以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るMRI装置の全体構成を示す概略図である。
図1は、本実施形態に係るMRI装置1を示す。MRI装置1は、磁石架台100、制御キャビネット300、寝台装置400、及びコンソール500を備える。磁石架台100、制御キャビネット300、及び寝台装置400は、一般的には、防音設計された検査室に備えられる。検査室は、撮影室とも呼ばれる。コンソール500は、制御室に備えられる。制御室は、操作室とも呼ばれる。
磁石架台100は、静磁場磁石10、シムコイルユニット11、傾斜磁場コイルユニット12、及びWB(Whole Body)コイル13を有する。これらの部材は円筒状の筐体に収納されている。
制御キャビネット300は、傾斜磁場用電源31(X軸用31x、Y軸用31y、Z軸用31z)、RF送信器32、RF受信器33、及びシーケンスコントローラ34を備える。
磁石架台100の静磁場磁石10は、磁石が円筒形状の磁石構造であるトンネルタイプと、撮像空間を挟んで上下に一対の磁石が配置された開放型(オープン型)とに大別される。ここでは、静磁場磁石10がトンネル型である場合について説明するが、その場合に限定されるものではない。
静磁場磁石10は、概略円筒形状をなしており、被検体、例えば患者が搬送されるボア内に静磁場を発生させる。ボアとは、磁石架台100の円筒内部の空間のことである。静磁場磁石10は、液体ヘリウムを保持するための筐体と、液体ヘリウムを極低温に冷却するための冷凍機と、筐体内部の超電導コイルとによって構成される。なお、静磁場磁石10は、常伝導磁石又は永久磁石によって構成されてもよい。以下、静磁場磁石10が、超伝導コイルを有する場合について説明する。
静磁場磁石10は、超電導コイルを内蔵し、液体ヘリウムによって超電導コイルが極低温に冷却されている。静磁場磁石10は、励磁モードにおいて静磁場用電源から供給される電流を超電導コイルに印加することで静磁場を生成する。その後、永久電流モードに移行すると、静磁場用電源は切り離される。一旦永久電流モードに移行すると、静磁場磁石10は、長時間、例えば1年以上に亘って、大きな静磁場を生成し続ける。
シムコイルユニット11は、静磁場磁石10と同様に概略円筒形状を成し、静磁場磁石10の内側に設置されている。シムコイルユニット11は、静磁場の不均一成分を補正対象とする。シムコイルユニット11は、補正対象とする静磁場の不均一成分がそれぞれ異なる複数のシムコイル(例えば、図2の下段に示す5チャンネル)を含む。
傾斜磁場コイルユニット12は、静磁場磁石10と同様に概略円筒形状をなし、例えばシムコイルユニット11の内側に設置されている。傾斜磁場コイルユニット12は、傾斜磁場用電源31から供給される電力により傾斜磁場を患者に印加する。なお、傾斜磁場コイルユニット12は、例えば静磁場の1次の不均一成分を補正するように構成してもよい。
ここで、傾斜磁場の生成に伴って発生する渦電流がイメージングの妨げとなることから、傾斜磁場コイルユニット12として、渦電流の低減を目的としたASGC(Actively Shielded Gradient Coil)が用いられる。傾斜磁場コイルユニット12は、X軸、Y軸、及びZ軸方向の各傾斜磁場をそれぞれ生成するためのメインコイル12a(図2の下段に図示)と、複数の金属シムを収納可能なシムトレイユニット12b(図2の下段に図示)と、漏れ磁場を抑制するためのシールドコイル12c(図2の下段に図示)とを設けた傾斜磁場コイルである。
ここで、静磁場磁石10、シムコイルユニット11、及び傾斜磁場コイルユニット12の構成例について、図2〜図5を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係るMRI装置に備えられる架台装置の横断面、即ち、図1に示す架台装置のI−I断面を示す図である。図2の上段は、図1に示す架台装置のI−I断面を示し、図2の下段は、上段の破線部分を拡大した図である。
図2に示すように、シムコイルユニット11は、静磁場磁石10と同様に概略円筒形状をなし、静磁場磁石10の内側に設置されている。シムコイルユニット11は、図2の下段に示すように、「ZX」、「ZY」、「XY」、「X2−Y2」、及び「Z2」の2次シムの構造を成す。シムコイルユニット11は、円筒状に形成された樹脂層と、その外周面上に巻装されたZXチャンネルのシムコイル11aと、その外周面上に巻装されたZYチャンネルのシムコイル11bと、その外周面上に巻装されたXYチャンネルのシムコイル11cと、その外周面上に巻装されたX2−Y2チャンネルのシムコイル11dと、その外周面上に巻装されたZ2チャンネルのシムコイル11eと、その外周面上に形成された樹脂層とを有する。
このような構成によりシムコイルユニット11は、5チャンネルの補正磁場を発生することができる。なお、5チャンネルのシムコイル11a〜11eの巻装の順は、この場合に限定されるものではない。また、シムコイルユニット11は、5チャンネルより多くのシムコイル、例えば13チャンネルや18チャンネルの補正磁場を発生可能なシムコイルを含んでもよい。
5チャンネルのシムコイル11a〜11eはそれぞれ、例えば絶縁性のベース上に所要コイルパターンをなすようにフレキシブル基板を形成している。そして、5チャンネルのシムコイル11a〜11eは、順に積層された状態で内側の樹脂層の外周面上に配置される。
ZXチャンネルのシムコイル11aは、静磁場磁石10によって発生された静磁場のZX成分とほぼ同じ磁場方向を持つ磁場を補正磁場として発生するコイルパターンを持つ。ZYチャンネルのシムコイル11bは、静磁場磁石10によって発生された静磁場のZY成分とほぼ同じ磁場方向を持つ磁場を補正磁場として発生するコイルパターンを持つ。XYチャンネルのシムコイル11cは、静磁場磁石10によって発生された静磁場のXY成分とほぼ同じ磁場方向を持つ磁場を補正磁場として発生するコイルパターンを持つ。X2−Y2チャンネルのシムコイル11dは、静磁場磁石10によって発生された静磁場のX2−Y2成分とほぼ同じ磁場方向を持つ磁場を補正磁場として発生するコイルパターンを持つ。Z2チャンネルのシムコイル11eは、静磁場磁石10によって発生された静磁場のZ2成分とほぼ同じ磁場方向を持つ磁場を補正磁場として発生するコイルパターンを持つ。
シムコイルユニット11の各シムコイル11a〜11eに電力を供給して補正磁場を発生することにより、静磁場の不均一性を補正することを、アクティブシミングと呼ぶ。撮像時には患者がボア内に搬送されるため、患者の影響によって静磁場の均一性は乱されることになる。そこで、シムコイルユニット11を用いたアクティブシミングにより、撮像対象の患者がボア内に搬送された状態で静磁場の不均一性を補正することができる。
前述したように、各シムコイル11a〜11eは、図示しないシム用電源から供給される電力により、手動又は計算機で、静磁場の不均一性の2次の成分のアクティブシミングを行う。各シムコイル11a〜11eにより、所定の3次元領域において、静磁場磁石10が形成する静磁場が所望の均一性を満たすように補正される。
また、傾斜磁場コイルユニット12は、X軸、Y軸、及びZ軸方向の各傾斜磁場をそれぞれ生成するためのメインコイル12aと、その外側に配置され、複数の金属シムを収納可能なシムトレイユニット12bと、その外側に配置され、漏れ磁場を抑制するためのシールドコイル12cとを含む。
図3は、本実施形態に係るMRI装置に備えられる傾斜磁場コイルユニット12の概略構成を説明するための斜視図である。図3は、図2に示す傾斜磁場コイルユニット12の構成例を示す。
図3に示すように、傾斜磁場コイルユニット12のシムトレイユニット12bは、概略円筒形状をなし、概略円筒形状のメインコイル12aとシールドコイル12cとの間に挟まれる。シムトレイユニット12bの周方向には、略均等な間隔で複数のスロット71が形成される。また、シムトレイユニット12bに形成されるスロット71の数は特に限定するものではないが、図3には、スロット71の数が24個の場合が図示される。
スロット71は、シムトレイユニット12bの両端面に開口を形成し、シムトレイユニット12bの長手方向(長軸方向)に全長にわたって形成された貫通穴である。スロット71には、シムトレイ72が挿入可能である。シムトレイ72は、シムトレイユニット12bの概ね中央部に固定される。Z軸方向におけるシムトレイユニット12bの概ね中央部は、Z軸方向における傾斜磁場コイルユニット12の中央部でもある。シムトレイ72は、例えば、非磁性、かつ、非電導性材料である樹脂にて形成され、概略棒状を成す。
図4は、本実施形態に係るMRI装置に備えられる複数のシムトレイ72の詳細構成例を説明するための斜視図である。
図4に示すように、シムトレイ72の長手方向には、所定の間隔を空けて複数のポケット72aが形成される。ポケット72aの数は特に限定するものではない。
ボア内の撮像領域の静磁場を均一化する目的で、必要な数の金属シム72bがポケット72aに収納される。金属シム72bの材料は、例えばケイ素鋼板やパーメンジュール(鉄及びコバルトの合金)である。MRI装置1の据え付け時に各ポケット72aに収納される金属シム72bの数を調整し、ボア内の撮像領域における静磁場を均一にすることを、パッシブシミングと呼ぶ。
静磁場磁石10(図2に図示)は、ボア内の静磁場が可能な限り均一になるように設計及び製造されるが、現実には、磁石製造誤差やボア周囲の構造物の影響を受けるため、何らかの調整なしに静磁場を完全に均一とすることは難しい。また、静磁場の不均一の度合いは、装置の個体間によっても異なり、装置の設置場所の周囲環境によっても異なる。このため、通常、装置の据え付け毎に、金属シム72bを用いたパッシブシミングが行われる。
図5は、本実施形態に係るMRI装置に備えられる金属シム72bの数をポケット番号とスロット番号とに対応付けて示す図である。
図5では、スロット71(図3に図示)に対して、円周方向の位置ごとに、異なるスロット番号iが付されている。例えば、スロット71の数が24個の場合は1から24までの番号をスロット番号iに割り当てる。また、ポケット72a(図4に図示)に対して、Z軸方向の位置ごとに、異なるポケット番号jが付されている。例えば、ポケット72aの数が15個の場合は1から15までの番号をポケット番号jに割り当てる。スロット番号iの位置かつ、ポケット番号jの位置となる金属シム72bの数はSi,jと表記される。以下、スロット71の数が24個であり、ポケット72aの数が15個の場合を例にとって説明する。
図1の説明に戻って、WBコイル13は、全身用RF(Radio Frequency)コイルとも呼ばれ、傾斜磁場コイルユニット12の内側に患者を取り囲むように概略円筒形状に設置されている。WBコイル13は、RF送信器32から伝送されるRFパルスを患者に向けて送信する。一方、WBコイル13は、例えば水素原子核の励起によって患者から放出される磁気共鳴信号、即ち、MR(Magnetic Resonance)信号を受信する。
MRI装置1は、WBコイル13の他、図1に示すようにローカルコイル20を備えてもよい。ローカルコイル20は、局所用RFコイルとも呼ばれる。ローカルコイル20は、患者の体表面に近接して載置される。ローカルコイル20は、複数のコイル要素を備えてもよい。これら複数のコイル要素は、ローカルコイル20の内部でアレイ状に配列されるため、PAC(Phased Array Coil)と呼ばれることもある。
ローカルコイル20には幾つかの種別がある。例えば、ローカルコイル20には、図1に示すように患者の胸部、腹部、又は脚部に設置されるボディコイル(Body Coil)や、患者の背側に設置されるスパインコイル(Spine Coil)といった種別がある。この他、ローカルコイル20には、患者の頭部を撮像するための頭部コイル(Head Coil)や、足を撮像するためのフットコイル(Foot Coil)といった種別もある。また、ローカルコイル20には、手首を撮像するためのリストコイル(Wrist Coil)、膝を撮像するためのニーコイル(Knee Coil)、肩を撮像するためのショルダーコイル(Shoulder Coil)といった種別もある。ローカルコイル20の多くの種別は受信専用のコイルであるが、ローカルコイル20の中には送信と受信を双方行う送受信コイルもある。例えば、ローカルコイル20としての頭部コイル及び膝用コイルの中には、送受信コイルも存在する。
傾斜磁場用電源31は、X軸、Y軸、及びZ軸の傾斜磁場を発生するコイルそれぞれを駆動する各チャンネル用の傾斜磁場用電源31x,31y,31zを備える。傾斜磁場用電源31x、31y、31zは、シーケンスコントローラ34の指令により、必要な電流波形を各チャンネル独立に出力する。それにより、傾斜磁場コイルユニット12のメインコイル12aは、X軸、Y軸、及びZ軸の方向における傾斜磁場を患者に印加することができる。
RF送信器32は、シーケンスコントローラ34からの指示に基づいてRFパルスを生成する。RFパルスはWBコイル13に伝送され、患者に印加される。RFパルスの印加によって患者からMR信号が発生する。このMR信号は、ローカルコイル20又はWBコイル13によって受信される。
ローカルコイル20で受信されたMR信号、より具体的には、ローカルコイル20内の各コイル要素で受信したMR信号は、RF受信器33に伝送される。ローカルコイル20がケーブルを介してRF受信器33にMR信号を伝送可能な構成の場合、各コイル要素で受信されたMR信号は、寝台本体40内部に備えられるケーブルを介してRF受信器33に伝送される。各コイル要素の出力経路や、WBコイル13の出力経路はチャンネルと呼ばれる。このため、各コイル要素やWBコイル13から出力される夫々のMR信号をチャンネル信号と呼ぶこともある。また、WBコイル13で受信されたチャンネル信号もRF受信器33に伝送される。なお、ローカルコイル20内の各コイル要素で受信されたMR信号が無線でRF受信器33に送信される構成であってもよい。
RF受信器33は、ローカルコイル20やWBコイル13からのチャンネル信号、即ち、MR信号をAD(Analog to Digital)変換して、シーケンスコントローラ34に出力する。デジタルに変換されたMR信号は、生データ(Raw Data)と呼ばれることもある。
シーケンスコントローラ34は、後述するコンソール500による制御のもと、傾斜磁場用電源31、RF送信器32、及びRF受信器33をそれぞれ駆動することによって患者の撮像を行う。シーケンスコントローラ34は、撮像によってRF受信器33から生データを受信すると、その生データをコンソール500に送信する。
シーケンスコントローラ34は、処理回路(図示しない)を具備する。この処理回路は、例えば所定のプログラムを実行するプロセッサや、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで構成される。
寝台装置400は、寝台本体40及び天板41を有する。寝台本体40は、天板41を上下方向及び水平方向に移動することができる。撮像前に天板41に載置された患者を所定の高さまで移動させる。その後、撮影時には天板41を水平方向に移動させて患者を磁石架台100の開口部内に移動させる。
コンソール500は、処理回路50、記憶回路51、ディスプレイ52、及び入力回路53を備える。コンソール500は、ホスト計算機として機能する。
処理回路50は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)の他、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び、プログラマブル論理デバイス等の処理回路を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の回路が挙げられる。処理回路50は、記憶回路51に記憶された、又は、処理回路50内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで後述する機能を実現する。
また、処理回路50は、単一の処理回路によって構成されてもよいし、独立した複数の処理回路の組み合わせによって構成されていてもよい。後者の場合、記憶回路51が、複数の処理回路にそれぞれ対応する複数の記憶回路を有してもよいし、記憶回路51が、複数の処理回路に対応する1個の記憶回路を有してもよい。
記憶回路51は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、及び光ディスク等を備える。記憶回路51は、USB(Universal Serial bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)等の可搬型メディアを備えてもよい。記憶回路51は、処理回路50において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータや、医用画像を記憶する。また、OSに、操作者に対するディスプレイ52への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力回路53によって行うことができるGUI(Graphical User Interface)を含めることもできる。
ディスプレイ52は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、及び有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示デバイスである。
入力回路53は、操作者によって操作が可能なポインティングデバイス(マウス等)やキーボード等の入力デバイスからの信号を入力する回路であり、ここでは、入力デバイス自体も入力回路53に含まれるものとする。操作者により入力デバイスが操作されると、入力回路53はその操作に応じた入力信号を生成して処理回路50に出力する。なお、MRI装置1は、入力デバイスがディスプレイ52と一体に構成されたタッチパネルを備えてもよい。
続いて、本実施形態に係るMRI装置1における静磁場補正方法について説明する。
まず、金属シム72bとF0シフトの関係について説明する。図6は、ポケット72aごとのF0シフトへの影響度を表す。
図6のグラフの横軸はポケット番号jであり、縦軸はF0シフト影響係数Kjである。F0シフト影響係数Kjは、各ポケット72aに配置される金属シム72bの単位枚数あたりのF0シフト量をポケット番号8のF0シフト量で正規化した量である。F0シフト量は、同じ単位枚数の金属シム72bに同じ温度変化を与えた時に、F0が変化する値をポケット72aごとに求めた値である。
図6のグラフを参照すると、ポケット番号8付近、つまり磁場中心付近はF0シフト影響係数Kjの絶対値が大きく、磁場中心から離れた磁石端部付近は、F0シフト影響係数Kjの絶対値が小さい。また、磁場中心から離れた磁石端部付近に配置された金属シム72bのF0シフト影響係数Kjは、磁場中心付近の金属シム72bのF0シフト影響係数Kjと正負が反転している。例えば、金属シム72bが温められると、磁場中心付近の金属シム72bはF0を上昇させ、磁場中心から離れた磁石端部付近の金属シム72bは、F0を下降させる。このように、金属シム72bは、磁場中心からのZ軸方向の位置により、F0シフトを変化させる方向および大きさが異なる。
パッシブシミングでは、据付段階で静磁場の不均一性が所定の許容範囲に収まるように金属シム72bの配置を決定している。一般的には、磁場中心付近に多くの金属シム72bが配置されることが多いため、金属シム72b全体として、金属シム72bの温度上昇時にF0シフト量が上昇する傾向にある。仮に、磁場中心から離れた磁石端部付近に配置される金属シム72bの量を増やすことができれば、磁場中心付近の金属シム72bによる、上昇方向のF0シフトを抑制することができる。
パッシブシミングを完了する時点で、静磁場の不均一性を最終的に満たすべき許容範囲に収めようとすると、磁場中心から離れた磁石端部付近に配置可能な金属シム72bの量には限りがある。本実施形態に係る静磁場の調整方法では、アクティブシミングで最終的に補正されることを前提として、磁場中心から離れた磁石端部付近に配置可能な金属シム72bの量が多くする。パッシブシミングを完了させる時点では、静磁場の不均一性が最終的に収まるべき許容範囲に収まっていないが、パッシブシミングに続いて行われるアクティブシミングによって最終的に静磁場は補正される。
図7は、本実施形態に係るMRI装置1における静磁場補正方法の手順をフローチャートとして示す図である。
まず、MRI装置1の据え付け時に、静磁場磁石10の磁場特性が測定される。例えば、複数のシムポケット72aの全てが空の状態、つまり、金属シム72bが全く配置されていない状態で、ボア中央部の多数点の磁場が測定される(ステップST1)。ステップST1の時点はパッシブシミング前なので、測定された静磁場の均一性は担保されていない。なお、測定は任意の磁場測定器を用いて行われる。また、磁場の測定において、シムポケット72aは必ずしも全て空の状態である必要はなく、あらかじめ金属シム72bがいくつか備えられていてもよい。
図8は、本実施形態に係るMRI装置1における測定対象領域の概念を示す図である。
図8に示すように、撮像中心近傍に所定の直径の球(例えば、直径50cmの球)があると仮定する。この球を含む測定対象領域の磁場BZ_bare(r,θ,φ)が、図8に示す球座標系で測定される。
図7の説明に戻って、処理回路50(又はMRI装置1の外部の計算機)は、MRI装置1の据え付け時に、ステップST1における磁場の測定値に基づいて最適化計算を実行し、各ポケット72aに収納すべき金属シム72bの数Si,jを算出する(ステップST2〜ST6)。最適化計算とは、パラメータx(xは通常多変数)の関数として目的関数f(x)及び制約条件g(x)を設定し、制約条件g(x)を満たしつつ目的関数f(x)が最小(又は最大)となるようなパラメータxを決定する手法のことである。なお、制約条件g(x)は、MRI装置1で予め定められた静磁場不均一性の許容範囲Bd(後述する図9に図示)を表す。制約条件として、制約条件g(x)のみならず複数設定されてもよい。
パラメータxは、金属シム72bの数Si,jがそれぞれ最適化された値である。そして、制約条件g(x)として、例えば、磁場の不均一性を表す指標が所定の範囲内、つまり空間的な変動成分が所定の範囲内であることを示す不等式が設定される。また、目的関数f(x)として金属シム72bの数Si,jが設定される。これらの設定で最適化計算が実行されることにより、磁場の不均一性を表す指標が所定の範囲内に抑制された状態で金属シム72bの総数が最小となるように、金属シム72bの数Si,jがそれぞれ最適化される。
まず、処理回路50は、ステップST2において、目的関数f(Si,j)を次の式(1)に示すように設定する。目的関数f(Si,j)は、金属シム72bの数Si,jの関数(総和を表す関数)として表現される。
次いで、処理回路50は、ステップST3において、磁場の均一化のための制約条件g(x)を設定する。磁場の均一化のための制約条件の指標の一例として、VRMS(Volume Root Mean Square)が挙げられる。
一般に、ボア内の磁場(球座標)の理論式は、ルジャンドル関数展開を用いた以下の式で与えられる。
ここで、Pn m(cos(θ))は、次数(n,m)(0≦m≦n)のルジャンドル陪関数である。また、An m、Bn mは、次数(n,m)のハーモニクスと呼ばれる値であり、フーリエ級数展開におけるフーリエ係数に類似する量である。次数(n,m)=(0,0)が完全に均一な磁場に対応する。次数(n≠0,m≠0)のハーモニクスAn m、Bn mの大きさにより、磁場の不均一性(空間的な変動成分)が表現される。
ステップST1によって測定された磁場BZ_bare(r,θ,φ)と、上記式(2)で表される磁場の理論式とから、測定値に基づく、金属シム72bが無い状態(調整前の状態)でのハーモニクスAn m _bare、Bn m _bare(以下、調整前ハーモニクスと呼ぶ)を求めることができる。例えば、測定値を理論式にフィッティングすることで調整前ハーモニクスAn m _bare、Bn m _bareを求めることができる。調整前ハーモニクスAn m _bare、Bn m _bareの値が大きい程、その時点(調整前)での磁場の不均一性が大きいことを意味している。
パッシブシミングは、金属シム72bの数Si,jを適正にすることにより、磁場の空間的な分布を補正し、調整前ハーモニクスAn m _bare、Bn m _bareの値を可能な限り小さくすることで磁場の均一性を向上させる手法である。
次いで、処理回路50は、ステップST4において、必要に応じて制約条件g(x)以外の他の制約条件を設定する。他の制約条件は、例えば金属シム72bの数が非負となることや各ポケット72aに収容可能な金属シム72bの枚数などである。そして処理回路50は、ステップST5において、設定された制約条件の下で目的関数を最小化ないし最大化する最適化計算を実行する。最適化計算の実行後、ステップST6において金属シム72bの分布S1,1〜S24,15が算出される。
図9(A)〜(D)は、本実施形態に係るMRI装置1において、Z軸方向における静磁場BZが均一化される流れを示す図である。
図9(A)は、金属シム72の配置前の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例を示す。磁場BZは、ハーモニクスA2 0 _bare(A2 0 _bare>0)を比例定数とする、Z位置の2乗に比例する関数として表される。A2 0 _bareは、ハーモニクスAn m _bareの一要素である。図9(A)は、パッシブシミング前であるため、磁場の不均一性は、最終的に収まるべき磁場不均一性の許容範囲Bdに収まっていない。
一方、図9(B)は、図9(A)に対し、上述した最適化演算によって決定された金属シム72bの数Si,jに従って金属シム72bが仮に配置された場合の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例を示す。図9(B)は、パッシブシミングによる金属シム72bの配置により、磁場の不均一性が所定の許容範囲Bdに収まっている状態に対応する。
一方、前述したように、金属シム72bの温度が上昇するとF0シフトが発生する。このF0シフトの大きさや、F0シフトの方向(F0が正の方向へシフトするのか負の方向にシフトするのか)は、金属シム72bの位置に応じて異なる。
そこで、静磁場均一性が所定の許容範囲Bdに収まるように決定された金属シム72bの数Si,jに従って金属シム72bが仮に配置された場合に発生するF0シフトを抑制するために、ステップST7において、磁石端部付近、具体的には、F0シフト影響係数(図6に図示)が負を示す位置のポケット(例えばポケットの数が15個の場合には1〜4、12〜15番のうち少なくとも1個のポケット)に、意図的に1又は複数の金属シム72bを追加する。金属シム72bが追加された場合の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例は、図9(C)に示される。
このとき、金属シム72bの数は、後に行われるアクティブシミングで補正可能な範囲で追加される。分布S1,1〜S24,15に対して、ステップST7で金属シム72bを追加配置することにより、図9(C)に示すように、最終的に満たすべき磁場不均一性の許容範囲Bdから外れてしまう場合があるが、この状態のまま据え付けを完了させる。静磁場不均一性の許容範囲Bdは、前述した最適化処理における制約条件g(x)に相当する。
次いで、処理回路50は、患者が撮像領域に配置された後、ステップST8において、アクティブシミングを行って、静磁場不均一性が所定の許容範囲Bdに収まるように磁場補正する。例えば、ステップST7による金属シム72bの追加によって制約条件g(x)から外れたハーモニクスの項A2 0 _shimに対して、Z2チャンネルのシムコイル11eによるアクティブシミングで制約条件g(x)を満足させるように磁場補正する。シムコイル11eによるアクティブシミングが実行された場合の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例は、図9(D)で示される。
その結果、分布S1,1〜S24,15に対して、外側位置のポケットに金属シム72bが追加されつつ、磁場の均一性はシムコイル11eによるアクティブシミングで補完的に補正されて制約条件g(x)を満足したものとなる。即ち、静磁場の均一性を維持しつつ、MRスキャンにおけるF0シフトの抑制が期待できる。
MRI装置1によると、ハーモニクスの項がA2 0 _bare>0となることが分かっている静磁場磁石10の特性に対し、静磁場の均一性を維持しつつ、F0シフトを抑制できる。
(第1変形例)
上述した第1の実施形態では、静磁場の均一性が最終的に満たすべき範囲Bdに収まるように金属シム72bの数Si,jを最適化してから(図9(B)に図示)、さらに磁石端部付近に金属シム72bを追加していた。一方、第1変形例においては、金属シム72bの数Si,jの最適化演算の時点で、後のアクティブシミングによる補完的な補正を前提とした、静磁場不均一性の許容範囲を表す制約条件を設定する。
ハーモニクスの項がA2 0 _bare>0となるような特性を有する静磁場磁石10の場合、最終的に満たすべき静磁場の均一性をパッシブシミングで達成しようとすると、外側位置における金属シム72bの数は限定される。そこで、例えば静磁場均一性が悪くなるような制約条件をあえて最適化演算において適用し、より多くの金属シム72bが磁石端部付近に配置されるようにする。金属シム72bを配置した段階では最終的に満たすべき静磁場の均一性は担保されないので、後でアクティブシミングを行う。
図10は、本実施形態に係るMRI装置1の第1変形例における静磁場補正方法の手順をフローチャートとして示す図である。なお、図10において、図7に示すステップと同一ステップには同一符号を付して説明を省略する。
処理回路50は、ステップST13において、図7に示すステップST3によって設定される制約条件g(x)とは異なる、制約条件h(x)を設定する。制約条件h(x)は、アクティブシミングによって磁場の補正が可能な範囲で磁場均一性の劣化を許容し、金属シム72bが磁石端部付近に多く配置されるような制約条件である。次いで、処理回路50は、図7に示すステップST4と同様に、ステップST14において、必要に応じて他の制約条件を設定する。次いで、処理回路50は、図7に示すステップST5と同様に、ステップST15において、設定された制約条件h(x)の下で目的関数を最小化する最適化計算を実行する。次いで、処理回路50は、図7に示すステップST6と同様に、ステップST16において、金属シム72bの数Si、jをそれぞれ決定し、分布S1,1〜S24,15を算出する。次いで、ステップST17において、ステップST16によって算出された分布S1,1〜S24,15に従って金属シム72bが配置される。
図11(A)〜(C)は、本実施形態に係るMRI装置1の第1変形例において、Z軸方向における磁場BZの分布の変化例を示す図である。
図11(A)は、金属シム72の配置前の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例を示す。図11(A)は、図9(A)と同一である。図11(B)は、図11(A)に対し、分布S1,1〜S24,15に従って金属シム72bが配置された場合の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例を示す。
ここで、静磁場磁石10がハーモニクスA2 0 _bareが正となる特性を有する場合では、分布S1,1〜S24,15に従って金属シム72bが配置された状態でMRスキャンが行われると、F0シフトが抑制される。このとき、分布S1,1〜S24,15に従った金属シム72bの配置により、最終的に満たすべき磁場不均一性の許容範囲Bdから外れる場合があるが、この状態のまま据え付けを完了させる。
一方で、従来技術におけるZ軸方向の磁場の分布の変化を説明する。図12(A),(B)は、従来技術において、Z軸方向における磁場の分布の変化例を示す図である。
図12(A)は、金属シムの配置前の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例を示す。図12(A)は、図9(A)と同一である。図12(B)は、図12(A)に対し、磁場不均一性の許容範囲Bdに収まるように算出された分布に従って金属シムが配置された場合の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例を示す。
図12(B)に示す、従来技術に係る金属シムの配置によると、A2 0 _bareがあまり大きくない場合に金属シムによる補正量も少なくなるので、外側のポケットに配置される金属シムの数も少なくなる。即ち、従来技術に係る金属シムの配置によると、F0シフトの抑制効果が小さくなる。
図10の説明に戻って、処理回路50は、患者が撮像領域に配置された後、ステップST18において、ハーモニクスの項A2 0 _shimに対して、Z2チャンネルのシムコイル11eによるアクティブシミングで制約条件g(x)を満足させるように磁場補正する。シムコイル11eによるアクティブシミングが実行された場合の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例は、図11(C)で示される。
以上説明した金属シム72bの配置とアクティブシミングにより、F0シフトが抑制されつつ、磁場の均一性としてはシムコイル11eによるアクティブシミングで補完的に補正されて制約条件g(x)を満足したものとなる。即ち、静磁場の均一性を維持しつつ、MRスキャンにおけるF0シフトの抑制が期待できる。
MRI装置1の第1変形例によると、ハーモニクスの項がA2 0 _bare>0となることが分かっている静磁場磁石10に対し、静磁場の均一性を維持しつつ、F0シフトを抑制できる。
(第2変形例)
上述した第1の実施形態および第1変形例では、ハーモニクスの項がA2 0 _bare>0となる場合を例にとって説明した。一方、第2変形例は、ハーモニクスの項がA2 0 _bare<0となる静磁場磁石10の場合、またはA2 0 _bare>0であってA2 0 _bareが小さい静磁場磁石10の場合における静磁場補正を示す。
ハーモニクスの項がA2 0 _bare<0となる静磁場磁石10の場合、またはA2 0 _bare>0であってA2 0 _bareが小さい静磁場磁石10の場合、金属シム72bの配置が中央の位置に集まる傾向がハーモニクスの項がA2 0 _bare>0であって十分大きい場合に比べて強い。そこで、第2変形例では、先にアクティブシミングを行って、静磁場の不均一特性が、A2 0 _bare>0であって十分大きくなるように一旦補正する。この段階では磁場の均一性は最終的に満たすべき磁場均一性を満たす必要はない。その後、パッシブシミングを行うことにより、磁場の均一性を補正する。この場合、ハーモニクスの項がA2 0 _bare>0となる静磁場磁石10と同様にパッシブシミングを行なうことができるため、例えばA2 0 _bare<0の状態でパッシブシミングを行う場合よりも、より多くの金属シム72bが磁石端部付近、具体的には、F0シフト影響係数(図6に図示)が負を示す位置に配置されることになり、F0シフトを抑制できる。
なお、図7に示す例では、素性がA2 0 _bare>0の状態に対して最適化計算を行った場合、金属シム72bはある程度磁石端部付近に配置される結果となるが、磁石端部付近に配置される金属シム72bの数が不十分であると述べた。そこで、第2の変形例では、アクティブシミングを行って、磁場の特性をA2 0 _bare<0からA2 0 _bare>0に変化させる際に、正の極性をより強くして、A2 0 _bare>>0とする。正の極性を強くすることにより、より多くの金属シム72bが磁石端部付近に配置される。
図13は、本実施形態に係るMRI装置1の第2変形例における静磁場補正方法の手順をフローチャートとして示す図である。なお、図13において、図7に示すステップと同一ステップには同一符号を付して説明を省略する。また、図13において、ステップの順番を入れ替えて、全てのステップをMRI装置1の据え付け時に実行することも可能である。
設計上又は製造工程管理上、静磁場磁石10がハーモニクスの項がA2 0 _bare<0となる特性を有することが分かっている場合、処理回路50は、MRI装置1の据え付け時に、ステップST21において磁場が測定される際に、Z2チャンネルのシムコイル11eで、ハーモニクスの項がA2 0 _bare>0となるように磁場を調整する。
図14(A)〜(C)は、本実施形態に係るMRI装置1の第2変形例において、Z軸方向における磁場BZの分布の変化例を示す図である。
図14(A)は、金属シム72の配置前の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例を示す。磁場BZは、比例定数がハーモニクスの項A2 0 _bare(A2 0 _bare<0)であり、Z位置の2乗に比例する関数として表される。図14(B)は、図14(A)に対し、Z2チャンネルのシムコイル11eで磁場補正された場合の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例を示す。
図13の説明に戻って、処理回路50は、制約条件を満足するように金属シム72bの数Si,jをそれぞれ決定する(ステップST2〜ST6)。次いで、ステップST6によって算出された金属シム72bの分布S1,1〜S24,15に従って金属シム72bが配置される(ステップST27)。金属シム72bによるパッシブシミングが行われた場合の、Z軸方向における磁場BZの分布の一例は、図14(C)で示される。
ハーモニクスの項がA2 0 _bare>0となっている静磁場の均一性を補正するためには、即ち、図14(B)を図14(C)に移行させるためには、磁石端部付近のポケットに金属シム72bを配置する必要がある(図6参照)。その結果、結果的に磁石端部付近のポケットに金属シム72bの数が多い、「F0シフトの発生を抑制できる金属シム配置」となる。
MRI装置1の第2変形例によると、ハーモニクスの項がA2 0 _bare<0となる、あるいはA2 0 _bareが正であってあまり大きくない静磁場磁石10に対し、静磁場の均一性を維持しつつ、F0シフトを抑制できる。
以上述べた少なくともひとつの実施形態のMRI装置及び静磁場補正方法によれば、静磁場の均一性を維持しつつ、F0シフトを抑制できる。
仮に、金属シム72bによるパッシブシミングを行わずに、シムコイルユニット11によるアクティブシミングのみで静磁場の均一性を調整できれば、金属シム72bの温度上昇の影響を受けずに済む。しかし、一般的に磁石は、磁気シールドの影響を含め、複雑な静磁場の不均一性を有しており、高次の静磁場の不均一性を調整するためには高次の磁場を補正できるシムコイルが必要となる。シムコイルは傾斜磁場コイルユニット12内部に配置されることが多いため、高次まで磁場補正できるシムコイルを組み込むと、ボアが狭くなる。また、シムコイルのチャンネル数が増えると、シムコイルに電力を供給する電源が大型化し、消費電力も増えてしまう。したがって、アクティブシミングだけで静磁場の均一性を補正するのではなく、パッシブシミングとアクティブシミングとを併用した方が、ボアの広さの確保と、省電力化の観点で優れている。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。