以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において「略」なる用語は、例えば、完全に同じである場合に加えて、実質的に同じとみなせる場合を含む意味で用いられる。さらに、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
以下、本実施形態の熱線センサ付自動スイッチ(以下、適宜に「自動スイッチ」とだけいう)10について、図1ないし図9に基づいて説明する。なお、図中において、同じ部材に対しては、同じ番号を付して重複する説明を省略する。
図1は、一実施形態の自動スイッチ10の全体斜視図である。図1に示すように、熱線センサ付自動スイッチ10は、建築物の壁面などの施工面(図示していない)に、取付枠2によって取り付けられる。取付枠2は、例えば、板金製の枠体に形成され、自動スイッチ10は、取付枠2の矩形状の開口部3内に挿入された状態で取り付けられる。
取付枠2の開口部3を形成する短手方向両側の支持壁4a,4bには複数の係合孔5が形成され、これらの係合孔5に自動スイッチ10の筐体12の側面に形成されている係合突起が嵌まり込むことによって、自動スイッチ10が取付枠2に固定されている。以下では、自動スイッチ10において施工面に露出して配置される側を「前」、その反対側を「後」という。
図1に示すように、自動スイッチ10は、その後部に筐体12を備える。筐体12は、直方体状をなす有底のケース14と、ケース14の前方の開口を覆って設けられるカバー16とによって構成される。カバー16には、ハンドル部材18、化粧カバー部材20、化粧表面板22などが取り付けられている。これらの詳細については、図3等を参照して後述する。
図2は、自動スイッチ10の機能ブロック図である。図2に示すように、本実施形態の自動スイッチ10は、人体から発せられる熱線を検出する熱線センサ部24と、手動にて操作された操作スイッチ26のオン/オフ操作を判別する入力判別部28とを備えている。自動スイッチ10は、熱線センサ部24からのセンサ信号と入力判別部28からの判別信号とに基づいて照明装置Lの点灯/消灯を制御する制御信号を出力する制御部30を備えている。自動スイッチ10は、制御部30からの制御信号に基づいて照明装置Lへの電力の供給を入切する開閉器32を備えている。自動スイッチ10では、操作スイッチ26のスイッチ操作ごとにモードが切り替わり、モード表示部34でモードを表示する。
自動スイッチ10の制御部30は、熱線センサ部24からのセンサ信号に応じて照明装置Lを点灯状態にさせ、所定の点灯保持時間の経過後に消灯状態となるように開閉器32を制御することができる。この場合、自動スイッチ10のモード表示部34は、自動点灯消灯モードを表示している。
自動スイッチ10は、熱線センサ部24の検出感度を設定可能な設定操作部36を備えている。熱線センサ部24は、人体から発せられる熱線として、赤外線エネルギを検出することにより人体の存在の有無を検出可能な赤外線センサを用いて構成することができる。赤外線センサは、焦電素子を用いることができる。
設定操作部36は、熱線センサ部24の検出感度を設定可能なものである。設定操作部36は、熱線センサ部24の検出感度を設定可能なものだけに限れない。設定操作部36は、自動点灯消灯モードにおける点灯保持時間を設定することができる操作部を備えていてもよい。また、設定操作部36は、設定操作部36の一部を筐体12の前側表面に露出させている。
自動スイッチ10の制御部30は、例えば、マイクロコンピュータなどにより構成することができる。制御部30は、熱線センサ部24からのセンサ信号と入力判別部28からの判別信号に基づいて照明装置Lの点灯/消灯を制御する制御信号を開閉器32に出力する。
自動スイッチ10は、制御部30からの制御信号に基づいて照明装置Lへの電力の供給を開閉器32によって入切する。開閉器32は、開閉素子32aと開閉駆動部32bとを備えている。制御部30は、相補的な2個のサイリスタを逆並列に接続する双方向サイリスタのような開閉素子32aを、開閉駆動部32bを介してオンオフ可能に制御する。
自動スイッチ10は、商用電源ACを受けて直流定電圧を発生する直流安定化電源38を備える。直流安定化電源38は、自動スイッチ10の電源端子11a,11bを介して、商用電源ACと電気的に接続している。開閉器32は、商用電源ACを接続する電源端子11aと、照明装置Lを接続する負荷端子11dとの間に電気的に接続されている。自動スイッチ10は、負荷端子11c,11dを介して照明装置Lに電気的に接続されている。
自動スイッチ10では、熱線センサ部24からのセンサ信号と入力判別部28からの判別信号とが、制御部30に入力される。制御部30では、熱線センサ部24からのセンサ信号である熱線センサ部24の出力がA/D変換されて入力される。制御部30は、入力判別部28の出力がA/D変換されて入力される。制御部30は、熱線センサ部24からのセンサ信号に基づいて、予め設定された検知エリア内における人体の存否を検知し、開閉器32を制御する制御信号を出力することができる。
自動スイッチ10は、周囲の明るさを識別可能な明るさセンサ29を備えるのが好適である。明るさセンサ29は、たとえば、CdSやフォトダイオードなどの受光素子を用いて構成することができる。明るさセンサ29は、制御部30と電気的に接続されている。明るさセンサ29は、熱線センサ部24と一体的に構成してもよい。
自動スイッチ10は、制御部30の動作モードを表示するモード表示部34を備えている。モード表示部34は、複数(本実施形態では3つ)の発光ダイオード34a(図4参照)で構成することができる。制御部30は、モード表示部34の各発光ダイオード34aにそれぞれ電気的に接続されている。制御部30は、操作スイッチ26が操作される度に、モードを遷移させる。制御部30は、操作スイッチ26が操作される度に、遷移されたモードをモード表示部34に表示する。
制御部30は、自動点灯消灯モードにおいて、熱線センサ部24の検知エリアに人体が存在すると判断した場合、熱線センサ部24からのセンサ信号に応じて照明装置Lを点灯状態にさせ所定の点灯保持時間の経過後に消灯状態にする。制御部30は、照明装置Lが点灯する点灯保持時間を計時するためのタイマ部(図示していない)を内蔵している。制御部30は、点灯保持時間の計時中に熱線センサ部24からセンサ信号が再入力されると、センサ信号が再入力された時点から所定の点灯保持時間後に照明装置Lを消灯状態にするように構成されている。したがって、タイマ部は、センサ信号が再入力された時点から所定の点灯保持時間を計時できるようにリトリガブル・タイマを構成している。
制御部30は、制御部30の基本的な動作として、明るさセンサ29の検出した明るさが予め設定された明るさの閾値よりも暗い状態で、熱線センサ部24に入射した熱線の変化に基づいて人体を検知すると、照明装置Lを点灯させる。制御部30は、タイマ部が計時した所定の点灯保持時間の間、照明装置Lの点灯状態を維持するように開閉器32を制御する。なお、自動スイッチ10は、制御部30により照明装置Lへの供給電力を調節し、照明装置Lを所望の光出力で点灯させることもできる。
続いて、図3および図4を参照して、自動スイッチ10のハード構成について説明する。図3は、自動スイッチ10の前部を分解した状態で示す斜視図である。図4は、自動スイッチ10の後部を分解した状態で示す斜視図である。
図3および図4に示すように、自動スイッチ10の筐体12は、ケース14とカバー16とを備える。ケース14とカバー16とは、分離可能な構成としている。筐体12は、直方体状であって、有底角筒状のケース14と、有底角筒状のカバー16とで構成されている。ケース14とカバー16とは、ケース14とカバー16とを嵌め合わせて内部が空洞な箱状体を構成している。
ケース14は、電気絶縁性の樹脂材料により形成される。ケース14は、電気絶縁性の樹脂材料として、たとえば、ユリア樹脂などを用いて形成することができる。ケース14は、たとえば、加熱溶融させた電気絶縁性の樹脂材料を金型内に射出注入し、冷却固化させる射出成形により一体成形品として形成することができる。
カバー16は、電気絶縁性の樹脂材料により形成されている。カバー16は、電気絶縁性の樹脂材料として、たとえば、ユリア樹脂などを用いて形成することができる。カバー16は、たとえば、加熱溶融させた電気絶縁性の樹脂材料を金型内に射出注入し、冷却固化させる射出成形により一体成形品として形成することができる。
カバー16は、カバー16の上下側(図4の紙面の上下側)でそれぞれの横方向に沿って、ケース14側に突出する一対の突出片16aを備えている。突出片16aは、有底角筒状のカバー16における筒状部位に対して弾性変形が可能な構成としている。カバー16は、筒状部位と突出片16aとを一体成形により形成することができる。突出片16aは、外形がC字状となっており、筒状部位から突出して外部に露出する部位に矩形状の係合孔16bを有している。カバー16は、突出片16aの係合孔16bと、ケース14の係合突起部14aとを係合可能に構成している。
カバー16は、ケース14の係合突起部14aと、係合突起部14aに対応する係合孔16bとをそれぞれ係合させることによって、カバー16をケース14に位置決めして固定することができる。すなわち、筐体12は、ケース14とカバー16とを嵌め合わせて構成される。カバー16は、横方向における側壁17に、側壁17から突出する取付爪17aを備えている。カバー16は、取付枠2の係合孔5(図1参照)と、取付爪17aとを係合可能になっている。
ケース14およびカバー16からなる筐体12内には、回路部40が収納されている。回路部40は、ケース14とカバー16とに挟持されて筐体12内で固定された状態になっている。回路部40は、互いに電気的に接続された第1のプリント基板42と第2のプリント基板44とを含む。本実施形態では、第1のプリント基板42が前側に、第2プリント基板44が後側に配置されている。
第1のプリント基板42には、2つの調整ツマミ46a,46bと、複数(本実施形態では3つ)の発光ダイオード34aと、スイッチ本体48と、熱線センサ部24とが実装されている。上記2つの調整ツマミ46a,46bは、図2を参照して説明した設定操作部36を構成する。
一方の調整ツマミ46aは、自動点灯消灯モードにおいて、照明装置Lを点灯させる点灯保持時間を設定可能なものである。この調整ツマミ46aを調整することによって、自動スイッチ10では、例えば、10秒から30分までの範囲で点灯保持時間を適宜に設定することができる。
他方の調整ツマミ46bは、例えば、明るさセンサ29の明るさ検知レベルを「暗め」(たとえば、5lx以下)から「明るめ」(たとえば、100lx以上)までの範囲で設定することができる。自動スイッチ10は、例えば、調整ツマミ46bを「切」に設定すると、明るさセンサ29の機能を停止させることができる。自動スイッチ10は、調整ツマミ46bを「切」に設定した場合、自動スイッチ10の周囲が明るいときに宅内の照明装置Lを点灯させることを防止することが可能となる。自動スイッチ10は、周囲が明るいときに宅内の照明装置Lを点灯させることを防止し、省エネルギ化を図ることが可能となる。
自動スイッチ10は、例えば、調整ツマミ46bで、明るさのしきい値を調整することにより、結果として、熱線センサ部24が人の存在の有無を検知する検出感度が設定されたのと同様の効果を得ることができる。すなわち、自動スイッチ10では、調整ツマミ46bは、熱線センサ部24の検出感度を設定する設定操作部36を構成する。なお、自動スイッチ10は、熱線センサ部24の検出感度を直接的に調整して設定する設定操作部36を備えていてもよい。
第1のプリント基板42に実装された複数の発光ダイオード34aは、例えば、色や点灯状態によって、自動スイッチ10のモードを表示可能なモード表示部34の一部を構成する。自動スイッチ10では、照明装置Lを連続的に点灯させる連続点灯モードで駆動させることができる。また、自動スイッチ10では、熱線センサ部24からのセンサ信号に応じて照明装置Lを点灯状態にさせ所定の点灯保持時間の経過後に消灯状態にする自動点灯消灯モードで駆動させることができる。さらに、自動スイッチ10では、照明装置Lを消灯する強制消灯モードで駆動させることができる。自動スイッチ10では、制御部30は、ハンドル部材18を介して第1のプリント基板42上に実装されたスイッチ本体48の操作子49を押し操作することにより、連続点灯モードと、自動点灯消灯モードと、強制消灯モードとを切り替えることができる。
操作スイッチ26には、例えば、スイッチ本体48の操作子49が押される度にオンとオフとが反転する位置保持型スイッチを用いることができる。位置保持型スイッチは、プッシュロックスイッチやプッシュオン/プッシュオフ・スイッチなどを用いることができる。操作子49は、後述するハンドル部材18を押圧操作が解除されると、元の位置に復帰する。これにより、操作スイッチ26がオフとなる。
制御部30は、複数個の発光ダイオード34aと各別に電気的に接続している。制御部30は、複数個の発光ダイオード34aの点灯を各モードそれぞれに対応して各別に制御する。モード表示部34は、各モードそれぞれに対応する発光ダイオード34aからの発光で各モードを各別に表示することができる。より具体的には、自動スイッチ10は、照明装置Lへの給電を止め照明装置Lを消灯する強制消灯モードの場合、たとえば、3つの発光ダイオード34aのうち、横方向の一方側(図4の紙面の左側)に設けた発光ダイオード34aが点灯する。自動スイッチ10は、例えば、3つの発光ダイオード34aのうち、横方向の一方側に設けた発光ダイオード34aを赤色に点灯させてもよい。
自動スイッチ10は、自動点灯消灯モードの場合、例えば、横方向の中央に設けた発光ダイオード34aが点灯する。自動スイッチ10は、例えば、3つの発光ダイオード34aのうち、横方向の中央に設けた発光ダイオード34aを緑色に点灯させてもよい。自動スイッチ10は、所定の点灯保持時間の間、中央部に設けた発光ダイオード34aを緑色に点滅させてもよい。自動スイッチ10は、所定の点灯保持時間の残存時間が少なくなるにつれ、中央部に設けた発光ダイオード34aの点滅間隔を短くさせてもよい。自動スイッチ10は、照明装置Lを連続的に点灯させる連続点灯モードの場合、例えば、3つの発光ダイオード34aのうち、横方向の他方側(図4の紙面の右側)に設けた発光ダイオード34aが点灯する。自動スイッチ10は、たとえば、3つの発光ダイオード34aのうち、短手方向の他方側の発光ダイオード34aを青色に点灯させてもよい。
第1のプリント基板42に実装された熱線センサ部24は、例えば、焦電素子などのセンサ素子24aを備え、予め設定された検知エリア内に存在する人体からの熱線を検出可能である。熱線センサ部24のセンサ素子24aは、センサカバー25で覆われている。センサカバー25は、外形が半円筒状としている。熱線センサ部24は、人体から発せられる熱線を、センサカバー25を介してセンサ素子24aが検出する。センサカバー25は、赤外線を集光するフレネルレンズを構成してもよい。自動スイッチ10は、筐体12のカバー16と回路部40との間で、センサカバー25を挟持し筐体12の内部に収納している。
自動スイッチ10は、筐体12のカバー16とセンサカバー25との間に一対のシャッター25a,25bを備えている。各シャッター25a,25bは、外形が弧状をなし、センサカバー25の表面に沿って可動自在に構成されている。各シャッター25a,25bは、センサカバー25の一部を覆うことができる。各シャッター25a,25bを移動させることにより、熱線センサ部24が人体を検出する検出領域を調整することができる。自動スイッチ10は、熱線センサ部24の検出領域を調整して、人体の検知エリアの最適化を行うことが可能となる。
回路部40を構成する第1のプリント基板42には、制御部30や入力判別部28を構成するための電子部品が実装されている。例えば、また、第1のプリント基板42は、ヒューズ、異常発熱抑制のための温度ヒューズや漏電防止用のリレーなどの各種の電子部品を実装してもよい。また、第1のプリント基板42は、発光ダイオード34a、コンデンサ、抵抗やリレーなどの電子部品を実装している。第1のプリント基板42には、図示していない配線パターンを形成しており、各種の電子部品と電気的に接続できるように構成されている。
回路部40を構成する第2のプリント基板44は、第1のプリント基板42と同様に、平面視で矩形状をなし、各種の電子部品が実装されている。第2のプリント基板44は、開閉器32として、主スイッチ素子を構成する開閉素子32aと、開閉素子32aの駆動を制御する開閉駆動部32bが実装されている。第2のプリント基板44は、直流安定化電源38を実装してもよい。第2のプリント基板44は、コネクタ43によって第1のプリント基板42と電気的に接続されている(図6参照)。
図4に示すように、カバー16は、2つの貫通孔50a,50bを有する。2つの貫通孔50a,50bは、カバー16がケース14に組み付けられたとき、回路部40に含まれる2つの調整ツマミ46a,46bを筐体12の前面に露出させる。これにより、自動スイッチ10の前部に設けられる化粧表面板22および化粧カバー部材20を取り外すことによって、2つの貫通孔50a,50bを介して前方に突出した2つの調整ツマミ46a,46bを回転操作することができる。
カバー16は、2つの貫通孔50a,50bの下方に導光部材挿入部52を有する。導光部材挿入部52には、複数(本実施形態では3つ)の導光片54aを備えた導光部材54が挿入される。導光部材挿入部52は、第1のプリント基板42に実装された複数の発光ダイオード34aに対応する位置に形成されている。導光部材挿入部52および導光部材54については、図6等を参照して後述する。
カバー16は、撓み片56を有する。撓み片56は、カバー16の前面に片持ち状に連結された基部56aと、基部56aに対して略T字状をなすように上下方向へ伸びた先端部56bとを含み、先端部56bは第1のプリント基板42に実装されたスイッチ本体48に向かって突出している。撓み片56は、基部56aの弾性変形により揺動可能に撓むことができる。したがって、後述するハンドル部材18が押し操作されると、これに伴ってカバー16の撓み片56の先端部56bが後方へ撓み変形し、スイッチ本体48の操作子49が押し操作される。その結果、上述したように、自動スイッチ10は、連続点灯モードと、自動点灯消灯モードと、強制消灯モードとに順次に切り替えることができる。
カバー16は、前方へ向かって半円弧状に突出した突出部58を有する。突出部58には、前方から見て略長方形状をなす開口部60が形成される。この開口部60を介して、熱線センサ部24を覆ったセンサカバー25が露出する構成となっている。
カバー16には、突出部58の側方に板ばね62が取り付けられている。この板ばね62は、カバー16に取り付けられた後述するハンドル部材18が押し操作されたときに、ハンドル部材18を元の位置に復元させるための付勢力を作用させるためのものである。
図3に示すように、自動スイッチ10は、その前部に、操作スイッチ26を構成するハンドル部材18を備えている。ハンドル部材18は、例えば、樹脂成形部品によって構成される。ハンドル部材18は、横方向一方の側端部18aが筐体12側に支持され他端部18bが揺動自在に押操作可能なピアノハンドルとなっている。すなわち、ハンドル部材18は、ピアノハンドル式のスイッチを構成している。ピアノハンドル式のスイッチは、一方の側端部18aを支点にして他方の側端部18bが押圧回動されることにより、カバー16の撓み片56を押圧操作することができる。その結果、撓み片56が後方へ撓み変形して、操作スイッチ26を構成するスイッチ本体48の操作子49を押圧操作することができる。
ハンドル部材18は、正面視で略正方形状の開口部64を有する。ハンドル部材18が筐体12に組み付けられた状態で、開口部64を介して設定操作部36を構成する2つの調整ツマミ46a,46bと、モード表示部34を構成する導光部材54が露出する構成となっている。
ハンドル部材18は、その下部に前方へ突出したカバー部66を有する。カバー部66は、上面視で略円弧状をなして前方に突出している。カバー部66の中央には、正面視で略矩形状の開口部68が形成されている。ハンドル部材18が組み付けられた状態で、この開口部68を介して、熱線センサ部24を覆って設けられたセンサカバー25が露出する構成となっている。
ハンドル部材18には、化粧カバー部材20が取り付けられる。化粧カバー部材20は、ハンドル部材18の開口部64を塞ぐように取り付けられる。化粧カバー部材20は、例えば、樹脂成形部品によって構成される。化粧カバー部材20の裏面には、4つの突起(図示していない)が突設されている。これらの突起がハンドル部材18の開口部64の周囲に凹設された係合凹部70に嵌まり込むことによって、化粧カバー部材20がハンドル部材18に着脱自在に取り付けられる。
化粧カバー部材20には、複数(本実施形態では3つ)の透光孔72が形成されている。また、ハンドル部材18と化粧カバー部材20との間には、例えば、透光性を有する樹脂板によって構成される透光板19が両部材18,20で挟持されて配置される。透光板19は、筐体12に取り付けられた導光部材54に対向するとともに、化粧カバー部材20の複数の透光孔72に対向して設けられる。
化粧カバー部材20は、その下部に上面視で円弧状に突出した突出部74を備えている。突出部74は、化粧カバー部材20がハンドル部材18に取り付けられたとき、カバー部66の上に載置された状態に配置される。また、突出部74には、中央部に取付穴76が形成されている。
化粧カバー部材20の前面には、化粧表面板22が着脱自在に取り付けられる。化粧表面板22は、例えば、透光性を有する樹脂板によって構成される。化粧表面板22は、正面視で矩形状の本体部80と、本体部80の下縁から突出した取付片82とを有する。化粧表面板22は、取付片82が化粧カバー部材20の取付穴76に挿入された状態で、化粧カバー部材20の前面に形成された浅い矩形状の凹部78に嵌め込まれて取り付けられる。
上述したように、本実施形態の自動スイッチ10では、ハンドル部材18に、透光板19、化粧カバー部材20および化粧表面板22が一体に組み付けられ、ハンドル部材18と共に揺動可能に構成される。また、ハンドル部材18から化粧カバー部材20および化粧表面板22を一緒に取り外すことによって、ハンドル部材18の開口部64を介して、設定操作部36を構成する2つの調整ツマミ46a,46bを露出した状態とすることができる。これにより、調整ツマミ46a,46bの回動操作を行うことができ、照明装置Lの点灯保持時間や、明るさセンサ29による検出しきい値を調整することができる。
また、透光板19、化粧表面板22および化粧表面板22がハンドル部材18に取り付けられた状態で、ハンドル部材18の開口部64、透光板19、および、化粧カバー部材20の透光孔72が、筐体12に設けられた導光部材54に対向して配置される。これにより、筐体12内に収納された第1のプリント基板42上の発光ダイオード34aの光が、導光部材54、透光板19、透光孔72および化粧表面板22を通して、外部に出射されるように構成されている。
図5は、自動スイッチ10の正面図である。図6は、図5中におけるA−A線断面図である。図5に示すように、化粧表面板22の前面には、紙面左側から順に、「切」、「自動」、「連続入」の表示が付されている。「切」の表示は、化粧カバー部材20の複数の透光孔72のうち左側の透光孔72に対応する位置の上側に付されている。
「自動」の表示は、化粧カバー部材20の複数の透光孔72のうち中央の透光孔72に対応する位置の上部に付されている。「連続入」の表示は、化粧カバー部材20の複数の透光孔72のうち右側の透光孔72に対応する位置の上部に付されている。「切」の表示は、自動スイッチ10が強制消灯モードにあることを示すためのものである。「自動」の表示は、自動スイッチ10が自動点灯消灯モードにあることを示すためのものである。「連続入」の表示は、自動スイッチ10が連続点灯モードにあることを示すためのものである。
自動スイッチ10の前面から、ハンドル部材18を押圧操作することにより、自動スイッチ10の制御部30は、強制消灯モード、自動点灯消灯モード、連続点灯モードに順次に切り替える。自動スイッチ10が強制消灯モードにあるとき、第1のプリント基板42において図4中の左側に位置する発光ダイオード34aが点灯し、自動スイッチ10の前面では「切」の表示に対応する透光孔72が点灯した状態になる。自動スイッチ10が自動点灯消灯モードにあるとき、第1のプリント基板42において図4中の中央に位置する発光ダイオード34aが点灯し、自動スイッチ10の前面では「自動」の表示に対応する透光孔72が点灯した状態になる。自動スイッチ10が連続点灯モードにあるとき、第1のプリント基板42において図4中の右側に位置する発光ダイオード34aが点灯し、自動スイッチ10の前面では「連続入」の表示に対応する透光孔72が点灯した状態になる。
図6に示すように、カバー16の導光部材挿入部52には、導光部材54が取り付けられていることは上述した通りである。導光部材54は、第1のプリント基板42に実装された発光ダイオード34aの光を導光するための複数の導光片54aと、各導光片54aを連結する連結部54bとを含む。導光部材54は、例えば、透明な樹脂材料によって一体に形成されている。
各導光片54aは、カバー16の前面の露出した先端部から、第1のプリント基板42に実装された発光ダイオード34aに対向した基端部まで伸びて形成されている。これにより、導光部材54の各導光片54aは、それぞれ、対応する発光ダイオード34aの光を基端部から先端部へと効率良く導光することが可能になっている。
また、各導光片54aは、カバー16の導光部材挿入部52に形成された筒状の支持突起53内にそれぞれ挿入されて取り付けられている。本実施形態では、3つの導光片54aに対応して3つの支持突起53が形成されている。支持突起53は、遮光性の樹脂材料からなるカバー16と一体に形成される。そのため、発光ダイオード34aから出射された光は、各導光片54aの基端部から先端部までの間で漏れ出ることなく効率良く導光される。
図7は、導光部材54と、導光部材挿入部52とを示す拡大斜視図である。図8(a)は導光部材54の平面図、同(b)は導光部材54の正面図である。図9は、カバー16の裏面側を示す斜視図である。
図7に示すように、カバー16の導光部材挿入部52には、カバー16の裏面側に突出する支持突起53の内部空間にそれぞれ連通する3つの開口が形成されている。これらの開口が導光部材54の先端部57aを筐体12外に露出させるための複数の表示孔になっている。これらの開口の周囲には、正面視で横方向に長く延びる扁平長方形の周囲枠55がカバー16の前面に立設されている。周囲枠55は、3つの導光片54aの先端部とこれらを連結する連結部54bとを取り囲んだ状態で収容可能な大きさに形成されている。
導光部材54は、3つの導光片54aを支持突起53の内部にそれぞれ挿入して、カバー16に組み付けられる。このとき、各導光片54aが連結部54bによって連結されていることで、導光部材54の組付けを容易に行うことができる。また、カバー16に組み付けられた導光部材54の各導光片54aの先端部および連結部54bは、周囲枠55内に収容される。これにより、カバー16に組み付けられた導光部材54が安定に保持された状態になる。
図8(a),(b)に示すように、導光部材54の各導光片54aは、支持突起53内に挿入配置される基端部57bおよびその近傍が直方体状に伸びて形成されている。各導光片54aの先端部57aは、基端部57bに比べて少し大きく形成され、両者間に段部57cが形成されている。
導光部材54において、連結部54bは、各導光片54aの先端部57aの近傍において導光片54aに連結されている。このように先端部57aの近傍に連結部54bが連結されていることで、次のような利点がある。すなわち、連結部が各導光片54aの基端部57bに近い位置に連結されるほど、基端部57bから導光片54a内に入射した光が連結部を介して隣接する別の導光片54aに漏れやすくなる。その結果、自動スイッチ10を正面から見たときモード表示部34によってどのモードに切り替わっているのかが視認しにくくなる。これに対し、本実施形態では、連結部54bが各導光片54aの先端部57aの近傍に連結されているため、連結部54bを介して隣接する導光片54aに漏れ出るのを抑制でき、モード表示部34の視認性が向上する。
さらに、図8(a)に示すように、各導光片54aの先端部57aは、球状面の一部をなすように湾曲して突出した先端面を有する。これにより、各導光片54aの基端部から57bから入射した光が先端部57aから出射するときに屈折が生じることで、先端面が平坦面である場合に比べて、角度的な広がりをもって光が先端面から出射される。その結果、自動スイッチ10の真正面から少しずれた位置からでも各発光ダイオード34aの点灯状態を視認しやすくなり、これによってもモード表示部34の視認性が向上する。
図9に示すように、導光部材54の各導光片54aを収容した状態で支持する支持突起53は、カバー16の裏面から筐体12の内部に向かってそれぞれ突出して形成されている。そのうち、3つの支持突起53のうち中央に位置する支持突起53がその両側の支持突起53よりも長く伸びて突出している。これにより、図6に示すように、回路部40を収納したケース14にカバー16が組み付けられたとき、上記中央の支持突起53が、3つの発光ダイオード34aのうち中央の発光ダイオード34aの周囲において第1のプリント基板42上に当接する。その結果、上記中央の発光ダイオード34aに対応する位置で第1のプリント基板42に設けられたコネクタ43が第2のプリント基板44との間で押圧され、第1および第2プリント基板42,44間の電気的接続をより確実なものすることができる。
上述したように、本実施形態の自動スイッチ10は、人体から発せられる熱線を検出する熱線センサ部24と、熱線センサ部24からのセンサ信号に基づいて負荷をオン/オフを制御する制御信号を出力する制御部30と、制御信号に基づいて照明装置Lへの給電をオン/オフ制御する開閉器32と、開閉器32のオン/オフ制御のモードを表示するモード表示部34と、が実装された第1および第2プリント基板42,44を、ケース14およびカバー16からなる筐体12内に収納して構成される。モード表示部34は、第1のプリント基板42上に実装された複数の発光ダイオード34aと、各発光ダイオード34aの光を筐体12の外部にそれぞれ導光するための導光部材54とを備える。カバー16は、導光部材54の先端部を前記筐体外に露出させるための複数の表示孔を有する。そして、導光部材54は、各発光ダイオード34aの光を導光するための複数の導光片54aと、各導光片54aを連結する連結部54bとを含む。
この構成によれば、ユーザに対するモード表示部34の視認性を向上させることができ、自動スイッチ10の組立てを容易に行うことができる。
また、本実施形態の自動スイッチ10において、各導光片54aは、先端部57aから発光ダイオード34aに対向する基端部57bまで伸びており、連結部54bは筐体12の外側であって先端部57aの近傍で導光片54aに連結している。この構成によれば、連結部54bを介して隣接する導光片54aに漏れ出るのを抑制でき、モード表示部34の視認性が向上する。
さらに、本実施形態の自動スイッチ10において、導光片54aの先端部57aは、球状面の一部をなすように湾曲して突出した先端面を有する。この構成によれば、自動スイッチ10の真正面から少しずれた位置からでも各発光ダイオード34aの点灯状態を視認しやすくなり、モード表示部34の視認性がより向上する。
なお、本開示に係る熱線センサ付自動スイッチは、上述した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において、種々の改良や変更が可能である。
例えば、上記においては、複数の支持突起34のうち中央に位置する1つの支持突起53を第1のプリント基板42に当接させる例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、複数の支持突起を第1のプリント基板に当接させるように伸ばしてもよい。