JP2018153822A - 積層鋳型の改良された製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各砂層の二次元パターン形成時における散布液の滲みを有利に抑制乃至は阻止し、また得られる積層鋳型の形状の悪化や変形を有利に抑制乃至は阻止し得る、積層鋳型の製造方法を提供する。【解決手段】耐火性骨材の表面に、粘結剤としての水ガラスと共に、保湿剤を含有する被覆層を形成して得られる乾態のコーテッドサンドを用いて、薄い砂層20を形成した後、かかる砂層20に水性媒体を散布して加熱することによって、所定の二次元パターンの鋳型層34を形成する作業を繰り返して、鋳型層34を積層することにより、目的とする立体形状の積層鋳型を製造する。【選択図】図5

Description

本発明は、積層鋳型の改良された製造方法に係り、特に、薄い砂層を形成すると共に、これを一層ずつ所定形状に硬化させることを繰り返し、そしてその形成される複数の砂層を積層して、一体化せしめることにより、目的とする三次元形状の砂鋳型を製造する方法に関するものである。
近年、三次元プリント方式による積層成形技術が盛んに研究され、実用化されてきている。また、そのような積層成形技術を鋳型の造形に応用し、鋳型の試作や多品種少量生産用の鋳型の製造が、世界各地で検討されており、その中で、レーザ方式やインクジェット方式による積層鋳型の造形方法が提案されている。なお、それらレーザ方式やインクジェット方式の中でも、インクジェット方式の製造装置の方が、レーザ方式のものに比べて、装置が安価となる利点を有している。
ところで、従来のレーザ方式による鋳型の積層造形方法としては、例えば、特開平9−168840号公報(特許文献1)に明らかにされているような、積層法による砂鋳型の造形方法が、提案されている。そして、その方法においては、樹脂被覆砂(レジンコーテッドサンド)を散布して薄い砂層を形成する砂層形成工程と、この薄く成層された砂層の所定の部分をレーザの照射によって硬化させる硬化工程とを含み、これによって、砂鋳型の一つの層を形成すると共に、それらの工程を順次繰り返して、目的とする砂鋳型の各断面形状に対応した硬化砂層を順次積層し、砂の三次元造形物である砂鋳型を造形するようになっている。
しかしながら、そのようなレーザ方式の積層法による砂鋳型の造形方法にあっては、レーザの照射による加熱によって、樹脂被覆砂を加熱硬化させるようにした構成であるために、レーザ照射による加熱の際に、有機物の臭気が発生するという問題が内在している。また、レーザ照射の有無により、砂層に温度差が生じることとなるところから、内部応力が発生し易くなり、長期間保管すると、砂鋳型に反りや歪みが発生する問題がある。更に、所定の部分をレーザ照射して加熱硬化させるには、高出力で精密な制御が必要であり、また高価なレーザ照射装置が必要となると共に、加熱のために非常に多くのエネルギーが必要になるという問題も内在している。
一方、インクジェット方式による鋳型の積層造形方法として、特開2011−230421号公報(特許文献2)においては、水溶性ポリマを含有した立体造形粉体によって層を形成する層形成工程と、この層形成工程おいて形成された層に、水を溶媒とする造形液をインクジェットヘッドから吐出させることで、立体造形粉体が造形液に溶解することによって生じる生成物を有する層を生成する生成工程とを備える立体造形物の製造方法が、明らかにされている。
そして、そこでは、水の蒸発を抑制すると共に、造形液を増粘させる増粘湿潤剤と、界面活性剤とを、用いられる造形液に含有せしめ、更にpHを7〜9に調製することによって、目的とする立体造形物を所望の形状通りに造形することが出来るとされているのであるが、そこにおいて、かかる造形液をインクジェットヘッドから立体造形粉体に吐出せしめると、立体造形粉体の溶解の際に、立体造形粉体の層に造形液の滲みが発生する問題がある。そして、そのような滲みが発生したまま、積層造形した場合においては、得られる造形物の輪郭部分が凸凹の形状となったり、寸法精度が悪くなったりする問題を惹起し、特に、図7に示される、目標とするすり鉢形状の造形物2を得る場合の如く、造形液の散布範囲が下層よりも上層の方が広くなる場合にあっては、上層に散布した造形液が下層にまで染み込み易いために、得られる積層製品4には、図示の如く、造形形状が変化する問題が惹起されるようになるのである。
特開平9−168840号公報 特開2011−230421号公報
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、積層造形に際して、各砂層の二次元パターン形成時における散布液の滲みを有利に抑制乃至は阻止し得るようにした積層鋳型の改良された製造方法を提供することにあり、また他の課題とすることころは、得られる積層鋳型の形状の悪化や変形、寸法精度の悪化を有利に抑制乃至は阻止し得る、積層鋳型の改良された製造方法を提供することにある。
かかる状況下、本発明者らが積層造形手法について鋭意検討を重ねた結果、鋳物砂として、水ガラスと保湿剤とを含む被覆層にて耐火性骨材を被覆してなるコーテッドサンドを用いると共に、形成される鋳型層の固化乃至は硬化を水性媒体の散布と加熱によって行うことにより、上述の如き課題が悉く解決され得ることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
そして、本発明は、上記せる課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。なお、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせで採用可能であり、また本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体の記載及び図面に記載の発明思想に基づいて認識されることが理解されるべきである。
(1)耐火性骨材を粘結剤で被覆してなるコーテッドサンドを用いて薄い砂層を形成した 後、かかる砂層に水性媒体を散布して加熱することによって、所定の二次元パターン の固化層乃至硬化層を形成する作業を繰り返して、該固化層乃至硬化層を積層するこ とにより、目的とする立体形状の積層鋳型を製造する方法において、前記コーテッド サンドとして、前記耐火性骨材の表面に、粘結剤としての水ガラスと共に、保湿剤を 含有する被覆層を形成して得られる、乾態のコーテッドサンドを用いることを特徴と する積層鋳型の改良された製造方法。
(2)前記保湿剤が、多価アルコール、水溶性高分子化合物、炭化水素類、糖類、タンパ ク質及び無機化合物からなる群より選ばれてなることを特徴とする前記態様(1)に 記載の積層鋳型の改良された製造方法。
(3)前記保湿剤の含有量が、前記コーテッドサンドにおける水ガラスの固形分の100 質量部に対して、0.1〜20.0質量部の割合であることを特徴とする前記態様(
1)又は前記態様(2)に記載の積層鋳型の改良された製造方法。
(4)前記水性媒体が、保湿剤を含んでいることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態 様(3)の何れか1つに記載の積層鋳型の改良された製造方法。
(5)前記水性媒体が、硬化促進剤、界面活性剤、乾燥促進剤及び防腐剤のうちの少なく とも何れかを、更に含んでいることを特徴とする前記態様(4)に記載の積層鋳型の 改良された製造方法。
(6)前記水性媒体の粘度が0.1〜50cPであり、且つ表面張力が15〜50mN/ mであることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載の 積層鋳型の改良された製造方法。
(7)前記コーテッドサンドが、その表面に、滑剤を更に含有していることを特徴とする 前記態様(1)乃至前記態様(6)の何れか1つに記載の積層鋳型の改良された製造 方法。
(8)前記滑剤の含有量が、前記コーテッドサンドにおける水ガラスの固形分の100質 量部に対して、0.1〜10.0質量部の割合であることを特徴とする前記態様(1 )乃至前記態様(7)の何れか1つに記載の積層鋳型の改良された製造方法。
(9)前記コーテッドサンドにおける含水分量が、水ガラスの固形分量の5〜55質量% であることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(8)の何れか1つに記載の積 層鋳型の改良された製造方法。
(10)前記砂層への水性媒体の散布が、インクジェット方式の散布装置を用いて行われ ることを特徴とする前記態様(1)乃至前記態様(9)の何れか1つに記載の積層鋳 型の改良された製造方法
このような本発明に従う積層鋳型の改良された製造方法によれば、以下に列挙する各種の効果が奏され得ることとなるのである。
(a)コーテッドサンドが水分によって濡れた時の保水性がよいために、砂層に散布された水性媒体の滲みが、効果的に抑制乃至は阻止され得ることとなる。
(b)積層造形によって得られる鋳型の形状の悪化や変形を抑制して、寸法精度に優れた積層鋳型を有利に得ることが出来る。
(c)散布される水性媒体の浸透を気にすることなく、強度の発現に充分な量の水性媒体を、砂層に散布することが出来る。
(d)大型の積層鋳型の造形に際しては、砂層に散布される水性媒体の散布範囲が広くなるが、砂層の保水性がよいために、散布域の時間差による乾燥が良好に防止され得て、成形ムラを抑えることが出来る。
本発明に従う積層鋳型の製造方法の一例において採用される第一工程を示す概略説明図であって、(a)はコーテッドサンドを散布している状態、(b)は散布されたコーテッドサンドを平面展開している状態を、それぞれ示している。 本発明に従う積層鋳型の製造方法の一例において採用される第二工程を示す概略説明図である。 本発明に従う積層鋳型の製造方法の一例において採用される第三工程を示す概略説明図である。 図1〜図3に示される工程からなる1ターンの工程後の形態を示す概略説明図である。 本発明に従う積層鋳型の製造方法の各工程を繰り返して、複数層の鋳型層を積層形成した状態を示す概略説明図である。 図1〜図5に示される本発明に従う積層鋳型の製造方法の実施形態において得られた積層鋳型を示す概略説明図である。 従来の積層造形法によって得られた砂鋳型(積層鋳型)の一例を、目標形状の造形品と対比して示す概略説明図である。
以下、本発明の構成を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、本発明において用いられるコーテッドサンド(被覆砂)は、一般に、耐火性骨材に対して、粘結剤として、水溶液の状態にある水ガラスを混合せしめ、更に保湿剤を混合せしめ、そしてその得られた混合物から水分を蒸発させることにより、換言すれば水溶液の状態にある水ガラスの水分や保湿剤によって持ち込まれる水分を蒸発させることによって、製造されるものであり、粘結剤である水ガラスの固形分と保湿剤を含有する乾燥した被覆層が、所定厚さにおいて、かかる耐火性骨材の表面に形成されてなる、乾態のものであって、良好な常温流動性を有しているものである。
ここで、本発明における「常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド」とは、含水分量にかかわらず、動的安息角を測定した際に測定値が得られるコーテッドサンドを意味する。この動的安息角とは、軸方向の一方の端部が透明な板材で閉塞されてなる円筒内に、測定されるべきコーテッドサンドを収容して(例えば、直径7.2cm×高さ10cmの容器に、その体積の半分まで、コーテッドサンドを入れる)、軸心が水平方向となるように保持し、一定速度(例えば、25rpm)で水平な軸心回りに回転させることにより、円筒内で流動しているコーテッドサンド層の斜面が平坦面状となったときに、かかる斜面と水平面との間に形成される角度をいう。これに対して、例えば、コーテッドサンドが湿ったような状態で、円筒内で流動せずに、コーテッドサンド層の斜面が平坦面として形成されず、その結果、動的安息角を測定することが出来ないものは、湿態のコーテッドサンドと称することとする。
そして、そのような本発明に従う常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドは、その含水分量が、耐火性骨材の表面を覆う被覆層に含まれる水ガラスの固形分量に対して、5〜55質量%の割合に相当する量であることが望ましく、中でも10〜50質量%であることがより望ましく、更に20〜50質量%であることが最も望ましい。このコーテッドサンドにおける含水分量が、被覆層中の水ガラスの固形分量に対して5質量%に相当する量よりも少なくなると、水ガラスがガラス化して、鋳型造形の際に再び水を添加しても、溶液状に戻らない恐れがあり、一方、55質量%に相当する量よりも多くなると、コーテッドサンドが乾態状態とはならない恐れがある。なお、コーテッドサンドにおける含水分量の測定方法としては、特に限定されるものではなく、水ガラスや保湿剤等の種類に応じた手法が適宜に採用可能である。具体的には、後述の実施例の欄に記載の測定方法を、例示することが出来る。
なお、本発明において用いられるコーテッドサンドを構成する耐火性骨材としては、鋳型の基材として機能する耐火性物質であって、従来から鋳型用として利用されている各種の耐火性粒状乃至は粉状材料が何れも用いられ得、具体的には、ケイ砂、再生ケイ砂を始めとして、アルミナサンド、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の特殊砂や、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ等のスラグ系粒子;アルミナ系粒子、ムライト系粒子等の人工粒子及びこれらの再生粒子;アルミナボール、マグネシアクリンカー等を、挙げることが出来る。なお、これらの耐火性骨材は、新砂であっても、或いは、鋳物砂として鋳型の造形に一回或いは複数回使用された再生砂又は回収砂であっても、更には、そのような再生砂や回収砂に新砂を加えて混合せしめてなる混合砂であっても、何ら差支えない。そして、そのような耐火性骨材は、一般に、AFS指数で40〜200程度の粒度のものとして、好ましくは、50〜150程度の粒度のものとして、用いられることとなる。
また、本発明に用いられるコーテッドサンドにおいては、上述の如き耐火性骨材を被覆する粘結剤として、水ガラスを主成分とするものが用いられることとなる。ここで、水ガラスとは、水溶性のケイ酸化合物であり、そのようなケイ酸化合物としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸アンモニウム等を挙げることが出来るが、それらの中でも、特に、ケイ酸ナトリウム(ケイ酸ソーダ)が、本発明では有利に用いられることとなる。また、粘結剤としては、水ガラスが主成分として用いられる限りにおいて、公知の他の水溶性バインダ、例えば、熱硬化性樹脂、糖類、タンパク質、合成高分子、塩類や無機高分子等を併用することが可能である。なお、そのような他の水溶性バインダを水ガラスと併用する場合、粘結剤全体における水ガラスの割合は、60質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90%質量以上である。
ここで、ケイ酸ナトリウムは、通常、SiO2 /Na2O のモル比により、1号〜5号の種類に分類されて、用いられている。具体的には、ケイ酸ナトリウム1号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.0〜2.3であるものであり、またケイ酸ナトリウム2号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.4〜2.6であるものであり、更にケイ酸ナトリウム3号は、SiO2 /Na2O のモル比が2.8〜3.3であるものである。加えて、ケイ酸ナトリウム4号は、SiO2 /Na2O のモル比が3.3〜3.5であるものであり、またケイ酸ナトリウム5号は、SiO2 /Na2O のモル比が3.6〜3.8であるものである。これらの中で、ケイ酸ナトリウム1号〜3号は、JIS−K−1408にても規定されている。そして、これら各種のケイ酸ナトリウムは、本発明において、単独での使用の他、混合して用いられてもよく、また混合することで、SiO2 /Na2O のモル比を調製することも可能である。
本発明においては、乾態のコーテッドサンドを有利に得るべく、粘結剤として用いられる水ガラスを構成するケイ酸ナトリウムは、そのSiO2 /Na2O のモル比が、一般に1.9以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.1以上であることが望ましく、上記したケイ酸ナトリウムの分類においては、1号及び2号に相当するケイ酸ナトリウムが、特に有利に用いられることとなる。かかるケイ酸ナトリウム1号及び2号は、それぞれ、水ガラス中のケイ酸ナトリウム濃度が広い範囲においても、安定して、特性の良好な乾態のコーテッドサンドを与えるものである。また、そのようなケイ酸ナトリウムにおけるSiO2 /Na2O のモル比の上限は、水溶液の形態にある水ガラスの特性に応じて、適宜に選定されることとなるが、一般に3.5以下、好ましくは3.2以下、より好ましくは2.7以下とされることとなる。ここで、SiO2 /Na2O のモル比が1.9よりも小さくなると、水ガラスの粘性が低くなり、水分量をかなり低くしなければ、コーテッドサンドを乾態とすることが困難となる恐れがあり、その一方、3.5よりも大きくなると、水への溶解度が低下して、接着面積が稼げず、最終的に得られる鋳型の強度が低下する恐れがある。
ここで、本発明において用いられる水ガラスは、水に溶けた状態のケイ酸化合物の溶液のことを意味し、市場において購入されたままの原液の状態において用いられる他、そのような原液に水を添加して、希釈した状態において用いることも可能である。そして、そのような水ガラスから、水や溶剤等の、揮発する物質を除いた不揮発分(水ガラス成分)を固形分と言い、これが、上記したケイ酸ナトリウム等の可溶性のケイ酸化合物に相当するものである。また、そのような固形分(不揮発分)の割合が高い程、水ガラス中のケイ酸化合物濃度は、高くなるものである。従って、本発明において用いられる水ガラスの固形分とは、それが原液のみにて構成される場合においては、かかる原液中の水分量を除いた量に相当することとなり、一方、原液を水にて希釈して得られる希釈液が用いられる場合にあっては、原液中の水分量と希釈に用いられた水の量とを除いた量が、使用される水ガラスの固形分に相当することとなる。
そして、そのような水ガラス中の固形分は、水ガラス成分(可溶性ケイ酸化合物)の種類等に応じて適宜の割合とされることとなるが、有利には、20〜50質量%の割合において含有せしめられていることが望ましい。この固形分に相当する水ガラス成分を適度に水溶液中に存在せしめることによって、耐火性骨材との混合(混練)時に、かかる耐火性骨材に対して、ムラなく、均一に、水ガラス成分を被覆させることが出来、それによって、目的とする鋳型を有利に造形することが可能となる。なお、水ガラス中における水ガラス成分の濃度が低くなり過ぎて、固形分の合計量が20質量%未満となると、コーテッドサンドの乾燥のために、加熱温度を高くしたり、加熱時間を長くしたりする必要があり、そのために、エネルギーロス等の問題が惹起されるようになる。また、水ガラス中における固形分の割合が高くなり過ぎると、耐火性骨材の表面を、水ガラス成分にて均一に被覆することが困難となり、目的とする鋳型の特性の向上にも問題を惹起するところから、かかる固形分は50質量%以下、従って水分量が50質量%以上の割合となるように、水溶液の形態にある水ガラスを調製することが望ましい。
また、上述の如き水ガラスは、本発明において、耐火性骨材の100質量部に対して、不揮発分のみとして考えた場合の固形分換算で0.1〜5.0質量部の割合において用いられることが望ましく、中でも、0.3〜4.0質量部の割合が特に有利に採用されて、耐火性骨材の表面に、所定の被覆層が形成されることとなる。ここで、固形分の測定は、以下のようにして実施される。即ち、アルミ箔製皿(縦:90mm、横:90mm、高さ:15mm)内に、試料10gを秤量して収容し、180±1℃に保持した加熱板上に置き、20分間放置した後、かかる試料皿を反転させて、更に20分間、上記加熱板上に放置する。その後、試料皿を加熱板上から取り出して、デシケータ中で放冷した後、秤量を行って、次式により、固形分(質量%)が算出される。
固形分(質量%)=[乾燥後の質量(g)/乾燥前の質量(g)]×100
なお、本発明において水ガラスの使用量が少な過ぎると、耐火性骨材の表面に被覆層が形成され難くなり、鋳型造形時のコーテッドサンドの固化乃至は硬化が充分に進行し難くなる恐れがある。また、水ガラスの使用量が多過ぎても、耐火性骨材の表面に、余分な量の水ガラスが付着して、均一な被覆層が形成され難くなると共に、コーテッドサンドが相互に固着して団塊化(複合粒子化)する恐れもあり、そのために、最終的に得られる鋳型の物性に悪影響をもたらし、加えて、金属溶湯を鋳込んだ後の中子の砂落としを難しくする問題も惹起する恐れがある。
ところで、本発明に用いられるコーテッドサンドにおいては、耐火性骨材の表面を覆う被覆層中に、水ガラスと共に、更に、保湿剤が含有せしめられているところに、大きな特徴が存しているのである。このように、水ガラスを含む被覆層中に、更に保湿剤が含有せしめられていることにより、コーテッドサンドが水分によって濡れた時に、その膨潤性に基づいて、保水が良好に行われるようになるため、散布される水性媒体が、散布された範囲以外に滲み出すことを、効果的に抑制乃至は阻止することが出来ることとなる。また、この保水効果により、散布される水性媒体の浸透を気にすることなく、強度の発現に充分な量の水性媒体を砂層に散布することが出来ると共に、散布される水性媒体の浸透を気にすることなく、強度の発現に充分な量の水性媒体を、砂層に散布することが出来る利点がある。特に、大型の積層鋳型の造形に際しては、砂層に散布される水性媒体の範囲が広くなるが、保水性がよいために、散布域の時間差による乾燥が防止されて、成形ムラを抑えることが出来る特徴が発揮される。
また、本発明において、水ガラスを含む被覆層中に含有せしめられる保湿剤の量としては、被覆層における水ガラスの固形分量の100質量部に対して、0.1〜20.0質量部の割合であることが望ましく、中でも0.5〜15.0質量部が好ましく、特に0.75〜12.5質量部であることが好ましい。この含有せしめられる保湿剤の量が少な過ぎると、上記した効果を有利に享受することが出来ない恐れがあり、その一方、保湿剤の量が多過ぎても、吸湿によるブロッキングが生じる恐れがあり、また使用量に応じた効果の向上が認められず、費用対効果の観点より得策ではない。なお、この本発明において用いられ得る保湿剤としては、多価アルコール、水溶性高分子、炭化水素類、糖類、タンパク質、無機化合物等の公知のものを挙げることが出来る。
具体的には、それら保湿剤の一つである多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を例示することが出来る。また、水溶性高分子化合物とは、特に分子量1000当り、アルコール性水酸基を5〜25個有している化合物を指すものであって、そのような水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール及びその各種変性物等のビニルアルコール系重合体;アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシルメチル澱粉、酸化澱粉等の澱粉誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム等の吸水性高分子等を挙げることが出来る。更に、炭化水素類としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、石油エーテル、石油ベンジル、テトラリン、デカリン、ターシャリーアミルベンゼン、ジメチルナフタリン等が例示され、また糖類としては、単糖類、オリゴ糖、デキストリン等の多糖類等を挙げることが出来、その中で、単糖類は、加水分解によって更に簡単な糖類に分解することのない糖類であり、好ましくは三炭糖(炭素原子3個を持つ単糖類)〜十炭糖(炭素原子10個を持つ単糖類)、より好ましくは六炭糖(炭素原子6個を持つ単糖類)である。タンパク質としては、ゼラチン等が挙げられる。加えて、無機化合物としては、食塩、硫酸ソーダ、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ケイ酸塩等が挙げられる。そして、これら各種の保湿剤は、単独で又は二種類以上を混合して、用いられることとなる。
なお、従来より公知の各種保湿剤には、水溶性のものから難水溶性のものまで含まれているが、本発明においては、常温(25℃)の水に投入した際に、粘度の上昇が低い保湿剤が、有利に用いられることとなる。具体的には、水溶性の保湿剤の場合、常温の水に、水の質量の20%に相当する量の保湿剤を投入し、1時間撹拌し、かかる撹拌後の溶液の粘度が0.8〜10cP、好ましくは0.8〜5cPとなる保湿剤が、有利に用いられるのである。一方、難水溶性の保湿剤は、水中に分散すれば保湿剤としての効果を発揮するものであるところ、難水溶性の保湿剤であっても、常温の水に、水の質量の20%に相当する量の保湿剤を投入して、1時間撹拌した後、かかる撹拌後の溶液(水と保湿剤の混合物)をろ過し、その得られるろ液の粘度が、上記範囲内にあるものが、有利に用いられ得るのである。以上のことよりして、本発明において有利に用いられる保湿剤としては、グリセリン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム等の吸水性高分子、デキストリン等の多糖類、ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系重合体、重量平均分子量が50000以上のポリエチレングリコール(ポリエチレンオキサイド)等を、挙げることが出来る。
また、本発明に用いられるコーテッドサンドにおいては、その被覆層中に、上述した保湿剤の他にも、必要に応じて、各種の添加剤を適宜に含有せしめることが可能である。
そのような添加剤の一つとしては、滑剤があり、特に、コーテッドサンドの砂表面に、そのような滑剤を含有せしめて、存在させることが、望ましい。本発明においては、コーテッドサンドを一定厚さに薄く平面展開させて、薄層の砂層を形成する必要があるところから、コーテッドサンドの流動性を向上させるべく、滑剤を添加するのが望ましいのである。また、滑剤は撥水性を有するため、乾態の砂層に水性媒体を散布した場合、従来のコーテッドサンドであれば、滑剤の撥水性によって、乾態のコーテッドサンドと水性媒体とが馴染み難くなり、コーテッドサンドへ水性媒体が浸透するのに時間がかかるという問題が発生し易くなるが、本発明の構成であれば、滑剤の撥水性は保湿剤の保水性によって抑えられるために、コーテッドサンドの流動性の向上と保水性の向上とを同時に実現することが可能となるのである。
なお、かかる本発明に用いられる滑剤として、例えば、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックス、モンタン酸ワックス等のワックス類;ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド等の脂肪酸アマイド類;メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等のアルキレン脂肪酸アマイド類;ステアリン酸、ステアリルアルコール;ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、硬化油、黒鉛、二硫化モリブデン、タルク、雲母等を挙げることが可能である。特に、これらの中でも、ステアリン酸カルシウム等が好ましく用いられることとなる。
また、上記せる、滑剤の使用量としては、被覆層における水ガラスの固形分量の100質量部に対して、0.1〜10質量部の割合であることが望ましく、中でも0.3〜8質量部が好ましく、特に0.5〜5質量部であることが好ましい。なお、この含有せしめられる滑剤の量が少な過ぎると、上記した効果を有利に享受することが出来ない恐れがあり、その一方、滑剤の量が多過ぎても、鋳型強度が低下することや、更には、費用対効果の観点より得策ではない。
さらに、上記した添加剤の他の一つとして、界面活性剤を挙げることが出来る。本発明において、コーテッドサンドにおける被覆層に、界面活性剤を含有せしめることにより、コーテッドサンドにおける水の浸透性、換言すればコーテッドサンドの水に対する濡れ性が、効果的に向上するようになるところから、少量の水分を散布した場合であっても、散布されたコーテッドサンドの全体が有利に湿態化して、湿潤状態と為し得るのである。かくして、コーテッドサンドへ散布する水分の量が少量に抑えられることから、後の乾燥操作における乾燥時間を短縮することが出来、以て造形時間の短縮化に寄与せしめることが出来ることとなる。
そのような界面活性剤として、従来より公知の各種界面活性剤、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤等の何れであっても、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、使用することが可能である。ここで、シリコーン系界面活性剤は、非極性部位としてシロキサン構造を有する界面活性剤を、またフッ素系界面活性剤は、パーフルオロアルキル基を有する界面活性剤を、それぞれ指すものである。また、本発明における界面活性剤の含有量は、被覆層における水ガラスの固形分量の100質量部に対して、0.1〜20.0質量部の割合であることが望ましく、中でも0.5〜15.0質量部が好ましく、特に0.75〜12.5質量部であることが好ましい。この界面活性剤の使用量が少な過ぎると、上記した効果を有利に享受することが出来ない恐れがあり、その一方、界面活性剤の使用量が多過ぎても、使用量に応じた効果の向上が認められず、また界面活性剤によっては、水ガラスが乾燥により固体化せず、コーテッドサンドが湿態となる恐れがあり、更には、費用対効果の観点より得策ではない。
また、本発明に従うコーテッドサンドにおける被覆層には、耐火性骨材よりも粒子径が小さい、具体的には平均粒子径が0.1〜20μmである球状粒子を、好ましくは平均粒子径が0.5〜10.0μmの球状粒子を、含有せしめてもよい。そのような所定の球状粒子を被覆層に含有せしめることにより、鋳型造形に際しての成形型(成形キャビティ)へのコーテッドサンドの充填性を、より有利に向上させることが可能となる。そのような球状粒子の含有量は、被覆層における水ガラスの固形分の100質量部に対して、0.1〜500質量部の割合であることが好ましく、より好ましくは0.3〜300質量部であり、更に好ましくは0.5〜200質量部であり、最も好ましくは0.75〜150質量部である。なお、球状粒子の平均粒子径は、レーザ回折式の粒度分布測定装置等による測定される粒度分布より、求めることが可能である。
そのような本発明において用いられる球状粒子は、球状を呈するものであればよく、必ずしも真球状を呈することは必要とされないところ、通常、真球度が0.5以上であるものが、好ましくは0.7以上であるものが、更に好ましくは0.9以上であるものが、有利に用いられることとなる。ここで、真球度とは、走査型電子顕微鏡を用いた観察において、単粒子のものを無作為に10個選択し、その投影形状から得られたアスペクト比(短径/長径の比)の平均値を意味している。また、球状粒子を構成する材質については特に限定されるものではないが、有利には、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の球状粒子が好適に用いられることとなる。
さらに、本発明においては、被覆層への添加剤の一つとして、固形酸化物や塩も有利に用いられることとなる。それら固形酸化物や塩の含有によって、コーテッドサンドの耐湿性が、有利に向上せしめられ得るのである。なお、それらの中で、固形酸化物としては、例えば、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、鉛、ホウ素の酸化物の使用が有効である。特に、その中でも、二酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ホウ素の使用が望ましい。また、二酸化ケイ素の中では、沈殿ケイ酸、発熱性ケイ酸が好ましく用いられる。一方、塩としては、ケイフッ化塩、ケイ酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、炭酸塩等があり、その中でも、炭酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウムの使用が、望ましい。そして、これら固形酸化物や塩は、コーテッドサンドの被覆層における水ガラス中の固形分に対して、一般に、0.5〜5質量%程度の割合において、用いられるのである。
加えて、その他の添加剤として、耐火性骨材と水ガラスとの結合を強化するカップリング剤を含有せしめることも有効であり、例えば、シランカップリング剤、ジルコンカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いることが出来る。更に、離型剤として、パラフィン、ワックス、軽油、マシン油、スピンドル油、絶縁油、廃油、植物油、脂肪酸エステル、有機酸、黒鉛微粒子、雲母、蛭石、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤等も使用可能である。そして、これらその他の添加剤は、それぞれ、コーテッドサンドの被覆層における水ガラスの固形分に対して、一般に、5質量%以下、好ましくは3質量%以下の割合となるような量において、被覆層に含有せしめられる。
ところで、本発明に用いられる常温流動性を有する乾態のコーテッドサンドを製造するに際しては、一般に、耐火性骨材に対して、粘結剤としての水ガラスを、保湿剤と、必要に応じて用いられる添加剤と共に、混練乃至は混合せしめて、均一に混和し、かかる耐火性骨材の表面を、保湿剤等の添加剤を含む水ガラスにて被覆するようにすると共に、そのような水ガラスの水分を蒸散せしめることによって、耐火性骨材の表面に、水ガラスや保湿剤等の添加剤を含む被覆層を形成せしめる手法が、採用される。そのような手法において、被覆層の水分の蒸散は、水ガラスの固化乃至は硬化が進む前に迅速に行われる必要があるところから、耐火性骨材に対して、水溶液の形態にある水ガラスを投入(混合)してから、一般には5分以内に、より好ましくは3分以内に、含有水分を飛ばして、乾態の粉末状コーテッドサンドとすることが望ましい。かかる蒸散の時間が長くなると、混和(混練)サイクルが長くなり、コーテッドサンドの生産性が低下する他、水ガラスが空気中のCO2 に触れる時間が長くなって、失活する等の問題を生じる恐れが高くなるからである。
また、上述したコーテッドサンドの製造工程において、水ガラス中の水分を迅速に蒸散せしめるための有効な手段の一つとして、耐火性骨材を予め加熱しておき、それに、水溶液の形態にある水ガラスや保湿剤等の添加剤を混練乃至は混合して、混和せしめるようにする手法が、好適に採用される。この予め加熱された耐火性骨材に、水ガラスや添加剤を混練乃至は混合せしめるようにすることによって、水ガラス中の水分は、そのような耐火性骨材の熱にて、極めて迅速に蒸散せしめられ得ることとなるのであり、以て、得られるコーテッドサンド中の水分量を効果的に低下せしめ得て、常温流動性を有する乾態の粉体が、有利に得られることとなるのである。また、この際に水分を迅速に蒸散せしめるために、混練容器に熱風を吹き込む方法や混練容器を加熱する方法、混練容器内を減圧する方法を採用することも有効である。ここで、耐火性骨材の予熱温度としては、水ガラスの含有水分量やその配合量等に応じて、適宜に選定されることとなるが、一般には100〜200℃程度の温度が、好ましくは120〜180℃程度の温度が、採用される。この予熱温度が低過ぎると、水分の蒸散を効果的に行うことが出来ず、乾燥に時間がかかるようになるところから、100℃以上の温度を採用することが望ましいのであり、また予熱温度が高過ぎると、得られるコーテッドサンドの冷却時に、水ガラス成分の硬化が進み、加えて複合粒子化が進行するようになるところから、コーテッドサンドとしての機能、特に、最終的に得られる鋳型の強度等の物性に問題を生じるようになる。
なお、本発明に用いられるコーテッドサンドにおいて、水ガラスを含む被覆層に含有せしめられる保湿剤や、必要に応じて用いられる他の添加剤、例えば球状粒子や界面活性剤等は、予め水ガラスに混合した状態で耐火性骨材に添加し、混練してもよく、また混練時に、水ガラスとは別個に、添加して混練してもよく、更には混練時に、水ガラスの投入との間に時間差を設けて投入し、混練してもよい。そのため、本発明に従うコーテッドサンドにおける被覆層は、例えば、水ガラスと保湿剤等の添加剤とが渾然一体となった状態において、或いは、耐火性骨材の表面から外方に向かって、水ガラスの固形分(不揮発分)の濃度が漸次減少又は増加する一方で、保湿剤等の添加剤の濃度は漸次増加又は減少するような状態において、構成されることとなる。
(積層造形方法)
ところで、本発明に従う積層鋳型の製造方法は、上述の如くして得られたコーテッドサンドを用いて、例えば、図1乃至図6に示される如くして、実施されることとなるのである。即ち、先ず、図1に示されるように、そこで用いられる鋳型の造形装置には、平面形態が四角形を呈する容器状の枠10内において、上下方向に垂直にスライド可能な矩形のテーブル12が、配置されている。また、かかる造形装置は、図1乃至図3に示される如く、枠10の上方にそれぞれ位置せしめられた、コーテッドサンド14を供給する貯留タンク16と、かかる貯留タンク16の下部に設けられた吐出口18からテーブル12の上面に供給されたコーテッドサンド14を一定厚さに薄く平面展開させて、薄層の砂層20を形成する伸展部材24と、インクジェット方式により所定の液体を砂層20上の所定部位に散布する、選択的散布手段としてのインクジェット散布装置26と、発熱体として電熱線32が設けられたヒータ30とを備えており、それらが、鋳型層製造の各工程に応じて選択的に切り替えられて、配置されるようになっている。
そこにおいて、インクジェット散布装置26は、図示しない記憶装置及び制御装置と共に、図2に示される如く、砂層20の上面に沿って移動可能なノズル28を有しており、使用する水性媒体が散布可能となっている。また、記憶装置には、各砂層20において形成される、所定の鋳型層34(図5参照)の予め定められた二次元パターン(平面形状)が画像信号として保管され、制御装置において、ノズル28の動作を画像信号に応じて制御しながら、各砂層20に対して、所定の水性媒体を予め定められた平面形状(パターン)において、噴出(散布)せしめ得るようになっている。なお、ここでは、各工程における機材の切り替えが自動で行われるようになっているが、勿論、手動や半自動方式にて、その切り替えを行うようにすることも可能である。
また、図3に示されるヒータ30は、電熱線32を発熱体として用いて、加熱し得るようにしたものであるが、そのような電熱線32のための発熱体としては、公知の各種のものが適宜に選択されて、使用され得るところであり、例えば、金属発熱体(ニクロム線、カンタル線、白金線等)の他、炭化ケイ素、二ケイ化モリブデン、ランタンクロマイト、モリブデン、カーボン等を用いて、加熱することも可能である。なお、このヒータ30としては、加熱可能な構成のものであれば特に限定されず、赤外線発生体やマイクロ波発生体等を使用することも可能である。
なお、上述せる実施形態において、インクジェット散布装置26にて構成される選択的散布手段は、所定の水性媒体を、砂層20上の予め決められた位置に、選択的に散布せしめ得るようにした装置であって、有利には、例示の如きインクジェット方式の散布装置が用いられることとなるが、その他、マスクを用いて、砂層20の必要部位のみに、所定の水性媒体を散布せしめるようにしたマスク方式の散布装置等も、適宜に採用可能である。
そして、上述の如き装置を用いて、本発明に従って、目的とする積層鋳型を製造するための一つの方法として、以下の如き製造手順が採用されて、鋳型層34が製造され、更にその鋳型層34の積層一体化によって、三次元形状の積層鋳型36(目的とする鋳型)が形成されることとなるのである。
<第一工程>
先ず、製造前の段階においては、造形装置の枠10の上面とテーブル12の上面が同一平面上に位置せしめられている。そして、造形工程が始まると、テーブル12が砂層20の一層の高さ分、下方へスライドさせられる。次いで、貯留タンク16に蓄えられたコーテッドサンド14が、吐出口18からの供給量をコントロールされながら、テーブル12上にほぼ均一な厚さで満遍なく撒かれるように、供給される[図1(a)の状態]。このとき、砂層20の一層あたりの高さは、テーブル12が下方へスライドした距離に対応した段差、例えば0.3mmの段差として形成される。なお、この段差は、積層される層ごとに、常に均一な高さとなるように形成され、一般に、0.1〜3mm程度の段差とされることが望ましい。
そして、かかるテーブル12上へのコーテッドサンド14の供給が終わると、枠10の上面に沿って伸展部材24を水平方向に移動させて、余分なコーテッドサンド14が掻き取られる。これにより、テーブル12上に薄く平面展開された砂層20が、所定厚さにおいて形成されることとなるのである[図1(b)の状態]。
<第二工程>
次いで、図2に示されるように、砂層20に向かって、インクジェット散布装置26のノズル28から、液滴、液状又は霧状の水性媒体22が、予め定められた平面形状において微小領域ごとに噴霧される。ここで、かかる定められた平面形状とは、製造される鋳型の形状を砂層の肉厚分ほどの等間隔で複数の領域に水平方向に分割したものであって、製造される鋳型に応じて、砂層ごとに、下の方から順番に、各層の平面形状に基づいて、水性媒体22が噴霧されるのである。これは、例えば、製品形状のCADデータから砂型の形状データを得て、これを砂層の肉厚毎の断面形状データにすることで、各層の予め定められた平面形状を設定することが出来る。なお、このインクジェット散布装置26において、水性媒体22を噴射するノズル28のノズル径は、例えば20〜100μm程度と、極めて小径とされているが、噴出せしめられる液体は水性媒体であるところから、ノズル詰まり等の問題が惹起されるようなこともないのである。
このようにして、砂層20の特定領域に噴霧された水性媒体22によって、コーテッドサンド14を湿らせることにより、コーテッドサンド14における被覆層の水ガラスが、水性媒体22に溶け出した状態で耐火性骨材を覆い、かかる水ガラスが砂粒間に凝集するようになる。このとき、コーテッドサンド14は、水分によって濡れた時に、その被覆層中に存在する保湿剤に基づくところの膨潤性により、有効な保水が行われることとなるため、散布される水性媒体が散布範囲以外に滲み出るようなことが、効果的に抑制乃至は阻止せしめられ得るのである。また、この保水効果により、散布される水性媒体の浸透を気にすることなく、強度の発現に充分な量の水性媒体を砂層に散布することが出来る利点がある。特に、大型の積層鋳型の造形に際しては、砂層に散布される水性媒体の範囲が広くなるが、保水性がよいために、散布域の時間差による乾燥が効果的に防止され得て、成形ムラを抑えることが出来る特徴が発揮されることとなるのである。
ここで、水性媒体22の散布方法としては、多くなり過ぎない程度にコーテッドサンド14を濡らすように、砂層20に適量の水性媒体22を散布することが出来るものであれば、その方法は特に限定されるものではなく、例えば、水性媒体を噴射せしめる方式の他、水性媒体を滴下したり、霧吹き器等を用いて、水性媒体を霧状に散布したりする方式等が、適宜に採用される。
また、水性媒体22にてコーテッドサンド14を湿らせた後に、乾燥させる必要があるため、その散布する水性媒体22は、常温乃至常温より高い温度であることが望ましい。このため、水性媒体の温度は、一般に、20〜100℃程度、より好ましくは30〜95℃程度の温度範囲であることが望ましい。なお、水性媒体の蒸気を用いる場合は、80〜100℃の蒸気であることが好ましい。
なお、本発明において、水性媒体22としては、代表的には水が用いられ、そしてそのような水は、純水、水道水、蒸留水、工業用水等、ゴミや塵等が混入していなければ、特に限定されないが、純水若しくは蒸留水の方が、ノズルの詰まりの防止という点からして望ましい。また、水性媒体22中には、保湿剤を添加しておくことが好ましい。水性媒体22中に保湿剤を添加することにより、コーテッドサンド14中に含有する保湿剤の保水性の向上に加え、水性媒体22中の保水剤の作用によって、コーテッドサンド14への相溶性が更に向上する。なお、この水性媒体22中に添加される保水剤は、特に限定されるものではないが、コーテッドサンド14中に含有せしめられる保水剤と同一のものを用いるのが、特に好ましい。
さらに、かかる水に、硬化剤や硬化促進剤として、酸やエステルを含有させてもよく、中でも、酸としては、硫酸、塩酸、炭酸、スルホン酸類が好ましく、エステルとしては、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類や、エチレングリコールジアセテート、トリアセチン、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート等の炭素数1〜10のアルコールと炭素数1〜10のカルボン酸から導かれるエステル類が好ましい。このときの炭素数1〜10のアルコールは、一価又は多価であってもよい。また、酸、エステル等の硬化剤や硬化促進剤、上記の界面活性剤、更に有機溶剤であるメタノール等のアルコール類やアセトン、ジアセトンアルコール等のケトン類の如き乾燥促進剤、ロンザジャパン株式会社製のPROXEL GXL(1,2−ベンゾイソチアゾール−3(2H)−オン)やPROXEL IB(ポリヘキサメチレンビグアニジン)等の防腐剤を少量添加含有させることも可能である。その場合において、水性媒体の粘度としては、粘度が高くなるとノズルからの詰まり等の問題が発生するため、一般に0.1〜50cPであればよく、特に0.3〜40cPがより望ましい。更に、砂層20に水性媒体22が馴染み易くするために、表面張力が15〜50mN/mであればよく、20〜40mN/mがより望ましい。
<第三工程>
水性媒体22を散布した後の砂層20に対しては、その上方に一定間隔を隔てて、電熱線32が設けられたヒータ30を配置せしめ、かかるヒータ30の熱にて、砂層20を加熱することにより、湿ったコーテッドサンド14の乾燥が、行われる(図3の状態)。これにより、第二工程において水性媒体22でコーテッドサンド14を湿らせて、被覆層の水ガラスを溶かし、相互に付着せしめた状態から、第三工程において湿らせたコーテッドサンド14の水分を蒸発させて、水ガラスが付与された耐火性骨材が、相互に結合した状態において、固化又は硬化せしめられることにより、一つの鋳型層34が形成されることとなるのである。更に、水性媒体22で湿った部分は、湿っていない部分よりも熱の伝導性がよくなるため、加熱を行うことで、コーテッドサンド14の水性媒体22で湿らせた部分のみを効率よく固化又は硬化させることが出来ることとなる。このとき、ヒータ30による加熱は、コーテッドサンド14を乾燥させて、固化又は硬化するものであるところから、砂層20を30〜180℃、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜140℃、更に好ましくは100〜120℃程度に加熱することが出来ればよく、これによって砂層20内で温度差があまり生じないので、硬化した砂層(20)の反り等を効果的に抑えることが出来る。また、このときの加熱温度が100℃程度と、低い温度で固化又は硬化が出来ることから、従来のコーテッドサンドを高温に加熱する(200〜300℃程度)ことによって発生する臭気も効果的に抑えることが出来るのである。このため、ヒータ30も、高出力である必要がなく、加熱のためのエネルギー消費量も少なくて済む等の特徴を発揮する。
ここで、砂層20を加熱して乾燥する際に、加熱空気の雰囲気中で行うことにより、かかる乾燥を促進することが出来る。なお、他の方法として、二酸化炭素、又はガス化したエステルを含む雰囲気中において、或いは、窒素等の不活性ガスの雰囲気中で加熱・乾燥を行うことにより、硬化を促進させることが出来る。そして、上記した促進手段を実施する方法としては、所定の気体の雰囲気中で加熱・乾燥を行い得ることとなるのであれば、特に限定されないが、例えば装置内を密封状態として、内部の雰囲気を加熱空気、二酸化炭素、ガス化したエステル、又は不活性ガスに置換し、その置換された雰囲気下で、造形を行う等の手法がある。また、装置内を加熱温調するようにすることも可能である。
また、加熱と同時に、又は加熱と前後して、空気、加熱空気、過熱水蒸気、炭酸ガス、ガス化したエステル、又は不活性ガス等の気体を吹きかけたり、又は通気するようにしてもよい。更に、気体を流動させることにより、コーテッドサンド14の乾燥を促進させることが出来る。なお、気体を吹きかけたり、又は通気する方法としては、コーテッドサンド14が、吹きかけられる気体や通気によって吹き飛ばされないようにして実施することが出来る手法であれば、特に限定されないが、例えば、積層した部分の上部に設置された噴出口からガスを吹きかけたり、或いは装置内部の雰囲気を循環させたりすることで、通気させる方法等がある。
さらに、装置内で水蒸気が残留することを防ぐために、装置内の気体を吸引して、系外へ排気させる工程が含まれていてもよい。なお、気体の吸引は、第三工程で砂層を加熱して乾燥した後に行うことが好ましいが、各工程に悪影響を及ぼさない限り、第三工程の期間中や全工程の間中に行なってもよい。
<繰り返し工程>
そして、上記した第一工程、第二工程、第三工程からなる一連の鋳型層34形成工程を1つのターン(サイクル)として、引き続き、テーブル12を更に砂層一層分の高さ分、下方へスライドさせた後(図4の状態)、かかる鋳型層34の形成工程のターンが繰り返されることにより、既に形成されている一つの鋳型層34の上に、新たな鋳型層34が一体的に形成されて、積層構造が実現されるのである。また、本発明におけるコーテッドサンドの保水効果によって、積層造形時に下の砂層へ水性媒体が滲むことが防止されるため、鋳型の形状の悪化や変形を抑制して、寸法精度に優れた積層鋳型を有利に得ることが出来る。更に、このような鋳型層34の形成を何度か繰り返すことで、鋳型層34が順次積層一体化せしめられ(図5の状態)、以て適数層の鋳型層34にて構成される、所望の三次元形状の鋳型を与える造形物36が製造されるのである。その後、造形装置(枠10)から、固化乃至硬化せしめられていない砂を取り除くことにより、目的とする鋳型(36)が、取り出されることとなる(図6の状態)。また、得られた鋳型(36)は、強度のばらつきを抑えるために、更に二次焼成を行ってもよい。この二次焼成の条件としては、100〜200℃程度、好ましくは120〜180℃に加熱された恒温槽内で、5分〜2時間、好ましくは10分〜1時間の間で行われる。
なお、上記した第一工程、第二工程、第三工程を含む鋳型層形成工程においては、各工程における機材の切り替えが自動で行われるようになっているが、勿論、手動や半自動方式にて、その切り替えを行うようにしても、何等差し支えない。
以下に、幾つかの実施例を用いて、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等限定的に解釈されるものでないことが理解されるべきである。なお、以下の実施例や比較例において、「%」及び「部」は、特に断りのない限りにおいて、何れも、質量基準にて示されている。また、実施例や比較例で得られたコーテッドサンド(CS)の水分量、有機分における固形分率、寸法精度の測定や、水の浸透性及び外観の評価は、それぞれ、以下のようにして行った。
−水ガラスの固形分に対する水分量の測定−
空焼して秤量したるつぼに、各CSを10g秤量して収容し、900℃にて1時間曝熱した後の質量減少量(%)を用いて、CS中の水分量と有機分量との合計量(以下、「(水分+有機分)量」として示し、「W1」とする。)を、下記の式(1)より算出する。ここで、有機分量とは、保湿剤及びその他の液状の添加剤(以下、有機分という)の合計量である。なお、秤量は、小数点以下第4位まで計測する。次に、CSに対する水ガラスの固形分量(B1)を、下記の式(2)を用いて算出する。そして、CS中の(水分+有機分)量(W1)と、CSに対する水ガラスの固形分量(B1)と、水ガラスの固形分の100部に対する有機分の添加量(A)と、後述する手法に従って測定される有機分における固形分率(C)より、水ガラスの固形分量に対する水分量(被覆層における水ガラスの固形分量に対するCSの水分量:W2)を、下記の式(3)を用いて算出する。以上の如くして算出されたW2が、下記表1及び表2においては、「含水分量(質量%)」として示されている。
W1=[(M1−M2)/M3]×100 ・・・(1)
[W1:CS中の(水分+有機分)量(%)、M1:焼成前のるつぼとCSの合計 質量(g)、M2:焼成後のるつぼとCSの合計質量(g)、M3:焼成前のC Sの質量(g)]
B1=[B2/(100+B2)]×(100−W1) ・・・(2)
[B1:CSに対する水ガラスの固形分量(%)、B2:砂の100部に対して添 加した水ガラスの固形分量(部)、W1:CS中の(水分+有機分)量(%)] W2=[(W1/B1)×100]−(A×C/100) ・・・(3)
[W2:被覆層における水ガラスの固形分量に対するCSの水分量(%)、W1: CS中の(水分+有機分)量(%)、B1:CSに対する水ガラスの固形分量(
%)、A:水ガラスの固形分の100部に対する有機分の添加量(部)、C:C S中の有機分における固形分率(%)]
−有機分における固形分率の測定−
先ず、保湿剤及びその他の液状添加剤からなり、それらの配合割合が、砂(耐火性骨材)に対する添加割合と同様である試料を調製する。次いで、アルミ箔製皿(縦:90mm、横:90mm、高さ:15mm)内に、先に調製した試料の10gを収容して秤量し、
180±1℃に保持した加熱板上にアルミ箔製皿を載置し、20分間放置した後、デシケータ中で放冷する。そして、かかる放冷後のアルミ箔製皿の秤量を行い、下記の式(4)より、有機分における固形分率(C)を算出する。
C=[乾燥後のアルミ箔製皿の質量(g)/乾燥前のアルミ箔製皿の質量(g)]
×100 ・・・(4)
−コーテッドサンドにおける水の浸透性の評価−
外径:10mmφ、内径:9mmφのガラスの筒にコットンを詰め、簡易的なカラムを作製する。その中に、CSを22g入れ、1分間振動させることで、密充填させる。次いで、この砂充填のカラムに、浸透させる液体(水)を2g入れ、充填した砂の上面から20mmのところまで液体が浸透してきたら、測定を開始する。この測定開始から5分後に、かかる20mmの位置から更に浸透した距離(mm)を測定して、その距離を浸透量とする。
−寸法精度の測定−
各CSを用いて、それぞれ幅30mm×高さ10mm×長さ85mmの大きさの試験片(積層造形物)を成形して、その幅をノギスにより3回測定し、その得られた測定値の平均値で、「実測の平均値」÷「設計値」により、寸法精度を算出する。寸法精度は、1に近い程、精度がよいことを示している。
−外観判定−
各CSから、それぞれ幅30mm×高さ10mm×長さ85mmの大きさに積層造形して得られた試験片について、目視にて観察することにより、得られる積層造形物の外観の評価を行う。そして、そのような積層造形物において、その面が平らで、角がしっかり出来ている場合を○、面の凹凸が若干認められるが、角は出来ている場合は△、面に凹凸があり、角も丸くなっている場合は×として、評価する。
−乾態CSの製造例1−
耐火性骨材として、市販の鋳造用人工砂であるルナモス#110(商品名:花王クエーカー株式会社製)を準備すると共に、粘結剤たる水ガラスとして、市販品:2号ケイ酸ナトリウム(商品名:富士化学株式会社製、SiO2 /Na2O のモル比:2.5、固形成分:41.3%)を準備した。そして、上記のルナモス#110を約180℃の温度に加熱した後、ワールミキサー(遠州鉄工株式会社製)に投入し、更に、前記水ガラスを、ルナモス#110の100部に対して、7.26部(固形成分:3.0部)の割合で添加した後、保湿剤としての市販品のヒドロキシエチルセルロース:HEC−AL−15F(製品名:住友精化株式会社)を0.09部(水ガラスの固形分100部に対して3部)の割合で添加して、3分間の混練を行うことにより、水分を蒸発せしめる一方、砂粒塊が崩壊するまで撹拌混合せしめ、更にステアリン酸カルシウムの0.03部(水ガラスの固形分100部に対して0.01部)を加えて、撹拌混合せしめた後に取り出すことにより、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS1を得た。かかる混練後のCS1の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の29質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例2−
保湿剤としてのヒドロキシエチルセルロースの添加量を、0.3部(水ガラスの固形分100部に対して10部)としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS2を得た。この得られたCS2の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の29質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例3−
保湿剤としてのヒドロキシエチルセルロースの添加量を、0.9部(水ガラスの固形分100部に対して30部)としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS3を得た。この得られたCS3の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の30質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例4−
保湿剤として、ヒドロキシエチルセルロースに代えて、グリセリンを用い、これを、耐火性骨材(ルナモス#110)の100部に対して0.3部(水ガラスの固形分100部に対して10部)の割合において添加したこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS4を得た。この得られたCS4の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の30質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例5−
保湿剤として、ヒドロキシエチルセルロースに代えて、市販品のヒドロキシプロピルメチルセルロース:メトローズ60SH−50(製品名:信越化学工業株式会社)を用い、これを、耐火性骨材(ルナモス#110)の100部に対して0.3部(水ガラスの固形分100部に対して10部)の割合において添加したこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS5を得た。この得られたCS5の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の29質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例6−
保湿剤として、ヒドロキシエチルセルロースに代えて、市販品のポリビニルアルコール:PVA220(製品名:株式会社クラレ)を用い、これを、耐火性骨材(ルナモス#110)の100部に対して0.3部(水ガラスの固形分100部に対して10部)の割合において添加したこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS6を得た。この得られたCS6の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の29質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例7−
保湿剤として、ヒドロキシエチルセルロースに代えて、市販品のポリエチレンオキサイド:アルコックスR−150(製品名:明成化学工業株式会社)を用い、これを、耐火性骨材(ルナモス#110)の100部に対して0.3部(水ガラスの固形分100部に対して10部)の割合において添加したこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS7を得た。この得られたCS7の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の29質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例8−
粘結剤たる水ガラスとして、市販品:1号ケイ酸ナトリウム(商品名:富士化学株式会社製、SiO2 /Na2O のモル比:2.1、固形成分:48.5%)を用い、また、その添加量を、耐火性骨材(ルナモス#110)の100部に対して6.19部(固形成分3.0部)としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS8を得た。この得られたCS8の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の29質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例9−
粘結剤たる水ガラスとして、市販品:3号ケイ酸ナトリウム(商品名:富士化学株式会社製、SiO2 /Na2O のモル比:3.2、固形成分:38%)を用い、また、その添加量を、耐火性骨材(ルナモス#110)の100部に対して7.89部(固形成分3.0部)としたこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS9を得た。この得られたCS9の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の29質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例10−
保湿剤たるヒドロキシエチルセルロースを添加しないこと以外は、上記製造例1と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS10を得た。この得られたCS10の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の29質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例11−
保湿剤たるヒドロキシエチルセルロースを添加しないこと以外は、上記製造例8と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS11を得た。この得られたCS11の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の31質量%に相当する量であった。
−乾態CSの製造例12−
保湿剤たるヒドロキシエチルセルロースを添加しないこと以外は、上記製造例9と同様の手順に従って、常温流動性を有する乾態のコーテッドサンド:CS12を得た。この得られたCS12の含水分量を算出したところ、被覆層における水ガラスの固形分量の29質量%に相当する量であった。
次いで、上記で得られた乾態のCS1〜CS10を用いて、それぞれ、実施例1〜9及び比較例1〜3において、前述の浸透性の評価を実施し、それらの結果を表1に示す一方、それぞれのCSから積層鋳型を造形して、その強度を評価した。
−実施例1−
先に準備したCS1を用いて、積層鋳型製造装置により、図1〜図5に示される実施形態に従って、所定の積層鋳型の造形を行った。即ち、先ず、第一工程で、テーブル(12)を0.3mm下方へスライドさせた後、CS1を、かかるテーブル(12)上に薄く平面展開して砂層(20)を形成し、次いで第二工程において、203mm×254mmの予め定められた平面形状を与えるように、その微小領域ごとに、霧状の水性媒体(22)を、インクジェット方式にて噴霧することにより、そのような水性媒体(22)の噴霧された所定の平面形状部位の砂層(20)を湿らした後、当該部位の硬化乃至は固化を行い、かかる部位に対応した形状の鋳型層(34)を得た。なお、そこで用いた水性媒体(22)は、水:93質量%、保湿剤:6質量%、界面活性剤:1質量%の組成を有するもの(粘度:1.1mPa・s/25℃、表面張力:31.5mN/m)であり、25℃の温度で用いられた。
そして、以上の第一工程及び第二工程からなる一連の工程を1つのターンとして、積層形成された鋳型(造形物36)の肉厚(高さ)が10mmになるまで、鋳型層(34)の積層造形操作を繰り返し行なった。その後、かかる積層鋳型製造装置から、固化乃至硬化していないCS1を取り除いて、造形物を取り出し、150℃の温度で10分間焼成を施すことにより、目的とする積層鋳型(36)を製造した。そして、この得られた積層鋳型の寸法精度測定と外観判定を行い、その結果を、下記表1に示した。
−実施例2〜8、比較例1〜3−
CS1をそれぞれCS2〜CS10に代えて、実施例1と同様にして、鋳型の積層造形を行い、その得られた造形物を、150℃の温度で、10分間焼成することにより、目的とする積層鋳型(36)を製造した。そして、その得られた積層鋳型の寸法精度測定と外観判定を行い、その結果を、下記表1に示した。
Figure 2018153822
かかる表1の結果より明らかな如く、本発明に従って、水ガラスと所定の保湿剤を含有する被覆層が形成されてなるCS1〜CS9は、水の浸透量が低く、保水性に優れていることが認められると共に、それらCS1〜CS9を用いて、積層造形して得られた積層鋳型は、何れも、寸法精度及び外観において優れたものであることが認められる。
2 造形物 4 積層製品
10 枠 12 テーブル
14 コーテッドサンド 16 貯留タンク
18 吐出口 20 砂層
22 水性媒体 24 伸展部材
26 インクジェット散布装置 28 ノズル
30 ヒータ 32 電熱線
34 鋳型層 36 造形物(積層鋳型)

Claims (10)

  1. 耐火性骨材を粘結剤で被覆してなるコーテッドサンドを用いて薄い砂層を形成した後、かかる砂層に水性媒体を散布して加熱することによって、所定の二次元パターンの固化層乃至硬化層を形成する作業を繰り返して、該固化層乃至硬化層を積層することにより、目的とする立体形状の積層鋳型を製造する方法において、
    前記コーテッドサンドとして、前記耐火性骨材の表面に、粘結剤としての水ガラスと共に、保湿剤を含有する被覆層を形成して得られる、乾態のコーテッドサンドを用いることを特徴とする積層鋳型の改良された製造方法。
  2. 前記保湿剤が、多価アルコール、水溶性高分子化合物、炭化水素類、糖類、タンパク質及び無機化合物からなる群より選ばれてなることを特徴とする請求項1に記載の積層鋳型の改良された製造方法。
  3. 前記保湿剤の含有量が、前記コーテッドサンドにおける水ガラスの固形分の100質量部に対して、0.1〜20.0質量部の割合であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層鋳型の改良された製造方法。
  4. 前記水性媒体が、保湿剤を含んでいることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の積層鋳型の改良された製造方法。
  5. 前記水性媒体が、硬化促進剤、界面活性剤、乾燥促進剤及び防腐剤のうちの少なくとも何れかを、更に含んでいることを特徴とする請求項4に記載の積層鋳型の改良された製造方法。
  6. 前記水性媒体の粘度が0.1〜50cPであり、且つ表面張力が15〜50mN/mであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の積層鋳型の改良された製造方法。
  7. 前記コーテッドサンドが、その表面に、滑剤を更に含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の積層鋳型の改良された製造方法。
  8. 前記滑剤の含有量が、前記コーテッドサンドにおける水ガラスの固形分の100質量部に対して、0.1〜10.0質量部の割合であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の積層鋳型の改良された製造方法。
  9. 前記コーテッドサンドにおける含水分量が、水ガラスの固形分量の5〜55質量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の積層鋳型の改良された製造方法。
  10. 前記砂層への水性媒体の散布が、インクジェット方式の散布装置を用いて行われることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の積層鋳型の改良された製造方法
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