JP2018149948A - 車両制御装置および車両制御方法 - Google Patents

車両制御装置および車両制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】横断勾配の路面を走行中に障害物を避けようと緊急回避の操舵をした場合、旋回方向に応じて制御輪を最適に配分して車両姿勢を安定化させることができる車両制御装置を提供する。
【解決手段】横断勾配路を走行中にレーダー等の障害物検知手段15で障害物を検知し、そのときにドライバが緊急操舵を行ったこと、およびその操舵方向が横断勾配の上り勾配であるか下り勾配であるかの旋回方向を判定する緊急回避判定手段11を設ける。横断方向が上り勾配であるか下り勾配であるかにより、4輪のうちのどの車輪を安定化制御に用いるかを選択する車両姿勢安定化制御手段12を設ける。
【選択図】図2

Description

この発明は、横断勾配を持つ路面いわゆるカント路において、障害物を回避しようとした際に、旋回方向に応じて最適な制御輪を選択することによって車両姿勢を安定化させる車両制御装置および車両制御方法に関する。
横断勾配を走行している時、旋回方向に応じて車両は上り勾配もしくは下り勾配の状態となる。レーダーや車両挙動制御装置を搭載した車両が横断勾配を走行中に障害物を回避する際、回避方向によって、横断勾配に対する上り方向または下り方向に旋回することになる。上り方向は車両挙動制御装置の効果が小さくなり、下り方向は車両挙動制御装置の効果が過剰になってしまう。
特許文献1では、これを抑制する為に、回避方向が横断勾配の上り方向であれば車両挙動制御装置の制御値を大きくし、回避方向が横断勾配の下り方向なら車両挙動制御装置の制御値を小さくすることを提案している。
特開2011−982号
特許文献1の制御方法は、特に回避方向が横断勾配の下り方向で車両挙動制御装置の制御値を小さくすると、下り方向に回避した場合に発生しやすいスピンを抑制できない可能性がある。
また、特許文献1の制御方法は、旋回時の各輪の荷重移動を考慮していない為、例えば、横断勾配の勾配が大きい路面において、横断勾配の上り方向に回避した場合、前輪の接地荷重が小さくなりプローし易くなるので、前輪を制御輪とすることは不適切である。また、横断勾配の下り方向に回避した場合、後輪の接地荷重が小さくなりスピンし易くなるので、後輪を制御輪とすることは不適切である。
この発明の目的は、上記課題を解消し、横断勾配の有る路面を走行中に障害物を避けようと緊急回避の操舵をした場合、旋回方向に応じて制御輪を最適に配分して車両姿勢を安定化させることができる車両制御装置および車両制御方法を提供することである。
この発明の車両制御装置は、前後左右の4輪の制駆動力を独立して制御できる機構5を備えた車両1を制御する車両制御装置9であって、
前記車両1は、車両1の進路上の障害物を検知する障害物検知手段15、および車両1の状況を検知するセンサ類を備えており、
前記車両制御装置9は、緊急回避判定手段11と車両姿勢安定化制御手段12とを備え、
前記緊急回避判定手段11は、
前記センサ類の出力から路面が車両進行方向を横断する方向の勾配である横断勾配を判定する横断勾配判定手段25と、
前記センサ類の出力を用いて緊急操舵であるか否かを判定する緊急操舵判定手段26と、
操舵方向が横断勾配に対して上り方向であるか下り方向であるかを判定する旋回方向判定手段27とを有し、
前記車両姿勢安定化制御手段12は、
前記センサ類の出力を用いて定まる目標車両応答と、実車両応答との偏差である車両応答偏差を計算する車両応答偏差計算手段29と、
前記横断勾配判定手段25が横断勾配であると判定し、前記緊急操舵判定手段26が緊急操舵であると判定した場合に、前記旋回方向判定手段27の判定結果に基づいて制御輪を選択する制御輪決定手段30と、
前記制御輪に対して配分する制駆動力を、前記車両応答偏差に応じて計算する制駆動力配分手段31とを有する。
この構成によると、車両姿勢安定化制御手段12は、目標車両応答と実車両応答との偏差である車両応答偏差を計算し、横断勾配判定手段25が横断勾配であると判定し、かつ緊急操舵判定手段26が緊急操舵であると判定した場合に、前記旋回方向判定手段27の判定結果に基づいて制御輪を選択し、制御輪に対して配分する制駆動力を、前記車両応答偏差に応じて計算する。前記目標車両応答は、センサ類の出力、例えば車速とハンドル角とを用いて、適宜に定められた規則に従って定められる。実車両応答は、例えばヨーレートと横加速度から定まる。上記のように出力された各車輪の制駆動力を、アクセル指令とブレーキ指令値とから定まるトルクに加えることで、車両姿勢の安定が得られる。
具体例で説明すると、走行時にレーダー等の障害物検知手段15が車両前方にある障害物を検知した際、ドライバは左右どちらかに急操舵する。横断勾配の路面を走行中に障害物を避けようと緊急回避の操舵をした場合に、前記旋回方向判定手段27の判定結果に基づいて制御輪を選択し、制御輪に対して配分する制駆動力を、前記車両応答偏差に応じて計算する。
この発明において、前記制御輪決定手段30は、前記旋回方向判定手段27が前記旋回方向が上り方向であると判断した場合に、旋回内側の前輪を前記制御輪として選択せず、前記旋回方向判定手段27が前記旋回方向が下り方向であると判断した場合、旋回内側の後輪を前記制御輪として選択しないようにしてもよい。
横断勾配に対して旋回方向が上り方向では、旋回内側の前輪の接地荷重が最も最も小さくなり、下り勾配では旋回内側の後輪の接地荷重が最も小さくなる。このように、姿勢安定化のために加える制駆動力について、接地荷重が最も小さくなる車輪は制御輪として選択しないようにすることで、制駆動力の制御による実効が確実化される。
この構成の場合に、前記制駆動力配分手段31は、前記制御決定手段が前記制御輪として選択しなかった車輪の制駆動力が、前記制御輪の制駆動力よりも小さくなるように制駆動力を配分するようにしてもよい。
このように、姿勢安定化のために加える制駆動力について、接地荷重が最も小さくなる車輪の制駆動力を最も小さくすることで、回避能力の向上と車両姿勢の安定性を向上させることができる。
この発明において、前記制駆動力配分手段31は、前記旋回方向判定手段27が前記旋回方向が上り方向であると判定した場合に、前記制御輪のうち旋回外側の後輪の駆動力が最も大きくなるように前記制駆動力を分配し、前記旋回方向判定手段27が前記旋回方向が下り方向であると判断した場合に、前記制御輪のうち旋回外側の前輪の制動力が最も大きくなるように前記制駆動力を分配するようにしてもよい。
このように制御することで、より早期に車両姿勢を早期に安定化させることができる。
この発明において、前記制御輪決定手段30は、前記センサ類の信号から各輪の接地荷重を計算し、前記接地荷重に応じて前記制御輪を選択するようにしてもよい。
各制御輪の接地荷重に応じて制駆動力を分配する場合、横断勾配での緊急操舵時の適切な姿勢制御が行えて、回避能力の向上と車両姿勢の安定性を向上させることができる。
なお、「接地荷重」は、具体的には、前記旋回方向の判定結果の他に、車両1の前後加速度と横加速度を用いて計算される。
この発明において、前記緊急回避判定手段11が下り方向であると判断した場合、前記車両姿勢安定化制御手段12は、前記車両1が発生する4輪の制駆動力の和をゼロよりも小さくするようにしてもよい。
これにより、車速の増加を抑えて、横断勾配の路面での急操舵時の姿勢安定化が行える。
この発明の車両制御方法は、この発明の上記いずれかの構成の車両制御装置を用いた制御方法であって、
前記センサ類の出力から路面が車両進行方向を横断する方向の勾配である横断勾配を判定する横断勾配判定ステップと、
前記センサ類の出力を用いて緊急操舵であるか否かを判定する緊急操舵判定ステップと、
操舵方向が横断勾配に対して上り方向であるか下り方向であるかを判定する旋回方向判定ステップと、
前記センサ類の出力を用いて定まる目標車両応答と、実車両応答との偏差である車両応答偏差を計算する車両応答偏差計算ステップと、
前記横断勾配判定ステップにおいて横断勾配であると判定され、前記緊急操舵判定ステップにおいて緊急操舵であると判定された場合に、前記旋回方向判定ステップの判定結果に基づいて制御輪を選択する制御輪決定ステップと、
前記制御輪に対して配分する制駆動力を、前記車両応答偏差に応じて計算する制駆動力配分ステップとを含む。
この車両制御方法によると、この発明の車両制御装置につき前述したと同様に、横断勾配の有る路面を走行中に障害物を避けようと緊急回避の操舵をした場合、旋回方向に応じて制御輪を最適に配分して車両姿勢を安定化させることができる。
この発明の車両制御装置は、前後左右の4輪の制駆動力を独立して制御できる機構を備えた車両を制御する車両制御装置であって、前記車両は、車両の進路上の障害物を検知する障害物検知手段、および車両の状況を検知するセンサ類を備えており、前記車両制御装置は、緊急回避判定手段と車両姿勢安定化制御手段とを備え、前記緊急回避判定手段は、前記センサ類の出力から路面が車両進行方向を横断する方向の勾配である横断勾配を判定する横断勾配判定手段と、前記センサ類の出力を用いて緊急操舵であるか否かを判定する緊急操舵判定手段と、操舵方向が横断勾配に対して上り方向であるか下り方向であるかを判定する旋回方向判定手段とを有し、前記車両姿勢安定化制御手段は、前記センサ類の出力を用いて定まる目標車両応答と、実車両応答との偏差である車両応答偏差を計算する車両応答偏差計算手段と、前記横断勾配判定手段が横断勾配であると判定し、前記緊急操舵判定手段が緊急操舵であると判定した場合に、前記旋回方向判定手段の判定結果に基づいて制御輪を選択する制御輪決定手段と、前記制御輪に対して配分する制駆動力を、前記車両応答偏差に応じて計算する制駆動力配分手段とを有するため、横断勾配の路面を走行中に障害物を避けようと緊急回避の操舵をした場合、旋回方向に応じて制御輪を最適に配分して車両姿勢を安定化させることができる。
この発明の車両制御方法によると、この発明の車両制御装置につき説明したと同様に、横断勾配の路面を走行中に障害物を避けようと緊急回避の操舵をした場合、旋回方向に応じて制御輪を最適に配分して車両姿勢を安定化させることができる。
この発明の一実施形態に係る車両制御装置を搭載した車両の概念構成を示す説明図である。 同車両制御装置の概念構成のブロック図である。 同車両制御装置の横断勾配路面での緊急操舵に対する制御の流れ図である。 車両の横断勾配路面での走行軌跡および姿勢の説明図である。 同車両制御装置の制御による車両の横断勾配路面での接地荷重と制駆動力の関係の説明図である。 同車両に搭載するインホイールモータ駆動装置の一例の断面図である。
この発明の一実施形態に係る車両制御装置を図1ないし図6と共に説明する。図1に、この車両制御装置を搭載した車両1の概略構成を示す。車両1は、左右の後輪となる車輪2(図1の右側)および左右の前輪となる車輪2(図1の左側)の4輪全てに、制駆動力を独立して制御できる機構としてインホイールモータ駆動装置5を備えている。なお、この明細書において、インホイールモータ駆動装置を「IWM」と称する場合がある。
図6に示すように、インホイールモータ駆動装置5は、制駆動源となる電動モータ4、減速機6、および車輪用軸受7を有し、一部または全体が車輪2内に配置される。電動モータ4の回転は、減速機6および車輪用軸受7を介して車輪2に伝達される。インホイールモータ駆動装置5は、電動モータ4の回転方向の切換えにより、駆動トルクまたは制動トルクを発生する。車輪用軸受7のハブ輪7aのフランジ部には摩擦ブレーキ装置8を構成するブレーキロータ8aが固定され、同ブレーキロータ8aは車輪2と一体に回転する。電動モータ4は、例えば、ロータ4aのコア部に永久磁石が内蔵された埋込磁石型同期モータである。この電動モータ4は、ハウジング4cに固定したステータ4bと、回転出力軸9に取り付けたロータ4aとの間にラジアルギャップを設けたモータである。
図1において、制御系を説明する。
車両制御装置9は、各センサ類から検出値が入力されるメインのECU10、緊急回避判定手段11、車両姿勢安定化制御手段12、およびインバータトルク指令手段13の大きく分けて4つの手段10〜13から構成される。前記インバータトルク指令手段13は、各インホイールモータ駆動装置5の電動モータ4を制御するインバータ装置14に接続されている。
車両制御装置9は、マイクロコンピュータ等のコンピュータとこれに実行されるプログラム、並びに各種の電子回路等からなり、前記ECU10、緊急回避判定手段11、車両姿勢安定化制御手段12、およびインバータトルク指令手段13を構成する。前記ECU10および各手段11〜13は、特定の機能を持つ装置であるが、同じコンピュータ上に構成されていても、それぞれ別のコンピュータで構成されていてもよい。車両制御装置9と各インバータ装置14とは、CAN(コントロール・エリア・ネットワーク)等の車内通信網で接続されている。インバータ装置14は、バッテリの直流電流を交流に変換するインバータ(図示せず)および、前記インバータトルク指令手段13から与えられるトルク指令に従って前記インバータの出力を閉ループ制御等で制御するモータコントロール回路(図示せず)とで構成される。
前記メインのECU10は、その基本的な機能として、車両全般の協調制御を行う機能と、制駆動指令分配機能とを有する。この制駆動指令分配機能は、アクセルペダル等のアルセル操作手段(図示せず)のアクセルペダルセンサ16、およびブレーキ操作手段(図示せず)のブレーキペダルセンサ17からそれぞれ得られるアクセル指令値(トルク)およびブレーキ指令値(トルク)を前記各インバータトルク指令手段13へ分配する機能である。ECU10は、この他に各種のセンサ類から入力される検出信号を前記各手段11〜13に転送する機能を有する。
ECU10には前記センサ類の信号として、レーダー等の障害物検知手段15から障害物判定信号、アクセルペダルセンサ16からアクセル指令値、ブレーキペダルセンサ17からブレーキ指令値、車速センサ18から車速、舵角センサ19からハンドル角、ストロークセンサ20からサスペンションのストローク量、ロールセンサ−21からロール角、ヨーレートセンサ22からヨーレート、ならびに加速度センサ23から前後加速度および横加速度が入力される。障害物検知手段15は、車両の進路上の障害物を検知する手段であり前記レーダーの他に、カメラで撮影した画像を認識することにより障害物を認識する手段等で構成されていてもよい。
図2に示すように、緊急回避判定手段11には、ECU10から障害物判定信号、サスペンションのストローク量、ロール角、横加速度、ハンドル角が入力される。緊急回避判定手段11は、障害物判定信号および前記各センサ類の信号から緊急回避をすべきか否かを判定し、緊急操舵の旋回方向が横断勾配における上り方向であるか下り方向であるかの判定結果を出力する手段であり、横断勾配判定手段25、緊急操舵判定手段26、および旋回方向判定手段27が備わっている。
横断勾配判定手段25は、図3に示したフローチャートにおけるステップS1で、サスペンションストローク量、ロール角、ハンドル角、および横加速度から横断勾配を走行しているかどうかを判定する。具体的には、ハンドル角がゼロ度付近において、サスペンションストローク量とロール角から車体の傾き角を検知し、かつ、横加速度から勾配角を検知し、この傾き角θb が閾値θb _t を超えてかつ勾配角θl が閾値θl _t を超えた時に横断勾配を走行していると判断する。閾値θb _t ,閾値θl _t は適宜の値に設定する。
車両前部に搭載されたレーダー等の障害物検知手段15は、横断勾配判定手段25が横断勾配を走行していると判定した場合に、障害物が検出された否かを判定する(図3のステップS2)。緊急操舵判定手段26は、障害物検知手段15が障害物がありと判定した場合に、ドライバが急操舵による回避行動を取った(緊急操舵を行った)か否かを判定する(図3のステップS3)。緊急操舵判定手段26は、ハンドル角の変化量から、または変化量と変化速度とを適宜に定められた閾値と比較することで急操舵であるか否を判定する。
旋回方向判定手段27は、緊急操舵判定手段26が緊急操舵をしたと判定した場合に、旋回方向が路面の横断勾配に対して上り方向であるか下り方向であるかを判定する(図3のステップS4)。緊急回避判定手段11は、旋回方向判定手段27が判定した旋回方向を車両姿勢安定化制御手段12に出力する。
車両姿勢安定化制御手段12は、4輪の制駆動力を制御することで車両姿勢を安定化させる手段である。車両姿勢安定化制御手段12は、緊急回避判定手段11から、前記緊急操舵であり、路面の横断勾配に対して上り方向であるか下り方向であるかの判定結果が入力された場合に、プローを抑制する制御を行うのか(プロー抑制指示(図3のステップS5))、あるいはスピンを抑制する制御を行うのか(スピン抑制指示(図3のステップS6))が定められており、そのプロー抑制指示、スピン抑制指示となるように制駆動力を計算する。
例えば、横断勾配路で障害物を避けようとした時に、目標車両軌跡に対して平坦路と同じ制駆動力を与えた場合と、接地荷重に応じて制駆動力を与えた時の走行軌跡を図4に示す。平坦路と同じ制駆動力を与えると、上り方向ではアンダーステアを誘発して障害物に近付き過ぎてしまい、下り方向ではオーバーステアを誘発して旋回し過ぎてしまう。これに対し、接地荷重に応じて制駆動力を与えれば、上りも下りも目標車両軌跡に近付ける事ができる。
車両姿勢安定化制御手段12には、緊急回避判定手段11から旋回方向判定結果、ならびにECU10から車速、ハンドル角、ヨーレート、前後加速度、および横加速度が入力される。車両姿勢安定化制御手段12は、目標車両応答計算手段28、車両応答偏差計算手段29、制御輪決定手段30、および制駆動力配分手段31を備えている。
目標車両応答計算手段28は、車速、およびハンドル角が入力され、これらの値から、適宜に定められた規則に従って、車両の目標応答である目標車両応答を計算する。
車両応答偏差計算手段29は、目標車両応答、ヨーレート、および横加速度が入力され、目標車両応答とセンサが計測した実測値との偏差である車両応答偏差を計算する。
なお、前記の「目標車両応答」とは、目標ヨーレートおよび目標横加速度である。
制御輪決定手段30は、前後加速度、横加速度、および旋回方向判定が入力され、図5に示すように前後加速度と横加速度から各輪の接地荷重を算出し、旋回方向判定結果と接地荷重に応じて制御輪を決定する。なお。図5において、円の大きさによって、各輪の相対的な接地荷重の大きさを示している。
具体的には、制御輪決定手段30は、緊急回避判定手段11が緊急操舵であり横断勾配が上り勾配であると判断した場合には、旋回内側の前輪を制御輪として用ない。また、制御輪決定手段30は、緊急回避判定手段11が、緊急操舵であり横断勾配が下り勾配であると判断した場合には、旋回内側の後輪を制御輪として用いない。
なお、緊急回避判定手段11が車両が上り勾配を走行していると判断した場合には、車両姿勢安定化のために加える4輪の制駆動力の合力がゼロでも車速が低下するため安全である。
制駆動力配分手段31は、制動輪決定手段30から制御輪判定結果が、車両応答偏差計算手段29から車両応答偏差が入力される。制駆動力配分手段31は、制動輪決定手段30による制御輪判定によって決定した制御輪に対して、車両応答偏差に応じて制駆動力の大きさを決定し、インバータトルク指令手段13に車両を安定化するための制駆動トルクである車両安定化制駆動トルクを指令する。また、制駆動力配分手段31は、緊急回避判定手段11が車両が下り勾配を走行していると判断した場合には、旋回外側の前輪の制動力を大きくなるように制駆動力の大きさを決定して車速が著しく増加しないようにする。
この時、図5の実施例では、制駆動力配分手段31は、ヨーモーメントを優先して発生させている為、上り勾配に回避すると車速を増加させ、下り勾配に回避すると車速を減少させるように制駆動力を発生させている。ただし、上り勾配に関して、緊急回避時に車速を増加させてしまうと危険であると判断すれば、制駆動力配分手段31は、旋回外輪の駆動力を小さくするか、もしくは旋回内輪の制動力を小さくしてもよい。
また、制駆動力配分手段31は、制御輪決定手段30が制御輪として選択しなかった車輪の制駆動力が、制御輪決定手段30が制御輪として選択した車輪の制駆動力よりも小さくなるように制駆動力を分配してもよい。
すなわち、旋回方向判定手段27が、車両が横断勾配の下り方向に対して旋回していると判定した場合には、制駆動力配分手段31は、旋回内側の前輪の制駆動力が、他の車輪の制駆動力よりも小さくなるように制駆動力を分配してもよい。さらに、旋回方向判定手段27が、車両が横断勾配の上り方向に対して旋回していると判定した場合には、制駆動力配分手段は、旋回内側の後輪の制駆動力が、他の車輪の制駆動力よりも小さくなるように制駆動力を分配してもよい。
インバータトルク指令手段13は、ECU10から入力されるアクセル指令値とブレーキ指令値とから定まる基本のトルク指令値に、車両姿勢安定化制御手段12の制駆動力配分手段31から入力される車両安定化の制駆動力である制駆動トルクを加算し、最終トルク指令値としてインバータ装置14に出力する。
上記実施形態によると、上記のように、横断勾配の勾配や車両の回避方向等に応じて制御輪を最適に選択することで、回避能力の向上と車両姿勢の安定性を向上させる。
すなわち、まず、緊急回避判定手段11は、レーダー等の障害物判定手段15が車両前方にある障害物を検知した後、ドライバが左右どちらかに急操舵した時に緊急操舵であると判断する。この場合に、車両姿勢安定化制御手段12は、ドライバが勾配に対して上り方向に回避した場合、旋回内側の前輪の接地荷重が最も小さくなる為、制御輪として選択しない。ドライバが勾配に対して下り方向に回避した場合、旋回内側の後輪の接地荷重が最も小さくなる為、制御輪として選択しない。これにより、車両姿勢を早期に安定化させる。
このように、横断勾配のある路面、いわゆるカント路において、障害物を避けようと緊急回避した場合、旋回方向に応じて制御輪を最適に配分する事で車両姿勢を安定化させることができる。
前記制御輪決定手段30は、前記旋回方向判定手段27が上り勾配であると判断した場合、前記制駆動力が与えられる4輪のうち旋回外側の後輪の駆動力を最も大きく発生させ、前記旋回方向判定手段27が下り勾配であると判断した場合、制駆動力が与えられる4輪のうち旋回外側の前輪の制動力を最も大きく発生させる決定を行うようにしてもよい。このように制御することで、より早期に車両姿勢を早期に安定化させることができる。
前記制御輪決定手段30は、前記車両1に搭載された加速度センサ23の信号から各輪の接地荷重を計算し、前記旋回方向判定手段27が上り勾配であると判断した場合、制駆動力を与える4輪のうち、前記接地荷重の最も小さい旋回内側の前輪の制動力を前記接地荷重に応じて小さくし、制駆動力を与える4輪のうち前記接地荷重の最も大きい旋回外側の後輪の駆動力を前記接地荷重に応じて最も大きく発生させる決定を行うようにしてもよい。
この構成の場合、横断勾配に対する旋回方向の判定を既存の加速度センサ23だけで行って、制駆動力を適切に増減させることができる。
前記制御輪決定手段30は、前記車両に搭載された加速度センサの信号から各輪の接地荷重を計算し、前記旋回方向判定手段27が下り勾配であると判断した場合、制駆動力を与える4輪のうち前記接地荷重の最も小さい旋回内側の後輪の駆動力を前記接地荷重に応じて小さくし、制駆動力を与える4輪のうち前記接地荷重の最も大きい旋回外側の前輪の制動力を前記接地荷重に応じて最も大きく発生させる決定を行うようにしてもよい。
この構成の場合も、横断勾配に対する旋回方向の判定を既存の加速度センサ23だけで行って、制駆動力を適切に増減させることができる。
上述した実施例においては、横断勾配判定手段25が横断勾配の有無を判定し、次に緊急操舵判定手段26が緊急操舵であるか否かを判定し、その後旋回方向判定手段27が旋回方向を判定する例を示した。しかしながら、横断勾配の有無の判定、緊急操舵であるか否かの判定、および旋回方向の判定の順番はこれに限られるものではない。すなわち、制御輪決定手段30は、横断勾配判定手段25が横断勾配が在ると判定し、緊急操舵26が緊急操舵であると判定した場合に、旋回方向判定手段27が判定した旋回方向に基づいて、制御輪を決定すればよい。
なお、この発明は、4輪に独立して制駆動力を発生できる機構としてインホイールモータ駆動装置4を用いたが、車台上の駆動源で車輪を駆動する機構であってもよい。また、この発明は、4輪に独立して制駆動力を発生できる機構を持つ場合に適用されるが、前後でトー角を調整できる機構が備わっていれば、この発明と同様な制御を行って車両姿勢を安定化させることができる。
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1…車両
2…車輪
5…インホイールモータ駆動装置(独立して制御できる機構)
9…車両制御装置
10…ECU
11…緊急回避判定手段
12…車両姿勢安定化制御手段
13…インバータトルク指令手段
14…インバータ装置
15…障害物検知手段
16…アクセルペダルセンサ
17…ブレーキペダルセンサ
18…車速センサ
19…舵角センサ
20…ストロークセンサ
21…ロールセンサ−
22…ヨーレートセンサ
23…加速度センサ
25…横断勾配判定手段
26…緊急操舵判定手段
27…旋回方向判定手段
28…目標車両応答計算手段
29…車両応答偏差計算手段
30…制御輪決定手段
31…制駆動力配分手段

Claims (7)

  1. 前後左右の4輪の制駆動力を独立して制御できる機構を備えた車両を制御する車両制御装置であって、
    前記車両は、車両の進路上の障害物を検知する障害物検知手段、および車両の状況を検知するセンサ類を備えており、
    前記車両制御装置は、緊急回避判定手段と車両姿勢安定化制御手段とを備え、
    前記緊急回避判定手段は、
    前記センサ類の出力から路面が車両進行方向を横断する方向の勾配である横断勾配を判定する横断勾配判定手段と、
    前記センサ類の出力を用いて緊急操舵であるか否かを判定する緊急操舵判定手段と、
    操舵方向が横断勾配に対して上り方向であるか下り方向であるかを判定する旋回方向判定手段とを有し、
    前記車両姿勢安定化制御手段は、
    前記センサ類の出力を用いて定まる目標車両応答と、実車両応答との偏差である車両応答偏差を計算する車両応答偏差計算手段と、
    前記横断勾配判定手段が横断勾配であると判定し、前記緊急操舵判定手段が緊急操舵であると判定した場合に、前記旋回方向判定手段の判定結果に基づいて制御輪を選択する制御輪決定手段と、
    前記制御輪に対して配分する制駆動力を、前記車両応答偏差に応じて計算する制駆動力配分手段とを有する、
    車両制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両制御装置において、前記制御輪決定手段は、前記旋回方向判定手段が前記旋回方向が上り方向であると判断した場合に、旋回内側の前輪を前記制御輪として選択せず、前記旋回方向判定手段が前記旋回方向が下り方向であると判断した場合、旋回内側の後輪を前記制御輪として選択しない車両制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両制御装置において、前記制駆動力配分手段は、前記制御決定手段が前記制御輪として選択しなかった車輪の制駆動力が、前記制御輪の制駆動力よりも小さくなるように制駆動力を配分する車両制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両制御装置において、前記制駆動力配分手段は、前記旋回方向判定手段が前記旋回方向が上り方向であると判定した場合に、前記制御輪のうち旋回外側の後輪の駆動力が最も大きくなるように前記制駆動力を分配し、前記旋回方向判定手段が前記旋回方向が下り方向であると判断した場合に、前記制御輪のうち旋回外側の前輪の制動力が最も大きくなるように前記制駆動力を分配する車両制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両制御装置において、前記制御輪決定手段は、前記センサ類の信号から各輪の接地荷重を計算し、前記接地荷重に応じて前記制御輪を選択する車両制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両制御装置において、前記緊急回避判定手段が下り方向であると判断した場合、前記車両姿勢安定化制御手段は、前記車両が発生する4輪の制駆動力の和をゼロよりも小さくする車両制御装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両制御装置を用いた車両制御方法であって、
    前記センサ類の出力から路面が車両進行方向を横断する方向の勾配である横断勾配を判定する横断勾配判定ステップと、
    前記センサ類の出力を用いて緊急操舵であるか否かを判定する緊急操舵判定ステップと、
    操舵方向が横断勾配に対して上り方向であるか下り方向であるかを判定する旋回方向判定ステップと、
    前記センサ類の出力を用いて定まる目標車両応答と、実車両応答との偏差である車両応答偏差を計算する車両応答偏差計算ステップと、
    前記横断勾配判定ステップにおいて横断勾配であると判定され、前記緊急操舵判定ステップにおいて緊急操舵であると判定された場合に、前記旋回方向判定ステップの判定結果に基づいて制御輪を選択する制御輪決定ステップと、
    前記制御輪に対して配分する制駆動力を、前記車両応答偏差に応じて計算する制駆動力配分ステップとを含む、車両制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114701483A (zh) * 2022-03-23 2022-07-05 蔡渤 四轮转向控制方法、装置及存储介质

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