JP2018157700A - 発電システム、発電制御装置、発電制御方法、および発電システムの連系発電電力の拡大方法 - Google Patents

発電システム、発電制御装置、発電制御方法、および発電システムの連系発電電力の拡大方法 Download PDF

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Abstract

【課題】系統連系容量を超過しない合成発電電力を電力系統に供給可能とする。【解決手段】第1の発電設備と第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力を、電力系統21へ供給する発電制御装置15を備え、発電制御装置15は、第1の発電設備の発電電力を予測する発電電力の予測手段を具備し、系統連系容量から設定された上限値、または系統連系容量を考慮し任意に定めた目標値から、発電電力の予測手段により予測された第1の発電設備が発電する電力の予測値を差し引いた電力値に基づき、第2の発電設備における発電電力の制限指令値を算出し、第1の発電設備の発電電力の予測値と、第2の発電設備における発電電力の算出した制限指令値とを合計した合成発電電力が、上限値または目標値を超えるか否かを判定し、上限値または目標値を超える場合に、算出した制限指令値を第2の発電制御装置または第2の発電設備に出力制御信号として送信する。【選択図】図1

Description

本発明は、複数種の発電設備を備える発電システム、発電制御装置、発電制御方法、および発電システムの連系発電電力の拡大方法に関する。
枯渇の可能性がある化石エネルギーを用いずに、自然界に存在する再生可能エネルギー(自然エネルギー)を電力エネルギーに変換する代表的な発電方法として太陽光発電と風力発電を挙げることができる。これら再生可能エネルギーを利用した発電は、地球温暖化の主因となる二酸化炭素をほとんど発生させないことから、地球規模の温暖化という環境問題を解決する手段として全世界で普及が進行しつつある。
再生可能エネルギーを利用した発電装置で発電された電力は、多くの場合、商用の電力系統に連系されるが、そのためには事前に発電装置が供給する最大出力電力(以下、系統連系容量という)が定められる。また、非特許文献1のように、系統連系容量は、一般的に、電源の種類によらず、最大出力の送電を前提にして確保される。なお、本明細書では、最大出力と定格出力は特に区別せずに用いることとする。つまり、上記の場合、系統連系容量は定格出力の送電を前提にして確保されるとも言い換えることができる。
火力発電設備、バイオマス発電設備などのいわゆる安定電源は、設備利用率が60−80%である。これに対し、自然エネルギーによって発電電力が左右される太陽光発電設備や風力発電設備においては、安定電源のように設備利用率が高くない。例えば、太陽光発電設備は雨天時や夜間、風力発電設備は風が弱いときには発電電力が減少することから、設備利用率が太陽光発電設備では13−15%程度、風力発電設備が24−26%程度(全国平均)である。このように、太陽光発電設備や風力発電設備においては、確保している系統連系容量を有効に活用できているとは言い難いのが実状である。
なお、上記設備利用率は次の式で求められる。例えば、1年間の設備利用率を求める場合、
1年間の設備利用率(%)
=年間発電電力÷{発電設備容量×365(日)×24(時間)}×100
となる。
この問題を解決する方法の一つとして、太陽光発電と風力発電を一体化することで、お互いの発電効率を補完する発電装置が提案されている。例えば、特許文献1には、太陽光により発電する素子を風力発電機の羽や支柱の表面に組み込んだ発電装置の例が開示されている。また、特許文献2には、風力発電装置と蓄電池とからなり商用の電力系統に連系された発電システムにおいて、近い未来の風力発電電力を予測し、その予測値に基づいて蓄電池の充放電電力量を制御する例が開示されている。
特開2014−105701号公報 特開2013−219941号公報
例えば、東北電力株式会社「系統アクセス検討基準(特別高圧)P.3
本発明においては、主に既接続の第1の発電設備に、第2の発電設備を新規に追加設置すること、ならびに第1の発電設備と第2の発電設備を新規で同時に設置することを想定している。なお、本明細書では、前者を想定して主に記述するが、後者の場合でも何ら問題なく適用できる。
例えば、既設の太陽光発電設備に風力発電設備を新規追加する場合であり、あるいはその逆の場合である。前者で追加設置した場合、その発電サイトは連系点において商用電力系統と接続されるが、系統連系容量は第1の発電設備の最大出力で定まることから変更されないのが一般的である。つまり、系統連系容量を超える電力を商用の電力系統へ供給することはできないのが一般的である。なお、本明細書では、系統連系容量を超えないように電力を供給することを想定して記述しているが、系統連系容量に限らず、あらかじめ設定した任意の発電電力であっても何ら問題なく適用できる。
特許文献1に開示された発電装置は、風力発電電力と太陽光発電電力を足し合わせた電力を供給することが可能な装置であるものの、どちらか一方、あるいは両方の発電設備の発電電力を制御しながら、系統連系容量を超えないようにすることは想定されていない。つまり、気象条件により変動する発電電力を、系統連系容量を超えないように、いかにして制御するかの具体例は記載されていない。
特許文献2に開示された蓄電池を備えた風力発電システムでは、系統連系容量を超えても、その超過した電力を蓄電池に蓄えることが可能になる。しかしながら、特許文献2に開示された発明では、風力発電設備と多種の発電設備とを組み合わせることについては、何ら考慮されておらず、本発明の特徴のひとつである連系発電電力の拡大という視点では考えられていない。
以上の従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、既接続の第1の発電設備に、第2の発電設備を新規に追加導入し、それらの合成発電電力を既接続の第1の発電設備おける系統連系容量を上限値として、第2の発電設備の発電電力を制御する発電システム、発電制御装置、発電制御方法および発電システムの連系発電電力の拡大方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明に係る発電システム、発電制御装置、発電制御方法および発電システムの連系発電電力の拡大方法は、
第1のエネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、第2のエネルギー源により電力を発電する第2の発電設備と、前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置と、前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力を、電力系統へ供給する発電制御装置とを備え、前記発電制御装置は、前記第1の発電設備の発電電力を予測する発電電力の予測手段を具備し、系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値から、前記発電電力の予測手段により予測された前記第1の発電設備が発電する電力の予測値を差し引いた電力値に基づき、前記第2の発電設備における発電電力の制限指令値を算出し、前記第1の発電設備の発電電力の予測値と、前記第2の発電設備における発電電力の前記算出した制限指令値とを合計した合成発電電力が、前記上限値または目標値を超えるか否かを判定し、前記上限値または目標値を超える場合に、前記算出した制限指令値を前記第2の発電制御装置または前記第2の発電設備に出力制御信号として送信することを特徴とする。これにより、系統連系容量を超過しない発電電力を電力系統に供給できるようになる。このとき、前記第1の発電設備、前記第2の発電設備の片方あるいは両方に発電電力を監視するための監視装置があると一層効果的である。
また、別の本発明に係る発電システム、発電制御装置、発電制御方法および発電システムの連系発電電力の拡大方法は、
第1のエネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、第2のエネルギー源により電力を発電する第2の発電設備と、前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置と、前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した前記合成発電電力を、電力系統へ供給する発電制御装置とを備え、前記発電制御装置は、前記第1の発電設備の発電電力と、前記第2の発電設備の発電電力を計測し、それらの発電電力を合計した合成発電電力が、系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値を超えるか否かを判定し、前記上限値または目標値を超える場合に、前記上限値または目標値より、前記第1の発電設備の発電電力を差し引いた電力値に基づき、前記第2の発電設備の制限指令値を算出し、前記算出した制限指令値を前記第2の発電制御装置または前記第2の発電設備に出力制御信号として送信することを特徴とする。これにより、系統連系容量を超過しない発電電力を電力系統に供給できるようになる。
また、別の本発明に係る発電システム、発電制御装置、発電制御方法および発電システムの連系発電電力の拡大方法は、
前記発電システムに電力を蓄電する蓄電設備と、前記蓄電設備の充放電を制御する蓄電池制御装置とを備えてなり、前記発電制御装置は、前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力が、系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値を超えるか否かを判定し、前記上限値あるいは前記任意に与えた目標値を超える場合には、前記蓄電池制御装置に対し、前記上限値あるいは前記任意に与えた目標値を超える分の電力を前記蓄電設備に蓄電させることを指令して、前記上限値あるいは任意に与えた目標値を最大値として電力系統へ供給する電力を減少させる手段と、前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力が、前記上限値あるいは前記任意に与えた目標値に達しない場合には、前記蓄電池制御装置に対し、前記上限値あるいは任意に与えた目標値に達しない分の電力を前記蓄電設備から放電させることを指令して、前記上限値あるいは任意に与えた目標値を最大値として前記電力系統へ供給する電力を増加させる手段とを備え、充放電の指令を前記蓄電池制御装置に出力制御信号として送信することを特徴とする。これにより、系統連系容量を超過しない発電電力を電力系統に供給できるようになる。
また、別の本発明に係る発電システム、発電制御装置、発電制御方法、連系発電電力の拡大方法は、経済性を考慮して、出力制限する発電設備を選択する機能を有する。さらに、前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の単位時間当たりの発電電力の変動が規定値を超えた場合には、片方あるいは両方の発電設備の制限指令値を気象状態に応じた係数で加減乗除して可変にする機能を有する。さらに、第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、各種データに重み付けする機能を有する。さらに、第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、少なくとも日射量、日射強度、風速、風向、気圧、気温、降水量、相対湿度、日照時間、気象衛星画像などの上空からの画像、地上からの画像から選ばれる少なくとも1つ、またはそれらを組合せた複数データを用いる。さらに、所定期間内に求めた前記第1の発電設備の発電電力の過去の計測値に対して、少なくとも所定期間内の平均値、最大値、最小値、中間値、瞬時値の少なくとも1つを含む複数の値を求め、求めた複数の値の中からその時の気象条件に応じて選択した値を前記第1の発電設備の発電電力の予測値として使用する。さらにまた、前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置に対する制限指令値を出力制御信号として一定時間あるいは任意時間間隔ごとに送信するとともに、前記第2の発電制御装置は、次に出力制御信号を受信するまでの期間は、今回受信した制限指令値に従って前記第2の発電設備の発電電力を制御する。
また、別の発明に係る発電システム、発電制御装置、発電制御方法、連系発電電力の拡大方法において、前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の時間当たりの発電電力変化率が設定値を超える場合、あるいは超えると予測される場合に、前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の片方あるいは両方に出力制限をかけることにより、前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の時間当たりの発電電力変化率を設定値以下に制御する。
また、別の本発明に係る発電システムの運転方法は、第1の再生可能エネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、第2の再生エネルギー源により電力を発電する第2の発電設備とを備え、前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した前記合成発電電力を、変電所を介して商用の電力系統に供給する発電システムの運転方法であって、前記第1の発電設備は、その入力である第1の再生可能エネルギー源に従って発電し、前記第2の発電設備は、その入力である第2の再生可能エネルギー源に従って制限指令の範囲内で発電するとともに、前記制限指令は、前記第1の発電設備の発電電力の予測値と系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値との差分に応じて設定されていることにより、前記合成発電電力が前記系統連系容量から設定された上限値または目標値を超過しないようにすることを特徴とする。予測側と制限側が分離されているので、相互干渉がなく予測を正しく行える。
本発明によれば、第1の発電設備に対する第2の発電設備の導入可能量の比率を最適化することで、発電設備の出力制限に関わる損失低減が可能となり、加えて、本発明の発電システムとその運転方法、発電制御装置、発電制御方法および連系発電電力の拡大方法を適用することで系統連系容量を超過しない合成発電電力を電力系統に供給することができる。また、これらを実現することで、経済性をも圧迫しない発電所にすることができる。さらに、現時点で空き容量がゼロ又はごく少量であった地域でも発電所の新規導入を可能にすることができる。
本発明の実施例1に係る発電システムの構成の例を示した図。 太陽光発電設備の最大出力に対する風力発電設備の最大出力と、風車の出力制限量の関係を示す図。 実施例1に係る発電システム10によって発電される3日間の発電電力の時間推移の例を示した図。 実施例1に係る発電システム10が太陽光発電電力と風力発電電力の合成発電電力を系統連系容量以下に調整する機能を備えていないとした場合の発電電力の時間推移の例を示した図。 実施例1に係る発電システム10において、発電電力演算部17および風力発電制御装置18が実行する制御手順の例を示した図。 太陽光発電電力の予測値に応じて発電される風力発電電力および合成発電電力の時間推移の例を示した図。 本発明における既存太陽光発電設備と、新規に設置する風力発電設備を追加する場合のステップの例を示した図。 本発明の実施例2に係る発電システムの構成の例を示した図。 系統連系容量を100%とした場合に上限値を98%に設定した場合の、系統連系容量に対する超過分を算出した結果を示す図。 系統連系容量と上限値を同じに設定した場合の、系統連系容量に対する合成発電電力の超過分を比較して示した図。 本発明の実施例3に係る発電システムの構成の例を示した図。 実施例3に係る発電システム10において発電制御装置16が実行する制御手順の例を示した図。 本発明の実施例3に係る発電システム10において蓄電池制御装置23が実行する制御手順の例を示した図。 本発明の実施例3に係る発電システム10に設定された計画値Ppおよび商用電力系統20へ供給される電力の時間推移の例を示した図。 太陽光発電設備11の発電電力の平均値からの予測手法例を示す図。 太陽光発電設備11の発電電力の最大値(または最小値)からの予測手法例を示す図。 図15の太陽光発電電力の最大値を予測値とした場合の、風車発電電力との合成発電電力を示す図。 時間当たりの発電電力変化率(dp/dt)が設定値を超える場合に、太陽光発電設備11に出力制限をかけた例を示す図。 時間当たりの発電電力変化率(dp/dt)の損失評価結果を示した図。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して詳細に説明するが、まず、本発明の前提となる考え方、および基本概念を明らかにしておく。
また実施例の項では、本発明についての多様な形態の実施例について説明する。そのため、ここでは、実施例の全体構成について予め述べておく。まず、実施例1では第1の発電設備と第2の発電設備の合成発電電力が系統連系容量を超過しないようにするために、太陽光発電設備の発電電力の予測値に基づき風力発電設備の出力を制限する発電制御装置について説明する。実施例2では、太陽光発電設備の発電電力の現在値に基づき風力発電設備の発電電力を制限する発電制御装置について説明する。実施例3では、蓄電設備を用いて、発電システム全体としての連系電力を調整する風力発電制御装置について説明する。実施例4は、予測手法について具体的に説明する。実施例5は、本発明を実施する上でのその他の事例を説明している。なお、各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
本発明の前提となる考え方、および基本概念は、以下に記す通りである。
現状、連系点に供給可能な最大電力に応じ、発電設備の系統連系容量は設定される。例えば、既に稼働している状態の太陽光発電設備のみ、10,000kWの最大(定格)電力システムにおいて、系統連系容量は10,000kWで確保されている。系統連系容量に対する実際の発電電力は、年間平均とすると太陽光発電では概ね15%、風力発電設備では概ね25%(ともに全国平均)とされている。つまり、太陽光発電や風力発電の場合は、確保した系統連系容量が有効に活用されていない。
このため、現状の系統連系ルールを遵守しながら、連系発電電力を拡大し、系統連系容量に対する実際の発電電力(設備利用率)を向上させることが望ましい。例えば、既接続の太陽光発電設備に風力発電設備を新規設置できれば、有効な解決手段になり得る。具体的には、最大出力が太陽光発電設備の50%(5,000kW分)の風力発電設備と、風力発電制御装置を追加することで、発電電力を増加させ、系統連系容量に対する発電電力の設備利用率を例えば、従来の15%程度から30〜40%以上に増大することができる。これは、夜間や雨天時には太陽光発電は発電電力が小さい一方で、風力発電は夜間や雨天時でも一定量以上の風さえ吹いていれば発電できるためである。
本発明における発電システムの場合、太陽光発電設備の発電電力と、風力発電設備の発電電力の合計である合成発電電力が、系統連系容量を超過することができないという制約条件がある。このため、超過を防止するための何らかの制御機能を設け、適切な方法で制御する必要がある。本発明の一例では、太陽光発電設備の発電電力は制限をかけずにフリーな運転を行うため、風力発電設備のほうで発電電力を制限する。実際に、太陽光発電設備に対して、風力発電設備の導入量を増加していくと、それらの合成発電電力が系統連系容量を超過する時間が存在し、かつ風力発電設備の導入量が増加するにしたがい、系統連系容量を超過する回数も増加することがわかった。
分析した結果、超過の原因は太陽光発電設備や風力発電設備の発電電力が急激に変化する場合であることがわかった。具体的には、雲の切れ間から太陽が現れる場合や、低風速から高風速へ一気に転じる場合などである。本発明は、このような事象が生じても、合成発電電力が系統連系容量を超過しないことが特徴である。これを実現するには、太陽光発電設備に対する風力発電設備の比率を適切にすること、ならびに太陽光発電設備と風力発電設備の合成発電電力を制御によって系統連系容量以下に設定しておくなどで対策する必要がある。
また、系統連系容量を超えないように、太陽光発電の発電電力を監視しながら、風力発電設備の出力制限指令を送信する場合を想定すると、実際に風力発電設備の発電電力が設定値になるまでの時間が概ね30〜60秒を要する。このため、太陽光発電設備に対する風力発電設備の比率を適切にしておいても瞬間的に系統連系容量を超過する場合がある。この点も考慮して、太陽光発電設備に対する風力発電設備の比率にしておくことが重要である。
以上のことから、太陽光発電設備と風力発電設備の合計発電電力の上限値を系統連系容量と同じに設定しておくのではなく、例えば、上限値を系統連系容量の98%となる出力に設定しておくことで、系統連系容量を超過することがなくなった。このように系統連系容量やあらかじめ設置した発電電力に対して超過する可能性がある場合に、前記上限値に余裕を持たせた設定値にすることは有効である。
また、太陽光発電設備と風力発電設備の合成発電電力の絶対値が少ない場合と多い場合でも、系統連系容量に対する好適な比率は変わってくる。つまり、発電設備の規模によって変化する。上記では、合成発電電力の上限値を系統連系容量の98%に設定したが、系統連系容量に対する好適な比率(設定値)は、全体システム構成、風車性能や追従性により変わる。したがって、その数値を限定するものではない。
風力発電設備の発電電力を制御する方法としては、太陽光発電設備の出力を常時読み取り、その読み取った値から任意の時間における平均値、最大値、最小値、中間値、瞬時値などから風力発電設備の発電出力指令値を算出し、その値を1基あるいは複数基の風車に送信し、この指令に基づいて風力発電設備の出力制限を行うというものである。
風車の出力制限は、出力制限指令値に応じて、風車の羽根(以下、ブレードという)の角度を調整するピッチコントロール制御(以下、ピッチ制御)、風車の励磁電圧制御およびパワーコンディショナー制御により、個々の風車出力を調整する。また、指令を送った風車の出力を監視しながら、その風車指令値と実際の風車出力を比較し、個々の風車指令値を決定するフィードバック制御を10秒程度の周期で行うことも効果的である。
太陽光発電設備の最大出力に対し、どの程度の最大出力の風力発電設備を追加するかは、これまでの系統連系容量に対する設備利用率や稼働率の他、地域の太陽光データ、風況、設備性能等により異なる。例えば、再生可能エネルギーを用いた発電システムは時期により設備利用率が変動する。太陽光発電設備の設備利用率の高い時期(5月)を基準として風力発電設備の最大出力を定めることで、風力発電設備の出力制限量の低い設備を構築することが可能である。一方、太陽光発電設備の設備利用率の低い時期(1月)を基準として風力発電設備の最大出力を定めると、設備利用率の高い発電システムを提供可能となる。また、8月等、電力使用量が多いとされている時期に商用電力系統に多く電力を供給するシステムは公共の利益にかなう。
設備利用率は地域によっても異なる。特に、太陽光発電設備の設備利用率と風力発電設備の設備利用率が時期により相反する地域で適用すると、発電設備を併用することで風車の出力制限量が少なく、発電電力が安定するため好ましい。
適用する太陽光発電設備は、最大出力が1,000kW以上のもの、いわゆるメガソーラーの規模が望ましい。系統連系容量に達するための発電量が多く、連系発電電力の拡大の効果を奏しやすいためである。また、適用する風力発電設備は、太陽光発電設備の最大出力の40%〜80%であることが好ましい。この場合に、発電電力を増加させつつ、風力発電設備の出力制限を最小限に抑えることが可能である。また、この比率は太陽光発電設備と風力発電設備の合成発電電力が系統連系容量を超過しないための適した比率ということもできる。ただし、この比率も地域によっても異なるため、数値を限定するものではない。また、発電設備が過積載の場合でも、系統連系容量を考慮した本発明を適用することで何ら問題なく運用可能である。
以上のことから本発明は、太陽光発電設備と風力発電設備の合成発電出力が、連系点に供給可能な発電電力(系統連系容量)を超えるか同等の発電システムであって、太陽光発電設備の発電電力の現在値または予測値に基づき風力発電設備の出力を制限する発電制御装置を備えるものである。
したがって、本発明に係る発電システム、発電制御装置、発電制御方法および発電システムの連系発電電力の拡大方法は、上記課題を解決するための手段の欄に記載されたものであって、さらに、下記の特徴のいずれか一つ、または複数を有するものである。
(1)
発電システムが電力を蓄電する蓄電設備と、蓄電設備の充放電を制御する蓄電池制御装置とを備え、
発電制御装置は、第1の発電設備が発電する電力と、第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力が、系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値を超えるか否かを判定し、上限値あるいは任意に与えた目標値を超える場合には、蓄電池制御装置に対し、上限値あるいは任意に与えた目標値を超える分の電力を蓄電設備に蓄電させることを指令して、上限値あるいは任意に与えた目標値を最大値として電力系統へ供給する電力を減少させ、
第1の発電設備が発電する電力と、第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力が、上限値あるいは任意に与えた目標値に達しない場合には、蓄電池制御装置に対し、上限値あるいは任意に与えた目標値に達しない分の電力を蓄電設備から放電させることを指令して、上限値あるいは任意に与えた目標値を最大値として電力系統へ供給する電力を増加させ、
充放電の指令を蓄電池制御装置に出力制御信号として送信する。
(2)
第1の発電設備は太陽光をエネルギー源とする太陽光発電設備、あるいは風力をエネルギー源とする風力発電設備のいずれかであり、かつ第2の発電設備は風力発電設備、あるいは太陽光発電設備である。
(3)
出力制御信号を与えて出力制限する第1の発電設備または第2の発電設備を、経済性等を考慮して選択する機能を有する。
(4)
第1の発電設備あるいは第2の発電設備の単位時間当たりの発電電力の変動が規定値を超えた場合には、片方あるいは両方の発電設備の制限指令値に気象状態に応じた係数で加減乗除して可変にする機能を有する。
(5)
第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、各種データに重み付けする。
(6)
第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、少なくとも日射量、日射強度、風速、風向、気圧、気温、降水量、相対湿度、日照時間、気象衛星画像などの上空からの画像、地上からの画像から選ばれる少なくとも1つ、またはそれらを組合せた複数データを用いる。
(7)
第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、所定期間内に求めた第1の発電設備の発電電力の過去の計測値に対して、少なくとも所定期間内の平均値、最大値、最小値、中間値、瞬時値の少なくとも1つを含む複数の値を求め、求めた複数の値の中からその時の気象条件に応じて選択した値を第1の発電設備の発電電力の予測値として使用する。
(8)
第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置に対する制限指令値を出力制御信号として一定時間あるいは任意時間間隔ごとに送信するとともに、第2の発電制御装置は、次に出力制御信号を受信するまでの期間は、今回受信した制限指令値に従って第2の発電設備の発電電力を制御する。
(9)
第1の発電設備あるいは第2の発電設備の時間当たりの発電電力変化率が設定値を超える場合に、第1の発電設備あるいは第2の発電設備の片方あるいは両方に出力制限をかけることにより、第1の発電設備あるいは第2の発電設備の時間当たりの発電電力変化率を設定値以下に制御する。
(10)
第1の再生可能エネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、第2の再生エネルギー源により電力を発電する第2の発電設備とを備え、第1の発電設備が発電する電力と、第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力を、変電所を介して商用の電力系統に供給し、
第1の発電設備は、その入力である第1の再生可能エネルギー源に従って発電し、第2の発電設備は、その入力である第2の再生可能エネルギー源に従って制限指令値の範囲内で発電するとともに、制限指令値は、第1の発電設備の発電電力の予測値と系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値との差分に応じて設定する。その結果、合成発電電力が系統連系容量から設定された上限値または任意に与えられた目標値を超過しないようにする。
実施例1では、図1から図7を用いて、太陽光発電設備の発電電力の予測値に基づき風力発電設備の出力を制限する発電制御装置について説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る発電システム10の構成の例を示した図である。本発明が適用される発電システム10の電力主回路構成は、太陽光発電設備11と風力発電設備13を備え、その合成発電電力が連系点19、変電所20を介して商用電力系統21に接続されている。なお以下の説明では、太陽光発電設備11からの送電線と、風力発電設備13からの送電線は、同一の連系点19に接続されている。この場合、同一の連系点19につながる特徴上、太陽光発電設備11と風力発電設備13は、近隣(数km〜10数km程度以内)の距離に配しておくことが望ましい。但し連系点19に接続することを前提に記載しているが、同一の連系点に接続していない場合にも同様の制御が可能である。また太陽光発電設備11と風力発電設備13は、その各々が複数の設備(複数の風力発電機など)により構成されたものであってもよい。
太陽光発電設備11と風力発電設備13は、多くの場合にその一方が既設設備、他方が新設設備であり、太陽光発電設備11と風力発電設備13を組み合わせた発電システムとすることで、お互いの発電効率を補完し、全体として設備利用率が高い発電設備とすることができる。係る発電設備においては、商用電力系統21との間で事前に定められた、発電システム10が供給する最大出力電力(系統連系容量)を変更することなく、発電設備追加設置後も遵守する必要がある。なお系統連系容量の遵守のため、発電システム10には系統連系容量を超過しないように、過出力検出器を設置することが好ましい。
なお、図1において、矢印付きの太実線は、電力線および電力が流れる方向を表し、矢印付きの細実線は、制御または情報の伝送線およびその伝送方向を表している。また、この電力線(矢印付きの太実線)の途中には、直流電力を交流電力に変換するインバータや変圧器などが適宜設けられているが、ここでは、その図示を省略している。また、太陽光発電設備11に用いられる太陽光発電パネルは、多結晶シリコン型発電素子、単結晶シリコン型発電素子、薄膜型発電素子などで構成されるものとするが、素子の種類をとくに限定するものではない。
図1においては、発電制御装置15により、太陽光発電設備11と風力発電設備13による合計の発電量が系統連系容量以下となるべく制御されている。このため、発電制御装置15内の発電電力演算部17部分に、太陽光発電電力予測部16と記憶部23が設けられている。実施例1に係る太陽光発電電力予測部16は、所定の時間(例えば30分)ごとに気象観測所22から取得される外部情報、または電力系統の計測情報に基づき、現時点から所定の時間の間の日射量などを予測し、その予測結果に基づき太陽光発電設備11の発電電力を予測する。
次に、太陽光発電電力予測部16は、系統連系容量から前記予測した太陽光発電設備11の発電電力を差し引いた出力値を、風力発電電力制御指令として風力発電制御装置18へ送信する。風力発電制御装置18は、この風力発電電力制御指令を受信すると、次の風力発電電力制御指令を受信までの間、風力発電設備13の発電電力がこの風力発電電力制御指令を超えないように指示する。
その結果、風力発電設備13は、その発電電力がこの風力発電電力制御指令を超えるような場合があっても、ブレードのピッチ制御などにより、発電電力を前記風力発電電力制御指令以内に抑えることができる。したがって、発電制御装置15は、系統連系容量を超えない出力を商用電力系統21へ供給することができる。
太陽光発電電力予測部16における太陽光発電電力を予測する方法としては、様々な方法を用いることができる。これらは例えば気象観測所22から取得される気象についての外部情報、または電力系統の計測情報などである。ここでは気象についての外部情報を例示すると、気象衛星による雲画像例えば、気象衛星による雲画像を利用した日射量予測、気象予報に基づく日射量予測、当該太陽光発電設備11による過去の発電データを利用した日射量予測、さらには、これらを組み合わせた予測、パターンマッチングの予測など、そのいずれを用いてもよい。また、これらの太陽光発電電力の予測において、日射量の他に、気圧、気温、降水量、相対湿度、風速、および、これらの時間的な変化量から選ばれた1つまたは複数のデータを組み合わせて用いることは、予測の精度向上を図る上で有効である。なお、特に電力系統の計測情報からの具体的な予測手法について、実施例4の中で後述する。
実施例1では、以上のような太陽光発電電力の予測をする基礎となる日射量などのデータは、気象観測所22から得られるものとしている。したがって、ここでいう気象観測所22とは、気象衛星、気象台、測候所、その他の気象観測ポイントで観測された気象データを提供する観測地のことを指す。
さらに、気象観測所22は、太陽光発電設備11の近傍に独自に設けられたものであってもよい。この場合には、太陽光発電設備11の近傍で観測された日射量、気圧、気温、降水量、相対湿度、風速などのデータを用いることができるため、太陽光発電電力予測部16は、太陽光発電電力の予測精度を向上させることができる。また、独自の気象観測所22の設置時に、その設置場所を予め最適化しておくことは、太陽光発電電力の予測精度向上を図る上で効果があることは言うまでもない。
また、ここでいう独自の気象観測所22は、気象観測機器に加えて、気象衛星データを入手するシステムや、全天空写真を撮影するための魚眼カメラなどを備えていてもよい。あるいは、気象観測機器を備えず、その他の機器だけで構成されていてもよい。気象衛星写真や魚眼カメラでの写真では、全天空における太陽の位置と雲の位置関係を直接に表した画像を得ることができることから、その画像の解析により数秒あるいは数分先の日射量を高精度に予測することができる。
実施例1に係る発電制御装置15は、気象観測所22から得られた様々なデータ、特に太陽光発電電力予測部16での予測に利用されたデータを、日時、予測結果、実績発電電力などに関連付けて蓄積するための記憶部23を備えている。このようなデータが記憶部23に蓄積されると、太陽光発電電力予測部16は、その後の太陽光発電電力の予測時に、過去の類似した日時における同様の気象条件下での予測結果および実績発電電力を利用することができる。その結果、太陽光発電電力予測部16は、そのとき予測した太陽光発電電力の予測値を過去の実績値やその統計値に照らして補正したりすることが可能になるので、予測精度の向上が図られる。
なお、以上に説明したいずれの予測方法においても、気象観測データや太陽光発電電力の予測データには必ず誤差が伴うことを考慮しておく必要がある。そして、それらのデータの誤差の傾向や相関関係がわかっている場合には、バイアス補正などの手法を適用するなど、誤差を予測し加味した補正をすることが可能となる。このような誤差を考慮した予測値の補正は、太陽光発電電力の予測値の精度が向上するだけでなく、より適切な風力発電電力制御指令を設定することが可能になる。
また、上記のような発電電力予測手段のほか、同様の情報を外部より取得してもよい。太陽光発電設備11の発電電力の予測をシステム外で行い、発電制御装置15には、情報を取得する情報受信手段及び記憶部を備える。
風力発電制御装置18は、太陽光発電設備11の発電電力予測情報のほか、連系点等に設けられる電力計で測定される実際の発電電力に基づき出力制御を行うことも可能である。特に、気象観測データに誤差がある場合や、実際の太陽光発電電力が予測を超える状況が想定される。
太陽光発電電力や連系点19で供給される出力で、予測を超えた、もしくは系統連系容量に近接して設定される閾値を超える発電電力を検知した場合には、風力発電制御装置18で風力発電設備13の出力を制限する機能を備えることが好ましい。
以上、実施例1に係る発電制御装置15においては、太陽光発電電力予測部16により精度の高い太陽光発電電力の予測が可能となり、風力発電制御装置18には、精度の高い風力発電電力制御指令が送信される。したがって、風力発電設備13からは、風力発電電力制御指令より大きな出力は発電されなくなる。よって、商用電力系統21へは、予め設定された系統連系容量を超える出力が供給されないので、発電システム10の連系発電電力の拡大を実現する。
図2は、太陽光発電設備11の最大出力に対する風力発電設備の最大出力と、風車の出力制限量の関係を示したものである。今回シミュレーションに用いたのは、A県B市にある数10MW級の太陽光発電設備11と、A県B市に近隣に位置するC市に設置される風力発電設備13であり、風力発電設備13を様々な比率で変化させたときにどのくらいの風車の出力制限量を行う必要があるかをまとめたものである。これまでに述べてきた通り、風車出力制御は、太陽光発電設備11として確保されている最大出力を、既存太陽光発電設備11と新規風力発電設備13の合成発電電力が超える場合に実施するものである。なお、データサンプリングは1秒間隔とした。
結果、風車の出力制限量の許容値を仮に1.5%以下にする場合には、太陽光発電設備11の最大出力を100とした場合に、風力発電設備13の最大出力を60以下とすることができる。同様に、風車の出力制限量の許容値を仮に3%以下にする場合には、風力発電設備13を90まで増大させることができる。上述のA県B市およびC市の場合、事業性まで考えると、太陽光発電設備11の最大出力を100とした場合に、風力発電設備13の最大出力を少なくとも50にすれば、問題ないことを明らかにしている。なお、図から明らかなように、太陽光発電設備11の最大出力を、風力発電設備13の最大出力を超えると、風車の出力制限量が急激に増加する。また、この傾向は、太陽光発電設備11の最大出力が1,000kW以上である場合には概ね成り立つ。なお、太陽光発電設備11の最大出力に対する風力発電設備の導入比率と風車の出力制限量は、発電設備の地点によっても変化するので、必ずしも上記の比率に限定されるものではない。
表1は、実施例2に係る発電システム10の効果の例を示した表である。表1には、太陽光発電設備11のみの設備利用率、風力発電設備13のみの設備利用率および太陽光発電と風力発電とを組み合わせた発電システム10の設備利用率を、1年間にわたって月別に評価した例が示されている。
Figure 2018157700
この評価では、日射計で測定した強度を換算して太陽光発電電力を求め、また、風況測定器で測定した風速を風車の高さ補正しパワーカーブで補正し、その補正した風速を換算して風力発電電力を求めた。これら日射および風速の測定地点は、事前検討において、太陽光発電と風力発電の補完関係が大きくなる、言い換えるなら太陽光発電と風力発電の設備利用率の傾向が負の相関となる国内地域をあらかじめ選択した。
表1に示すように、太陽光発電のみの発電設備の設備利用率は、5月〜9月頃にやっと20〜24%に達する程度であり、また、風力発電のみの発電設備の設備利用率は、10月〜2月頃に30〜35に達する程度である。これに対し、太陽光発電と風力発電とを組み合わせた発電システム10では、その設備利用率は、年間を通して39%を超えることがわかった。
なお、この発電システム10の設備利用率は、太陽光発電のみの発電設備の設備利用率と風力発電のみの発電設備の設備利用率とを合わせた合計値よりも小さい。これは、発電システム10では、前記系統合成発電電力が予め設定された系統連系容量を超えることがあることを示すものに他ならない。
本発明のように、太陽光発電設備11と風力発電設備13の組合せは、上述のように特に夏季や冬季に、それぞれの設備の設備利用率が負の相関となる地点が有効である。
図3は、本発明の実施例1に係る発電システム10によって発電される3日間の発電電力の時間推移の例を示した図である。図3において、グラフの横軸は時間(時)を表し、縦軸は発電電力(MW)を表す。また、小さいドットが付された領域31は、太陽光発電電力を表し、斜線が付された領域32は、風力発電電力を表す。さらに、この発電システム10では、系統連系容量として太陽光発電設備11の最大出力である20MWが設定されているものとしている。
また、図3では、1日目と2日目は晴天だったが、3日目は厚い雲に覆われていたため、太陽光発電電力(領域31)が非常に小さくなっている。そして、この発電システム10では、発電制御装置15によって太陽光発電電力(領域31)と風力発電電力(領域32)の合成発電電力が20MWの系統連系容量を超えないように調整されるものとしている。
図4は、本発明の実施例2に係る発電システム10が太陽光発電電力と風力発電電力の合成発電電力を系統連系容量以下に調整する機能を備えていないとした場合の発電電力の時間推移の例を示した図である。この場合には、例えば、1日目と2日目の正午前後に網目が付された出力制限領域33が現れている。この領域33は、発電システム10が20MWの系統連系容量を超えた出力を発電したものである。仮に、系統連系容量を超える出力が商用電力系統20に送電されてしまうと、送電線の発熱などに影響が生じ、変電設備や送電線の劣化の恐れがある。
図3に示したように、実施例1に係る発電システム10では、風車のピッチ制御により発電電力が20MWの系統連系容量を超えないように制御されるので領域33は現れない。ただし、この領域33が表す電力は制限される損失分を意味する。したがって、領域33に相当する部分を極力小さくすることが望ましい。
図5は、本発明の実施例1に係る発電システム10において、発電電力演算部17および風力発電制御装置18が実行する制御手順の例を示した図である。図1に示すように、発電電力演算部17は、まず、電力計12を介して太陽光発電設備11により発電される太陽光発電電力値Psを計測する(ステップS11)。次に、発電電力演算部17は、太陽光発電電力予測部16を介して太陽光発電電力予測値Pssを算出し(ステップS12)、さらに、風力発電電力制御指令Pwrを算出する(ステップS13)。ここで、風力発電電力制御指令Pwrは、当該発電システム10に予め設定されている系統連系容量Pcから、ステップS12で算出した太陽光発電電力予測値Pssを差し引いた値をいう。続いて、発電電力演算部17は、ステップS13で算出した風力発電電力制御指令Pwrを風力発電制御装置18に送信する(ステップS14)。
発電制御装置15は、以上の制御手順を実行しつつ、太陽光発電設備11が出力する太陽光発電電力値Psと風力発電設備13が出力する風力発電電力値Pwとを合わせた電力を商用電力系統20に供給する。このとき、商用電力系統20に供給される出力が系統連系容量Pcを超えることが防止されるのは、風力発電制御装置18により、次のような制御が行われるからである。
風力発電制御装置18は、発電電力演算部17から送信された風力発電電力制御指令Pwrを受信すると(ステップS21)、その風力発電電力制御指令Pwrを風力発電設備13の出力最大値Pwxに設定する(ステップS22)。続いて、風力発電制御装置18は、電力計14を介して風力発電設備13が出力する風力発電電力値Pwを計測し(ステップS23)、その風力発電電力値Pwが風力発電設備13の出力最大値Pwxより大きいか否かを判定する(ステップS24)。
その判定の結果、風力発電電力値Pwが風力発電設備13の出力最大値Pwxより大きい場合(ステップS24でYes)、風力発電制御装置18は、風力発電電力値Pwが出力最大値Pwxを超えないよう、ブレードのピッチ制御を実行する(ステップS25)。逆に、風力発電電力値Pwが風力発電設備13の出力最大値Pwxより大きくない場合には(ステップS24でNo)、ブレードのピッチ制御を停止する(ステップS26)。
なお、以上の制御手順において、発電電力演算部17によるステップS11〜ステップS14の手順は、太陽光発電電力を予測する所定の時間周期で(例えば、10分ごとに)実行される。一方、風力発電制御装置18によるステップS21およびステップS22の手順は、風力発電電力制御指令が受信されるたびに実行される。また、ステップS23〜ステップS26の手順は、常に実行されることになるが、その実行の周期は、実際にはブレードのピッチ制御の応答速度などによって制限される。
以上のように、実施例1では、ブレードのピッチ制御により、風力発電設備13の風力発電電力値をステップS22で設定された出力最大値Pwx、つまり、風力発電電力制御指令Pwrを超えないこととなる。また、風力発電電力制御指令Pwrは、ステップS13において系統連系容量Pcから太陽光発電電力予測値Pssを差し引いた値として算出されているので、太陽光発電電力予測値Pssと風力発電電力値Pwの合計は、系統連系容量Pc以下の値となる。したがって、太陽光発電電力予測値Pssに予測誤差のマージンを見込んでおけば、本実施形態に係る発電システム10では、系統連系容量Pcを超える出力が商用電力系統20へ供給されるのを防止することができる。
図6は、太陽光発電電力の予測値に応じて発電される風力発電電力および合成発電電力の時間推移の例を示した図である。図6において、上段のグラフは、太陽光発電電力の時間推移を表し、中段のグラフは、風力発電電力の時間推移を表し、下段のグラフは、太陽光発電電力と風力発電電力とを合計した合成発電電力の時間推移を表している。
図6の例における発電システム10に設定された系統連系容量Pcは、太陽光発電設備11の最大出力の20MWであるとし、各段のグラフにおいて、系統連系容量Pcは、実線52で表わされている。また、図4の上段のグラフにおいて、現在以降未来の丸く囲まれた領域51に含まれる折れ線53は、太陽光発電電力予測部16によって予測された太陽光発電電力予測値Pssを表している。このような太陽光発電電力予測値Pssは、太陽光発電電力予測部16により、例えば1時間先までの値が算出され、適宜、例えば10分ごとに修正されるものとしている。
風力発電電力制御指令Pwrは、10分ごとに修正された太陽光発電電力予測値Pssの10分間の最大値に予測誤差のマージンを見込んで求められる。したがって、図6では、風力発電電力制御指令Pwrは、実線52の値から破線の階段状の折れ線54の値を差し引いた差分値55で表される。こうして求められた風力発電電力制御指令Pwrは、例えば、10分ごとに風力発電制御装置18に送信される。
実施例1では、風力発電電力値Pwは、この風力発電電力制御指令Pwrを超えることはできない。もし、超える場合には、その超過分は、ブレードのピッチ制御により出力が制限される。したがって、図6の中段のグラフの現在以降未来の丸く囲まれた領域56において折れ線57で表わされる風力発電電力値Pw(現在以降の実績値)は、風力発電電力制御指令Pwrに応ずるように小さくなっている。その結果、本実施形態では、図6の下段のグラフの折れ線58に示すように、太陽光発電電力値Psと風力発電電力値Pwとを合わせた合成発電電力が系統連系容量Pcを超えることはなくなる。
以上の図6の説明からも明らかなように、太陽光発電電力予測部16が太陽光発電電力の予測をする時間間隔は短いほどその予測精度は向上し、ブレードのピッチ制御により出力の制限量も小さくなる。例えば、5分先の太陽光発電電力を予測するとした場合、1時間先の予測に比べて予測誤差(予測値と実測値の差)が平均で10%以上も小さくなり、予測精度が向上することが確認されている。
さらに、太陽光発電電力予測部16で予測された太陽光発電電力予測値Pssに沿って風力発電電力制御指令Pwr(図6では符号55)を求め、その求めた風力発電電力制御指令Pwrを風力発電制御装置18に送信する時間間隔も短いほどよい。すなわち、この時間間隔が短いほど、図6に示された階段状の破線54は、太陽光発電電力予測値Pssを表す折れ線53により近似したものとなる。その結果、ブレードのピッチ制御により出力の制限量は小さくなる。
なお、近年、風車のブレード制御の応答時間の短縮化が進み、現状では、その応答時間は、秒単位で表されるものとなっている。したがって、風力発電電力制御指令Pwrを風力発電制御装置18に送信する時間間隔は、風車のブレード制御のこの応答時間までは短縮化することができる。
以上の通り、実施例1では、太陽光発電電力値Psと風力発電電力値Pwとの合計出力、すなわち商用電力系統21へ供給する合成発電電力が系統連系容量Pcを超えることはなくなる。また、実施例1では、系統連系容量Pcとして太陽光発電設備11の最大出力が定められているため、太陽光発電設備11を最大限に利用することができる。したがって、発電システム10としての設備利用率が向上する。
図7は本発明における既存太陽光発電設備と、新規に設置する風力発電設備を追加する場合のステップの例を示した図である。1,000kWを超える容量を持つ既存太陽光発電設備の近隣に、新規に風力発電設備を建設する。次に、既存太陽光発電設備につながれている送電線と、新規風力発電設備につながれている送電線を、同一の連系点に接続する。その連系点から変電所20を介して、商用電力系統21に電力を供給する。
なお、本実施例では太陽光発電設備の発電電力の予測値に基づき風力発電設備の出力を制限する発電制御装置を用いて、太陽光発電設備11の最大出力に対する風力発電設備13の最大出力比率を30%〜100%で変化させ、太陽光発電設備11と風力発電設備13の合成発電電力が系統連系容量を何回超過したかを比較した。その結果を表2に示す。計測はミリ秒単位で行っており、一瞬でも超過したことを確認した場合にはカウントしている。
結果、太陽光発電設備11を100%としたときに、風力発電設備13の導入比率が30%〜80%の場合では系統連系容量を一度も超えることがなかった。
Figure 2018157700
実施例2では、図8、図9A及び図9Bを用いて、太陽光発電設備の発電電力の現在値に基づき風力発電設備の出力を制限する発電制御装置について説明する。
図8は、商用電力系統21に接続されて運用される実施例2に係る発電システム10の構成例を示している。なお主回路構成など、実施例1で説明済みの事項については重複説明となるので割愛する。
発電制御装置15は、太陽光発電設備11と風力発電設備13の合成発電電力が系統連系容量を超過しないように、制御している。このため、図8の発電制御装置15は、太陽光発電設備11の発電電力量を検知する電力計12と風力発電設備13の発電電力量を検知する電力計14から各発電設備の発電電力量を検知、入力している。
発電制御装置15は、発電電力演算部17、風力発電制御装置18を備えている。なお図示していないが太陽光発電制御装置を備えて、発電電力演算部17の出力に応じて太陽光発電設備11の出力を制御するものであってもよい。本発明では、太陽光発電設備11の発電電力量と風力発電設備13の発電電力量を検知して、その合成発電電力を演算し、これが系統連系容量を超過しないように、最終的な制御端である太陽光発電設備11または風力発電設備13、あるいはその双方を制御する。なお、太陽光発電設備11と風力発電設備13の双方を制御する場合は、kWh単価が太陽光と風力で異なるため、最も経済的に優れる出力制限をすべく、条件によって適正化するのがよい。なお、図8においては、発電電力演算部17の出力に応じて風力発電装置13を制御する場合について説明している。
以上述べたように、図8に係る発電制御装置15は、太陽光発電設備11および風力発電設備13で発電された電力を、予め設定された商用電力系統21に対する系統連系容量を超えないように調整して、商用電力系統21へ供給する役割を果たす。発電制御装置15には、この調整を適切に行うために、発電電力演算部17が設けられている。また、風力発電設備13には、風力発電制御装置18の指示に従って風車の羽根(以下、ブレードという)の角度を制御(ピッチ制御)し、発電電力を調整する機能が備えられている。この発電電力の調整機能は、風力発電の出力制限機能である。これには、ピッチ制御以外にも、風車の回転数を減少させて発電電力を調整する方法もある。
図8に示す発電システムにおいて、太陽光発電設備11と風力発電設備13との割合は、太陽光発電設備11のみの場合の設備利用率、地域の風況等により適宜設定できる。詳細なシミュレーション結果は後報するが、発明者らがシミュレーションした一例では、太陽光発電設備11の最大出力を100とした場合に、風力発電設備13の最大出力を40〜80とすることが好ましいことがわかった。この範囲であれば、電気的な連系発電電力を拡大させ、太陽光発電のみの場合と比べて、発電電力を少なくとも20%増加させるとともに、風力発電設備13の風車の出力制限量を5%以下と低く抑えることができる。
この風車の出力制限量は、発電して売電できる分を制限する損失分であるため、その損失は事業性に大きく影響する。逆に言えば、事業性に問題がなければ、上記のように太陽光発電設備11の最大出力を100とした場合に、風力発電設備13の最大出力を40〜80とする必要はなく、風力発電設備13の最大出力をさらに大きくしても問題はない。実際に、台数(容量)効果で、太陽光発電設備11の最大出力を増加させるほうが、諸々の機器単価等が安価となる傾向があるため、元々の太陽光発電設備11の最大出力が大きいほど、風力発電設備13の最大出力の閾値は大きくなることもあり得る。すなわち、太陽光発電設備11の容量によっては、太陽光発電設備11の最大出力を100とした場合に、風力発電設備13の最大出力を40〜80ではなく、80を超える最大出力に増加してもなんら問題はない。ただし、風力発電の出力制限により発電電力を制限する動作が多いと、それに応じて故障率も増加する傾向がある。
再生可能エネルギーによる発電電力は時期、地域により変動する。従って、風力発電設備13の出力制御の閾値を、リスクを元に変更することが好ましい。特に、実施例2は、日射量(太陽光発電による発電電力)が低下した時に風力発電電力が増加する傾向(負の相関)のある地域に好適である。
実施例2に係る発電電力演算部17は、太陽光発電設備11および風力発電設備13で発電された電力を、予め設定された商用電力系統21に対する系統連系容量を超えないように調整して、商用電力系統21へ供給する役割を果たす。また、風力発電設備13には、風力発電制御装置18の指示に従ってブレードの角度を制御(ピッチ制御)し、発電電力を調整する機能が備えられている。
複数の風車を備える風力発電設備13では、発電電力の調整は全ての風車に対して同様に実施してもよいし、いずれかの、もしくは一部の風車にのみ発電電力の調整を行ってもよい。例えば複数の風車を備える風力発電設備13では、各風車の発電電力は設置条件等により異なるため、発電量の多い風車にのみピッチ制御を行って発電電力を制限し、風力発電設備13全体の発電電力を調整することができる。
図9Aは、図8に示す発電システムによる太陽光発電設備11と風力発電設備13の合成発電電力の上限値を、発電電力演算部17にて設定する際、系統連系容量を100%とした場合に上限値を98%に設定した場合の、系統連系容量に対する超過分を算出した結果を示す図である。また、図9Bは、従来の通り、系統連系容量を100%とした場合に上限値を100%(系統連系容量と同じ)と設定した場合の、系統連系容量に対する合成発電電力の超過分を比較したものである。
ここでは、太陽光発電設備11の最大出力を100とした場合に、風力発電設備13の最大出力を65に設定した。図9Aにおいては、一部で上限値98%を超える時間帯があったが、系統連系容量を超過することはなく、最大でも系統連系容量の99%までで収まることがわかった。一方、図9Bにおいては、急激に出力が変化する場合や、風車の出力制限を頻繁に行う時間帯で系統連系容量を超過することがわかった。以上の結果から、発電電力演算部17の上限値を、系統連系容量を100%とした場合に、100%と設定するのではなく、数%程度のマージンを考慮して設定することが望ましい。
表3は、太陽光発電設備11の最大出力に対する風力発電設備13の最大出力比率を30%〜100%で変化させた場合に、太陽光発電設備11と風力発電設備13の合計である合成発電電力が系統連系容量を何回超過したかを比較したものである。測定期間は1年間とした。また、図9A,図9Bにおける上限値の設定は系統連系容量に対して100%としている。さらに、計測はミリ秒単位で行っており、一瞬でも超過したことを確認した場合にはカウントしている。
Figure 2018157700
結果、太陽光発電設備11を100%としたときに、風力発電設備13の導入比率が30%〜70%の場合では系統連系容量を一度も超えることがなかった。従って、実施例2おいては、太陽光発電設備11を100%としたときに、風力発電設備13の導入比率が70%以下であれば、系統連系容量を一度も超過しないことを明らかにした。ただし、導入比率が30%以下の場合、風力発電の売電収入として、風力発電設備の導入費用分の収益確保が困難となることもわかった。
ただし、上記のように、この導入比率は種々の条件で前後することから、必ずしも限定されるものではない。重要なのは、系統連系容量を超過する原因となる、太陽光発電設備11や風力発電設備13で生じる出力の急変や、風車の出力制限が生じても系統連系容量を超過させないため、最適な比率の発電設備を組み合わせること、ならびに発電制御装置15で設定する上限値を系統連系容量以下にしておくことである。
実施例3では、蓄電設備を用いて、発電システム全体としての発電電力を調整する発電制御装置について、図10から図13を用いて説明する。
図10は、本発明の実施例3に係る発電システム10の構成例を示した図である。図10に示すように、本発明の実施例3に係る発電システム10は、実施例1の発電システム10の構成に、さらに蓄電設備24、蓄電池制御装置26、電力計25などが追加されたものとなっている。またさらに、発電電力演算部17は、実施例1での太陽光発電電力予測部16に代えて、太陽光・風力発電電力予測部27を備える構成となっている。
ここで、蓄電設備24の蓄電池としては、鉛電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、ニッケル水素電池、レドックスフロー電池、燃料電池、キャパシタ電池などを使用することができる。また、蓄電池制御装置26は、発電制御装置15からの指示に従い、蓄電設備24の充放電を制御する。なお、蓄電池の場合、その劣化などを考慮する必要があり、蓄電池サイクル数や充電率(SOC:State of Charge)の管理など特有の制御が必要となるが、ここではその制御については説明を省略する。
太陽光・風力発電電力予測部27は、気象観測所22から得られる様々なデータに基づき、太陽光発電設備11の発電電力だけでなく、風力発電設備13の発電電力を予測する。したがって、ここでいう太陽光・風力発電電力予測部27は、実施例1でいう太陽光発電電力予測部16に、風力発電設備13の発電電力を予測する風力発電電力予測部が新たに追加されたものということができる。
また、実施例3でも、気象観測所22から得られた様々なデータ、特に太陽光・風力発電電力予測部27での予測に利用されたデータは、日時、予測結果、実績発電電力などに関連付けて記憶部23に蓄積される。その結果、その後の太陽光発電電力および風力発電電力の予測時に、過去の類似した日時における同様の気象条件下での予測結果および実績発電電力を利用することができることとなり、予測精度の向上を期待することができる。
以上のような構成により、太陽光発電設備11で発電される太陽光発電電力と風力発電設備13で発電される風力発電電力との合計が予め設定された系統連系容量を超える場合には、その超えた電力の少なくとも一部を蓄電設備24に蓄えることができる。そのため、実施例3では、ブレードのピッチ制御により出力の制限量が少なくなるので、電力をより有効に活用できるようになるといえる。また、供給すべき電力が不足する場合には、その不足する電力を蓄電設備24からの放電電力で補うことができる。すなわち、実施例3では、発電電力の時間的な変動を抑制することが可能になるという効果を期待することができる。なお、実施例3では、当該発電システム10には、太陽光発電設備11の最大出力以上の系統連系容量が設定されているものとする。
ところで、発電事業者が発電システム10を用いて商用電力系統21に電力を供給する場合、供給する電力の上限値は、系統連系容量だけでなく計画値に依存する。計画値とは、発電事業者が商用電力系統21に電力を供給するとき、商用電力系統21を所有する電力会社に対し申告する供給電力量の約束値をいう。発電事業者は、例えば6時間前までに6時間以降例えば1日分の計画値を電力会社に申告する。この1日分の計画値は、1日を例えば30分ごとに区分した各時間帯の計画値によって構成される。したがって、発電事業者が申告する電力供給の計画値は、30分ごとに変動するように設定することが許容される。ただし、電力の安定供給のため、その30分内で供給する電力量は、所定の変動幅(例えば±1%以内)に抑制することが求められる。なお、このような発電事業者と電力会社との間の取り決めは、計画値同時同量などと呼ばれる。
以上のように申告され設定される計画値は、例えば所定の30分間に供給すべき電力量であるが、以下では、簡単のために、計画値とは、この30分間の電力量を実現するための各時刻の平均の電力値であるとする。このように定めた場合、計画値は、系統連系容量を超えることはできない。すなわち、計画値は、系統連系容量以下の値となる。
実施例3に係る発電システム10では、計画値を遵守した電力を商用電力系統21へ供給することが容易になる。すなわち、太陽光発電電力と風力発電電力の合計値が計画値を超える場合には、超過した電力を蓄電設備24に蓄えることができ、さらに必要に応じてブレードのピッチ制御により出力を制限することもできる。また、太陽光発電電力と風力発電電力の合成発電電力が計画値に達しない場合には、不足する電力を蓄電設備24からの放電電力で補充することができる。
図11は、実施例3に係る発電システム10において発電制御装置15が実行する制御手順の例を示した図である。なお、以下の説明では、当該発電システム10には、系統連系容量Pcおよび図11の制御手順が実行される時点での計画値Ppが予め設定されているものとする。
発電制御装置15は、まず、電力計12(図10参照)を介して太陽光発電設備11により発電される太陽光発電電力値Psを計測する(ステップS31)。次に、発電制御装置15は、太陽光・風力発電電力予測部27を介して太陽光発電電力予測値Pssを算出し(ステップS32)、さらに、風力発電電力制御指令Pwrを算出する(ステップS33)。ここで、風力発電電力制御指令Pwrは、実施例1と同様に、系統連系容量PcからステップS32で算出した太陽光発電電力予測値Pssを差し引いた値をいう。次に、発電制御装置15は、ステップS33で算出した風力発電電力制御指令Pwrを風力発電制御装置18に送信する(ステップS34)。発電制御装置15は、以上の制御手順を実行しつつ、太陽光発電設備11が出力する太陽光発電電力値Psと風力発電設備13が出力する風力発電電力値Pwとを合わせた電力を商用電力系統21に供給する。
以上、ここまでの制御手順は、図11に示したステップS11〜ステップS14の制御手順と実質的に同じである。また、風力発電制御装置18が風力発電電力制御指令Pwrを受信したとき実行する制御手順は、図11に示したステップS21〜ステップS26の制御手順と同じになるので、その図示および説明を省略する。そして、ここまでの制御手順が実行されることにより、風力発電電力Pwが風力発電電力制御指令Pwrを超えた場合には、超えた分の電力は、ブレードのピッチ制御により捨てられることになる。そのため、発電システム10から商用電力系統21に供給される電力が系統連系容量Pcを超えることが防止される。
次に、発電制御装置15は、電力計12,14を介して太陽光発電設備11および風力発電設備13によりそれぞれ発電される太陽光発電電力値Psおよび風力発電電力Pwを計測する(ステップS35)。そして、発電制御装置15は、その計測した太陽光発電電力値Psおよび風力発電電力Pwの合計値(Ps+Pw)が予め設定された計画値Ppを超過しているか否かを判定する(ステップS36)。
その判定の結果、合計値(Ps+Pw)が計画値Ppを超過している場合には(ステップS36でYes)、発電制御装置15は、蓄電池制御装置26へ充電指令を送信する(ステップS37)。この充電指令は、次に図12を用いて説明するように、計画値Ppを超過した分の電力を蓄電設備24に充電させるための指令である。この指令により計画値Ppを超過した分の電力が蓄電設備24に充電されると、商用電力系統21に供給される電力は、計画値Ppまで減少する。
また、合計値(Ps+Pw)が計画値Ppを超過していない場合には(ステップS36でNo)、発電制御装置15は、蓄電池制御装置26へ放電指令を送信する(ステップS38)。この放電指令は、計画値Ppに達しない分の電力を蓄電設備24に放電させるための指令である。この指令により計画値Ppに達しない分の電力が蓄電設備24から放電されると、商用電力系統21に供給される電力は、計画値Ppまで増加する。
図12は、本発明の実施例3に係る発電システム10において蓄電池制御装置26が実行する制御手順の例を示した図である。なお、この制御手順が実行されるとき、蓄電池制御装置26には予め所定の目標SOC範囲が設定されているものとする。目標SOC範囲とは、その時点で適正と判断される蓄電設備24の充電率(SOC)の範囲をいう。そして、ここでは、蓄電設備24は、充電率が目標SOC範囲の上限値を上回った場合には、充電ができないものとし、充電率が目標SOC範囲の下限値を下回った場合には、放電ができないものとする。
また、目標SOC範囲は、一定でなく、状況に応じて適宜変更されるものであってもよい。例えば、太陽光発電電力予測値Pssと風力発電電力予測値Pwwとの合計値が今後増大することが見込まれる場合には、目標SOC範囲は低めに変更される。逆に、太陽光発電電力予測値Pssと風力発電電力予測値Pwwとの合計値が今後減少することが見込まれる場合には、目標SOC範囲は高めに変更される。なお、このような目標SOC範囲の設定、変更の方法については、ここではその説明を省略する。
図12に示すように、蓄電池制御装置26は、充電指令または放電指令を受信すると(ステップS41)、それが充電指令であるか否かを判定する(ステップS42)。そして、充電指令を受信した場合には(ステップS42でYes)、そのときの蓄電設備24の充電率が予め設定された目標SOC範囲内であるか否かを判定する(ステップS43)。
ステップS43の判定で、そのときの蓄電設備24の充電率が目標SOC範囲内であった場合には(ステップS43でYes)、蓄電池制御装置26は、蓄電設備24を充電モードに設定する(ステップS44)。この場合には、計画値Ppを超過した分の電力は、蓄電設備24に充電されるので、発電システム10から出力される電力は、計画値Ppとほぼ同じになる。
また、ステップS43の判定で、そのときの蓄電設備24の充電率が目標SOC範囲内でなかった場合には(ステップS43でNo)、蓄電池制御装置26は、蓄電設備24を非充放電モードに設定する(ステップS45)。したがって、この場合には、発電システム10から出力される電力は、計画値Ppを超過することになる。
さらに、ステップS42の判定の結果、充電指令を受信していなかった場合(ステップS42でYes)、つまり放電指令を受信した場合には、そのときの蓄電設備21の充電率が予め設定された目標SOC範囲内であるか否かを判定する(ステップS46)。
ステップS46の判定で、そのときの蓄電設備24の充電率が目標SOC範囲内であった場合には(ステップS46でYes)、蓄電池制御装置26は、蓄電設備24を放電モードに設定する(ステップS44)。この場合には、計画値Ppに達しない分の電力は、蓄電設備24から放電されるので、発電システム10から出力される電力は、計画値Ppとほぼ同じになる。
また、ステップS46の判定で、そのときの蓄電設備24の充電率が目標SOC範囲内でなかった場合には(ステップS46でNo)、蓄電池制御装置26は、蓄電設備24を非充放電モードに設定する(ステップS48)。したがって、この場合には、発電システム10から出力される電力は、計画値Ppに達しないことになる。
なお、ステップS45およびステップS48のケースでは、発電システム10は、計画値Ppを達成できないことになるが、目標SOC範囲を適切に管理することにより、このようなケースを可能な限り減らすことができる。また、前記のように、申告する計画値は、例えば30分間の積算電力量であるから、瞬時的に計画値Ppを達成できないことは許容される。
図13は、本発明の実施例3に係る発電システム10に設定された計画値Ppおよび商用電力系統21へ供給される電力の時間推移の例を示した図である。図13において、階段状の太実線71は、計画値Ppを表し、折れ線72は、太陽光発電電力値Psを表し、折れ線73は、太陽光発電電力値Psと風力発電電力値Pwの合計値を表している。また、階段状の太実線71に近似する値の細実線の折れ線74は、商用電力系統21で計測された発電電力を表している。
以上、本発明の実施例3によれば、ブレードのピッチ制御による出力の制限は少なくなるとともに、いわゆる計画値同時同量が実現される。その結果、発電システム10設備利用利率が向上し、また、太陽光発電電力値Psと風力発電電力値Pwとの合計電力、すなわち、商用電力系統21へ供給される電力が系統連系容量Pcを超えることはなくなる。
以上述べた実施例では、上限値として系統連系容量を想定したが、それに限定されず、任意に決定した設定値を目標値とするなどでも何ら問題ない。その場合にも、系統連系容量を考慮して設定することが可能である。
実施例4では、太陽光発電電力予測値を求めることについて、説明する。太陽光発電電力予測は、図1の太陽光発電電力予測部16、図10の太陽光・風力発電電力予測部27、図5の処理ステップS12,図11の処理ステップS32などで用いられる手法である。
太陽光発電電力予測値を求めるには、大別すると、例えば、電力系統の計測情報を用いるもの、または気象観測所から取得される気象についての情報を用いるものである。
このうち、電力系統の計測情報から日射量を推定する手法では、例えば太陽光発電設備11が与える発電電力は日射量を反映したものであることから、その時系列的な変動を反映して近い将来における日射量を推定予測する。例えば、所定の時間帯における太陽光発電設備11の発電電力の平均値、最大値、最小値、中間値、瞬時値、当該太陽光発電設備11による過去の発電データを利用した予測、さらにはこれらの組み合わせなどを用いることができる。このとき、所定の時間内において、現在から見て、最新値ほど高い重み付けにすることも有効である。また、それらの値に係数を乗じたり、係数を減じたりすることも有効である。
図14は、太陽光発電設備11の発電電力の平均値からの予測手法例を示す図である。図14では、横軸に時間、縦軸に太陽光発電電力PS,風力発電電力PWを記載している。ここでは太陽光発電電力PSは、例えば60回/分の計測値であり、連続する60個のデータについて移動平均を求め、この移動平均値を太陽光発電電力PSの予測値として使用する。図1の太陽光発電電力予測部16は、系統連系容量と太陽光発電電力PSの予測値の差から風力発電電力制御指令を定めているが、風力発電制御装置18の制御周期(例えば30秒)に合わせて30秒ごとに出力制限指令の設定値を与え、風力発電制御装置18は次の制御周期では、与えられた制限指令値の設定出力を目標とする制御を実行する。
図15は、太陽光発電設備11の発電電力の最大値(または最小値)からの予測手法例を示す図である。図15では、横軸に時間、縦軸に太陽光発電電力PS,風力発電電力PWを記載している。ここでは太陽光発電電力PSは、例えば60回/分の計測値であり、連続する600個のデータについて10分間での最大値(または最小値)を求め、この最大値(または最小値)を太陽光発電電力PSの予測値として使用する。図1の太陽光発電電力予測部16は、系統連系容量と太陽光発電電力PSの予測値の差から風力発電電力制御指令を定めているが、風力発電制御装置18の制御周期(例えば30秒)に合わせて30秒ごとに制限指令の設定値を与え、風力発電制御装置18は次の制御周期では、与えられた制御指令の設定出力を目標とする制御を実行する。
なお、中間値とは、例えば60回/分の計測値のうち、計測値が高い側から30番目に大きい値を中間値としたものであり、瞬時値とは例えば60回目の計測値を瞬時値として、次の周期の演算に用いるものである。
次に実際の風力発電所で実証試験を行ったので、その条件と結果について説明する。試験を行った風力発電所はA県のD発電所である。D発電所への入力データとしては、太陽光発電所のある日の発電データを用いた。入力した太陽光発電所のデータはA県のE発電所である。実証試験で用いた発電設備においては、風車の制限指令値は30秒−60秒ごとに送信される。したがって、太陽光が急激(瞬時的)に変動(上昇)する場合には、30秒ごとの制御では追い付かず、系統連系容量を超過する可能性がある。太陽光の急激な変動は、くもりのち晴れの天気の場合が多いが、そのときには明細書記載の最大98%などに設定すること以外に、制限指令値を段階的に上げるような制御が必要になる。例えば、風力の制限指令値が系統連系容量を100とした場合に、20⇒50などに変わった際に一気に風車出力を上げるのはなく、ステップ状に30秒ごとに10ずつ上げていくというイメージである。具体的には、くもりのち晴れなど変動大の可能性がある場合には、30秒で20⇒50ではなく、90秒かけて20⇒50(30秒で20⇒30、次の30秒で30⇒40、次の30秒で40⇒50)にするということである。
上記の実証試験に当たり制御上配慮した事項は要するに以下のようである。まず、風車の制御は、制限指令値が風車出力より大きい場合には風車は最大限発電するように制御される。この状態から現風車出力以下に出力制限する場合には、風車の制御遅れΔtにより、Δt時間分制限指令値を超過してしまう。制限指令値を上げる際は、この時間をなるべく少なくするために、指令値上げ閾値ΔPをもって段階的に指令値を上げるのが有効である。なお指令値上げ閾値ΔPは気象条件(PV出力変動)に応じて変えるのがよい。
図16は、上記事項を加味して、図15に示した太陽光発電電力の最大値を予測値とした場合の、風車発電電力と合成発電電力である。太陽光発電電力の最大値は現在から過去20分間での最大値を用いた。つまり、過去20分間での太陽光発電電力の最大値をもとに、風車の出力制限指令値を算出している。結果、合成発電電力は系統連系容量を超過することなく、系統連系容量を100とした場合に、合成発電電力は100以内に抑えることができることを確認した。
以上、所定の時間帯における太陽光発電設備11の発電電力の平均値、最大値、最小値、中間値、瞬時値を用いて予測を行う手法について述べたが、気象条件などを考慮して適宜選択して使用するのがよい。例えば、晴天であれば平均値を使用して予測するのがよく、晴れ時々曇りでは数分間の間の最大値を採用するのがよい。最大値から風力発電電力制御指令を定める結果として、風力発電電力制御指令値は小さい値となる。ただし、発電所が設置されている地点の気候の特徴に応じて、予測する手法は適宜変えても何ら問題はない。
また、風力発電制御装置18の運用にあたり、以下のような制御とするのがよい。例えば、1分間の計測期間内でも、頻繁に大きな電力変動の傾向を示す場合には、風力発電制御装置18の出力変動を固定してしまうような保護的処理を採用するのがよい。あるいは、太陽光発電設備11の発電電力との差を求める系統連系容量について、100%の値とするのではなく、例えばマージンを持たせて98%で運用しているときに、マージンそのものを可変にするように作用させる手法もある。あるいは天候に応じて制御量を変化させることや、最新のデータほど高い重み付けをして運用することや、過去の時系列的なパターンを参照して類似系統の過去パターンを反映させた制御に反映させることや、太陽光発電電力の時間変化分が大きいことをもって、風力発電設備の停止を図ることなどが有用である。また風力発電装置15が複数台設置されている場合に、すべての風力発電装置15を一律に同程度制御するのではなく、選択した風力発電装置15の風力発電制御装置18に対してのみ制限動作を実行するというのも有用である。なお、制御指令をさらに制限する場合として、天候の急変以外に、機器応答の遅い風力発電装置15の風力発電制御装置18を対象として実施するのがよい。
これらの考え方には、合成発電電力と系統連系容量から設定された上限値を用いて、風力発電制御装置18に対する制限指令値を算出するに当たり、合成発電電力と系統連系容量から設定された上限値の差分を求めるとともに、それらの差分の大きさがその時の気象状態に応じて可変に調整されることを含む。例えば、差分が気象状態に応じた係数を乗じられて求められ、あるいは比較対象の一方(例えば系統連系容量から設定された上限値)の大きさが気象状態に応じて変更して用いられることで、風力発電制御装置18における制御の自由度が制限される方向に機能することを意味している。
一方、気象観測所から取得される気象情報を用いる場合は、例えば、図1の太陽光発電電力予測部16は、所定の時間(例えば30秒〜30分)ごとに、気象観測所22から取得される気象の情報に基づき、現時点から所定の時間の間の日射量などを予測することで、太陽光発電設備11の発電電力を予測する。
ここでいう気象観測所22とは、気象衛星、気象台、測候所、その他の気象観測ポイントで観測された気象データを提供する気象情報提供センタなどのことを指す。さらに、気象観測所22は、太陽光発電設備11の近傍に独自に設けられたものであってもよい。この場合には、太陽光発電設備11の近傍で観測された日射量、気圧、気温、降水量、相対湿度、風速、雲の動きなどのデータを用いることができるため、太陽光発電電力予測部16は、太陽光発電電力の予測精度を向上させることができる。また、独自の気象観測所22の設置時に、その設置場所を予め最適化しておくことは、太陽光発電電力の予測精度向上に効果があることは言うまでもない。
また、ここでいう独自の気象観測所22は、気象観測機器に加えて、気象衛星データを入手する通信システムや、全天空写真を撮影するための魚眼カメラなどを備えていてもよい。あるいは、気象観測機器を備えず、その他の機器だけで構成されていてもよい。なお、気象の情報のうち雲画像は、気象衛星や地上カメラなどを用いて入手することができ、この情報取得周期時間は、短時間であるほど太陽光発電電力の予測精度は向上するが、実際には風力発電設備11側のブレードのピッチ制御の応答速度などによって制限されることがある。
これらの日射量予測では、近隣の複数計測地点で計測した日射量、雲の有無や、風向、風量などを参照して、太陽光発電設備11設置点における気象を予測し、日射量を推定する手法が種々提案され、知られているので、適宜採用が可能である。なお本発明の場合に、日射量予測は数分先程度の予測が実現できればよく、長時間予測を必要としないので比較的に簡便な手法でも精度よく推定することが可能である。
以上、電力系統の計測情報を用いる予測する場合、または気象観測所から取得される気象情報から予測する場合の考え方について説明したが、これらは組み合わせて予測に用いても構わない。気象衛星による雲画像を利用した日射量予測、気象予報に基づく日射量予測、当該太陽光発電設備11による過去の発電データを利用した日射量予測、さらにはこれらの組み合わせなど、特に限定するものではない。また、これらの太陽光発電電力の予測において、日射量の他に、気圧、気温、降水量、相対湿度、風速、および、これらの時間的な変化量から選ばれた1つまたは複数のデータを組み合わせて用いることは、予測の精度向上を図るうえで有効である。さらにまた、IoT(Internet of Things)やAI(artificial intelligence)技術を用いた予測を用いることは予測精度の向上に寄与する。
なお複数の風車を備える風力発電設備13では、発電電力の調整は全ての風車に対して同様に実施してもよいし、いずれかの、もしくは一部の風車にのみ発電電力の調整を行ってもよい。例えば複数の風車を備える風力発電設備13では、各風車の発電電力は設置条件等により異なるため、発電量の多い風車にのみピッチ制御を行って発電電力を制限し、全体の発電電力を調整することができる。
図1の太陽光発電電力予測部16、図10の太陽光・風力発電電力予測部27においては、気象観測所22から得られた様々なデータ、特に太陽光発電電力予測部16での予測に利用されたデータを、日時、予測結果、実績発電電力などに関連付けて蓄積するための記憶部23を備えている。このようなデータが記憶部23に蓄積されると、太陽光発電電力予測部16は、その後の太陽光発電電力の予測時に、過去の類似した日時における同様の気象条件下での予測結果および実績発電電力を利用することができる。その結果、太陽光発電電力予測部16は、そのとき予測した太陽光発電電力の予測値を過去の実績値やその統計値に照らして補正したりすることが可能になるので、予測精度の向上が図られる。
なお、以上述べたいずれの予測方法においても、気象観測データや太陽光発電電力の予測データには必ず誤差が伴うことを考慮しておく必要がある。そして、それらのデータの誤差の傾向や相関関係がわかっている場合には、バイアス補正などの手法を適用するなど、誤差を予測し加味した補正をすることが可能となる。このような誤差を考慮した予測値の補正は、太陽光発電電力の予測値の精度が向上するだけでなく、より適切な風力発電電力制限指令値を設定することが可能になる。
以上、本実施形態に係る発電制御装置15においては、太陽光発電電力予測部16により精度の高い太陽光発電電力の予測が可能となり、風力発電制御装置18には、精度の高い風力発電電力制限指令値が送信される。したがって、風力発電設備18からは、風力発電電力制限指令値より大きな電力は発電されなくなる。よって、商用電力系統10へは、予め設定された系統連系容量を超える電力が供給されないので、発電システム10は健全なシステムになり得る。
図17は、太陽光発電設備11の時間当たりの発電電力変化率(dp/dt)が設定値を超える場合に、前記太陽光発電設備の発電電力に制限をかけることにより、系統連系容量を超過しないようにした場合の一例である。これにより、前記太陽光発電設備の発電機会損失は発生するが、この損失を算出した結果が図18である。計算に使用したデータは1秒間隔のデータであり、例えば太陽光発電設備の最大出力に対して90%/分以下の変動となるように制御すると、損失率は0.72%であった。同様に、70%/分以下では1.02%、50%/分以下では1.54%と損失率は増加するが、系統連系容量を超過する回数は大きく減少することを確認している。
なお、ここでは太陽光発電設備の時間当たりの発電電力変化率(dp/dt)をもとにしたが、発電設備は限定するものではなく、複数の発電設備がある場合にはそれかひとつ、あるいは複数の設備に出力制限をかけることでも同様の効果が得られる。
実施例5では、太陽光発電設備11と風力発電設備13を併設することで、設備利用率を向上させること及び他の例について説明する。
通常、商用電力系統に連系される再生可能エネルギーを利用した発電設備では、系統連系容量は発電所の最大出力を元に確保されている。特に、太陽光発電では、1,000kW以上の発電設備(メガソーラー)が大量導入されており、系統全体としての大きな占有率を確保している一方で、設備利用率が低い。この既接続の枠内で第1の発電設備に第2の発電設備を新規設置することで設備利用率を向上させ、太陽光発電設備などの連系線に適切な比率で風力発電設備を割り込ませ、設備利用率を向上させる。
また、風力発電設備13は環境影響評価等に数年かかり、太陽光発電設備11に比して事業化に時間がかかることが多い。従って、太陽光発電設備11を先行して導入・運用し、連系点の枠内に追加する形で順次風力発電設備13を導入し、連系点を増やさず、現状の最大容量の枠内での設備利用率を向上させることが可能となる。
その際、現在稼働している発電設備の最大容量・設備利用率等を勘案し、追加する発電設備の最大出力を決定する。追加する発電設備は、連系点と既存の発電設備との間の連系線上に接続する。その場合、系統連系容量を超えない発電電力を達成するため、出力を制限する制御が必要となる。上述の理由により、太陽光発電設備を備える発電システムに、風力発電設備のように出力の制御の容易な発電設備を追加することが好ましい。
太陽光発電設備11を備える発電システムに、風力発電設備13を接続して合成発電電力を増大する場合、所定の時間間隔で入手または算出される太陽光発電設備の発電電力の予測値に基づき、風力発電設備13の発電電力の制御指令を算出し、風力発電制御装置18に設定する。
また、太陽光発電設備11が出力する発電電力と風力発電設備13が出力する発電電力とを合わせた出力が連系点を介し変電所に供給されるが、系統連系容量以下の出力であることを、電力計を用いて監視することが好ましい。系統連系容量を超える出力が供給された場合、もしくは予測値を超える出力が供給された場合には、発電量を制限する制御を実施する。
その結果、設備利用率を向上させ、系統連系容量の枠内で連系発電電力を拡大し、再生可能エネルギーの利用を促進することが可能となる。
また、その他の実施例として、以上に説明した実施例おける発電システム10では、発電に用いられるエネルギーは、太陽光と風力の組み合わせであったが、その組み合わせは、太陽光および風力に限定されない。例えば、太陽光と河川の水力の組み合わせや太陽光と海洋の波力の組み合わせなどであってもよい。その組み合わせは、発電電力の出力制御がしにくいエネルギーと発電電力の出力制御がしやすいエネルギーの組み合わせが好ましい場合もある。
また、風力発電設備13の出力制限指令値を出してから、実際に風力発電設備13の出力が設定値になるまでの時間が30〜60秒を要する。このため、太陽光発電設備11に対する風力発電設備13の比率を適切にしておいても瞬間的に系統連系容量を超過する場合がある。このため発電システムを構築するにあたり、この点も考慮して、太陽光発電設備11に対する風力発電設備13の比率にしておくことが重要である。
また風車の出力制限は、出力制限指定値に応じて、風車の羽根(以下、ブレードという)の角度を調整するピッチコントロール制御(以下、ピッチ制御)、風車の励磁電圧制御およびパワーコンディショナー制御により、個々の風車出力を調整する。また、指令を送った風車の出力を監視しながら、その風車指令値と実際の風車出力を比較し、個々の風車指令値を決定するフィードバック制御を10秒程度の周期で行うことも効果的である。
太陽光発電設備の最大出力に対し、どの程度の最大出力の風力発電設備を追加するかは、これまでの系統連系容量に対する設備利用率や稼働率の他、地域の太陽光データ、風況、設備性能等により異なる。例えば、再生可能エネルギーを用いた発電システムは時期により設備利用率が変動する。太陽光発電設備の設備利用率の高い時期(5月)を基準として風力発電設備の最大出力を定めることで、風力発電設備の出力制限量の低い設備を構築することが可能である。一方、太陽光発電設備の設備利用率の低い時期(1月)を基準として風力発電設備の最大出力を定めると、設備利用率の高い発電システムを提供可能となる。また、8月等、電力使用量が多いとされている時期に商用電力系統に多く電力を供給するシステムは公共の利益にかなう。
設備利用率は地域によっても異なる。特に、太陽光発電設備の設備利用率と風力発電設備の設備利用率が時期により相反する地域で適用すると、発電設備を併用することで風車の出力制限量が少なく、発電電力が安定するため好ましい。シミュレーション等により、設備利用率、制限量、発電電力等を考慮することが可能である。
なお、本発明において電力を制御する際に使用する単位について、いわゆる同時同量の計画値は、一定期間内の発電量合計(電力量/kWh)で設定されるのに対し、今回の発電システムの系統連系容量に対する出力制御は特定の時点での電力(kW単位)で行われる。
また系統連系容量についての出力制限値超過に関し、実際には系統連系容量の100%を超えたら、風車出力をゼロにすることも有効である。このとき風車出力は最大出力の100%から0%まで減少させるのに数秒〜30秒程度かかるため、それを考慮した制御が必要となる。万一、系統連系容量を超過した場合には、過出力検出器で合成発電電力を減少させるという機能付きのシステムにするのが望ましい。
以上説明した予測を伴う発電システムの運転方法は、要するに発電設備の一方は入力に従いフリー運転を行い、発電設備の他方は予測から定めた制限の範囲内でのフリー運転を行い、予測は発電設備の一方の出力を用いるというものである。この棲み分けにより、予測側と制限側が分離されているので、相互干渉がなく予測を正しく行える点に効果がある。なお発電設備の他方における運転は制限の範囲内である限りにおいて、角度制御などの最適化制御を行うものであってもよい。
以上に述べた本発明は、太陽光発電設備と風力発電設備の最大出力を合算した出力(発電システムの設備容量)が、連系点に供給可能な発電電力(系統連系容量)を超える発電システムであって、太陽光発電設備の発電電力の予測値に基づき風力発電設備の出力を制限する風力発電設備制御装置を備えるものである。
なお、本発明は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。また、ある実施例の構成の一部を、他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、各実施例の一部について、他の実施例に含まれる構成を追加・削除・置換することも可能である。
10:発電システム
11:太陽光発電設備
12,14,25:電力計
13:風力発電設備
15:発電制御装置
16:太陽光発電電力予測部
17:発電電力演算部
18:風力発電制御装置
19:連系点
20:変電所
21:商用電力系統
22:気象観測所
23:記憶部
24:蓄電設備
26:蓄電池制御装置
27:太陽光・風力発電電力予測部
31:太陽光発電電力
32:風力発電連力
33:出力制限領域
52:系統連系容量(Pc)
53:太陽光発電電力予測値(Pss)
55:風力発電電力制御指令Pwr
57:風力発電電力値(Pw)
61:計画値(Pp)
62:太陽光発電電力値(Ps)
63:太陽光発電電力値(Ps)と風力発電電力値(Pw)の合計値
64:商用電力系統で計測される発電電力値
Ps:太陽光発電電力値
Pw:風力発電電力値
Pp:計画値
Pss:太陽光発電電力予測値
Pwr:風力発電電力制御指令
Pwx:出力最大値
Pww:風力発電電力予測値

Claims (25)

  1. 変電所を介し商用の電力系統に電力を供給する発電システムであって、
    第1のエネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、
    第2のエネルギー源により電力を発電する第2の発電設備と、
    前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置と、
    前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力を、電力系統へ供給する発電制御装置とを備え、
    前記発電制御装置は、前記第1の発電設備の発電電力を予測する発電電力の予測手段を具備し、
    系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値から、前記発電電力の予測手段により予測された前記第1の発電設備が発電する電力の予測値を差し引いた電力値に基づき、前記第2の発電設備における発電電力の制限指令値を算出し、
    前記第1の発電設備の発電電力の予測値と、前記第2の発電設備における発電電力の前記算出した制限指令値とを合計した合成発電電力が、前記上限値または目標値を超えるか否かを判定し、前記上限値または目標値を超える場合に、前記算出した制限指令値を前記第2の発電制御装置または前記第2の発電設備に出力制御信号として送信することを特徴とする発電システム。
  2. 変電所を介し商用の電力系統に電力を供給する発電システムであって、
    第1のエネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、
    第2のエネルギー源により電力を発電する第2の発電設備と、
    前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置と、
    前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した前記合成発電電力を、電力系統へ供給する発電制御装置とを備え、
    前記発電制御装置は、前記第1の発電設備の発電電力と、前記第2の発電設備の発電電力を計測し、前記合成発電電力が、系統連系容量から設定された上限値または目標値を超えるか否かを判定し、前記上限値または目標値を超える場合に、前記上限値または目標値より、前記第1の発電設備の発電電力を差し引いた電力値に基づき、前記第2の発電設備の制限指令値を算出し、前記算出した制限指令値を前記第2の発電制御装置または前記第2の発電設備に出力制御信号として送信することを特徴とする発電システム。
  3. 前記発電システムに電力を蓄電する蓄電設備と、前記蓄電設備の充放電を制御する蓄電池制御装置とを備えてなり、
    前記発電制御装置は、前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力が、系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値を超えるか否かを判定し、前記上限値あるいは前記任意に与えた目標値を超える場合には、前記蓄電池制御装置に対し、前記上限値あるいは前記任意に与えた目標値を超える分の電力を前記蓄電設備に蓄電させることを指令して、前記上限値あるいは任意に与えた目標値を最大値として電力系統へ供給する電力を減少させる手段と、
    前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力が、前記上限値あるいは前記任意に与えた目標値に達しない場合には、前記蓄電池制御装置に対し、前記上限値あるいは任意に与えた目標値に達しない分の電力を前記蓄電設備から放電させることを指令して、前記上限値あるいは任意に与えた目標値を最大値として前記電力系統へ供給する電力を増加させる手段とを備え、
    充放電の指令を前記蓄電池制御装置に出力制御信号として送信することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発電システム。
  4. 前記第1の発電設備は太陽光をエネルギー源とする太陽光発電設備、あるいは風力をエネルギー源とする風力発電設備のいずれかであり、かつ前記第2の発電設備は前記風力発電設備、あるいは太陽光発電設備であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発電システム。
  5. 前記出力制御信号を与えて出力制限する前記第1の発電設備または前記第2の発電設備を、経済性を考慮して選択する機能を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発電システム。
  6. 前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の単位時間当たりの発電電力の変動が規定値を超えた場合には、片方あるいは両方の発電設備の制限指令値に気象状態に応じた係数で加減乗除して可変にする機能を有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発電システム。
  7. 前記第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、各種データに重み付けすることを特徴とする請求項1、請求項3ないし請求項6のいずれか1項に記載の発電システム。
  8. 前記第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、少なくとも日射量、日射強度、風速、風向、気圧、気温、降水量、相対湿度、日照時間、気象衛星画像などの上空からの画像、地上からの画像から選ばれる少なくとも1つ、またはそれらを組合せた複数データを用いることを特徴とする請求項1、請求項3ないし請求項7のいずれか1項に記載の発電システム。
  9. 前記第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、所定期間内に求めた前記第1の発電設備の発電電力の過去の計測値に対して、少なくとも所定期間内の平均値、最大値、最小値、中間値、瞬時値の少なくとも1つを含む複数の値を求め、求めた複数の値の中からその時の気象条件に応じて選択した値を前記第1の発電設備の発電電力の予測値として使用することを特徴とする請求項1、請求項3ないし請求項8のいずれか1項に記載の発電システム。
  10. 前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置に対する制限指令値を出力制御信号として一定時間あるいは任意時間間隔ごとに送信するとともに、前記第2の発電制御装置は、次に出力制御信号を受信するまでの期間は、今回受信した制限指令値に従って前記第2の発電設備の発電電力を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の発電システム。
  11. 前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の時間当たりの発電電力変化率が設定値を超える場合に、前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の片方あるいは両方に出力制限をかけることにより、前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の時間当たりの発電電力変化率を設定値以下に制御することを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の発電システム。
  12. 第1の再生可能エネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、第2の再生エネルギー源により電力を発電する第2の発電設備とを備え、前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した前記合成発電電力を、変電所を介して商用の電力系統に供給する発電システムであって、
    前記第1の発電設備は、その入力である第1の再生可能エネルギー源に従って発電し、前記第2の発電設備は、その入力である第2の再生可能エネルギー源に従って制限指令値の範囲内で発電するとともに、前記制限指令値は、前記第1の発電設備の発電電力の予測値と系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値との差分に応じて設定されていることにより、前記合成発電電力が前記系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値を超過しないようにすることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の発電システム。
  13. 第1のエネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、
    第2のエネルギー源により電力を発電する第2の発電設備と、
    前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置と、
    前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力を、電力系統へ供給する制御を行う発電制御装置と、を備えてなる発電システムに含まれる前記発電制御装置であって、
    前記第1の発電設備が発電する電力を予測する発電電力予測手段または前記第1の発電設備が発電する電力を計測する発電電力計測手段と、
    前記系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値から、前記発電電力予測手段または前記発電電力計測手段により予測または計測された前記第1の発電設備の発電電力の予測値または計測値を差し引いた電力値に基づき、前記第2の発電設備の発電電力の制限指令値を算出し、前記算出した制限指令値を前記第2の発電制御装置に設定する制限指令値の設定手段と、
    を備えることを特徴とする発電制御装置。
  14. 第1のエネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、
    第2のエネルギー源により電力を発電する第2の発電設備と、
    前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置と、
    前記第1の発電設備における発電電力の予測値または計測値と、前記第2の発電設備が発電する電力とを合計した合成発電電力を商用の電力系統へ供給する制御を行う発電制御装置と、
    を備えてなる発電システムにおいて行われる発電制御方法であって、
    前記発電制御装置は、
    前記第1の発電設備の発電電力を予測または計測する発電電力特定ステップと、
    前記系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値から前記発電電力特定ステップにより特定された前記第1の発電設備における発電電力の予測値または計測値を差し引いた電力値に基づき、前記第2の発電設備の発電電力の制限指令値を設定する制限指令値設定ステップと、
    を備えることを特徴とする発電制御方法。
  15. 電力を蓄電する蓄電設備と、前記蓄電設備の充放電を制御する蓄電池制御装置と、を備えてなる発電システムに含まれる発電制御方法であって、
    前記発電制御装置は、
    前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力とを合計した合成発電電力が、系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値を超えるか否かを判定し、前記上限値あるいは任意に与えた目標値を超える場合には、前記蓄電池制御装置に対し、前記上限値または目標値を超える分の電力を前記蓄電設備に蓄電させることを指令して、前記上限値あるいは任意に与えた目標値を最大値として電力系統へ供給する電力を減少させるステップと、
    前記第1の発電設備が発電する電力と、前記第2の発電設備が発電する電力を合計した合成発電電力が、前記上限値あるいは任意に与えた目標値に達しない場合には、前記蓄電池制御装置に対し、前記上限値あるいは任意に与えた目標値に達しない分の電力を前記蓄電設備から放電させることを指令して、前記上限値あるいは任意に与えた目標値を最大値として前記電力系統へ供給する電力を増加させるステップと、
    を備えることを特徴とする請求項14に記載の発電制御方法。
  16. 前記第1の発電設備は太陽光をエネルギー源とする太陽光発電設備、あるいは風力をエネルギー源とする風力発電設備のいずれかであり、かつ前記第2の発電設備は前記風力発電設備、あるいは太陽光発電設備であることを特徴とする請求項14または請求項15のいずれか1項に記載の発電制御方法。
  17. 前記出力制御信号を与えて出力制限する前記第1の発電設備または前記第2の発電設備を、経済性を考慮して選択する機能を有することを特徴とする請求項14ないし請求項16のいずれか1項に記載の発電制御方法。
  18. 前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の単位時間当たりの発電電力の変動が規定値を超えた場合には、片方あるいは両方の発電設備の制限指令値に気象状態に応じた係数で加減乗除して可変にする機能を有することを特徴とする請求項14ないし請求項17のいずれか1項に記載の発電制御方法。
  19. 前記第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、各種データに重み付けすることを特徴とする請求項14ないし請求項18のいずれか1項に記載の発電制御方法。
  20. 前記第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、少なくとも日射量、日射強度、風速、風向、気圧、気温、降水量、相対湿度、日照時間、気象衛星画像などの上空からの画像、地上からの画像から選ばれる少なくとも1つ、またはそれらを組合せた複数データを用いることを特徴とする請求項147ないし請求項19のいずれか1項に記載の発電制御方法。
  21. 前記第1の発電設備の発電電力を予測する場合に、所定期間内に求めた前記第1の発電設備の発電電力の過去の計測値に対して、少なくとも所定期間内の平均値、最大値、最小値、中間値、瞬時値の少なくとも1つを含む複数の値を求め、求めた複数の値の中からその時の気象条件に応じて選択した値を前記第1の発電設備の発電電力の予測値として使用することを特徴とする請求項14ないし請求項20のいずれか1項に記載の発電制御方法。
  22. 前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置に対する制限指令値を出力制御信号として一定時間あるいは任意時間間隔ごとに送信するとともに、前記第2の発電制御装置は、次に出力制御信号を受信するまでの期間は、今回受信した制限指令値に従って前記第2の発電設備の発電電力を制御することを特徴とする請求項14ないし請求項21のいずれか1項に記載の発電制御方法。
  23. 前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の時間当たりの発電電力変化率が設定値を超える場合に、前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の片方あるいは両方に出力制限をかけることにより、前記第1の発電設備あるいは前記第2の発電設備の時間当たりの発電電力変化率を設定値以下に制御することを特徴とする請求項14ないし請求項22のいずれか1項に記載の発電制御方法。
  24. 第1の再生可能エネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、第2の再生エネルギー源により電力を発電する第2の発電設備とが発電する電力を合計した合成発電電力を、変電所を介して商用の電力系統に供給する発電制御方法であって、
    前記第1の発電設備は、その入力である第1の再生可能エネルギー源に従って発電し、前記第2の発電設備は、その入力である第2の再生可能エネルギー源に従って制限指令値の範囲内で発電するとともに、前記制限指令値は、前記第1の発電設備の発電電力の予測値と系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値との差分に応じて設定されていることにより、前記合成発電電力が前記系統連系容量から設定された上限値または目標値を超過しないようにすることを特徴とする請求項14ないし請求項23のいずれか1項に記載の発電制御方法。
  25. 第1のエネルギー源により電力を発電する第1の発電設備と、
    第2のエネルギー源により電力を発電する第2の発電設備と、
    前記第2の発電設備の発電電力を制御する第2の発電制御装置と、
    前記合成発電電力を、電力系統へ供給する系統連系容量に対する連系発電電力の拡大方法であって、
    系統連系容量から設定された上限値あるいは任意に与えた目標値から、前記発電電力の予測手段により予測された前記第1の発電設備が発電する電力の予測値を差し引いた電力値、または、前記発電電力の計測手段により計測された前記第1の発電設備が発電する電力の計測値を差し引いた電力値に基づき、前記第2の発電設備における発電電力の制限指令値を算出し、
    前記第1の発電設備の発電電力の予測値または計測値と、前記第2の発電設備における発電電力の前記算出した制限指令値とを合計した合成発電電力が、前記上限値または目標値を超えるか否かを判定し、前記上限値または目標値を超える場合に、前記算出した制限指令値を前記第2の発電制御装置または前記第2の発電設備に出力制御信号として送信することを特徴とする連系発電電力の拡大方法。
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