JP2018155145A - 機関冷却システムの異常診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】機関過熱をより確実に防止しつつ、ラジエータ弁及びバイパス弁の何れに異常が生じているかを診断することができる、冷却系異常診断装置を提供する。【解決手段】冷却水路を実際に流れたと推定される水流量である推定実流量及び冷却水路を流れると予測される冷却水の流量である予測流量を取得する。推定実流量が予測流量よりも少ない場合、ラジエータ弁の開度を増大させる処理を行ってラジエータ弁に異常が生じているか否かを診断し、ラジエータ弁が正常である場合、バイパス弁の開度を減少させる処理を行ってバイパス弁に異常が生じているか否かを診断する。一方、推定実流量が予測流量よりも多い場合、バイパス弁の開度を増大させる処理を行ってバイパス弁に異常が生じているか否かを診断し、バイパス弁が正常である場合、ラジエータ弁の開度を減少させる処理を行ってラジエータ弁に異常が生じているか否かを診断する。【選択図】図9

Description

本発明は、内燃機関を冷却水によって冷却する機関冷却システムに用いられる弁の異常を診断する異常診断装置に関する。
内燃機関を冷却水によって冷却する機関冷却システムが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。この機関冷却システムは、ポンプ、ラジエータ及びラジエータ弁を備えている。ラジエータ弁は、ラジエータを通過する冷却水の流量であるラジエータ流量を制御する。
内燃機関の負荷である機関負荷が小さい場合、内燃機関の温度である機関温度は、機関負荷が大きい場合に比べて上昇しづらいので、内燃機関を冷却する要求の度合(以下、「機関冷却要求度」と称呼する。)は小さい。従って、内燃機関を過剰に冷却しないためにも、機関冷却要求度に応じた内燃機関の冷却を行うことが好ましい。
機関冷却要求度に応じた機関冷却を行うために、ラジエータをバイパスするバイパス通路、及び、バイパス通路を流れる冷却水の流量であるバイパス流量を制御するバイパス弁を備えた機関冷却システムが知られている。
この機関冷却システム(以下、「従来システム」と称呼する。)においては、ラジエータ弁の開度が一定の開度に維持されたままバイパス弁の開度が増大されると、ラジエータ流量は変化しないが、内燃機関を流れる冷却水の流量が増大する。このため、冷却水の温度を低下させずに、内燃機関を冷却する能力(以下、「機関冷却能力」と称呼する。)を上昇させることができる。これにより、機関冷却要求度に応じた内燃機関の冷却を行うことができる。
特開2017−3035号公報
従来システムにおいて、ラジエータ弁及びバイパス弁の何れかに異常が生じた場合、一方の弁の開度を維持したまま他方の弁の開度を変化させたときに内燃機関を流れる冷却水の流量が変化するか否かに基づいて何れの弁に異常が生じているかを診断することができる。この場合、弁の開度を増大させても減少させても、何れの弁に異常が生じているかを診断することができる。
しかしながら、弁の異常に起因して機関冷却能力が所望の能力よりも低くなっている場合、内燃機関の過熱(以下、「機関過熱」と称呼する。)が生じる可能性がある。従って、弁の異常診断のために弁の開度を変化させる場合、機関冷却能力が更に低下して機関過熱が生じる可能性を大きくしてしまわないように弁の開度を変化させることが望まれる。
一方、弁の異常に起因して機関冷却能力が所望の能力よりも高くなっている場合には、機関冷却能力が大幅に上昇して内燃機関の過剰な冷却(以下、「機関過剰冷却」と称呼する。)が生じないように弁の開度を変化させることが望まれる一方で、機関冷却能力が大幅に低下して機関過熱が生じる可能性を大きくしてしまわないように弁の開度を変化させることも望まれる。
このように、弁の異常診断を行うために弁の開度を変化させる場合、機関過熱及び機関過剰冷却を防止しつつ、弁の開度を変化させることが望まれ、少なくとも、機関過熱が生じる可能性を小さくしたうえで、弁の開度を変化させることが望まれる。
例えば、ラジエータ弁の開度を増大させれば、ラジエータ流量が増大し、その結果、機関冷却能力が上昇する。従って、ラジエータ弁の開度を変化させてラジエータ弁の異常診断を行う場合、ラジエータ弁の開度を増大させれば、機関過熱を防止しつつ弁の異常診断を行うことができる。
一方、バイパス弁の開度を減少させれば、ラジエータ弁上流における冷却水の圧力が上昇するので、ラジエータ流量が増大し、その結果、機関冷却能力が上昇する。従って、バイパス弁の開度を変化させてバイパス弁の異常診断を行う場合、バイパス弁の開度を減少させれば、機関過熱を防止しつつ弁の異常診断を行うことができる。
ところが、弁の異常に起因して内燃機関を流れる冷却水の流量(以下、「機関流量」と称呼する。)が所望の流量よりも小さい場合、機関冷却能力が所望の能力よりも大幅に低い可能性が大きい。このため、機関過熱が生じる可能性も大きい。
このとき、ラジエータ弁の異常診断よりも先にバイパス弁の異常診断を行うべく、バイパス弁の開度を減少させる処理を行った場合、バイパス弁に異常があると、バイパス弁の開度は減少しないので、機関冷却能力が大幅に低い状況が続く。このため、機関過熱が生じる可能性が大きい状況が続いてしまう。
仮に、バイパス弁が正常であり、従って、バイパス弁の開度が減少したとしても、ラジエータ流量の増大幅は大きくないので、機関冷却能力は低いままである。このため、機関過熱が生じる可能性がある。
一方、弁の異常に起因して機関流量が所望の流量よりも大きい場合、機関冷却能力が所望の能力よりも高い可能性が大きい。このとき、バイパス弁の異常診断よりも先にラジエータ弁の異常診断を行うべく、ラジエータ弁の開度を増大させる処理を行った場合、ラジエータ弁が正常であると、ラジエータ流量が大幅に増大するので、機関冷却能力が大幅に上昇してしまう。このため、機関過熱が生じる可能性を小さくすることはできるが、機関過剰冷却が生じる可能性が大きくなってしまう。
これに対し、ラジエータ弁に異常があり、従って、ラジエータ弁の開度が増大しない場合、ラジエータ流量は増大しないので、機関過熱が生じる可能性を小さくしたうえで、異常診断を行ったことにはならない。
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の1つは、機関過熱をより確実に防止しつつラジエータ弁及びバイパス弁の何れに異常が生じているかを診断することができる、機関冷却システムの異常診断装置を提供することにある。
本発明に係る異常診断装置(以下、「本発明装置」と称呼する。)は、内燃機関(20)を冷却するための機関冷却システム(10)に適用される。機関冷却システムは、ポンプ(11)、ラジエータ(12)、ラジエータ弁(13R)、バイパス弁(14)及び制御手段(90)を備える。
前記ラジエータ弁は、前記ラジエータを通過する冷却水の流量であるラジエータ流量(RR)を制御する。前記バイパス弁は、前記ラジエータをバイパスさせる冷却水の流量であるバイパス流量(RB)を制御する。前記制御手段は、前記ラジエータ弁の開度(DR)及び前記バイパス弁の開度(DB)を制御することにより、前記ラジエータ流量及び前記バイパス流量をそれぞれ目標流量に制御する。
本発明装置は、前記ラジエータ弁及び前記バイパス弁の何れに異常が生じているかを診断する異常診断手段(90)を備える。前記異常診断手段は、前記内燃機関に形成されあた冷却水路(21)に流入する冷却水の温度(Tin)及び前記冷却水路から流出する冷却水の温度(Tout)に基づいて前記冷却水路を流れたと推定される冷却水の流量である推定実流量(Ract)を取得する。更に、前記異常診断手段は、前記ポンプの回転数、前記ラジエータ弁の開度及び前記バイパス弁の開度に基づいて前記冷却水路を流れると予測される冷却水の流量である予測流量(Rest)を取得する。
前記異常診断手段は、前記推定実流量が前記予測流量よりも少ない場合(図8のステップ815での「Yes」との判定)、そのときの前記バイパス弁の開度を維持しつつ前記ラジエータ弁の開度を増大させる指示を前記制御手段に対して行う(図9のステップ922の処理)。
そして、そのときの前記推定実流量の増大量である第1増大量(ΔRact)が前記ラジエータ弁の開度の増大量から予測される前記推定実流量の増大量を含む所定範囲の下限値である第1下限値(ΔR11th)よりも少ない場合(図9のステップ935での「No」との判定)、前記異常診断手段は、前記ラジエータ弁に異常が生じていると診断する(図9のステップ942の処理)。
一方、前記第1増大量が前記第1下限値以上である場合(図9のステップ935での「Yes」との判定)、前記ラジエータ弁が正常であると診断して(図9のステップ940の処理)前記バイパス弁の開度を減少させる指示を前記制御手段に対して行う(図9のステップ962の処理)。
そして、そのときの前記推定実流量の減少量である第1減少量(ΔRact)が前記バイパス弁の開度の減少量から予測される前記推定実流量の減少量を含む所定範囲の下限値(ΔR12th)よりも少ない場合(図9のステップ975での「No」との判定)、前記バイパス弁に異常が生じていると診断する(図9のステップ982の処理)。
本発明装置によれば、推定実流量が予測流量よりも少なく、機関冷却能力が所望の能力よりも大幅に低い可能性がある場合、バイパス弁の開度を減少させる指示を制御手段に対して行うよりも先に、ラジエータ弁の開度を増大させる指示を制御手段に対して行う。従って、ラジエータ弁が正常であれば、ラジエータを通過する流量(ラジエータ流量)が大幅に増大するので、機関冷却能力が大幅に上昇する。このため、機関過熱を確実に防止しつつ異常診断を行うことができる。
更に、前記異常診断手段は、前記推定実流量が前記予測流量よりも多い場合(図8のステップ825での「Yes」との判定)、そのときの前記ラジエータ弁の開度を維持しつつ前記バイパス弁の開度を減少させる指示を前記制御手段に対して行う(図10のステップ1022の処理)。
そして、そのときの前記推定実流量の減少量である第2減少量(ΔRact)が前記バイパス弁の開度の減少量から予測される前記推定実流量の減少量を含む所定範囲の下限値である第2下限値(ΔR21th)よりも少ない場合(図10のステップ1035での「No」との判定)、前記バイパス弁に異常が生じていると診断する(図10のステップ1042の処理)。
一方、前記第2減少量が前記第2下限値以上である場合(図10のステップ1035での「Yes」との判定)、前記バイパス弁が正常であると診断して(図10のステップ1040の処理)前記ラジエータ弁の開度を増大させる指示を前記制御手段に対して行う(図10のステップ1062の処理)。
そして、そのときの前記推定実流量の増大量(ΔRact)が前記ラジエータ弁の開度の増大量から予測される前記推定実流量の増大量を含む所定範囲の下限値(ΔR22th)よりも少ない場合(図10のステップ1075での「No」との判定)、前記ラジエータ弁に異常が生じていると診断する(図10のステップ1082の処理)。
本発明装置によれば、推定実流量が予測流量よりも多い場合、ラジエータ弁の開度を増大させる指示を制御手段に対して行うよりも先に、バイパス弁の開度を減少させる指示を制御手段に対して行う。従って、バイパス弁が正常であれば、ラジエータを通過する流量(ラジエータ流量)が増大するが、その増大幅は小さい。このため、機関冷却能力の大幅な上昇を防止すると共に機関過熱を防止しつつ、異常診断を行うことができる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要素は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る異常診断装置が適用される機関冷却システムの全体図である。 図2は、図1に示したバイパス弁を示した図である。 図3は、図1に示した機関冷却システムにおける目標バイパス流量等の設定を説明するための図である。 図4は、図1に示した機関冷却システムにおける加速要求時におけるラジエータ流量等の制御を説明するための図である。 図5は、図1に示した機関冷却システムにおける加速要求時におけるラジエータ流量等の制御を説明するための図である。 図6は、図1に示したECUのCPU(以下、単に「CPU」と称呼する。)が実行するルーチンを示したフローチャートである。 図7は、CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図8は、CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図9は、CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図10は、CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図11は、CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図12は、CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図13は、CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 図14は、CPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る機関冷却システムの異常診断装置(以下、「実施装置」と称呼する。)について説明する。実施装置は、図1に示した機関冷却システム10に適用される。
機関冷却システム10は、内燃機関20を冷却水によって冷却するシステムである。機関冷却システム10は、ポンプ11、ラジエータ12、多機能制御弁13及びバイパス弁14を備える。
ポンプ11は、内燃機関20の図示しないクランクシャフトの回転によって作動せしめられる。このため、ポンプ11の回転数は、機関回転速度NEが大きくなるほど大きくなる。このため、ポンプ11の吐出量は、機関回転速度NEが大きくなるほど多くなる傾向にある。従って、機関回転速度NEは、ポンプ11の吐出量を表すパラメータであると言える。
ポンプ11の冷却水吐出口11outは、内燃機関20(以下、「機関20」と称呼する。)に形成された冷却水通路21の入口21inに配管51を介して接続される。冷却水通路21の出口21outは、配管52を介して多機能制御弁13(以下、単に「制御弁13」と称呼する。)の入口ポートに接続される。
制御弁13は、ラジエータポート13R、クーラポート13C及びヒータポート13Hを備えている。
ラジエータポート13Rは、配管53を介してラジエータ12の冷却水入口に接続される。ラジエータ12の冷却水出口は、配管54を介してポンプ11の冷却水取込口11inに接続される。ラジエータ12は、冷却水を冷却するための装置である。
クーラポート13Cは、配管55を介してオートマティックトランスミッションフルイドクーラ、EGRクーラ及びオイルクーラの少なくとも1つを含むクーラデバイス60の冷却水入口に接続される。クーラデバイス60の冷却水出口は、配管54を介してポンプ11の冷却水取込口11inに接続される。
オートマティックトランスミッションフルイドクーラは、オートマティックトランスミッションにて使用される流体を冷却水によって冷却する装置である。EGRクーラは、機関20の燃焼室から排気管に排出された排ガスを吸気管に導入することにより排ガスを燃焼室に導入する排気循環装置の構成要素の1つであって、吸気管に導入される排ガスを冷却水によって冷却する装置である。オイルクーラは、機関20を潤滑するための潤滑オイルを冷却水によって冷却する装置である。
ヒータポート13Hは、配管56を介してヒータコア70の冷却水入口に接続される。ヒータコア70の冷却水出口は、配管54を介してポンプ11の冷却水取込口11inに接続される。ヒータコア70は、冷却水から熱を奪って蓄熱する装置である。ヒータコア70に蓄熱された熱は、機関20が搭載される車両の室内の暖房等に利用される。
制御弁13は、図示しない制御弁アクチュエータに接続されている。制御弁アクチュエータは、後述するECU90から送出される制御信号に応じてラジエータポート13Rの開度であるラジエータポート開度DR、クーラポート13Cの開度であるクーラポート開度DC、及び、ヒータポート13Hの開度であるヒータポート開度DHを個別に制御可能である。
配管52と配管54とは、配管57を介して直接接続されている。バイパス弁14は、配管57に配設されている。図2に示したように、バイパス弁14は、弁体14A及びコイルスプリング14Bを備えている。コイルスプリング14Bは、弁体14を開弁させる方向Dopenに弁体14を付勢している。
弁体14Aは、電磁力を発生させる図示しないバイパス弁アクチュエータからコイルスプリング14Bの付勢力を超える電磁力を受けると、閉弁する方向Dcloseに枢動するようになっている。バイパス弁アクチュエータは、後述するECU90から送出される制御信号に応じて発生させる電磁力の強度を変更して弁体14の枢動位置を制御し、それにより、バイパス弁14の開度であるバイパス弁開度DBを可変に制御可能である。
実施装置は、ECU90を備える。ECUは、エレクトリックコントロールユニットの略称であり、ECU90は、CPU、ROM、RAM及びインターフェース等を含むマイクロコンピュータを主要構成部品として有する電子制御回路である。CPUは、メモリ(ROM)に格納されたインストラクション(ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現する。
ECU90は、制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータに接続されている。ECU90は、後述するように制御弁アクチュエータに制御信号を送出することにより、制御弁アクチュエータにラジエータポート開度DR、クーラポート開度DC及びヒータポート開度DHを制御させる。一方、ECU90は、後述するようにバイパス弁アクチュエータに制御信号を送出することにより、バイパス弁アクチュエータにバイパス弁開度DBを制御させる。
更に、ECU90は、温度センサ81、温度センサ82、アクセルペダル操作量センサ83及びクランク角センサ84と接続されている。
温度センサ81は、冷却水通路21に流入する直前の配管51内の冷却水の温度Tinを検出し、その温度Tin(以下、「入口水温Tin」と称呼する。)を表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいて入口水温Tinを取得する。
温度センサ82は、配管57が配管52に接続されている位置よりも上流側の位置において冷却水通路21から流出した直後の配管52内の冷却水の温度Toutを検出し、その温度Tout(以下、「出口水温Tout」と称呼する。)を表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいて出口水温Toutを取得する。
アクセルペダル操作量センサ83は、図示しないアクセルペダルの操作量APを検出し、その操作量AP(以下、「アクセルペダル操作量AP」と称呼する。)を表す信号をECU90に出力する。ECU90は、その信号に基づいてアクセルペダル操作量APを取得する。更に、ECU90は、アクセルペダル操作量APに基づいて機関20の負荷である機関負荷KLを取得する。
クランク角センサ84は、図示しないクランクシャフトが所定角度回転する毎にパルス信号をECU90に出力する。ECU90は、そのパルス信号に基づいて機関20の回転速度である機関回転速度NEを取得する。
<機関冷却システムの作動の概要・通常制御>
次に、機関冷却システム10の作動について説明する。機関冷却システム10は、機関負荷KLに応じて「ラジエータ12を通過する冷却水の流量の目標値である目標ラジエータ流量RRtgt」及び「バイパス弁14を通過する冷却水の流量の目標値、即ち、配管57を介してラジエータ12をバイパスする冷却水の流量の目標値である目標バイパス流量RBtgt」を設定する。
機関負荷KLが小さいほど、燃焼室における燃焼に起因して発生する熱量が小さい。従って、機関冷却システム10が機関20を冷却する能力(以下、「機関冷却能力」と称呼する。)が同じである場合、機関負荷KLが小さいほど、機関20の温度である機関温度が低くなる傾向にある。機関温度が低いと、機関20を潤滑する潤滑オイルの温度が低く、その結果、機関20のフリクションが大きくなり、燃料消費率が大きくなってしまう。一方、機関負荷KLが大きいほど、機関温度が高く、ノッキングが発生しやすい。
ラジエータ流量RRが多いほど、ラジエータ12によって冷却される冷却水の流量が多くなるので、機関冷却能力が上昇する。更に、バイパス流量RBが多いほど、機関20の冷却水通路21を流れる冷却水の流量である機関流量Rengが多くなるので、機関冷却能力が上昇する。
そこで、図3に示したように、本実施形態においては、機関20の運転領域を機関負荷KLに応じて3つの領域に分割する。1つ目の領域は、機関負荷KLが比較的小さい第1閾値KL1以下である低負荷領域Rsmallであり、2つ目の領域は、機関負荷KLが第1閾値KL1よりも大きく且つ同第1閾値KL1よりも大きい第2閾値KL2以下である中負荷領域Rmiddleであり、3つ目の領域は、機関負荷KLが第2閾値KL2よりも大きい高負荷領域Rlargeである。
低負荷領域Rsmallにおいては、機関温度の目標値である目標機関温度は、機関負荷KLにかかわらず、比較的高い温度で一定である。中負荷領域Rmiddleにおいては、目標機関温度は、機関負荷KLが大きくなるほど低くなる。高負荷領域Rlargeにおいては、中負荷領域Rmiddleにおける目標機関温度よりも低い範囲で、機関負荷KLが大きくなるほど低くなる。
機関冷却システム10は、機関負荷KLに応じて以下に述べる通常制御を行う。即ち、機関負荷KLが低負荷領域Rsmall内の負荷である場合、機関冷却システム10は、目標ラジエータ流量RRtgtを比較的小さい第1流量RR1に設定する。更に、機関負荷KLが低負荷領域Rsmall内の負荷である場合、機関冷却システム10は、目標バイパス流量RBtgtを比較的小さい第1流量RB1(本例においては、ゼロ)に設定する。
機関負荷KLが中負荷領域Rmiddle内の負荷である場合、機関冷却システム10は、機関負荷KLが増大するに従って、目標ラジエータ流量RRtgtを所定増大率R1で上記第1流量RR1から徐々に大きい流量に設定し、機関負荷KLが第2閾値KL2であるときに第2流量RR2に設定する。更に、機関負荷KLが中負荷領域Rmiddle内の負荷である場合、機関冷却システム10は、機関負荷KLが増大するに従って、目標バイパス流量RBtgtを上記第1流量RB1から徐々に大きい流量に設定し、機関負荷KLが第2閾値KL2であるときに第2流量RB2に設定する。
機関負荷KLが高負荷領域Rlarge内の負荷である場合、機関冷却システム10は、機関負荷KLが増大するに従って、目標ラジエータ流量RRtgtを上記所定増大率R1よりも大きい増大率R2で上記第2流量RR2から徐々に大きい流量に設定する。更に、機関負荷KLが高負荷領域Rlarge内の負荷である場合、機関冷却システム10は、目標バイパス流量RBtgtを上記第2流量RB2に設定する。
機関冷却システム10は、上述したように設定した目標ラジエータ流量RRtgt及び機関回転速度NEに基づいて目標ラジエータ流量RRの冷却水をラジエータ12に流すためのラジエータポート開度DRの目標値である目標ラジエータポート開度DRtgtを設定する。機関冷却システム10は、その目標ラジエータポート開度DRtgtを達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータに送出する。
更に、機関冷却システム10は、上述したように設定した目標バイパス流量RBtgt及び機関回転速度NEに基づいて目標バイパス流量RBの冷却水をバイパス弁14を通過させるためのバイパス弁開度DBの目標値である目標バイパス弁開度DBtgtを設定する。機関冷却システム10は、その目標バイパス弁開度DBtgtを達成させるための制御信号をバイパス弁アクチュエータに送出する。
これにより、機関負荷KLが比較的小さい場合、燃料消費率の増大を防止することができ、機関負荷KLが比較的大きい場合、ノッキングの発生を防止することができる。
更に、機関冷却システム10は、機関負荷KL及びクーラデバイス60への冷却水の供給要求の度合等に基づいてクーラデバイス60を通過する冷却水の流量の目標値である目標クーラ流量RCtgtを設定する。クーラデバイス60への冷却水の供給要求の度合(以下、「クーラ通水要求度」と称呼する。)は、吸気管に導入される排ガスの温度、オートマティックトランスミッションにて使用される流体の温度及び機関20を潤滑するための潤滑オイルの温度等に基づいて決定される。
機関冷却システム10は、目標クーラ流量RCtgt及び機関回転速度NEに基づいて目標クーラ流量RCtgtの冷却水をクーラデバイス60に流すためのクーラポート開度DCの目標値である目標クーラポート開度DCtgtを設定する。機関冷却システム10は、その目標クーラポート開度DCtgtを達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータに送出する。
更に、機関冷却システム10は、機関負荷KL及びヒータコア70への冷却水の供給要求の度合等に基づいてヒータコア70を通過する冷却水の流量の目標値である目標ヒータ流量RHtgtを設定する。ヒータコア70への冷却水の供給要求の度合(以下、「ヒータ通水要求度」と称呼する。)は、車両の運転者からの車両の室内の暖房要求の有無、車両の室内の温度及び外気温度等に基づいて決定される。
機関冷却システム10は、目標ヒータ流量RHtgt及び機関回転速度NEに基づいて目標ヒータ流量RHtgtの冷却水をヒータコア70に流すためのヒータポート開度DHの目標値である目標ヒータポート開度DHtgtを設定する。機関冷却システム10は、その目標ヒータコア開度DHtgtを達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータに送出する。
<過度制御>
アクセルペダル操作量APが一気に増大すると、機関負荷KLが一気に増大する。このとき、燃焼室内で発生する熱量が増大するので、機関過熱を防止するためには、機関冷却能力を上昇させることが好ましい。
上記通常制御によれば、機関負荷KLが低負荷領域Rsmall内の負荷から中負荷領域Rmiddle又は高負荷領域Rlarge内の負荷に増大した場合、ラジエータ流量RRが一気に増大される。機関負荷KLが中負荷領域Rmiddle又は高負荷領域Rlarge内で一気に増大した場合にも、上記通常制御によれば、ラジエータ流量RRが一気に増大される。これにより、多量の冷却水がラジエータ12によって冷却され、その多量の冷却水が機関20に供給されるので、機関冷却能力が一気に上昇する。
ところで、アクセルペダル操作量APが一気に増大した後、短い時間しか経過していないうちにアクセルペダル操作量APが一気に減少することもある。このとき、燃焼室内で発生する熱量が減少するので、燃料消費量の増大を防止するためには、機関冷却能力を低下させることが好ましい。
上記通常制御によれば、機関負荷KLが中負荷領域Rmiddle又は高負荷領域Rlarge内の負荷から低負荷領域Rsmall内の負荷に減少した場合、ラジエータ流量RRが一気に減少される。機関負荷KLが中負荷領域Rmiddle又は高負荷領域Rlarge内で一気に減少した場合にも、ラジエータ流量RRが一気に減少される。
ところが、このとき、多量の冷却水がラジエータ12によって冷却され始めて冷却水の温度が低下しているため、ラジエータ流量RRが減少されても、機関冷却能力は、即座には低下しない。このため、過剰冷却状態が生じ、燃料消費量の増大が生じてしまう。
従って、機関負荷KLが一気に増大した場合、その後、一定の時間が経過するまでの間は、冷却水の温度を低下させずに機関流量Rengの増大によって機関冷却能力を上昇させることにより、機関過熱を防止することが望ましい。
その後、一定の時間が経過するまで機関負荷KLが一気に減少しなければ、それ以降、機関負荷KLが一気に減少する可能性は小さいと判断し、冷却水の温度を低下させることにより、機関冷却能力を上昇させて機関過熱を防止することが望ましい。
一方、一定の時間が経過するまでの間に機関負荷KLが一気に減少した場合には、機関流量Rengの減少によって機関冷却能力を低下させることにより、燃料消費率の増大を防止することが望ましい。
そこで、機関冷却システム10は、アクセルペダル操作量APの増大により、単位時間当たりの機関負荷KLの変化量ΔKL(以下、「機関負荷変化率ΔKL」と称呼する。)がゼロ以上であり且つその機関負荷変化率ΔKLの絶対値が所定の閾値増大率ΔKLup以上であるとの加速条件が成立した場合、以下に述べる過渡制御を行う。
即ち、図4に示したように、時点t40において加速条件が成立した場合、その加速条件の成立時点t40において機関負荷KLが一気に増大する。機関冷却システム10は、加速条件の成立時点t40から所定の閾値時間Tacc_thが経過するまでラジエータ流量RR及びバイパス流量RBをそれぞれ加速条件の成立時点t40のラジエータ流量RR及びバイパス流量RBに維持する。一方、機関冷却システム10は、クーラ流量RC及びヒータ流量RHをそれぞれ所定量dRC及びdRHだけ増大させる。
これによれば、ラジエータ流量RRは増大されないので、ラジエータ12によって冷却される冷却水の流量は増大せず、冷却水の温度は比較的高い温度に維持される。一方、クーラ流量RC及びヒータ流量RHが増大され、その結果、機関流量Rengが増大するので、機関流量Rengの増大分だけ機関冷却能力が上昇する。このため、機関過熱が防止される。尚、バイパス流量RBは増大しないので、バイパス流量RBの増大による機関冷却能力の上昇はない。
その後、アクセルペダル操作量APが大幅には減少せずに加速条件の成立時点t40から閾値時間Tacc_thが経過した場合、その閾値時間Tacc_thの経過時点t41で、機関冷却システム10は、ラジエータ流量RRを所定増大率ΔRRupで増大させ始めると共に、クーラ流量RC及びヒータ流量RHをそれぞれ通常制御用の目標クーラ流量RCtgt及び目標ヒータ流量RHtgtに減少させる。このとき、バイパス流量RBはその時点t41の流量に維持される。
これによれば、閾値時間Tacc_thの経過後は、ラジエータ12によって冷却される冷却水の流量が多くなり、その結果、冷却水の温度が低下するので、機関冷却能力が大幅に上昇する。このため、機関過熱を十分に防止することができる。
尚、機関冷却システム10は、ラジエータ流量RRが通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgtに達した時点t42で過渡制御を停止し、通常制御に復帰する。
一方、図5に示したように、加速条件の成立時点t50から閾値時間Tacc_thが経過する前の時点t51でアクセルペダル操作量APの減少によって機関負荷変化率ΔKLがゼロよりも小さくなり且つその機関負荷変化率ΔKLの絶対値が所定閾値減少率ΔKLdown以上であるとの減速条件が成立した場合、機関冷却システム10は、過渡制御を停止して通常制御を開始する。
これによれば、ラジエータ流量RR、クーラ流量RC、ヒータ流量RH及びバイパス流量RBは、それぞれ、減速条件が成立した時点t51における機関負荷KLに応じた通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt、目標クーラ流量RCtgt、目標ヒータ流量RHtgt及び目標バイパス流量RBに制御される。このとき、冷却水の温度は比較的高いので、燃料消費率の増大を防止することができる。
以上説明した過渡制御により、加速条件の成立後、機関過熱を防止することができ、その後、減速条件が成立した場合、燃料消費率の増大を防止することができる。
尚、機関20が過給機を備えている場合、加速条件が成立した時点で機関20から出力されるトルク(以下、「機関トルク」と称呼する。)が一気に増大し、その後、徐々に増大してゆく。この場合、加速条件が成立してから閾値時間Tacc_thが経過するまでの間、クーラ流量RC及びヒータ流量RHをそれぞれ所定量dRC及びdRHだけ増大しただけでは、機関過熱を防止するには機関冷却能力が不足する可能性がある。
そこで、この場合、機関冷却システム10は、加速条件の成立時点でバイパス流量RBの増大を開始し、その後、閾値時間Tacc_thが経過するまでバイパス流量RBを徐々に増大させ、閾値時間Tacc_thの経過時点でバイパス流量RBの減少を開始し、その後、通常制御用の目標バイパス流量RBtgtまでバイパス流量RBを徐々に減少させるように構成され得る。
<異常診断>
ラジエータポート開度DRを変えるための制御信号が制御弁アクチュエータに送出されたときに「ラジエータポート開度DRが変化しないラジエータポート異常」が制御弁13に生じることがある。同様に、バイパス弁開度DBを変えるための制御信号がバイパス弁アクチュエータに送出されたときに「バイパス弁開度DBが変化しないバイパス弁異常」がバイパス弁14に生じることがある。
ラジエータポート異常に起因してラジエータポート開度DRが目標ラジエータポート開度DRtgtよりも小さい場合、機関20の冷却水通路21を流れる冷却水の流量(機関流量Reng)は、「目標ラジエータポート開度DRtgt、目標クーラポート開度DCtgt、目標ヒータポート開度DHtgt及び目標バイパス弁開度DBtgt並びに機関回転速度NE」に基づいて機関20の冷却水通路21を流れるものと予測される冷却水の流量である予測流量Restよりも少ない。
バイパス弁異常に起因してバイパス弁開度DBが目標バイパス弁開度DBtgtよりも小さい場合にも、機関流量Rengは予測流量Restよりも少ない。従って、機関流量Rengが予測流量Restよりも少ないことのみに基づいてラジエータポート異常及びバイパス弁異常の何れが生じているのかを診断することはできない。
同様に、ラジエータポート異常に起因してラジエータポート開度DRが目標ラジエータポート開度DRtgtよりも大きい場合、機関流量Rengは予測流量Restよりも多い。バイパス弁異常に起因してバイパス弁開度DBが目標バイパス弁開度DBtgtよりも大きい場合にも、機関流量Rengは予測流量Restよりも多い。従って、機関流量Rengが予測流量Restよりも多いことのみに基づいてラジエータポート異常及びバイパス弁異常の何れが生じているのかを診断することはできない。
このように機関流量Rengと予測流量Restとの比較のみをもってラジエータポート異常及びバイパス弁異常の何れが生じているのかを診断することはできない。
ここで、バイパス弁開度DBを一定に維持した状態でラジエータポート開度DRを増大させるか或いは減少させるかするための制御信号を制御弁アクチュエータに送出した場合、ラジエータポート異常が生じていなければ、機関流量Rengが変化する。一方、ラジエータポート異常が生じていれば、機関流量Rengは変化しない。
従って、バイパス弁開度DBを一定に維持した状態でラジエータポート開度DRを増大させるか或いは減少させるかするための制御信号を制御弁アクチュエータに送出すれば、機関流量Rengの変化に基づいてラジエータポート異常が生じているか否かを判定することができる。
同様に、ラジエータポート開度DRを一定に維持した状態でバイパス弁開度DBを増大させるか或いは減少させるかするための制御信号をバイパス弁アクチュエータに送出した場合、バイパス弁異常が生じていなければ、機関流量Rengが変化する。一方、バイパス弁異常が生じていれば、機関流量Rengは変化しない。
従って、ラジエータポート開度DRを一定に維持した状態でバイパス弁開度DBを増大させるか或いは減少させるかするための制御信号をバイパス弁アクチュエータに送出すれば、機関流量Rengの変化に基づいてバイパス弁異常が生じているか否かを判定することができる。
ここで、機関冷却能力の不足による機関過熱を防止する観点から、機関冷却システム10の機関冷却能力を確保しつつ異常診断を行うことが好ましい。しかしながら、機関冷却能力の過剰による機関過剰冷却を防止する観点からは、機関冷却能力が大幅に上昇しないようにすることが好ましい。従って、適度な機関冷却能力を確保しながら、異常診断を行うことが望まれる。そこで、実施装置は、以下に述べるように異常診断を行う。
即ち、実施装置は、「入口水温Tinと出口水温Toutとの差ΔT」及び「機関20が燃焼室内での燃焼から受ける熱量」等に基づいて機関流量Rengを推定し、その推定した機関流量Rengを推定実流量Ractとして取得する。
そして、推定実流量Ractが予測流量Restよりも少ない場合、実施装置は、バイパス弁開度DBを一定に維持した状態でラジエータポート開度DRを増大させる制御信号を制御弁アクチュエータに送出する。このとき、ラジエータポート異常が生じていなければ、ラジエータポート開度DRが増大し、その増大量に応じた量だけ推定実流量Ractが多くなる。従って、実施装置は、推定実流量Ractが所定量だけ多くなった場合、ラジエータポート異常が生じていないと診断し、推定実流量Ractの増大量が所定量よりも少ない場合、ラジエータポート異常が生じていると診断する。
更に、実施装置は、ラジエータポート異常が生じていないと診断した場合、ラジエータポート開度DRを増大させたまま、バイパス弁開度DBを減少させる制御信号をバイパス弁アクチュエータに送出する。このとき、バイパス弁異常が生じていなければ、バイパス弁開度DBが減少し、その減少量に応じた量だけ推定実流量Ractが少なくなる。従って、実施装置は、推定実流量Ractが所定量だけ少なくなった場合、バイパス弁異常が生じていないと診断し、推定実流量Ractの減少量が所定量よりも少ない場合、バイパス弁異常が生じていると診断する。
推定実流量Ractが予測流量Restよりも少ない場合、機関冷却能力が不足しており、機関過熱が生じる可能性が高い。この場合、実施装置は、始めに、バイパス弁開度DBを減少させる制御信号ではなく、ラジエータポート開度DRを増大させる制御信号を送出する。このため、ラジエータポート異常が生じていなければ、ラジエータ流量RRが増大し、その結果、機関冷却能力が比較的大きく増大するので、機関過熱を防止しつつ、異常診断を行うことができる。
一方、推定実流量Ractが予測流量Restよりも多い場合、実施装置は、ラジエータポート開度DRを一定に維持した状態でバイパス弁開度DBを減少させる制御信号をバイパス弁アクチュエータに送出する。このとき、バイパス弁異常が生じていなければ、バイパス弁開度DBが減少し、その減少量に応じた量だけ推定実流量Ractが少なくなる。従って、実施装置は、推定実流量Ractが所定量だけ少なくなった場合、バイパス弁異常が生じていないと診断し、推定実流量Ractの減少量が所定量よりも少ない場合、バイパス弁異常が生じていると診断する。
更に、実施装置は、バイパス弁異常が生じていないと診断した場合、バイパス弁開度DBを減少させたまま、ラジエータポート開度DRを増大させる制御信号をバイパス弁アクチュエータに送出する。このとき、ラジエータポート異常が生じていなければ、ラジエータポート開度DRの増大量に応じた量だけ推定実流量Ractが多くなる。従って、実施装置は、推定実流量Ractが所定量だけ多くなった場合、ラジエータポート異常が生じていないと診断し、推定実流量Ractの増大量が所定量よりも少ない場合、ラジエータポート異常が生じていると診断する。
一方、推定実流量Ractが予測流量Restよりも多い場合、機関冷却能力が過剰である可能性がある。この場合、実施装置は、始めに、ラジエータポート開度DRを増大させる制御信号を送出せずに、バイパス弁開度DBを減少させる制御信号を送出する。バイパス弁開度DBが減少した場合、機関冷却能力は増大するが、その増大幅は、ラジエータポート開度DRが増大した場合の機関冷却能力の増大幅よりも小さい。このため、機関冷却能力の過剰な増大及び機関過熱を防止しつつ、異常診断を行うことができる。
<ラジエータポート異常に対する対応>
実施装置は、推定実流量Ractが予測流量Restよりも多いときにラジエータポート異常が生じていると診断した場合、バイパス弁開度DBを増大させる。これによれば、ラジエータ流量RRが減少するので、機関過剰冷却を防止することができる。
一方、推定実流量Ractが予測流量Restよりも少ないときにラジエータポート異常が生じていると診断した場合、実施装置は、バイパス弁開度DBを減少させる。これによれば、ラジエータ流量RRが増大するので、機関過熱を防止することができる。
<バイパス弁異常に対する対応>
推定実流量Ractが予測流量Restよりも少ないときにバイパス弁異常が生じている場合、バイパス弁14が比較的小さい開度にある状態で作動しない異常が生じている可能性が大きい。
そこで、実施装置は、推定実流量Ractが予測流量Restよりも少ないときにバイパス弁異常が生じている場合、ラジエータポート開度DR、クーラポート開度DC及びヒータポート開度DHを、所定の閾値時間Tshortの間、それぞれゼロまで減少させる。これによれば、バイパス弁14上流の冷却水の圧力が上昇するので、バイパス弁開度DBが増大する方向(即ち、弁体14Aが開弁する方向Dopen)にバイパス弁14が冷却水の圧力を受け、その結果、バイパス弁異常が回復する可能性がある。
一方、推定実流量Ractが予測流量Restよりも多いときにバイパス弁異常が生じている場合、バイパス弁14が比較的大きい開度にある状態で作動しない異常が生じている可能性が高い。
そこで、実施装置は、推定実流量Ractが予測流量Restよりも多いときにバイパス弁異常が生じている場合、ラジエータポート開度DR、ヒータポート開度DH及びクーラポート開度DCを、所定の閾値時間Tlongの間、それぞれ最大開度DBmax、DHmax及びDCmaxまで増大させる。これによれば、バイパス弁14上流の冷却水の圧力が低下するので、バイパス弁開度DBが減少する方向(即ち、弁体14Aが閉弁する方向Dclose)にバイパス弁14が冷却水の圧力を受け、その結果、バイパス弁異常が回復する可能性がある。
尚、本例において、上記閾値時間Tshortは、極めて短い時間に設定され、上記閾値時間Tlongは、閾値時間Tshortよりも長い時間に設定される。
<機関冷却システムの具体的な作動>
次に、機関冷却システムの具体的な作動について説明する。ECU90のCPUは、ラジエータ流量RR、クーラ流量RC、ヒータ流量RD及びバイパス流量RBをそれぞれ目標ラジエータ流量RRtgt、目標クーラ流量RCtgt、ヒータ流量RDtgt及び目標バイパス流量RBtgtに制御するための機関冷却システムの制御手段としての機能を実現するために、図6にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
尚、以下の説明において、目標ラジエータ流量RRtgt、目標クーラ流量RCtgt、ヒータ流量RDtgt及び目標バイパス流量RBtgtの4つの目標流量を「目標ラジエータ流量RRtgt等」と称呼する。
所定のタイミングになると、CPUは、図6のステップ600から処理を開始してステップ605に進み、「ラジエータポート異常フラグXR1及びXR2、バイパス弁異常フラグXB1及びXB2、第1診断フラグXOBD1、第2診断フラグXOBD2、全閉フラグXBclose、並びに、全開フラグXBopen」の値がそれぞれ「0」であるか否かを判定する。
ラジエータポート異常フラグXR1及びXR2は、その値が「0」である場合、後述するラジエータポート異常が生じていないことを示し、その値が「1」である場合、ラジエータポート異常が生じていることを示している。バイパス弁異常フラグXB1及びXB2は、その値が「0」である場合、後述するバイパス弁異常が生じていないことを示し、その値が「1」である場合、バイパス弁異常が生じていることを示している。
第1診断フラグXOBD1は、その値が「0」である場合、後述する図9にフローチャートにより示したルーチンによる第1異常診断が行われていないことを示し、その値が「1」である場合、その第1異常診断の実行中であることを示している。第2診断フラグXOBD2は、その値が「0」である場合、後述する図10にフローチャートにより示したルーチンによる第2異常診断が行われていないことを示し、その値が「1」である場合、その第2異常診断の実行中であることを示している。
全閉フラグXBcloseは、その値が「0」である場合、後述する図12にフローチャートにより示したルーチンによる第1異常回復処理が行われていないことを示し、その値が「1」である場合、その第1異常回復処理の実行中であることを示している。全開フラグXBopenは、その値が「0」である場合、後述する図13にフローチャートにより示したルーチンによる第2異常回復処理が行われていないことを示し、その値が「1」である場合、その第2異常回復処理の実行中であることを示している。
従って、「ラジエータポート異常フラグXR1及びXR2、バイパス弁異常フラグXB1及びXB2、第1診断フラグXOBD1、第2診断フラグXOBD2、全閉フラグXBclose、並びに、全開フラグXBopen」の値の何れか1つが「1」である場合、別のルーチンによって目標ラジエータ流量RRtgt等の設定が行われているので、CPUは、ステップ605にて「No」と判定してステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、「ラジエータポート異常フラグXR1及びXR2、バイパス弁異常フラグXB1及びXB2、第1診断フラグXOBD1、第2診断フラグXOBD2、全閉フラグXBclose、並びに、全開フラグXBopen」の値がそれぞれ「0」である場合、CPUは、ステップ605にて「Yes」と判定してステップ610に進み、機関負荷変化率ΔKLがゼロ以上であり且つその絶対値が所定の閾値増大率ΔKLup以上であるとの加速条件が成立しているか否かを判定する。
加速条件が成立している場合、CPUは、ステップ610にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ615の処理を行う。その後、CPUは、ステップ620に進む。
ステップ615:CPUは、過渡フラグXaccの値を「1」に設定する。過渡フラグXaccは、その値が「0」である場合、ステップ620及びステップ655の処理として行われる図7にフローチャートにより示したルーチンによる過渡制御が行われていないことを示し、その値が「1」である場合、その過渡制御の実行中であることを示している。更に、過渡フラグXaccの値が「1」である間、CPUは、ステップ650に進んだ場合、そのステップ650にて「Yes」と判定してステップ655に進むので、過渡制御が継続される。
CPUは、ステップ620に進むと、図7にフローチャートにより示したルーチンを実行する。従って、CPUは、ステップ620に進むと、図7のステップ700から処理を開始してステップ705に進み、図6のステップ610にて加速条件が成立していると初めて判定してから経過した時間である加速時間Taccが所定の閾値時間Tacc_th以下であるとの加速初期条件が成立しているか否かを判定する。
加速条件が成立していると初めて判定された直後においては、加速時間Taccは閾値時間Tacc_th以下であり、加速初期条件が成立している。従って、この場合、CPUは、ステップ705にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ710乃至ステップ720の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ795を経由して図6のステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ710:CPUは、加速条件の成立時点の通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_n及び目標バイパス流量RBtgt_nを過渡制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_a及び目標バイパス流量RBtgt_aとして取得し、加速条件の成立時点の通常制御用の目標クーラ流量RCtgt_n及び目標ヒータ流量RHtgt_nよりもそれぞれ所定量dRC及びdRHだけ大きい流量を過渡制御用の目標クーラ流量RCtgt_a及び目標ヒータ流量RHtgt_aとして取得する。
ステップ715:CPUは、機関回転速度NEを考慮して、ステップ710にて取得した「目標ラジエータ流量RRtgt_a、目標クーラ流量RCtgt_a、目標ヒータ流量RHtgt_a及び目標バイパス流量RBtgt_a」を達成することができるラジエータポート開度DR、クーラポート開度DC、ヒータポート開度DH及びバイパス弁開度DBをそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt、目標クーラポート開度DCtgt、目標ヒータポート開度DHtgt及び目標バイパス弁開度DBtgt」として設定する。
以下、ラジエータポート開度DR、クーラポート開度DC、ヒータポート開度DH及びバイパス弁開度DBの4つの開度を「ラジエータポート開度DR等」と称呼し、目標ラジエータポート開度DRtgt、目標クーラポート開度DCtgt、目標ヒータポート開度DHtgt及び目標バイパス弁開度DBtgtの4つの目標開度をまとめて「目標ラジエータポート開度DRtgt等」と称呼する。
ステップ720:CPUは、ステップ710にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータにそれぞれ送出する。
その後、加速時間Taccが閾値時間Tacc_thよりも大きくなると、加速初期条件が成立しなくなるので、CPUは、ステップ705にて「No」と判定し、以下に述べるステップ725及びステップ730の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ735に進む。
ステップ725:CPUは、機関負荷KL、クーラ通水要求度及びヒータ通水要求度等に基づいて通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_n、目標クーラ流量RCtgt_n、目標ヒータ流量RHtgt_n及び目標バイパス流量RBtgt_nを取得する。
以下、通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_n、目標クーラ流量RCtgt_n、目標ヒータ流量RHtgt_n及び目標バイパス流量RBtgt_nの4つの目標流量をまとめて「通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_n等」と称呼する。
ステップ730:CPUは、前回の本ルーチンの実行によって設定された過渡制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_aよりも所定量dRRだけ大きい流量を新たに過渡制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_aとして取得する。従って、目標ラジエータ流量RRtgt_aは、加速初期条件が成立しなくなった時点からの経過時間が長いほど大きい流量として取得される。一方、CPUは、加速初期条件が成立しなくなった時点の過渡制御用の目標クーラ流量RCtgt_a及び目標ヒータ流量RHtgt_aよりもそれぞれ所定量dRC及びdRHだけ小さい流量を過渡制御用の目標クーラ流量RCtgt_a及び目標ヒータ流量RHtgt_aとして取得する。更に、CPUは、加速初期条件が成立しなくなった時点の過渡制御用の目標バイパス流量RBtgt_aをそのまま今回の過渡制御用の目標バイパス流量RBtgt_aとして取得する。
CPUは、ステップ735に進むと、ステップ730にて取得した過渡制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_aがステップ725にて取得した通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_n以上であるとの通常制御条件が成立しているか否かを判定する。
通常制御条件が成立している場合、CPUは、ステップ735にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ740乃至ステップ750の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ795を経由して図6のステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ740:CPUは、機関回転速度NEを考慮して、ステップ725にて取得した通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_n等を達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ745:CPUは、ステップ740にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータにそれぞれ送出する。これにより、事実上、通常制御が行われる。
ステップ750:CPUは、過渡フラグXaccの値を「0」に設定する。これにより、これ以降、CPUは、図6のステップ610での加速条件が成立しない限り、通常制御が行われる。
これに対し、CPUがステップ735の処理を実行する時点において通常制御条件が成立していない場合、CPUは、ステップ735にて「No」と判定し、以下に述べるステップ755及びステップ760の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ795を経由して図6のステップ695に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ755:CPUは、ステップ730にて取得した過渡制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_a、目標クーラ流量RCtgt_a、目標ヒータ流量RHtgt_a及び目標バイパス流量RBtgt_aを達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ760:CPUは、ステップ755にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータにそれぞれ送出する。
CPUが図6のステップ610の処理を実行する時点において加速条件が成立していない場合、CPUは、ステップ610にて「No」と判定してステップ625に進み、機関負荷変化率ΔKLがゼロよりも小さく且つその絶対値が所定の閾値減少率ΔKLdown以上であるとの減速条件が成立しているか否かを判定する。
減速条件が成立している場合、CPUは、ステップ625にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ630乃至ステップ635の処理を順に行うことにより、通常制御を行う。その後、CPUは、ステップ695に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ630:CPUは、過渡フラグXaccの値を「0」に設定する。
ステップ635:CPUは、機関負荷KL、クーラ通水要求度及びヒータ通水要求度等に基づいて通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_n等を取得する。
ステップ640:CPUは、機関回転速度NEを考慮して、ステップ635にて取得した目標ラジエータ流量RRtgt_n等を達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ645:CPUは、ステップ640にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータにそれぞれ送出する。
一方、CPUがステップ625の処理を実行する時点において減速条件が成立していない場合、CPUは、ステップ625にて「No」と判定してステップ650に進み、過渡フラグXaccの値が「1」であるか否かを判定する。
過渡フラグXaccの値が「1」である場合、CPUは、ステップ650にて「Yes」と判定してステップ655に進み、先に述べた図7のルーチンを実行することにより、過渡制御を行う。
これに対し、過渡フラグXaccの値が「0」である場合、CPUは、ステップ650にて「No」と判定し、先に述べたステップ635乃至ステップ645の処理を順に行うことにより、通常制御を行う。
<実施装置の具体的な作動>
更に、CPUは、ラジエータポート異常及びバイパス弁異常が生じているか否かを診断する実施装置の異常診断手段としての機能を実現するために、図8にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図8のステップ800から処理を開始してステップ805に進み、第1診断フラグXOBD1、第2診断フラグXOBD2、全閉フラグXBclose及び全開フラグXBopenの値がそれぞれ「0」であるか否かを判定する。
第1診断フラグXOBD1、第2診断フラグXOBD2、全閉フラグXBclose及び全開フラグXBopenの値がそれぞれ「0」である場合、CPUは、ステップ805にて「Yes」と判定して以下に述べるステップ810の処理を行う。その後、CPUは、ステップ815に進む。
ステップ810:CPUは、推定実流量Ract及び予測流量Restを取得する。
CPUは、ステップ815に進むと、推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR1以上、小さいか否かを判定する。本例において、所定値dR1は、ゼロ以上の値に設定される。
推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR1以上、小さい場合、CPUは、ステップ815にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ820の処理を行う。その後、CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ820:CPUは、第1診断フラグXOBD1の値を「1」に設定する。この場合、CPUは、後述する図9のルーチンのステップ905にて「Yes」と判定するようになる。その結果、CPUは、第1異常診断を行う。
一方、CPUがステップ815の処理を実行する時点において推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR1以上には小さくない場合、CPUは、ステップ815にて「No」と判定してステップ825に進み、推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR2以上、大きいか否かを判定する。本例において、所定値dR2は、ゼロ以上の値に設定される。
推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR2以上、大きい場合、CPUは、ステップ825にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ830の処理を行う。その後、CPUは、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ830:CPUは、第2診断フラグXOBD2の値を「1」に設定する。この場合、CPUは、後述する図10のルーチンのステップ1005にて「Yes」と判定するようになる。その結果、CPUは、第2異常診断を行う。
一方、CPUがステップ825の処理を実行する時点において推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR2以上には大きくない場合、CPUは、ステップ825にて「No」と判定してステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。
尚、CPUがステップ805の処理を実行する時点において第1診断フラグXOBD1、第2診断フラグXOBD2、全閉フラグXBclose及び全開フラグXBopenの値の何れかが「1」である場合、CPUは、ステップ805にて「No」と判定してステップ895に進み、本ルーチンを一旦終了する。
更に、CPUは、図9にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ900から処理を開始してステップ905に進み、第1診断フラグXOBD1の値が「1」であるか否かを判定する。
図8のステップ815にて推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR1以上、小さいと判定されていない場合、図9のルーチンによる第1異常診断が行われる必要はなく、第1診断フラグXOBD1の値は「0」に設定されている。この場合、CPUは、ステップ905にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、図8のステップ815にて推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR1以上、小さいと判定された場合、第1異常診断が行われる必要があり、次のステップ820にて第1診断フラグXOBD1の値が「1」に設定される。この場合、CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定してステップ910に進み、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値が「0」であるか否かを判定する。
ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartは、その値が「0」である場合、ラジエータポート異常診断のための後述するステップ915乃至ステップ922の処理によるラジエータポート開度DRの増大が行われていないことを示している。一方、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartは、その値が「1」である場合、ステップ915乃至ステップ922の処理によるラジエータポート開度DRの増大が行われ、その結果、ラジエータポート異常診断の実行中であることを示している。
CPUがステップ905にて初めて「Yes」と判定した場合、ステップ915乃至ステップ922の処理によるラジエータポート開度DRの増大は行われておらず、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値は「0」である。従って、この場合、CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ915乃至ステップ925の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ930に進む。
ステップ915:CPUは、現時点で設定されている目標ラジエータ流量RRtgtよりも所定値dRRだけ大きい流量を異常診断用の目標ラジエータ流量RRtgt_obdとして設定する。更に、CPUは、現時点で設定されている目標バイパス流量RBtgt、目標クーラ流量RCtgt及び目標ヒータ流量RHtgtを、そのまま、異常診断用の目標バイパス流量RBtgt_obd、目標クーラ流量RCtgt_obd及び目標ヒータ流量RHtgt_obdとして設定する。
ステップ917:CPUは、ステップ915にて設定した目標ラジエータ流量RRtgt_obd、目標クーラ流量RCtgt_obd、目標ヒータ流量RHtgt_obd及び目標バイパス流量RBtgt_obdを達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ920:CPUは、ラジエータポート開度DR等がそれぞれステップ917にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等に制御された場合に、閾値時間TRthが経過するまでの間に増大するものと予測される推定実流量Ractの増大量である予測増大量ΔR11thを算出する。
ステップ922:CPUは、ステップ917にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータに送出する。
ステップ925:CPUは、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値を「1」に設定する。これにより、CPUは、この後、ステップ910に進んだときに「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ930に進むと、ステップ922の処理によって制御信号を送出してからの経過時間TRが所定の閾値時間TRth以上であるか否かを判定する。CPUがステップ922の処理を行った直後にステップ930に進んだ場合、経過時間TRは、閾値時間TRthよりも小さい。従って、この場合、CPUは、ステップ930にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
その後、経過時間TRが閾値時間TRth以上になると、CPUは、ステップ930にて「Yes」と判定してステップ935に進み、ステップ922の処理によって制御信号を送出してからの推定実流量Ractの変化量ΔRactがゼロよりも大きく且つその変化量ΔRactの絶対値が予測増大量ΔR11th以上であるとの第1ラジエータポート正常条件が成立しているか否かを判定する。
第1ラジエータポート正常条件が成立している場合、CPUは、ステップ935にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ940の処理を行う。
ステップ940:CPUは、ラジエータポート異常フラグXR1の値を「0」に設定する。この場合、CPUは、ラジエータポート異常が生じていないと診断したことになる。更に、CPUは、ラジエータポート異常診断終了フラグXRendの値を「1」に設定する。このとき、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値が「1」であるので、CPUは、これ以降、ステップ910及びステップ945のそれぞれにて「No」と判定するようになる。
一方、CPUがステップ935の処理を実行する時点において第1ラジエータポート正常条件が成立していない場合、CPUは、ステップ935にて「No」と判定し、以下に述べるステップ942の処理を行う。
ステップ942:CPUは、ラジエータポート異常フラグXR1の値を「1」に設定する。この場合、CPUは、ラジエータポート異常が生じていると診断したことになる。更に、CPUは、ラジエータポート異常診断終了フラグXRendの値を「1」に設定する。先に述べたように、このとき、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値が「1」であるので、CPUは、これ以降、ステップ910及びステップ945のそれぞれにて「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ925の処理によってラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値を「1」に設定した後は、ステップ910にて「No」と判定するようになる。この場合、CPUは、ステップ945に進んでラジエータポート異常診断終了フラグXRendの値が「0」であるか否かを判定する。
CPUがステップ922の処理によって制御信号を送出した後、閾値時間TRthが経過するまでは、ラジエータポート異常診断終了フラグXRendの値は「0」である。この場合、CPUは、ステップ945にて「Yes」と判定してステップ930に進み、そのステップ930にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ922の処理によって制御信号を送出した後、閾値時間TRthが経過した場合、CPUは、ステップ930にて「Yes」と判定した後、ステップ935を経由してステップ940又はステップ942の処理によってラジエータポート異常診断終了フラグXRendの値を「1」に設定する。従って、この場合、CPUは、ステップ945にて「No」と判定してステップ950に進み、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値が「0」であるか否かを判定する。
バイパス弁異常診断開始フラグXBstartは、その値が「0」である場合、バイパス弁異常診断のための後述するステップ955乃至ステップ962の処理によるバイパス弁開度DBの減少が行われていないことを示している。一方、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartは、その値が「1」である場合、ステップ955乃至ステップ962の処理によるバイパス弁開度DBの減少が行われ、その結果、バイパス弁異常診断の実行中であることを示している。
CPUがステップ945にて初めて「No」と判定した場合、ステップ955乃至ステップ962の処理によるバイパス弁開度DBの減少は行われておらず、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値は「0」である。従って、この場合、CPUは、ステップ950にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ955乃至ステップ965の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ970に進む。
ステップ955:CPUは、現時点で設定されている目標バイパス流量RBtgtよりも所定値dRBだけ小さい流量を異常診断用の目標バイパス流量RBtgt_obdとして設定する。更に、CPUは、現時点で設定されている目標ラジエータ流量RRtgt、目標クーラ流量RCtgt及び目標ヒータ流量RHtgtを、そのまま、異常診断用の目標ラジエータ流量RRtgt_obd、目標クーラ流量RCtgt_obd及び目標ヒータ流量RHtgt_obdとして設定する。
ステップ957:CPUは、ステップ955にて設定した目標ラジエータ流量RRtgt_obd、目標クーラ流量RCtgt_obd、目標ヒータ流量RHtgt_obd及び目標バイパス流量RBtgt_obdを達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ960:CPUは、ラジエータポート開度DR等がそれぞれステップ957にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等に制御された場合に、閾値時間TBthが経過するまでの間に減少するものと予測される推定実流量Ractの減少量である予測減少量ΔR12thを算出する。
ステップ962:CPUは、ステップ957にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータに送出する。
ステップ965:CPUは、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値を「1」に設定する。これにより、CPUは、この後、ステップ950に進んだときに「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ970に進むと、ステップ962の処理によって制御信号を送出してからの経過時間TBが所定の閾値時間TBth以上であるか否かを判定する。CPUがステップ962の処理を行った直後にステップ950に進んだ場合、経過時間TBは、閾値時間TBthよりも小さい。従って、この場合、CPUは、ステップ970にて「No」と判定してステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。
その後、経過時間TBが閾値時間TBth以上になると、CPUは、ステップ970にて「Yes」と判定してステップ975に進み、ステップ962の処理によって制御信号を送出してからの推定実流量Ractの変化量ΔRactがゼロよりも小さく且つその変化量ΔRactの絶対値が予測減少量ΔR12th以上であるとの第1バイパス弁正常条件が成立しているか否かを判定する。
第1バイパス弁正常条件が成立している場合、CPUは、ステップ975にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ980の処理を行う。
ステップ980:CPUは、バイパス弁異常フラグXB1の値を「0」に設定する。この場合、CPUは、バイパス弁異常が生じていないと診断したことになる。更に、CPUは、第1診断フラグXOBD1、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstart、ラジエータポート異常診断終了フラグXRend、及び、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値をそれぞれ「0」に設定する。これにより、第1診断フラグXOBD1が「0」となるので、CPUは、これ以降、ステップ905にて「No」と判定するようになる。
一方、CPUがステップ975の処理を実行する時点において第1バイパス弁正常条件が成立していない場合、CPUは、ステップ975にて「No」と判定し、以下に述べるステップ982の処理を行う。
ステップ982:CPUは、バイパス弁異常フラグXB1の値を「1」に設定する。この場合、CPUは、バイパス弁異常が生じていると診断したことになる。更に、CPUは、第1診断フラグXOBD1、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstart、ラジエータポート異常診断終了フラグXRend、及び、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値をそれぞれ「0」に設定する。これにより、第1診断フラグXOBD1が「0」となるので、CPUは、これ以降、ステップ905にて「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ965の処理によってバイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値を「1」に設定した後は、ステップ950にて「No」と判定するようになる。この場合、CPUは、先に述べたステップ970以降の処理を順に行う。
以上により、機関過熱を防止しつつ異常診断を行うことができる。
更に、CPUは、図10にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ1000から処理を開始してステップ1005に進み、第2診断フラグXOBD2の値が「1」であるか否かを判定する。
図8のステップ825にて推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR2以上、大きいと判定されていない場合、図10のルーチンによる第2異常診断が行われる必要はなく、第2診断フラグXOBD2の値は「0」に設定されている。この場合、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、図8のステップ825にて推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR2以上、大きいと判定された場合、第2異常診断が行われる必要があり、次のステップ830にて第2診断フラグXOBD2の値が「1」に設定される。この場合、CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定してステップ1010に進み、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値が「0」であるか否かを判定する。
バイパス弁異常診断開始フラグXBstartは、その値が「0」である場合、バイパス弁異常診断のための後述するステップ1015乃至ステップ1022の処理によるバイパス弁開度DBの減少が行われていないことを示している。一方、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartは、その値が「1」である場合、ステップ1015乃至ステップ1022の処理によるバイパス弁開度DBの減少が行われ、その結果、バイパス弁異常診断の実行中であることを示している。
CPUがステップ1005にて初めて「Yes」と判定した場合、ステップ1015乃至ステップ1022の処理によるバイパス弁開度DBの減少は行われておらず、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値は「0」である。従って、この場合、CPUは、ステップ1010にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1015乃至ステップ1025の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1030に進む。
ステップ1015:CPUは、現時点で設定されている目標バイパス流量RBtgtよりも所定値dRBだけ小さい流量を異常診断用の目標バイパス流量RBtgt_obdとして設定する。更に、CPUは、現時点で設定されている目標ラジエータ流量RRtgt、目標クーラ流量RCtgt及び目標ヒータ流量RHtgtを、そのまま、異常診断用の目標ラジエータ流量RRtgt_obd、目標クーラ流量RCtgt_obd及び目標ヒータ流量RHtgt_obdとして設定する。
ステップ1017:CPUは、ステップ1015にて設定した目標ラジエータ流量RRtgt_obd、目標クーラ流量RCtgt_obd、目標ヒータ流量RHtgt_obd及び目標バイパス流量RBtgt_obdを達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ1020:CPUは、ラジエータポート開度DR等がそれぞれステップ1017にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等に制御された場合に、閾値時間TBthが経過するまでの間に減少するものと予測される推定実流量Ractの減少量である予測減少量ΔR21thを算出する。
ステップ1022:CPUは、ステップ1017にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータに送出する。
ステップ1025:CPUは、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値を「1」に設定する。これにより、CPUは、この後、ステップ1010に進んだときに「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ1030に進むと、ステップ1022の処理によって制御信号を送出してからの経過時間TBが所定の閾値時間TBth以上であるか否かを判定する。CPUがステップ1022の処理を行った直後にステップ1030に進んだ場合、経過時間TBは、閾値時間TBthよりも小さい。従って、この場合、CPUは、ステップ1030にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。
その後、経過時間TBが閾値時間TBth以上になると、CPUは、ステップ1030にて「Yes」と判定してステップ1035に進み、ステップ1022の処理によって制御信号を送出してからの推定実流量Ractの変化量ΔRactがゼロよりも小さく且つその変化量ΔRactの絶対値が予測減少量ΔR21th以上であるとの第2バイパス弁正常条件が成立しているか否かを判定する。
第2バイパス弁正常条件が成立している場合、CPUは、ステップ1035にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1040の処理を行う。
ステップ1040:CPUは、バイパス弁異常フラグXB2の値を「0」に設定する。この場合、CPUは、バイパス弁異常が生じていないと診断したことになる。更に、CPUは、バイパス弁異常診断終了フラグXBendの値を「1」に設定する。このとき、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値が「1」であるので、CPUは、これ以降、ステップ1010及びステップ1045のそれぞれにて「No」と判定するようになる。
一方、CPUがステップ1035の処理を実行する時点において第2バイパス弁正常条件が成立していない場合、CPUは、ステップ1035にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1042の処理を行う。
ステップ1042:CPUは、バイパス弁異常フラグXB2の値を「1」に設定する。この場合、CPUは、バイパス弁異常が生じていると診断したことになる。更に、CPUは、バイパス弁異常診断終了フラグXBendの値を「1」に設定する。先に述べたように、このとき、バイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値が「1」であるので、CPUは、これ以降、ステップ1010及びステップ1045のそれぞれにて「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ1025の処理によってバイパス弁異常診断開始フラグXBstartの値を「1」に設定した後は、ステップ1010にて「No」と判定するようになる。この場合、CPUは、ステップ1045に進んでバイパス弁異常診断終了フラグXBendの値が「0」であるか否かを判定する。
CPUがステップ1022の処理によって制御信号を送出した後、閾値時間TBthが経過するまでは、バイパス弁異常診断終了フラグXBendの値は「0」である。この場合、CPUは、ステップ1045にて「Yes」と判定してステップ1030に進み、そのステップ1030にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、CPUがステップ1022の処理によって制御信号を送出した後、閾値時間TBthが経過した場合、CPUは、ステップ1030にて「Yes」と判定した後、ステップ1035を経由してステップ1040又はステップ1042の処理によってバイパス弁異常診断終了フラグXBendの値を「1」に設定する。従って、この場合、CPUは、ステップ1045にて「No」と判定してステップ1050に進み、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値が「0」であるか否かを判定する。
ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartは、その値が「0」である場合、ラジエータポート異常診断のための後述するステップ1055乃至ステップ1062の処理によるラジエータポート開度DRの増大が行われていないことを示している。一方、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartは、その値が「1」である場合、ステップ1055乃至ステップ1062の処理によるラジエータポート開度DRの増大が行われ、その結果、ラジエータポート異常診断の実行中であることを示している。
CPUがステップ1045にて初めて「No」と判定した場合、ステップ1055乃至ステップ1062の処理によるラジエータポート開度DRの増大は行われておらず、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値は「0」である。従って、この場合、CPUは、ステップ1050にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1055乃至ステップ1065の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1070に進む。
ステップ1055:CPUは、現時点で設定されている目標ラジエータ流量RRtgtよりも所定値dRRだけ大きい流量を異常診断用の目標ラジエータ流量RRtgt_obdとして設定する。更に、CPUは、現時点で設定されている目標バイパス流量RBtgt、目標クーラ流量RCtgt及び目標ヒータ流量RHtgtを、そのまま、異常診断用の目標バイパス流量RBtgt_obd、目標クーラ流量RCtgt_obd及び目標ヒータ流量RHtgt_obdとして設定する。
ステップ1057:CPUは、ステップ1055にて設定した目標ラジエータ流量RRtgt_obd、目標クーラ流量RCtgt_obd、目標ヒータ流量RHtgt_obd及び目標バイパス流量RBtgt_obdを達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ1060:CPUは、ラジエータポート開度DR等がそれぞれステップ1057にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等に制御された場合に、閾値時間TRthが経過するまでの間に増大するものと予測される推定実流量Ractの増大量である予測増大量ΔR22thを算出する。
ステップ1062:CPUは、ステップ1057にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータに送出する。
ステップ1065:CPUは、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値を「1」に設定する。これにより、CPUは、この後、ステップ1050に進んだときに「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ1070に進むと、ステップ1062の処理によって制御信号を送出してからの経過時間TRが所定の閾値時間TRth以上であるか否かを判定する。CPUがステップ1062の処理を行った直後にステップ1050に進んだ場合、経過時間TRは、閾値時間TRthよりも小さい。従って、この場合、CPUは、ステップ1070にて「No」と判定してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。
その後、経過時間TRが閾値時間TRth以上になると、CPUは、ステップ1070にて「Yes」と判定してステップ1075に進み、ステップ1062の処理によって制御信号を送出してからの推定実流量Ractの変化量ΔRactがゼロよりも大きく且つその変化量ΔRactの絶対値が予測増大量ΔR22th以上であるとの第2ラジエータポート正常条件が成立しているか否かを判定する。
第2ラジエータポート正常条件が成立している場合、CPUは、ステップ1075にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1080の処理を行う。
ステップ1080:CPUは、ラジエータポート異常フラグXR2の値を「0」に設定する。この場合、CPUは、ラジエータポート異常が生じていないと診断したことになる。更に、CPUは、第2診断フラグXOBD2、バイパス弁異常診断開始フラグXBstart、バイパス弁異常診断終了フラグXBend、及び、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値をそれぞれ「0」に設定する。これにより、第2診断フラグXOBD2が「0」となるので、CPUは、これ以降、ステップ1005にて「No」と判定するようになる。
一方、CPUがステップ1075の処理を実行する時点において第2ラジエータポート正常条件が成立していない場合、CPUは、ステップ1075にて「No」と判定し、以下に述べるステップ1082の処理を行う。
ステップ1082:CPUは、ラジエータポート異常フラグXR2の値を「1」に設定する。この場合、CPUは、ラジエータポート異常が生じていると診断したことになる。更に、CPUは、第2診断フラグXOBD2、バイパス弁異常診断開始フラグXBstart、バイパス弁異常診断終了フラグXBend、及び、ラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値をそれぞれ「0」に設定する。これにより、第2診断フラグXOBD2が「0」となるので、CPUは、これ以降、ステップ1005にて「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ1065の処理によってラジエータポート異常診断開始フラグXRstartの値を「1」に設定した後は、ステップ1050にて「No」と判定するようになる。この場合、CPUは、先に述べたステップ1070以降の処理を順に行う。
以上により、機関過熱を防止しつつ、異常診断を行うことができる。
更に、CPUは、図11にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行することにより、バイパス弁異常が生じている場合にそのバイパス弁異常を回復させるようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、ステップ1100から処理を開始してステップ1110に進み、バイパス弁異常フラグXB1の値が「1」であり且つラジエータポート異常診断終了フラグXRendの値が「0」であるとの第1異常回復条件が成立しているか否かを判定する。
バイパス弁異常フラグXB1は、図9のルーチンによる第1異常診断においてバイパス弁異常が生じていると診断された場合にその値が「1」に設定されるフラグである。第1異常診断は、推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR1以上、少ない場合に行われる。従って、第1異常診断によってバイパス弁異常フラグXB1の値が「1」に設定された場合、そのバイパス弁異常フラグXB1は、バイパス弁開度DBが比較的小さい開度にある状態でバイパス弁異常が生じていることを示している。
そして、ラジエータポート異常診断終了フラグXRendは、図9のルーチンによる第1異常診断が完了したときにその値が「0」に設定されるフラグである。従って、第1異常回復条件が成立している場合、第1異常診断は行われておらず且つバイパス弁開度DBが比較的小さい開度にある状態でバイパス弁異常が生じていることになる。
第1異常回復条件が成立している場合、CPUは、ステップ1110にて「Yes」と判定してステップ1120に進み、図12にフローチャートにより示したルーチンを実行する。
従って、CPUは、ステップ1120に進むと、図12のステップ1200から処理を開始してステップ1210に進み、全閉フラグXBcloseの値が「0」であるか否かを判定する。全閉フラグXBcloseは、その値が「0」である場合、後述するステップ1220の処理によってラジエータポート等を全閉状態とするための制御信号を送出していないことを示し、その値が「1」である場合、その制御信号を送出したことを示している。
図11のステップ1110にて「Yes」と初めて判定された直後においては、ラジエータポート等を全閉状態とするための制御信号は送出されていない。従って、この場合、全閉フラグXBcloseの値は「0」である。従って、この場合、CPUは、ステップ1210にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1220及びステップ1230の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1295を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1220:CPUは、ラジエータポート、クーラポート及びヒータポートを全閉状態とするための制御信号を制御弁アクチュエータに送出する。これにより、ラジエータポート、クーラポート及びヒータポートが全閉状態となるので、バイパス弁14上流側の冷却水の圧力が上昇する。このため、バイパス弁開度DBが増大する方向にバイパス弁14が圧力を受けるので、バイパス弁異常が回復する可能性がある。
ステップ1230:CPUは、全閉フラグXBcloseの値を「1」に設定する。これにより、それ以降、CPUは、ステップ1210にて「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ1230の処理を行った後、ステップ1210に進むと、そのステップ1210にて「No」と判定してステップ1240に進み、ステップ1220の処理によってラジエータポート等を全閉状態としてから経過した全閉時間TBcloseが所定の閾値時間TBshort以上であるか否かを判定する。先に述べたように、本例において、閾値時間TBshortは、極めて短い時間に設定されている。
ステップ1220の処理によってラジエータポート等を全閉状態とした直後においては、全閉時間TBcloseは、閾値時間TBshortよりも小さい。従って、この場合、CPUは、ステップ1240にて「No」と判定し、ステップ1295を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
その後、全閉時間TBcloseが閾値時間TBshort以上になると、CPUは、ステップ1240にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1250及びステップ1260の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1295を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1250:CPUは、ラジエータポート開度DR、クーラポート開度DC及びヒータポート開度DHをステップ1220の処理の実行直前の開度に戻すための制御信号を送出する。
ステップ1260:CPUは、全閉フラグXBcloseの値を「0」に設定する。
一方、CPUが図11のステップ1110の処理を実行する時点において第1異常回復条件が成立していない場合、CPUは、ステップ1110にて「No」と判定してステップ1130に進み、バイパス弁異常フラグXB2の値が「1」であり且つバイパス弁異常診断終了フラグXBendの値が「0」であるとの第2異常回復条件が成立しているか否かを判定する。
バイパス弁異常フラグXB2は、図10のルーチンによる第2異常診断においてバイパス弁異常が生じていると診断された場合にその値が「1」に設定されるフラグである。第2異常診断は、推定実流量Ractが予測流量Restよりも所定値dR2以上、多い場合に行われる。従って、第2異常診断によってバイパス弁異常フラグXB2の値が「1」に設定された場合、そのバイパス弁異常フラグXB2は、バイパス弁開度DBが比較的大きい開度にある状態でバイパス弁異常が生じていることを示している。
そして、バイパス弁異常診断終了フラグXBendは、図10のルーチンによる第2異常診断が完了したときにその値が「0」に設定されるフラグである。従って、第2異常回復条件が成立している場合、第2異常診断は行われておらず且つバイパス弁開度DBが比較的大きい開度にある状態でバイパス弁異常が生じていることになる。
第2異常回復条件が成立している場合、CPUは、ステップ1130にて「Yes」と判定してステップ1140に進み、図13にフローチャートにより示したルーチンを実行する。
従って、CPUは、ステップ1140に進むと、図13のステップ1300から処理を開始してステップ1310に進み、全開フラグXBopenの値が「0」であるか否かを判定する。全閉フラグXBopenは、その値が「0」である場合、後述するステップ1320の処理によってラジエータポート等を全開状態とするための制御信号を送出していないことを示し、その値が「1」である場合、その制御信号を送出したことを示している。
図11のステップ1130にて「Yes」と初めて判定された直後においては、ラジエータポート等を全開状態とするための制御信号は送出されていない。従って、この場合、全開フラグXBopenの値は「0」であるの。従って、この場合、CPUは、ステップ1310にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1320及びステップ1330の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1395を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1320:CPUは、ラジエータポート、クーラポート及びヒータポートを全開状態とするための制御信号を制御弁アクチュエータに送出する。これにより、ラジエータポート、クーラポート及びヒータポートが全開状態となるので、バイパス弁14上流側の冷却水の圧力が低下する。このため、バイパス弁開度DBが減少する方向にバイパス弁14が圧力を受けるので、バイパス弁異常が回復する可能性がある。
ステップ1330:CPUは、全開フラグXBopenの値を「1」に設定する。これにより、それ以降、CPUは、ステップ1310にて「No」と判定するようになる。
CPUは、ステップ1330の処理を行った後、ステップ1310に進むと、「No」と判定してステップ1340に進み、ステップ1320の処理によってラジエータポート等を全開状態としてから経過した全開時間TBcopenが所定の閾値時間TBlong以上であるか否かを判定する。先に述べたように、本例において、閾値時間TBlongは、閾値時間Tshortよりも長い時間に設定されている。
ステップ1320の処理によってラジエータポート等を全開状態とした直後においては、全開時間TBopenは、閾値時間TBlongよりも小さい。従って、この場合、CPUは、ステップ1340にて「No」と判定し、ステップ1395を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
その後、全開時間TBopenが閾値時間TBlong以上になると、CPUは、ステップ1340にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1350及びステップ1360の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1395を経由して図11のステップ1195に進み、本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1350:CPUは、ラジエータポート開度DR、クーラポート開度DC及びヒータポート開度DHをステップ1320の処理の実行直前の開度に戻すための制御信号を送出する。
ステップ1360:CPUは、全開フラグXBopenの値を「0」に設定する。
更に、CPUは、図14にフローチャートにより示したルーチンを所定時間の経過毎に実行することにより、ラジエータポート異常又はバイパス弁異常が生じている場合における制御弁13及びバイパス弁14の制御を行うようになっている。
従って、所定のタイミングになると、CPUは、図14のステップ1400から処理を開始してステップ1405に進み、第1診断フラグXOBD1、第2診断フラグXOBD2、全閉フラグXBclose及び全開フラグXBopenの値がそれぞれ「0」であるか否かを判定する。
第1診断フラグXOBD1、第2診断フラグXOBD2、全閉フラグXBclose及び全開フラグXBopenの値の何れかが「1」である場合、ラジエータポート異常もバイパス弁異常も生じていないので、CPUは、ステップ1405にて「No」と判定してステップ1495に進み、本ルーチンを一旦終了する。
一方、第1診断フラグXOBD1、第2診断フラグXOBD2、全閉フラグXBclose及び全開フラグXBopenの値がそれぞれ「0」である場合、CPUは、ステップ1405にて「Yes」と判定してステップ1410に進み、ラジエータポート異常フラグXR1の値が「1」であるか否かを判定する。
ラジエータポート異常フラグXR1の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1410にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1415乃至ステップ1425の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1415:CPUは、通常制御用の目標バイパス流量RBtgt_nよりも大きい流量を目標バイパス流量RBtgt_mとして設定する。更に、CPUは、通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_n、目標クーラ流量RCtgt_n及び目標ヒータ流量RHtgt_nをそれぞれ目標ラジエータ流量RRtgt_m、目標クーラ流量RCtgt_m及び目標ヒータ流量RHtgt_mとして設定する。
ステップ1420:CPUは、ステップ1415にて設定した目標ラジエータ流量RRtgt_m、目標クーラ流量RCtgt_m、目標ヒータ流量RHtgt_m及び目標バイパス流量RBtgt_mを達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ1425:CPUは、ステップ1420にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータにそれぞれ送出する。
一方、CPUがステップ1410の処理を実行する時点においてラジエータポート異常フラグXR1の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1410にて「No」と判定してステップ1430に進み、ラジエータポート異常フラグXR2の値が「1」であるか否かを判定する。
ラジエータポート異常フラグXR2の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1430にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1435乃至ステップ1445の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1435:CPUは、通常制御用の目標バイパス流量RBtgt_nよりも小さい流量を目標バイパス流量RBtgt_mとして設定する。更に、CPUは、通常制御用の目標ラジエータ流量RRtgt_n、目標クーラ流量RCtgt_n及び目標ヒータ流量RHtgt_nをそれぞれ目標ラジエータ流量RRtgt_m、目標クーラ流量RCtgt_m及び目標ヒータ流量RHtgt_mとして設定する。
ステップ1440:CPUは、ステップ1435にて設定した目標ラジエータ流量RRtgt_m、目標クーラ流量RCtgt_m、目標ヒータ流量RHtgt_m及び目標バイパス流量RBtgt_mを達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ1445:CPUは、ステップ1440にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータにそれぞれ送出する。
一方、CPUがステップ1430の処理を実行する時点においてラジエータポート異常フラグXR2の値が「0」である場合、CPUは、ステップ1430にて「No」と判定してステップ1450に進み、バイパス弁異常フラグXB1又はXB2の値が「1」であるか否かを判定する。
バイパス弁異常フラグXB1又はXB2の値が「1」である場合、CPUは、ステップ1450にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1455乃至ステップ1465の処理を順に行う。その後、CPUは、ステップ1495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1455:CPUは、ラジエータ流量RRの最大値RRmax、クーラ流量RCの最大値RCmax及びヒータ流量RHの最大値RHmaxをそれぞれ目標ラジエータ流量RRtgt_m、目標クーラ流量RCtgt_m及び目標ヒータ流量RHtgt_mとして設定する。更に、CPUは、通常制御用の目標バイパス流量RBtgt_nを目標バイパス流量RBtgt_mとして設定する。
ステップ1460:CPUは、ステップ1455にて設定した目標ラジエータ流量RRtgt_m、目標クーラ流量RCtgt_m、目標ヒータ流量RHtgt_m及び目標バイパス流量RBtgt_mを達成することができるラジエータポート開度DR等をそれぞれ目標ラジエータポート開度DRtgt等として設定する。
ステップ1465:CPUは、ステップ1460にて設定した目標ラジエータポート開度DRtgt等を達成させるための制御信号を制御弁アクチュエータ及びバイパス弁アクチュエータにそれぞれ送出する。この場合、ラジエータポート、クーラポート及びヒータポートは全開状態とされる。
以上が機関冷却システム10及び実施装置の具体的な作動である。尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、機関冷却システム10は、ラジエータポート開度DRを検出するセンサ及びバイパス弁開度DBを検出するセンサを備え、センサによって検出されたラジエータポート開度DRと目標ラジエータポート開度DRtgtとの差に基づいてラジエータポート開度DRをフィードバック制御し、センサによって検出されたバイパス弁開度DBと目標バイパス弁開度DBtgtとの差に基づいてバイパス弁開度Dをフィードバック制御するように構成され得る。
この場合、実施装置は、ラジエータポート開度DRを変更する指令を制御弁アクチュエータに送出しても、ラジエータポート開度DRが目標ラジエータポート開度DRtgtに一致しない場合、ラジエータポート異常が生じていると診断し、バイパス弁開度DBを変更する指令をバイパス弁アクチュエータに送出しても、バイパス弁開度DBが目標バイパス弁開度DBtgtに一致しない場合、バイパス弁異常が生じていると診断するように構成され得る。
そして、実施装置は、各センサに検出異常がある場合、先に述べた第1異常診断又は第2異常診断を行うことにより、ラジエータポート及びバイパス弁の何れに異常が生じているか否かを診断するように構成され得る。
10…機関冷却システム、11…ポンプ、12…ラジエータ、13…多機能制御弁、13R…ラジエータポート、14…バイパス弁、20…内燃機関、21…冷却水通路、90…ECU

Claims (1)

  1. 内燃機関を冷却するための機関冷却システムであって、
    ポンプ、ラジエータ、前記ラジエータを通過する冷却水の流量であるラジエータ流量を制御するラジエータ弁、前記ラジエータをバイパスさせる冷却水の流量であるバイパス流量を制御するバイパス弁、及び、前記ラジエータ弁の開度及び前記バイパス弁の開度を制御することにより、前記ラジエータ流量及び前記バイパス流量をそれぞれ目標流量に制御する制御手段、を備えた機関冷却システム、
    に適用される、機関冷システムの異常診断装置において、
    前記内燃機関に形成された冷却水路に流入する冷却水の温度及び前記冷却水路から流出する冷却水の温度に基づいて前記冷却水路を実際に流れたと推定される冷却水の流量である推定実流量を取得し、
    前記ポンプの回転数、前記ラジエータ弁の開度及び前記バイパス弁の開度に基づいて前記冷却水路を流れると予測される冷却水の流量である予測流量を取得し、
    前記推定実流量が前記予測流量よりも少ない場合、そのときの前記バイパス弁の開度を維持しつつ前記ラジエータ弁の開度を増大させる指示を前記制御手段に対して行い、そのときの前記推定実流量の増大量である第1増大量が前記ラジエータ弁の開度の増大量から予測される前記推定実流量の増大量を含む所定範囲の下限値である第1下限値よりも少ない場合、前記ラジエータ弁に異常が生じていると診断し、前記第1増大量が前記第1下限値以上である場合、前記ラジエータ弁が正常であると診断して前記バイパス弁の開度を減少させる指示を前記制御手段に対して行い、そのときの前記推定実流量の減少量である第1減少量が前記バイパス弁の開度の減少量から予測される前記推定実流量の減少量を含む所定範囲の下限値よりも少ない場合、前記バイパス弁に異常が生じていると診断し、
    前記推定実流量が前記予測流量よりも多い場合、そのときの前記ラジエータ弁の開度を維持しつつ前記バイパス弁の開度を減少させる指示を前記制御手段に対して行い、そのときの前記推定実流量の減少量である第2減少量が前記バイパス弁の開度の減少量から予測される前記推定実流量の減少量を含む所定範囲の下限値である第2下限値よりも少ない場合、前記バイパス弁に異常が生じていると診断し、前記第2減少量が前記第2下限値以上である場合、前記バイパス弁が正常であると診断して前記ラジエータ弁の開度を増大させる指示を前記制御手段に対して行い、そのときの前記推定実流量の増大量が前記ラジエータ弁の開度の増大量から予測される前記推定実流量の増大量を含む所定範囲の下限値よりも少ない場合、前記ラジエータ弁に異常が生じていると診断する、
    ように構成された異常診断手段を備えた、
    機関冷却システムの異常診断装置。
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