JP2018156900A - 絞りの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絞りを精度よく製造することができる製造方法を提供する。【解決手段】荷電粒子線装置用の絞りの製造方法であって、基板と、前記基板上に形成された第1層と、前記第1層上に形成された第2層と、を備えた構造体を準備する工程(S100)と、前記第1層をエッチングストッパー層として、前記第2層をパターニングする工程(S106)と、パターニングされた前記第2層上、および前記第1層上に金属層を成膜する工程(S108)と、前記金属層を研磨して、前記第2層を露出させる工程(S110)と、前記基板を除去する工程(S114)と、を含む。【選択図】図5
Description
本発明は、絞りの製造方法に関する。
透過電子顕微鏡などの荷電粒子線装置では、様々な絞りが用いられている。絞りを用いる目的は、電子ビームの開き角の調整や、電子ビームの照射量の調整、不要な電子ビームのカット、透過波や回折波の選択など多岐に渡る。これらの絞りは、目的に応じて様々な形状を有している。
このような絞りの製造方法として、例えば、特許文献1には、半導体製造技術を用いてシリコン基板をパターニングすることで、シリコン製の絞りを製造する方法が開示されている。
特許文献1には、シリコン製の絞りを製造する方法が開示されているが、シリコンは電子ビームの透過率が高いため、電子ビームを確実に遮るためにはある程度の厚みが必要となる。しかしながら、厚い絞りを精度よく製造することは難しい。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、絞りを精度よく製造することができる製造方法を提供することにある。
(1)本発明に係る絞りの製造方法は、
荷電粒子線装置用の絞りの製造方法であって、
基板と、前記基板上に形成された第1層と、前記第1層上に形成された第2層と、を備えた構造体を準備する工程と、
前記第1層をエッチングストッパー層として、前記第2層をパターニングする工程と、
パターニングされた前記第2層上、および前記第1層上に金属層を成膜する工程と、
前記金属層を研磨して、前記第2層を露出させる工程と、
前記基板を除去する工程と、
を含む。
荷電粒子線装置用の絞りの製造方法であって、
基板と、前記基板上に形成された第1層と、前記第1層上に形成された第2層と、を備えた構造体を準備する工程と、
前記第1層をエッチングストッパー層として、前記第2層をパターニングする工程と、
パターニングされた前記第2層上、および前記第1層上に金属層を成膜する工程と、
前記金属層を研磨して、前記第2層を露出させる工程と、
前記基板を除去する工程と、
を含む。
このような絞りの製造方法では、金属製の絞りを精度よく製造することができる。
(2)本発明に係る絞りの製造方法において、
前記金属層を成膜する工程では、めっき法により、前記金属層を成膜してもよい。
前記金属層を成膜する工程では、めっき法により、前記金属層を成膜してもよい。
このような絞りの製造方法では、パターニングされた第2層を型としてめっき法により金属層を成膜することで絞りを製造できる。そのため、金属製の絞りを精度よく製造することができる。
(3)本発明に係る絞りの製造方法において、
前記第2層をパターニングする工程では、深掘り反応性イオンエッチングにより、前記第2層をパターニングしてもよい。
前記第2層をパターニングする工程では、深掘り反応性イオンエッチングにより、前記第2層をパターニングしてもよい。
このような絞りの製造方法では、第2層の膜厚が厚い場合でも、精度よく第2層をパターニングすることができる。そのため、金属製の絞りを精度よく製造することができる。
(4)本発明に係る絞りの製造方法において、
前記金属層を成膜する工程では、前記第2層をパターニングする工程で形成された開口部を前記金属層で埋め込んでもよい。
前記金属層を成膜する工程では、前記第2層をパターニングする工程で形成された開口部を前記金属層で埋め込んでもよい。
(5)本発明に係る絞りの製造方法において、
前記構造体は、SOI基板であってもよい。
前記構造体は、SOI基板であってもよい。
このような絞りの製造方法では、SOI基板のBOX層(第1層)を、第2層(デバイス層)をパターニングする際のエッチングストッパー層として用いることができる。
(6)本発明に係る絞りの製造方法において、
前記絞りは、分割型環状検出器の前方に配置される絞りであり、
前記金属層には、電子ビームを分割して前記分割型環状検出器に入射させるための複数の開口部が形成されてもよい。
前記絞りは、分割型環状検出器の前方に配置される絞りであり、
前記金属層には、電子ビームを分割して前記分割型環状検出器に入射させるための複数の開口部が形成されてもよい。
このような絞りの製造方法では、高い精度が要求される分割型環状検出器の前方に配置される絞りを製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 絞り
まず、第1実施形態に係る絞りについて、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る絞り100を模式的に示す平面図である。図2は、第1実施形態に係る絞り100を模式的に示す断面図である。なお、図2は、図1のII−II線断面図である。
1.1. 絞り
まず、第1実施形態に係る絞りについて、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る絞り100を模式的に示す平面図である。図2は、第1実施形態に係る絞り100を模式的に示す断面図である。なお、図2は、図1のII−II線断面図である。
絞り100は、電子顕微鏡用の絞りである。絞り100は、図1および図2に示すように、絞り板2と、絞り板2に形成された絞り孔4と、を有している。
絞り板2の材質は、金属である。絞り板2の材質は、金(Au)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)などの重金属であることが好ましい。重金属は電子ビームやX線の透過率が低いため、絞り板2の材質を重金属とすることで、絞り板2の厚さを薄くすることができる。絞り板2の厚さは、例えば、数十μm程度である。
絞り孔4は、絞り板2を貫通する孔である。絞り孔4は、図1に示す平面視において、複数(図示の例では4つ)の円環が同心円状に配置された形状を有している。絞り孔4は、絞り100の用途に応じて様々な形状を有することができる。
本実施形態に係る絞り100は、分割型環状検出器(Segmented Annular All−Field Detector、SAAF検出器)が搭載された走査透過電子顕微鏡(STEM)に用いられる絞りである。より具体的には、絞り100は、分割型環状検出器の前方に配置される絞りであって、電子ビームを分割型環状検出器に分割して入射させるための複数の絞り孔4が形成された絞りである。
本実施形態に係る絞り100は、例えば、分割型環状検出器を用いて、微分位相コントラスト(Differential Phase Contrast)法による測定を行う際に用いられる。微分位相コントラスト法は、走査透過電子顕微鏡(STEM)で電磁場を可視化する手法であり、電子ビームが試料を通過する際の偏向量を測定し、この測定結果から電子ビームの偏向の原因となる試料中の電磁場を計算する手法である。
図3および図4は、絞り100の使用例を説明するための図である。
分割型環状検出器1000の検出面1010は、図4に示すように、複数(図示の例で
は16個)の検出領域D1〜D16に分割されている。複数の検出領域D1〜D16は、それぞれ独立して電子ビームEBを検出することができる。
は16個)の検出領域D1〜D16に分割されている。複数の検出領域D1〜D16は、それぞれ独立して電子ビームEBを検出することができる。
絞り100には、電子ビームEBを複数のビームに分割する絞り孔4が複数設けられている。図示の例では、絞り100には、分割型環状検出器1000の16個の検出領域D1〜D16に対応して、16個の絞り孔4が設けられている。
分割型環状検出器1000では、例えば、対向する検出領域(検出領域D6と検出領域D8、検出領域D5と検出領域D7等)の信号量の差分を取ることにより、試料S内での電子ビームEBの偏向量(すなわち検出面1010上での電子ビームの移動量)とその方向を検出することができる。
絞り100によって電子ビームEBを分割して検出面1010に入射させることにより、検出面1010において電子ビームEBがわずかにシフトした場合でも、各検出領域D1〜D16に入射する電子ビームEBの量は大きく変化する。すなわち、絞り100を用いることにより、わずかな電子ビームEBの偏向でも検出することができる。そのため、電子ビームEBの偏向量をより精度よく検出することができ、偏向感度を向上できる。
1.2. 絞りの製造方法
次に、第1実施形態に係る絞り100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る絞り100の製造方法の一例を示すフローチャートである。図6〜図13は、第1実施形態に係る絞り100の製造工程を模式的に示す断面図である。
次に、第1実施形態に係る絞り100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る絞り100の製造方法の一例を示すフローチャートである。図6〜図13は、第1実施形態に係る絞り100の製造工程を模式的に示す断面図である。
まず、図6に示すように、SOI(Silicon on Insulator)基板を準備する(S100)。
SOI基板(構造体)は、基板(ハンドル層)10と、基板10上に形成されたBOX(Buried Oxide)層20(第1層)と、BOX層20上に形成されたデバイス層30(第2層)と、を備えている。
次に、図7に示すように、基板10の下面に酸化膜40を形成し、デバイス層30の上面に酸化膜42を形成する(S102)。
酸化膜40および酸化膜42は、酸化炉などで基板10およびデバイス層30を熱酸化することで形成される。なお、酸化膜40および酸化膜42の形成は、湿式(ウェット)酸化で行われてもよいし、乾式(ドライ)酸化で行われてもよい。酸化膜42は、後述するデバイス層30をパターニングする工程でマスクとして用いられる。また、酸化膜40は、後述する基板10をパターニングする工程でマスクとして用いられる。
なお、酸化膜40および酸化膜42の代わりに、アルミニウムや、クロムなどの金属膜、レジストなどを用いてもよい。
次に、図8に示すように、酸化膜42をパターニングする(S104)。
酸化膜42のパターニングは、フォトリソグラフィー技術、およびエッチング技術を用いて行われる。
具体的には、まず、酸化膜42上にレジスト(図示せず)を成膜し、成膜されたレジストをフォトリソグラフィー技術によりパターニングして、マスク層(図示せず)を形成す
る。次に、当該マスク層をマスクとして酸化膜42をエッチングする。これにより、酸化膜42をパターニングすることができる。その後、マスク層(レジスト)を除去する。
る。次に、当該マスク層をマスクとして酸化膜42をエッチングする。これにより、酸化膜42をパターニングすることができる。その後、マスク層(レジスト)を除去する。
レジストの露光は、例えば、UV露光装置、レーザー描画装置、電子線描画装置などを用いて行われる。露光装置は、所望する絞り孔4の形状およびサイズに応じて適宜選択される。例えば、絞り孔4の径がμmオーダーの場合には、レーザー描画装置を用いることが好ましく、絞り孔4の径がnmオーダーの場合には、電子線描画装置を用いることが好ましい。酸化膜42のエッチングは、例えば、バッファードフッ酸などを用いて行われる。なお、酸化膜42をウェットエッチングすると、サイドエッチが生じる場合があるため、レジスト形状を精度よく反映させるためにはドライエッチングが好ましい。
次に、図9に示すように、パターニングされた酸化膜42をマスクとしてデバイス層30をエッチングすることにより、デバイス層30をパターニングする(S106)。
デバイス層30のエッチングは、深掘り反応性イオンエッチング(Deep Reactive Ion Etching、Deep RIE)で行われる。デバイス層30のエッチングは、例えば、ボッシュ法などを用いて行われる。デバイス層30のエッチングは、BOX層20に到達するまで行われる。このとき、BOX層20は、エッチングストッパー層として機能する。
次に、図10に示すように、金属層50を成膜する(S108)。
金属層50は、BOX層20上およびデバイス層30(酸化膜42)上に成膜される。すなわち、金属層50は、BOX層20およびデバイス層30(酸化膜42)を覆うように成膜される。このとき、金属層50は、デバイス層30をパターニングする工程で形成された開口部(BOX層20が露出している部分)が埋め込まれるように成膜される。金属層50の成膜は、めっき法(電鋳)で行われる。
次に、図11に示すように、金属層50を研磨して、デバイス層30を露出させる(S110)。
具体的には、金属層50の表面を化学機械研磨(chemical mechanical polishing、CMP)により研磨して、金属層50の厚さを、デバイス層30の厚さと同じにする。
次に、図12に示すように、酸化膜40をパターニングする(S112)。酸化膜40のパターニングは、上述した酸化膜42のパターニングと同様に行われる。
次に、図13に示すように、パターニングされた酸化膜40をマスクとして基板10をエッチングして、基板10を除去する(S114)。
基板10のエッチングは、深掘り反応性イオンエッチングで行われる。本工程(S114)では、絞り板2となる部分と重なる領域の基板10が除去される。ここで、図13に示すように、金属層50には、絞り板2となる部分を囲むように溝52が形成されている。これにより、絞り板2となる部分を容易に個片化することができる。
図2に示すように、BOX層20を除去して、絞り板2となるデバイス層30をリリースする。これにより、絞り板2が形成される。このとき、金属層50の溝52で囲まれた領域が絞り100となる。
以上の工程により、絞り100を製造することができる。
なお、上記では、1つの絞り100を製造する場合について説明したが、1つのSOI基板で複数の絞りを同時に製造することも可能である。
本実施形態に係る絞り100の製造方法は、例えば以下の特徴を有する。
本実施形態に係る絞り100の製造方法は、SOI基板を準備する工程(S100)と、BOX層20をエッチングストッパー層としてデバイス層30をパターニングする工程(S106)と、パターニングされたデバイス層30上およびBOX層20上に金属層50を成膜する工程(S108)と、金属層50を研磨してデバイス層30を露出させる工程(S110)と、基板10を除去する工程(S116)と、を含む。そのため、本実施形態に係る絞り100の製造方法では、金属製の絞りを精度よく製造することができる。
ここで、絞りの材質がシリコンの場合、半導体製造技術を用いて絞りを精度よく形成することができるが、シリコンは電子ビームの透過率が高いため、絞りを厚くしなければならない。しかしながら、絞りを厚くすると、絞り孔を通過する際に、電子ビームが絞りによって蹴られる可能性が高くなる。
これに対して、金属はシリコンに比べて電子ビームの透過率が低いため、金属製の絞りであれば厚さを薄くできるが、金属はシリコンに比べて、精度よく加工することが難しい。しかしながら、本実施形態によれば、金属製の絞りを精度よく製造することができるため、薄い絞りを製造することができる。
本実施形態では、絞り100は、分割型環状検出器1000の前方に配置される絞りであり、絞り板2(金属層50)には、電子ビームを分割して分割型環状検出器1000に入射させるための複数の絞り孔4が形成される。本実施形態に係る絞り100の製造方法では、高い精度が要求される分割型環状検出器1000の前方に配置される絞りを製造することができる。
本実施形態に係る絞り100の製造方法では、パターニングされたデバイス層30を型として、めっき法により金属層50を成膜して絞りを製造できる。そのため、金属製の絞り100を精度よく製造することができる。
本実施形態に係る絞り100の製造方法では、デバイス層30のパターニングが深掘り反応性イオンエッチングで行われるため、デバイス層30の膜厚が厚い場合でも、精度よくデバイス層30をパターニングすることができる。
本実施形態に係る絞り100の製造方法では、SOI基板のBOX層20を、デバイス層30をパターニングする際のエッチングストッパー層として用いることができる。したがって、容易に精度よく絞り100を製造することができる。
1.3. 絞りの製造方法の変形例
次に、第1実施形態に係る絞り100の製造方法の変形例について説明する。図14は、第1実施形態に係る絞り100の製造工程の変形例を模式的に示す断面図である。
次に、第1実施形態に係る絞り100の製造方法の変形例について説明する。図14は、第1実施形態に係る絞り100の製造工程の変形例を模式的に示す断面図である。
本変形例では、図11に示す金属層50を研磨して、デバイス層30を露出させる工程(S110)の後に、図14に示すように、酸化膜40を除去する。酸化膜40の除去は、例えば、バッファードフッ酸をエッチング液としたウェットエッチングにより行われる。
次に、図2に示すように、基板10およびデバイス層30をエッチングする。これにより、絞り板2が形成される。基板10およびデバイス層30のエッチングは、例えば、フッ酸、酢酸、硝酸の混合液を用いたウェットエッチングにより行われる。
以上の工程により、絞り100を製造することができる。
本変形例に係る絞り100の製造方法によれば、上述した実施形態と同様に、金属製の絞りを精度よく製造することができる。
2. 第2実施形態
2.1. 絞り
次に、第2実施形態に係る絞りについて、図面を参照しながら説明する。図15は、第2実施形態に係る絞り200を模式的に示す断面図である。なお、第2実施形態に係る絞り200の平面形状は、図1に示す絞り100と同様であり、図示を省略する。以下、絞り200において、上述した絞り100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
2.1. 絞り
次に、第2実施形態に係る絞りについて、図面を参照しながら説明する。図15は、第2実施形態に係る絞り200を模式的に示す断面図である。なお、第2実施形態に係る絞り200の平面形状は、図1に示す絞り100と同様であり、図示を省略する。以下、絞り200において、上述した絞り100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した絞り100では、絞り板2の材質は金属であった。これに対して、絞り200では、絞り板2の材質はシリコンである。
絞り板2は、導電性膜6で覆われている。導電性膜6の材質は、アルミニウム、金、白金、銀、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、これらの金属を含む合金などである。また、導電性膜6は、例えば、これらの金属の積層膜(例えばチタンと金の積層膜)であってもよい。絞り板2を導電性膜6で覆うことにより、電子ビームが照射されることによる帯電の影響を低減できる。
なお、絞り200では、絞り板2の厚さを、絞り100の絞り板2(金属製の絞り板)の厚さよりも厚くしてもよい。これにより、絞り板2の材質がシリコンの場合でも、電子ビームをより確実に遮ることができる。絞り板2の厚さは、例えば、100μm程度である。
2.2. 絞りの製造方法
次に、第2実施形態に係る絞りの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図16は、第2実施形態に係る絞りの製造方法の一例を示すフローチャートである。図17〜図22は、第2実施形態に係る絞り200の製造工程を模式的に示す断面図である。
次に、第2実施形態に係る絞りの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図16は、第2実施形態に係る絞りの製造方法の一例を示すフローチャートである。図17〜図22は、第2実施形態に係る絞り200の製造工程を模式的に示す断面図である。
まず、SOI基板を準備する(S200)。次に、基板10の下面に酸化膜40を形成し、デバイス層30の上面に酸化膜42を形成する(S202)。
SOI基板を準備する工程(S200)および酸化膜40および酸化膜42を形成する工程(S202)は、上述した工程S100および工程S102と同様に行われる。
次に、図17に示すように、酸化膜42をパターニングする(S204)。
酸化膜42のパターニングは、フォトリソグラフィー技術、およびエッチング技術を用いて行われる。
次に、図18に示すように、パターニングされた酸化膜42をマスクとしてデバイス層30をエッチングすることにより、デバイス層30をパターニングする(S206)。
デバイス層30のエッチングは、深掘り反応性イオンエッチングで行われる。デバイス層30のエッチングは、BOX層20に到達するまで行われる。このとき、BOX層20は、エッチングストッパー層として機能する。
次に、図19に示すように、酸化膜40をパターニングする(S208)。酸化膜40のパターニングは、上述した酸化膜42のパターニングと同様に行われる。
次に、図20に示すように、パターニングされた酸化膜40をマスクとして基板10をエッチングして、基板10を除去する(S210)。
基板10のエッチングは、深掘り反応性イオンエッチングで行われる。基板10のエッチングは、BOX層20に到達するまで行われる。このとき、BOX層20は、エッチングストッパー層として機能する。本工程(S210)では、絞り板2となる部分と重なる領域の基板10が除去される。
次に、図21に示すように、酸化膜42およびBOX層20を除去する(S212)。
酸化膜42およびBOX層20の除去は、例えば、バッファードフッ酸をエッチング液としたウェットエッチングにより行われる。
ここで、図21に示すように、デバイス層30には、絞り板2となる部分を囲むように溝(貫通孔)32が形成されている。これにより、絞り板2となる部分を容易に個片化することができる。
図23は、第2実施形態に係る絞り200の製造工程を模式的に示す平面図である。本工程(S212)において、絞り板2となるデバイス層30を保持するために、図23に示すように、絞り板2となるデバイス層30と、絞り板2を構成しないデバイス層30と(基板10が残っている箇所)と、を接続する梁34を設けてもよい。これにより、デバイス層30を確実に保持することができ、製造工程において絞り板2となるデバイス層30がリリースされることを防ぐことができる。
次に、図22に示すように、デバイス層30を覆うように、導電性膜6を成膜する(S214)。
導電性膜6の成膜は、例えば、CVD(chemical vapor deposition)法により行われる。CVDはカバレッジ(被覆性)がよいため、デバイス層30に形成された絞り孔4となる貫通孔のアスペクト比が大きい場合でも、より確実にデバイス層30を被覆することができる。なお、導電性膜6の成膜は、スパッタ、電界めっき、無電解めっき、などで行われてもよい。
ここで、製造工程において、絞り板2となるデバイス層30の表面が汚染された場合、この表面汚染に起因する帯電(電子ビームが照射されることによる帯電)が起こる場合がある。本実施形態では、導電性膜6を成膜する工程(S214)がデバイス層30や基板10のエッチングよりも後に行われるため、本工程(S214)の前にデバイス層30の表面が汚染されていたとしても、導電性膜6によって表面汚染に起因する帯電を低減することができる。
図15に示すように、梁34(図23参照)を切断して、デバイス層30をリリースすることにより、絞り板2が形成される。このとき、デバイス層30の溝32で囲まれた領
域が絞り板2となる。
域が絞り板2となる。
以上の工程により、絞り200を製造することができる。
なお、上記では、1つの絞り200を製造する場合について説明したが、1つのSOI基板で複数の絞り200を同時に製造することも可能である。
本実施形態に係る絞り200の製造方法では、デバイス層30のエッチングに深掘り反応性イオンエッチングを用いるため、デバイス層30の膜厚が厚い場合でも、精度よくデバイス層30をパターニングすることができる。すなわち、絞り板2の厚さが厚い場合でも、絞り孔4を精度よく形成することができる。したがって、本実施形態に係る絞り200の製造方法では、シリコン製の絞りを精度よく製造することができる。
2.3. 実験例
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
図24は、本実験例に係る絞りを説明するための図である。
本実験例では、第2実施形態に係る絞りの製造方法(図16参照)を用いて、図24に示す絞りを製造した。
(1)製造条件
図24に示す絞りは、絞りの中心に設けられた絞り孔(円)と、当該絞り孔(円)を囲む円環状の絞り孔と、を有している。本実験例では、中心に位置している絞り孔(円)の径をD1=10μmとし、円環状の絞り孔の内径をD2=32μmとし、円環状の絞り孔の外径をD3=80μmとした。また、絞りの中心部分を支持するブリッジ部の幅をW=8μmとした。
図24に示す絞りは、絞りの中心に設けられた絞り孔(円)と、当該絞り孔(円)を囲む円環状の絞り孔と、を有している。本実験例では、中心に位置している絞り孔(円)の径をD1=10μmとし、円環状の絞り孔の内径をD2=32μmとし、円環状の絞り孔の外径をD3=80μmとした。また、絞りの中心部分を支持するブリッジ部の幅をW=8μmとした。
また、デバイス層100μm、BOX層2μm、基板(ハンドル層)350μmのSOI基板を用いた。また、デバイス層をパターニングするためのマスクは膜厚1.2μmのシリコン酸化膜とした。フォトリソグラフィーには、レーザー描画装置を用いた。デバイス層のエッチングは、深掘り反応性イオンエッチングで行った。導電性膜の材質は、タングステンとし、成膜はCVDで行った。
(2)評価
まず、光学顕微鏡像による評価を行った。図25は、本実験例に係る絞りの光学顕微鏡像である。図25に示す光学顕微鏡像から、絞りが精度よく形成されていることが確認できた。
まず、光学顕微鏡像による評価を行った。図25は、本実験例に係る絞りの光学顕微鏡像である。図25に示す光学顕微鏡像から、絞りが精度よく形成されていることが確認できた。
次に、本実験例に係る絞りを、透過電子顕微鏡の照射系に組み込んで評価を行った。図26および図27は、照射系に本実験例に係る絞りが組み込まれた透過電子顕微鏡における電子ビームの形状を示す画像である。図26は、2000倍で撮影された像であり、図27は、80000倍で撮影された像である。なお、これらの画像は、透過電子顕微鏡のボトムのCCDカメラで撮影した。
図26および図27に示す画像から、本実験例に係る絞りによって、帯電の影響なく、所望の電子ビーム形状を取得可能であることが確認できた。
次に、絞りの絞り孔以外の部分に電子ビーム(加速電圧200kV)を照射して、絞り
によって電子ビームを遮蔽できているか否かを評価した。CCDカメラには、絞りを透過した電子ビームは検出されず、絞りによって電子ビームが遮断されていることが確認できた。
によって電子ビームを遮蔽できているか否かを評価した。CCDカメラには、絞りを透過した電子ビームは検出されず、絞りによって電子ビームが遮断されていることが確認できた。
3. 第3実施形態
3.1. 絞り
次に、第3実施形態に係る絞りについて説明する。第3実施形態に係る絞りは、上述した第2実施形態に係る絞り200と同じであり、その説明を省略する。
3.1. 絞り
次に、第3実施形態に係る絞りについて説明する。第3実施形態に係る絞りは、上述した第2実施形態に係る絞り200と同じであり、その説明を省略する。
3.2. 絞りの製造方法
次に、第3実施形態に係る絞りの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図28は、第3実施形態に係る絞りの製造方法の一例を示すフローチャートである。図29〜図32は、第3実施形態に係る絞り200の製造工程を模式的に示す断面図である。
次に、第3実施形態に係る絞りの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図28は、第3実施形態に係る絞りの製造方法の一例を示すフローチャートである。図29〜図32は、第3実施形態に係る絞り200の製造工程を模式的に示す断面図である。
まず、図29に示すようにシリコン基板60を準備する(S300)。
次に、シリコン基板60上(シリコン基板60の上面)に酸化膜70を形成する(S302)。
本工程(S302)は、上述した酸化膜40および酸化膜42を形成する工程(S102)と同様に行われる。なお、酸化膜70の代わりに、アルミニウムや、クロムなどの金属膜、レジストなどを用いてもよい。
次に、図30に示すように、酸化膜70をパターニングする(S304)。
本工程(S304)は、上述した酸化膜42をパターニングする工程(S104)と同様に行われる。
次に、図31に示すように、酸化膜70をマスクとしてシリコン基板60をエッチングする(S306)。
シリコン基板60のエッチングは、深掘り反応性イオンエッチングで行われる。このとき、マイクロローディング効果により、アスペクト比に応じてシリコン基板60のエッチングレートにばらつきが生じる。そのため、すべての領域が所望の深さに到達するまでエッチングを行う。なお、マイクロローディング効果とは、加工パターンのアスペクト比が増大すると、エッチング速度が低下する現象をいう。
次に、図32に示すように、シリコン基板60の裏面側(下面側)から研磨して、絞り孔4となる貫通孔を形成する(S308)。
シリコン基板60の研磨は、化学機械研磨(CMP)で行われる。
次に、図15に示すように、酸化膜70を除去する(S310)。
酸化膜70の除去は、例えば、バッファードフッ酸をエッチング液としたウェットエッチングにより行われる。酸化膜70を除去することで、絞り板2が形成される。
次に、絞り板2を覆うように、導電性膜6を成膜する(S312)。
本工程(S312)は、上述した導電性膜6を成膜する工程(S214)と同様に行わ
れる。
れる。
以上の工程により、絞り200を製造することができる。
なお、上記では、1つの絞り200を製造する場合について説明したが、1つのシリコン基板60で複数の絞り200を同時に製造することも可能である。
また、上記では、シリコン基板60をエッチングして絞り200を製造する場合について説明したが、シリコン基板60の代わりに、その他の半導体基板(GaAs基板等)を用いてもよい。また、シリコン基板60の代わりに金属板(または金属箔、例えばモリブデン箔等)を用いてもよい。これにより、金属製の絞りを製造することができる。
本実施形態に係る絞り200の製造方法によれば、上述した第2実施形態に係る絞りの製造方法と同様の作用効果を奏することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、絞り100および絞り200が、図3に示すように、分割型環状検出器1000の前方に配置される絞りである場合について説明したが、本発明に係る絞りは、透過電子顕微鏡のその他の用途に用いられる絞りであってもよい。本発明に係る絞りは、コンデンサー絞り、対物レンズ絞り、制限視野絞りなどであってもよい。
また、上述した実施形態では、絞り100および絞り200が、透過電子顕微鏡(TEM)用の絞りである例について説明したが、本発明に係る絞りはその他の荷電粒子線装置用の絞りであってもよい。具体的には、本発明に係る絞りは、荷電粒子(電子やイオン等)を試料に照射して観察や、分析、加工等を行うことが可能な荷電粒子線装置用の絞りとして用いることができる。より具体的には、本発明に係る絞りは、走査透過電子顕微鏡(STEM)や、走査電子顕微鏡(SEM)、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)、集束イオンビーム装置等の荷電粒子線装置用の絞りとして用いることができる。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…絞り板、4…絞り孔、6…導電性膜、10…基板、20…BOX層、30…デバイス層、34…梁、40…酸化膜、42…酸化膜、50…金属層、52…溝、60…シリコン基板、70…酸化膜、100…絞り、200…絞り、1000…分割型環状検出器、1010…検出面
Claims (6)
- 荷電粒子線装置用の絞りの製造方法であって、
基板と、前記基板上に形成された第1層と、前記第1層上に形成された第2層と、を備えた構造体を準備する工程と、
前記第1層をエッチングストッパー層として、前記第2層をパターニングする工程と、
パターニングされた前記第2層上、および前記第1層上に金属層を成膜する工程と、
前記金属層を研磨して、前記第2層を露出させる工程と、
前記基板を除去する工程と、
を含む、絞りの製造方法。 - 請求項1において、
前記金属層を成膜する工程では、めっき法により、前記金属層を成膜する、絞りの製造方法。 - 請求項1または2において、
前記第2層をパターニングする工程では、深掘り反応性イオンエッチングにより、前記第2層をパターニングする、絞りの製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記金属層を成膜する工程では、前記第2層をパターニングする工程で形成された開口部を前記金属層で埋め込む、絞りの製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれか1項において、
前記構造体は、SOI基板である、絞りの製造方法。 - 請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記絞りは、分割型環状検出器の前方に配置される絞りであり、
前記金属層には、電子ビームを分割して前記分割型環状検出器に入射させるための複数の開口部が形成される、絞りの製造方法。
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JP2017054638A JP2018156900A (ja) | 2017-03-21 | 2017-03-21 | 絞りの製造方法 |
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2017
- 2017-03-21 JP JP2017054638A patent/JP2018156900A/ja active Pending
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