複数のプロセッサ10が表示制御モジュール220と仮想空間制御モジュール230として作動してもよい。メモリモジュール240は、メモリ11またはストレージ12によって実現される。通信制御モジュール250は、通信インターフェース14によって実現される。
ある局面において、表示制御モジュール220は、HMD装置110のディスプレイ112における画像表示を制御する。仮想カメラ制御モジュール221は、仮想空間2に仮想カメラ1を配置し、仮想カメラ1の挙動、向き等を制御する。視界領域決定モジュール222は、HMD装置110を装着したユーザの頭の向きに応じて、視界領域23を規定する。視界画像生成モジュール223は、決定された視界領域23に基づいて、ディスプレイ112に表示される視界画像を生成する。基準視線特定モジュール224は、注視センサ140からの信号に基づいて、ユーザ190の視線を特定する。
仮想空間制御モジュール230は、ユーザ190に提供される仮想空間2を制御する。仮想空間定義モジュール231は、仮想空間2を表す仮想空間データを生成することにより、HMDシステム100における仮想空間2を規定する。
仮想オブジェクト制御モジュール232は、後述するオブジェクト情報242に基づいて、仮想空間2に配置される仮想的なオブジェクトである仮想オブジェクトを生成する。また、仮想オブジェクト制御モジュール232は、仮想空間2における仮想オブジェクトの動作(移動および状態変化等)も制御する。
仮想オブジェクトは、仮想空間2に配置されるオブジェクト全般である。仮想オブジェクトは、例えば、ゲームのストーリーの進行に従って配置される森、山その他を含む風景、動物等を含み得る。また、仮想オブジェクトは、仮想空間2におけるユーザ190の分身としてのアバターおよびユーザ190により操作されるゲームのキャラクタ(プレイヤキャラクタ)等のキャラクタオブジェクトを含み得る。さらに、仮想オブジェクトは、ユーザが操作可能な対象として予め設定されたオブジェクトである操作オブジェクトも含み得る。すなわち、操作オブジェクトはユーザに関連付けられた仮想オブジェクトである。操作オブジェクトは、キャラクタオブジェクトの少なくとも一部(例えばアバターの手の部分)に相当するオブジェクトであってもよいし、アバターまたはキャラクタが持つ道具(例えば武器)に相当するオブジェクトであってもよい。あるいは、操作オブジェクトは、アバターまたはキャラクタから放たれる物体(例えば、ボール等の固形物)に相当するオブジェクトであってもよい。あるいは、操作オブジェクトは、アバターまたはキャラクタが持つ道具から放たれる物体(例えば、銃弾や矢などの固形物)に相当するオブジェクトであってもよい。さらに、仮想オブジェクトは、仮想空間2においてユーザ190が標的(操作オブジェクトを当てる目標)として認識する標的オブジェクトを含み得る。標的の例として、敵キャラクタ、障害物等が挙げられる。なお、以下の説明において、誤解が生じない場合には、仮想オブジェクトのことを単に「オブジェクト」と表記する。
仮想空間制御モジュール230は、仮想空間2に配置されるオブジェクトのそれぞれが、他のオブジェクトと衝突した場合に、当該衝突を検出する。ある局面では、仮想空間制御モジュール230は操作オブジェクトと標的オブジェクトとの衝突を検出する。仮想空間制御モジュール230は、例えば、あるオブジェクトと別のオブジェクトとが触れたタイミングを検出することができ、当該検出がされたときに、予め定められた処理を行う。仮想空間制御モジュール230は、オブジェクトとオブジェクトとが触れている状態から離れたタイミングを検出することができ、当該検出がされたときに、予め定められた処理を行う。仮想空間制御モジュール230は、例えばオブジェクト毎に設定されたコリジョンエリアに基づく公知の当たり判定を実行することにより、オブジェクトとオブジェクトとが触れている状態であることを検出することができる。
フィードバックモジュール233は、仮想空間制御モジュール230により操作オブジェクトと標的オブジェクトとの衝突が検出された場合に、その衝突に基づく標的オブジェクトのフィードバック動作を示すフィードバック情報をリアルタイムに生成する。フィードバック動作とは、操作オブジェクトと標的オブジェクトとの衝突により発生する標的オブジェクトの動作である。「フィードバック情報をリアルタイムに生成する」とは、衝突が検出される前には存在しないフィードバック情報を、衝突の検出を契機として生成し始めることをいう。フィードバックモジュール233はそのフィードバック情報に基づいて標的オブジェクトの動作を制御する。したがって、操作オブジェクトとの衝突が検出された場合には、標的オブジェクトは仮想オブジェクト制御モジュール232およびフィードバックモジュール233の双方により制御され得る。
メモリモジュール240は、コンピュータ200が仮想空間2をユーザ190に提供するために使用されるデータを保持している。ある局面において、メモリモジュール240は、空間情報241と、オブジェクト情報242と、ユーザ情報243とを保持している。空間情報241には、例えば、仮想空間2を提供するために規定された1つ以上のテンプレートが含まれている。オブジェクト情報242には、例えば、仮想空間2において再生されるコンテンツ、当該コンテンツで使用されるオブジェクトを配置するための情報等が含まれている。当該コンテンツは、例えば、ゲーム、現実社会と同様の風景を表したコンテンツ等を含み得る。オブジェクト情報242には、各オブジェクトを描画するための描画情報も含まれている。また、オブジェクト情報242は、各オブジェクトに関連付けられた属性を示す属性情報も含み得る。オブジェクトの属性情報としては、例えば当該オブジェクトの種類(例えばアバター等)を示す情報、およびオブジェクトが可動物(可動オブジェクト)であるか固定物(固定オブジェクト)であるかを示す情報等が挙げられる。ユーザ情報243には、例えば、HMDシステム100の制御装置としてコンピュータ200を機能させるためのプログラム、オブジェクト情報242に保持される各コンテンツを使用するアプリケーションプログラム等が含まれている。
メモリモジュール240に格納されているデータおよびプログラムは、HMD装置110のユーザによって入力される。あるいは、プロセッサ10が、当該コンテンツを提供する事業者が運営するコンピュータ(例えば、サーバ150)からプログラムあるいはデータをダウンロードして、ダウンロードされたプログラムあるいはデータをメモリモジュール240に格納する。
通信制御モジュール250は、ネットワーク19を介して、サーバ150その他の情報通信装置と通信し得る。
ある局面において、表示制御モジュール220および仮想空間制御モジュール230は、例えば、ユニティテクノロジーズ社によって提供されるUnity(登録商標)を用いて実現され得る。別の局面において、表示制御モジュール220および仮想空間制御モジュール230は、各処理を実現する回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
コンピュータ200における処理は、ハードウェアと、プロセッサ10により実行されるソフトウェアとによって実現される。このようなソフトウェアは、ハードディスクその他のメモリモジュール240に予め格納されている場合がある。また、ソフトウェアは、CD−ROMその他のコンピュータ読み取り可能な不揮発性のデータ記録媒体に格納されて、プログラム製品として流通している場合もある。あるいは、当該ソフトウェアは、インターネットその他のネットワークに接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラム製品として提供される場合もある。このようなソフトウェアは、光ディスク駆動装置その他のデータ読取装置によってデータ記録媒体から読み取られて、あるいは、通信制御モジュール250を介してサーバ150その他のコンピュータからダウンロードされた後、メモリモジュール240に一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ10によってメモリモジュール240から読み出され、実行可能なプログラムの形式でRAMに格納される。プロセッサ10は、そのプログラムを実行する。
図9に示されるコンピュータ200を構成するハードウェアは、一般的なものである。したがって、本実施の形態に係る最も本質的な部分は、コンピュータ200に格納されたプログラムであるともいえる。なお、コンピュータ200のハードウェアの動作は周知であるので、詳細な説明は繰り返さない。
なお、データ記録媒体としては、CD−ROM、FD(Flexible Disk)、ハードディスクに限られず、磁気テープ、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュROMなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する不揮発性のデータ記録媒体でもよい。
ここでいうプログラムとは、プロセッサ10により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含み得る。
[制御構造]
図10を参照して、本実施の形態に係るコンピュータ200の制御構造について説明する。図10は、ユーザ190Aによって使用されるHMDシステム100Aがユーザ190Aに仮想空間2を提供するために実行する処理を表すシーケンス図である。複数のHMDシステム100が存在する場合には、他のHMDシステム100B,100Cにおいても、同様の処理が実行される。
ステップS1において、コンピュータ200のプロセッサ10は、仮想空間定義モジュール231として、仮想空間2の背景を構成する仮想空間画像データ(仮想空間画像22)を特定し、仮想空間2を定義する。プロセッサ10は、その仮想空間2を規定する仮想空間データを生成する。
ステップS2において、プロセッサ10は、仮想カメラ制御モジュール221として、仮想カメラ1を初期化する。例えば、プロセッサ10は、メモリのワーク領域において、仮想カメラ1を仮想空間2において予め規定された中心点に配置し、仮想カメラ1の視線をユーザ190が向いている方向に向ける。
ステップS3において、プロセッサ10は、視界画像生成モジュール223として、初期の視界画像を表示するための視界画像データを生成する。プロセッサ10は、少なくとも仮想空間データに基づいて視界画像データを生成する。生成された視界画像データは、視界画像生成モジュール223を介して通信制御モジュール250によってHMD装置110に送られる。
ステップS4において、HMD装置110のディスプレイ112は、コンピュータ200から受信した信号に基づいて、視界画像を表示する。HMD装置110Aを装着したユーザ190Aは、視界画像を視認すると仮想空間2を認識し得る。
ステップS5において、HMDセンサ120は、HMD装置110から発信される複数の赤外線光に基づいて、HMD装置110の位置および傾きを検知する。検知結果は、動き検知データとして、コンピュータ200に送られる。
ステップS6において、プロセッサ10は、視界領域決定モジュール222として、HMD装置110Aの位置と傾きとに基づいて、HMD装置110Aを装着したユーザ190Aの視界方向(すなわち、仮想カメラ1の位置および傾き)を特定する。プロセッサ10は、アプリケーションプログラムを実行し、アプリケーションプログラムに含まれる命令に基づいて、仮想空間2にオブジェクトを配置する。
ステップS7において、コントローラ160は、現実空間におけるユーザ190Aの操作を検出する。例えば、ある局面において、コントローラ160は、ユーザ190Aによってボタンが押下されたことを検出する。別の局面において、コントローラ160は、ユーザ190Aの両手の動作(たとえば、両手を振る等)を検出する。検出内容を示す信号は、コンピュータ200に送られる。
ステップS8において、プロセッサ10は、仮想オブジェクト制御モジュール232およびフィードバックモジュール233の少なくとも一方として、各仮想オブジェクトの動作を制御する。ある局面では、プロセッサ10は操作オブジェクトおよび標的オブジェクトの少なくとも一方の動作を制御する。
ステップS9において、プロセッサ10は、視界画像生成モジュール223として、ステップS8の処理結果と仮想空間データとに基づく視界画像を表示するための視界画像データを生成し、生成した視界画像データをHMD装置110に出力する。
ステップS10において、HMD装置110のディスプレイ112は、受信した視界画像データに基づいて視界画像を更新し、更新後の視界画像を表示する。
[衝突時の制御]
図11は、ある実施の形態に従うHMD装置110上に表される視界画像300の一例を表す図である。ユーザ190はHMD装置110を介してこの視界画像300を視認することができる。図11の例では、視界画像300は、ユーザ190により操作されるキャラクタの手(仮想手)を表す手オブジェクト301と、その手に握られた武器(剣)を表す操作オブジェクト302と、敵キャラクタを表す標的オブジェクト400とを含む。ユーザ190はコントローラ160を介して剣(操作オブジェクト302)を操作することで敵キャラクタ(標的オブジェクト400)を攻撃する。コンピュータ200は、操作オブジェクト302と標的オブジェクト400との衝突を判定し、その衝突が発生した場合には、標的オブジェクト400のうち、操作オブジェクト302が当たった部位を少なくとも含む部分の動作を制御する。この演出により、ユーザ190は、仮想空間2の中で敵キャラクタと対戦している時に、敵キャラクタのどの部位に自分の武器が当たったかを一目で把握することができる。
図12を参照しながら、操作オブジェクト302と標的オブジェクト400との衝突に関する制御をさらに詳しく説明する。図12は、ある実施の形態に従う仮想オブジェクトの制御を表すフローチャートである。
ステップS21において、HMDシステム100のプロセッサ10(以下単に「プロセッサ10」という)は仮想空間定義モジュール231として機能し、操作オブジェクト302と標的オブジェクト400とを含む仮想空間2を定義する。この処理は、図10に示すステップS1の処理に対応し得る。具体的には、プロセッサ10は空間情報241、オブジェクト情報242、およびユーザ情報243のうち少なくとも一種類の情報をメモリモジュール240から読み出す。そして、プロセッサ10は読み出した情報に基づいて、仮想空間2を定義する仮想空間データを生成することにより、仮想空間2を規定する。あるいは、プロセッサ10は、コンテンツを提供する事業者が運営するコンピュータ(例えば、サーバ150)から予めダウンロードされたプログラムおよびデータ(仮想空間画像データ、オブジェクトの描画および初期配置等に関する情報)にも基づいて仮想空間データを生成してもよい。
操作オブジェクト302と標的オブジェクト400との衝突を演出するための標的オブジェクト400の定義および構成についてさらに詳しく説明する。図13は、ある実施の形態に従う標的オブジェクト400の定義および構成の例を表す図である。標的オブジェクト400は、骨格を構成する個々のボーン(骨)401に外観デザインを適用することで(すなわち、個々のボーンを肉付けすることで)形成される。標的オブジェクト400は複数の部位で構成され、一つの部位は一つのボーン401に対応する。隣接する二つのボーン401はジョイント(関節)402で接続される。個々のボーン401はジョイント402を支点として所定の自由度で動くことができるようにプログラムされる。
標的オブジェクト400のオブジェクト情報242は、ボーン401およびジョイント402を定義する骨格情報と、ボーン401に適用される外観デザインを定義する外観情報と、各部位の予め定められた動作を定義するモーション情報とを含み得る。モーション情報は、ボーン401およびジョイント402の予め定められた動きを定義する情報であるともいえる。ステップS21において、プロセッサ10は、表示しようとする標的オブジェクト400の骨格情報および外観情報をメモリモジュール240から読み出し、これらの骨格情報に基づいて標的オブジェクトを定義する。
図12に戻り、ステップS22において、プロセッサ10は視界画像生成モジュール223として機能し、仮想空間データに基づいて、初期の視界画像を表示するための視界画像データを生成し、この視界画像データをHMD装置110に出力(送信)する。HMD装置110はその視界画像データを処理して視界画像300を表示する。この処理は図10でのステップS3,S4に対応し得る。この結果、ユーザ190は、手オブジェクト301、操作オブジェクト302、および標的オブジェクト400が描画された視界画像300を視認することができる。
ステップS23において、プロセッサ10は仮想オブジェクト制御モジュール232として機能し、仮想空間2における標的オブジェクト400の動作をモーション情報に基づいて更新する。この処理は図10でのステップS8に対応し得る。標的オブジェクト400の動作の更新とは、仮想空間2における標的オブジェクト400の動作を示す値を新たな値に変更することであり、より具体的には、標的オブジェクト400の位置および姿勢に関する値を変更することである。プロセッサ10は表示している標的オブジェクト400のモーション情報をメモリモジュール240から読み出し、そのモーション情報に基づいて標的オブジェクト400の新たな動作を決定する。続いてプロセッサ10は決定した動作を示す動き情報を生成する。
標的オブジェクトの動作を制御する一方で、プロセッサ10は操作オブジェクト302の動作も制御する。ステップS24において、プロセッサ10は仮想オブジェクト制御モジュール232として機能し、コントローラ160から送られてきた信号を処理することで操作オブジェクト302の動作を更新する。この処理は図10でのステップS7,S8に対応し得る。操作オブジェクト302の動作の更新とは、仮想空間2における操作オブジェクト302の動作を示す値を新たな値に変更することであり、より具体的には、操作オブジェクト302の位置および姿勢に関する値を変更することである。プロセッサ10は操作オブジェクト302の新たな動作を示す動き情報を生成する。
ステップS25において、プロセッサ10は視界画像生成モジュール223として機能し、仮想オブジェクト(操作オブジェクト302および標的オブジェクト400の少なくとも一方)についての新たな動きを表示するための視界画像データを動き情報に基づいて生成し、その視界画像データをHMD装置110に出力(送信)する。HMD装置110はその視界画像データを処理して視界画像300を更新する。これらの処理は図10でのステップS9,S10に対応し得る。この結果、視界画像300内では、標的オブジェクト400が予め定められた動作を行い、または、操作オブジェクト302がユーザの操作に応じて動く。
ステップS26において、プロセッサ10は仮想空間制御モジュール230として機能し、仮想空間2において操作オブジェクト302と標的オブジェクト400とが衝突したか否かを判定する。その衝突を検出しない場合には(ステップS26においてNO)、プロセッサ10はステップS23〜S25の処理を繰り返す。もし衝突を検出した場合には(ステップS26においてYES)、処理はステップS27に進む。
ステップS27において、プロセッサ10はフィードバックモジュール233として機能し、発生した衝突に基づく標的オブジェクト400のフィードバック情報を生成する。この処理は図10でのステップS8に対応し得る。
図14および図15を参照しながら、フィードバック情報の生成についてさらに詳しく説明する。図14は、ある実施の形態に従うフィードバック情報の生成を表すフローチャートである。図15は、ある実施の形態に従う標的オブジェクト400のフィードバック動作の計算方法を表す図であり、より具体的には、標的オブジェクト400の右手に操作オブジェクト302が当たった場合のフィードバック動作の計算方法を表す。図15では、標的オブジェクト400を構成する部位として手、前腕、上腕、および胸を特に示す。これらの部位に対応するボーンをそれぞれ手ボーン411、前腕ボーン412、上腕ボーン413、および胸ボーン414という。
ステップS271において、プロセッサ10は操作オブジェクト302と標的オブジェクト400との衝突に関するパラメータを衝突パラメータとして取得する。ある局面では、衝突パラメータは、標的オブジェクト400における衝突点と、標的オブジェクト400における衝突部位と、衝突時の操作オブジェクト302の運動を示すヒットベクトルとを含む。プロセッサ10は、標的オブジェクト400のうち、操作オブジェクト302が当たった位置を衝突点として特定する。この衝突点は、例えば座標により表されてもよい。また、プロセッサ10は、標的オブジェクト400を構成する複数の部位のうち、操作オブジェクト302が当たった部位を衝突部位として特定する。衝突部位は部位の識別子または座標により表されてもよい。さらにプロセッサ10は、標的オブジェクト400と衝突した時点における操作オブジェクト302の移動方向および衝突の大きさ(衝撃力)を示すヒットベクトルを算出する。ヒットベクトルの終点は衝突点である。図15では、衝突点をHPという符号で示し、ヒットベクトルをHVという符号で示している。
ステップS272において、プロセッサ10は、モーション情報を用いることなく、衝突パラメータに基づいて衝突部位の動作を算出する。個々の部位はボーンに外観デザインを適用することで生成されるので、部位の動作を求めるためには該部位に対応するボーンの動作を求めればよい。したがって、部位の動作を求めることはボーンの動作を求めることと同義であるともいえる。
図15の例では、衝突部位は手なので、プロセッサ10はまず手ボーン411の動作を算出する。具体的には、プロセッサ10は、手ボーン411に対応するジョイントから衝突点HPに至るジョイントベクトルを算出する。一つのボーンには二つのジョイントが対応し得るが、プロセッサ10は、ジョイントベクトルの始点となるジョイントを任意の手法で選択してもよい。図15の例では、プロセッサ10は、他のボーンである前腕ボーン412と接続しているジョイント421を選択し、ジョイント421から衝突点HPに至るジョイントベクトル511を算出してもよい。続いて、プロセッサ10はそのジョイントベクトル511とヒットベクトルHVとの外積を計算することで回転モーメントを求め、この回転モーメントと手の仮想質量とに基づいて手ボーン411の角加速度を求める。そして、プロセッサ10はその角加速度に基づいて手ボーン411の角速度を求め、この角速度に基づいて手ボーン411の動作を計算する。例えば、プロセッサ10はその角速度に基づいて手ボーン411の振動521を求める。プロセッサ10は、算出した動作を手ボーン411のフィードバック情報(すなわち、手のフィードバック情報)として保持する。
ここで、標的オブジェクト400のボーン(部位)の振動とは、操作オブジェクト302と衝突した時点での当該ボーンの位置を中心軸として、当該ボーン(部位)がその中心軸を跨ぎながら往復動することをいう。すなわち、ボーン(部位)の振動とは、当該中心軸を挟んでボーン(部位)が振り子のように動くことをいう。単にボーンが所定の角度+θだけ動いて元の場所に戻るだけの動きでは振動らしさを良好に表現できない。ボーンをある方向に所定の角度+θだけ動かし、そのボーンを元の位置に戻し、次いでそのボーンを反対方向に所定の角度−θ´(|+θ|≧|−θ´|)だけ動かし、そして元の位置に戻すようにボーンを制御することで、振動の雰囲気を視覚的に且つ良好にユーザ190に提供することができる。
振動は、衝突部位と、必要であれば該衝突部位の近傍の部位とにおける動作であり、標的オブジェクト400の姿勢を変化させる動作ではない。すなわち、標的オブジェクト400の姿勢は、一部の部位が振動している場合にも変化しない。例えば、図15に示す例のように手または足が振動したとしても、プロセッサ10は、体幹に相当するボーン(例えば、背骨に相当するボーン)を動かさない。
プロセッサ10は、衝突部位だけでなく、衝突部位と直接にまたは間接的に接続する他の部位についても動作を計算してもよい。本開示では、当該他の部位をホップ数の概念を用いて表す。本開示におけるホップ数とは、他の部位が衝突部位からどのくらい離れているかを示す数値であり、衝突部位から他の部位に至るまでに経由するジョイントの最小個数で表される。図15の例では、手と直接に接続する前腕は、手から1ホップだけ離れた部位に相当する。前腕を介して手と間接的に接続する上腕は、手から2ホップだけ離れた部位に相当する。前腕および上腕を介して手と間接的に接続する胸は、手から3ホップだけ離れた部位に相当する。以下では、ホップ数を変数iで表す。
ステップS273において、プロセッサ10はホップ数iを1にセットする。
ステップS274において、プロセッサ10は衝突部位から1ホップ離れた部位を追加の対象部位(以下では単に「対象部位」という)として特定する。図15の例では、プロセッサ10は前腕を対象部位として特定する。
ステップS275において、プロセッサ10は対象部位の動作を計算するか否かを判定する。プロセッサ10は、ヒットベクトルHVで示される衝撃力が対象部位に及ぶ場合には、当該対象部位の動作を計算すると判定し、当該衝撃力が対象部位に及ばない場合には、その計算を実行しないと判定する。本開示では、プロセッサ10は、衝突部位における衝撃力を1として、対象部位に伝わる衝撃力を求める。衝突部位以外の対象部位に伝わる衝撃力は0以上1未満である。プロセッサ10は、対象部位における衝撃力が0より大きければその対象部位の動作を計算すると判定し、その衝撃力が0である場合には、対象部位の動作を計算しないと判定する。
プロセッサ10は、衝突部位から離れた部位ほどヒットベクトルHVを減衰させることで、衝突部位以外の各部位の衝撃力を求める。ヒットベクトルHVの減衰とは、ヒットベクトルHVの大きさ、すなわち衝撃力を減少させることをいう。衝突部位に応じた各部位でのヒットベクトルHVの減衰度はオブジェクト情報242の一部として予め設定されていてもよい。この場合には、プロセッサ10はそのオブジェクト情報242を読み出すことで、衝突部位に応じた各部位の衝撃力を求める。あるいは、プロセッサ10は、ヒットベクトルHVで示される衝撃力と、対象部位のパラメータ(位置、寸法、仮想質量など)と、衝突部位から対象部位までの距離との少なくとも一つに基づいてリアルタイムに減衰度を計算してもよい。
図15に示すモデルでは、例えば前腕、上腕、および胸での衝撃力がそれぞれ0.8、0.4、0.1であってもよい。あるいは、前腕、上腕、および胸での衝撃力がそれぞれ0.9、0.4、0であってもよい。衝突部位からnホップ離れた部位での衝撃力が0である場合には、衝突部位から(n+1)ホップ以上離れた部位の衝撃力も0である。
ステップS275においてYESである場合には、処理はステップS276に進む。このステップS276において、プロセッサ10は、モーション情報を用いることなく、衝突パラメータに基づいて対象部位の動作を計算する。この段階ではホップ数iは1なので、図15の例では、プロセッサ10は前腕の動作を計算する。具体的には、プロセッサ10は、前腕ボーン412の両端に位置するジョイント421,422のうち、手ボーン411に対応するジョイントとして選択されなかったジョイント422を、前腕ボーン412に対応するジョイントとして選択する。そして、プロセッサ10は、ジョイント422から衝突点HPに至るジョイントベクトル512を算出する。また、プロセッサ10は、ヒットベクトルHVを減衰させることで、前腕ボーン412に伝わるヒットベクトルHVの大きさ(衝撃力)を求める。続いて、プロセッサ10はジョイントベクトル512と減衰させたヒットベクトルHVとの外積を計算することで回転モーメントを求め、この回転モーメントと前腕の仮想質量とに基づいて前腕ボーン412の角加速度を求める。そして、プロセッサ10はその角加速度に基づいて前腕ボーン412の角速度を求め、この角速度に基づいて前腕ボーン412の動作(例えば振動522)を計算する。プロセッサ10は、算出した動作を前腕ボーン412のフィードバック情報(すなわち、前腕のフィードバック情報)として保持する。
ステップS277において、プロセッサ10はホップ数を1だけ増分する。この段階ではホップ数は2になる。
続いて、処理はステップS274に進み、そのステップ以降の処理が繰り返される。図15の例では、プロセッサ10はステップS274において上腕を対象部位として特定し、ステップS275において対象部位の動作を計算するか否かを判定する。ステップS275においてYESである場合には、プロセッサ10はステップS276において、モーション情報を用いることなく、衝突パラメータに基づいて上腕の動作を計算する。具体的には、プロセッサ10は、上腕ボーン413と胸ボーン414とを接続するジョイント423から衝突点HPに至るジョイントベクトル513を算出する。また、プロセッサ10はヒットベクトルHVを減衰させることで、上腕ボーン413に伝わるヒットベクトルHVの大きさ(衝撃力)を求める。続いて、プロセッサ10はそのジョイントベクトル513と減衰させたヒットベクトルHVとの外積を計算することで回転モーメントを求め、この回転モーメントと上腕の仮想質量とに基づいて上腕ボーン413の角加速度を求める。そして、プロセッサ10はその角加速度に基づいて上腕ボーン413の角速度を求め、この角速度に基づいて上腕ボーン413の動作(例えば振動523)を計算する。プロセッサ10は、算出した動作を上腕ボーン413のフィードバック情報(すなわち、上腕のフィードバック情報)として保持する。
ステップS277において、プロセッサ10はホップ数を1だけ増分し、これによりホップ数は3になる。続いて、処理はステップS274に進み、そのステップ以降の処理が繰り返される。図15の例では、プロセッサ10は、胸ボーン414の動作を計算するかもしれないし、その計算を行わないかもしれない。胸ボーン414の動作を求める場合には、プロセッサ10は胸ボーン414に対応するジョイント424から衝突点HPに至るジョイントベクトル514を算出する。そして、プロセッサ10はジョイントベクトル514と減衰させたヒットベクトルHVとに基づいて胸ボーン414の動作(例えば振動524)を示すフィードバック情報(すなわち、胸のフィードバック情報)を算出する。
プロセッサ10は、ステップS275において対象部位の動作を計算しないと判定するまで、衝突部位を含む少なくとも一つの部位についてフィードバック情報を生成する。
図15の例では末梢の部位である手が衝突部位なので、プロセッサ10は標的オブジェクト400の中枢に向かって部位を一つずつ􄭝りながら各部位のフィードバック情報を生成した。衝突部位の場所によっては、プロセッサ10は衝突部位から中枢に向かって部位を一つずつ􄭝りながらフィードバック情報を生成すると共に、衝突部位から末梢に向かって部位を一つずつ􄭝りながらフィードバック情報を生成することもあり得る。例えば図15のモデルにおいて衝突部位が上腕であれば、プロセッサ10は、衝突部位から1ホップ離れた部位である前腕および胸の少なくとも一方を追加の対象部位として処理し得る。さらに、プロセッサ10は、衝突部位から2ホップ離れた部位である手、首、または腹をさらなる対象部位として処理し得る。
図12に戻り、ステップS28において、プロセッサ10は仮想オブジェクト制御モジュール232およびフィードバックモジュール233として機能し、仮想空間2における標的オブジェクト400の動作をモーション情報およびフィードバック情報の双方に基づいて更新する。この処理は図10でのステップS8に対応し得る。プロセッサ10は表示している標的オブジェクト400のモーション情報をメモリモジュール240から読み出す。そして、プロセッサ10はそのモーション情報と生成したフィードバック情報とに基づいて標的オブジェクト400の新たな動作を決定する。続いてプロセッサ10は決定した動作を示す動き情報を生成する。
ステップS29において、プロセッサ10は視界画像生成モジュール223として機能し、標的オブジェクト400についての新たな動きを表示するための視界画像データをモーション情報およびフィードバック情報の双方に基づいて生成し、その視界画像データをHMD装置110に出力(送信)する。HMD装置110はその視界画像データを処理して視界画像300を更新する。これらの処理は図10でのステップS9,S10に対応し得る。視界画像300内の標的オブジェクト400の動作は、モーション情報で定義される所定の動作と、フィードバック情報で定義されるフィードバック動作(例えば振動)との和、組合せ、または混合になる。
ステップS30において、プロセッサ10が仮想空間2の提供を終了すると判定するまで、プロセッサ10はステップS23〜S29を繰り返す。
図16は、ある実施の形態に従う操作オブジェクト302と標的オブジェクト400との衝突の演出の一例を表す図である。この図における状態(A)は、操作オブジェクト302と標的オブジェクト400とが衝突した瞬間(剣が敵キャラクタの右手に当たった瞬間)を表す視界画像300を表す。プロセッサ10はこの衝突を検出したことを契機として、標的オブジェクト400における衝突部位を特定するとともに、その衝突に基づく標的オブジェクト400のフィードバック操作を示すフィードバック情報をリアルタイムに生成する。そして、プロセッサ10はこれらのモーション情報及びフィードバック情報を用いて、少なくとも衝突部位の動作を更新する。この一連の処理により、視界画像300は図16の状態(B)に変わり、標的オブジェクト400の衝突部位(右手)およびその周辺(例えば右腕)が振動するように描画される。
状態(B)では標的オブジェクト400が自分の剣を少し下げているが、この動作はモーション情報に基づく動作であり、したがって、予め定められた動作である。一方、状態(B)における振動は、衝突の検出に基づいてリアルタイムに生成されたフィードバック情報に基づく動作であり、したがって、動的に生成された動作である。状態(B)における標的オブジェクト400の動作は、モーション情報に基づく動作に、フィードバック情報に基づく動作が追加されたものであるということができる。
このような処理により、モーション情報に基づく標的オブジェクトの動作に、フィードバック情報に基づく衝突部位(あるいは、衝突部位およびその近くの部位)の動作が加わるので、衝突が視覚的に演出される。この演出により、ユーザ190は自身の操作オブジェクトが標的オブジェクトのどこに当たったかを一目で把握できる。したがって、仮想空間2におけるユーザ190の仮想体験のエンタテイメント性を向上させることができる。
衝突を表現するためのフィードバック情報は、予め用意されるのではなく、衝突が検出された際にリアルタイムに生成される。操作オブジェクト302と標的オブジェクト400との衝突のパターンはユーザ操作に依存して非常に多い。そのため、個々の衝突のパターンに適応するようにモーション情報を用意しようとすると、予め用意すべきモーション情報の量が非常に大きくなってしまう。さらに、衝突が発生する度にモーション情報をメモリモジュール240から読み出す必要があり、この処理に一定以上の時間を要するので、操作オブジェクト302および標的オブジェクト400などの仮想オブジェクトの動作の更新に時間が掛かってしまう。処理速度が低下すると、視界画像300の更新頻度(フレームレート)が低下してユーザ190がVR酔いしてしまう可能性がある。本開示の実施形態によれば、衝突時の標的オブジェクト400の動作をリアルタイムに計算することで、モーション情報を用いる場合よりも高速にフィードバック情報が得られるので、標的オブジェクト400の動作を高速に更新することができる。衝突のフィードバックが早く処理されるので、仮想空間2が円滑に表示され続け、VR酔いを防止することが可能になる。
さらに、本開示の実施形態によれば、ヒットベクトルHVの向きおよび位置と衝突点HPとを固定させつつ、各部位固有のジョイントベクトルを用いて各部位のフィードバック情報が生成される。ヒットベクトルHVの位置および向きを移動させたり変形させたりする必要がないので、その分だけ計算量が低減される。したがって、フィードバック情報を生成する時間が短縮され、この結果、標的オブジェクト400の動作を高速に更新することができる。
さらに、本開示の実施形態によれば、ヒットベクトルHVの位置および向きを移動させたり変形させたりせず、ヒットベクトルHVの大きさのみが衝突部位からの距離に応じて減ぜられる。このようにヒットベクトルHVの大きさだけを調整することで、フィードバック情報の計算量を抑えつつ、迫真のあるフィードバック操作を出力することが可能になる。
[変形例]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではない。本実施形態は一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲およびその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
図17を参照しながらフィードバック演算の変形について説明する。図17は、変形例に従う標的オブジェクト400のフィードバック動作の計算方法を表す図である。図17の状態(A)は、上方から降りてきた操作オブジェクト302(例えば、振り下ろされた剣)が標的オブジェクト400の手に当たった場面を示す。図17の状態(B)は、下方から上がってきた操作オブジェクト302(例えば、振り上げられた剣)が標的オブジェクト400の手に当たった場面を示す。状態(A)および(B)はいずれも、図15と同様に、標的オブジェクト400の右手に操作オブジェクト302が当たった場面を示す。
これらの例のようにヒットベクトルHVが鉛直方向(Y方向)の成分を含む場合には、プロセッサ10は、衝突部位のジョイントを中心として衝突点を、ヒットベクトルHVの鉛直方向(Y方向)で示される方向に所定の角度だけ回転移動させ、回転移動後の衝突点を用いてジョイントベクトルを設定してもよい。
状態(A)ではヒットベクトルHVの鉛直方向成分(Y方向成分)は下向きであるので、プロセッサ10は衝突点HPを下方に所定の角度だけ回転移動させることで衝突点HP´を設定する。そして、プロセッサ10は手ボーン411のジョイント421から衝突点HP´に至るジョイントベクトル511´を算出する。このジョイントベクトル511´は、ジョイント421から本来の衝突点HPに至るジョイントベクトル511をヒットベクトルHVの向きに基づいて回転移動させることで得られるベクトルであるともいえる。したがって、プロセッサ10は、まずジョイントベクトル511を求め、続いてジョイントベクトル511を回転移動させることでジョイントベクトル511´および衝突点HP´を求めてもよい。プロセッサ10は、他の対象部位についても、回転移動後の衝突点HP´に向かって延びるジョイントベクトル512´〜514´を求める。また、プロセッサ10は衝突点HPの移動に合わせてヒットベクトルHVを平行移動させることで、衝突点HP´を終点とするヒットベクトルHV´を求める。そして、プロセッサ10は、ヒットベクトルHV´および各ジョイントベクトル511´〜514´を用いて、上記実施形態と同様に各部位のフィードバック情報を生成する。
状態(B)ではヒットベクトルHVの鉛直方向成分(Y方向成分)は上向きであるので、プロセッサ10は衝突点HPを上方に所定の角度だけ回転移動させることで衝突点HP´を設定する。そして、プロセッサ10は手ボーン411のジョイント421から衝突点HP´に至るジョイントベクトル511´を算出する。プロセッサ10は、まずジョイントベクトル511を求め、続いてジョイントベクトル511を回転移動させることでジョイントベクトル511´および衝突点HP´を求めてもよい。プロセッサ10は、他の対象部位である前腕、上腕、および胸についても、回転移動後の衝突点HP´に向かって延びるジョイントベクトル512´,513´,514´を求める。また、プロセッサ10はヒットベクトルHVを平行移動させることで、衝突点HP´を終点とするヒットベクトルHV´を求める。そして、プロセッサ10は、ヒットベクトルHV´および各ジョイントベクトル511´〜514´を用いて、上記実施形態と同様に各部位のフィードバック情報を生成する。
このように、プロセッサ10は、ヒットベクトルHVの向きに基づいて各ジョイントベクトルの向きを補正した上でフィードバック情報を生成してもよい。この補正を行うことで、標的オブジェクト400の動き(例えば振動)をより迫真のあるものにすることができる。
フィードバック動作は振動に限定されない。例えば、プロセッサ10は、各部位について上記実施形態と同じ計算により角速度を計算することで該部位の移動可能範囲を求め、その範囲にわたって該部位を一時的に膨張させることで、あたかも該部位が腫れ上がった状態を演出してもよい。あるいは、フィードバック動作は複数の動作の組合せ(例えば振動および膨張の組合せ)でもよい。
上記実施形態においては、HMD装置110によってユーザ190が没入する仮想空間(VR空間)を例示して説明したが、HMD装置110として、透過型のHMD装置を採用してもよい。この場合、透過型のHMD装置を介してユーザ190が視認する現実空間に仮想空間を構成する画像の一部を合成した視界画像を出力することにより、拡張現実(AR:Augumented Reality)空間または複合現実(MR:Mixed Reality)空間における仮想体験をユーザ190に提供してもよい。この場合、手オブジェクト301に代えて、ユーザ190の手の動きに基づいて、仮想空間2内における他の仮想オブジェクト(以下ではこれを「対象オブジェクト」という)への作用を生じさせてもよい。具体的には、プロセッサ10は、現実空間におけるユーザ190の手の位置の座標情報を特定するとともに、仮想空間2内における対象オブジェクトの位置を現実空間における座標情報との関係で定義してもよい。これにより、プロセッサ10は、現実空間におけるユーザ190の手と仮想空間2における対象オブジェクトとの位置関係を把握し、ユーザ190の手と対象オブジェクトとの間で上述したコリジョン制御等に対応する処理を実行可能となる。その結果、ユーザ190の手の動きに基づいて対象オブジェクトに作用を与えることが可能となる。
本明細書に開示された主題は、例えば、以下のような項目として示される。
(項目1)
表示部(ディスプレイ112)を備えるヘッドマウントデバイス(HMD装置110)を介してユーザ(ユーザ190)に仮想空間(仮想空間2)を提供するためにコンピュータ(コンピュータ200またはサーバ150)によって実行される情報処理方法であって、
前記ユーザに関連付けられた操作オブジェクト(操作オブジェクト302)と、所定のモーション情報に基づいて動作する複数の部位を有する標的オブジェクト(標的オブジェクト400)とを含む前記仮想空間を規定する仮想空間データを生成するステップ(図10のステップS1または図12のステップS21)と、
前記操作オブジェクトと前記標的オブジェクトとの衝突が検出された場合に、該衝突に基づく前記標的オブジェクトの衝突部位のフィードバック動作を少なくとも示すフィードバック情報を生成するステップ(図12のステップS27)と、
前記モーション情報および前記フィードバック情報を用いて、少なくとも前記衝突部位の動作を更新するステップ(図12のステップS28)と、
前記仮想空間データと、更新された前記少なくとも衝突部位の動作とに基づいて視界画像(視界画像300)を生成し、前記表示部に該視界画像を表示させるステップ(図10のステップS10または図12のステップS29)と
を含む情報処理方法。
本項目の情報処理方法によれば、操作オブジェクトと標的オブジェクトとが衝突すると、標的オブジェクトの衝突部位がフィードバック動作を行う。このフィードバック動作による視覚的な演出により、ユーザは操作オブジェクトが標的オブジェクトのどこに当たったかを一目で把握できる。この結果、仮想空間におけるユーザの仮想体験のエンタテイメント性を向上させることができる。
また、本項目の情報処理方法によれば、衝突時の標的オブジェクトの動作を、モーション情報を用いることなくリアルタイムに計算することで、モーション情報を用いる場合よりも高速にフィードバック情報が得られるので、標的オブジェクトの動作を高速に更新することができる。衝突のフィードバックが早く処理されるので、仮想空間を円滑に表示させ続けることができる。ひいてはユーザのVR酔いを防止することが可能になる。
(項目2)
前記衝突部位を含む2以上の前記部位のフィードバック動作を示す前記フィードバック情報を生成するステップ(図12のステップS27)
を含む項目1の情報処理方法。
本項目の情報処理方法によれば、衝突部位を含む複数の部位に対してフィードバック動作が適用されるので、仮想空間におけるユーザの仮想体験のエンタテイメント性をさらに向上させることができる。各部位のフィードバック動作はモーション情報を用いることなくリアルタイムに計算されるので、複数の部位の動作を高速に更新することができ、その結果、仮想空間を円滑に表示させ続けることができる。
(項目3)
前記操作オブジェクトと前記標的オブジェクトとの衝突点(衝突点HP)を特定するステップ(図14のステップS271)と、
前記標的オブジェクトと衝突した前記操作オブジェクトの動作を示すヒットベクトル(ヒットベクトルHV)を算出するステップ(図14のステップS271)と、
前記2以上の部位のそれぞれについて、該部位のジョイント(ジョイント421〜424)から前記衝突点に至るジョイントベクトル(ジョイントベクトル511〜514)を算出するステップ(図14のステップS272〜S277)と、
前記2以上の部位のそれぞれについて、前記ヒットベクトルと該部位に対応する前記ジョイントベクトルとに基づいて該部位の前記フィードバック情報を生成するステップ(図14のステップS272〜S277)と
を含む項目2の情報処理方法。
本項目の情報処理方法によれば、ヒットベクトルおよび衝突点を固定させつつ、各部位のジョイントベクトルを用いて各部位のフィードバック情報が生成される。ヒットベクトルの位置および向きを移動させたり変形させたりする必要がないので、その分だけ計算量が低減される。したがって、フィードバック情報を生成する時間を短縮することができる。
(項目4)
前記衝突部位から離れた部位ほど前記ヒットベクトルを減衰させるステップ
を含む項目3の情報処理方法。
本項目の情報処理方法によれば、ヒットベクトルの位置および向きを移動させたり変形させたりせず、ヒットベクトルの大きさのみが衝突部位からの距離に応じて減ぜられる。このようにヒットベクトルの大きさだけを調整することで、フィードバック情報の計算量を抑えつつ、迫真のあるフィードバック操作を出力することが可能になる。
(項目5)
前記ヒットベクトルの向きに基づいて各ジョイントベクトルの向きを補正するステップを含む項目3または4の情報処理方法。
本項目の情報処理方法によれば、操作オブジェクトの動作に合わせてジョイントベクトルの向きを補正することで、迫真のあるフィードバック操作を出力することが可能になる。
(項目6)
各部位の前記フィードバック動作が、該部位のボーン(ボーン411〜414)と交差する方向に沿った振動を含む、
項目1〜5のいずれかの情報処理方法。
本項目の情報処理方法によれば、フィードバック動作が振動で表されるので、衝突時の演出が高まる。その結果、仮想空間におけるユーザの仮想体験のエンタテイメント性を向上させることができる。
(項目7)
項目1〜6のいずれかの情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。
(項目8)
少なくともメモリ(メモリモジュール240)と、前記メモリに結合されたプロセッサ(プロセッサ10)とを備え、前記プロセッサの制御により項目1〜6のいずれかの情報処理方法を実行する、装置。