JP2018159635A - タグ位置推定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】タグ位置推定を精度良く可能にする。【解決手段】タグ位置推定装置は、検出対象空間内に存在する複数のRFタグに一括給電し、送受信アンテナにより受信される応答波に基づいて、複数のRFタグからのタグ情報を読み取ると共に、受信信号強度を検出するタグリーダと;送受信アンテナ及びタグリーダにより個別給電を受ける受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグからの応答波をそれぞれ受信する複数の受信専用アンテナと;タグリーダからタグ情報及び受信信号強度に関する情報を受信し、受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグに対応するタグ情報及びその個数を検出し、特定のRFタグからの応答波が複数の受信専用アンテナによりそれぞれ受信された到達時間差を相互相関関数により求め、求めた到達時間差と複数の受信専用アンテナの座標とに基づいて、検出個数分のタグ情報に対応する特定のRFタグの存在位置を推定する制御器を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、タグ位置推定システムに関し、詳細には、タグ位置推定装置、タグ位置推定方法及びタグ位置推定プログラムに関する。
近年、RFID(Radio Frequency Identification)という個体識別技術が注目され、貴重品、薬品、食品など種々の物品の管理に適用されている。
RFIDは、固有の識別情報を埋め込んだRFタグ(RFIDタグと記載することもある)と非接触に電波や電磁界などを用いた近距離無線通信によって情報を送受信する技術である。RFタグは、小さなワンチップの集積回路(IC)で実現できるようになった最近では、ICタグ(ゴマ粒チップ)とも称される。
このようなRFID技術を利用し、RFタグの存在位置(座標)を検出する技術が数々提案されている。
例えば、特許文献1に開示されているRFIDタグ位置検出装置においては、RFIDタグへ信号を送信する送信アンテナと、同一平面上に配置され、RFIDタグからの応答信号を受信する4つの受信アンテナと、各受信アンテナが受信した応答信号に応じて出力する信号の時間差を計測し、計測した各時間差に基づいてRFIDタグの相対座標を演算する計測部とを備え、4つの受信アンテナを頂点とする四角形としたとき、向かい合った角の和が180度にならないで、かつ2つの対角線の中心が同じ点とならないように、4つの受信アンテナを配置する構成を採ることにより、迅速にRFIDタグの位置を検出することを可能にしている。
このRFIDタグ位置検出装置においては、計測部は、4つの受信アンテナ及び4つの復調部にそれぞれ接続された4つの増幅部から入力された信号の時間差をTDC(Time to Digital Converter)により検出し、それぞれの時間差(到達時間差)と4つの受信アンテナの既知座標とに基づいて、バックスキャッタ信号を返したRFIDタグの座標を算出している。
また、例えば、特許文献2に開示されている無線機(RFIDタグ)の位置検出を行う位置測位装置は、RFID受信機(RFIDリーダ)により構成され、対象空間内に配置された複数のRFIDタグから送信された識別子を含む識別信号を受信し、特定のRFIDタグからの受信データの時系列データ、例えば測位対象物に付加されたRFIDタグからの受信データの時系列データと、測位対象物以外(目印物体)のRFIDタグからの受信データの時系列データとの変動の類似性に基づいて、測位対象物の位置を測位することにより、測定精度を改善可能にしている。
この位置測位装置は類似性を表す値として、類似度としてのD値を用いている。ここでは、測位対象物の識別子の受信電界強度などの時系列データと、各目印物体の識別子の受信電界強度などの時系列データとの相互相関関数を計算し、その結果をD値とする計算方法を採っている。この位置測位装置の利用においては、ユーザは、位置測位装置を携帯し、対象空間内を移動しながらRFIDタグからの受信データを記録する必要がある。
特許第5,581,190号公報 特許第4,498,882号公報
上述したような提案技術の存在を勘案すると、人手を伴うことなく、更に精度良く、RFタグの存在位置を検出可能にすることが要求される。
本発明の課題は、検出対象空間内に存在する複数のRFタグの位置(座標)を更に精度良く推定可能にする技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の一態様のタグ位置推定装置は、検出対象空間内に存在する複数のRFタグに一括給電し、送受信アンテナにより受信される応答波に基づいて、前記複数のRFタグからのタグ情報を読み取ると共に、受信信号強度を検出するタグリーダと;前記検出対象空間に対応して配置され、前記送受信アンテナ及び前記タグリーダにより個別給電を受ける前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグからの応答波をそれぞれ受信する複数の受信専用アンテナと;前記タグリーダからタグ情報及び受信信号強度に関する情報を受信し、前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の前記特定のRFタグに対応するタグ情報及びその個数を検出し、前記特定のRFタグからの前記応答波が前記複数の受信専用アンテナによりそれぞれ受信された到達時間差を相互相関関数により求め、求めた到達時間差と前記複数の受信専用アンテナの座標とに基づいて、検出個数分のタグ情報に対応する前記特定のRFタグの存在位置を推定する制御器とを備える。
この態様において、前記送受信アンテナ及び前記タグリーダにより個別給電を受ける前記特定のRFタグからの応答波が前記複数の受信専用アンテナに到達した場合、前記到達時間差を求めるための応答信号を生成する応答波受信機を更に備える。
この態様において、前記送受信アンテナ及び前記タグリーダはそれぞれ1個設けられ、前記受信専用アンテナは少なくとも4個設けられ、前記1個の送受信アンテナ及び前記少なくとも4個の受信専用アンテナは限定範囲の1つの検出対象空間の周辺に対応して配置される。
この態様において、前記複数の受信専用アンテナの内の少なくとも1個の受信専用アンテナは、3次元座標内でのタグ位置推定のために、他の受信専用アンテナと同一直線上を含む同一平面上に配置せず、高さ方向にもパラメータを有するように配置される。
この態様において、前記送受信アンテナから前記検出対象空間に放射される電波は、UHF帯の特定電波である。また、前記制御器は、前記タグリーダから受信したタグ情報及び受信信号強度に関する情報を対応付けて記憶部に格納すると共に、前記検出個数分のタグ情報に対応する前記特定のRFタグの存在位置をタグ座標として対応付けて前記記憶部に格納する。
本発明の他の態様のタグ位置推定方法は、タグリーダにより、検出対象空間内に存在する複数のRFタグに一括給電し、送受信アンテナにより受信される応答波に基づいて、前記複数のRFタグからのタグ情報を読み取ると共に、受信信号強度を検出し;前記検出対象空間に対応して配置される複数の受信専用アンテナにより、前記送受信アンテナ及び前記タグリーダにより個別給電を受ける前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグからの応答波をそれぞれ受信し;制御器により、前記タグリーダからタグ情報及び受信信号強度に関する情報を受信し、前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の前記特定のRFタグに対応するタグ情報及びその個数を検出し、前記特定のRFタグからの前記応答波が前記複数の受信専用アンテナによりそれぞれ受信された到達時間差を相互相関関数により求め、求めた到達時間差と前記複数の受信専用アンテナの座標とに基づいて、検出個数分のタグ情報に対応する前記特定のRFタグの存在位置を推定する。
本発明の別の態様のタグ位置推定プログラムは、タグリーダにより、検出対象空間内に存在する複数のRFタグに一括給電し、送受信アンテナにより受信される応答波に基づいて、前記複数のRFタグからのタグ情報を読み取ると共に、受信信号強度を検出し;前記検出対象空間に対応して配置される複数の受信専用アンテナにより、前記送受信アンテナ及び前記タグリーダにより個別給電を受ける前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグからの応答波をそれぞれ受信し;制御器により、前記タグリーダからタグ情報及び受信信号強度に関する情報を受信し、前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の前記特定のRFタグに対応するタグ情報及びその個数を検出し、前記特定のRFタグからの前記応答波が前記複数の受信専用アンテナによりそれぞれ受信された到達時間差を相互相関関数により求め、求めた到達時間差と前記複数の受信専用アンテナの座標とに基づいて、検出個数分のタグ情報に対応する前記特定のRFタグの存在位置を推定する処理をプロセッサに実行させる。
開示した技術によれば、検出対象空間内に存在する複数のRFタグの座標を人手を伴うことなく効率的に、かつ精度良く推定することができる。
他の課題、特徴及び利点は、図面及び特許請求の範囲とともに取り上げられる際に、以下に記載される発明を実施するための形態を読むことにより明らかになるであろう。
一実施の形態のタグ位置推定装置の構成を示すブロック図。 一実施の形態のタグ位置推定装置における複数の受信専用アンテナの配置を説明するための図。 一実施の形態のタグ位置推定処理を説明するための図。 一実施の形態のタグ位置推定装置におけるタグ情報テーブルを説明するための図。 一実施の形態のタグ位置推定処理における相互相関関数の利用を説明するための図。 一実施の形態のタグ位置推定処理において2つの受信専用アンテナから求められるタグ位置の導出について説明するための図。
以下、添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
[タグ位置推定装置]
一実施の形態における装置構成を示す図1を参照すると、タグ位置推定システムとして機能するタグ位置推定装置1は、タグリーダ11、送受信アンテナ12、複数の受信専用アンテナ13、応答波受信機14、及び制御器15を備える。
このタグ位置推定装置1においては、タグリーダ11及び送受信アンテナ12は、それぞれ1個設けられ、ここでは、平面アンテナである送受信アンテナ12がタグリーダ11の外部配置の分離型であるが、一体型であってもよい。また、受信専用アンテナ13は、複数個(少なくとも4個)設けられ、平面アンテナである。
1個の送受信アンテナ12及び4個の受信専用アンテナ13は1つの検出対象空間2の周辺に対応して配置される。検出対象空間2は、例えば、RFタグ付きの物品が平面配置または積層配置の状態で収容されるキャビネット、店舗、倉庫などの限定範囲の内部空間である。
物品に付加されて(埋め込まれて)検出対象空間2内に存在するRFタグ(限定を要しないときは、単にタグと記載することもある)3は、パッシブタグであり、タグリーダ11及び送受信アンテナ12からの電波をエネルギー源として恒久的に動作し、電池を内蔵する必要がない。RFタグ3の内蔵アンテナはタグリーダ11に接続された送受信アンテナ12からの電波の一部を反射し、固有の識別情報であるタグ情報は反射波(応答波)に乗せてタグリーダ11に返される。
このような電波方式を採るタグリーダ11は、比較的強めの電波を供給し、RFタグ3からの微弱な応答波を受信して解読することになる。タグリーダ11はアンチコリジョン(複数一括読取衝突防止)方式によりタグ情報を読み取る。また、タグリーダ11がタグ情報を読み取るための電波は、例えば、日本国内のパッシブタグについては、916.0MHz〜923.4MHzである。
ここで、タグ情報を読み取るために920MHz帯の電波を選定した理由は次のとおりである。つまり、HF帯電波の利用では、電磁誘導結合方式による読み取りのため、金属により磁界が遮られることを免れない。また、2.45GHz電波の利用では、電波の直進性が高いため、物品の陰になるような物品配置ができない制約が発生し、利用が困難である。
更に詳述すると、このタグ位置推定装置1においては、タグリーダ11は、内蔵制御部などの機能により、検出対象空間2内に存在する複数のRFタグ3に一括給電し、送受信アンテナ12により受信される複数のRFタグ3からの応答波に含まれているタグ情報をそれぞれ読み取る。このタグ情報は、C1G2(EPCglobal Class1 Generation2)規格のEPC(Electronic Product Code)コード対応のタグIDである。
また、タグリーダ11は、内蔵制御部などの機能により、送受信アンテナ12により受信される複数のRFタグ3からの応答波に基づいて、受信信号強度(RSSI:Receive Signal Strength Indicator)を検出する。
そして、タグリーダ11は、読み取ったタグ情報及び検出した受信信号強度に関する情報を制御器15に送出する。
1つの検出対象空間2の周辺に対応して配置される4個の受信専用アンテナ13は、複数のRFタグ3からの応答波を受信する。各受信専用アンテナ13は、検出対象空間2に対して指向させ、応答波の受信範囲を広げるために広い半値幅(半値角)のものを使用する。
4個の受信専用アンテナ13は、高さ方向を含む3次元空間(3次元座標X,Y,Z)内でのタグ位置検出に適用される場合、4個の内の1個は、高さ方向の検出を行うために、他のアンテナと同一直線上を含む同一平面上に配置せず、高さ方向にもパラメータを有するように配置する(図2参照)。
予め所定の位置に配置された4個の受信専用アンテナ13の座標(x,y,z)は、例えば、検出対象空間2の予め定められた基準位置に基づいて求めることができる。4個の受信専用アンテナ13の座標に関する情報は、後に詳述するタグ位置推定処理前に制御器15の記憶部に予め格納しておく。
応答波受信機14は、タグリーダ11及び送受信アンテナ12により個別給電を受けた特定のRFタグ3からの応答波が4個の受信専用アンテナ13に到達した場合、到達時間差(TDOA:Time Difference of Arrival)を求めるための応答信号を生成して制御器15に送出する。
この応答波受信機14は、フィルタ141、増幅器142、検波器143、及びアナログ/デジタル(A/D)変換器144などを含む。
フィルタ141は、4個の受信専用アンテナ13でそれぞれ受信されたRFタグ3からの応答波を含む高周波信号(無線周波数信号)について、不要な高周波信号を除去(減衰)し、応答波の周波数帯域(例えば、920MHz帯)の電波に対応する高周波信号を出力するためのBPF(Band Pass Filter)である。
増幅器142は、フィルタ141を通過した応答波の周波数帯域の電波に対応する高周波信号の強度を増幅させた後、後段の検波器143に出力する。
検波器143は、増幅器142から入力された応答波の周波数帯域の電波に対応する高周波信号を検波(復調)し、ベースバンドの電圧信号に変換した後、後段のA/D変換器144に出力する。
A/D変換器144は、検波器143から入力されたベースバンドの電圧信号に応じたデジタル信号を生成して制御器15に出力する。このA/D変換器144から制御器15に出力される複数ビットのデジタル信号は、後に詳述する到達時間差を求めるために利用される。
制御器15は、プロセッサ151及び記憶部152などを含み、タグ位置推定装置1の動作を統括制御する。なお、制御器15は上位機器として個別配置されるパーソナルコンピュータなどで実現してもよい。
制御器15は、タグリーダ11から受信したタグ情報及び受信信号強度に関する情報を対応付けて記憶部152に格納する。この制御器15は、格納されている受信信号強度に関する情報に基づいて、受信信号強度が予め定めた閾値以上のRFタグ3に対応するタグ情報及びその個数を検出し、RFタグ3の存在位置(座標)を推定するための処理に利用する。
また、制御器15は、RFタグ3からの応答波(厳密には、応答波を含む無線周波数信号)が4個の受信専用アンテナ13によりそれぞれ受信された到達時間差と、4個の受信専用アンテナ13の座標とに基づいて、RFタグ3の存在位置(座標)を推定する。ここで重要な一要素は、後に詳述するように、制御器15は信号間の類似性を評価するための相互相関関数を用いて、応答波の到達時間差(最大到達時間差)を求めることである。
上述したタグ位置推定装置1は、商用AC電源のコンセントから得た交流電力を直流電力に変換出力するACアダプタ(厳密には、AC−DCアダプタ)などを含む電源接続部を備えているが、図示を省略している。
[タグ位置推定処理]
次に、上述したタグ位置推定装置1におけるタグ位置推定処理について、図1及び関連図を併せ参照して説明する。
タグ位置推定装置1においては、電源投入または利用者(ユーザ)による指示を契機に、制御器15の記憶部152に格納されているタグ位置推定プログラムが制御器15のプロセッサ151によって起動されることにより、制御器15がタグリーダ11、送受信アンテナ12、4個の受信専用アンテナ13、及び応答波受信機14と連携動作することにより、タグ位置推定処理を遂行する。
[処理S11(図3参照)]制御器15はタグリーダ11にアンチコリジョン(複数一括読取衝突防止)方式による一括読取指令を送出する。
この処理S11に関連し、一括読取指令を受信したタグリーダ11は、送受信アンテナ12を介して、検出対象空間2にUHF帯の特定電波を放射する。タグリーダ11は、送受信アンテナ12を介して、検出対象空間2内に存在する複数のRFタグ3からの応答波(厳密には、応答波を含む無線周波数信号)を受信し、応答波に含まれているタグ情報をそれぞれ読み取る。
また、タグリーダ11は、受信した複数のRFタグ3からの応答波に基づいて、受信信号強度をそれぞれ検出する。そして、タグリーダ11は、読み取ったタグ情報及び検出した受信信号強度に関する情報を制御器15に送出する。
[処理S12]制御器15は、タグリーダ11から受信したタグ情報及び受信信号強度に関する情報を対応付けて記憶部152にテーブル形式(図4のタグ情報テーブル41参照)で格納する。
[処理S13]制御器15は、タグ情報テーブル41に格納されている受信信号強度に関する情報(例えば、SI01,SI02,SI03,SI04)に基づいて、受信信号強度が予め定めた閾値以上のRFタグ3に対応するタグ情報(例えば、ID31,ID32,ID33,ID34)及びその個数を検出する。タグ情報テーブル41においては、受信信号強度が予め定めた閾値以上のRFタグ3に対応するタグ情報には、特定フラグFが書き込まれる。
これにより、制御器15は、受信信号強度が著しく低いRFタグ3や、受信信号強度の強弱が不安定なRFタグ3をフィルタリングして、タグ位置推定の対象から予め除外すると共に、検出対象空間2内に存在するRFタグ3を予め判別(確認)することができる。この結果、検出対象空間2内に存在する複数のRFタグ3の座標を人手を伴うことなく効率的に、かつ精度良く推定することが可能になる。
[処理S14]制御器15は、タグ情報テーブル41を参照し、検出個数分のタグ情報の中から1つのタグ情報(タグID)を指定し、タグリーダ11に個別読取指令を送出する。
この処理S14に関連し、個別読取指令を受信したタグリーダ11は、送受信アンテナ12を介して、検出対象空間2にUHF帯の特定電波を放射する。この時、給電を受けた指定タグ情報対応のRFタグ3から応答があるので、4個の受信専用アンテナ13は応答波(厳密には、応答波を含む無線周波数信号)をそれぞれ受信する。
また、応答波受信機14は、4個の受信専用アンテナ13によりそれぞれ受信された応答波に基づいて、到達時間差を求めるための応答信号(複数ビットのデジタル信号)を生成し、制御器15に送出する。
[処理S15]制御器15は、応答波受信機14から受信した応答信号に基づいて、到達時間差を求める。
[処理S16]制御器15は、求めた到達時間差と、4個の受信専用アンテナ13の座標とに基づいて、連立方程式を解き、タグの座標を求める。
[処理S17]制御器15は、求めたタグの座標に関する情報を指定したタグ情報に対応付けてタグ情報テーブル41に格納する(図4参照)。
[処理S18]制御器15は、タグ情報テーブル41を参照し、検出個数分の全てのタグ情報について、タグの座標を求める処理を繰り返す。なお、制御器15は、必要に応じて、タグ情報テーブル41を参照し、検出個数分の全てのタグ情報について、タグの座標を可視表示するように制御してもよい。
上述した処理S15について詳述すると、制御器15は、信号間の類似性を評価するための相互相関関数を用いて、応答波の到達時間差(最大到達時間差)を求める。
2つの信号の類似性を評価するためには、4個の受信専用アンテナ13の内のある特定の受信専用アンテナ13を決定し、仮に受信専用アンテナ(1)を主とした場合、受信専用アンテナ(1)と受信専用アンテナ(2)とのペア、受信専用アンテナ(1)と受信専用アンテナ(3)とのペア、受信専用アンテナ(1)と受信専用アンテナ(4)とのペアについて、それぞれ比較する必要がある。
更に詳述すると、2つの受信専用アンテナ13で受信した応答波の到達時間差は、2つの信号がどの程度の相関を持っているかを評価する相互相関関数を算出することにより求められる。したがって、相互相関関数を用いて、信号間の相関が最大となる時間τを求める。
相互相関関数の利用においては、関数q(t)の時間をずらしながら、関数p(t)と関数q(t)との積を取り、2つの信号の時間変化の類似性を調べる。関数p(t)と関数q(t)とが似ているほど大きな値となるため、最も相関が大きい時間のずれτmaxが式1から応答波の到達時間差として求められる。式1において、Tは受信区間である。
また、相互相関関数の利用においては、2つの関数p(t)及び関数q(t)の時間tをずらしながら重ねていき、重なる面積が最も大きくなる、つまり相関が大きい時間差を求めることと考えてもよい(図5参照)。
上述した処理S16について詳述すると、制御器15は、到達時間差を導出した2つの受信専用アンテナ13のペアにおいて、到達時間差と各アンテナの配置位置の座標とに基づいて、各受信専用アンテナ13の配置位置を焦点とした双曲線上にRFタグ3が存在すると推定する。また、3次元空間(3次元座標X,Y,Z)におけるタグ位置を推定するためには、少なくとも3本の双曲線を導出することが必要となり、これを満たすためには、少なくとも4個の受信専用アンテナ13を用いて、3ペアの受信専用アンテナ13における到達時間差とアンテナ座標が必要となる。
更に詳述すると、2つの受信専用アンテナA,Bから求められるタグ位置Oの導出については、2つの受信専用アンテナA,Bが同一直線(同一平面)上にあるとき、タグ位置Oは、受信専用アンテナA,Bの座標を焦点とし場合、OA,OBが一定の距離にある双曲線上にあると考えられる(図6参照)。タグ位置Oに関して、受信専用アンテナA,Bの座標と応答波の到達時間差とにより、下記等式(式4)が導出される。
2次元平面(2次元座標X,Y)上におけるタグ位置Oについては、各点の座標をO(x,y)、A(0,a)、B(0,−a)とおくと、OA間の距離及びOB間の距離は、式2により求められる。
[式2]
OA=√(x+(a−y)
OB=√(x+(−a−y)
また、タグから送信された応答波を受信専用アンテナA,Bが受けるまでの時間をそれぞれt,tとすると、OA間の距離及びOB間の距離は、式3により求められる。式3において、cは光速度(3×10m/s)である。
[式3]
OA=ct
OB=ct
OA,OB間の距離差は、式2及び式3に基づいて、式4により表すことができる。
[式4]
|OB−OA|=c(t−t) (t>t
√(x+(−a−y))−√(x+(a−y))=c(t−t
ここで、t−tは受信専用アンテナA,Bが応答波を受けた時間差に相当する。
3次元空間(3次元座標X,Y,Z)でのタグ位置Oの導出については、タグの座標をO(x,y,z)、受信専用アンテナの各設置点をA(x,y,z)、B(x,y,z)、C(x,y,z)、D(x,y,z)、更にタグOから受信専用アンテナA,B,C,Dに応答波が到達するまでの時間をt,t,t,tとすると、OA間,OB間,OC間,OD間の距離は、式5によりそれぞれ求められる。式5において、cは光速度である。
[式5]
OA=√((x−x)+(y−y)+(z−z))=ct
OB=√((x−x)+(y−y)+(z−z))=ct
OC=√((x−x)+(y−y)+(z−z))=ct
OD=√((x−x)+(y−y)+(z−z))=ct
受信専用アンテナAと他の受信専用アンテナB,C,Dとの距離差は、式5に基づいて、式6により表すことができる。
[式6]
|OB−OA|=c(t−t)=cτba
|OC−OA|=c(t−t)=cτca
|OD−OA|=c(t−t)=cτda
各受信専用アンテナの座標と受信専用アンテナ間の到達時間差とから、x,y,zについて数値解析(numerical analysis)により連立方程式を解き、3本の双曲線の交点座標を求めて、タグの位置(座標)を推定する。式6において、τijは受信専用アンテナI,J間の到達時間差である。
[一実施の形態の効果]
上述した一実施の形態のタグ位置推定装置1は、検出対象空間2内に存在する複数のRFタグ3に一括給電し、送受信アンテナ12により受信される応答波に基づいて、複数のRFタグ3からのタグ情報を読み取ると共に、受信信号強度を検出するタグリーダ11と、検出対象空間2に対応して配置され、送受信アンテナ12及びタグリーダ11により個別給電を受ける受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグ3からの応答波をそれぞれ受信する複数の受信専用アンテナ13とを備える。また、このタグ位置推定装置1は、タグリーダ11からタグ情報及び受信信号強度に関する情報を受信し、受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグ3に対応するタグ情報及びその個数を検出し、特定のRFタグ3からの応答波が複数の受信専用アンテナ13によりそれぞれ受信された到達時間差を相互相関関数により求め、求めた到達時間差と複数の受信専用アンテナ13の座標とに基づいて、検出個数分のタグ情報に対応する特定のRFタグ3の存在位置を推定する制御器15を更に備える。制御器15は、一括給電を指示するための第1の指令の送出後に、個別給電を指示するための第2の指令を送出する。この構成を採るタグ位置推定装置1においては、検出対象空間2内に存在する複数のRFタグ3の座標を人手を伴うことなく効率的に、かつ精度良く推定することが可能になる。
[変形例]
上述した一実施の形態における処理はコンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD−ROMやフレキシブルディスクなどの非一時的コンピュータ可読記録媒体、さらには通信回線を経て提供可能である。
また、上述した一実施の形態における各処理はその任意の複数または全てを選択し組合せて実施することもできる。
1 タグ位置推定装置
2 検出対象空間
3 RFタグ
11 タグリーダ
12 送受信アンテナ
13 受信専用アンテナ
14 応答波受信機
141 フィルタ
142 増幅器
143 検波器
144 アナログ/デジタル(A/D)変換器
15 制御器
151 プロセッサ
152 記憶部
41 タグ情報テーブル

Claims (8)

  1. 検出対象空間内に存在する複数のRFタグに一括給電し、送受信アンテナにより受信される応答波に基づいて、前記複数のRFタグからのタグ情報を読み取ると共に、受信信号強度を検出するタグリーダと;
    前記検出対象空間に対応して配置され、前記送受信アンテナ及び前記タグリーダにより個別給電を受ける前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグからの応答波をそれぞれ受信する複数の受信専用アンテナと;
    前記タグリーダからタグ情報及び受信信号強度に関する情報を受信し、前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の前記特定のRFタグに対応するタグ情報及びその個数を検出し、前記特定のRFタグからの前記応答波が前記複数の受信専用アンテナによりそれぞれ受信された到達時間差を相互相関関数により求め、求めた到達時間差と前記複数の受信専用アンテナの座標とに基づいて、検出個数分のタグ情報に対応する前記特定のRFタグの存在位置を推定する制御器と;
    を備えるタグ位置推定装置。
  2. 前記送受信アンテナ及び前記タグリーダにより個別給電を受ける前記特定のRFタグからの応答波が前記複数の受信専用アンテナに到達した場合、前記到達時間差を求めるための応答信号を生成する応答波受信機を更に備える;
    請求項1記載のタグ位置推定装置。
  3. 前記送受信アンテナ及び前記タグリーダはそれぞれ1個設けられ、前記受信専用アンテナは少なくとも4個設けられ、前記1個の送受信アンテナ及び前記少なくとも4個の受信専用アンテナは限定範囲の1つの検出対象空間の周辺に対応して配置される、
    請求項1記載のタグ位置推定装置。
  4. 前記複数の受信専用アンテナの内の少なくとも1個の受信専用アンテナは、3次元座標内でのタグ位置推定のために、他の受信専用アンテナと同一直線上を含む同一平面上に配置せず、高さ方向にもパラメータを有するように配置される、
    請求項1記載のタグ位置推定装置。
  5. 前記送受信アンテナから前記検出対象空間に放射される電波は、UHF帯の特定電波である、
    請求項1記載のタグ位置推定装置。
  6. 前記制御器は、前記タグリーダから受信したタグ情報及び受信信号強度に関する情報を対応付けて記憶部に格納すると共に、前記検出個数分のタグ情報に対応する前記特定のRFタグの存在位置をタグ座標として対応付けて前記記憶部に格納する、
    請求項1記載のタグ位置推定装置。
  7. タグリーダにより、検出対象空間内に存在する複数のRFタグに一括給電し、送受信アンテナにより受信される応答波に基づいて、前記複数のRFタグからのタグ情報を読み取ると共に、受信信号強度を検出し;
    前記検出対象空間に対応して配置される複数の受信専用アンテナにより、前記送受信アンテナ及び前記タグリーダにより個別給電を受ける前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグからの応答波をそれぞれ受信し;
    制御器により、前記タグリーダからタグ情報及び受信信号強度に関する情報を受信し、前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の前記特定のRFタグに対応するタグ情報及びその個数を検出し、前記特定のRFタグからの前記応答波が前記複数の受信専用アンテナによりそれぞれ受信された到達時間差を相互相関関数により求め、求めた到達時間差と前記複数の受信専用アンテナの座標とに基づいて、検出個数分のタグ情報に対応する前記特定のRFタグの存在位置を推定する;
    タグ位置推定方法。
  8. タグリーダにより、検出対象空間内に存在する複数のRFタグに一括給電し、送受信アンテナにより受信される応答波に基づいて、前記複数のRFタグからのタグ情報を読み取ると共に、受信信号強度を検出し;
    前記検出対象空間に対応して配置される複数の受信専用アンテナにより、前記送受信アンテナ及び前記タグリーダにより個別給電を受ける前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の特定のRFタグからの応答波をそれぞれ受信し;
    制御器により、前記タグリーダからタグ情報及び受信信号強度に関する情報を受信し、前記受信信号強度が予め定めた閾値以上の前記特定のRFタグに対応するタグ情報及びその個数を検出し、前記特定のRFタグからの前記応答波が前記複数の受信専用アンテナによりそれぞれ受信された到達時間差を相互相関関数により求め、求めた到達時間差と前記複数の受信専用アンテナの座標とに基づいて、検出個数分のタグ情報に対応する前記特定のRFタグの存在位置を推定する;
    処理をプロセッサに実行させるタグ位置推定プログラム。
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