JP2018161833A - 版下原稿の作製方法 - Google Patents

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隆 宮崎
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Abstract

【課題】発色部と未発色部との間で十分な透過濃度差を有し、かつ網点再現性に優れた版下原稿が得られる、版下原稿の作製方法を提供する。
【解決手段】光透過性支持体上に、電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤および熱可塑性樹脂を含有する感熱記録層を少なくとも有する版下原稿用感熱記録材料を用いた版下原稿の作製方法であって、画像部となる部分の感熱記録層は該電子供与性染料前駆体が発色するエネルギーで加熱し、非画像部となる部分の感熱記録層は該電子供与性染料前駆体が発色しないエネルギーで加熱する。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂凸印刷版、スクリーン印刷版、オフセット印刷版等を製版する際に使用する、版下原稿の作製方法に関する。
コンピューターやデジタル画像技術の発達に伴い、文字や各種図形、および写真等の画像がデジタル化されて容易に取り扱いができるようになり、樹脂凸版、スクリーン印刷版、オフセット印刷版等を製版する際に使用する版下原稿として、感熱記録材料を利用することが知られている。このような版下原稿として用いられる感熱記録材料の画像は、細線や網点等が組み合わされた2値化画像で構成されており、かかる用途に使用される感熱記録材料には細線や網点等の再現性に優れた、フリンジのない画像を形成することが求められるほか、印刷版の感光波長域において、画像部と非画像部との間で十分な透過濃度差(コントラスト)を与えることが重要となる。例えばPS版の製版では300〜400nmの波長域において十分なコントラストが必要となり、また感光層が分光増感されている場合には、その増感波長域において十分なコントラストが必要となる。
電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤との発色反応を利用した感熱記録材料を版下原稿用途に利用する場合、電子供与性染料前駆体や電子受容性顕色剤等の発色成分を感熱記録層に多量に含有させて、十分な発色濃度を得る必要がある。しかしながら、一般に上記した発色成分は感熱記録層中に分散された状態で存在するため、発色成分を多量に含有する感熱記録層のヘイズ値は高くなる。ヘイズ値が高くなった感熱記録材料を印刷版の版下原稿として使用した場合、未発色部を透過する光が乱反射し、刷版上に形成される画像と非画像部の境界が曖昧になる、あるいは網点画像の再現が不均一になる等の問題が発生する。
光透過性支持体を有する感熱記録材料での画像の高濃度化について、例えば、特開平10−278431号公報(特許文献1)には、特定のロイコ染料を組み合わせる技術が開示されている。また特開2002−219872号公報(特許文献2)には、特定の電子受容性顕色剤を使用する技術が開示されている。更に、特開2006−123208号公報(特許文献3)には、感熱記録層にワックスを含有させる技術が開示されているが、これらは何れも医療用の診断画像用途(中間調の階調再現性)を意図して検討されていることもあり、フリンジのない2値化画像が求められる版下原稿用感熱記録材料としては、満足できるものではなかった。
一方、電子供与性染料前駆体や電子受容性顕色剤の平均粒径を低くすることは一般に知られており、例えば特開2003−94833号公報(特許文献4)には、電子受容性顕色剤顔料の平均粒径を10μm以下、好ましくは1μm以下にすることで、感熱記録材料の感熱度および解像度を改善できることが記載される。発色成分の微粒化は感熱記録層のヘイズ値を低下させるためにも有効ではあるが、未発色部にかぶりが生じたり、塗布液の分散安定性が低下し、生産安定性を大きく低下させたりする場合があり、必ずしも有効な手段ではなかった。
他方、特開2003−526549号公報(特許文献5)では、予備加熱を行うことによって、画像記録に必要な加熱エネルギーを低減し、早い印刷速度が得られる技術が紹介され、特開2001−219588号公報(特許文献6)には、サーマルプリンターにプレヒーターを設けて感熱記録材料を予熱することで、主走査方向の濃度ムラを解消できることが記載される。
特開平10−278431号公報 特開2002−219872号公報 特開2006−123208号公報 特開2003−94833号公報 特開2003−526549号公報 特開2001−219588号公報
本発明の目的は、印刷版の感光波長域、特に400nm以下の波長領域において、発色部と未発色部との間で十分な透過濃度差を有し、かつ網点再現性に優れた版下原稿が得られる、版下原稿の作製方法を提供することにある。
上記課題は以下の手段により解決された。
(1)光透過性支持体上に、電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤および熱可塑性樹脂を含有する感熱記録層を少なくとも有する版下原稿用感熱記録材料を用いた版下原稿の作製方法であって、画像部となる部分の感熱記録層は該電子供与性染料前駆体が発色するエネルギーで加熱し、非画像部となる部分の感熱記録層は該電子供与性染料前駆体が発色しないエネルギーで加熱することを特徴する版下原稿の作製方法。
(2)該感熱記録層が、2.6g/m以上の電子供与性染料前駆体を含有することを特徴とする、上記(1)記載の版下原稿の作製方法。
本発明により、印刷版の感光波長域、特に400nm以下の波長領域において、発色部と未発色部との間で十分な透過濃度差を有し、かつ網点再現性に優れた版下原稿が得られる、版下原稿の作製方法を提供することができる。
本発明を実施するための感熱記録装置の一例を示す概略断面図
以下、本発明の版下原稿の作製方法について詳細に説明する。本発明の版下原稿の作製方法において、画像部となる部分の感熱記録層は該電子供与性染料前駆体が発色するエネルギーで加熱し、非画像部となる部分の感熱記録層は該電子供与性染料前駆体が発色しないエネルギーで加熱する。かかる版下原稿の作製方法を実施するにあたり、下記(A)または(B)の方法を例示することができる。
(A)版下原稿用感熱記録材料が有する感熱記録層の全面を電子供与性染料前駆体が発色しないエネルギーで予備加熱した後、画像部となる部分の感熱記録層を電子供与性染料前駆体が発色するエネルギーで加熱する。
(B)版下原稿用感熱記録材料が有する感熱記録層の画像部となる部分の感熱記録層に対する電子供与性染料前駆体が発色するエネルギーでの加熱と、非画像部となる部分の感熱記録層に対する該電子供与性染料前駆体が発色しないエネルギーでの加熱を同時に行う。
本発明では、上記した(A)または(B)の何れの作製方法においても、発色部と未発色部との間で十分な透過濃度差を有し、かつ網点再現性に優れた版下原稿が得られるが、後述する実施例にて示したように、(B)の作製方法は、印刷版を製版する際の露光量が変化した場合であっても、安定した網点再現性にて刷版を得ることが可能であるため、好ましい。なお上記した(A)における全面とは、感熱記録層の画像部となる部分と非画像部となる部分を合わせた領域を意味し、版下原稿として光学的に利用しない領域(例えば単なる耳部や枠部分)は含まないものとする。
以下、図1を用いて上記した(A)の方法を説明する。図1は、本発明を実施するための感熱記録装置の一例を示す概略断面図である。
図1において、ロール状に巻き取られた版下原稿用感熱記録材料Pは、まず搬送ロール対1、5、8によって、版下原稿として使用する所定の長さよりやや長く、図中A方向へ搬送される。その後、版下原稿用感熱記録材料Pをサーマルヘッド2とプラテンローラー6によって狭持し、図中B方向に巻き戻しながら版下原稿用感熱記録材料Pの全面を電子供与性染料前駆体が発色しないエネルギーで予備加熱する。その後、版下原稿用感熱記録材料Pを再度サーマルヘッド2とプラテンローラー6によって狭持し、搬送ロール対1、5、8によって図中A方向に搬送しながら版下原稿用感熱記録材料Pの画像部となる部分の感熱記録層を電子供与性染料前駆体が発色するエネルギーで加熱した後、更にA方向に所定長さ搬送し、カッター7によって所定サイズにカットする。
次に、図1の感熱記録装置を用いて、上記した(B)の方法を説明する。
図1において、ロール状に巻き取られた版下原稿用感熱記録材料Pは、搬送ロール対1、5、8によって、版下原稿として使用する所定の長さよりやや長く、図中A方向へ搬送される。その後、版下原稿用感熱記録材料Pをサーマルヘッド2とプラテンローラー6によって狭持し、図中B方向に巻き戻しながら版下原稿用感熱記録材料Pの画像部となる部分の感熱記録層を電子供与性染料前駆体が発色するエネルギーで加熱すると同時に、非画像部となる部分の感熱記録層を電子供与性染料前駆体が発色しないエネルギーで加熱する。その後、再度A方向へ搬送し、カッター7によって所定サイズにカットする。
本発明において、非画像部となる部分の感熱記録層を加熱する、電子供与性染料前駆体が発色しないエネルギーは、感熱記録層が含有する電子供与性染料前駆体や電子受容性顕色剤、および熱可塑性樹脂の種類にもよるが、40〜95mJ/mm未満であることが好ましく、より好ましくは60〜90mJ/mmである。なお本発明において「電子供与性染料前駆体が発色しない」とは、非画像部となる部分の感熱記録層の加熱に伴う透過濃度の変化率((加熱後の非画像部の透過濃度−加熱前の非画像部の透過濃度)/(加熱前の非画像部の透過濃度))が、10%以下であることを意味し、より好ましくは5%以下である。一方、画像部となる部分の感熱記録層を加熱する、電子供与性染料前駆体が発色するエネルギーは、95mJ/mm以上であることが好ましい。なお図1の感熱記録装置ではサーマルヘッドとプラテンローラーからなる画像記録部を1つ有する例を示したが、前記した(A)の版下原稿の作製方法を実施するにあたっては、サーマルヘッドとプラテンローラーからなる画像記録部を2つ有する記録装置も好ましく利用することができる。また、前記した(A)の版下原稿の作製方法において、感熱記録層の全面に対して行う予備加熱と画像部に対して行う加熱順序を逆にすることも可能であるが、この場合、前述した先行技術に記載される利点、例えば、速い印字が可能となるといった効果は得られなくなる。
図1の感熱記録装置では、サーマルヘッド2およびプラテンローラー6の前後に、微粘着性の表面を有するクリーニングロール対3、4が設置されている。版下原稿用感熱記録材料Pに付着した塵埃や、版下原稿用感熱記録材料自体から発生する切りカス等が付着したままサーマルヘッド2で画像を印字すると、サーマルヘッドの発熱体が版下原稿用感熱記録材料に密着できずに、印字不良が発生する原因となる場合があるが、このような場合、クリーニングロール対3、4は極めて有効に作用する。また、静電気による塵埃等の付着を低減させる目的で、図示しない除電ブラシを設置することも好ましい形態の1つである。
図1の感熱記録装置が有するサーマルヘッド2としては、厚膜または薄膜のサーマルラインヘッドが好ましく使用できる。サーマルヘッドの画像記録密度は、600dpi以上であることが好ましく、更に好ましくは1200dpi以上であることが好ましい。
次に本発明の版下原稿の作製方法に用いる版下原稿用感熱記録材料について説明する。
<光透過性支持体>
本発明の版下原稿の作製方法に用いる版下原稿用感熱記録材料が有する光透過性支持体としては、全光線透過率が80%以上の支持体が好ましく、このような支持体としては例えば、各種樹脂フィルム、ガラス、ゴム、セラミックス等が挙げられる。中でもフレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で好適に用いられる。樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げられ、その厚さは10〜1000μmであることが好ましい。
光透過性支持体の表面には親水化加工が施されていてもよく、こうした親水化加工としては、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。更なる親水化加工として光透過性支持体上に設ける層との接着性を高めるため、光透過性支持体は下引き層を有していても良い。
<感熱記録層>
本発明の版下原稿の作製方法に用いる版下原稿用感熱記録材料の感熱記録層は、少なくとも電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤、および熱可塑性樹脂を含有する。
感熱記録層が含有する電子供与性染料前駆体としては、400nm以下の波長領域に発色する電子供与性染料前駆体が好ましく、例えば(1)トリアリールメタン系化合物:3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチル)−アニリノフルオラン等、
(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
(5)スピロ系化合物:3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等を挙げることができる。
なかでも、電子供与性染料前駆体としてキサンテン系化合物を含有することが好ましく、特に3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランを用いることが好ましい。これにより発色部と未発色部の透過濃度差にとりわけ優れた版下原稿用感熱記録材料を得ることが可能となる。
感熱記録層が含有する電子供与性染料前駆体の含有量は、1.0〜6.0g/mであることが好ましい。更に好ましくは、発色部と未発色部との間で十分なコントラストが得られることから、2.6g/m以上である。
感熱記録層が含有する電子受容性顕色剤としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料で使用される酸性物質等を使用できるが、特に限定されるものではない。例えば、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、アリールスルホニル尿素誘導体、有機化合物の亜鉛塩等の多価金属塩、ベンゼンスルホンアミド誘導体、ウレアウレタン化合物等を挙げることができる。以下に、感熱記録層が含有する電子受容性顕色剤の具体例を挙げるが、必ずしもこれらの化合物に限定されるものではない。
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−プロポキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジルオキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンモノアリルエーテル、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、3,4,4′−トリヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノール、3,4,3′,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルホン、2,3,4−トリヒドロキシジフェニルスルホン、3−フェニルスルホニル−4−ヒドロキシジフェニルスルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラ(4−ヒドロキシ安息香酸)エステル、ペンタエリスリトールトリ(4−ヒドロキシ安息香酸)エステル、N−ブチル−4−〔3−(p−トルエンスルホニル)ウレイド〕ベンゾエート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールの重縮合物と4−ヒドロキシ安息香酸との脱水縮合物、
N,N′−ジフェニルチオ尿素、4,4′−ビス[3−(4−メチルフェニルスルホニル)ウレイド]ジフェニルメタン、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N′−フェニル尿素、N−(ベンゼンスルホニル)−N′−[3−(4−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N−(4−トルエンスルホニル)−N′−[3−(4−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、ウレアウレタン化合物、
サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ビス(α−メチルベンジル)サリチル酸、4−[2′−(4−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸あるいはこれらサリチル酸誘導体の金属塩(例えば亜鉛塩)、
N−(4−ヒドロキシフェニル)−4−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−4−トルエンスルホンアミド、N−フェニル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド等。
中でも電子受容性顕色剤としてフェノール誘導体を用いることが好ましく、特にビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンを用いることが好ましい。これにより発色部と未発色部の透過濃度差に優れた版下用感熱記録材料を得ることが可能となる。
感熱記録層に含有する電子受容性顕色剤の含有量は、2.5〜15g/mであることが好ましい。
上記した本発明の版下原稿の作製方法に用いる版下原稿用感熱記録材料を構成する感熱記録層に含まれる種々の成分は、分散媒中に分散された感熱記録層塗工液を作製し、その後支持体上に塗布、乾燥されることが好ましい。その際、乾式粉砕して分散媒中に分散する方法、または分散媒中で湿式粉砕する方法の何れであっても良い。分散粒径はメジアン径で0.3〜0.9μmであることが好ましい。なおメジアン径とは、粒子体の一つの集団の全体積を100%として累積曲線を求めたとき、累積曲線が50%となる点の粒子径(累積平均径)であり、粒度分布を評価するパラメーターの一つとしてレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA920((株)堀場製作所製)などを用いて測定することができる。
本発明の版下原稿の作製方法に用いる版下原稿用感熱記録材料の感熱記録層は、熱可塑性樹脂を含有する。かかる熱可塑性樹脂としては、鎖状ポリマーからなり加熱によって可塑性を示す固体状の有機高分子化合物であって、有機高分子化合物の水分散体を指す。代表例は、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等の水分散性樹脂が挙げられる。これら熱可塑性樹脂の中で、特にスチレン/ブタジエン共重合体とその変性物が好ましい。また、これらの熱可塑性樹脂は単独もしくは2種以上併用して用いることができる。熱可塑性樹脂の配合量としては、感熱記録層の全固形分量に対して4〜30質量%とすることが好ましい。
本発明の版下原稿の作製方法に用いる版下原稿用感熱記録材料の感熱記録層が、水溶性高分子化合物を含有することは好ましい形態の一つである。かかる水溶性高分子化合物としては、例えば、澱粉類、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、ポリアクリル酸のアルカリ塩、ポリマレイン酸のアルカリ塩、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等が挙げられる。かかる水溶性高分子化合物の配合量は感熱記録層の全固形分量に対して4〜30質量%とすることが好ましい。
前記水溶性高分子化合物の種類に応じて硬膜剤(耐水化剤)を含有することが好ましい。硬膜剤としては、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート化合物、アルデヒド化合物、シラン化合物、クロム明礬、ジビニルスルホン等、樹脂の架橋を促すことによって耐水性を付与するものを用いることができるが、特に好ましい硬膜剤は、水溶性高分子化合物がゼラチンの場合、ジビニルスルホンが、また水溶性高分子化合物がポリビニルアルコールの場合、グリオキザールが好ましく用いられる。硬膜剤の配合量は感熱記録層が含有する水溶性高分子化合物の固形分量に対して、0.01〜30質量%とすることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%である。
版下原稿として利用する感熱記録材料においては、高濃度の画像を得る目的から、電子供与性染料前駆体を感熱記録層へ多く充填することが望ましく、具体的には2.6g/m以上含有することが望ましい。その場合、感熱記録層塗液の塗布量全体も多くなり、かつ光透過性支持体は吸液性がないため、塗布直後の塗工膜(ウエット状態の塗工膜)が極めて嵩高になり平滑な感熱記録層を得ることが難しい。平滑な感熱記録層が得られないと、印字時に熱を与えるサーマルヘッドや熱ペン等と感熱記録材料との間で十分に熱が伝わらず、高い透過濃度を得ることはできない。しかしこのようなケースにおいても水溶性高分子化合物としてゼラチンを用いると、塗布直後であってかつ乾燥するまでの間に塗工膜を冷却して塗工膜全体を不動化し、その後乾燥することで、厚膜でかつ平滑な感熱記録層が得られるので好ましい。
ゼラチンとしては、動物のコラーゲンを原料としたゼラチンであれば全て使用できるが、豚皮、牛皮、及び牛骨から得られるコラーゲンを原料としたゼラチンが好ましい。また、ゼラチンの種類も特に制限はないが、石灰処理ゼラチン及び酸処理ゼラチンの他、特公昭38−4854号、特公昭39−5514号、特公昭40−12237号、及び特公昭42−26345号等公報、米国特許第2,525,753号、米国特許第2,594,293号、米国特許第2,614,928号、米国特許第2,763,639号、米国特許第3,118,766号、米国特許第3,132,945号、米国特許第3,186,846号、米国特許第3,312,553号等明細書、英国特許第1,033,189号明細書等に記載のゼラチン誘導体等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の版下原稿の作製方法に用いる版下原稿用感熱記録材料を構成する感熱記録層は、熱エネルギーによる発色感度を向上させるために熱可融性化合物を含有させることができる。この場合、60〜180℃に融点を有する化合物が好ましく、これらの化合物は単独もしくは2種以上併用して使用することもできる。更に好ましい熱可融性化合物としては、一般式(1)〜(4)で示される化合物である。以下に一般式(1)で示される化合物について説明する。
上記式中、Xは−O−または−CO−O−を示し、R〜Rはそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基を示す。nは1から10までの整数を示す。なお置換基R〜R及びR〜Rは互いに結合して芳香環を形成しても良い。
一般式(1)で示される化合物のうちでも、Xが−O−である化合物が好ましく、特にR及びRが水素原子または炭素数1〜4のアルキル基で、R〜Rが水素原子であり、nが1〜4の整数である化合物が特に好ましく用いられる。
一般式(1)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)1−(1−ナフトキシ)−2−フェノキシエタン
(2)1−(2−ナフトキシ)−4−フェノキシブタン
(3)1−(2−イソプロピルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(4)1−(4−メチルフェノキシ)−3−(2−ナフトキシ)プロパン
(5)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(6)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(2−ナフトキシ)エタン
(7)1−(2−ナフトキシ)−2−フェノキシエタン
(8)1−(2−ナフトキシ)−6−フェノキシヘキサン
(9)1−フェノキシ−2−(2−フェニルフェノキシ)エタン
(10)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−フェニルフェノキシ)エタン
(11)1,4−ジフェノキシブタン
(12)1,4−ビス(4−メチルフェノキシ)ブタン
(13)1,2−ジ(3,4−ジメチルフェノキシ)エタン
(14)1−フェノキシ−3−(4−フェニルフェノキシ)プロパン
(15)1−(4−tert−ブチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(16)1,2−ジフェノキシエタン
(17)1−(4−メチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(18)1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(19)1−(3,4−ジメチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(20)1−(4−エチルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(21)1−(4−イソプロピルフェノキシ)−2−フェノキシエタン
(22)1,2−ビス(2−メチルフェノキシ)エタン
(23)1−(2−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(24)1−(4−tert−ブチルフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン
(25)1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン
(26)1−(3−メチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(27)1−(4−エチルフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン
(28)1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン
(29)1−(2,3−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(30)1−(2,5−ジメチルフェノキシ)−2−(4−メチルフェノキシ)エタン
(31)フェノキシ酢酸−2−ナフチル
(32)2−ナフトキシ酢酸−4−メチルフェニル
(33)2−ナフトキシ酢酸−3−メチルフェニル
次に一般式(2)で示される化合物について説明する。
上記式中、Rはアルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基を示す。また、式中のナフタレン環は更に置換基を有していても良く、好ましい置換基の例としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基などが挙げられる。
上記一般式(2)においてRで表わされる置換基のうち炭素数4〜20のアルキル基、炭素数4〜24のアリール基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基がより好ましい。上記一般式(2)において、ナフタレン環が更に有しても良い置換基のうちハロゲン基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜25のカルバモイル基がより好ましい。
一般式(2)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)1−ベンジルオキシナフタレン
(2)2−ベンジルオキシナフタレン
(3)2−p−クロロベンジルオキシナフタレン
(4)2−p−イソプロピルベンジルオキシナフタレン
(5)2−ドデシルオキシナフタレン
(6)2−デカノイルオキシナフタレン
(7)2−ミリストイルオキシナフタレン
(8)2−p−tert−ブチルベンゾイルオキシナフタレン
(9)2−ベンゾイルオキシナフタレン
(10)2−ベンジルオキシ−3−N−(3−ドデシルオキシプロピル)カルバモイルナフタレン
(11)2−ベンジルオキシ−3−N−オクチルカルバモイルナフタレン
(12)2−ベンジルオキシ−3−ドデシルオキシカルボニルナフタレン
(13)2−ベンジルオキシ−3−p−tert−ブチルフェノキシカルボニルナフタレン
次に一般式(3)で示される化合物について説明する。
上記式中、R、Rは水素原子、ハロゲン基、炭素数4以下のアルキル基、アルコキシ基を示す。Xは単なる結合手または−O−を示し、nは1〜4の整数を示す。
一般式(3)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(1)シュウ酸ジベンジル
(2)シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)
(3)シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)
(4)シュウ酸ジ(m−メチルベンジル)
(5)シュウ酸ジ(p−エチルベンジル)
(6)シュウ酸ジ(p−メトキシベンジル)
(7)シュウ酸ビス(2−フェノキシエチル)
(8)シュウ酸ビス(2−o−クロロフェノキシエチル)
(9)シュウ酸ビス(2−p−クロロフェノキシエチル)
(10)シュウ酸ビス(2−p−エチルフェノキシエチル)
(11)シュウ酸ビス(2−m−メトキシフェノキシエチル)
(12)シュウ酸ビス(2−p−メトキシフェノキシエチル)
(13)シュウ酸ビス(4−フェノキシブチル)
これらの例示化合物の中で好ましい具体例としては、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(m−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(p−エチルベンジル)、シュウ酸ジ(p−メトキシベンジル)、シュウ酸ビス(2−フェノキシエチル)が挙げられる。
次に一般式(4)で示される化合物について説明する。
上記式中、R10、R10′、R11及びR11′は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシ基を示す。
一般式(4)で示される化合物としては例えば下記の化合物が例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)1,2−ジフェノキシメチルベンゼン
(2)1,3−ジフェノキシメチルベンゼン
(3)1,4−ジ(2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(4)1,4−ジ(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(5)1,3−ジ(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン
(6)1,3−ジ(2,4−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン
(7)1,3−ジ(2,6−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン
(8)1,4−ジ(2−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(9)1,2−ジ(4−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(10)1,3−ジ(4−クロロフェノキシメチル)ベンゼン
(11)1,2−ジ(4−オクチルフェノキシメチル)ベンゼン
(12)1,3−ジ(4−オクチルフェノキシメチル)ベンゼン
(13)1,3−ジ(4−イソプロピルフェニルフェノキシメチル)ベンゼン
(14)1,4−ジ(4−イソプロピルフェニルフェノキシメチル)ベンゼン
これらの例示化合物の中で好ましい具体例としては、1,2−ジフェノキシメチルベンゼン、1,4−ジ(2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ジ(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ジ(2−クロロフェノキシメチル)ベンゼンが挙げられる。
上記した熱可融性化合物は、常温で固体の物質であるが、熱エネルギーによる発色感度を高めるために、微分散処理を行って使用されることが更に好ましい。微分散処理の方法は、一般に塗料製造時に用いられる湿式分散法であるロールミル、コロイドミル、ボールミル、アトライター、サンドミルなどのビーズミル等を使用することができる。ビーズミルでは、ジルコニア、チタニア、アルミナなどのセラミックビーズや、クロム、スチールなどの金属ビーズ、ガラスビーズなどが使用できる。分散粒径はメジアン径で0.3〜0.6μmであることが好ましい。
熱可融性化合物を該感熱記録材料の感熱記録層に添加する場合、感熱記録層に含有する電子供与性染料前駆体に対する熱可融性化合物とのモル比は、感熱記録層の電子供与性染料前駆体と熱可融性化合物とのモル比は、電子供与性染料前駆体1に対して熱可融性化合物0.5〜5.0の範囲が好ましい。
感熱記録層は、その他の添加剤として、加熱印字ヘッドの摩耗防止、またはスティッキング防止などの目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスタードワックスなどのワックス類や界面活性剤などを必要に応じて含有することができる。
本発明の版下原稿の作製方法に用いる版下原稿用感熱記録材料は、最上層に保護層を有することができ、直接感熱方式での印字用途に使用する場合、特に有用な形態である。保護層には、熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、電子供与性染料前駆体を含有しないことが好ましい。好ましく含有できる熱可塑性樹脂として、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン等の水分散性樹脂が挙げられる。
前記保護層に水溶性樹脂を含有することも好ましい形態の1つで、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、ポリアクリル酸のアルカリ塩、ポリマレイン酸のアルカリ塩、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂が好ましく使用できる。また、前記、熱可塑性樹脂と水溶性樹脂を併用することが更に好ましく、熱可塑性樹脂と水溶性樹脂の好ましい固形分質量比は70:30〜30:70である。
保護層が含有するその他の成分としては、スティッキング防止などの目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、モンタン酸エステルワックス、カスタードワックス等のワックス類やフッ素系界面活性剤、アニオン性界面活性剤等の界面活性剤類、カオリン、硫酸バリウム、コロイダルシリカ、微粒子シリカなどの顔料、消泡剤等が必要に応じて添加される。また保護層は架橋剤(耐水化剤)を含有することが好ましい。
保護層の固形分塗布量は0.1〜20g/mであることが好ましく、より好ましくは0.5〜10g/mである。
本発明の版下原稿の作製方法に用いる版下原稿用感熱記録材料は、発色感度を高める等、必要に応じて光透過性支持体と感熱記録層の間に中間層を1層以上有することができる。また、光透過性支持体を挟んで感熱記録層側の反対面(裏面)には、マット化剤や耐電防止剤等を含有するバックコート層を1層以上有することもできる。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、無論この記述により本発明が限定されるものではない。なお、以下の記述の中における各構成成分の量や濃度等に関する単位として%や部は、特に記載がない限り質量基準である。
(実施例1)
<版下原稿用感熱記録材料の作製>
両面に下引き層がコートされている全光線透過率88%、厚さ100μmのポリエステルフィルムの片面に、下記感熱記録層塗工液処方で感熱記録層の塗工液と下記保護層塗工液処方で保護層の塗工液を作製した後、感熱記録層の塗工液(湿分塗布量150g/m)と保護層の塗工液(湿分塗布量30g/m)を、スライドホッパーコーティング法により重層塗布した後、乾燥し、版下原稿用感熱記録材料を作製した。
なお、電子供与性染料前駆体、電子受容性顕色剤、については、事前に個々に小型ダイノミル(ビーズミル)でジルコニアビーズを用いて固形分濃度30%で微分散処理しそれぞれ分散液の状態で使用した。また、上記した同時塗布は、塗布後、直ちに1〜3℃の冷風にて塗工膜をゲル化させ、その後25〜40℃に設定された温風にて乾燥を行った。更に乾燥後の個々の感熱記録材料に対して、温度40℃に調整された恒温恒湿器を用いて3日間の加温を行った。
<感熱記録層塗工液処方>
8%ゼラチン(牛骨、アルカリ処理)溶液 46.0部
48%スチレン/ブタジエン共重合体のラテックス 7.6部
(日本エイアンドエル(株)製スマーテックスPA9281)
5%スルホコハク酸ジオクチルナトリウム水溶液 0.4部
30%電子供与性染料前駆体分散液 14.0部
電子供与性染料前駆体:(粒径:0.6μm以下になるまで分散)
3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン
30%電子受容性顕色剤分散液 35.0部
電子受容性顕色剤:(粒径:0.6μm以下になるまで分散)
ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン
5%ジビニルスルホン水溶液 2.0部
全量を調整するために加える水 45.0部
<保護層塗工液処方>
5%ゼラチン(牛骨、アルカリ処理) 13.6部
48%カルボキシル変性スチレン/ブタジエン共重合体のラテックス 1.0部
(DIC(株)製ラックスターDS205)
5%スルホコハク酸ジオクチルナトリウム水溶液 0.3部
30%モンタン酸エステルワックス 0.8部
(中京油脂(株)製ハイドリンJ−537)
フッ素系界面活性剤(セイミケミカル(株)製サーフロンS386) 0.05部
30%硫酸バリウム分散液 1.6部
5%ジビニルスルホン水溶液 1.6部
全量を調整するために加える水 11.05部
このようにして得られた版下原稿用感熱記録材料を、図1に示した感熱記録装置を用いて印字した。図1において、サーマルヘッド2として東芝ホクト電子(株)製1200dpiサーマルプリントヘッド(ヘッド平均抵抗値7kΩ)を装着し、印字速度を1.8msec/lineとして、感熱記録層の画像部を加熱するエネルギーを240mJ/mmに設定し、感熱記録層の非画像部を加熱するエネルギーを表1に記載のエネルギーに設定し、感熱記録層の非画像部となる箇所と、画像部となる箇所を同時に加熱し、印字サンプル1〜4を作製した。また、上記と同じ感熱記録装置、同じ版下原稿用感熱記録材料を用いて、版下原稿用感熱記録材料が有する感熱記録層の全面に、75mJ/mmのエネルギーにて加熱した後、感熱記録層の画像部となる部分にのみ、240mJ/mmのエネルギーにて加熱し、印字サンプル5を作製した。
作製した印字サンプル1〜5の非画像部と画像部を400nm以下の波長領域の透過濃度を透過濃度計(商品名:エックスライト製361T(V))を用いて測定した。この結果を表1に記載した。また、作製した版下原稿用印字サンプル1〜5の非画像部のヘイズ値をヘーズメーター(商品名:スガ試験機(株)製HZ−V3)を用いて測定し、併せて表1に記載した。
表1の結果から、非画像部を加熱するエネルギーを50mJ/mmとした印字サンプル2、および非画像部を加熱するエネルギーを75mJ/mmとした印字サンプル3は、非画像部を加熱していない印字サンプル1と比較して、非画像部の透過濃度が上昇していない(電子供与性染料前駆体が発色していない)ので、これらのサンプルを得た印字方法は、本発明の版下原稿の作製方法に相当する。また感熱記録層の全面を75mJ/mmのエネルギーにて加熱した後、感熱記録層の画像部となる部分にのみ、240mJ/mmのエネルギーにて加熱した印字サンプル5も、非画像部を加熱していない印字サンプル1と比較して、非画像部の透過濃度が上昇していないので、このサンプルを得た印字方法は、本発明の版下原稿の作製方法に相当する。
一方、非画像部を加熱するエネルギーを100mJ/mmとした印字サンプル4は、非画像部を加熱していない印字サンプル1と比較して、非画像部の透過濃度が0.2から0.4に上昇しているので、この版下原稿の作製方法は本発明において比較例となる。
<版下画質評価>
上記、印字サンプル1〜5を作製した印字方法と同じ条件にて、3%網点と90%網点(何れも解像度は100lpi)を版下原稿用感熱記録材料に印字し、版下原稿1〜5を得た。得られた版下原稿を用いて、P−627−GA((株)SCREEN製密着露光プリンター)を用い、表2に記載した露光カウントにて、バイオレットディジプレート(VDPF175:三菱製紙(株)製印刷版)に密着露光を行った。その後、30℃の水にて未硬化部分を除去・水洗し、刷版1〜5を得た。得られた刷版1〜5それぞれについて、網点部の形状をルーペを用いて観察し、網点の再現性を下記評価基準にて判定した。結果を表2に示す。
○:均一な網点が再現されている
△:僅かに網点の大きさに乱れが認められるが、実用上問題のないレベル
×:網点の大きさが不均一である
表2に示す結果から明らかなように、本発明により作製された版下原稿は、露光カウントが変化した場合においても安定した網点再現性を示すことから、露光量にフレが生じた場合であっても、刷版上で網点の大きさが不均一になることはなく、したがって本発明によって網点再現性に優れた版下原稿が得られることが判る。
1、5、8 搬送ロール対
2 サーマルヘッド
6 プラテンローラー

Claims (2)

  1. 光透過性支持体上に、電子供与性染料前駆体と電子受容性顕色剤および熱可塑性樹脂を含有する感熱記録層を少なくとも有する版下原稿用感熱記録材料を用いた版下原稿の作製方法であって、画像部となる部分の感熱記録層は該電子供与性染料前駆体が発色するエネルギーで加熱し、非画像部となる部分の感熱記録層は該電子供与性染料前駆体が発色しないエネルギーで加熱することを特徴する版下原稿の作製方法。
  2. 感熱記録層が、2.6g/m以上の電子供与性染料前駆体を含有することを特徴とする、請求項1記載の版下原稿の作製方法。
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