JP2018150406A - インクジェット捺染用インク組成物及び疎水性繊維の捺染方法 - Google Patents

インクジェット捺染用インク組成物及び疎水性繊維の捺染方法 Download PDF

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主 香川
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比呂子 樋口
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Shinsuke Shimizu
慎介 清水
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Abstract

【課題】保存安定性及び連続印刷安定性に優れ、固化したインクによってワイピングのメンテナンスによってヘッドに負担が掛かる事無く、印刷環境及びプリンタ機器に優しく且つ良好な捺染物を得る事が出来るインクジェット捺染用インク組成物の提供。【解決手段】(A)クロマン構造を有する化合物、(B)着色剤、(C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体、(D)式(1)で表されるポリアルキレングリコール化合物又はジグリセリンを含有するインクジェット捺染用インク組成物。(AO及びOAは、アルキレンオキサイド;RはH又は脂肪族炭化水素基;mは0〜30の整数;o及びpは夫々独立に10又は1;1≦m+o+p)【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット捺染用インク組成物及びそれを用いる疎水性繊維の捺染方法に関する。
近年、インクジェットによる無製版印刷を行なう記録方法が提案され、布等を含めた繊維の捺染においてもインクジェット捺染が行われている。従来のスクリーン印刷等の捺染方法と比較して、インクジェット印刷による捺染は、無製版であること;省資源であること;省エネルギーであること;及び高精細表現が容易であること;等、様々な利点がある。
ここでポリエステル繊維等の疎水性繊維布は、一般に水に不溶性の色材により染色される。従って、インクジェット記録方法により疎水性繊維を捺染するための水性インクとしては、一般に水不溶性色材を水中に分散し、分散安定性等の性能が良好な分散インクを用いる必要がある。
ポリエステル繊維を代表とする疎水性繊維へのインクジェット捺染方式は、大きく分けると以下2つの方法に大別される。繊維へ直接インクを付与(プリント)した後、高温スチーミング等の熱処理によりインク中の染料を繊維に染着させるダイレクトプリント法と、中間記録媒体(専用の転写紙等)にインクを付与(プリント)した後、中間記録媒体のインク付与面と疎水性繊維を重ね合わせた後、熱により染料を中間記録媒体から繊維側へ転写させる昇華転写法である。
昇華転写法はのぼり旗等の捺染加工に主に用いられ、インク中には熱処理によるポリエステルへの転写適性に優れた易昇華型の染料が用いられる。加工工程としては
(1)プリント工程:インクジェットプリンタにより染料インクを中間記録媒体に付与する
(2)転写工程:熱処理により染料を中間記録媒体から繊維中に転写・染着させる
の2工程であり、市販の転写紙が広く使用できる為、繊維の前処理は必要とせず、また洗浄工程も省略されている。
昇華転写法に使用されているインクジェットインクは主として水性インクが使用されており、水不溶性である分散染料群及び油溶性染料群から選ばれる昇華性染料を、分散剤を用いて水中に微粒子分散安定化した染料分散液に対して、保湿剤(乾燥防止剤)として水溶性有機溶剤、表面張力調整剤として界面活性剤、その他添加剤(pH調整剤、防腐・防黴剤、消泡剤等)を用いて、粒度・粘度・表面張力・pH等の物理特性(物性)を最適化してインク化されている(特許文献1参照)。
また、インクジェットプリントにおいて、プリントヘッドのノズルが配列されたプレートからインクを安定的に吐出できる事が重要であるが、水系インクにおいてはノズルプレート近傍でインク中の水分の蒸発によって引き起こされる吐出トラブルが起こり易い。
この様な吐出トラブルとしては、プレート上でインク組成物が付着乾燥した場合、プリンタのクリーニング動作で速やかに除去する事が出来ないと、印刷中にインクの吐出不良(飛行曲がり等)を引き起こす事がある。
そこで、インク中の水分の蒸発を抑える目的として各種保湿剤が用いられており、多くは水溶性有機溶剤を用いている。特に水溶性有機溶剤として保水効果の高いグリセリンを用いている。但しグリセリン単独での使用では水分が蒸発した際のインク増粘傾向が高くなる為、増粘傾向を穏やかにさせる目的としてグリコール系溶剤(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等)が併用されている(特許文献1参照)。
昇華転写方式における疎水性繊維の捺染方法では、インクジェットプリンタにて昇華転写インクを中間記録媒体(専用の転写紙等)に付与(プリント)し、中間記録媒体のインク付与(プリント)面と被染色対象物(ポリエステル繊維等)を重ね合わせた物を、熱圧着ローラーや熱プレス機等による熱圧着方式によって昇華性染料を被染色対象物に転写させている。
上記従来技術で使用されている水溶性有機溶剤としてジグリセリン、ポリグリセリンを用いた例としては、ジグリセリン、ポリグリセリンと炭素数3乃至5のアルカンジオール類、分子量200以上700以下のポリプロピレングリコールを用いたインクジェット捺染用インクがあるが(特許文献4参照)、該技術において、ジグリセリン、ポリグリセリンとグリコール系溶剤を併用してインク化溶剤として使用した例はあるが、ダイレクトプリント法における未処理布に付与したインク同士のブリード防止効果に言及されてはいるが、昇華転写法にて使用できる旨は試験も記載もされていない。
また、ポリエチレングリコール及び/又はジグリセリンを用いたインクジェット顔料インクがあるが(特許文献5参照)、該技術において水溶性顔料インクの再分散性について触れているが、昇華性染料に関わる技術検討もされていない。
WO2005/121263号 特許第3515779号公報 特許第3573156号公報 特開2007−238687号公報 特開2004−107631号公報 特開2011−21133号公報 特開2011−246570号公報 WO1999−050363号 特許第4815747号公報 特開2010−235828号公報 特公平2002−228379号公報 特公平2007−026047号公報 特公平2007−026048号公報 特開昭63−139959号公報 特開昭63−139960号公報 特開昭63−139961号公報 特開昭63−139962号公報
有機合成化学協会誌 Vol.47(1989)No.10,p902
本発明は、保存安定性及び連続印刷安定性に優れ、固化したインクによってワイピングのメンテナンスによってヘッドに負担が掛かる事無く、印刷環境及びプリンタ機器に優しく且つ良好な捺染物を得る事が出来るインクジェット捺染用インク組成物を提供する事を目的とするものである。
本発明者らは上記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)クロマン構造を有する化合物、(B)着色剤、(C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体、(D)式(1)で表される化合物又はジグリセリンを含有するインクジェット捺染用インク組成物が、上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち本発明は、以下の1)〜19)に関する。
1)
(A)クロマン構造を有する化合物、(B)着色剤、(C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体、(D)式(1)で表される化合物又はジグリセリンを含有するインクジェット捺染用インク組成物。
(式(1)中、AO及びOAはいずれもアルキレンオキサイドを表す。Rは水素原子又は脂肪族炭化水素原子基を表す。mは0乃至30の整数を表す。o、pはそれぞれ0又は1の整数を表す。nは1乃至20の整数を表す。但し、m、o、pの総和は1以上である。)
2)
(A)クロマン構造を有する化合物が、トコフェロール類化合物である1)記載のインクジェット捺染用インク組成物。
3)
(A)クロマン構造を有する化合物が、α−トコフェロール(別名ビタミンE)である2)記載のインクジェット捺染用インク組成物。
4)
(B)着色剤が、昇華性染料である1)乃至3)記載のインクジェット捺染用インク組成物。
5)
(B)着色剤が、C.I.ディスパースイエロー、C.I.ディスパースオレンジ、C.I.ディスパースブルー及びC.I.ディスパースレッドからなる群から選択される染料である4)記載のインクジェット捺染用インク組成物。
6)
(B)着色剤が、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ディスパースレッド60からなる群から選択される染料である5)記載のインクジェット捺染用インク組成物。
7)
(C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が、1,000〜20,000である1)乃至6)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
8)
(C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が、2,000〜19,000である1)乃至7)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
9)
(C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が、4,000〜17,000である1)乃至8)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
10)
(D)式(1)で表される化合物における、アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドである1)乃至9)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
11)
(D)式(1)で表される化合物における、nが1乃至12である1)乃至10)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
12)
(D)式(1)で表される化合物における、Rが水素原子又はエチル基である1)乃至11)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
13)
(D)式(1)で表される化合物における、m、o、pがそれぞれ0、nが1、Rがエチル基である組合せ、m、o、pがそれぞれ0、nが5乃至10、Rが水素原子である組合せ、mが3、o及びpがそれぞれ1、nが1でアルキレンオキサイドがエチレンオキサイド、Rが水素原子である組合せ、mが26、o及びpがそれぞれ1、nが1でアルキレンオキサイドがエチレンオキサイド、Rが水素原子である組合せ、m、o、pがそれぞれ1、nが2でアルキレンオキサイドがプロピレンオキサイド、Rが水素原子の組合せ、のいずれか1種類を含む1)乃至13のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
14)
更に、水溶性有機溶剤を含有する1)乃至13)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
15)
更に、水を含有する1)乃至14)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
16)
1)乃至15)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより疎水性繊維に付着させる工程Aと、工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の着色剤を熱により繊維に固着させる工程Bと、繊維中に残存する未固着の着色剤を洗浄する工程Cと、を含む疎水性繊維の捺染方法。
17)
1)乃至16)のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させて記録画像を得た後、該中間記録媒体における、インク組成物の液滴の付着面に疎水性繊維を接触させ、熱処理することにより該記録画像を疎水性繊維に転写する、疎水性繊維の捺染方法。
18)
1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を含む水溶液を、インク組成物を付着させる前の繊維に付与する、繊維の前処理工程をさらに含む16)又は17)に記載の疎水性繊維の捺染方法。
19)
16)乃至18)のいずれか一項に記載の疎水性繊維の捺染方法により得られる、染色された疎水性繊維。
本発明により、プリントヘッドの目詰まりや吐出不良を生じさせる事無く、固化したインクによってワイピングのメンテナンスによってヘッドに負担が掛かる事無く、環境とプリンタに優しく且つ良好な捺染物を得る事が出来るインクジェット捺染用インク組成物が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書においては実施例等を含めて、特に断りの無い限り「部」及び「%」は、いずれも質量基準である。
上記インクジェット捺染用インク組成物は、(A)クロマン構造を有する化合物、(B)着色剤、(C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体、(D)式(1)で表される化合物又はジグリセリンを含有したものである(但し、式(1)におけるm,o,pがそれぞれ0、nが1、Rが水素原子である組合せを除く)。
[成分(A)について]
上記インクジェット捺染用インク組成物に含有される成分(A)は、クロマン構造を有する化合物である。
上記クロマン構造を有する化合物としては、例えば、トコフェロール類化合物、カテキン、クエルセチン等が挙げられる。
上記トコフェロール類化合物としては、例えば、α−トコフェロール(別名ビタミンE)、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール等のトコフェロール類が挙げられ、α−トコフェロールであることが好ましい。また、上記トコフェロール類に加え、非特許文献1に記載されているような、クロマン環上のメチル基数、置換位置、および側鎖の飽和又は不飽和の違いにより存在する、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノール、δ−トコトリエノール等のトコトリエノール類等もトコフェロール類化合物として含む。
上記トコフェロール類化合物は水溶性有機溶剤もしくは非水溶性有機溶剤に溶かして使用しても良い。水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の(C1〜C4)アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;ピリジン等の芳香族化合物;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの(C1〜C4)アルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;ジメチルスルホキシド;等があげられる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。非水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、ヘキサンが挙げられる。なお、上記の水溶性有機溶剤にはトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれているが、これらは固体であっても水溶性を示し、水に溶解させた場合には水溶性有機溶剤と同じ目的で使用することができるため、便宜上、本明細書においては水溶性有機溶剤の範疇に記載する。
上記トコフェロール類化合物が、カルボン酸、スルホン酸、水酸基等の酸性基を有する場合、アルカリ塩化されていても良い。
上記アルカリ塩化は、例えば以下方法で行うことが可能である。
酸性基を有するクロマン構造を有する化合物を水に投入し撹拌して水溶液を調製する。そこへアルカリ性化合物を投入し、pHを6.0−12.0に調整した液を作製する。
上記アルカリ性化合物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化ストロンチウム等のアルカリ土類金属の水酸化物等挙げられる。
上記アルカリ性化合物は1種類を使用しても良く、また、2種類以上を組み合わせることも出来る。
上記トコフェロール類化合物、またはアルカリ塩化された上記トコフェロール類化合物は水性インク組成物の総質量に対して、いずれも質量基準(質量%)で通常5〜10%、好ましくは1.0〜5.0%、より好ましくは1.0〜0.01%である。
[成分(B)について]
上記インクジェット捺染用インク組成物に含有される成分(B)は、着色剤である。着色剤として用いることが出来るものとしては例えば、染料及び/又は顔料が挙げられる。上記染料とは、適当な染色法によって繊維に染着する有機色素であり、例えば直接染料、建染染料、硫化染料、分散染料、塩基性染料、ナフトール染料、酸性染料、酸性媒染染料、媒染染料、油溶性染料、反応染料、可溶性建染染料、硫化建染染料、酸化染料等である。
具体的には、C.I.ディスパースイエロー、3、4、5、6、7、8、9、13、23、24、30、33、34、39、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、142、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、186、192、198、199、200、202、204、210、211、215、216、218、224、237、C.I.ディスパースオレンジ1、1:1、3、5、7、11、13、17、20、21、23、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、60、61、66、71、73、76、78、80、86、89、90、91、93、96、97、118、119、127、130、139、142、C.I.ディスパースレッド1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、55:1、56、58、59、60、65、70、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、158、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、283、288、298、302、303、310、311、312、320、323、324、328、359、C.I.ディスパースバイオレット1、4、8、11、17、23、26、27、28、29、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、97、C.I.ディスパースグリーン9、C.I.ディスパースブラウン1、2、4、9、13、19、C.I.ディスパースブルー3、5、7、9、14、16、19、20、26、26:1、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、64:1、71、72、72:1、73、75、77、79、79:1、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、131、139、141、142、143、145、146、148、149、153、154、158、165、165:1、165:2、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、266、267、270、281、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、341、353、354、358、360、364、365、366、368、C.I.ディスパースブラック1、3、10、24、C.I.ソルベントイエロー114、C.I.ソルベントオレンジ67、C.I.ソルベントレッド146、C.I.ソルベントブルー36、63、83、105、111、C.I.リアクテイブイエロー2、3、18、81、84、85、95、99、102、C.I.リアクテイブオレンジ5、9、12、13、35、45、99、C.I.リアクテイブブラウン2、8、9、17、33、C.I.リアクテイブレッド3、3:1、4、13、24、29、31、33、125、151、206、218、226、C.I.リアクテイブバイオレット1、24、C.I.リアクテイブブルー2、5、10、13、14、15、15:1、49、63、71、72、75、162、176、C.I.リアクテイブグリーン5、8、19、C.I.リアクテイブブラック1、8、23、39、C.I.アシッドイエロー1、3、11、17、18、19、23、25、36、38、40、42、44、49、59、61、65、72、73、79、99、104、110、159、169、176、184、193、200、204、207、215、219、220、230、232、235、241、242、246、C.I.アシッドオレンジ2、3、7、8、10、19、24、51、56、67、74、80、86、87、88、89、94、95、107、108、116、122、127、140、142、144、149、152、156、162、166、168、C.I.アシッドブラウン2、4、13、14、19、28、44、123、224、226、227、248、282、283、289、294、297、298、301、355、357、413、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、18、27、35、37、52、54、57、73、82、88、97、106、111、114、118、119、127、131、138、143、C.I.アシッドバイオレット17、19、21、42、43、47、48、49、54、66、78、90、97、102、109、126、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、23、25、40、62、72、74、80、83、90、92、103、104、112、113、114、120、127、128、129、138、140、142、156、158、171、182、185、193、199、201、203、204、205、207、209、220、221、224、225、229、230、239、249、258、260、264、278、279、280、284、290、296、298、300、317、324、333、335、338、342、350、C.I.アシッドグリーン9、12、16、19、20、25、27、28、40、43、56、73、81、84、104、108、109、C.I.アシッドブラック1、2、3、24、26、31、50、52、58、60、63、107、109、112、119、132、140、155、172、187、188、194、207、222、C.I.ダイレクトイエロー2、3、4、9、10、11、12、13、15、16、50、66、73、84、86、87、88、89、91、110、127、128、129、130、132、138、139、141、142、145、C.I.ダイレクトオレンジ20、25、35、38、39、41、C.I.ダイレクトブラウン187、195、196、202、208、209、210、213、C.I.ダイレクトレッド76、88、89、92、101、209、220、222、224、225、226、227、234、235、238、240、243、245、247、C.I.ダイレクトブルー52、55、57、76、80、84、86、87、92、102、105、106、108、110、112、197、199、200、202、205、220、231、233、235、237、238、240、245、248、250、C.I.ダイレクトグリーン55、57、59、60、77、80、82、90、C.I.ダイレクトブラック12、19、20、22、23、105、107、110、112、115、117、120、125、129、132、135、136、C.I.ベーシックイエロー2、3、18、21、38、40、41、43、51、63、65、67、69、C.I.ベーシックブルー2、10、37、41、43、50、55、57、60、66、69、72、75、79、C.I.ベーシックレッド20、25、27、29、31、45、46、47、50等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これら染料のうち、分散染料及び油溶性染料として好ましいものとしては、C.I.ディスパースイエロー42、49、76、83、88、93、99、119、126、160、163、165、180、183、186、198、199、200、224、237、C.I.ディスパースオレンジ25、29、30、31、38、42、44、45、53、54、55、71、73、80、86、96、118、119、C.I.ディスパースレッド73、88、91、92、111、127、131、143、145、146、152、153、154、179、191、192、206、221、258、283、302、323、328、359、C.I.ディスパースバイオレット26、35、48、56、77,97、C.I.ディスパースブルー27、54、60、73、77、79、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、225、257、266、267、281、341、353、354、358、360、364、365、368等が挙げられる。また、熱転写適性のある好ましい染料としては、C.I.ディスパースイエロー51、54、60、82、C.I.ディスパースオレンジ5、7、20、23、25、C.I.ディスパースレッド4、11、50、53、59、60、239、240、364、C.I.ディスパースバイオレット8、11、17、26、27、28、36、C.I.ディスパースブルー3、5、26、35、55、56、72、81、91、108、334、359、360、366、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ソルベントイエロー114、C.I.ソルベントオレンジ60、67、C.I.ソルベントレッド146、C.I.ソルベントブルー36、63、83、105、111等が挙げられ、これらのうち特に好ましくは、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー360である。
また、上記染料は複数を配合しても良く、例えばブラックインクの調製においては、ブルー染料を主体にオレンジ染料、及びレッド染料を適宜配合してブラック色に調色し、これをブラック染料として用いることができる。また、例えばブルー、オレンジ、レッド、バイオレット、又はブラック等の色調を、より好みの色調に微調整する目的で複数の染料を配合しても良い。
上記顔料とは、水、有機溶剤等に不溶の白色または有色の紛体であり、有機顔料と無機顔料がある。本発明においては、有機顔料であっても無機顔料であっても良いが、有機顔料である場合が好ましい。具体的には、C.I.ピグメントイエロー74、120、128、138、151、185、217、C.I.ピグメントオレンジ13、16、34、43、C.I.ピグメントレッド122、146、148、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、C.I.ピグメントグリーン7、8等を挙げることができる。
なお、本発明においては、染料がより好ましい。
これらの着色剤は粉末状あるいは塊状の乾燥色材でも、ウエットケーキやスラリーでも良く、色材合成中や合成後に色材粒子の凝集を抑える目的で界面活性剤等の分散剤が少量含有されたものであっても良い。市販のこれらの色材には、工業染色用、樹脂着色用、インキ用、トナー用、インクジェット用などのグレードがあり、製造方法、純度、顔料の粒径等がそれぞれ異なる。粉砕後の凝集性を抑えるには色材としてはより粒子の小さいものが好ましく、また分散安定性及びインクの吐出精度への影響からできるだけ不純物などの少ないものが好ましい。染料においてはブルー系染料を主体にオレンジ系染料及びレッド系染料を配合する事でブラック用の色材として用いることができる。また色調調整の範囲内で他の水不溶性色材を少量含んでも良い。
[成分(C)について]
上記インクジェット捺染用インク組成物に含有される成分(C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体は、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーの共重合体である。なお本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」の意味を表す。これら共重合体の具体例としては、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、(α‐メチル)スチレン‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐アクリル酸エステル‐(無水)マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル‐アリルスルホン酸エステル共重合体、アクリル酸エステル‐スチレンスルホン酸共重合体、(α‐メチル)スチレン‐メタクリルスルホン酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸共重合体、ポリエステル‐アクリル酸‐アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸共重合体、ポリエステル‐メタクリル酸‐アクリル酸共重合体エステル;等が挙げられる。これらの中では芳香族炭化水素原子基を含む化合物がスチレンのものが好ましい。なお、(α‐メチル)スチレンとは、本明細書においてα‐メチルスチレン、及びスチレンを含む意味として用いる。
上記インクジェット捺染用インク組成物における成分(C)の具体例としては、JoncrylRTM 52J、57J、60J、63J、70J、JDX−6180、HPD−196、HPD96J、PDX−6137A、6610、JDX−6500、JDX−6639、PDX−6102B、PDX−6124(BASF製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお本明細書において上付きのRTMは登録商標を意味する。
上記インクジェット捺染用インク組成物における成分(C)としては、重量平均分子量が、1,000〜20,000である場合が好ましく、2,000〜19,000が更に好ましく、4,000〜17,000が特に好ましい。上記スチレン−アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフ)法で測定する。また、成分(C)として用いられるスチレン−(メタ)アクリル共重合体のガラス転位温度は45℃〜135℃である場合が好ましく、55℃〜120℃がさらに好ましく、60〜110℃が特に好ましい。さらに、成分(C)として用いられるスチレン−(メタ)アクリル共重合体の酸化は50〜250mgKOH/gである場合が好ましく、100〜250mgKOH/gがさらに好ましく、150〜250mgKOH/gである場合が特に好ましい。酸価が小さくなりすぎると、水に対する樹脂の溶解性が悪くなり、特に着色剤が分散性染料又は顔料の場合、分散安定化力が劣る傾向にあり、酸価が大きくなりすぎると水性媒体との親和性が強くなり、印字後の画像ににじみが発生し易い傾向があり好ましくない。樹脂の酸価は、樹脂1gを中和するのに要するKOHのmg数を表し、JIS−K3054に従って測定する。
上記インクジェット捺染用インク組成物における、好ましい成分(C)のスチレン−(メタ)アクリル共重合体の具体例としては、Joncryl 67(重量平均分子量=12,500、酸価=213mgKOH/g)、678(重量平均分子量=8,500、酸価=215mgKOH/g)、682(重量平均分子量=1,700、酸価=230mgKOH/g)、683(重量平均分子量=4,900、酸価=215mgKOH/g)、690(重量平均分子量=16,500、酸価=240mgKOH/g)等が挙げられ、Joncryl 678であることがより好ましい。
上記インクジェット捺染用インク組成物は、着色剤の分散または溶解時に2種類以上のスチレン−アクリル共重合体を使用して作製することが可能である。
上記着色剤の分散は、例えば以下の方法で行うことができる。スチレン−アクリル共重合体を水溶性有機溶剤に投入し、温度を90−120℃に昇温してスチレン−アクリル共重合体溶解液を作製し、そこへアルカリ性化合物及び水を投入して、温度を下げて乳化(エマルション又はマイクロエマルション)液とし、作製されたエマルション液と着色剤を混合・分散を行う。
[成分(D)について]
上記インクジェット捺染用インク組成物は、成分(D)として、式(1)で表される化合物又はジグリセリンを含有する。式(1)中、AO及びOAはいずれもアルキレンオキサイドを表す。
アルキレンオキサイドとしては、メチレンオキサイド、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等、アルキレン及び酸素を介した連結基を表し、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドであることが好ましい。上記AOとOAとの違いは、アルキレンと酸素の並び順を表したものであり、Aがアルキレン、Oが酸素の位置を表す。
式(1)中、Rは水素原子又は脂肪族炭化水素原子基を表す。
上記脂肪族炭化水素原子基としては、飽和あるいは不飽和の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基が挙げられ、C1−C36であり、C1−C18のものが好ましく、C1−C6のものが更に好ましく、C1−C3のものが特に好ましい。直鎖アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。分岐鎖アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチル−ヘキシル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、例えばシクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
式(1)中、mは0乃至30の整数を表し、o、pはそれぞれ0又は1の整数を表す。
但し、m、o、pの総和は1以上である。
式(1)中、nは1乃至20の整数を表す。
成分(D)としては、式(1)中、m、o、pがそれぞれ0、nが1、Rがエチル基である組合せ、m、o、pがそれぞれ0、nが5乃至10、Rが水素原子である組合せ、mが3、o及びpがそれぞれ1、nが1でアルキレンオキサイドがエチレンオキサイド、Rが水素原子である組合せ、mが26、o及びpがそれぞれ1、nが1でアルキレンオキサイドがエチレンオキサイド、Rが水素原子である組合せ、m、o、pがそれぞれ1、nが2でアルキレンオキサイドがプロピレンオキサイド、Rが水素原子の組合せ、のいずれかの組合せ又はジグリセリンであることが特に好ましい。また、式(1)で表される化合物は、単独、あるいは複数を混合して用いることも可能である。
[その他成分について]
上記インクジェット捺染用インク組成物は、上記(A)〜(D)以外に、その他成分として、水溶性有機溶剤、防腐剤、水溶性紫外線吸収剤、pH調整剤及び水等のインク調整剤を含有していても良い。
上記インクジェット捺染用インク組成物は、ノズルでの目詰まり防止等を目的として、水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤の具体例としては、多価アルコール類、ピロリドン類等を挙げることができる。多価アルコール類としては、例えばアルコール性水酸基を2〜3個有するC2〜C6多価アルコール及び、ジ又はトリC2〜C3アルキレングリコール若しくは繰り返し単位が4以上で、分子量20,000程度以下のポリC2〜C3アルキレングリコール、好ましくは液状のポリアルキレングリコール等が挙げられる。それらの具体例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。また、水に溶解して湿潤剤としての役割をする化合物等も、便宜上本発明では水溶性有機溶剤に含めるものとし、例えば尿素、エチレン尿素及び糖類等が挙げられる。保存安定性を考慮すると、着色剤が分散染料や油溶性染料である場合、それらの溶解度が小さい溶剤が好ましい。上記着色インク組成物の総質量中における、水溶性有機溶剤の総含有量は、5〜40%であり、10〜30%添加するのが好ましい。
上記インクジェット捺染用インク組成物は、防腐剤を含有していても良い。防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ又は安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルRTMGXL(S)やプロクセルRTMXL−2(S)等が挙げられる。
上記インクジェット捺染用インク組成物は、水溶性紫外線吸収剤を含有していても良い。水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物が挙げられる。
上記インクジェット捺染用インク組成物は、pH調整剤を含有していても良い。pH調整剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の3級アミン類等が挙げられる。
上記インクジェット捺染用インク組成物は、水を含有していても良い。インクの調製に用いる水は、イオン交換水、蒸留水等の不純物が少ないものが好ましい。また、調製したインクに対してメンブランフィルター等を用いた精密濾過を行うことができる。前記インクをインクジェットインクとして使用するときは、ノズルの目詰まり等を防止する目的で、精密濾過を行うことが好ましい。精密濾過に使用するフィルターの孔径は通常1μm〜0.1μm、好ましくは0.8μm〜0.1μmである。
上記インクジェット捺染用インク組成物の調製方法は特に制限されないが、例えば、着色剤の分散溶液又は溶液を調製した後に、水溶性有機溶剤等のインク調製剤を加える方法等が挙げられる。着色剤の水性分散液を調製する方法としては、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて、分散液を構成する各成分を撹拌混合する等の公知の方法が挙げられる。着色剤の分散液を調製するときに、発泡が生じることがある。このため、必要に応じてシリコーン系;アセチレンアルコール系;等の消泡剤を、分散液の調製時に添加してもよい。但し、消泡剤には染料等の分散・微粒子化を阻害するものもあるため、微粒子化や分散液の安定性等に影響を及ぼさないものを使用するのが好ましい。好ましい消泡剤としては、例えば、日信化学工業株式会社製のオルフィンシリーズ(SK−14等);エアープロダクツジャパン株式会社製のサーフィノールシリーズ(104、DF−110D等);等が挙げられる。
着色剤の水性分散液中に含有する着色剤の含有量としては、水性分散液の総質量に対して、いずれも質量基準(質量%)で通常10〜60%、好ましくは20〜50%、より好ましくは20〜40%である。また、同様に分散剤の含有量は通常1〜36%、好ましくは5〜30%、より好ましくは5〜20%、さらに好ましくは5〜15%である。
上記インクジェット捺染用インク組成物を調製する方法としては、例えば、上記の水性分散液、水溶性有機溶剤、及び必要に応じてインク調製剤等を加えて混合する方法等が挙げられる。これらを混合する順番は特に制限されない。これらインク調製剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で添加してもよい。
上記インクジェット捺染用インク組成物中に含有する水性分散液の含有量としては、水性インク組成物の総質量に対して、いずれも質量基準で通常2〜35%、好ましくは3〜30%、より好ましくは5〜30%である。また、同様に水性有機溶剤の含有量は通常10〜50%、好ましくは15〜50%、より好ましくは20〜50%、さらに好ましくは30〜50%である。また、同様にインク調製剤の含有量としては、水性インク組成物の総質量に対して、インク調整剤の合計で通常0〜25%、好ましくは0.01〜20%である。
上記インクジェット捺染用インク組成物は、高速での吐出応答性の点より25℃における粘度はE型粘度計にて測定したときに通常3〜20mPa・s程度であるのが好ましい。また表面張力は、プレート法にて測定したときに通常20〜45mN/mの範囲が好ましい。なお、実際には、使用するプリンタの吐出量、応答速度、インク液滴飛行特性などを考慮し適切な物性値に調整することが好ましい。
上記疎水性繊維の捺染方法は、2つの種類に大別される。1つ目の方法は、ダイレクトプリント又はダイレクト捺染等と呼称される方法であり、前記インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより疎水性繊維に付着させることにより、文字及び絵柄等の画像情報を疎水性繊維に形成する工程Aと、前記工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の着色剤を熱により繊維に固着させる工程Bと、繊維中に残存する未固着の着色剤を洗浄する工程Cと、の3工程を少なくとも含む、疎水性繊維の捺染方法である。工程Bは、一般的には公知のスチーミング又はベーキングによって行われる。スチーミングとしては、例えば高温スチーマーで通常170〜180℃、通常10分程度;また、高圧スチーマーで通常120〜130℃、通常20分程度;それぞれ疎水性繊維を処理する方法により、着色剤を繊維に染着する(湿熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。ベーキング(サーモゾル)としては、例えば通常190℃〜210℃、通常60秒〜120秒程度、疎水性繊維を処理する方法により、着色剤を繊維に染着する(乾熱固着とも呼称される)方法が挙げられる。工程Cは、得られた繊維を、温水、及び必要に応じて水により洗浄する工程である。洗浄に使用する温水や水は、界面活性剤を含んでもよい。洗浄後の繊維を、通常50〜120℃で、5〜30分乾燥することも好ましく行われる。
2つ目の方法は、昇華転写プリント、昇華転写捺染等と呼称される方法であり、上記インクジェット捺染用インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させることにより、文字及び絵柄等の記録画像を得た後、該中間記録媒体における、インク組成物の液滴の付着面に疎水性繊維を接触させ、熱処理することにより、中間記録媒体に記録された文字、絵柄等の記録画像を疎水性繊維に転写する、疎水性繊維の捺染方法である。中間記録媒体としては、中間記録媒体に付着したインク組成物中の着色剤が、その表面で凝集せず、且つ疎水性繊維へ記録画像の転写を行うときに、着色剤の昇華を妨害しないものが好ましい。そのような中間記録媒体の一例としては、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が表面に形成されている紙が挙げられ、インクジェット用の専用紙等を用いることができる。中間記録媒体から疎水性繊維へ、記録画像を転写するときの熱処理としては、通常190〜200℃程度での乾熱処理が挙げられる。
上記捺染方法は、にじみ等を防止する目的で、繊維の前処理工程をさらに含んでもよい。この前処理工程としては、1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を少なくとも含む水溶液を、インク組成物を付着させる前の繊維に付与する工程が挙げられる。前処理を施す工程としては、糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を含む前処理剤の水溶液を前処理液として用い、繊維を前処理液に含浸させて付与するのが好ましい。上記糊剤としては、グアー、ローカストビーン等の天然ガム類、澱粉類、アルギン酸ソーダ、ふのり等の海藻類、ペクチン酸等の植物皮類、メチル繊維素、エチル繊維素、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体、カルボキシメチル澱粉等の加工澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸エステル等の合成糊等があげられる。好ましくはアルギン酸ソーダがあげられる。
上記アルカリ性物質としては、例えば無機酸または有機酸のアルカリ金属塩;アルカリ土類金属の塩;並びに加熱した際にアルカリを遊離する化合物が挙げられ、無機又は有機の、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム化合物及びカリウム化合物等が挙げられる。具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素原子ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸二水素原子ナトリウム、リン酸水素原子二ナトリウム、リン酸ナトリウム等の無機化合物のアルカリ金属塩;蟻酸ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム等の有機化合物のアルカリ金属塩;等が挙げられる。好ましくは、炭酸水素原子ナトリウムが挙げられる。上記還元防止剤としては、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。上記ヒドロトロピー剤としては、尿素、ジメチル尿素等の尿素類等があり、好ましくは尿素が挙げられる。上記糊剤、アルカリ性物質、還元防止剤、及びヒドロトロピー剤は、いずれも単一の化合物を使用してもよいし、それぞれ複数の化合物を併用してもよい。前処理液の総質量中における各前処理剤の混合比率は、例えば、いずれも質量基準で、糊剤が0.5〜5%、炭酸水素原子ナトリウムが0.5〜5%、メタニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムが0〜5%、尿素が1〜20%、残部が水である。前処理剤のセルロース系繊維への付与は、たとえばパディング法が挙げられる。パディングの絞り率は40〜90%程度が好ましく、より好ましくは60〜80%程度である。
上記疎水性繊維の具体例としては、例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種類以上用いた混紡繊維等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維、木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡繊維も、本明細書においては疎水性繊維に含まれる。これらの疎水性繊維としては、インク受容層(滲み防止層)を有するものも知られており、そのような疎水性繊維も同様に含まれる。インク受容層の形成方法は公知技術であり、インク受容層を有する繊維も市販品として入手が可能である。インク受容層の材質や構造等は、特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
上記インクジェット捺染用インク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク、捺染等に好適であり、インクジェット捺染用インクとして用いることが特に好ましい。
本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、長期間保存後の固体析出、物性変化、色変化等もなく、保存安定性に優れる。また、インクジェットプリンタヘッドへの初期充填性が良好であり、連続印刷安定性も良好である。更に、印刷後の用紙上の画像の滲みが無く鮮明な画像を得ることが可能であり、印刷後の用紙上の臭気が無く、印刷物及び印刷作業環境への臭気に関する影響が少ない。これらに加え、本発明のインクジェット捺染用インク組成物で記録した画像は、耐オゾンガス性に優れ、印字濃度が高く、演色性が小さく、且つ彩度が低く、高品位な色相を有する。また、耐光性、耐湿性、耐水性等の各種堅牢性にも優れる。更にイエロー、オレンジ、マゼンタ、シアン、ブラック染料等をそれぞれ含有するインク組成物と併用することにより、各種堅牢性に優れ、保存性の優れたフルカラーのインクジェット捺染が可能である。このように、本発明のインクジェット捺染用インク組成物は、吐出安定性に極めて優れることから、特にインクジェット捺染用のインクとして好適である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
α−トコフェロール(別名ビタミンE、東京化成工業社製)30部、N−メチルー2−ピロリドン(70部)、を混合撹拌することにより、30%トコフェロール溶液を得た。
[エマルション液の調製]
48%水酸化リチウム(3.2部)、イオン交換水(56.8部)、プロピレングリコール(20部)へJoncryl 678(BASF社製)20部を投入し、90―120℃に昇温して5時間撹拌することにより、Joncryl 678のエマルション液を得た。
[実施例2]
(工程1−1)
C.I.Disperse Yellow 54(30部)、上記Joncryl 678のエマルション液(60部)、プロクセルGXL(0.2部)、サーフィノール104PG50(0 .4部)、イオン交換水(24部) からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水(60部)、Joncryl 678のエマルション液(30部)を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することにより分散液1を得た。
(工程1−2)
C.I.Disperse Orange 25(30部)、上記Joncryl 678のエマルション液(60部)、プロクセルGXL(0.2部)、サーフィノール104PG50(0 .4部)、イオン交換水(24部) からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水(60部)、Joncryl 678のエマルション液(30部)を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することにより分散液2を得た。
(工程1−3)
C.I.Disperse Blue 360(30部)、上記Joncryl 678のエマルション液(60部)、プロクセルGXL(0.2部)、サーフィノール104PG50(0 .4部)、イオン交換水(24部) からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水(60部)、Joncryl 678のエマルション液(30部)を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することにより分散液3を得た。
(工程1−4)
C.I.Disperse Red 60 30部、上記Joncryl 678のエマルション液(60部)、プロクセルGXL(0.2部)、サーフィノール104PG50(0 .4部)、イオン交換水(24部) からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下、約15時間分散化処理を行った。得られた液にイオン交換水(60部)、Joncryl 678のエマルション液(30部)を加えて染料含有量を15%に調整した後、ガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製、フィルターの孔径0.5μm)で濾過することにより分散液4を得た。
[実施例3]
実施例2で得た分散液1(5部)、分散液2(15部)、分散液3(15部)、ポリグリセリン750(坂本薬品工業社製)20部、プロピレングリコール8部、BYK−348(ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)0.2部、更にイオン交換水(35.13部)を加えて、実施例1で得たα−トコフェロールNMP溶液(1.67部)を加えることにより、水性ブラックインクを調製した。
[実施例4]
実施例3において、α−トコフェロールNMP溶液の添加量を3.34部に変更した以外は実施例3と同様にして、水性ブラックインクを調製した。
[実施例5]
実施例2で得た分散液1(5部)、分散液2(15部)、分散液3(15部)、ブラウノンGL-26(青木油脂工業株式会社製)20部、プロピレングリコール8部、BYK−348(ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)0.2部、更にイオン交換水(35.13部)を加えて、実施例1で得たα−トコフェロールNMP溶液(1.67部)を加えることにより、水性ブラックインクを調製した。
[比較例1]
実施例3において、α−トコフェロールNMP溶液の代わりに、α−トコフェロール(東京化成工業社製、1.0部)を用いる以外は実施例3と同様にして、水性ブラックインクを調製した。
[比較例2]
実施例3において、α−トコフェロールNMP溶液を含有しないこと以外は実施例3と同様にして、水性ブラックインクを調製した。
[比較例3]
(工程2−1)
C.I.Disperse Yellow 54 30部、分散剤として“リグニンスルホン酸ナトリウム”(日本製紙(株)製、バニレックスRN)45部、イオン交換水25部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下約15時間分散化処理を行い、分散処理後イオン交換水100部を追加して染料濃度15%の昇華性染料分散液を調整した。次いで、該分散液をガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製)で濾過し、粗粒子を除去し水性分散液5を得た。
(工程2−2)
C.I.Disperse Orange 25 30部、分散剤として“リグニンスルホン酸ナトリウム”(日本製紙(株)製、バニレックスRN)45部、イオン交換水25部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下約15時間分散化処理を行い、分散処理後イオン交換水100部を追加して染料濃度15%の昇華性染料分散液を調整した。次いで、該分散液をガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製)で濾過し、粗粒子を除去し水性分散液6を得た。
(工程2−3)
C.I.Disperse Blue 360 30部、分散剤として“リグニンスルホン酸ナトリウム”(日本製紙(株)製、バニレックスRN)45部、イオン交換水25部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下約15時間分散化処理を行い、分散処理後イオン交換水100部を追加して染料濃度15%の昇華性染料分散液を調整した。次いで、該分散液をガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製)で濾過し、粗粒子を除去し水性分散液7を得た。
(工程2−4)
C.I.Disperse Red 60 30部、分散剤として“リグニンスルホン酸ナトリウム”(日本製紙(株)製、バニレックスRN)45部、イオン交換水25部からなる混合物を、0.2mm径ガラスビーズを用いてサンドミルにて、冷却下約15時間分散化処理を行い、分散処理後イオン交換水100部を追加して染料濃度15%の昇華性染料分散液を調整した。次いで、該分散液をガラス繊維濾紙GC−50(東洋濾紙株式会社製)で濾過し、粗粒子を除去し水性分散液8を得た。
上記工程(2−1)〜(2−3)で得た分散液5(5部)、分散液6(15部)、分散液7(15部)、ポリグリセリン750(坂本薬品工業社製)20部、プロピレングリコール8部、BYK−348(ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)0.2部、更にイオン交換水を加えて、実施例1で得たα−トコフェロールNMP溶液(1.67部)及びイオン交換水(35.13部)を加えることにより、水性ブラックインクを調製した。
上記のようにして調製した各インクを用いて、以下の各評価試験を行った。結果を下記表1に示す。
[インクの溶存酸素量の測定]
株式会社FUSO製のデジタル溶存酸素計(POD−520)を用いて溶存酸素量を測定した。測定結果を下記表1に示す。なお、下記表1中の「溶存酸素量」は、インク中に溶存する空気に含まれる酸素の量を表し、単位はmg/Lである。
[保存安定性の評価]
100mlのポリプロピレン製容器(アズワン株式会社製、アイボーイ広口びん)に各実施例及び比較例で調製したインク100gを秤量し、キャップ蓋をして密閉することにより、試験用の各サンプルを調製した。得られた各サンプルを、60℃±1℃の恒温器に入れ、1週間保管した後、室温に戻るまで静置した。それぞれ下記の評価基準に従ってインクの保存安定性を評価した。
A:沈殿物の発生は見られない。
B:沈殿物が発生している。
[初期充填性の評価]
調製した各インクを、インクジェットプリンタ(EPSON株式会社製、商品名PX−504A)に充填した。初期充填を行いヘッドへの初期充填動作を行った。この後、ヘッドの全ノズルからインクが吐出できるかどうかを確認するため、ノズルチェックを実施した。インクが吐出できないノズルがある場合には、ヘッドのクリーニング(ノズル内のインクの吸引)を行い、その後再度ノズルチェックを実施した。全ノズルからインクが吐出できるまでに要したクリーニングの回数に基づき、以下の評価基準により初期充填性を評価した。本評価において、クリーニング回数が少ない程、インク吐出におけるインクジェットプリンタのクリーニング動作が少なくて済み、機械的負荷が低減することから、良好なインク組成物となる。
A:初期充填シーケンスのみで全ノズルから吐出した。
B:全ノズルからインクが吐出できるまでに要したクリーニング回数が1回であった。
C:全ノズルからインクが吐出できるまでに要したクリーニング回数が2回以上であった。
[連続印刷安定性の評価]
上記「初期充填性の評価」によって、ヘッドの全ノズルからインクが吐出できることを確認した後、PPC用紙(TP PAPER、NBSリコー)に100%Duty画像としてベタ印刷を行った。印刷時の吐出安定性をピン欠けが無く、どの程度まで連続して吐出することが可能であるかをそれぞれ評価し、以下3段階の基準で評価した。
A:連続して吐出可能な枚数が80枚以上。
B:連続して吐出可能な枚数が40枚以上60枚未満。
C:連続して吐出可能な枚数が20枚以下であり、ピン欠けが多い。
[滲みの評価]
上記「初期充填性の評価」によって、ヘッドの全ノズルからインクが吐出できることを確認した後、PPC用紙(TP PAPER、NBSリコー)に100%Duty画像としてベタ印刷を行った。印刷後の用紙上の画像の滲みをそれぞれ評価し、以下3段階の基準で評価した。
A:滲みが全くない。
B:印刷した画像の数か所に滲みが散見される。
C:印刷した画像が全体的に滲んでいることが確認できる。
[臭気評価]
上記「初期充填性の評価」によって、ヘッドの全ノズルからインクが吐出できることを確認した後、PPC用紙(TP PAPER、NBSリコー)に100%Duty画像としてベタ印刷を行った。印刷後の用紙上の臭気をそれぞれ評価し、以下3段階の基準で評価した。
A:臭気が全くない。
B:かすかな臭気を確認できる。
C:明らかに臭気を確認できる。
上記表1の結果から明らかなように、実施例3〜5のインク組成物は、保存安定性評価、初期充填性評価、連続印刷安定性評価、滲みの評価及び臭気評価の全ての評価項目で良好な結果を示した。特に、保存安定性においては、比較例1〜3全てより良好な結果を示した。初期充填性及び連続印刷安定性においては、比較例1及び2と比べて良好な結果を示した。また、Joncryl 678のエマルション液を分散剤として添加した実施例3のインク組成物は、リグニンスルホン酸ナトリウムを分散剤として添加した比較例3のインク組成物と比較して、保存安定性評価、滲みの評価及び臭気評価で優れた結果を示した。
これら結果は、実施例3〜5のインク組成物が、上記各性能(保存安定性・初期充填性、連続印刷安定性・低滲み性・低臭気性)を兼ね備えており、各種記録用インク、特にインクジェット捺染用インクとして極めて有用であることを示している。
本発明のインク組成物は、保存安定性が高く、各種捺染用インク、特にインクジェット捺染用インクとして要求される印刷適性を保つ事が出来るため、とりわけ昇華転写用インクジェット捺染用インクとして極めて有用である。

Claims (19)

  1. (A)クロマン構造を有する化合物、(B)着色剤、(C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体、(D)式(1)で表される化合物又はジグリセリンを含有するインクジェット捺染用インク組成物。
    (式(1)中、AO及びOAはいずれもアルキレンオキサイドを表す。Rは水素原子又は脂肪族炭化水素原子基を表す。mは0乃至30の整数を表す。o、pはそれぞれ0又は1の整数を表す。nは1乃至20の整数を表す。但し、m、o、pの総和は1以上である。)
  2. (A)クロマン構造を有する化合物が、トコフェロール類化合物である請求項1記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  3. (A)クロマン構造を有する化合物が、α−トコフェロール(別名ビタミンE)である請求項2記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  4. (B)着色剤が、昇華性染料である請求項1乃至3記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  5. (B)着色剤が、C.I.ディスパースイエロー、C.I.ディスパースオレンジ、C.I.ディスパースブルー及びC.I.ディスパースレッドからなる群から選択される染料である請求項4記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  6. (B)着色剤が、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ディスパースレッド60からなる群から選択される染料である請求項5記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  7. (C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が、1,000〜20,000である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  8. (C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が、2,000〜19,000である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  9. (C)スチレン−(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が、4,000〜17,000である請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  10. (D)式(1)で表される化合物における、アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドである請求項1乃至9のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  11. (D)式(1)で表される化合物における、nが1乃至12である請求項1乃至10のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  12. (D)式(1)で表される化合物における、Rが水素原子又はエチル基である請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  13. (D)式(1)で表される化合物における、m、o、pがそれぞれ0、nが1、Rがエチル基である組合せ、m、o、pがそれぞれ0、nが5乃至10、Rが水素原子である組合せ、mが3、o及びpがそれぞれ1、nが1でアルキレンオキサイドがエチレンオキサイド、Rが水素原子である組合せ、mが26、o及びpがそれぞれ1、nが1でアルキレンオキサイドがエチレンオキサイド、Rが水素原子である組合せ、m、o、pがそれぞれ1、nが2でアルキレンオキサイドがプロピレンオキサイド、Rが水素原子の組合せ、のいずれか1種類を含む請求項1乃至13のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  14. 更に、水溶性有機溶剤を含有する請求項1乃至13のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  15. 更に、水を含有する請求項1乃至14のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物。
  16. 請求項1乃至15のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより疎水性繊維に付着させる工程Aと、工程Aにより付着させたインク組成物の液滴中の着色剤を熱により繊維に固着させる工程Bと、繊維中に残存する未固着の着色剤を洗浄する工程Cと、を含む疎水性繊維の捺染方法。
  17. 請求項1乃至16のいずれか一項に記載のインクジェット捺染用インク組成物の液滴を、インクジェットプリンタにより中間記録媒体に付着させて記録画像を得た後、該中間記録媒体における、インク組成物の液滴の付着面に疎水性繊維を接触させ、熱処理することにより該記録画像を疎水性繊維に転写する、疎水性繊維の捺染方法。
  18. 1種類以上の糊材、アルカリ性物質、還元防止剤及びヒドロトロピー剤を含む水溶液を、インク組成物を付着させる前の繊維に付与する、繊維の前処理工程をさらに含む請求項16又は17に記載の疎水性繊維の捺染方法。
  19. 請求項16乃至18のいずれか一項に記載の疎水性繊維の捺染方法により得られる、染色された疎水性繊維。
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