したがって、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、脱髄疾患もしくはその症状の治療または予防の方法が、本明細書において提供される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は、多発性硬化症、視神経炎、特発性炎症性脱髄疾患、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄癆、視神経脊髄炎(NMO)、進行性多巣性白質脳症(PML)、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)ニューロパチー、遺伝性運動感覚性ニューロパチー(シャルコー−マリー−トゥース病)、脳腱黄色腫症(cerebrotendinious xanthanomatosis)、ならびに、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチー、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、カナバン病、白質消失病(vanishing white matter disease)、アレキサンダー病、レフサム病、およびペリツェウス−メルツバッヘル病を含む白質ジストロフィーから選択される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
段落[0008]〜[0019]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、神経系に影響を及ぼす自己免疫疾患の症状の治療の方法がまた、本明細書において提供される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、症状は、CNS炎症、脱髄、および麻痺から選択される。
特定の実施形態では、神経系に影響を及ぼす自己免疫疾患は、多発性硬化症、多発性筋痛、重症筋無力症、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、急性散在性脳脊髄炎(ADME)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、自己免疫性末梢性ニューロパチー、エリテマトーデス、乾癬性関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、およびリウマチ熱から選択される。
特定の実施形態では、神経系疾患に影響を及ぼす自己免疫疾患は、多発性硬化症である。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
段落[0021]〜[0033]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされて、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
SAMDC阻害剤、ならびにインターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の同時投与を含む、脱髄疾患の治療または予防の方法がまた、本明細書において提供される。
特定の実施形態では、他方の薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は、多発性硬化症、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄癆、視神経脊髄炎(NMO)、進行性多巣性白質脳症(PML)、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)ニューロパチー、遺伝性運動感覚性ニューロパチー(シャルコー−マリー−トゥース病)、脳腱黄色腫症(cerebrotendinious xanthanomatosis)、ならびに、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチー、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、カナバン病、白質消失病、アレキサンダー病、レフサム病、およびペリツェウス−メルツバッヘル病を含む白質ジストロフィーから選択される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
段落[0035]〜[0045]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
SAMDC阻害剤、ならびにインターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、およびテリフルノミドから選択される別の薬剤を、薬学的に許容される担体と一緒に含む、薬学的組成物がまた、本明細書において提供される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、他方の薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤およびフィンゴリモドを含む薬学的製剤は、経口投与のために製剤化される。
特定の実施形態では、薬学的製剤は、対象に経口投与されると、治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。
特定の実施形態では、薬学的製剤は、1日1回の投薬のために製剤化される。
特定の実施形態では、薬学的製剤は、薬用量単位当たり0.5mgのフィンゴリモドを含む。
特定の実施形態では、薬学的製剤は、薬用量単位当たり0.5mg未満のフィンゴリモドを含む。
特定の実施形態では、薬学的製剤は、薬用量単位当たり0.25mgのフィンゴリモドを含む。
特定の実施形態では、薬学的製剤は、1日2回の投薬のために製剤化される。
特定の実施形態では、薬学的製剤は、薬用量単位当たり0.25mgのフィンゴリモドを含む。
特定の実施形態では、薬学的製剤は、薬用量単位当たり0.25mg未満のフィンゴリモドを含む。
特定の実施形態では、薬学的製剤は、薬用量単位当たり約0.125mgのフィンゴリモドを含む。
段落[0047]〜[0064]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、患者における脱髄疾患の再発もしくは進行の予防の方法、または再発における症状の重症度を低下させる方法がまた、提供される。
特定の実施形態では、治療上有効な量のMGBGの投与を含む、患者における脱髄疾患の進行の予防の方法、または再発における症状の重症度を低下させる方法が提供される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は、多発性硬化症、視神経炎、特発性炎症性脱髄疾患、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄癆、視神経脊髄炎(NMO)、進行性多巣性白質脳症(PML)、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)ニューロパチー、遺伝性運動感覚性ニューロパチー(シャルコー−マリー−トゥース病)、脳腱黄色腫症(cerebrotendinious xanthanomatosis)、ならびに、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチー、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、カナバン病、白質消失病(vanishing white matter disease)、アレキサンダー病、レフサム病、およびペリツェウス−メルツバッヘル病を含む白質ジストロフィーから選択される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はT細胞制御因子ではない。
特定の実施形態では、投与は、脱髄疾患の治療のために認可された別の治療剤と比較して、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、催奇性、低下した肺機能、黄斑浮腫、末梢性ニューロパチー、重度の皮膚反応、感染症の上昇した危険性(潜在性細菌性およびウイルス性を含む)、自然免疫の機能障害、適応免疫の機能障害、および潮紅から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも2つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、および肝毒性の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与はさらに、心毒性および催奇性の低減された発生率を伴って生じる。
段落[0066]〜[0088]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、患者における進行型多発性硬化症の方法治療がまた、提供される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、進行型多発性硬化症は一次性進行型である。
特定の実施形態では、進行型多発性硬化症は二次性進行型である。
特定の実施形態では、進行型多発性硬化症は進行型再発性である。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
特定の実施形態では、治療は、MSの再発または進行を予防する。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はT細胞制御因子ではない。
特定の実施形態では、投与は、脱髄疾患の治療のために認可された別の治療剤と比較して、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、催奇性、低下した肺機能、黄斑浮腫、末梢性ニューロパチー、重度の皮膚反応、感染症の上昇した危険性(潜在性細菌性およびウイルス性を含む)、自然免疫の機能障害、適応免疫の機能障害、および潮紅から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも2つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、および肝毒性の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与はさらに、心毒性および催奇性の低減された発生率を伴って生じる。
段落[0090]〜[0113]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、脱髄疾患を有する患者における細胞上の抗原提示を遮断する方法であって、該抗原が、ミエリン鞘内の抗原に由来するか、それを模倣するか、またはそれに類似する方法がまた、提供される。
特定の実施形態では、細胞は骨髄細胞系譜のものである。
特定の実施形態では、細胞は炎症促進性である。
特定の実施形態では、細胞は樹状細胞、マクロファージ、およびB細胞から選択される。
特定の実施形態では、細胞は樹状細胞である。
特定の実施形態では、細胞はM1マクロファージである。
特定の実施形態では、脱髄疾患は、多発性硬化症、視神経炎、特発性炎症性脱髄疾患、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄癆、視神経脊髄炎(NMO)、進行性多巣性白質脳症(PML)、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)ニューロパチー、遺伝性運動感覚性ニューロパチー(シャルコー−マリー−トゥース病)、脳腱黄色腫症(cerebrotendinious xanthanomatosis)、ならびに、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチー、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、カナバン病、白質消失病(vanishing white matter disease)、アレキサンダー病、レフサム病、およびペリツェウス−メルツバッヘル病を含む白質ジストロフィーから選択される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はT細胞制御因子ではない。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、投与は、脱髄疾患の治療のために認可された別の治療剤と比較して、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、催奇性、低下した肺機能、黄斑浮腫、末梢性ニューロパチー、重度の皮膚反応、感染症の上昇した危険性(潜在性細菌性およびウイルス性を含む)、自然免疫の機能障害、適応免疫の機能障害、および潮紅から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも2つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、および肝毒性の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与はさらに、心毒性および催奇性の低減された発生率を伴って生じる。
段落[0115]〜[0140]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、脱髄疾患を有する患者の中枢神経系内への抗原提示細胞の浸潤の阻害の方法がまた、提供される。
特定の実施形態では、細胞は炎症促進性である。
特定の実施形態では、細胞は樹状細胞、マクロファージ、およびB細胞から選択される。
特定の実施形態では、細胞は樹状細胞である。
特定の実施形態では、細胞はM1マクロファージである。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
該SAMDC阻害剤がMGBGである、請求項76〜80のいずれか1項に記載の方法。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
特定の実施形態では、投与は、脱髄疾患の治療のために認可された別の治療剤と比較して、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、催奇性、低下した肺機能、黄斑浮腫、末梢性ニューロパチー、重度の皮膚反応、感染症の上昇した危険性(潜在性細菌性およびウイルス性を含む)、自然免疫の機能障害、適応免疫の機能障害、および潮紅から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも2つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、および肝毒性の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与はさらに、心毒性および催奇性の低減された発生率を伴って生じる。
段落[0142]〜[0164]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、脱髄疾患を有する患者における自己免疫応答の始動期の予防またはその重症度の低減の方法がまた、提供される。
特定の実施形態では、投与はさらに、脱髄疾患を有する患者における自己免疫応答の増幅期を予防または低減する。
特定の実施形態では、脱髄疾患は、多発性硬化症、視神経炎、特発性炎症性脱髄疾患、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄癆、視神経脊髄炎(NMO)、進行性多巣性白質脳症(PML)、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)ニューロパチー、遺伝性運動感覚性ニューロパチー(シャルコー−マリー−トゥース病)、脳腱黄色腫症(cerebrotendinious xanthanomatosis)、ならびに、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチー、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、カナバン病、白質消失病(vanishing white matter disease)、アレキサンダー病、レフサム病、およびペリツェウス−メルツバッヘル病を含む白質ジストロフィーから選択される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はT細胞制御因子ではない。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
特定の実施形態では、投与は、脱髄疾患の治療のために認可された別の治療剤と比較して、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、催奇性、低下した肺機能、黄斑浮腫、末梢性ニューロパチー、重度の皮膚反応、感染症の上昇した危険性(潜在性細菌性およびウイルス性を含む)、自然免疫の機能障害、適応免疫の機能障害、および潮紅から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも1つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、肝毒性、心毒性、および催奇性から選択される少なくとも2つの副作用の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与は、血球減少症、腎毒性、および肝毒性の低減された発生率を伴って生じる。
特定の実施形態では、血球減少症は、リンパ球減少症および好中球減少症から選択される。
特定の実施形態では、投与はさらに、心毒性および催奇性の低減された発生率を伴って生じる。
段落[0166]〜[0187]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、治療または予防を必要としている対象における脱髄の治療または予防の方法がまた、提供される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は、多発性硬化症、視神経炎、特発性炎症性脱髄疾患、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄癆、視神経脊髄炎(NMO)、進行性多巣性白質脳症(PML)、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)ニューロパチー、遺伝性運動感覚性ニューロパチー(シャルコー−マリー−トゥース病)、脳腱黄色腫症(cerebrotendinious xanthanomatosis)、ならびに、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチー、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、カナバン病、白質消失病(vanishing white matter disease)、アレキサンダー病、レフサム病、およびペリツェウス−メルツバッヘル病を含む白質ジストロフィーから選択される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
段落[0189]〜[0200]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、低減を必要としている対象の神経組織中の細胞アポトーシスの重症度の低減の方法がまた、提供される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は、多発性硬化症、視神経炎、特発性炎症性脱髄疾患、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄癆、視神経脊髄炎(NMO)、進行性多巣性白質脳症(PML)、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)ニューロパチー、遺伝性運動感覚性ニューロパチー(シャルコー−マリー−トゥース病)、脳腱黄色腫症(cerebrotendinious xanthanomatosis)、ならびに、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチー、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、カナバン病、白質消失病(vanishing white matter disease)、アレキサンダー病、レフサム病、およびペリツェウス−メルツバッヘル病を含む白質ジストロフィーから選択される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
段落[0202]〜[0213]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、予防または低減を必要としている対象の神経組織中の炎症病巣の発達の予防または低減の方法がまた、提供される。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤は、細胞中に選択的に取り込まれる。
特定の実施形態では、SAMDC阻害剤はMGBGである。
特定の実施形態では、MGBGの投与は経口である。
特定の実施形態では、MGBGは20mg/日〜400mg/日で投薬される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は、多発性硬化症、視神経炎、特発性炎症性脱髄疾患、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄癆、視神経脊髄炎(NMO)、進行性多巣性白質脳症(PML)、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)ニューロパチー、遺伝性運動感覚性ニューロパチー(シャルコー−マリー−トゥース病)、脳腱黄色腫症(cerebrotendinious xanthanomatosis)、ならびに、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチー、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、カナバン病、白質消失病、アレキサンダー病、レフサム病、およびペリツェウス−メルツバッヘル病を含む白質ジストロフィーから選択される。
特定の実施形態では、脱髄疾患は多発性硬化症である。
特定の実施形態では、本方法は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、ラキニモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の投与をさらに含む。
特定の実施形態では、薬剤はフィンゴリモドである。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mgで投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.5mg未満で投薬される。
特定の実施形態では、フィンゴリモドは1日当たり0.25mgで投薬される。
段落[0215]〜[0226]内の上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態もまた、本明細書において提供される。
本開示は、上記に開示される方法だけでなく、以下もまた企図する。
・疾患の治療、および考察される具体的な疾患における、上記の化合物の対応する使用、ならびに、
・考察される疾患の治療のための薬品の製造における、上記の化合物の対応する使用。
繰り返しを避けるため、そのような実施形態は本明細書において明示的に再度記載されない。しかしながら、これらの実施形態は、そのように記載されているかのように含まれるものと理解されたい。例えば、本開示は、以下を提供する。
・脱髄疾患の治療または予防における、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の使用、
・神経系に影響を及ぼす自己免疫疾患の症状の治療における、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の使用、
・脱髄疾患の治療または予防における、治療上有効な量のSAMDC阻害剤、ならびにインターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の使用、
・脱髄疾患の再発もしくは進行の予防、または再発における症状の重症度を低下させることにおける、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の使用、
・患者における進行型多発性硬化症の治療における、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の使用、
・脱髄疾患を有する患者における細胞上の抗原提示を遮断することにおける、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の使用であって、該抗原が、ミエリン鞘内の抗原に由来するか、それを模倣するか、またはそれに類似する、使用、
・脱髄疾患を有する患者の中枢神経系内への抗原提示細胞の浸潤の阻害における、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の使用、
・治療上有効な量のSAMDC阻害剤の投与を含む、脱髄疾患を有する患者における自己免疫応答の始動期の予防またはその重症度の低減の方法、
・治療または予防を必要としている対象における脱髄の治療または予防における、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の使用、
・低減を必要としている対象の神経組織中の細胞アポトーシスの重症度の低減における、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の使用、および/または
・予防または低減を必要としている対象の神経組織中の炎症病巣の発達の予防または低減における、治療上有効な量のSAMDC阻害剤の使用、
ならびに、上記の段落[0008]〜[0226]、および以下の特許請求の範囲において列記されたすべての従属実施形態。本開示は、以下も提供する。
・脱髄疾患の治療または予防のための薬品の製造における、SAMDC阻害剤の使用、
・神経系に影響を及ぼす自己免疫疾患の症状の治療のための薬品の製造における、SAMDC阻害剤の使用、
・脱髄疾患の治療または予防のための薬品の製造における、SAMDC阻害剤、ならびにインターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、フマル酸ジメチル、およびテリフルノミドから選択される薬剤の使用、
・脱髄疾患の再発もしくは進行の予防のため、または再発における症状の重症度を低下させるための薬品の製造における、SAMDC阻害剤の使用、
・患者における進行型多発性硬化症の治療のための薬品の製造における、SAMDC阻害剤の使用、
・脱髄疾患を有する患者における細胞上の抗原提示を遮断するための薬品の製造における、SAMDC阻害剤の使用であって、該抗原が、ミエリン鞘内の抗原に由来するか、それを模倣するか、またはそれに類似する、使用、
・脱髄疾患を有する患者の中枢神経系内への抗原提示細胞の浸潤の阻害のための薬品の製造における、SAMDC阻害剤の使用、
・SAMDC阻害剤の投与を含む、脱髄疾患を有する患者における自己免疫応答の始動期の重症度のための薬品の製造における予防または低減の方法、
・治療または予防を必要としている対象における脱髄の治療または予防のための薬品の製造における、SAMDC阻害剤の使用、
・低減を必要としている対象の神経組織中の細胞アポトーシスの重症度の低減のための薬品の製造における、SAMDC阻害剤の使用、および/または
・予防または低減を必要としている対象の神経組織中の炎症病巣の発達の予防または低減のための薬品の製造における、SAMDC阻害剤の使用、
ならびに、上記の段落[00]08〜[0226]、および以下の特許請求の範囲において列記されたすべての従属実施形態。
MGBG、ならびに他のポリアミン類似体、ポリアミン生合成阻害剤、およびSAMDCのポリアミン阻害剤の経口薬学的製剤がまた、本明細書において開示される。MGBG、ならびに他のポリアミン類似体、ポリアミン生合成阻害剤、およびSAMDCのポリアミン阻害剤の投与を含む、疾患の治療のための方法がまた、開示される。
MGBG、ならびに他のポリアミン類似体、ポリアミン生合成阻害剤、およびSAMDCのポリアミン阻害剤の投与を含む、疼痛の治療のための方法がまた、本明細書において提供される。
ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤を、少なくとも1つの薬学的に許容される経口賦形剤と一緒に含む、経口送達のための薬学的組成物がまた、本明細書において提供される。
ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤を、少なくとも1つの経口の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、経口薬学的組成物がまた、本明細書において提供され、これは、対象に経口投与されると、治療上有効な全身性血漿中のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤レベルをもたらす。
ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤を、少なくとも1つの経口の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、経口薬学的組成物がまた、本明細書において提供され、これは、対象に経口投与されると、疼痛の治療のための治療上有効な全身性血漿中のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤レベルをもたらす。
特定の実施形態では、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤は、本明細書において開示される化合物である。
特定の実施形態では、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤は、当該技術分野において既知のものである。
特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、36、または48時間の期間にわたって、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の治療上有効な全身性血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも6時間の期間にわたって、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の治療上有効な全身性血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも12時間の期間にわたって、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の治療上有効な全身性血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも18時間の期間にわたって、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の治療上有効な全身性血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも24時間の期間にわたって、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の治療上有効な全身性血漿レベルをもたらす。
特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも4時間にわたって、少なくとも25、50、55、60、65、75、80、85、90、または95パーセントのピーク血漿濃度のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、または24時間にわたって、少なくとも75%のピーク血漿濃度のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも4時間にわたって、少なくとも75%のピーク血漿濃度のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも6時間にわたって、少なくとも75%のピーク血漿濃度のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも8時間にわたって、少なくとも75%のピーク血漿濃度のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも8時間にわたって、少なくとも50%のピーク血漿濃度のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも12時間にわたって、少なくとも50%のピーク血漿濃度のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも18時間にわたって、少なくとも50%のピーク血漿濃度のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも18時間にわたって、少なくとも25%のピーク血漿濃度のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、ピーク血漿濃度は、治療上有効な濃度である。まださらなる実施形態では、ピーク血漿濃度の百分率は、所定期間にわたって治療上有効である。
特定の実施形態では、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤を含む薬学的組成物は、少なくとも10、20、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、または60パーセントの経口生体利用率を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも10%、20%、25%、30%、35%、40%、または45%の経口生体利用率を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、または少なくとも45%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも20%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも30%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも35%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも40%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも45%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、1日1回の投薬を伴う対象において、少なくとも24時間の期間にわたって、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の治療上有効な血漿レベルをもたらす、経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、1日2回の投薬を伴う対象において、少なくとも24時間の期間にわたって、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の治療上有効な血漿レベルをもたらす、経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、1日3回の投薬を伴う対象において、少なくとも24時間の期間にわたって、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の治療上有効な血漿レベルをもたらす、経口生体利用率を有する。
特定の実施形態では、ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤を含む薬学的組成物は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、または36時間の半減期を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも12時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも18時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも20時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも24時間の半減期を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも48、72、96、または120時間の半減期を有する。
MGBGを、少なくとも1つの薬学的に許容される経口賦形剤と一緒に含む、経口送達のための薬学的組成物が、本明細書においてさらに提供される。
MGBGを、少なくとも1つの経口の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、経口薬学的組成物がまた、本明細書において提供され、これは、対象に経口投与されると、治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。
MGBGを、少なくとも1つの経口の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、経口薬学的組成物がまた、本明細書において提供され、これは、対象に経口投与されると、疼痛の治療のための治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。
特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30、36、または48時間の期間にわたって、治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも6時間の期間にわたって、治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも12時間の期間にわたって、治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも18時間の期間にわたって、治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも24時間の期間にわたって、治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。
特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも4時間にわたって、少なくとも25、50、55、60、65、75、80、85、90、または95パーセントのピーク血漿濃度のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、または24時間にわたって、少なくとも75%のピーク血漿濃度のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも4時間にわたって、少なくとも75%のピーク血漿濃度のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも6時間にわたって、少なくとも75%のピーク血漿濃度のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも8時間にわたって、少なくとも75%のピーク血漿濃度のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも8時間にわたって、少なくとも50%のピーク血漿濃度のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも12時間にわたって、少なくとも50%のピーク血漿濃度のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも18時間にわたって、少なくとも50%のピーク血漿濃度のMGBGの血漿レベルをもたらす。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも18時間にわたって、少なくとも25%のピーク血漿濃度のMGBGの血漿レベルをもたらす。さらなる実施形態では、ピーク血漿濃度は、治療上有効な濃度である。まださらなる実施形態では、ピーク血漿濃度の百分率は、所定期間にわたって治療上有効である。
特定の実施形態では、MGBGを含む薬学的組成物は、少なくとも10、20、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、45、50、55、または60パーセントの経口生体利用率を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも10%、20%、25%、30%、35%、40%、または45%の経口生体利用率を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、または少なくとも45%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも20%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも30%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも35%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも40%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも45%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、1日1回の投薬を伴う対象において、少なくとも24時間の期間にわたって、治療上有効なMGBGの血漿レベルをもたらす、経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、1日2回の投薬を伴う対象において、少なくとも24時間の期間にわたって、治療上有効なMGBGの血漿レベルをもたらす、経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、1日3回の投薬を伴う対象において、少なくとも24時間の期間にわたって、治療上有効なMGBGの血漿レベルをもたらす、経口生体利用率を有する。
特定の実施形態では、MGBGを含む薬学的組成物は、少なくとも4、6、8、10、12、14、16、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、または36時間の半減期を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも12時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも18時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも20時間の半減期を有する。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも24時間の半減期を有する。特定の実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも48、72、96、または120時間の半減期を有する。
MGBGを、少なくとも1つの経口の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、薬学的組成物がまた、本明細書において提供され、これは、対象に経口投与されると、実質的に用量を制限する副作用を有しない、治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。特定の実施形態では、該副作用は胃腸のものである。さらなる実施形態では、該胃腸の副作用は、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、口腔粘膜炎、口腔潰瘍、咽頭炎、口内炎、胃腸穿孔、胃腸潰瘍、胃腸管閉塞、および胃腸出血から選択される。さらなる実施形態では、該胃腸の副作用は、胃腸の粘膜増殖の阻害、発達中の上皮管腔細胞の遊走の阻害、および幹細胞または前駆細胞の上皮管腔細胞への分化の阻害から選択される。特定の実施形態では、該副作用は、血小板減少症、白血球減少症、静脈炎、喉頭炎、蜂巣炎、皮膚炎、および低血糖症から選択される。
実質的な胃腸の副作用を有しない、治療上有効な量のMGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、慢性送達のための低用量の経口薬学的組成物がまた、本明細書において提供される。特定の実施形態では、実質的な胃腸の副作用を有しない、治療上有効な量のMGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、慢性送達のための低用量の経口薬学的組成物は、1日1回の投薬を伴う対象において、少なくとも24時間の期間にわたって、治療上有効なMGBGの血漿レベルをもたらす。
特定の実施形態では、薬学的組成物は、錠剤またはカプセル剤として製剤化される。例えば、特定の実施形態では、薬学的組成物は以下を含む。
0.1〜50%のポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤、
0.1〜99.9%の充填剤、
0〜10%の崩壊剤、
0〜5%の滑沢剤、および、
0〜5%の滑剤。
特定の実施形態では、薬学的組成物は以下を含む。
0.1〜50%のMGBG、
0.1〜99.9%の充填剤、
0〜10%の崩壊剤、
0〜5%の滑沢剤、および、
0〜5%の滑剤。
さらなる実施形態では、
該充填剤は、糖、デンプン、セルロース、およびポロクサマーから選択され、
該崩壊剤は、ポビドンおよびクロスポビドンから選択され、
該滑沢剤はマグネシウムステアレートであり、
該滑剤は二酸化シリコンである。
さらなる実施形態では、
該充填剤は、ラクトースおよび微結晶セルロースから選択され、
該崩壊剤は、ポビドンおよびクロスポビドンから選択され、
該滑沢剤はマグネシウムステアレートであり、
該滑剤は二酸化シリコンである。
特定の実施形態では、薬学的組成物は以下を含む。
錠剤内容物またはカプセル剤充填内容物の2〜50%を構成する10〜300mgのポリアミン類似体もしくはポリアミン生合成阻害剤、
0〜10%の崩壊剤、
0〜5%の滑沢剤、
0〜5%の滑剤、および
30〜98%の充填剤。
特定の実施形態では、薬学的組成物は以下を含む。
錠剤内容物またはカプセル剤充填内容物の2〜50%を構成する10〜300mgのMGBG、
0〜10%の崩壊剤、
0〜5%の滑沢剤、
0〜5%の滑剤、および
30〜98%の充填剤。
さらなる実施形態では、薬学的組成物は以下を含む。
0.1〜10%の結合剤、
0〜5%の界面活性剤、
0〜10%の顆粒間崩壊剤(intergranular disintegrant)、および
0〜10%の顆粒外崩壊剤(extragranular disintegrant)。
さらなる実施形態では、薬学的組成物は、以下をさらに含み得る。
0〜10%の結合剤、
0〜5%の界面活性剤、
0〜10%の顆粒間崩壊剤、および
0〜10%の顆粒外崩壊剤。
さらなる実施形態では、
該結合剤は、コポリビドン、ヒドロキシプロピル−セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポビドンから選択され、
該界面活性剤は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポロクサマー、およびナトリウムラウリルサルフェートから選択され、
該顆粒間崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムデンプングリコネート、およびクロスポビドンから選択され、
該顆粒外崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムデンプングリコネート、およびクロスポビドンから選択される。
MGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む経口薬学的組成物の投与を含む、治療または遅延を必要としている対象における病態の発症もしくは発達を治療または遅延させる方法がまた、本明細書において提供される。特定の実施形態では、経口薬学的組成物は、治療上有効な量で送達される。特定の実施形態では、該経口薬学的組成物は、少なくとも30%の経口生体利用率を有する。特定の実施形態では、該経口薬学的組成物は、実質的に用量を制限する副作用を有しない。特定の実施形態では、MGBGの血漿レベルは、4時間以上にわたって、少なくとも75%のピーク血漿濃度である。さらなる実施形態では、該経口薬学的組成物は、対象に経口投与されると、少なくとも12時間の期間にわたって、治療上有効な全身性血漿MGBGレベルをもたらす。
特定の実施形態では、該病態は、増殖性障害、炎症性疾患、および自己免疫疾患、ニューロパチー、ならびに神経変性疾患から選択される。特定の実施形態では、該病態は、関節リウマチ、変形性関節症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、HIVニューロパチー、およびHIV関連認知症から選択される。
特定の実施形態では、該増殖性障害は、癌、乾癬、乾癬性関節炎、およびアトピー性皮膚炎から選択される。特定の実施形態では、ニューロパチーは、末梢性ニューロパチー、糖尿病性ニューロパチー、絞扼性ニューロパチー(手根管症候群)、帯状疱疹後神経痛(PHN)、化学療法誘発性ニューロパチー、およびHIVニューロパチーから選択される。
特定の実施形態では、病態は、増殖性障害、関節リウマチ、変形性関節症、多発性硬化症、および筋萎縮性側索硬化症から選択される。特定の実施形態では、増殖性障害は、例えば、癌、乾癬、乾癬性関節炎、およびアトピー性皮膚炎から選択され得る。
ポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤を、少なくとも1つの経口の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、経口薬学的組成物がまた提供され、これは、対象に経口投与されると、疼痛の治療のためのポリアミン類似体またはポリアミン生合成阻害剤の治療上有効な全身性血漿レベルをもたらす。MGBGを、少なくとも1つの経口の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む、経口薬学的組成物がまた提供され、これは、対象に経口投与されると、疼痛の治療のためのMGBGの治療上有効な全身性血漿レベルをもたらす。
ポリアミン類似体もしくはポリアミン生合成阻害剤、またはこれらの塩もしくは保護化誘導体の投与を含む、治療を必要としている対象における疼痛の治療の方法がまた、本明細書において提供される。MGBGの投与を含む、治療を必要としている対象における疼痛の治療の方法がまた、本明細書において提供される。特定の実施形態では、MGBGは、治療上有効な量で投与される。MGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む治療上有効な量の薬学的組成物の投与を含む、治療を必要としている対象における疼痛の治療の方法が、さらに提供される。
特定の実施形態では、疼痛は、炎症性疼痛、神経傷害に起因する疼痛、慢性疼痛、難治性癌性疼痛、複合性局所疼痛症候群、ニューロパチー性疼痛、手術疼痛または術後疼痛、歯痛、皮膚傷害からもたらされる疼痛、腰痛、頭痛、片頭痛、接触性アロディニア、および痛覚過敏から選択される。特定の実施形態では、疼痛は慢性である。他の実施形態では、疼痛は急性である。特定の実施形態では、疼痛は炎症性疼痛である。
特定の実施形態では、MGBGまたはその薬学的組成物の投与は経口である。他の実施形態では、投与は静脈内である。
特定の実施形態では、投与は、経口と静脈内との組み合わせである。特定の実施形態では、第1の投与は経口、第2は静脈内であり、他では、第1は静脈内、第2は経口であり、いずれの場合においても、さらなる経口または静脈内投薬が伴い得る。特定の実施形態では、疼痛は手術疼痛または術後疼痛である。例えば、特定の実施形態では、術前投与は経口であり、周術期投与は静脈内であり、他では、術前投与は静脈内であり、術前投与も静脈内であり、術後投与は経口である。いずれの場合においても、さらなる経口または静脈内投薬が伴い得る。特定の実施形態では、術前、周術期、および術後投与は静脈内である。
MGBGおよび少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む経口薬学的組成物と、
別の治療剤と、
の投与を含む、治療を必要としている対象における病態の治療の方法がまた、本明細書において提供される。
特定の実施形態では、MGBGは、治療上有効な量で送達される。他の実施形態では、MGBGは、治療量以下の量で送達される。特定の実施形態では、他方の治療剤は、治療上有効な量で送達される。他の実施形態では、他方の治療剤は、治療量以下の量で送達される。特定の実施形態では、MGBGおよび他方の治療剤は、個別には治療量以下であるが一緒になると治療上有効である量で一緒に送達される。他の実施形態では、MGBGおよび他方の治療剤は、個別に治療上有効な量で一緒に送達される。
病態を治療する方法が、本明細書においてさらに提供される。本方法は、そのような治療を必要としている対象に、有効な量のMGBG、MGBGの塩、MGBGの保護化誘導体、またはポリアミン類似体もしくはポリアミン生合成阻害剤、またこれらの塩、保護化誘導体、もしくは立体異性体を投与することを含み、該病態は、クローン病、パーキンソン病、炎症性腸障害、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、肝炎、HBV、HCV、腎炎、脳炎、糸球体腎炎、関節リウマチ、2型糖尿病、心筋繊維化およびII型アンジオテンシン関連高血圧、骨粗鬆症、マスト細胞生成IgE媒介過敏性免疫反応、HIV感染症または真性糖尿病に関連する末梢性感覚ニューロパチー、喘息、自閉症、皮膚筋炎、虚弱、肥満、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、照射後症候群、乾癬性関節炎、サルコイドーシス、肺線維症を伴うか伴わない強皮症、腎臓関連自己免疫病態、糖尿病性腎症、糖尿病性血管合併症、ならびにリンパ球増殖関連自己免疫病態から選択される。
単球を、有効な量の、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼを阻害するか、または単球内のポリアミン生合成を阻害する薬剤と接触させることを含む、単球からのマクロファージの分化を低下させる方法が、本明細書においてさらに提供される。特定の実施形態では、薬剤は、MGBG、またはその塩もしくは保護化誘導体である。
一実施形態では、薬剤は、SAMDC、またはAMD Iを含有する任意の経路、例えば、SAMDCを含有する経路、特にSAMDCを含有しアデノシン生成に関連する任意の経路の上流もしくは下流の任意の実体を阻害することができる。別の実施形態では、薬剤は、ポリアミン生合成、またはポリアミン生合成に関与する任意の経路を阻害することができる。一般的に、SAMDCまたはアデノシンを含有する経路は、SAMDCまたはアデノシンのいずれかが、例えば、基質、触媒、生成物、または副生成物などとして関与する経路を指すと理解されている。
薬剤は、酵素S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼの活性を阻害することができ、ポリアミン生合成を、例えば、細胞中で阻害することができる、いかなる種類の既知または後に発見される薬剤であり得る。一実施形態では、薬剤は、有機分子および塩、保護化誘導体およびその立体異性体、無機分子または種々のイオン性もしくは元素の実体を含むがこれらに限定されない、化学薬剤であり得る。
本明細書において開示される方法および組成物に使用される化合物は、ポリアミン類似体およびポリアミン生合成阻害剤、ならびにこれらの塩、プロドラッグ、溶媒和化合物、無水形態、保護化誘導体、構造異性体、立体異性体、アミノ酸抱合体、およびポルフィリン抱合体を含む。いかなるポリアミン類似体も本発明の方法における使用に好適である。
本発明の方法において使用される例示的なポリアミン類似体としては、構造式1、2、3、4、5、6、および7の化合物、ならびにこれらの対応する立体異性体、塩、および保護化誘導体が挙げられる。
式1は、以下の構造を有し、
式中、
R1、R2、R4、R6、およびR7は、独立して、水素、アルキル、およびアリールから選択され、R3およびR5は、アルキル基である。
式2は、以下の構造を有し、
式中、
R1、R2、R4、R6、R8、およびR9は、独立して、水素、アルキル、およびアリールから選択され、
R3、R5、およびR7は、アルキル基である。
式3は、以下の構造を有し、
式中、
R1、R2、R4、R6、R10、およびR11は、独立して、水素、アルキル、およびアリールから選択され、
R3、R5、R7、およびR9は、アルキル基である。
式4は、以下の構造を有し、
式中、
R1およびR5は、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、およびイソプロピルから選択され、
R2、R3、およびR4は、独立して、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルキル−C3−C6シクロアルキル−C1−C6アルキル、C3−C10アリール、およびC1−C6アルキル−C3−C10アリール−C1−C6アルキルから選択され、
R6、R7、R8、およびR9は、独立して、水素、メチル、およびエチルから選択される。
式5は、以下の構造を有し、
式中、
R1およびR6は、独立して、メチル、エチル、n−プロピル、およびイソプロピルから選択され、
R2、R3、R4、およびR5は、独立して、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルキル−C3−C6シクロアルキル−C1−C6アルキル、C3−C10アリール、およびC3−C10アリール−C1−C6アルキルから選択され、
R7、R8、R9、R10、およびR11は、独立して、水素、メチル、およびエチルから選択される。
別の実施形態では、ポリアミン類似体は、構造2および3の化合物であり、式中、
R3、R5、R7、およびR9は、独立して、(CH2)x基であり、
xは、2〜6の整数であり、
R4、R6、およびR8は、水素原子である。
さらに別の実施形態では、ポリアミン類似体は、構造2および3の化合物であり、式中、
R3、R5、R7、およびR9は、独立して、(CH2)x基であり、
xは、2〜6の整数であり、
R4、R6、およびR8は、水素原子であり、
R1およびR10は、アルキル基であり、
R2およびR11は、水素原子である。
さらに別の実施形態では、ポリアミン類似体は、構造2および3の化合物であり、式中、
R3、R5、R7、およびR9は、独立して、(CH2)x基であり、
xは、2〜6の整数であり、
R4、R6、およびR8は、水素原子であり、
R1およびR10は、アルキル基であり、
R2およびR11は、水素原子であり、
ポリアミン類似体は、500未満の分子量を有する。
構造4の化合物のさらなる実施形態は、式中、R6、R7、R&、およびR9が水素であるものを含む。
他の実施形態では、R1およびR5は、エチルである。
まださらなる実施形態では、
R6、R7、R8、およびR9は、水素であり、
R1およびR5は、エチルである。
まださらなる実施形態では、
R2およびR4は、独立して、C1−C6アルキルから選択され、
R3は、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C1−C6アルキル−C3−C6シクロアルキル−C1−C6アルキル、C3−C10アリール、およびC1−C6アルキル−C3−C10アリール−C1−C6アルキルから選択される。
本発明において有用なさらなるポリアミン類似体としては、式6の化合物、ならびにこれらの対応する立体異性体、塩、および保護化誘導体が挙げられ、
式中、
R4は、C2−C6n−アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6シクロアルケニル、およびC3−C6アリールから選択され、
R3およびR5は、独立して、単結合、C1−C6アルキル、およびC1−C6アルケニルから選択され、
R2およびR6は、独立して、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6シクロアルケニル、およびC3−C6アリールから選択され、
R1およびR7は、独立して、水素、C1−C6アルキル、およびC2−C6アルケニルから選択され、
R8、R9、R10、およびR11は、水素である。
式6の化合物の特定の実施形態では、R1およびR7は、独立して、C1−C6アルキルおよびC2−C6アルケニルから選択される。
本発明において有用なさらなるポリアミン類似体としては、式7の化合物、ならびにこれらの対応する立体異性体、塩、および保護化誘導体が挙げられ、
式中、
R4は、C1−C6n−アルキルおよびC1−C6分岐状アルキルから選択され、
R3およびR5は、独立して、単結合またはC1−C6アルキルから選択され、
R2およびR6は、独立して、C1−C6アルキル、C1−C6アルケニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6シクロアルケニル、またはC3−C6アリールから選択され、
R1およびR7は、独立して、H、C1−C6アルキル、またはC2−C6アルケニルから選択され、
R8、R9、R10、およびR11は、水素である。
式7の化合物の特定の実施形態では、
R2およびR7は、独立して、C1−C6アルキルまたはC2−C6アルケニルから選択され、
R4は、C1−C6飽和n−アルキルおよびC1−C6飽和分岐状アルキルから選択され、R3およびR5は、独立して、単結合およびC1−C6飽和n−アルキルから選択される。
本発明の別の実施形態に従って、薬剤は、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼの活性を阻害する、ポリアミン生合成を阻害する、および/またはアデノシンの活性を増加させる化学的部分である。
そのような部分の例としては、表1に列記されるものが挙げられるが、これらに限定されない。表1に列記される部分の形態に関わらず、該当する場合、それらの塩、保護化誘導体、および立体異性体を含むことが理解される。
さらに別の実施形態では、薬剤は、MGBG、MDL73811、CGP48664、ベレニル、ペンタミジン、SL47、およびSL93から選択される化合物、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせである。さらに別の実施形態では、薬剤は、MGBG、SL47、またはSL93である。さらに別の実施形態では、2つ以上の薬剤が使用される。2つ以上の薬剤は、経時的または同時のいずれかで使用され得る。
MGBGは、1,1′[メチルエタンジイリデン]ジニトリロジグアニジンであり、メチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、メチル−GAG、Me−G、およびミトグアゾンとしても知られている。本明細書において使用される場合、MGBGは遊離塩基およびその塩を含む。これは、必ずしもではないが一般的に、ジヒドロクロライドとして使用される。MGBGは、以下の異性体のうちのいずれか1つ、またはこれらの互変異性体および/もしくはシン/アンチ異性体、これらの1つ以上の組み合わせとして存在し得る。
特定の実施形態では、MGBGは、以下の異性体のうちの1つ、またはこれらの互変異性体および/もしくはシン/アンチ異性体、これらの1つ以上の組み合わせ存在し得る。
特定の実施形態では、化合物は式8a〜8cから選択される構造を有し、
R1〜R6は、1〜12個の炭素原子を有する水素、アルキル、およびアラルキルから選択されるが、ただし、式(8a)では、R1、およびR6は水素でないことを条件とし、
R7は、1〜12個の炭素原子を有する水素、アルキル、アリール、およびアラルキルから選択され、
m、nは、それぞれ独立して、3〜6(境界値を含む)の整数であり、
v、w、x、y、およびzは、それぞれ独立して、3〜10(境界値を含む)の整数である。
さらなる開示は国際公開第98/10766号に見ることができ、その開示は、例えば3〜4ページに、その全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
特定の実施形態では、化合物は式9aの構造を有し、
E−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−E
式中、
Aは、独立して、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、およびC3−C6シクロアルケニルからなる群から選択され、
Bは、独立して、単結合、C1−C6アルキル、およびC2−C6アルケニルからなる群から選択され、
Eは、独立して、水素、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、およびC3−C6シクロアルケニルからなる群から選択されるが、
ただし、少なくとも1つのA部分が、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、およびC3−C6シクロアルケニルからなる群から選択されること、または少なくとも1つのB部分が、C2−C6アルケニルからなる群から選択されることのいずれかを条件とする、ならびにこれらのすべての塩、水和物、溶媒和化合物、および立体異性体。
別の実施形態では、配座制限されたポリアミン類似体は、式9b
E−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH(−B−A−B−NH)x−E
の化合物、ならびにこれらのすべての塩、水和物、溶媒和化合物、および立体異性体の群の中から選択され、
式中、
Aは、独立して、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、およびC3−C6シクロアルケニルからなる群から選択され、
Bは、独立して、単結合、C1−C6アルキル、およびC2−C6アルケニルからなる群から選択され、
Eは、独立して、水素、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、およびC3−C6シクロアルケニルからなる群から選択され、
xは、2〜16の整数であるが、
ただし、少なくとも1つのA部分が、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、およびC3−C6シクロアルケニルからなる群から選択されること、または少なくとも1つのB部分が、C2−C6アルケニルからなる群から選択されることのいずれかを条件とする。
別の実施形態では、xは、4、6、8、または10である。
別の実施形態では、xは4である。別の実施形態では、xは6である。
別の実施形態では、xは8である。
別の実施形態では、xは10である。
別の実施形態では、配座制限されたポリアミン類似体は、式9c
E−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH−B−A−B−NH(−B−A−B−NH)x−E
の化合物、ならびにこれらのすべての塩、水和物、溶媒和化合物、および立体異性体の群の中から選択され、
式中、
Aは、独立して、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C6シクロアルキル、C3−C6アリール、およびC3−C6シクロアルケニルからなる群から選択され、
Bは、独立して、単結合、C1−C6アルキル、およびC2−C6アルケニルからなる群から選択され、
Eは、独立して、C1−C6アルキル、C1−C6アルカノール、C3−C6シクロアルカノール、およびC3−C6ヒドロキシアリールからなる群から選択されるが、ただし、少なくとも1つのE部分が、C1−C6アルカノール、C3−C6シクロアルカノール、およびC3−C6ヒドロキシアリールからなる群から選択されることを条件とし、
xは、0〜16の整数である。
別の実施形態では、配座制限されたポリアミン類似体は、式9d
E−NH−D−NH−B−A−B−NH−D−NH−E
の化合物、ならびにこれらのすべての塩、水和物、溶媒和化合物、および立体異性体の群の中から選択され、
式中、Aは、C2−C6アルケンおよびC3−C6シクロアルキル、シクロアルケニル、ならびにアリールからなる群から選択され、
Bは、独立して、単結合ならびにC1−C6アルキルおよびアルケニルからなる群から選択され、
Dは、独立して、C1−C6アルキルおよびアルケニル、ならびにC3−C6シクロアルキル、シクロアルケニル、およびアリールからなる群から選択され、
Eは、独立して、水素、C1−C6アルキル、およびアルケニルからなる群から選択される。
別の実施形態では、配座制限されたポリアミン類似体は、式9e
の大環状ポリアミン、ならびにこれらのすべての塩、水和物、溶媒和化合物、および立体異性体から選択され、
式中、
A1、各A2(存在する場合)、およびA3は、独立して、C1−C8アルキルから選択され、各Yは、独立して、水素またはC1−C4アルキルから選択され、
Mは、C1−C4アルキルから選択され、
kは、0、1、2、または3であり、
Rは、C1−C32アルキルである。
さらなる実施形態では、Y基は水素または−CH3である。
別の実施形態では、A1、各A2(存在する場合)、およびA3は、独立して、C2−C4アルキルから選択される。
さらに別の実施形態では、Mは−CH2−である。
別の実施形態では、配座制限されたポリアミン類似体は、式9f
の大環状ポリアミン類似体、ならびにこれらのすべての塩、水和物、溶媒和化合物、および立体異性体から選択され、
式中、
A1、各A2(存在する場合)、およびA3は、独立して、C1−C8アルキルから選択され、
A4は、C1−C8アルキルまたはヌルから選択され、
Xは、−水素、−Z、−CN、−NH2、−C(=O)−C1−C8−アルキル、または−NHZから選択されるが、ただし、A4がヌルであるとき、Xは、水素、−C(=O)−C1−C8−アルキル、または−Zであることを条件とし、
Zは、アミノ保護基、アミノキャッピング基、アミノ酸、およびペプチドからなる群から選択され、
各Yは、独立して、水素またはC1−C4アルキルから選択され、
Mは、C1−C4アルキルから選択され、
kは、0、1、2、または3であり、
Rは、C1−C32アルキルから選択される。
特定の実施形態では、A4はヌルである。
他の実施形態では、Xは−Zであり、−Zは水素である。
他の実施形態では、Xは−Zであり、−Zは4−モルフォリノカルボニルである。
他の実施形態では、Xは−Zであり、−Zはアセチルである。
他の実施形態では、Xは−Zであり、−Zはt−BocまたはFmocである。
他の実施形態では、Yは−CH3である。
他の実施形態では、Mは−CH2−である。
なおさらなる実施形態では、kは1である。
さらなる実施形態では、A、およびA3は、−CH2CH2CH2−である。
なおさらなる実施形態では、−CH2CH2CH2CH2−。
なおさらなる実施形態では、RはC13H27である。
まださらなる実施形態では、A4、X、Z、Y、M、k、A1、A3、およびRの特定制限のうちの1つ以上が組み合わされる。
大環状ポリアミン類似体化合物のさらなる実施形態では、
A4は、C1−C8アルキルであり、
Xは、−NHZであり、
Zは、20の遺伝子的にコード化されたアミノ酸(アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン)のうちの1つ、式アセチル−SKLQL−のペプチド、式アセチル−SKLQ−I3−アラニン−のペプチド、または式アセチル−SKLQ−のペプチドから選択される。
Zがアミノ酸またはペプチドであるこれらの場合では、使用される治療剤はポリアミン−アミノ酸抱合体またはポリアミン−ペプチド抱合体である。
一実施形態では、ポリアミン類似体の唯一の配座制限は、分子中の炭素−炭素二重結合(エテニル基、C=C)に起因する。
別の実施形態では、ポリアミン類似体の唯一の配座制限は、分子中のシクロプロピル基などのシクロアルキル基に起因する。
化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる開示は国際公開第2007/040535号に見ることができ、その開示は、その全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
さらなる類似体および誘導体としては、以下の式10aによって包含されるものが挙げられ、
R−X−ポリアミン
式中、
Rは、H、または直鎖状もしくは分岐状C1−50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシの群、Cl−8脂環族、単環式もしくは多環式アリール置換脂肪族、脂肪族置換単環式もしくは多環式芳香族、単環式もしくは多環式ヘテロ環、単環式もしくは多環式ヘテロ環式25脂肪族、Cl−10アルキル、アリールスルホニル、またはシアノから選択され、
Xは、−CO−、−SO2、または−CH2−であり得、
「ポリアミン」は、プトレシン、スペルミンもしくはスペルミジン、または合成的に生成されたポリアミンなどの、任意の自然発生のものであり得る。
好ましくは、Rは、少なくとも約C5、少なくとも約C10、少なくとも約C11、少なくとも約C12、少なくとも約C13、少なくとも約C14、少なくとも約C15、少なくとも約C16、少なくとも約C17、少なくとも約C18、少なくとも約C19、少なくとも約C20、または少なくとも約C22である。
Xとポリアミンとの間の連結は、直接的(Xとポリアミンのアミン基の窒素の間に原子がない)か、間接的(Xとポリアミンのアミン基の窒素との間に1個以上の原子があり得る)であり得る。Xとポリアミンとの間の連結は、ポリアミン内のいずれのアミノ基を介しても生じ得るが、一級アミノ基が、本発明の好ましい実施形態において使用される。
Xとポリアミンとの間の連結が間接的である本発明の好ましい実施形態では、介在する1個以上の原子は、好ましくは、アミノ酸またはその誘導体のものである。この種類の特に好ましい実施形態では、介在する1個以上の原子は、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、オルニチン、または2,4−ジアミノ酪酸のものである。この種類の好ましい化合物は、式10bのように表され得、
R−X−L−ポリアミン
式中、
Rは、直鎖状もしくは分岐状C10−50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシ、Cl−8脂環族、単環式もしくは多環式アリール置換もしくは非置換の脂肪族、脂肪族置換もしくは非置換の単環式もしくは多環式芳香族、単環式もしくは多環式ヘテロ環、単環式もしくは多環式ヘテロ環式脂肪族、アリールスルホニルから選択され、
Xは、−CO−、−SO2−、または−CH2−であり、
Lは、共有結合、または自然発生のアミノ酸、オルニチン、2,4−ジアミノ酪酸、またはこれらの誘導体である。
本発明の類似体および誘導体は、任意にポリアミンの1つ以上の他の位置でさらに置換され得る。これらは、内部窒素および/または内部炭素原子を含むが、これらに限定されない。本発明の一態様では、好ましい置換基は、ポリアミン輸送阻害、結合親和性を上昇させる、ないしは、ポリアミン輸送体、酵素、またはDNAなどのポリアミン結合分子への化合物の結合の不可逆性を向上させる構造体である。そのようなさらなる置換基としては、アジリジン基および種々の他の脂肪族、芳香族、混合された脂肪族−芳香族、またはヘテロ環多環式構造体が挙げられる。アジリジンのようにポリアミン輸送体または別のポリアミン結合分子に共有結合的に結合する反応性部分はまた、本発明の範囲内である。求核剤と反応して共有結合を形成する反応基の例としては、クロロ−、ブロモ、およびヨード−アセトアミド、スルホニルフルオライド、エステル、窒素マスタードなどが挙げられる。そのような反応性部分は、診断または調査に関連して親和性標識のために使用され、ポリアミン輸送またはポリアミン合成を阻害するに当たっての薬理活性に寄与し得る。反応基は、アジドまたはベンゾフェノン基などの反応性光親和性基であり得る。光親和性標識のための化学薬剤は、当該技術分野において周知である(Flemming,S.A.,Tetrahedron 1995,51,12479−12520)。
本発明の好ましい態様は、抗癌化学療法剤としての薬学的有用性を有する高度に特異的なポリアミン輸送阻害剤である、ポリアミン類似体または誘導体に関する。分子のポリアミン結合部位に結合する、および/またはポリアミン輸送を阻害する、本発明のポリアミン類似体もしくは誘導体の1つの分類は、以下の式10cによって説明され、
式中、
a、b、およびcは、独立して、1〜10の範囲であり、
dおよびeは、独立して、0〜30の範囲であり、
各Xは、独立して、炭素(C)または硫黄(S)原子のいずれかであり、
R1およびR2は、以下に記載される通りであるか、または、R1X(O)n−およびR2X(O)n−のそれぞれは、独立して、Hによって置換され、
*は、キラル炭素位置を意味するが、
ただし、
XがCである場合、nは1であり、
XがSである場合、nは2であり、
XがCである場合、X(O)基は、nがoであるようにCH2であり得ることを条件とする。
上記の式では、R1およびR2は、独立して、H、または直鎖状もしくは分岐状C1−50飽和もしくは不飽和脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、またはアルコキシの群、C1−8脂環族、単環式もしくは多環式アリール置換脂肪族、脂肪族置換単環式もしくは多環式芳香族、単環式もしくは多環式芳香族または飽和ヘテロ環、単環式もしくは多環式ヘテロ環脂肪族、C1−10アルキル、アリールスルホニル、またはシアノから選択される。
本明細書において使用されるヘテロ環式環の例としては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、3−ピロリン、ピロリジン、ピリジン、ピリミジン、プリン、キノリン、イソキノリン、およびカルバゾールが挙げられるが、これらに限定されない。
上述の脂肪族、カルボキシアルキル、カルボアルコキシアルキル、アルコキシ、30脂環族、アリール、芳香族、およびヘテロ環部分のすべては、当然ながら、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード)、低級アルキル(1−6C)、および低級アルコキシ(1−6C)から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換されてもよい。
本明細書において使用される場合、カルボキシアルキルは、置換基−R′−COOHを指し、式中、R′はアルキレンであり、カルボアルコキシアルキルは、−R′−COORを指し、式中、R′およびRは、それぞれアルキレンおよびアルキルである。好ましい実施形態では、アルキルは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−メチルペンチル、n−ヘキシルなどの1〜6個の炭素原子の飽和直鎖状または分岐鎖状ヒドロカルビルラジカルを指す。アルキレンは、その基が二価であることを除いてアルキルと同じである。アリールまたはアルキルスルホニル部分は式SO2Rを有し、アルコキシ部分は式−O−Rを有し、式中、Rは、上記に定義されるアルキルであるか、またはアリールであり、ここでアリールはフェニルであり、ハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード)、低級アルキル(1−6C)、および低級アルコキシ(1−6C)から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される。
上記によって包含される化合物の好ましい群は、dが4でありeが0であるものである。
分子のポリアミン結合部位に結合する、および/またはポリアミン輸送を阻害する、本発明のポリアミン類似体もしくは誘導体のさらなる分類は、以下の式10dによって説明され、
式中、
a、b、およびcは、独立して、1〜10の範囲であり、
dおよびeは、独立して、0〜30の範囲であり、
R1およびR2は、式8cについて上記に定義され、
R3およびR4は、独立して、−CH3を含む有機置換基から選択され、上記の式8cにおいて、R1およびR2について上記に定義される。類似体のこの分類は、遊離アミノ前駆体のケトンとの還元的アミノ化によって生成される。
本発明の1つの好ましい実施形態では、R1およびR2は同一であり、式8cについて説明される通りである。位置R3およびR4も同一であり得、R1〜R4のすべても同一であり得る。さらに、式8dにおける位置R1、R2、R3、およびR4のそれぞれも、独立して、Hであり得る。
本発明のさらなる態様では、ポリアミン(例えばスペルミンなど)に対して近位および/または遠位のアミノ基は、三級アミンを形成するようにジアルキル化され得る。これらの材料は、大過剰のカルボニル成分との還元的アミノ化によって合成され得る。さらに、これらの材料は、α,β−不飽和カルボニルまたはα,β−不飽和ニトリルへのアミン前駆体の共役付加によって生成され得る。
R1、R2、R3、およびR4のそれぞれは、独立して変動し得、式IIIについて上記に定義される通りである。R1、R2、R3、およびR4のそれぞれも、独立して、Hであり得る。a、b、c、d、およびeの値は、式8dについて上記に定義される通りである。本発明のこの態様は、以下の式10eに表される。
本発明のさらなる態様では、分子のアシル部分上の近位または遠位のアミノ基を欠く化合物がまた提供される。これらは式10fによって表され、
式中、
Z1は、NR1R3であり、Z2は、−R1、−CHR1R2、もしくは−CR1R2R3(式中、R1、R2、およびR3は、式8cについて上記に定義される通りである)から選択されるか、または、Z2は、NR2R4であり、Z1は、−R1、−CHR1R2、もしくは−CR1R2R3(式中、R1、R2、およびR3は、式8dについて上記に定義される通りである)から選択される。a、b、およびcの値は、独立して、1〜10の範囲であり、dおよびeは、独立して、0〜30の範囲である。式Vによって包含される化合物は、まず、アミノ酸誘導体(非アミン含有Z基を含有するように修飾される)をポリアミンにカップリングし、続いてアミン含有Z基を適切に誘導体化することによって調製され得る。そのような反応の化学は、当該技術分野において既知であり、本明細書において開示される。
本発明の好ましい実施形態では、上記に規定のすべての式の、位置R1、R2、R3、およびR4は、独立して、以下から選択され、ここで、g、h、i、j、およびkのそれぞれは、独立して、0〜15から選択され、
式中、Eは「反対に(entgegen)」を指し、Zは「一緒に(zusammen)」を指す。
化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる開示は国際公開第2002/053519号に見ることができ、その開示は、その全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
さらなる類似体および誘導体としては、オリジナルのポリアミンの合成誘導体が挙げられ、該オリジナルのポリアミンの炭素原子はアミド基を含み、該合成誘導体は、天然ポリアミンの細胞取り込みを、該天然ポリアミンの細胞輸送体を特異的に結合することによって阻害する。
特定の実施形態では、該アミド基が位置する炭素は、該オリジナルのポリアミンの2個の内部窒素原子の間にある。
特定の実施形態では、合成誘導体は、該オリジナルのポリアミンのダイマーを含み、該ダイマーのモノマーは、各モノマーのアミド基に固着されたスペーサー側鎖によって、一緒に連結される。
特定の実施形態では、オリジナルのポリアミンは、プトレシン、スペルミジン、およびスペルミンからなる群から選択される。
特定の実施形態では、オリジナルのポリアミンはスペルミンである。
特定の実施形態では、該合成誘導体は以下の一般式11aを有し、
式中、R1およびR1 1は、独立して、水素原子または1〜2個の炭素原子を有するアルキル基を表し、R2、R1 2、またはR3、およびR1 3は、独立して、水素原子またはメチル基を表し、wおよびzは、独立して、2または3の整数を表し、xは、0〜nの整数を表し、nは、3〜6の整数を表し、xおよびyの合計は、nに相当し、Sは、該天然ポリアミン輸送体によって捕捉され得ない水素原子または分子を表す。
特定の実施形態では、該モノマーは以下の一般式11bを有し、
式中、R1およびR1 1は、独立して、水素原子または1〜2個の炭素原子を有するアルキル基を表し、R2、R1 2、またはR3、およびR1 3は、独立して、水素原子またはメチル基を表し、wおよびzは、独立して、2または3の整数を表し、xは、0〜nの整数を表し、nは、3〜6の整数を表し、xおよびyの合計は、nに相当し、スペーサー側鎖は、3〜8個の原子の線状炭化水素含有骨格を含む。
特定の実施形態では、該骨格は、硫黄、酸素、または窒素を含む。
特定の実施形態では、wは2であり、zは2であり、xはoであり、yは3である。
特定の実施形態では、wは2であり、zは2であり、xはoであり、yは3である。
特定の実施形態では、wは2であり、zは2であり、xはoであり、yは4である。
化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる開示は国際公開第98/17632号に見ることができ、その開示は、その全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
さらなる類似体および誘導体としては、以下の式12aによって包含されるものが挙げられ、
式中、nは、0〜8であり得、アミノメチル官能基は、オルト、メタ、またはパラ置換され得、Rは、水素、−CH3、−CH2CH3、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、5−アミノペンチル、6−アミノヘキシル、7−アミノヘプチル、8−アミノオクチル、N−メチル−2−アミノエチル、N−メチル−3−アミノプロピル、N−メチル−4−アミノブチル、N−メチル−5−アミノペンタニル、N−メチル−6−アミノヘキシル、N−メチル−7−アミノヘプチル、N−メチル−8−アミノオクチル、N−エチル−2−アミノエチル、N−エチル−3−ミノプロピル、N−エチル−4−アミノブチル、N−エチル−5−アミノペンチル、N−エチル−6−アミノヘキシル、N−エチル−7−アミノヘプチル、またはN−エチル−8−アミノオクチルであり、Rは、水素または直鎖状もしくは分岐状CI−20飽和もしくは不飽和脂肪族、脂肪族アミン(しかし、RがHであり、nがlであり、アミノメチル官能基がパラ置換されている場合、プロピルアミンではない)、脂環族、単環もしくは多環芳香族、単環または多環アリール置換脂肪族、脂肪族置換単環または多環芳香族、単環または多環ヘテロ環、単環または多環ヘテロ環置換脂肪族、脂肪族置換芳香族、およびこれらのハロゲン化形態からなる群から選択される部分である。
特定の実施形態では、本開示に従って使用され得る類似体および誘導体は、式12bに記載される通りにさらに修飾され得、
式中、nは、0〜8であり得、RおよびR1は、上述の通りであり、R2は、独立して、水素、−CH3、−CH2CH3から選択され得、R3およびR4は、同じであるかまたは異なり得、かつ独立して水素またはフッ素から選択される。
特定の実施形態では、本開示に従って使用され得る化合物は式12cにおいて説明され、
式中、mおよびnは、独立して、0〜7であり得るが、R1がR2に相当し、かつR3がR4に相当するとき、mはnに相当し得ず、oは、2〜4であり得、Rは、独立して、H、−CH3、−CH2CH3から選択され得、R1およびR2は、独立して、水素、−CH3、−CH2CH3から選択され得、R3およびR4は、同じであるかまたは異なり得、かつ独立して水素またはフッ素から選択される。
特定の実施形態では、化合物は式12dを有し、
式中、Rは、水素、−CH3、−CH2CH3であり、mおよびnは、独立して、0〜7であり得、oは、
2〜4であり得、R2は、独立して、水素、−CH3、−CH2CH3から選択され得、R3およびR4は、同じであるかまたは異なり得、かつ独立して水素またはフッ素から選択される。
特定の実施形態では、本発明の化合物は式12eによって表され、
式中、Rは、水素、−CH3、−CH2CH3であり、mは、0〜7であり得、nは、0〜8であり得、oは、2〜4であり得、R2は、独立して、水素、−CH3、−CH2CH3から選択され得、R3およびR4は、同じであるかまたは異なり得、かつ独立して水素またはフッ素から選択される。
化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる開示は国際公開第05/105729号に見ることができ、その開示は、その全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
さらなる類似体および誘導体としては、式13a〜dの化合物が挙げられ、
式中、R1およびR2は、独立して、−C1−C10アルキル、−C3−C10シクロアルキル、−C1−C10アルキレン−シクロアルキル、−C6−C10アリール、および−C1−C10アルキレン−アリールからなる群から選択され、R1およびR2の両方がアルキルであるとき、R1およびR2のうちの少なくとも1つは−C2−C10アルキルであり、R1およびR2の両方は、tert−ブチルではなく、ならびにそのすべての塩、水和物、溶媒和化合物、および立体異性体、ならびに、ラセミ混合物を含む、これらの立体異性体のすべての混合物が挙げられる。一実施形態では、シクロプロピル環上の置換基は、互いに対してトランスである。別の実施形態では、シクロプロピル環上の置換基は、互いに対してシスである。
一実施形態では、R1およびR2の両方がアルキルであるとき、R1およびR2のうちの少なくとも1つは直鎖アルキルである。別の実施形態では、R1およびR2の両方がアルキルであるとき、R1およびR2の両方は直鎖アルキルである。一実施形態では、R1およびR2のうちの1つは−C1−C10アルキルであり、他方は−C2−C10アルキルである。一実施形態では、R1およびR2のうちの1つは−C1−C10、アルキルであり、他方は−C4−C10アルキルである。一実施形態では、R1およびR2の両方は−C4−C10アルキルである。一実施形態では、R1およびR2のうちの1つは−C6−C10アルキルである。一実施形態では、R1およびR2の両方は−C6−C10アルキルである。一実施形態では、R1およびR2のうちの1つは−C1−C10アルキルであり、他方は−C2−C4直鎖アルキルおよび−C4−C10アルキルからなる群から選択される。別の実施形態では、R1およびR2は、独立して、−CH3、−(CH2)3CH3、および−(CH2)sCH3からなる群から選択されるが、ただし、R1およびR2の両方が−CH3ではないことを条件とする。
一実施形態では、R1およびR2のうちの1つは−C1−C10アルキルであり、他方は−C3−C10シクロアルキル、−C1−C10アルキレン−シクロアルキル、−C6−C10アリール、または−C1−C10アルキレン−アリールである。一実施形態では、R1およびR2のうちの1つは−C1−C10アルキルであり、他方は−C3−C10シクロアルキルまたは−C1−C10アルキレン−シクロアルキルである。一実施形態では、R1およびR2のうちの1つは−C1−C10アルキルであり、他方は−C3−C10シクロアルキルである。一実施形態では、R1およびR2のうちの1つは−C1−C10アルキルであり、他方は−C6−C10アリールまたは−C1−C10アルキレン−アリールである。一実施形態では、R1およびR2のうちの1つは−C1−C10アルキルであり、他方は−C6−C10アリールである。別の実施形態では、R1およびR2の両方は−C6−C10アリールである。別の実施形態では、R1およびR2の両方は−C3−C10シクロアルキルである。一実施形態では、アリール基はベンゼンである。一実施形態では、シクロアルキル基はアダマンチルである。一実施形態では、アダマンチル基は1−アダマンチルである。別の実施形態では、アダマンチル基は2−アダマンチルである。別の実施形態では、R1およびR2は、独立して、−CH3、フェニル、およびアダマンチルからなる群から選択されるが、ただし、R1およびR2の両方が−CH3ではないことを条件とする。
化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる開示は国際公開第2008/112251号に見ることができ、その開示は、その全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
さらなる類似体および誘導体としては、式14aの化合物が挙げられ、
R1−X−R2
式中、
R1は、H、または、直鎖状もしくは分岐状C1−10脂肪族、脂環族、単環もしくは多環芳香族、単環式もしくは多環式アリール置換脂肪族、脂肪族置換単環式もしくは多環式芳香族、単環式もしくは多環式ヘテロ環、単環式もしくは多環式ヘテロ環置換脂肪族、および脂肪族置換芳香族からなる群から選択される頭部であり、
R2は、ポリアミンであり、
Xは、CO、NHCO、NHCS、またはSO2である。
上記の組成物の別の実施形態では、R2は以下の式を有し、
NH(CH2)nNH(CH2)pNH(CH2)qNHR3
式中、
n、p、およびqは、独立して変動し、n=p=q=1〜12であり、
R3は、H、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、C1−10アルキニル、脂環族、アリール、アリール置換アルキル、アルケニル、またはアルキニル、アルキル置換、アルケニル置換、またはアルキニル置換アリール、グアニジノ、ヘテロ環、ヘテロ環置換アルキル、アルケニル、またはアルキニル、およびアルキル置換、アルケニル置換、またはアルキニル置換ヘテロ環である。
上記の組成物は、該組成物が式14bを有するように、XとR2との間で連結される、リンカーLおよびさらなる基Yをさらに含み得、
R1−X−L−Y−R2
式中、
Lは、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、C1−10アルキニル、脂環族、またはヘテロ環であり、
Xは、CO、SO2、NHCO、またはNHCSであり、
Yは、CONH、SO2NH、NHCO、NHCONH、NHCSNH、NHSO2、SO2、O、またはSである。
前述の組成物において、R1は以下の式を有し得、
式中、
R4、R5、R6、R7、およびR8は、独立して、H、OH、ハロゲン、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、N((CH)nCH3)2、CN、(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3、またはCO−O(CH)nCH3であり、nは0〜10である。
あるいは、R1は以下の式を有し、
式中、
R4およびR5は、独立して、H、OH、ハロゲン、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、
N((CH)nCH3)2、CN、(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3、またはCO−O(CH)nCH3であり、nは0〜10である。
さらに別の実施形態では、R1は以下の式を有し、
式中、
rおよびsは、独立して変動し、r=s=0〜6であり、
R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、独立して、H、OH、ハロゲン、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、N((CH)nCH3)2、CN、(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3、またはCO−O(CH)nCH3であり、nは0〜10であり、
Qは、CONH、SO2NH、NHCO、NHCONH、NHCSNH、NHSO2、SO2、O、またはSである。
さらに、R1は以下の式を有し得、
式中、
rおよびsは、独立して変動し、かつ0〜6であり、
R4、R5、R6、およびR7は、独立して、H、OH、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、N((CH)nCH3)2、CN、(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3、またはCO−O(CH)nCH3であり、nは0〜10であり、
Qは、CONH、SO2NH、NHCO、NHCONH、NHCSNH、NHSO2、SO2、O、またはSである。
前述の組成物において、R1は、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ジベンゾフラン、アクリジン、2,1,3−ベンゾチオジアゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、インドール、カルバゾール、フルオレン、1,3−ベンゾジアジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、アダマンタン、カンフル、ピペリジン、アルキルピペラジン、モルフォリン、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、チオフェン、フラン、ピロール、アルキル−1,2−ジアゾール、アルキルイミダゾール、アルキル−1H−1,2,3−トリアゾール、アルキル−1H−1,2,3,4−テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、1,3,4−チアジアゾール、ピリジニル、ピリミジン、1,2−ジアジン、1,4−ジアジン、および1,3,5−トリアジン、4−ジメチルアミノアゾベンゼン、3−フェニル−5−メチルイソオキサゾール、3−(2−クロロフェニル)−5−メチルイソオキサゾール、2−(4−クロロフェニ)−6−メチル−7−クロロキノリン、6−クロロイミダゾ[2,1−β]チアゾール、α−メチルケイ皮酸、および2−[1,2−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾジオキセピニル]チアゾールからなる群から選択され得る。
R1は、D−またはL−アミノ酸であってもよい。
R1が以下からなる群から選択される式を有する、上記の組成物がまた提供され、
式中、
R12およびR13は、独立して、H、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ジベンゾフラン、アクリジン、2,1,3−ベンゾチオジアゾール、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、インドール、カルバゾール、フルオレン、1,3−ベンゾジアジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、アダマンタン、カンフル、ピピリジン、アルキルピペラジン、モルフォリン、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、チオフェン、フラン、ピロール、アルキル−I,2−ジアゾール、アルキルイミダゾール、アルキル−1H−1,2,3−トリアゾール、アルキル−1H−1,2,3,4−テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、1,3,4−チアジアゾール、ピリジニル、ピリミジン、1,2−ジアジン、1,4−ジアジン、および1,3,5−トリアジン、4−ジメチルアミノアゾベンゼン、3−フェニル−5−メチルイソオキサゾール、3−(2−クロロフェニル)−5−メチルイソオキサゾール、2−(4−クロロフェニ)−6−メチル−7−クロロキノリン、6−クロロイミダゾ[2、1−β]チアゾール、α−メチルケイ皮酸、または2−[1,2−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾジオキセピニル]チアゾールであり、
さらに、
式中、式(A)、(B)、および(D)におけるR12、R13、またはその両方の環は、OH、ハロゲン、NO2、NH2、NH(CH)nCH3、N((CH)nCH3)2、CN、(CH)nCH3、O(CH)nCH3、S(CH2)nCH3、NCO(CH2)nCH3、O(CF2)nCF3、またはCO−O(CH)nCH3のうちの1つ以上で任意に置換され、nは0〜10であり、
R14およびR15、そして式(C)においてR13は、独立して、(CH2)n、(CH2)nCH=CH、(CH2)n(CH=CH)mCO、または(CH2)nCOであり、nは0〜5であり、m=1〜3であり、
Y1、およびZ1は、独立して、CONH、SO2NH、NHCO、NHCONH、NHCSNH、NHSO2、SO2−NHSO2、SO2、O、S、またはCOOであるか、
または、
R1が式(A)または(B)のものであるとき、Y1は、R12のCもしくはN原子と、R13のCもしくはN原子との間の結合を表し、Z1は、R13のCもしくはN原子と、R14のCもしくはN原子との間の結合を表すか、または
R1が式(C)のものであるとき、またはY1は、R13のCとCもしくはN原子との間の結合を表し、Z1は、R14のCとCもしくはN原子との間の結合を表すか、または
R1が式(D)のものであるとき、Y1は、R12のCもしくはN原子と、R14のCもしくはN原子との間の結合を表し、Z1は、R13のCもしくはN原子と、R15のCもしくはN原子との間の結合を表す。
上記の組成物において、R2は、以下の式を好ましくは有し、
NHCH(Z1)(CH2)nNH(CH2)pNH(CH2)qCH(Zl)NHR3
式中、
n、p、およびqは、独立して変動し、n=p=q=1〜12であり、
R3は、H、C1−10アルキル、C1−10アルケニル、C1−10アルキニル、脂環族、アリール、アリール置換アルキル、アルケニル、またはアルキニル、アルキル置換、アルケニル置換、またはアルキニル置換アリール、グアニジンまたはヘテロ環であり、
Zは、CH3、CH2CH3、またはシクロプロピルである。
別の実施形態では、R2は以下の式を有し、
式中、
xは1〜4であり、yは1〜3であり、
R10およびR11は、独立して、H、(CH2)nNHR12、または(CH2)kNH(CH2)l NHR12であり、
n=k=l=1〜10であり、R12は、HまたはC(N=H)NH2である。
上記の組成物において、R2は、好ましくは、N1−アセチルスペルミン、N1−アセチルスペルミジン、N8−アセチルスペルミジン、N′−グアニジノスペルミン、カダベリン、アミノプロピルカダベリン、ホモスペルミジン、カルジン(ホルスペルミジン)、7−ヒドロキシスペルミジン、テルミン(ノルスペルミン)、テルモスペルミン、カナバルミン、アミノプロピルホモスペルミジン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)カダベリン、アミノペンチルノルスペルミジン、N4−アミノプロピルノルスペルミジン、N4−アミノプロピルスペルミジン、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン、N4−ビス(アミノプロピル)ノルスペルミジン、テルモペンタミン、N4−ビス(アミノプロピル)スペルミジン、カルドヘキサミン、ホモテルモヘキサミン、ホモカルドヘキサミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ピペラジン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)−1,3−ピペラジン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)−l,3−プロパンジアミン、N,N′−ビス(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン、およびトリス(アミノエチル)アミンからなる群から選択される。
化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる開示は国際公開第99/03823号に見ることができ、その開示は、その全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
さらなる化合物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
さらなる開示は、Ackermann,JM;Pegg,AE;McCloskey,DE;Progress in Cell Cycle Research,2003,Vol.5,461−468;Ekelund,S;Nygren,P;Larsson,R;Biochemical Pharmacology,2001,61,1183−1193;Huang,Y;Pledgie,A;Casero Jr,RA;Davidson,NE;Anti−Cancer Drugs,2005,16,229−241;およびMarton,JL;Annu.Rev.Pharmacol Toxicol.1995,35,55−91に見ることができ、これらの開示は、これらの全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
上記に表されたポリアミン類似体は、塩および遊離塩基の両方として調製され得る。特定の実施形態では、塩は、ヒドロクロライド塩である。特定の実施形態では、配位イオン対(例えば、H+Cl−)の数は、ポリアミン中のアミノ基の数に比例する。そのような配位は、該アミノ基で典型的に生じ、例えば、NH3 +Cl−基を形成する。しかしながら、すべてのアミノ基が配位され得るとは限らない。例えば、アミノ基がカルボニルまたはスルホニルなどの電子求引基に隣接している場合、それはイオンを配位するために十分な電子密度を保持しない場合がある。さらなる実施形態では、配位イオンの数は、ポリアミン中の一級および/または二級アミノ基の数に比例する。
本明細書に記載の方法および組成物において使用され得るさらなる化合物は、原核生物および真核細胞中に見られる自然発生のポリアミン、ポリアミン類似体、ポリアミン生合成阻害剤、ならびにポリアミン輸送阻害剤を含む。
原核生物および真核細胞中に見られる自然発生のポリアミンとしては、プトレシン、スペルミジン、スペルミン、ジアミノプロパン、カダベリン、ノルスペルミジン、アミノプロピルカダベリン、ホモスペルミン、ノルスペルミン、テルモスペルミン、アミノペンチルノルスペルミジン、ビス(アミノプロピル)カダベリン、アミノプロピルホモスペルミン、30カナバルミン、ホモスペルミン、カルドペンタミン、アミノプロピルカナバリン、ビス(アミノプロピル)ホモスペルミジン、ビス(アミノブチル)ノルスペルミジン、アミノブチルカナバルミン、アミノプロピルホモスペルミン、ホモペンタミン、N5−アミノブチルホモスペルミン、カルドヘキサミン、テルモヘキサミン、ホモテルモヘキサミン、アグマチン、およびN6−メチルアグマチンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Morgan D.M.L.,1999,Molecular Biotechnology 11:229を参照されたい。
ポリアミン類似体としては、BE−4444[1,19−ビス(エチルアミノ)−5,10,15−トリアザノナデカン]、BE−3−3−3[Ν1,Ν11−ジエチルノルスペルミン、DENSPM、1,11−ビス(エチルアミノ)−4,8−ジアザウンデカン、テルミン、Warner−Parke−Davis]、BE−3−3[N1,N7−ビス(エチル)ノルスペルミジン]、BE−3−4[N1,N8−ビス(エチル)スペルミジン]、BE44[N1,N9−ビス(エチル)ホモスペルミジン]、BE−343[N1,N12−ビス(エチル)スペルミン、ジエチルスペルミン−N1−N12、DESPM]、BE−373[Ν,Ν′−ビス(3−エチルアミノ)プロピル)−1,7−ヘプタンジアミン、Merrell−Dow]、BE−4−4−4[Nl,N14−ビス(エチル)ホモスペルミン、ジエチルホモスペルミン−N1−N1−1]、BE−3−4−4−3[1,17−ビス(エチルアミノ)−4,9,14トリアザヘプタデカン]、BE−4−3−3−4[1,17−ビス(エチルアミノ)−5,9,13−トリアザヘプタデカン]、および1,12−Mez−SPM[1,12−ジメチルスペルミン]が挙げられるが、これらに限定されない。(国際公開第2007/040535号)。
ポリアミン合成阻害剤としては、Zollner H.(1993)Handbook of Enzyme Inhibitors,2nd Ed.Weinheim:Basel(Switzerland)に記載の、DFMO、アセチレンプトレシン、1−アミノオキシ−3−アミノプロパン、抗酵素、2−ブチルプトレシン、カダベリン、L−カナリン、5′−デオキシ−5′−[N−メチル−N−[3(アミノオキシ)エチル]アミノ]アデノシン、5′−デオキシ−5′−[N−メチル−N−[3−(ヒドラジノプロピル)アミノ]アデノシン、ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、2−ジフルオロメチルプトレシン、ジフルオロフェニルエチル(4−アミノプロピルアミジノヒドラゾン)、2,3−ジメチルプトレシン、N−ジメチルプトレシン、2−エチルプトレシン、(+または−)−αフルオロメチルオルニチン、2−フルオロメチルプトレシン、2−ヘキシルプトレシン、2−ヒドラジノオルニチン、イブプロフェン、D−メチルアセチレンプトレシン、メチルグリオキサールビス(3アミノプロピルアミニノヒドラゾン)、2−メチルオルニチン、2−メチルプトレシン、2−モノフルオロメチル−トランス−デヒドロオルニチン、2−モノフルオロメチルデヒドロプトレシン、モノフルオロメチルオミチン、2−モノフルオロメチルプトレシン、ネオマイシン、D−オミチン、2−ペンチルプトレシン、p−フェニレンジアミン、フォスフォペプチドMG25000、フォスフォスレオニン、フォスフォチロシン、2−プロピルプトレシン、プトレシン、アロ−S−アデノシル−L−メチオニン、S−エチルチオアデノシン、メチルチオアデノシン、および5′−メチル−チオアデノシンなどの、オルニチンデカルボキシラーゼの阻害剤、Zollner H.(1993)Handbook of Enzyme Inhibitors,2nd Edに記載の、SAM486A(4−アミノインダノン−1(2′アミジノ)ヒドラゾンジヒドロクロライド一水和物)、S−アデノシル−1,8−ジアミノ−3チオオクタン、S−(5′−アデノシル)メチルチオ−2−アミノオキシエタン、S−アデノシル−3−メチルチオ−i−プロピルアミン、5′−{[(Z)−4−アミノ−2−ブテニル]メチルアミノ}−5′−デオキシアデノシン、5′−アミノ−5′デオキシアデノシン、5′−[(アミノイミノメチル)アミノ]−5′]デオキシアデノシン硫酸二水素、1−アミノオキシ−3−アミノプロパン、[2−(アミノオキシ)エチル](5′−デオキシアデノシン−5′イル)(メチル)スルホニウム、5′−[(3−アミノプロピル]−アミノ)−5′−デオキシアデノシン、5′−[(3アミノプロピル]−メチルアミノ)−5′−デオキシアデノシン、9−[6(RS)−アミノ−5,6,7−トリデオキシ−β−D−リボ−オクトフラノシル]−9H−プリン−6−アミン、ボロヒドリド、n−ブチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、9−[6(RS)−c−カルボキサミド−5,6,7−トリデオキシ−β−D−リボ−オクトフラノシル]−9H−プリン−6−アミン、シアン化物、シアノボロヒドリド、S−(5′デオキシ−5′アデノシル)メチオニルエチルヒドロキシルアミン、S−(5′デオキシ−5′アデノシル)メチオニルチオヒドロキシルアミン、5′−デオキシ−5′−[N−メチル−N−[2(アミノオキシ)エチル]アミノ]アデノシン、9−[6(S)−ジアミノ−5,6,7,8,9−ペンタデオキシ−β−D−リボ−ナノフラノシル]−9H−プリン−6−アミン、ジエチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、ジフルオロフィニルエチル(4−アミノプロピルアミジノヒドラゾン)、ジメチル(5′−アデノシルjスルホニウム、ジメチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、エチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)、ヒドロキシルアミン、4−ヒドロキシペネナル、MDL 73811、5′[[3−メチルアミノ)プロピル]アミノ]−5′−デオキシアデノシン(1,1′−(メチルエタンジイリジン)ジニトロ)ビス(3−アミノグアニジドン)、メチルグリオキサールビス(3−アミノプロピルアミジノヒドラゾン)、メチルグリオキサールビス(シクロヘキシルアミジノヒドラゾン)、ペンタンジアルデヒドビス(グアニルヒドラゾン)、フェニルヒドラジン、プロパンジアルデヒドビス(グアニルヒドラゾン)、セミカルバジド、ナトリウムボロヒドリド、ナトリウムシアノボロヒドリド、およびスペルミンなどの、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼの阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる開示は国際公開第2002/053519号に見ることができ、その開示は、その全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
さらなるスペルミン類似体としては、N−(2−メルカプトエチル)スペルミン−5−カルボキサミド(MESC)、それからの二硫化物、すなわち、2,2 1−ジチオビス(N−エチル−スペルミン−5−カルボキサミド)(DESC)、およびN−[2,2,1−ジチオ(エチル1,1−アミノエチル)]スペルミン−5−カルボキサミド(DEASC)が挙げられる。(国際公開第98/17623号)
ポリアミン生合成経路中の主要酵素の小分子阻害剤または調節因子であるポリアミンエフェクターとしては、ジフルオロメチルオミチン(DFMO)、α−モノフルオロメチルオミチン(MFMO)、およびメチルアセチレンプトレシン(MAP)などのODC阻害剤、S−(5−デオキシ−5アデノキシル)メチルチオエチルヒドロキシルアミン(AMA)、5−デオキシ−5−[(2アミノオキシエチル)メチルアミノ]アデノシン(MAOEA)、およびメチルグリオキサールビス(グアニルヒドラゾン)(MGBG)などのAdometDC阻害剤、S−アデノシル1,8−ジアミノ−3−チオオクタン(AdoDATO)、シクロヘキシルアミン、およびブチルアミンなどのスペルミジン合成酵素阻害剤、S−アデノシル−1,12−ジアミノ−3−チオ−9−アザドデカン(AdoDATAD)、およびN−(n−ブチル)−1,3−ジアミノプロパン(BDAP)などのスペルミン合成酵素阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、ポリアミンエフェクターは、分子に対して細胞もしくはDNA保護効果を付与するか、またはポリアミン生合成もしくは異化経路を調節する官能基を保有する、ポリアミンもしくはアルギニン類似体である。この性質の化合物としては、アミホスチン、NG−ヒドロキシ−アルギニン(NORA)、N1,N11−ビス(エチル)ノルスペルミン(BE−3−3−3)、N12−ビス(エチル)スペルミン(BE−3−4−3)、N,N−ビス[3−(エチルアミノ)−プロピル]−1,7ヘプタンジアミン(BE−3−7−3)、BE−3−3−3、BE−3−4−3、BE−3−7−3,N1−エチル−N11−プロパルギル4,8−ジアザウンデカン、ならびに類似体SL−11141およびSL−II050(米国特許第5,889,061号、Valasinasら、2001、上記参照、国際公開第00/66587号、および国際公開第02/38105号のうちの1つ以上に規定の構造体)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる開示は国際公開第03/013245号に見ることができ、その開示は、その全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
本明細書において使用される場合、以下の用語は指示される意味を有する。
用語「サイトカイン」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、局所免疫制御効果を有する免疫系の細胞によって分泌されるシグナル伝達分子を意味する。サイトカインは、制限なく、IL−1、IL1−Ra、IL−2、IL−6、IL8、IFNγ、IP−10、IL−17、MCP−1、MMP−9、ΜΙΡ−1β、TNF−α、TGF、CRP、OPN、およびRANTESを含み得る。
値の範囲が開示され、「n1...〜n2(from n1...to n2)」または「n1...〜n2(between n1...and n2)」という表記法(ここで、n1およびn2は数である)が使用されるとき、別段の定めがない限り、この表記法は、その数自体およびその間の範囲を含むことが意図される。この範囲は、終値の間で、かつそれを含むように、整数または連続的であり得る。例として、炭素は整数単位を取るため、「2〜6個の炭素」という範囲は、2個、3個、4個、5個、および6個の炭素を含むことが意図される。例として、1μΜ、3μΜ、およびその間のすべてを有効数字のいかなる数字(例えば、1.255μΜ、2.1μΜ、2.9999μΜなど)に含むことが意図される「1〜3μΜ(マイクロモル)」という範囲と比較されたい。
用語「約」は、本明細書において使用される場合、それが修飾する数値を条件付けることが意図され、そのような値が誤差の範囲内で可変性であることを意味する。図表またはデータの表に提示される平均値に対する標準偏差などの、特定の誤差の範囲が列挙されないとき、用語「約」は、有効数字を考慮に入れ、列挙された値を包含するその範囲、および四捨五入することによってその数字に含まれる範囲もまた意味することを理解されたい。
用語「実質的に」は、本明細書において使用される場合、いかなる対立的または減損的特徴も無意味なレベルに到達するように、優勢的であること、または最優先の特徴を有することを意味することが意図される。例として、「実質的に」水を含まない組成物は、微量な水を全く絶対的に含まないとは限らないが、いくらの残りの水も組成物に著しく影響しないように、十分に無水である。さらなる例として、「実質的に用量を制限する副作用」は、治療効果に必要とされるものを下回ったレベルに用量を制限した副作用であり得る。
用語「疾患」は、本明細書において使用される場合、正常な機能を損ない、目立った兆候および症状によって典型的に顕在化され、かつヒトもしくは動物が低減された生活の継続期間または質を有する原因となる、ヒトもしくは動物の身体、またはその部分のうちの1つの異常病態を、すべてが反映するという点で、用語「障害」、「症候群」、および「病態」(医学的病態のような)と一般的に同義であり、かつそれらと互換的に使用されることが意図される。
「増殖性障害」は、制御不全の細胞増殖によって特徴付けられる、いかなる障害でもあり得る。例としては、癌、乾癬、およびアトピー性皮膚炎が挙げられる。
本明細書において使用される場合、「痛覚過敏」は、疼痛に対する高まった感受性を意味し、疼痛の一種または疼痛関連挙動の基準と見なされ得る。
本明細書において使用される場合、「進行型」多発性硬化症は、一定期間にわたって、悪化の一途をたどる疾患状態に向かって進行する病状を指す。進行型MSとしては、例えば、一次性進行型MS、二次性進行型MS、および進行型再発性MSが挙げられる。これらの亜型は、疾患の突発的な再発を特色とする場合もしない場合もあるが、時間とともに、増加した脱髄または疼痛および低減された動作能力などの増加した症状に、それぞれ関連する。
本明細書において使用される場合、患者の「治療」への言及は、発症予防を含むことが意図される。治療は本質的に先制的でもあり得、すなわち、それは疾患の予防を含み得る。疾患の予防は、例えば、病原体の感染の予防の場合のように、疾患からの完全な保護を伴い得るか、または疾患進行の予防を伴い得る。例えば、疾患の予防は、あるレベルの疾患に関連するいかなる効果の完全な除外を意味しない場合があるが、代わりに、臨床的に有意または検出可能なレベルへの疾患の症状の予防を意味し得る。疾患の予防はまた、疾患の後期への疾患の進行の予防を意味し得る。
用語「併用療法」は、本開示に記載の治療的病態または障害を治療するための、2つ以上の治療剤の投与を意味する。そのような投与は、固定比率の活性成分を有する単一のカプセル剤、または各活性成分に対して複数の別個のカプセル剤などの、実質的に同時の方法における、これらの治療剤の同時投与を含む。さらに、そのような投与はまた、経時的方法における各種類の治療剤の使用を含む。いずれの場合でも、治療レジメンは、本明細書に記載の病態または障害を治療するに当たって、薬物の組み合わせの有益な効果を提供する。
用語「患者」は、用語「対象」と一般的に同義であり、すべての哺乳動物およびヒトを含む、本明細書において開示される方法に従って治療可能である疾患、障害、または病態が異なる動物を意味する。患者の例としては、ヒト、例えばウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウサギなどの家畜、ならびに、例えばイヌ、ネコ、ウサギ、およびウマなどの伴侶動物が挙げられる。好ましくは、患者はヒトである。
「有効な量」または「治療上有効な量」は、治療されている対象における所望の効果を達成するために十分な化合物(例えば、MGBG、ポリアミン類似体、ポリアミン生合成阻害剤、または任意の薬剤)の量である。例えば、これは、疾患、障害、病態、または有害状態(例えば疼痛または炎症など)を治療するため、ないしは、疾患、障害、病態、または有害状態の症状、マーカー、または機構を測定可能な程度に変化または軽減させるために必要な量であり得る。ほんの一例として、疼痛の治療のための有効な量は、当該技術分野において既知の方法によって測定されたときに、対象における疼痛もしくは1つ以上の疼痛関連症状を予防するか、その発症を遅延させるか、またはそれを低減するために十分な量である。いくつかの疾患の治療に対する応答を査定する同様の方法が、当該技術分野において周知である。本発明の化合物の有効な量は、投与経路および投薬形態に依存して変動し得る。さらに、具体的な薬用量は、対象の疾患の病態、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、および食事、投薬間隔、投与経路、排泄率、ならびに薬剤の組み合わせに依存して調節され得る。
用語「低用量」は、薬物の低用量製剤または「低用量」の薬物を特に用いる治療の方法に関連して、少なくとも1つの徴候に対して治療量以下の用量、または少なくとも1つの徴候に対して典型的に与えられる用量の画分である用量を意味する。増殖性障害の治療のための薬物を例に取ると、例えば、多発性硬化症の治療のための低用量製剤は、侵襲性の癌の治療のための用量の一画分であり得る。このように、1つの疾患のための用量は、別の疾患に対して治療量以下の量であり得る。あるいは、異なる個人または異なる用量の集団において治療的であり、ある範囲の用量で入手可能である薬物に対して、低用量は、単純に、認識される治療効果の下端に向かう用量であり得る。慢性疾患は、低用量の製剤および方法によって治療可能な実施形態を表す。さらに、治療量以下の量の薬物は、1つ以上の他の薬物(治療的な量または治療量以下の量のいずれかであるそれら自体)と組み合わせて使用され、増強された、すなわち、単独で与えられた薬物の合計の期待される効果よりも効果的である、併用製剤または治療をもたらすことができる。1つの徴候の治療のための低用量は、異なる徴候のための治療的用量の、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、15分の1、20分の1、30分の1、40分の1、50分の1であり得、100分の1であり得る。
語句「治療上有効な」は、疾患もしくは障害の治療または臨床エンドポイントの達成に使用される活性成分の量を条件付けることが意図される。
用語「治療上許容可能な」は、過度の毒性、刺激作用、およびアレルギー応答を伴わない対象の組織との接触における使用に好適であり、妥当な利益/危険性の比率に釣り合い、かつその意図される用途のために有効である化合物(または塩、プロドラッグ、互変異性体、双性イオン形態など)に言及する。
用語「薬物」は、本明細書において「化合物」および「薬剤」と互換的に使用される。
化合物が本明細書において「T細胞制御因子ではない」として言及されるとき、T細胞に対するいかなる直接的活性も、別の白血球亜型に起因する活性に対して極僅かおよび/または二次的であることが意味される。特定の実施形態では、「T細胞制御因子ではない」細胞は、骨髄細胞系譜の細胞である。特定の実施形態では、そのような細胞は、樹状細胞、単球、またはマクロファージである。
語句「少なくとも1つの副作用の低減された発生率」は、本明細書において使用される場合、有意である程度に低減されることを意味する。有意性は、統計学的方法によって(すなわち、重複しない標準偏差または適切な信頼区間によって)実証され得る。副作用の低減された発生率の有意性はまた、例えば、用量を制限する毒性を伴わず(すべての患者または患者の亜集団において)治療的用量を達成または維持する能力、疾患の再発もしくは進行を予防または遅延させる能力、または患者の好みなどの、定性的尺度への参照によって実証され得る。
語句「脱髄疾患の治療のために認可された」は、本明細書において使用される場合、脱髄疾患の治療のために、薬物規制機関(米国、欧州もしくはいかなるEPO国、日本、カナダ、またはオーストラリアにおける)によって認可されたことを意味する。本明細書において開示される任意の実施形態では、脱髄疾患は、具体的には、多発性硬化症であり得る。
用語「SAMDC阻害剤」は、酵素S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼの阻害剤を意味する。MGBGは、そのような1つのSAMDC阻害剤であると考えられ、他のポリアミン、ポリアミン類似体、およびポリアミン生合成阻害剤もSAMDC阻害剤であり得る。
本明細書において使用される場合、「ポリアミン」は、脂肪族、アミノ酸に生合成的に由来する直鎖アミンの群のいずれかであり、ポリアミンはMarton et al.(1995)Ann.Rev.Pharm.Toxicol.35:55−91において概説されている。「ポリアミン」は、自然発生のポリアミン、または真核細胞中で自然に生成されるポリアミンを一般的に意味する。ポリアミンの例としては、プトレシン、スペルミジン、スペルミン、およびカダベリンが挙げられる。
本明細書において使用される場合、「ポリアミン類似体」は、スペルミンおよび/またはスペルミジンならびにそれらの前駆体、ジアミンプトレシンなどの自然発生のポリアミンに構造的に似るが同一ではない、有機カチオンである。ポリアミン類似体は、分岐状もしくは非分岐状であるか、または環式部分を組み込み得る。ポリアミンは、一級、二級、三級、または四級アミノ基を含み得る。一実施形態では、ポリアミン類似体のすべての窒素原子は、独立して、二級、三級、または四級アミノ基であるが、それらに限定されるものではない。ポリアミン類似体は、アミン基の代わりに、イミン基、アミジン基、およびグアニジン基を含み得る。用語「ポリアミン類似体」は、ポリアミン類似体の立体異性体、塩、および保護化誘導体を含む。
「立体異性体」は、鏡像異性体およびジアステレオマーを含む、化合物の任意の光学異性体である。別段の指示がない限り、化合物の構造式は、すべての可能性のある立体異性体を包含することが意図される。
「塩」または「薬学的に許容される塩」は、通常は水中でイオン化する、アニオンおよびカチオンからなる、元素または基を用いる1つ以上の水素原子の置換によって形成される化合物であり、塩は、例えば、塩基による酸の中和によって形成される。塩の例としては、ハライド、例えば、クロライド、ブロミド、またはヨーダイド、ニトレート、サルフェート、ビサルフェート、フォスフェート、酸フォスフェート、イソニコチネート、アセテート、ラクテート、サリシレート、シトレート、タートレート、パントテネート、ビタートレート、アスコルベート、スクシネート、マレート、ゲンチシネート、フマレート、グルコネート、グルカロネート、サッカレート、ホルメート、ベンゾエート、グルタメート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、およびパモエート(すなわち、1,1′−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩が挙げられるが、これらに限定されない。
「保護化誘導体」は、保護基で保護される化合物を指すように使用される。「保護基」は、1)所望の官能基と、良好な収率(好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%)で選択的に反応し、保護が所望される予想される反応物に対して安定している保護化基質をもたらし、2)所望の官能基をもたらすように保護化基質から選択的に除去可能であり、かつ3)良好な収率(好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%)で、そのような予想される反応物中に存在するかまたはその中で産生される他の官能基(複数可)と適合性である試薬によって除去可能であるという特徴を示す化学基を指す。好適な保護基の例は、Greene et al.(1991)Protective Groups in Organic Synthesis,2nd Ed.(John Wiley & Sons,Inc.,New York)に見ることができる。アミの官能基のための例示的な保護基としては、メシチレンスルホニル(MesSO2)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、t−ブチルジメチルシリル(TBDIMS)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、または6−ニトロベラトリルオキシカルボニル(Nvoc)などの好適な感光性保護基が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アシル」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、カルボニルに付着する原子が炭素である、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロ環、または任意の他の部分に付着したカルボニルを指す。「アセチル」基は、−C(O)CH3基を指す。「アルキルカルボニル」または「アルカノイル」基は、カルボニル基を介して親分子部分に付着したアルキル基を指す。そのような基の例としては、メチルカルボニルおよびエチルカルボニルが挙げられる。アシル基の例としては、ホルミル、アルカノイル、およびアロイルが挙げられる。
用語「アルケニル」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、1つ以上の二重結合を有し、かつ2〜20個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素ラジカルを指す。特定の実施形態では、該アルケニルは、2〜6個の炭素原子を含む。用語「アルケニレン」は、エテニレン[(−CH=CH−),(−C::C−)]などの、2つ以上の位置で付着した炭素−炭素二重結合系を指す。好適なアルケニルラジカルの例としては、エテニル、プロペニル、2−メチルプロペニル、1,4−ブタジエニルなどが挙げられる。別段の定めがない限り、用語「アルケニル」は「アルケニレン」基を含み得る。
用語「アルコキシ」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、アルキルエーテルラジカルを指し、用語「アルキル」は、以下に定義される通りである。好適なアルキルエーテルラジカルの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
用語「アルキル」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、1〜20個の炭素原子を含有する直鎖状もしくは分岐鎖状アルキルラジカルを指す。特定の実施形態では、該アルキルは、1〜10個の炭素原子を含む。さらなる実施形態では、該アルキルは、1〜6個の炭素原子を含む。アルキル基は、本明細書において定義される通り、任意に置換され得る。アルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソ−アミル、ヘキシル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。用語「アルキレン」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、メチレン(−CH2−)などの、2つ以上の位置で付着した直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素に由来する、飽和脂肪族基を指す。別段の定めがない限り、用語「アルキル」は「アルキレン」基を含み得る。
用語「アルキルアミノ」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、アミノ基を介して親分子部分に付着したアルキル基を指す。好適なアルキルアミノ基は、モノもしくはジアルキル化され、例えば、N−メチルアミノ、N−エチルアミノ、Ν,Ν−ジメチルアミノ、N,N−エチルメチルアミノなどの基を形成してよい。
用語「アルキニル」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、1つ以上の三重結合を有し、かつ2〜20個の炭素原子を含有する、直鎖状もしくは分岐鎖状の炭化水素ラジカルを指す。特定の実施形態では、該アルキニルは、2〜6個の炭素原子を含む。さらなる実施形態では、該アルキニルは、2〜4個の炭素原子を含む。用語「アルキニレン」は、エチニレン(−C:::C−,−C≡C−)などの、2つの位置で付着した炭素−炭素三重結合を指す。アルキニルラジカルの例としては、エチニル、プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン−1−イル、ブチン−2−イル、ペンチン−1−イル、3−メチルブチン−1−イル、ヘキシン−2−イルなどが挙げられる。別段の定めがない限り、用語「アルキニル」は「アルキニレン」基を含み得る。
用語「アミド」および「カルバモイル」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、以下に記載される通り、カルボニル基を介して親分子部分に付着するアミノ基を指し、逆もまた同様である。用語「C−アミド」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、本明細書において定義されるか、または具体的に列挙される指定の「R」基によって定義されるRおよびR′を有する、−C(O)N(RR′)基を指す。用語「N−アミド」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、本明細書において定義されるか、または具体的に列挙される指定の「R」基によって定義されるRおよびR′を有する、RC(O)N(R′)−基を指す。用語「アシルアミノ」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、アミノ基を介して親部分に付着したアシル基を包含する。「アシルアミノ」基の一例は、アセチルアミノ(CH3C(O)NH−)である。
用語「アミノ」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、−NRRを指し、ここで、RおよびRは、独立して、水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、これらのうちのいずれも、それ自体が任意に置換され得る。さらに、RおよびR′は、組み合わさってヘテロシクロアルキルを形成することができ、これらのうちのいずれかは、任意に置換され得る。
用語「アリール」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、1つ、2つ、または3つの環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、そのような多環式の環系は一緒に縮合される。用語「アリール」は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナントリルなどの芳香族基を包含する。
用語「アリールアルキル」または「アラルキル」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、アルキル基を介して親分子部分に付着したアリール基を指す。用語「カルボキシル」または「カルボキシ」は、本明細書において使用される場合、−C(O)OHまたはカルボン酸塩におけるような対応する「カルボキシレート」アニオンを指す。「O−カルボキシ」基は、RC(O)O−基を意味し、ここで、Rは本明細書において定義される通りである。「C−カルボキシ」基は、−C(O)OR基を意味し、ここで、Rは本明細書において定義される通りである。
用語「シアノ」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、−CNを指す。
用語「シクロアルキル」、あるいは「炭素環」または「脂環族」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、任意に、本明細書において定義される通り任意に置換される、ベンゾ縮合された環系であり得る、飽和もしくは部分的に飽和した単環式、二環式、もしくは三環式のアルキル基を指し、ここで、各環式部分は、3〜12個の炭素原子の環員を含有する。特定の実施形態では、該シクロアルキルは、5〜7個の炭素原子を含む。そのようなシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナプチル、インダニル、オクタヒドロナフチル、2,3−ジヒドロ−lH−インデニル、アダマンチルなどが挙げられる。「二環式」および「三環式」は、本明細書において使用される場合、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンなどの縮合環系、ならびに多環式(多中心性)の飽和もしくは部分的に不飽和の種類の両方を含むことが意図される。後者の種類の異性体は、ビシクロ[1,1,1]ペンタン、カンフル、アダマンタン、およびビシクロ[3,2,1]オクタンによって、一般に例示される。
用語「ハロ」、または「ハロゲン」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
用語「ヘテロアルキル」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、完全に飽和しているか、または1〜3の不飽和度を含み、規定数の炭素原子ならびにO、N、およびSからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子からなる、安定した直鎖もしくは分岐鎖、または環式炭化水素ラジカル、またはこれらの組み合わせを指し、ここで、窒素および硫黄原子は任意に酸化され得、窒素ヘテロ原子は任意に四級化され得る。O、N、およびSのヘテロ原子(複数可)は、ヘテロアルキル基のいかなる内部位置に配置されてもよい。例えば、−CH2−NH−OCH3のように、最大2個のヘテロ原子が連続し得る。
用語「ヘテロアリール」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、縮合環のうちの少なくとも1つが、O、S、およびNからなる群から選択される少なくとも1個の原子を含有する芳香族である、3〜15員の不飽和ヘテロ単環式環、または縮合された単環式、二環式、もしくは三環式の環系を指す。特定の実施形態では、該ヘテロアリールは5〜7個の炭素原子を含む。この用語はまた、縮合多環式基を包含し、ここで、ヘテロ環式環はアリール環と縮合され、ヘテロアリール環は他のヘテロアリール環と縮合され、ヘテロアリール環はヘテロシクロアルキル環と縮合されるか、またはヘテロアリール環はシクロアルキル環と縮合される。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、ピラニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾロピリダジニル、テトラヒドロイソキノリニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニルなどが挙げられる。例示的な三環式ヘテロ環基としては、カルバゾリル、ベンジドリル、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが挙げられる。
用語「ヘテロシクロアルキル」および互換的に「ヘテロ環」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、それぞれ、少なくとも1個のヘテロ原子を環員として含有する、飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和の単環式、二環式、もしくは三環式ヘテロ環基を指し、ここで、それぞれの該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択され得、特定の実施形態では、該ヘテルシクロアルキルは、1〜4個のヘテロ原子を環員として含む。さらなる実施形態では、該ヘテルシクロアルキルは、1〜2個のヘテロ原子を環員として含む。特定の実施形態では、該ヘテルシクロアルキルは、3〜8個の環員を各環内に含む。さらなる実施形態では、該ヘテルシクロアルキルは、3〜7個の環員を各環内に含む。まださらなる実施形態では、該ヘテルシクロアルキルは、5〜6個の環員を各環内に含む。「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロ環」は、スルホン、スルホキシド、三級窒素環員のN−オキシド、ならびに炭素環式縮合およびベンゾ縮合環系を含むことが意図され、さらに、両方の用語はまた、ヘテロ環の環が、本明細書において定義されるアリール基、またはさらなるヘテロ環基に縮合される系を含む。ヘテロ環基の例としては、アジリジニル、アゼチジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒ−ドロピリジニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、イソインドリニル、モルフォリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルフォリニル、などが挙げられる。ヘテロ環基は、明確に禁止されていない限り、任意に置換され得る。
用語「低級」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、別段に明確に定義されない限り、1から6を含む個数の炭素原子を含有することを意味する。
用語「スルホニル」は、単独または組み合わせで本明細書において使用される場合、−S(O)2−を指す。
本明細書中のいかなる定義も、複合構造群を説明するために、任意の他の定義と組み合わせて使用され得る。慣例により、一切のそのような定義の牽引要素は、親部分に付着するものということである。例えば、複合基アルキルアミノは、アミド基を介して親分子に付着したアルキル基を表し、用語「アルコキシアルキル」は、アルキル基を介して親分子に付着したアルコキシ基を表す。
基が「ヌル」であると定義されるとき、該基が不在であることが意味される。
用語「任意に置換される」は、先行する基が置換または非置換であり得ることを意味する。置換されるとき、「任意に置換される」基の置換基は、制限なく、単独または組み合わせで、以下の基または特に指定される一組の基から独立して選択される1つ以上の置換基を含み得る:低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホネート、スルホン酸、三置換シリル、N3、SH、SCH3、C(O)CH3、CO2CH3、CO2H、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバメート、および低級尿素。2つの置換基が一緒に連結され、ゼロ〜3個のヘテロ原子からなる縮合された5員、6員、もしくは7員の炭素環式またはヘテロ環の環を形成する、例えば、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシを形成することができる。任意に置換される基は、非置換(例えば、−CH2CH3)、完全置換(例えば、−CF2CF3)、一置換(例えば、−CH2CH2F)、または完全置換と一置換の間のいずれかのレベルで置換(例えば、−CH2CF3)され得る。置換に関する条件付けなしで置換基が列挙されるとき、置換形態および非置換形態の両方が包含される。置換基が「置換される」と条件付けられるとき、置換形態が具体的に意図される。さらに、特定の部分に対して異なる組の任意の置換基が必要に応じて定義され得、これらの場合では、任意の置換は、しばしば「〜で任意に置換される」という語句の直後に定義される通りである。
それ自体で数字表記を伴わずに登場する用語「R」または用語「R′」は、別段の定義がない限り、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクロアルキルからなる群から選択される部分を指し、これらのうちのいずれも、任意に置換され得る。そのようなRおよびR′基は、本明細書において定義される通り、任意に置換されると理解されたい。R基が数字表記を有するか否かに関わらず、R、R′、およびRn(ここで、nは(1、2、3、...n)である)を含むすべてのR基、すべての置換基、ならびにすべての用語は、群からの選択という観点で、他のすべてから独立していると理解されたい。いずれの変数、置換基、または用語(例えば、アリール、ヘテロ環、Rなど)が、式または包括的構造において1回以上生じる場合、各発生時におけるその定義は、他のすべての発生時の定義から独立する。当業者であれば、記載の通り、特定の基が親分子に付着し得るか、または元素の鎖内の位置をいずれの端部からも占有し得ることをさらに認識するであろう。したがって、ほんの一例として、−C(O)N(R)−などの非対称基は、炭素または窒素のいずれかで親部分に付着し得る。
不斉中心が、本明細書において開示される化合物中に存在する。これらの中心は、キラル炭素原子周囲の置換基の構成に依存して、記号「R」または「S」によって表記される。本発明は、ジアステレオマー形態、鏡像異性体形態、およびエピマー形態、ならびにd−異性体およびl−異性体、およびこれらの混合物を含む、すべての立体化学的異性体形態を包含すると理解されたい。化合物の個別の立体異性体は、キラル中心を含有する市販の出発材料から合成的に、または、鏡像異性体生成物の混合物の調製、続いてジアステレオマーの混合物への変換などの分離、続いて分離もしくは再結晶化、クロマトグラフィー技術、キラルクロマトグラフィーカラム上の鏡像異性体の直接分離、または当該技術分野において既知の任意の他の適切な方法によって、調製され得る。特定の立体化学の出発化合物は、市販であるか、または当該技術分野において既知の技術によって作製もしくは分解され得るかのいずれかである。さらに、本明細書において開示される化合物は、幾何異性体として存在し得る。本発明は、すべてのシス、トランス、シン、アンチ、entgegen(E)、およびzusammen(Z)異性体、ならびにこれらの適切な混合物を含む。さらに、化合物は、互変異性体として存在し得、すべての互変異性体性異性体が、本発明によって提供される。さらに、本明細書において開示される化合物は、非溶媒和形態、ならびに水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒を有する溶媒和形態において存在し得る。一般的に、溶媒和形態は、非溶媒和形態に等しいものと見なされる。
用語「結合」は、2個の原子、または、結合によって連結された原子がより大きな部分構造の一部であると見なされる2つの部分の間の共有連結を指す。結合は、別段の定めがない限り、一重、二重、または三重であり得る。分子の図面の2個の原子の間の破線は、その位置にさらなる結合が存在するか、または存在しないかを示す。
用語「プロドラッグ」は、インビボでより活性化される化合物を指す。本明細書において開示される特定の化合物は、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry,and Enzymology(Testa,Bernard and Mayer,Joachim M.Wiley−VHCA,Zurich,Switzerland 2003)に記載される通り、プロドラッグとしても存在し得る。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、化合物を提供するように生理的条件下で化学的変化を容易に受ける、化合物の構造的に修正された形態である。さらに、プロドラッグは、エクスビボの環境における化学的または生化学的方法によって、化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、好適な酵素または化学試薬とともに経皮パッチリザーバ内に配置されると、化合物に緩徐に変換され得る。いくつかの状況では、化合物または親薬物よりも投与が容易であり得るため、プロドラッグが有用であることが多い。親薬物がそうでない一方、それらは、例えば、経口投与によって生体利用可能であり得る。プロドラッグはまた、親薬物に勝る薬学的組成物中の改善した溶解性を有し得る。プロドラッグの加水切断または酸化的活性化に依存するものなどの、様々なプロドラッグ誘導体が当該技術分野において既知である。プロドラッグの制限のない一例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次にカルボン酸、活性実体に代謝的に加水分解される化合物である。さらなる例としては、化合物のペプチジル誘導体が挙げられる。
本明細書において開示される化合物は、治療上許容可能な塩として存在し得る。本発明は、酸付加塩を含む塩の形態における以上に列記された化合物を含む。好適な塩としては、有機酸および無機酸の両方とともに形成されたものが挙げられる。そのような酸付加塩は、通常は薬学的に許容される。しかしながら、薬学的に許容されない塩の塩は、問題の化合物の調製および精製において有用であり得る。塩基性付加塩も形成され得、薬学的に許容され得る。塩の調製および選択のより完全な考察については、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Stahl,P.Heinrich.Wiley−VCHA,Zurich,Switzerland,2002)を参照されたい。
用語「治療上許容可能な塩」は、本明細書において使用される場合、本明細書において定義される通り、水溶性もしくは油溶性または分散性であり、かつ治療上許容可能な、本明細書において開示される化合物の塩または双性イオン形態を表す。塩は、化合物の最終分離および精製の間に、または、遊離塩基の形態の適切な化合物を好適な酸と反応させることによって別々に調製され得る。代表的な酸付加塩としては、アセテート、アジペート、アルギネート、L−アスコルベート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート(ベシレート)、ビサルフェート、ブチレート、カンフォレート、カンフルスルホネート、シトレート、ジグルコネート、ホルメート、フマレート、ゲンチセート、グルタレート、グリセロフォスフェート、グリコレート、ヘミサルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒプレート、ヒドロクロライド、ヒドロブロミド、ヒドロヨーダイド、2−ヒドロキシエタンスルホネート(イセチオネート)、ラクテート、マレート、マロネート、DL−マンデレート、メシチレンスルホネート、メタンスルホネート、ナフチレンスルホネート、ニコチネート、2−ナフタレンスルホネート、オキサレート、パモエート、ペクチネート、ペルサルフェート、3−フェニルプロプリオネート、フォスフォネート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、ピログルタメート、スクシネート、スルホネート、タートレート、L−タートレート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、フォスフェート、グルタメート、ビカーボネート、パラ−トルエンスルホネート(p−トシレート)、およびウンデカノエートが挙げられる。また、本明細書において開示される化合物中の塩基性基は、メチル、エチル、プロピル、およびブチルクロライド、ブロミド、およびヨーダイド、ジメチル、ジエチル、ジブチル、およびジアミルサルフェート、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステリルクロライド、ブロミド、およびヨーダイド、ならびにベンジルおよびフェネチルブロミドで四級化され得る。治療上許容可能な付加塩を形成するために用いられ得る酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸などの有機酸が挙げられる。塩はまた、アルカリ金属またはアルカリ土類イオンを用いる化合物の配位によって形成され得る。したがって、本発明は、本明細書において開示される化合物のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩などを企図する。
塩基性付加塩は、カルボキシ基を、金属カチオンのヒドロキシド、カーボネート、もしくはビカーボネートなどの好適な塩基と、または、アンモニアまたは有機一級、二級、もしくは三級アミンと反応させることによって、化合物の最終分離および精製の間に調製され得る。治療上許容可能な塩のカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルフォリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、1−エフェナミン、およびN,N−ジベンジルエチレンジアミンなどの無毒性四級アミンカチオンが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンとしては、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが挙げられる。
本明細書において開示される化合物が未加工の化学物質として投与されることが可能であり得る一方、それらを薬学的製剤として提示することも可能である。したがって、本明細書において開示される特定の化合物のうちの1つ以上、またはこれらの1つ以上の薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、アミド、もしくは溶媒和化合物を、これらの1つ以上の薬学的に許容される担体、および任意に1つ以上の他の治療的成分と一緒に含む薬学的製剤が、本明細書において提供される。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合性であり、かつその受容者に対して有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。周知の技術、担体、および賦形剤のいずれも、好適として、そして当該技術分野において、例えば、RemingtonのPharmaceutical Sciencesにおいて理解されているものとして使用され得る。本明細書において開示される薬学的組成物は、当該技術分野において既知のいかなる方法、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ作製、水簸、乳化、カプセル化、封入、または圧縮プロセスを用いて製造され得る。
薬剤(ポリアミン類似体、ポリアミン生合成阻害剤、ポリアミン輸送阻害剤、またはSAMDCを阻害する薬剤)はまた、1つ以上の実体と組み合わせて投与され得る。一実施形態では、実体は、抗ウイルス剤もしくは抗レトロウイルス剤、ステロイド、または他の抗炎症剤を含むがこれらに限定されない、治療的実体である。別の実施形態では、実体は、薬学的に許容される担体である。
対象における薬剤の最適な用量、投与の頻度、および治療の継続期間は、治療される疾患または到達される臨床エンドポイント(例えば、組織へのマクロファージの浸潤の阻害、または疼痛の緩和)対象の病態、対象の年齢、体重、治療への応答、および治療的実体の性質に依存して、対象から対象へと変動し得る。最適な用量および治療の継続期間の決定は、当業者の範囲内である。最適な用量および治療の継続期間は、治療の過程の間の対象の応答を監視することによって、最良に決定され得る。いくつかの事例では、より高用量の投与は、より頻繁でない投与を可能にし得、より低用量は、対象の病態の臨床的に有意な改善を達成するために、より頻繁な投与を必要とし得る。本発明の薬剤(複数可)は、単一用量として、または複数用量で投与され得る。
一般的に、本方法に従う薬剤の治療上有効な用量は、約10〜約1100mg/m2の1つ以上の用量である。より低用量のレジメンは、10〜200、10〜100、10〜50、および20〜200mg/m2の用量を含む。より高用量のレジメンは、200〜400、250〜500、400〜600、500〜800、600〜1000、および800〜1100mg/m2を含む。一実施形態では、用量のレジメンは、200〜400mg/m2の範囲である。別の実施形態では、用量のレジメンは、250〜500mg/m2の範囲である。さらに別の実施形態では、用量のレジメンは、600〜1000mg/m2の範囲である。いくつかの実施形態では、薬剤は、毎日、週1回、隔週1回、または月1回投与される。一実施形態では、200〜400mg/m2の範囲の用量のレジメンは、週1回投与される。別の実施形態では、250〜500mg/m2の範囲の用量のレジメンは、隔週1回投与される。
用量は、全治療期間にわたって一定であるか、または治療の過程の間に増加もしくは減少してもよい。一実施形態では、薬剤は週1回投与され、200mg/m2の投与で始まり、第2の週および第3の週にそれぞれ300mg/m2および400mg/m2に増加する。別の実施形態では、薬剤は隔週1回投与され、250mg/m2の投与に治療の継続期間全体にわたって一定に保たれる。薬剤の用量は、少なくとも1周間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、またはさらに少なくとも8週間にわたって投与され得る。特定の対象に対してこれらの範囲内で薬剤の用量を調節することは、十分に通常の臨床医の技術の範囲内である。
薬剤は、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、および髄内を含む)、腹腔内、経粘膜(経鼻を含む)、経皮、直腸内、ならびに局所的(皮膚、頬側、舌下、および眼内を含む)経路を含むがこれらに限定されない、薬品を投与するために通常使用される任意の従来の経路を介して投与され得る。静脈内送達は、ボーラス注射または注入を介して起こり得、注入は、1分未満〜数時間の範囲の期間にわたって連続的に行われ得る。特定の実施形態では、治療の過程は、経路の組み合わせによる投与を伴い得る。
例えば、薬剤は、疼痛または別の障害の治療のために、静脈内経路および経口経路の組み合わせを介して投与され得る。一実施形態では、「負荷」用量は、薬物の濃度を所望の治療的レベルにし、続いて経口経路を介する1つ以上の維持用量でそれをそこに保つために、静脈内投与され得る。さらなる実施形態では、経口送達および静脈内送達の組み合わせが、手術患者における疼痛を緩和するために使用され得る。薬剤は、静脈内および経口経路の組み合わせによって、術前、周術期、および術後に送達され得る。一実施形態では、患者は、手術前に薬物を経口投与されるか自己投与してよく、手術中およびその直後に静脈内注入を介して薬物を投与されてよく、その後、手術後に薬物を経口投与されるか自己投与してよい。別の実施形態では、患者は、手術前に薬物を静脈内投与されてよく、手術中およびその直後に静脈内注入を介して薬物を投与されてよく、その後、手術後に薬物を経口投与されるか自己投与してよい。
薬物は、液体、粉末、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、スプレー、およびエアロゾルを含むがこれらに限定されない、様々な形態の薬学的組成物として投与され得る。薬学的組成物は、担体、賦形剤、結合剤、安定剤、抗菌剤、抗酸化剤、希釈剤、および/またはサポート剤を含むがこれらに限定されない、種々の薬学的に許容される添加剤を含み得る。好適な賦形剤および担体の例は、例えば、"Remington’s Pharmaceutical Sciences,"Mack Pub.Co.,New Jersey(1991)に記載されている。いくつかの実施形態では、薬剤は、水性糖溶液中の静脈内注入を介して投与され得る。薬剤はまた、薬剤送達を促進する別の物質と結合し得る。例えば、薬剤は、リポソーム内に結合され得る。このリポソームが今度は、IgGFc受容体などの標的物質(複数可)とコンジュゲートされ得る。
経口投与に好適な本明細書において開示される化合物の製剤は、既定量の活性成分をそれぞれ含有するカプセル剤、カシェー、もしくは錠剤などの別々の単位として、粉末もしくは顆粒として、水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として、または水中油型乳濁液もしくは油中水型乳濁液として提示され得る。活性成分はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして提示され得る。
経口で使用され得る薬学的調製物としては、錠剤、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル剤、ならびにゼラチン製の軟性密閉カプセル剤、およびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤が挙げられる。錠剤は、任意に1つ以上の付属成分とともに、圧縮または鋳造によって作製され得る。圧縮された錠剤は、結合剤、不活性希釈剤、または滑沢性の界面活性剤もしくは分散剤と任意に混合された、粉末もしくは顆粒などの自由流動形態の活性成分を、好適な機械内で圧縮することによって調製され得る。鋳造された錠剤は、不活性希釈液で濡らした粉末状化合物の混合物を、好適な機械内で鋳造することによって作製され得る。錠剤は、任意にコーティングされるか、または溝をつけられてよく、その中の活性成分の緩徐な放出もしくは制御放出を提供するように製剤化されてよい。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に好適な薬用量であるべきである。プッシュフィットカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはマグネシウムステアレートなどの滑沢剤、ならびに任意に安定剤との混加物中に活性成分を含有し得る。軟性カプセル剤では、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または流動ポリエチレングリコールなどの好適な液体中で、溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤が添加され得る。ドラジェコアは、好適なコーティングを備える。この目的のため、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/もしくは二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物を任意に含有し得る、濃縮糖溶液が使用され得る。染料もしくは色素は、識別のため、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤もしくはドラジェコーティングに添加され得る。
化合物は、注射、例えば、ボーラス注射または連続注入による、非経口投与のために製剤化され得る。注射のための製剤は、単位投薬形態、例えば、アンプルまたは複数用量容器内で、追加の保存剤と一緒に提示され得る。本組成物は、懸濁液、溶液、または油性もしくは水性ビヒクル中の乳濁剤としてそのような形態を取り得、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの製剤化剤を含有し得る。本製剤は、単位用量または複数用量容器、例えば、密閉アンプルおよびバイアル内で提示され得、使用の直前に無菌液担体、例えば、生理食塩水または無菌ピロゲン非含有水の添加のみを必要とする、粉末形態またはフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管され得る。目下の注射溶液および懸濁液は、以前に記載された種類の無菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
非経口投与のための製剤は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および製剤を意図される受容者の血液と等張性にする溶質を含有し得る、活性化合物の水性および非水性(油性)無菌注射溶液、ならびに、懸濁剤および増粘剤を含み得る、水性および非水性無菌懸濁液を含む。好適な親油性溶媒もしくはビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、またはエチルオレエートもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を上昇させる物質を含有し得る。任意に、懸濁液はまた、高度に濃縮された溶液の調製を可能にするように化合物の溶解性を上昇させる、好適な安定剤または薬剤を含有し得る。
以前に記載された製剤に加え、化合物はまた、デポー調製物として製剤化され得る。そのような長時間作用型の製剤は、移植(例えば、皮下的もしくは筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与され得る。したがって、例えば、化合物は、好適なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中の乳濁剤として)またはイオン交換樹脂と一緒に、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として、製剤化され得る。
頬側もしくは舌下投与のために、本組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤、薬用ドロップ、香錠、またはゲルの形態を取り得る。そのような組成物は、スクロースおよびアカシアまたはトラガントなどの味付きの基盤中に活性成分を含み得る。
本化合物はまた、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含有する、坐薬または停留かん腸などの直腸内組成物中で製剤化され得る。
本明細書において開示される特定の化合物は、局所的に、すなわち、非全身性投与によって投与され得る。これは、本明細書において開示される化合物の、表皮または頬側口腔への外的な適用、ならびに、そのような化合物が血流に著しく進入しないような、耳、眼、および鼻への化合物の滴下を含む。対照的に、全身性投与は、経口、静脈内、腹腔内、および筋肉内投与を指す。
局所的投与に好適な製剤としては、ゲル、リニメント、ローション、クリーム、軟膏、またはペーストなどの、炎症の部位への皮膚を通る浸透に好適な液体もしくは半液体調製物、および眼、耳、または鼻への投与に好適な点滴剤が挙げられる。局所的投与のための活性成分は、例えば、製剤の0.001%〜10重量%(重量による)を構成し得る。特定の実施形態では、活性成分は、10重量%と同程度を構成し得る。他の実施形態では、それは5重量%未満を構成し得る。特定の実施形態では、活性成分は、2重量%〜5重量%を構成し得る。他の実施形態では、それは製剤の0.1%〜1重量%を構成し得る。
吸入による投与のため、化合物は、吹送器、噴霧器加圧パック、またはエアロゾルスプレーを送達する他の簡便な手段から、簡便に送達され得る。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適な気体などの好適な推進剤を含み得る。加圧エアロゾルの場合、薬用量単位は、計量された量を送達するための弁を提供することによって決定され得る。あるいは、吸入または吹送による投与のため、本発明に従う化合物は、乾燥粉末組成物、例えば、本化合物とラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末ミックスの形態を取り得る。粉末組成物は、単位投薬形態、例えば、吸入器または吹送器の助力を得てそこから粉末が投与され得る、カプセル剤、カートリッジ、ゼラチン、またはブリスターパック内で提示され得る。
例示的な単位投薬製剤は、本明細書において以下に列挙される通り、有効な用量の活性成分を含有するものか、またはその適切な画分である。
本明細書における組成物中に使用される充填剤は、現在知られており使用されているものすべて、ならびに将来開発されるものを含む。充填剤または希釈剤の例は、制限なく、ラクトース、マンニトール、キシリトール、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、圧縮糖、微結晶セルロース(MCC)、粉末状セルロース、コーンスターチ、アルファ化デンプン、デキストレート、デキストラン、デキストリン、ブドウ糖、マルトデキストリン、カルシウムカーボネート、二塩基性カルシウムフォスフェート、三塩基性カルシウムフォスフェート、カルシウムサルフェート、マグネシウムカーボネート、マグネシウムオキシド、ポリエチレンオキシドなどのポロクサマー、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。使用されるラクトースがラクトース一水和物である場合のように、充填剤は、複合溶媒分子を有し得る。充填剤PROSOLV(登録商標)(JRS Pharmaから入手可能)の場合のように、充填剤は有標であってもよい。PROSOLV(登録商標)は、有標の、任意に高密度の、98%の微結晶セルロースおよび2%のコロイド状二酸化シリコンからなるケイ化微結晶セルロースである。微結晶セルロースのケイ化は、コロイド状二酸化シリコンと微結晶セルロースとの間に密接な会合をもたらす特許プロセスによって達成される。ProSolvは、粒径に基づいて異なる等級があり、水、アセトン、エタノール、トルエン、および希酸中、ならびに50g/lのナトリウムヒドロキシドの溶液中で実際的に不溶性である、白色またはほとんど白色の、微細または顆粒状の粉末である。
本明細書における組成物中に使用される崩壊剤は、現在知られており使用されているものすべて、ならびに将来開発されるものを含む。崩壊剤の例は、制限なく、ナトリウムデンプングリコレート、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、クロスポビドン(ポリビニルポリピロリドン)、メチルセルロース、微結晶セルロース、粉末状セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびナトリウムアルギネートを含む。
本明細書における組成物中に使用される滑沢剤は、現在知られており使用されているものすべて、ならびに将来開発されるものを含む。滑沢剤の例は、制限なく、カルシウムステアレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、水素化植物油、軽質性鉱物油、マグネシウムステアレート、鉱物油、ポリエチレングリコール、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムラウリルサルフェート、ナトリウムステアリルフマレート、ステアリル酸、タルク、およびジンクステアレートを含む。
本明細書における組成物中に使用される滑剤は、現在知られており使用されているものすべて、ならびに将来開発されるものを含む。滑剤の例は、制限なく、二酸化シリコン(SiO2)、タルクコーンスターチ、およびポロクサマーを含む。ポロクサマー(またはBASF Corporationから入手可能なLUTROL(登録商標))は、Aセグメントが親水性ポリエチレングリコールホモポリマーであり、Bセグメントが疎水性ポリプロピレングリコールホモポリマーである、A−B−Aブロックコポリマーである。
本明細書における組成物中に使用される錠剤結合剤は、現在知られており使用されているものすべて、ならびに将来開発されるものを含む。錠剤結合剤の例は、制限なく、アカシア、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、水素化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポリビドン、メチルセルロース、液体グルコース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポビドン、アルファ化デンプン、ナトリウムアルギネート、デンプン、スクロース、トラガント、およびゼインを含む。
界面活性剤の例は、制限なく、脂肪酸およびアルキルスルホネート;ベンゼタニウムクロライド(Lonza,Inc.,Fairlawn,N.J.から入手可能なHYAMINE(登録商標)1622)などの商業的な界面活性剤;DOCUSATE SODIUM(登録商標)(Mallinckrodt Spec.Chem.,St.Louis,MOから入手可能);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ICI Americas Inc.,Wilmington,DEから入手可能なTWEEN(登録商標);Lipochem Inc.,Patterson NJから入手可能なLIPOSORB(登録商標)P−20;Abitec Corp.,Janesville,WIから入手可能なCAPMUL(登録商標)POE−0)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ICI Americas Inc.,Wilmington,DEから入手可能なTWEEN 80(登録商標));ならびに、ナトリウムタウロコール酸、1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−フォスフォコリン、レシチン、および他のリン脂質ならびにモノおよびジグリセリドなどの天然界面活性剤を含む。そのような材料は、湿潤を促進することによって溶解の速度を上昇させ、それによって最大溶解濃度を上昇させるため、そしてまた、錯体化、包接錯体の形成、ミセルの形成、または固形薬物の表面への吸着などの機構により、溶解した薬物と相互作用することによって、薬物の結晶化または沈降を阻害するために、有利に用いられ得る。
本明細書における組成物中に使用される薬物錯化剤および可溶化剤は、現在知られており使用されているものすべて、ならびに将来開発されるものを含む。薬物錯化剤または可溶化剤の例は、制限なく、ポリエチレングリコール、カフェイン、キサンテン、ゲンチシン酸、およびシクロデキストリンを含む。
組成物の溶解の速度を遅延または向上させるか、あるいは、組成物の化学安定性の改善を助ける、酸、塩基、または緩衝液などのpH変更剤の添加も有益であり得る。本明細書における組成物中に使用される好適なpH変更剤は、現在知られており使用されているものすべて、ならびに将来開発されるものを含む。
問題の製剤の種類を考慮して、具体的に上述された成分に加え、本明細書において提供される製剤が、当該技術分野において従来的な他の薬剤を含み得ることを理解されたい。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。周知の技術、担体、および賦形剤のいずれも、好適として、そして当該技術分野において、例えば、上記のRemingtonにおいて理解されているものとして使用され得る。薬学的組成物は、それ自体が既知である方法、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ作製、水簸、乳化、カプセル化、封入、または圧縮プロセスを用いて製造され得る。
化合物は、1日当たり0.1〜500mg/kgの用量で、経口または注射を介して投与され得る。成人ヒトのための用量範囲は、一般的に5mg〜2g/日である。別々の単位で提供される錠剤または他の提示の形態は、そのような薬用量または複数のそれ、例えば、5mg〜500mg、通常は約10mg〜200mgを含有する単位で有効な、ある量の1つ以上の化合物を簡便に含有し得る。
対象に投与される化合物の精確な量は、担当医師の責任である。いかなる特定の対象に対する具体的な用量レベルも、用いられる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の時間、投与経路、排泄率、薬物の組み合わせ、治療される正確な障害、および治療される徴候または病態の重症度を含む、様々な要因に依存する。また、投与経路は、病態およびその重症度に依存して変動し得る。投薬頻度もまた、上記のものを含む要因ならびに送達される化合物の配合に基づいて、選択または調節され得る。投薬は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回もしくは4回、隔日、毎週、隔週、もしくは毎月、または持続的な投薬期間とその後の非投薬期間を含む周期で、または必要性を基準として生じ得る。
特定の事例では、本明細書に記載の化合物(またはそれらの薬学的に許容される塩、エステル、またはプロドラッグ)のうちの少なくとも1つを、別の治療剤と組み合わせて投与することが適切な場合がある。ほんの一例として、本明細書中の化合物のうちの1つの受容時に対象が経験する副作用のうちの1つが高血圧である場合、抗高血圧剤を最初の治療剤と組み合わせて投与することが適切であり得る。または、ほんの一例として、本明細書に記載の化合物のうちの1つの治療有効性は、アジュバントの投与によって向上され得る(すなわち、それ自体ではアジュバントは最小の治療上の利益しか有し得ないが、別の治療剤と組み合わせると、対象に対する総合的な治療上の利益が向上される)。または、ほんの一例として、対象が経験する利益は、本明細書に記載の化合物のうちの1つを、同様に治療上の利益を有する別の治療剤(これはまた治療的レジメンを含む)とともに投与することによって増加され得る。ほんの一例として、本明細書に記載の化合物のうちの1つの投与を伴うニューロパチーのための治療において、ニューロパチーのための別の治療剤を対象に同様に提供することによって、増加した治療上の利益がもたらされ得る。いずれの場合でも、治療される疾患、障害、または病態に関わらず、対象が経験する総合的な利益は、単純に2つの治療剤を足したものであり得るか、または対象は相乗的利益を経験し得る。
特定の実施形態では、他方の治療剤は、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、フマル酸ジメチル(tecfidera)、およびテリフルノミド、ならびに他のインターフェロンおよび免疫調節性薬剤、免疫抑制性薬剤、または抗炎症性薬剤などの、多発性硬化症の治療のための薬剤である。
他の実施形態では、他方の治療剤はTNF阻害剤である。TNF阻害剤は、例えば、インフリキシマブ(Remicade)、アダリムマブ(Humira)、セルトリズマブペゴル(Cimzia)、もしくはゴリムマブ(Simponi)などのモノクローナル抗体、エタネルセプト(Enbrel)などの循環性受容体縮合タンパク質、またはペントキシフィリンもしくはブプロピオン(Zyban、Wellbutrin)などの小分子であり得る。
他の実施形態では、他方の治療剤は疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)である。DMARDの例としては、アザチオプリン、シクロスポリン(ciclosporin)(シクロスポリンA)、D−ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、メトトレキサート(MTX)、ミノサイクリン、スルファサラジン(SSZ)、およびシクロホスファミドが挙げられる。
さらなる実施形態では、他方の治療剤はメトトレキサートである。
組み合わせて使用される他の薬剤としては、アナキンラ(Kineret)などのインターロイキン1(IL−1)遮断剤、アバタセプト(Orencia)などのT細胞同時刺激遮断剤、トシリズマブ(抗IL−6受容体抗体、RoActemra、Actemra)などのインターロイキン6(IL−6)遮断剤、リツキシマブ(Rituxan)などのB細胞に対するモノクローナル抗体、ならびに他の生物製剤(例えば、オクレリズマブ、オファツムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴル)が挙げられる。
他の実施形態では、他方の治療剤は、グルココルチコイドまたは非ステロイド性抗炎症性薬剤(NSAID)である。NSAIDは、イブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、およびオキサプロジンなどのプロピオン酸誘導体、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、およびジクロフェナクなどの酢酸誘導体、ピロキシカムおよびメロキシカムなどのエノール酸(オキシカム)誘導体、メフェナム酸およびメクロフェナム酸などのフェナム酸誘導体、セレコキシブ(Celebrex)、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、およびエトリコキシブなどの選択的COX−2阻害剤(コキシブ)を含む。
いずれの場合でも、複数の治療剤(本明細書において開示される化合物であるもののうちの少なくとも1つ)は、いずれの順番でも、または同時にでさえも投与され得る。同時の場合、複数の治療剤は、単一の統合形態または複数形態(ほんの一例として、単一の丸剤として、または2つの別個の丸剤としてのいずれか)で提供され得る。治療剤のうちの1つが複数用量で与えられるか、または両方が複数用量として与えられてよい。同時でない場合、複数の治療剤の用量の間のタイミングは、数分〜4週間の範囲の時間のいずれの継続期間でもよい。
したがって、別の態様では、特定の実施形態は、そのような治療を必要としているヒトまたは動物対象における障害を治療するための方法であって、該対象に、対象における該障害を低減または予防するのに有効な量の本明細書において開示される化合物を、任意に当該技術分野において既知である該障害の治療のための少なくとも1つのさらなる薬剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。単独または組み合わせで、本明細書において開示される化合物、組成物、ならびに方法によって治療される具体的な疾患は、制限なく、疼痛、ニューロパチー、炎症および関連障害、関節炎、代謝性炎症性障害、呼吸障害、自己免疫障害、神経障害、ならびに癌および非癌性疾患を含む増殖性障害を含む。
本明細書において開示される化合物は、ニューロパチーおよび/またはニューロパチー性疼痛、ならびに炎症性疼痛を含む疼痛を有する患者を治療するために有用である。疼痛の徴候としては、切断、心臓手術後、歯痛/抜歯を含む種々の手術手技に対する手術疼痛もしくは術後疼痛の治療または発症予防、癌からもたらされる疼痛、筋肉痛、乳房痛、皮膚傷害からもたらされる疼痛、腰痛、片頭痛を含む種々の病因の頭痛、生理痛などが挙げられるが、これらに限定されない。本化合物はまた、接触性アロディニアおよび痛覚過敏などの疼痛関連障害の治療のために有用である。疼痛は、体細胞起源(侵害受容性またはニューロパチー性のいずれか)、急性、および/または慢性であり得る。
本明細書において開示される化合物で治療され得る末梢性ニューロパチーとしては、軸索性および脱髄性ニューロパチーを含む、単ニューロパチー、多発性単ニューロパチー、ならびに多発ニューロパチーが挙げられる。感覚性および運動性ニューロパチーの両方が包含される。ニューロパチーまたはニューロパチー性疼痛は、以下を含むがこれらに限定されない、様々な病因のいくつかの末梢性ニューロパチーに関連し得る。
・物理的傷害(鈍的外傷、擦過、もしくは熱傷など)または病状、脳への物理的損傷、脊髄への物理的損傷、または脳損傷に関連する脳卒中によって引き起こされるものを含む、外傷誘発性ニューロパチー、神経変性に関連する神経障害、ならびに術後ニューロパチーおよびニューロパチー性疼痛(腫瘍切除、乳房切除などからのものなど)
・癩病、ライム病、ヘルペスウイルス(より具体的には帯状疱疹後神経痛を引き起こし得る帯状ヘルペスウイルスによって)、ヒト免疫不全ウイルス(HIVニューロパチーを引き起こし得るHIV)、もしくはパピローマウイルス、またはいずれの他の病原体誘発性神経損傷によって引き起こされるものを含む、感染性およびウイルス性ニューロパチー、
・毒素誘発性ニューロパチー(アルコール依存、ビタミンB6中毒、ヘキサカーボン中毒、アミオダロン、クロラムフェニコール、ジスルフィラム、イソニアジド、金、リチウム、メトロニダゾール、ミソニダゾール、ニトロフラントインによって誘発されるニューロパチーを含むがこれらに限定されない)、
・治療薬誘発性ニューロパチー、特にa)タキソール、タキソテール、シスプラチン、ノコダゾール、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビンブラスチンなどの抗癌剤によって引き起こされる化学療法誘発性ニューロパチー、ならびにb)ddI、DDC、d4T、ホスカルネット、ダプソン、メトロニダゾール、およびイソニアジドなどの抗ウイルス剤によって引き起こされる抗ウイルス性ニューロパチーを含む、薬物誘発性ニューロパチー、
・ビタミンB12欠乏症、ビタミンB6欠乏症、およびビタミンE欠乏症からもたらされるものを含む、ビタミン欠乏症誘発性ニューロパチー、
・遺伝性ニューロパチー(フリートライヒ運動失調症、家族性アミロイド多発ニューロパチー、タンジアー病、ファブリー病を含むがこれらに限定されない)、
・糖尿病性ニューロパチー、ならびに腎不全および甲状腺機能低下症などの代謝障害によって引き起こされるニューロパチー、
・腫瘍浸潤に続発するニューロパチー、
・ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、意義不明のモノクローナル高γグロブリン血症および多発ニューロパチー、ならびに多発性硬化症からもたらされるものを含む、自己免疫ニューロパチー、
・炎症誘発性神経損傷、神経変性、外傷後神経痛、幻肢痛、疼痛、複合性局所疼痛症候群(反射性交感神経性ジストロフィー、灼熱痛を含むがこれらに限定されない)、腫瘍関連疼痛、血管炎性/血管障害性ニューロパチー、および坐骨神経痛などの中枢ニューロパチー性疼痛症候群を含む、他のニューロパチーおよびニューロパチー性疼痛症候群、ならびに
・特発性ニューロパチー。
特定の実施形態では、ニューロパチー性疼痛はあるいは、アロディニア、痛覚過敏性疼痛、熱痛覚過敏、または幻痛として顕在化され得る。別の実施形態では、ニューロパチーは、代わりに、痛覚感受性の損失を引き起こし得る。ニューロパチー性疼痛のさらなる下位分類は、Dworkin,Clin J Pain(2002)vol.18(6)pp.343−9に記載されている。
本明細書において開示される化合物はまた、遅延性オピエート鎮痛剤を必要とする患者におけるオピエート耐性、およびベンゾジアゼピンを取っている患者におけるベンゾジアゼピン耐性、ならびに他の嗜癖挙動、例えば、ニコチン嗜癖、アルコール依存、および摂食障害の治療または予防において使用され得る。さらに、本明細書において開示される化合物は、薬物離脱症状の治療または予防、例えばオピエート、アルコール、もしくはタバコ嗜癖からの離脱の症状の治療または予防において有用である。
本明細書において開示される化合物はまた、アレルゲン誘発性喘息、運動誘発性喘息、汚染誘発性喘息、感冒誘発性喘息、およびウイルス誘発性喘息を含む喘息性病態、正常な気流を伴う慢性気管支炎、気道閉塞を伴う慢性気管支炎(慢性閉塞性気管支炎)、肺気腫、喘息性気管支炎、および水疱性疾患を含む慢性閉塞性肺疾患、ならびに、気管支拡張(bronchioectasis)嚢胞性線維症、過敏性肺炎、農夫肺、急性呼吸促迫症候群、肺炎、誤嚥もしくは気道熱傷、肺における脂肪塞栓症、肺のアシドーシス炎症、急性肺水腫、急性高山病、急性肺高血圧、新生児遷延性肺高血圧、出生時誤嚥症候群、肺硝子膜症、急性肺血栓塞栓症、ヘパリン−プロタミン反応、敗血症、喘息発作重積状態(status asthamticus)、低酸素症、過酸素症肺傷害、および、肺癌などのこれらの合併症につながる喫煙を含む特定の傷害性薬剤の吸入によって誘発される傷害を含む、炎症を伴う他の肺疾患を含む、呼吸器疾患もしくは病態の治療または予防において使用され得る。
本明細書において開示される化合物はまた、炎症および炎症性病態の治療または予防において使用され得る。炎症性病態は、制限なく、関節リウマチ、脊椎関節症、痛風関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、急性リウマチ性関節炎、腸疾患性関節炎、ニューロパチー性関節炎、乾癬性関節炎、および化膿性関節炎などの、亜型および関連する病態を含む関節炎、骨粗鬆症、腱炎、滑液包炎、ならびに他の関連する骨障害および関節障害、逆流性食道炎、下痢、炎症性腸疾患、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、膵臓の急性および慢性炎症などの胃腸の病態、ウイルス感染症および嚢胞性線維症に関連するものなどの肺炎症、乾癬、湿疹、熱傷、日焼け、皮膚炎(接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、およびアレルギー性皮膚炎など)、および蕁麻疹などの皮膚関連病態、膵炎、肝炎、そう痒症、および白斑を含む。さらに、本発明の化合物はまた、単独で、または従来の免疫調節因子との組み合わせで、臓器移植患者において有用である。
本明細書において開示される化合物はまた、自己免疫障害の治療または予防において使用され得る。自己免疫障害としては、クローン病、潰瘍性大腸炎、皮膚炎、皮膚筋炎、1型真性糖尿病、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン−バレー症候群(GBS)、自己免疫性脳脊髄炎、橋本病、特発性血小板減少性紫斑病、エリテマトーデス、混合性結合組織病、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、ナルコレプシー、尋常性天疱瘡、悪性貧血、乾癬、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、関節リウマチ、シェーグレン症候群、強皮症、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」としても知られる)、脈管炎、およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられる。本明細書において開示される化合物は、TH−17(インターロイキン17を生成するTヘルパー細胞)細胞またはIL−17レベルを制御し得る。
自己免疫障害は、神経系に影響を及ぼし得る。神経系に影響を及ぼす自己免疫障害の例としては、多発性筋痛、重症筋無力症、ギラン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、急性散在性脳脊髄炎(ADME)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、自己免疫性末梢性ニューロパチー、エリテマトーデス、乾癬性関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、およびリウマチ熱が挙げられる。
本明細書において開示される化合物はまた、多発性硬化症(MS)、視神経炎、特発性炎症性脱髄疾患、ギラン−バレー症候群(および亜型)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、横断性脊髄炎、バロー同心円性硬化症、悪性貧血、橋中心髄鞘崩壊症、脊髄癆、視神経脊髄炎(NMO)、進行性多巣性白質脳症(PML)、抗MAG(ミエリン関連糖タンパク質)ニューロパチー、遺伝性運動感覚性ニューロパチー(シャルコー−マリー−トゥース病)、脳腱黄色腫症(cerebrotendinious xanthanomatosis)、ならびに、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄ニューロパチー、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、カナバン病、白質消失病、アレキサンダー病、レフサム病、およびペリツェウス−メルツバッヘル病を含む白質ジストロフィーを含む、脱髄疾患の治療または予防において使用され得る。
本明細書において開示される化合物はまた、神経系の特定の疾患および障害の治療または予防において使用され得る。一酸化窒素阻害が有用である中枢神経系障害としては、アルツハイマー病を含む皮質認知症、脳卒中からもたらされる中枢神経系損傷、脳虚血(局所虚血、血栓性脳卒中、および全虚血(例えば、心停止に続発する)の両方)を含む虚血、ならびに外傷が挙げられる。一酸化窒素阻害が有用である神経変性障害としては、低酸素症、低血糖症、てんかんなどの障害における神経変性または神経壊死、ならびに、中枢神経系(CNS)外傷(脊髄および頭部傷害など)の場合、高圧酸素誘発性痙攣および毒性、認知症、例えば、初老性認知症、およびAIDS関連認知症、悪液質、シデナム舞踏病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、コルサコフ病、脳血管障害に関連する認知障害、過敏症、睡眠障害、統合失調症、鬱病、月経前症候群(PMS)に関連する鬱病または他の症状、ならびに不安症が挙げられる。
本明細書において開示される化合物はまた、インスリン耐性などの悪化した炎症性シグナル伝達、糖尿病(I型もしくはII型)、代謝症候群、非アルコール性脂肪性肝炎、アテローム性動脈硬化症、循環器疾患、鬱血性心不全、心筋炎、アテローム性動脈硬化症、および大動脈瘤に典型的に関連する代謝障害の治療または予防において使用され得る。
本明細書において開示される化合物はまた、重度の熱傷、敗血症、外傷、創傷、および出血誘発性もしくは蘇生処置誘発性低血圧、そしてまた、血管病、片頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、強皮症(sclerodoma)、リウマチ熱、I型糖尿病、重症筋無力症を含む神経筋接合部疾患、多発性硬化症を含む白質疾患、サルコイドーシス、腎炎、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、多発性筋炎、歯肉炎、歯周炎、傷害後に生じる腫脹、心筋虚血、循環器虚血、および心停止に続発する虚血などを含む虚血などの疾患に関連する、臓器および組織傷害の治療または予防において使用され得る。
本明細書において開示される化合物はまた、(過剰)増殖性疾患、特に癌の治療または予防において、単独で、または標準治療、特に悪性細胞中の異所アポトーシス性機構を回復することによって腫瘍成長を標的にする薬剤の組み合わせで使用され得る。治療または予防され得る血液学的および非血液学的悪性腫瘍としては、多発性骨髄腫、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、および慢性骨髄性白血病(CLL)を含む急性および慢性白血病、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(低、中、および高悪性度)を含むリンパ腫、ならびに、脳、頭頸部、乳房、肺、生殖器系、上部消化管、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺、および結腸直腸の固形腫瘍および悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。本化合物および方法はまた、放射線療法とともに生じるものなどの線維症を治療するために使用され得る。本化合物および方法は、家族性大腸腺腫症(FAP)を伴うものを含む、腺腫性ポリープを有する対象を治療するために使用され得る。さらに、本化合物および方法は、FAPの危険性がある患者におけるポリープの形成を予防するために使用され得る。非癌性増殖性障害は、乾癬、湿疹、および皮膚炎をさらに含む。
本明細書において開示される化合物はまた、多発性嚢胞腎疾患、ならびに腎機能障害の他の疾患の治療または予防において使用され得る。
本明細書において開示される化合物はまた、緑内障、網膜神経節変性、眼虚血、角膜血管新生、視神経炎、網膜炎、緑内障性網膜症および/または糖尿病性網膜症などの網膜症、ブドウ膜炎、眼性羞明、ドライアイ、シェーグレン症候群、季節性および慢性アレルギー性結膜炎などの眼病、ならびに慢性眼障害および眼組織への急性傷害に関連する炎症および疼痛の治療または予防において使用され得る。本化合物はまた、白内障手術および屈折矯正手術などの眼科手術からの術後の炎症または疼痛を治療するために使用され得る。
本化合物はまた、部分的または完全に、他の従来の抗炎症療法の代わりに、例えばステロイド、NSAID、COX−2選択的阻害剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、LTB4アンタゴニスト、およびLTA4ヒドロラーゼ阻害剤と一緒に、併用療法において使用され得る。本発明の化合物はまた、抗菌剤または抗ウイルス剤と治療的に組み合わされるとき、組織損傷を予防するために使用され得る。
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本方法の例示的な実施形態を、以下の実施例において提供する。以下の実施例は、本発明の方法を例示し、それを使用するに当たって当業者を補助するために提示されるものであり、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
MGBG経口活性アッセイ
以下の標準的な略語は、関連する薬物動態パラメータを表すために使用される。
アカゲザル単一用量
3頭の雄アカゲザルの2つの群を一晩絶食させ、1mg/kgの単一のボーラス静脈内投薬(群1)または10mg/kgの単一の強制経口投薬(群2)のいずれかとして、試験物品、MGBGを投与した。投薬製剤分析で、投与された投薬溶液は、群1および2に対してそれぞれ1および10mg/kgの標的濃度の14%以内であったことを確認した。
投薬前、ならびに投薬のおよそT=0.083(5分)、0.25(15分)、0.5(30分)、1、2、4、8、および24時間後、静脈内投薬されたすべての動物から、血漿MGBG濃度測定のために、大腿静脈/動脈からのリチウムヘパリン(およそ1.0mL)を収容する管に、血液試料を採取した。血漿MGBG濃度測定のための血液試料を、投薬のおよそT=1、2、4、8、12、24、および36時間後の投薬前に、経口投薬されたすべての動物から採取した。血液試料採取の初めの4時間にわたって食物も差し控えた。
各間隔における試料採取の完了後、試料を冷蔵条件下で遠心分離した。結果としてもたらされる血漿を分離し、分析までおよそ−70℃で凍結保管した。
WinNonlinの非区画アプローチ(AUC算出のための線形台形規則)を使用して、MGBGの個別の血漿濃度−時間プロファイルについてPK分析を行った。名目用量値および試料採取時間を算出のために使用した。BQL(2.51ng/mL未満)として報告されたすべてのMGBG血漿濃度測定値を、分析の目的のためにゼロに等しいように設定した。MGBGの静脈内および経口投与後、λZの選択のためにWinNonlinの既定選択基準を使用して、血漿PK廃棄パラメータを算出した。
MGBGの静脈内および経口投与後のすべての採取された血漿の時点において、全身性血漿MGBG曝露を観察した。単一の時点において群1の1頭の動物に溶血が認められ、これがこの動物のMGBG血漿濃度分析に悪影響を及ぼした可能性がある。したがって、モデル依存性の2区画分析を使用して生体利用率を算出した。
イヌ単一用量
9.0〜10.7kgの体重であり、かつ8〜30ヶ月齢である3頭の雄ビーグル犬の2つの群を一晩絶食させ、1mg/kgの単一のボーラス静脈内投薬(群1)または10mg/kgの単一の強制経口投薬(群2)のいずれかとして、試験物品、MGBGを投与した。投薬製剤分析で、投与された投薬溶液は、群1および2に対してそれぞれ1および10mg/kgの標的濃度の17%以内であったことを確認した。
投薬前、ならびに投薬のおよそT=0.083(5分)、0.25(15分)、0.5(30分)、1、2、4、8、および24時間後、静脈内投薬されたすべての動物から、血漿MGBG濃度測定のために、血液試料(およそ2.0mL)を採取した。採取を投薬のT=1、2、4、8、12、24、および36時間後に行ったことを除いて、経口投与された動物を使用したに、同様の手順を使用した。各間隔における試料採取の完了後、試料を冷蔵条件下で遠心分離した。結果としてもたらされる血漿を分離し、分析までおよそ−70℃で凍結保管した。
LC/MS/MSによって分析を行い、λZの選択のために静脈内(1〜24時間)および経口(4〜36時間)投与に対する最終の5つの血漿濃度を使用して、血漿PK廃棄パラメータを算出した。動物間の可変性および限られた終末期データのため、これらの結果は慎重に解釈されるべきである。
静脈内または経口投与に伴う臨床的に異常な所見はなかった。すべての時点において全身性曝露を観察した。
ラット単一用量
217〜263gの体重であり、かつ8〜9週齢である18匹の雄のSprague Dawleyラット(Charles River)に、1mg/kgの単一のボーラス静脈内投薬(群1)または10mg/kgの単一の強制経口投薬のいずれかとして、試験物品、MGBGを投与した。投薬後T=2、4、12、24、36、および48時間のそれぞれにおける最終の血液採取後に、CO2吸入麻酔によって3匹の動物のコホートを屠殺した。投薬製剤分析で、投与された投薬溶液は、10mg/kgの標的濃度の17%以内であったことを確認した。
LC/MS/MSによって分析を行った。非区画アプローチ(AUC算出のための線形台形規則)を使用して、平均MGBG血漿濃度対時間データについて薬物動態分析を行った。WinNonlinの低密度試料採取用具をPK算出のために使用した。BLQ(血漿2.50ng/mLにおいて定量限界未満)として報告されたすべての試料を、分析の目的のために0.00ng/mLに変更した。投薬製剤分析で、製剤は、10mg/kgの標的用量濃度の15%以内であったことを確認した。
投薬後に異常な臨床所見は認められなかった。10mg/kgのMGBGの単一の経口投与は、12時間の時点を通して血漿中の測定可能なMGBGレベルの証拠をもたらし、この点以降、特定の試料はBLQとなり始めた。
さらに、上記の通り10mg/kgのMGBGの単一の経口投与を投薬されたラットでは、各コホートの血漿試料採取の直後(すなわち、投薬の2、4、12、24、36、および48時間後)、3匹のラットを屠殺し、脾臓組織および肝臓組織を採取し、フラスコ凍結した。図11に示す通り、10mg/kgのMGBGの単一の経口投与は、血漿と比較して、肝臓(それぞれ120倍および160倍)ならびに脾臓(それぞれ4.0倍および9.3倍)に対するMGBGのより大きな総合的曝露(CmaxおよびAUCallによって査定される通り)をもたらした。これは、MGBGの選択的取り込み機構と一致する。理論に束縛されることを望むものではないが、細胞によって選択的に取り込まれる他のSAMDC阻害剤が、MGBGのように、本明細書において開示される方法および組成物において有用であり得る。
マウス単一用量
19.5〜24.7gの体重であり、かつ7〜9週齢である24匹の雄のDBA/1マウスは、外側尾静脈を介する1mg/kgの単一のボーラス静脈内投薬(群1、nは12である)または10mg/kgの単一の強制経口投薬(群2、nは12である)のいずれかとして、試験物品、MGBGを投与した。各用量群は、それぞれ3匹の動物の4つのコホートからなった。群1は、投薬の5、15、および30分後、ならびに投薬の1、2、4、8、および24時間後に試料採取した。群2は、投薬の1、2、4、8、12、24、および36時間後に試料採取した。第1の時点で始め、1時間(群1)または12時間(群2)の時点までの各連続的時点において、新たなコホートを試料採取した。コホートの中での試料採取の順序を、後続の時点について繰り返した(いくつかのコホートは1回しか採血しなかった場合がある)。各コホートについて第2の採血が最終であった。最終の血液採取後に、CO2吸入麻酔によって動物を屠殺した。
各間隔における試料採取の完了後、試料を冷蔵条件下で遠心分離した。結果としてもたらされる血漿を分離し、分析までおよそ−70℃で凍結保管した。LC/MS/MSによって分析を行った。非区画アプローチ(AUC算出のための線形台形規則)を使用して、平均MGBG血漿濃度対時間データについて薬物動態分析を行った。WinNonlinの低密度試料採取用具をPK算出のために使用した。投薬製剤分析で、静脈内および経口製剤は、それらの標的濃度の15%以内であったことを明らかにした。
投薬後に異常な臨床所見は認められなかった。MGBGの静脈内および経口投与後のすべての採取された血漿の時点において、全身性血漿MGBG曝露を観察した。
前述のアッセイの結果を以下の表2および3に示す。報告される値は、標準偏差を含まない治療群全体にわたる平均である。
上記の表2において、二重アスタリスクは、報告されるラットのAUCが、ゼロ時間〜最終の血漿濃度測定の時間から計算されたAUCallであることを示す。これらの値のそれぞれは、最終の測定値が外挿の異なる方法に依存するという注意を要する。
複数用量のラットの薬物動態および認容性研究
この研究の目的は、ラットにおけるMGBGの薬物動態(PK)特性および認容性を決定することであった。さらに、7日の非投薬期間後に、任意の毒性効果からの回復を査定した。対照群と同様の体重変化および有害な臨床観察の欠如によって、試験物品で処置した動物における認容性が実証された。
7〜9週齢であり、かつ222.7〜252.0gの体重である群1つ当たり3匹の雄のSprague Dawley(CD(登録商標)IGS、Charles River)に、経口(PO)経管栄養によって、1日2回、10、20、または30mg/kg/用量(20、40、または60mg/kg/日)で連続7日間にわたって投与した。7日間の休薬期間が続いた。およそ200μLの全血を、群5、6、および7の全動物の尾静脈から採取し、それぞれ6つ(1日目)、7つ(7日目)、または1つ(9日目〜15日目)の時点(複数可)で採血した。リチウムヘパリンマイクロテイナ(microtainer)内に全血試料を採取し、遠心分離によって血漿へと処理した。−70℃で血漿を凍結させた。WinNonlin(AUC算出のための線形台形規則)を使用して、個別の動物のMGBGの血漿濃度対時間データについて薬物動態分析を行った。名目用量値および試料採取時間を算出のために使用した。研究7日目については、ゼロ時間におけるMGBG濃度について報告された値をAUCの算出に使用した。研究1日目の廃棄パラメータは、これらのパラメータを適切に特徴付けるために不十分な終末期データが原因で報告されなかった。研究7日目のMGBGの経口投与後、排出速度定数であるλZ(半減期、AUCINFobs、およびCl/Fobsはこれに基づく)の選択のためのWinNonlinの既定選択基準を使用して、第2の投与用量(T=12〜192時間)の後に得られた血漿濃度について、血漿PK廃棄パラメータを算出し、動物間の可変性が認められた。
1日目および7日目に試験物品で処置した動物から採取された血漿試料を生物分析にかけ、すべての時点における試験物品への全身性曝露を確認した。評価された用量範囲にわたって、Tmax値は用量に依存し、かつ3.33〜14.0時間の範囲内であり、示された吸収は研究1日目と比較して研究7日目に僅かに遅延した。全身性曝露(CmaxおよびAUCallによって査定される通り)は、増加する用量とともに増加し、両方のパラメータの増加は、各評価間隔において用量比例を僅かに下回った。繰り返し、1日2回のMGBGの経口投薬は、それぞれ20、40、および60mg/kg/日の用量群の研究1日目と比較して、平均AUCall値の3.77倍、4.03倍、および3.68倍の増加に関連した。研究7日目に、増加する用量レベルとともにCl/Fobsの平均パラメータ値および排出半減期がそれぞれ増加および減少するにつれて、Cl/Fobsの用量に依存する廃棄の証拠および排出半減期が観察された。
いくつかの血液学的パラメータ(より低い網状赤血球数および百分率)ならびにいくつかの血清化学パラメータ(例えば、僅かな脱水と一致する浸透圧および電解質変化)について、対照群と60mg/kg/日の用量群との間の差異が認められた。しかしながら、これらの変化は、それらが明らかな毒性の他の兆候と一致せず、血清化学の変化が可逆的であることが実証されたため、有害であると考えられなかった。末期屠殺において、試験物品で処置した動物における肉眼的病変または顕微鏡的病変は観察されず、回復屠殺において、試験物品で処置した動物における肉眼的病変は観察されなかった。
この診査研究に基づいて、連続7日間にわたって1日2回、経口経管栄養によって雄のSprague Dawleyラットに投与されるMGBGの無毒性量(NOAEL)は、30mg/kg/用量(60mg/kg/日)である。
相対成長率および予想されるヒト有効性
表2および3に開示される薬物動態パラメータに基づく複数種の相対成長率を用い、当該技術分野において既知である方法に従って、ヒトにおける予想される薬物動態パラメータを算出した。例えば、Ings RM,"Interspecies scaling and comparisons in drug development and toxicokinetics,"Xenobiotica,1990 Nov;20(11):1201−31、およびKhor,SP et al.,"Dihydropyrimidine dehydrogenase inactivation and 5−fluorouracil pharmacokinetics:allometric scaling of animal data,pharmacokinetics and toxicodynamics of 5−fluorouracil in humans,"Cancer Chemother Pharmacol(1997)39(3):833−38を参照されたい。期待値を以下の表6および7に示す。
マウスカラゲナン誘発性足浮腫および痛覚過敏モデルの両方において、MGBGの最高の効果的用量は、30mg/kgの経口投与1日2回(合算60mg/kg/日)である。マウスにおけるこの投薬パラダイムに基づいて、ヒトにおける等価用量を推定するための少なくとも2つの方法が使用され得る。
基礎代謝率、血液量、カロリー消費量、血漿タンパク質レベル、および腎機能を含む種々の生物学的パラメータについて、BSAは種全体で相関すると著者が記述するように、第1の方法は、体表面積(BSA)標準化(Reagen−Shaw et al.(2007)FASEB J.22,659−661に記載)に基づく。この方法を使用すると、マウスにおいて60mg/kg/日の用量は、ヒトにおいて約4.9mg/kg/日に変換する。
マウスにおける効果的な60mg/kg/日の用量をヒトにおける等価用量に変換するために使用される第2の方法は、相対成長率により直接的に基づいた。マウスにおける10mg/kgの経口用量からなるMGBGの薬物動態研究からのデータを、30mg/kgの経口投与1日2回の投薬レジメンに対する理論的AUCINF値を決定するための模擬実験においてモデル化し、これは9050h*ng/mLであった。次に、単一種および複数種の相対成長率によって決定される、予想されるヒトのクリアランス値を使用して、マウスにおける60mg/kg/日のものと同様のヒトにおける曝露を生じさせる可能性がある用量(AUCINF)を推定した。単一種の相対成長率およびある範囲の予想されるヒトのクリアランス値を使用すると、ヒトの等価用量は1.73mg/kg/日〜4.51mg/kg/日の範囲内である。複数種の相対成長率を使用すると、予想されるヒトの等価用量は約4.2mg/kg/日である。
マウスカラゲナンモデルにおいて、約0.49mg/kg/日および約1.6mg/kg/日のヒト用量に比例的に変換する、3mg/kgの経口投与1日2回および10mg/kgの経口投与1日2回を含む、より低用量におけるMGBGの効果を観察した。
正常なヒト男性の平均体重は多くの場合70kgと仮定される。したがって、上記の予想に基づく毎日の用量は、約25mg/日〜約350mg/日の範囲であると推定され得る。
適切な用量は、当然ながら、いくつかの要因に依存する。患者は、体重がはるかに多いもしくは少ない場合があるか、または、より低いもしくはより高い用量を必要とする、女性、高齢者、もしくは若年者である場合がある。患者は、チトクロムP450(CYP)などの代謝酵素の低い発現レベルまたは活性などの、より低いかまたはより高い用量を推奨し得る薬物代謝プロファイルを示し得る。この低い発現または活性レベルは、いくつかの要因に起因し得る。1つ以上のCYPの多形性発現(ほとんどすべてのCYPについて多形性が説明されてきているが、例えば、CYP2C19およびCYP2D6)は、全体としての集団と比較していくつかの集団が「欠損」し、より低い用量を必要とする「低代謝群」の表現型をもたらす原因となることが知られる。さらに、感染性因子または生体異物への曝露は、CYP発現の抑圧または既存のCYPの阻害を引き起こし得る。あるいは、患者は、身体的に虚弱であるか、負傷しているか、または免疫不全である場合があり、これらすべては、より低い用量を推奨し得る。患者は、廃棄のために代謝系と競合するいくつかの他の薬物(上述のCYPを含む)を取っている場合があり、この周知の多剤併用効果は、より低い用量を必要とし得る。用量はまた、上述の通り、病態およびその重症度に依存し得る。1つの疾患または臨床エンドポイントに対する効果的な用量は、別の、かつ重度、慢性、または別様に重篤な事例のための用量がより高い用量を必要とするものと、必ずしも同じであるとは限らない。しかしながら、慢性の事例も、より長期、またはさらには不確定の時間の期間にわたって投与される、より低い用量を必要とし得る。これらのすべては、理想的な用量の可変性を例示するための例として考察され、疾患、集団、または個人に対する適切な用量範囲を選択することは、当業者の能力の範囲内である。
これらの要因を考慮に入れると、毎日のヒトの用量が最低1mg/日、および最高1g/日であり得ることが可能であることが明らかなはずである。特定の実施形態では、ヒトの用量は、10mg/日〜500mg/日、20mg/日〜400mg/日、または25mg/日〜350mg/日の範囲であり得る。さらなる実施形態では、ヒトの用量は、120mg/日〜350mg/日、150mg/日〜350mg/日、200mg/日〜350mg/日、または250mg/日〜350mg/日の範囲であり得る。特定の実施形態では、ヒトの用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、7075、80、85、90、95、100、110,120、125、130、140、150、160、170、175、180、190、200、210、220、225、230、240、250、260、270、275、280、290、300、310、320、325、330、240、または350mg/日のうちのいずれか1つであり得る。
特定の実施形態では、ヒトの用量は、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、350、355、360、365、370、または375mg/日のうちのいずれか1つであり得る。一実施形態では、用量は275mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は300mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は305mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は310mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は315mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は320mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は325mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は330mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は335mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は340mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は345mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は350mg/日であり得る。
特定の実施形態では、ヒトの用量は、350、375、400、425、450、475、500、525、550、または600mg/日のうちのいずれか1つであり得る。一実施形態では、用量は375mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は400mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は450mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は500mg/日であり得る。
特定の実施形態では、ヒトの用量は、25、50、75、100、または125mg/日のうちのいずれか1つであり得る。一実施形態では、用量は375mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は25mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は50mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は75mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は100mg/日であり得る。別の実施形態では、用量は125mg/日であり得る。
インビボのカラゲナン試験
浮腫および痛覚過敏についてのカラゲナン足試験
ラットまたはマウスの後足(足)へのカラゲナンの皮下注射は、強い炎症および疼痛を誘発する。炎症応答は、カラゲナン注射後1〜2時間で始まり、接種後少なくとも5時間にわたって持続する。さらに、動物の炎症した後足は、対側の後足と比較して、侵害性刺激(痛覚過敏)または非侵害性刺激(アロディニア)に対して感受性である。このモデルにおいて、抗痛覚過敏および抗炎症活性について化合物を評価することができる。閾値または薬物投与後に応答するまでの時間の全体的な増加は、鎮痛効果を示唆する。薬物投与後の足の膨張の全体的な減少は、抗炎症効果を示唆する。いくつかの化合物は、炎症した足に影響を及ぼし、対側の足の応答に影響を及ぼさないということが可能である。
カラゲナン足浮腫試験の実施形態は、Winterら(Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,111,544(1962))によって本質的に説明された材料、試薬、および手順を用いて行われ得る。予防的および治療的な実施形態が開発されてきており、当該技術分野において既知である。侵害性刺激(足つねり、足底試験)または非侵害性刺激(冷却板、von Freyフィラメント)に対するそれらの応答性について、動物を評価する。以下のプロトコルでは、マウスを使用した。
動物、化合物、および投薬。マウスの体重偏差が平均の±20%を超えない健康な若い雄のSwiss Websterマウスを研究のために使用した。動物を40匹の群4つに分割し、各群に、MGBG(1日2回、5mL/kgの通常の生理食塩水中30mg/kgで12時間おいて)、陽性対照としてデキサメタゾン(1日1回、5mL/kgの0.5%のメチルセルロース中1mg/kg)、または生理食塩水ビヒクル(1日2回、5mL/kg)のいずれかを経口経管栄養によって投薬した。第4の群は、無感作の対照(カラゲナンなし、治療なし)として機能した。MGBGを用いる治療を、カラゲナンの3日前、カラゲナンの1時間前、およびカラゲナンの11時間後のそれぞれに行った。マウスの右足の足底部分に、50μLの生理食塩水中1%のカラゲナン(w/v)の体積でカラゲナン(Sigma:λ−カラゲナン)を皮下注射することによって、足浮腫を発達させる。対側の足(左足)に同じ体積(50μL)の生理食塩水を与え、対照として機能させる。カラゲナン注射前に軽い用量のケタミンを使用して、マウスを麻酔する。
足浮腫。カラゲナンの足底投与の直前、ならびにカラゲナン後の2、3、5、および24時間後、血管内血量計(plethysmometer)(Ugo Basile)を使用してマウスの足の体積を測定した。浮腫の査定を、対照に対する足体積の平均増加として表した。
足の離脱潜伏期の査定。カラゲナンの足底投与の前、ならびにカラゲナン後の0.5、2、3、5、および24時間後、51℃に維持された表面温度を有する熱板鎮痛計上にマウスを配置することによって、離脱応答の潜伏期を決定した。30秒のカットオフ期間を維持し、足への一切の熱的傷害を回避した。試験直後、ケージに戻す前にすべての足を氷水に浸漬した。足の離脱潜伏期は、Δt=右足の離脱−左足の離脱として算出される。
血清、血漿、および組織の採取。0日目の第1の薬物用量の前およびピーク疾患時間(血清へのカラゲナン負荷後5および24時間、0日目の第1の薬物用量の前および研究の終局における)に、群1つ当たり8匹のマウス(それぞれ)から血清または血漿を採取し、サイトカインレベルの決定またはMGBG薬物レベルの決定まで−70℃で保管した。血清採取のため、全血試料を血清分離管内に採取し、遠心分離によって処理し、−70℃で凍結させる。薬物レベルの決定のため、全血試料をリチウムヘパリンマイクロテイナ内に採取し、遠心分離によって血漿へと処理し、血漿を−70℃で凍結させる。さらに、組織診断のために足を採取し、10%のホルマリン中で保存する。
代替的なプロトコル。このアッセイの代替的な実施形態では、3、10、および30mg/kg(陽性対照としてのデキサメタゾン、陰性対照としての生理食塩水、および治療/カラゲナン無感作群とともに、nは各16である)で、MGBGを経口、1日2回で投薬した。
結果。上記のアッセイにおいて、MGBGは浮腫および痛覚過敏を低減させるに当たって効果的であった。
カラゲナン空気嚢モデル
空気の皮下注射は、滑膜表層を模倣し、かつそのように機能する細胞で覆われた結合組織の空洞の形成を誘発する。この方法は、空気嚢モデルとして一般的に知られ、比較的短い時間の期間で作成され得る有用な炎症の動物モデルである。空気嚢は、背側頸部内のある体積の無菌空気の皮下(SQ)注射によって作られ得る。このモデルを使用して、経口(PO)経管栄養投与として投与されるときに、炎症の種々の細胞的および生化学的指標を低減するに当たっての、ポリアミン類似体などの化合物ならびにMGBGなどのポリアミン生合成阻害剤の効果および効力を試験することができる。
動物、化合物、および投薬。175〜200gの体重である健康な雄のLewisラット(Charles River Laboratories,Wilmington,MA)を使用した。1〜60mg/kgの用量のMGBGまたはビヒクル(0.5%のメチルセルロース、0.025%のTween−80)を、6日間にわたって経口経管栄養(10mL/kgの体積で1日1回)によって投与した。MGBGのジヒドロクロライド塩/一水和物形態を構成するように、1.49の補正因子を使用した。それぞれ10および1mg/kgの用量のナプロキセンおよびデキサメタゾンを、カラゲナン注射の1日前、ならびにその日の朝に投薬した。
カラゲナン注射前のMGBGまたはビヒクル投与の最後の4日間で、ラットの背側に空気嚢が形成した。手短に、ラットをイソフルランで麻酔し、この間に背側の毛を除去し、20mLの無菌空気を肩甲骨下の領域に皮下注射した。次の4日間にわたって嚢を発達させ、カラゲナン注射の1日前に嚢を再膨張させた(嚢の体積を維持するため)。
カラゲナン注射の1時間前に、動物に、それらの薬物(MGBG、ビヒクル、ナプロキセン、またはデキサメタゾン)の最後の用量を与えた。生理食塩水中に懸濁した1%のカラゲナンの懸濁液(2mL、FMC BioPolyer,Philadelphia,PA)を、嚢空洞内に注射した。カラゲナン注射後3時間または24時間のいずれかにおいて、CO2窒息によってラットを安楽死させ、2.5mLのPBS(Sigma Chemical,St.Louis,MO)を嚢内に直接注射した。外科用ハサミで嚢を開き、ホールピペットを使用して嚢液を採取した。微分を用いる総細胞数の測定のために1つのアリコートを、そしてPGE2決定のために他方のアリコートを採取した。後者の場合、アリコートを4℃で10分間にわたって1200gで遠心分離し、ELISA(Cayman Chemical Company,Ann Arbor,MI)によるPGE2の分析のために上清を採取した。
カラゲナン注射後3時間または24時間のいずれかにおいて、前述の通り、3時間および24時間の群の試料を採取した。
プロトコルは、当該技術分野において既知の方法に従って変更され得る。さらなる組織を採取および/または秤量してよく、さらなる切開、染色、ならびに顕微鏡検査を実施してよい。
結果。低減された炎症を示唆する対照に対する変化によって示される通り、このモデルにおいてMGBGは効果的であった。基本的に、MGBGは、この媒介物の基礎レベルに影響を及ぼすことなく、PGE2のピーク炎症生成を選択的に阻害した。対照的に、ナプロキセンおよびデキサメタゾンの両方は、炎症の生成およびこの媒介物の基礎レベルの両方を阻害した。
インビボのマウスコラーゲン誘発性関節炎
関節炎および関節リウマチのコラーゲン誘発性関節炎モデル
コラーゲン誘発性関節炎(CIA)モデルは、ヒト関節リウマチ(RA)に対する多くの免疫学的および病理学的類似性、局在的な主要組織適合性の関与、完全なクラスII拘束性Tヘルパーリンパ球の活性化、ならびに組織病変の類似性のため、ヒト関節炎において活性である潜在的な薬物を研究するために好適なモデルと見なされる。例えば、Rosloniec EF et al.,"Collagen−Induced Arthritis,"Current Protocols in Immunology,Unit 15.5(1993)を参照されたい。Issekutz,A.C.et al.,Immunology(1996)88:569に記載の、CD18およびVLA−4インテグリンに対するモノクローナル抗体を使用するモデルもまた参照されたい。RA患者において見られるものと同様のこのCIAモデルの特徴は、制限なく、関節縁における軟骨および骨の侵食(X線写真に見ることができるような)、増殖性滑膜炎、中軸骨格ではなく四肢骨格内の小型および中型の末梢関節の対称性障害を含む。以下の手順に従い、関節炎疾患の治療におけるMGBGの効果を査定した。
動物および投薬。少なくとも7週齢である近交系雄DBA/1マウス(DBA/1 OlaHsd、Harlan Laboratories)を、以下のコラーゲン誘発性関節炎モデルに使用することができる。関節炎および生理食塩水群については化合物またはビヒクル1つ当たり20匹の動物を、対照群については4匹を割り当てる。関節炎の状態を誘発するため、マウスをイソフルランで麻酔し、フロイト完全アジュバント注射中の1501μLのウシII型コラーゲンを与える(0日目および21日目)。研究7日目にマウスを体重によって治療群へとランダム化する。治療は、すべて研究0日目に開始し、毎日継続して(経口投与1日2回/12時間おいて)経口経管栄養として与えられる、25mg/kgのMGBG、陽性対照としての0.2mg/kgのデキサメタゾン、またはビヒクル対照としての生理食塩水からなる。群1つ当たり20匹のマウスを使用してよく、血清を15匹の動物から、血漿を5匹から採取する。4匹のさらなる動物は、正規(未処置、関節炎なし)の対照群として機能する。研究の生存中の部分は35日間にわたって継続し得る。
化合物。水和ジヒドロクロライド塩からMGBG溶液を作製してよく、他の塩を使用してよく、いずれの場合でも、塩/水和物の補正因子が実行されるべきである。固形MGBGは室温で保管され得るが、用量製剤は各投与のために新鮮に作製されるべきである。デキサメタゾンは市販されている。
データ。21〜35日目に、関節炎の発症が典型的に生じる。この時間の間、足のそれぞれ(右前、左前、右後、左後)に足浮腫および膨張の臨床スコアを与えた。0日目、14日目、および25日目に採血漿を行って薬物動態を査定し、疾患分析のために0日目および28日目に採血を行う。18〜20、22〜27、および29〜34日目に浮腫を測定する。炎症細胞および浮腫の浸潤によって炎症を査定する。安楽死後、末期の採血を採取し、ヘパリン処置し、オステオポンチン、TNFα、IL−1、CRP、MCP1、MIP−1β、RANTES、IFNγ、TGFβ、IP−10、IL−17、およびMMP9などのサイトカインを分析するまで−70℃で凍結させる。前足および後足ならびに膝を採取し、固定液中に1〜2日間、そして次に脱灰剤中に4〜5日間置いた後に、加工し、包埋し、切開し、組織分析のためにトルイジンブルーで染色する。破骨細胞の存在、髄質海綿骨もしくは皮質骨の欠損または損失によって、骨吸収を定量化する。軟骨細胞損失ならびにコラーゲン破壊の重症度および伝播を調査することによって、軟骨損傷を査定する。パンヌス組織形成ならびに関節構造の破壊の他の証拠の重症度および伝播を続いて観察する。
統計分析。1〜15日目の投薬曲線下面積(AUC)を決定することによって、足スコアの臨床データ(動物の平均)を分析する。AUCの算出のため、各マウスの毎日の平均スコアをMicrosoft Excelに入力し、疾患の発症後の治療日と終了日との間の面積を計算する。各群の平均を決定し、処置された動物および正規の動物に対する値を比較することによって、関節炎対照からの阻害の%を計算する。p0.05に設定された有意性を用いるスチューデントt検定を使用して、各群の足スコアおよび組織パラメータ(平均+標準誤差)の差異を分析する。組織パラメータおよびAUCの阻害パーセントを、[(平均疾患対照−平均正規)−(平均処置−平均正規)]/[[(平均疾患対照−平均正規)・(平均処置−平均正規)]・100として算出する。
MGBGは、このモデルでは疾患修飾抗リウマチ薬(DMARD)として効果的ではなかったが、足膨張/炎症の早期段階に影響を及ぼした。上記のプロトコルは、当該技術分野において既知の方法に従って変更され得る。
インビボのマウスMOG−EAE多発性硬化症モデル
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)ペプチドを用いて実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘発する多発性硬化症の実験的マウスモデルを用いて、その疾患を予防および治療するに当たってのMGBGの効果を決定した。MSに対するその多くの類似性のため、EAEは、自己免疫の病態形成、CNS炎症、脱髄、細胞輸送、および耐性誘導を研究するために一般的に使用されている。EAEは、麻痺(いくつかのモデルでは麻痺は寛解再発性である)、CNS炎症、および脱髄によって特徴付けられる。EAEは、主に樹状細胞、ミエリン特異的T細胞(例えば、Th1およびTh17)、ならびにM1マクロファージによって媒介される。B細胞も、EAEのいくつかのモデルにおける役割を果たし得る。体重も疾患進行を追う。EAEは、CFA乳濁剤中のMOG35−55またはMOG1−125を用いる免疫化、続いてPBS中の百日咳毒素(PTX)の投与によって、C57BL/6マウスにおいて誘発される。乳濁剤は、MOG特異的自己免疫T細胞の増殖および分化を始動させる抗原を提供する。PTXは、さらなるアジュバントを提供し、CNSへの自己免疫T細胞の進入を促進することによって、EAEの発達を向上させる。
EAE誘発。慢性EAEは、MOG35−55/CFAまたはMOG1−125/CFAの乳濁剤、続いて百日咳毒素の注射を用いる免疫化の後、C57BL/6マウスにおいて発達する。このモデルは、EAE疾患を予防または緩和する化合物の潜在性を試験するために使用される。これは、免疫化の時間から投薬される化合物を用いて(予防的治療)、または疾患の過程を逆転し、EAE発達の時間から化合物を投薬することによって回復を促進することを目標にして(治療的治療)行うことができる。このモデルは、研究開始時に10〜14週齢の雌のC57BL/6マウスを使用する。典型的に、EAEは免疫化の8〜18日後に発達する。EAE発達は、通常は免疫化後の4週間(28日間)にわたって観察される。
ストレスは、EAEに対するマウスの罹患率を低減する。いかなる化合物の効果の他に、疾患誘発期間(免疫化の約0〜10日後)の間の治療薬の投与は、疾患の発症を延期し、疾患の重症度を低減する。これは、マウスへの化合物投与のストレスおよびビヒクルの効果に起因するものである。投与がより頻繁であり、ビヒクルがより耐用性を示されないほど、疾患の発達に対する影響は大きくなる。治療およびビヒクルの投与のストレスは、EAEの臨床兆候が現れた後の疾患の発達に対してはるかに少ない効果を有する。
予防的治療。予防的研究では、治療は、疾患の発症前、免疫化および群の割り当てのときに開始する。体重の同様な分布を有する群を達成するように、マウスをバランスよく治療群に割り当てる。予防的研究は、治療が、第1のEAEの臨床兆候の前と後との両方で疾患の過程に影響を及ぼすかを査定する。予防的治療研究における治療のストレスを相殺し、標的の疾患の重症度を達成するため、治療的研究において使用されるよりも高い用量の百日咳毒素でEAEを誘発してよい。百日咳毒素の用量は、投薬(経路、頻度、およびビヒクルの製剤)に起因する予期されるストレスに基づく。
予防的研究では、疾患の発症までの中位時間は、化合物の効果の微妙な尺度である。免疫応答の小さな変化は延期された疾患の発症をもたらし得、T細胞活性化および増殖の抑制、抗原提示、Th1および/またはTh17細胞への分化はすべて、EAEの延期された発症をもたらす。より低い最大重症度を伴うEAEの遅延された発症は、陰性対照群と比較して治療の総合的効果を示す。
いくつかの研究は、他の有意な化合物の効果を伴わない延期されたEAEの発症を示す。これらの場合、化合物は、免疫応答発達において早期の経路に影響を及ぼし得るが、最終的には重複性のプロセスが遮断された経路の損失を相殺する。別の可能性のある説明は、薬物が、研究の継続期間にわたって経路の遮断を維持することができなかったということである。
他の研究では、EAEは延期されるが、マウスは、ビヒクルで処置したマウスよりも高い最終EAEスコアを有する。通常は、これは、EAEを悪化させる化合物によってではなく、化合物で処置したマウスにおける疾患のピークが延期され、かつビヒクルで処置したマウスの回復の期間と一致することによって引き起こされる。
化合物が予防的に投薬されるとき、1つの重要な効果の読み出し情報は、最大疾患重症度(平均最大スコア、MMS)の低減である。低減されたMMSは、EAE重症度の総合的な低減を示す。
スコア付け。臨床的に、EAEの進行は0〜5の尺度でスコア付けされ、各スコアは以下の臨床観察を表す。
・0:機能の変化なし、
・1:尾の引きずり、
・2:尾の引きずり、および後足の衰弱、
・3:以下のうちの1つ:
‐尾の引きずり、および後足の完全麻痺、または
‐尾の引きずり、ならびに1本の前足および1本の後足の完全麻痺、または
‐重度の頭位傾斜、ケージの縁に沿って歩く、ケージの壁を押す、尾で持ち上げると回転する、
・4:尾の引きずり、ならびに完全後足麻痺および部分的前足麻痺、
・5:以下のうちの1つ:
‐完全前/後足麻痺、または
‐ケージ内での自発的回転、または
‐麻痺に続発する死
未処置のマウスにおけるEAE発達の過程。個別のマウスは、いくぶん異なる疾患の過程を有する。ほとんどのマウスは、免疫化の9〜14日後にEAEの初期兆候を示す。EAEが開始すると、疾患のピークは、ほぼ必ず3〜4日後に生じる。最大スコアは数日間にわたって続き、次にマウスは部分的に回復する。数匹のマウスでは、疾患は研究の終了まで最大重症度に留まる。それほど頻繁ではないが、マウスは、1日間のみピーク重症度に留まり、次に回復し始める。回復の程度は、マウスが到達する最大重症度に大きく依存する。ほとんどの未処置またはビヒクルで処置したマウスは完全に回復しないが、それらの最終スコアは、通常はそれらの最大スコアよりも0.5〜1.5点低い。未処置またはビヒクルで処置したマウスの約25%は、免疫化の24〜28日後に、再発に似ている悪化するEAEを示す。EAE悪化時のこれらのマウスの脊髄は、EAE発症およびピーク時の組織所見と同様の、多数の炎症病巣(切片1つ当たり7個以上の病巣)を有し、これらが脊髄内の炎症の新たな波を伴う真性の再発であることを示唆する。より長い時間の期間にわたってマウスを観察すると、ヒトMS患者において観察される疾患の慢性進行性過程に似て、疾患の重症度が緩徐に増加する。
EAEの過程の間、体重の変化は疾患の重症度を反映する。マウスは、免疫化の次の日に少量の体重を失うことが多い。これは、投与されたアジュバントおよび百日咳毒素の効果に起因するようである。マウスは次に、疾患の発症までそれらの体重を着実に増加させる。EAE発症の日に、マウスはそれらの体重の1〜2g(体重の5〜10%)を一貫して失う。体重減少はEAE重症度の進行とともに続き、その減少は疾患のピーク時にそれらの発症前の体重の約20%に到達する。体重減少は大概、麻痺および低減された食物摂取の両方、ならびに炎症の急性期の間のTNFなどの炎症促進性サイトカインの高い生成に起因する。疾患のピークに到達した後、マウスは、たとえそれらの臨床スコアが改善しなくとも、緩徐に体重を増す。この体重の増加は、血中の炎症促進性サイトカインのより低いレベルをもたらす炎症の下方制御に起因し得る。未処置またはビヒクルで処置したマウスは、通常は、免疫化の28日後に、それらの免疫化前の体重の約90%を有する。
組織診断。典型的に、組織分析は、研究の終了時(通常は免疫化の約28日後)またはビヒクル群が疾患のピークに到達するとき(通常は免疫化の14〜18日後)のいずれかに行われ、炎症病巣、アポトーシス、および脱髄に焦点を合わせ、これらのそれぞれは以下に記載される。EAEにおける炎症は、通常は脊髄の腰部において始まり、疾患のピークまでに脊髄全体に伝播する。
アポトーシス。アポトーシス細胞はH&E切片中で同定され、疾患発達の初めの2日間には通常は見られない。それらは、ピーク、およびEAEの慢性段階の間に見られる。アポトーシス細胞の平均数は、通常は、切片1つ当たり2〜4個である。アポトーシス細胞はニューロンであり、それらの数は疾患の段階と相関する。アポトーシス細胞は疾患発症後すぐに現れ、そのためEAE発症時は多くの炎症病巣があるが、アポトーシス細胞は少ない。次に、アポトーシス細胞の数は疾患のピークまで増加し、次に上昇したまま留まる。
炎症。疾患の発症時、炎症病巣の数は疾患の重症度と強く相関する。病巣の数は、脊髄全体にわたって切片1つ当たり6〜15個の炎症病巣が典型的に見られる疾患のピークまでいくぶん増加する。EAEの慢性段階(疾患のピークの数日後に始まる)では、多くの炎症病巣が消散し、免疫化のおよそ28日後までに、各脊髄切片において3〜4個の炎症病巣を典型的にもたらす。
最大数の炎症病巣が疾患の過程の早期に存在するため、組織分析が研究の終了時に行われる場合、遅いEAE発症を有するマウスは、それらの臨床スコアから予期され得るよりも多くの炎症病巣を、それらの脊髄内に有することが多い。例えば、28日間の研究では、免疫化の27日後のEAE発症および2の最終臨床スコアを有するマウスは、免疫化の9日後のEAE発症および3.5の最終スコアを有するマウスよりも多い炎症病巣を有する可能性がある。同様に、研究の終了のすぐ前に再発するマウス(再発は臨床スコアの1以上の点の増加として定義される)は、通常は、たとえこの2つが研究の終了時に同じ臨床スコアを有するとしても、安定した慢性疾患を有するマウスより多くの炎症病巣を研究の終了時に有する。
およそ20個の細胞の炎症病巣を、各H&E染色切片中で計数した。炎症性浸潤が20個超の細胞からなったとき、20個の細胞の病巣がどれだけ多く存在したかの推定を行った。
脱髄。脱髄は、通常は疾患発症の初めの2日間には見られないが、疾患のピーク(EAE発症の4〜5日後)において見られ、EAEの慢性期の間続く。脱髄スコアはピークと免疫化の28日後との間に大きく変化せず、通常は平均して1.2〜2.5である。脱髄は、Luxolファストブルー染色切片(LFB)およびH&E切片の両方においてスコア付けされる。LFB切片では、脊髄白質は濃青色に染色し、脱髄した領域はより明るい青色であり、かつ大きな空胞に関連する。H&E染色切片では、大きな空胞を有する正常構造の破壊は脱髄を示唆する。
脱髄スコアは、以下の通り、各切片について脱髄した領域の推定を表す。
0 − 脱髄なし(5%未満の脱髄した領域)
1 − 5〜20%の脱髄した領域
2 − 20〜40%の脱髄した領域
3 − 40〜60%の脱髄した領域
4 − 60〜80%の脱髄した領域
5 − 80〜100%の脱髄した領域
Luxolファストブルー染色スライドについては、ミエリンのより強くない青色の染色に基づいて、脱髄した領域の大きさを推定した。H&E染色切片については、正常構造の中断、浮腫および脱髄と一致する蒼白および空胞化、ならびに拡大した軸索を探すことによって、脱髄した領域を推定した。
統計分析。別段の記載がない限り、統計分析を以下の通り行った:カイ二乗検定を使用して比較した疾患発生率;両側スチューデントt検定を使用して比較したEAE発症の平均日数、体重の変化、およびアポトーシス細胞の数;Wilcoxon生存率検定を使用して比較したEAE発症の日数の中央値;Wilcoxonノンパラメトリック検定を使用して比較した平均最大スコア(MMS)、最終スコア、および脱髄スコア(LFBおよびH&E)。
第1のMOG EAEプロトコル。
材料および方法。18〜23gの体重である10週齢の雌のC57BL/6マウス(Taconic Farms)を、偽免疫化群(nは3である)、および1日2回の30mpkのMGBG(1.49の補正因子を有するジ−HCl一水和物として)、1日1回の3mpkのフィンゴリモド(FTY720)を第2の偽ビヒクル用量とともに、または1日2回の0.9%の生理食塩水ビヒクルの、3つのMOG免疫化群(nは各12である)の、4つの群に分割した。MOG35−55ペプチドを、Hooke Kit(商標)MOG35−55/CFA乳濁剤PTX、カタログ番号EK−2110(Hooke Laboratories,Lawrence MA)の乳濁剤成分(試験物品もしくは陽性対照のためのMOG35−55、または陰性対照のためのPBSを含有する)とともに、皮下注射によって背中の2つの部位に投与した。注射の1つの部位は、上背の領域、首周りのおよそ1cm尾側であった。第2の部位は、下背の領域、尾の付け根のおよそ2cm頭側であった。注射体積は各部位において0.1mLであった。乳濁剤の注射の2時間以内、次に再び乳濁剤の注射の24時間後に、キットの百日咳毒素成分(第1の注射については176ng/用量、そして第2の注射については165ng/用量を達成するようにPBSで希釈した)を腹腔内投与した。各注射の体積は0.1mLであった。
接種された未処置のマウスは、MOG35−55/CFAを用いる免疫化の8〜14日後にEAEを発達させ、実験の28日の継続期間にわたって慢性的に麻痺した状態に留まる。臨床スコア、体重、および脊髄の病理組織(例えば、脱髄、炎症性浸潤、および/またはアポトーシス)は、上記に規定の通りに測定および記録され得る。
結果。平均スコア+/−平均の標準誤差(SEM)として示される臨床スコアを、図1に示す。図1に見ることができるように、ビヒクルで処置した動物は予期された通りに10日目からEAEの臨床兆候を発達させ、平均臨床兆候は16日目まで増加し、ここでスコアは2を上回り、その後2〜3に留まった。フィンゴリモドが試験した高用量で最も効果的であり、実験全体にわたって、偽免疫化群からほとんど区別不可能なレベルである0の平均臨床スコアをもたらした。MGBGもEAEの発症および進行を予防し、第1の臨床兆候は15日目に明白になり、その後21日目に依然として1未満のレベルまで緩徐に増加し、実験の継続期間にわたって1未満に留まった。結果は、MGBGが、フィンゴリモドのように、許容される疾患のモデルにおいてMSの神経性症状を予防および治療するに当たって効果的であることを実証する。
さらに、図2に示す通り、フィンゴリモドまたはMGBGのいずれかを用いる治療は、EAEモデルにおける体重の減少を予防した。基線(研究開始)からの平均パーセント変化+/−SEMとして示される図2の結果は、すべての群が、およそ107〜113%の体重が見られたおよそ8日目まで体重を増し続けたことを示す。その後、ビヒクルで処置した群は体重を失い始め、15日目に95%への急速な減少があり、20日目に約93%の低さに達し、その後研究の終了までに約95%に僅かに回復した。シャム免疫化群ならびにMGBG処置群およびフィンゴリモド処置群は、一般的に言って、研究全体にわたって増した体重を、約108%〜約114%の辺りでそれぞれ保持した。フィンゴリモドおよびビヒクル群は、研究の過程にわたって漸進的かつ持続的な体重増加の僅かな傾向を示した。MGBGで処置した被験体は、11日目に115%近くなった最も有意な増加を初期に示したが、24日目に約108%への漸進的な減少を示し、その後僅かに再び上昇した。これらの結果は、MGBGが、フィンゴリモドのように、MSの症状を予防および治療するに当たって効果的であることをさらに実証する。
病理組織学。28日目(研究の終了)に、すべてのマウスを組織分析のために屠殺し、PBSで灌流し、10%の緩衝ホルマリン中に脊椎を採取した。各マウスについて、腰髄、胸髄、ならびに頸髄からの、3つのLuxolファストブルー染色切片および3つのH&E切片を調製し、実験群およびすべての臨床読み出し情報を盲検化した病理学者によって分析した。3つのH&E切片のそれぞれにおける炎症病巣、アポトーシス細胞、および脱髄した領域の数を決定した。
MGBGが、フィンゴリモドのように、神経炎症、脱髄(両方の染色を介する)、およびアポトーシスなどのMSの病理組織の兆候を低減することを確認する、病理組織の結果を図3〜5に示す。さらに、陰性対照群(データは示されない)は、ゼロのスコアを示した。
第2のMOG EAEプロトコル。
フィンゴリモドを1mpkで1日1回投薬し、百日咳毒素を両方の注射に対して165ng/用量で投与したことを除いて、第2のEAE実験を実質的に上記に開示される通りに行った。
結果。この研究においてEAEは、このプロトコルに従って実施される典型的な研究よりも重度であり、以前の研究よりも重度であった。ビヒクル群内のすべてのマウスが重度のEAEを発達させた。フィンゴリモドで処置した群における疾患の発達は、以前の研究または典型的な研究におけるほど強く抑制されなかった。より重度の疾患は一般的に抑制することがより困難であることを所与として、これは驚くべきことではない。MGBGで処置した群におけるマウスは、フィンゴリモドのものに匹敵する効果を呈する、ビヒクル群のものと比較して実質的に低減された疾患を発達させた。
結果を図6〜10に提示する。以前の研究と一致して、MGBGは、疾患の発症の延期およびEAEの重症度の低減において効果的であった。
蛍光活性化細胞分取。臨床スコア付けに加え、ビヒクルで処置した群、フィンゴリモドで処置した群、およびMGBGで処置した群のそれぞれの6匹のマウス、ならびに偽免疫化(疾患を有しない)群からのすべての3匹のマウスからのCNS浸潤細胞に、フローサイトメトリー分析を行った。
28日目に、第2のMOG EAE研究における脳および脊髄組織(MOG免疫化群のそれぞれからの12匹中6匹のマウス、偽免疫化群からのおよびすべての3匹のマウスからのもの)を貯蔵し、パーコール(Percoll)勾配によって浸潤細胞を分離させた。各マウスから別々に浸潤細胞を分離させた後、ホルボールミリステートアセテート(PMA、50ng/mL)、イオノマイシン(0.5μg/mL)、およびブレフェルジン(1μg/mL)を有する培養液中に細胞を置き、4〜5時間にわたってインキュベートした。細胞を次に洗浄し、以下に記載の通りに、フローサイトメトリー分析のために染色した。以下の分析を行った(Becton Dickinson FACScan)。
・抗CD4−Cy−5/抗IL−17A−PE/抗IFNy−FITC(Th1/Th17細胞)
・抗CD4−Cy−5/抗CD11c−PE/抗CD45.2−FITC(浸潤樹状細胞)
・抗CD11b−Cy−5/抗IL−12−PE/抗CD45.2−FITC(M1マクロファージ)
・抗CD11b−Cy−5/抗CD206−PE/抗IL−10−FITC(M2マクロファージ)
関連する染色および染色の組み合わせに陽性である細胞の数を、各群について分析された細胞の百分率およびマウス1匹当たりの細胞の平均数の両方として計算した。
MGBGで処置したマウスは、有意に低減された相対数および絶対数のCNS浸潤樹状細胞(DC、CD45RB高、CD11c
+)、ならびにCNS浸潤CD11b細胞の中に有意に低減された数のIL−12生成細胞を有した。結果は以下の表に示され、*はp<0.05を示し、**はp<0.1を示す。表9および11は、総細胞の百分率という観点からの結果を示し、表10および12は、細胞の生の数字(10
3)という観点からの結果を示す。
第3のMOG EAEプロトコル。
フィンゴリモドを0.1mpkで1日1回投薬し(これは、体表面積に対して基準化して典型的なヒトの用量または0.5mg/日に十分に対応する)、30mpkのMGBGと0.1mpkのフィンゴリモドとを組み合わせたさらなる群を追加したことを除いて、第3のEAE実験を実質的に上記に開示される通りに行った。ここでも同様に、百日咳毒素を両方の注射に対して165ng/用量で投与した。
結果。フィンゴリモドおよびMGBGの両方は別々に、試験した用量において疾患の重症度の低減および疾患発症の延期に当たって匹敵する効果を示した。ビヒクルで処置したマウスと比較して、処置されたマウスにおいて有意に少ない炎症病巣および有意に少ない脱髄がまたあった。重要なことに、フィンゴリモド/MGBG併用群におけるマウスはいずれもEAEを発達させず、すべての他の臨床読み出し情報(例えば、体重)はビヒクル群と比較して有意に改善し(EAEの兆候なし)、これらのマウスにおいて検出可能な疾患はなかった。
まとめると、これらの結果は、フィンゴリモドとMGBGとの組み合わせがEAEの発達を予防するに当たって高度に効果的であったことを示す。さらに、併用治療を受けたマウスは、フィンゴリモドまたはMGBGのいずれかを単独で受けるマウスと比較して、有意に改善した臨床読み出し情報および組織学的読み出し情報を有した。この組み合わせは疾患の発達を予防するようであった。
薬剤の他の組み合わせを、上記と同様のプロトコルにおいて容易に試験することができる。例えば、インターフェロンβ−1a、インターフェロンβ−1b、グラチラマー酢酸塩、ミトキサントロン、ナタリズマブ、ラキニモド、フマル酸ジメチル(tecfidera)、およびテリフルノミドはそれぞれ、MGBGと組み合わせて試験され得る。他のSAMDC阻害剤も試験され得る。これらの組み合わせは同様に効果的であることが期待される。理論に束縛されることを望むものではないが、抗原提示およびCNSへの樹状細胞の浸潤などの、MSの発達における早期の事象に影響を及ぼすようであるMGBGの組み合わせは、他の薬物、例えば、多発性硬化症または別の脱髄疾患の発症もしくは再燃の異なる(特定の実施形態では、後期の)段階において作用する、フィンゴリモドのようなものとの組み合わせにおいて効果的であるべきである。
第4のMOG EAEプロトコル。
第4のEAE実験を上記と同様に行ったが、発症およびピーク疾患の間の細胞集団に対するMGBGの効果を調査するために設計した。このプロトコルでは、20匹のマウス/群を有する3つの実験群、および8匹のマウスを有する1つの偽免疫化群があった。フィンゴリモドを1mpkで1日1回、MGBGを30mpkで1日2回投薬し、百日咳毒素を両方の注射に対して165ng/用量で投与した。ビヒクルで処置した群、フィンゴリモドで処置した群、およびMGBGで処置した群のそれぞれからの16匹のマウス、ならびに偽免疫化群からのすべてのマウスからのCNS浸潤細胞に、フローサイトメトリー分析を行った。分析した各群のマウスの半分を、ビヒクル群内でEAEの発症時に採取し、半分をビヒクル群内でEAEピーク時に採取した。ビヒクル群内の個別のマウスは異なる日にEAE発症およびEAEピークに達したため、マウスの終結は連続しない8日間にわたった。ビヒクル群内のマウスのうちの8匹を各時点において屠殺した。これらのマウスのそれぞれに対し、群2および3のそれぞれの一致するマウスを同じ日に屠殺した。これらのビヒクル群のマウスのうちの2匹に対し、群4からの一致するマウスを屠殺した。終結のために他の群から一致するマウスを選択するとき、最高のEAEスコアを有するマウスを選択した。群内のすべてのマウスがEAEの兆候を有しなかった場合、ランダムにマウスを選択した。
結果。MGBGがEAE発達を低減するという臨床所見と一致して、炎症誘発性細胞によるCNS浸潤は、MGBGで処置したマウスにおいて低減された。複数の炎症誘発性細胞集団が、MGBGで処置したマウスのCNSにおいて低減された。興味深いことに、浸潤樹状細胞の割合および数は、フィンゴリモドで処置したマウスよりも、MGBGで処置したマウスにおいて低減され、その差異のいくつかは統計的に有意であった。これらの結果は、以前の研究と一致し、MGBGが樹状細胞を選択的に標的にすることを示唆する。さらに、IL−12生成細胞の数の低減は、MGBGがTh−1型応答の発達に影響を及ぼすという観念を支持する。
結果は以下の表に示され、*はp<0.05を示し、**はp<0.1を示す。表13は、総細胞の百分率という観点からの結果を示し、表14は、細胞の生の数字(10
3)という観点からの結果を示す。
以下の表15は、ビヒクルで処置した動物が疾患のピークであったときに疾患を発達させなかった動物のサブセットにおいて見られる効果を示す。フィンゴリモドではなく、MGBGは、樹状細胞の数を低減した。これは、MGBG(そしてさらに広範には、樹状細胞の抗原提示およびCNS浸潤に対して効果を有するSAMDC阻害剤)が、EAEおよびMSの重症度、ならびに/またはそれらの進行および脱髄などの関連する症状を予防もしくは低減するに当たって重要な成分であり得ることを示唆する。
治療効果のさらなるインビボのモデル
例として提示される以下のモデルは、いくつかの疾患および徴候の治療における効果のために、本明細書において開示される化合物を評価するために使用され得る。研究の必要に適するようにこれらのモデルを変更することは、当業者の能力の範囲内である。さらに、当業者であれば、用いられ得る疾患のさらなるモデルに精通しているであろう。MGBG、ならびに他のポリアミン類似体およびポリアミン生合成阻害剤、ならびに本明細書において開示される化合物が、これらのモデルにおいて効果的であることが期待される。
ニューロパチーおよびニューロパチー性疼痛モデル
ニューロパチー性疼痛のBennettモデル
収縮性結紮糸を総坐骨神経の周囲に緩く配置することによって、成体ラットにおいて末梢性単ニューロパチーを生成する。これらのラットの術後挙動は、痛覚過敏、アロディニア、および、おそらく、自発痛(または異常感覚)が生成されたことを示す。侵害性放射熱に対する痛覚過敏性応答は、典型的に第2の術後日に明白であり、2ヶ月にわたって続いた。化学物質誘発性の疼痛に対する痛覚過敏性応答も存在した。非侵害性の冷却金属床上に立つこと、または非侵害性の機械刺激(例えば、von Freyフィラメントを用いる)によって誘起される侵害防御機構の応答から、そしてラットが保護された位置に後足を保持する持続性によって、アロディニアの存在が推量され得る。自発痛の存在は、食欲の抑制、および明白に自発的な侵害防御機構の応答の頻繁な発生によって示唆される。影響された後足は典型的に、約3分の1のラットにおいて異常に温かいか、または冷たい。約2分の1のラットは、影響された側に著しく過剰成長した鉤爪を発達させる。化合物効果モデルでは、刺激の前に試験化合物を典型的に送達し、ビヒクルは対照として機能する。この動物モデルを用いる実験は、ヒトにおけるニューロパチー性疼痛障害の神経機構の理解を進展させ得る。Bennett GJ,Xie YK,1988"A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of sensation like those seen in man.,"Pain,Apr;33(l):87−107(PMID:2837713)。
ニューロパチー性疼痛のChungモデル
1992年のその導入依頼、ニューロパチー性疼痛の脊髄神経結紮(SNL)モデルは、ニューロパチー性疼痛機構種々の調査作業のために、ならびに新たな鎮痛薬の開発のためのスクリーニング試験において、広範に使用されてきた。このモデルは、ラットにおける1本(L5)または2本(L5およびL6)の分節性の脊髄神経をきつく結紮することによって開発された。この手術は、機械的アロディニア、熱痛覚過敏、冷感アロディニア、および進行中の疼痛の持続性挙動兆候をもたらす。広汎な使用のプロセスでは、異なる研究者によって、意図的または非意図的のいずれかに関わらず、SNLモデルの多くの異なる変形が生成されてきた。これらの変形を引き起こす要因自体は、興味深くかつ重要な研究の主題であるが、これらの変形に伴う疼痛機構は、オリジナルのモデルと異なるようである。これらの変形に寄与し得る潜在的要因を最小限に誘発する脊髄神経結紮モデルを生成するための方法は、Chung JM,Kim HK,and Chung K,"Segmental spinal nerve ligation model of neuropathic pain,"Methods Mol Med.;2004 99:35−45(PMID:15131327)に詳細に記載されている。
NHPにおけるChungモデル
霊長類(カニクイザル)における有痛性ニューロパチーのモデルでは、ニューロパチー性状態は、L7後根神経節のすぐ遠位の、L7脊髄神経のきつい結紮によって誘発される。感覚試験が、足の腹側表面、L7皮板を含む領域に行われ得る。手術後1週間以内に、霊長類は典型的に、機械的アロディニアの存在を示す機械刺激(例えば、von Freyヘアを用いる)に対する顕著な感受性を発達させる。機械刺激に対する上昇した感受性は、対側でも時折観察される。熱刺激に対する離脱の閾値は低下し、熱痛覚過敏の存在を示す。アセトンおよび冷水浴などの種々の冷却刺激の提示は、冷感アロディニアがまた発達することを示す。観察される挙動現象は、末梢性ニューロパチー性疼痛と診断されたヒトにおいて見られるものと同様である。したがって、このモデルは、ヒトニューロパチーおよびニューロパチー性疼痛障害に関連するいくつかのパラメータを査定するため、および関連障害の治療薬としての薬物候補の効果を評価するために有用である。例えば、Carlton SM et al.,"Behavioral manifestations of an experimental model for peripheral neuropathy produced by spinal nerve ligation in the primate,"Pain 1994 Feb;56(2):155−66(PMID:8008406)を参照されたい。
Von Freyフィラメントを用いる接触性アロディニアの査定
以下の定量性アロディニア査定技術は、ニューロパチー性疼痛の種々の動物モデルのいずれかにおける接触性アロディニアを測定するために修正され得る。以下の要約は例として提示され、侵害防御機構の挙動が足に軽く触れることによって誘起されるラットの外科的ニューロパチーモデルに言及する。0.41〜15.1gのvon Freyヘアを用いて、各刺激強度におけるパーセント応答をまず特徴付けることができる。滑らかな対数線形関係が典型的に観察される。さらに、または代替的に、応答閾値の周囲の刺激の周期的変動を使用するパラダイムを使用してよく、これはより急速かつ効率的な測定を可能にする。2つの方法の間の相関係数は典型的に高い。ニューロパチー性ラットにおいて、良好な観察者内および観察者間の再現性が上下パラダイムについて見られ、正常なラットにおいていくらかの可変性が詳細な試験に起因して見られ得る。ニューロパチー性ラットの大きい群における閾値が、20日間にわたって有意ではない可変性を示し、かつ、50日後、61%が依然として厳格なニューロパチー基準を満たした(生存率分析を使用して)という事実は、ニューロパチー性疼痛モデルと組み合わせて上下パラダイムを使用する閾値測定が、ニューロパチー性疼痛状態の操作の効果を分析するための強力なツールを表すことを示す。例えば、Chaplan SR et al.,"Quantitative assessment of tactile allodynia in the rat paw.,"J Neurosci Methods,1994 Jul;53(1):55−63(PMID:7990513)を参照されたい。
温痛覚を査定するHargreaves法
代替的に、無拘束の動物における熱刺激に対する皮膚痛覚過敏を測定する方法が説明されてきた。この試験パラダイムは、挙動のエンドポイントの自動検出を使用し、繰り返しの試験は、観察される痛覚過敏の発達に寄与しない。カラゲナン誘発性炎症は、生理食塩水で処置した足と比較して、著しく短い足離脱潜伏期をもたらし、これらの潜伏期の変化は、低下した熱侵害受容性閾値に対応した。この感受性熱的方法は、用量に関連する痛覚過敏および試験化合物によるその遮断を検出し、侵害受容性閾値に加えて他の挙動パラメータの測定を可能にする。例えば、Hargreaves K,et al.,"A new and sensitive method for measuring thermal nociception in cutaneous hyperalgesia,"Pain,1988 Jan;32(1):77−88(PMID:3340425)を参照されたい。
炎症性および自己免疫モデル
接触性皮膚炎および関連障害
接触過敏症は、細胞媒介性免疫機能の単純な遅延型過敏のインビボアッセイであり、これは、炎症性および/または自己免疫要素を有するいくつかの障害における潜在的な治療効果を査定するために使用され得る。そのような疾患としては、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、アレルギー性皮膚炎、および皮膚刺激作用が挙げられる。化合物は、任意に局所製剤中で局所的に適用されるか、または非局所的(例えば、経口、静脈内など)経路によって送達されてよい。
マウスモデル
1つの手順では、外来性ハプテンへの皮膚の露出が遅延型過敏反応を引き起こし、これが測定および定量化される。接触感受性は、初期感作期と、その後の惹起期を伴う。惹起期は、Tリンパ球が以前に接触したことのある抗原と遭遇するときに生じる。膨張および炎症が生じ、これがヒトアレルギー性接触性皮膚炎の優秀なモデルになる。マウスモデルはまた、典型的に、実行が経済的であるというさらなる利益を有する。好適な手順は、Gaspari AA and Katz SI,"Contact Hypersensitivity,"Current Protocols in Immunology,Unit 4.2,John Wiley & Sons,Inc.(1994)に詳細に記載されている。Grabbe S and Schwarz T,"Immunoregulatory mechanisms involved in elicitation of allergic contact hypersensitivity,"Immun.Today 19(1):37−44(1998)もまた参照されたい。
ブタモデル
動物の選択は、ヒト応答を予想するように意図される皮膚科学的研究において重要であり得る。この理由のため、ヒトの皮膚とブタの皮膚との間の類似性(特に濾胞密度)が原因で、ブタおよび特にミニブタが好まれる。例えば、Bilski AJ and Thomson DS,"Allergic contact dermatitis in the domestic pig.A new model for evaluating the topical anti−inflammatory activity of drugs and their formulations,"Br J Dermatol,1984 Jul;111 Suppl 27:143(PMID:6743545)における例示的なモデルを参照されたい。
無毛モルモットモデル
アレルギー性および刺激性接触反応がまた、近年同定された無毛モルモット、Hartley系からの変異体であるCrl:IAF(HA)BRにおいて評価されてきた。刺激性接触性皮膚炎は、クロトン油、2,4−ジニトロクロロベンゼン(DNCB)、またはアントラリンによって誘発され得る。無毛モルモットおよび有毛モルモットの両方が、これらの化学物質に対して同様の反応を発症する。光アレルギー性接触感作はまた、トリブロモサリチルアニリド(TBS)を用いる感作の前に、テトラクロロサリチルアニリド(TCSA)、またはシクロホスファミドを用いて誘発され得る。皮膚変化は、当該技術分野において既知の方法に従って巨視的および顕微鏡的に観察される。したがって、無毛モルモットは、免疫性および非免疫性の接触反応ならびに関連障害の治療における試験化合物の査定のための動物モデルとして使用され得る。例えば、Miyauchi H and Horio T,"A new animal model for contact dermatitis:the hairless guinea pig"J Dermatol.1992 Mar;19(3):140−5(PMID:1640019)を参照されたい。
単純な皮膚刺激作用がまた、無毛モルモットにおいて研究され得る。例示的なモデルでは、試験化合物は、4日間にわたる毎日の曝露のために、30分間にわたって1つ以上の局所製剤中で送達される。スコア付けは毎日行われ、蒸発測定(evaporimetry)(表皮水分損失総量(TEWL))、水和、および比色分析が、基線(0日目)において、治療の途中および終了時に測定される。試験化合物は、毎日2回適用される。例えば、Andersen F et al.,"The hairless guinea−pig as a model for treatment of cumulative irritation in humans,"Skin Res Technol.2006 Feb;12(1):60−7(PMID:16420540)を参照されたい。
乾癬マウスキメラモデル
さらに、本明細書において開示される化合物は、乾癬様疾患のための動物モデルにおいて試験され得る。乾癬性皮膚病変の発現の根底にある原因および病態生理学的機構に関する調査は、この一般的かつ不可解な皮膚病のための適切な動物モデルの欠如によって妨げられてきた。1つの好適なモデルは、Nickoloff BJ et al.,"Severe combined immunodeficiency mouse and human psoriatic skin chimeras.Validation of a new animal model,"Am J Pathol.,1995 Mar;146(3):580−8(PMID:7887440)によって説明された通りに調製されるヒト皮膚/重症複合免疫不全(scid)マウスキメラである。その中に記載の方法は、重症複合免疫不全マウス上に移植される正常の皮膚、乾癬前(pre−psoriatic)の皮膚、および乾癬プラーク皮膚試料を特徴とする。正常、乾癬前、または乾癬プラーク角膜切開皮膚試料のいずれかが、確かに移植片生着の高い率(85%超)、および長期の生着期間にわたって一貫して観察される再現可能な変化をもって、重症複合免疫不全マウスに移植される。移植後、臨床的査定および通例の光学顕微鏡法によると、正常な皮膚は本質的に正常のままであるが、一方、乾癬前の皮膚はより厚くなり、乾癬プラーク皮膚はその特徴的なプラーク型隆起および鱗屑を保持する。抗体のパネルおよび免疫組織化学的分析を使用することによって、移植された皮膚中に存続したヒト細胞型の総合的な表現型(免疫細胞を含む)は、移植前の皮膚試料の免疫表現型と際立って似ていた。さらに、表皮および皮膚区画内のヒトとマウス皮膚との間の明確に認識される界面領域は、キメラ現象の病巣領域とともに、通例の顕微鏡法および免疫染色法によって同定され得る。重症複合免疫不全マウス上に移植される正常の皮膚ならびに乾癬性皮膚の移植前および移植後のヒト試料の間の多くの類似性は、この動物モデルを、乾癬および関連障害の治療における効果について試験化合物を評価するに当たっての使用に適切なものにする。
乾癬マウス重症複合免疫不全/重症複合免疫不全モデル
代替的に、本明細書において開示される化合物は、Schon MP et al.,"Murine psoriasis−like disorder induced by naive CD4+ T cells,"Nat Med.,1997 Feb;3(2):183−8(PMID:9018237)によって説明される重症複合免疫不全/重症複合免疫不全マウスモデルにおいて試験され得る。このモデルでは、マイナー組織適合性ミスマッチ無感作CD4+Tリンパ球を有する重症複合免疫不全/重症複合免疫不全マウスの再構成が、臨床的に、病理組織学的に、そしてサイトカイン発現において、ヒト乾癬に著しく類似する皮膚の変質をもたらす。
喘息
化合物は、喘息および関連する肺障害の治療における効果についてさらに評価され得る。喘息の1つのマウスモデルでは、野生型対照[C57BL/6J、(+/+)]およびICAM−1(細胞接着分子−1)欠損[C57BL/6J−ICAM−1、(−/−)]マウスをオボアルブミン(OVA)に感作し、エアロゾルによって送達されるOVA(OVA−OVA)を負荷し、喘息性応答と一致する表現型を誘発する。メタコリンへの気管支の応答性、ならびに気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞数の数値、および好酸球含有量およびサイトカインレベルの測定値が測定され得る。さらに、抗原への応答におけるリンパ球増殖、気道内への好酸球遊走、ならびにアレルゲン感作および負荷マウスにおける気道過敏(AHR)の発達はすべて、当該技術分野において既知の方法に従う、インビボまたはエクスビボの尺度であり得る。Wolyniec WW et al.,"Reduction of antigen−induced airway hyperreactivity and eosinophilia in ICAM−1−deficient mice,"Am J Respir Cell Mol Biol.,1998 Jun;18(6):777−85(PMID:9618382)を参照されたい。
炎症性腸疾患、クローン病、および潰瘍性大腸炎
本明細書において開示される化合物はまた、炎症性腸疾患、クローン病、および潰瘍性大腸炎の動物モデルにおける活性について評価され得る。Scheiffele F,Fuss IJ,"Induction of TNBS colitis in mice,"Curr Protoc Immunol,2002 Aug;Chapter 15:Unit 15.19(PMID:18432874)によって説明されるプロトコルは、これらの疾患の免疫病態形成を研究するために使用されてきたいくつかのうちの1つである。このモデルは2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の使用を用い、これは、SJL/Jマウスに直腸内投与されると重度の結腸炎症を誘発する。この手順からもたらされる大腸炎は、クローン病に見られるものに類似する臨床所見および病理組織所見を提示する。ScheiffleleおよびFussは、TNBS大腸炎の成功裏の誘発に必要な重要なパラメータ、ならびに疾患レベルを監視および段階分けするための方法を考察し、マウス結腸から粘膜固有層単核細胞を分離するための支持プロトコルを提示する。「障壁破壊剤(barrier breaker)」(例えば、0.25mlの50%のエタノール)およびハプテン(例えば、TNBS、5〜30mg)を含有する溶液の腔内滴下による慢性結腸炎症のオリジナルのラットモデルを説明する、Morris GP et al.."Hapten−induced model of chronic inflammation and ulceration in the rat colon,"Gastroenterology,1989 Mar;96(3):795−803(PMID:2914642)をまた参照されたい。30mgの用量において、トリニトロベンゼンスルホン酸/エタノール誘発性潰瘍および腸壁の顕著な肥厚は、少なくとも8週間にわたって存続した。組織学的に、炎症応答は、多形核白血球、マクロファージ、リンパ球、結合組織マスト細胞、ならびに線維芽細胞による粘膜および粘膜下の浸潤を含んだ。肉芽腫(炎症の誘発の3週間後)、Langhan型巨細胞、分節性潰瘍、および炎症。これらのモデルにおいて誘発される炎症および潰瘍の特徴ならびに比較的長い継続期間は、特異的に制御された様式で結腸炎症性疾患の病態生理を研究するため、ならびにヒトにおける炎症性腸疾患に潜在的に適用可能な新たな治療を評価するための機会をもたらす。
例示的な経口薬学的製剤
以下は、本明細書において開示される化合物をカプセル剤として経口送達するために使用され得る組成物の実施例である。
式VIの化合物の固体形態は、一貫した粒径を生み出すように1つ以上の篩スクリーンを通過し得る。賦形剤もまた、篩を通過し得る。カプセル剤1個当たりの標的用量を達成するために十分な適切な重量の化合物を、測定して混合容器または装置に加えてよく、このブレンド物を次に均一になるまで混合する。ブレンド均一性は、例えば、容器内の3点(頂部、中部、および底部)を試料採取し、各試料を効力について試験することによって行われ得る。5%のRSDを伴う、標的の95〜105%の試験結果が理想的であると見なされ、任意に、さらなるブレンド時間をかけて均一なブレンドを達成することができる。許容可能なブレンド均一性の結果をもって、このストック製剤の測定されたアリコートを分離し、より低い強度を製造することができる。マグネシウムステアレートに篩を通過させ、採取し、秤量し、滑沢剤としてブレンド器に加え、分散するまで混合してよい。最終のブレンド物を秤量し、調和させる。カプセル剤を次に開き、スパチュラを使用してブレンド材料の流入をカプセル剤の本体内に供給する。各カプセル剤のブレンド物を安定させるようにトレイ内のカプセル剤を突固め、均一な標的充填重量を確かにし、次に充填された本体をキャップと組み合わせることによって密閉してよい。
組成物の実施例
以下の組成物の実施例では、それらの塩もしくは溶媒和多形体として与えられる場合、対イオンおよび/または溶媒和化合物の重量を構成するように、標的用量を調節してよい。そのような場合、他方の賦形剤、典型的には充填剤の重量は低減される。例えば、ジヒドロクロライド一水和物MGBG塩には、1.49の補正因子が使用される(例えば、240.8mgの遊離塩基を得るための360mgの塩)。
実施例1A:300mgのカプセル剤:カプセル剤の総充填重量は、カプセル剤の重量を含まず500mgである。標的化合物用量は、カプセル剤1個当たり300mgである。
実施例1B:150mgのカプセル剤:カプセル剤の総充填重量は、カプセル剤の重量を含まず300mgである。標的化合物用量は、カプセル剤1個当たり150mgである。
MGBG−フィンゴリモド併用実施例:カプセル剤の総充填重量は、カプセル剤の重量を含まず、以下にmgを単位として提示される。
本明細書において引用されるすべての参考文献は、これらの全体が本明細書中に記載されているかのように、参照により組み込まれる。前述の説明から、当業者であれば本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明について種々の変更および修正を行い、それを種々の用途および条件に適合させることできる。本明細書において開示される本発明は、上記の実施形態のそれぞれが、他の矛盾しない実施形態のうちの1つ以上と組み合わされ、それにより、結果としてもたらされる実施形態が2つ以上の列挙された要素および/または制限を含むようになる実施形態を提供する。