JP2018171616A - 地下水浄化方法および地下構造物 - Google Patents

地下水浄化方法および地下構造物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018171616A
JP2018171616A JP2018064670A JP2018064670A JP2018171616A JP 2018171616 A JP2018171616 A JP 2018171616A JP 2018064670 A JP2018064670 A JP 2018064670A JP 2018064670 A JP2018064670 A JP 2018064670A JP 2018171616 A JP2018171616 A JP 2018171616A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
groundwater
nitrate nitrogen
sulfur
filler
columnar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018064670A
Other languages
English (en)
Inventor
裕史 嘉森
Yasushi Kamori
裕史 嘉森
福永 和久
Kazuhisa Fukunaga
和久 福永
英一郎 今安
Eiichiro Imayasu
英一郎 今安
史 樺島
Chikashi Kabashima
史 樺島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel and Sumikin Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel and Sumikin Engineering Co Ltd filed Critical Nippon Steel and Sumikin Engineering Co Ltd
Publication of JP2018171616A publication Critical patent/JP2018171616A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

Landscapes

  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Treatment Of Biological Wastes In General (AREA)

Abstract

【課題】汚染領域が広範囲であっても、地下水中の硝酸性窒素を容易に除去できる地下水浄化方法を提供する。【解決手段】地下滞水層に複数の空間を互いに離間させて形成し、前記空間内にそれぞれ、硫黄成分を含む溶出成分を地下水中に溶出する充填材2を充填し、複数の構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gを互いに離間させて配置する構造物形成工程と、各構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gと接触する地下水中に前記充填材2から溶出した前記溶出成分によって、前記地下滞水層に生息し、前記溶出成分を利用して前記地下水中から硝酸性窒素を除去する微生物の代謝を活性化する浄化工程とを有する地下水浄化方法とする。【選択図】図1

Description

本発明は、地下水浄化方法および地下構造物に関する。
近年、地下水の浄化方法として、嫌気性微生物を用いる方法が提案されている。
例えば、有機塩素系化合物で汚染された土壌および地下水を浄化する方法として、特許文献1に記載の方法がある。特許文献1に記載の方法では、炭素数が6以上の直鎖状飽和モノカルボン酸を主成分とした固体成形品の栄養塩と、栄養塩を充填するために土壌及び帯水層を掘って形成した浄化壁とを用いる。浄化壁は、土壌及び地下水の汚染部/その拡散域を縦断する地下水の下流側に遮蔽するように設置され、浄化壁の前記栄養塩によって嫌気性微生物を増殖かつ活性化させ、汚染部および拡散域の揮発性有機化合物を分解処理する工法が記載されている。
また、有機塩素系化合物で汚染された土壌の浄化方法として、特許文献2に記載の方法がある。特許文献2に記載の方法では、帯水層の汚染領域の上流側に設けた井戸内に、徐放性を有する栄養塩を備えた微粉状の多孔質粉体を充填する。そして、井戸内において多孔質粉体に嫌気性微生物を増殖させ、前記井戸から徐放性を有する栄養塩および嫌気性微生物を備えた多孔質粉体を、汚染領域の土壌粒子間へ地下水とともに移動させることにより、汚染土壌を浄化する。
また、硫黄脱窒細菌による生物的処理によって排水中の硝酸性窒素を脱窒処理する方法として、特許文献3に記載の方法が提案されている。特許文献3に記載の方法では、カルシウムおよび/またはマグネシウムの炭酸塩並びに硫黄を主成分とする粒状あるいは塊状の多孔質混合物と粒状または塊状の琉球石灰岩とを混合してなる充填層に硫黄脱窒細菌を担持させ、前記硫黄脱窒細菌を担持させた充填層に硝酸性窒素を含む排水を通水することで前記排水に含まれる硝酸性窒素を脱窒する。
特開2005−279394号公報 特開2008−29929号公報 特開2014−223612号公報
近年、硝酸性窒素による地下水の汚染が問題となっている。また、硝酸性窒素による地下水の汚染は、汚染領域が広範囲となる場合が多い。このため、汚染領域が広範囲であっても、地下水中の硝酸性窒素を容易に除去できる方法を提供することが要求されていた。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、汚染領域が広範囲であっても、地下水中の硝酸性窒素を容易に除去できる地下水浄化方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記地下水浄化方法に用いる地下構造物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。
その結果、硫黄成分を含む溶出成分を地下水中に溶出する充填材が充填された複数の構造物を、汚染領域に点在させればよいことを見出し、本発明を想到した。
すなわち、本発明は以下の事項に関する。
[1]地下滞水層に複数の空間を互いに離間させて形成し、前記空間内にそれぞれ、硫黄成分を含む溶出成分を地下水中に溶出する充填材を充填し、複数の構造物を互いに離間させて配置する構造物形成工程と、
各構造物と接触する地下水中に前記充填材から溶出した前記溶出成分によって、前記地下滞水層に生息し、前記溶出成分を利用して前記地下水中から硝酸性窒素を除去する微生物の代謝を活性化する浄化工程とを有することを特徴とする地下水浄化方法。
[2]前記構造物と接触する地下水中の硝酸性窒素濃度が、1〜100mg/Lであることを特徴とする[1]に記載の地下水浄化方法。
[3]前記溶出成分が、有機物を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の地下水浄化方法。
[4]地下滞水層に互いに離間させて配置され、硫黄成分を含む溶出成分を地下水中に溶出する充填材が充填された複数の構造物からなることを特徴とする地下構造物。
[5]前記溶出成分が、有機物を含むことを特徴とする[4]に記載の地下構造物。
本発明の地下水浄化方法では、各構造物と接触する地下水中に充填材から溶出した溶出成分によって、地下滞水層に生息し、溶出成分を利用して地下水中から硝酸性窒素を除去する微生物の代謝を活性化する。このため、本発明の地下水浄化方法によれば、地下滞水層における各構造物よりも下流域の広い領域内で、微生物の代謝が促進され、地下水中の硝酸性窒素が除去され、地下水が浄化される。
また、本発明の地下水浄化方法を用いることで、例えば、地下滞水層から汲み上げた汚染水を、硝酸性窒素を除去する微生物を担持させた充填層に通水させる場合と比較して、汚染領域が広範囲であっても、容易に地下水中の硝酸性窒素を除去できる。また、本発明の地下水浄化方法では、例えば、構造物を平面視で連続して形成することにより壁状の構造物を設ける場合のように、大規模な構造物を形成する必要はなく、容易に地下構造物を形成できる。
本実施形態の地下構造物の一例を説明するための平面模式図である。 A市の地下滞水層に配置された柱状構造物とその周囲の領域を示した平面図である。 A市の地下滞水層に配置された柱状構造物とその周囲の領域を示した平面図である。
以下、本発明の地下水浄化方法および地下構造物について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。
「地下構造物」
図1は、本実施形態の地下構造物の一例を説明するための平面模式図である。図1において矢印は、地下水の流れの方向を示す。
本実施形態の地下構造物10は、地下水を生物学的に浄化するものである。図1に示す地下構造物10は、複数の柱状構造物(構造物)1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gからなる。各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gは、地下滞水層に互いに離間させて不連続に配置されている。
上記各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gは、各柱状構造物と接触した地下水中に充填材2から溶出成分を溶出できる構造であればよい。具体的には、上記各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gは、透水性を有し、地下水が通過する構造であることが望ましいが、透水性を有していなくてもよい。すなわち、各柱状構造物は、内部に地下水が入らず、地下水が構造物の表面を接触しながら流れる構造であってもよい。
各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gの形状は、柱状であればよく、平面形状および断面形状は特に限定されない。例えば、各柱状構造物の平面形状は、図1に示すように円形であってもよいし、楕円形、長円形、矩形などであってもよい。また、複数の柱状構造物は、それぞれ異なる形状であってもよいし、一部が同じ形状であってもよいし、図1に示すように、全てが同じ形状であってもよい。図1に示す柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gはいずれも、上面から下面まで直径が略均一である円柱状の形状を有している。
地下構造物10を形成している柱状構造物の数、隣接する柱状構造物間の距離、複数の柱状構造物の配置は、地下水の流速、地下水中の硝酸性窒素量および分布、設置する場所の地形などに応じて適宜決定できる。
例えば、図1に示すように、平面視で地下水の流れの方向と交差する方向に所定のピッチで離間させて複数の柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gを一列または複数列(図1では2列)並べて配置してもよい。複数の柱状構造物を2列以上配置する場合には、図1に示すように、隣接する列を形成している柱状構造物が千鳥状に配置されることが好ましい。
また、例えば、図1に示すように、複数の柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gの全てが同形の円柱状であって等間隔に配置されている場合、隣接する柱状構造物の外面間の最短距離は、各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gの外形の100%〜300%の寸法であることが好ましい。具体的には、隣接する柱状構造物の外面間の最短距離は、10m程度であってもよい。
また、図1に示すように、複数の柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gの全てが同形の円柱状であって等間隔に2列以上(図1では2列)並べて配置されている場合、列を形成している複数の柱状構造物(例えば、1a、1b、1c、1d)の中心を繋ぐ線と、隣接する他の列を形成している複数の柱状構造物(例えば、1e、1f、1g)の中心を繋ぐ線とが、各柱状構造物の外形の100%〜500%の寸法で一定の間隔で離間していることが好ましい。具体的には、列を形成している複数の柱状構造物の中心を繋ぐ線と、隣接する他の列を形成している複数の柱状構造物の中心を繋ぐ線とは、10m程度離間していてもよい。
各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gは、硫黄成分を含む溶出成分を地下水中に溶出する充填材2が充填されたものである。充填材2は、粒状または塊状であることが好ましい。充填材2としては、例えば、溶出成分を含む多孔質材料を用いてもよいし、多孔質基材に溶出成分を含浸させて付着させたものを用いてもよい。また、充填材2として、溶出成分をポリビニルアルコールなどの樹脂等に封じ込め、徐々に溶出するように加工したものを用いてもよい。充填材2としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上の充填材2を用いる場合、例えば、硫黄成分を溶出する充填材と、有機物を溶出する充填材とを混合して使用してもよい。
溶出成分を含む多孔質材料としては、例えば、硫黄成分である単体硫黄を溶出する多孔質材料などが挙げられる。単体硫黄を溶出する多孔質材料としては、例えば、硫黄とカルシウム成分とを等量ずつ混合して固化させ、5〜20mmに粒度調整したものがある。
溶出成分は、硫黄成分を含むものであればよく、有機物を含んでいてもよい。
溶出成分に含まれる硫黄成分としては、例えば、単体硫黄などが挙げられる。充填材中の溶出成分の濃度は、溶出成分がS(硫黄)である場合、1〜50mg/Lであることが好ましく、1〜10mg/Lであることがより好ましい。充填材中のS(硫黄)成分の濃度が1mg/L以上であると、地下滞水層における各柱状構造物よりも下流域の広い領域内での微生物の代謝がより一層促進される。また、充填材中のS(硫黄)成分の濃度が50mg/L以下であると、溶出成分が地下滞水層を汚染することを防止できる。
溶出成分に含まれる有機物としては、糖類、アルコール類、有機酸等が挙げられる。
「地下水浄化方法」
次に、本実施形態の地下水浄化方法について例を挙げて説明する。
本実施形態の地下水浄化方法では、まず、地下滞水層に複数の空間を、互いに離間させて形成する。空間の形成方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法により形成でき、空間の大きさや、数、空間を形成する場所の条件などに応じて適宜決定できる。
次に、空間内にそれぞれ、硫黄成分を含む溶出成分を地下水中に溶出する充填材2を充填する。このことにより、複数の柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gを互いに離間させて配置する(構造物形成工程)。
次いで、各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gと接触する地下水中に充填材2から溶出した溶出成分によって、硝酸性窒素を除去する微生物の脱窒反応に係る代謝を活性化する(浄化工程)。
各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gが透水性を有する場合、地下水と各柱状構造物とは、地下水が各柱状構造物内を通過するとともに各柱状構造物の表面に接して移動することにより接触する。各柱状構造物が透水性を有さない場合、地下水と各柱状構造物とは、地下水が各柱状構造物の表面に接して移動することにより接触する。
本実施形態において、地下水中から硝酸性窒素を除去する微生物は、もともと地下滞水層に生息している微生物であり、充填材2から溶出した溶出成分を利用する。微生物による地下水中から硝酸性窒素を除去する機能は、1種類のみの微生物によって得られる機能であってもよいし、特性の異なる複数種の微生物を組み合わせて得られる機能であってもよい。具体的には、地下水中から硝酸性窒素を除去する微生物として、特にシルト粘土層に広く生息している独立栄養細菌である硫黄酸化脱窒細菌を含む、複数種の細菌の組み合わせなどが挙げられる。上記の複数種の細菌には、上記の硫黄酸化脱窒細菌の他に、硫酸等の化合物を還元する硫黄還元菌などが含まれていてもよい。
上記の複数種の細菌は、嫌気的雰囲気にて地下水中から硝酸性脱窒を除去するため、地下水の酸化還元電位が−150mV〜−400mVの還元状態に保たれていることにより活性化される。
硫黄酸化脱窒細菌は、硫黄成分の一つである水に溶けにくい単体硫黄などを酸化し、硫酸等の化合物に変化させて、充填材2から溶出成分として地下水中に溶出させる。また、硫黄酸化脱窒細菌は、硫黄成分の酸化に必要な酸素分子を、硝酸性窒素から取出し、硝酸性窒素を窒素ガスに変化させる。このようにして、硫黄酸化脱窒細菌は、地下水中から硝酸性窒素を除去するとともに、硝酸性窒素を窒素ガスに変化させるエネルギーを利用して活動し増殖する。したがって、硫黄酸化脱窒細菌は、充填材2から溶出される硫黄成分を多く利用できる場所で、より多く増殖する。例えば、各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gが透水性を有する場合、硫黄酸化脱窒細菌は、各柱状構造物内への地下水の流入によって各柱状構造物内に入り込み、充填材2から溶出される硫黄成分を利用して各柱状構造物内で増殖する。
硫黄酸化脱窒細菌によって硫黄成分が酸化されて生成される硫酸等の化合物としては、硫酸の他に、チオ硫酸、亜硫酸などが挙げられる。
充填材2から溶出した硫酸等の化合物は、地下水によって各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gの下流域へと流れていく。各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gの下流域では、地下水の還元状態が継続する。このため、各柱状構造物の下流域では、当該地域にもともと生息する硫黄還元菌によって、硫酸等の化合物から酸素が除去され、還元性硫黄化合物(S2−、チオ硫酸、亜硫酸等)に還元される。
生成した還元性硫黄化合物は、再び硫黄酸化脱窒細菌による地下水中からの硝酸性窒素の除去に利用される。
硫黄還元菌は、硫酸等の化合物を還元して還元性硫黄化合物に変化させる際に、有機物を利用する。硫黄還元菌による硫酸等の化合物の還元には、硫黄還元菌の生息している土壌中にもともと存在している有機物などが用いられる。充填材2が有機物を含む溶出成分を溶出するものである場合、硫黄還元菌の利用する有機物として、充填材2から溶出された有機物が用いられることもある。硫黄還元菌に利用される有機物としては、糖類、アルコール類、有機酸等が挙げられ、硫黄還元菌の種類等に応じて決定される。
本実施形態の地下水浄化方法によって得られる地下水中の硝酸性窒素を除去する効果は、各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gの下流側100m程度の領域(以下、「浄化領域」ともいう。)まで達することが確認されている。
浄化領域は、各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gのうちの一つ(例えば、1a)を起点として、地下水の流れの方向の下流に扇形状に広がっていることが好ましい。浄化領域が扇形状に広がることにより、より広範囲にわたって地下水中の硝酸性窒素を除去できる。
浄化領域が扇形状に広がっている場合、扇形の半径(柱状構造物の中心から下流側の浄化領域までの距離)は、例えば、10m以上が好ましく、50m以上がより好ましい。扇形の半径が上記下限値以上であると、より広範囲にわたって地下水中の硝酸性窒素を除去しやすい。加えて、配置する柱状構造物の数を低減しやすい。扇形の半径の上限値は、大きいほど好ましいが、実質的には100m以下である。
扇形の半径は、地下水の流速、地下水中の硝酸性窒素量、充填材2の種類、充填材2から溶出される硫黄成分の濃度等により調整できる。
なお、扇形の半径は、10m未満であってもよく、マイナスであってもよい。ここで、扇形の半径がマイナスであるとは、柱状構造物よりも地下水の流れの方向の上流側にも浄化領域が広がっていることを意味する。扇形の半径がマイナスの一例として、例えば、−5mが挙げられる。
浄化領域が扇形状に広がっている場合、扇形の中心角は、例えば、20〜120°が好ましく、40〜90°が好ましい。扇形の中心角が上記下限値以上であると、より広範囲にわたって地下水中の硝酸性窒素を除去しやすい。扇形の中心角が上記上限値以下であると、地下水の流れの方向の硝酸性窒素濃度を低減しやすい。
扇形の中心角は、柱状構造物の種類、形状等により調整できる。
本実施形態の地下水浄化方法は、各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gと接触する地下水中の硝酸性窒素濃度が、1〜100mg/Lである場合に好適に用いることができ、1〜20mg/Lであることがより好ましい。
また、地下水中に充填材2から溶出する溶出成分が有機物を含む場合、浄化工程を行うことにより、溶出成分を利用して地下水中から有機物を除去する微生物(上述した硫黄還元菌など)の代謝が活性化されることもある。この場合、地下水中から硝酸性窒素が除去されるとともに、有機物も除去される。
本実施形態の地下水浄化方法では、地下滞水層における各柱状構造物1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gよりも下流域の広い領域内において、地下水の酸化還元電位が−150〜−400mVの嫌気条件となることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
図2は、A市の地下滞水層に配置された柱状構造物1とその周囲の領域を示した平面図である。図2に示す柱状構造物1は、以下に示す方法により形成した。
まず、地下滞水層に、平面視長径3.7m短径1.5mの略長円形で高さ4.7mの空間を、地下水の流れ方向と短径方向とを略平行に配置して形成した。次に、空間内に5〜20mmの粒度に調整したバチルロック(商品名:登録商標、新日鉄住金エンジニアリング株式会社製)を充填した。このことにより、透水性を有する柱状構造物1を形成した。
バチルロックは、硫黄とカルシウム成分とを等量ずつ混合して固化させたものである。
バチルロックを充填した柱状構造物1の近傍では、カルシウム成分から溶出したカルシウムイオン濃度、炭酸水素イオン濃度が高まる傾向がある。
柱状構造物1を形成してから1年後の地下水中の硝酸性窒素濃度(mg/L)として、観測井戸から採取した地下水の含有する硝酸性窒素を測定した。地下水中の硝酸性窒素濃度の観測位置(観測井戸)を図2において○で示す。また、図2において○の周囲に記載した数値は、測定した地下水中の硝酸性窒素濃度である。
図2に示すように、柱状構造物1よりも下流域の広い領域内で、柱状構造物1の上流域と比較して、地下水中の硝酸性窒素濃度が低くなった。
次に、図3に、図2における観測井戸を増やした領域を示した平面図を示す。図3における観測井戸A1、A2、A3、A4、B、C2、C4、C5は、図2における観測井戸と同じ観測井戸を表す。
仮想線P1は、観測井戸A2と、柱状構造物1の中心とを結ぶ地下水流向下流側に向かう直線である。観測井戸A2、A4、B、C2、C4は、仮想線P1上に位置している。観測井戸C1は、柱状構造物1の中心から+X方向20m、+Y方向50mに位置している。観測井戸C3は、柱状構造物1の中心から+X方向90m、+Y方向50mに位置している。観測井戸C6は、柱状構造物1の中心から+X方向90m、−Y方向100mに位置している。
図3における網掛けは、浄化反応が進行している範囲(浄化領域)を表す。浄化領域は、角度θを中心角とする扇形状に広がっている。
仮想線Q1は、観測井戸C3と柱状構造物1の+Y方向寄りの外縁とを結ぶ接線である。
仮想線Q2は、観測井戸C5と柱状構造物1の−Y方向寄りの外縁とを結ぶ接線である。
図3における浄化領域を表す扇形の半径は、103mであった。
図3における浄化領域を表す扇形の中心角は、58°であった。
表1に、図3における各観測井戸における柱状構造物1を形成してから1年後の地下水中の硝酸性窒素濃度(mg/L)、硫酸イオン濃度(mg/L)、カルシウムイオン濃度(mg/L)、炭酸水素イオン濃度(mg/L)を示す。
Figure 2018171616
表1に示すように、柱状構造物1の中心付近に位置する観測井戸Bでは、硝酸性窒素濃度が低く、硫酸イオン濃度、カルシウムイオン濃度、炭酸水素イオン濃度が高かった。このことは、観測井戸Bでは、充填材(バチルロック)による硝酸性窒素の除去(浄化反応)が進行していることを意味する。加えて、充填材から、硫黄成分とカルシウム成分が溶出していることを意味する。
柱状構造物1よりも地下水流向の上流域(観測井戸A1、A2、A3)では、硝酸性窒素濃度が2.0mg/Lよりも高かった。加えて、柱状構造物1よりも地下水流向の上流域では、硫酸イオン濃度が5.0mg/L以下だった。このことは、硫黄酸化脱窒細菌による硫黄成分の酸化反応が進行していないことを意味する。
観測井戸A4では、硫酸イオン濃度、カルシウムイオン濃度、炭酸水素イオン濃度が高かった。このことは、柱状構造物1の近傍では、充填材からの溶出成分の影響を受けやすいことを意味する。
観測井戸C2、C4、C5では、前記上流域よりも硝酸性窒素濃度が低かった。このことは、柱状構造物1よりも地下水流向の下流域では、浄化反応が進行していることを意味する。加えて、観測井戸C2、C4、C5では、前記上流域よりも硫酸イオン濃度が高かった。このことは、硫黄酸化脱窒細菌による硫黄成分の酸化反応が進行していることを意味する。
観測井戸C6では、前記上流域よりも硝酸性窒素濃度が高かった。このことは、観測井戸C6では、柱状構造物1による硝酸性窒素の除去の効果が得られていないことを意味する。
なお、観測井戸C1とC3で、前記上流域よりも硝酸性窒素濃度が高いのは、観測井戸C1とC3の上流で、硝酸性窒素含有肥料が散布されていた影響によるものと考えられる。
図3及び表1に示すように、柱状構造物1よりも下流域の広い領域内で、柱状構造物1の上流域と比較して、地下水中の硝酸性窒素濃度が低くなった。
加えて、柱状構造物1よりも下流域の広い領域内で、柱状構造物1の上流域と比較して、地下水中の硫酸イオン濃度が高くなった。
これらの結果から、柱状構造物1によれば、汚染領域が広範囲であっても、地下水中の硝酸性窒素を容易に除去できることが分かった。
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g・・・柱状構造物(構造物)、2・・・
充填材、10・・・地下構造物、A1、A2、A3、A4、B、C1、C2、C3、C4、C5、C6・・・観測井戸、P1、Q1、Q2・・・仮想線。

Claims (5)

  1. 地下滞水層に複数の空間を互いに離間させて形成し、前記空間内にそれぞれ、硫黄成分を含む溶出成分を地下水中に溶出する充填材を充填し、複数の構造物を互いに離間させて配置する構造物形成工程と、
    各構造物と接触する地下水中に前記充填材から溶出した前記溶出成分によって、前記地下滞水層に生息し、前記溶出成分を利用して前記地下水中から硝酸性窒素を除去する微生物の代謝を活性化する浄化工程とを有することを特徴とする地下水浄化方法。
  2. 前記構造物と接触する地下水中の硝酸性窒素濃度が、1〜100mg/Lであることを特徴とする請求項1に記載の地下水浄化方法。
  3. 前記溶出成分が、有機物を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地下水浄化方法。
  4. 地下滞水層に互いに離間させて配置され、硫黄成分を含む溶出成分を地下水中に溶出する充填材が充填された複数の構造物からなることを特徴とする地下構造物。
  5. 前記溶出成分が、有機物を含むことを特徴とする請求項4に記載の地下構造物。
JP2018064670A 2017-03-31 2018-03-29 地下水浄化方法および地下構造物 Pending JP2018171616A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017070447 2017-03-31
JP2017070447 2017-03-31

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020155654A Division JP7221257B2 (ja) 2017-03-31 2020-09-16 地下水浄化方法および地下構造物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018171616A true JP2018171616A (ja) 2018-11-08

Family

ID=64108063

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018064670A Pending JP2018171616A (ja) 2017-03-31 2018-03-29 地下水浄化方法および地下構造物
JP2020155654A Active JP7221257B2 (ja) 2017-03-31 2020-09-16 地下水浄化方法および地下構造物

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020155654A Active JP7221257B2 (ja) 2017-03-31 2020-09-16 地下水浄化方法および地下構造物

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP2018171616A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005000758A (ja) * 2003-06-10 2005-01-06 Ohbayashi Corp 水質浄化構造及びその構築方法
JP2010012438A (ja) * 2008-07-07 2010-01-21 Nippon Steel Engineering Co Ltd 硝酸性窒素含有地下水の浄化方法
JP2013022494A (ja) * 2011-07-19 2013-02-04 Kurita Water Ind Ltd 硝酸性窒素含有地下水の浄化方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3749617B2 (ja) * 1998-04-17 2006-03-01 新日本製鐵株式会社 硫黄酸化細菌の馴養方法および硫黄酸化細菌を用いた排水からの窒素の除去方法
JP4554833B2 (ja) * 2001-02-20 2010-09-29 新日鐵化学株式会社 排水中の硝酸性窒素除去装置及び方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005000758A (ja) * 2003-06-10 2005-01-06 Ohbayashi Corp 水質浄化構造及びその構築方法
JP2010012438A (ja) * 2008-07-07 2010-01-21 Nippon Steel Engineering Co Ltd 硝酸性窒素含有地下水の浄化方法
JP2013022494A (ja) * 2011-07-19 2013-02-04 Kurita Water Ind Ltd 硝酸性窒素含有地下水の浄化方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7221257B2 (ja) 2023-02-13
JP2021003702A (ja) 2021-01-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Cui et al. Removal of nutrients from wastewater with Canna indica L. under different vertical-flow constructed wetland conditions
CN107540094A (zh) 人工湿地污水处理系统
CN105776506A (zh) 一种Fe/C复合多孔结构材料及其制备方法和应用
JP3288843B2 (ja) 汚染土壌水系の生物的浄化方法
CN109574233B (zh) 一种添加沸石负载纳米零价铁的人工湿地系统
JP5244296B2 (ja) 透水性浄化壁及び汚染地下水の浄化処理方法
Cheikh et al. Denitrification of water in packed beds using bacterial biomass immobilized on waste plastics as supports
Elias et al. Ceramic industry wastewater treatment by rhizofiltration system-application of water hyacinth bioremediation
JP2012223733A (ja) 水質環境改善方法
Hsu et al. Using recoverable sulfurized magnetic biochar for active capping to remediate multiple heavy metal contaminated sediment
JP2012125665A (ja) 土壌汚染浄化方法
JP7221257B2 (ja) 地下水浄化方法および地下構造物
JP6274426B2 (ja) 硝酸性窒素の脱窒処理方法および脱窒処理装置
CN106927574A (zh) 一种含有天然矿物的潜流人工湿地及其处理草甘膦废水的方法和应用
JP7067746B2 (ja) 汚水処理装置
CN104418479A (zh) 一种污水治理河道底泥修复的方法
JP2009142783A (ja) 閉鎖性水域または干潟における底泥改質方法、および底泥改質用資材
Guilloteau et al. Wastewater treatment over sand columns–treatment yields, localisation of the biomass and gas renewal
CN113072191B (zh) 一种铁强化硫酸盐去除的人工湿地系统及使用方法与应用
EP3134349B1 (en) Process for the clean-up of waters contaminated by chlorinated solvents, nitrates and sulfates
CN115611433A (zh) 一种用于防治河道污染的生态滤池及防治河道污染的方法
KR101826756B1 (ko) 지하수의 질산성 질소 저감 시스템
Wang et al. Comparison of wastewater treatment efficiencies in packed bed bioreactors according to the nature of materials
JP2008173557A (ja) 透水性浄化壁及び汚染地下水の浄化処理方法
JP5244321B2 (ja) 透水性浄化壁及び汚染地下水の浄化処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191209

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20191209

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200406

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200616