JP2018169378A - 分光分析装置及び分光分析方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、光源や受光素子が含まれる発光・受光部が塔槽類や配管に取り付けられ、センサが塔槽類や配管の内部に挿入されて、塔槽類や配管の内部の液体に含まれるウランやプルトニウム等の濃度を連続的に測定できる分光光度計が開示されている。
しかし、特許文献1には、放射線に対する対策が開示されていない。
高線量区域において、放射性物質を含有する溶液中に浸漬される測定プローブと、
光源と、
検出器と、
前記光源からの光を前記測定プローブに導く照射用光ファイバと、
前記測定プローブからの光を前記検出器に導く受光用光ファイバと、を備え、
前記光源及び前記検出器は、前記高線量区域よりも空間線量率が低い低線量区域に設置される。
また、放射線の影響を受けやすい検出器等を低線量区域に設置することで検出器等の放射線への対策を簡便化でき、又は低線量区域の線量が低い場合には特に対策を行わなくてもよくなり、コスト増を抑制できる。
前記保護部材は、前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバの延在方向と交差する方向に延在して、前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバに当接するともに、前記金属管の内周面と当接することで前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバと前記金属管の内周面との接触を防止する、棒状又は板状の部材である。
液体に浸漬される測定部を有する測定プローブと、
光源と、
検出器と、
前記光源からの光を前記液体に照射する照射用光ファイバと、
前記照射用光ファイバを介して前記液体に照射された光を受光して前記検出器に導く受光用光ファイバと、を備え、
前記測定部が前記液体に浸漬された状態のままで前記光源からの光の前記液体中における光路長を切り替えて分析可能に構成されている。
なお、分光分析装置が可搬型の装置であり、分光分析装置の移動先において分光分析を行う場合であっても、作業員が液体に浸漬された測定部に触れなくても、光路長を切り替えられる。これにより、液体の性状に関わらず分光分析装置の測定レンジを容易に変更できるので、利便性が高い。
前記測定部は、前記照射用光ファイバから照射された光を反射する反射部材を含み、
前記照射用光ファイバの先端面の位置、前記反射部材の反射面の位置、又は、前記受光用光ファイバの先端面の位置の少なくとも一つが互いに異なる複数種の光路のうち、前記検出器に導かれる光が経由すべき光路を選択するように構成された光路長選択部を備える。
前記照射用光ファイバ又は前記受光用光ファイバの少なくとも一方は、複数の光ファイバを含み、
前記複数の光ファイバは、
前記光ファイバの延在方向における第1位置に前記先端面を有する第1ファイバと、
前記光ファイバの延在方向において前記第1位置とは異なる第2位置に前記先端面を有する第2ファイバと、
を含む。
前記測定部は、前記照射用光ファイバから照射された光を反射する反射部材を含み、
前記照射用光ファイバの先端面の位置、前記反射部材の反射面の位置、又は、前記受光用光ファイバの先端面の位置の少なくとも一つを変更することで、前記光路長を調節するための光路長調節部を含む。
分析対象の液体に測定プローブの測定部を浸漬するステップと、
光源からの光を照射用光ファイバを介して前記測定プローブに導き、前記測定部内の前記液体に前記光を照射するステップと、
前記液体に照射された光を受光用光ファイバを介して受光するステップと、
前記受光用光ファイバで受光された光に基づいて、前記液体の分析を行うステップと、
前記受光用光ファイバの前記光の検出信号の信号レベルが規定範囲外である場合、前記測定部が前記液体に浸漬された状態のままで、前記光源からの光の前記液体中における光路長を切り替えるステップと、
を備える。
また、作業員が液体に浸漬された測定部に触れなくても、光路長を切り替えられる。これにより、液体の性状に関わらず分光分析装置の測定レンジを容易に変更できるので、利便性が高い。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
幾つかの実施形態の分光分析装置1は、たとえば、核燃料の再処理工場等の原子力施設において、配管や塔槽類の内部の液体のウランやプルトニウムなどの放射性物質の濃度をオンラインで測定するために用いられる。
分光分析装置1のうち、分析装置本体10は、高線量区域91よりも空間線量率が低い低線量区域92に設置されている。具体的には、分析装置本体10は、制御室等に設置されている。
幾つかの実施形態では、分析装置本体10は、筐体内で遮蔽板15によって囲まれた領域内に配置された、光源11と、分光器12と、光路長選択部13と、検出器14とを備えている。光源11、分光器12、及び検出器14は、分光分析装置として公知の構成であるので、説明を省略する。
なお、低線量区域の線量が低い場合には遮蔽板15を設けなくてもよい。
図2及び図9は、幾つかの実施形態の測定プローブ100の外観図である。幾つかの実施形態では、測定プローブ100は、筒状の管状部101と、管状部101に取り付けられたフランジ部102とを有する。
図2に示す幾つかの実施形態の測定プローブ100では、管状部101の内部には、光源11からの光を液体に照射する照射用光ファイバ110と、照射用光ファイバ110を介して液体に照射された光を受光する受光用光ファイバ120,130,140とが配置されている。同様に、図9に示す一実施形態の測定プローブ100では、管状部101の内部には、光源11からの光を液体に照射する照射用光ファイバ210と、照射用光ファイバ210を介して液体に照射された光を受光する受光用光ファイバ220とが配置されている。
管状部101の先端側の内部、すなわち図2及び図9における右端側の内部には、照射用光ファイバ110,210から照射された光を反射する反射鏡103が配置されている。
図2に示した幾つかの実施形態の測定プローブ100の測定部105は、各光ファイバ110〜140と、反射鏡103と、流通室101bを形成する管状部101の先端部101cとを含む。図9に示した一実施形態の測定プローブ100の測定部105は、各光ファイバ210,220と、反射鏡103と、先端部101cとを含む。
なお、図2に示した幾つかの実施形態の測定プローブ100には光路長が異なる3つの光路が設けられているが、詳細については後で説明する。
また、図9に示した一実施形態の測定プローブ100では光路長を調節することができるが、詳細については後で説明する。
測定プローブ100の管状部101やフランジ部102は、例えばステンレス鋼製である。
また、測定プローブ100における異種金属接触腐食のおそれがある部位に耐放射線性を有する樹脂を用いることで、異種金属接触腐食を抑制でき、測定プローブ100の耐久性を向上できる。
幾つかの実施形態では、互いに離れた場所に設置されている分析装置本体10と測定プローブ100とは、上述したように複数の光ファイバケーブル20によって接続されている。光ファイバケーブル20は、図1に示すように、例えば高線量区域91を区画する壁部93等を貫通して敷設されることもある。
図2に示す幾つかの実施形態の測定プローブ100と、分析装置本体10とは、光源11からの光を測定プローブ100に導く1本の照射用光ファイバケーブル20aと、測定プローブ100からの光を検出器14に導く例えば3本の受光用光ファイバケーブル20bとによって接続されている。
図9に示す一実施形態の測定プローブ100と、分析装置本体10とは、光源11からの光を測定プローブ100に導く1本の照射用光ファイバケーブル20aと、測定プローブ100からの光を検出器14に導く1本の受光用光ファイバケーブル20bとによって接続されている。
可撓管23は、例えばベローズ管のように、屈曲可能な金属製の管状部材であり、光ファイバケーブル20の全長にわたって光ファイバ22を覆っている。
図3に示した一実施形態の光ファイバケーブル20では、光ファイバ22を可撓管23とともに屈曲させた際に粒状物31が適宜移動することで、屈曲時に粒状物31から光ファイバ22に掛かる力が分散されるので、光ファイバ22を適切に保護でき、光ファイバ22の耐久性を向上できる。
また、棒状部材33は、光ファイバ22の延在方向に沿った所定の間隔で複数個所に配置されている。
これにより、光ファイバ22を可撓管23とともに屈曲させても光ファイバ22の外表面と可撓管23の内周面との接触を被覆部材34が妨げるので、光ファイバ22の耐久性を向上できる。
このように、光ファイバケーブル20の少なくとも高線量区域内に存在する部分が金属製の可撓管23で覆われているので、高線量区域内の比較的高い線量の放射線が光ファイバ22や保持部材30に及ぼす影響を抑制でき、光ファイバ22や保持部材30の耐久性を向上できる。また、可撓管23は可撓性を有するので、光ファイバ22の屈曲を妨げない。
このように、耐放射線性を有する材料によって保持部材30を形成することで、高線量区域においても保持部材30の耐久性が向上するので、保持部材30が光ファイバ22と可撓管23の内周面との接触を長期間にわたって防止でき、光ファイバケーブル20の耐久性を向上できる。
また、保持部材30をポリイミド樹脂、PEEK樹脂、ポリアミド樹脂の何れかによって構成することで、保持部材30の耐放射線性や耐熱性、強度を確保できるので、光ファイバ22を適切に保護でき、光ファイバケーブル20の耐久性を向上できる。
また、幾つかの実施形態では、分析装置本体10が遮蔽板15を有するので、光源11や、分光器12、光路長選択部13、検出器14に対する放射線の影響をより抑制して分光分析が可能となる。
なお、幾つかの実施形態では、分析装置本体10を高線量区域よりも空間線量率が低い低線量区域に設置することで、放射線の影響を受けやすい検出器14等に対する放射線の影響を抑制できるので、遮蔽板15を簡素化でき、又は低線量区域の線量が低い場合には特に遮蔽板15を設けなくてもよくなり、コスト増を抑制できる。
上述したように、図2に示す幾つかの実施形態の測定プローブ100には光路長が異なる3つの光路が設けられている。以下、図7及び図8を参照して、図2に示す幾つかの実施形態の測定プローブ100の構造について説明する。
図7及び図8は、図2に示す幾つかの実施形態の測定プローブ100の測定部105の近傍の模式的な断面図である。なお、図7(a)及び図8は、測定プローブ100における光ファイバの延在方向に沿った方向で切断した断面を表す図であり、図7(b)は、図7(a)におけるA−A矢視断面図である。
幾つかの実施形態の測定プローブ100では、第1ファイバ120の周囲には、受光用光ファイバ130の複数の光ファイバ素線131が配置されている。以下の説明では、受光用光ファイバ130を第2ファイバ130とも呼ぶ。また、第2ファイバ130の光ファイバ素線131を第2ファイバ素線131とも呼ぶ。
幾つかの実施形態の測定プローブ100では、第2ファイバ130の周囲には、受光用光ファイバ140の複数の光ファイバ素線141が配置されている。以下の説明では、受光用光ファイバ140を第3ファイバ140とも呼ぶ。また、第3ファイバ140の光ファイバ素線141を第3ファイバ素線141とも呼ぶ。
具体的には、第1ファイバ120の端面120aは、光ファイバの延在方向に沿って反射鏡103の反射面104から最も遠い位置に配置されている。光ファイバの延在方向に沿った端面120aの位置を第1位置とも呼ぶ。
第2ファイバ130の端面130aは、光ファイバの延在方向に沿って反射鏡103の反射面104から2番目に遠い位置に配置されている。光ファイバの延在方向に沿った端面130aの位置を第2位置とも呼ぶ。
第3ファイバ140の端面140aは、光ファイバの延在方向に沿って反射鏡103の反射面104に最も近い位置に配置されている。光ファイバの延在方向に沿った端面140aの位置を第3位置とも呼ぶ。
なお、照射用光ファイバ110の端面110aは、光ファイバの延在方向に沿って第1ファイバ120の端面120aと同じ位置に配置されているが、端面120aとは異なる位置に配置されていてもよい。
同様に、照射用光ファイバ110の端面110aから照射された光が第2ファイバ130の端面130aに到達する光路を第2光路172と呼ぶ。図7(a)では、第2光路172を実線及び破線の矢印で表している。
照射用光ファイバ110の端面110aから照射された光が第3ファイバ140の端面140aに到達する光路を第3光路173と呼ぶ。図7(a)では、第3光路173を実線及び破線の矢印で表している。
また、図8に示す一実施形態の反射鏡103には、各光ファイバ110,120,130,140の各端面110a,120a,130a,140aからの距離が2番目に遠い第2反射面104bが第1反射面104aの径方向外側に形成されている。第2反射面104bは、後述するように、照射用光ファイバ110から照射された光が第2ファイバ130の端面130aに到達するように、第2反射面104bの角度が設定されている。
図8に示す一実施形態の反射鏡103には、各光ファイバ110,120,130,140の各端面110a,120a,130a,140aからの距離が最も近い第3反射面104cが第2反射面104bの径方向外側に形成されている。第3反射面104cは、後述するように、照射用光ファイバ110から照射された光が第3ファイバ140の端面140aに到達するように、第3反射面104cの角度が設定されている。
同様に、照射用光ファイバ110の端面110aから流通室101bに照射された光の一部は、反射鏡103の第2反射面104bで反射されて、第2ファイバ130の端面130aに到達する。照射用光ファイバ110の端面110aから流通室101bに照射された光の一部は、反射鏡103の第3反射面104cで反射されて、第3ファイバ140の端面140aに到達する。
同様に、照射用光ファイバ110の端面110aから照射された光が第2ファイバ130の端面130aに到達する光路を第2光路182と呼ぶ。図8では、第2光路182を実線及び破線の矢印で表している。
照射用光ファイバ110の端面110aから照射された光が第3ファイバ140の端面140aに到達する光路を第3光路183と呼ぶ。図8では、第3光路183を実線及び破線の矢印で表している。
同様に、第2光路172,182を経由した光は、上述したように第2ファイバ130に入射し、上記の第1受光用光ファイバケーブルとは異なる1本の受光用光ファイバケーブル20b(第2受光用光ファイバケーブル)を介して分析装置本体10の光路長選択部13に到達する。
第3光路173,183を経由した光は、上述したように第3ファイバ140に入射し、上記の第1及び第2受光用光ファイバケーブルとは異なる1本の受光用光ファイバケーブル20b(第3受光用光ファイバケーブル)を介して分析装置本体10の光路長選択部13に到達する。
例えば、ある1本の受光用光ファイバケーブル20bによって複数の光路171,172,173,181,182,183のうちの何れかの光路を経由した光を検出器14に導く。その際、検出信号の信号レベルが規定範囲外であれば、測定部105が液体に浸漬された状態のままで、光路長選択部13によって他の受光用光ファイバケーブル20bからの光が検出器14に導かれるように切り替える。これにより、検出器14に導かれる光が経由する光路が他の光路に切り替えられ、光路長が切り替わる。これにより、光の検出信号の信号レベルを規定範囲内とすることができ、適切な分光分析が可能となる。
また、図8に示した一実施形態の反射鏡103は、光ファイバの延在方向における位置が互いに異なる3つの反射面を有している。しかし、図8に示した一実施形態の反射鏡103は、光ファイバの延在方向における位置が互いに異なる2つ以上の反射面を有していればよい。
上述したように、図9に示す一実施形態の測定プローブ100には光路長を調節する光路長調節部が設けられている。以下、図10を参照して、図9に示す一実施形態の測定プローブ100の構造について説明する。
図10は、図9に示す一実施形態の測定プローブ100の測定部105の近傍の模式的な断面図である。なお、図10(a)は、光路長をある長さに設定した状態の一例を示す図であり、図10(b)は、図10(a)に示した状態よりも光路長を短くした場合の一例を示す図である。
内側仕切管153は、外側仕切管154の径方向内側に配置された金属製の管であり、照射用光ファイバ210の外周を覆っている。内側仕切管153の内周面と照射用光ファイバ210の外周面との間には、図示しない樹脂製の充填剤が充填されており、この充填剤によって内側仕切管153の内周面と照射用光ファイバ210の外周面とが接着されている。充填材には、例えばエポキシ樹脂や、ポリイミド樹脂が用いられる。
なお、内側仕切管153、又は外側仕切管154の少なくとも一方は、例えばポリイミド樹脂、PEEK樹脂、ポリアミド樹脂等の耐放射線性を有する樹脂製の管であってもよい。
内側仕切管153及び照射用光ファイバ210は、管状部101の基端側、すなわち図9における左端側に設けられた照射用光ファイバ駆動機構201によって光ファイバの延在方向に駆動される。
図9及び図10に示す一実施形態の測定プローブ100では、内側仕切管153と外側仕切管154との間に設けられた図示しないOリング等によって、測定部105側と照射用光ファイバ駆動機構201側との気密が保たれる。
このように、図10に示す一実施形態の測定プローブ100では、内側仕切管153及び照射用光ファイバ210を光ファイバの延在方向に移動させることで、光路191の光路長を調整できる。
すなわち、図1に示す実施形態に係る分析装置本体10と、図9及び図10に示した幾つかの実施形態に係る測定プローブ100とを用いることで、測定部105が測定対象の液体に浸漬された状態のままで光源11からの光の上記液体中における光路191の光路長を切り替えて分光分析を行うことができる。
例えば、光路191を経由した光の検出信号の信号レベルが規定範囲外である場合、測定部105が液体に浸漬された状態のままで、内側仕切管153及び照射用光ファイバ210を光ファイバの延在方向に移動させて、光路191の光路長を切り替えることができる。これにより、光の検出信号の信号レベルを規定範囲内とすることができ、適切な分光分析が可能となる。
なお、図10に示す一実施形態の測定プローブ100では、受光用の光ファイバは受光用光ファイバ220だけであるので、図10に示す一実施形態の測定プローブ100を用いた場合、受光用光ファイバケーブル20bは1本でよい。したがって、図10に示す一実施形態の測定プローブ100を用いた場合、分析装置本体10が光路長選択部13を有していなくてもよい。
上述した幾つかの実施形態の分光分析装置1を用いた分光分析方法について説明する。分光分析を行うためには、図1に示すように、測定プローブ100が配管80等に取り付けられて、測定対象の液体に測定部105が浸漬されていなければならない。
まず、光源11からの光を照射用光ファイバケーブル20aを介して測定プローブ100に導き、照射用光ファイバ110,210から測定部105内の液体に光を照射する。
これにより、液体に照射された光は、何れかの光路171,172,173,181,182,183,191を経由して受光用光ファイバ120,130,140,220に入射する。
検出器14では、光路長選択部13からの光に基づいて分光分析を行う。
その際、検出器14における光の検出信号の信号レベルが規定範囲外である場合、他の受光用光ファイバケーブル20bからの光が検出器14に出力されるように光路長選択部13を切り替えることで、測定部105が液体に浸漬された状態のままで、光源11からの光の液体中における光路長を切り替えることができる。
これにより、光の検出信号の信号レベルを規定範囲内とすることができ、適切な分光分析が可能となる。
検出器14では、受光用光ファイバケーブル20bからの光に基づいて分光分析を行う。
その際、検出器14における光の検出信号の信号レベルが規定範囲外である場合、内側仕切管153及び照射用光ファイバ210を光ファイバの延在方向に移動させることで、測定部105が液体に浸漬された状態のままで、光源11からの光の液体中における光路長を切り替えることができる。
これにより、光の検出信号の信号レベルを規定範囲内とすることができ、適切な分光分析が可能となる。
特に、図1に示すように、測定プローブ100が高線量区域に設置されている場合など、作業員が高線量区域に立ち入るための準備をしなければ侵入できないような区域に測定プローブ100が設置されている場合には、作業員が高線量区域に立ち入るための準備等が不要となり、有用である。
また、測定プローブ100の設置場所が離れているなどの距離的な理由や、測定プローブの設置場所が狭いなどのアクセス性の理由、周囲の温度などの作業環境上の理由、液体の性状に由来する理由など、測定プローブを配管などから取り外すことが容易ではない理由が存在する場合に有用である。
これにより、光路長を容易に変更できるので、分光分析装置の測定レンジを迅速に変更でき、分析作業の効率が向上する。また、第1ファイバ120と第2ファイバ130と第3ファイバ140で端面120a,130a,140aの位置を異ならせることで、互いに異なる複数種の光路(第1光路171、第2光路172、及び第3光路173)を容易に形成することができる。
これにより、互いに異なる複数種の光路(第1光路181、第2光路182、及び第3光路183)を容易に形成することができる。
これにより、光路長を容易に変更できるので、分光分析装置の測定レンジを迅速に変更でき、分析作業の効率が向上する。また、光ファイバの本数を増やさなくても異なる複数の光路長に切り替え可能となるので、測定プローブ100内に挿入される光ファイバの本数を抑制でき、測定プローブ100の径方向の大きさを抑制できる。
例えば、上述した幾つかの実施形態では、分光分析装置1は、原子力施設で用いられている。しかし、上述した幾つかの実施形態に係る分光分析装置1は、原子力施設以外の施設、例えば、一般の工場や研究施設で用いられてもよい。
分光分析装置1が可搬型の装置であり、分光分析装置1の移動先において分光分析を行う場合であっても、作業員が液体に浸漬された測定部105に触れなくても、光路長を切り替えられる。これにより、液体の性状に関わらず分光分析装置の測定レンジを容易に変更できるので、利便性が高い。
図11は、反射鏡103を管状部101に対して移動可能に構成した変形例に係る測定プローブ100の測定部105の近傍の模式的な断面図である。なお、図11(a)は、光路長をある長さに設定した状態の一例を示す図であり、図11(b)は、図11(a)に示した状態よりも光路長を長くした場合の一例を示す図である。
図11に示す変形例に係る測定プローブ100であっても、図9及び図10に示した一実施形態の測定プローブ100と同様の作用効果を奏する。
10 分析装置本体
11 光源
12 分光器
13 光路長選択部
14 検出器
15 遮蔽板
20 光ファイバケーブル
20a 照射用光ファイバケーブル
20b 受光用光ファイバケーブル
21 光ファイバ素線
22 光ファイバ
23 可撓管
30 保持部材
31 粒状物
32 板状部材(円盤)
33 棒状部材
34 被覆部材
80 配管
91 高線量区域
92 低線量区域
100 測定プローブ
101 管状部
103 反射鏡
104 反射面
104a 第1反射面
104b 第2反射面
104c 第3反射面
105 測定部
110,210 照射用光ファイバ
110a,120a,130a,140a,210a,220a 端面
120 受光用光ファイバ(第1ファイバ)
130 受光用光ファイバ(第2ファイバ)
140 受光用光ファイバ(第3ファイバ)
171,181 第1光路
172,182 第2光路
191 光路
220 受光用光ファイバ
Claims (20)
- 高線量区域において、放射性物質を含有する溶液中に浸漬される測定プローブと、
光源と、
検出器と、
前記光源からの光を前記測定プローブに導く照射用光ファイバと、
前記測定プローブからの光を前記検出器に導く受光用光ファイバと、を備え、
前記光源及び前記検出器は、前記高線量区域よりも空間線量率が低い低線量区域に設置される分光分析装置。 - 前記光源及び前記検出器は、放射線を遮蔽する遮蔽層を有する、請求項1に記載の分光分析装置。
- 前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバの少なくとも前記高線量区域内に存在する部分を覆う、可撓性を有する金属管をさらに備える、請求項1又は2に記載の分光分析装置。
- 前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバと前記金属管との間に介在し、前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバと前記金属管の内周面との接触を防止するための保護部材をさらに備える、請求項3に記載の分光分析装置。
- 前記保護部材は、グラファイト製又は耐放射線性を有する樹脂製の部材である、請求項4に記載の分光分析装置。
- 前記部材は、ポリイミド樹脂、PEEK樹脂、ポリアミド樹脂の何れかによって構成される請求項5に記載の分光分析装置。
- 前記保護部材は、前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバと前記金属管の内周面との間に充填される粒状物である、請求項4乃至6の何れか一項に記載の分光分析装置。
- 前記保護部材は、前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバの延在方向と交差する方向に延在して、前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバに当接するともに、前記金属管の内周面と当接することで前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバと前記金属管の内周面との接触を防止する、棒状又は板状の部材である、請求項4乃至6の何れか一項に記載の分光分析装置。
- 前記保護部材は、前記照射用光ファイバ及び前記受光用光ファイバの外表面を覆う被覆部材である、請求項4乃至6の何れか一項に記載の分光分析装置。
- 前記測定プローブの構造材の少なくとも一部は、耐放射線性を有する樹脂で構成される、請求項1乃至9の何れか一項に記載の分光分析装置。
- 前記樹脂は、ポリイミド樹脂、PEEK樹脂、ポリアミド樹脂の何れかである、請求項10に記載の分光分析装置。
- 前記測定プローブが前記溶液中に浸漬された状態のままで前記光源からの光の前記溶液中における光路長を切り替えて分析可能に構成されている、請求項1乃至11の何れか一項に記載の分光分析装置。
- 液体に浸漬される測定部を有する測定プローブと、
光源と、
検出器と、
前記光源からの光を前記液体に照射する照射用光ファイバと、
前記照射用光ファイバを介して前記液体に照射された光を受光して前記検出器に導く受光用光ファイバと、を備え、
前記測定部が前記液体に浸漬された状態のままで前記光源からの光の前記液体中における光路長を切り替えて分析可能に構成されている分光分析装置。 - 前記測定部は、前記照射用光ファイバから照射された光を反射する反射部材を含み、
前記照射用光ファイバの先端面の位置、前記反射部材の反射面の位置、又は、前記受光用光ファイバの先端面の位置の少なくとも一つが互いに異なる複数種の光路のうち、前記検出器に導かれる光が経由すべき光路を選択するように構成された光路長選択部を備える、請求項13に記載の分光分析装置。 - 前記照射用光ファイバ又は前記受光用光ファイバの少なくとも一方は、複数の光ファイバを含み、
前記複数の光ファイバは、
前記光ファイバの延在方向における第1位置に前記先端面を有する第1ファイバと、
前記光ファイバの延在方向において前記第1位置とは異なる第2位置に前記先端面を有する第2ファイバと、
を含む、請求項14に記載の分光分析装置。 - 前記反射部材は、前記照射用光ファイバ又は前記受光用光ファイバの延在方向における位置が互いに異なる複数の前記反射面を有する、請求項14に記載の分光分析装置。
- 前記測定部は、前記照射用光ファイバから照射された光を反射する反射部材を含み、
前記照射用光ファイバの先端面の位置、前記反射部材の反射面の位置、又は、前記受光用光ファイバの先端面の位置の少なくとも一つを変更することで、前記光路長を調節するための光路長調節部を含む、請求項13に記載の分光分析装置。 - 光路長調節部は、前記測定プローブ内で前記照射用光ファイバ又は前記受光用光ファイバの少なくとも一方を前記照射用光ファイバ又は前記受光用光ファイバの延在方向に沿って移動させることで前記光路長を調節する、請求項17に記載の分光分析装置。
- 光路長調節部は、前記測定プローブ内で前記反射部材の反射面を前記照射用光ファイバ又は前記受光用光ファイバの延在方向に沿って移動させることで前記光路長を調節する、請求項17に記載の分光分析装置。
- 分析対象の液体に測定プローブの測定部を浸漬するステップと、
光源からの光を照射用光ファイバを介して前記測定プローブに導き、前記測定部内の前記液体に前記光を照射するステップと、
前記液体に照射された光を受光用光ファイバを介して受光するステップと、
前記受光用光ファイバで受光された光に基づいて、前記液体の分析を行うステップと、
前記受光用光ファイバの前記光の検出信号の信号レベルが規定範囲外である場合、前記測定部が前記液体に浸漬された状態のままで、前記光源からの光の前記液体中における光路長を切り替えるステップと、
を備える分光分析方法。
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