JP2018164380A - インバータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転電機を駆動する回転電機駆動装置に異常が検出された場合に、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とを適切に選択してフェールセーフ制御を実行する。【解決手段】インバータをスイッチング制御すると共に、回転電機及び回転電機駆動装置の異常が検出された場合にフェールセーフ制御を実行するインバータ制御装置は、コンタクタの開閉状態に応じて異なる選択条件E1,E2に基づいて、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とを選択的に実行する。【選択図】図3

Description

本発明は、回転電機を駆動する回転電機駆動装置に備えられたインバータをスイッチング制御すると共に、回転電機及び回転電機駆動装置の異常が検出された場合にフェールセーフ制御を実行するインバータ制御装置に関する。
下記に番号を示す特許文献1には、車両の駆動力源として、内燃機関(70)及び回転電機(80)を備えた車両用駆動装置が開示されている(特許文献1:図1,図2等。尚、背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。回転電機(80)は、インバータ(10)を備えた回転電機駆動装置(1)を介して、インバータ制御装置(20)により駆動制御されている。インバータ(10)は、直流電源(11)及び回転電機(80)に電気的に接続され、直流と交流との間で電力を変換する。
インバータ制御装置(20)は、インバータ(10)を構成するスイッチング素子(3)をスイッチング制御すると共に、回転電機駆動装置(1)に故障が生じた場合にフェールセーフ制御を実行する。インバータ制御装置(20)は、フェールセーフ制御として、アクティブショートサーキット制御や、シャットダウン制御を実行する。ここで、アクティブショートサーキット制御とは、インバータ(20)の複数相の全ての上段側スイッチング素子(31)又は複数相の全ての下段側スイッチング素子(32)をオン状態として電流を還流させる制御である。また、シャットダウン制御は、インバータ(10)を構成するスイッチング素子(3)へのスイッチング制御信号を非アクティブ状態に変化させてインバータ(10)をオフ状態にする制御である。
アクティブショートサーキット制御では、回転電機(80)並びにインバータ(10)に電流が還流するため、長時間に亘って大きな電流が流れ続けると、インバータ(10)や回転電機(80)が大電流による発熱等によって消耗する可能性がある。一方、シャットダウン制御では、回転電機(80)のステータコイルに蓄積されたエネルギーがインバータ(10)の直流側に供給されることになる。このため、直流電源(11)が蓄電可能な二次電池やキャパシタなどの場合には、大きな充電電流が直流電源(11)に流れ込む可能性がある。特許文献1の図1に示すように、直流電源(11)とインバータ(10)との電気的接続を遮断可能なコンタクタ(9)が備えられている場合には、このコンタクタ(9)を解放状態とすることによって充電電流を遮断することができる。しかし、この場合には、インバータ(10)の直流側に接続された平滑コンデンサ(4)が充電されて、インバータ(10)の直流側の電圧である直流リンク電圧(Vdc)が急激に上昇する可能性がある。
特許文献1では、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とを選択的に実行することによって、直流電源(11)に流れ込む充電電流の過大な増加や、直流リンク電圧(Vdc)の過大な増加を抑制しつつ、適切にフェールセーフ制御を実行している。ところで、回転電機(80)及び回転電機駆動装置(1)に異常が検出された場合、安全性を考慮して迅速にコンタクタ(9)が解放されることがある。また、回転電機(80)及び回転電機駆動装置(1)の異常が、衝撃等によるコンタクタ(9)の意図せぬ解放に起因して生じる可能性もある。従って、フェールセーフ制御は、コンタクタ(9)の状態も含めた回転電機駆動装置(1)の全体の状態に応じて適切に実行されることが好ましい。
国際公開第WO2016/076429号
上記背景に鑑みて、回転電機を駆動する回転電機駆動装置に異常が検出された場合に、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とを適切に選択してフェールセーフ制御を実行することが望まれる。
1つの態様として、上記に鑑みたインバータ制御装置は、
コンタクタを介して直流電源に接続されたインバータを用いて回転電機を駆動する回転電機駆動装置を制御対象として、前記インバータをスイッチング制御すると共に、前記回転電機及び前記回転電機駆動装置の異常が検出された場合にフェールセーフ制御を実行するインバータ制御装置であって、
前記コンタクタは、閉状態で前記直流電源と前記インバータとを電気的に接続し、開状態で前記直流電源と前記インバータとの電気的な接続を遮断し、
前記インバータは、複数のスイッチング素子を備えて直流と複数相の交流との間で電力を変換するものであって、上段側スイッチング素子と下段側スイッチング素子との直列回路により直流の正極と負極との間に接続される交流1相分のアームが構成され、
前記フェールセーフ制御は、複数相全ての前記アームの前記上段側スイッチング素子をオン状態とする上段側アクティブショートサーキット制御、及び、複数相全ての前記アームの前記下段側スイッチング素子をオン状態とする下段側アクティブショートサーキット制御の何れかのアクティブショートサーキット制御と、全ての前記スイッチング素子をオフ状態とするシャットダウン制御と、が前記回転電機の回転速度を含む選択条件に基づいて選択的に実行されるものであり、
前記コンタクタの開閉状態に応じて異なる前記選択条件に基づいて、前記アクティブショートサーキット制御と前記シャットダウン制御とを選択的に実行すると好適である。
シャットダウン制御では、回転電機のロータの回転によって生成された電力が、インバータで整流され、コンタクタが閉状態の場合にはコンタクタを通って直流電源を充電する。このため、直流電源が過充電となるなど、直流電源の消耗や破損を招く可能性がある。しかし、直流電源の定格値を高くすると、規模の増大やコストの増大を招く可能性がある。一方、コンタクタが開状態の場合には、直流電源への電流の流入は遮断されるが、インバータの直流側の電圧を上昇させ、この電圧を印加される回路素子や装置の耐圧を超える可能性がある。しかし、この耐圧を高くすると、規模の増大やコストの上昇を招く可能性がある。これに対してアクティブショートサーキット制御では、そのような直流電圧の急激な上昇や、直流電源の充電電流の急激な増加を伴わない。但し、車両が走行している際には、車輪から回転電機に対して供給される運動エネルギーにより、ステータコイルやインバータに大きな還流電流が流れることになる。長時間に亘って大きな電流が流れ続けると、インバータや回転電機が発熱等によって消耗する可能性がある。
上述したように、シャットダウン制御及びアクティブショートサーキット制御には、それぞれ異なる特徴があり、また、シャットダウン制御は、コンタクタの開閉状態によっても回路内での振る舞いが異なる。本構成によれば、コンタクタの開閉状態に応じて異なる選択条件に基づいて、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とが選択的に実行される。従って、各制御方式の特徴やコンタクタの開閉状態に応じて適切にフェールセーフ制御を実行することができる。即ち、本構成によれば、回転電機を駆動する回転電機駆動装置に異常が検出された場合に、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とを適切に選択してフェールセーフ制御を実行することができる。
インバータ制御装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
車両用駆動装置及び車両用駆動制御装置の模式的ブロック図 回転電機駆動系及びその制御系の模式的ブロック図 回転速度及び直流リンク電圧とフェールセーフ制御方式との関係を示す図 インバータ制御装置によるフェールセーフ制御例を示すフローチャート フェールセーフ制御での回転速度とトルクとの関係を示す図 フェールセーフ制御での回転速度と交流電流の関係を示す図 アクティブショートサーキット制御からシャットダウン制御へ移行した際の交流電流と直流リンク電圧を示す図
以下、インバータ制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。以下、回転電機が、車両において車輪の駆動力源となる形態を例示するが、回転電機は家電製品や工作機械など、車両以外に搭載されるものであってもよい。図1の模式的ブロック図は、車両用駆動制御装置1及びその制御対象である車両用駆動装置7を示している。図1に示すように、車両用駆動装置7は、車両の駆動力源となる内燃機関(EG)70に駆動連結される入力部材INと車輪Wに駆動連結される出力部材OUTとを結ぶ動力伝達経路に、入力部材INの側から、駆動力源係合装置(CL1)75、回転電機(MG)80、変速装置(TM)90を備えている。
尚、ここで「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指す。具体的には、「駆動連結」とは、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等が含まれていてもよい。
車両用駆動制御装置1は、上述した車両用駆動装置7の各部を制御する。本実施形態では、車両用駆動制御装置1は、後述するインバータ(INV)10を介した回転電機80の制御の中核となるインバータ制御装置(INV-CTRL)20、内燃機関70の制御の中核となる内燃機関制御装置(EG-CTRL)30、変速装置90の制御の中核となる変速装置制御装置(TM-CTRL)40、これらの制御装置(20,30,40)を統括する走行制御装置(DRV-CTRL)50とを備えている。また、車両には、車両用駆動制御装置1の上位の制御装置であり、車両全体を制御する車両制御装置(VHL-CTRL)100も備えられている。
図1に示すように、車両用駆動装置7は、車両の駆動力源として、内燃機関70と回転電機80とを備えたいわゆるパラレル方式のハイブリッド駆動装置である。内燃機関70は、燃料の燃焼により駆動される熱機関であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどを用いることができる。内燃機関70と回転電機80とは、駆動力源係合装置75を介して駆動連結されおり、駆動力源係合装置75の状態により、内燃機関70と回転電機80との間で駆動力を伝達する状態と駆動力を伝達しない状態とに切り換えることが可能である。本実施形態では、駆動力源係合装置75がクラッチにより構成されている形態を例示している。しかし、駆動力を伝達する状態と駆動力を伝達しない状態とに切り換えることが可能であれば、駆動力源係合装置75は他の形態で構成されていてもよく、例えば、遊星歯車機構のようにブレーキを用いて係合装置が構成されていてもよい。
変速装置90は、変速比の異なる複数の変速段を有する有段の自動変速装置である。例えば、変速装置90は、複数の変速段を形成するため、遊星歯車機構等の歯車機構及び複数の係合装置(クラッチやブレーキ等)を備えている。変速装置90の入力軸は回転電機80の出力軸(例えばロータ軸)に駆動連結されている。ここで、変速装置90の入力軸及び回転電機80の出力軸が駆動連結されている部材を中間部材Mと称する。変速装置90の入力軸には、内燃機関70及び回転電機80の回転速度及びトルクが伝達される。
変速装置90は、変速装置90に伝達された回転速度を、各変速段の変速比で変速すると共に、変速装置90に伝達されたトルクを変換して変速装置90の出力軸に伝達する。変速装置90の出力軸は、例えばディファレンシャルギヤ(出力用差動歯車装置)等を介して2つの車軸に分配され、各車軸に駆動連結された車輪Wに伝達される。ここで、変速比は、変速装置90において各変速段が形成された場合の、出力軸の回転速度に対する入力軸の回転速度の比である(=入力軸の回転速度/出力軸の回転速度)。また、入力軸から変速装置90に伝達されるトルクに、変速比を乗算したトルクが、出力軸に伝達されるトルクに相当する。
尚、ここでは、変速装置90として有段の変速機構を備える形態を例示したが、変速装置90は無段変速機構を備えたものであってもよい。例えば、変速装置90は、2つのプーリー(滑車)にベルトやチェーンを通し、プーリーの径を変化させることで連続的な変速を可能にするCVT(Continuously Variable Transmission)を備えたものであってもよい。
ところで、図1において、符号17は回転電機80の温度を検出する温度センサ、符号18はインバータ10の温度(図1を参照して後述するスイッチング素子3の温度)を検出する温度センサを例示している。これらの温度センサは、回転電機80及びインバータ10においてそれぞれ1つに限定されるものではなく、複数箇所に設けられていてもよい。温度センサは、サーミスタ、熱電対、非接触温度センサ(放射温度計)など種々の原理によるセンサを適宜利用することができる。また、符号73は、内燃機関70又は入力部材INの回転速度を検出する回転センサ、符号93は、車輪W又は出力部材OUTの回転速度を検出する回転センサである。また、詳細は後述するが、符号13は回転電機80のロータの回転(速度・方向・角速度など)を検出するレゾルバなどの回転センサであり、符号12は、回転電機80を流れる電流を検出する電流センサである。尚、図1では、内燃機関70を始動するためのスタータ装置や、各種オイルポンプ(電動式及び機械式)等は、省略している。
上述したように、回転電機80は、インバータ10を介したインバータ制御装置20により駆動制御される。図2のブロック図は、回転電機駆動装置2を模式的に示している。尚、符号14は、インバータ10の直流側の電圧(後述する直流リンク電圧Vdc)を検出する電圧センサ、符号15は、後述する高圧バッテリ11(直流電源)に流れる電流を検出する直流電流センサである。
インバータ10は、高圧バッテリ11に後述するコンタクタ9を介して接続されると共に、交流の回転電機80に接続されて直流と複数相の交流(ここでは3相交流)との間で電力変換を行う。車両の駆動力源としての回転電機80は、複数相の交流(ここでは3相交流)により動作する回転電機であり、電動機としても発電機としても機能することができる。即ち、回転電機80は、インバータ10を介して高圧バッテリ11からの電力を動力に変換する(力行)。或いは、回転電機80は、内燃機関70や車輪Wから伝達される回転駆動力を電力に変換し、インバータ10を介して高圧バッテリ11を充電する(回生)。
回転電機80を駆動するための電力源としての高圧バッテリ11は、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池(バッテリ)や、電気二重層キャパシタなどにより構成されている。高圧バッテリ11は、回転電機80に電力を供給するために、大電圧大容量の直流電源である。高圧バッテリ11の定格の電源電圧は、例えば200〜400[V]である。
インバータ10の直流側には、正極Pと負極Nとの間の電圧(直流リンク電圧Vdc)を平滑化する平滑コンデンサ(直流リンクコンデンサ4)が備えられている。直流リンクコンデンサ4は、回転電機80の消費電力の変動に応じて変動する直流リンク電圧Vdcを安定化させる。
コンタクタ9は、図2に示すように、高圧バッテリ11とインバータ10との間、具体的には、直流リンクコンデンサ4と高圧バッテリ11との間に配置されている。コンタクタ9は、回転電機駆動装置2と、高圧バッテリ11との電気的な接続を切り離すことが可能である。コンタクタ9が接続状態(閉状態)において高圧バッテリ11とインバータ10(及び回転電機80)とが電気的に接続され、コンタクタ9が開放状態(開状態)において高圧バッテリ11とインバータ10(及び回転電機80)との電気的接続が遮断される。
尚、本実施形態では、図1に示すように、高圧バッテリ11とインバータ10との間に、車室内の温度や湿度を整えるエアコンディショナー61や、電動オイルポンプ(不図示)などを駆動するために直流電圧を変換するDC/DCコンバータ(DC/DC)62などの補機60が備えられていてもよい。補機60は、コンタクタ9と直流リンクコンデンサ4との間に配置されていると好適である。
本実施形態において、コンタクタ9は、車両の最も上位の制御装置の1つである車両制御装置(VHL-CTRL)100からの指令に基づいて開閉するメカニカルリレーであり、例えばシステムメインリレー(SMR : System Main Relay)やメインコンタクタ(MC : Main Contactor)と称される。コンタクタ9は、車両のイグニッションキー(IGキー)がオン状態(有効状態)の際に接点が閉じて導通状態(接続状態)となり、イグニッションキーがオフ状態(非有効状態)の際に接点が開いて非導通状態(開放状態)となる。
上述したように、インバータ10は、直流リンク電圧Vdcを有する直流電力を複数相(nを自然数としてn相、ここでは3相)の交流電力に変換して回転電機80に供給すると共に、回転電機80が発電した交流電力を直流電力に変換して直流電源に供給する。インバータ10は、複数のスイッチング素子3を有して構成される。スイッチング素子3には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やSiC−MOSFET(Silicon Carbide - Metal Oxide Semiconductor FET)やSiC−SIT(SiC - Static Induction Transistor)、GaN−MOSFET(Gallium Nitride - MOSFET)などの高周波での動作が可能なパワー半導体素子を適用すると好適である。図2には、スイッチング素子3としてIGBTが用いられる形態を例示している。
図2に示すように、インバータ10の直流正極側(正極P)と直流負極側(負極N)との間に2つのスイッチング素子3が直列に接続されて1つのアーム3Aが構成される。3相交流の場合には、この直列回路(1つのアーム)が3回線(3相)並列接続される。つまり、回転電機80のU相、V相、W相に対応するステータコイル8のそれぞれに一組の直列回路(アーム)が対応したブリッジ回路が構成される。また、それぞれのスイッチング素子3には、下段側から上段側へ向かう方向を順方向として、並列にダイオード5(フリーホイールダイオード)が接続されている。対となる各相のスイッチング素子3による直列回路(アーム3A)の中間点、つまり、正極Pの側のスイッチング素子3(上段側スイッチング素子31)と負極Nの側のスイッチング素子3(下段側スイッチング素子32)との接続点は、回転電機80の3相のステータコイル8にそれぞれ接続される。
図1及び図2に示すように、インバータ10は、インバータ制御装置20により制御される。インバータ制御装置20は、マイクロコンピュータ等の論理回路を中核部材として構築されている。例えば、インバータ制御装置20は、車両制御装置100等の他の制御装置等からCAN(Controller Area Network)などを介して要求信号として提供される回転電機80の目標トルクに基づいて、ベクトル制御法を用いた電流フィードバック制御を行って、インバータ10を介して回転電機80を制御する。
回転電機80の各相のステータコイル8を流れる実電流(Iu,Iv,Iw:図7参照)は電流センサ12により検出され、インバータ制御装置20はその検出結果を取得する。また、回転電機80のロータの各時点での磁極位置は、レゾルバなどの回転センサ13により検出され、インバータ制御装置20はその検出結果を取得する。インバータ制御装置20は、電流センサ12及び回転センサ13の検出結果を用いて、電流フィードバック制御を実行する。インバータ制御装置20は、電流フィードバック制御のために種々の機能部を有して構成されており、各機能部は、マイクロコンピュータ等のハードウエアとソフトウエア(プログラム)との協働により実現される。電流フィードバック制御については、公知であるのでここでは詳細な説明は省略する。
インバータ10を構成する各スイッチング素子3の制御端子(例えばIGBTのゲート端子)は、ドライブ回路(DRV-CCT)21を介してインバータ制御装置20に接続されており、それぞれ個別にスイッチング制御される。車両制御装置100や、スイッチング制御信号を生成するインバータ制御装置20は、マイクロコンピュータなどを中核として構成され、回転電機80を駆動するための高圧系回路とは、動作電圧(回路の電源電圧)が大きく異なる。多くの場合、車両には、高圧バッテリ11の他に、高圧バッテリ11よりも低電圧(例えば12〜24[V])の電源である低圧バッテリ(不図示)も搭載されている。車両制御装置100やインバータ制御装置20の動作電圧は、例えば5[V]や3.3[V]であり、低圧バッテリから電力を供給されて動作する。
低圧バッテリと高圧バッテリ11とは、互いに絶縁されており、互いにフローティングの関係にある。このため、回転電機駆動装置2には、各スイッチング素子3に対するスイッチング制御信号(例えばゲート駆動信号)の駆動能力(例えば電圧振幅や出力電流など、後段の回路を動作させる能力)をそれぞれ高めて中継する(増幅する)ドライブ回路21が備えられている。低圧系回路のインバータ制御装置20により生成されたスイッチング制御信号は、ドライブ回路21を介して高圧回路系のスイッチング制御信号としてインバータ10に供給される。低圧系回路と高圧系回路とは互いに絶縁されているため、ドライブ回路21は、例えばフォトカプラやトランスなどの絶縁素子やドライバICを利用して構成される。
ところで、車両用駆動制御装置1は、回転電機80及び回転電機80を駆動するインバータ10を含む回転電機駆動装置2の異常が検出された場合に、フェールセーフ制御を実行する。回転電機駆動装置2の異常は、例えば、電流センサ12、回転センサ13、温度センサ17,18等の検出結果に基づいて、車両用駆動制御装置1によって判定される。或いは、車両制御装置100など、他の制御装置が回転電機駆動装置2の異常を検出して、車両用駆動制御装置1に伝達してもよい。回転電機駆動装置2の異常が検出された場合、車両用駆動制御装置1は、フェールセーフ制御として、駆動力源係合装置75による駆動力の伝達状態を変更したり、インバータ10のスイッチング素子3の制御方式を変更したりする。本実施形態では、インバータ制御装置20が、インバータ10のスイッチング素子3の制御方式を変更するフェールセーフ制御について説明する。
インバータ10を制御対象としたフェールセーフ制御としては、例えばシャットダウン制御(SDN)が知られている。シャットダウン制御とは、インバータ10を構成する全てのスイッチング素子3へのスイッチング制御信号を非アクティブ状態に変化させてインバータ10をオフ状態にする制御である。この時、回転電機80のロータが慣性によって比較的高速で回転を続けていると、大きな逆起電力を生じる。ロータの回転によって生成された電力は、ダイオード5を介して整流され、閉状態のコンタクタ9を通って高圧バッテリ11を充電する。高圧バッテリ11を充電する電流(バッテリ電流)の絶対値が大きく増加し、バッテリ電流が高圧バッテリ11の定格電流を超えると、高圧バッテリ11の消耗や破損の原因となる。大きなバッテリ電流に耐えられるように高圧バッテリ11の定格値を高くすると、規模の増大やコストの増大を招く可能性がある。
一方、コンタクタ9が開放状態の場合、高圧バッテリ11への電流の流入は遮断される。高圧バッテリ11への流入を遮断された電流は、直流リンクコンデンサ4を充電し、直流リンク電圧Vdcを上昇させる。直流リンク電圧Vdcがインバータ10(スイッチング素子3)や直流リンクコンデンサ4の定格電圧(絶対最大定格)を超えると、これらを損傷させる可能性がある。高い電圧を許容するようにこれらの定格値を高くすると、規模の増大やコストの上昇を招く可能性がある。
インバータ10を制御対象としたフェールセーフ制御としては、シャットダウン制御の他に、アクティブショートサーキット制御(ASC)も知られている。アクティブショートサーキット制御とは、複数相全てのアーム3Aの上段側スイッチング素子31或いは複数相全てのアームの下段側スイッチング素子32の何れか一方側をオン状態とし、他方側をオフ状態として、回転電機80とインバータ10との間で電流を還流させる制御である。尚、複数相全てのアーム3Aの上段側スイッチング素子31をオン状態とし、複数相全てのアーム3Aの下段側スイッチング素子32をオフ状態とする場合を上段側アクティブショートサーキット制御と称する。また、複数相全てのアーム3Aの下段側スイッチング素子32をオン状態とし、複数相全てのアーム3Aの上段側スイッチング素子31をオフ状態とする場合を下段側アクティブショートサーキット制御と称する。
アクティブショートサーキット制御では、直流リンク電圧Vdcの急激な上昇や、高圧バッテリ11の充電電流の急激な増加を伴わない。但し、車両が比較的高速で走行している際には、車輪Wから回転電機80に対して高い運動エネルギーが供給されるため、アクティブショートサーキット制御によってステータコイル8やインバータ10に大きな還流電流が流れることになる。長時間に亘って大きな電流が流れ続けると、インバータ10や回転電機80が大電流による発熱等によって消耗する可能性があるため、適切な時期にフェールセーフ制御の方式をシャットダウン制御に移行させることが好ましい。
回転電機駆動装置2に故障が生じていることは、車両の乗員にも警告灯や音声によって報知されており、通常、乗員はブレーキを操作して車両の走行速度を低下させると考えられる。車両の走行速度が低下すると車輪Wに従動回転する回転電機80の回転速度ωも低下し、回転電機80による逆起電力も低下して、シャットダウン制御の実行が可能となる。従って、インバータ制御装置20は、回転電機80の回転速度ωに応じて、フェールセーフ制御の制御方式を選択すると好適である。上述したように、シャットダウン制御においては、コンタクタ9が閉じていてインバータ10と高圧バッテリ11とが接続されている場合と、コンタクタ9が開いていてインバータ10と高圧バッテリ11とが接続されていない場合とで、電気的な振る舞いが異なる。従って、インバータ制御装置20は、コンタクタ9の開閉状態に応じて異なる選択条件に基づいて、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とを選択的に実行する。
コンタクタ9が閉状態における選択条件は、シャットダウン制御の実行によって生じる回転電機80の負トルク(後述する)が、予め規定された負トルクしきい値以下となるような回転電機80の回転速度ωの条件を含む条件である。コンタクタ9が開状態における選択条件は、コンタクタ9が開状態でシャットダウン制御が実行された場合に回転電機80の回生電流によって上昇するインバータ10の直流側の電圧である直流リンク電圧Vdcが、インバータ10の直流側に電気的に接続されて直流リンク電圧Vdcが印加される補機60などの電気デバイスの耐圧を超えないような回転電機80の回転速度ωの条件を含む条件である。
このように、フェールセーフ制御の選択的な実行は、アクティブショートサーキット制御からシャットダウン制御への移行を想定している。上述したように、シャットダウン制御では、回転速度ωに応じた逆起電力の大きさによって、高圧バッテリ11に大きな充電電流が流れたり、直流リンク電圧Vdcが急上昇したりする可能性がある。このため、回転速度ωが高い場合を考慮しつつ、異常が検出された場合に迅速にフェールセーフ制御の実行を開始するために、まず、アクティブショートサーキット制御が実行される。そして、インバータ制御装置20は、アクティブショートサーキット制御の実行中において、選択条件に基づいてシャットダウン制御へ移行させる。
図3は、回転電機80の回転速度ω及び直流リンク電圧Vdcとフェールセーフ制御の方式との関係を示している。図中に実線で示す“TH1”は、コンタクタ9が閉状態におけるアクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御との境界(第1境界TH1)を示しており、図中に破線で示す“TH2”は、コンタクタ9が開状態におけるアクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御との境界(第2境界TH2)を示している。詳細は後述するが、コンタクタ9が閉状態の場合、第1境界TH1よりも回転速度ω及び直流リンク電圧Vdcが高い側の領域“E11”においてはアクティブショートサーキット制御が選択され、第1境界TH1よりも回転速度ω及び直流リンク電圧Vdcが低い側の領域“E12(ESDN)”においてはシャットダウン制御が選択される。また、コンタクタ9が開状態の場合、第2境界TH2よりも直流リンク電圧Vdcが高い側の領域“E21”においてはアクティブショートサーキット制御が選択され、第2境界TH2よりも直流リンク電圧Vdcが低い側の領域“E22(ESDN)”においてはシャットダウン制御が選択される。図4のフローチャートを参照して後述するように、インバータ制御装置20は、コンタクタ9の開閉状態(MC−CON)の情報を取得し(#2)、異なる選択条件(ESDN:E12,E22)に基づき、直流リンク電圧Vdcと回転速度ωとで規定されるインバータ10の動作点Qにおけるフェールセーフ制御の動作モード(OP−MODE)を決定する(#4)。
図5は、フェールセーフ制御における、回転電機80の回転速度ωと、回転電機80のトルクTqとの関係を示しており、図6は、フェールセーフ制御における、回転電機80の回転速度ωと、回転電機80に流れる交流電流Iac(実効値)との関係を示している。
図中、 “ASC”で示す曲線は、アクティブショートサーキット制御を実行した場合の特性を示しており、“V1”,“V2”,“V3”,“V4”で示す各曲線は、それぞれ異なる直流リンク電圧Vdcにおいてシャットダウン制御を実行した場合の特性を示している。ここで、“V1<V2<V3<V4”であり、トルクTqはゼロ以下なので負トルクである。また、“ω1”,“ω2”,“ω3”,“ω4”はそれぞれの直流リンク電圧Vdcにおいて交流電流Iacが流れ始め、負トルクが発生する回転速度ωを示している。
アクティブショートサーキット制御では、回転速度ωがゼロに近い低い領域で大きな負トルクが発生しているが、回転速度ωが高い領域での負トルクは小さい。一方、シャットダウン制御では、回転速度ωが低い領域では、回転電機80による逆起電力が直流リンク電圧Vdcも小さく、交流電流Iacも流れないので、負トルクは発生していない。従って、回転速度ωが相対的に高い領域では、アクティブショートサーキット制御が選択され、回転速度ωが相対的に低い領域では、シャットダウン制御が選択される。
上述したように、シャットダウン制御の実行によって生じる回転電機80の負トルクが、予め規定された負トルクしきい値以下となるような回転電機80の回転速度ωを選択条件に含むと好適である。尚、図5から判るように、シャットダウン制御の場合には、負トルクがほとんど発生しない回転速度ωにおいても、アクティブショートサーキット制御では負トルクが発生している。従って、負トルクの大きさ(絶対値)が、アクティブショートサーキット制御における負トルクの大きさと同等程度以下となるような回転速度における負トルクの大きさを負トルクしきい値とするとよい。
図5及び図6に示すように、シャットダウン制御では、直流リンク電圧Vdcが低いほど、低い回転速度ωにおいて交流電流Iacが流れ始め、負トルクが発生している。つまり、直流リンク電圧Vdcが最も低い“V1”の場合には、最も回転速度ωが低い“ω1”以上で交流電流Iacが流れて負トルクが発生しており、直流リンク電圧Vdcが最も高い“V4”の場合には、最も回転速度ωが高い“ω4”以上で交流電流Iacが流れて負トルクが発生している。従って、シャットダウン制御における負トルクの大きさと、直流リンク電圧Vdcとの間には相関関係がある。従って、選択条件は、シャットダウン制御の実行によって生じる回転電機80の逆起電圧が、直流リンク電圧Vdc以下となるような回転電機80の回転速度ωを選択条件に含むように設定されていてもよい。具体的には、負トルクの大きさがゼロとなるように、回転電機80の逆起電圧が直流リンク電圧Vdcを超えないようにフェールセーフ制御の制御方式が選択されると好適である。
尚、高圧バッテリ11が満充電状態ではないような場合など、高圧バッテリ11に流れ込む充電電流に余裕があり過充電の心配がないような場合では、充電電流が流れることも許容される。つまり、回転電機80の逆起電圧が、直流リンク電圧Vdc以上であることが許容できる場合もある。例えば、内燃機関70を駆動力源として走行中に回転電機80が回転して発電するようなケースなどで、乗員が体感しない程度の負トルクであれば、許容できる場合もある。許容可能な負トルクの大きさによって選択条件を規定することによって、そのような軽微な負トルクの発生を許容することができる。上記においては、回転電機80の逆起電圧が直流リンク電圧Vdc以下となるように選択条件を規定すると説明したが、許容可能な負トルクの大きさによって規定する場合には、回転電機80の逆起電圧が、直流リンク電圧Vdcに予め規定された許容電圧を加えたしきい値電圧以下となるように選択条件を設定されると好適である。
このように、コンタクタ9が閉状態における選択条件は、直流リンク電圧Vdcと、回転電機80の回転速度ωとの相対関係に密接に関連する。1つの態様として、図3に示すように、コンタクタ9が閉状態におけるアクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御との境界である第1境界TH1は、直流リンク電圧Vdcと回転速度ωとの一次関数で表すことができる。第1境界TH1よりも高い回転速度ωの側の領域“E11”はアクティブショートサーキット制御が選択される領域(第1アクティブショートサーキット制御領域E11)である。また、第1境界TH1よりも低い回転速度ωの側の領域“E12”はシャットダウン制御が選択される領域(第1シャットダウン制御領域E12)である。
尚、第1シャットダウン制御領域E12と、後述する第2シャットダウン制御領域E22とを総称して、シャットダウン制御領域ESDNと称する。また、第1アクティブショートサーキット制御領域E11と、後述する第2アクティブショートサーキット制御領域E21とを総称して、アクティブショートサーキット制御領域EASCと称する。シャットダウン制御領域ESDN及びアクティブショートサーキット制御領域EASCは、フェールセーフ制御における選択条件に相当する。また、第1シャットダウン制御領域E12と、第1アクティブショートサーキット制御領域E11とは、コンタクタ9が閉状態における選択条件である第1選択条件E1に相当する。
以上、コンタクタ9が閉状態の場合における選択条件について説明した。以下、コンタクタ9が開状態の場合における選択条件について説明する。
コンタクタ9が閉状態の場合は、上述したように、高圧バッテリ11への充電により生じる回転電機80の負トルクに考慮して選択条件が設定される。コンタクタ9が開状態の場合には、インバータ10と高圧バッテリ11との電気的接続が遮断されているため、高圧バッテリ11の充電は生じない。従って、コンタクタ9が開状態の場合には、閉状態の場合とは異なり、負トルクの発生を考慮しなくてもよい。一方、回転電機80が回転することによって生じるエネルギーは、アクティブショートサーキット制御の場合には、ステータコイル8とインバータ10との間で還流している。ここで、シャットダウン制御が実行されると、コンタクタ9が開状態のため、そのエネルギーは高圧バッテリ11へは提供されず、直流リンクコンデンサ4を充電して端子間電圧(直流リンク電圧Vdc)を上昇させる。図7は、コンタクタ9が開状態の場合に、時刻tsにおいて、アクティブショートサーキット制御からシャットダウン制御へ移行した際の3相交流電流(Iu,Iv,Iw)と直流リンク電圧Vdcとを示している。図7に示すように、時刻tsにおいて直流リンク電圧Vdcが上昇する。
直流リンク電圧Vdcは、電気デバイスとしての、直流リンクコンデンサ4、インバータ10のスイッチング素子3、補機60に印加されている。従って、アクティブショートサーキット制御からシャットダウン制御への移行時には、直流リンク電圧Vdcが、これら電気デバイスの耐圧を超えないことが求められる。直流リンク電圧Vdcが低い場合には、直流リンク電圧Vdcが高い場合に比べて、上限電圧までの余裕が大きいため、相対的に大きい電圧上昇を許容することができる。つまり、直流リンク電圧Vdcが低い場合には、直流リンク電圧Vdcが高い場合に比べて、相対的に高い回転速度ωを許容することができる。
コンタクタ9が開状態における選択条件は、コンタクタ9が開状態でシャットダウン制御が実行された場合に回転電機80の回生電流によって上昇する直流リンク電圧Vdcが、インバータ10の直流側に電気的に接続されて直流リンク電圧Vdcが印加される補機60などの電気デバイスの耐圧を超えないような回転電機80の回転速度ωの条件を含む条件である。1つの態様として、図3に示すように、コンタクタ9が開状態におけるアクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御との境界である第2境界TH2は、直流リンク電圧Vdcと回転速度ωとの相間関係によって表すことができる。第2境界TH2よりも直流リンク電圧Vdcが高い側の領域“E21”はアクティブショートサーキット制御が選択される領域(第2アクティブショートサーキット制御領域E21)である。また、第2境界TH2よりも直流リンク電圧Vdcが低い側の領域“E22”はシャットダウン制御が選択される領域(第2シャットダウン制御領域E22)である。
尚、第2シャットダウン制御領域E22と、上述した第1シャットダウン制御領域E12とを総称して、シャットダウン制御領域ESDNと称する。また、第2アクティブショートサーキット制御領域E21と、上述した第1アクティブショートサーキット制御領域E11とを総称して、アクティブショートサーキット制御領域EASCと称する。上述したように、シャットダウン制御領域ESDN及びアクティブショートサーキット制御領域EASCは、フェールセーフ制御における選択条件に相当する。また、第2シャットダウン制御領域E22と、第2アクティブショートサーキット制御領域E21とは、コンタクタ9が開状態における選択条件である第2選択条件E2に相当する。
上述したように、インバータ制御装置20は、コンタクタ9の開閉状態に応じて異なる選択条件に基づいて、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とを選択的にフェールセーフ制御を実行する。以下、図4のフローチャートを参照して、このようなフェールセーフ制御の手順を説明する。ここでは、既にフェールセーフ制御の実行が開始され、初期値としてのアクティブショートサーキット制御が選択されて実行されているものとする。ステップ#1では、フェールセーフ制御の動作モード(OP−MODE)がアクティブショートサーキット制御(ASC)であるか否かが判定される。動作モードがアクティブショートサーキット制御ではない場合は、既にシャットダウン制御(SDN)に制御方式が移行しているため、処理を終了する。
動作モードがアクティブショートサーキット制御の場合には、インバータ制御装置20は、コンタクタ9の開閉状態(MC−CON)の情報、回転電機80の回転速度ωの情報、直流リンク電圧Vdcの情報を取得する。開閉状態(MC−CON)の情報は車両制御装置100から、回転速度ωの情報は回転センサ13から、直流リンク電圧Vdcの情報は電圧センサ14から、それぞれ得ることができる。次に、インバータ制御装置20は、コンタクタ9の開閉状態(MC−CON)に基づいて、シャットダウン制御領域ESDNを取得する(#3)。1つの態様として、インバータ制御装置20は、回転速度ω及び直流リンク電圧Vdcに基づく動作点Qを引数として参照するための動作点マップ(図3参照)を決定する。
続いて、インバータ制御装置20は、回転速度ω及び直流リンク電圧Vdcに基づく動作点Qが、シャットダウン制御領域ESDNに含まれる動作点であるか否かを判定する(#4)。動作点Qがシャットダウン制御領域ESDNに含まれる場合には、フェールセーフ制御の動作モード(OP−MODE)としてシャットダウン制御(SDN)が選択され、制御方式が移行される(#5)。一方、動作点Qがシャットダウン制御領域ESDNに含まれない場合には、フェールセーフ制御の動作モード(OP−MODE)としてアクティブショートサーキット制御(ASC)が選択され、アクティブショートサーキット制御が継続される(#6)。尚、ステップ#1〜#6は、繰り返し実行される。
尚、上記においては、インバータ10又は回転電機80に異常が検出されて、フェールセーフ制御としてアクティブショートサーキット制御が実行されている場合に、シャットダウン制御へ移行させる形態を例示して説明した。しかし、そのような形態に限らず、例えば、回転電機80を回生動作させて車両が走行している際に異常が検出されてシャットダウン制御を開始する場合において、シャットダウン制御の可否判定に上記を適用することも好適である。従って、例えば図3のフローチャートにおいてステップ#1を省略してもよい。
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明したインバータ制御装置(20)の概要について簡単に説明する。
コンタクタ(9)を介して直流電源(11)に接続されたインバータ(10)を用いて回転電機(80)を駆動する回転電機駆動装置(2)を制御対象として、前記インバータ(10)をスイッチング制御すると共に、前記回転電機(80)及び前記回転電機駆動装置(2)の異常が検出された場合にフェールセーフ制御を実行するインバータ制御装置(20)は、1つの好適な態様として、
前記コンタクタ(9)は、閉状態で前記直流電源(11)と前記インバータ(10)とを電気的に接続し、開状態で前記直流電源(11)と前記インバータ(10)との電気的な接続を遮断し、
前記インバータ(10)は、複数のスイッチング素子(3)を備えて直流と複数相の交流との間で電力を変換するものであって、上段側スイッチング素子(31)と下段側スイッチング素子(32)との直列回路により直流の正極(P)と負極(N)との間に接続される交流1相分のアーム(3A)が構成され、
前記フェールセーフ制御は、複数相全ての前記アーム(3A)の前記上段側スイッチング素子(31)をオン状態とする上段側アクティブショートサーキット制御、及び、複数相全ての前記アーム(3A)の前記下段側スイッチング素子(32)をオン状態とする下段側アクティブショートサーキット制御の何れかのアクティブショートサーキット制御(ASC)と、全ての前記スイッチング素子(3)をオフ状態とするシャットダウン制御(SDN)と、が前記回転電機(80)の回転速度(ω)を含む選択条件に基づいて選択的に実行されるものであり、
前記コンタクタ(9)の開閉状態に応じて異なる前記選択条件に基づいて、前記アクティブショートサーキット制御(ASC)と前記シャットダウン制御(SDN)とを選択的に実行する。
シャットダウン制御では、回転電機(80)のロータの回転によって生成された電力が、インバータ(10)で整流され、コンタクタ(9)が閉状態の場合にはコンタクタ(9)を通って直流電源(11)を充電する。このため、直流電源(11)が過充電となるなど、直流電源(11)の消耗や破損を招く可能性がある。しかし、直流電源(11)の定格値を高くすると、規模の増大やコストの増大を招く可能性がある。一方、コンタクタ(9)が開状態の場合には、直流電源(11)への電流の流入は遮断されるが、インバータ(10)の直流側の電圧(Vdc)を上昇させ、この電圧(Vdc)を印加される回路素子(3,4)や装置(60)の耐圧を超える可能性がある。しかし、この耐圧を高くすると、規模の増大やコストの上昇を招く可能性がある。これに対してアクティブショートサーキット制御では、そのような直流電圧(Vdc)の急激な上昇や、直流電源(11)の充電電流の急激な増加を伴わない。但し、車両が走行している際には、車輪(W)から回転電機(80)に対して供給される運動エネルギーにより、ステータコイル(8)やインバータ(10)に大きな還流電流が流れることになる。長時間に亘って大きな電流が流れ続けると、インバータ(10)や回転電機(80)が発熱等によって消耗する可能性がある。
上述したように、シャットダウン制御及びアクティブショートサーキット制御には、それぞれ異なる特徴があり、また、シャットダウン制御は、コンタクタ(9)の開閉状態によっても回路内での振る舞いが異なる。本構成によれば、コンタクタ(9)の開閉状態に応じて異なる選択条件に基づいて、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とが選択的に実行される。従って、各制御方式の特徴やコンタクタ(9)の開閉状態に応じて適切にフェールセーフ制御を実行することができる。即ち、本構成によれば、回転電機(80)を駆動する回転電機駆動装置(2)に異常が検出された場合に、アクティブショートサーキット制御とシャットダウン制御とを適切に選択してフェールセーフ制御を実行することができる。
1つの態様として、前記コンタクタ(9)が開状態における前記選択条件は、前記コンタクタ(9)が開状態で前記シャットダウン制御が実行された場合に前記回転電機(80)の回生電流によって上昇する前記インバータ(10)の直流側の電圧である直流リンク電圧(Vdc)が、前記インバータ(10)の直流側に電気的に接続されて前記直流リンク電圧(Vdc)が印加される電気デバイス(60)の耐圧を超えないような前記回転電機(80)の回転速度(ω)の条件を含むと好適である。
回転電機(80)が回転しているときにシャットダウン制御が実行され、コンタクタ(9)が開状態であると、回転電機(80)の回転により生じたエネルギーは高圧バッテリ(11)へは提供されず、直流リンク電圧(Vdc)を上昇させる。直流リンク電圧(Vdc)が、直流リンク電圧(Vdc)が印加される電気デバイス(60)の耐圧を超えると、電気デバイス(60)の寿命などに影響する。従って、コンタクタ(9)が開状態における選択条件は、上記のように、直流リンク電圧(Vdc)が印加される電気デバイス(60)の耐圧を超えないような条件であると好適である。
また、1つの態様として、前記コンタクタ(9)が閉状態における前記選択条件は、前記シャットダウン制御の実行によって生じる前記回転電機(80)の負トルクの大きさが、予め規定された負トルクしきい値以下となるような前記回転電機(80)の回転速度(ω)の条件を含むと好適である。
コンタクタ(9)が閉状態において、回転電機(80)が回転している状態でシャットダウン制御が実行された場合に、回転電機(80)の逆起電圧がインバータ(10)の直流側の電圧(直流リンク電圧(Vdc))を超えると、インバータ(10)から直流電源(11)に電流が流れる。このように電流が流れる場合には、回転電機(80)に負トルクが生じる。回転電機(80)が搭載される装置によっては、このような負トルクが、装置全体の挙動に与える影響を無視できない場合もある。従って、負トルクの大きさを制限する条件が選択条件に含まれると好適である。例えば、回転電機(80)は、車両において車輪(W)の駆動力源として用いられる場合がある。このような車両において、回転電機(80)や回転電機駆動装置(2)に異常が生じた場合、乗員は、車両を安全な場所で停止させようと運転操作を行うことが考えられる。負トルクは、車両への制動力として作用する可能性があるため、乗員による運転操作の妨げとならない程度に負トルクの大きさが抑制されることが好ましい。従って、コンタクタ(9)が閉状態における選択条件は、上記のように、負トルクの大きさが、予め規定された負トルクしきい値以下となるような条件であると好適である。
2 :回転電機駆動装置
3 :スイッチング素子
4 :直流リンクコンデンサ(電気デバイス)
9 :コンタクタ
10 :インバータ
11 :高圧バッテリ(直流電源)
20 :インバータ制御装置
31 :上段側スイッチング素子
32 :下段側スイッチング素子
60 :補機(電気デバイス)
61 :エアコンディショナー(電気デバイス)
62 :DC/DCコンバータ
70 :内燃機関
80 :回転電機
E1 :第1選択条件(選択条件)
E11 :第1アクティブショートサーキット制御領域(選択条件)
E12 :第1シャットダウン制御領域(選択条件)
E2 :第2選択条件(選択条件)
E21 :第2アクティブショートサーキット制御領域(選択条件)
E22 :第2シャットダウン制御領域(選択条件)
ASC :アクティブショートサーキット制御領域(選択条件)
SDN :シャットダウン制御領域(選択条件)
N :負極
P :正極
Vdc :直流リンク電圧
ω :回転速度

Claims (3)

  1. コンタクタを介して直流電源に接続されたインバータを用いて回転電機を駆動する回転電機駆動装置を制御対象として、前記インバータをスイッチング制御すると共に、前記回転電機及び前記回転電機駆動装置の異常が検出された場合にフェールセーフ制御を実行するインバータ制御装置であって、
    前記コンタクタは、閉状態で前記直流電源と前記インバータとを電気的に接続し、開状態で前記直流電源と前記インバータとの電気的な接続を遮断し、
    前記インバータは、複数のスイッチング素子を備えて直流と複数相の交流との間で電力を変換するものであって、上段側スイッチング素子と下段側スイッチング素子との直列回路により直流の正極と負極との間に接続される交流1相分のアームが構成され、
    前記フェールセーフ制御は、複数相全ての前記アームの前記上段側スイッチング素子をオン状態とする上段側アクティブショートサーキット制御、及び、複数相全ての前記アームの前記下段側スイッチング素子をオン状態とする下段側アクティブショートサーキット制御の何れかのアクティブショートサーキット制御と、全ての前記スイッチング素子をオフ状態とするシャットダウン制御と、が前記回転電機の回転速度を含む選択条件に基づいて選択的に実行されるものであり、
    前記コンタクタの開閉状態に応じて異なる前記選択条件に基づいて、前記アクティブショートサーキット制御と前記シャットダウン制御とを選択的に実行するインバータ制御装置。
  2. 前記コンタクタが開状態における前記選択条件は、前記コンタクタが開状態で前記シャットダウン制御が実行された場合に前記回転電機の回生電流によって上昇する前記インバータの直流側の電圧である直流リンク電圧が、前記インバータの直流側に電気的に接続されて前記直流リンク電圧が印加される電気デバイスの耐圧を超えないような前記回転電機の回転速度の条件を含む請求項1に記載のインバータ制御装置。
  3. 前記コンタクタが閉状態における前記選択条件は、前記シャットダウン制御の実行によって生じる前記回転電機の負トルクの大きさが、予め規定された負トルクしきい値以下となるような前記回転電機の回転速度の条件を含む請求項1又は2に記載のインバータ制御装置。
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