以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態〕
図1は、実施形態におけるアナログ電子時計システムの全体構成図である。図2は、実施形態におけるアナログ電子時計のブロック図である。図3は、実施形態におけるアナログ電子時計の要部構成図である。図4は、実施形態における日板の正面図である。図5は、識別パターンの関連性の説明図である。図6は、実施形態における端末機器のブロック図である。
実施形態にかかるアナログ電子時計システム1は、アナログ電子時計2と、端末機器3とを備える。アナログ電子時計システム1は、アナログ電子時計2と端末機器3との間で、情報を互いに送受信することで、少なくともアナログ電子時計2に対する表示位置補正を行うものである。本実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、アナログ電子時計2と端末機器3との間の通信手段として、近距離無線通信手段の1つであるBluetooth(登録商標)を用いる場合について説明するが、通信手段はこれに限定されるものではなく、他の近距離無線通信手段や広域通信網等を用いてもよい。
アナログ電子時計2は、後述するアナログ表示部26を有する時計であり、アナログ表示部26における秒針26b、分針26c、時針26dおよび日板26e(以下、単に「指針群26b〜26e」ともいう)と、文字板26aとの位置関係に対応する時刻をユーザーに認識させるものである。アナログ電子時計2は、アンテナ21と、通信部22と、制御部23と、電源部24と、駆動機構部25と、アナログ表示部26と、操作部27と、を有する。本実施形態におけるアナログ電子時計2は、ユーザーが腕に装着する腕時計として説明するが、置き時計や掛け時計であってもよい。
アンテナ21は、時計側通信部の一部を構成するものであり、近距離無線通信規格の一つであるBluetooth規格の電波を受信するものである。アンテナ21は、通信部22と接続されている。
通信部22は、時計側通信部の一部を構成するものであり、外部と情報を送受信することができるものである。通信部22は、Bluetoothモジュール22aと変換部22bとを有する。Bluetoothモジュール22aは、アンテナ21を介して、外部である端末機器3との間でBluetooth通信を行うための通信制御モジュールである。変換部22bは、シリアル信号をパラレル信号に変換、あるいはパラレル信号をシリアル信号に変換するものである。制御部23から出力され、外部に送信される送信情報(送信データ)は、変換部22bにおいてシリアル/パラレル変換等の信号処理が行われ、Bluetoothモジュール22aからアンテナ21を介して端末機器3に送信される。一方、アンテナ21を介して、Bluetoothモジュール22aが受信した受信情報(受信データ)は、変換部22bにおいてシリアル/パラレル変換等の信号処理が行われ、制御部23に出力される。
制御部23は、時計側制御部であり、アナログ電子時計2に含まれる各種回路や機構等を制御するものであり、少なくとも時計内部時刻に基づいて駆動機構部25による指針群26b〜26eの回転を制御するものである。また、制御部23は、後述する取得した日板26eの現在表示位置と、時計内部時刻に基づいた予定表示位置との差分に基づいて日板26eの表示位置を補正するものである。また、制御部23は、指針群26b〜26eの現在位置情報を記憶しており、現在位置情報を更新するものである。制御部23は、マイクロコントローラ23aと、モータ駆動回路23bと、不揮発性メモリ23cと、RTC(Real Time Clock)23dとを有する。
マイクロコントローラ23aは、演算部23eと、RAM(Random Access Memory)23fと、ROM(Read Only Memory)23gと、を有する。マイクロコントローラ23aは、1つの集積回路により構成されている。演算部23eは、RTC23dから出力されたクロック信号に含まれるパルスを図示しないカウンタによりカウントする。演算部23eは、ROM23gに格納されたプログラムにしたがって各種の情報処理を行う。本実施形態における演算部23eは、表示位置補正処理を実行する。演算部23eは、カウントされたパルスの数に応じた時計内部時刻を決定する。RAM23fは、演算部23eのワークメモリとして機能し、演算部23eの処理対象となる情報が書き込まれる。また、RAM23fは、制御部23により時計内部時刻に基づいて指針群26b〜26eの回転を駆動機構部25により制御する指針群26b〜26eの制御動作に基づく、それぞれの現在位置情報を記憶するものでもある。
モータ駆動回路23bは、演算部23eにより決定された時計内部時刻に基づいて、駆動機構部25に含まれる後述するステップモータ25a〜25cをそれぞれ駆動する駆動信号を出力する。
不揮発性メモリ23cは、電源部24により、制御部23に電力が供給されていない場合や、アナログ電子時計2を再起動する場合等において、情報を保持するメモリである。不揮発性メモリ23cは、指針群26b〜26eの基準位置情報が記憶されている。本実施形態における基準位置情報は、予め設定されている基準位置に基づく情報である。ここで、基準位置は、例えば、秒針26b、分針26c、時針26dが文字板26aの12時を指す位置であり、かつ、日板26eにおいて文字板26aの小窓26gから後述する文字C1、すなわち「1」が視認できる位置である。基準位置情報は、基準時刻(1日午前12時00分00秒)における指針群26b〜26eのそれぞれの表示位置に関する初期値情報である。不揮発性メモリ23cは、例えば、フラッシュメモリやEEPROM等である。
RTC23dは、アナログ電子時計2の内部で計時に使用されるクロック信号をマイクロコントローラ23aに出力するものである。
電源部24は、アナログ電子時計2の電力源であり、通信部22、制御部23、駆動機構部25等、アナログ電子時計2内の各部に対して電力を供給する。電源部24は、発電回路24aと、バッテリ24bと、電源電圧検出回路24cとを有する。
発電回路24aは、アナログ表示部26の後述する文字板26aの下側に配置される光発電素子を含むものである。発電回路24aは、文字板26aに対して照射される太陽光等の外光によって発電するものであり、発電した電力をバッテリ24bに供給するものである。
バッテリ24bは、充放電可能な二次電池であり、例えば、リチウムイオン電池等である。バッテリ24bは、充電および放電を管理する図示しないバッテリーマネジメント回路により、発電回路24aが発電した電力を充電、あるいはアナログ電子時計2内の各部に対して電力を供給するために放電する。
電源電圧検出回路24cは、バッテリ24bの電圧を測定する回路である。測定された電圧を示す信号は、マイクロコントローラ23aに出力される。
駆動機構部25は、モータ駆動回路23bから出力される駆動信号に応じて回転駆動(例えば、1制御パルスごとに180度)する複数のステップモータ25a,25b,25cと、図示しない輪列とを有する。駆動機構部25は、各ステップモータ25a〜25cの回転力を輪列が伝達することで、指針群26b〜26eを予め設定されている1回の回転量ごとに回転させる。本実施形態においては、ステップモータ25aにより秒針26bが回転され、ステップモータ25bにより分針26cおよび時針26dが回転され、ステップモータ25cにより日板26eが回転される。ここで、分針26cおよび時針26dは、連動して回転するものであり、時針26dが分針26cの回転速度に対して1/12の比で連動して回転する。ステップモータ25a〜25cは、秒針26bに対して6度、分針26cに対して1度、日板26eに対して360/(31×170)度を1回の回転量として、回転させる。
アナログ表示部26は、アナログ電子時計2のうち外部から視認可能な位置に配置されている。アナログ表示部26は、図3に示すように、文字板26aと、秒針26bと、分針26cと、時針26dと、日板26eとを有する。文字板26aは、円盤状に形成されており、外光を透過するものである。文字板26aは、インデックス26fと、小窓26gが形成されている。インデックス26fは、秒針26b、分針26cおよび時針26d(以下、単に「3針26b〜26d」ともいう)との相対位置により、ユーザーに現在時刻を認識させるものである。インデックス26fは、文字板26aに対して周方向に等間隔に形成されている。本実施形態におけるインデックス26fは、6度ごとに等間隔に形成されるものと、30度ごとに等間隔に形成されるものとがある。小窓26gは、文字板26aの上下方向において日板26eと対向する位置に形成されており、文字板26aを上下に貫通するものである。本実施形態における小窓26gは、矩形形状であり、文字板26aにおいて「3時」の位置に形成されている。3針26b〜26dは、図示しないフレームに回転自在に支持されており、文字板26aの上側、例えば文字板26aの中心部において同軸上を回転する。3針26b〜26dは、文字板26a上のインデックス26fに対する相対位置により、秒針26bは現在時刻のうち「秒」を指し、分針26cは現在時刻のうち「分」を指し、時針26dは現在時刻のうち「時」を指すものである。本実施形態における3針26b〜26dは、分針26c、秒針26b、時針26dの順で、回転半径方向において文字板26aの中心からの長さが短く形成されている。
日板26eは、回転板であり、図示しないフレームに回転自在に支持されており、文字板26aの下側を回転する。日板26eは、小窓26gにより文字板26aの上側に一部が露出する。日板26eは、暦を識別する一連の文字群の複数の文字が周方向に等間隔でそれぞれ形成されている。本実施形態における日板26eは、図4に示すように、暦のうち「日」を識別する一連の文字群CGとして、1〜31の数字にそれぞれ対応する文字C1〜C31が周方向に等間隔でそれぞれ形成されている。なお、文字群CGは、ユーザーが暦のうち「日」を識別する一連の文字群であれば、形状は限定されるものではなく、通常の数字、アラビア数字、ローマ数字、漢数字などのいずれであってもよい。
日板26eは、文字群CGの周方向に隣り合う文字C1〜C31の間に、それぞれ識別パターンID1〜ID31が形成されている。識別パターンID1〜ID31は、1つの関連性を有するとともに、互いに異なるもの、すなわち異なる形状である。本実施形態における識別パターンID1〜ID31は、図5に示すように、1つの関連性として、5つの2値マークM1〜M5で構成されている。各2値マークM1〜M5をそれぞれ白または黒のいずれかにすることで、5ビット、すなわち32種類の異なる形状パターンを形成することができる。識別パターンID1〜ID31は、32種類の異なる形状パターンのうち、31種類の異なる形状パターンを用いて形成されている。したがって、例えば、日板26eの文字C31と文字C1との間に形成される識別パターンID31は、日板26eにおける「31日」と「1日」との間に位置していること、または日板26eとしてまだ「31日」を指していることを意味することとなる。識別パターンID1〜ID31にそれぞれ対応する2値マークM1〜M5は、配列方向が回転半径方向と平行となるように、日板26eに形成されている。識別パターンID1〜ID31は、2値マークM1〜M5を挟んで、すなわち回転半径方向の両端部に、一対の傾き用マークMEを含むものである。識別パターンID1〜ID31にそれぞれ対応する一対の傾き用マークMEは、対向方向が回転半径方向と平行となるように、日板26eに形成されている。
操作部27は、例えば、リューズや操作ボタン等である。操作部27は、ユーザーが操作することで、入力操作に応じた操作内容が制御部23に出力される。ここで、制御部23は、操作内容に応じて、各種の処理を実行する。
端末機器3は、アナログ電子時計2とは別個であり、アナログ電子時計システム1の表示位置補正機能に対応する表示位置補正アプリケーション(以下、単に、「アプリ」ともいう)が、端末機器3の初期時(工場出荷時)から記憶部37に記憶、あるいは外部サーバからダウンロードや接続された記録媒体から読み込むことで記憶部37に記憶されるものである。本実施形態における端末機器3は、一部の機能として、アナログ電子時計システム1としての機能を有し、他の機能、例えば、電話機能、インターネット接続機能などを有しているスマートフォン、タブレットなどの携帯端末であるがこれに限定されるものではなく、ノートパソコンなどのパーソナルコンピュータであってもよい。端末機器3は、図1、図6に示すように、撮像部31と、タッチパネル部32と、アンテナ33と、通信部34と、制御部35と、電源部36と、記憶部37と、内蔵時計部38と、音声入出力部39とを含んで構成されている。なお、端末機器3は、要求される機能に応じて、例えば、振動発生部などが追加されてもよい。
撮像部31は、アナログ電子時計2の文字板26aにおける少なくとも小窓26gを撮像するものであり、図3に示すように、小窓26gおよび日板26eのうち小窓26gから露出する露出部分に対応する画像を含む小窓画像Pを生成するものである。撮像部31は、図1に示すように、端末機器3の裏面(タッチパネル部32の後述する表示面32aが設けられている面と反対側の面)に配置されている。撮像部31は、図6に示すように、電源部36からの電力により駆動する撮像素子が面状に配列されたCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像センサ31aを有するものである。撮像センサ31aは、露光ごとに、入射される光に応じた出力値に基づいて小窓画像Pを生成し、画像信号として制御部35に出力する。撮像部31は、撮像センサ31aの撮像条件、すなわち露光タイミング、露光時間などに基づいて、各撮像素子を駆動制御する。ここで、小窓画像Pは、小窓26gに対応する画像、日板26eのうち小窓26gから露出する露出部分に対応する画像が含まれる。ここで、撮像部31は、日板26eが3針26b〜26dと比較して単位時間当たりの回転が非常に遅いため、指針群26b〜26eの回転停止を行わず、すなわちアナログ電子時計2が現在時刻を表示している状態において、小窓画像Pを生成する。
タッチパネル部32は、表示部および入力部として機能するディスプレイである。タッチパネル部32は、表示部の機能として、表示面32aを有し、撮像部31により撮像された小窓画像Pを表示面32aに表示する。タッチパネル部32は、端末機器3の表面に配置されており、電源部36からの電力により駆動する液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイである。タッチパネル部32は、制御部35から出力される画像データ信号に基づいて、撮像部31により撮像された画像である小窓画像Pを表示する。タッチパネル部32は、入力部としての機能として、ユーザーが任意の位置を押圧することで、操作入力位置に対する操作入力信号が制御部35に出力される。
アンテナ33は、端末側通信部の一部を構成するものであり、少なくともBluetooth規格の電波を受信するものである。アンテナ33は、通信部34と接続されている。
通信部34は、端末側通信部の一部を構成するものであり、外部と少なくとも時刻に関する時刻情報を送受信することができるものである。本実施形態における通信部34は、通信部22と同様に、アンテナ33を介して、少なくとも外部であるアナログ電子時計2との間でBluetooth通信を行うための図示しないBluetoothモジュールおよび変換部を有する。制御部35から出力される送信情報(送信データ)、例えば日板26eの現在表示位置情報は、変換部において信号処理が行われ、Bluetoothモジュールからアンテナ33を介してアナログ電子時計2に送信される。一方、アンテナ33を介して、Bluetoothモジュールが受信した受信情報(受信データ)、例えば表示位置補正完了通知は、変換部において信号処理が行われ、制御部35に出力される。また、通信部34は、各地に設置されている基地局と、無線通信により、情報の送受信を行うことができるものでもある。
制御部35は、端末側制御部であり、撮像部31を含む端末機器3を構成する機器を制御するものである。制御部35は、上記アプリを実行することで、アナログ電子時計2の小窓26gの撮像を実現するものである。また、制御部35は、撮像部31が生成した小窓画像Pを画像処理することで、文字C1〜C31または識別パターンID1〜ID31を検出するものである。ここで、制御部35のハードウェア構成は、周知の端末機器の制御部のハードウェア構成と同一であり、例えば、図示しない演算部、RAM、ROMを有する。
電源部36は、端末機器3の電力源であり、撮像部31と、タッチパネル部32と、通信部34と、制御部35と、記憶部37と、内蔵時計部38と、音声入出力部39等、端末機器3を構成する各種の機器に対して電力を供給する。電源部36は、少なくとも充放電可能なバッテリを有する。
記憶部37は、制御部35が実行する表示位置補正アプリケーションに対応するプログラムを含む各種のプログラム、初期設定情報などを記憶するものである。記憶部37は、例えば、フラッシュメモリやEEPROM等である。
内蔵時計部38は、端末内部時刻を計時して保持するカウンタである。端末機器3では、制御部35により端末内部時刻が読み出され、タッチパネル部32の表示面32aに表示される。また、端末機器3では、制御部35により、端末内部時刻と設定時刻とを比較することで、各種動作が行われる。端末内部時刻は、通信部34によって端末機器3と基地局との通信が行われている際に、基地局から取得される基地局側時刻情報に基づいて、制御部35により随時更新が行われる。
音声入出力部39は、主にユーザーと端末機器3との間で音声を介して情報を伝達するものである。音声入出力部39は、マイク39aと、スピーカー39bとを有する。マイク39aは、主に、ユーザーの音声を入力するものであり、音波を音声信号に変換し、制御部35などに出力するものである。スピーカー39bは、主に、ユーザーに対して音声を出力するものであり、制御部35などから出力された音声信号を音波に変換し、端末機器3の外部に出力するものである。
次に、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1による表示位置補正について説明する。図7は、実施形態におけるアナログ電子時計システムによる表示位置補正処理のシーケンス図である。図8は、端末機器における表示位置補正処理のフロー図である。図9は、アナログ電子時計における表示位置補正処理のフロー図である。図10は、小窓画像に基づいた現在表示位置の検出(文字検出)の説明図である。図11は、小窓画像に基づいた現在表示位置の検出(識別パターン検出)の説明図である。なお、図10および図11におけるXは、日板の回転中心である。
まず、ユーザーは、図7に示すように、端末機器3において表示位置補正アプリケーションを起動する。ここで、アプリの起動は、例えば、ユーザーが表示面32aに表示されたアプリに対応する起動ボタンのアイコンを押下する(表示面32aのうち、起動ボタンのアイコン表示位置に対して操作入力する)。ここで、本実施形態における端末機器3の通信部34は、アプリの起動により、アナログ電子時計2の通信部22との間で、Buletooth通信を確立する。
次に、端末機器3の制御部35は、図8に示すように、アプリが起動しているか否かを判断する(ステップST301)。
次に、制御部35は、アプリが起動していると判断する(ステップST301:Yes)と、撮像部31を起動する(ステップST302)。ここでは、制御部35は、指針群26b〜26eが回転状態において、小窓26gを撮像するために、撮像部31を起動する。制御部35は、撮像部31が起動されると、撮像部31からリアルタイムに出力される画像信号に基づいた画像を表示面32aに表示させる。つまり、ユーザーは、表示面32aを視認することで、撮像部31が撮像しようとする被写体、すなわち小窓26gを確認することができる。また、制御部35は、撮像部31による撮像を指示するシャッターをアイコンとして表示する。
次に、制御部35は、シャッターが押下されたか否かを判断する(ステップST303)。
次に、制御部35は、シャッターが押下されたと判断する(ステップST303:Yes)と、小窓画像Pを生成する(ステップST304)。ここでは、制御部35は、ユーザーにより表示面32aに表示されたシャッターのアイコンが押下されると、撮像部31による撮像を指示する撮像指示信号を撮像部31に出力し、撮像部31による撮像が行われ、小窓画像Pが生成される。また、制御部35は、シャッターが押下されていないと判断する(ステップST303:No)と、シャッターが押下されるまで、ステップST305を繰り返す。
次に、制御部35は、小窓画像Pから文字群CGの文字C1〜C31のいずれかを検出することができたか否かを判断する(ステップST305)。本実施形態における制御部35は、画像処理としてパターンマッチング処理を行うことで、小窓画像Pから文字C1〜C31のいずれかを検出する。ここで、パターンマッチング処理は、小窓画像Pにおける各画素が有する輝度、彩度、明度、色相などの値を比較して、幾何学形状情報を抽出することで行われる。制御部35は、例えば、図10に示すように、予め記憶部37に記憶されている識別パターンID1〜ID31の形状(輪郭形状)と、小窓画像Pにおいて検出された形状とが完全一致(形状の一部が連続的でない完全一致相当も含む)、すなわち小窓26gに文字C1〜C31のいずれかの全部が露出している場合に、文字C1〜C31のいずれかを検出することができる。
次に、制御部35は、図8に示すように、文字C1〜C31のいずれかを検出できたと判断する(ステップST305:Yes)と、現在表示位置情報を生成する(ステップST306)。ここでは、制御部35は、検出された文字に基づいて、日板26eの現在表示位置を検出し、現在表示位置情報を生成する。本実施形態における制御部35は、検出された文字C1〜C31に基づいて日板26eの基準位置に対する現在位置(例えば、基準位置に対する現在の日板26eの回転角度)を算出することで現在表示位置情報を生成する。
次に、制御部35は、アナログ電子時計2に対して現在表示位置情報を送信する(ステップST307)。現時点で、アナログ電子時計2の指針群26b〜26eが回転状態であるが、制御部35は、日板26eを駆動機構部25により時計内部時刻による日板26eの回転に加えて、さらに回転することができるように、通信部34,22を介して、日板26eの現在表示位置情報を制御部23に出力する。
次に、制御部23は、図9に示すように、現在表示位置情報を受信したか否かを判断する(ステップST201)。
次に、制御部23は、現在表示位置情報を受信したと判断する(ステップST201:Yes)と、現在表示位置情報に基づいて日板26eの表示位置補正を行う(ステップST202)。ここでは、制御部23は、現在表示位置情報と、時計内部時刻に基づいた予定表示位置との差分である日差分情報に基づいて、駆動機構部25の各ステップモータ25a〜25cに対してモータ駆動回路23bが駆動信号を出力する。したがって、日板26eは、現在表示位置から日差分情報に基づいた補正表示位置に回転する。なお、現在位置情報は、現在の表示位置から補正表示位置に対応する位置情報となり、RAM23fに記憶される。また、制御部23は、現在表示位置情報を受信していないと判断する(ステップST201:No)と、現在表示位置情報を受信するまでステップST201を繰り返す。
次に、制御部23は、端末機器3に対して表示位置補正完了通知を送信する(ステップST203)。現時点で、アナログ電子時計2の日板26eの表示位置補正が完了しているため、制御部23は、アプリを終了できるように、通信部22,34を介して、アプリ終了のトリガーとなる表示位置補正完了通知を制御部35に出力する。
次に、制御部35は、図8に示すように、表示位置補正完了通知を受信したか否かを判断する(ステップST308)。
次に、制御部35は、表示位置補正完了通知を受信したと判断する(ステップST308:Yes)と、アプリを終了する(ステップST309)。ここでは、制御部35は、表示位置補正完了通知を受信すると、例えば、表示面32aに表示位置補正が完了した旨をユーザーに認識させる注意喚起表示を表示したのち、アプリを終了する。また、制御部35は、表示位置補正完了通知を受信していないと判断する(ステップST308:No)と、表示位置補正完了通知を受信するまでステップST308を繰り返す。また、制御部35は、一定期間、表示位置補正完了通知を受信していない場合に、アナログ電子時計2との通信が不通であることをユーザーに認識させる注意表示画像を表示面32aに表示したのち、アプリを終了(ステップST309)してもよい。また、アナログ電子時計2との通信が不通である場合は、アナログ電子時計2の電池容量が低下しており、指針群26b〜26eの回転が停止している状態である可能性もあるため、アナログ電子時計2との通信が不通であることとともに、アナログ電子時計2の充電をユーザーに促す注意表示画像を合わせて表示面32aに対して表示してもよい。
また、制御部35は、文字C1〜C31のいずれかを検出できないと判断する(ステップST305:No)と、小窓画像Pから識別パターンID1〜ID31のいずれかを検出することができたか否かを判断する(ステップST310)。本実施形態における制御部35は、例えば、図11に示すように、予め記憶部37に記憶されている識別パターンID1〜ID31の形状と、小窓画像Pにおいて検出された形状とが完全一致(形状の一部が連続的でない完全一致相当も含む)、すなわち小窓26gにID1〜ID31のいずれかの全部が露出している場合に、ID1〜ID31のいずれかを検出することができる。
次に、制御部35は、図8に示すように、識別パターンID1〜ID31のいずれかを検出することができたと判断する(ステップST310:Yes)と、現在表示位置情報を生成する(ステップST306)。ここでは、制御部35は、検出された識別パターンID1〜ID31に基づいて、日板26eの現在表示位置情報を生成する。本実施形態における制御部35は、検出された識別パターンID1〜ID31に基づいて、日板26eの基準位置に対する現在位置(例えば、基準位置に対する現在の日板26eの回転角度)を算出することで日板26eの現在表示位置を検出し、現在表示位置情報を生成し、アナログ電子時計2に対して現在表示位置情報を送信し(ステップST307)、制御部23により現在表示位置情報に基づいて日板26eの表示位置補正が行われ(ステップST202)、端末機器3に対して制御部23により表示位置補正完了通知が送信され(ステップST203)、制御部35によりアプリが終了される(ステップST309)。また、制御部35は、識別パターンID1〜ID31のいずれかを検出することができないと判断する(ステップST310:No)と、制御部35によりアプリが終了される(ステップST309)。
以上のように、本実施形態におけるアナログ電子時計システム1では、文字群CGの周方向に隣り合う文字C1〜C31の間に、1つの関連性を有するとともに互いに異なる複数の識別パターンID1〜ID31がそれぞれ形成されており、制御部35により小窓画像Pに基づいて識別パターンID1〜ID31のいずれかを検出し、検出した識別パターンID1〜ID31に基づいて日板26eの現在表示位置を検出するため、日板26eにおいて識別パターンID1〜ID31が形成されていない場合と比較して、文字C1〜C31のいずれかを検出できなくても、隣り合う文字C1〜C31のうち、どの文字とどの文字との間が小窓26gから文字板26aの上側に露出しているかを把握することができる。文字C1〜C31のいずれかを検出しなければ、日板26eの表示位置補正を行うことができない場合は、制御部35により文字C1〜C31のいずれかを検出できないと判断すると、表示位置補正が行えなくなる。または、制御部23により、文字C1〜C31のいずれかが小窓26gから露出できる表示位置まで日板26eを回転させることとなり、回転後に撮像部31により撮像となるので、表示位置補正に要する時間が長くなる。一方、アナログ電子時計システム1は、制御部35により文字C1〜C31のいずれかを検出できないと判断しても、識別パターンID1〜ID31のいずれかを検出することができるので、確実に日板26eの表示位置補正を行うことができ、表示位置補正に要する時間が長くなることを抑制することができる。
また、アナログ電子時計システム1における日板26eは、3針26b〜26dと比較して単位時間当たりの回転が非常に遅いため、指針群26b〜26eの回転停止を行わず、すなわちアナログ電子時計2が現在時刻を表示している状態において、日板26eの表示位置補正を行うことができる。したがって、アナログ電子時計システム1は、日板26eの表示位置補正を行うために、指針群26b〜26eの回転停止を行わなくてもよいので、日板26eの表示位置補正におけるユーザーの不利益を抑制することができる。
また、アナログ電子時計システム1は、制御部35により、まず小窓画像Pに対して文字C1〜C31の検出が先に行われ、文字C1〜C31のいずれかを検出できなかった場合に、識別パターンID1〜ID31のいずれかの検出が行われる。ここで、文字C1〜C31は、識別パターンID1〜ID31と比較して、形状的な特徴が大きく、画像処理において識別パターンID1〜ID31よりも検出が容易である。したがって、アナログ電子時計システム1は、検出精度の高い文字C1〜C31のいずれかを先に検出するので、表示位置補正に要する時間が長くなることをさらに抑制することができる。なお、アナログ電子時計システム1は、制御部35により、まず小窓画像Pに対して識別パターンID1〜ID31の検出を先に行い、識別パターンID1〜ID31のいずれかを検出できなかった場合に、文字C1〜C31のいずれかの検出を行ってもよい。
また、アナログ電子時計システム1は、回転板である日板26eに形成される識別パターンID1〜ID31が5つの2値マークM1〜M5である。したがって、制御部35は、画像処理において2値マークM1〜M5に対応する画像の2値を判断することで、検出された識別パターンがどの識別パターンID1〜ID31のいずれかであるかを簡単に把握することができる。これにより、アナログ電子時計システム1は、識別パターンID1〜ID31のいずれかを検出する際の検出時間(画像処理時間)が長くなることを抑制できるため、表示位置補正に要する時間が長くなることをさらに抑制することができる。
なお、上記実施形態におけるアナログ電子時計システム1は、識別パターンID1〜ID31に基づいて日板26eの現在表示位置を生成する際に、識別パターンID1〜ID31の傾きを考慮してもよい。変形例におけるアナログ電子時計システム1は、制御部35により、識別パターンID1〜ID31を検出し、識別パターンID1〜ID31に基づいて現在表示位置を検出する際に、図11に示すように小窓26gと識別パターンID1〜ID31との角度θに基づいて、日板26eの回転位置を検出してもよい。ここでは、制御部35は、小窓画像Pにおいて小窓26gを検出する。小窓26gは、通常矩形形状であり回転中心Xに向かって延在する一対の長辺と、長辺と直交する一対の短辺とにより生成されている。したがって、変形例における制御部35は、小窓画像Pのうち、パターンマッチング処理を行うことで、予め記憶部37に記憶されている小窓26gの形状(輪郭形状)と、小窓画像Pにおいて検出された小窓26gに相当する形状とが完全一致(形状の一部が連続的でない完全一致相当も含む)する場合に、小窓26gを検出することができる。一方、検出されたいずれかの識別パターンID1〜ID31には、5つの2値マークM1〜M5を挟んで、一対の傾き用マークMEが形成されており、一対の傾き用マークMEを結び回転中心Xに延びる仮想線K2と、検出された小窓26gの長辺から回転中心Xに延びる仮想線K1とのなす角度θに基づいて、日板26eの回転位置を検出し、日板26eの回転位置に基づいた現在表示位置情報を生成する。小窓26gの文字板26aに対する相対位置は固定されているため、制御部35により文字板26aに対して検出された識別パターンID1〜ID31の傾き、すなわち日板26eの回転角度を把握することができる。したがって、アナログ電子時計システム1は、制御部35により検出される現在表示位置の検出精度を向上することができるため、表示位置補正の精度を向上することができる。
なお、実施形態におけるアナログ電子時計システム1における識別パターンID1〜ID31を構成する5つの2値マークM1〜M5は、ユーザーが視認する日板26のデザインを利用したものであってもよい。図12は、変形例における日板を示す図である。変形例におけるアナログ電子時計システム1の日板26eは、図12に示すように、文字C1〜C31が形成されている面に、模様Dが形成されている。変形例における模様Dは、交差する複数の直線で形成されており、結果として、文字C1〜C31が形成されている部分を除き、模様Dの1つ単位としてひし形などの複数の多角形が回転半径方向および周方向において連続的に配列されて形成されている。変形例における識別パターンID1〜ID31は、模様Dの1つの単位、すなわち多角形を1つの2値マークとし、回転半径方向に配列された5つの多角形を2値マークM1〜M5として用いる。したがって、変形例におけるアナログ電子時計システム1は、模様の一部を識別パターンID1〜ID31として利用するので、識別パターンID1〜ID31によりアナログ表示部26の意匠性が低下することを抑制することができる。
また、上記実施形態におけるアナログ電子時計システム1では、回転板として日板26eを用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。回転板は、暦を識別する一連の文字群の複数の文字が周方向にそれぞれ形成されていればよいので、「月」に関する一連の文字群が形成された月板、「年」に関する一連の文字群が形成された年板、「曜日」に関する一連の文字群が形成された曜日板であってもよい。また、アナログ電子時計2は、暦を識別する一連の異なる文字群がそれぞれ形成された2以上の回転板を有していてもよい。また、回転板は、計時時刻を識別する一連の文字群の複数の文字が周方向にそれぞれ形成されていてもよいので、「時」に関する一連の文字群が形成された時板、「分」に関する一連の文字群が形成された分板、「秒」に関する一連の文字群が形成された秒板であってもよい。また、アナログ電子時計2は、計時時刻を識別する一連の異なる文字群がそれぞれ形成された2以上の回転板を有していてもよい。また、アナログ電子時計2は、暦を識別する一連の異なる文字群が形成された回転板と、計時時刻を識別する一連の異なる文字群が形成された回転板とをそれぞれ1以上を有していてもよい。また、アナログ電子時計2は、上記回転板の他に、暦および計時時刻以外の関連性を有する一連の文字群が形成された回転板を有していてもよい。例えば、「都市」の文字群が形成された回転板や、「アナログ電子時計2のモード状態」の文字群が形成された回転板などである。このような回転板においても、隣り合う文字と文字との間に、識別パターンを形成することで、制御部35により識別パターンを検出することで、このような回転板の現在表示位置を検出することができ、表示位置補正を行うことができる。
また、実施形態におけるアナログ電子時計システム1では、5つの2値マークM1〜M5を識別パターンとしたが、これに限定されるものではない。図13は、変形例における日板の正面図である。図14は、識別パターンの関連性の説明図である。図15は、変形例における日板を示す図である。変形例におけるアナログ電子時計システム1の日板26eは、図13に示すように、5つの2値マークM1〜M5とは異なる1つの関連性を有するとともに互いに異なる複数の識別パターンID1〜ID31が形成されていてもよい。変形例における識別パターンID1〜ID31は、図14に示すように、1つの関連性として、文字C1〜C31の一の位および十の位の各数字にそれぞれ対応する記号で構成されていてもよい。この場合、数字の「0」から「9」までにそれぞれ記号を関連づける。例えば、数字「0」であれば白丸、数字「1」であれば縦線1本、数字「2」であれば横線2本、数字「3」であれば白三角、数字「4」であれば白四角、数字「5」であれば白ひし形、数字「6」であれば逆白三角、数字「7」であれば黒三角、数字「8」であれば黒四角、数字「9」であれば黒ひし形とする。識別パターンID1〜ID31は、数字の「0」から「9」までにそれぞれ関連づけられた記号を用いて形成されている。したがって、例えば、日板26eの文字C31と文字C1との間に形成される識別パターンC31は、十の位として白三角と、一の位として縦線1本となる。また、変形例における識別パターンID1〜ID31は、図15に示すように、ユーザーが視認した際に、ユーザーに対して端末機器3の操作を促すアイコンであってもよい。例えば、識別パターンID1〜ID31をユーザーが撮像部31により撮像したくなるようなカメラに関するアイコンとしてもよく、アイコンの色、形状、数などにより、異なる識別パターンID1〜ID31を構成することとなる。さらに、変形例における識別パターンID1〜ID31は、文字C1〜C31と連続した形状であってもよい。この場合は、隣り合う文字C1〜C31の間に形成される識別パターンID1〜ID31を隣り合う文字C1〜C31どうしの連続性をユーザーが視認可能な形状に形成し、かつ各識別パターンID1〜ID31を異なる形状に形成してもよい。これにより、識別パターンID1〜ID31によりアナログ表示部26の意匠性が低下することを抑制することができる。
また、識別パターンID1〜ID31は、制御部35により小窓画像Pにおいて検出することができるものであればよいので、撮像部31の特性を考慮したものであってもよい。例えば、撮像部31が可視光線領域以外の領域、例えば、赤外線領域や、紫外線領域の光を露光することができるものであれば、識別パターンID1〜ID31を赤外線、紫外線に反応する塗料などで形成してもよい。この場合は、小窓26gから文字板26aの上側に、識別パターンID1〜ID31が露出しても、ユーザーは認識することができない。したがって、露出した識別パターンID1〜ID31を認識することができる場合と比較して、アナログ電子時計2の意匠性が低下することを抑制することができる。また、識別パターンID1〜ID31を蛍光塗料などで形成し、撮像部31により暗所で小窓26gを撮像することで、制御部35により、小窓画像Pにおいて識別パターンID1〜ID31を検出することができることとなる。さらに、識別パターンID1〜ID31を日板26eよりも反射率が高い反射部材により形成してもよい。この場合は、撮像部31により小窓26gを撮像することで、輝度差が明確となり、制御部35による識別パターンID1〜ID31の検出精度を向上することができる。さらに、日板26eに対して再帰反射インクを用いて、識別パターンID1〜ID31を形成してもよい。再帰反射インクは、外光に対しては拡散反射するものであるため、外光下では視認性が低く、光源からの指向性のある光に対しては光源に向かって光を反射するたま、視認性が向上する。従って、端末機器3に光源を有する場合において、撮像部31により小窓26gを撮像する際に、光源を点滅させることで、識別パターンID1〜ID31において反射した光源からの光により、輝度差が明確となるとともに、外光下では視認性が低いことから、識別パターンID1〜ID31によりアナログ表示部26の意匠性が低下することを抑制するとともに、制御部35による識別パターンID1〜ID31の検出精度を向上することができる。