本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、車椅子の車輪の洗浄/拭取作業を簡便かつスペース効率よく行うことができる、新規な構造の車椅子用車輪洗浄装置を提供することにある。
本発明の第一の態様は、車椅子が通行可能な通路部と、前記通路部の幅方向両側に配設されて、前記通路部の入口から出口に向かって順次配列された車輪洗浄部および車輪拭取部を備えており、前記車輪洗浄部が、前記車椅子の車輪を回転駆動させる駆動ローラと、該車輪に付着した汚れ等を除去するブラシローラを含んで構成されている一方、前記車輪拭取部が、前記車輪を回転駆動させる駆動ローラと、該車輪の表面を拭き取る拭取ローラを含んで構成されており、前記通路部の幅方向中央部分を、前記車椅子を押す補助者が通行可能となっていることを特徴とする。
本態様に従う車椅子用車輪洗浄装置によれば、従来構造の車輪洗浄装置のように車椅子の利用者が、一旦車椅子から降りた状態で使用する必要はなく、車椅子に利用者を乗せたままの状態で、車椅子および車椅子を押す補助者が通路部を通行して利用することができる。しかも、通路部の幅方向両側において、通路部の入口側から出口側に向かって車輪洗浄部と車輪拭取部が順番に配列されていることから、通路部の進むに従って車輪の洗浄および拭き取りをスムーズに行うことができる。
さらに、車輪洗浄部には、駆動ローラとブラシローラが配設されており、車輪を回転させつつ車輪に付着した汚れの除去が可能である。同様に、車輪拭取部には、駆動ローラと拭取ローラが配設されており、車輪を回転させつつ車輪の表面に付着した水分等を拭き取ることができる。これにより、車輪の径および周長が大きい後輪の洗浄/拭取をもコンパクトなスペースで行うことが可能であり、例えば、介護施設や病院のエントランス等の限られたスペース内に車椅子用車輪洗浄装置を設置することができる。その結果、利用者を車椅子に乗せて外出先から屋内に戻る際に、利用者を乗せたままの状態で通路部を通過するだけで、車椅子の車輪の洗浄/拭取の一連の作業をスペース効率良くかつ、車椅子の利用者や補助者に特別な動作を要することなく完了させることが可能となるのである。
なお、車輪洗浄部および車輪拭取部は、少なくとも車椅子の後輪の洗浄/拭取に用いられれば良いが、車椅子の前輪の洗浄/拭取に用いられてもよい。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記通路部の幅方向中央部分には、前記通路部の前記入口から前記出口に向かって順次配列された洗浄用マットと拭取用マットが配設されているものである。
本態様によれば、通路部の幅方向中央部分において、入口側に洗浄用マットが配設され、出口側に拭取用マットが配設されていることから、車椅子を押して通路部を通行する補助者の靴底の洗浄および拭き取りも、同時に行うことができる。これにより、外出から屋内に戻る際に利用者を乗せたまま補助者が通路部を通行するだけで、車輪の洗浄および拭き取りと、補助者自身の靴底の洗浄と拭き取りを完了させることができ、スムーズに屋内へ戻ることができる。
しかも、通路部に洗浄用マットと拭取用マットが配設されていることから、設備の大型化を伴うことなく、車輪および補助者の靴底の洗浄および拭き取りが可能な装置をコンパクトに提供することができる。それゆえ、病院や施設のエントランスの如き、スペースの限られた空間にもスペース効率よく設置することができる。
本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記洗浄用マットと前記拭取用マットの幅寸法が、前記車椅子の後輪間寸法よりも小さく、前記車椅子の前輪間寸法よりも大きい値に設定されているものである。
本態様によれば、洗浄用マットと拭取用マットの幅寸法が、車椅子の後輪間寸法よりも小さく、前輪間寸法よりも大きい値に設定されていることから、前輪間寸法が後輪間寸法よりも小さくされたタイプの車椅子においては、前輪の洗浄および拭き取りを、洗浄用マットおよび拭取用マットの上を通過させるだけで、完了することができる。すなわち、車輪の洗浄および拭き取りは、洗浄用マットおよび拭取用マット上を車輪を転がすことでも行い得るが、車椅子の前輪は後輪に比べて車輪の径寸法が十分に小さいことから、車輪の周長も短くなる。それゆえ、全長の寸法が限られた通路部に配設された洗浄用マットと拭取用マットであっても、前輪の周長程度の長さ寸法は充分に確保することができる。
そして、本態様の場合には、車輪洗浄部および車輪拭取部を車椅子の後輪専用に設計することも可能となり、車輪洗浄部および車輪拭取部の構造の簡素化等を図ることもできる。
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記車輪洗浄部および前記車輪拭取部の前記駆動ローラが、同一の駆動ローラを用いて構成されているものである。
本態様によれば、車輪洗浄部と車輪拭取部で駆動ローラを共用していることから、通路部の全長を駆動ローラ1つ分は短くすることができ、さらなるコンパクト化を図ることができる。
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記車輪洗浄部および前記車輪拭取部の前記駆動ローラが、前記補助者の動作を駆動力に変換する駆動機構を介して回転駆動されるようになっているものである。
本態様においては、駆動ローラが補助者の動作を駆動力に変換する駆動機構を介して回転駆動されるようになっていることから、駆動ローラの駆動源として電源を必要とすることがない。それゆえ、エントランスにコンセント等の電源設備が無い場合であっても、車椅子用車輪洗浄装置を設置することが可能となり、利用場所の選択自由度を向上させることができる。
本発明の第六の態様は、前記第五の態様に記載のものにおいて、前記駆動機構が、前記通路部の前記車輪洗浄部よりも入口側に配設された一対の自走ベルト部を含んで構成されており、各前記自走ベルト部は、前記通路部の幅方向で相互に離隔してかつ前記駆動ローラと平行に配設された前ローラおよび後ローラと、該前後ローラの間に配設されて前記補助者を支持する支持台と、前記前後ローラ間に架け渡されて支持台の表面に載置された環状の走行ベルトとを備えており、前記補助者が前記支持台上で足を前後させることで前記走行ベルトを回転させることにより、前記前後ローラを回転させ、前記前後ローラの何れか一方の出力軸と前記駆動ローラの軸に架け渡されたチェーンを介して前記前後ローラの何れか一方の回転駆動力が前記駆動ローラに伝達されて前記駆動ローラが回転駆動されるようになっているものである。
本態様によれば、車椅子を押して通路部に侵入した補助者が、入口に設けられた一対の自走ベルト部に両足を乗せ、両足を交互に前から後ろに向かって蹴り出すように前後させる動作を行うだけで、車輪洗浄部および車輪拭取部の駆動ローラを回転駆動させることができ、補助者の脚力を利用して有利に駆動ローラの駆動力を得ることができる。
本発明の第七の態様は、前記第五の態様に記載のものにおいて、前記駆動機構が、前記通路部の前記車輪洗浄部よりも入口側に配設された足踏式ペダル部を含んで構成されており、前記足踏式ペダル部は、前記補助者の左右脚部を支持する左右ペダル部と、該左右ペダル部の間に配設されて該左右ペダル部が連結されかつ前記駆動ローラと平行に延出する回転軸とを備えており、前記補助者が前記左右ペダル部を前記回転軸回りで交互に回転させることにより前記回転軸が回転されて、前記回転軸と前記駆動ローラの軸に架け渡されたチェーンを介して前記回転軸の回転駆動力が前記駆動ローラに伝達されて前記駆動ローラが回転駆動されるようになっているものである。
本態様によれば、車椅子を押して通路部に侵入した補助者が、入口に設けられた一対の足踏式ペダル部に両足を乗せ、両足を交互に前方に押したあと後方に引くように繰り返し回転させる動作を行うだけで、車輪洗浄部および車輪拭取部の駆動ローラを回転駆動させることができ、補助者の脚力を利用して有利に駆動ローラの駆動力を得ることができる。
本発明の第八の態様は、前記第五の態様に記載のものにおいて、前記駆動機構が、前記通路部の前記車輪洗浄部よりも入口側に配設されたステップ式駆動部を含んで構成されており、前記ステップ式駆動部は、前記補助者の左右脚部を支持する左右踏込部と、該左右踏込部の間に配設されて該左右踏込部が連結されかつ前記駆動ローラと平行に延出する回転軸とを備えており、前記補助者が前記左右踏込部上で前記左右脚部を交互に上下させることにより、前記回転軸が回転されて、前記回転軸と前記駆動ローラの軸に架け渡されたチェーンを介して前記回転軸の回転駆動力が前記駆動ローラに伝達されて前記駆動ローラが回転駆動されるようになっているものである。
本態様によれば、車椅子を押して通路部に侵入した補助者が、入口に設けられた一対のステップ式駆動部に両足を乗せ、両足を交互に上下させる動作を行うだけで、車輪洗浄部および車輪拭取部の駆動ローラを回転駆動させることができ、補助者の脚力を利用して有利に駆動ローラの駆動力を得ることができる。
本発明の第九の態様は、前記第五の態様に記載のものにおいて、前記駆動機構が、前記通路部の前記車輪洗浄部よりも入口側でかつ該通路部の上方に突設された回転ハンドル部を含んで構成されており、前記回転ハンドル部は、前記補助者が手で把持して回転可能に軸支されており、前記補助者が前記回転ハンドル部を回転させることにより該回転ハンドル部の出力軸と前記駆動ローラの軸の間に架け渡されたチェーンを介して前記回転ハンドル部の回転駆動力が前記駆動ローラに伝達されて前記駆動ローラが回転駆動されるようになっているものである。
本態様によれば、車椅子を押して通路部に侵入した補助者が、入口に突設された回転ハンドル部を手で把持して回転させることにより、車輪洗浄部および車輪拭取部の駆動ローラを回転駆動させることができ、補助者の腕力を利用して有利に駆動ローラの駆動力を得ることができる。
本発明の第十の態様は、前記第一乃至第九の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記通路部の少なくとも一方の側方には、前記車輪洗浄部および前記車輪拭取部よりも外方に位置して、前記通路部の長手方向に延出する手すり部が突設されているものである。
本態様によれば、通路部の少なくとも一方の側方の車輪洗浄部および車輪拭取部よりも外側に通路部の長手方向に延びる手すり部が設けられていることから、車輪の洗浄/拭取作業を安定して行うことができる。例えば、車椅子の車輪を車輪洗浄部および車輪拭取部で処理する際に、車椅子を何らかの連結手段で手すりに固定して、車椅子を位置決めするようにしてもよい。また、補助者が駆動ローラを回転駆動させるための動作をする際に、手すりを把持することで動作時の反力を得て、動作を安定して行い動作による回転駆動力を有利に得ることもできる。
本発明によれば、従来のように車椅子の利用者が車椅子から降りる必要はなく、車椅子に利用者を乗せたままの状態で、車椅子および車椅子を押す補助者が通路部を通行して利用できる。しかも、通路部の入口側から出口側に向かって車輪洗浄部と車輪拭取部が順番に配列されていることから、車輪の洗浄および拭き取りをスムーズに行うことができる。また、車輪洗浄部には駆動ローラとブラシローラが配設されていることから、車輪を回転させつつ車輪に付着した汚れを除去できる。同様に、車輪拭取部にも駆動ローラと拭取ローラが配設されていることから、車輪を回転させつつ車輪の表面に付着した水分等を拭き取ることができる。これにより、車輪の径および周長が大きい後輪の洗浄/拭取をもコンパクトなスペースで行うことが可能であることから、例えば介護施設や病院のエントランス等の限られたスペース内に本装置を設置できる。それゆえ、利用者を乗せたままの状態で通路部を通過するだけで、車椅子の車輪の洗浄/拭取の一連の作業をスペース効率良くかつ、車椅子の利用者や補助者に特別な動作を要することなく完了できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1〜5には、本発明の第一の実施形態としての車椅子用車輪洗浄装置10が示されている。図1〜2に示されているように、車椅子用車輪洗浄装置10は、車椅子12の利用者14を車椅子12に乗せたままの状態で、車椅子12および車椅子12を押す補助者16が通路部18を通行して利用することができるようになっている。かかる車椅子用車輪洗浄装置10は、図3〜4に示されているように、ローラ部20と、ローラ部20上に配設される台座部22、を含んで構成されている。なお、以下の説明において、上方とは、図1,図3〜5中の上方、下方とは、図1,図3〜5中の下方、また前方とは、図1,図3〜5中の左方および図2中の下方、後方とは、図1,図3〜5中の右方および図2中の上方を言うものとする。また、理解を容易とするため、車椅子12と利用者14と補助者16を仮想線で記載している。
ローラ部20は、図2,4に示されているように、例えば合成樹脂によって形成され平面視で略矩形平板形状の土台23を有しており、後方側(図2中、上方側)には、駆動機構を構成する自走駆動装置24が配設されるようになっている。また、ローラ部20の略中央部には、入口側(図2中、上方側)から、第1車輪支持ローラ26、ブラシローラ28、駆動ローラ30、拭取ローラ32、絞りローラ34、第2車輪支持ローラ36が設けられている一方、自走駆動装置24と駆動ローラ30との間には、駆動力伝達ローラ38が設けられている。
自走駆動装置24は、図2,4に示されているように、後述する通路部18の車輪洗浄部98よりも入口側(図2中、上方側)に配設されており、平面視で略矩形平板形状とされた底壁39上に長手方向(図2中、上下方向)に延びると共に通路部18の幅方向(図2中、左右方向)で相互に離隔するように配設された一対の自走ベルト部40,40を含んで構成されている。各自走ベルト部40はそれぞれ、底壁39から突出しかつ上方(図4中、上方)に向かって開口する平面視で略縦長矩形状の筒体形状の側壁部42を有しており、内部に長手方向(図2中、上下方向)に離隔して駆動ローラ30と平行に配設された前ローラ44および後ローラ46と、両ローラ44,46間に架け渡された略環状のゴム等からなる走行ベルト48と、走行ベルト48の上部の直下に設けられて両ローラ44,46間の略全長および自走ベルト部40の略全幅に亘って延びる支持台50と、を備えて構成されている。また、両ローラ44,46の幅方向(図2中、左右方向)の両端部はそれぞれ自走ベルト部40の側壁部42に回転自在に軸支されると共に、幅方向に対向する側壁部42間に架設されている。ここで、支持台50は幅方向に対向する側壁部42に対して固定されて補助者16を支持するように構成されており、補助者16が走行ベルト48上に乗った状態で走行ベルト48をスムーズに回転させることができるようになっている。さらに、駆動ローラ30側に配設された前ローラ44には、前ローラ44同士を連結する前ローラ軸54が設けられていると共に、前ローラ軸54の中間部分にはスプロケット56aが取り付けられている(図2参照)。
図2,4に示されているように、ローラ部20の略中央部において、最も入口側(図2中、上方側)には、第1車輪支持ローラ26が配設されている。かかる第1車輪支持ローラ26は幅方向(図2中、左右方向)に延びる中心軸を有する略円柱形状とされており、通路部18の幅方向の両端側に設けられている。そして、両第1車輪支持ローラ26の中心軸に設けられたローラ軸58aの両端部が、ローラ部20の土台23上に突設されかつ長手方向に延びる側面視で略矩形平板状の側壁60a,60bに回転自在に軸支され、幅方向に対向する側壁60a,60b間に架設されるようになっている。
第1車輪支持ローラ26に隣接して設けられていると共に、第1車輪支持ローラ26よりも出口側(図2中、下方側)には、ブラシローラ28が配設されている。ブラシローラ28は幅方向(図2中、左右方向)に延びる中心軸を有する略円柱形状とされており、通路部18の幅方向の両端側に設けられている。かかるブラシローラ28には、径方向外方に向かって突出するように多数の硬いブラシ状突起64が略全面に亘って植設されている。かかるブラシ状突起64は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂により形成されたブラシ毛状の束が、ブラシローラ28の図示しない植毛穴に植設されることにより構成されている。そして、両ブラシローラ28の中心軸に設けられたローラ軸58bの両端部が、ローラ部20に突設され長手方向に延びる側面視で略矩形平板状の側壁60a,60bに回転自在に軸支され、幅方向に対向する側壁60a,60b間に架設されるようになっている。なお、ローラ軸58bの一方の端部(図2中、左端部)側には、中心軸が一致するように歯車66aが取り付けられており、後述するように、かかる歯車66aを後述する駆動ローラ30に設けられた歯車66bと噛み合わせることにより駆動ローラ30とは逆回転となる回転駆動力が得られるようになっている。さらに、図2,4に示されているように、ブラシローラ28の配設位置において、例えば100ppmの次亜塩素酸水等からなる洗浄液68が貯留された平面視で略横長矩形状の貯液槽70が、略L字状の4つのガイド突起72で囲まれた領域に配設されており、ブラシローラ28のブラシ状突起64の上部が貯液槽70の上方開口部74が突出されている一方、ブラシローラ28の配設位置以外の領域における貯液槽70の上方開口部74が蓋部76によって長手方向両側から覆蓋されている。これにより、ブラシローラ28のブラシ状突起64に洗浄液68を含ませることが可能となると共にかかるブラシ状突起64によって後述する車椅子12の後輪102の洗浄が可能となる一方、蓋部76によりブラシ状突起64に含まされた洗浄液68が貯液槽70外に飛び散ることが有利に防止されている。
ブラシローラ28に隣接して設けられていると共に、ブラシローラ28よりも出口側(図2中、下方側)には、駆動ローラ30が配設されている。駆動ローラ30は幅方向(図2中、左右方向)に延びる中心軸を有する略円柱形状とされており、通路部18の幅方向の両端側に設けられている。そして、両駆動ローラ30の中心軸に設けられたローラ軸58cの両端部が、ローラ部20の土台23上に突設され長手方向に延びる側面視で略矩形平板状の側壁60a,60dに回転自在に軸支され、幅方向に対向する側壁60a,60d間に架設されるようになっている。なお、ローラ軸58cの一方の端部(図2中、左端部)側には、中心軸が一致するように歯車66bが取り付けられており、ブラシローラ28に設けられた歯車66aと噛み合わされている。さらに、歯車66bの外方(図2中、左方)には、スプロケット56bが取り付けられており、後述するように、かかるスプロケット56bを介して自走駆動装置24からの回転駆動力が伝達されるようになっている。
駆動ローラ30に隣接して設けられていると共に、駆動ローラ30よりも出口側(図2中、下方側)には、拭取ローラ32と絞りローラ34が並設されている。拭取ローラ32は幅方向(図2中、左右方向)に延びる中心軸を有する略円柱形状とされており、通路部18の幅方向の両端側に設けられている。かかる拭取ローラ32の外周面には、全面に亘って例えばビスコーススポンジ等の吸水性の高い部材が巻かれている。なお、拭取ローラ32は、吸水性に優れた任意の素材で構成され得る。一方、絞りローラ34は幅方向(図2中、左右方向)に延びる中心軸を有し拭取ローラ32よりも硬質で小径とされた略円柱形状とされており、通路部18の幅方向の両端側に設けられている。そして、両拭取ローラ32および両絞りローラ34の中心軸に設けられたローラ軸58d,58eの両端部が、ローラ部20に突設され長手方向に延びる側面視で略矩形平板状の側壁60a,60cに回転自在に軸支され、幅方向に対向する側壁60a,60c間に架設されるようになっている。図4に示されているように、拭取ローラ32と絞りローラ34は平面視で長手方向に一部分が重なるように配設されていることから、拭取ローラ32によって拭取られた洗浄液68が絞りローラ34に拭取ローラ32が押圧されることによって絞られて、拭取ローラ32と絞りローラ34の下方に配設された平面視で略横長矩形状の廃液槽78に溜められるようになっている。
拭取ローラ32および絞りローラ34に隣接して設けられていると共に、拭取ローラ32および絞りローラ34よりも出口側(図2中、下方側)には、第2車輪支持ローラ36が配設されている。第2車輪支持ローラ36は幅方向(図2中、左右方向)に延びる中心軸を有する略円柱形状とされており、通路部18の幅方向の両端側に設けられている。そして、両第2車輪支持ローラ36の中心軸に設けられたローラ軸58fの両端部が、ローラ部20に突設され長手方向に延びる側面視で略矩形平板状の側壁60a,60cに回転自在に軸支され、幅方向に対向する側壁60a,60c間に架設されるようになっている。
駆動力伝達ローラ38は、図2,4に示されているように、第1車輪支持ローラ26に隣接して設けられていると共に、第1車輪支持ローラ26よりも入口側(図2中、上方側)に配設されている。そして、駆動力伝達ローラ38の両端部が、ローラ部20の土台23上に突設されかつ長手方向に延びる側面視で略矩形平板状の側壁60d,60eに回転自在に軸支され、幅方向に対向する側壁60d,60e間に架設されるようになっている。また、駆動力伝達ローラ38の幅方向両端側には、スプロケット56c,56dが取り付けられており、自走駆動装置24の前ローラ軸54に取り付けられたスプロケット56aと駆動力伝達ローラ38に取り付けられた一方(図2中、右方)のスプロケット56cの間にチェーン80が架け渡されている一方、駆動力伝達ローラ38に取り付けられた他方(図2中、左方)のスプロケット56dと駆動ローラ30のローラ軸58cに取り付けられたスプロケット56bの間にチェーン80が架け渡されている。
一方、台座部22は、図1〜4に示されているように、水平に延びる平面視で略矩形平板形状とされた低床の台座部本体22aと、台座部本体22aの長手方向(図2中、上下方向)の両端部から外方斜め下方に向かって延びる平面視で略矩形平板形状とされた前スロープ22bと後スロープ22cを含んで構成されている。台座部本体22aの幅方向(図2中、左右方向)の両端部には、側面視で略平板形状のガイド壁82aが長手方向の全長に亘って上方に向かって突設されている。かかるガイド壁82aは、台座部本体22aの長手方向(図2中、上下方向)の両端部に連接する前スロープ22bと後スロープ22cに向かって延び出し、前スロープ22bと後スロープ22cの長手方向の全長に亘って設けられている。
前スロープ22bと後スロープ22cはいずれも台座部本体22aよりも幅広とされていることから、前スロープ22bと後スロープ22cには幅方向両側に平面視で略矩形平板状の張出部84が形成されている。また、前スロープ22bと後スロープ22cの幅方向両端部には、側面視で略平板形状のガイド壁82bが長手方向の全長に亘って上方に向かって突設されていると共に、下方に向かって側面視で略直角三角形状の脚部86が突設されている(図4参照)。かかる脚部86により、台座部22の台座部本体22aが配設されるローラ部20の土台23に対して水平状態に維持される一方、前スロープ22bと後スロープ22cが緩やかな傾斜面を構成することができるようになっている。なお、後スロープ22cの一方の脚部86には、駆動力伝達ローラ38が挿通可能なように図示しない切欠が設けられている。さらに、後スロープ22cの入口側(図2中、上方側)の幅方向中央部には、入口側に向かって開口する平面視で略矩形状の切欠部90が設けられている。
そして、台座部22の張出部84を除く領域に対して、長手方向(図2中、上下方向)の略中央部よりも入口側には洗浄液68を含んだ洗浄用マット92が略全面に亘って配設されている一方、長手方向の略中央部よりも出口側には例えばビスコーススポンジ等の吸収性の高い部材を含んで構成された拭取用マット94が略全面に亘って配設されるようになっている。
以上のような構成とされたローラ部20上に台座部22を配設することにより、本実施形態の車椅子用車輪洗浄装置10が完成されるようになっている。より詳細には、台座部22の入口側に設けられた後スロープ22cの切欠部90に自走駆動装置24が配設されると共に、台座部22の上面96と、台座部22の張出部84で長手方向に挟まれた領域によって通路部18が構成されている。そして、通路部18の幅方向両側すなわち台座部22の台座部本体22aの幅方向両脇に相当する、張出部84で長手方向に挟まれた領域において、通路部18の入口側(図2中、上側)から出口側(図2中、下側)に向かって車輪洗浄部98および車輪拭取部100が順次配設されている。ここで、車輪洗浄部98が、第1車輪支持ローラ26と駆動ローラ30とブラシローラ28を含んで構成されている一方、車輪拭取部100が、駆動ローラ30と拭取ローラ32および絞りローラ34と第2車輪支持ローラ36を含んで構成されている。このように、本実施形態の車椅子用車輪洗浄装置10では、車輪洗浄部98および車輪拭取部100の駆動ローラ30が、同一の駆動ローラ30を用いて構成されていることから、通路部18の全長を1つの駆動ローラ30分は短くできてコンパクト化が図られている。
また、通路部18の幅方向中央部分すなわち台座部22の張出部84を除く領域には、入口側(図2中、上側)から出口側(図2中、下側)に向かって洗浄用マット92と拭取用マット94が順次配設されている。より詳細には、図2に示されているように、洗浄用マット92と拭取用マット94の幅寸法:Wが、車椅子12の後輪102の間の寸法:W1よりも小さく、車椅子12の前輪104の間の寸法:W2よりも大きくなるように形成されている。
このような構造とされた本実施形態の車椅子用車輪洗浄装置10は、例えば建物の玄関などの出入口の床面105に設置されて、車椅子12が屋内に乗り入れる前に、車椅子12の後輪102および前輪104を洗浄するために用いられる。
先ず、図1に示されているように、補助者16が利用者14が乗った状態の車椅子12を、車椅子用車輪洗浄装置10に対して入口側(図1中、右側)から出口側(図1中、左側)に向かって乗り入れることによって、車椅子12の後輪102を車輪洗浄部98に配置すると共に、補助者16の両脚部106が自走駆動装置24の自走ベルト部40の走行ベルト48上に乗るようにする。より詳細には、図2に示されているように、かかる乗り入れに際しては、先ず、車椅子12の前輪104が台座部22の前スロープ22bおよび台座部本体22a上に設置された洗浄液68を含んだ洗浄用マット92上を走行することにより、車椅子12の前輪104の洗浄が行われるようになっており、さらに車椅子12の前輪104が台座部22の台座部本体22aおよび後スロープ22c上に設置された拭取用マット94上を走行することにより、車椅子12の前輪104に残る洗浄液68の拭取りが行われるようになっている。そして、車椅子12の後輪102が車輪洗浄部98に配置された状態になった際には、補助者16は両脚部106を自走駆動装置24の自走ベルト部40の走行ベルト48上に乗せる。続いて、補助者16が支持台50上の走行ベルト48上で脚部106を交互に前後させることにより走行ベルト48を右側面視で時計回りに回転させることができるようになっている。これによって走行ベルト48が架け渡されている前後ローラ44,46が回転し、かかる回転駆動力が前ローラ44の前ローラ軸54のスプロケット56aと駆動力伝達ローラ38のスプロケット56cに架け渡されたチェーン80を介して駆動力伝達ローラ38に伝達される。さらに、かかる駆動力伝達ローラ38に伝達された回転駆動力が駆動力伝達ローラ38のスプロケット56dと駆動ローラ30のスプロケット56bに架け渡されたチェーン80を介して駆動ローラ30に伝達されて、駆動ローラ30が右側面視で時計回りに回転駆動されるようになっている。このように、本実施形態では、車輪洗浄部98および車輪拭取部100を構成する共用の駆動ローラ30が、補助者16の走行動作を回転駆動力に変換する駆動機構たる自走駆動装置24を介して回転駆動することができるようになっているのである。
このようにして、駆動ローラ30を右側面視で時計回りに回転駆動することにより、図2に示されているように、歯車66a,66bを介してブラシローラ28が駆動ローラ30とは逆の右側面視で反時計回りに回転駆動されるようになっている。図5(a)に示されているように、車椅子12の後輪102が車輪洗浄部98に配置された状態において、車椅子12の後輪102が駆動ローラ30および第1車輪支持ローラ26に対して密着されている一方、ブラシローラ28に対しては車椅子12の後輪102がブラシ状突起64に押し当てられている。これにより、車椅子12の後輪102が駆動ローラ30および第1車輪支持ローラ26に支持されて反時計回りに回転駆動されることから、ブラシローラ28のブラシ状突起64と車椅子12の後輪102の接点において相互に逆方向に回転することになり、洗浄液68を含むブラシ状突起64によって車椅子12の後輪102の泥などによる汚れ等を後輪102の全周に亘って効率的に除去することができるようになっている。なお、かかるブラシローラ28のブラシ状突起64に付着した汚れは、その後貯液槽70の洗浄液68を潜らせることにより洗い流されるようになっている。
次に、図1に示されているように、補助者16が利用者14が乗った状態の車椅子12をさらに車椅子用車輪洗浄装置10に対して入口側(図1中、右側)から出口側(図1中、左側)に向かって押し込むことによって、車椅子12の後輪102を車輪拭取部100に配置すると共に、補助者16の両脚部106を自走駆動装置24の自走ベルト部40の走行ベルト48上に乗せる。より詳細には、上述の車輪洗浄部98の場合と同様にして補助者16が支持台50上の走行ベルト48上で脚部106を交互に前後させることによって、駆動ローラ30を右側面視で時計回りに回転駆動できるようになっている。図5(b)に示されているように、車椅子12の後輪102が車輪拭取部100に配置された状態において、車椅子12の後輪102が駆動ローラ30および第2車輪支持ローラ36に対して密着されている一方、拭取ローラ32に対しては車椅子12の後輪102が押し当てられている。これにより、車椅子12の後輪102が駆動ローラ30および第2車輪支持ローラ36に支持されて反時計回りに回転駆動される一方、拭取ローラ32が車椅子12の後輪102に押し当てられてつられて回転することにより、車輪洗浄部98において車椅子12の後輪102の表面に付着した洗浄液68等が効率的に拭取ローラ32に拭取られるようになっている。さらに、拭取ローラ32に拭取られた洗浄液68等は、絞りローラ34が拭取ローラ32に押し当てられてつられて回転することにより、車輪洗浄部98において拭取ローラ32に拭取られた洗浄液68等が効率的に絞りローラ34によって絞られて車輪拭取部100に配設された廃液槽78に溜められるようになっている。
最後に、図1に示されているように、補助者16が利用者14が乗った状態の車椅子12を、車椅子用車輪洗浄装置10の出口側(図1中、左側)に向かって押し出すことによって、車椅子12の後輪102が後スロープ22cの張出部84を走行して出口に到達することにより車椅子12の後輪102の洗浄/拭取が完了する。なお、この際には、補助者16は利用者14が乗った状態の車椅子12を押しつつ、通路部18の幅方向中央部分を歩行できるようになっている。かかる通路部18の幅方向中央部分すなわち台座部22の張出部84を除く領域には、入口側(図2中、上側)から出口側(図2中、下側)に向かって洗浄用マット92と拭取用マット94が順次配設されている。これにより、補助者16が車椅子12を押しながら通路部18の幅方向中央部分を歩行するだけで補助者16の脚部106の裏の洗浄と拭取りが行われるようになっている。
このような構造とされた車椅子用車輪洗浄装置10によれば、車椅子12が通行可能な通路部18の入口側(図2中、上側)から出口側(図2中、下側)に向かって車輪洗浄部98および車輪拭取部100が順次配設されていることから、補助者16が、利用者14が乗った状態の車椅子12を通路部18の入口側から出口側(図2中、下側)に走行しつつ車輪洗浄部98および車輪拭取部100において順次後輪102の洗浄および拭き取りを行うことができるようになっている。しかも、車輪洗浄部98には、後輪102を回転駆動させる駆動ローラ30と、駆動ローラ30とは逆方向に回転駆動されるブラシ状突起64を有するブラシローラ28が設けられていることから、後輪102の泥などによる汚れ等をブラシ状突起64によって後輪102の全周に亘って効率的に除去することができるようになっている。また、車輪拭取部100には、後輪102を回転駆動させる駆動ローラ30と、後輪102に押し当てられることによりつられて回転する拭取ローラ32が設けられていることから、車輪洗浄部98において車椅子12の後輪102の表面に付着した洗浄液68等を拭取ローラ32によって効率的に拭取ることができるようになっている。このように、後輪102を回転駆動しつつ洗浄/拭取の一連の作業を行うことができることから、径および周長が大きい後輪102であっても狭いスペースで作業を行うことが可能であり、例えば介護施設や病院のエントランス等の限られたスペース内においても本実施形態の車椅子用車輪洗浄装置10を設置することができるのである。
加えて、通路部18の幅方向中央部分すなわち台座部22の張出部84を除く領域には、入口側(図2中、上側)から出口側(図2中、下側)に向かって洗浄用マット92と拭取用マット94が順次配設されており、補助者16が車椅子12を押しながら通路部18の幅方向中央部分を歩行可能となっている。それゆえ、補助者16が車椅子12を押しながら通路部18の幅方向中央部分を歩行するだけで、補助者16脚部106の洗浄と拭取りができるようになっている。しかも、通路部18の幅方向中央部分に洗浄用マット92と拭取用マット94を配設しただけであることから、装置の大型化を有利に回避することが可能となっている。また、洗浄用マット92と拭取用マット94の幅寸法:Wが、車椅子12の後輪102の間の寸法:W1よりも小さく、車椅子12の前輪104の間の寸法:W2よりも大きくなるように形成されている。それゆえ、前輪104を、洗浄用マット92および拭取用マット94上を走行させることができる。前輪104は後輪102に比べて径寸法が十分に小さく周長も短いことから、長手方向の寸法が限られた通路部18に配設された洗浄用マット92と拭取用マット94であっても、前輪104の全周に亘って洗浄/拭取の作業を行うことができる。
また、補助者16が利用者14が乗った状態の車椅子12を入口側(図1中、右側)から出口側(図1中、左側)に向かって乗り入れることによって、車椅子12の後輪102を車輪洗浄部98に配置すると共に、補助者16の両脚部106を自走駆動装置24の自走ベルト部40の走行ベルト48上に乗るようにすることができる。そして、補助者16が支持台50上の走行ベルト48上で脚部106を交互に前後させることにより、車輪洗浄部98および車輪拭取部100の共用の駆動ローラ30を回転駆動させることができるようになっている。このように、本実施形態においては、人力によって車輪洗浄部98および車輪拭取部100の共用の駆動ローラ30を回転駆動させることができるようになっていることから、駆動ローラ30のために電源を必要としない。それゆえ、コンセント等の電源設備が無い場所にも本実施形態の車椅子用車輪洗浄装置10を設置することが可能となることから、設置場所の選択自由度を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでない。例えば、図6〜7に示す本発明の第二の実施形態としての車椅子用車輪洗浄装置110のように、通路部18の幅方向(図7中、左右方向)の両側方において、例えば金属製の手すり部112が突設されていてもよい。より詳細には、かかる手すり部112は、車輪洗浄部98および車輪拭取部100よりも外方に位置して(図7参照)、通路部18の長手方向(図7中、上下方向)に対して例えば台座部本体22aから自走駆動装置24の略全長に亘って延出すると共に、延出両端部が下方に向かって略L字状に折り曲げられて床面105に対して固定されるようになっている(図6参照)。これにより、後輪102を回転駆動しつつ洗浄および拭取作業を安定して行うことができる。すなわち、例えば車椅子12を図示しない何らかの連結手段により手すり部112に固定して、車椅子12を位置決め固定するようにしてもよいし、補助者16が手すり部112を把持することにより姿勢を安定させて、人力による回転駆動力を有利に得られるようにしてもよい。なお、本実施形態では、手すり部112は、通路部18の幅方向の両側方に設けられていたが、少なくとも一方の側方に設けられていればよい。また、手すり部112の材質や形状や設置位置については、必要に応じて任意に設定可能である。さらに、後述する全ての実施形態に対しても、本実施形態は適用可能である。
また、上記第一の実施形態では、図1に示されているように、駆動機構は自走駆動装置24によって構成されていたが、図8〜11に示す本発明の第三の実施形態としての車椅子用車輪洗浄装置114のように、駆動機構が足踏式ペダル部116を含んで構成されていてもよい。より詳細には、足踏式ペダル部116は、通路部18の車輪洗浄部98よりも入口側(図9中、上方側)に配設されており、例えば合成樹脂によって形成されている。かかる足踏式ペダル部116は、長手方向(図9中、上下方向)に延びる左右ペダル部118a,118bを含んで構成されており、左右ペダル部118a,118bは、幅方向(図9中、左右方向)で相互に離隔するように配設されている。また、左右ペダル部118a,118bの間には、長手方向に延びる底壁120aおよびかかる底壁120aの幅方向両端部から上方に向かって突出する側壁120bにより形成された樋状部120が配設されていると共に、駆動ローラ30と平行に延出しかつ側壁120bに対して回転自在に軸支された一対の回転軸121,121が長手方向(図9中、上下方向)に離隔して配設されている。そして、側壁120bから幅方向外方に向かって突出する一対の回転軸121,121の両端部に対して、左右ペダル部118a,118bが一対の回転軸121,121に接続された側面視で略洋梨形状とされたクランク122を介して連結されている。ここで、左右ペダル部118a,118bは、補助者16の左右脚部106,106を支持するために設けられている。また、一対の回転軸121,121には、一対の回転軸121,121間にチェーン80を架け渡すためのスプロケット124が取り付けられている。
そして、補助者16の両脚部106を足踏式ペダル部116の左右ペダル部118a,118b上に乗せた状態で、補助者16が左右ペダル部118a,118bを回転軸121周りで交互に回転させることにより回転軸121を右側面視で反時計回りに回転させることができるようになっている(図11参照)。かかる回転駆動力が、出口側(図9中、下方側)の回転軸121に取り付けられたスプロケット124と駆動力伝達ローラ38のスプロケット56cに架け渡されたチェーン80を介して駆動力伝達ローラ38に伝達されると共に、かかる駆動力伝達ローラ38に伝達された回転駆動力が駆動力伝達ローラ38のスプロケット56dと駆動ローラ30のローラ軸58cに取り付けられたスプロケット56bに架け渡されたチェーン80を介して駆動ローラ30に伝達されて、駆動ローラ30が右側面視で反時計回りに回転駆動されるようになっている。これにより、補助者16の脚力を利用して有利に駆動ローラ30の回転駆動力を得ることができるのである。
さらに、上記第一の実施形態では、図1に示されているように、駆動機構は自走駆動装置24によって構成されていたが、図12〜13に示す本発明の第四の実施形態としての車椅子用車輪洗浄装置126のように、駆動機構が回転ハンドル部128を含んで構成されていてもよい。より詳細には、回転ハンドル部128は、通路部18の車輪洗浄部98よりも入口側(図13中、上方側)かつ通路部18の幅方向の一方の側方(図13中、左右方向の左方)において、例えばローラ部20の土台23上に突設されている。かかる回転ハンドル部128は、回転ハンドル130と、回転ハンドル130の出力軸132が軸支される側壁134を備えている。回転ハンドル130は略車輪形状を有しており、側縁部から外方(図13中、右方)に向かって略棒状の把持部136が突設されている一方、出力軸132の略中央部にはスプロケット138が取り付けられている。また、側壁134は、回転ハンドル130の出力軸132と駆動力伝達ローラ38のローラ軸58cに架け渡されたチェーン80を外方(図13中、左方)から覆うように設けられている(図12参照)。
そして、図12〜13に示されているように、利用者14の乗った車椅子12の後輪102の下端部が例えば車輪洗浄部98上に位置決め載置された状態で、回転可能に軸支されている回転ハンドル部128の回転ハンドル130を補助者16が手で把持して右側面視で反時計回りに回転させることにより、回転ハンドル部128の回転ハンドル130の出力軸132と駆動ローラ30のローラ軸58cの間に架け渡されたチェーン80を介して回転ハンドル部128の回転駆動力が駆動ローラ30に伝達されて駆動ローラ30が右側面視で反時計回りに回転駆動されるようになっている。これにより、補助者16の腕力を利用して有利に駆動ローラ30の回転駆動力を得ることができるのである。
さらに、上記第一の実施形態では、図1に示されているように、駆動機構は自走駆動装置24によって構成されていたが、図14〜16に示す本発明の第五の実施形態としての車椅子用車輪洗浄装置150のように、駆動機構がステップ式駆動部152を含んで構成されていてもよい。より詳細には、駆動機構がステップ式駆動部152は、通路部18の車輪洗浄部98よりも入口側(図14中、上方側)に配設されており、例えば合成樹脂によって形成されている。かかるステップ式駆動部152は、長手方向(図14中、上下方向)に延びる左右踏込部154a,154bを含んで構成されており、左右踏込部154a,154bは、幅方向(図14中、左右方向)で相互に離隔するように配設されている。また、左右踏込部154a,154bの間には、長手方向に延びる底壁120aおよびかかる底壁120aの幅方向両端部から上方に向かって突出する側壁120bにより形成された樋状部120が配設されていると共に、駆動ローラ30と平行に延出しかつ側壁120bに対して回転自在に軸支された回転軸121が配設されている。そして、側壁120bから幅方向外方に向かって突出する回転軸121の両端部に対して、左右踏込部154a,154bの後端部(図16中、右端部)が、送りねじ156およびカサ歯車157を介して連結されている(図15参照)。また、左右踏込部154a,154bの長手方向(図16中、左右方向)の略中央部分の底面と底壁120aの間には、左右踏込部154a,154bを踏込前の状態(図16(a)参照)に戻すためのリターンばね158が配設されている一方、左右踏込部154a,154bの前端部(図16中、左端部)が底壁120aに対して回動自在に連結されている。加えて、回転軸121よりも出口側(図14中、下方側)には、駆動ローラ30と平行に延出しかつ側壁120bに対して回転自在に軸支された回転軸159が配設されている。かかる回転軸159には、回転軸121に取り付けられた歯車160aと噛み合わされる歯車160bおよびスプロケット56aが取り付けられている (図16参照)。
そして、補助者16の両脚部106をステップ式駆動部152の左右踏込部154a,154b上に乗せた状態で、補助者16が左右脚部106,106を交互に上下させる。かかる上下運動による駆動力が送りねじ156およびカサ歯車157を介することにより、回転軸121を回転させる回転駆動力とすることができるようになっている(図15〜16参照)。かかる回転駆動力が、歯車160a,160bを介して回転軸159に伝達されることにより、回転軸159に取り付けられたスプロケット56aと駆動力伝達ローラ38のスプロケット56cに架け渡されたチェーン80を介して駆動力伝達ローラ38に伝達されると共に、かかる駆動力伝達ローラ38に伝達された回転駆動力が駆動力伝達ローラ38のスプロケット56dと駆動ローラ30のローラ軸58cに取り付けられたスプロケット56bに架け渡されたチェーン80を介して駆動ローラ30に伝達されて、駆動ローラ30が回転駆動されるようになっている。これにより、補助者16の脚力を利用して有利に駆動ローラ30の回転駆動力を得ることができるようになっている。
加えて、上記第一〜第五の実施形態では、駆動ローラ30が人力によって回転駆動されていたが、図17〜18に示す本発明の第六の実施形態としての車椅子用車輪洗浄装置140のように、モータ142によって回転駆動されるようになっていてもよい。より詳細には、モータ142による回転駆動力が、モータ142の回転軸144と駆動ローラ30のローラ軸58cの間に架け渡されたベルト146を介して駆動ローラ30に対して伝達されるようになっている。ここで、モータ142は、例えば図示しないコンセントや電池等によって電源供給されている。これにより、人力で駆動する場合に比して、駆動機構が大幅に簡素化できることから、大幅なコンパクト化が可能となる。
また、上記第一〜第六の実施形態では、車輪洗浄部98および車輪拭取部100を通過するのは後輪102のみとされていたが、図19に示す本発明の第七の実施形態としての車椅子用車輪洗浄装置148のように、車輪洗浄部98および車輪拭取部100を拡幅して、前輪104も通過するようにしてもよい。すなわち、車輪洗浄部98および車輪拭取部100の間の領域においては、洗浄用マット92と拭取用マット94の幅寸法:Wを後輪102の間の寸法:W1と前輪104の間の寸法:W2よりも十分に小さくすることにより前輪104も後輪102と同じように車輪洗浄部98および車輪拭取部100を通過させて、後輪102に加えて前輪104に対しても洗浄/拭取作業を行うようにしてもよい。これにより、車椅子12の車種による前輪104の配設位置の違いに有利に対応することができる。なお、本実施形態のように、前スロープ22bと後スロープ22cにおいて、張出部84の通路部18側の側縁部には、ガイド壁82aが設けられていなくてもよい。この場合には、図19に示すように、前スロープ22bと後スロープ22cにおいて、張出部84まで拡張して、洗浄用マット92と拭取用マット94を配設してもよい。かかる構成は、上述の第一〜第六の実施形態に対しても適用可能である。