本開示の第1態様は、HEMSサーバと双方向に通信可能な分散型発電システムであって、
前記HEMSサーバから電力調整指令を受信し、前記電力調整指令を用いて運転計画を作成し、前記運転計画の少なくとも一部である送信用計画を前記HEMSサーバに送信する、分散型発電システムを提供する。
第1態様では、運転計画は、分散型発電システムの外部からの電力調整指令を用いて作成される。このため、運転計画に、分散型発電システムの外部の要請を反映させることができる。運転計画は、分散型発電システムによって作成される。このため、運転計画に、分散型発電システムの所有者の意向を反映させることができる。また、運転計画は、分散型発電システムの発電量の時間帯推移の見通しを立てるのに役立つ情報である。以上の理由で、第1態様の運転計画は、分散型発電システムの発電量の時間帯推移の見通しであって分散型発電システムの所有者の意向及び外部の要請が反映されたものを立てるのに有益である。その運転計画の少なくとも一部である送信用計画が分散型発電システムの外部(HEMSサーバ)に送信されるので、第1態様に係る技術は、分散型発電システムの発電量の時間帯推移の見通しであって、分散型発電システムの所有者の意向及び外部の要請が反映されたものを分散型発電システムの外部で立てることに適している。
本開示の第2態様は、第1態様に加え、
前記分散型発電システムは、前記送信用計画を前記HEMSサーバに送信した後において前記HEMSサーバから実行指示を受信した場合に、前記送信用計画に従って発電する、分散型発電システムを提供する。
上述のように、第1態様に係る技術は、分散型発電システムの発電量の時間帯推移の見通しであって、分散型発電システムの所有者の意向及び外部の要請が反映されたものを立てることに適している。その見通しを踏まえて、分散型発電システムが実際に発電を行うか行わないかを決定したい場合がある。この点、第2態様の分散型発電システムは、HEMSサーバから実行指示を受信した場合に、送信用計画に従って動作する。このようにすれば、上記の見通しを踏まえて分散型発電システムが発電を行うことができる。
本開示の第3態様は、第1態様又は第2態様に加え、
前記電力調整指令は、制約時間帯を表す情報を含み、
前記送信用計画は、前記制約時間帯の計画を含み、
前記制約時間帯の計画は、前記電力調整指令により与えられた制約条件を満たすものである、分散型発電システムを提供する。
第3態様の送信用計画は、制約時間帯の計画を含む。制約時間帯の計画は、電力調整指令により与えられた制約条件を満たすものである。第3態様は、送信用計画に分散型発電システムの外部の要請を反映させることに適している。
本開示の第4態様は、第3態様に加え、
前記記分散型発電システムは、前記制約時間帯の長さを短くする補正ができるように構成されている、分散型発電システムを提供する。
第4態様によれば、制約時間帯の設定に分散型発電システムの所有者の意向を反映させることができる。
本開示の第5態様は、第4態様に加え、
前記分散型発電システムは、電力と熱を生成するコージェネレーションシステムであり、
前記分散型発電システムは、熱を蓄熱するタンクを含み、
前記制約時間帯は、優先発電時間帯を含み、
前記制約時間帯の計画は、前記優先発電時間帯の計画を含み、
前記優先発電時間帯の計画が満たす前記制約条件は、前記優先発電時間帯においては他の時間帯よりも優先して前記分散型発電システムを発電させるというものであり、
前記分散型発電システムは、前記分散型発電システムが前記優先発電時間帯に発電したと仮定した場合の熱の発生量と、現在の前記タンクの蓄熱量と、熱負荷で使用される熱の予想量と、に基づいて、前記優先発電時間帯の長さを短くする補正ができるように構成されている、分散型発電システムを提供する。
分散型発電システムとして、電力と熱を生成し、生成した熱をタンクに蓄熱するコージェネレーションシステムが存在する。このような分散型発電システムでは、タンクが満蓄状態になると、電力の生成が困難になる。この点、第5態様によれば、タンクが満蓄状態となって電力を生成できない事態を回避することができる。
本開示の第6態様は、第3〜5態様のいずれか一つに加え、
前記分散型発電システムは、電力とお湯を生成するコージェネレーションシステムであり、
前記分散型発電システムは、お湯を貯蓄するタンクを含み、
前記制約時間帯は、優先発電時間帯を含み、
前記制約時間帯の計画は、前記優先発電時間帯の計画を含み、
前記優先発電時間帯の計画が満たす前記制約条件は、前記優先発電時間帯においては他の時間帯よりも優先して前記分散型発電システムを発電させるというものであり、
前記分散型発電システムが前記優先発電時間帯の計画に従って発電しているときに前記タンクの蓄熱量が最大蓄熱量に達した場合には、前記お湯を浴槽に張る、分散型発電システムを提供する。
分散型発電システムとして、電力とお湯を生成し、生成したお湯をタンクに貯蓄するコージェネレーションシステムが存在する。このようなコージェネレーションシステムでは、タンクが満蓄状態になると、電力の生成が困難になる。この点、第6態様では、優先発電時間帯においてタンクの蓄熱量が最大蓄熱量に達した場合には、タンクのお湯を浴槽に張る。このようにすれば、優先発電時間帯において、お湯の生成が不可能となる事態を回避し易くなる。つまり、優先発電時間帯であるにも関わらず電力を生成できない事態を回避し易くなる。
本開示の第7態様は、第3〜6態様のいずれか一つに加え、
前記分散型発電システムは、表示装置を含み、
前記表示装置は、前記分散型発電システムが前記制約時間帯において前記制約条件を満たした運転を行っているときに、所定の表示をする、分散型発電システムを提供する。
第7態様によれば、分散型発電システムの所有者は、表示装置を見ることにより、電力調整指令により分散型発電システムの発電が制約されていることを容易に知ることができる。
本開示の第8態様は、第3〜7態様のいずれか一つに加え、
前記制約時間帯は、優先発電時間帯、発電停止時間帯及び発電抑制時間帯から選択される少なくとも1つを含み、
前記制約時間帯が前記優先発電時間帯を含む場合、前記制約時間帯の計画は、前記優先発電時間帯の計画を含み、
前記制約時間帯が前記発電停止時間帯を含む場合、前記制約時間帯の計画は、前記発電停止時間帯の計画を含み、
前記制約時間帯が前記発電抑制時間帯を含む場合、前記制約時間帯の計画は、前記発電抑制時間帯の計画を含み、
前記優先発電時間帯の計画が満たす前記制約条件は、前記優先発電時間帯においては他の時間帯よりも優先して前記分散型発電システムを発電させるというものであり、
前記発電停止時間帯の計画が満たす前記制約条件は、前記発電停止時間帯においては前記分散型発電システムの発電を停止するというものであり、
前記発電抑制時間帯の計画が満たす前記制約条件は、前記発電抑制時間帯においては前記分散型発電システムを所定の最低発電出力で発電させるというものである、分散型発電システムを提供する。
第8態様の優先発電時間帯の計画、発電停止時間帯の計画及び発電抑制時間帯の計画は、制約時間帯の計画に含まれる計画の具体例である。
本開示の第9態様は、第3〜8態様のいずれか一つに加え、
前記制約時間帯は、優先発電時間帯を含み、
前記制約時間帯の計画は、前記優先発電時間帯の計画を含み、
前記優先発電時間帯の計画が満たす前記制約条件は、前記優先発電時間帯においては前記分散型発電システムに逆潮流運転又は負荷追従運転を行わせるというものであり、
前記分散型発電システムの前記逆潮流運転は、前記分散型発電システムで発電した電力を系統電源に逆潮流させる運転であり、
前記分散型発電システムの前記負荷追従運転は、前記分散型発電システムで発電される電力量を電力負荷での消費量又は前記消費量から所定のマージンを差し引いた量に追従させる運転である、分散型発電システムを提供する。
第9態様の優先発電時間帯の計画は、優先発電時間帯の計画の具体例である。
本開示の第10態様は、第1〜9態様のいずれか一つに加え、
前記分散型発電システムは、前記運転計画として採用され得る運転計画候補を複数作成し、複数の前記運転計画候補のうち、所定の基準が最も良くなるものを、前記運転計画として選定する、分散型発電システムを提供する。
第10態様のように運転計画を作成すれば、目的に適った分散型発電システムの運転を行うことが可能となる。
本開示の第11態様は、第10態様に加え、
複数の前記運転計画候補のうち、省エネルギー性、経済性、又は環境性が最も良くなるものを、前記運転計画として選定する、分散型発電システムを提供する。
第11態様のように運転計画を作成すれば、省エネルギー性、経済性、又は環境性に優れた分散型発電システムの運転を行うことが可能となる。
本開示の第12態様は、第1〜11態様のいずれか一つに加え、
前記分散型発電システムは、コージェネレーションシステムである、分散型発電システムを提供する。
第12態様の分散型発電システムは、コージェネレーションシステムである。コージェネレーションシステムでは、電力とともに熱が生成される。電力のみを生成する分散型発電システムに比べて、コージェネレーションシステムでは、運転計画を作成する必要性が高い。このため、コージェネレーションシステムは、運転計画を利用する技術と相性が良い。
本開示の第13態様は、
分散型発電システムの運転計画の少なくとも一部を前記分散型発電システムの外部に与える方法であって、
前記分散型発電システムが有するHEMSと双方向に通信可能なHEMSサーバから前記分散型発電システムに電力調整指令を送信するステップと、
前記分散型発電システムにおいて前記電力調整指令を用いて前記運転計画を作成するステップと、
前記分散型発電システムから前記HEMSサーバに前記運転計画の少なくとも一部である送信用計画を送信するステップと、を含む、方法を提供する。
(実施の形態)
複数の分散型発電システムをまとめて一つの発電所のように扱う仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)を構築することが検討されている。また、仮想発電所を用いて電力の需給を適切に調整することが検討されている。本発明者らは、そのような調整を容易とするための技術を検討し、複数の分散型発電システムから送信された運転計画に基づいて送電網への電力供給量の見通しを立て、複数の分散型発電システムを統合制御することを思いついた。以下の実施の形態は、そのような見通しを立てて複数の分散型発電システムを統合制御することに適している。ただし、以下の実施の形態に記載されている技術は、他の用途にも利用され得る。
以下、本実施の形態について、図面に基づいて説明する。
[電力管理システムの構成]
図1を参照して、本実施の形態に係る電力管理システム400の構成について説明する。図1は、一例に係る電力管理システム400の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す電力管理システム400は、電力管理装置300と、HEMS(Home Energy Management System)サーバ200と、複数の分散型発電システム100と、を備えている。ここで、HEMSサーバ200は、各分散型発電システム100が有するHEMSと双方向に通信可能に接続されており、かかる構成では、HEMSに運転計画の作成を担わせることができる。電力管理システム400と送配電事業者500とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。具体的に、電力管理装置300と送配電事業者500とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。電力管理装置300とHEMSサーバ200とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。HEMSサーバ200と複数の分散型発電システム100とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。なお、図示は省略するが、電力管理装置300は、分散型発電システム100以外の分散型電源とも直接又は間接的に通信ネットワークを介して接続され得る。
図1の電力管理システム400及び送配電事業者500の動作の概要は、以下のとおりである。送配電事業者500は、電力需給の調整力を調達するべきときに、発電量調整要請を電力管理装置300に送信する。つまり、電力管理装置300は、電力管理装置300の外部から少なくとも1つの(図1の例では1つの)発電量調整要請を受信する。電力管理装置300は、発電量調整要請を用いて電力調整指令を生成し、電力調整指令をHEMSサーバ200を介して複数の分散型発電システム100に送信する。複数の分散型発電システム100は、電力調整指令を用いて応答を作成する。具体的には、複数の分散型発電システム100は、電力調整指令を用いて運転計画を作成し、応答に運転計画の少なくとも一部である送信用計画を含ませる。複数の分散型発電システム100は、(運転計画に従って発電をする前に)応答をHEMSサーバ200に送信する。こうして、送信用計画が、分散型発電システム100からHEMSサーバ200に送信される。HEMSサーバ200は、集められた複数の送信用計画を集計することによって、複数の分散型発電システム100の総発電量の時間帯推移の見込み値を特定する。HEMSサーバ200は、見込み値を電力管理装置300に送信する。電力管理装置300は、HEMSサーバ200が集計した見込み値が発電量調整要請に適合しているか否かを判定する。電力管理装置300は、見込み値が発電量調整要請に適合していると判定した場合には、送信用計画の実行指示をHEMSサーバ200を介して複数の分散型発電システム100に送信する。分散型発電システム100は、送信用計画をHEMSサーバ200に送信した後においてHEMSサーバ200から実行指示を受信した場合に、送信用計画に従って(典型的には、運転計画に従って)発電する。
なお、分散型発電システムが故障していたり、分散型発電システムを所有する需要家の都合により、発電量調整要請への参加を見送ることができる。
ここで、電力管理装置300は、前日に発電量調整要請を受けてから所定の回答期限内に、卸電力取引市場での受渡分インバランス価値や、発電量調整要請への適合性を検討した上で、発電量調整要請への参加/不参加を送配電事業者500に対して回答する。
見込み値が発電量調整要請に適合しているか否かの判定は、例えば、取引を行なう時間帯の発電量調整要請に対して、分散型発電システム100の該当時間帯の総発電量の見込み値が9割以上であり、他の電源かたの調達を含めて対応可能であることを判断基準とすることによって行うことができる。
本実施の形態では、電力管理装置300は、リソースアグリゲータの事業者の所有物である。ここで、リソースアグリゲータとは、再生可能エネルギー発電業者(太陽光発電、風力発電など)、需要家負荷、需要家側に設置した燃料電池や蓄電池などの様々なリソースをアグリーゲート(集約)して統合制御し、各社に様々なサービスを提供する事業者である。リソースアグリゲータは、関係する各者が利益を享受できるようにサービスを設計、提供することによって、その対価をリソースアグリゲータが受け取る。
HEMSサーバ200は、リソースアグリゲータの事業者の所有物であってもよく、該事業者の所有物でなくてもよい。分散型電源システム100は、コージェネレーションシステムである。一例では、コージェネレーションシステムは、燃料電池(図3の発電ユニット2に対応)を用いて電力と熱を生成する燃料電池システムである。
また、HEMSの機能を各分散型発電システム100の発電ユニット2に内蔵されている制御基板にもたせ、制御基板に運転計画の作成を担わせることができる。この場合、HEMSサーバ200に替えて燃料電池サーバ200となる。電力管理装置300は、発電量調整要請を用いて電力調整指令を生成し、電力調整指令を燃料電池200を介して複数の分散型発電システム100に送信する。複数の分散型発電システム100は、電力調整指令を用いて応答を作成する。具体的には、複数の分散型発電システム100は、電力調整指令を用いて運転計画を作成し、応答に運転計画の少なくとも一部である送信用計画を含ませる。複数の分散型発電システム100は、(運転計画に従って発電をする前に)応答を燃料電池200に送信する。こうして、送信用計画が、分散型発電システム100から燃料電池200に送信される。燃料電池サーバ200は、集められた複数の送信用計画を集計することによって、複数の分散型発電システム100の総発電量の時間帯推移の見込み値を特定する。燃料電池サーバ200は、見込み値を電力管理装置300に送信する。電力管理装置300は、燃料電池サーバ200が集計した見込み値が発電量調整要請に適合しているか否かを判定する。電力管理装置300は、見込み値が発電量調整要請に適合していると判定した場合には、送信用計画の実行指示を燃料電池サーバ200を介して複数の分散型発電システム100に送信する。分散型発電システム100は、送信用計画を燃料電池サーバ200に送信した後において燃料電池サーバ200から実行指示を受信した場合に、送信用計画に従って(典型的には、運転計画に従って)発電する。
また、各分散型発電システム100のHEMS、あるいは、制御基板をスマートメータと連携させることもできる。スマートメータに限らないが、電力計測器を用いて、電力調整指令に従って(後述の制約時間帯の計画の制約条件に従って)分散型発電システム100が動作したときに分散型発電システム100がどの程度の電力を生成したのか(調整結果)を把握することができる。この調整結果は、HEMSサーバ(燃料電池サーバ)200に送信されたり、HEMSサーバ(燃料電池サーバ)200を介して電力管理装置300に送信されたりされ得る。
なお、以下に説明する実施の形態では、HEMSサーバ200が各分散型発電システム100が有するHEMSと双方向に通信可能に接続され、HEMSに運転計画の作成を担わせる場合について説明するが、これに限定されるものではない。先に説明したように、HEMSの機能を各分散型発電システム100の発電ユニット2に内蔵されている制御基板にもたせ、制御基板に運転計画の作成を担わせることができる。この場合は、HEMSサーバ200に替えて燃料電池サーバ200となる。
本実施の形態では、電力調整指令に従って分散型発電システム100が動作した場合、電力管理装置300の所有者から分散型発電システム100の所有者にインセンティブが与えられる。すなわち、インセンティブの付与と引き換えに需要家側が電力の使用を抑制するデマンドレスポンスを行なう。これにより、分散型発電システム100の動作により送配電事業者500は電力需給の調整力を調達できる。このような送配電事業者500のメリットを考慮すると、送配電事業者500が電力管理装置300の所有者から分散型発電システム100の所有者に与えられるインセンティブの原資を負担することが考えられる。また、送配電事業者500の原資を元に、電力管理装置300及び/又はHEMSサーバ(燃料電池サーバ)200の所有者に仲介手数料が支払われることも考えられる。
図1の例では、発電量調整要請は、送配電事業者500によって生成される。ただし、発電量調整要請を生成する主体は、これに限定されない。発電量調整要請を生成する主体が送配電事業者500ではない例を、図2を用いて説明する。
図2の例では、送配電事業者500と再生可能エネルギー発電事業者600とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。再生可能エネルギー発電事業者600と電力管理装置300とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。発電事業者700と小売電気事業者800とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。小売電気事業者800と電力管理装置300とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。電力管理装置300とHEMSサーバ200とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。電力管理装置300とHEMSサーバ200とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。HEMSサーバ200と複数の分散型発電システム100とは、通信ネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。
図2の例では、送配電事業者500は、必要に応じて、出力抑制要請を再生可能エネルギー発電事業者600に送信する。再生可能エネルギー発電事業者600は、ある時間帯における電力の需要を喚起するための発電量調整要請(以下、需要喚起のための発電量調整要請)を電力管理装置300に送信する。小売電気事業者800は、発電事業者700に電力の調達単価を問い合わせる。調達単価が高い場合には、小売電気事業者800は、ある時間帯における電力の需要を抑制するための発電量調整要請(以下、需要抑制のための発電量調整要請)を電力管理装置300に送信する。電力管理装置300は、需要喚起のための発電量調整要請を受信した場合には、この要請を用いて、ある時間帯における複数の分散型発電システム100の発電停止又は発電抑制の依頼をするための電力調整指令を生成する。電力管理装置300は、需要抑制のための発電量調整要請を受信した場合には、この要請を用いて、ある時間帯における複数の分散型発電システム100の発電の依頼をするための電力調整指令を生成する。電力管理装置300は、需要喚起のための発電量調整要請及び需要抑制のための発電量調整要請を受信した場合には、ある時間帯における発電停止又は発電抑制の依頼とある時間帯における発電の依頼との少なくとも一方を実行するための電力調整指令を生成する。その後、電力管理システム400は、図1を用いて説明した電力管理システム400と同様に動作する。
本実施の形態では、発電停止若しくは発電抑制の依頼をするための電力調整指令又は発電の依頼をするための電力調整指令に従って分散型発電システム100が動作した場合、電力管理装置300の所有者から分散型発電システム100の所有者にインセンティブが与えられる。
再生可能エネルギー発電事業者600は、太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものを利用して発電を行う事業者である。
出力抑制要請を受信した再生可能エネルギー発電事業者600にとって、需要喚起のための発電量調整要請を送信することにはメリットがある。なぜなら、このようにすれば、分散型発電システム100の発電が停止又は抑制され、再生可能エネルギー発電事業者600の発電量の抑制幅を小さくしたりゼロにしたりすることができる可能性があるためである。この例では、再生可能エネルギー発電事業者600は、太陽光発電を行う事業者である。現在のところ、日本では、太陽光発電により得られた電力は、固定価格買い取り制度により、高い単価で売電可能である。また、日本以外でも、太陽光発電により得られた電力は、高い単価で売電可能な場合が多い。このため、この例においては、上記メリットは大きい。
状況により、発電事業者700の発電コストが高くなる場合がある。そのような場合、小売電気事業者800にとって、需要抑制のための発電量調整要請を送信することにはメリットがある。なぜなら、このようにすれば、分散型発電システム100の発電が積極的に行われ、小売電気事業者800が高い発電コストを負担して発電事業者700から調達するべき電力量を小さくすることができる可能性があるためである。この例では、発電事業者700は、火力発電を行う事業者である。火力発電では、燃料(石油、石炭、天然ガス等)の価格が変動し易く、発電コストが高い時期が現れ易い。このため、この例においては、上記メリットは大きい。
再生可能エネルギー発電事業者600の上記メリットを考慮すると、発電停止若しくは発電抑制の依頼をするための電力調整指令に従って分散型発電システム100が動作した場合、再生可能エネルギー発電事業者600が、電力管理装置300の所有者から分散型発電システム100の所有者に与えられるインセンティブの原資を負担することが考えられる。また、小売電気事業者800の上記メリットを考慮すると、発電の依頼をするための電力調整指令に従って分散型発電システム100が動作した場合、小売電気事業者800が、電力管理装置300の所有者から分散型発電システム100の所有者に与えられるインセンティブの原資を負担することが考えられる。また、前者の場合には再生可能エネルギー発電事業者600の原資を元に、後者の場合には小売電気事業者800の原資を元に、電力管理装置300及び/又はHEMSサーバ200の所有者に仲介手数料が支払われることも考えられる。
[分散型発電システムの構成]
図3及び図4を参照して、本実施の形態に係る分散型発電システム100の構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る分散型発電システムの概略構成を示すブロック図である。図4は、図3に示す分散型発電システムにおける制御器の概略構成を示す模式図である。なお、図4の中で、各機器をつなぐ実線は配管を示し、一点鎖線は電気ケ−ブルを示す。
図3及び図4に示すように、本実施の形態に係る分散型発電システム100は、電気と熱を発生する分散型発電装置1と、分散型発電装置1が発生した熱を貯める貯湯タンク(蓄熱器)10と、分散型発電システム100を制御する制御器24と、を備えている。
分散型発電装置1は、原料mにより発電する発電ユニット2と、発電ユニット2で発電時に発生した熱と熱媒体wとの間で熱交換する熱交換器6と、発電ユニット2で発電した直流電力を電力負荷26で用いる交流電力に変換し、系統連系するためのインバータ3と、を備えている。
発電ユニット2は、例えば、発電装置を備えたガスエンジン又は燃料電池である。燃料電池は固体高分子型燃料電池(PEFC)又は固体酸化物型燃料電池(SOFC)等の種類があり、どの種類の燃料電池を用いてもよい。なお、燃料電池は、水素と空気中の酸素の電気化学反応により発電するため、発電ユニット2に燃料電池を用いる場合は、発電ユニット2は、原料mと水蒸気(不図示)により水素と二酸化炭素に改質する改質器(不図示)を備えていてもよく、また、水素タンクを備えていてもよい。また、原料mは、炭化水素を含んでいればよく、天然ガスを用いてもよく、LPG又は灯油等を用いてもよい。
また、発電ユニット2には、発電時に発生した熱を回収し、発電ユニット2を冷却するための冷却水cが通流する冷却水配管5が接続されている。冷却水配管5の途中には、熱交換器6及び冷却水cを移動させるためのポンプ4が設けられている。
また、熱交換器6には、熱媒体wが通流する配管9が接続されている。熱交換器6は、発電ユニット2を冷却するための冷却水cと熱媒体wとの間で熱交換を行うように構成されている。熱交換器6を用いることで、家庭の熱負荷に送水される、温水となる熱媒体wが、発電ユニット2を直接通過しなくなるため、熱媒体wが汚染されることを防ぐことができる。なお、熱媒体wとしては、例えば、水道水を用いることができる。
配管9は、貯湯タンク10の下部と熱交換器6を接続する配管9aと、熱交換器6と三方弁23を接続する配管9bと、三方弁23と貯湯タンク10の上部を接続する配管9cと、三方弁23と配管9aを接続する配管9dと、から構成されている。また、配管9bには、逆潮流防止ヒータ8が設けられている。
貯湯タンク10は、発電ユニット2で発生した熱を蓄えるためのタンクである。発電ユニット2で発生した熱は、冷却水c及び熱交換器6を介して熱媒体wに伝達され、昇温した熱媒体wが貯湯タンク10に蓄えられる。具体的には、熱媒体wが、貯湯タンク10の下部から配管9aを通流して、熱交換器6に供給され、熱交換器6で冷却水cと熱交換して、加熱される。加熱された熱媒体wは、配管9b及び配管9cを通流して、貯湯タンク10の上部に供給される。これにより、貯湯タンク10の上部の熱媒体wは高温になり、下部の熱媒体wは低温になるといった温度成層が形成される。
三方弁23は、配管9bを通流する熱媒体wの通流先を配管9c又は配管9dに切り替えるように構成されている。分散型発電装置1の起動時など、熱交換器6で熱交換後の熱媒体wの温度が低い場合には、制御器24は、配管9bを通流する熱媒体wの通流先を配管9d側に切り替えるように、三方弁23を制御する。これにより、温度の低い熱媒体wが貯湯タンク10の上部に供給されて、温度成層が崩れることを防ぐことができる。
また、貯湯タンク10には、蓄熱された熱量を検出するために、温度検出器17〜22が取り付けられている。温度検出器17〜22は、検出した温度を制御器24に送信するように構成されている(図4参照)。そして、制御器24では、温度検出器17〜22が検出した温度と貯湯タンク10の容量等から貯湯タンク10に蓄熱された熱量を算出する。
貯湯タンク10の上部には、熱負荷32に熱媒体wを送出するための温水送水路16が接続されている。さらに、貯湯タンク10の下部には、送水により減った熱媒体wを補給するための補給路15が接続されている。なお、本実施の形態では、貯湯タンク10に取り付ける温度検出器の数を6としたが、これに限定されず、温度検出器は、貯湯タンク10の大きさや形状により適切な数を設ければよい。
温水送水路16には、バックアップボイラ11が配設されている。バックアップボイラ11は、貯湯タンク10から送水される熱媒体wの温度が低い場合に、温水送水路16を通流する熱媒体wを加熱するように構成されている。また、温水送水路16には、温水送水路16を通流する熱媒体wの温度を検出する温度検出器13と、温水送水路16を通流する熱媒体wの流量を検出する流量検出器14が取り付けられている。さらに、補給路15には、補給路15を通流する熱媒体wの温度を検出するための温度検出器12が取り付けられている。
温度検出器12、13及び流量検出器14は、それぞれ、制御器24と信号ケ−ブルで繋がれており、検出した温度及び流量を制御器24に送信するように構成されている(図4参照)。そして、制御器24では、送信されたデ−タを基に、熱負荷32で消費された熱量(熱負荷データ)を算出し、過去の熱負荷データの履歴を蓄積している。
分散型発電装置1(正確には、インバータ3)は、電気ケーブル33を介して、系統電源25と接続されている。また、インバータ3は、電気ケーブル34を介して、発電ユニット2と接続されており、また、電気ケーブル35を介して、逆潮流防止ヒータ8と接続されている。
逆潮流防止ヒータ8は、分散型発電装置1で発電した電力が系統電源25へ逆潮流することを防止するためのものである。具体的には、一時的に分散型発電装置1で発電した発電電力量が、電力負荷26の消費電力量より大きくなると、インバータ3から逆潮流防止ヒータ8に電力が供給され、逆潮流防止ヒータ8で分散型発電装置1の発電電力を消費することで逆潮流を防いでいる。なお、逆潮流防止ヒータ8で消費された電力は熱となり、貯湯タンク10に熱として蓄えられる。また、分散型発電装置1の売電が可能な場合は、逆潮流防止ヒータ8で電力を消費せずに売電してもよい。
電気ケーブル33には、電気ケーブル36を介して、電力負荷26が接続されている。電気ケーブル36には、第1電力計測器29が設けられている。第1電力計測器29は、電力負荷26で消費される電力を計測し、計測した電力を制御器24に送信するように構成されている。制御器24は、第1電力計測器29で計測した電力を基に、後述する所定の時間間隔における電力量を算出する。そして、制御器24は、算出した電力量を電力負荷26が消費した電力量(電力負荷データ)として、過去の電力負荷データの履歴として蓄積する。
第1電力計測器29としては、例えば、電流計を用いてもよく、電流計と電圧計を用いてもよい。なお、電力負荷26は、分散型発電システム100の使用者が使っている電気機器であり、例えば、テレビ、冷蔵庫、又は洗濯機等である。
また、電気ケーブル33の電気ケーブル36が接続されている部分よりも系統電源25側の部分には、第2電力計測器30が設けられている。第2電力計測器30は、分散型発電装置1が系統電源25側に逆潮流することを防ぐことを可能にする。第2電力計測器30は、電気ケーブル33の電力を計測し、制御器24に送信するように構成されている。第2電力計測器30としては、例えば、電流計を用いてもよく、電流計と電圧計を用いてもよい。
制御器24は、分散型発電装置1の運転を制御するための、計時手段、計算手段、及びデータ保存手段を有している。典型的には、計時手段はタイマー、計算手段はCPU及びメモリ、データ保存手段は不揮発性メモリである。そして、制御器24は、計算手段が所定の制御プログラムを読み出し、これを実行することにより、送受信手段(送受信モジュール)24a、制約時間帯決定手段(制約時間帯決定モジュール)24b、運転計画作成手段(運転計画作成モジュール)24c、及び発電制御手段(発電制御モジュール)24dが実現され(図4参照)、分散型発電システム100に関する各種の制御を行う。
[分散型発電システムの動作]
分散型発電システム100は、自身が作成した運転計画に従って動作する。以下、運転計画について説明する。
運転計画が対象とし得る時間帯には、制約時間帯と、発電許可時間帯とがある。制約時間帯は、電力調整指令によって与えられる。発電許可時間帯は、電力調整指令によって与えらるものであってもよく、分散型発電システム100によって任意に設定されるものであってもよい。つまり、電力調整指令は、制限時間帯(又は、制限時間帯及び許可時間帯)を表す情報を含む。
制約時間帯は、優先発電時間帯のみからなる場合と、発電停止時間帯のみからなる場合と、発電抑制時間帯のみからなる場合と、優先発電時間帯と発電停止時間帯とが組み合わされたものである場合と、優先発電時間帯と発電抑制時間帯とが組み合わされたものである場合とがある。要するに、制約時間帯は、優先発電時間帯、発電停止時間帯及び発電抑制時間帯から選択される少なくとも1つを含む。
つまり、運転計画は、制約時間帯の計画のみからなる場合と、発電許可時間帯の計画のみからなる場合と、制約時間帯の計画と発電許可時間帯の計画とが組み合わされたものである場合とがある。制約時間帯の計画は、優先発電時間帯の計画のみからなる場合と、発電停止時間帯の計画のみからなる場合と、発電抑制時間帯の計画のみからなる場合と、優先発電時間帯の計画と発電停止時間帯の計画とが組み合わされたものである場合と、優先発電時間帯の計画と発電抑制時間帯の計画とが組み合わされたものである場合とがある。制約時間帯が優先発電時間帯を含む場合、制約時間帯の計画は、優先発電時間帯の計画を含む。制約時間帯が発電停止時間帯を含む場合、制約時間帯の計画は、発電停止時間帯の計画を含む。制約時間帯が発電抑制時間帯を含む場合、制約時間帯の計画は、発電抑制時間帯の計画を含む。要するに、制約時間帯の計画は、優先発電時間帯の計画、発電停止時間帯の計画及び発電抑制時間帯の計画から選択される少なくとも1つを含む。
制約時間帯の計画は、電力調整指令により与えられた制約条件を満たすものである。これに対し、発電許可時間帯の計画に対しては、そのような制約条件は課されない。
具体的には、優先発電時間帯の計画が満たす制約条件は、優先発電時間帯においては他の(優先発電時間帯以外の)時間帯よりも優先して分散型発電システムを発電させるというものである。発電停止時間帯の計画が満たす制約条件は、発電停止時間帯においては分散型発電システムの発電を停止するというものである。発電抑制時間帯の計画が満たす制約条件は、発電抑制時間帯においては分散型発電システムを所定の最低発電出力で発電させるというものである。
優先発電時間帯においては他の時間帯よりも優先して分散型発電システムを発電させるというのは、分散型発電システム100が発電停止可能な場合には、優先発電時間帯においては分散型発電システム100を発電させることを意味する。優先発電時間帯においては他の時間帯よりも優先して分散型発電システムを発電させるというのは、分散型発電システム100が発電停止不可能な場合には、優先発電時間帯においては分散型発電システム100の発電量を所定の最低発電量よりも大きくすることを意味する。
本実施の形態では、優先発電時間帯の計画が満たす制約条件は、優先発電時間帯においては分散型発電システムに逆潮流運転又は負荷追従運転を行わせるというものである。分散型発電システム100の逆潮流運転は、分散型発電システム100で発電した電力を系統電源に逆潮流させる運転である。分散型発電システム100の負荷追従運転は、分散型発電システム100で発電される電力量を電力負荷での消費量又は消費量から所定のマージンを差し引いた量に追従させる運転である。
本実施の形態では、具体的には、優先発電時間帯の計画が満たす制約条件は、優先発電時間帯においては分散型発電システム100に逆潮流運転及び負荷追従運転のうち電力調整指令により指定された運転を行わせるというものである。
上述のように、発電許可時間帯の計画には、電力調整指令により与えられる制約条件は存在しない。分散型発電システム100は、発電許可時間帯の計画として任意の計画を作成することができる。発電許可時間帯の計画は、分散型発電システムの発電を停止するというものであってもよく、分散型発電システムを所定の最低発電出力で発電させるというものであってよよく、分散型発電システム100に逆潮流運転を行わせるというものであってもよく、分散型発電システム100に負荷追従運転を行わせるというものであってもよい。
本実施の形態では、電力調整指令は、発電許可時間帯においては分散型発電システム100に逆潮流運転又は負荷追従運転を行わせるという制約力がない(強制力がない)提案を含む。本実施の形態では、具体的には、電力調整指令は、発電許可時間帯においては分散型発電システム100に逆潮流運転及び負荷追従運転のうち電力調整指令により指定された運転を行わせるという制約力がない提案を含む。発電許可時間帯の計画は、提案に完全に従ったものであってもよく、提案に部分的に従ったものであってもよく、提案に全く従わないものであってもよい。
先に説明したように、運転計画の少なくとも一部は、送信用計画として、HEMSサーバ200に送信される。本実施形態では、送信用計画の対象となる時間帯は制約時間帯を含み、送信用計画は制約時間帯の計画を含む。
本実施の形態に係る分散型発電システム100の動作は、図3〜9を参照して説明することができる。なお、分散型発電装置1の発電動作は、一般的な分散型発電装置の発電動作と同様に行われるため、その詳細な説明は省略する。
図5は、本実施の形態に係る分散型発電システムにおける分散型発電装置の動作の概略を示すフローチャートである。図6は、制約時間帯(図6では、優先発電時間帯)を決定するフローチャートである。図7は、運転計画ベースの適合判定の概念を示す模式図である。図8Aは、運転計画候補(運転計画の候補)における所定の基準を計算するフローチャートである。図8Bは、運転計画候補における所定の基準を計算するフローチャートである。図9は、配管放熱ロス係数を示す模式図である。
以下の説明においては、図5を参照しながら分散型発電装置1の動作の概略を説明してから、図6〜9を参照しながら各工程の詳細を説明する。
図5に示すように、制御器24の送受信手段24aは、HEMSサーバ200から電力調整指令を受信する(ステップS10)。本実施の形態においては、電力調整指令に、制約時間帯を表す情報が含まれている。具体的には、本実施の形態では、電力調整指令に、優先発電時間帯及び発電停止時間帯を表す情報が含まれている。
次に、制御器24の制約時間帯決定手段24bは、優先発電時間帯を決定する(ステップS20)。
次に、制御器24の運転計画作成手段24cは、過去の電力負荷データ(電力負荷26で消費された電力量)と熱負荷データ(熱負荷32で消費された熱量)の履歴を基にして、所定の時間先までの電力需要(電力負荷26で消費される電力量の需要)と熱需要(熱負荷32で消費される熱量の需要)を予測する(ステップS30)。
ここで、所定の時間は、分散型発電装置1の運転が繰り返される際の区切りとなる時間で、例えば、一日、一週間、十日、一ヶ月等の期間である。なお、本実施の形態では、所定の時間が24時間であるとして、説明を行う。
次に、制御器24の運転計画作成手段24cは、運転計画ベースを複数作成する(ステップS40)。運転計画ベースとは、所定の時間において、分散型発電装置1をいつ発電させて、いつ停止させるかを表す情報を含む運転予定のことである。つまり、運転計画ベースは、発電する時間帯(発電時間帯)を表す情報を含んでいる。制御器24の運転計画作成手段24cは、この段階では、運転計画ベースを、制約時間帯を考慮せずに複数作成する。なお、燃料電池が固体酸化物型燃料電池(SOFC)である場合等には、分散型発電装置1を停止させることが困難である。そのような場合、運転計画ベースとして、分散型発電装置1を停止させずに連続運転するという運転予定を表すものが作成される。
次に、制御器24の運転計画作成手段24cは、運転計画ベースの適合判定をする(ステップS50及びS60)。具体的には、運転計画作成手段24cは、優先発電時間帯と運転計画ベースの適合判定をする(ステップS50)。具体的には、運転計画作成手段24cは、運転計画ベースの発電時間帯が優先発電時間帯を全て含んでいるかどうかの確認を行う。また、運転計画作成手段24cは、発電停止時間帯と運転計画ベースの適合判定をする(ステップS60)。具体的には、運転計画作成手段24cは、運転計画ベースの発電時間帯が発電停止時間帯を全く含んでいないかどうかの確認を行う。本実施の形態においては、運転計画作成手段24cは、ステップS50において、運転計画ベースの発電時間帯が優先発電時間帯の全てを含んでいるわけではない運転計画ベースを排除(削除)する。また、運転計画作成手段24cは、ステップS60において、運転計画作成手段24cは、運転計画ベースの発電時間帯が発電停止時間帯を少しでも含んでいる運転計画ベースを排除(削除)する。つまり、ステップS50及びS60により、運転計画ベースのうち、運転計画ベースの発電時間帯が優先発電時間帯を全て含み且つ運転計画ベースの発電時間帯が発電停止時間帯を全く含んでいないものが残される。なお、ステップS50とステップS60のいずれを先に実行してもよい。
次に、運転計画作成手段24cは、ステップS50及び60で残した運転計画ベースについて、運転計画ベースに基づいて分散型発電装置1を運転させた場合における所定の基準を計算する(ステップS70)。ここで、所定の基準としては、省エネルギー性、経済性、環境性等があり、これらのいずれを用いてもよい。所定の基準の計算過程において、各運転計画ベースに対応する運転計画候補が作成される。本実施の形態の運転計画候補は、電力負荷(予測値)、発電量(予定量)、買電電力(予定量)及び逆潮流電力(予定量)の少なくとも1つの時間帯推移を表すものである。
次に、運転計画作成手段24cは、ステップS70で作成された運転計画候補のうち、所定の基準が最も良いものを、正式に運転計画として選定する(ステップS80)。具体的には、運転計画作成手段24cは、例えば、当該運転計画を実行すると最も省エネルギー性の良い運転計画候補を運転計画として選定する。
次に、制御器24の送受信手段24aは、HEMSサーバ200に送信用計画(応答)を送信する(ステップS90)。先に説明したとおり、送信用計画は、運転計画の少なくとも一部である。本実施の形態では、送信用計画は、運転計画の全部である。
分散型発電システム100は、送信用計画をHEMSサーバ200に送信した後においてHEMSサーバ200から実行指示を受信した場合(ステップS100でYESの場合)、ステップS80で選定された運転計画を採用する(ステップS110)。そして、分散型発電システム100は、採用した運転計画に従って発電する(ステップS130)。本実施の形態では、分散型発電システム100は、ステップS80で選定された運転計画の全部に従って発電する。ただし、送信用計画に従った発電を行えば足り、ステップS80で選定された運転計画のうち送信用計画に含まれない計画に従う必要は必ずしもない。本実施の形態では、送受信手段24aによって、実行指示が受信され得る。燃料電池(FC)等の発電ユニット2が発電を担う。
一方、分散型発電システム100は、送信用計画をHEMSサーバ200に送信した後においてHEMSサーバ200から実行指示を受信しなかった場合(ステップS100でNOの場合)、電力調整指令による制約のない条件で運転計画を再計算し、得られた運転計画を採用する(ステップS120)。そして、分散型発電システム100は、採用された運転計画に従って発電する(ステップS130)。本実施形態では、運転計画の再計算は、運転計画作成手段24cが担う。具体的には、運転計画作成手段24cは、ステップS30、S40、S70及びS80により、運転計画を再計算する。
なお、ステップS130においては、制御器24の発電制御手段24dが、分散型発電装置1を運転する。
なお、制御器24が図5のフローチャートに基づいて動作している間も、温度検出器12等の各検出器は水温等を随時検出し、検出した各データは、制御器24に送信される。そして、制御器24は、送信された各データを基に、電力量又は蓄熱量等を算出し、該算出した電力量を時間情報とともに記憶する。
[ステップS20〜S70について]
次に、上述のステップS20〜S70について、さらに詳細に説明する。
(1)ステップS20について
まず、ステップS20の必要性について説明する。仮に、分散型発電システム100が優先発電時間帯の長さを変更できないとすると、熱負荷32で使用する熱量が小さい場合、優先発電時間帯の途中で貯湯タンク10が満蓄状態となり、分散型発電装置1の運転を停止せざるを得ない事態を招くおそれがある。図6の例では、優先発電時間帯に関する上述の問題が発生し難くなるように、ステップS20が構成されている。
以下に、優先発電時間帯を決定する処理について、図6を参照しながら詳細に説明する。
図6に示すように、制御器24の制約時間帯決定手段24bは、まず、電力調整指令から、優先発電時間帯を取得する(ステップS101)。
次に、制約時間帯決定手段24bは、この優先発電時間帯に分散型発電装置1が発電した場合における、熱の発生量を算出する(ステップS102)。具体的には、制約時間帯決定手段24bは、所定の時間間隔ごとに、熱回収量−配管放熱ロスを算出することで、所定の時間間隔ごとの熱の発生量を算出する。より詳細には、制約時間帯決定手段24bは、後述の図8Aに示すステップS501〜ステップS505を実行することで、熱回収量及び配管放熱ロスを算出し、熱の発生量を算出する。そして、制約時間帯決定手段24bは、所定の時間間隔ごとの熱の発生量を積算することで、優先発電時間帯に分散型発電装置1が発電した場合における、熱の発生量を算出する。
次に、制約時間帯決定手段24bは、分散型発電装置1の熱発生量と現在の貯湯タンク10の蓄熱量の和が、所定の時間(例えば24時間)における熱負荷32で使用される熱量の総和より大きいか否かの判定を行う(ステップS103)。なお、熱負荷32で使用される熱量の総和は、熱負荷32の予測熱量から算出する。
制約時間帯決定手段24bは、分散型発電装置1の熱発生量と現在の貯湯タンク10の蓄熱量の和が、所定の時間における熱負荷32で使用される熱量の総和以下である場合(ステップS103でNo)には、本フローを終了する。
一方、制約時間帯決定手段24bは、分散型発電装置1の熱発生量と現在の貯湯タンク10の蓄熱量の和が、所定の時間における熱負荷32で使用される熱量の総和より大きい場合(ステップS103でYes)には、優先発電時間帯の開始時刻を後の時刻に進め(ステップS104)、優先発電時間帯の終了時刻を前の時刻に戻す(ステップS105)。
なお、進める時間間隔又は戻す時間間隔は、例えば1分や10分等、優先発電時間帯に対して十分短い時間間隔とする。また、この例においては、優先発電時間帯の開始時刻と終了時刻の両方を変更する形態を採用したが、これに限定されない。例えば、優先発電時間帯の開始時刻のみを変更する形態を採用してもよく、また、優先発電時間帯の終了時刻のみを変更する形態を採用してもよい。
次に、制約時間帯決定手段24bは、ステップS102に戻り、分散型発電装置1の熱発生量と現在の貯湯タンク10の蓄熱量の和が、所定の時間における熱負荷32で使用される熱量の総和以下になるまで、ステップS102〜ステップS105を繰り返す。これにより、優先発電時間帯が徐々に短くなり、最終的に優先発電時間帯として採用される優先発電時間帯が十分に短くなり、貯湯タンク10で貯蓄される熱が過剰に余ることを抑制することができる。
要するに、本実施の形態では、分散型発電システム100は、制約時間帯の長さを短くする補正ができるように構成されている。
図6の例では、分散型発電システム100は、電力と熱(お湯)を生成するコージェネレーションシステムである。分散型発電システム100は、熱を蓄熱する(お湯を貯蓄する)タンク10を含む。制約時間帯は、優先発電時間帯を含む。制約時間帯の計画は、優先発電時間帯の計画を含む。優先発電時間帯の計画が満たす制約条件は、優先発電時間帯においては他の時間帯よりも優先して分散型発電システムを発電させるというものである。分散型発電システム100は、分散型発電システム100が優先発電時間帯に発電したと仮定した場合の熱の発生量と、現在のタンク10の蓄熱量と、熱負荷で使用される熱の予想量と、に基づいて、優先発電時間帯の長さを短くする補正ができるように構成されている。
ステップS20によれば、熱負荷32で使用される熱量が小さい場合に、分散型発電装置1が発生する熱と使用者が使用する熱量とのバランスを取ることにより、貯湯タンク10が満蓄状態になり、分散型発電装置1の発電運転を停止させることを抑制することができる。
なお、本実施の形態では、制約時間帯における制約条件(電力調整指令により与えられた制約条件)が実際に満たされている時間帯の長さに応じて、分散型発電システム100の所有者にインセンティブが与えられる。このため、制約時間帯は、分散型発電システム100の所有者の立場からは、インセンティブ時間帯と捉えることもできる。典型的には、インセンティブを多く取得するために、分散型発電システム100は、所有者に支障の出ない範囲で制約時間帯が長くなるように設計される。従って、分散型発電システム100において制約時間帯を短くすることによって制約時間帯を決定できる仕様が採用されていても、制約時間帯はある程度確保されるのが通常である。
電力調整指令が制約時間帯を表す情報を含み、この制約時間帯がそのまま採用されるように電力管理システム400を構成してもよい。このようにすれば、分散型発電システム100の発電量を管理し易くなる。
分散型発電システム100は、電力調整指令から与えられた発電停止時間帯又は発電抑制時間帯の長さを短くする補正ができるように構成されていてもよい。
(2)ステップS30について
ステップS30においては、運転計画作成手段24cは、所定の時間先までの電力負荷26が使用する電力量及び熱負荷32が使用する熱量の予測を行う。負荷予測方法は、簡単な方法(例えば、過去3日の負荷の平均値を予測値とする)から、ニューラルネットワークを用いた比較的複雑な方法まであり、いずれの方法を用いてもよい。一般的には、複雑な予測方法の方が高精度であるものの、処理に多くの記憶領域が必要だったり、計算時間が長くなったりする。このため、分散型発電システム100の設計者は、制御器24の性能に応じて予測方法を決定すればよい。
(3)ステップS40について
ステップS40においては、運転計画作成手段24cは、前記所定の時間を所定の時間間隔(例えば1時間)に分割して、それぞれの分割した時間に対して分散型発電装置1を運転するか停止するかを設定することで運転計画ベースを作成する。所定の時間間隔は、小さいほうが望ましいが、小さくするほど制御器24における計算時間が長くなる。本実施の形態では、所定の時間間隔は1時間として以降の説明を行う。
本実施の形態では、所定の時間は24時間のため、1時間ごとに分散型発電装置1が運転か停止かの運転計画ベースを割り当てると、すべての運転パタ−ンの組み合わせは224=16777216通りと膨大な組み合わせになる。所定の時間を48時間や72時間にした場合はさらに多くの組み合わせになる。
このため、組み合わせ数が多いほど、計算時間が長くなるという問題があるため、通常は組み合わせ数を少なくするための工夫を以下のように行っている。例えば、1日の発電回数を1回か2回に制限し、発電1回あたりの発電時間を3時間以上にするといった制限を設けることで、組み合わせ数を少なくすることができる。
(4)ステップS50について
ステップS50について、図7を参照しながら説明する。なお、ステップS50に関する以下の説明においては、図7の「優先発電時間帯or発電停止時間帯」は、優先発電時間帯と読み替えられるものとする。ステップS50では、運転計画作成手段24cが、ステップS40で作成された複数の運転計画ベースが優先発電時間帯の条件を満たしているかどうかの判定を行う。具体的には、例えば、運転計画作成手段24cが、運転計画ベースA〜Gを作成し、運転計画ベースA〜Gがそれぞれ図7に示す発電時間帯A〜Gを表す情報を含んでいるとする。これらの運転計画ベースのうち、発電時間帯が優先発電時間帯の全てを含む運転計画ベース(優先発電時間帯に適合する運転計画ベース)は、運転計画ベースCと運転計画ベースGである。このため、運転計画作成手段24cは、運転計画ベースCと運転計画ベースGを残し、その他の運転計画ベースは排除する。このようにして、運転計画作成手段24cは、優先発電時間帯と運転計画ベースの適合判定を行う。
(5)ステップS60について
ステップS60について、図7を参照しながら説明する。なお、ステップS60に関する以下の説明においては、図7の「優先発電時間帯or発電停止時間帯」は発電停止時間帯と読み替えられるものとする。ステップS60では、運転計画作成手段24cが、ステップS50により残された複数の運転計画ベースが発電停止時間帯の条件を満たしているかどうかの判定を行う。具体的には、例えば、ステップS50により残された運転計画ベースが運転計画ベースA〜Gであり、運転計画ベースA〜Gがそれぞれ図7に示す発電時間帯A〜Gを表す情報を含んでいるとする。これらの運転計画ベースのうち、発電時間帯が発電停止時間帯を全く含まない運転計画ベース(発電停止時間帯に適合する運転計画ベース)は、運転計画ベースAと運転計画ベースFである。このため、運転計画作成手段24cは、運転計画ベースAと運転計画ベースFを残し、その他の運転計画ベースは排除する。このようにして、運転計画作成手段24cは、発電停止時間帯と運転計画ベースの適合判定を行う。
(6)ステップS70について
上述したように、所定の基準には、省エネルギー性、環境性、経済性等があり、これらのいずれを用いてもよい。以下では、所定の基準として、省エネルギー性を用いた場合について、図8A及び図8Bを参照しながら詳細に説明する。
なお、後述するように、図8A及び図8Bに示すフローチャートでは、ステップS501〜S514までの処理(計算)は、所定の時間間隔ごとに行われ、ステップS516で実行する一次エネルギー使用量は最後に1回だけ計算を行う。すなわち、本実施の形態では、所定の時間は24時間であり、所定の時間間隔が1時間であるため、ある1つの運転計画ベースに対して、所定の基準を計算する際における工程S501〜S514の計算は24回行われる。これらの計算過程において、各運転計画ベースに対応する運転計画候補が作成される。本実施の形態の運転計画候補は、電力負荷(予測値)、発電量(予定量)、買電電力(予定量)及び逆潮流電力(予定量)の少なくとも1つの時間帯推移を表すものである。具体的には、本実施の形態の運転計画候補は、これら全ての時間帯推移を表すものである。
省エネルギー性の指標として、分散型発電装置1を運転計画ベースに従って運転した場合における一次エネルギー使用量を用いることができる。上記計算過程で得られた複数の運転計画候補のうち、この使用量が小さいものが、省エネルギー性に優れていると判断される。
図8A及び図8Bに示すように、制御器24の運転計画作成手段24cは、まず、分散型発電装置1の発電量を算出する(ステップS501)。運転計画ベースの対象となる時間帯は、発電停止時間帯を含み得る。運転計画ベースの対象となる時間帯は、発電抑制時間帯を含み得る。運転計画ベースの対象となる時間帯は、優先発電時間帯を含み得る。運転計画ベースの対象となる時間帯は、発電許可時間帯を含み得る。これらの時間帯の発電量(予定値)は、以下のように算出することができる。
発電停止時間帯における発電量は0である。要するに、分散型発電装置1の発電量は、分散型発電装置1が運転停止中の場合は0である。発電許可時間帯においても、発電量は0であり得る。なお、分散型発電装置1は起動を開始してから発電開始までに、数分から数時間の時間がかかり、この間の発電量も0である。
発電抑制時間帯における発電量は、分散型発電装置1の最低発電電力である。発電許可時間帯における発電量も、分散型発電装置1の最低発電電力であり得る。
本実施の形態では、逆潮流が許可されている場合、優先発電時間帯においては、分散型発電装置1は、電力負荷26の使用電力量に関わらず定格発電を行う場合と、発電量を電力負荷26の予測電力量に所定値(例えば50〜200W)を足した合計値に追従させる場合とがある。逆潮流が許可されている場合、発電許可時間帯においても、定格発電を行ったり、発電量を上記合計値に追従させたりし得る。電力負荷26の予測電力量としては、電力負荷26の過去の使用電力量、又は第1電力計測器29で計測された電力量を採用することができる。なお、発電量を上記合計値に追従させるとは、上記合計値が分散型発電装置1の最低発電出力以上最大発電出力以下である場合には発電量を上記合計値に一致させ、上記合計値が分散型発電装置1の最低発電出力よりも小さい場合には発電量を最低発電出力に一致させ、上記合計値が分散型発電装置1の最大発電出力よりも大きい場合には発電量を最大発電出力に一致させるということである。
本実施の形態では、逆潮流が許可されていない場合、優先発電時間帯においては、分散型発電装置1は、電力負荷26の使用電力量に関わらず定格発電を行う場合と、電力負荷26の予測電力量から所定のマージン(例えば10〜60W)を差し引いた差分に発電量を追従させる場合がある。上記差分を発電量に追従させる運転は、負荷追従運転に対応する。発電許可時間帯においても、分散型発電装置1は、定格発電を行ったり、発電量を上記差分に追従させたりし得る。本実施の形態では、このマージンは、最低買電電力に相当する。このようなマージンを用いれば、第1電力計測器29の計測誤差が原因で逆潮流が許可されていないにも関わらず逆潮流が発生するリスクを低減することができる。ただし、このマージンを0にすることもできる。なお、発電量を上記差分に追従させるとは、上記差分が分散型発電装置1の最低発電出力以上最大発電出力以下である場合には発電量を上記差分に一致させ、上記差分が分散型発電装置1の最低発電出力よりも小さい場合には発電量を最低発電出力に一致させ、上記差分が分散型発電装置1の最大発電出力よりも大きい場合には発電量を最大発電出力に一致させるということである(マージンが0である場合を含む)。
次に、運転計画作成手段24cは、電力負荷26の予測電力量と分散型発電装置1の発電量から、逆潮電力量と逆潮流防止ヒータ8に供給される電力量と買電電力量を算出する(ステップS502)。
逆潮流が許可されており且つ分散型発電装置1の発電量が電力負荷26の予測電力量より大きい場合は、逆潮流電力量=分散型発電装置1の発電量−電力負荷26の予測電力量、逆潮流防止ヒータ8に供給される電力量=0、買電電力量=0となる。逆潮流が許可されており且つ分散型発電装置1の発電量が電力負荷26の予測電力量以下である場合は、逆潮流電力量=0、逆潮流防止ヒータ8に供給される電力量=0、買電電力量=電力負荷26の予測電力量−分散型発電装置1の発電量となる。
逆潮流が許可されておらず且つ分散型発電装置1の発電量が電力負荷26の予測電力量からマージン(最低買電電力)を差し引いた差分より大きい場合は、逆潮流電力量=0、逆潮流防止ヒータ8に供給される電力量=分散型発電装置1の発電量−(電力負荷26の予測電力量−マージン)、買電電力量=マージンとなる。逆潮流が許可されておらず且つ分散型発電装置1の発電量が電力負荷26の予測電力量からマージンを差し引いた差分以下である場合は、逆潮流電力量=0、逆潮流防止ヒータ8に供給される電力量=0、買電電力量=電力負荷26の予測電力量−分散型発電装置1の発電量となる。
次に、運転計画作成手段24cは、発電効率と熱回収効率を算出する(ステップS503)。発電効率及び熱回収効率は、分散型発電装置1の発電量により変化する値であり、分散型発電装置1に固有の値である。このため、分散型発電装置1の発電量に対する発電効率、及び熱回収効率の値を予め制御器24に記憶しておき、運転計画作成手段24cは、これらの値から発電効率及び熱回収効率を算出することができる。
次に、運転計画作成手段24cは、熱回収量を算出する(ステップS504)。具体的には、熱回収量は、(分散型発電装置1の発電量)×(分散型発電装置1の熱回収効率)÷(分散型発電装置1の発電効率)×(所定の時間間隔(ここでは、1時間))+(逆潮流防止ヒータ8に供給される電力量)×(ヒ−タ効率)で算出することができる。なお、ヒ−タ効率は、分散型発電装置1に固有の値であり、例えば、0.9程度の値になる。
次に、運転計画作成手段24cは、配管8における放熱によるロスする熱量(以下、配管放熱ロスという)を算出する(ステップS505)。配管放熱ロスは、熱回収量×配管放熱ロス係数で算出することができる。ここで、図9を参照して、配管放熱ロス係数について説明する。図9は、分散型発電装置1として、家庭用の固体高分子形燃料電池を用いた場合における配管放熱ロス係数を示したものであり、ある家庭に分散型発電システム100を設置した場合における実測値を示している。
図9に示すように、配管放熱ロス係数は、外気温が低いほど大きく値となり、分散型発電装置1の発電量が小さいほど大きい値になっている。これは、以下の理由による。
配管9内の熱媒体wは、通常、分散型発電装置1の出口部分(熱媒体wが分散型発電装置1から配管9に排出される部分;配管9bの上流端)の温度が一定になるように、その流量が制御されている。このため、分散型発電装置1の発電量が小さいほど熱媒体wの流量が小さくなり、配管9内に熱媒体wが留まるので、放熱ロス係数が大きくなる。
このように、配管放熱ロス係数は、外気温又は分散型発電装置1の発電量により変化する。このため、運転計画作成手段24cは、図9のデ−タを予め制御器24に記憶させておき、発電量と外気温により線形補間を行って、配管放熱ロス係数を計算してもよい。また、運転計画作成手段24cは、分散型発電装置1を設置したときに、配管放熱ロス係数を実測して、実測した値を制御器24に記憶させて、当該値を用いてもよい。さらに、実測や予想が難しい場合は、一般的な値を配管放熱ロス係数として、設定しておいてもよい。
次に、運転計画作成手段24cは、貯湯タンク10における放熱によるロスする熱量(以下、貯湯タンク放熱ロスという)を算出する(ステップS506)。貯湯タンク放熱ロスは、(貯湯タンク10の蓄熱量)×(貯湯タンク放熱ロス係数)×(所定の時間間隔(ここでは、1時間))で算出することができる。なお、貯湯タンク放熱ロス係数は、貯湯タンク10に固有の値であり、予め実験等から求められており、制御器24に記憶されている。また、貯湯タンク10の蓄熱量は、前回のステップS508で算出した蓄熱量を用いる。さらに、ある1つの運転計画ベースにおいて、最初にステップS506を処理する場合には、貯湯タンク10の容量と温度検出器17〜22が検出した温度を基にして、貯湯タンク10の蓄熱量を算出する。
次に、運転計画作成手段24cは、貯湯タンク10から熱負荷32に供給される熱媒体wの熱量とバックアップボイラ11の加熱量を算出する(ステップS507)。貯湯タンク10の蓄熱量が熱負荷32の予測熱量以上のときは、貯湯タンク10から熱負荷32へ供給される熱媒体wの熱量は熱負荷32の予測熱量と等しく、バックアップボイラ11の加熱量は0になる。一方、貯湯タンク10の蓄熱量が熱負荷32の予測熱量より小さいときは、貯湯タンク10から熱負荷32へ供給される熱媒体wの熱量は貯湯タンク10の蓄熱量に等しく、熱負荷32の予測熱量と貯湯タンク10から熱負荷32へ供給される熱媒体wの熱量との差がバックアップボイラ11の加熱量になる。なお、貯湯タンク10の蓄熱量は、ステップS506と同様に、前回のステップS508で算出した貯湯タンク10の蓄熱量等を用いる。
次に、運転計画作成手段24cは、貯湯タンク10から熱負荷32へ熱媒体が供給された後における貯湯タンク10の蓄熱量(以下、出湯後貯湯タンク10の蓄熱量という)を算出する(ステップS508)。具体的には、出湯後貯湯タンク10の蓄熱量は、(貯湯タンク10の蓄熱量)−(貯湯タンク10から熱負荷32へ供給される熱媒体wの熱量)
+(熱回収量)−(配管放熱ロス)−(貯湯タンク放熱ロス)により算出される。なお、貯湯タンク10の蓄熱量は、ステップS506と同様に、前回のステップS508で算出した貯湯タンク10の蓄熱量等を用いる。また、ここで算出した貯湯タンク10の蓄熱量が、次の所定の時間間隔における貯湯タンク10の蓄熱量になる。
次に、運転計画作成手段24cは、分散型発電装置1の燃料消費量を算出する(ステップS509)。具体的には、分散型発電装置1の燃料消費量は、(分散型発電装置1の発電量)÷(分散型発電装置1の発電効率)×(所定の時間間隔(ここでは、1時間))で算出することができる。
次に、運転計画作成手段24cは、バックアップボイラ11の燃料消費量を算出する(ステップS510)。具体的には、バックアップボイラ11の燃料消費量は、(バックアップボイラ11の加熱量)÷(バックアップボイラ11の効率)で算出することができる。なお、バックアップボイラ11の効率は、バックアップボイラ11に固有の値であり、予め実験等から求められており、制御器24に記憶されている。
次に、運転計画作成手段24cは、貯湯タンク10が満蓄状態であるかを判定する(ステップS511)。ここで、満蓄状態とは、発電ユニット2で発生した熱を熱媒体wが吸収することができない状態をいう。具体的には、配管9を通流する熱媒体wが、熱交換器6において、発電ユニット2で発生した熱を回収した冷却水cから熱を受けることができない状態をいう。
具体的には、運転計画作成手段24cは、出湯後貯湯タンク10の蓄熱量が貯湯タンク10の最大蓄熱量を上回った場合に満蓄と判定する。また、貯湯タンク10の最大蓄熱量は、{(満蓄時のタンク温度)−(補給水温度)}×(貯湯タンク容量)×(比熱)で算出することができる。
なお、この例では、制御器24は、貯湯タンク10が満蓄になった場合は、運転計画上、分散型発電装置1を運転することになっていても、強制的に停止させる。このように強制的に停止させる技術は、熱媒体wの熱を放熱するラジエータが存在しない場合等に好適に採用され得る。
別例では、制御器24は、貯湯タンク10が満蓄になった場合は、ラジエータにより熱媒体wの熱を放熱する。ラジエータは、例えば、配管9に取り付けられ得る。発電ユニット2が固体酸化物型燃料電池(SOFC)である場合、発電回数には厳しい制約がある。この場合、このようなラジエータは好適に設けられる。また、発電ユニット2が固体高分子型燃料電池(PEFC)である場合も、改質器が原因で、発電回数に厳しい制約がある場合がある。この場合にも、このようなラジエータは好適に設けられる。ラジエータが存在する場合、ラジエータ放熱量及びラジエータ消費電力(予想値)が算出される。貯湯タンク10が満蓄である場合におけるラジエータ放熱量は、貯湯タンク10の蓄熱量−貯湯タンク10の最大蓄熱量により算出することができる。ラジエータ消費電力は、ラジエータ放熱量÷ラジエータ効率により算出することができる。なお、ラジエータ効率(W/W)は、1Wの電力で放熱できる熱量であり、ラジエータ効率に固有の値(例えば、30W/W)であり、制御器24に記憶されている。貯湯タンク10が満蓄ではない場合は、ラジエータ放熱量及びラジエータ消費電力は0である。
分散型発電システム100は、分散型発電システム100が優先発電時間帯の計画に従って発電しているときにタンク10の蓄熱量が最大蓄熱量に達した場合にタンク10のお湯(熱媒体w)を浴槽に張るように構成されていてもよい。
次に、運転計画作成手段24cは、分散型発電装置1の起動動作時の消費電力と消費燃料を算出する(ステップS512)。分散型発電装置1の起動動作は、運転計画ベースで分散型発電装置1の発電停止状態(待機状態)から発電動作に切り替わるときに行われ、分散型発電装置1が発電できる状態になるまでに電力や燃料を消費する。この値は、分散型発電装置1に固有の値であり、予め制御器24に記憶されている。
次に、運転計画作成手段24cは、分散型発電装置1の停止動作時の消費電力と消費燃料を算出する(ステップS513)。分散型発電装置1の停止動作は、運転計画で分散型発電装置1の発電運転から待機状態に移行するときと、貯湯タンク10が満蓄状態になり、分散型発電装置1を強制的に停止させる場合に行われる。分散型発電装置1の停止動作時の消費電力及び消費燃料も分散型発電装置1に固有の値であり、予め制御器24に記憶されている。
次に、運転計画作成手段24cは、分散型発電装置1の待機時(待機状態)における消費電力を算出する(ステップS514)。分散型発電装置1待機時の消費電力は、分散型発電装置1に固有の値であり、予め制御器24に記憶されている。
次に、運転計画作成手段24cは、所定の時間先まで算出したかの判定を行う(ステップS515)。所定の時間先までの算出が終了していない場合(ステップS515でNo)には、運転計画作成手段24cは、ステップS501に戻り(ステップS517)、所定の時間先までの算出が終了するまで、ステップS501〜ステップS515を繰り返す。ラジエータが存在する場合には、ラジエータ放熱量及びラジエータ消費電力の算出も繰り返される。
一方、所定の時間先まで算出が終了した時点(ステップS515でYes)においては、運転計画候補が作成されている(図11参照;なお、図11は、運転計画候補から選定された運転計画を示す)。
所定の時間先まで算出が終了した場合(ステップS515でYes)には、ステップS516に進む。ここで、ステップS516における計算で用いる買電量の合計値と逆潮流される電力量の合計値の計算方法を説明する。
ラジエータが存在しない場合における買電量の合計値[Wh]は、Σ{(買電電力[W])+(待機時の消費電力[W])}×(所定の時間間隔[h](ここでは、1時間))+Σ{(起動動作時の消費電力[Wh])+(停止動作時の消費電力[Wh])}で算出することができる。ラジエータが存在する場合における買電量の合計値[Wh]は、Σ{(買電電力[W])+ラジエータ消費電力[W]+(待機時の消費電力[W])}×(所定の時間間隔[h](ここでは、1時間))+Σ{(起動動作時の消費電力量[Wh])+(停止動作時の消費電力量[Wh])}で算出することができる。
逆潮流される電力量の合計値[Wh]は、Σ(逆潮流電力[W])×(所定の時間間隔[h](ここでは、1時間))で計算することができる。また、燃料消費量の合計値は、Σ{(分散型発電装置1の燃料消費量)+(バックアップボイラ11の燃料消費量)+(起動時の消費燃料)+(停止時の消費燃料)}で算出することができる。ここで、Σは、所定の時間(本実施の形態では24時間)における積算を示している。
図8Bの例では、ステップS516において、制御器24は、一次エネルギー使用量を算出する。一次エネルギー使用量は、{(買電量合計値)−(逆潮流電力量)}÷(発電所効率)+(燃料消費量合計値)で算出することができる。
なお、発電所効率は、系統電源25における送電ロス等を含めた総合的な発電所の効率である。この値は、分散型発電システム100が設置される国又は地域の発電所、及び送電網により変化する値のため、分散型発電システム100の設置先に適した値を用いるとよい。発電所効率としては、例えば、0.369を用いてもよい。
このように、運転計画作成手段24cが、少なくとも電力負荷データ(電力負荷26で消費された電力量)と熱負荷データ(熱負荷32で消費された熱量)に基づいて、運転計画ベースごとに所定の時間における一次エネルギー使用量を算出する。算出過程で、対応する運転計画候補が作成される。そして、ステップS80(図5参照)にて、最も良い基準となる運転計画候補が運転計画として選定される。これにより、所定時間のうち、制約時間帯以外の時間帯は、負荷データに基づいて、分散型発電装置1を発電するか否かを判定することができる。また、電力負荷(予測値)、発電量(予定量)、買電電力(予定量)及び逆潮流電力(予定量)の情報を含む運転計画を得ることができる。
所定の基準として、一次エネルギー使用量に代え、光熱費を用いることもできる。光熱費[円]は、(買電量合計値[kWh])×(電気料金単価[円/kWh])−(逆潮流電力量[kWh])×(売電単価[円/kWh])+(燃料消費量[m3])×(燃料単価[円/m3])で算出することができる。燃料消費量[m3]は、(燃料消費量[Wh])÷1000×3.6÷(燃料発熱量[MJ/m3](都市ガスの場合は、例えば45MJ/m3))で算出することができる。一例では、電気料金単価及び売電単価は、分散型発電システム100内若しくは分散型発電システム100外のリモコン又はHEMSにより設定することができる。別例では、電気料金単価及び売電単価は、HEMSサーバ200から取得することができる。時間帯により売電単価は変化する場合、HEMSサーバ200から時間帯ごとの売電単価を受信し、光熱費を計算することもできる。
所定の基準として、一次エネルギー使用量に代え、CO2排出量を用いることもできる。CO2排出量[kg−CO2]は、((買電量合計値[kWh])−(逆潮流電力量[kWh]))×(電力CO2換算係数[kg−CO2/kWh])+(燃料消費量[m3])×(燃料のCO2排出原単位[kg−CO2/m3])で算出することができる。
一次エネルギー消費量は、省エネルギー性の指標となる。一次エネルギー消費量が小さいほど、省エネルギー性が良いと言える。光熱費は、経済性の指標となる。光熱費が小さいほど、経済性が良いと言える。CO2排出量は、環境性の指標となる。CO2排出量が小さいほど、環境性が良いと言える。
要するに、分散型発電システム100は、HEMSサーバ200に送信される運転計画として採用され得る運転計画候補を複数作成し、複数の運転計画候補のうち、所定の基準が最も良くなるものを、運転計画として選定することができる。具体的には、分散型発電システム100は、複数の運転計画候補のうち、省エネルギー性、経済性、又は環境性が最も良くなるものを、運転計画として選定することができる。より具体的には、分散型発電システム100は、複数の運転計画候補のうち、分散型発電システム100における一次エネルギー使用量が最小となるもの、分散型発電システム100の光熱費が最小となるもの、又は分散型発電システム100のCO2排出量が最小となるものを、運転計画として選定することができる。
分散型発電システム100は、表示装置を含んでいてもよい。表示装置は、リモコン、HEMSに含まれ得る。
表示装置は、分散型発電システム100が制約時間帯において制約条件(電力調整指令により与えられた制約条件)を満たした運転を行っているときに、所定の表示をするものであってもよい。分散型発電システム100が、このような表示装置を有している場合、分散型発電システム100の所有者は、表示装置を見ることにより、電力調整指令により分散型発電システム100の発電が制約されていることを容易に知ることができる。
その他、表示装置は、運転計画の全部又は一部、送信用計画、制約時間帯、優先発電時間帯、発電停止時間帯、発電抑制時間帯、逆潮流運転が行われている旨、負荷追従運転が行われている旨、分散型発電システム100の所有者が取得した又は取得見込みのインセンティブ等を示すものであってもよい。
[電力調整指令及び運転計画の具体例]
図10及び11を参照しつつ、電力調整指令及び運転計画の具体例を説明する。
図10は、電力調整指令が表す情報の模式図である。理解を容易とするために、図10の具体例では、電力調整指令の制約時間帯がそのまま運転計画に反映されることとする。
図10の例では、電力調整指令は、電力負荷が小さい深夜時間帯及び朝の太陽電池が発電する時間帯(0:00〜10:00)を発電許可時間帯とするという情報を含んでいる。電力調整指令は、太陽電池の発電量が多い昼間の時間帯(10:00〜14:00)を発電停止時間帯とするという情報を含んでいる。電力調整指令は、太陽電池の発電量が減ってくる時間帯(14:00〜18:00)を発電許可時間帯とするという情報を含んでいる。電力調整指令は、太陽電池が発電せず電力が足りない時間帯(18:00〜0:00)を優先発電時間帯とするという情報を含んでいる。電力調整指令は、2つの発電許可時間帯においては分散型発電システム100に負荷追従運転をさせるという強制力のない提案を含んでいる。電力調整指令は、優先発電時間帯においては分散型発電システム100に逆潮流運転をさせるという強制力のある指示を含んでいる。
上記の電力調整指令に基づき、分散型発電システム100は、図11に示す運転計画を作成する。なお、この例では発電ユニット2が燃料電池(FC)であるため、図11では「FC発電予定量」という表現が用いられている。
図11から把握されるように、この運転計画は、0:00〜8:00と15:00〜18:00において分散型発電システム100に負荷追従運転をさせることを表している。これらの時間帯は、図10の発電許可時間帯の一部であって全部ではない。このことは、分散型発電システム100が、発電許可時間帯の残部では電力調整指令に従わず負荷追従運転をしない計画を立てたことを意味する。
一方、この運転計画は、8:00〜15:00において分散型発電システム100の発電を停止する(FC発電予定量をゼロにする)ことを表している。この時間帯は、図10の発電停止時間帯(10:00〜14:00)の全てを含んでいる。また、この運転計画は、18:00〜0:00においては分散型発電システム100に逆潮流運転をさせることを表している。この時間帯は、図10の優先発電時間帯の全てを含んでいる。つまり、図11の運転計画は、制約時間帯(発電停止時間帯及び優先発電時間帯)の全ての時間帯においては電力調整指令に従って分散型発電システム100を動作させることを意味している。
なお、図11の0:00の列は、0:00〜1:00までの時間帯における電力負荷予測値、FC発電予定量、買電電力及び逆潮流電力を表している。他の時間帯についても同様である。
このような運転計画の全部又は一部である送信用計画がHEMSサーバ200に集められると、HEMSサーバ200において集められた複数の送信用計画を集計することができる。これにより、各時間帯毎の(図11の例では、一時間毎の)電力負荷予測値、FC発電予定量、買電電力及び逆潮流電力の集計値を得ることができる。各時間毎のFC発電予定量の時間帯推移の集計値は、総発電量の時間帯推移の見込み値に対応する。
上記説明から、当業者にとっては、本開示に係る技術の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示に係る技術を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示に係る技術の要旨を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の技術を形成できる。