JP2018167605A - 架空線の張力変化低減装置 - Google Patents

架空線の張力変化低減装置 Download PDF

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Abstract

【課題】架空線に発生する張力変化を簡単な構造によって低減することができる架空線の張力変化低減装置を提供する。【解決手段】重錘部16が水平ガイド17aから傾斜ガイド17bに沿って下方に転がると、重錘部16から接続部材18aに引張力が加わる。接続部材18a及びスライダ18bを通じてこの引張力がガイド部材18cに作用するため、この引張力が付加張力TAとして連結部15に作用する。重錘部16が傾斜ガイド17bに沿って移動しているときには、ガイド部材18cに沿ってスライダ18bが下降する。連結部15に付加張力TAとして引張力が作用するとばねバランサ4のばね9が伸び、このばねバランサ4の筒部5が引張力を受けて後退する。このため、連結部15及びがいし2を通じて架線1に引張力が付加張力TAとして作用し、架線1の張力Tが増加する。【選択図】図4

Description

この発明は、ばねバランサによって架空線に張力を付与するときに、この架空線に発生する張力変化を低減する架空線の張力変化低減装置に関する。
ちょう架線、補助ちょう架線及びトロリ線などの電車線は、温度変化による伸縮や、クリープ、トロリ線の摩耗による弾性伸び、さらに経年による支持物の傾斜などにより、弛度張力が影響を受けるため、電車線の張力を一定に保持する必要がある。そのための装置としてばね式テンションバランサが知られている。従来のばね式テンションバランサは、支柱に連結される筒状ケーシングと、このケーシング内に同軸的に受容されかつ軸線方向に出没し得るようにされて架空線と連結される内側部材と、この内側部材を没入方向に弾発付勢するようにケーシングと内側部材との間に同軸的に介装されたコイルばねとを有する(例えば、特許文献1参照)。このような従来のばね式テンションバランサは、標準設置条件では各コイルばねをある程度圧縮変形させた状態で設置される。従って、従来のばね式テンションバランサは、例えば、気温が下がって電車線が縮むと、コイルばねの反発力に抗して内側部材が外側ケーシングから突出し、気温が上がって電車線が伸びると、コイルばねの弾発復元力により内側部材がケーシング内に没入するため、電車線の伸び縮みによる変位を吸収し得る。
特開2000-158981号公報
従来のばね式テンションバランサは、対応できる電車線の張力変化率が標準張力の±9%の範囲内である。近年、速度向上のニーズが高まってきており、走行速度が高くなるにつれ電車線の張力変化により集電システムの接触性能に及ぼす影響が大きくなることが問題となってきている。そこで、張力変化率をさらに低下させ、張力変化率を標準張力の5%未満とすることができる架空線用テンションバランサが必要となる。
この発明の課題は、架空線に発生する張力変化を簡単な構造によって低減することができる架空線の張力変化低減装置を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1〜図5に示すように、架空線(1)の張力(T)をばねバランサ(4)によって一定に保持するときに、この架空線に発生する張力変化を低減する架空線の張力変化低減装置であって、前記架空線に発生する張力変化を低減するために、この架空線の伸縮に応じてこの架空線に付加張力(TA)を作用させる重錘部(16)を備えることを特徴とする架空線の張力変化低減装置(14)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の架空線の張力変化低減装置において、図1に示すように、前記重錘部は、前記ばねバランサと前記架空線との間に、このばねバランサの外部から前記付加張力を作用させることを特徴とする架空線の張力変化低減装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の架空線の張力変化低減装置において、図4に示すように、前記重錘部は、前記架空線の張力が所定値(Tmin)を下回るときには、この架空線に前記付加張力を作用させ、前記架空線の張力が所定値(Tmin)以上であるときには、この架空線に前記付加張力を作用させないことを特徴とする架空線の張力変化低減装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の架空線の張力変化低減装置において、図2、図4及び図5に示すように、前記重錘部から前記架空線に前記付加張力を作用させる状態と作用させない状態とに切り替える切替部(17)を備えることを特徴とする架空線の張力変化低減装置である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の架空線の張力変化低減装置において、前記切替部は、前記重錘部を傾斜ガイド(17b)に移動させて、前記付加張力を作用させる状態に切り替え、前記重錘部を水平ガイド(17a)に移動させて、前記付加張力を作用させない状態に切り替えることを特徴とする架空線の張力変化低減装置である。
この発明によると、架空線に発生する張力変化を簡単な構造によって低減することができる。
この発明の実施形態に係る架空線の張力変化低減装置の斜視図である。 この発明の実施形態に係る架空線の張力変化低減装置の側面図である。 この発明の実施形態に係る架空線の張力変化低減装置が使用されるばねバランサの横断面図である。 この発明の実施形態に係る架空線の張力変化低減装置の架空線が伸長したときの動作を説明するための縦断面図であり、(A)はばねバランサによって架線に標準張力を作用させている状態を示す縦断面図であり、(B)は架線が伸長して張力が低下したときの状態を示す縦断面図である。 この発明の実施形態に係る架空線の張力変化低減装置の架空線が収縮したときの動作を説明するための縦断面図であり、(A)は架線が伸長して張力が低下したときの状態を示す縦断面図であり、(B)はばねバランサによって架線に標準張力を作用させている状態を示す縦断面図である。 この発明の実施形態に係る架空線の張力変化低減装置の張力特性図を一例として示すグラフである。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1及び図2に示す架線1は、線路上空に架設される架空電車線(電車線路)である。架線1は、支持点間の距離(径間)が所定の長さになるように、所定の間隔をあけて支持構造物によって支持点で支持されている。架線1は、電車又は電気機関車などの電気車(鉄道車両)が走行する線路上空に架設されている。架線1は、電気車の集電装置のすり板が接触するトロリ線と、このトロリ線を支持する補助ちょう架線と、この補助ちょう架線を介してトロリ線を支持するちょう架線などを備えている。がいし(碍子)2は、電気導体を絶縁して支持する部材である。がいし2は、架線1とばねバランサ4との間を電気的に絶縁するとともに、架線1と張力変化低減装置14との間を電気的に絶縁する。電柱3は、電車線路の構成物を支持する部材である。電柱3は、ばねバランサ4を支持しており、電気車が走行する線路に沿って基礎部分が固定されている。
図1〜図5に示すばねバランサ4は、架線1の張力Tを一定に保持する装置である。ばねバランサ4は、図3に示す筒部5〜8と、ばね9〜11と、図1及び図2に示す装着部12,13などを備えている。ばねバランサ4は、例えば、架線1の温度伸縮、クリープ伸び、摩耗による弾性伸びなどのような架線1の伸縮をばね9〜11のばね力(弾性力)を利用して吸収し、架線1の張力Tを一定に保持するばね式テンションバランサである。図1〜図5に示すばねバランサ4は、架線1の温度変化などによる弛度及び張力変化を常に一定に保持するために、この架線1の張力Tを自動的に調整する自動張力調整装置として機能する。
図3に示す筒部5〜8は、架線1の伸縮動作に連動して進退動作する部材である。筒部5は、架線1側に連結された状態でばね9に挿入されており、この筒部5の外周面にばね9の一端部を受けるばね受部5aなどを備えている。筒部6は、筒部5を中心線方向に進退自在に収容した状態でばね10に挿入されており、このばね10の一端部を受けるばね受部6aと、ばね9の一端部を受けるばね受部6bなどを備えている。筒部7は、筒部6を中心線方向に進退自在に収容した状態でばね11に挿入されており、このばね11を受けるばね受部7aと、ばね10を受けるばね受部7bなどを備えている。筒部8は、筒部7を中心線方向に進退自在に収容しており、ばね11の一端部を受けるばね受部8aなど備えている。
ばね9〜11は、架線1に張力Tを付与する部材である。ばね9〜11は、圧縮状態で常時使用される圧縮コイルばねであり、架線1にばね力を常時作用させている。ばね9〜11は、小径のばね9から大径のばね11までばね定数が段階的に小さくなるように設定されている。ばね9は、筒部5側のばね受部5aと筒部6側のばね受部6bとの間に挟み込まれることによってばね力を発生する。ばね10は、筒部6側のばね受部6aと筒部7側のばね受部7bとの間に挟み込まれることによってばね力を発生する。ばね11は、筒部7側のばね受部7aと筒部8側のばね受部8aとの間に挟み込まれることによってばね力を発生する。
図1及び図2に示す装着部12,13は、筒部8を電柱3に着脱自在に装着する部材である。装着部12は、筒部8の後端部と電柱3の外周部とを連結するようにこの電柱3に着脱自在に取り付けられる固定バンドを備えている。装着部13は、筒部8の先端部寄りの底部と電柱3の外周部とを連結する連結軸と、この連結軸の両端部を電柱3及び筒部8に着脱自在に取り付ける固定バンドなどを備えている。
図1〜図5に示す張力変化低減装置14は、ばねバランサ4によって架線1に張力Tを付与するときに、この架線1に発生する張力変化を低減する。ここで、張力変化とは、ばねバランサ4によって架線1の張力Tを標準張力TSに設定した場合に、架線1の伸縮によって張力Tが変動したときに許容される変動範囲である。張力変化低減装置14は、図6に示すように、架線1の伸縮によってこの架線1の張力Tが変化したときに、図4に示すようにこの架線1に付加張力TAを作用させて、この架線1の張力Tを所定範囲内にする。
ここで、図6に示す縦軸は、架線1の張力T(kgf)であり、横軸は架線1の変位(mm)である。標準張力Tsは、ばねバランサ4によって設定された架線1の標準的な張力値である。上限張力Tmaxは、架線1の張力Tが増加したときに許容される張力Tの上限値である。下限張力Tminは、架線1の張力Tが低下したときに許容される張力Tの下限値である。図6に示す張力特性図は、標準張力TSが5500kgfであり、上限張力Tmaxが5775kgf(標準張力TSの+5%)であり、下限張力Tminが5225kgf(標準張力TSの-5%)であり、標準長が±320mmである場合の特性図である。図6に示す太実線(実施例)は、この実施形態に係る張力変化低減装置14による張力変化率+9%〜-5%の範囲内の場合の張力特性である。細実線(従来例)は、従来のばね式テンションバランサによる張力変化率±9%の範囲内の場合の張力特性である。二点鎖線は、標準張力TSの値を示し、太点線は上限張力Tmax及び下限張力Tminの値を示す。
図1〜図5に示す張力変化低減装置14は、架線1の張力Tが下限張力Tminを下回らないようにこの架線1に付加張力TAを作用させる。張力変化低減装置14は、例えば、図6に示すように、従来のばねバランサによる架線1の張力変化率が標準張力TSの±9%の範囲内であるときに、この架線1の張力変化率を標準張力TSの+9%〜-5%の範囲内まで低減する。張力変化低減装置14は、架線1及びばねバランサ4の構造を改変することなく、このばねバランサ4の外部に着脱自在に装着されている。張力変化低減装置14は、図1〜図5に示すように、連結部15と、重錘部16と、切替部17と、付加張力伝達部18と、装着部19などを備えている。
図1〜図5に示す連結部15は、がいし2とばねバランサ4とを連結する手段である。連結部15は、ばねバランサ4の筒部5の先端部とがいし2とを着脱自在にピン結合する。連結部15は、架線1の張力Tが下限張力Tminを下回るときに重錘部16から付加張力TAが伝達されており、筒部5を押し込む方向(架線1を引っ張る方向)にこの付加張力TAを作用させる。
重錘部16は、架線1に発生する張力変化を低減するために、この架線1の伸縮に応じてこの架線1に付加張力TAを作用させる手段である。重錘部16は、例えば、金属製の車輪であり、切替部17の水平ガイド17a及び傾斜ガイド17bにガイドされながらこれらの水平ガイド17a及び傾斜ガイド17bに沿って転動する。重錘部16は、図1及び図2に示すように、ばねバランサ4と架線1との間に、このばねバランサ4の外部から付加張力TAを作用させる。重錘部16は、図4〜図6に示すように、架線1の張力Tが下限張力Tminを下回るときには、この架線1に付加張力TAを作用させ、架線1の張力Tが下限張力Tmin以上であるときには、この架線1に付加張力TAを作用させない。
図1〜図5に示す切替部17は、重錘部16から架線1に付加張力TAを作用させる状態と作用させない状態とに切り替える手段である。切替部17は、重錘部16を支持した状態でばねバランサ4の上方に配置されており、付加張力TAを作用させる状態と作用させない状態とにこのばねバランサ4の外部で切り替える。切替部17は、図2、図4及び図5に示すように、水平ガイド17aと、傾斜ガイド17bと、支持部材17cなどを備えている。切替部17は、水平ガイド17aと傾斜ガイド17bとの間を重錘部16が回転接触しながら進退動作させるガイドレールとして機能する。切替部17は、図4(B)及び図5(A)に示すように、重錘部16を傾斜ガイド17bに移動させて、付加張力TAを作用させる状態に切り替える。一方、切替部17は、図4(A)及び図5(B)に示すように、重錘部16を水平ガイド17aに移動させて、付加張力TAを作用させない状態に切り替える。切替部17は、例えば、水平ガイド17aと傾斜ガイド17bとの境界に重錘部16が位置するときに、架線1の張力Tが下限張力Tminになるように、水平ガイド17aと傾斜ガイド17bとの位置関係を調整可能な構造である。切替部17は、架線1の伸縮にかかわらず非可動の固定部であり所定の位置に固定されている。
図2、図4及び図5に示す水平ガイド17aは、重錘部16から架線1に付加張力TAを作用させないときにこの重錘部16が移動する部材である。水平ガイド17aは、ばねバランサ4の中心線と平行な平坦面であり、図4(A)及び図5(B)に示すように架線1の張力Tが下限張力Tmin以上であるときに重錘部16が移動する。図2、図4及び図5に示す傾斜ガイド17bは、重錘部16から架線1に付加張力TAを作用させるときにこの重錘部16が移動する部材である。傾斜ガイド17bは、ばねバランサ4の中心線と交差して下方に傾斜する下降傾斜面であり、図4(B)及び図5(A)に示すように架線1の張力Tが下限張力Tminを下回るときに重錘部16が移動する。傾斜ガイド17bは、図2、図4及び図5に示すように、水平ガイド17aと連続するように、この傾斜ガイド17bの上端部が水平ガイド17aの一方の端部に接続されている。傾斜ガイド17bは、例えば、架線1に作用させる付加張力TAの大きさを任意の大きさに変更可能なように、この傾斜ガイド17bの傾斜角度を任意の角度に設定可能な構造である。支持部材17cは、水平ガイド17a及び傾斜ガイド17bを支持する部材である。支持部材17cは、水平ガイド17a及び傾斜ガイド17bに重錘部16を搭載した状態でこれらを支持するベースとして機能する。
図1〜図5に示す付加張力伝達部18は、重錘部16から架線1に付加張力TAを伝達する手段である。付加張力伝達部18は、ばねバランサ4の上方に配置されており、重錘部16と連結部15とを接続する。付加張力伝達部18は、重錘部16とともに架線1の伸縮に応じて可動する可動部である。付加張力伝達部18は、図4(B)及び図5(A)に示すように、切替部17の傾斜ガイド17bに重錘部16が位置するときに、重錘部16に作用する垂直抗力の水平方向の分力である引張力を付加張力TAとして連結部15に伝達する。付加張力伝達部18は、図1〜図5に示すように、接続部材18aと、スライダ18bと、ガイド部材18cなどを備えている。
接続部材18aは、重錘部16とスライダ18bとを接続する部材である。接続部材18aは、一方の端部が重錘部16の回転軸に連結されており、他方の端部がスライダ18bの側面に着脱自在に取り付けられている。接続部材18aは、重錘部16を回転自在に支持しており、重錘部16とともに滑車として機能する。スライダ18bは、ガイド部材18cに沿って昇降自在に移動する部材である。スライダ18bは、架線1の伸縮に応じて昇降動作し、ガイド部材18cに引張力を作用させる。ガイド部材18cは、スライダ18bを移動自在にガイドする部材である。ガイド部材18cは、このガイド部材18cの中心線がばねバランサ4の中心線と直交するように配置されており、このガイド部材18cの下端部が連結部15の上面に着脱自在に取り付けられている。
装着部19は、切替部17をばねバランサ4に着脱自在に装着する手段である。装着部19は、切替部17の支持部材17cとばねバランサ4の筒部8とを連結するように、この筒部8に着脱自在に取り付けられる固定バンドなどを備えている。
次に、この発明の実施形態に係る架空線の張力変化低減装置の動作を説明する。
例えば、図4に示すように、気温が上昇して架線1が伸長すると、ばね9のばね力によって筒部5が後退して、架線1の張力Tが低下する。架線1が伸長して筒部5が後退すると、筒部5と一体となって連結部15が後退しこの連結部15と一体となってガイド部材18cも後退する。ガイド部材18cが後退すると接続部材18aも後退して、図4(A)に示すように、水平ガイド17a上の重錘部16がこの水平ガイド17aに沿って転がる。水平ガイド17a上を重錘部16が移動しているときには、重錘部16から接続部材18aに力が加わらないため、連結部15に付加張力TAが作用せず、ばねバランサ4のばね5のばね力によってのみ架線1に張力Tが作用している。
図4(B)に示すように、重錘部16が水平ガイド17aから傾斜ガイド17bに沿って下方に転がると、重錘部16から接続部材18aに引張力が加わる。接続部材18a及びスライダ18bを通じてこの引張力がガイド部材18cに作用するため、この引張力が連結部15に作用する。重錘部16が傾斜ガイド17bに沿って移動しているときには、ガイド部材18cに沿ってスライダ18bが下降する。このため、重錘部16から接続部材18aに継続して一定の引張力が加わるため、連結部15に一定の付加張力TAが作用する。この引張力によってばねバランサ4のばね9が伸び、このばねバランサ4の筒部5が引張力を受けて後退する。このため、連結部15及びがいし2を通じて架線1に引張力が付加張力TAとして作用し、架線1の張力Tが増加して架線1の張力Tが低下するのが抑制される。
一方、例えば、図5に示すように、図4に示す状態から気温が低下して架線1が収縮すると、ばね9のばね力に抗して筒部5が前進して、架線1の張力Tが増加する。架線1が収縮して筒部5が前進すると、筒部5と一体となって連結部15が前進しこの連結部15と一体となってガイド部材18cも前進する。ガイド部材18cが前進すると接続部材18aも前進して、図5(B)に示すように、重錘部16が傾斜ガイド17bから水平ガイド17aに沿って転がる。水平ガイド17a上を重錘部16が移動しているときには、重錘部16から接続部材18aに力が加わらない。このため、連結部15に付加張力TAが作用せず、ばねバランサ4のばね5のばね力によってのみ架線1に張力Tが作用する。その結果、架線1に付加張力TAが作用して、この架線1の張力Tが増加してしまうのが抑制される。
この発明の実施形態に係る架空線の張力変化低下装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、架線1に発生する張力変化を低減するために、この架線1の伸縮に応じてこの架線1に付加張力TAを重錘部16が作用させる。このため、架線1の張力Tの変動に応じて付加張力TAを作用させることができる。その結果、架線1に発生する張力変化を簡単な構造によって低減することができる。
(2) この実施形態では、ばねバランサ4と架線1との間に、このばねバランサ4の外部から重錘部16が付加張力TAを作用させる。このため、ばねバランサ4や架線1の構造を改変せずに、このばねバランサ4の外側に重錘部16を簡単に後付けすることができる。その結果、既存のばねバランサ4や架線1の移動や取り換え工事が不要になり、短時間で安価に重錘部16を付加することができる。
(3) この実施形態では、架線1の張力Tが下限張力Tminを下回るときには、この架線1に付加張力TAを重錘部16が作用させ、架線1の張力Tが下限張力Tmin以上であるときには、この架線1に重錘部16が付加張力TAを作用させない。このため、架線1の張力Tが下限張力Tminに達する前に、この架線1に付加張力TAを作用させ、この架線1に発生する張力変化を確実に低減することができる。例えば、図6に示すように、従来のばね式テンションバランサに比べて架線1の張力変化率を標準張力TSの±9%の範囲内から+9%〜-5%の範囲内に低減することができる。
(4) この実施形態では、重錘部16から架線1に付加張力TAを作用させる状態と作用させない状態とに切替部17が切り替える。このため、架線1が収縮したときにはこの架線1に付加張力TAを作用させるため、この架線1の張力Tが低下するのを防ぐことができる。また、架線1が伸長したときにはこの架線1に付加張力TAを作用させないため、この架線1の張力Tが増加するのを防ぐことができる。
(5) この実施形態では、重錘部16を傾斜ガイド17bに移動させて、付加張力TAを作用させる状態に切替部17が切り替え、重錘部16を水平ガイド17aに移動させて、付加張力TAを作用させない状態に切替部17が切り替える。このため、例えば、簡単な構造の重錘部16及び切替部17を既存のばねバランサ4に付加することによって、ばねバランサ4のばね力を支援し架線1の張力変化率を±9%の範囲内から+9%〜-5%の範囲内に低減することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、架空線として架線1のような架空電車線を例に挙げて説明したが、電線などの支持物に架設された電線路についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、張力変化低減装置14をばねバランサ4に適用する場合を例に挙げて説明したが、架線1の変位を防止する流れ止装置についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、ばねバランサ4が4個の入れ子構造の筒部5〜8を備える場合を例に挙げて説明したが、4個以外に複数の筒部を備えるばねバランサについても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、切替部17をばねバランサ4に装着部19によって装着する場合を例に挙げて説明したが、切替部17を電柱3に着脱自在に装着することもできる。
(2) この実施形態では、重錘部16、切替部17及び付加張力伝達部18を1台配置する場合を例に挙げて説明したが、これらを複数台配置することもできる。例えば、重錘部16、切替部17及び付加張力伝達部18をばねバランサ4の両側にそれぞれ配置し連結部15の両側から均等に付加張力TAを作用させることもできる。また、この実施形態では、架線1が伸長してこの架線1の張力Tが低減するときに、重錘部16によってこの架線1に引張力を付加張力TAとして作用させる場合を例に挙げて説明したが、この架線1に引張力を作用させる場合に限定するものではない。例えば、架線1が収縮してこの架線1の張力Tが増加するときに、重錘部16によってこの架線1に押圧力を付加張力TAとして作用させることもできる。例えば、下方に傾斜する傾斜ガイド17bを水平ガイド17aの両端にそれぞれ配置することもできる。この場合には、一方の傾斜ガイド17bと水平ガイド17aとの境界に重錘部16が位置するときに、架線1の張力Tが下限張力Tminになり、他方の傾斜ガイド17bと水平ガイド17aとの境界に重錘部16が位置するときに、架線1の張力Tが上限張力Tmaxになるように、水平ガイド17aと傾斜ガイド17bとの位置関係を設定することができる。さらに、この実施形態では、張力変化率を標準張力TSの+9%〜-5%の範囲内に低減する場合を例に挙げて説明したが、張力変化率を標準張力TSの+9%〜-5%の範囲内に限定するものではなく、任意の張力変化率の範囲内に低減することもできる。
1 架線(架空線)
2 がいし
3 電柱
4 ばねバランサ
5〜8 筒部
9〜11 ばね
12,13 装着部
14 張力変化低減装置
15 連結部
16 重錘部
17 切替部
17a 水平ガイド
17b 傾斜ガイド
17c 支持部材
18 付加張力伝達部
18a 接続部材
18b スライダ
18c ガイド部材
19 装着部
T 張力
A 付加張力
s 標準張力
max 上限張力
min 下限張力(所定値)

Claims (5)

  1. 架空線の張力をばねバランサによって一定に保持するときに、この架空線に発生する張力変化を低減する架空線の張力変化低減装置であって、
    前記架空線に発生する張力変化を低減するために、この架空線の伸縮に応じてこの架空線に付加張力を作用させる重錘部を備えること、
    を特徴とする架空線の張力変化低減装置。
  2. 請求項1に記載の架空線の張力変化低減装置において、
    前記重錘部は、前記ばねバランサと前記架空線との間に、このばねバランサの外部から前記付加張力を作用させること、
    を特徴とする架空線の張力変化低減装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の架空線の張力変化低減装置において、
    前記重錘部は、
    前記架空線の張力が所定値を下回るときには、この架空線に前記付加張力を作用させ、
    前記架空線の張力が所定値以上であるときには、この架空線に前記付加張力を作用させないこと、
    を特徴とする架空線の張力変化低減装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の架空線の張力変化低減装置において、
    前記重錘部から前記架空線に前記付加張力を作用させる状態と作用させない状態とに切り替える切替部を備えること、
    を特徴とする架空線の張力変化低減装置。
  5. 請求項4に記載の架空線の張力変化低減装置において、
    前記切替部は、
    前記重錘部を傾斜ガイドに移動させて、前記付加張力を作用させる状態に切り替え、
    前記重錘部を水平ガイドに移動させて、前記付加張力を作用させない状態に切り替えること、
    を特徴とする架空線の張力変化低減装置。
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