JP2018162705A - 内燃機関 - Google Patents

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征治 山本
英人 稲垣
Hideto Inagaki
英人 稲垣
宮川 浩
Hiroshi Miyagawa
浩 宮川
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Abstract

【課題】4サイクル運転時の熱効率の向上と、2サイクル運転時のトルク低下を抑制することが可能な内燃機関を提供する。【解決手段】4サイクル運転と2サイクル運転とを行うことができる内燃機関であって、空気及び燃料を含む混合気を燃焼する燃焼室の上方に夫々独立して接続され、前記燃焼室に前記混合気を供給する第1吸気通路14、及び前記燃焼室に前記混合気を供給し、当該混合気を成層化する第2吸気通路16と、第1吸気通路14を開閉する第1吸気弁22、及び第2吸気通路16を開閉する第2吸気弁24と、前記4サイクル運転時には、第1吸気弁22、第2吸気弁24の順で開弁させ、前記2サイクル運転時には、第2吸気弁24、第1吸気弁22の順で開弁させる弁操作機構と、を備える【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の技術に関する。
従来、2サイクル運転と4サイクル運転とを行うことができる可変サイクル型のエンジン(内燃機関)が提案されている。
例えば、特許文献1及び2には、吸気弁及び排気弁の開閉動作を任意に制御可能な可変動弁装置を用いて、吸気弁及び排気弁の開閉時期を自在に変更し、多サイクル運転を行う内燃機関が提案されている。
また、特許文献3及び4には、4サイクル運転時には頭上弁による吸気を行い、2サイクル運転時にはユニフロー吸気を行う内燃機関が提案されている。
特開2001−263110号公報 特開2004−132304号公報 特開平03−185214号公報 特許第2742825号公報
ところで、希薄混合気(空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン状態)を内燃機関の燃焼室に供給して、希薄燃焼を行わせると、内燃機関の熱効率を向上させることができる。しかし、従来の可変動弁装置を備える内燃機関は、単一の吸気弁を用いているため、希薄燃焼条件で、4サイクル運転と2サイクル運転とを両立させることは困難である。例えば、従来の内燃機関において希薄燃焼させるには、混合気を高気流で内燃機関の燃焼室に供給することが考えられるが、この場合、2サイクル運転においては、燃焼室から混合気が吹き抜け、トルクが低下してしまう。すなわち、混合気の高気流下により、4サイクル運転時の熱効率を向上させることは可能であるが、2サイクル運転時のトルクは低下してしまうという問題がある。
そこで、本発明では、4サイクル運転時の熱効率の向上と、2サイクル運転時のトルク低下を抑制することが可能な内燃機関を提供することを目的とする。
本発明は、4サイクル運転と2サイクル運転とを行うことができる内燃機関であって、空気及び燃料を含む混合気を燃焼する燃焼室の上方に夫々独立して接続され、前記燃焼室に前記混合気を供給する第1吸気通路、及び前記燃焼室に前記混合気を供給し、当該混合気を成層化する第2吸気通路と、前記第1吸気通路を開閉して、前記第1吸気通路から前記燃焼室へ流入する混合気を制御する第1吸気弁、及び前記第2吸気通路を開閉して、前記第2吸気通路から前記燃焼室へ流入する混合気を制御する第2吸気弁と、前記4サイクル運転時には、前記第1吸気弁、前記第2吸気弁の順で開弁させ、前記2サイクル運転時には、前記第2吸気弁、前記第1吸気弁の順で開弁させる弁操作機構と、を備えることを特徴とする。
また、前記内燃機関は、前記第1吸気弁及び前記第2吸気弁のリフト量及び開閉時期を調整する調整機構を備えることが好ましい。
また、前記内燃機関は、前記燃焼室に接続された排気通路を流れる排気中の酸素濃度を検出する酸素検出手段を備え、前記調整機構は、前記酸素検出手段により検出された酸素濃度が閾値以上である場合、前記第2吸気弁の開弁時期を遅角することが好ましい。
また、前記内燃機関は、前記4サイクル運転時及び前記2サイクル運転時それぞれにおいて、前記第1吸気通路及び前記第2吸気通路の混合気流量を制御する流量制御手段を備えることが好ましい。
また、前記内燃機関は、前記排気通路を流れる排気の一部を前記第1吸気通路に還流する排気還流通路を備えることが好ましい。
本発明によれば、4サイクル運転時の熱効率の向上と、2サイクル運転時のトルク低下を抑制することが可能となる。
本実施形態に係る内燃機関の一例を示す概略構成図である。 気筒、吸気系及び排気系の概略構成を示す一部模式断面図である。 (A)は、第1吸気弁及び第1吸気通路の概略構成を示す拡大模式断面図であり、(B)は、第2吸気弁及び第2吸気通路の概略構成を示す拡大模式断面図である。 燃焼室内の混合気の状態を示す図である。 弁操作機構の概略構成を示す模式斜視図である。 (A)は、4サイクル運転の場合における吸気弁及び排気弁の開閉時期を示す図であり、(B)は、2サイクル運転の場合における吸気弁及び排気弁の開閉時期を示す図である。 内燃機関の負荷の低下や回転数の増加に伴い、4サイクル運転における吸気弁の開閉時期やバルブリフト量を調整した状態を示す図である。 内燃機関の負荷の低下や回転数の増加に伴い、2サイクル運転における吸気弁の開閉時期やバルブリフト量を調整した状態を示す図である。 本実施形態に係る内燃機関の他の一例を示す概略構成図である。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の一例を示す概略構成図である。図1に示す内燃機関100は、4サイクル運転と2サイクル運転とを選択的に実行することができる。4サイクル運転とは、吸気、圧縮、膨張、排気の4つのピストン工程で1サイクルが構成される運転である。2サイクル運転とは、掃気・圧縮行程、膨張工程の2つのピストン工程で1サイクルが構成される運転である。図1に示す内燃機関100は、例えば、自動車等に搭載される。
図1に示す内燃機関100は、気筒10、吸気通路12、第1吸気通路14、第2吸気通路16、排気通路18、排気還流通路20、第1吸気弁22、第2吸気弁24、排気弁26、過給器28、インタークーラー30、EGRクーラー32、燃料インジェクタ34、スロットルバルブ36a,36b、排気触媒38、酸素濃度センサ40、ECU42、不図示の弁操作機構を備える。図1に示す気筒10は1つであるが、複数でもよい。過給器28は、コンプレッサ44、タービン46を備える。なお、図1に示す内燃機関100は、火花点火を行うプラグを備えるが、その図示を省略している。
吸気通路12は、第1吸気通路14及び第2吸気通路16に接続され、第1吸気通路14及び第2吸気通路16は、気筒10に接続されている。排気通路18は気筒10に接続されている。排気還流通路20の一端は、排気通路18に接続され、他端は、第1吸気通路14に接続されている。
過給器28のコンプレッサ44は吸気通路12に設置され、過給器28のタービン46は排気通路18に設置されている。過給器28のタービン46及びコンプレッサ44は、回転軸48の同軸上に配置されており、回転軸48を介して一体的に構成されている。過給器28は、排気通路18を流れる排気のエネルギを利用してタービン46を回転させ、そのタービン46の回転力でコンプレッサ44を駆動して、吸気通路12を流れる空気を加圧する。
インタークーラー30は、過給器28のコンプレッサ44より下流の吸気通路12に設けられている。インタークーラー30により、例えば吸気通路12を流れる空気が冷却水と熱交換され、冷却される。
燃料インジェクタ34は、インタークーラー30より下流の吸気通路12に設けられている。燃料インジェクタ34により、吸気通路12を流れる空気に燃料が噴射される。
スロットルバルブ36aは、第1吸気通路14に設置されている。スロットルバルブ36aにより、第1吸気通路14を流れる混合気の流量が調整される。
排気触媒38は、過給器28のタービン46より下流の排気通路18に設けられている。排気触媒38は、例えば、三元触媒や酸化触媒等であり、排気通路18を流れる排気を浄化するものである。
排気還流通路20は、排気通路18を流れる排気の一部をEGRガスとして、第1吸気通路14に還流する。EGRクーラー32は、排気還流通路20に設けられている。EGRクーラー32により、例えば、第1吸気通路14に還流する排気(EGRガス)が冷却水と熱交換され、冷却される。スロットルバルブ36bは、EGRクーラー32より下流の排気還流通路20に設置されている。スロットルバルブ36bにより、排気還流通路20を流れる排気(EGRガス)の流量が調整される。
本実施形態の吸気系(第1吸気通路14、第1吸気弁22、第2吸気通路16、第2吸気弁24)及び排気系(排気通路18、排気弁26)は、気筒10の燃焼室の上部に設けられる頭上弁式である。以下に、吸気系及び排気系の具体的構成について説明する。
図2は、気筒、吸気系及び排気系の概略構成を示す一部模式断面図である。気筒10内には、ピストン50が配置され、ピストン50の上面及び気筒10の内周壁からなる燃焼室52が形成されている。気筒10内のピストン50は、不図示であるが、クランク機構を介してクランク軸に接続されている。クランク軸の近傍には、不図示であるが、クランク角度、内燃機関の回転数を検出するクランク角センサ、トルクを検出するトルクセンサ等が設けられている。
燃焼室52の上部には、第1吸気通路14、第2吸気通路16、排気通路18が接続されている。第1吸気通路14及び第2吸気通路16は燃焼室52に夫々独立して接続されている。第1吸気通路14には第1吸気弁22が設置され、第2吸気通路16には第2吸気弁24が設置され、排気通路18には排気弁26が設置されている。
図3(A)は、第1吸気弁及び第1吸気通路の概略構成を示す拡大模式断面図であり、図3(B)は、第2吸気弁及び第2吸気通路の概略構成を示す拡大模式断面図である。図4は、燃焼室内の混合気の状態を示す図である。図3(A)に示すように、第1吸気通路14の燃焼室52への開口部の開閉は第1吸気弁22によって開閉される。第1吸気弁22を開弁することにより、混合気は第1吸気通路14から燃焼室52内に導入され、燃焼室52内に広範囲に拡散する。一方、第2吸気通路16の燃焼室52への開口部には、第2吸気通路16の径を拡大する段差部54が設けられている。段差部54を有する開口部は第2吸気弁24によって開閉される。第2吸気弁24を開弁することにより、混合気は第2吸気通路16から燃焼室52内に導入されるが、段差部54によって、燃焼室52内に広範囲に拡散せず、特定の方向に向かうように導入され、燃焼室52内で成層化される。すなわち、図4に示すように、第1吸気通路から供給された混合気Aは、燃焼室52内に広く拡散し、第2吸気通路から供給された混合気Bは、燃焼室52内で成層化する。第2吸気通路から導入される混合気は、例えば、燃焼室52内の点火プラグに向かう方向に導入されることが好ましい。なお、第2吸気通路の形態は、燃焼室内で混合気を成層化することができる形態であれば上記に制限されるものではない。
図5は、弁操作機構の概略構成を示す模式斜視図である。弁操作機構56は、カム軸58と、カム軸58に形成される一対の4サイクル用カム(60a,60b)及び一対の2サイクル用カム(62a,62b)と、不図示のカム軸移動機構とを備える。一対の4サイクル用カム(60a,60b)のうち、4サイクル用カム60aは、第1吸気弁22に接続された第1吸気ロッカーアーム64を駆動させるものであり、4サイクル用カム60bは、第2吸気弁24に接続された第2吸気ロッカーアーム66を駆動させるものである。また、一対の2サイクル用カム(62a,62b)のうち、2サイクル用カム62aは、第1吸気弁22に接続された第1吸気ロッカーアーム64を駆動させるものであり、2サイクル用カム62bは、第2吸気弁24に接続された第2吸気ロッカーアーム66を駆動させるものである。
カム軸移動機構は、例えば、油圧や電動アクチュエータ等により、カム軸58を軸方向にスライド移動させるように構成されている。4サイクル運転では、カム軸移動機構によりカム軸58が軸方向に移動されて、一対の4サイクル用カム(60a,60b)が第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66に接続され、第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66が駆動される。2サイクル運転では、カム軸移動機構によりカム軸58が軸方向に移動されて、一対の2サイクル用カム(62a,62b)が第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66に接続され、第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66が駆動される。
本実施形態では、4サイクル運転において、一対の4サイクル用カム(60a,60b)が第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66に接続された状態で、第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66が駆動された時には、第1吸気弁22、第2吸気弁24の順で開弁されるように設定されている。また、2サイクル運転において、一対の2サイクル用カム(62a,62b)が第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66に接続された状態で、第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66が駆動された時には、第2吸気弁24、第1吸気弁22の順で開弁されるように設定されている。第1吸気弁22及び第2吸気弁24の具体的な開閉時期については後述する。
図での説明は省略するが、排気弁26側にも、カム軸と、カム軸に形成された4サイクル用カム及び2サイクル用カムと、カム軸移動機構とを備える弁操作機構が設置されている。
ECU42は、CPU、RAM、ROM、A/D変換素子、D/A変換素子等をバスで相互に接続して構成された周知のマイクロコンピュータである。図1に示すように、ECU42は、燃料インジェクタ34、スロットルバルブ36a,36b、不図示の点火プラグと電気的に接続されている。ECU42は、クランク角センサからの内燃機関の回転数、トルクセンサからの内燃機関のトルク等の制御情報(データ)を取得し、制御情報に基づいて、燃料インジェクタ34、スロットルバルブ36a,36b、点火プラグを駆動制御し、燃料噴射量、混合気流量、排気流量、点火時期等を調整する。また、ECU42は、弁操作機構56と電気的に接続され、4サイクル運転と2サイクル運転とを切り替える際に、弁操作機構56のカム軸移動機構を制御する。
ECU42は、内燃機関の回転数、内燃機関のトルク等の制御情報(データ)に基づいて、4サイクル運転と2サイクル運転とを切り替える制御も行う。例えば、中回転中負荷(中トルク)、低回転低負荷の時に4サイクル運転を行い、高回転高負荷の時に2サイクル運転を行うように、燃料インジェクタ34、スロットルバルブ36a,36b、点火プラグ、弁操作機構56のカム軸移動機構を駆動制御する。
次に、内燃機関100の動作について説明する。
気筒10の燃焼室52内で燃焼した排気の一部は、排気弁26を介して排気通路18を流れ、過給器28のタービン46を回転駆動させた後、排気触媒38で処理されて系外に排出される。タービン46の回転駆動により、過給器28のコンプレッサ44が回転駆動され、吸気通路12を通る空気が加圧される。加圧された空気はインタークーラー30によって冷却された後、燃料インジェクタ34から所定量の燃料が噴射される。空気と燃料との混合気は、第1吸気通路14及び第2吸気通路16に供給される。第1吸気通路14及び第2吸気通路を流れる混合気の流量はスロットルバルブ36aにより調整される。第1吸気通路14には、気筒10から排出された排気の一部が排気還流通路20から供給される。この際、排気はEGRクーラー32によって冷却され、スロットルバルブ36bにより、排気の流量が調整される。第1吸気通路14を流れる混合気(空気、燃料、排気の混合気)は第1吸気弁22を介して気筒10内の燃焼室52に供給され、また、第2吸気通路16を流れる混合気(空気、燃料の混合気)は第2吸気弁24を介して気筒10内の燃焼室52に供給される。燃焼室52に供給された混合気は、点火プラグによって点火され、混合気の燃焼によって生じた圧力によってピストン50が駆動される。燃焼室52内で燃焼した混合気は、排気として排気弁26を介して排気通路18に排出される。
上記混合気及び排気の流れは、4サイクル運転及び2サイクル運転でも同様であるが、前述したように、4サイクル運転を行う場合には、ECU42によりカム軸移動機構を駆動制御し、一対の4サイクル用カム(60a,60b)を第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66に接続させ、一対の4サイクル用カム(60a,60b)のカムプロファイルに応じて、第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66を駆動させ、第1吸気弁22及び第2吸気弁24を開閉させる。また、2サイクル運転を行う場合には、ECU42によりカム軸移動機構を駆動制御し、一対の2サイクル用カム(62a,62b)を第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66に接続させ、一対の2サイクル用カム(62a,62b)のカムプロファイルに応じて、第1吸気ロッカーアーム64及び第2吸気ロッカーアーム66を駆動させ、第1吸気弁22及び第2吸気弁24を開閉させる。また、排気側も同様にECU42により制御される。以下に第1吸気弁22、第2吸気弁24及び排気弁26の開閉について説明する。
<4サイクル運転の場合の第1吸気弁22、第2吸気弁24及び排気弁26の開閉>
図6(A)は、4サイクル運転の場合における吸気弁及び排気弁の開閉時期を示す図である。図において、縦軸はバルブリフト量を示し、横軸はピストン50のクランク角を示している。なお、図6(A)の吸気弁及び排気弁の開閉時期は一例であってこれに制限されるものではない。
燃焼室52における燃焼後、クランク角180°付近(ピストン50の下死点付近)において排気弁26を開き、ピストン50が上昇し、クランク角360°付近(ピストン50の上死点付近)で排気弁26を閉じる。排気弁26が開いており、ピストン50が上昇している間に、燃焼室52からの排気が行われる(排気工程)。また、クランク角360°付近で、第1吸気弁22を開き、ピストン50が下降し、クランク角540°(ピストン50の下死点)までの間に第1吸気弁22を閉じる。そして、クランク角540°付近で第2吸気弁24を開き、ピストン50が上昇している間に、第2吸気弁24を閉じる。この吸気工程では、第1吸気弁22を先に開くことで、第1吸気通路14から供給された混合気(燃料、空気及び排気)が燃焼室52内に広く拡散し、その後第2吸気弁24を開くことで、第2吸気通路16から供給された混合気(燃料及び空気)が燃焼室52内で成層化する(図4参照)。その後、ピストン50がさらに上昇し、燃焼室52内の混合気を圧縮し(圧縮行程)、クランク角720°(ピストン50の上死点)付近で、点火プラグにより燃焼室52内の混合気を燃焼させ、ピストン50を押し下げる(膨張工程)。
本実施形態では、図4に示すような状態の混合気を点火プラグにより点火させることで火炎伝播燃焼が生じる。なお、本実施形態では、先に供給された混合気は排気を含む混合気であり、排気を含まない混合気と比べて燃えにくいが、成長した伝播火炎を熱源として効率的に燃焼される。このように、火炎伝播燃焼を生じさせることで、通常の混合気より希薄な混合気を燃焼室52内に供給しても燃焼が可能となるため(希薄燃焼が可能となるため)、内燃機関100の熱効率を向上させることができる。例えば、燃焼室52内において、点火プラグ付近に成層化した低希釈混合気を存在させ、その周囲に燃えにくい高希釈混合気を存在させて、燃焼室52内全体としては高い希釈率の混合気としても、効率的な燃焼が可能となるため、内燃機関100の熱効率が向上する。
4サイクル運転において、第1吸気弁22、第2吸気弁24の順で開弁させていれば、第1吸気弁22及び第2吸気弁24の開閉時期及びバルブリフト量等は上記に制限されるものではない。例えば、排気弁26の開閉時期と第1吸気弁22の開閉時期の一部がオーバーラップしていてもよいし、していなくてもよい。すなわち、排気弁26が閉じる前に第1吸気弁22を開けてもよいし、排気弁26が閉じた後に第1吸気弁22を開けてもよい。また、例えば、第1吸気弁22の開閉時期と第2吸気弁24の開閉時期の一部がオーバーラップしていてもよい。すなわち、第1吸気弁22が閉じる前に第2吸気弁24を開けてもよい。また、内燃機関100の負荷(トルク)の低下や回転数の増加に伴い、第1吸気弁22及び第2吸気弁24の開閉時期及びバルブリフト量を調整してもよい。
<2サイクル運転の場合の第1吸気弁22、第2吸気弁24及び排気弁26の開閉>
図6(B)は、2サイクル運転の場合における吸気弁及び排気弁の開閉時期を示す図である。図において、縦軸はバルブリフト量を示し、横軸はピストン50のクランク角を示している。図6(B)の吸気弁及び排気弁の開閉時期は一例であってこれに制限されるものではない。
ピストン50が下降している間に、排気弁26を開く。排気弁26の開弁によるブローダウンにより、燃焼室52内から排気が排出される。ピストン50が更に下降し、クランク角180°(ピストン50の下死点)に到達するまでの間に、第2吸気弁24を開く。その後、ピストン50が下降から上昇に転じ、クランク角180°から所定量進角した時、排気弁26を閉じる。第2吸気弁24を開くことで、第2吸気通路16から混合気(空気、燃料の混合気)が燃焼室52内に供給されると共に、供給された混合気により燃焼室52内の排気が押されて、燃焼室52内から排気が排出される(掃気工程)。第2吸気通路16から供給された混合気は、燃焼室52内で成層化されるため、排気弁26が開いていても、燃焼室52からの吹き抜けが抑制される。また、排気弁26を閉じた後、第1吸気弁22を開き、ピストン50が上昇して、クランク角360°(ピストン50の上死点)に到達するまでの間に第1吸気弁22及び第2吸気弁24を閉じる。ピストン50はさらに上昇し、燃焼室52内の混合気を圧縮し(圧縮行程)、クランク角360°(ピストン50の上死点)付近で、点火プラグにより燃焼室52内の混合気を燃焼させ、ピストン50を押し下げる(膨張工程)。
このように、第2吸気弁24を先に開弁し、その後第1吸気弁22を開弁することで、燃焼室52からの混合気の吹き抜けを抑制することができるため、燃焼室52内への混合気の吸気効率を高めることができる。その結果、2サイクル運転のトルクを向上させることが可能となる。混合気の吹き抜け率は、内燃機関100の回転数にもよるが、概ね1%以下に抑えることが可能となる。また、多量の燃料吹き抜けがなくなるため、燃焼室52から排出された排気による排気触媒38のダメージも抑制される場合がある。また、本実施形態は、頭上弁式であり、ユニフロー方式ではないので、ユニフロー式に比べてピストンリング等の部品の耐久性の低下が抑制される。
2サイクル運転において、第2吸気弁24、第1吸気弁22の順で開弁させていれば、第1吸気弁22及び第2吸気弁24の開閉時期及びバルブリフト量等は上記に制限されるものではない。例えば、排気弁26の開閉時期と第1吸気弁22の開閉時期の一部がオーバーラップしていてもよい。すなわち、排気弁26が閉じる前に第1吸気弁22を開けてもよい。
吸気弁の開閉時期は、例えば、カム軸の回転位相を変更するバルブタイミング調整機構により調整される。また吸気弁のバルブリフト量は、例えば、各カムの断面形状をカム軸の軸方向に沿って変化させておき、カム軸を軸方向に沿って移動して、吸気弁と接触するカムの位置を変化させるバルブリフト量調整機構により調整される。これらの調整機構は従来周知である(例えば、特開2010−13940号公報参照)。
図7は、内燃機関の負荷の低下や回転数の増加に伴い、4サイクル運転における吸気弁の開閉時期やバルブリフト量を調整した状態を示す図である。図7(A)は、前述した4サイクル運転の場合における第1吸気弁22、第2吸気弁24及び排気弁26の開閉時期の一例を示している。例えば、ECU42がトルクセンサやクランク角センサから、内燃機関100のトルク(負荷)や回転数のデータを取得し、これらの値が予め設定された閾値以下となった場合には、ECU42により上記の調整機構を駆動させ、図7(B)に示すように、第1吸気弁22及び第2吸気弁24の開閉時期の少なくともいずれか一方をピストン50の下死点側(クランク角540°側)にシフトさせることが好ましい。すなわち、第1吸気弁22の開閉時期をピストン50の下死点側にシフトさせ(遅角させ)、第2吸気弁24をピストン50の下死点側にシフトさせる(進角させる)。また、例えば、ECU42がトルクセンサやクランク角センサから、内燃機関100のトルク(負荷)や回転数のデータを取得し、これらの値が予め設定された閾値以下となった場合には、ECU42により上記の調整機構を駆動させ、図7(C)に示すように、第1吸気弁22及び第2吸気弁24のバルブリフト量の少なくともいずれか一方を増加させることが好ましい。また、図7(C)に示すように、第1吸気弁22及び第2吸気弁24の開閉時期の少なくともいずれか一方を増加させてもよい。吸気弁の開閉時期の増加とは、吸気弁の開弁時期を早期に開弁するか(開弁時期を進角するか)、吸気弁の閉弁時期を遅らせるか(閉弁時期を遅角するか)、又はこれら両方を行い、吸気弁が開いてから閉じるまでの期間を長くすることである。このような吸気弁の開閉時期やバルブリフト量の調整を行うことで、例えば、ピストン50の下死点付近で導入される混合気量が増加するため、燃焼室52内の混合気温度が増加し、燃えやすくなり、等容度が向上する等の効果がある。その結果、熱効率が向上する。
図8は、内燃機関の負荷の低下や回転数の増加に伴い、2サイクル運転における吸気弁の開閉時期やバルブリフト量を調整した状態を示す図である。図8(A)は、前述した2サイクル運転の場合における第1吸気弁22、第2吸気弁24及び排気弁26の開閉時期の一例を示している。例えば、ECU42がトルクセンサやクランク角センサにより検出された内燃機関100のトルク(負荷)や回転数のデータを取得し、これらの値が予め設定された閾値以下となった場合には、ECU42により上記の調整機構を駆動させ、図8(B)に示すように、第1吸気弁22及び第2吸気弁24のうちの少なくともいずれか一方を早期に開弁し(開弁時期を進角し)、開閉時期を増加させることが好ましい。また、内燃機関100のトルク(負荷)や回転数が予め設定された閾値以下となった場合には、ECU42により上記の調整機構を駆動させ、第1吸気弁22及び第2吸気弁24のバルブリフト量の少なくともいずれか一方を増加させてもよい。このような吸気弁の開閉時期やバルブリフト量の調整を行うことで、燃焼室52内に導入される混合気量が増加するため、例えば、吸気過給圧を下げることが可能となり、ポンプ損失を低減することができる。その結果、同じトルクにおいて、熱効率が向上する。
また、排気通路18に設置された酸素濃度センサ40により、排気中の酸素濃度を検出し、検出された酸素濃度が閾値以上の場合には、第2吸気弁24の開弁時期を遅角することが好ましい。具体的には、ECU42が酸素濃度センサ40により検出された酸素濃度データを取得し、取得した酸素濃度の値が予め設定された閾値以上であると判断した場合には、ECU42により上記の調整機構を駆動させ、排気弁26が閉じてから所定時間後に第2吸気弁24が開弁するように、開弁時期を遅角することが好ましい。これにより、燃焼室52内の吸気効率をより向上させることが可能となる。なお酸素濃度センサに代えて、空気と燃料の比率を検出するA/Fセンサでもよい。
本実施形態では、吸気弁の開閉を上記のようなカムを用いた弁操作機構により行っているが必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば電磁駆動方式等でもよい。電磁駆動方式の弁操作機構は、例えば、吸気弁に設置される電動アクチュエータと、駆動回路とを備える。駆動回路には、ECU42から、前述した第1吸気弁22及び第2吸気弁24の開閉時期についての制御信号が伝えられる。駆動回路は、制御信号に基づいて、電動アクチュエータを駆動させ、第1吸気弁22及び第2吸気弁24を開閉させる。電磁駆動方式の弁操作機構によれば、第1吸気弁22及び第2吸気弁の開閉時期の調整やバルブリフト量を調整することも可能である。
図9は、本実施形態に係る内燃機関の他の一例を示す概略構成図である。図9に示す内燃機関200において、図1に示す内燃機関100と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。図9に示す内燃機関200は、連通路68を備える。連通路68の一端は過給器28のタービン46より上流側の排気通路18に接続され、連通路68の他端は過給器28のタービン46より下流側の排気通路18に接続されている。すなわち、連通路68は、排気通路18を流れる排気がタービン46をバイパスする通路となる。連通路68には、ウエストゲートバルブ70が設けられており、ウエストゲートバルブ70はECU42と電気的に接続されている。
図9に示す内燃機関200では、ECU42によりウエストゲートバルブ70の開閉が制御され、排気通路18を流れる排気の一部が連通路68に流れる。これにより、タービン46に供給される排気流量が低下するため、排気通路18を流れる排気の背圧が低減される。これにより、例えば、2サイクル運転において、排気弁26の開弁によるブローダウンが増加し、燃焼室52から排出される排気量を増加させることができるため、2サイクル運転における燃焼室52内の排気量の低下及びトルクの向上が可能となる。また、ECU42により、第1吸気通路14のスロットルバルブ36aや排気還流通路20のスロットルバルブ36bの開閉度を制御して、4サイクル運転において第1吸気通路14を流れる排気量より、2サイクル運転において第1吸気通路14を流れる排気量を低減させることが好ましい(EGR率を低減することが好ましい)。これにより、2サイクル運転における燃焼室52内の排気量の低下及びトルクの向上が可能となる
過給器28は、例えば、電気やスーパーチェージャー等の外部動力を用いたアシスト式過給器でもよい。アシスト式過給器を用いることで、特に2サイクル運転において、ウエストゲートバルブ70の開度を増加させ、排気通路18を流れる排気の背圧をより低減することが可能となる。これにより、2サイクル運転において、排気弁26の開弁によるブローダウンがさらに増加し、燃焼室52から排出される排気量を更に増加させることができるため、2サイクル運転における燃焼室52内の排気量の低下及びトルクの向上が可能となる。
10 気筒、12 吸気通路、14 第1吸気通路、16 第2吸気通路、18 排気通路、20 排気還流通路、22 第1吸気弁、24 第2吸気弁、26 排気弁、28 過給器、30 インタークーラー、32 EGRクーラー、34 燃料インジェクタ、36a,36b スロットルバルブ、38 排気触媒、40 酸素濃度センサ、44 コンプレッサ、46 タービン、48 回転軸、50 ピストン、52 燃焼室、54 段差部、56 弁操作機構、58 カム軸、60a,60b 4サイクル用カム、62a,62b 2サイクル用カム、64 第1吸気ロッカーアーム、66 第2吸気ロッカーアーム、68 連通路、70 ウエストゲートバルブ、100,200 内燃機関。

Claims (5)

  1. 4サイクル運転と2サイクル運転とを行うことができる内燃機関であって、
    空気及び燃料を含む混合気を燃焼する燃焼室の上方に夫々独立して接続され、前記燃焼室に前記混合気を供給する第1吸気通路、及び前記燃焼室に前記混合気を供給し、当該混合気を成層化する第2吸気通路と、
    前記第1吸気通路を開閉して、前記第1吸気通路から前記燃焼室へ流入する混合気を制御する第1吸気弁、及び前記第2吸気通路を開閉して、前記第2吸気通路から前記燃焼室へ流入する混合気を制御する第2吸気弁と、
    前記4サイクル運転時には、前記第1吸気弁、前記第2吸気弁の順で開弁させ、前記2サイクル運転時には、前記第2吸気弁、前記第1吸気弁の順で開弁させる弁操作機構と、を備えることを特徴とする内燃機関。
  2. 前記第1吸気弁及び前記第2吸気弁のリフト量及び開閉時期を調整する調整機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記燃焼室に接続された排気通路を流れる排気中の酸素濃度を検出する酸素検出手段を備え、
    前記調整機構は、前記酸素検出手段により検出された酸素濃度が閾値以上である場合、前記第2吸気弁の開弁時期を遅角することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記4サイクル運転時及び前記2サイクル運転時それぞれにおいて、前記第1吸気通路及び前記第2吸気通路の混合気流量を制御する流量制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関。
  5. 前記排気通路を流れる排気の一部を前記第1吸気通路に還流する排気還流通路を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の内燃機関。
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