以下、本発明を適用したガスセンサ装置及びガス漏れ検知装置の実施形態について説明する。以下の第1実施形態〜第3実施形態、及び各変形例では、検知対象としてのガスが水素を含む混合ガスである場合の例について説明する。なお、検知対象となるガスは、水素を含む混合ガス以外のガスであってもよい。また、各実施形態において、共通する要素、部材等について、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化することがある。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るガス漏れ検知装置の斜視図、図2は、ガス漏れ検知装置の構成図、図3は、ガスセンサ装置の断面図及び部分拡大図である。図1に示すように、本実施形態に係るガス漏れ検知装置1は、プローブ2を備えている。プローブ2には、図2に示すように、ガスセンサ装置3が収容されている。本実施形態では、このガス漏れ検知装置1によって、例えば図2に示すワークW1からのガス漏れを検知する。ガス漏れ検知装置1は、コントローラ11を備えており、コントローラ11には、シャフト部材12の一端部が接続され、シャフト部材12の他端部にプローブ2が接続されている。コントローラ11は、略直方体を成しており、ユーザが把持可能な大きさとされている。ユーザは、コントローラ11を把持してガス漏れ検知を行うことができる。
コントローラ11には、図2に示すように、制御回路13、吸引ポンプ14、流量計15、及び電源部16が設けられている。制御回路13は、例えば、CPUなどの演算装置やROM、RAMなどの記憶装置を備え、制御回路基板に搭載されている。制御回路13は、多芯ケーブル46などを介してガスセンサ装置3、吸引ポンプ14、流量計15、及び電源部16に接続されている。また、コントローラ11の外側と流量計15、吸引ポンプ14とプローブ2の内側とは、それぞれ配管47を介してエアを流通可能とした状態で接続されている。配管47の後端部には、配管内の気体をガス漏れ検知装置1の外部に排出する排気口48が形成されている。
制御回路13は、吸引ポンプ14を作動させたり、ガスセンサ装置3から送信される情報に基づいて、ガス漏れの検知を行ったりする。吸引ポンプ14は、制御回路13の作動信号に基づいて、プローブ2内のエアを吸引する。流量計15は、配管47内に流れるエアの流量を計測する。電源部16は、制御回路13、ガスセンサ装置3、吸引ポンプ14、及び流量計15に電力を供給する。
また、図1に示すように、コントローラ11には、入出力インターフェイス17が設けられている。入出力インターフェイス17は、例えばタッチパネル付き液晶で構成されている。入出力インターフェイス17が操作されると、操作に応じた操作情報が制御回路13に送信される。制御回路13では、送信された操作情報に基づいて、吸引ポンプ14を作動させたり、後に説明するヒータ34(図3参照)を加熱させたりする。また、制御回路13は、ガス漏れを検知した場合のガス漏れ情報を入出力インターフェイス17に送信する。入出力インターフェイス17は、送信されたガス漏れ情報に応じた警報などを表示する。
図3に示すように、プローブ2は、プローブ筐体21を備えている。プローブ筐体21は、取付部21Aと、先端部21Bと、接続部21Cと、を備えている。取付部21Aは、小径の筒状をなしており、取付部21Aには、図2に示すシャフト部材12が取り付けられている。先端部21Bは、取付部21Aよりも面積が大きく、断面略直方体状の柱状をなしており、先端部21Bにおける接続部21Cの反対側の面は、開口している。
取付部21Aと先端部21Bの間に接続部21Cが介在されている。接続部21Cの取付部21A側は、取付部21Aの断面と略同一形状をなし、接続部21Cの先端部21B側は、先端部21Bの断面と略同一形状をなしており、接続部21Cはいわば漏斗状をなしている。
プローブ筐体21の内側には配管47の先端が接続されており、プローブ筐体21の内側は配管47を介して吸引ポンプ14と連通している。配管47は、シャフト部材12の内側を通って配されている。取付部21Aには、シール材45が設けられている。このシール材45によって、プローブ筐体21の内側をシャフト部材12の内側に対して密閉している。
プローブ筐体21の内側にはガスセンサ装置3が設けられている。ガスセンサ装置3は、複数(本実施形態では5個)の第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eを含むガスセンサアレイである。第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eは、それぞれガスセンサ31を備えている。また、プローブ筐体21には、ベース基板5、仕切基板6、及びフィルタ部材7が設けられている。
プローブ筐体21の先端部21Bにおける取付部21Aの反対側には、段差部21Dが形成されており、段差部21Dにおける取付部21Aの反対側は、略長方形状をなす開口部とされている。ベース基板5は、段差部21Dの断面と略同一形状の板状をなすリジッド基板であり、例えばポリイミド基板によって構成されている。ベース基板5は、プローブ筐体21の段差部21Dにおける接続部21Cに近い側に配置され、プローブ筐体21に支持されている。ガスセンサ装置3の第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eは、ベース基板5に実装されており、直線方向に沿って配列されている。
第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eは、互いに共通する構造を有している。以下、第1ガスセンサモジュール4Aを例としてその構造を説明する。第1ガスセンサモジュール4Aは、ガスセンサ31を備えている。ガスセンサ31は、ダイボンド材32によってベース基板5に固定されている。ガスセンサ31は、ベース基板5上に複数配列されている。また、ベース基板5には、導電体層となる配線が設けられており、ガスセンサ31は、これらの配線に対して、直接またはワイヤを介する等によって電気的に接続されている。ベース基板5は、配列された複数のガスセンサ31を支持し、ガスセンサ31に電気的に接続された支持体である。
ガスセンサ31は、接触燃焼式ガスセンサであり、基板33、ヒータ34、熱電素子35、及び触媒36を備えている。基板33の上層には、絶縁層37が形成されており、ヒータ34及び熱電素子35は、絶縁層37を介して基板33に実装されている。基板33には、グランド電極38やセンサ表面配線39が設けられており、センサ表面配線39には、ワイヤ24を介して表面配線22が電気的に接続されている。センサ表面配線39には、ヒータ34や熱電素子35が接続されており、ヒータ34や熱電素子35は、センサ表面配線39、ワイヤ24、表面配線22等を介して多芯ケーブル46に電気的に接続されている。N型半導体とP型半導体が直列接続された熱電素子35の温接点は、触媒36の近傍に配設され、冷接点は基板33上に配設される。また、基板33における裏面側には、メンブレンとなる凹部33Aが形成されている。なお、ベース基板5に実装されたガスセンサ31や絶縁層37などは、ベース基板5に代えて、あるいはベース基板5とともに仕切基板6に設けられていてもよい。
ヒータ34は、制御回路13から供給される駆動電流によって昇温し、触媒36を加熱する。触媒36近傍に水素と酸素が存在すると、触媒36の表面で水素と酸素が反応して水が生成され、反応熱が発生する。この反応熱により触媒36の温度が上昇する。温接点が触媒36の近傍に、冷接点が基板33上の配設されている熱電素子35は、触媒36の温度と基板33の温度との温度差を電圧に変換し、出力電圧として制御回路13に送信する。制御回路13は、ガスセンサ装置3で検出されたガス量に基づいて、ワークW1のガス漏れ検知を行う検知部であり、制御回路13では、送信された出力電圧に基づいて、触媒36の温度を計測し、計測した触媒36の温度からガスの濃度(ガス量)を検出し、ガス漏れの有無を判定する。
ガスセンサ装置3におけるベース基板5の反対側には、仕切基板6が設けられている。仕切基板6は、ベース基板5と略同一の略長方形状を有する板状のリジッド基板であり、例えばポリイミド基板によって構成されている。仕切基板6は、プローブ筐体21の段差部21Dにおける開口部に近い側に配置され、プローブ筐体21に支持されている。ワークW1のガス漏れ検知の際、仕切基板6は、ワークW1とガスセンサ31との間を仕切る仕切部材である。
また、プローブ筐体21の開口部には、フィルタ部材7が取り付けられており、プローブ筐体21の開口部及び仕切基板6は、フィルタ部材7によって覆われている。フィルタ部材7としては、例えば、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、ビニロン及び活性炭の繊維をシート状に加工(不織布、織物に)したものを用いることができる。フィルタ部材7は、可撓性を有するフレキシブルな部材である。また、フィルタ部材7は、気体を通過させるガス透過性(通気性)を有するとともに、接触する部材との間の衝撃エネルギーを吸収する緩衝性も備えている。
ベース基板5と仕切基板6の間には、図3〜図5に示すように、柱状体をなす複数のスペーサ8が介在されている。複数のスペーサ8は、例えば、ステンレスや銅などからなり、ベース基板5と仕切基板6の間における一定のギャップを保持している。こうして、スペーサ8は、ワークW1のガス漏れ検知の際、仕切基板6が介在されたガスセンサ31とワークW1の相対距離を維持しており、スペーサ8によって相対距離維持構造が形成されている。なお、ベース基板5や仕切基板6としては、ポリイミド基板に代えて、ポリエステルやPET等の樹脂やセラミック、ガラス、エポキシ基板等を用いてもよい。また、ベース基板5及び仕切基板6は、いずれもリジッド基板であるが、セラミック、ガラスエポキシ、半導体、金属等のリジッドな領域とエポキシ等樹脂の可撓性を有する領域によって、少なくとも一部が可撓性を有するフレキシブル基板やリジッドフレキシブル基板を用いてもよい。ベース基板5や仕切基板6として、ジルコニア等のセラミック、ガラスエポキシ等のFRP、シリコン等の半導体、ステンレス等の金属を用いた場合、少なくとも一部をコイルスプリング、S字スプリング及び板ばね形状にする等の構造の導入することにより可撓性を持たせることができる。また、フレキシブル基板やリジッドフレキシブル基板を用いることにより、ワークW1に対する追従性を高めることができる。また、フィルタ部材7としては、金属、セラミック、有機物(プラスチック、活性炭)の焼結体、ファイバー、スポンジをシート状に加工したものなどを用いてもよい。また、ベース基板5や仕切基板6として半導体や金属等の導電性材料を用いる場合、ベース基板5や仕切基板6上に絶縁膜を形成した後、配線パターンを形成するようにすればよい。また、スペーサ8としては、柱状体に代えて、半田ボールなどを用いてもよい。スペーサ8として半田ボールを用いる際には、仕切基板6に金メッキパターンを形成し、ベース基板5及び仕切基板6の金メッキパターン上に半田ペーストをスクリーン印刷した後、加熱接合してベース基板5の金メッキパターン上に半田ボールを接合するようにすればよい。あるいは、ベース基板5にアルミニウム電極を形成し、さらにアルミニウム電極の上に金のバンプを形成した後、ボンダーを用いて仕切基板6の金メッキパターンと熱圧着するようにしてもよい。また、スペーサ8は、ステンレスや銅などの金属に代えて、シリコンなどの半導体やポリイミド(感光性ポリイミド)、エポキシなどの有機物を用いてもよい。また、フィルタ部材7の表面に、またはフィルタ部材7に代えて、微小なローラやそりを例えばアレイ状に設けてもよい。このようなローラやそりを設けることにより、ガス漏れ検知装置1とワークW1との接触抵抗を小さくすることができる。また、スペーサ8を設けることなく、プローブ筐体21における接続部21Cをスペーサとして利用するようにしてもよい。
図4に示すように、フィルタ部材7によって覆われた仕切基板6とガスセンサ31が実装されたベース基板5を接合することにより、ガスセンサ装置3が形成される。仕切基板6とベース基板5の接合は、スペーサ8の上面及び下面に図示しないダイボンド材を塗布し、スペーサ8の上面及び下面をそれぞれ仕切基板6及びベース基板5に接着することによって行われる。
ベース基板5の表面には表面配線22が設けられ、ベース基板5の裏面には裏面配線23が設けられている。表面配線22及び裏面配線23は、図示しない基板貫通配線を介して電気的に接続されている。また、裏面配線23は、多芯ケーブル46の配線に対して電気的に接続されている。なお、ベース基板5には、温度、湿度等のセンサやプリアンプやA/D変換用集積回路等を実装してもよい。また、ベース基板5に表面配線22や裏面配線23など、ベース基板5に実装される素子に対する電力や信号の供給等のための配線が設けられているが、ベース基板5の表面配線22や裏面配線23に代えて、あるいはベース基板5の表面配線22や裏面配線23とともに、仕切基板6にベース基板5に実装される素子に対する電力や信号の供給等のための配線が設けられていてもよい。
図4に示すように、ベース基板5における第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eが設けられた位置の間の位置には、大気やガスなどの気体を通過させる流出孔5Aが設けられている。仕切基板6における第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eが設けられた位置に相対する位置には、大気やガスなどの気体を通過させる気体通過領域である流入孔6Aが形成されている。流入孔6Aは、ガスセンサ31の直上の位置に形成されている。このため、図3に示すように、プローブ筐体21における先端部21Bの開口部付近の気体ARは、仕切基板6に形成された流入孔6Aから流入し、ベース基板5に形成された流出孔5Aから流出する。流出孔5Aから流出した気体は、プローブ筐体21の接続部21C及び取付部21Aを介して、配管47に導入され、コントローラ11を通じて外部に排出される。フィルタ部材7は、ガス透過性を有するスポンジ状の多孔質材であり、緩衝性を備える緩衝部材である。仕切基板6は、ガス漏れ検知を行う際に、検知対象物であるワークW1に対してフィルタ部材7を介して当接する。なお、ベース基板5や仕切基板6として半導体や金属等の導電性材料を用いる場合、例えばフィルムパンチャーを用いて、ベース基板5及び仕切基板6に流出孔5A及び流入孔6Aを形成することができる。また、フィルムパンチャーの代わりにレーザー、サンドブラスト、ドリル等を用いてもよい。
次に、本実施形態に係るガス漏れ検知装置1によるガス漏れの検知手順について説明する。本実施形態に係るガス漏れ検知装置1において、例えば図3に示すワークW1から漏れる水素を検出する手順について説明する。ガス漏れの検知対象となるワークW1には、図2に示すように、ボンベB1からトレーサーガスGが供給される。トレーサーガスGの成分は、水素3.9%、空気96.1%である。
ボンベB1から供給されたトレーサーガスGは、ワークW1の中に充填される。ここで、ワークW1が損傷等して微小な穴が開いていたりすると、その穴からトレーサーガスGが流出する。ガス漏れ検知装置1は、トレーサーガスGのワークW1からの流出を検知するとともに、ワークW1におけるトレーサーガスGのガス漏れ位置を判断可能とする。
ガス漏れ検知装置1によってワークW1のガス漏れ検知を行う際には、制御回路13からヒータ34に駆動電流を供給し、ヒータ34を発熱させる。それとともに、図2に示すように、ガス漏れ検知装置1をワークW1に近接させ、フィルタ部材7をワークW1に接触させる。ヒータ34が加熱されると、触媒36及び触媒36の周辺を満たしているガスが加熱される。
続いて、図2に示すボンベB1によってトレーサーガスGをワークW1に充填するとともに、入出力インターフェイス17を操作して、吸引ポンプ14を作動させる。吸引ポンプ14を作動させると、配管47内部の気体が排気口48から排出され、配管47の内部が減圧になる。配管47の内部が減圧になると、プローブ筐体21の先端部21Bにおける仕切基板6とベース基板5に挟まれてガスセンサ31等が設置された領域(以下、センサ設置領域という)3X内の空気が流出孔5Aから流出し、センサ設置領域3X内が減圧される。
センサ設置領域3X内が減圧されることにより、プローブ筐体21の周囲の大気がフィルタ部材7及び仕切基板6の流入孔6Aを通ってセンサ領域内に流入する。このとき、図3に示すように、ワークW1からトレーサーガスGが漏れるガス漏れが生じていると、ワークW1から漏れ出したトレーサーガスGがプローブ筐体21の周囲における大気とともに、センサ設置領域3Xに流入する。センサ設置領域3Xでは、ヒータ34の加熱により活性化された触媒36の表面上で水素(H2)と酸素(O2)とが反応して水(H2O)が生成され、反応熱が発生する。この反応熱を熱電素子35による電圧に変換する。大気中の水素(H2)濃度が大きいほど、反応による発熱量が大きくなり、その結果、熱電素子35の出力電圧が増加する。また、熱電素子35の出力電圧が大きくならずに定常状態であるときには、ガス漏れが生じていないことがわかる。したがって、熱電素子の出力電圧を計測することによりワークW1の外部に漏れ出た水素濃度を計測することができる。そして、計測した水素濃度を所定の基準値と比較することにより、トレーサーガスGの漏れを検知することができる。なお、ここでの基準値は、出力電圧に代えて、出力電圧から算出される触媒36の温度であってもよい。
こうして、ワークW1の1か所においてガス漏れの検知を行ったら、ワークW1の異なる位置にガス漏れ検知装置1を移動させて、同様のガス漏れの検知を行う。そして、複数回のガス漏れ検知装置1の移動を繰り返して、同様のガス漏れ検知を行うことにより、ワークW1の全体におけるガス漏れを検知する。以上により、ガス漏れ検知装置1によるワークW1のガス漏れ検知が終了する。
以上の説明のとおり、本実施形態に係るガス漏れ検知装置1のガスセンサ装置3は、複数のガスセンサモジュールとして第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eを備えている。ベース基板5は、第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eが有する複数のガスセンサ31を支持している。このため、同時にワークW1の複数個所におけるガス漏れを検知することができるので、短時間でガス漏れを検知することができる。さらに、ガス漏れが発生している位置を容易に判定することができる。
また、ガスセンサ装置3は、ガスセンサ31に電気的に接続されたベース基板5と、ワークW1とガスセンサ31との間を仕切る仕切基板6を備えている。これらのベース基板5と仕切基板6は、スペーサ8によって一定のギャップを保持して設けられている。このため、ワークW1のガス漏れ検知の際、仕切基板6が介在されたガスセンサ31とワークW1の相対距離が維持される。したがって、ガスセンサ31とワークW1との相対距離を一定に維持することができるので、高い精度でガス漏れを検知することができる。また、ケースやパッケージなどを用いることなくガスセンサ装置3を設けることができるので、ガス漏れ検知装置1が全体として小型化されることにより、検出時間を短くするとともに、検出感度を向上させることができる。
また、ガスセンサ31とワークW1の相対距離を維持するにあたり、例えばガスセンサ31をケースやパッケージに収容する必要がないので、ガスセンサ31が設置されるセンサ設置領域3Xの容積を小さくすることができる。したがって、センサ設置領域3Xにおける大気(ガスを含む)の置換にかかる時間を短く済ませることができる。また、ワークW1からガスセンサ31までの距離を短くすることができるので、大気中におけるガスの分散が少ない状態でガスセンサ31に到達することになる。よって、ガス漏れが生じた際の検知精度を高めることができる。さらに、ケースやパッケージを設けるための部品を削減できるので、部品点数を少なくすることができ、装置の構成や組み立て工程を簡素化することができる。
また、仕切基板6には、大気やガスなどの気体を通過させる気体通過領域としての流入孔6Aが形成されている。このため、ガス漏れ検知装置1の周囲における大気やガスなどをセンサ設置領域3Xに容易に導入することができる。また、ベース基板5には流出孔5Aが形成されているので、センサ設置領域3X内の空気を容易に排出することができ、センサ設置領域3X内の空気を容易に入れ替えることができる。
また、流入孔6Aは、第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eが設けられた位置に相対する位置に設けられ、流出孔5Aは、第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eが設けられた位置の間の位置に設けられている。このため、図3に示すように、流入孔6Aから流入し、流出孔5Aから流出する気体ARをガスセンサ31付近に安定した状態で流通させることができる。したがって、ガスセンサ31によるガス漏れの検知を精度よく行うことができる。
また、ベース基板5と仕切基板6に設けられたスペーサ8により、複数のガスセンサ31の間でワークW1との距離を一定に維持することができる。したがって、ガス漏れが生じた位置を精度よく特定できる。よって、本実施形態に係るガス漏れ検知装置1では、ガス漏れ位置と漏れたガスの濃度の検出及びガス漏れの検知を短時間で精度よく行うことができる。
また、センサ設置領域3Xの圧力は均一となっており、ガスセンサ31の近傍におけるエア(及びガス)の流速は、ほぼ一定となっているので、酸素と水素とが反応する量は、水素の量にほぼ比例することになる。したがって、エアに含まれるトレーサーガスG(水素)の濃度を精度よく検出できるので、ワークW1のガス漏れを精度よく検知することができる。
また、本実施形態に係るガス漏れ検知装置1では、吸引ポンプ14によって配管47内のエアを吸引している。このため、流出孔5Aを通じたセンサ設置領域3Xの排気及び流入孔6Aを通じたセンサ設置領域3Xへの吸気を促進することができる。したがって、センサ設置領域3Xにおける大気(ガスを含む)の置換にかかる時間を短く済ませることができる。
また、プローブ2におけるプローブ筐体21の開口部には、フィルタ部材7が設けられている。このため、センサ設置領域3X内に気体を導入しながら、埃などの混入を抑制することができる。よって、精度よくガス漏れを検知できるとともに、ガス漏れ検知装置1に不具合が生じることを抑制できる。
また、プローブ筐体21に設けられたフィルタ部材7は、緩衝性を備えている。このため、例えば、フィルタ部材7をワークW1に当接させて、複数のガスセンサ31とワークW1との距離を一定にするようにしたとしても、ワークW1やガス漏れ検知装置1の損傷を抑制することができる。なお、フィルタ部材7をワークW1に当接させたとしても一定量の大気がセンサ設置領域3X内へ導入できるようにフィルタ部材7の構造を設計すれば、水素5%、窒素95%などの酸素が含まれない混合ガスをトレーサーガスGとして選択することが可能となる。
なお、上記第1実施形態では、プローブ筐体21にフィルタ部材7が設けられているが、フィルタ部材7が設けられていないようにしてもよい。この場合、例えばプローブ筐体21の外縁部を仕切基板6よりも外側まで突出させておき、ワークW1のガス漏れ検知の際に、プローブ筐体21の突出部とワークW1とを当接させて、仕切基板6とワークW1との距離、さらにはガスセンサ31とワークW1との相対距離を維持できるようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、ワークW1の全面のガス漏れを検知するようにしているが、ワークW1の一部のガス漏れを検知するようにしてもよい。あるいは、ワークW1の全面のガス漏れを検知し、特に一部のガス漏れを重点的に検知するようにしてもよい。これらのワークW1における一部は、例えば、ガス漏れが生じしやすいと考えられる位置、例えば、ワークW1における接合部分や屈曲部分などとしてもよい。ガス漏れを重点的に検知する場合には、ガスセンサの数を増やしたり、ガスセンサを密に配置したりすればよい。
[第1変形例(第1実施形態)]
次に、本発明の第1変形例について説明する。第1変形例は、第1実施形態を変形した変形例である。図6は、第1変形例に係るガス漏れ検知装置の斜視図である。図6に示すように、第1変形例に係るガス漏れ検知装置51は、上記第1実施形態に係るガス漏れ検知装置1と比較して、プローブの態様が主に異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第1変形例に係るガス漏れ検知装置51について説明する。
図6に示すように、第1変形例に係るガス漏れ検知装置51は、第1実施形態のガス漏れ検知装置1と同様のコントローラ11及びシャフト部材12を備えている。コントローラ11には、シャフト部材12を介してプローブ52が接続されている。図7に示すように、プローブ52は、プローブ基台53及びガスセンサ収容部54を備えている。プローブ基台53は、取付部53Aと、ベース基板部53Bと接続部53Cを備えている。取付部53Aは、上記第1実施形態で示した取付部21Aと同様の構造を備えている。取付部53Aには、シール材45が設けられており、このシール材45によってプローブ52の内側をシャフト部材12の内側に対して密閉している。
ベース基板部53Bは、略正方形状の板状をなしている。取付部53Aとベース基板部53Bの間に接続部53Cが介在されている。接続部53Cの取付部53A側は、取付部53Aの断面と略同一形状をなしている。接続部53Cにおける取付部53Aの反対側は、ベース基板部53Bによって閉塞されている。接続部53Cは、いわば漏斗状をなしている。
ガスセンサ収容部54は蛇腹状をなしており、微小な撓みが可能とされている。ガスセンサ収容部54におけるプローブ基台53の反対側には略正方形状の開口部54Aが形成されている。ガスセンサ収容部54の開口部54Aには、ガスセンサ収容部54の断面と略同一形状をなす仕切基板55が設けられている。仕切基板55は、プローブ基台53のベース基板部53Bと略同一形状の略正方形状を有する盤状のリジッド基板であり、例えばポリイミド基板によって構成されている。
プローブ基台53におけるベース基板部53Bは、ガスセンサ装置56を支持している。ガスセンサ装置56は、図8に示すように、ガスセンサ装置56は、2次元のマトリクス状に配置された複数(本実施形態では35個)のガスセンサモジュール57,57…を含むガスセンサアレイである。ガスセンサモジュール57は、上記第1実施形態における第1ガスセンサモジュール4A〜第5ガスセンサモジュール4Eと同様の構成を有しており、それぞれ図3に示す第1実施形態と同様のガスセンサ31を備えている。
ガスセンサ装置56は、複数のガスセンサモジュール57,57…と同数の弾性体58を備えている。ガスセンサ装置56における各ガスセンサモジュール57,57…は、ダイボンド59によって弾性体58に取り付けられている。弾性体58は、例えばゴム製であり、ベース基板部53Bに対して図示しないダイボンドによって固定されてベース基板部53Bに支持されている。また、ガスセンサモジュール57,57…のガスセンサ31は、弾性体58を介してベース基板部53Bに支持されている。
ガスセンサ装置56におけるベース基板部53Bの反対側には、仕切基板55が配置されている。仕切基板55は、プローブ基台53におけるガスセンサ収容部54に支持されている。ワークW1のガス漏れ検知の際、仕切基板55は、ワークW1(図2参照)とガスセンサモジュール57におけるガスセンサ31との間を仕切る仕切部材である。仕切基板55の外側には、上記第1実施形態と同様のフィルタ部材7が設けられている。
プローブ基台53におけるベース基板部53Bのガスセンサモジュール57,57…が設けられた位置の間の位置には、大気やガスなどの気体を通過させる流出孔53Dが設けられている。仕切基板55におけるガスセンサモジュール57,57…が設けられた位置に相対する位置には、大気やガスなどの気体を通過させる気体通過領域である流入孔55Aが形成されている。流入孔55Aは、ガスセンサ31の直上の位置に形成されている。このため、図7に示すように、プローブ52における開口部付近の気体ARは、仕切基板55に形成された流入孔55Aから流入し、ベース基板部53Bに形成された流出孔53Dから流出する、流出孔53Dから流出した気体は、プローブ基台53の接続部53C及び取付部53Aを介して、配管47に導入され、コントローラ11を通じて外部に排出される。フィルタ部材7は、ガス透過性を有するスポンジ状の多孔質材であり、緩衝性を備える緩衝部材である。仕切基板55は、ガス漏れ検知を行う際に、検知対象物であるワークW1に対してフィルタ部材7を介して当接する。
仕切基板55には、導電体層となる配線が設けられている。これらの配線には、接続配線55Bが含まれており、接続配線55Bに多芯ケーブル46が接続され、仕切基板55に形成された配線は、多芯ケーブル46に対して電気的に接続されている。ガスセンサ31は、半田ボール50Hによって仕切基板55に固定されて取り付けられている。また、ガスセンサ31は、仕切基板55に設けられた裏側配線55Cに対して、直接または導電性材料である半田ボール50Hを介する等によって電気的に接続されている。仕切基板55は、ワークW1とガスセンサ31との間を仕切るとともに、ガスセンサ31に電気的に接続された仕切部材である。半田ボール50Hは、仕切基板55とガスセンサ31の間における一定のギャップを保持している。こうして、半田ボール50Hは、ワークW1のガス漏れ検知の際、仕切基板55が介在されたガスセンサ31とワークW1の相対距離を維持しており、半田ボール50Hによって相対距離維持構造が形成されている。
なお、仕切基板55には、温度、湿度等のセンサやプリアンプやA/D変換用集積回路等を実装してもよい。また、仕切基板55に配線が設けられているが、仕切基板55に代えて、あるいは仕切基板55とともに、ベース基板部53Bに配線が設けられていてもよい。
また、ガスセンサ31は、弾性体58を介してベース基板部53Bに支持されているが、弾性体58を介することなく、直接ベース基板部53Bに支持されていてもよい。また、ガスセンサ31は、ベース基板部53Bに支持されることなく、仕切基板55に取り付けられていてもよい。ガスセンサ31が仕切基板55に取り付けられる態様としては、例えば、ガスセンサ31が仕切基板55に半田付けされて取り付けられるようにすればよい。また、弾性体58は、ゴム製であるが、ばねなどの弾性を有する部材であってもよい。
また、仕切基板55は、リジッド基板であってもよいが、可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。仕切基板55がフレキシブル基板であることにより、弾性体58の変形に仕切基板55を追従させることができるので、ガス漏れの検知精度をさらに高めることができる。
以上の第1変形例に係るガス漏れ検知装置51では、上記第1実施形態に係るガス漏れ検知装置1と同様の作用効果を奏する。例えば、ガス漏れ検知装置51は、ガスセンサ31に電気的に接続され、ワークW1とガスセンサ31との間を仕切る仕切基板55を備えている。また、仕切基板55とガスセンサ31とは、半田ボール50Hによって一定のギャップを保持して設けられている。このため、ワークW1のガス漏れ検知の際、仕切基板55が介在されたガスセンサ31とワークW1の相対距離が維持される。したがって、ガスセンサ31とワークW1との相対距離を一定に維持することができるので、高い精度でガス漏れを検知することができる。
また、上記第1変形例に係るガス漏れ検知装置51では、ガスセンサ31が弾性体58を介してベース基板部53Bに支持されている。このため、ワークW1にフィルタ部材7を当接させてガス漏れ検知を行う際に、弾性体58が変形して、ガスセンサ31の位置を微小に変化させることができる。したがって、ワークW1の形状に合わせてガス漏れ検知を行うことができるので、ガス漏れ検知の精度を高めることができる。
また、上記第1変形例に係るガス漏れ検知装置51では、仕切基板55に配線を設け、仕切基板55からガスセンサ31に対して電流を供給している。このため、ガスセンサ31に電流を供給するために支持体を設ける必要がなくなるので、ガスセンサ31を支持する支持体を省略することができ、ガス漏れ検知装置の構成の簡素化に寄与することができる。また、ケースやパッケージなどを用いることなくガスセンサ装置56を設けることができるので、ガス漏れ検知装置1が全体として小型化されることにより、検出時間を短くするとともに、検出感度を向上させることができる。
[第2変形例(第1実施形態)]
次に、本発明の第2変形例について説明する。第2変形例は、第1実施形態を変形した変形例である。図9は、第2変形例に係るガス漏れ検知装置の斜視図であり、(A)は表側、(B)は裏側を示している。図9(A)(B)に示すように、第2変形例に係るガス漏れ検知装置61は、上記第1実施形態に係るガス漏れ検知装置1と比較して、プローブの態様が主に異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第2変形例に係るガス漏れ検知装置51について説明する。
図9(A)(B)に示すように、第2変形例に係るガス漏れ検知装置61は、筐体62を備えており、筐体62には、ハンドル63が取り付けられている。筐体62の一面は、入出力面とされ、入出力面の表裏の関係にある他面は、検査面とされている。筐体62の入出力面には、図9(A)に示すように、入出力インターフェイス64が設けられており、図9(B)に示すように、検査面の全面を覆ってフィルタ部材65が設けられている。筐体62は、ハンドル63に対して、ハンドル63の軸周りに回転可能とされている。このため、筐体62の検査面の角度を容易に調整することができる。
また、筐体62には、第1実施形態で説明した制御回路、吸引ポンプ、流量計、及び電源部に相当する部材が収容されており、これらは筐体62における入出力インターフェイス64に近い側に配置されている。また、筐体62には、第1実施形態で説明したガスセンサ装置3に相当し、ガスセンサ、ベース基板、及び仕切基板を備えるガスセンサ装置が収容されている。このガスセンサ装置は、筐体62におけるフィルタ部材65に近い側に配置されている。なお、筐体62内における各部材の配置は、これら以外の配置であってもよい。
筐体62の内部に設けられたガスセンサ装置は、複数のガスセンサを備えており、ガスセンサは、検査面の全面にわたって左右に広がるようにマトリクス状に配置されている。ガスセンサは、第1実施形態と同様、ガスセンサに電気的に接続されたベース基板と、ワークとガスセンサとの間を仕切る仕切基板の間に配置されている。また、ベース基板と仕切基板とは、スペーサによって一定のギャップに保持されている。
筐体62の内部に設けられた制御回路は、ガスセンサ装置から送信される情報に基づいて、入出力インターフェイス64の表示制御を行っている。例えば、制御回路は、ガスセンサ装置における複数のガスセンサから送信された情報に基づいて、入出力インターフェイス64における複数のガスセンサが配置されている位置の真裏部分の画像の表示を制御する。例えば、入出力インターフェイス64におけるガス漏れが生じているとの情報を送信していないガスセンサの真裏の色と、ガス漏れが生じているとの情報を送信しているガスセンサの真裏の色とを変えて表示している。図9(A)に示す例では、通常表示部分64Aと警告表示部分64Bとが異なる色で表示されている。このうち、通常表示部分64Aの真裏に位置するガスセンサからはガス漏れが生じているとの情報は送信されておらず、警告表示部分64Bの真裏に位置するガスセンサからはガス漏れが生じているとの情報が送信されている。
以上の構成を有する第2変形例に係るガス漏れ検知装置61では、上記第1実施形態に係るガス漏れ検知装置1と同様の作用効果を奏する。例えば、ガス漏れ検知装置61は、ガスセンサに電気的に接続されたベース基板と、ワークW1とガスセンサとの間を仕切る仕切基板を備えている。これらのベース基板と仕切基板は、スペーサによって一定のギャップを保持して設けられている。このため、ワークW1のガス漏れ検知の際、仕切基板6が介在されたガスセンサとワークW1の相対距離が維持される。したがって、ガスセンサとワークW1との相対距離を一定に維持することができるので、ガス漏れの検知を高い精度で行うことができる。また、ケースやパッケージなどを用いることなくガスセンサ装置を設けることができるので、ガス漏れ検知装置1が全体として小型化されることにより、検出時間を短くするとともに、検出感度を向上させることができる。
また、ガス漏れ検知装置61では、ガスセンサが検査面の全面にわたって配置されており、ガス漏れを検知したガスセンサの位置を入出力インターフェイス64に表示している。このため、入出力インターフェイス64は、ガス漏れが生じた位置に応じて表示が変化するので、ガス漏れが生じた位置を一目で認識できるようにすることができる。
なお、上記第2変形例では、ガス漏れを検知したガスセンサの位置、言い換えるとガス漏れが生じた位置を入出力インターフェイス64に表示しているが、例えば、ガス漏れの度合いに応じて入出力インターフェイス64の表示を変えるようにしてもよい。例えば、ガス漏れの量が少ない状態では薄い赤色を表示し、ガス漏れの多いほど赤色が濃くなるように表示してもよい。
また、上記第2変形例では、吸引ポンプや流量計等が筐体62に収容されているが、これらの一方あるいは両方が筐体62に設けられていないようにしてもよい。これにより、ガス漏れ検知装置の軽量化を図ることができる。また、筐体62は、ハンドル63に取り付けられているが、ガス漏れ検知装置61がハンドル63を備えておらず、筐体62はハンドル63に取り付けられていない、いわばタブレットタイプのようにしてもよい。
また、筐体62はハンドル63に対して、ハンドル63の軸周りに回転可能とされているが、筐体62がハンドル63に固定されていてもよい。また、ガス漏れ検知装置61にスピーカを設け、ガス漏れが生じた際の入出力インターフェイス64に対する表示に加えて、またはこれに代えて、スピーカから警報を発するようにしてもよい。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。図10は、第2実施形態に係るガス漏れ検知装置の構成図である。図10に示すように、ガス漏れ検知装置71は、プローブ72を備えている。プローブ72は、プローブ筐体73を備えている。プローブ筐体73は、天部73A、側部73B、及び底部73Cを備えている。天部73A、側部73B、及び底部73Cは、いずれも中空状をなし、これらの中空部が連通している。
天部73Aにおける上面部には、中空の回転軸73Dが設けられており、回転軸73Dには、ハンディ74が取り付けられている。ハンディ74における回転軸73Dの取付部には、Oリング74Aが設けられている。Oリング74Aが設けられていることにより、回転軸73Dと、ハンディ74の中空部との気密性が保たれている。Oリング74Aは、ベアリングに設けられている。ベアリングが設けられていることにより、回転軸73Dは、ハンディ74に対して回転可能とされている。回転軸73Dには、図示しないポテンショメータが設けられており、ポテンショメータは、回転軸の回転角を検出し、制御回路13に送信する。
ハンディ74には、多芯ケーブル46を介してコントローラ75が接続されている。ハンディ74には、第1制御回路13Aが設けられ、コントローラ75には、第2制御回路13Bが設けられており、第1制御回路13A及び第2制御回路13Bによって、第1実施形態と同様の制御回路13が形成されている。また、コントローラ75には、第1実施形態と同様の電源部16が設けられている。電源部16には、コンセント16Aが接続されている。また、ガス漏れ検知装置71は、プローブ駆動装置76を備えている。プローブ駆動装置76は、アクチュエータ76Aを備えている。アクチュエータ76Aはモータであり、アクチュエータ76Aの出力軸には第1プーリ76Bが取り付けられ、回転軸73Dには第2プーリ76Cが取り付けられている。第1プーリ76Bと第2プーリ76Cの間には、ベルト76Dが巻き回されている。アクチュエータ76Aを駆動させることにより、第1プーリ76Bが回転し、第1プーリ76Bの回転はベルト76Dを介して第2プーリ76Cに伝達され、第2プーリ76Cとともに回転軸73Dが回転する。こうして、アクチュエータ76Aが駆動することによって回転軸73Dが回転する。
プローブ72における中空部には、ガスセンサ装置77が設けられている。ガスセンサ装置77は、複数のガスセンサモジュール78,78…を備えている。ガスセンサモジュール78,78…には、それぞれ第1実施形態と同様のガスセンサ31が設けられている。
ガスセンサ装置77とプローブ筐体73における天部73A,側部73B,底部73Cの内側辺の間には、それぞれ仕切基板79が設けられている。仕切基板79は、天基板79Aと、側基板79Bと、底基板79Cを備えている。天基板79Aはプローブ筐体73における天部73Aの底板とガスセンサ31との間に配置され、ガスセンサ31は天基板79Aの上面に取り付けられている。側基板79Bはプローブ筐体73における側部73Bの側板とガスセンサ31との間に配置され、ガスセンサ31は側基板79Bの外側面に取り付けられている。底基板79Cはプローブ筐体73における底部73Cの天板とガスセンサ31との間に配置され、ガスセンサ31は底基板79Cの下面に取り付けられている。これらのガスセンサ31は、第1変形例同様、半田ボール50H(図7参照)によって仕切基板79に固定されて取り付けられている。半田ボール50Hは、仕切基板79とガスセンサ31の間における一定のギャップを保持し、仕切基板55が介在されたガスセンサ31とワークW2の相対距離を維持している。
また、仕切基板79におけるガスセンサ31に相対する位置には、流入孔79Dが形成されている。プローブ筐体73には、フィルタ部材80が取り付けられている。仕切基板79における複数のガスセンサ31を覆う部分は、フィルタ部材80によって覆われている。ワークW2のガス漏れ検知を行う際、フィルタ部材80は、仕切基板79とワークW2の間において、ワークW2に当接して配置される。フィルタ部材80は、上記第1実施形態のフィルタ部材7と同様の構造をなしている。
次に、本実施形態に係るガス漏れ検知装置71によるガス漏れの検知手順について説明する。本実施形態に係るガス漏れ検知装置71において、例えば図10に示すワークW2から漏れる水素を検知する手順について説明する。ガス漏れの検知対象となるワークW2には、ボンベB2からトレーサーガスGが供給される。トレーサーガスGの成分は、水素3.9%、空気96.1%である。
ボンベB2から供給されたトレーサーガスGは、ワークW2の中に充填される。ここで、ワークW2が損傷等して微小な穴が開いていたりすると、その穴からトレーサーガスGが流出する。ガス漏れ検知装置71は、トレーサーガスGのワークW2からの流出を検知するとともに、ワークW2におけるトレーサーガスGのガス漏れ位置を判断可能とする。
ガス漏れ検知装置71によってワークW2のガス漏れ検知を行う際には、制御回路13からガスセンサ31のヒータ34(図3参照)に駆動電流を供給し、ヒータ34を発熱させる。ヒータ34を発熱させるとともに、ワークW2の表面に密着した状態でプローブ筐体73を配置する。
プローブ筐体73を配置したら、制御回路13によってプローブ駆動装置76のアクチュエータ76Aを駆動させ、回転軸73Dを回転させることにより、プローブ筐体73をワークW2の表面に沿って回転させる。プローブ筐体73を回転させている間に、ガスセンサ31では、上記第1実施形態と同様にしてガス漏れを検知し、ポテンショメータは、回転軸73Dの回転角度を検知する。ガスセンサ31及びポテンショメータは、それぞれの検知結果を制御回路13に送信する。
制御回路13は、ガスセンサ31及びポテンショメータから送信された検知結果に基づいて、ワークW2のガス漏れを検知するとともに、ガス漏れが生じている箇所を検知する。例えば、ガス漏れを検知したガスセンサ31の位置によって、ワークW2における度の高さ位置でガス漏れが発生したかを検知し、ガス漏れを検知したときに、ポテンショメータが検出した回転軸73Dの回転角度によって、ワークW2の周方向におけるガス漏れが発生した位置を検知する。こうして、ガス漏れ検知装置71によるワークW2のガス漏れ検知が行われる。
以上の構成を有する第2実施形態に係るガス漏れ検知装置71では、上記第1実施形態に係るガス漏れ検知装置1と同様の作用効果を奏する。例えば、ガス漏れ検知装置71は、ガスセンサ31に電気的に接続され、ワークW2とガスセンサ31との間を仕切る仕切基板79を備えている。また、仕切基板79とガスセンサ31とは、半田ボール50Hによって一定のギャップを保持して設けられている。このため、ワークW2のガス漏れ検知の際、仕切基板79が介在されたガスセンサ31とワークW2の相対距離が維持される。したがって、ガスセンサ31とワークW2との相対距離を一定に維持することができるので、ガス漏れの検知を高い精度で行うことができる。また、ケースやパッケージなどを用いることなくガスセンサ装置77を設けることができるので、ガス漏れ検知装置1が全体として小型化されることにより、検出時間を短くするとともに、検出感度を向上させることができる。
また、上記第2実施形態に係るガス漏れ検知装置71では、プローブ駆動装置76によってプローブ筐体73をワークW2の表面に沿って移動させながらガス漏れの検知を行うことができる。このため、作業員がプローブ筐体73を手作業で移動させる必要がないので、ガス漏れ検知の作業を容易かつ短時間の間に行うことができる。また、作業員がプローブを移動させる場合と比較して、ワークW2に対する相対位置の変化を小さくすることができるので、ガス漏れの検知精度をさらに高めることができる。
なお、上記第2実施形態では、プローブ筐体73はリジッドな筐体とされているが、プローブ筐体73の全部または一部、例えばフィルタ部材80が設けられた位置が可撓性を有するフレキシブルな筐体であってもよい。プローブ筐体73が可撓性を有することにより、ワークの外形に合わせてプローブ筐体73を変形させることができる。したがって、ワークW2とガスセンサ31との距離を安定して一定に維持することができるので、より高い精度でガス漏れを検知することができる。
また、上記第2実施形態では、フィルタ部材80がワークW2に当接するようにしているが、プローブ筐体73にローラやそりを取り付け、フィルタ部材80がワークW2に当接することなく、プローブ筐体73に取り付けられたローラ等がワークW2に当接してプローブ筐体73を移動させるようにしてもよい。この場合、プローブ筐体73をワークW2に対してより安定して移動させることができる。その結果ワークW2とガスセンサ31との距離を安定して一定に維持することができ、より高い精度でガス漏れを検知することができる。
また、上記第2実施形態では、アクチュエータ76Aとしてモータを用いているが、アクチュエータ76Aは、モータ以外のものであってもよい。例えば、アクチュエータは、エアシリンダ、液圧シリンダ、電磁(ソレノイド)、圧電、静電、油圧、磁歪、形状記憶合金、バイメタル、導電性高分子などを用いたアクチュエータであってもよい。また、アクチュエータ76Aは、回転軸73Dを回転させる回転運動以外の運動をさせるようにしてもよい。例えば、モータとプローブ筐体73の間にリンク機構を介在させることにより、回転運動を直線運動に変換してプローブ筐体73を移動させるようにしてもよい。特に、ワークW2に平面部がある場合などには、プローブ筐体73を直線運動させるようにしてもよい。また、回転運動を直線運動に変換してもよいし、シリンダによってプローブ筐体73を直線運動させるようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、プローブ駆動装置76によってプローブ筐体73を移動させるようにしているが、プローブ筐体73は移動させることなく、ワークW2を移動させるようにしてもよい。また、プローブ筐体73とワークW2の双方を移動させるようにしてもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図11は、第3実施形態に係るガス漏れ検知装置の正断面図であり、(A)は、プローブによってワークを包み込む前を示す図、(B)は、プローブによってワークを包み込んだ後を示す。図12は、第3実施形態に係るガスセンサ装置の断面図及び部分拡大図である。
図11(A)に示すように、本実施形態に係るガス漏れ検知装置81は、プローブ82を備えている。プローブ82は、第1分割プローブ82A及び第2分割プローブ82Bを備えている。第1分割プローブ82Aは、3枚の板が互いに直交するように配置されて形成されている。これらの3枚の板は、直方体における直交する3面を構成する。第2分割プローブ82Bは、第1分割プローブ82Aと略同一の構成を有し、第1分割プローブ82Aに対して前後上下左右が反転されて配置されている。第1分割プローブ82A及び第2分割プローブ82Bを組み合わせることにより、プローブ82の内側に略直方体状の空間が形成される。ガス漏れ検知を行うワークW3は、プローブ82の内側に形成される形状と略同一の形状をなす。また、本実施形態では、ガス漏れを検知する対象となるワークW3は、略直方体状をなしている。
第1分割プローブ82Aは、直交する3枚の板状である第1支持体83Aを備えている。第1支持体83Aにおける内側の2面には、それぞれガスセンサ装置84が設けられている。図12に示すように、ガスセンサ装置84は、複数のガスセンサモジュール85を備えており、ガスセンサモジュール85は、第1支持体83Aに固定されて取り付けられたガスセンサ31を複数備えている。
また、ガスセンサ装置84は、ガスセンサ31とワークW3の間に介在される仕切基板86を備えている。なお、本実施形態において、ワークW3は、断面略矩形をなしている。仕切基板86は、第1支持体83Aの内側面に沿う形状をなすとともに、その両端部がそれぞれ第1支持体83Aに固定されている。仕切基板86は、一部が可撓性を有する設けられたフレキシブル基板である。なお、仕切基板86は、リジッド基板でもよいし、全部が可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。
仕切基板86におけるワークW3側及び第1支持体83A側の両面には、導電体層となる配線が設けられている。仕切基板86おける第1支持体83A側の面に設けられた配線には、ガスセンサ31が半田ボール50Hによって固定されて取り付けられている。ガスセンサ31は、仕切基板86に設けられた配線86Cに対して、直接または導電性材料である半田ボール50Hを介する等によって電気的に接続されている。
仕切基板86は、ワークW3とガスセンサ31との間を仕切るとともに、ガスセンサ31に電気的に接続された仕切部材である。半田ボール50Hは、仕切基板86とガスセンサ31の間における一定のギャップを保持している。こうして、半田ボール50Hは、ワークW3のガス漏れ検知の際、仕切基板86が介在されたガスセンサ31とワークW3の相対距離を維持しており、半田ボール50Hによって相対距離維持構造が形成されている。また、仕切基板86における複数のガスセンサ31のうちの略半数のガスセンサ31に相対する位置には、流入孔86A(図12参照)が形成されており、残りの略半数のガスセンサ31に相対する位置には、流入孔86A(図12参照)が形成されていない。仕切基板86における相対する位置に流入孔86A(図12参照)が形成されたガスセンサ31は、ワークW3からのガス漏れを検知する検知用ガスセンサ31Aとして機能する。また、仕切基板86における相対する位置に流入孔86A(図12参照)が形成されていないガスセンサ31は、隣接するガスセンサ31におけるガス漏れ検出の正確性を確認するために参照する参照用ガスセンサ31Bとして機能する。
図11に示すように、第1支持体83Aにおける屈曲部分には、支持体駆動装置87が設けられている。支持体駆動装置87は、アクチュエータ87Aを備えている。アクチュエータ87Aはエアシリンダであり、アクチュエータ87Aには、アクチュエータ87Aを駆動させることによって進退する進退ロッド87Bが取り付けられている。なお、アクチュエータは、例えば、エアシリンダ、モータ、ソレノイド、圧電、静電、油圧、磁歪、形状記憶合金、バイメタル、導電性高分子などを用いたものであってもよい。進退ロッド87Bには、第1支持体83Aが固定されている。また、支持体駆動装置87は、アクチュエータ87Aにおける進退ロッド87Bの取付部分に設けられたOリング87Cを備えている。
進退ロッド87Bは中空であり、進退ロッド87Bの中空部には多芯ケーブルが挿入されている。多芯ケーブルの一端は仕切基板86に設けられた配線に接続されており、多芯ケーブルの他端は、第1実施形態で示したものと同様の制御回路13(図2参照)に接続されている。この制御回路13(図2参照)は、多芯ケーブルを介して仕切基板86に設けられた配線86Bに電流を供給している。
図12に示すガスセンサ31におけるヒータ34(図3参照)は、制御回路13から供給される駆動電流によって昇温し、触媒36(図3参照)を加熱する。触媒36近傍に水素と酸素が存在すると、触媒36の表面で水素と酸素が反応して水が生成され、反応熱が発生する。この反応熱により触媒36の温度が上昇する。温接点が触媒36の近傍に、冷接点が基板33(図3参照)上の配設されている熱電素子35(図3参照)は、触媒36の温度と基板33の温度との温度差を電圧に変換し、出力電圧として制御回路13に送信する。制御回路13は、ガスセンサ装置84で検出されたガス量に基づいて、ワークW1のガス漏れ検知を行う検知部であり、制御回路13では、送信された出力電圧に基づいて、触媒36の温度を計測し、計測した触媒36の温度からガスの濃度(ガス量)を検出し、ガス漏れの有無を判定する。
第1支持体83Aには、フィルタ部材88が取り付けられている。フィルタ部材88は、ワークW3のガス漏れ検知の際、仕切基板86とワークW3の間に配置される。仕切基板86における複数のガスセンサ31を覆う部分は、フィルタ部材88によって覆われている。フィルタ部材88は、ワークW3のガス漏れ検知を行う際、ワークW3に当接して設けられる。フィルタ部材88は、上記第1実施形態のフィルタ部材7と同様の構造をなしている。
第1支持体83Aの両端部には、それぞれ密閉部材89が取り付けられている。密閉部材89は、例えばゴムなどの弾性体によって構成されている。また、第2分割プローブ82Bには、第1分割プローブ82Aと同様の第2支持体83B、同様のガスセンサ装置84、仕切基板86、支持体駆動装置87、フィルタ部材88、及び密閉部材89が設けられている。また、第1支持体83Aに取り付けられた密閉部材89と、第2支持体83Bに取り付けられた密閉部材89が密着することにより、プローブ82の内側に、ワークW3と略同一形状の略直方体状の密閉空間が形成される。
図11(A)には、第1支持体83A及び第2支持体83Bが後退した状態を示している。第1支持体83A及び第2支持体83Bが後退した状態では、第1支持体83Aに取り付けられた密閉部材89と、第2支持体83Bに取り付けられた密閉部材89は離反しており、プローブ82の内側は開放されている。
この状態から、第1分割プローブ82A及び第2分割プローブ82Bに設けられた支持体駆動装置87を駆動させることにより、図11(B)に示すように、第1支持体83A及び第2支持体83BがワークW3の方向に前進する。第1支持体83A及び第2支持体83Bの前進に伴い、第1支持体83A及び第2支持体83Bの密閉部材89が徐々に近接し、最終的には当接する。第1支持体83A及び第2支持体83Bの密閉部材89が当接すると、第1支持体83A及び第2支持体83Bにそれぞれ取り付けられたフィルタ部材88がワークW3に当接し、ワークW3がプローブ82に包み込まれる。
本実施形態に係るガス漏れ検知装置81を用いて、ワークW3のガス漏れ検知を行う際には、図11(A)に示す状態で第1支持体83A及び第2支持体83Bの間にワークW3を設置し、第1分割プローブ82A及び第2分割プローブ82Bのそれぞれの支持体駆動装置87を作動させて、第1支持体83A及び第2支持体83Bを近接させ、さらには、図11(B)に示すように、第1支持体83A及び第2支持体83Bの密閉部材89を密着させる。
このとき、第1分割プローブ82A及び第2分割プローブ82Bのそれぞれにおけるフィルタ部材88がワークW3の表面に当接し、ワークW3は、ガス漏れ検知装置81の第1支持体83A及び第2支持体83Bによって包み込まれる。また、第1分割プローブ82A及び第2分割プローブ82Bのそれぞれにおける仕切基板86には、一定の離間距離でガスセンサ31が設置されているので、仕切基板86が介在されたガスセンサ31とワークW3の相対距離が維持される。
ガス漏れ検知装置81の第1支持体83A及び第2支持体83BによってワークW3を包み込んだら、ワークW3とプローブ82の内側面との間の密閉空間にトレーサーガスGを含まない窒素またはドライエアを封入する。さらに、ワークW3にトレーサーガスGを導入する。また、ガスセンサ装置84では、第1実施形態に示すガスセンサ装置3と同様にしてガスセンサ31によってガス漏れを検知する。ワークW3からガス漏れが発生していると、図11(A)に示すように、流入孔86A(図12参照)からプローブ82内にトレーサーガスGが周囲の空気とともに流入する。プローブ82内に流入したトレーサーガスGは、ガスセンサ31を通りすぎることが多い。このため、ガスセンサ31によってトレーサーガスGを精度よく検知することができる。
また、図12に示すように、ガスセンサ装置84における複数のガスセンサ31には、検知用ガスセンサ31Aと参照用ガスセンサ31Bが含まれている。ガス漏れ検知の際には、検知用ガスセンサ31Aの検知結果と参照用ガスセンサ31Bの検知結果の差を計測している。こうして、検知用ガスセンサ31AによってワークW3からのガス漏れを検知するとともに、参照用ガスセンサ31Bによって検知用ガスセンサ31Aの検知結果を確認する。
以上の構成を有する第3実施形態に係るガス漏れ検知装置81では、上記第1実施形態に係るガス漏れ検知装置1と同様の作用効果を奏する。例えば、ガス漏れ検知装置81は、ガスセンサ31に電気的に接続され、ワークW3とガスセンサ31との間を仕切る仕切基板86を備えている。また、仕切基板86とガスセンサ31とは、半田ボール50Hによって一定のギャップを保持して設けられている。このため、ワークW2のガス漏れ検知の際、仕切基板86が介在されたガスセンサ31とワークW2の相対距離が維持される。したがって、ガスセンサ31とワークW2との相対距離を一定に維持することができるので、ガス漏れ検知を高い精度で行うことができる。また、ケースやパッケージなどを用いることなくガスセンサ装置84を設けることができるので、ガス漏れ検知装置1が全体として小型化されることにより、検出時間を短くするとともに、検出感度を向上させることができる。
また、上記第3実施形態に係るガス漏れ検知装置81では、プローブ82によってワークW3の全体を包み込んで、ワークW3の全体におけるガス漏れを一気に検知している。このため、ワークW3のガス漏れの検知を短時間で済ませることができる。また、第1分割プローブ82A及び第2分割プローブ82Bのそれぞれの支持体駆動装置87を作動させることによって、プローブ82でワークW3を包み込むことができる。したがって、プローブ82によってワークW3を容易に包み込むことができる。
また、上記第3実施形態に係るガス漏れ検知装置81では、ガスセンサ31として、仕切基板86の相対する位置に流入孔86Aが形成された検知用ガスセンサ31Aと、仕切基板86の相対する位置に流入孔86Aが形成されていない参照用ガスセンサ31Bとが設けられている。このため、ガス漏れ検知の際には、検知用ガスセンサ31Aの検知結果と参照用ガスセンサ31Bの検知結果の差を計測することにより、ドリフトを低減することができる。したがって、検知用ガスセンサ31AによってワークW3からのガス漏れを検知するとともに、参照用ガスセンサ31Bによって検知用ガスセンサ31Aの検知結果を確認できるので、ガス漏れ検知をさらに高い精度で行うことができる。
なお、上記第3実施形態では、ワークW3とプローブ82の内側面との間の密閉空間にトレーサーガスGを含まない窒素またはドライエアを封入しているが、これらの窒素またはドライエアを封入しないようにしてもよい。また、ガスセンサ31に対して仕切基板86の配線から電流を供給しているが、第1支持体83A及び第2支持体83Bまたはその一方に配線が設けられたベース基板を設け、このベース基板からガスセンサ31に電流を供給するようにしてもよい。
また、上記第3実施形態では、ガス漏れを検知するワークW3は直方体状であるが、円筒状など、他の形状のワークについてのガス漏れを検知することもある。この場合には、形状をワークの形状に合わせた形状のプローブを用いればよい。例えば、ワークが円筒形状である場合には、プローブの内側に形成される空間が略円筒形状となるようにすればよい。このようなプローブでは、例えば、円筒形の底面に直交し、底面の円の中心をとおる直線を含む面でプローブを2つに分割し、2つの分割プローブを上記第3実施形態のようなアクチュエータを用いて分割プローブを組み合わせるようにしてもよい。あるいは、分割プローブに蝶番を連結し、蝶番をアクチュエータで作動させて、分割プローブを組み合わせるようにしてもよい。
また、上記第3実施形態では、第1分割プローブ82A及び第2分割プローブ82Bの2つを組み合わせてプローブ82を形成しているが、3つあるいは4つ以上の分割プローブを組み合わせるようにしてもよい。また、上記第3実施形態では、アクチュエータとしてエアシリンダを用いているが、他のアクチュエータを用いてもよく、例えば、電磁(モータ、ソレノイド)、圧電、静電、油圧、磁歪、形状記憶合金、バイメタル、導電性高分子等のアクチュエータを用いてもよい。
[第3変形例(第3実施形態)]
本発明の第3実施形態について説明する。第3変形例は、第3実施形態の変形例である。図13は、第3変形例に係るガス漏れ検知装置の正断面図であり、(A)は、プローブによってワークを包み込む前を示す図、(B)は、プローブによってワークを包み込んだ後を示す。
図13に示すように、本変形例に係るガス漏れ検知装置91は、プローブ92を備えている。プローブ92は、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dを備えている。第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dは、いずれも板状の部材によって形成されている。また、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dの前側には、図示しない前側分割プローブが設けられており、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dの後側には、図示しない後側分割プローブが設けられている。これらの6枚の分割プローブが組み合わされることにより、プローブ92の内側に略直方体状の空間が形成される。ガス漏れ検知を行うワークW3は、プローブ92の内側に形成される形状と略同一の形状をなす。また、本実施形態では、ガス漏れを検知する対象となるワークW3は、略直方体状をなしている。
プローブ92の内側には、ベース基板93が設けられている。ベース基板93は、フレキシブル基板であり、可撓性を有している。ベース基板93の内側には、ガスセンサ装置94が設けられている。ガスセンサ装置94は、複数のガスセンサモジュール95を備えており、ガスセンサモジュール95は、複数のガスセンサ31(図3参照)を備えている。これらの複数のガスセンサ31は、略等間隔をおいてベース基板93に対して半田ボールによって固定されて取り付けられている。ベース基板93におけるガスセンサ31が取り付けられた位置の間の位置には、ベース基板93が全体として蛇腹状に変形する折り癖が付けられている。
第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dには、それぞれ駆動装置96における第1作用部96A〜第4作用部96Dが接続されている。駆動装置96は、第1作用部96A〜第4作用部96Dと、図示しないモータ及びリンク機構と、を備えている。第1作用部96A〜第4作用部96Dは、リンク機構を介してアクチュエータとなるモータに接続されており、リンク機構は、モータを回転させることにより、第1作用部96A〜第4作用部96Dを同時に前進または後退させる機構となっている。
第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dの各両端部には、それぞれ密閉部材97が取り付けられている。密閉部材97は、例えばゴムなどの弾性体によって構成されている。第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dを前進させると、隣接する第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dの端部に取り付けられた密閉部材97が密着し、プローブ92の内側にワークW3と略同一形状の略直方体状の密閉空間が形成される。
第1分割プローブ92Aには、多芯ケーブル46が接続される接続部材92Eが設けられている。また、ベース基板93には、導電体層となる配線が設けられている。ベース基板93に設けられた配線は、多芯ケーブル46の配線に対して電気的に接続されている。ベース基板93の配線にガスセンサ31が電気的に接続されている。ベース基板93におけるガスセンサ31が取り付けられた位置には、流入孔93Aが形成されている。
図13(A)には、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dが後退した状態を示している。この状態では、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dに取り付けられた密閉部材97と、隣接する密閉部材97は離反しており、プローブ92の内側は開放されている。
この状態から、駆動装置96を作動させることにより、図13(B)に示すように、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92DがワークW3の方向に前進する。第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dの前進に伴い、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dにおける隣接する密閉部材97同士が徐々に近接し、最終的には当接する。第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dの密閉部材97が近づくと、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dのベース基板93の折り癖が付けられた部分が折れ曲がり、ベース基板93が全体的に小さくまとまる。そして、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dにおける隣接する密閉部材97同士が当接すると、ベース基板93の折り癖が付けられた複数の部分は、ワークW3の表面に当接し、ワークW3がプローブ92に包み込まれる。
本実施形態に係るガス漏れ検知装置91を用いて、ワークW3のガス漏れ検知を行う際には、図13(A)に示す状態で第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92D及び図示しない前側分割プローブと後側分割プローブとの間にワークW3を設置する。続いて、駆動装置96を作動させて、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dを前進させ、さらには、図13(B)に示すように、第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92D端部における密閉部材97を密着させる。
このとき、ベース基板93の折り癖が付けられた部分がワークW3の表面に当接し、ワークW3は、プローブ92ガスセンサ31は、ベース基板93に等間隔で設けられ、折り癖が付けられた部分は、それぞれガスセンサ31から略等間隔で配置されているので、ベース基板93の折り癖が付けられた部分が介在されたガスセンサ31とワークW3の相対距離が一定に維持される。
プローブ92によってワークW3を包み込んだら、ワークW3とプローブ92の内側面との間の密閉空間にトレーサーガスGを含まない窒素またはドライエアを封入する。さらに、ワークW3にトレーサーガスGを導入する。また、ガスセンサ装置94では、第1実施形態に示すガスセンサ装置3と同様にしてガスセンサ31によってガス漏れの検知を行うを検知する。
以上の構成を有する第3変形例に係るガス漏れ検知装置91では、上記第1実施形態に係るガス漏れ検知装置1と同様の作用効果を奏する。例えば、ガス漏れ検知装置91は、ガスセンサ31に電気的に接続されたベース基板93備えている。また、ワークW3とガスセンサ31とは、ベース基板93における折り癖が付けられた部分によって一定のギャップを保持して設けられている。このため、ワークW2のガス漏れ検知の際、ガスセンサ31とワークW2の相対距離が維持される。したがって、ガスセンサ31とワークW2との相対距離を一定に維持することができるので、ガス漏れ検知を高い精度で行うことができる。また、ケースやパッケージなどを用いることなくガスセンサ装置94を設けることができるので、ガス漏れ検知装置1が全体として小型化されることにより、検出時間を短くするとともに、検出感度を向上させることができる。
また、上記第3変形例に係るガス漏れ検知装置91では、プローブ92によってワークW3の全体を包み込んで、ワークW3の全体におけるガス漏れを一気に検知している。このため、ワークW3のガス漏れの検知を短時間で済ませることができる。また、駆動装置96を作動させて第1分割プローブ92A〜第4分割プローブ92Dを前進させることによって、プローブ92でワークW3を包み込むことができる。したがって、プローブ92によってワークW3を容易に包み込むことができる。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、なお、ガスセンサ31としては、接触燃焼式ガスセンサ以外のセンサ、例えば、熱伝導式、半導体式、電気化学式等の方式のセンサを用いてもよい。また、触媒36の温度と基板33の温度との温度差を計測する素子としては、熱電素子35以外の素子でもよく、例えば、抵抗体や赤外線検出素子等の素子を用いてもよい。
また、上記の各実施形態及び変形例において、ガス漏れ検知装置は、複数のガスセンサを有しているが、ガスセンサは単数(1つ)であってもよい。また、上記各実施形態や変形例で示した他の構成例などは、その他の実施形態や変形例において適宜適用するようにしてもよい。