JP2018150446A - 電気絶縁樹脂材料 - Google Patents

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【課題】シロキサン結合を有する樹脂と、エラストマー粒子と、を含む樹脂材料において、硬化前における樹脂材料の流動性を維持し、かつ、耐クラック性に関連する硬化後における樹脂材料の耐熱性及び耐環境性を高める。【解決手段】樹脂と、エラストマー粒子と、を含む電気絶縁樹脂材料であって、樹脂は、シロキサン結合を含み、樹脂に含まれるSi原子の量は、25質量%より多く、エラストマー粒子の直径は、2μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、電気絶縁樹脂材料に関する。
近年、電気絶縁樹脂材料については、高機能化や高性能化を目指して、様々な添加物を樹脂中に混在させる手法がとられている。また、用途によっては、高耐熱性を有する樹脂の開発が課題になっている。
特許文献1には、第1の反応性樹脂成分及び第2の反応性樹脂成分を有し、第1の反応性樹脂成分はエポキシド不含であり、シアナートエステルをベースとして形成され、第2の反応性樹脂成分は、ビスフェノールFをベースとするエポキシ樹脂、シラン又はクレシルグリシドを含有し、さらに、変性剤としてシリコーンエラストマー粒子またはポリシロキサンエラストマー粒子を含有する、硬化性の反応性樹脂系であって、十分な電気的絶縁作用と同時に高い温度安定性を有するとともに、良好に加工することができるものが記載されている。
特表2011−513541号公報
樹脂の耐クラック性は、樹脂の破壊靱性を高めることにより向上する。
しかしながら、マイクロクラック防止効果に着目し、腐食性ガスの拡散を防止し、耐熱性を向上する観点から、ゴムを添加した例はない。
特許文献1に記載の硬化性の反応性樹脂系は、電気絶縁性、温度安定性及び加工性に着目したものである。
また、一般に、シロキサン結合又は芳香環を側鎖に持つ樹脂類は、耐熱性に優れる。
本発明は、シロキサン結合を有する樹脂と、エラストマー粒子と、を含む樹脂材料において、硬化前における樹脂材料の流動性を維持し、かつ、耐クラック性に関連する硬化後における樹脂材料の耐熱性及び耐環境性を高めることを課題とする。
本発明の電気絶縁樹脂材料は、樹脂と、エラストマー粒子と、を含み、樹脂は、シロキサン結合を含み、樹脂に含まれるSi原子の量は、25質量%より多く、エラストマー粒子の直径は、2μm以下である。
本発明によれば、硬化前における樹脂材料の流動性を維持し、かつ、硬化後における樹脂材料の耐熱性及び耐環境性(腐食性ガスに対する耐久性)を向上することができる。
実施例1の電気絶縁樹脂材料を示す拡大模式断面図である。 高温度の環境における曲げ強度の経時変化を示すグラフである。 ゴム粒子を含まない樹脂材料におけるマイクロクラックの状態を示す拡大模式断面図である。 ゴム粒子を含む樹脂材料におけるマイクロクラックの状態を示す拡大模式断面図である。 ゴム添加量と樹脂材料の粘度との関係を示すグラフである。
本発明は、電気機器に用いられる樹脂材料に関するものであり、特に、高耐熱回転電機に適用可能である。
耐熱性を高めるためには、シロキサン結合の比率を高くする必要がある。本発明者の検討によれば、Si原子の含有量にして25質量%を越えた場合に、顕著にその効果が表れることが判明した。よって、樹脂すべてをシロキサン骨格で占める必要はなく、その量の抑制により高価なシリコーン系樹脂の量を減量できる。
ここで、JIS K6200においては、「ゴムは、それが改質され、かつ、無希釈状態では、室温(18℃から29℃)において、その長さを2倍に伸ばし、かつ、緩める前に1分間そのままに保持しても、1分以内に元の長さの1.5倍未満に収縮する。」と定義されているが、本明細書においては、エントロピー弾性を持つ物質一般についてゴムあるいはエラストマーと総称することとする。エントロピー弾性とは、変形に際して、分子構造の整列を起因とするエントロピー低下が発生し、エントロピー増大の法則に従って元の状態に戻ろうとする性質である。このような性質は、分子運動論によって詳細に解説されている。
本発明の実施形態に係る電気絶縁樹脂材料について説明する。
前記電気絶縁樹脂材料(以下、単に「樹脂材料」ともいう。)は、樹脂と、エラストマー粒子と、を含む。エラストマー粒子は、樹脂中に分散されている。樹脂には、その化学構造としてシロキサン結合が含まれる。また、樹脂に含まれるSi原子の量は、25質量%より多い。また、樹脂に含まれるSi原子の量は、40質量%以下であることが望ましい。樹脂に含まれるSi原子の量が40質量%を超えると、樹脂の性質がガラス質に近づき、脆性破壊するおそれがある。
また、エラストマー粒子は、複数種類が含まれていてもよい。
前記電気絶縁樹脂材料は、200℃以上の空気中など腐食性のガス環境下における使用にも耐えられるものであることが望ましい。
エラストマー粒子のサイズ(直径)は、2μm以下であることが望ましく、1μm以下であることが更に望ましい。これにより、他の絶縁材料の空隙に含浸して用いる場合に浸透性を高めることができる。また、電気絶縁樹脂材料のガスバリア性も向上させることができる。
エラストマー粒子は、樹脂の劣化によるマイクロクラックの進展を防止するとともに、マイクロクラックの発生によって高速に拡散して内部に侵入するさまざまな気体、特に酸素などの活性なガスの侵入を防止する。また、水についても同様であり、気体もしくは液体の状態で侵入してくる水を阻止して、樹脂の腐食が進行するのを防止する。この効果は、エラストマー粒子の直径が小さいほど効果的である。よって、エラストマー粒子は、樹脂中において凝集しない程度に直径が小さいことが望ましい。よって、エラストマー粒子の直径(平均粒子径)は、10nm以上が望ましく、50nm以上が更に望ましい。
特に、電気絶縁が目的の場合には、主としてエポキシ系樹脂が適している。安価でかつ多くの樹脂類の中でも比較的安定であり、また、多くのエラストマー粒子と相溶性がよい。なお、エラストマーには、分類上、ゴムが含まれる。言い換えると、エラストマーは、ゴムの上位概念である。このため、本明細書においては、エラストマーを「ゴム」とも呼ぶ。
相溶性が低い場合でも、ゴム粒子の表面に化学修飾を施したり、各種界面活性剤若しくはシランカップリング剤を微量添加したりすることにより、相溶性が改善されることが多い。ここで、化学修飾は、酸素を含む官能基によるものが望ましい。ゴム粒子の表面に酸素を含む官能基が存在することにより、樹脂に含まれるシロキサン結合とゴム粒子とが結合しやすくなる。また、当該官能基は、アクリル基(−COOCH)又はシリコーンゴムの一部(−CSiO)であることが望ましい。また、当該官能基は、カルボキシル基(−COOH)を含むものであってもよい。
電気絶縁樹脂材料に含まれるゴムとしては、以下のものが望ましい。すなわち、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム等の二重結合を有するゴム類は、通常の空気中すなわち酸素存在下では、二重結合の酸素による攻撃によって高温での分解を引き起こすおそれがある。しかし、ゴムが樹脂内部に閉じ込められた状態では、酸素の接触から遮断されることにより、このような分解を防ぐことができる。
また、二重結合を持たないエチレンプロピレンジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、多硫化ゴム、エピクロルヒドリンゴムなどにおいても、主骨格には、脆弱な炭化水素の単結合が多く含まれ、網目状のネットワーク構造ではない。このため、空気中の酸素による酸化反応を引き起こす可能性がある。しかし、樹脂中では、高密度に架橋された状態に保護されるため、これらの酸化性ガスの影響を受けにくい。
なお、樹脂は、シリコーン樹脂、又はシロキサン結合を有するエポキシ樹脂を含むことが望ましい。これにより、表面に酸素を含む官能基を有するゴム粒子が、樹脂に分散しやすくなる。
エラストマー粒子の含有量は、樹脂100質量部に対して15質量部以下であることが望ましい。これにより、硬化前の樹脂材料の粘度を下げて作業性を向上させることができる。また、これより多くのエラストマー粒子を添加しても、大きな効果は得られにくい。
さらに、前記電気絶縁樹脂材料は、高機能化剤を含むことが望ましい。高機能化剤は、シリカ又はアルミナを含むことが望ましい。すなわち、シリカ類、アルミナ類等の無機物を含むことが望ましい。これらは、樹脂の総質量に関係なく、沈降を起こさない限度まで添加することができる。これらの高機能化剤を添加することにより、樹脂の線膨脹係数の調整や、破壊耐電圧の向上などの効果が期待できる。
更なる耐熱性を付与することを目的として、上記の樹脂よりも耐熱性の高いポリマー粒子を添加してもよい。多くの場合は、単体の樹脂よりもコストが高くなることが多いが、添加量が少なければ、全体としてのコスト上昇を抑制できる。このようなポリマー種としては、ポリイミド類、ポリアミドイミド類、ポリエーテルエーテルケトン類などが挙げられる。これらの粒子の形状は、球状であってもよいし、また必ずしも球状でなくともよい。添加量が多い場合には、腐食性ガスは、これらの高耐熱ポリマーの間隙に沿うように拡散せねばならないため、拡散距離を大きくなる。このため、腐食性ガスの拡散が妨げられる。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1では、シロキサン結合を内包するエポキシ系樹脂を用いた例について説明するが、本発明は、エポキシ系樹脂に限るものではない。また、樹脂によって極性によるゴムとの相溶性に違いがあり、樹脂の極性に合った表面修飾が必要である。また、ここで用いる樹脂には、Si原子が26質量%の比率で含まれるものを使用した。
図1は、本実施例の電気絶縁樹脂材料を模式的に示したものである。
本図に示す電気絶縁樹脂材料10は、樹脂1と、ゴム粒子2と、無機粒子3と、を含む。ここで、無機粒子3については、本発明における必須の構成要素ではない。
本実施例においては、ゴム粒子2としてアクリル修飾スチレンブタジエンゴム(平均粒子径0.3〜0.7μm)の粒子を用いている。この粒子は、100質量部の樹脂1に対して3質量部加えている。このように粒径が小さいゴム粒子2を用いることにより、他の絶縁材料の空隙に含浸して用いる場合に浸透性を高めることができる。また、これにより、電気絶縁樹脂材料のガスバリア性も向上させることができると考えられる。
本実施例においては、保存期間の比較的長い一液性エポキシ樹脂を選択して用いた。通常の流通形態において、エポキシ樹脂ではプレポリマー混合液が、酸無水物は無水マレイン酸などが用いられる。これに少量の重合開始剤が添加されている。また、微量の非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル)が添加されており、ほぼ等量のシランカップリング剤が添加されている。
本実施例においては、エポキシ樹脂を反応基として含み、シロキサン結合を樹脂鎖内に内抱する樹脂を用いた。これを以下に「樹脂」と呼ぶ。
無機粒子3を加えたことにより、上記で調合した樹脂の粘度は、後述する図4に示すグラフにおけるゴム粒子2を3質量部加えた値(1Pa・sと2Pa・sとの間)よりも高い7Pa・s(80℃)であった。これは、通常に用いられるエポキシ樹脂(80℃)と比較してほぼ遜色ない値であるといえる。これらのブレンド(混合)・成形・硬化は、次のようにして実施した。
(1)樹脂1kgを量り取り、ゴム粒子と共にプラネタリーミキサー容器に入れる。必要な場合には、樹脂液は使う直前に加熱しておく。
(2)必要に応じて、硬化促進剤を上記混合液に滴下する。十分な量の硬化促進剤を添加している場合は、この作業は不要である。作業が終了したら、プラネタリーミキサーで軽く混合する。特に撹拌応力の必要な場合には、これを一軸回転翼撹拌機用容器に移す。
(3)一軸回転翼撹拌機で混合する。一軸撹拌機は、10mmの羽根を最大で1万回転/分程度回すことができるものが好ましいが、この場合では数千回転/分で計20分ほど撹拌した。混合しにくい場合には、更に回転数を調整してもよいが、多くの場合は回転数が高いほどよく撹拌される。
(4)上記液を80℃に予熱した金型に流し入れ、80℃で5時間、更に130℃で8時間加熱した。
(5)加熱後、3時間徐冷して室温まで冷却した。硬化した樹脂材料を型から取り外し、試験片とした。
(6)このようにして作製した試験片について各種の物性を測定した。
表1は、得られた樹脂材料(試験片)の主な特性を示したものである。
本表には、ゴム粒子を混合していない場合(ゴムなし)と、ゴム粒子(3質量部)を混合した場合と(ゴムあり)を示している。そして、それぞれの破壊靭性K1c(MPa)、線膨張係数及びガラス転移温度を示している。破壊靭性は、割れやすさの指標であり、値が小さいほど破壊されにくいことを示す。また、破壊靭性は、引き裂き試験などで求めることができる。
Figure 2018150446
本表に示すように、際立っているのがK1cの値である。通常のエポキシ系樹脂である「ゴムなし」の場合は、1.8MPa√m程度である。これに対して、本実施例の樹脂材料である「ゴムあり」の場合は、3.0MPa√mを上回る値(3.2MPa√m)となっている。これは、クラックの進展しにくさを示す指標であり、硬化物の割れにくさに対応している。
次に、この割れにくさがどのように樹脂材料の高温耐久性に役立っているかを検証した結果について説明する。
図2は、高温度の環境における曲げ強度の経時変化を示したものである。高温度の環境(実験条件)としては、250℃の高温槽で空気に曝露した条件とした。この状態で所定時間ごとに曲げ強度を測定した結果を示している。
本図から、「ゴムあり」の場合、樹脂材料の高温における割れにくさの指標である曲げ強度が測定時間内ではほとんど変化していないことがわかる。これに対して、「ゴムなし」の場合は、曲げ強度が時間の経過とともに低下していることがわかる。「ゴムなし」の場合は、触れると崩壊するほど割れやすくなっていた。
樹脂材料の曲げ強度が低下して割れやすくなる機構については、詳細は判明していないが、熱劣化の際に発生するマイクロクラックが影響していると考えられる。
つぎに、ゴム粒子の有無によるマイクロクラックの進展の違いを説明する。樹脂材料の露出面には、大気中の酸素や水蒸気が接触し、高温度に維持された状態である。
図3Aは、ゴムなし樹脂(ゴムなし)におけるマイクロクラックの状態を示したものである。
本図においては、樹脂1にマイクロクラック35が生じている。この場合、樹脂材料の中にゴム粒子が含まれていないため、マイクロクラック35は、阻害されることなく時間の経過とともに進展していく。
図3Bは、ゴム入り樹脂(ゴムあり)におけるマイクロクラックの状態を示したものである。
本図においては、樹脂材料には、樹脂1と、樹脂1に分散されたゴム粒子2と、が含まれている。このため、マイクロクラック36は、ゴム粒子2に阻害され、短くなっている。
図3Aに示す状態では、マイクロクラック35が樹脂材料の奥まで進展しているため、マイクロクラック35を介して酸素、水などが奥まで侵入しやすく、内部腐食を助長し、樹脂が腐食されやすいことが推測される。
これに対して、図3Bに示す状態では、マイクロクラック36は、樹脂材料の奥まで到達しにくいため、樹脂の腐食が進行しにくく、樹脂材料の劣化が進みにくいと考えられる。
実施例1においては、スチレンブタジエンゴムを用いたが、他のゴムであっても同様の効果を奏する。また、極性の低いスチレンブタジエンゴムなどを極性樹脂に用いる場合には、ゴム表面をアクリル変性等のゴム表面の修飾をすることにより、相溶性を向上させることができ、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、極性の低いポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシロキサン等においては、非極性の基によって修飾する。
本実施例は、ゴムの添加量を増減させた場合である。
図4は、ゴム添加量と樹脂材料の粘度との関係を示したものである。横軸にゴム添加量、縦軸に硬化前における樹脂材料の粘度をとっている。ここで、ゴム添加量は、単位を質量部としているが、これは、混合した基材の樹脂100質量部に対してゴム粒子の比率を示したものである。
本図に示すように、ゴム粒子の添加量が増加すると、樹脂材料の粘度は、約10質量部までは1.5Pa・s程度であり、若干の増加傾向にあるが、変化量は比較的少ない。そして、ゴム粒子の添加量が15質量部を超えると、樹脂材料の粘度は、急激に増加し始め、16質量部で約10Pa・sとなり、17質量部では20Pa・sを超えることがわかる。
ゴム粒子の添加量を多くしすぎると、粘度が高くなり、作業性が低下する。このほか、樹脂材料の物性も、ゴム粒子の凝集により低下することが懸念される。このようなしきい値は、添加するゴムと樹脂との相性によって決まるが、我々の経験によれば、15質量部を越えて使用できるほどのゴム粒子(粘度10Pa・s以下)は見つからなかった。
以上のように、本実施例から、ゴム粒子の添加量は、樹脂(エポキシ樹脂と酸無水物などの共重合体)100質量部に対して15質量部以下とすることが望ましいことがわかる。この範囲とすることにより、本発明の効果を最も発揮できる。
実施例1〜3で用いた樹脂は、エポキシ樹脂類であり、特に極性を有する場合について述べたものである。エポキシ樹脂は、極性を有する樹脂として知られており、極性を有するゴムでないと、相溶性が低くなり、粘度も増大する。逆に、極性の低い樹脂では、極性の低いゴム粒子もしくはそのような極性の低い官能基によって修飾されたゴム粒子でないと、相溶性が低くなる。
本発明の効果は、主に、高耐熱樹脂類において発揮され得る。市販されている多くの高耐熱樹脂は、エポキシ樹脂に比較して高価ではあるが、シロキサン系統等はもともと高温特性が高い樹脂類である。このような樹脂類においても、ゴム粒子の添加によって同様の効果が得られる。この場合、極性の低い、あるいは低極性基で修飾されたゴム粒子でないと相溶性が低くなり、十分な性能を発揮することができない。
実施例1〜3の複合絶縁樹脂(電気絶縁樹脂材料)の原料として、エポキシ樹脂と酸無水物のような樹脂本体に、高機能化剤としてシリカ類、アルミナ類等の無機物を添加することで、線膨張係数を抑制し、熱伝導率を向上させる効果が得られる。シリカもアルミナも、樹脂より比重が高いことがあり、沈降する傾向にあるが、ゴム粒子の添加が沈降を抑制する効果もある。特に、限界量まで無機物を添加したような場合には、添加無機物の沈降を起こしやすい傾向となるが、わずかなゴム添加で沈降を防止する効果が得られている。
実施例1〜3においては、基材となるポリマー(樹脂)としてエポキシ系樹脂を用いる場合について述べた。いずれも耐熱性を高めることができるが、さらに基材そのものの耐熱性が高い場合にゴム添加することでより、耐熱性が向上する効果を有する。このような基材としては、一般的にエポキシ系より高価ではあるが、ポリイミド系、ポリアミドイミド系、ポリエーテルエーテルケトン系などがあげられる。
ゴムには様々なものがあるが、性質の異なるものをブレンドして用いることでより、効果を発揮する。例えば、粒子径が大きいゴム粒子に、粒子径が小さいゴム粒子を、後者の添加量を1/5として用いることで、粒子沈降がなく、破壊靱性の高い樹脂硬化物を作製可能であることがわかった。
1:樹脂、2:ゴム粒子、3:無機粒子、10:電気絶縁樹脂材料、35、36:マイクロクラック。

Claims (11)

  1. 樹脂と、エラストマー粒子と、を含み、
    前記樹脂は、シロキサン結合を含み、
    前記樹脂に含まれるSi原子の量は、25質量%より多く、
    前記エラストマー粒子の直径は、2μm以下である、電気絶縁樹脂材料。
  2. 前記エラストマー粒子の表面は、酸素を含む官能基で化学修飾されている、請求項1記載の電気絶縁樹脂材料。
  3. 前記官能基は、−COOCH又は−CSiOである、請求項2記載の電気絶縁樹脂材料。
  4. 前記樹脂は、シリコーン樹脂、又はシロキサン結合を有するエポキシ樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気絶縁樹脂材料。
  5. 前記エラストマー粒子は、アクリロニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、多硫化ゴム若しくはエピクロルヒドリンゴム又はこれらのいずれかの誘導体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気絶縁樹脂材料。
  6. 前記エラストマー粒子の含有量は、前記樹脂100質量部に対して15質量部以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気絶縁樹脂材料。
  7. さらに、高機能化剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気絶縁樹脂材料。
  8. 前記高機能化剤は、シリカ又はアルミナを含む、請求項7記載の電気絶縁樹脂材料。
  9. さらに、ポリイミド類、ポリアミドイミド類又はポリエーテルエーテルケトン類の粒子を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気絶縁樹脂材料。
  10. 前記樹脂に含まれるSi原子の量は、40質量%以下である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電気絶縁樹脂材料。
  11. 前記エラストマー粒子の直径は、1μm以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電気絶縁樹脂材料。
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