JP2018161469A - 綿棒及び検査キット - Google Patents
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Abstract
【課題】軸体の端部に多数の繊維が植毛された綿棒において、生体試料、特に糞便の採取量のバラツキを低減することができる綿棒及びこの綿棒を備える検査キットを提供する。【解決手段】軸体の端部に糞便を採取するための多数の繊維が植毛された採便用の綿棒であって、繊維が植毛されてなる採取部と、採取部から延びる軸部と、を備え、採取部は、少なくとも第一領域及び第二領域と、第一領域と第二領域とを識別するための目印とを有し、第二領域は、第一領域に対して軸部側に位置する。【選択図】図1
Description
本発明は、綿棒及び検査キットに関する。
感染症の発見やその原因を特定するために、試料中の細菌やウイルスの検出が重要である。細菌やウイルスの検査方法として、分離培養した後、同定を行う培養法、病原体に特徴的な遺伝子を増幅し検出する遺伝子検査法、電子顕微鏡により同定する方法などが知られている。しかしながら、これらの検査方法は、試料の処理が煩雑である、測定のために熟練した技術が必要である、特別な装置が必要である、結果を得るまでに時間がかかる、短時間で多数の検体を検査できないなどの問題がある。一方、簡易かつ迅速な免疫学的測定法としてイムノクロマトグラフィー法が知られている。イムノクロマトグラフィー法は、血液や尿、糞便などの試料をテストストリップ上に塗布または滴下する(必要に応じて試料を前処理液や希釈液で懸濁、ろ過フィルターでろ過する)という簡単な操作で試料中の測定対象物を検出することができ、また、目視判定が可能であることなどから、広く実施されている。イムノクロマトグラフィー法は、メンブレンに固定化された被検出物に特異的に結合する物質(抗体等)と、金コロイド等で標識した被検出物に特異的に結合する物質(抗体等)を使用して、被検出物と特異的結合物質の複合体を形成し、被検出物を測定する方法である。
従来から、生体試料である糞便から、例えばノロウイルス等の被検出物を検出するために、イムノクロマトグラフィー法を利用した検査キットが用いられている。この検査キットは、糞便を採取するための(採便用)綿棒と、綿棒で採取された糞便から被検出物を抽出する抽出液と、ろ過フィルターと、それを検出するテストストリップ(測定デバイス)と、を備える。イムノクロマトグラフィー法を利用した検査キットを用いて糞便から被検出物を検出する際は、綿棒で糞便を採取し、採取した糞便を抽出液に懸濁し、懸濁液をテストストリップに滴下する。テストストリップのコンジュゲートパッドには、被検出物に結合する標識した抗体が溶出可能に保持されていて、さらにこの下流にあるメンブレン上には被検出物に結合する抗体がライン状に固定されている。このため、懸濁液に被検出物が含まれている場合は、標識した抗体−被検出物−メンブレン上の抗体の複合体が形成されてライン状に呈色するため、ラインの有無を視認することで、糞便に被検出物が含まれているか否かを判定することができる。
イムノクロマトグラフィー法では、試料の量が検出に必要とされる量よりも多い又は少ないと偽陽性や偽陰性となることがあるため、正確な検出結果を得るためには、適切な量の試料を採取できることが望ましい。しかしながら、生体試料の中でも、特に糞便は、水様便、軟便、固形便等と様々な性状を有する。このため、糞便の性状によって採取量にばらつきが生じるという問題がある。また、肛門に綿棒を挿入して糞便を直接採取する場合(直腸便)においては、糞便が肛門によってすりとられてしまうことや、肛門付近の直腸に残留便が少ないため採取量が少なくなってしまうという問題がある。このため、排泄便、直腸便のいずれの採取においても適切に十分な量の糞便を採取できる綿棒が望ましい。
特許文献1には、イムノクロマトグラフィー法に用いる綿球綿棒が記載されている。特許文献1に記載された綿球綿棒は、軸体の端部に綿体部が設けられており、綿体部の外周面には、性質又は種類の異なる糞便の採取量のバラツキを防ぐために、リング状の溝が形成されている。綿体によって製造される綿体部は、一般的に、軸体の端部に接着剤等を介して繊維体を巻き付けることにより形成され、溝は、内壁に突条部が設けられた金型で綿体部を圧縮成型することにより形成される。
特許文献1に記載された綿球綿棒の綿体部では、糞便を採取する際は糞便が綿体部の内部に吸収され難く、採取した糞便を抽出液に懸濁する際は吸収された糞便が抽出液に放出され難い。つまり、糞便の採取量が少なく、糞便の放出性が悪いという問題がある。
特許文献2及び3には、軸体の端部に多数の繊維が植毛されたフロックドスワブが記載されている。フロックドスワブでは、軸体から多数の繊維が放射状に延びているため、糞便の採取量が多く、糞便の放出性が良いというメリットがある。しかしながら、フロックドスワブでは、特許文献1に記載された綿体部のように、内壁に突条部が設けられた金型で軸体に植毛された繊維を圧接しても、溝を形成することができない。
そこで、本発明は、軸体の端部に多数の繊維が植毛された綿棒において、生体試料、特に糞便の採取量のバラツキを低減することができる綿棒及びこの綿棒を備える検査キットを提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る綿棒は、軸体の端部に糞便を採取するための多数の繊維が植毛された採便用の綿棒であって、繊維が植毛されてなる採取部と、採取部から延びる軸部と、を備え、採取部は、少なくとも第一領域及び第二領域と、第一領域と第二領域とを識別するための目印とを有し、第二領域は、第一領域に対して軸部側に位置する。第一領域と第二領域とを識別するとは、第一領域と第二領域との境界が如何なる位置にあるのかを識別することをいい、例えば、第一領域と第二領域との境界を示すともいう。
この綿棒では、糞便を採取する採取部が、軸体に繊維が植毛されてなるため、糞便の吸収性及び放出性に優れる。しかも、軸体の端部に多数の繊維が植毛された綿棒において、第一領域と第二領域とを識別するための目印を有するため、この目印を頼りに糞便を採取することで、採取量のバラツキを低減して、適切量の糞便を採取することができる。例えば、排泄便を採取する場合は、目印を頼りに第一領域のみで糞便を採取することで、糞便の性状によらず、糞便の採取量のバラツキを低減することができる。一方、直腸便を採取する場合は、採取部全体で糞便を採取することで、十分な量の糞便を採取することができる。
上記の綿棒において、目印は、着色されてなってもよい。目印が着色されてなるため、使用者は、第一領域と第二領域との境界を容易に視認することができる。
上記の綿棒において、目印は、軸体に付されていてもよい。目印が軸体に付されているため、軸体に多数の繊維が植毛されてなる綿棒であっても、目印が繊維に付されている場合に比べて、容易に目印を付すことができる。なお、繊維は軸体に植毛されているため、目印が軸体に付されていても、繊維の間から目印を視認することができる。
上記の綿棒において、目印は、第一領域と第二領域との境界線上に付されていてもよい。目印が第一領域と第二領域との境界線上に付されているため、第一領域と第二領域との境界を的確に視認することができる。
上記の綿棒において、目印は、採取部の周方向において全周に付されていてもよい。目印が全周に付されているため、あらゆる方向から第一領域と第二領域との境界を視認することができる。
上記の綿棒において、目印は、採取部の周方向において一部に付されていてもよい。目印が周方向において一部に付されているため、目印を付す工程を簡略化することができる。
上記の綿棒において、目印は、第一領域および第二領域の少なくとも一方に付されて、第一領域と第二領域とに互いに異なる色または模様を形成してもよい。これにより、第一領域と第二領域との境界を的確に視認することができる。
上記の綿棒において、目印は、採取部の軸体に繊維が植毛されていないことで形成されていてもよい。軸体に多数の繊維が植毛された綿棒では、特許文献1に記載された綿体部のように、内壁に突条部が設けられた金型で圧接しても、綿棒の外周面に凹部を形成することができないが、軸体に多数の繊維が植毛された綿棒において、採取部の軸体の一部に繊維を植毛しない不植毛部を設けることにより、綿棒の外周面に目印を形成することができる。この構成により、採取部の外形から第一領域と第二領域との境界を容易に視認することができる。さらに、採取部の軸体の目印部分に繊維が植毛されていないため、液状の試料であっても第一領域で採取された糞便が第二領域に毛細管現象により移動するのを抑制することができる。これにより、採取量のバラツキを更に低減することができる。
上記の綿棒において、目印である不植毛部は、第一領域と第二領域との境界線上に形成されていてもよい。目印である不植毛部が第一領域と第二領域との境界線上に形成されているため、第一領域と第二領域との境界を的確に視認することができる。
本発明の一側面に係る検査キットは、上述した綿棒と、綿棒で採取された糞便から被検出物を検出する測定デバイスと、を備える。
この検査キットでは、上述した綿棒を備えるため、採取量のバラツキを低減して、適切量の糞便を採取することができる。
上記の検査キットにおいて、測定デバイスは、イムノクロマトグラフィー法により糞便から被検出物を検出してもよい。イムノクロマトグラフィー法を利用することで、目視により被検出物が検出されたか否かを判定することができる。
本発明の一側面に係る検査キットは、テストストリップと、採便用の綿棒とを含み、テストストリップは、試料供給部と、試料供給部の下流側に位置するクロマトグラフ媒体と、クロマトグラフ媒体の一部に位置する、標識試薬が溶出可能に保持された標識試薬保持部と、クロマトグラフ媒体の一部であって標識試薬保持部より下流側に位置する、被検出物と結合する抗原または抗体を含む検出部と、を有し、綿棒は、軸体の端部に糞便を採取するための多数の繊維が植毛された採便用の綿棒であって、繊維が植毛されてなる採取部と、採取部から延びる軸部と、を備え、採取部は、少なくとも第一領域及び第二領域と、第一領域と第二領域とを識別するための目印とを有し、第二領域は、第一領域に対して軸部側に位置する。
この検査キットによれば、生体試料、特に糞便を採取する場合に、吸収性・放出性に優れ、水様便、軟便、及び硬質便など性状が異なる場合であっても、採取量のバラツキを低減し、必要量の糞便を適切に採取でき、被検出物の正確な検出が可能となる。
上記の検査キットの綿棒において、目印は、着色されてなってもよい。目印が着色されてなるため、使用者は、第一領域と第二領域との境界を容易に視認することができる。
上記の検査キットの綿棒において、目印は、軸体に付されていてもよい。目印が軸体に付されているため、軸体に多数の繊維が植毛されてなる綿棒であっても、目印が繊維に付されている場合に比べて、容易に目印を付すことができる。なお、繊維は軸体に植毛されているため、目印が軸体に付されていても、繊維の間から目印を視認することができる。
上記の検査キットの綿棒において、目印は、採取部の軸体に繊維が植毛されていないことで形成されていてもよい。軸体に多数の繊維が植毛された綿棒において、採取部の軸体の一部に繊維を植毛しない不植毛部を設けることにより、綿棒の外周面に目印を形成することができる。これにより、採取部の外形から第一領域と第二領域との境界を容易に視認することができる。しかも、採取部の軸体の目印部分に繊維が植毛されていないため、液状の試料であっても第一領域で採取された糞便が第二領域に毛細管現象により移動するのを抑制することができる。これにより、採取量のバラツキを更に低減することができる。
本発明の一側面に係る綿棒は、軸体の端部に生体試料を採取するための多数の繊維が植毛された生体試料採取用綿棒であって、繊維が植毛されてなる採取部と、採取部から延びる軸部と、を備え、採取部は、少なくとも第一領域及び第二領域と、第一領域と第二領域とを識別して、生体試料を定量採取するための目印とを有し、第二領域は、第一領域に対して軸部側に位置する。
この綿棒では、生体試料を採取する採取部が、軸体に繊維が植毛されてなるため、生体試料の吸収性及び放出性に優れる。しかも、軸体の端部に多数の繊維が植毛された綿棒において、第一領域と第二領域との境界を示す目印を有するため、この目印を頼りに生体試料を採取することで、採取量のバラツキを低減して、適切量の生体試料を採取することができる。
上記の綿棒において、目印は、着色されてなってもよい。目印が着色されてなるため、使用者は、第一領域と第二領域との境界を容易に視認することができる。さらに、上記の綿棒において、目印は、軸体に付されていてもよい。目印が軸体に付されているため、軸体に多数の繊維が植毛されてなる綿棒であっても、目印が繊維に付されている場合に比べて、容易に目印を付すことができる。
上記の綿棒において、目印は、採取部の軸体に繊維が植毛されていないことで形成されていてもよい。軸体に多数の繊維が植毛された綿棒において、採取部の軸体の一部に繊維を植毛しない不植毛部を設けることにより、綿棒の外周面に目印を形成することができる。これにより、採取部の外形から第一領域と第二領域との境界を容易に視認することができる。しかも、採取部の軸体の目印部分に繊維が植毛されていないため、液状の試料であっても第一領域で採取された生体試料が第二領域に毛細管現象により移動するのを抑制することができる。これにより、採取量のバラツキを更に低減することができる。
本発明によれば、軸体の端部に多数の繊維が植毛された綿棒において、生体試料、特に糞便の採取量のバラツキを低減することができ、適切量の糞便を採取することができる。
「免疫学的測定法」とは、抗原と抗体の特異的結合を利用して、測定対象である被検出物の検出・定量を行う方法である。本実施形態において、免疫学的測定法として典型的にはイムノクロマトグラフィー法(好ましくは、後述するサンドイッチ型イムノクロマトグラフィー法)が挙げられるが、その他のELISA法、ラテックス凝集法、免疫比濁法などを含む。
本実施形態において、「生体試料」とは、特に制限されず、糞便、咽頭・鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、血液、血漿、血清、尿、唾液、羊水、髄液、膿、臓器抽出液、各種組織抽出液等であってもよい。
本実施形態において、「糞便試料」とは、糞便由来の試料である限りその具体的な形態は特に制限されず、その由来とする糞便は、硬質便、普通便、軟便、下痢便、水様便などのいずれであってもよい。糞便試料の採取方法として、排泄便は、オムツなどに排出された糞便を綿棒で拭う方法や綿棒にしみこませる方法など、直腸便は綿棒を肛門に挿入して採取する方法などがある。なお、糞便試料は、生体試料の中でも、性状が様々であり、採取量のバラツキを低減することができる本発明の優位性が顕著なものとなる。
本実施形態において、「被検出物」に特に制限はなく、生体試料中に含まれうる物質であればよい。被検出物の一例としては、ウイルス(例えば、ノロウイルス、サポウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど)、細菌(例えば、赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター属菌など)または大腸がんスクリーニングの対象となる便潜血などが挙げられる。特に、ウイルスや細菌を被検出物として用いることで、正確かつ迅速な判定を可能としうる本発明の優位性が顕著なものとなる。
抗体(抗被検出物抗体)は被検出物の一部を特異的に認識して結合する。認識する物質(抗原)としては、例えば、ウイルスや細菌の表面に存在するタンパク質や糖鎖、核酸などが挙げられるが、特に制限されない。
以下、図面を参照して、本発明に係る綿棒及び検査キットの実施形態を説明する。本実施形態の綿棒は、排泄便及び直腸便の何れも採取可能な綿棒である。本実施形態の検査キットは、イムノクロマトグラフィー法を利用して生体試料である糞便からノロウイルス等の被検出物を検出するためのキットである。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第一実施形態]
図1に示すように、本実施形態の綿棒1は、軸体2の端部に糞便を採取するための多数の繊維3が植毛された採便用のフロックドスワブである。綿棒1は、採取部4と、軸部5と、を備える。なお、綿棒1の軸部5側を綿棒1の基端側といい、綿棒1の採取部4側を綿棒1の先端側という。
図1に示すように、本実施形態の綿棒1は、軸体2の端部に糞便を採取するための多数の繊維3が植毛された採便用のフロックドスワブである。綿棒1は、採取部4と、軸部5と、を備える。なお、綿棒1の軸部5側を綿棒1の基端側といい、綿棒1の採取部4側を綿棒1の先端側という。
図1〜図3に示すように、綿棒1は、軸体2の端部に糞便を採取するための多数の繊維3が植毛された採便用のフロックドスワブである。
軸体2は、細長い棒状に延びる部材である。軸体2の素材は、特に限定されるものではない。軸体2としては、例えば、ポリスチレン、ナイロンなどの各種プラスチック、アルミなどの金属、紙等を用いることができる。繊維3の素材は、特に限定されるものではない。繊維3としては、例えば、レーヨン、ポリエステル、ナイロンなどのポリアミド、炭素繊維、アルギレート等の合成又は人工材料、綿、絹等の天然材料、又はこれらの混紡を用いることができる。軸体2に植毛される多数の繊維3は、略同じ長さである。繊維3の繊維長は、例えば、254μm以上2540μm以下である。
軸体2に対する繊維3の植毛は、例えば、フロック加工により行うことができる。フロック加工は、周知の加工方法であり、静電植毛等とも呼ばれる。フロック加工では、まず、軸体2の端部に接着剤を塗布しておく。そして、静電場中で、所定長さの多数の繊維を方向づけて飛ばすことで、接着剤を塗布した軸体2の端部に繊維を付着させる。軸体2に付着した繊維3は、軸体2の表面に対して放射方向に起き上がった(立設した)状態となる。これにより、繊維3間には僅かながら隙間が生じるため、繊維3間の隙間から軸体2及び軸体2の色を視認することができる。
綿棒1は、採取部4と、軸部5と、を備える。採取部4は、綿棒1の端部に位置して、糞便を採取する部位である。採取部4は、軸体2と繊維3とにより構成されており、軸体2に繊維3が植毛されている。採取部4では、軸体2が拡径化されて膨らんでいる。このため、採取部4の外形は、軸体2の膨らみに対応して膨らんでいる。軸部5は、採取部4の基端側に位置して、採取部4から延びる部位である。軸部5は、軸体2のみにより構成されており、軸体2に繊維3が植毛されていない。
採取部4は、第一領域Aと、第二領域Bと、を有する。第一領域Aは、排泄便及び直腸便を採取するための領域である。第一領域Aは、軸部5とは反対側に位置する。第二領域Bは、直腸便を採取するための領域である。第二領域Bは、第一領域の軸部5側に位置する。つまり、採取部4は、軸体2の軸方向において、第一領域Aと第二領域Bとに分けられている。そして、採取部4は、排泄便の採取では、第一領域Aのみで糞便を採取するようになっており、直腸便の採取では、第一領域A及び第二領域Bの双方で糞便を採取するようになっている。軸体2の軸方向における第一領域A及び第二領域Bの長さ及び割合は、特に限定されるものではなく、排泄便及び直腸便の採取量に応じて適宜決めることができる。
採取部4は、目印Cを有する。目印Cは、第一領域Aと第二領域Bとの境界を識別するための目印である。本実施形態では、目印Cは、着色されてなる。つまり、目印Cは、色により第一領域Aと第二領域Bとの境界を識別するものである。目印Cは、軸体2に付されており、繊維3には付されていない。目印Cは、第一領域Aと第二領域Bとの境界線上に付されている。目印Cは、採取部4の周方向において軸体2の全周に付されている。軸体2の軸方向における目印Cの幅は、特に限定されるものではなく、使用者が視認可能な範囲で、適宜決定することができる。
次に、綿棒1の製造方法について説明する。
まず、図4に示すように、軸体2の第一領域Aと第二領域Bとの境界線を着色することで、軸体2に目印Cを付す。軸体2に目印Cを付す方法は、特に限定されない。例えば、軸体2を回転させながら、インクジェットプリンタ等により軸体2に目印Cを印刷することで、軸体2の全周に目印Cを付すことができる。そして、図5に示すように、軸体2の採取部4となる部分に、繊維3を植毛する。繊維3の植毛は、フロック加工により行うことができる。これにより、採取部4に目印Cが付された綿棒1が完成する。
次に、綿棒1による糞便の採取方法について説明する。
図6に示すように、排泄便を採取する場合は、目印Cを頼りに、第一領域Aのみで糞便Zを採取する。つまり、採取部4における目印Cよりも先端側の部分にのみ、糞便Zを付着させる。一方、図7に示すように、直腸便を採取する場合は、肛門に綿棒1を挿入し、第一領域A及び第二領域Bの全体で糞便Zを採取する。つまり、採取部4の全体に糞便Zを付着させる。
このように、本実施形態の綿棒1では、糞便を採取する採取部4が、軸体2に繊維3が植毛されてなるため、糞便の吸収性及び放出性に優れる。しかも、軸体2の端部に多数の繊維3が植毛された綿棒1において、第一領域Aと第二領域Bとの境界を示す目印Cを有するため、目印Cは糞便の定量採取のための目印として機能し、この目印Cを頼りに糞便を採取することで、採取量のバラツキを低減して、適切量の糞便を採取することができる。例えば、排泄便を採取する場合は、目印Cを頼りに第一領域Aのみで糞便を採取することで、糞便の性状によらず、糞便の採取量のバラツキを低減することができる。一方、直腸便を採取する場合は、採取部4全体で糞便を採取することで、十分な量の糞便を採取することができる。従って、排泄便及び直腸便のいずれの採取においても、1種類の採便用の綿棒で検体の性状に応じた使い分けが可能となる。
また、目印Cが着色されてなるため、使用者は、第一領域Aと第二領域Bとの境界を容易に視認することができる。
また、目印Cが軸体2に付されているため、軸体2に多数の繊維3が植毛されてなる綿棒1であっても、目印Cが繊維3に付されている場合に比べて、容易に目印Cを付すことができる。なお、繊維3は軸体2に植毛されているため、目印Cが軸体2に付されていても、繊維3の間から目印Cを視認することができる。
また、目印Cが第一領域Aと第二領域Bとの境界線上に付されているため、第一領域Aと第二領域Bとの境界を的確に視認することができる。
また、目印Cが軸体2の全周に付されているため、あらゆる方向から第一領域Aと第二領域Bとの境界を視認することができる。
なお、第一実施形態の綿棒1は、適宜変更することができる。
例えば、目印Cは、必ずしも採取部4の周方向において全周に付されている必要は無く、採取部4の周方向において一部に付されていてもよい。つまり、第一領域Aと第二領域Bとの境界線上に付される目印は、ラインに限定されるものではなく、破線、点線(ドット)等も含まれる。例えば、図8に示す綿棒1Aでは、採取部4の周方向に延びる1又は複数の線状の目印Cが、採取部4に付されている。図9に示す綿棒1Bでは、採取部4の周方向に配列された複数のドット状の目印Cが、採取部4に付されている。このように目印Cが付されていても、第一領域Aと第二領域Bとの境界を的確に視認することができる。そして、採取部4の周方向において、目印Cが一部に付されているが残りの一部に付されていない場合は、目印Cを付す工程を簡略化することができる。
また、目印Cは、必ずしも第一領域Aと第二領域Bとの境界線上にのみ付されている必要は無く、他の領域に付されていてもよい。つまり、目印Cは、第一領域Aおよび第二領域Bの少なくとも一方に付されて、第一領域Aと第二領域Bとに互いに異なる色または模様を形成するものであってもよい。例えば、図10に示す綿棒1Cでは、目印Cが、第一領域Aの全体に付されている。また、図11に示す綿棒1Dでは、目印Cが第二領域Bの全体に付されている。このように、目印Cが第一領域A又は第二領域Bの全体に付されていても、第一領域Aと第二領域Bとの境界を的確に視認することができる。さらに、目印Cは、第一領域Aおよび第二領域Bの少なくとも一方に部分的に付されてもよい。このように目印Cを付すことで、第一領域Aと第二領域Bとの境界を的確に視認することができる。目印Cを軸体2に付すことにより、軸体2の外面を凹凸形状とする必要なく、目印を付すことができる。目印Cを軸体2に付すことにより、採取部4の繊維3を着色せずに用いることが可能となる。この場合、繊維3は単一の色からなる単色で構成されていてもよい。また、目印Cは、単一の色からなる単色で構成されていてもよく、複数の色からなる多色で構成されていてもよい。
また、採取部4は、必ずしも第一領域A及び第二領域Bの2領域のみに分けられている必要は無く、3以上の領域に分けられていてもよい。例えば、図12に示す綿棒1Eでは、第二領域Bが、更に第二領域B1及び第二領域B2の2領域に分けられている。そして、第二領域B1と第二領域B2との境界を示す目印C1が付されている。目印C1は、例えば、第二領域B1と第二領域B2との境界線上に付されるとともに、採取部4の周方向において全周に延びている。この場合、目標とする採取量に応じて、目印Cと目印C1とを使い分けることができる。例えば、排泄便を第一領域A、直腸便を第一領域A及び第二領域B1で採取するようにしてもよい。なお、採取部4の領域の数、各領域の境界線の位置、排泄便及び直腸便を採取する領域等は、綿棒の使用形態等によって適宜選択することができる。
また、目印Cは、必ずしも軸体2に付されている必要は無く、繊維3に付されていてもよく、軸体2及び繊維3の双方に付されていてもよい。例えば、図13に示す綿棒1Fでは、繊維3に目印Cが付されている。ここで、繊維3に目印Cを付す方法の一例について説明する。まず、第一回目のフロック加工として、目印Cとならない領域には接着剤を塗布し、目印Cとなる領域には接着剤を塗布しない。そして、フロック加工により軸体2に繊維3Aを植毛する。すると、図14に示すように、目印とならない領域には繊維3Aが植毛されるが、目印となる領域には繊維3Aが植毛されない。次に、第二回目のフロック加工として、目印となる領域、つまり、繊維3Aが植毛されていない領域に接着剤を塗布する。そして、第一回目のフロック加工とは異なる色の繊維3Bを、フロック加工により軸体2に植毛する。すると、図15に示すように、目印Cとなる領域のみに繊維3Bが植毛される。これにより、目印Cとならない領域と目印Cとなる領域とで、互いに色の異なる繊維3Aと繊維3Bとが植毛された状態となるため、繊維3Bが目印Cとなる。なお、繊維3に目印Cを付す方法は、上記の方法に限定されるものではなく、他の方法を採用してもよい。なお、目印Cを軸体2に付すか、又は繊維3に付すことにより、軸体2の外面を凹凸形状とする必要なく、目印を付すことができる。
また、直腸便の採取において、直腸に対する綿棒1の挿入を適切な挿入長さとするために、軸部5に目印を付してもよい。例えば、図16に示す綿棒1Gでは、軸部5に鍔状の目印Dが付されている。目印Dは、綿棒1の挿入長さを示す目印である。このように、鍔状の目印Dを付すことで、物理的に綿棒1の直腸への挿入長さを規制することができる。また、図17に示す綿棒1Hでは、軸部5に彩色した目印Dが付されている。このように、彩色した目印Dを付すことで、目視により直腸への挿入量を調整することができる。しかも、彩色した目印Dを付す場合は、軸部5の形状は変わらないため、製造コストの上昇を抑制することができる。
[第二実施形態]
第二実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、採取部4に付される目印Cが、採取部4の外周面に形成された不植毛部である点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
第二実施形態は、基本的に第一実施形態と同様であり、採取部4に付される目印Cが、採取部4の外周面に形成された不植毛部である点のみ、第一実施形態と相違する。このため、以下では、第一実施形態と相違する事項のみを説明し、第一実施形態と同様の事項の説明を省略する。
図18及び図19に示すように、本実施形態の綿棒1Jでは、採取部4に付される目印Eが、採取部4の外周面に形成された不植毛部である。不植毛部は、採取部4の軸体2に繊維3が植毛されていない部分である。目印Eは、採取部4の外形により第一領域Aと第二領域Bとの境界を識別するものである。
具体的に説明すると、目印Eでは、繊維3が植毛されておらず、繊維3の高さ分だけ採取部4の外周面が凹んでいる。このように凹んだ不植毛部が、目印Eとなる。従って、軸体に多数の繊維が植毛された綿棒において、圧縮成型などの成型により溝を形成できない綿棒であっても、目印を付すことが可能である。また、目印Eは、採取部4の軸体2の外周面を凹凸形状とする必要なく、付すことができる。そして、目印Eでは採取部4の軸体2に繊維3が植毛されていないため、第一領域Aの繊維3と第二領域Bの繊維3とは、目印Eにより分断されるため、互いに採取された糞便の行き来が抑制される。すなわち、第一領域Aで採取された糞便が第二領域Bに移動するのを抑制することができる。これにより、採取量のバラツキを更に低減することができる。特に、毛細管現象により浸透する液状試料、例えば水様便において、優位な効果を有する。
目印Eは、第一領域Aと第二領域Bとの境界線上に付されている。目印Eは、採取部4の周方向において全周に付されている。軸体2の軸方向における目印Eの幅は、特に限定されるものではなく、使用者が視認可能な範囲で、適宜決定することができる。
なお、目印Eは、例えば、目印Eとなる領域に接着剤を塗布せずにフロック加工を行うことにより、採取部4に付すことができる。
このように、本実施形態の綿棒1Jでも、目印Eは糞便の定量採取のための目印として機能し、この目印Eを頼りに糞便を採取することで、採取量のバラツキを低減して、適切量の糞便を採取することができる。
そして、本実施形態の綿棒1Jでは、綿棒1Jの外周面に形成された凹部である不植毛部を目印Eとするため、軸体2に多数の繊維3が植毛された綿棒1Jにおいて、綿棒1Jの外周面に目印Eを形成することができる。さらに、採取部4の軸体2の目印E部分に繊維3が植毛されていないため、液状の試料であっても第一領域Aで採取された糞便が第二領域Bに毛細管現象により移動するのを抑制することができる。これにより、採取量のバラツキを更に低減することができる。
また、目印Eである不植毛部が第一領域Aと第二領域Bとの境界線上に形成されているため、第一領域Aと第二領域Bとの境界を的確に視認することができる。
なお、第二実施形態の綿棒1Jは、適宜変更することができる。
[第三実施形態]
図20及び図21に示すように、本実施形態の綿棒1Kは、第一実施形態の綿棒1と、綿棒1を密封する容器6と、を備える。綿棒1は、減菌された状態で容器6に密封されていてもよい。容器6は、一方の端部に開口を有する細長い容器部7と、容器部7の開口を塞ぐ蓋部8と、を備える。綿棒1は、蓋部8に固定されており、蓋部8から延びている。綿棒1を容器部7内に挿入して蓋部8を容器部7に締めることで、綿棒1が容器6に密封される。なお、綿棒1の蓋部8側を綿棒1の基端側といい、綿棒1の蓋部8とは反対側を綿棒1の先端側という。抽出液または展開液が、容器6内に注入されていてもよい。
図20及び図21に示すように、本実施形態の綿棒1Kは、第一実施形態の綿棒1と、綿棒1を密封する容器6と、を備える。綿棒1は、減菌された状態で容器6に密封されていてもよい。容器6は、一方の端部に開口を有する細長い容器部7と、容器部7の開口を塞ぐ蓋部8と、を備える。綿棒1は、蓋部8に固定されており、蓋部8から延びている。綿棒1を容器部7内に挿入して蓋部8を容器部7に締めることで、綿棒1が容器6に密封される。なお、綿棒1の蓋部8側を綿棒1の基端側といい、綿棒1の蓋部8とは反対側を綿棒1の先端側という。抽出液または展開液が、容器6内に注入されていてもよい。
なお、第三実施形態の綿棒1Kは、適宜変更することができる。例えば、容器に密封される綿棒として、第一実施形態及び第二実施形態に記載した何れの綿棒を用いてもよい。
[第四実施形態]
本実施形態の検査キットは、第三実施形態の綿棒1Kと、綿棒1Kの綿棒1で採取された生体試料(糞便)から被検出物を検出する測定デバイス10と、を備える。この検査キットは、必要に応じて綿棒1で採取した生体試料(糞便)を懸濁させる抽出液または展開液を備えてもよい。抽出液または展開液は、容器6内に注入されていてもよく、別の容器に注入されていてもよい。検査キットに含まれる綿棒1は、減菌された状態で容器6に密封されていてもよい。
本実施形態の検査キットは、第三実施形態の綿棒1Kと、綿棒1Kの綿棒1で採取された生体試料(糞便)から被検出物を検出する測定デバイス10と、を備える。この検査キットは、必要に応じて綿棒1で採取した生体試料(糞便)を懸濁させる抽出液または展開液を備えてもよい。抽出液または展開液は、容器6内に注入されていてもよく、別の容器に注入されていてもよい。検査キットに含まれる綿棒1は、減菌された状態で容器6に密封されていてもよい。
本実施形態において、測定デバイス10は、イムノクロマトグラフィー法により、生体試料である糞便から被検出物を検出するテストストリップである。図22に示すように、測定デバイス10は、プラスチック粘着シート11上に、メンブレン12、サンプルパッド13、コンジュゲートパッド14、及び吸収パッド15が積層されている。メンブレン12は、プラスチック粘着シート11に貼り付けられている。メンブレン12の一方端部には、コンジュゲートパッド14及びサンプルパッド13がこの順で積層されている。メンブレン12の他方端部には、吸収パッド15が積層されている。
以下、検査キットの各構成要素について、詳細に説明する。
メンブレン12は、イムノクロマトグラフィーのクロマトグラフ媒体(固定相)として機能する多孔質体からなる不溶性担体である。メンブレン12の構成材料である多孔質体としては、例えば、ニトロセルロース膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布などの多孔質シートが挙げられ、特にニトロセルロース膜が好ましく用いられる。
テストライン16は、メンブレン12におけるコンジュゲートパッド14より下流側に位置しており、被検出物と特異的に結合する物質(抗体又は抗原など)が固定されていることで、検出部として機能する。被検出物が抗原性を有する物質である場合、被検出物を特異的に認識する抗被検出物抗体(テストライン抗体)を用いて免疫学的測定法を実施することができる。この場合、抗体の具体的な形態について特に制限はないが、例えば、その被検出物によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分から得られるポリクローナル抗体、その分析対象物によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、または、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、またはFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、公知の方法により行うことができる。
なお、実施する免疫学的測定法は、特に限定されないが、サンドイッチ型免疫学的測定法、特に、モノクローナル抗体−抗原−モノクローナル抗体複合体を形成するサンドイッチ型免疫学的測定法が好ましい。また、被検出物が抗体(すなわち、特定の抗原に対する免疫グロブリン分子)である場合には、当該抗体が特異的に認識する物質(抗原)または免疫グロブリン分子に対する抗体を用いて免疫学的測定法を実施することができる。さらに、被検出物が糖である場合には、糖に対する抗体のほか、レクチンタンパク質などを用いて免疫学的測定法を実施することができる。
コンジュゲートパッド14は、標識試薬が溶出可能に保持された標識試薬保持部として機能する。コンジュゲートパッド14の構成材料としては、例えば、セルロースろ紙、ガラス繊維、および不織布などが挙げられ、好ましくはガラス繊維が用いられる。
コンジュゲートパッド14によって保持される標識試薬は、被検出物と特異的に結合する物質と、適当な標識体との結合体である。「被検出物と特異的に結合する物質」としては、被検出物が抗体である場合には、当該抗体が特異的に認識する物質(抗原)または免疫グロブリン分子に対する抗体が用いられ、被検出物が抗原性を有する物質である場合には、被検出物を特異的に認識する抗被検出物抗体が用いられ、テストライン抗体と同じ抗体を用いてもよい。「標識体」としては、着色粒子が好ましく、例えば、金、銀、白金または銅などの金属粒子または金属コロイド、酸化鉄などの金属酸化物粒子または金属酸化物コロイド、セレン、テルル、硫黄などの非金属粒子、あるいは、色素などを含む着色ラテックス粒子などが挙げられる。
サンプルパッド13は、試料供給部として機能するが、試料中の不溶物粒子などをろ過する機能をも兼ねることができる。サンプルパッド13の構成材料としては、例えば、セルロースろ紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、および綿布などの材料が挙げられる。
コントロールライン17を必要に応じて用いても良い。コントロールライン17は、メンブレン12におけるテストライン16より下流側に位置しており、標識試薬と特異的に結合する物質(例えば、抗体(コントロールライン抗体)など)が固定されていることで、コントロール部として機能する。
吸収パッド15は、滴下された試料、抽出液、又は展開液がクロマトグラフ媒体を移動することにより吸収されるとともに、検出部に結合しない未反応標識物質などを吸収除去する機能を有する部材である。吸収パッド15の構成材料について特に制限はなく、例えば、セルロースろ紙、不織布、布、またはセルロースアセテートなどの吸水性材料が用いられる。
なお、これらの部材は、毛細管現象により試料が移動できればよく、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、メンブレン、および吸収パッドなどを基材に貼り付けても、単一の多孔性部材シートとしてもよい。
イムノクロマトグラフィー用キットが使用される際、例えば抽出液を用いる場合には、採便容器やマイクロチューブなどの容器中で糞便試料を抽出液と混合し、得られた懸濁液をろ過フィルターに通過させることでろ過処理物の形態の試料を得る。
抽出液ではなく展開液を用いる場合には、例えば、サンプルパッド13上に重ねたろ過フィルター上に糞便試料を載置した状態で、試料に展開液を滴下するようにしてもよい。
抽出液および展開液は、同一の組成の溶液が抽出液および展開液の双方として機能しうる。抽出液および展開液は、緩衝剤および溶媒(通常は、水)からなる緩衝液を含む。
また、試料容器やマイクロチューブなどにろ過フィルターを用いてもよい。ろ過フィルターを用いることで、試料を含む抽出液をろ過して、検査の妨げとなる固形分(夾雑物)をろ過により除去することができる。なお、ろ過フィルターの構成材料は、被検出物に対して不活性のものであれば特に限定されず、例えば、モルトフィルター、ろ紙、樹脂焼結フィルターなどの多孔性物質、ガラス繊維、脱脂綿などの繊維性物質などが挙げられる。
そして、この検査キットを用いて糞便から被検出物を検出する際は、まず、綿棒1で糞便を採取する。次に、綿棒1を抽出液を含む容器に浸けることで、綿棒1で採取した糞便を抽出液に懸濁させる。次に、この懸濁液をろ過フィルターを通して測定デバイス10のサンプルパッド13に滴下する。すると、サンプルパッド13に滴下された懸濁液は、コンジュゲートパッド14を通ってメンブレン12に供給される。このとき、懸濁液中に被検出物が含まれている場合は、被検出物は、コンジュゲートパッド14に保持されている被検出物と結合する物質と標識体の結合体(標識試薬)と結合する。続いて、懸濁液及び標識試薬と結合した被検出物は、毛細管現象によりメンブレン12中を移動し、メンブレン12に配置されたテストライン16に到達すると、抗原−抗体反応により、固定されたテストライン抗体に被検出物が捕捉されることで、標識試薬−被検出物−テストライン抗体のサンドイッチ複合体が形成され、呈色する。このため、呈色を視認することで、糞便に被検出物が含まれているか否かを判定することができる。さらに、抗原−抗体反応に関与しなかった標識試薬がコントロールライン17まで移動すると、コントロールライン抗体に標識試薬が捕捉されて呈色することで、懸濁液が適切に流れているかを確認することができる。続いて、懸濁液が吸収パッド15まで移動して、吸収パッド15に吸収される。
このように、本実施形態の検査キットでは、第一実施形態の綿棒1を備えるため、糞便の吸収性及び放出性に優れる綿棒1により、採取量のバラツキを低減し、適切量の糞便を採取することができ、被検出物の正確な検出が可能となる。
また、イムノクロマトグラフィー法を利用することで、被検出物が検出されたか否かを簡便に判定することができる。判定は目視による判定が最も簡便であるが、イムノクロマトリーダーを用いることにより定量的に判定することも可能である。
なお、第四実施形態の検査キットは、適宜変更することができる。例えば、検査キットの綿棒としては、第一実施形態及び第二実施形態に記載した何れの綿棒を用いてもよい。
さらに、イムノクロマトグラフィー用キットは、試料をろ過するためのろ過フィルター、および当該試料の抽出液または展開液を備えていてもよい。イムノクロマトグラフィー用キットは、必要に応じてその他の構成要素(例えば、使用説明書、検体抽出用容器など)をさらに備えていてもよい。また、テストストリップは、図示しないプラスチック製の専用ハウジング(試料供給開口部および検出窓部を有する)に格納・搭載し、イムノクロマトグラフィーテストデバイスの形態とされていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、綿棒が採取する生体試料は糞便であるものとして説明したが、綿棒が採取するのは、血液等の生体試料であってもよい。この場合、検査キットの測定デバイスは、血液等の生体試料中の被検出物を検出する。また、上記実施形態では、イムノクロマトグラフィー法を用いる測定デバイスを説明したが、測定デバイスの用途は限定されるものではなく、例えば、イムノクロマトグラフィー法以外の免疫学的測定法を用いる測定デバイスとしてもよい。
実施例1では、本実施形態の綿棒を用いて糞便の採取を行った。本試験において用いた綿棒は、図18に示す形状を有する、ポリスチレンの軸体の採取部にポリエステル繊維をフロック加工した綿棒である。採取部は、最大直径5.6mm、軸部側の最小直径2.5mm、長手方向の長さ17mmであった。また、固形便20〜50mg、水様便20〜50mgを採取できるよう目印を先端から5mmに設けた。そして、目視で先端側から目印までの領域全体で排泄便を採取した。比較例1では、実施例1と同様にフロック加工したが、目印を付していない綿棒を用いて、目視で先端側から5mmまでの領域全体で排泄便を採取した。比較例2では、最大直径2.6mm、軸部側の最小直径1.5mm、長手方向の長さ13.5mmの略円柱形状の綿体部を有する綿球綿棒を用いて、綿体部全体領域で排泄便の採取を行った。排泄便は、固形便として、硬質便〜普通便96検体、普通便〜軟便16検体、軟便25検体、および軟便〜下痢便21検体、並びに水様便として、液状便7検体であった。この結果、図23に示すように、本実施形態の綿棒では、採取量の平均値(mg)、標準偏差S.D.値(mg)およびC.V.値(%)において良好な結果が得られた。
実施例2では、本実施形態の綿棒を用いて糞便の採取を行った。本試験において用いた綿棒は、図1に示す形状を有する、ポリスチレンの軸体の採取部にポリエステル繊維をフロック加工した綿棒である。採取部は、最大直径5.6mm、軸部側の最小直径2.5mm、長手方向の長さ17mmであった。また、固形便20〜50mg、水様便20〜50mgを採取できるよう目印を先端から5mmに設けた。そして、目視で先端側から目印までの領域全体で排泄便を採取した。比較例3では、比較例1と同様に、目印を付していないフロック加工の綿棒を用いて、目視で先端側から5mmまでの領域全体で排泄便を採取した。実施例2および比較例3では、性状の異なる5種の排泄便(硬質便〜普通便、普通便〜軟便、軟便、軟便〜下痢便、液状便)から10検体ずつ採取した。この結果、図24に示すように、本実施形態の綿棒では、採取量の平均値(mg)、標準偏差S.D.値(mg)およびC.V.値(%)において良好な結果が得られた。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K…綿棒、2…軸体、3,3A,3B…繊維、4…採取部、5…軸部、6…容器、7…容器部、8…蓋部、10…測定デバイス、11…プラスチック粘着シート、12…メンブレン、13…サンプルパッド、14…コンジュゲートパッド、15…吸収パッド、16…テストライン、17…コントロールライン、A…第一領域、B,B1,B2…第二領域、C,C1,E…目印、D…挿入長さを示す目印、Z…糞便。
Claims (16)
- 軸体の端部に糞便を採取するための多数の繊維が植毛された採便用の綿棒であって、
前記繊維が植毛されてなる採取部と、
前記採取部から延びる軸部と、を備え、
前記採取部は、少なくとも第一領域及び第二領域と、前記第一領域と前記第二領域とを識別するための目印とを有し、
前記第二領域は、前記第一領域に対して前記軸部側に位置する、
綿棒。 - 前記目印は、着色されてなる、
請求項1に記載の綿棒。 - 前記目印は、前記軸体に付されている、
請求項2に記載の綿棒。 - 前記目印は、前記第一領域と前記第二領域との境界線上に付されている、
請求項2又は3に記載の綿棒。 - 前記目印は、前記採取部の周方向において一部または全周に付されている、
請求項2〜4の何れか一項に記載の綿棒。 - 前記目印は、前記第一領域および前記第二領域の少なくとも一方に付されて、前記第一領域と前記第二領域とに互いに異なる色または模様を形成する、
請求項2又は3に記載の綿棒。 - 前記目印は、前記採取部の前記軸体に前記繊維が植毛されていないことで形成される、
請求項1に記載の綿棒。 - 前記目印は、前記第一領域と前記第二領域との境界線上に形成されている、
請求項7に記載の綿棒。 - 請求項1〜8の何れか一項に記載された綿棒と、
前記綿棒で採取された糞便から被検出物を検出する測定デバイスと、を備える検査キット。 - テストストリップと、採便用の綿棒とを含む検査キットであって、
前記テストストリップは、
試料供給部と、
前記試料供給部の下流側に位置するクロマトグラフ媒体と、
前記クロマトグラフ媒体の一部に位置する、標識試薬が溶出可能に保持された標識試薬保持部と、
前記クロマトグラフ媒体の一部であって前記標識試薬保持部より下流側に位置する、被検出物と結合する抗原又は抗体を含む検出部と、
を有し、
前記綿棒は、
軸体の端部に糞便を採取するための多数の繊維が植毛された採便用の綿棒であって、
前記繊維が植毛されてなる採取部と、
前記採取部から延びる軸部と、を備え、
前記採取部は、少なくとも第一領域及び第二領域と、前記第一領域と前記第二領域とを識別するための目印とを有し、
前記第二領域は、前記第一領域に対して前記軸部側に位置する、
検査キット。 - 前記目印は、着色されてなる、
請求項10に記載の検査キット。 - 前記目印は、前記軸体に付されている、
請求項11に記載の検査キット。 - 前記目印は、前記採取部の前記軸体に前記繊維が植毛されていないことで形成される、
請求項10に記載の検査キット。 - 軸体の端部に生体試料を採取するための多数の繊維が植毛された生体試料採取用綿棒であって、
前記繊維が植毛されてなる採取部と、
前記採取部から延びる軸部と、を備え、
前記採取部は、少なくとも第一領域及び第二領域と、前記第一領域と前記第二領域とを識別して、前記生体試料を定量採取するための目印とを有し、
前記第二領域は、前記第一領域に対して前記軸部側に位置する、
綿棒。 - 前記目印は、軸体に付されて着色されてなる、
請求項14に記載の綿棒。 - 前記目印は、前記採取部の前記軸体に前記繊維が植毛されていないことで形成される、
請求項14に記載の綿棒。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022075481A (ja) * | 2020-11-06 | 2022-05-18 | ミョンギュ チェー, | 生物学的な液体サンプルの収集、搬送のための検体採取器及び検体採取器の製造方法 |
JP2023522486A (ja) * | 2019-06-12 | 2023-05-30 | ジンツールズ・リミテッド | アッセイ装置およびそのための手持ち式試料収集用具 |
-
2018
- 2018-03-15 JP JP2018047821A patent/JP2018161469A/ja active Pending
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