JP2018171949A - 車両挙動の制御方法及び車両挙動のシミュレーション方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このように構成された本発明によれば、実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値を用いることで、ヨー運動及び横運動を適切に制御できるようになる。すなわち、車速及び実舵角に適した所望のヨー運動及び横運動を実現できるようになる。これにより、本発明によれば、操舵により旋回するときの車両挙動に対するフィーリングを向上させることができる、つまりドライバが操舵したときに感じる操縦安定性(車両応答性など)を向上させることができる。
このように構成された本発明によれば、第1パラメータと第2パラメータとを積算した値を用いて、車速及び実舵角に応じて車体横すべり角を調整することで、ヨー運動及び横運動をより適切に制御できるようになる。
このように構成された本発明によれば、ヨー運動と横運動との相対的な差が小さくなるので、操舵時(詳しくは舵角が変化しているとき)において車両の向きに対する車両が進んでいる方向の変化を小さくすることができる。したがって、本発明によれば、車両の操縦安定性が向上して、旋回時の修正操舵を低減することができる。その結果、操縦安定性が更に向上して、ドライビングフィーリングをより一層向上させることができる。
このように構成された本発明によっても、ヨー運動と横運動との相対的な差が小さくなるので、車両の操縦安定性が向上して、旋回時の修正操舵を低減することができる。
ここで、上式において、
「m」は車両の質量であり、「V」は車速であり、「l」はホイールベースであり、「lf」は車両重心点と前輪の車軸との距離であり、「lr」は車両重心点と後輪の車軸との距離であり、「Kf」は前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー、「Kr」は後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーであり、「δ」は車輪の実舵角であり、「β」は車体スリップ角である。
ここで、上式において、「Tβ」は第2パラメータであり、「m」は車両の質量であり、「V」は車速であり、「I」は車両のヨー慣性モーメントであり、「l」はホイールベースであり、「lf」は車両重心点と前輪の車軸との距離であり、「lr」は車両重心点と後輪の車軸との距離であり、「Kf」は前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー、「Kr」は後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーであり、「β」は車体スリップ角である。
このように構成された本発明によれば、実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値を可変パラメータとして適用することで、車体横すべり角の過渡特性を変更したシミュレーションを適切に行うことができる。
まず、図1を参照して、本発明の実施形態によるドライビングシミュレータシステムについて説明する。図1は、本発明の実施形態による車両挙動の制御方法及び車両挙動のシミュレーション方法を適用したドライビングシミュレータシステムの概略構成図である。
次に、上記したドライビングシミュレータシステム1を利用した、本実施形態によるシミュレーション方法について説明する。
最初に、本実施形態によるシミュレーション方法において適用する車両運動モデルの伝達関数について説明する。
m:車両の質量
I:車両のヨー慣性モーメント
l:ホイールベース
lf:車両重心点と前輪の車軸との距離
lr:車両重心点と後輪の車軸との距離
Kf:前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー
Kr:後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワー
δ:前輪の実舵角
y:横変位
r:ヨーレート
β:車体横すべり角
s:ラプラス演算子
上述した式(3)より、操舵に対する車体横すべり角の特性は、Gβ、Tβ、ωn、ζの応答パラメータに応じたものとなる。これら応答パラメータの中で車体横すべり角に固有のパラメータは、Gβ及びTβとなる。以下では、Gβ及びTβにおける車速に応じた変化について説明する。
他方で、Tβは、所定車速未満の範囲においては、正の値となり、車速が高くなるにつれて増加する。一方で、所定車速以上の範囲においては、Tβは、負の値となり(つまり所定車速を境に正負が入れ替わる)、且つ車速が高くなるにつれて負の値の範囲内において増加する。例えば、Tβは、実舵角が変化しているときは、車輪の方向(車体横すべり角に相当)が少し外側に向き、実舵角が変化しなくなると車輪の方向(車体横すべり角に相当)が一定になるという傾向を示すものとなる。
次に、図4を参照して、本実施形態によるシミュレーション方法において適用する、具体的な車両運動モデルについて説明する。図4は、本実施形態において適用する水平運動の概念モデルを示す。このモデルは、上記した応答パラメータにより、ヨーと車体横すべり角特性を独立して調整するようにしたモデルである。
次に、図5を参照して、本実施形態によるシミュレーション方法を実現すべく、ドライビングシミュレータシステム1のコントローラ10が行う処理フローについて説明する。
なお、このステップS4の処理が終了したら、コントローラ10は、ステップS2に戻り、ステップS2以降の処理を再度行う。この場合、コントローラ10は、最初のステップS1の処理において取得した各種パラメータの値を用いて、ステップS2以降の処理を行う。
但し、他の例では、ステップS4の終了後、コントローラ10は、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理を再度行ってもよい。この例では、コントローラ10は、ステップS1において、前輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーKf及び後輪1輪あたりのタイヤコーナリングパワーKrのそれぞれの現在の値を再び取得して、これらのタイヤコーナリングパワーKf、Krの値を用いてステップS2以降の処理を行う。こうすることで、より精度の高いシミュレーションを実現することができる。
次に、本実施形態によるシミュレーション方法をドライビングシミュレータシステム1に適用して行った、具体的な実験の内容について説明する。
図6は、本実験において適用した応答パラメータに関する応答を示す。具体的には、図6は、本実験において適用した前輪の実舵角δ、ヨーレートr及び車体横すべり角βのそれぞれの時間変化を示している。
図7は、本実験で適用する実験モードについての説明図である。図7において、符号PY1、C1は、車両のレーンチェンジ前の道路を規定するパイロン及び中央線をそれぞれ示し、符号PY2、C2は、車両のレーンチェンジ後の道路を規定するパイロン及び中央線をそれぞれ示している。これら道路の幅は3.0[m]であり、これら道路の中央線C1、C2の間隔は2.5[m]であり、これら道路間の距離、つまりレーンチェンジ区間は35[m]であるものとする。
従来の研究において、計測されたドライバの操舵行動と車両運動から、ドライバモデルのパラメータを算出し、運動性能の評価手法が提案されている。特に、当該研究では、そのような評価手法を応答パラメータωn、ζの検討に適用し、官能評価と相関するという結果が得られている。したがって、本実験でも同様の手法を利用した。
図9、図10、図11は、上述した実験により、ドライバ(被験者)A〜Eから仕様1〜3について得られたドライバパラメータτL、h、τhの算出結果をそれぞれ示している。
以上の結果より、Gβ・Tβの値に応じて、ドライバパラメータ及び官能評価において性能評価が変わることがわかった。より詳しくは、Gβ・Tβの値が小さいほど(特に仕様1)、ドライバパラメータ及び官能評価の両方において、性能評価が良いことがわかった。したがって、本実施形態によれば、Gβ・Tβを可変パラメータとして適用することで、車体横すべり角の過渡特性を変更したシミュレーションを適切に行うことができることが見出された。
次に、上記したシミュレーション方法の内容を実際の車両に適用した例について述べる。
他の例では、コントローラ25は、ヨー運動と横運動との過渡的な差が小さくなるように、車速に応じたGβ・Tβに基づき、前輪操舵機構21及び後輪操舵機構22を制御する。この場合、ヨー運動と横運動との過渡的な差を小さくするためのGβ・Tβは比較的小さな値となる。よって、当該制御は、上記したGβ・Tβが小さくなるようにする制御と類似したものとなる。
上記した本実施形態によれば、Gβ・Tβを用いてヨー運動と横運動との関係を制御するので、操舵時(詳しくは舵角が変化しているとき)において車両の向きに対する車両が進んでいる方向の変化を小さくすることができる。したがって、本実施形態によれば、車両の操縦安定性が向上して、旋回時の修正操舵を低減することができるのである。
2 ドライビングシミュレータ
4、20 ステアリング
6 シート
8 表示部
10、25 コントローラ
12 ヨー運動用アクチュエータ
14 横運動用アクチュエータ
21 前輪操舵機構
22 後輪操舵機構
23 前輪
24 後輪
Claims (8)
- 車両挙動の制御方法であって、
車速を取得する工程と、
ステアリングの操舵に対応する車輪の実舵角を取得する工程と、
取得された上記車速及び上記実舵角に基づき、実舵角に対する車体横すべり角の伝達関数を規定する、(1)実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、(2)実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値に応じて、車両のヨー運動及び横運動を制御する工程と、
を有する、ことを特徴とする車両挙動の制御方法。 - 上記制御する工程では、上記第1パラメータと上記第2パラメータとを積算した値を用いて、上記車速及び上記実舵角に応じて車体横すべり角を調整することで、上記ヨー運動と上記横運動との関係を制御する、請求項1に記載の車両挙動の制御方法。
- 上記制御する工程では、上記ヨー運動と上記横運動との相対的な差が小さくなるように、上記第1パラメータと上記第2パラメータとを積算した値を用いて上記車体横すべり角の過渡特性を調整する、請求項2に記載の車両挙動の制御方法。
- 上記制御する工程では、上記第1パラメータと上記第2パラメータとを積算した値が小さくなるように上記ヨー運動及び上記横運動を制御する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両挙動の制御方法。
- 上記第1パラメータと上記第2パラメータとを積算した値は、正の値の範囲内において車速に応じて大きくなる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両挙動の制御方法。
- ドライビングシミュレータを用いた車両挙動のシミュレーション方法であって、
上記ドライビングシミュレータに適用する車速を取得する工程と、
上記ドライビングシミュレータに適用する車輪の実舵角を取得する工程と、
取得された上記車速及び上記実舵角に基づき、実舵角に対する車体横すべり角の伝達関数を規定する、(1)実舵角により生じる車体横すべり角のゲインを示す第1パラメータと、(2)実舵角の変化に起因する車体横すべり角の過渡的変化を示す第2パラメータと、を積算した値に応じて、車両のヨー運動及び横運動を模擬した運動を上記ドライビングシミュレータにより被験者に与える工程と、
を有する、ことを特徴とする車両挙動のシミュレーション方法。
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