JP2018171949A - 車両挙動の制御方法及び車両挙動のシミュレーション方法 - Google Patents

車両挙動の制御方法及び車両挙動のシミュレーション方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車体横すべり角を考慮してヨー運動及び横運動を制御することで、車両応答性やドライバのフィーリング等を向上させる。【解決手段】車両挙動の制御方法は、車速を取得する工程と、ステアリングの操舵に対応する車輪の実舵角を取得する工程と、取得された車速及び実舵角に基づき、実舵角に対する車体横すべり角の伝達関数を規定する、(1)実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、(2)実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値に応じて、車両のヨー運動及び横運動を制御する工程と、を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、車両挙動の制御方法及び車両挙動のシミュレーション方法に関する。
本発明に関連する技術が、例えば特許文献1及び2などに開示されている。特許文献1には、車輪の横力及びタイヤ横すべり角を利用して、横方向の車両運動を正確に記述するようにした車両挙動再現システムが開示されている。特許文献2には、ドライバはヨー運動と横運動とのバランスを感じながらステアリング操作を行っているため、このバランスが変化すると違和感を覚えるという知見に基づき、運転者のステアリング操作に対して所定の応答遅れを適用して、後輪を転舵すると共に旋回外輪に制動トルクを発生させるようにした旋回挙動制御装置が開示されている。
特許第4140720号公報 特開2007−176314号公報
ところで、ドライバは、操舵に起因するヨー運動及び横運動の大きさの変化や前後関係を前庭感覚や視覚などで認識し、車両のコーナリング時における応答性の良し悪しを感じていると考えられる。しかしながら、従来技術では、車両のコーナリング時におけるドライバにとっての車両応答性の評価を、ヨー運動及び横運動を用いて説明することが困難であった、つまり定量的に評価できなかった。
ここで、或る車速Vにおいて、横加速度とヨーレートrと車体横すべり角βは、次のような関係を有している。なお、下式では、横加速度を、横変位yを2回微分したものとして、yの上に2つのドットを付して表記している。

Figure 2018171949
上記の関係式から、車体横すべり角βが、横運動とヨー運動との間に介在して両者の応答の違いに影響を与えているものと考えられる。車両のスピンやドリフト等を除けば、車体横すべり角βは微小量であり、「cosβ」は1の概数となる。そのため、上式によれば、車体横すべり角βの時間変化が、主として横運動とヨー運動との相対的な差を招いているものと考えられる。また、車体横すべり角βの時間変化によって、高速になるほど、操舵に対するヨーレートの応答遅れに対して横加速度の応答遅れが相対的に大きくなるという知見もある。
このようなことから、車体横すべり角の特性(特に過渡特性)が変われば、ヨー運動と横運動との関係が変わり、こうしてヨー運動と横運動との関係が変わることで、車両応答性に関するドライバのフィーリングが変化するものと考えられる。従来技術においては、このような車体横すべり角の過渡特性に着眼してヨー運動と横運動に関する制御を行う試みはなされていなかった。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、車体横すべり角を考慮してヨー運動及び横運動を制御することで、車両応答性やドライバのフィーリング等を向上させることができる車両挙動の制御方法及び車両挙動のシミュレーション方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、車両挙動の制御方法であって、車速を取得する工程と、ステアリングの操舵に対応する車輪の実舵角を取得する工程と、取得された車速及び実舵角に基づき、実舵角に対する車体横すべり角の伝達関数を規定する、(1)実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、(2)実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値に応じて、車両のヨー運動及び横運動を制御する工程と、を有する、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値を用いることで、ヨー運動及び横運動を適切に制御できるようになる。すなわち、車速及び実舵角に適した所望のヨー運動及び横運動を実現できるようになる。これにより、本発明によれば、操舵により旋回するときの車両挙動に対するフィーリングを向上させることができる、つまりドライバが操舵したときに感じる操縦安定性(車両応答性など)を向上させることができる。
本発明において、好ましくは、制御する工程では、第1パラメータと第2パラメータとを積算した値を用いて、車速及び実舵角に応じて車体横すべり角を調整することで、ヨー運動と横運動との関係を制御する。
このように構成された本発明によれば、第1パラメータと第2パラメータとを積算した値を用いて、車速及び実舵角に応じて車体横すべり角を調整することで、ヨー運動及び横運動をより適切に制御できるようになる。
本発明において、好ましくは、制御する工程では、ヨー運動と横運動との相対的な差が小さくなるように、第1パラメータと第2パラメータとを積算した値を用いて車体横すべり角の過渡特性を調整する。
このように構成された本発明によれば、ヨー運動と横運動との相対的な差が小さくなるので、操舵時(詳しくは舵角が変化しているとき)において車両の向きに対する車両が進んでいる方向の変化を小さくすることができる。したがって、本発明によれば、車両の操縦安定性が向上して、旋回時の修正操舵を低減することができる。その結果、操縦安定性が更に向上して、ドライビングフィーリングをより一層向上させることができる。
本発明において、好ましくは、制御する工程では、第1パラメータと第2パラメータとを積算した値が小さくなるようにヨー運動及び横運動を制御する。
このように構成された本発明によっても、ヨー運動と横運動との相対的な差が小さくなるので、車両の操縦安定性が向上して、旋回時の修正操舵を低減することができる。
本発明において、好ましくは、第1パラメータと第2パラメータとを積算した値は、正の値の範囲内において車速に応じて大きくなる。
本発明において、好ましくは、第1パラメータは次式により表される。
Figure 2018171949

ここで、上式において、
Figure 2018171949

Figure 2018171949

「m」は車両の質量であり、「V」は車速であり、「l」はホイールベースであり、「lf」は車両重心点と前輪の車軸との距離であり、「lr」は車両重心点と後輪の車軸との距離であり、「Kf」は前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー、「Kr」は後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーであり、「δ」は車輪の実舵角であり、「β」は車体スリップ角である。
本発明において、好ましくは、第2パラメータは次式により表される。

Figure 2018171949

ここで、上式において、「Tβ」は第2パラメータであり、「m」は車両の質量であり、「V」は車速であり、「I」は車両のヨー慣性モーメントであり、「l」はホイールベースであり、「lf」は車両重心点と前輪の車軸との距離であり、「lr」は車両重心点と後輪の車軸との距離であり、「Kf」は前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー、「Kr」は後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーであり、「β」は車体スリップ角である。
他の観点では、上記の目的を達成するために、本発明は、ドライビングシミュレータを用いた車両挙動のシミュレーション方法であって、ドライビングシミュレータに適用する車速を取得する工程と、ドライビングシミュレータに適用する車輪の実舵角を取得する工程と、取得された車速及び実舵角に基づき、実舵角に対する車体横すべり角の伝達関数を規定する、(1)実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、(2)実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値に応じて、車両のヨー運動及び横運動を模擬した運動をドライビングシミュレータにより被験者に与える工程と、を有する、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値を可変パラメータとして適用することで、車体横すべり角の過渡特性を変更したシミュレーションを適切に行うことができる。
本発明の車両挙動の制御方法及び車両挙動のシミュレーション方法によれば、車体横すべり角を考慮してヨー運動及び横運動を制御することで、車両応答性やドライバのフィーリング等を向上させることができる。
本発明の実施形態によるドライビングシミュレータシステムの概略構成図である。 車速に対するGβ及びTβのそれぞれの変化を示す図である。 車速に対するGβ・Tβの変化を示す図である。 本発明の実施形態において適用する水平運動の概念モデルを示すブロック図である。 本発明の実施形態によるドライビングシミュレータシステムのコントローラが実行する処理を示すフローチャートである。 本実験において適用した各種応答パラメータのステップ応答を示す。 本実験において適用した実験モードについての説明図である。 レーンチェンジ中の実舵角と横変位との関係を人の伝達関数として表したブロック図である。 本実験によりドライバから仕様1〜3について得られたドライバパラメータτLの算出結果を示す図である。 本実験によりドライバから仕様1〜3について得られたドライバパラメータhの算出結果を示す図である。 本実験によりドライバから仕様1〜3について得られたドライバパラメータτhの算出結果を示す図である。 官能評価での仕様1〜3に対するドライバのコメントを示す図である。 官能評価においてドライバが乗りやすいと評価した仕様の順番を示す図である。 本発明による車両挙動の制御方法を適用した車両の概略構成図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両挙動の制御方法及び車両挙動のシミュレーション方法について説明する。
1.ドライビングシミュレータシステム
まず、図1を参照して、本発明の実施形態によるドライビングシミュレータシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態による車両挙動の制御方法及び車両挙動のシミュレーション方法を適用したドライビングシミュレータシステムの概略構成図である。
図1に示すように、ドライビングシミュレータシステム1は、主に、車両挙動を模擬した運動を被験者に与えるよう構成されたドライビングシミュレータ2と、ドライビングシミュレータ2を制御するコントローラ10と、を有する。具体的には、ドライビングシミュレータ2は、被験者によって操作されるステアリング4と、被験者が着座するシート6と、被験者に提示すべき視覚刺激が表示される表示部(スクリーン)8と、を備える。
また、ドライビングシミュレータ2では、シート6が、ヨー運動用アクチュエータ12によって駆動されることで、ターンテーブル(不図示)などを介して矢印A1で示すように動くようになっている。これにより、疑似的な車両のヨー運動を被験者に与えるようになっている。加えて、シート6が、横運動用アクチュエータ14によって駆動されることで、リニアレール(不図示)などを介して矢印A2で示すように動くようになっている。これにより、疑似的な車両の横運動を被験者に与えるようになっている。
これらのヨー運動用アクチュエータ12及び横運動用アクチュエータ14は、コントローラ10によって制御される。具体的には、コントローラ10は、少なくともステアリング4の操作に対応する操舵角や車速(例えば被験者による図示しないアクセルペダルの操作によって設定される)などに応じた疑似的なヨー運動及び横運動を被験者に与えるように、ヨー運動用アクチュエータ12及び横運動用アクチュエータ14を制御する。また、コントローラ10は、表示部8に対する表示制御も行う。この場合、コントローラ10は、上記のヨー運動及び横運動に応じて変化する画像を表示部8に表示させるようにする。
なお、上記したヨー運動は、ヨー角度やヨーレートなどを含む運動であり、上記した横運動は、横変位や横加速度などを含む運動である。
2.シミュレーション方法
次に、上記したドライビングシミュレータシステム1を利用した、本実施形態によるシミュレーション方法について説明する。
2−1.伝達関数
最初に、本実施形態によるシミュレーション方法において適用する車両運動モデルの伝達関数について説明する。
車両の重心点を原点とし車両に固定した座標系において、水平面内の車両運動を記述する一般的な方程式をラプラス変換すると、以下の式(1)及び式(2)が得られる。式(1)は、水平面内の車両運動において横運動に関するつり合いの式をラプラス変換したものであり、式(2)は、水平面内の車両運動においてヨー運動に関するつり合いの式をラプラス変換したものである。
Figure 2018171949

Figure 2018171949
なお、本明細書では、各種パラメータを指し示す記号を以下のように定義するものとする。
m:車両の質量
I:車両のヨー慣性モーメント
l:ホイールベース
f:車両重心点と前輪の車軸との距離
r:車両重心点と後輪の車軸との距離
f:前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー
r:後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー
δ:前輪の実舵角
y:横変位
r:ヨーレート
β:車体横すべり角
s:ラプラス演算子
式(1)及び式(2)において、「β(s)」は車体横すべり角βのラプラス変換を示し、「r(s)」はヨーレートrのラプラス変換を示し、「δ(s)」は前輪の実舵角δのラプラス変換を示している。
さらに、式(1)及び式(2)に示すβ(s)とr(s)に関する代数方程式(連立方程式)を機械的に解くと、以下の式(3)及び式(4)が得られる。
Figure 2018171949

Figure 2018171949
式(3)は、実舵角に対する車体横すべり角の伝達関数を示し、式(4)は、実舵角に対するヨーレートの伝達関数を示している。式(3)及び式(4)中の各種パラメータの定義は以下の通りである。
Figure 2018171949

Figure 2018171949
2−2.車速に応じた車体横すべり角の特性
上述した式(3)より、操舵に対する車体横すべり角の特性は、Gβ、Tβ、ωn、ζの応答パラメータに応じたものとなる。これら応答パラメータの中で車体横すべり角に固有のパラメータは、Gβ及びTβとなる。以下では、Gβ及びTβにおける車速に応じた変化について説明する。
なお、Gβは、実舵角に対する車体横すべり角(実舵角により生じる横すべり角)のゲイン(ほぼ定常値)に相当する、換言すると実舵角の変化が車体横すべり角に及ぼす影響の大きさを示す係数に相当する。また、Tβは、実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡変化に相当する。Gβは、本発明における「第1パラメータ」に相当し、Tβは、本発明における「第2パラメータ」に相当する。
図2は、或る車両諸元を仮定したときの、車速に応じたGβ及びTβを計算した結果を示す。図2は、横軸に車速V[km/h]を示し、縦軸にGβ及びTβを示している。具体的には、実線で表したグラフG11はGβを示し、破線で表したグラフG12はTβを示している。
図2に示すように、Gβは、車速が高くなるにつれて減少する。具体的には、Gβは、所定車速未満では正の値であるが、所定車速以上では負の値となる。つまり、Gβは、所定車速において正負が入れ替わる。基本的には、Gβは、所定車速未満の領域では(つまりGβが正である場合)、コーナリング中などにおいて車輪の方向(車体横すべり角に相当)が車両進行方向に対して外側を向き、所定車速以上の領域では(つまりGβが負である場合)、コーナリング中などにおいて車輪の方向(車体横すべり角に相当)が車両進行方向に対して内側を向くという傾向を示すものとなる。
他方で、Tβは、所定車速未満の範囲においては、正の値となり、車速が高くなるにつれて増加する。一方で、所定車速以上の範囲においては、Tβは、負の値となり(つまり所定車速を境に正負が入れ替わる)、且つ車速が高くなるにつれて負の値の範囲内において増加する。例えば、Tβは、実舵角が変化しているときは、車輪の方向(車体横すべり角に相当)が少し外側に向き、実舵角が変化しなくなると車輪の方向(車体横すべり角に相当)が一定になるという傾向を示すものとなる。
このようにGβにおいて正負が変わる所定車速とTβにおいて正負が変わる所定車速とは、等しい車速となり、この車速は以下の式(12)で表される。式(12)は、上記した式(5)及び式(6)において「V2」が適用された部分から得られる。
Figure 2018171949
式(12)に示す車速において、Tβは不連続点を有する。つまり、Tβは、当該車速において正負が変わり、値も大きく変化する。そのため、Tβ単体では、制御上において扱いづらいパラメータであると言える。一方で、Gβは、車速に比例して変化するものなので、Tβよりも扱いやすいパラメータであると言える。ここで、GβとTβとの関係に着目すると、同じ車速で見たときに、Gβが減少するとTβは増加し、Gβが増加すればTβは減少するという関係を有する。したがって、GβとTβの積(Gβ・Tβ)は、必ず正となる。なお、GβとTβの積を取る演算は、式(3)に示した実舵角に対する車体横すべり角の伝達関数において実際に行われるものである。
図3は、車速に対するGβ・Tβの変化を示す。図3は、横軸に車速V[km/h]を示し、縦軸にGβ・Tβを示している。図3に示すように、Gβ・Tβは車速が高くなるにつれて増加し(但し、車速が高くなると、Gβ・Tβの増加度合い(変化率)が小さくなる)、また、Gβ・Tβは不連続点を有しないことがわかる。そのため、制御上において、Tβ単体ではコントロールしづらいが、Gβ・Tβはコントロールしやすいと言える。したがって、本実施形態では、シミュレーションにおいて制御に用いるパラメータとして、GβとTβの積を採用することとした。
ここで、Gβ・Tβは、車体横すべり角の伝達関数(式(3)参照)において微分要素係数である。このGβ・Tβは、実舵角の変化に起因する車体横すべり角を指し示すものとなる。よって、Gβ・Tβは、車速に応じて増加することから、高速になるほど、車体横すべり角の過渡的変化が大きくなり、ヨー運動と横運動の相対的な差が広がるものと考えられる。
2−3.車両運動モデル
次に、図4を参照して、本実施形態によるシミュレーション方法において適用する、具体的な車両運動モデルについて説明する。図4は、本実施形態において適用する水平運動の概念モデルを示す。このモデルは、上記した応答パラメータにより、ヨーと車体横すべり角特性を独立して調整するようにしたモデルである。
図4に示すモデルには、前輪の実舵角δと車速Vが入力される。次に、この実舵角δから、式(3)に基づき、車体横すべり角βが算出される。この場合、本実施形態では、式(3)中のGβ・Tβを、図3に示したような関係を考慮して設定するようにする。また、このような車体横すべり角βの算出と並行して、実舵角δから、式(4)に基づき、ヨーレートrが算出される。そして、車体横すべり角βと、当該車体横すべり角βを微分した値と、ヨーレートrと、車速Vとから、横加速度が算出され、この横加速度を積分(2回積分)することで横変位yが算出される。さらに、ヨーレートrを積分(1回積分)することでヨー角度が算出される。
本実施形態では、このようなモデルより算出された車体横すべり角β、横加速度、横変位y、ヨー角度及びヨーレートrのパラメータに基づき、コントローラ10がヨー運動用アクチュエータ12及び横運動用アクチュエータ14を制御する。具体的には、コントローラ10は、ヨー角度及びヨーレートrに基づきヨー運動用アクチュエータ12を制御すると共に、横変位y及び横加速度に基づき横運動用アクチュエータ14を制御することで、これらのパラメータに応じたヨー運動及び横運動を模擬した運動を被験者に与えるようにする。加えて、コントローラ10は、このヨー運動及び横運動に応じた画像を表示させるように表示部8を制御する。
ここで、従来の一般的な車両運動モデルでは、モデルを積分器型に表しているが、そのような積分器型に表したモデルでは、Gβ・Tβを独立して制御することはできない。これに対して、本実施形態では、図4に示したように、モデルを伝達関数型に表している。こうすることで、Gβ・Tβを独立して制御することができるのである。
2−4.処理フロー
次に、図5を参照して、本実施形態によるシミュレーション方法を実現すべく、ドライビングシミュレータシステム1のコントローラ10が行う処理フローについて説明する。
まず、ステップS1では、コントローラ10は、事前に設定された各種パラメータをメモリなどから取得する。例えば、コントローラ10は、車両の質量m、車両のヨー慣性モーメントI、ホイールベースl、車両重心点と前輪の車軸との距離lf、車両重心点と後輪の車軸との距離lr、前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーKf、後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーKrなどを取得する。そして、コントローラ10は、車速に応じて、Gr、Tr、ωn、ζ、Gβを算出する。また、コントローラ10は、車速に応じて事前に定められたGβ・Tβ(つまり車速とGβ・Tβとの関係)も取得する。
次いで、ステップS2では、コントローラ10は、ステアリング4の操舵角に対応する前輪の実舵角δとアクセルペダルの操作に対応する車速V(1つの例では車速Vとして一定値が適用される)とを取得する。
次いで、ステップS3では、コントローラ10は、ステップS1で取得した各種パラメータ及びステップS2で取得した実舵角δ並びに車速Vに基づき、図4に示した車両運動モデルを用いて、車体横すべり角β、横加速度、横変位y、ヨー角度及びヨーレートrを算出する。この場合、コントローラ10は、ステップS1で取得した車速とGβ・Tβとの関係を参照して、ステップS2で取得した車速Vに対応するGβ・Tβを得て、このGβ・Tβを適用して車体横すべり角βを算出する。
次いで、ステップS4では、コントローラ10は、ステップS3で算出した車体横すべり角β、横加速度、横変位y、ヨー角度及びヨーレートrのパラメータに基づき、ヨー運動用アクチュエータ12及び横運動用アクチュエータ14を制御する。具体的には、コントローラ10は、ヨー角度及びヨーレートrに基づきヨー運動用アクチュエータ12を制御すると共に、横変位y及び横加速度に基づき横運動用アクチュエータ14を制御する。
なお、このステップS4の処理が終了したら、コントローラ10は、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度行う。この場合、コントローラ10は、最初のステップS1の処理において取得した各種パラメータの値を用いて、ステップS2以降の処理を行う。
但し、他の例では、ステップS4の終了後、コントローラ10は、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を再度行ってもよい。この例では、コントローラ10は、ステップS1において、前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーKf及び後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーKrのそれぞれの現在の値を再び取得して、これらのタイヤコーナリングパワーKf、Krの値を用いてステップS2以降の処理を行う。こうすることで、より精度の高いシミュレーションを実現することができる。
3.実験内容
次に、本実施形態によるシミュレーション方法をドライビングシミュレータシステム1に適用して行った、具体的な実験の内容について説明する。
3−1.実験仕様
図6は、本実験において適用した応答パラメータに関する応答を示す。具体的には、図6は、本実験において適用した前輪の実舵角δ、ヨーレートr及び車体横すべり角βのそれぞれの時間変化を示している。
上述したように、本実施形態ではGβ・Tβに着眼している。このGβ、Tβ以外の応答パラメータは、或る車両諸元を仮定して、車両速度を60[km/h]に固定して算出した(式(7)〜式(11)参照)。図6は、こうして算出した応答パラメータを車両運動モデル(図4参照)に適用した場合の、実舵角δ、ヨーレートr及び車体横すべり角βのそれぞれのステップ応答を示している。本実験では、このようなステップ応答を有する実舵角δ、ヨーレートr及び車体横すべり角βを用いた。
特に、車体横すべり角βについては、グラフG21、G22、G23に示すような3つの値を用いて実験を行った。具体的には、Tβを調整して3つのGβ・Tβを用意し、これらGβ・Tβのそれぞれより得られた3つの車体横すべり角βを用いた。グラフG21の車体横すべり角βに適用したGβ・Tβの値を第1の値とし、グラフG22の車体横すべり角βに適用したGβ・Tβの値を第2の値とし、グラフG23の車体横すべり角βに適用したGβ・Tβの値を第3の値とすると、これらは、第2の値を基準とすると、「第1の値=第2の値/2」及び「第3の値=第2の値×2」という関係を有する。グラフG21、G22、G23に示すように、Gβ・Tβの値が小さくなると、車体横すべり角βの時間変化(応答)の傾きが若干緩やかになる。以下では、第1の値をGβ・Tβに適用して行った実験を「仕様1」と呼び、第2の値をGβ・Tβに適用して行った実験を「仕様2」と呼び、第3の値をGβ・Tβに適用して行った実験を「仕様3」と呼ぶ。
3−2.実験モード
図7は、本実験で適用する実験モードについての説明図である。図7において、符号PY1、C1は、車両のレーンチェンジ前の道路を規定するパイロン及び中央線をそれぞれ示し、符号PY2、C2は、車両のレーンチェンジ後の道路を規定するパイロン及び中央線をそれぞれ示している。これら道路の幅は3.0[m]であり、これら道路の中央線C1、C2の間隔は2.5[m]であり、これら道路間の距離、つまりレーンチェンジ区間は35[m]であるものとする。
図7に示すように、本実験は、車両をレーンチェンジさせるような状況において行われた。具体的には、ドライビングシミュレータシステム1の表示部8にパイロンPY1、PY2や中央線C1、C2などに対応する画像が表示され、被験者は、表示部8に表示された画像を見ながら、ステアリング4の操作のみで車両のレーンチェンジタスクを行った。この場合、被験者がアクセルペダルを踏むと、車速を一定速度60[km/h]に設定した。より詳しくは、被験者は、車両が直進後にレーンチェンジ区間に入った場所において、ダッシュボードに設置されたランプが点灯した場合にのみ、レーンチェンジを行うこととした。
また、実験は、被験者5人(ドライバA〜E)に対して行われた。具体的には、一人の被験者につき、仕様1〜3のそれぞれを9回実験した。更に、被験者が実験仕様をわからないようにするために、仕様をランダムに変更して実験した。
3−3.評価方法
従来の研究において、計測されたドライバの操舵行動と車両運動から、ドライバモデルのパラメータを算出し、運動性能の評価手法が提案されている。特に、当該研究では、そのような評価手法を応答パラメータωn、ζの検討に適用し、官能評価と相関するという結果が得られている。したがって、本実験でも同様の手法を利用した。
レーンチェンジ中の実舵角と横変位との関係は、以下の式(13)のように人の伝達関数として表せる。また、この式(13)を図示化すると、図8のようになる。図8は、ドライバと車両のシステムに関する閉ループのモデルを示す。
Figure 2018171949
式(13)及び図8において、「yOL」は目標レーンチェンジ幅であり、「h」、「τh」、「τL」はそれぞれドライバパラメータである。これらのドライバパラメータh、τh、τLは、実験において計測した車両軌跡及び実舵角の時刻歴データから算出される。具体的には、以下の式(14)で表される評価関数Jを最小にするように、ドライバパラメータh、τh、τLを求めている。式(14)中のσ*及びy*は、それぞれ、計測された実舵角及び横変位である。
Figure 2018171949
こうして算出されたドライバパラメータを用いて、ドライバ(被験者)の操舵行動を評価する。この場合、hはゲインに相当し、τhは予見時間に相当し、τLは全ての遅れを一次遅れで代表した時定数に相当する。この中でもτLは、性能評価に相関する量として考えられている。従来の研究では、τLが大きいほど、官能評価が良くなるという傾向が観測されている。本実験では、仕様1〜3のそれぞれにおける5試行のデータから、算出精度の良い試行を選んで、結果として用いた。
3−4.実験結果
図9、図10、図11は、上述した実験により、ドライバ(被験者)A〜Eから仕様1〜3について得られたドライバパラメータτL、h、τhの算出結果をそれぞれ示している。
他方で、上記の計測実験と同様のレーンチェンジと2レーンを用いて、ドライバに自由に走行を行わせて、官能評価を実行した。車速は60[km/h]の一定に制御され、ドライバはステアリング操作のみで評価を行った。計測実験と同様に、仕様を伝えずに評価を行った。図12は、仕様1〜3に対するドライバ(被験者)のコメントを示し、図13は、ドライバが乗りやすいと評価した仕様の順番を示している。
ドライバパラメータの算出を行った結果、仕様1、仕様2、仕様3の順でドライバパラメータτLが大きくなることがわかった(図9参照)。また、この後に行った官能評価でも、仕様1が最も乗りやすいと評価した被験者が多いことがわかった(図13参照)。更に、各仕様に対する被験者のコメントでも、被験者は仕様ごとに違いを感じていることがわかった(図12参照)。被験者の中には、ヨー運動特性は変化していないにも関わらず(図6参照)、ヨー運動の変化についてコメントしている被験者がいた。
4.まとめ
以上の結果より、Gβ・Tβの値に応じて、ドライバパラメータ及び官能評価において性能評価が変わることがわかった。より詳しくは、Gβ・Tβの値が小さいほど(特に仕様1)、ドライバパラメータ及び官能評価の両方において、性能評価が良いことがわかった。したがって、本実施形態によれば、Gβ・Tβを可変パラメータとして適用することで、車体横すべり角の過渡特性を変更したシミュレーションを適切に行うことができることが見出された。
また、「2−2.車速に応じた車体横すべり角の特性」のセクションで述べたように、車速に応じてGβ・Tβの値が増加する。加えて、「発明が解決しようとする課題」のセクションで述べたように、車体横すべり角はヨー運動と横運動に介在している。これらから、高速になるにつれて運転操作が難しくなることの要因として、ヨー運動と横運動との相対的な差(特に過渡的な差)が広がると考えられる。
5.適用例
次に、上記したシミュレーション方法の内容を実際の車両に適用した例について述べる。
図14は、本発明による車両挙動の制御方法を適用した車両の概略構成図である。図14に示すように、車両は、主に、ドライバによって操作されるステアリング20と、前輪23(23a、23b)と、この前輪23を転舵させるための前輪操舵機構21と、後輪24(24a、24b)と、この後輪24を転舵させるための後輪操舵機構22と、前輪23及び後輪24を別個に転舵させるべく、前輪操舵機構21及び後輪操舵機構22を制御するコントローラ25と、を有する。このように、車両は、四輪操舵(4WS(4 Wheel Steering))を実施可能に構成されている。例えば、コントローラ25は、前輪23a、23b、後輪24a、24bのそれぞれを舵角θF1、θF2、θR1、θR1に設定するように、前輪操舵機構21及び後輪操舵機構22の各々を制御する。
このような四輪操舵が可能なシステムでは、ヨー運動と横運動との関係を制御することができる。具体的には、横運動は、車両に働く横方向の力の和に起因する運動に相当し、ヨー運動は、車両において前側部分に働く横方向の力と後ろ側部分に働く横方向の力との差に起因する運動に相当するので、四輪操舵が可能なシステムによれば、前輪23及び後輪24のそれぞれの舵角を別個に変えることで、車両に働く横方向の力の差を変化させることができ、その結果、ヨー運動と横運動との関係を制御することができるのである。
したがって、本実施形態では、コントローラ25は、現在の車速及び実舵角に基づき、上記したGβ・Tβに応じて車両のヨー運動及び横運動を調整すべく、前輪操舵機構21及び後輪操舵機構22を制御する。つまり、コントローラ25は、ヨー運動と横運動との関係が、現在の車速及び実舵角に応じた所望の関係となるように、前輪操舵機構21及び後輪操舵機構22を制御する。例えば、ヨー運動と横運動との所望の関係を実現するためのGβ・Tβの値を、車速に対応付けたマップとして作成しておくと共に、このようなGβ・Tβの値を実現するための前輪操舵機構21及び後輪操舵機構22の制御値(前輪23及び後輪24のそれぞれの実舵角に対応する)を規定したマップを作成しておき、コントローラ25は、そのようなマップを参照して、前輪操舵機構21及び後輪操舵機構22に対する制御を行う。
1つの例では、上述したようなGβ・Tβの値が小さいほど性能評価が良いという実験結果を受けて、コントローラ25は、Gβ・Tβが小さくなるように、例えばGβ・Tβが所定値(車速に応じて変化させるものとする)以下となるように、前輪操舵機構21及び後輪操舵機構22を制御する。
他の例では、コントローラ25は、ヨー運動と横運動との過渡的な差が小さくなるように、車速に応じたGβ・Tβに基づき、前輪操舵機構21及び後輪操舵機構22を制御する。この場合、ヨー運動と横運動との過渡的な差を小さくするためのGβ・Tβは比較的小さな値となる。よって、当該制御は、上記したGβ・Tβが小さくなるようにする制御と類似したものとなる。
以上述べた本実施形態によれば、Gβ・Tβを用いて車体横すべり角を調整して、ヨー運動と横運動との関係を適切に制御することができる。具体的には、Gβ・Tβを用いて車体横すべり角の過渡特性を調整して、ヨー運動と横運動との相対的な差を制御することができる。これにより、操舵により旋回するときの車両挙動に対するフィーリングを向上させることができる、つまりドライバが操舵したときに感じる操縦安定性(車両応答性など)を向上させることができる。その結果、本実施形態によれば、旋回時の修正操舵を低減することができ、操縦安定性が更に向上して、ドライビングフィーリングをより一層向上させることができる。
ここで、本実施形態による作用効果をより詳しく説明する。通常、ドライバは、車両の向きに対して車両が進んでいる方向を何らかの方法で認識しようとする。熟練したドライバは、経験により、車速が高いと、車両の向きに対して車両が外側に進んでいることを認識し、車速が低いと、車両の向きに対して車両が内側に進んでいることを認識する傾向にある。このとき、舵角変化が生じたときに、車両の向きに対する車両が進んでいる方向の変化が小さければ、遠方での自車の位置を予測しやすくなり、車両を意のままに操ることができるようになる。
上記した本実施形態によれば、Gβ・Tβを用いてヨー運動と横運動との関係を制御するので、操舵時(詳しくは舵角が変化しているとき)において車両の向きに対する車両が進んでいる方向の変化を小さくすることができる。したがって、本実施形態によれば、車両の操縦安定性が向上して、旋回時の修正操舵を低減することができるのである。
なお、上記した適用例では、本発明による車両挙動の制御方法を、四輪操舵が可能な車両に適用していたが、本発明の適用はこれに限定はされない。これ以外にも、本発明は、例えば、各輪の制駆動力を独立して制御できるよう構成された車両にも適用可能である。要は、各輪に働く力(横力だけだなく縦力も含む)の分布を制御できるように構成された種々の車両に、本発明を適用可能である。
1 ドライビングシミュレータシステム
2 ドライビングシミュレータ
4、20 ステアリング
6 シート
8 表示部
10、25 コントローラ
12 ヨー運動用アクチュエータ
14 横運動用アクチュエータ
21 前輪操舵機構
22 後輪操舵機構
23 前輪
24 後輪

Claims (8)

  1. 車両挙動の制御方法であって、
    車速を取得する工程と、
    ステアリングの操舵に対応する車輪の実舵角を取得する工程と、
    取得された上記車速及び上記実舵角に基づき、実舵角に対する車体横すべり角の伝達関数を規定する、(1)実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、(2)実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値に応じて、車両のヨー運動及び横運動を制御する工程と、
    を有する、ことを特徴とする車両挙動の制御方法。
  2. 上記制御する工程では、上記第1パラメータと上記第2パラメータとを積算した値を用いて、上記車速及び上記実舵角に応じて車体横すべり角を調整することで、上記ヨー運動と上記横運動との関係を制御する、請求項1に記載の車両挙動の制御方法。
  3. 上記制御する工程では、上記ヨー運動と上記横運動との相対的な差が小さくなるように、上記第1パラメータと上記第2パラメータとを積算した値を用いて上記車体横すべり角の過渡特性を調整する、請求項2に記載の車両挙動の制御方法。
  4. 上記制御する工程では、上記第1パラメータと上記第2パラメータとを積算した値が小さくなるように上記ヨー運動及び上記横運動を制御する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両挙動の制御方法。
  5. 上記第1パラメータと上記第2パラメータとを積算した値は、正の値の範囲内において車速に応じて大きくなる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両挙動の制御方法。
  6. 上記第1パラメータは次式により表される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両挙動の制御方法。

    Figure 2018171949

    ここで、上式において、

    Figure 2018171949

    Figure 2018171949
    「m」は車両の質量であり、「V」は車速であり、「l」はホイールベースであり、「lf」は車両重心点と前輪の車軸との距離であり、「lr」は車両重心点と後輪の車軸との距離であり、「Kf」は前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー、「Kr」は後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーであり、「δ」は車輪の実舵角であり、「β」は車体スリップ角である。
  7. 上記第2パラメータは次式により表される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両挙動の制御方法。

    Figure 2018171949

    ここで、上式において、「Tβ」は第2パラメータであり、「m」は車両の質量であり、「V」は車速であり、「I」は車両のヨー慣性モーメントであり、「l」はホイールベースであり、「lf」は車両重心点と前輪の車軸との距離であり、「lr」は車両重心点と後輪の車軸との距離であり、「Kf」は前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー、「Kr」は後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーであり、「β」は車体スリップ角である。
  8. ドライビングシミュレータを用いた車両挙動のシミュレーション方法であって、
    上記ドライビングシミュレータに適用する車速を取得する工程と、
    上記ドライビングシミュレータに適用する車輪の実舵角を取得する工程と、
    取得された上記車速及び上記実舵角に基づき、実舵角に対する車体横すべり角の伝達関数を規定する、(1)実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、(2)実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値に応じて、車両のヨー運動及び横運動を模擬した運動を上記ドライビングシミュレータにより被験者に与える工程と、
    を有する、ことを特徴とする車両挙動のシミュレーション方法。
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