JP2018158860A - 液体資材及び液体資材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
試験1では、有用微生物及びタンパク質を含まない液体資材(本願の液体資材と比較する資材であって図中において「A」で示す、有用微生物のみを含む液体資材(本願の液体資材と比較する資材であって図中において「B」で示す)、有用微生物とタンパク質とを含む本願発明の液体資材(図中において番号「C」「D」で示す)を、夫々植物に接種して、この植物の生育状態を比較すると共に、植物ホルモンの産出に効果的な有用微生物の濃度とタンパク質の濃度を検討する。
尚、ペプトンを用いる下記の各試験でも、試験1と同じペプトンを用いた。
(1)試験場所:温室
(2)供試植物品種:〔図1〕レタス「シルル」、〔図2〕ハクサイ「ちよぶき70」、〔図3〕キャベツ「おきな」、〔図4〕ブロッコリー「ピクセル」
(3)供試菌株:前述の2種類のアゾ菌株
(4)処理方法:本葉展開期から1週間後に、下記(5)のA〜Dに記載の構成となるように調整した溶液100mlを1トレーに対し500mlの水で希釈して液体資材A〜Dとし、この液体資材A〜Dを夫々ジョウロで散布した。
(5)試験処理:
A;溶液中の菌株濃度×ペプトン濃度(0cfu/ml×0%)
B;溶液中の菌株濃度×ペプトン濃度(106、107、108cfu/ml×0%)
C;溶液中の菌株濃度×ペプトン濃度(106、107、108cfu/ml×0.1%)
D;溶液中の菌株濃度×ペプトン濃度(106、107、108cfu/ml×1%)
尚、(4)においてB〜Dを水で希釈してなる液体資材B〜Dの苗1株当たりの接種菌数は、105cfu、106cfu、107cfuとなる。
(6)供試培土:スミソイル(覆土:バーミキュライト)
(7)育苗トレー:128穴プラグトレー
(8)調査株数:50株(25株×2反復)。尚、育苗トレーの淵より2列は調査対象外とした。
(9)調査項目:葉数、苗長(キャベツ・ブロッコリーのみ)、葉長、乾物重(地上・地下部)、株当りの感染数
また、地下部乾物重の調査株数は40株とし、残りの10株はアゾ菌株の感染の有無の調査に用いた。
次に、アゾ菌株の供試植物への感染数を試験2によって確認する(図5〜図8参照)。
試験1で得られた地下部乾物の10株の感染数を算出する。具体的には、地下部乾物に付着した培土を洗い流した根をハサミで細く刻みPBS20mlを入れ乳鉢で摩砕し、その摩砕液を希釈してRCプレートへ塗布後、プレートに生じた2種類のアゾ菌株のコロニーを計数して株あたりの感染数を算出した(希釈頻度法:3反復)。
試験1及び試験2において、ペプトンの添加によりアゾ菌株の増殖能の向上が認められ、試験1及び試験2で使用した液体資材Dを施用することで、供試植物の生育促進・増収効果が期待できる。
1.供試菌株:アゾ菌株A1、アゾ菌株A2
2.培養方法
(1)前培養:アゾ菌株A1及びアゾ菌株A2について純化を確認したコロニー1白金耳を40mlの培養液に夫々接種し、この培養液を28℃・120rpmで48時間振盪培養してアゾ菌株A1及びアゾ菌株A2夫々の菌液(菌液A10、菌液A20)を得た。
(2)培養1:前培養で得た菌液A10、A20を20mlずつ300mlの培養液に接種し、この培養液を28℃・120rpmで48時間振盪培養して混合菌液A30を得た。
(3)培養2(継代培養):培養1で得た混合菌液20mlを300mlの培養液に接種し、この培養液を28℃・120rpmで48時間振盪培養して継代菌液A40を得た。
(4)生菌数の測定:菌液A10、菌液A20、混合菌液A30、継代菌液A40の夫々の生菌数を希釈平板法により測定した。
試験1〜試験3の結果から、ペプトンの添加によってアゾ菌株の増殖能及びIAAの産出能が向上し、しかも、2種類のアゾ菌株A1とアゾ菌株A2が同一の培養液中での混合培養ができることが示されている。
(1)供試菌株:アゾ菌株A1、アゾ菌株A2
(2)混合菌液A30の培養方法:ペプトン濃度1%、3%、5%、6%、7%、8%、10%の溶液300mlに、アゾ菌株A1の濃度が1×109cfu/mlの菌液A10と、アゾ菌株A2濃度が1×109cfu/mlの菌液A20を、夫々10ml接種して24時間放置して混合菌液A30を得た。
(3)調査方法:混合菌液A30の生菌数を希釈平板法により測定し、この生菌数と混合菌液A30の接種時の生菌数とを比較する。
試験1〜試験4では、ペプトンの添加によってアゾ菌株の増殖能及びIAAの産出能が向上すること、2種類のアゾ菌株A1、A2が同一の培養液中で競合することなく生存できること、アゾ菌株の増殖能及びIAAの産出能の向上に好適なペプトン濃度が存在すること等が示された。
(1)供試菌株:アゾ菌株A1、A2
(2)供試培地:ペプトン1%培地(混合菌液A30用)・5%培地(混合菌液A31用)
(3)保存温度:5・10・20・28℃
(4)保存期間:3か月間
(5)混合菌液A30、A31の培養方法:ペプトン1%培地・5%培地を用いて試験4と同様の培養方法で混合菌液A30、A31を得た。
(6)調査方法:混合菌液A30、A31を分注したアイボーイを、5・10・20・28℃の温度下でに静置し、生菌数の推移を測定した。混合菌液A30、A31の生菌数は希釈平板法により測定した。
試験5の結果から菌液中のペプトン濃度が高い方が、生菌数の保存能力が高く、20℃の保存温度が生菌数の保存に適していることが認められた。試験6では、試験5における各温度下での生菌数の保存能力の向上の可否を検討する。
(1)供試菌株:アゾ菌株A1、A2
(2)供試培地:ペプトン1%培地・5%培地
(3)保存温度:5・10・20・28℃
(4)混合菌液A30の培養方法:ペプトン1%培地300mlにアゾ菌株A1、A2の培養液(6×108cfu/ml)を夫々20ml接種し、48時間振盪培養して混合菌液A30を得た。
(5)混合菌液A31の培養方法:ペプトン5%培地300mlにアゾ菌株A1、A2の培養液(6×108cfu/ml)を夫々20ml接種し、48時間振盪培養して混合菌液A31を得た。
(6)液体資材の調整:混合菌液A30を10mlアイボーイに分注し、分注した混合菌液A30に同量の滅菌した保護液(10%・20%ペプトン溶液)を添加して液体資材A40a(10%ペプトン溶液)、液体資材A40b(20%ペプトン溶液)を得た(図14参照)。
(7)液体資材の調整:混合菌液A31を10mlアイボーイに分注し、分注した混合菌液A31に同量の滅菌した保護液(5%・10%ペプトン溶液)を添加して液体資材A41a(5%ペプトン溶液)、液体資材A41b(10%ペプトン溶液)を得た(図14参照)。
(8)調査方法:液体資材A40a、A40b、A41a、A41bを分注したアイボーイを、(3)に示すの温度下で静置して生菌数の変化を測定した。また、液体資材A40a、A40b、A41a、A41bの比較対象として、ペプトン溶液を添加しない混合菌液A30、A31を用いた。液体資材A40a、A40b、A41a、A41b及び混合菌液A30、A31の生菌数は希釈平板法により測定した。
このことからも、生菌数の減少の抑制に最も効果的なペプトン濃度が5%〜5.5%付近であることが証明できる。
試験7では、10℃以下の温度下でのアゾ菌株A1、A2の維持効果を、2種類の手段〔試験7A〕〔試験7B〕によって調査した。
〔試験7A〕(図17〜図19参照)
(1)供試菌株:アゾ菌株A1、A2
(2)供試培地:ペプトン1%培地・ペプトン5%培地
(3)保存温度:5・10・20・28℃
(4)液体資材の調整:供試培地300mlに、アゾ菌株A1、A2の混合培養液(6×108cfu/ml)を20ml接種して48時間振盪培養し得られた菌液を、滅菌済みのアイボーイに無菌下で10ml分注した。その菌液に同量の滅菌した保護液(ペプトン・トレハロース(糖類)溶液)を添加した。保護液のペプトン濃度は試験5で、比較的結果が良かった濃度、すなわち、供試培地のペプトン濃度が1%の場合は10%、供試培地のペプトン濃度が5%の場合は5%とした。また、保護液中のトレハロース濃度は0・5・10・20%とした。
(5)調査方法:液体資材を分注し、(2)で示す温度下に静置後、生菌数の変化を測定した。各液体資材の生菌数は希釈平板法により測定した。
尚、以下では、各液体資材に、図16に示す符号を付して説明する。また、トレハロースを添加していない液体資材を比較資材とし、この比較資材は、試験5、6で用いた混合菌液(以下、「液体資材」という)A30、A31及び液体資材A40a、A41aを用いた。
試験7Aの(4)の方法で調整された液体資材A50〜A70、液体資材A51〜A71は、前述のとおり、5℃、10℃の温度下では、生菌数の維持について効果が認められなかったが、アゾ菌株A1、A2の活性が高い20℃、28℃の温度下では、生菌数の維持について効果があった。
(1)供試菌株:アゾ菌株A1、A2
(2)供試培地:ペプトン1%+トレハロース1・5・10%
(3)保存温度:5・10・20・28℃
(4)液体資材の調整:供試培地300mlに、供試菌株の混合培養液(6×108cfu/ml)を20ml接種し、48時間振盪培養して得られた菌液を滅菌済みのアイボーイに無菌下で10ml分注した。
すなわち、試験7Bの液体資材の調整方法は、あらかじめ、ペプトンとトレハロースを添加した供試培地を用いて液体資材を調整する方法であって、この点で試験7Aの液体資材の調整方法と異なっている。
尚、以下では、各液体資材に、図20に示す符号を付して説明する。また、トレハロースを添加していない液体資材を比較資材とし、この比較資材は、試験7Aで用いた液体資材A30を用いた。
(5)調査方法:液体資材をアイボーイに分注し、(3)で示す温度下に静置後、生菌数の変化を調査した。液体資材の生菌数は希釈平板法により測定した。
試験7Bでは、トレハロースを含む培地でアゾ菌株を増殖した液体資材は、生菌数の減少が抑制され、特に、トレハロースの添加濃度が5%、10%で広い温域で減少抑制が確認された。
試験8では、試験7Bで得られた混合培養液に保護液としてペプトン溶液を添加したた場合の生菌数の減少を測定し、生菌数の維持効果の有無を調査した。
(1)供試菌株:アゾ菌株A1、A2
(2)供試培地:試験7Bと同じ。
(3)保護液:ペプトン10%溶液
(4)保存温度:5・10・20・28℃
(5)液体資材の調整:供試培地300mlに、アゾ菌株A1、A2の混合培養液(6×108cfu/ml)を10ml接種し48時間振盪培養して得られた混合菌液に、この混合菌液と同量のペプトン10%溶液を添加した。ペプトン10%溶液を添加した混合菌液を滅菌済みのポリ瓶(豆乳瓶)に無菌下で200ml分注した。
尚、以下では、各液体資材に、図22に示す符号を付して説明する。また、トレハロースを添加していない液体資材を比較資材とし、この比較資材は、試験7Aで用いた液体資材A40aを用いた。
(6)調査方法
液体資材を分注したポリ瓶を、(4)に示す温度下に静置後、生菌数の変化を3か月間測定した。生菌数は希釈平板法により測定した。
試験9では、広い温度域にわたって生菌数を維持する効果を有する液体資材91を、さらに長期間(12か月間)にわたる生菌数の減少を測定して生菌数の維持効果の有無を調査した。
前述の各試験において用いられたタンパク質はペプトンであったが、試験10において、アゾ菌株の増殖及びIAAの産出能に好適なタンパク質、タンパク分解物、タンパク質を含む物質を調査した。
(1)供試菌株:アゾ菌株
(2)供試タンパク質:酵母エキス、ペプトン、パンクレアチンカゼイン、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、スキムミルク
(3)調査方法:各たんぱく質の1%溶液を、100ml三角フラスコに30ml分注後、121℃で30分滅菌した溶液に培養3日目のアゾ菌株懸濁液(1.27×109cfu/ml)を100μl接種し、接種した溶液を20℃の暗所で7日間振盪培養して培養液を得た。その培養液から100μl抜き取り希釈してプレートに塗抹後(菌密度測定のため)、残りの培養液を6,000rpmで10分間遠心分離し得られた上澄み液についてサルコフスキー発色法によりIAA産出量を測定した。
尚、参考例として、IAAの前駆体であるトリプトファン溶液(0.1%)を用いて、(3)と同様の方法でIAA産出量を測定した。
また、各タンパク質等の溶液のpHは土壌条件に近づけるためpH6.0とした。ただし、アルブミン、カゼインは低pHで凝固反応を起こすためpH6.8とした。
A40b:液体資材
A41a:液体資材
A40b:液体資材
A50:液体資材
A60:液体資材
A70:液体資材
A51:液体資材
A61:液体資材
A71:液体資材
A80:液体資材
A81:液体資材
A82:液体資材
A90:液体資材
A91:液体資材
A92:液体資材
Claims (7)
- 有用微生物とタンパク質とが少なくとも含まれている液体資材。
- 糖類が含まれている請求項1に記載の液体資材。
- 前記有用微生物がアゾスピリラム属に属する微生物である請求項1又は2に記載の液体資材。
- 前記タンパク質がペプトン類及び/又は酵母エキスである請求項1乃至3いずれか1項に記載の液体資材。
- 液体資材の製造方法であって、
タンパク質と糖類とを含む液体培地に有用微生物を接種することを特徴とする液体資材の製造方法。 - 液体資材の製造方法であって、
タンパク質を含む液体培地に有用微生物を接種して得られた菌液に、少なくともタンパク質を含む保護液を添加することを特徴とする液体資材の製造方法。 - 前記保護液は、糖類が含まれていることを特徴とする請求項6に記載の液体資材の製造方法。
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