JP2018148917A - 酵素 - Google Patents

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Abstract

【課題】DNAヌクレオチドポリマー鋳型から非DNAヌクレオチドポリマーを産生することができる核酸ポリメラーゼの提供。【解決手段】特定のアミノ酸配列に対して少なくとも36%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列が、thumb領域の1又は2以上の残基で、特定のアミノ酸配列に比べて変異しており、前記残基が、アミノ酸651〜679(パッチ10A)から選択され、前記アミノ酸配列が、残基E664で、特定のアミノ酸配列に比べて変異している、核酸ポリメラーゼ。【選択図】なし

Description

生命の多様性は、概して、2つのポリマー:ポリペプチド(つまりタンパク質)及びポリヌクレオチド(核酸)の多用途性に基づく。生物系における情報記憶及び情報伝達は、概して、たった2つのタイプの核酸、DNA及びRNAに基づいている。核酸は、特に、遺伝情報をコードするそれらの能力以上に特有の特性を示し、これは、それらを、化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、及び医学における重要なツールにしている。核酸はまた、治療薬としても莫大な可能性を有するが、血清/ヌクレアーゼ安定性に乏しいなどのような、DNA及びRNAの化学的性質による固有の全身性の制約を受ける。
系統的化学研究は、DNA及びRNAが生物の遺伝子系において分子的基盤を果たすことを可能にしている、決定的な化学的及び物理化学的パラメーターを明らかにし始めた。非天然核酸塩基を含む核酸の化学構造に対する変化(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)は、情報記憶のための分子決定因子を調査するために使用されてきた。代わりの骨格連結(非特許文献4)及びリボフラノース同族体(非特許文献5、非特許文献6)についての合成物質の探索が行われ、核酸の特性、構造、及び立体構造に対する、骨格の化学的構造及び/又は糖(若しくは等価物)化学の重大な影響を明らかにした。決定的に、化学的性質の小さなサブセットのみが、DNA又はRNAとの効率的な対形成を通してクロスポリマー情報伝達を可能にし、これは、現存する生物学的対象(biology)とクロストークが可能な合成遺伝子系の形成のための必要条件となる。しかしながら、ハイブリダイゼーションが必ずしも情報の内容を維持するわけではないので、クロスハイブリダイゼーション実験のみでは、所与の化学的性質が遺伝子系として果たす能力を決定的に決定することはできない。
情報記憶、情報伝達、及び進化のための潜在的な遺伝子ポリマーの可能性についてのより徹底的な検査は、複製のシステムを必要とする。原理的に、人工ポリマーは、化学的に合成及び複製され得るが、非酵素的ポリメリゼーションは、通常、非効率的で、かつ誤りがちであり(非特許文献7)、したがって、特殊な化学的性質を使用する、モノヌクレオチド(非特許文献8)又は短いオリゴマー(五量体)ユニット(非特許文献9)のポリメリゼーションにおける著しい進歩にもかかわらず、汎用のアプローチとして魅力がない。DNA又はRNAポリメラーゼを使用する酵素的ポリメリゼーションは、可能性として強力であるが、天然ポリメラーゼの密接な基質特異性によって制限される。ポリメラーゼ基質特異性の決定因子を理解し(非特許文献10)、基質スペクトルが拡張されたポリメラーゼを作る(非特許文献11、非特許文献12)にあたっての著しい進歩にもかかわらず、ほとんどの非天然ヌクレオチド類似体は、合成及び/又は逆転写のための鋳型として、全置換の状態で、不十分なポリメラーゼ基質のままであった。
DNA及びRNAは、単に、生物の遺伝情報の宝庫であるだけではない。それらはまた、優れた特性を有する特有のポリマーでもある:それらは、十分に定義された規則に従って結合し、定められた幾何学的配置の、多様なナノ構造に構築され得、リガンドに結合し、かつ化学的反応を触媒するように進化することができ、空間中に化学基を配置するための超分子足場として果たすことができる。
アプタマーは、いくつかの臨床設定において抗体に匹敵する可能性を有する、明確な構造をもつ一本鎖核酸に基づく有望なクラスの生体分子治療薬である。広いスペクトルのRNA及びDNAベースのアプタマーの両方が、記載されており、広範囲の標的に対して向けられ、いくつかのものは、現在、臨床試験を受けており、それらの可能性をはっきり示している。しかしながら、RNA又はDNAなどのような天然核酸に基づく試薬は、インビボの安定性及び/又は生物学的利用率などのような、臨床試薬及び治療薬についての多くの望ましい特性に関して、欠点を有する。原理的に、アプタマーは、医薬品化学アプローチによって安定化されてもよく(選択後)、このアプローチは、Macugenによって検証されており、第1のアプタマーベースの薬剤は、黄斑変性の治療について承認されている。しかしながら、選択後修飾は、アプタマー構造及び標的相互作用を改変する及び/又は弱め得る、アプタマー特異性を修飾するかもしれず、これは問題となる。
広範囲の修飾ヌクレオチドは、非天然の化学的性質を含むアプタマーを生成するためにSELEXにおいて使用されてきた。これらの修飾のうちのいくつかは、ヌクレアーゼ抵抗性及び安定性の増加などのように、選択されるアプタマーに対して望ましい特徴を与えるが、また、毒性及びタンパク質との非特異的な相互作用の増加などのような欠点をも有する。
オルソゴナリティー(つまり細胞性の機構との相互作用/干渉の欠如)及び結果として生じる毒性の欠如、ヌクレアーゼ抵抗性の増加、並びに他の可能性として望ましい特性は、より根本的に作られた核酸の使用から原理的に生じ得る。しかしながら、アプタマー分野に対するそれらの適用は、そのような核酸の設計及び合成の両方並びにそれらの合成、複製、及び進化のための特注のポリメラーゼの生成を必要とする。そのような試薬及びポリメラーゼが当技術分野において存在しないのは問題となる。
多くの新規な核酸構造は、オルソゴナリティーの増加を期待して構築されてきた。ここでの課題は、同時にそれと連絡する能力を維持しながら、細胞性の遺伝子機構との最小限の相互作用/干渉に至る足場を設計することである。重要な達成は、遺伝アルファベットを拡張し(情報のオルソゴナリティー)、核酸塩基の構造又はサイズを改変する(立体的なオルソゴナリティー)試みを含む。しかしながら、これらの場合のそれぞれにおいて、細胞性の毒性及び/又は情報の特異性についての問題が残る。
化学的にオルソゴナルな核酸に向けた異なったアプローチは、主鎖の修飾を含むが、情報核酸塩基をそのままにしておく。標準的なリボフラノースの他のペントース(又はヘキソース及びテトロース)との交換は、実際、らせん立体構造並びに二重鎖の安定性及び形成に対して劇的な効果を有し得る。
非特許文献1 非特許文献2 非特許文献3 非特許文献4 非特許文献5 非特許文献6 非特許文献7 非特許文献8 非特許文献9 非特許文献10 非特許文献11 非特許文献12
ある種のオルソゴナル核酸は、当技術分野において知られている。これらは、天然に存在するDNA又はRNAとは構造的に異なるように、オルソゴナル核酸の化学的性質に基づいている。オルソゴナル核酸の1つの例は、ヘキシトール(HNA)に基づくものである。他の例は、シクロヘキセニル(CeNA)ヌクレオチドに基づくものである。しかしながら、現在まで、そのようなオルソゴナル核酸は、化学的に産生することができるのみであった。これは、生物学的に有用な長さのポリマーの生産が非常に必要とされており、高価であることを意味している。
本発明は、オルソゴナルヌクレオチドをオルソゴナル核酸ポリマーに重合することができる核酸ポリメラーゼを提供する。発明者らは、オルソゴナルポリメラーゼ活性を有する個々のポリメラーゼ酵素を生成し、選択した。それらの研究の結果として、発明者らは、オルソゴナルヌクレオチドに対するポリメラーゼ活性を決定し、その操作を可能にする、ポリメラーゼにおける特異的な領域及びパッチを明らかにした。本発明は、これらの驚くべき発見に基づく。
したがって、一態様では、本発明は、DNAヌクレオチドポリマー鋳型から非DNAヌクレオチドポリマーを産生することができる核酸ポリメラーゼであって、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも36%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
当該アミノ酸配列は、thumb領域の1又は2以上の残基で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異しており、当該残基は、アミノ酸651〜679(パッチ10A)から選択され、
当該アミノ酸配列は、残基E664で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異している、核酸ポリメラーゼを提供する。
適切には、当該非DNAヌクレオチドポリマーは、RNAポリマーであり、当該アミノ酸配列は、残基Y409で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異している。適切には、非DNAヌクレオチドポリマーがRNAポリマーである場合、ポリメラーゼは、変異Y409N又はY409Gを含む。適切には、非DNAヌクレオチドポリマーがRNAポリマーである場合、ポリメラーゼは、変異E664K又はE664Qを含む。適切には、非DNAヌクレオチドポリマーがRNAポリマーである場合、ポリメラーゼは、変異Y409N及びE664Q(TgoT Y409N E664Q; TNQ)を含む。適切には、非DNAヌクレオチドポリマーがRNAポリマーである場合、ポリメラーゼは、変異Y409G及びE664K(TgoT Y409G E664K; TGK)を含む。適切には、当該ポリメラーゼは、変異Y409G及びE664Kを含む。他の態様では、本発明は、RNAヌクレオチドポリマーを作製するための方法であって、上記に記載される核酸ポリメラーゼとDNA鋳型を接触させるステップ及びポリメリゼーションさせるためにインキュベートするステップを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、上記に記載される核酸ポリメラーゼであって、DNAヌクレオチドポリマー鋳型からHNAヌクレオチドポリマーを産生することができ、配列番号12のアミノ酸651〜679(パッチ10A)に相当するアミノ酸配列を含む核酸ポリメラーゼに関する。適切には、当該ポリメラーゼは、DNAヌクレオチドポリマー鋳型からHNAヌクレオチドポリマーを産生することができ、当該ポリメラーゼは、配列番号12に相当するアミノ酸配列を含む。他の態様では、本発明は、HNAヌクレオチドポリマーを作製するための方法であって、上記に記載される核酸ポリメラーゼとDNA鋳型を接触させるステップ及びポリメリゼーションさせるためにインキュベートするステップを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、HNAヌクレオチドポリマーをDNAヌクレオチドポリマーに逆転写することができる核酸ポリメラーゼであって、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも36%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
当該アミノ酸配列は、残基I521で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異している、核酸ポリメラーゼに関する。適切には、当該ポリメラーゼは、I521L、I521P、及びI521Hからなる群から選択される変異を含む。適切には、当該ポリメラーゼは、変異I521Lを含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、変異A485Lをさらに含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、変異V93Qをさらに含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、変異D141A及びE143Aをさらに含む。
他の態様では、本発明は、上記に記載される核酸ポリメラーゼであって、当該非DNAポリマーは、HNAポリマーであり、当該ポリメラーゼは、変異I521Lを含み、当該ポリメラーゼは、変異A485Lをさらに含み、当該ポリメラーゼは、変異V93Qをさらに含み、当該ポリメラーゼは、変異D141A及びE143Aをさらに含む、核酸ポリメラーゼに関する。
他の態様では、本発明は、DNAヌクレオチドポリマーを作製するための方法であって、上記に記載される核酸ポリメラーゼとHNA鋳型を接触させるステップ及びポリメリゼーションさせるためにインキュベートするステップを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、上記に記載されるポリメラーゼをコードする核酸に関する。
他の態様では、本発明は、上記に記載される核酸を含む宿主細胞に関する。
他の態様では、本発明は、
(i)請求項1、5、又は6のいずれかに記載のDNAヌクレオチドポリマー鋳型からHNAヌクレオチドポリマーを産生することができる核酸ポリメラーゼ及び
(ii)HNAヌクレオチドポリマーを、請求項8〜14のいずれかに記載のDNAヌクレオチドポリマーに逆転写することができる核酸ポリメラーゼを含む系に関する。
他の態様では、本発明は、DNAヌクレオチドポリマー鋳型から非DNAヌクレオチドポリマーを産生することができる核酸ポリメラーゼであって、
配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも36%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
当該アミノ酸配列は、thumb領域の1又は2以上の残基で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異しており、
当該残基は、
(i)アミノ酸651〜679(パッチ10A)又は
(ii)アミノ酸734〜765(パッチ12)
から選択される、核酸ポリメラーゼを提供する。
適切には、当該アミノ酸配列は、
(i)アミノ酸651〜679(パッチ10A)
から選択される1又は2以上の残基で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異している。
適切には、当該ポリメラーゼは、DNAヌクレオチドポリマー鋳型からHNAヌクレオチドポリマーを産生することができ、
当該ポリメラーゼは、配列番号12、13、14、若しくは15のいずれかのアミノ酸651〜679(パッチ10A)に相当するアミノ酸配列を含む及び/又は
当該ポリメラーゼは、配列番号16、17、若しくは18のいずれかのアミノ酸734〜765(パッチ12)に相当するアミノ酸配列を含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、DNAヌクレオチドポリマー鋳型からHNAヌクレオチドポリマーを産生することができ、当該ポリメラーゼは、配列番号12に相当するアミノ酸配列を含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、DNAヌクレオチドポリマー鋳型からCeNAヌクレオチドポリマーを産生することができ、
当該ポリメラーゼは、配列番号3、4、5、6、7、8、9、若しくは10のいずれかのアミノ酸651〜679(パッチ10A)に相当するアミノ酸配列を含む及び/又は
当該ポリメラーゼは、配列番号11のいずれかのアミノ酸734〜765(パッチ12)に相当するアミノ酸配列を含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、DNAヌクレオチドポリマー鋳型からCeNAヌクレオチドポリマーを産生することができ、当該ポリメラーゼは、配列番号5又は配列番号6に相当するアミノ酸配列を含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、変異E664Qを含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、DNAヌクレオチドポリマー鋳型からRNAヌクレオチドポリマーを産生することができ、当該ポリメラーゼは、変異E664Qを含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、変異A485Lをさらに含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、変異V93Qをさらに含む。
適切には、当該ポリメラーゼは、変異D141A及びE143Aをさらに含む。
他の態様では、本発明は、非DNAヌクレオチドポリマーを作製するための方法であって、上記に記載される核酸ポリメラーゼとDNA鋳型を接触させるステップ及びポリメリゼーションさせるためにインキュベートするステップを含む方法に関する。適切には、DNA鋳型から当該ポリマーを解離するために又はポリマーを解放するためにDNA鋳型を除去するために、適したステップ(複数可)が、合成に続いてもよい。
他の態様では、本発明は、少なくとも50のヌクレオチドを含む非DNAヌクレオチドポリマーに関する。適切には、当該非DNAヌクレオチドポリマーは、HNA又はCeNAを含む。
他の態様では、本発明は、上記に記載される方法によって得られる非DNAヌクレオチドポリマーに関する。
他の態様では、本発明は、非DNAヌクレオチドポリマーをDNAヌクレオチドポリマーに逆転写することができる核酸ポリメラーゼであって、配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも36%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
当該アミノ酸配列は、I521及びY388から選択される1又は2以上の残基で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異している核酸ポリメラーゼに関する。
適切には、当該非DNAポリマーは、HNAポリマー又はCeNAポリマー又はRNAポリマーである。
適切には、逆転写が可能な当該ポリメラーゼは、I521L、I521P、及びI521Hからなる群から選択される変異を含む。適切には、当該ポリメラーゼは、変異I521Lを含む。
適切には、逆転写が可能な当該ポリメラーゼは、Y388V、Y388R、Y388H、Y388N、及びY388Tからなる群から選択される変異を含む。
適切には、逆転写が可能な当該ポリメラーゼは、変異A485Lをさらに含む。
適切には、逆転写が可能な当該ポリメラーゼは、変異V93Qをさらに含む。
適切には、逆転写が可能な当該ポリメラーゼは、変異D141A及びE143Aをさらに含む。
適切には、当該非DNAポリマーは、HNAポリマーであり、逆転写が可能な当該ポリメラーゼは、変異I521Lを含み、当該ポリメラーゼは、変異A485Lをさらに含み、当該ポリメラーゼは、変異V93Qをさらに含み、当該ポリメラーゼは、変異D141A及びE143Aをさらに含む。
他の態様では、本発明は、上記に記載されるポリメラーゼをコードする核酸に関する。
他の態様では、本発明は、上記に記載される核酸を含む宿主細胞に関する。
他の態様では、本発明は、特定の所定の特徴を有する非DNAヌクレオチドポリマーをスクリーニングするための方法であって、上記に記載される候補非DNAヌクレオチドポリマーを調製するステップ及び当該特徴について当該非DNAヌクレオチドポリマーをアッセイするステップを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、非DNAヌクレオチドポリマー鋳型からDNAポリマーを作製するための方法であって、上記に記載される核酸ポリメラーゼと当該鋳型を接触させるステップ及びポリメリゼーションさせるためにインキュベートするステップを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、医薬を作製するための方法であって、上記に記載される非DNAヌクレオチドポリマーを調製するステップを含む方法に関する。
他の態様では、本発明は、
(i)上記に記載されるDNAヌクレオチドポリマー鋳型から非DNAヌクレオチドポリマーを産生することができる核酸ポリメラーゼ及び
(ii)非DNAヌクレオチドポリマーを上記に記載されるDNAヌクレオチドポリマーに逆転写することができる核酸ポリメラーゼを含む系に関する。
他の態様では、本発明は、
(i)上記に記載される多様なDNAヌクレオチドポリマー鋳型のレパートリーから多様な非DNAヌクレオチドポリマーのレパートリーを産生することができる核酸ポリメラーゼ、
(ii)1)特定の標的への結合又は2)特定の化学的反応の触媒作用などのような所望の機能についての、多様な非DNAヌクレオチドポリマーの上記のレパートリーの選択又はスクリーニング、
(iii)所望の表現型(結合又は触媒作用)を有する、選択される非DNAヌクレオチド
ポリマーを、上記に記載されるDNAヌクレオチドポリマーに逆転写することができる核酸ポリメラーゼを含む系に関する。
生物学における情報記憶及び情報伝達は、たった2つのタイプの核酸、DNA及びRNAに基づいている。しかしながら、それらの普及が、環境(「歴史的な偶然」)、生命の起源で課された制約の反映又はリボフラノースベースの核酸の化学的代替物が限られていることのいずれの結果であるかは知られていない。本明細書で、発明者らは、自然界において見出されない化学的に単純な核酸構造である1,5アンヒドロヘキシトール核酸(HNA)に基づく人工遺伝子系の開発を記載し、この系の遺伝及び進化に対する能力を実証する。ポリメラーゼの進化及び設計を使用して、発明者らは、DNA鋳型HNAポリメラーゼ及びHNA逆転写酵素の両方を作った。ともに、これらは、DNAからHNAへ、そしてDNAに戻る、遺伝情報の効率的な伝達を可能にし、RNAウイルス複製に匹敵する1.4×10−2の正確性の総計を有するHNAベースの遺伝を確立する。発明者らは、RNA標的(HIV−TAR)に対して特異的な全HNAアプタマーの新規の選択によって、この新しい合成遺伝物質の進化をさらに実証する。発明者らの結果は、完全に非天然の系によって、遺伝及び進化の両方をもたらすことができることを示し、リボフラノースベースの核酸に基づいて構築されることとなる、生命にとって必須で機能的な命令はないことを示唆する。
本発明は、オルソゴナル核酸の化学的性質を使用する、第3のタイプの遺伝物質に基づく人工遺伝子系の設計及び構築、特に、新しい、配列が定められた核酸ポリマーの鋳型合成、複製、及び進化のための進化したポリメラーゼに関する。
そのような系は、診断、予後、及び治療法としての可能性のある適用と共に、新しい核酸ポリマーの合成、複製、及び進化のための技術を可能にする手掛かりとなる。治療上の適用に関して、DNA及びRNAの化学的性質において固有の全身性の制約のうちのいくつかを検討することもまた有望である。
発明者らは、本発明を例証するために例示的な主鎖構造として2つの非天然核酸構造、ヘキシトール核酸(HNA,Hexitol nucleic acid)及びシクロヘキセニル核酸(CeNA,Cyclohexenyl nucleic acid)を選択した。HNA及びCeNAのヌクレオチドは、天然に存在するキナーゼに対して非常に弱い基質であり、したがって、細胞に対して無毒性である。HNA及びCeNAポリマーは、天然に存在するヌクレアーゼに対する基質ではなく、そのため、DNアーゼによってもRNアーゼによっても分解されない。HNA及びCeNAの両方は、ヌクレアーゼ分解に対して十分に抵抗性であり、DNA又はRNAの修飾酵素に対する基質ではないと思われる。有意には、それらは、ヌクレオチドとして細胞に対して無毒性であり、細胞性の複製、転写、及び翻訳機構によって基質として認識されないと思われる。同時に、それらは、遺伝情報の伝達のための本質的な特性である、DNA及びRNAと配列特異的な二重鎖を形成する能力を決定的に保持する。HNAは、標準的なA又はB型構造ヘリックスとは異なる二重鎖構造を形成することが知られており(また、CeNAは、そのように予測され)、これは、新しい機能の可能性を有する新しいアプタマーの立体構造及び構造モチーフの形成を可能にし得る。HNA単量体(長命の治療薬の最終的な分解から生じるかもしれない)は、細胞に対して無毒性であることが示されてきた。そのため、HNA及びCeNAは、オルソゴナル遺伝子系の構築及びアプタマーなどのような核酸治療薬の単離に応用するための理想的なスペクトルの特性を兼ね備える。
適切には、HNAポリメラーゼの適用については、本発明のポリメラーゼは、「6G12」について示される変異を含む。
適切には、RNAポリメラーゼの適用については、本発明のポリメラーゼは、「D4N3」などのような「D4」について示される変異を含む。特に、これは、「D4N3」においてY409NであるY409変異を含む。
適切には、本発明のCeNAポリメラーゼ適用については、ポリメラーゼは、「C7」又は6G12について示される変異を含む。
本発明の多数のポリメラーゼが、複数のオルソゴナル核酸に対して活性を示すことが十分に理解されるであろう。例えば、1つの酵素は、RNA逆転写酵素及びHNA逆転写酵素活性の両方を示すことができる。その酵素が完全な校正機能を有する場合、HNA逆転写酵素として適していそうにないが、RNA逆転写酵素としては適したままである。
本発明に従って有用な酵素と考えられるために(つまり、特定される機能を有することができると考えられるために)、本発明のポリメラーゼ又は逆転写酵素は、長さが少なくとも14のヌクレオチド、適切には、長さが少なくとも15のヌクレオチド、より適切には、長さが40のヌクレオチド、最も適切には、長さが少なくとも50のヌクレオチドのポリマーを産生できるものであるべきである。
長さが少なくとも50のヌクレオチドのポリマーの合成について最もストリンジェントな基準に従って、ポリメラーゼC7及び6G12は、RNAに対して作用すると見なされなくてもよく、ポリメラーゼD4及びC7は、HNAに対して作用すると見なされなくてもよい。したがって、本発明のポリメラーゼが、特定のタイプのオルソゴナル核酸のためのものである又はそれに対して特異的であるとして説明される場合、それらがポリマー又は少なくとも40のヌクレオチド、適切には、長さが少なくとも50のヌクレオチドを一貫して産生することができることが期待されることが理解されるはずである。
典型的に、最も小さなアプタマー又はリボザイムは、フォールドするためにおよそ40のヌクレオチドの配列を必要とする。より適切には、小さなアプタマー又はリボザイムはまた、ポリメラーゼ結合のための少数の余分なヌクレオチドを含み、そのため、適切には、長さが少なくとも約50のヌクレオチドである。アプタマースクリーニングの適用のために、典型的な好ましい最小の長さは、そのため、50のヌクレオチドである。
定義
用語「含む(comprises)」(含む(comprise)、含む(comprising))は、当技術分野におけるその通常の意味を有する、つまり、明示される特徴又は特徴の群が含まれるが、用語が、いかなる他の明示される特徴又は特徴の群も、同様に存在することから除くわけではないことが理解されたい。
本明細書において使用されるように、逆転写酵素又は「逆転写酵素活性」という用語は、非DNAポリマー鋳型からのDNAポリマーの生産を指す。したがって、非DNA鋳型がRNAを含む場合、用語は、当技術分野におけるその通常の意味を有する。文脈から明らかであるように、多数の態様及び実施形態において、本発明は、例えばRNA、HNA、CeNA、又は他のそのような非DNA鋳型であってもよい非DNAポリマー鋳型からDNAポリマーを生産する意味の逆転写酵素活性に関する。したがって、逆転写酵素は、古典的に、RNA依存性DNAポリメラーゼと見なされてもよい。他の非DNAヌクレオチドポリマーについては、用語「逆転写酵素」は、鋳型核酸がもちろん変更されてもよい以外は、同じ全体的な意味を有する。例えば、HNAに対する逆転写酵素は、HNA依存性DNAポリメラーゼを意味し、CeNAに対する逆転写酵素は、CeNA依存性DNAポリメラーゼを意味する。
非DNAヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド以外のヌクレオチドを意味する。例えば、それは、RNAポリマーを作製するために使用されてもよい通常のリボヌクレオチドを意味してもよい。その代わりに、それは、ヘキシトール(HNA)ヌクレオチド又はシクロヘキセニル(CeNA)ヌクレオチド又は他のそのようなヌクレオチドポリマーなどのような、任意の他の種類の非DNAヌクレオチドを意味してもよい。最も適した非DNAヌクレオチド又はポリマーはまた、非RNAヌクレオチド又はポリマーでもある、つまり、最も適切には、非DNAポリマーは、XNA又は3NA(HNA又はCeNAなど)であってもよい。
適切には、本発明は、全く新しいポリマー、つまりオルソゴナル核酸の生産に関する。目標は、従来のDNAポリマーにおいてコードされる情報と同じ、そのポリマーにおいてコードされる情報を保つことである。例えば、第5の塩基を含むこと又は4つの従来の塩基以上に遺伝アルファベットを拡張することは本発明の目的ではないが、所望される場合、当業者によってこのように本発明を適用することができる。適切には、本発明のポリマーは、それらの情報内容の点から従来のDNAポリマーと同じ4つの塩基を示す。
オルソゴナル核酸は、非DNA核酸である。例として、本明細書において記載されるHNA又はCeNAを含む。これらの非DNA核酸は、文脈から明らかであるように、時に「3NA」又は「XNA」と呼ばれる。適切には、オルソゴナル核酸は、HNA又はCeNAである。最も適切には、オルソゴナル核酸は、HNAである。HNAは、本明細書において説明されるオルソゴナル核酸のうちで最も実験的に扱いやすいので、特に好都合である。
ポリメラーゼ
原理的に、本発明のポリメラーゼは、操作者の選択により、出発ポリメラーゼ又は「ポリメラーゼ主鎖」の対応する部位に本明細書において記載される特異的な変異を導入することによって作製されてもよい。このように、その出発ポリメラーゼの活性は、本明細書において記載されるオルソゴナル活性をもたらすために修飾されてもよい。
ポリメラーゼ主鎖は、よく知られているpolB酵素ファミリーの任意のメンバーであってもよい(配列番号1の例示的な真の野生型TgoT配列とわずか36%の同一性を示すpolデルタバリアントを含む)。より適切には、ポリメラーゼ主鎖は、ウイルスポリメラーゼを除く、よく知られているpolB酵素ファミリーの任意のメンバーであってもよい。より適切には、ポリメラーゼ主鎖は、配列番号1に対して少なくとも36%、適切には、少なくとも50%、適切には、少なくとも60%、適切には、少なくとも70%、適切には、少なくとも80%の同一性を有する、よく知られているpolB酵素ファミリーの任意のメンバーであってもよい。80%の同一性レベルでは、本発明は、適切には、古細菌サーモコッカス及び/又はパイロコッカス属由来のpolB酵素を包含する。好ましい実施形態では、適切には、ポリメラーゼ主鎖は、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する。
他のポリメラーゼ主鎖を使用する場合、当技術分野においてよく知られており、かつ上記に述べられるように、変異は、等価な位置に移動する。例えば、例示的なポリメラーゼ6G12に関して、以下の表は、代替の主鎖への変異の移動がどのように実行されてもよいかを示す。表は、Pol6G12の変異及び他のPolBにおける構造的に等価な位置を示す。Pol6G12において見つけられる変異は、野生型Tgoの基礎的な配列に対して示す。他のよく研究されているB−ファミリーポリメラーゼにおける構造的に等価な残基を示す。等価な位置にマッピングされなかった残基は、N.D.と示す。
最も適切には、ポリメラーゼ主鎖は、古細菌サーモコッカスTgoT polBであり、真の野生型配列は、配列番号1において示されるとおりである。これは、参照配列として果たし、本発明の好ましい実施形態は、この配列に関して記載される。
参照配列
ポリメラーゼの特定のアミノ酸残基が数値アドレスを使用して指される場合、ナンバリングは、配列番号1の真の野生型TgoT polBアミノ酸配列(又はそれをコードする核酸配列)に関してなされる。
これは、所望の残基を位置づけるために、当技術分野においてよく理解されるように使用される。これは、必ずしも、厳密なカウント作業だとは限らず、情況に注意を払われなければならない。例えば、所望のタンパク質の長さがわずかに異なる場合、E664(例えば)に対応する、その配列における正確な残基の位置の決定は、所望の配列の664番目の残基を単に採用するのではなく、配列をアライメントし、等価な又は対応する残基を選ぶことを必要としてもよい。これは、当業者の範囲内に十分にある。
変異は、言及される残基、モチーフ、又は領域の置換又は切断又は欠失を指してもよい。好ましくは、変異は、置換を意味する。したがって、明確に又は文脈によって他に示されない限り、「変異」は、本明細書において言及されるアミノ酸の置換を指すようにとられてもよい。
変異は、例えば、変異配列を有するポリペプチドの合成によって、ポリペプチドレベルで達成されてもよく、又は例えば、変異配列をコードする核酸を作製することによって、ヌクレオチドレベルで達成されてもよく、この核酸は、変異ポリペプチドを産生するように、続いて翻訳されてもよい。所与の変異部位に対する置換アミノ酸としてアミノ酸が特定されない場合、デフォルトとしてアラニン(A)が使用されてもよい。適切には、特定の部位(複数可)で使用される変異は、本明細書において説明されるとおりである。
断片は、適切には、長さが少なくとも10のアミノ酸、適切には、少なくとも25のアミノ酸、適切には、少なくとも50のアミノ酸、適切には、少なくとも100のアミノ酸、又は適切には、所望のポリメラーゼポリペプチドの大部分、つまり387以上のアミノ酸、適切には、少なくとも500のアミノ酸、適切には、少なくとも600のアミノ酸、適切には、少なくとも700のアミノ酸、適切には、TgoT polB配列の全773のアミノ酸である。
配列変異
本発明のポリメラーゼは、本明細書においてより詳細に記載される重要な変異に加えて、野生型配列に比べて配列変化を含んでいてもよい。特に、本発明のポリメラーゼは、本明細書において記載されるポリメラーゼの機能又は作用を著しく損なわない部位に配列変化を含んでいてもよい。
ポリメラーゼ機能は、その機能が抑止されていない又は著しく改変されていないことを検証するために、実施例の部においてなどのように記載されるように、ポリメラーゼを作動させることによって容易に試験されてもよい。
したがって、ポリメラーゼが本明細書において説明されるように容易に試験することができるその機能を保持することを考慮すれば、配列変異は、野生型参照配列に関してポリメラーゼ分子においてなされてもよい。
保存的置換は、例えば下記の表に従ってなされてもよい。第2のカラムにおける同じブロックにおける、好ましくは第3のカラムにおける同じ行のアミノ酸は、互いに置換されてもよい。
どのような変異、置換、又は他のそのような変化が野生型配列に関してなされてもよいかを考慮する際には、ポリメラーゼの機能の保持が優先する。典型的に、保存的アミノ酸置換は、機能に悪影響を及ぼす可能性がそれほどないであろう。適切には、本発明のポリメラーゼは、説明される以外は、保存的アミノ酸置換によってのみ野生型配列から変化している。
配列相同性/同一性
配列相同性も、機能的な類似性(つまり、類似する化学的特性/機能を有するアミノ酸残基)の点から考慮することができるが、本明細書との関連において、配列同一性の点から相同性を表現することが好ましい。
配列比較は、眼によって、又はより通常では、容易に入手可能な配列比較プログラムの援助によって行うことができる。これらの公的に、また市販で入手可能なコンピュータープログラムは、2つ以上の配列の間の相同性パーセント(同一性パーセントなど)を計算することができる。
同一性パーセントは、連続する配列にわたり計算されてもよい、つまり、一方の配列は、他方の配列とアライメントされ、一方の配列におけるそれぞれのアミノ酸は、他方の配列における対応するアミノ酸と直接、同時に1つの残基が比較される。これは、「ギャップなし(ungapped)」アライメントと呼ばれる。典型的に、そのようなギャップなしアライメントは、比較的短い数の残基(例えば50未満の連続するアミノ酸)にわたってのみ実行される。
これは非常に単純で一貫した方法であるが、例えば、別の方法では同一となる対の配列において、ある挿入又は欠失が、次のアミノ酸残基をアライメント不能にし、したがって、グローバルアライメント(全配列にわたるアライメント)が実行される場合、可能性として、相同性パーセント(同一性パーセント)における大きな低下をもたらすことを考慮に入れない。したがって、ほとんどの配列比較法は、全体的な相同性(同一性)スコアに不当にペナルティーを科すことなく、可能性のある挿入及び欠失を考慮に入れる最適なアライメントをもたらすように設計される。これは、配列アライメントにおいて局所的な相同性/同一性を最大限にすることを試みるために「ギャップ」を挿入することによって達成される。
これらのより複雑な方法は、アライメントにおいて生じるそれぞれのギャップに「ギャップペナルティー」を割り当て、同数の同一のアミノ酸について、できるだけ少数のギャップを有する配列アライメント−2つの比較配列の間のより高度な関連性を示す−は、多くのギャップを有するものよりも高度なスコアを達成するであろう。ギャップの存在について比較的高度なコスト及びギャップにおけるそれぞれの続く残基に対してより小さなペナルティーを課す「アフィンギャップコスト(affine gap cost)」が、典型的に使用される。これは最も一般に使用されるギャップスコアリングシステムである。高度なギャップペナルティーは、もちろん、より少数のギャップを有する最適化されたアライメントをもたらすであろう。ほとんどのアライメントプログラムは、ギャップペナルティーが修正されるのを可能にする。しかしながら、配列比較のためにそのようなソフトウェアを使用する場合、デフォルト値を使用することが好ましい。例えば、GCG Wisconsin Bestfitパッケージ(以下を参照されたい)を使用する場合、アミノ酸配列に対するデフォルトギャップペナルティーは、ギャップに対して−12であり、それぞれのエクステンションに対して−4である。
そのため、最大の相同性パーセントの計算は、第1に、ギャップペナルティーを考慮する最適なアライメントの生成を必要とする。そのようなアライメントを実行するのに適したコンピュータープログラムは、GCG Wisconsin Bestfitパッケージである(University of Wisconsin, U. S. A; Devereux et al., 1984, Nucleic Acids Research 12:387)。配列比較を実行することができる他のソフトウェアの例は、BLASTパッケージ、FASTA(Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410)、及び比較ツールのGENEWORKSスーツを含むが、これらに限定されない。
最終的な相同性パーセントは、同一性の点から測定することができるが、アライメントプロセスはそれ自体、全か無かの対比較に基づかない。その代わりに、化学的類似性又は進化論的な距離に基づいてそれぞれの対での比較にスコアを割り当てるスケールド類似性スコアマトリックス(scaled similarity score matrix)が、一般に使用される。一般に使用されるそのようなマトリックスの例は、BLOSUM62マトリックス−プログラムのBLAST suiteのためのデフォルトマトリックスである。GCG Wisconsinプログラムは、一般に、公的なデフォルト値か、又は提供される場合には、特注のシンボル比較表かのいずれかを使用する。GCGパッケージのための公的なデフォルト値又は他のソフトウェアの場合には、BLOSUM62などのようなデフォルトマトリックスを使用することが好ましい。一旦ソフトウェアが最適なアライメントを生成したら、相同性パーセント、好ましくは配列同一性パーセントを計算することが可能である。ソフトウェアは、典型的に、配列比較の一部としてこれを行い、数的な結果を生成する。
適切には、同一性は、本明細書において開示される適切なポリペプチド配列(複数可)、最も適切には、完全長前駆体である、配列番号1の「真の野生型」TgoT polB配列と少なくとも400又は500好ましくは600、700、又はそれ以上のアミノ酸にわたりアミノ酸レベルで評価される。
適切には、相同性は、非本質的な隣接する配列ではなく、タンパク質機能にとって本質的であることが知られている配列の1又は2以上のそれらの領域を基準にして考慮されるべきである。遠縁生物由来の相同な配列を考慮する場合、これは、とりわけ重要である。
保存領域を考慮する場合、適切には、配列番号1及びpolB酵素ファミリーのpolデルタメンバーの両方に共通の残基の36%は、他に説明されない限り、本発明のポリペプチドにおいて適切には変異されない、可能性として重要な残基であると考えられる。したがって、適切には、本発明のポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも36%の同一性を有し、適切には、当該少なくとも36%の同一性を構成するアミノ酸残基は、配列番号1及びpolB酵素ファミリーのpolデルタメンバーの間で同一であるものに対応するアミノ酸残基を含む。適切には、本発明のポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも36%の同一性を有し、polB酵素ファミリーのpolデルタメンバーに対して少なくとも36%の同一性を有する。
同じ考慮は、核酸ヌクレオチド配列に当てはまる。
本発明のポリヌクレオチド
本発明のポリヌクレオチドは、組換え複製可能ベクターの中に組み込むことができる。ベクターは、適合する宿主細胞において核酸を複製するために使用されてもよい。したがって、さらなる実施形態では、本発明は、複製可能ベクターの中に本発明のポリヌクレオチドを導入し、適合する宿主細胞の中にベクターを導入し、ベクターの複製をもたらす条件下で宿主細胞を成長させることによって、本発明のポリヌクレオチドを作製するための方法を提供する。ベクターは、宿主細胞から回収されてもよい。適した宿主細胞には、大腸菌などのような細菌を含む。
好ましくは、ベクター中の本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞によってコード配列の発現をもたらすことができる制御配列に作動可能に連結される、つまり、ベクターは、発現ベクターである。用語「作動可能に連結される」は、記載される構成成分が、それらの意図される様式でそれらが機能するのを可能にする関係にあることを意味する。コード配列に「作動可能に連結される」調節性配列は、コード配列の発現が制御配列に適合した条件下で達成されるようにライゲーションされる。
本発明のベクターは、本発明のタンパク質の発現をもたらすために、記載される適した宿主細胞の中に形質転換されてもよい又はトランスフェクトされてもよい。このプロセスは、タンパク質をコードするコード配列のベクターによる発現をもたらすための条件下で、上記に記載される発現ベクターで形質転換した宿主細胞を培養するステップ及び任意選択で、発現タンパク質を回収するステップを含んでいてもよい。
ベクターは、例えば、複製開始点、任意選択で、当該ポリヌクレオチドの発現のためのプロモーター、及び任意選択で、プロモーターの制御因子が提供されたプラスミド又はウイルスベクターであってもよい。ベクターは、1又は2以上の選択マーカー遺伝子、例えば細菌プラスミドの場合にはアンピシリン抵抗性遺伝子を含有していてもよい。ベクターは、例えば、宿主細胞をトランスフェクトする又は形質転換するために使用されてもよい。
本発明のタンパク質をコードする配列に作動可能に連結される制御配列は、プロモーター/エンハンサー及び他の発現調節シグナルを含む。これらの制御配列は、発現ベクターがその中で使用されるように設計される宿主細胞と適合するように選択されてもよい。プロモーターという用語は、当技術分野においてよく知られており、ミニマルプロモーターから上流エレメント及びエンハンサーを含むプロモーターに及ぶサイズ及び複雑性の核酸領域を包含する。
タンパク質の発現及び精製
本発明のタンパク質は、例えば下記及び実施例において記載されるように、組換え手段によって典型的に作製される。しかしながら、それらはまた、固相合成などのような、当業者らによく知られている技術を使用する合成手段によって作製されてもよい。本発明のタンパク質はまた、例えば、抽出及び精製を支援するために融合タンパク質として産生されてもよい。融合タンパク質パートナーの例は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、6xHis、GAL4(DNA結合及び/又は転写活性化ドメイン)、並びにβ−ガラクトシダーゼを含む。融合タンパク質配列の除去を可能にするために、融合タンパク質パートナー及び所望のタンパク質配列の間にタンパク分解性切断部位を含むこともまた、好都合であろう。明らかに、選択される融合タンパク質は、本発明のポリメラーゼの機能を妨げてはならない。
適切には、本発明のポリメラーゼは、本発明のポリメラーゼが、本明細書において述べられるように、その熱安定性特性に基づいて及び/又は単純なよく知られている精製手法を使用して好都合に精製されてもよいので、精製のためのいかなる配列にも融合されない。
本発明のポリヌクレオチドを含む宿主細胞は、本発明のタンパク質を発現するために使用されてもよい。宿主細胞は、本発明のタンパク質の発現を可能にする、適した条件下で培養されてもよい。本発明のタンパク質の発現は、それらが絶えず産生されるように恒常的であってもよい又は誘発性で、発現を開始するために刺激を必要としてもよい。誘発性の発現の場合には、タンパク質産生は、例えば、培養培地に対する誘発因子物質、例えばデキサメタゾン又はIPTGの追加によって、必要とされる場合に開始することができる。
本発明のタンパク質は、酵素的、化学的、及び/又は浸透圧溶解による、並びに物理的破壊を含む当技術分野において知られている様々な技術によって宿主細胞から抽出することができる。
ポリメラーゼ変異体
発明者らは、オルソゴナルポリメラーゼ機能を提供するために変えられてもよい、ポリメラーゼ酵素の新しい領域を同定した。ポリメラーゼ酵素の従来の構造モデルを参照すると、同定されているパッチは、酵素の「thumb」部分に位置する。承認されているモデルでは、ポリメラーゼは、酵素の構造によって定められる中央の空間を通過するDNA「ロッド」のまわりに広がる右「手」と考えられている。記載されるオルソゴナルポリメラーゼ機能を提供するために変化させてもよい発明者らが教示する酵素の領域は、酵素の「thumb」部分である。より詳細には、それは、DNA「ロッド」が酵素の「手」を通り過ぎる出口点のthumbの部分である。
発明者らが変化させるべきであると教示する酵素の領域は、「thumb」領域である。thumb領域は、酵素の単一の三次元部分に相当する。しかしながら、この単一の三次元thumb構造は、アミノ酸配列の、離れた直鎖状の部分に相当する。この直鎖状の部分内で、オルソゴナルポリメラーゼ機能を特定する2つのパッチが、同定される。これらの2つのパッチは、パッチ10A及びパッチ12と呼ばれ、下記により詳細に説明される。
パッチ10A
パッチ10Aは、配列番号1のアミノ酸651〜679に相当する。このパッチにおける変異は、少なくともRNA、CeNA、又はHNAに対するオルソゴナルポリメラーゼ活性を提供することができる。パッチ10Aは、本明細書において記載される最も重要なパッチと考えられる。
パッチ10A内には、特別に重要なモチーフがあり、これは、アミノ酸662〜666の小さなベータシート領域である。この領域は、核酸主鎖の近くの空間を占め、とりわけ、ポリメラーゼ(複数可)がRNAを産生するように作用するように適切に変異している。特に、残基E664は変異させるのに適しており、例えばE664Q又はE664Kが、とりわけE664Kが最も好ましい。この変異体は、RNA産生にとりわけ適している。
662〜666領域(特にE664)は、RNAポリメラーゼにとってとりわけ重要であるが、効果は、RNAポリメラーゼに限られない。例えば、E664位は、C7(配列番号5;優れたCeNA pol活性)及び6G12(配列番号12;優れたHNA pol活性)の両方において変異している。したがって、適切には、本発明のオルソゴナルポリメラーゼは、E664QなどのようなE664変異を含む。
RNAポリメラーゼについては、適切には、Y409NなどのようなY409変異が含まれ、これは、パッチ10Aの外側に位置する。これは、RNA pol活性を増加させるという長所を有する。
パッチ12
パッチ12は、配列番号1のアミノ酸734〜765を含む。パッチ12の変異は、少なくともHNA又はCeNAに対するオルソゴナルポリメラーゼ活性を提供することができる。パッチ12は、重要であるが、パッチ10Aほど重要でないと考えられてもよい。
適切には、変異は、パッチ12及び10Aの一方又は他方又は両方になされてもよい。一方のパッチのみが変異させられる場合、適切には、それは、パッチ10Aである。
理論によって束縛されることを望むものではないが、これらのパッチにおける最良の変異は、それが、もはや、酵素からのヌクレオチドポリマーの出口でその門番の機能を実行しないように、この領域の「thumb」構造を改変するものであると考えられる。これらのタイプの変異をなすことによって、酵素の天然の「フィルタリング」機能は、改変され又は不能になり、それによって、好都合に、酵素をより乱雑にし、オルソゴナル核酸ポリマーをより産生することができるようにすると考えられる。
さらなるポリメラーゼ変異は、提供される特異的で代表的な配列において見い出されるが、これは、重要なthumbドメインパッチ10A及び12の外部にある。これらは、配列表において示される本発明のポリメラーゼ(複数可)についての代表的な配列(複数可)を、配列番号2において示される好ましい主鎖ポリペプチドと比較し、パッチ10A(アミノ酸651〜679)及びパッチ12(アミノ酸734〜765)において生じる変異を無視することによって定められてもよい。このプロセスによって同定される、結果として生じる変異は、それぞれ、本発明のポリメラーゼ(複数可)に含まれていてもよい、さらに最適化した変異である。
代表的なPol6G12によるHNA合成にとって重要なのは、典型的に、多くのPolB apo構造(例えば2JGU(非特許文献27)、1Q8I、1QHT(非特許文献28)、1WNS(非特許文献29))では明白でないが、大腸菌pol II三元複合体(3MAQ)(非特許文献30)で決定される、ポリメラーゼthumbサブドメインの可動性領域(Tgo:G586〜T773)における変異である。構造的に、この領域は、エキソヌクレアーゼドメインに近位の表面に沿ってthumbを横断し、+3〜+7の新生鎖と密接に接触する。発明者らは、この構造領域が伸長チェックポイントとして果たし、進化性のHNA合成を可能にするためにPol 6G12における変異によって再構築されたことを仮定する。実際、同じモチーフにおける他の変異は、他の非同起源の核酸ポリマーの進化性の合成を可能にし(CC、VBP、PHにより投稿準備中)、このポリメラーゼ領域についての一般的な特異性機能を示す。Pol6G12の他の変異(V589A、I610M、E664Q、Q665P、R668K、T676R、及びA681S)のうちのいくつかのものは、新生鎖の近くのポリメラーゼの内部表面のまわりに密集する。これらの変異は、非標準的なHNA・DNAハイブリッドの順応を可能にするためのポリメラーゼの二重鎖結合「ファンネル(funnel)」をさらに作り変えるであろう。
逆転写酵素変異体
本発明のポリメラーゼは、逆転写酵素活性をそれに与えるために変異させてもよい。言いかえれば、本発明のポリメラーゼは、オルソゴナル核酸鋳型からのDNAポリマーの生産を可能にするように変異させてもよい。
適切には、オルソゴナル逆転写酵素活性をもたらすために、本発明のポリメラーゼは、I521及び/又はY388で変異している。
より短い適応性のある経路が、発明者らをHNA−RTに導いた。関連するpolBファミリーポリメラーゼPfuにおけるRNA−RT活性と関連することが以前に同定された残基であるL408は、高度にスコア化されなかったが、SCAは、協調的変異(covariation)ネットワークへの明らかな関与を有する4つの近位の残基を同定し、これらのうちのたった1つの変異(I521L)が、有意なHNA逆転写酵素活性を有するポリメラーゼをもたらした。驚いたことに、I521は、HNA鋳型鎖の近くに位置しておらず、むしろ、プライマー鎖3’末端の近位にあるポリメラーゼ活性部位において、保存C−モチーフにおける残基540〜542(DTDモチーフ)上に収まっている。したがって、I521L変異は、HNA鋳型鎖とのポリメラーゼの相互作用を直接改変しないかもしれないが、むしろ、生産的な伸長を可能にするために新生鎖3’末端の位置を変えることによって、HNA鋳型に対するRT活性を促進する。
上記に記載される変異に特異的な長所は、それらが、維持されるポリメラーゼの校正機能により、RNA鋳型からのDNA核酸の産生において変異ポリメラーゼを使用するのを可能にすることである。言いかえれば、本発明の逆転写酵素変異体は、鋳型としてRNAを用いて使用されてもよいが、ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼは、損なわれていない(例えば、野生型残基などのような機能的な残基として少なくともD141及びE143を残す)。これは、優れた結果、例えば、従来のトランスクリプターゼ酵素よりも1又はさらに2桁大きな正確性をもたらす。
HNA又はCeNAなどのような他のオルソゴナル核酸鋳型に対する最適な活性は、ポリメラーゼの校正/エキソヌクレアーゼ機能が、例えばさらなる変異によって阻害される又は除去されることを必要としてもよいことに注意されたい。特に、鋳型がHNAである場合、ポリメラーゼの校正/エキソヌクレアーゼ機能は、不活性化されているべきである。
酵素の逆転写酵素活性は、さらに最適化されてもよい。例えば、RNAが鋳型である場合に、活性を増強するために本発明の変異と組み合わせてなされてもよい、多くの知られている変異がある。例えば、好ましいD4N3ポリメラーゼのアスパラギン変異は、鋳型としてRNAを使用する場合、活性を増強するためになされてもよい。
主鎖変異
本発明の酵素が非DNAポリメラーゼであるか又は逆転写酵素であるかに関わらず、主鎖ポリペプチドに好都合になされてもよい多くの変異がある。
あるそのような変異は、配列番号1のA485位の「therminator」変異体(New England Bio Labs社)である。適切には、主鎖は、A485LなどのようなA485変異を有する。これは、非天然基質の組み込みを増強するという長所を有する。
他のそのような変異は、配列番号1のV93位である。適切には、主鎖は、V93QなどのようなV93変異を有する。これは、例えば鋳型がウラシルを含む場合に生じ得る先読み停止を不能にするという長所を有する。
他のそのような変異は、配列番号1のD141位及びE143位である。適切には、主鎖は、D141AなどのようなD141変異を有し、適切には、主鎖は、E143AなどのようなE143変異を有し、最も適切には、主鎖は、D141A及びE143AなどのようなD141及びE143の変異の両方を有する。これは、酵素のエキソヌクレアーゼ機能を無効にするという長所を有する。これは、さらに、非天然基質の組み込みを増強する。
言及される変異は、相互に適合性である、言いかえれば、本発明のポリペプチドは、同じポリペプチドにおいてそれぞれの主鎖変異を有していてもよい。この例は、配列番号2にある。これは、時に、「野生型」配列と呼ばれ、本発明の変異が導入されてもよい出発ポリメラーゼ主鎖の優れた例と見なされてもよい。したがって、適切には、好ましい主鎖変異V93Q、A485L、D141A、及びE143Aの4つすべてが、本発明のポリペプチド中に存在する。
厳密な意味では、もちろん、それが主鎖においてこれらの4つの変異を既に有するので、配列番号2の配列が真の「野生型」でないことに注意されたい。参照の容易さのために、真の野生型配列は、配列番号1として示し、この配列は、明確にするために本明細書において「真の野生型」と呼ぶ。
他の従来の変異は、ポリメラーゼ/逆転写酵素に適用されてもよい。さらに、他の最適化する変異は、必要に応じてなされてもよい。
切断
本発明の全体的に完全長のポリメラーゼ酵素の切断は、所望される場合、なされてもよい。適切には、完全長ポリメラーゼポリペプチドは、添付の配列表において示されるように、完全長TgoTポリメラーゼ1〜773などのように、主鎖ポリペプチドとして使用される。使用されるいかなる切断も、活性について注意深くチェックされるべきである。これは、本明細書において記載されるように、酵素(複数可)をアッセイすることによって容易に行われてもよい。
精製
本発明のポリメラーゼは、好都合に、熱安定性である。従来の(非熱安定性の)宿主株においてこれらのポリメラーゼを発現させることによって、精製は、好都合に、単純化される。例えば、本発明のポリメラーゼが従来の非熱安定性宿主細胞において発現される場合、単純に、宿主細胞を99℃まで加熱し、その後に細胞破片の遠心性の除去を行うことによって、およそ90%の純度が得られ得る。高純度レベルは、例えば、宿主細胞の熱処理可溶性分画をイオン交換及び/又はヘパリンカラム精製にかけることによって容易に得られ得る。
適切には、本発明のポリメラーゼは、いかなる他のポリペプチドにも融合されない。
適切には、本発明のポリメラーゼは、いかなるさらなるポリペプチド又は融合物によってもタグ付けされない。
説明される特定のパッチに向けられる変異は、ポリメラーゼの機能の損失を伴わない、広範囲のアミノ酸のいずれかへの置換であってもよいことは、本発明の長所である。定められるパッチは、アミノ酸変化に非常に耐性がある。
正確性
十分な正確性がオルソゴナル核酸ポリマーの正確な産生(又は複製)のために維持されることは、明らかに重要である。適切には、本発明のポリメラーゼは、少なくとも95%の正確性を保持する。正確性(エラー閾値)は、重合されたヌクレオチドの数で割った、導入されたエラーの数として得られてもよい。言いかえれば、1%のエラー率は、重合される100のヌクレオチドごとの1つのエラーの導入に等しい。実際、本発明のポリメラーゼは、これよりも非常によい正確性に達する。5%以下のエラー率は、本発明のポリメラーゼについての最小の有用な正確性レベルと見なされ、適切には、本発明のポリメラーゼは、4%以下、適切には3%以下、適切には2%以下、適切には1%以下のエラー率を有する。
特に指定のない限り、正確性は、正確性の総計(例えばDNA−3NA−DNA)として評価されてもよく、これは、したがって、2つの変換事象(DNA−3NA及び3NA−DNA)を包含し、数値は、適宜、調整される又は解釈されるべきである。
区画化自己複製技術(Compartmentalised self-replication technology)
定向進化及び区画化自己複製の技術は、英国特許出願第97143002号及び第98063936号及び第01275643号において詳述されている。これらの文書は、参照によって本明細書において組み込まれる。
発明者らは、区画化自己タギング(compartmentalised self tagging)の方法を修飾し、驚いたことに、本明細書において定義されるように、基質範囲の拡張を示したDNAポリメラーゼを作製した。
区画化自己タギングの方法のさらなる詳細は、全般に、下記に示される。本明細書においてHNA又はCeNAについて例示されるものなどのようなオルソゴナル核酸ポリマーを合成するための能力の増強を示す(それらが由来するポリメラーゼと比較して)ポリメラーゼの選択において特に重要であるのは、区画化自己タギング法が修飾されたということである。これらの修飾は、下記に詳述される。
(i)マイクロカプセル
本発明のいくつかの適用において使用されるマイクロカプセルは、本発明の作業を可能にする適切な物理的特性を必要とする。
第1に、核酸及び遺伝子産物がマイクロカプセルの間で拡散し得ないことを保証するために、それぞれのマイクロカプセルの内容物は、周囲のマイクロカプセルの内容物から分離されていなければならず、実験のタイムスケールにわたりマイクロカプセルの間で核酸及び遺伝子産物の交換は全く又はほとんどない。
第2に、本発明のマイクロカプセル法は、マイクロカプセル当たり限られた数の核酸のみがあることを必要とする。これは、個々の核酸の遺伝子産物が他の核酸から分離されるであろうということを保証する。したがって、核酸及び遺伝子産物の間の共役は、高度に特異的であろう。濃縮係数は、マイクロカプセル当たり平均して1以下の核酸が最も優れており、個々の核酸の遺伝子産物が他のすべての核酸の産物から分離されるので、核酸及びコード遺伝子産物の活性の間の連結は可能な限り密接である。しかしながら、たとえ、マイクロカプセル当たり平均して1以下の核酸という理論上最適な状況が使用されなくても、マイクロカプセル当たり5、10、50、100、又は1000以上の核酸の比は、大きなライブラリーを選別するのに有益であることが証明されるだろう。異なる核酸分布を有する新たなカプセル化を含む選別の続くラウンドは、核酸のよりストリンジェントな選別を可能にするであろう。好ましくは、マイクロカプセル当たり1以下の核酸がある。
第3に、マイクロカプセルの形成及び組成は、機構の機能、核酸の発現、及び遺伝子産物の活性を消滅させてはならない。
したがって、使用されるいかなるマイクロカプセル化系も、これらの3つの必要条件を満たさなければならない。適切な系(複数可)は、当業者に明らかであるように、本発明のそれぞれの適用における必要条件の正確な性質に依存して変化してもよい。
種々様々のマイクロカプセル化手順が、利用可能であり(Benita, 1996を参照されたい)、本発明に従って使用されるマイクロカプセルを生成するために使用されてもよい。実際、200を超えるマイクロカプセル化法が、文献(Finch, 1993)において同定されている。
これらは、脂質小胞(リポソーム)などのような膜に包まれた水性小胞(New, 1990)及び非イオン性界面活性剤小胞(van Hot et al., 1996)を含む。これらは、非共有結合で構築された分子の単一の又は複数の二重層の閉じた膜状のカプセルであり、それぞれの二重層は、水性のコンパートメントによってその隣のものから分離されている。リポソームの場合には、膜は、脂質分子から構成され、これらは、通常リン脂質であるが、コレステロールなどのようなステロールもまた、膜の中に組み込まれてもよい(New, 1990)。RNA及びDNAポリメリゼーションを含む様々な酵素触媒生化学反応は、リポソーム内で実行することができる(Chakrabarti et al., 1994; Oberholzer et al., 1995a; Oberholzer et al., 1995b; Walde et al., 1994; Wick & Luisi, 1996)。
膜に包まれた小胞系により、水相の多くは小胞の外側にあり、そのため、区画化されていない。反応がマイクロカプセルに制限されるように、この連続的な水相は、除去されるべきである又は生命システムは、阻害される若しくは破壊されるべきである(例えばDNアーゼ又はRNアーゼを用いる核酸の消化によって)(Luisi et al., 1987)。
酵素触媒生化学反応もまた、様々な他の方法によって生成されたマイクロカプセルにおいて実証されている。AOT−イソオクタン水系(Menger & Yamada, 1979)などのような多くの酵素が、逆ミセル溶液において活性である(Bru & Walde, 1991; Bru & Walde, 1993; Creagh et al., 1993; Haber et al., 1993; Kumar et al., 1989; Luisi & B., 1987; Mao & Walde, 1991; Mao et al., 1992; Perez et al., 1992; Walde et al., 1994; Walde et al., 1993; Walde et al., 1988)。
マイクロカプセルはまた、界面ポリメリゼーション及び界面複合体形成によって生成することができる(Whateley, 1996)。この種のマイクロカプセルは、強固な非透過性の膜又は半透過性の膜を有することができる。硝酸セルロース膜、ポリアミド膜、及び脂質ポリアミド膜が境界をつける半透過性のマイクロカプセルはすべて、多酵素系を含む生化学反応を支援することができる(Chang, 1987; Chang, 1992; Lim, 1984)。非常に穏やかな条件下で形成することができるアルギン酸/ポリリシンマイクロカプセル(Lim & Sun, 1980)はまた、非常に生体適合性であることも証明されており、例えば、生きている細胞及び組織をカプセル化する有効な方法を提供する(Chang, 1992; Sun et al., 1992)。
エマルションなどのようなコロイド系における水性環境の相分割に基づく非膜状マイクロカプセル化系もまた、使用されてもよい。
好ましくは、本発明のマイクロカプセルは、エマルション;微視的又はコロイド状のサイズの液滴として他方において分散した相のうちの1つとの、2つの不混和性の液相の不均一系から形成される(Becher, 1957; Sherman, 1968; Lissant, 1974; Lissant, 1984)。
(ii)エマルション
エマルションは、不混和性の液体の任意の適した組み合わせから産生されてもよい。好ましくは、本発明のエマルションは、細かく分けられた液滴の形態で存在する相(分散相、内相、又は不連続相)としての水(生化学的構成成分を含有)及びこれらの液滴が浮遊するマトリックス(非分散相、連続相、又は外相)としての疎水性で不混和性の液体(「油」)を有する。そのようなエマルションは、「油中水型」(W/O)と呼ばれる。これは、生化学的構成成分を含有する水相全体が離散性の液滴(内相)において区画化されるという長所を有する。疎水性油である外相は、一般に、生化学的構成成分のどれも含有しておらず、よって不活性である。
エマルションは、1又は2以上の表面活性剤(界面活性剤)の追加によって安定させてもよい。これらの界面活性剤は、乳化剤と呼ばれ、相の分離を防ぐために(又は少なくとも遅延させるために)水/油界面で作用する。多くの油及び多くの乳化剤は、油中水型エマルションの生成のための使用することができ、最近の編集物は、16,000を超える界面活性剤を列挙し、これらの多くが乳化剤として使用されている(Ash and Ash, 1993)。適した油は、軽白色鉱油(light white mineral oil)並びにソルビタンモノオレエート(Span(商標)80;ICI社)及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(商標)80;ICI社)及びTriton-X-100などのような非イオン性界面活性剤を含む(Schick, 1966)。
陰イオン界面活性剤の使用もまた、有益であろう。適した界面活性剤は、コール酸ナトリウム及びタウロコール酸ナトリウムを含む。好ましくは0.5%w/v以下の濃度のデオキシコール酸ナトリウムが、特に好ましい。そのような界面活性剤の混入は、いくつかの場合には、核酸の発現及び/又は遺伝子産物の活性を増加させることができる。非乳化反応混合物に対するいくつかの陰イオン界面活性剤の追加は、翻訳を完全に停止する。しかしながら、乳化の間に、界面活性剤は、水相から界面に移動し、活性は修復される。乳化されることとなる混合物に対する陰イオン界面活性剤の追加は、反応が区画化の後にのみ進行することを保証する。
エマルションの生成は、一般に、複数の相を強制的に一緒にするために力学的エネルギーの適用を必要とする。撹拌機(磁気撹拌棒、プロペラ、及びタービン撹拌機、パドルデバイス、並びに泡立て器など)、ホモジナイザー(ローター固定子ホモジナイザー、高圧バルブホモジナイザー、及びジェットホモジナイザーを含む)、コロイドミル、超音波、並びに「膜乳化」デバイス(Becher, 1957; Dickinson, 1994)を含む、様々な機械的なデバイスを利用する、これを行うための様々な方法がある。
油中水型エマルション中で形成される水性マイクロカプセルは、一般に、安定しており、マイクロカプセルの間の核酸又は遺伝子産物の交換は、たとえあったとしても、わずかである。さらに、発明者らは、いくつかの生化学反応が、エマルションマイクロカプセル中で進行することを実証した。さらに、複雑な生化学的プロセス、特に遺伝子転写及び翻訳もまた、エマルションマイクロカプセル中で活性である。何千リットルの工業規模まで大量のエマルションを生成するための技術が存在する(Becher, 1957; Sherman, 1968; Lissant, 1974; Lissant, 1984)。
好ましいマイクロカプセルサイズは、本発明に従って実行されることとなる任意の個々の選択プロセスの正確な必要条件に依存して変化するであろう。すべての場合において、遺伝子産物の効率的な発現及び反応性を達成するのに、個々のマイクロカプセルにおける、遺伝子ライブラリーサイズ、必要とされる濃縮、及び構成成分の必要とされる濃度の間に最適なバランスがあるであろう。
本発明の方法を実行する場合に使用されるエマルション(複数可)の詳細は、実施例において提供される。
(iii)マイクロカプセル内の発現
発現のプロセスは、本発明によって提供される、それぞれの個々のマイクロカプセル内で通常、生じる。インビトロの転写及び共役転写−翻訳の両方は、ナノモル以下のDNA濃度でそれほど効率的でなくなる。限られた数のDNA分子のみがそれぞれのマイクロカプセル中に存在するという必要条件のために、そのため、これは、可能なマイクロカプセルサイズに基づいて実践的な上限を設定する。好ましくは、マイクロカプセルの平均体積は、5.2×10−16未満(10μm未満の直径の球状マイクロカプセルに相当する)、より好ましくは6.5×10−17未満(5μm)、より好ましくは約4.2×10−18(2μm)、理想的には約9×10−18(2.6μm)である。
マイクロカプセルにおいて有効なDNA又はRNA濃度は、当業者らによく知られているであろう様々な方法によって人工的に増加させてもよい。これらは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などのような体積排除化学物質の追加並びに大腸菌などのような細菌(Roberts, 1969; Blattner and Dahlberg, 1972; Roberts et al., 1975; Rosenberg et al., 1975)、真核生物、例えば(Weil et al., 1979; Manley et al., 1983)、並びにT7、T3、及びSP6などのようなバクテリオファージ(Melton et al., 1984)由来のものを含むRNAポリメラーゼを使用する転写;ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Saiki et al., 1988);Qβレプリカーゼ増幅(Miele et al., 1983; Cahill et al., 1991; Chetverin and Spirin, 1995; Katanaev et al., 1995);リガーゼ連鎖反応(LCR)(Landegren et al., 1988; Barany, 1991);並びに自家持続配列複製系(Fahy et al., 1991)及び鎖置換増幅(Walker et al., 1992)を含む様々な遺伝子増幅技術を含む。エマルション及びインビトロの転写又は共役転写−翻訳系が熱安定性である場合、PCR及びLCRなどのような熱サイクルを必要とする遺伝子増幅技術でさえ使用することができる(例えば、共役転写−翻訳系は、サームス・アクアティクス(Thermus aquaticus)などのような熱安定性生物から生成することができる)。
有効な局所的核酸濃度を増加させることによって、より大きなマイクロカプセルを有効に使用することができる。これは、約5.2×10−16(直径10umの球体に相当する)のマイクロカプセル体積に対する好ましい実践的な上限を可能にする。
マイクロカプセルサイズは、起こる必要のある生化学反応の必要とされる構成成分をすべてマイクロカプセル内に収容するのに十分に大きくなければならない。例えば、インビトロで、転写反応及び共役転写−翻訳反応の両方は、合計約2mMのヌクレオシド三リン酸濃度を必要とする。
例えば、長さが500塩基の単一の短いRNA分子に遺伝子を転写するために、これは、マイクロカプセル当たり最低500分子のヌクレオシド三リン酸(8.33×10−22モル)を必要とするだろう。2mM溶液を構成するためには、この分子数が、体積4.17×10−19リットル(4.17×10−22、球状である場合、93nmの直径を有するであろう)のマイクロカプセル内に含有されなければならない。
さらに、特に翻訳を伴う反応の場合には、翻訳が生じるのに必要なリボソームは、それ自体、直径がおよそ20nmであることに注意されたい。よって、マイクロカプセルについての好ましい下限は、およそ100nmの直径である。
そのため、マイクロカプセルの体積は、好ましくは、0.1〜10umの直径の球体に相当する約5.2×10−22〜5.2×10−16、より好ましくは、約5.2×10−19〜6.5×10−17(1um〜5um)である。約2.6umの球体の直径が、最も好都合である。
区画(2.6umの平均径の液滴)の好ましい寸法が、細菌に密接に似ていることは、偶然ではなく、例えば、大腸菌属は、1.1〜1.5×2.0〜6.0umの桿菌であり、アゾトバクター属は、1.5〜2.0umの直径の卵形の細胞である。ダーウィン的進化は、その最も単純な形態では、「一遺伝子型一表現型」のメカニズムに基づく。単一の区画化された遺伝子又はゲノムの濃度は、2umの直径の区画における0.4nMから、5umの直径の区画における25pMに低下する。原核生物の転写/翻訳機構は、約1〜2umの直径の区画において作動するように進化してきており、単一の遺伝子は、およそナノモルの濃度である。2.6umの直径の区画における単一の遺伝子は、0.2nMの濃度である。この遺伝子濃度は、効率的な翻訳に十分に高い。そのような体積における区画化はまた、たとえ遺伝子産物の単一の分子のみが形成されても、それが約0.2nM存在することをも確実にし、これは、遺伝子産物が核酸自体の修飾活性を有することになっている場合、重要である。マイクロカプセルの体積は、したがって、本発明の方法において、核酸/核酸の転写及び翻訳のための必要条件だけではなく、遺伝子産物に必要とされる修飾活性もまた忘れないで選択されるべきである。
エマルションマイクロカプセルのサイズは、選択系の必要条件に従ってエマルションを形成するために使用されるエマルション条件を調整することによって単純に変化させてもよい。最終的に、制限因子はマイクロカプセルのサイズ、したがって、単位体積当たり可能なマイクロカプセルの数となるので、マイクロカプセルサイズが大きいほど、所与の核酸/核酸ライブラリーをカプセル化するのに必要とされるであろう体積は大きい。
マイクロカプセルのサイズは、転写/翻訳系の必要条件だけではなく、核酸/核酸構築物のために用いられる選択系の必要条件を考慮して選択される。したがって、化学的修飾系などのような選択系の構成成分は、転写/翻訳に最適でない反応体積及び/又は試薬濃度を必要としてもよい。本明細書において記載されるように、そのような必要条件は、二次再カプセル化ステップによって提供されてもよく、さらに、それらは、全体として、転写/翻訳及び選択を最大限にするようにマイクロカプセルサイズを選択することによって提供されてもよい。例えば本明細書において記載される最適なマイクロカプセル体積及び試薬濃度の経験的な決定が、好ましい。
本発明に従う「核酸」は、好ましくは、DNA分子、RNA分子、合成の塩基のみ若しくは天然に存在する塩基と合成の塩基の混合物からなる、部分的に若しくは全体的に人工的な核酸分子からなる群から選択される分子又は構築物である。前述のもののいずれか1つは、ポリペプチドに連結されてもよい。
核酸の核酸部分は、遺伝子産物の効率的な発現に必要とされるもの、例えばプロモーター、エンハンサー、翻訳開始配列、ポリアデニル化配列、スプライス部位、及びその他同種のものなどのような適した調節性配列を含んでいてもよい。
(iv)産物選択
本発明の方法を実行するための好ましい方法の詳細は、実施例において提供される。しかしながら、当業者らは、示される実施例が非限定的であり、産物選択のための方法は、より一般的な用語で下記に説明されることを十分に理解するであろう。
リガンド又は基質は、当業者らに明らかであろう様々な手段によって核酸につなぐことができる(例えばHermanson, 1996を参照されたい)。本発明の方法によれば、リガンド又は基質は、「検出作用物質標識」、好ましくは、色素標識ヌクレオチド類似体、特に、Cy3CTP及び/又はCy5CTPである。
選別は、優先的な分離、増幅、又は検出作用物質標識核酸の存続を可能にする任意の方法によるものとすることができる。例として、結合(例えばDynabeads(商標)を使用する磁気分離に基づく技術を含む)による及び分解に対する抵抗による(例えば制限エンドヌクレアーゼを含むヌクレアーゼによる)選択を含む。
反応がすべて停止され、マイクロカプセルが組み合わせられる場合、選択される、活性な作られたポリメラーゼをコードする核酸は、「検出作用物質標識」と結合する又は特異的に反応する抗体又は他の分子を使用して濃縮することができる。基質及び産物の両方が、検出作用物質標識を有するが、活性遺伝子産物をコードする核酸のみが同時精製されるであろう。
用語「単離する」、「選別する」、及び「選択する」並びにその変形は、本明細書において使用される。本発明による単離は、不均一な集団、例えば混合物からある要素を分離するためのプロセスを指し、その結果、それは、それが単離プロセスの前に関連した、少なくとも1つの物質が実質的に、好ましくは完全にない。好ましい実施形態では、単離は、要素の精製、本質的には、均一性を指す。要素の選別は、望ましくない要素に対して、所望の要素を優先的に単離するプロセスを指す。これが所望の要素の単離に関する限り、用語「単離する」及び「選別する」は、等しい。本発明の方法は、所望の核酸を含有する核酸のプール(ライブラリー又はレパートリー)からの所望の核酸の選別を可能にする。選択は、その特定の特性に従って要素を単離するプロセス(選別プロセスを含む)を指すために使用される。
本発明を使用する核酸ライブラリー(例えば変異体Pfuライブラリー)からの核酸の最初の選択は、ほとんどの場合、多くのバリアント核酸のスクリーニングを必要とするであろう。核酸のライブラリーは、以下を含む様々な異なる方法において作製することができる。
天然に存在する核酸のプールは、ゲノムDNA又はcDNAからクローニングすることができ(Sambrook et al., 1989)、例えば、Tgo又は他のDNAポリメラーゼ遺伝子のPCR増幅レパートリーによって作製される変異体Tgoライブラリー又は他のDNAポリメラーゼライブラリーは、DNAポリメラーゼ断片の非常に有効な供給源であることが証明されている。さらなる詳細は、実施例において示される。
遺伝子のライブラリーはまた、ランダム化又はドープ合成オリゴヌクレオチドによって、遺伝子のすべて(例えばSmith, 1985; Parmley and Smith, 1988を参照されたい)若しくは一部(例えばLowman et al., 1991を参照されたい)又は遺伝子のプール(例えばNissim et al., 1994を参照されたい)をコードすることによって作製することができる。ライブラリーはまた、大腸菌mutD5などのような細菌の「ミューテーター株」を使用することを含む、インビボの様々な技術によって「ランダムに」核酸又は核酸のプールの中に変異を導入することによって作製することができる(Liao et al., 1986; Yomagishi et al., 1990; Low et al., 1996)。ランダム変異はまた、化学的変異誘発物質及びイオン化若しくはUV照射(Friedberg et al., 1995を参照されたい)又は変異誘発塩基アナログの組み込み(Freese, 1959; Zaccolo et al., 1996)によってインビボ及びインビトロの両方で導入することもできる。「ランダム」変異はまた、例えば誤りがちなポリメラーゼを使用することによってポリメリゼーションの間にインビトロで遺伝子の中に導入することができる(Leung et al., 1989)。さらなる多様化は、インビボで(Kowalczykowski et al., 1994を参照されたい)又はインビトロで(Stemmer, 1994a; Stemmer, 1994b
))相同組換えを使用することによって導入することができる。
(V)マイクロカプセル/選別
上記に記載される核酸に加えて、本発明によるマイクロカプセルは、選別プロセスが起こるのに必要とされるさらなる構成成分を含むであろう。系の他の構成成分は、例えば、核酸の転写及び/又は翻訳のために必要なものを含むであろう。これらは、以下から特定の系の必要条件に対して選択される;適した緩衝剤、必要な成分、酵素、及び補助因子をすべて含有するインビトロ転写/複製系及び/又はインビトロ翻訳系、RNAポリメラーゼ、ヌクレオチド、核酸(天然又は合成)、転移RNA、リボソーム及びアミノ酸、並びに修飾遺伝子産物の選択を可能にするための所望の反応の基質。
適した緩衝剤は、その中で生物系の所望の構成成分がすべて活性であるものであり、そのため、それぞれの特定の反応系の必要条件に依存するであろう。生物学的及び/又は化学的反応に適した緩衝剤は、当技術分野において知られており、作り方は、Sambrook et al., 1989などのような様々な実験用のテキストにおいて提供されている。
インビトロ翻訳系は、通常、典型的に細菌(Zubay, 1973; Zubay, 1980; Lesley et al., 1991; Lesley, 1995)、ウサギ網状赤血球(Pelham and Jackson, 1976)、又はコムギ胚芽(Anderson et al., 1983)由来の細胞抽出物を含むであろう。共役転写/翻訳を可能にするいくつかを含む、多くの適した系が、市販で入手可能である(例えばPromega社から)(Promega社からの細菌系及び網状赤血球及びコムギ胚芽TNT(商標)抽出物系すべて)。使用されるアミノ酸の混合物は、ライブラリーにおいて産生されるタンパク質の可能な数又は種類を増加させるために、所望の場合、合成アミノ酸を含んでいてもよい。これは、人工的なアミノ酸をtRNAに負荷させ、選択されることとなるタンパク質のインビトロの翻訳のためにこれらのtRNAを使用することによって達成することができる(Ellman et al., 1991; Benner, 1994; Mendel et al., 1995)。
選択のそれぞれのラウンドの後に、興味のある分子をコードするものについての核酸のプールの濃縮は、非区画化インビトロ転写/複製又は共役転写−翻訳反応によってアッセイすることができる。選択されたプールは、適したプラスミドベクターの中にクローニングされ、RNA又は組換えタンパク質は、さらなる精製及びアッセイのために個々のクローンから産生される。
(Vi)マイクロカプセル同定
マイクロカプセルは、iii部(マイクロカプセル選別)において記載されるように、マイクロカプセルの表面自体に生じる若しくは現れる、又は外側から検出可能である、所望の遺伝子産物によって誘発される変化によって同定されてもよい。この変化は、同定された場合、区画内の遺伝子の修飾を引き起こすために使用される。本発明の好ましい態様では、マイクロカプセル同定は、マイクロカプセル内のルミネセンス、リン光、又は蛍光に至る反応から結果として生じる、マイクロカプセルの光学的特性における変化に依存する。マイクロカプセル内の遺伝子の修飾は、ルミネセンス、リン光、又は蛍光の同定によって引き起こされるであろう。例えば、ルミネセンス、リン光、又は蛍光の同定は、核酸の修飾に至る、光子(又は他の粒子若しくは波)による区画の照射を引き起こすことができる。類似する手順は、細胞の急速な選別について以前に記載されている(Keij et al., 1994)。核酸の修飾は、例えば、感光性保護基によってケージ化された分子「蛍光検出作用物質標識」を核酸につなぐことから、結果として生じてもよく、適切な波長の光子による照射は、ケージの除去に至る。後に、マイクロカプセルはすべて組み合わせられ、核酸は、ある環境にともにプールされる。所望の活性を示す遺伝子産物をコードする核酸は、「蛍光標識」と特異的に結合する又は特異的に反応する分子を使用して、アフィニティー精製によって選択することができる。
(Vi)多重ステップ手順
転写/複製及び/又は翻訳並びに選択のすべてのプロセスがある単一のステップで進行し、すべての反応が1つのマイクロカプセルにおいて起こる必要がないことも、本発明に従って十分に理解されるであろう。選択手順は、2以上のステップを含んでいてもよい。第1に、核酸ライブラリーのそれぞれの核酸の転写/複製及び/又は翻訳は、第1のマイクロカプセルにおいて起こってもよい。次いで、遺伝子産物はそれぞれ、それをコードした核酸(同じマイクロカプセル中に存在する)に連結される。次いで、マイクロカプセルは、壊され、それらのそれぞれの遺伝子産物に付加された核酸は、精製されてもよい。その代わりに、核酸は、カプセル化に依存しない方法を使用して、それらのそれぞれの遺伝子産物に付加することができる。例えばファージディスプレイ(Smith, G.P., 1985)、ポリソームディスプレイ(Mattheakkis et al., 1994)、RNA−ペプチド融合物(Roberts and Szostak, 1997)、又はlacリプレッサーペプチド融合物(Cull, et al., 1992)。
手順の第2のステップにおいて、その遺伝子産物に付加された精製核酸はそれぞれ、選択されることとなる、反応の構成成分を含有する第2のマイクロカプセルの中に入れられる。次いで、この反応は開始される。反応の終了後に、マイクロカプセルはまた、壊され、修飾核酸が選択される。多くの個々の構成成分及び反応ステップが含まれる複雑な多段階反応の場合には、1又は2以上の介在ステップは、遺伝子産物の生成及び核酸へのそれの連結の最初のステップ並びに核酸における選択可能な変化を生成する最終的なステップの間に実行されてもよい。
(Vii)増幅
上記の構成すべてにおいて、核酸中に含まれる遺伝物質は、増幅されてもよく、プロセスは、反復性のステップにおいて繰り返されてもよい。増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(Saiki et al., 1988)によるもの又はQβレプリカーゼ増幅(Cahill, Foster and Mahan, 1991; Chetverin and Spirin, 1995; Katanaev, Kurnasov and Spirin, 1995)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Landegren et al., 1988; Barany, 1991)、自家持続配列複製系(Fahy, Kwoh and Gingeras, 1991)、及び鎖置換増幅(Walker et al., 1992)を含む様々な遺伝子増幅技術を含む様々な他の遺伝子増幅技術のうちの1つを使用することによるものであってもよい。
図は、以下の実施例の部において個々に記載される。
図1は、実施例1の、非天然核酸の組み込みをモニターするために開発されたポリメラーゼELISAエンドポイントアッセイ(A)及び2ステップポリメラーゼ活性ELISA(B)の略図である。 図2は、実施例1の、2ステップのポリメラーゼ活性ELISAの感度の図を示す図である。 図3は、実施例1の、2ステップポリメラーゼ活性ELISAからの典型的な結果のグラフ及び写真を示す図である。 図4は、実施例2の、区画化自己転写(CST,compartmentalised self-transcription)の略図である。 図5は、実施例3の、Rb69(A)、Tgo(B)、及びphi29(C)ポリメラーゼ構造を示す図である。N末端ドメイン、エキソヌクレアーゼドメイン、及び他のドメインは、すべて淡黄色で示す。Palmサブドメインは、桃色、fingerサブドメインは、灰色、thumbドメインは、水色で示す。もとのライブラリーにおける3つの保存ポリメラーゼモチーフ標的は、赤色で示し、Tgo配列(D)において強調表示する。新しいライブラリーは、Tgo構造で示し、Tgo配列(D)において下線を引く。3つの最初に入手可能なライブラリーは、赤色で下線を引く。ライブラリー10A及び12は青色で示す。 図6は、実施例4の、モチーフ10A及びモチーフ12ライブラリーに対する単一のCSTラウンドの後に単離された、改善されたポリメラーゼの例を示す図である。 図7は、実施例5の、清澄化した細菌溶解物を使用する、CeNTP選択(C1、D4、C7、及びG11)並びにhNTP選択(E6、B12、H12)変異体ポリメラーゼによるhNTP組み込みを図示する写真を示す図である。 図8は、実施例5の、単離変異体のrNTP(リボヌクレオチド)組み込みについて試験した結果を示す図である。 図9は、実施例6の、Tgo(A)及びRB69(B)構造にマッピングした6G12変異を示す図である。 図10は、実施例6の、様々な鋳型に対する6G12復帰点変異体hNTP組み込み活性を示す図である。 図11は、実施例6の、部分的に精製された変異体ポリメラーゼによる、tRNA鋳型に対するhNTP組み込みを示す図である。 図12は、実施例6aの、6G12による、4つの利用可能なhNTPのうちの3つを用いるHNA合成を示す図である。 図13は、実施例7の、(a)立体的ゲート設計、(b)105アミノ酸長の産物を作製するための87の組み込みを必要とする酵母YtRNAの伸長、(c)D4N3によるDNA及びRNAプライマー伸長の比較、(d)D4における立体的ゲートを修飾する効果を実証する、全rNTP置換を用いるプライマー伸長を示す図である。 図14は、実施例8の、2’修飾ATPを用いるプライマー伸長を示す図である。 図15は、実施例9の、全rNTP置換を用いるプライマー伸長反応を示す図である。 図16は、実施例10の、5ulの簡潔な伸長(理論上2.5pmolのプライマーを含有)を、13%アクリルアミド/8M尿素/1×TBEゲル上で実行した結果を示す図である。 図17は、実施例11の、熱安定性RNAポリメラーゼ(TNQ)によるタンパク質をコードする遺伝子(GFP)のmRNAの合成結果を示す図である。 図18は、実施例11の、熱安定性RNAポリメラーゼ(TNQ)によるタンパク質をコードする遺伝子(GFP)のmRNAの合成結果を示す図である。 図19は、実施例12の、典型的なELISA結果を示す図である。 図20は、実施例12において、E664の変異は、RNAポリメリゼーションに対して最も大きな効果を有し、E664Kは、かなりの差によって最も有効であるように思われることを示す図である。 図21は、実施例14の、残基L408、保存ポリメラーゼモチーフ、及び可能性のある「情報」残基を同定するために使用した5Åシェルを示す図である。 図22は、実施例14の、408のまわりのÅシェル内のSCAによって同定された残基を示す図である。 図23は、実施例14の、HNA RT活性のための521変異体のプライマー伸長スクリーニングを示す図である。 図24は、実施例14の、tRNA遺伝子に基づいてHNA鋳型からDNAを合成するHNA RT反応(103塩基鋳型、HNAに対する76dNTPの組み込み)を示す図である。 図25は、実施例15の、6G12を用いてHNA分子を合成した結果を示す図である。 図26は、実施例16の、TNQによってRNAとして合成されたtRNA遺伝子に対して実行したRT反応のPCR増幅を示す図である。 図27は、実施例19の、C7によるCeNA合成(変性条件下でのPAGE)を示す図である。 図28は、実施例19の、C7合成CeNA鋳型を使用する521Lを用いるDNA合成を示す図である。 図29:人工的な生体高分子の合成のためのポリメラーゼの定向進化。(a)デオキシリボース(DNA)、1,5アンヒドロヘキシトール(HNA)、及びシクロヘキセニル(CeNA)核酸の構造。(b)区画化自己タギング(CST)。油中水型エマルションは、ポリメラーゼ及びそれらの遺伝子型が、標識プライマー及び修飾ヌクレオチドを含有する反応において単離されることを可能にする。修飾ヌクレオチドを組み込むことができるポリメラーゼによるプライマーの伸長は、プライマー結合を安定化し、それら自体のコードプラスミドにタグを付け、それらの遺伝情報が回収されるのを可能にする。(c)野生型(1TGO)及び関連する大腸菌pol II(3MAQ)の三元複合体にマッピングした、ランク付けしたライブラリーポリクローナル活性を示すヒートマップ。ポリメラーゼthumbを標的にするライブラリーは、選択の単一の一ラウンド後に最も高度な基本の活性及び最良の改善を示した。 図30:HNAシンテターゼ(Pol6G12)及び一本鎖HNA特性。(a)構造的に等価な大腸菌pol II(3MAQ)残基にマッピングされたPol6G12変異。赤色で示すPol6G12において同定された14の変異のうちの11は、pol II三元複合体にマッピングすることができ、それらのほぼ半分は、緑色で示す新生HNA鎖の近くにクラスタリングする。(b)精製野生型酵素は、6つの組み込み以上にHNAをあまり合成しないが、精製Pol6G12は、示される大腸菌アンバーサプレッサーtRNA遺伝子などのようなHNAを定量的に合成することができる。(c)一本鎖HNAは試験したすべてのヌクレアーゼに不応性であり、酸性環境においてDNAよりも実質的に抵抗性である(d)。それらの条件下でのHNAの半減期(t1/2HNA=347分、R2=0.899)は、DNA(t1/2DNA=43.3分、R2=0.975)よりもほぼ8倍高度である。 図31:HNA逆転写酵素及びHNA遺伝子系の正確性。(a)RT521は、6G12によって合成された大腸菌tRNA遺伝子(追加のタグを有する)などのようなssHNA鋳型からDNAを定量的に合成することができる(NA:RTのみの対照)。(b)Tgo I521に対する構造的に等価な残基を大腸菌pol IIにおいて示す(赤色)。三元複合体において、それは、ポリメラーゼの保存活性部位モチーフと密接に接触している(A−モチーフはオレンジ色;C−モチーフは青色)。新生DNA鎖(紫色)及びHNA鋳型(緑色)を示す。(c)6G12によってDNAからHNAに運ばれた情報は、塩基当たり12.2×10−3のエラー率の総計で、RT521によって復旧させ、DNAに戻すことができる(NP:プライマーを用いないで実行したHNA合成;NT:鋳型なしのPCR対照)。示すエラープロファイルは、期待されるHNA鎖を指す。より詳細については、補助情報を参照されたい。 図32:HNAアプタマー特異性及びHIV−TAT結合阻害。(a)TAR及び修飾TAR RNA標的に結合するアプタマーのELISA検出。R06は、TARに対して報告されたRNAアプタマーであり、HNA−GAは、以前に報告されたHNAアプタマーである。T5S8−7及びT4S8−14は、以前に報告されたミニTAR(標的A)に対する結合について選択された(Kolb, G. et al. Hexitol nucleic acid-containing aptamers are efficient ligands of HIV-1 TAR RNA. Biochemistry 44, 2926-2933, doi:10.1021/bi048393s (2005))。LTS19−7は、TARのより長いバージョンに対して選択された(標的H)。標的(オレンジ色)の異なる領域のスクランブル又はそれらのすべての除去(標的F及びG)は、T5S8−7が、完全な非修飾標的のみに結合する真のアプタマーであることを確認する。(b)TATアプタマーミニTAR結合競合アッセイ。固定ミニTARに対するTAT結合の免疫検出は、TAT結合を阻害するのに必要とされるアプタマー濃度を推定するために使用した(IC50)。HNAアプタマーT5S8−7(IC50=1.9nM(CI95% 1.3〜2.8nM))は、もとのRNA R06(IC50=313nM(CI95% 166〜675nM))よりも100倍の低い濃度でTATにとって代わることができる。 図33:HNA遺伝子系のエラースペクトル及びエラー率。(a)もとの鋳型として大腸菌tRNA遺伝子を使用する一連のHNA合成及び逆転写の後に1974の配列決定塩基から照合された誤組み込み、欠失(塗りつぶしの三角形)、及び挿入(白抜きの三角形)。RNA合成プライマーは青色で示し(アウトネスティングタグは太字上付き文字で示し、合成ミスマッチは赤色で示す)、エラーは、HNA合成鎖にマッピングする。hNTP組み込みの数を示す。逆転写プライマーは、緑色で示す(RTミスマッチは赤色で、アウトネスティングタグは太字で示す)。(b)HNA及びDNA合成についてPol6G12及びRT521について決定されたエラー率の総計及び個々のエラー率。モード詳細については、副教材及び方法を参照されたい。 図34:DNA〜HNA〜DNA:使用した方法の図。開始DNA鋳型は、HNAのプライマー非依存性の合成を最小限にするために短いポリdAテールを含有したが、合成プライマーは、プライマー依存性の産物が同定されるのを可能にするために鋳型に対してアウトネスティングタグ及びミスマッチの両方を含有した。フォワード合成は、物質及び方法において記載されるようにPol6G12を用いて実行し、合成なしの対照(ヌクレオチド又は酵素なし)及びプライマーなしの対照(プライマー非依存性のHNA合成が進行するのを可能にする)を含んだ。HNA合成後に、鋳型はTurbo DNaseIを用いて除去し、反応はDNA断片及び非伸長プライマーを除去するために精製した。RT521を用いて実行したRT反応は、次いで、さらなるミスマッチ及びアウトネスティングタグを含有するDNAプライマーにより設定した。反応はRT後に精製し、断片はPCRによって増幅した(プライマーとしてアウトネスティングタグを使用)。アウトネスティングタグは、フォワード及びリバース合成アウトネストの両方を含有するDNA断片のみ、つまり、成功したRTに続いて成功したプライマー依存性の合成によって生成された断片が、増幅されることを保証する。次いで、クローニングされた断片は、得られたDNAがHNA中間を介してもとのDNA鋳型に由来するに違いないことを確実にするために、2つの導入されたミスマッチについてチェックする(図31cにおいて示されるように)。 図35:PolB及び521ネットワークの統計カップリング分析(SCA)。(a)671の非冗長B−ファミリーポリメラーゼの手で生成した配列アライメントは、ポリメラーゼ内のアロステリックネットワークを同定するための対の協調的残基を同定するために、SCAにおいて使用した。得られた協調的変異値の分布は、対数正規分布(μ=−1.749、σ=0.808)に適合させた。第99パーセンタイル(kT>1.964)以上の値は、有意であると考えられ、PolBアロステリックネットワークを確立するために使用した。高度に有意な残基(kT>2.4)は、SCA(シアン)において含むことができなかった保存残基と一緒に、Tgo(1TGO)apo構造(オレンジ色)上にマッピングして示す。(b)関連する大腸菌pol II(3MAQ)において示すSCAの結果−SCA及び保存残基は、(a)のように示し、プライマー鎖は緑色で、鋳型は紫色で示す。(c)使用したアライメントにおいてI521と協調的変異することが同定された残基の階層クラスタリング。 図36:ポリメラーゼ活性ELISA(PAE)。(a)PAEの原理。プライマー伸長反応は、ストレプトアビジンでコーティングした固体表面上に伸長産物を固定するために使用することができるビオチン化プライマーを使用して実行する。もとの鋳型は、熱又はアルカリ処理によって除去し、ジゴキシゲニン(DIG)−標識プローブは、伸長産物に結合する。次いで、DIG標識は、伸長の免疫検出において使用する。(b)小さく、単一の残基で、部分的な適用範囲のライブラリー(NWCとしてコード)からの個々の分離株は、化学的に合成されたHNA鋳型に対するDNA合成のために、PAEを用いてスクリーニングした。残基408及びその空間的近辺(405、520、521、及び575)における有意なSCA残基は、残基521及び575において同定された有意な活性を用いて最初に調査した。あらかじめ伸長した対照は、マゼンタ(+7)及び緑色(+9)並びに野生型TgoT(赤色)で示す。いくつかのHNA RT活性は、TgoT並びに521及び575変異体を用いて観察されるが、521だけが、HNAのより長いストレッチに対してDNAを合成することに成功する。 図37:変異誘発ライブラリー。多様性について標的にした残基は、Tgo(a)及び大腸菌pol II(b)主鎖上に青色(表面表示)で示す(白色の図)。交互の色の個々のライブラリーをTgoT配列(c)に対して示す。ポリメラーゼpalm(モチーフ4、A−、A、A+、6−、6+、C、C+、及び7)、finger(モチーフ5、B−、B)、並びにthumb(モチーフ8、9、10A、10B、11、及び12)サブドメインに加えた、エキソヌクレアーゼドメイン(モチーフ1及び2)並びにヘリックス間ドメイン(モチーフ3及び4)のライブラリー標的部分。 図38:非天然ヌクレオチドの基本の組み込み。きれいにしたポリメラーゼ溶解物は、入手可能な「野生型」、キメラ、及び遺伝子操作ポリメラーゼによってTempT鋳型(TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA)に対するCeATPの組み込みを試験するために使用した。「野生型」ポリメラーゼは、サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)(Tgo)、サーモコッカス種9°N−7(9°N)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)(Vent)、及びパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)は、ウラシル停止(V93Q又は等価物)及びエキソヌクレアーゼ(D141AE143A)活性を欠く。「Therminator」変異(A485L)(Gardner, A. F. & Jack, W. E. Determinants of nucleotide sugar recognition in an archaeon DNA polymerase. Nucleic Acids Research 27, 2545-2553 (1999))を含むバリアントはT(例えばTgoT)と標識し、蛍光標識ヌクレオチドの組み込みを改善することが決定された変異を有するバリアント(Ramsay, N. et al. CyDNA: synthesis and replication of highly Cy-Dye substituted DNA by an evolved polymerase. J Am Chem Soc 132, 5096-5104, doi:10.1021/ja909180c (2010))はE10と標識する。キメラは、エキソヌクレアーゼポリメラーゼとして示す(つまり、Pfu−Tgoは、Tgoのポリメラーゼドメインに対するPfuのエキソヌクレアーゼドメインのキメラである)。 図39は、実施例23の、精製HNA分子に結合するDNAプライマーを示す図である。 図40は、実施例23の、プライマー依存性のHNA RTを示す図である。 図41は、実施例24の、RT521及びRT521K(RT521+E664K変異)を比較するHNA RT−PCRを示す図である。 図42は、実施例24の、実施例2において記載される同じ二重のアウトネストアプローチを使用する縮重N40ライブラリーからのHNA RT−PCRを示す図である。 図43:thumbドメイン変異によるRNAポリメラーゼ活性の増強。a)相同な大腸菌DNA pol II(PDB:3MAQ(Ono, T., M. Scalf, and L.M. Smith, 2'-fluoro modified nucleic acids: polymerase-directed synthesis, properties and stability to analysis by matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry. Nucleic Acids Research, 1997. 25(22): p. 4581-4588))上にマッピングしたD4Nの構造。D4における9つの変異は青色で示し、立体的ゲート変異(D4 Y409Nを作製するために追加)は、赤色で示し、TgoTにおける既存の変異は、黄色で示す(D141A、E143A、A485L)。b)B−DNA、A−RNA、及びHNA−RNAヘテロ二本鎖のらせんパラメーター(Swan, M.K., et al., Structural basis of high-fidelity DNA synthesis by yeast DNA polymerase delta. Nat Struct Mol Biol, 2009. 16(9): p. 979-86)。c)DNAからのRNA伸長、並びにd)D4N及びその親ポリメラーゼによるRNAプライマー。 図44:RNAポリメラーゼ活性に対するthumbドメインに対する変異の効果。a)D4におけるthumb変異の復帰分析。変異はそれぞれ、個々に野生型に復帰させ、dNTP活性に従って標準化した溶解物を用いてアッセイした進化性のRNAポリメラーゼ活性に対する効果。b)RNAプライマーからの、精製ポリメラーゼD4N、TNQ、及びTGKによる大腸菌tRNATyr合成の時間的経過。 図45:TGKによるmRNA合成。a)標識RNAプライマーからTGKによって合成したCy5標識GFP RNAの変性アガロース電気泳動。b)a)において示すRNAからのRT−PCR。c)TGKによって合成したGFPのインビトロ翻訳。GFPは、ゲルを染色せずに、GFPの中に組み込まれた蛍光リシンの励起によって視覚化した。d)TGKによって合成されたルシフェラーゼの天然アガロース電気泳動。RNAは、Cy5によって直接視覚化する;ラダーはSYBR Goldを用いて染色した。e)d)において示されるRNAからのRT−PCR。 図46:修飾核酸の合成。a)完全長のGFP(a)を示す2’OHプリン、5−メチルCTP、及び偽UTP(Ψ)を使用する、修飾RNAの変性アガロース電気泳動及びb)ルシフェラーゼc)完全置換2’フルオロ−NTP、2’アジド−NTP、並びに2’フルオロ−ATP、2’アジド−GTP、CTP、及びdTTPの混合物を用いるRNAプライマーの伸長。d)TGKによる修飾プライマーからのRNA合成。プライマーFITC 5’A、FITC 5’C、FITC 5’G、及びFITC 5’Uは、示されるように修飾された5’塩基と共に配列5’-CCCCTTATTAGCGTTTGCC-3’を有するRNAプライマーである。プライマー4チオは、同じRNA配列であるが、塩基4及び5の間にホスホロチオエート結合を有する。プライマー2’O−メチルは、同じRNA配列であるが、2’O−メチル塩基と交換された塩基4及び5を有する。プライマーLNA2、LNA3、及びLNA5は、LNA(LNA2)と交換された塩基19及び20(2つの3’塩基)、LNA(LNA3)と交換された塩基17及び19、又はLNA(LNA5)と交換された塩基17、18、及び19を有するDNAプライマーである。e)2’アジド、2’フルオロ(f)、プソイドウリジン(g)、及び5−メチルデオキシシチジン(h)の構造。 図47:第2のゲート機能の機構的な態様。a)664変異の重要性を示すNTPを用いるプライマー伸長。プライマーDはすべて、DNAであり、プライマー+1は、同一のDNAプライマー+1NMPであり、プライマー+6は、同じDNAストレッチ+6NMPであり、プライマーRは、プライマーDの等価物であるが、RNAとしての等価物である。赤色のボックスは、プライマーの3’を強調表示する。本明細書で、TgoT及びTYKは、NTPを不十分に組み込み、TGEは、6NTPを効率的に組み込むが、次いで失速し、TGKはプライマーを完全に伸長することができる。b)TgoTの処理能力。NTPを用いる、TGE(TgoT Y409G)、TYK(TgoT E664K)、及びTGK(TgoT Y409G E664K)は、DNAプライマーからシングルヒット条件下でアッセイした。c)RNAプライマー以外は(b)と同様。TGKのみが、NTPを用いてプライマーを伸長することができる。d)dNTPと共に示されるように脱塩基部位を有するDNAプライマー以外は(b)と同様。この場合、TYK及びTGKの両方(E664K変異を有するポリメラーゼの両方)は、プライマー伸長が可能であるが、TgoT及びTGEは可能でない。e)障害がシクロピリミジン二量体(CPD)である以外は(e)と同様。なおまた、TYK及びTGKのみが障害バイパスが可能である。 図48:遺伝子操作された進化性のRNAポリメラーゼの構造モデル a)相同な大腸菌DNA pol II(3MAQ;(Ono, T., M. Scalf, and L.M. Smith, 2'-fluoro modified nucleic acids: polymerase-directed synthesis, properties and stability to analysis by matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry. Nucleic Acids Research, 1997. 25(22): p. 4581-4588))上にマッピングしたTGKの構造。2ステップの適応性のある経路を形成する重要な変異は、赤色で示す。野生型からの他の変異(V93Q、D141A、E143A、A485L)は、黄色で示す。鋳型鎖は、紫色の図として示し、プライマー鎖は、オレンジの図として示す。入って来るdGTPは緑色で示す。b)A型及びB型の間の核酸中間体がDNAポリメラーゼによって合成される場合に生成される衝突を示す、Pfuの三元複合体にモデル化されたRNA:DNAハイブリッド二重鎖(1EFS;(Wang, M., et al., Insights into Base Selectivity from the 1.8 A Resolution Structure of an RB69 DNA Polymerase Ternary Complex. Biochemistry, 2011. 50(4): p. 581-90))(S. Wynne and A. Leslie、非公開の構造)。c)引き起こされる電荷反転を示すE664K変異以外は(b)と同様。 図49:RNAポリメラーゼ最適化 a)664位のスクリーニング。TgoT Y409N 位E664は、iPCR(NNKコドンを使用して)によって多様化し、190のコロニーはPAAによってスクリーニングした。活性変異体は、配列決定し、dNTP活性によって標準化した5×溶解物は、NTP活性についてスクリーニングした。b)立体的ゲートスクリーニング。TgoT E664K(Y409)の立体的ゲートを多様化し、E664位に関してスクリーニングした。 図50:TGK RNAポリメラーゼ及びT7 RNAポリメラーゼのエラースペクトル a)TGK b)T7 図51:終了可能性 それぞれのNTP組み込みステップの終了の可能性の分析は、E664K変異の効果を明らかに実証する:TGE(TgoT Y409G)は6つのNTPを組み込むことができるが、プライマー鎖の100%が、+6で終了する。対照的に、TYK(TgoT E664K)及びTGK(TgoT Y409G/E664K)は、+6以上にNTPを組み込むことができ、終了可能性における明らかな変化をほとんど有していない。 図52:DNAポリメラーゼファミリーA、B、C、X、Y、およびRTファミリーにおける文献において記載される立体的ゲート残基。
本発明は、ここでは、例として記載される。これらの例は、例証であるように意図され、添付の請求項を限定するようには意図されない。
[実施例1]
XNA合成のための新しいハイスループットスクリーニング系の開発
有効な計量可能なスクリーニングは、個々のクローンを試験し、かつ集団から活性が改善されたクローンを選択するための本質的なステップである。Ong and colleagues(J. L. Ong, D. Loakes, S. Jaroslawski, K. Too, P. Holliger, Journal of Molecular Biology 361, 537 (Aug, 2006))によって開発されたポリメラーゼELISAエンドポイントアッセイを、図1Aに要約する。基本的に、ビオチン化プライマー−鋳型ヘアピンの伸長は、ELISAを通して検出することができる標識ヌクレオチド(例えばジゴキシゲニン標識UTP)の組み込みに至る。ヘアピン配列は、検出可能なシグナルに必要とされる最小のポリメラーゼ活性を調整するために改変することができ(標識ヌクレオチドの前に組み込み)、標識ヌクレオチドの組み込みは、ポリメラーゼ活性に関連づけられる。アッセイの重要な限界は、活性が、標識ヌクレオチドの組み込みに相関するということであり、これは、例えば、正確性が低いポリメラーゼ又は鋳型非依存性の伸長の場合には、ポリメラーゼ活性に相関していないかもしれない。
図1は、非天然核酸の組み込みをモニターするために開発されたポリメラーゼELISAエンドポイントアッセイ(A)及び2ステップポリメラーゼ活性ELISA(B)の略図を示す。
ポリメラーゼELISAエンドポイントアッセイは、様々な結果の、CSRの第2ラウンドにおいて選択したAモチーフTgoT変異体をスクリーニングするために使用した(単一ヌクレオチド及びジヌクレオチド置換の選択の両方)。多くの変異体は、第1のdUTP−DIGの前に10のCeRTPの組み込みを必要としたヘアピンを使用するアッセイによって同定した。しかしながら、プライマー伸長反応を用いるさらなるスクリーニングは、単離変異体のほとんどが、野生型TgoTと同等の活性を有さず、40の単離変異体のうち、3つだけが、活性の改善を示したことを示した。
可能な説明は、標識ヌクレオチドの組み込みが、それがPolAタイプ(例えばTaq)における活性に相関するように、PolBタイプポリメラーゼ(例えばTgoT)において同様に活性に相関しないということである。PolB酵素のより協調的な触媒部位又は使用されている非天然ヌクレオチドは、標識ヌクレオチドの組み込みを促進し、所望のポリメラーゼ活性に相当しないELISAにおけるより高度なシグナルに至るかもしれない。
さらに調査した、ある選択肢は、検出ステップから伸長ステップを分離することであった。図1Bにおいて記載されるように、既知の鋳型に対するポリメラーゼ伸長は、検出することができる配列特異的なプローブの結合を通して伸長産物を評価することを可能にする。2ステップアッセイは、エンドポイントアッセイに対して多くの長所を有し、第1に、正確性が低い酵素は、配列ミスマッチがプローブ結合親和性、すなわちシグナルを低下させるので、ペナルティーを科される。第2に、選択圧は、単一の鋳型におけるプローブの選択によって調整し(例えば、図1Bにおいて示される青色のプローブは、赤色のものよりも結合のためにより長い伸長を必要とする)、したがって、単一のプライマー−鋳型組み合わせの有用性の範囲を増加させることができる。第3に、2ステップアッセイは、ELISAによって同定された候補をさらに検証するために一緒に実行することができるプライマー伸長アッセイと適合性がある。
ステップの数(1〜8として図1Bにおいて示される)は、安定しており、確実に再現することができるアッセイを得るために標準化した又は最適化した。ヌクレオチド濃度(特に非天然ヌクレオチドについての)、プライマー/鋳型比、ポリメラーゼ濃度、及び伸長条件はすべて、アッセイに最適な範囲を決定するために調査した(ステップ1及び2)。鋳型変性(ステップ4)は、ストレプトアビジンをコーティングしたマトリックスへの伸長分子の結合(ステップ3)の後に、希釈水酸化ナトリウム及び尿素溶液の両方を用いて化学的に得ることに成功した。水酸化ナトリウムを用いる変性は、試みた他の方法よりも実質的に効率的であり、バックグラウンドの増加に至らなかった。プローブ結合及び続くELISAステップは、標準化した。アッセイの感度は、評価し、図2に示す;0.1%ほどの伸長産物を検出することができた。
図2は、2ステップのポリメラーゼ活性ELISAの感度の図を示す。完全に伸長した鋳型は、ELISAシグナルを得るために必要とされる伸長プライマーの最小の画分を決定するために、非伸長プライマー中で希釈した。バックグラウンドは、シグナルから引き、検出することができる伸長プライマーの最小の画分が約0.12%であることを示唆した。
あらかじめ伸長したプライマーからの希釈液を用いて実行した類似する実験はまた、高レベルのプローブ結合を可能にする伸長が、1fmolまでの伸長産物を検出するのに十分な感受性があることをも示唆する(データ示さず)。より低レベルのプローブ結合をもたらす短い伸長は、期待されるように、同じ検出範囲を有していなかった。
2ステップポリメラーゼ活性ELISAを用いて実行した、スクリーニングに成功した結果を図3に示す。それらは、A及びBモチーフCST選択を指し、強力なスクリーニングツールとしてアッセイを検証するために役立った。
図3は、2ステップポリメラーゼ活性ELISAからの典型的な結果のグラフ及び写真を示す。ELISAスクリーニングから得られた値は、プライマー伸長アッセイと明らかに相関する(対数近似曲線;R2=0.94)。野生型は、赤色で示す。
典型的な反応は、以下のように実行する:ビオチン化プライマー(蛍光標識プライマーは直接的であり、検出が必要とされる)を含有するアニーリング主反応、過剰量の鋳型(通常4:1)、ヌクレオチド(100μMを超える終濃度で最適な結果)、及びポリメラーゼ緩衝剤は、プライマーアニーリングを可能にするために作製し、加熱し、冷却した。残りの反応成分(酵素、余分な緩衝剤、又は追加のサプリメント)を追加し、反応を実行した(単一の伸長サイクルとして又はPCRと似たサーモサイクリングを用いて)。反応時間は、活性の酵素のレベル及び所望のスクリーニングストリンジェンシーに従って調整する。10μlの反応をそれぞれ、ストレプトアビジンによりコーティングしたウェル(100μl PBST+10μl反応+90μl PBST)に移動し、30分間、室温でインキュベートする。上清は廃棄し、それぞれのウェルは、PBST(0.1%Tween20を補足したリン酸緩衝食塩水)を用いて3度洗浄する。緩衝剤は除去し、プレートは、30秒間、100mM NaOH中でインキュベートする。ウェルは、100μl mM NaOHを用いて1回、2回目にPBSTを用いて洗浄する。PBSTは、除去し、200μlのプローブ溶液(終濃度0.2μMまでPBST中で希釈)は、それぞれのウェルに追加し、30分間、室温でインキュベートする。ウェルは、PBSTを用いて3度洗浄し、プローブに対する抗体を追加する。次いで、反応は、標準的なELISAとして進行する。
[実施例2]
XNA合成のための選択系の開発:
CeNA又はHNAシンテターゼを単離するのに適した選択系の開発は、選択自体と並行して実行した。したがって、この部は、シンテターゼを選択するための系の開発及び試みの失敗に注目する。HNAシンテターゼの選択の成功は、続く部において記載する。
最初に、選択は、短いパッチの区画化自己複製(spCSR,short-patch compartmentalised self-replication)(J. L. Ong, D. Loakes, S. Jaroslawski, K. Too, P. Holliger, Journal of Molecular Biology 361, 537 (Aug, 2006));発明者らの研究所において以前に開発した技術によって試みた。しかし、このアプローチは、非生産的であることが証明された。
したがって、第2の選択方法:区画化自己タギング(CST,compartmentalised self-tagging)を開発した。複製が組み込みから切り離されるので、CSTは、選択障害の低下により、成功したシンテターゼを単離する可能性が高い。さらに、選択されている遺伝情報は、全体を通してDNAとして残り、回収に成功する可能性が高い。
CSTの基本原理が記載されている。選択条件及び方法自体のさらなる最適化は、図4において要約される、新バージョンのCST戦略(CST2.0)の開発に至った。その従来品におけるように、短いビオチン化プライマーは、変異体ポリメラーゼをコードするプラスミドを標的にするために使用される。エマルションにおいて、ポリメラーゼは、プライマーを伸長し、反応中に供給される修飾ヌクレオチドを組み込む−CeNTP(又はhNTP)組み込みにより効果のあるポリメラーゼは、より不十分な変異体よりもプライマーをさらに伸長する。プラスミドは、ビオチン化プライマーを通して回収し、非特異的なプラスミド又は不十分に結合したプラスミドを除去するために洗浄する。結果として生じたプラスミド集団は、反応条件下でプライマーをより効率的に伸長することができるポリメラーゼをコードするプラスミドについて濃縮される。それらは、増幅し、クローニングし、続く選択ラウンドのための開始集団として使用することができる。
図4は、区画化自己転写(CST,compartmentalised self-transcription)の略図を示す。本文に記載されるように、DNAビオチン化プライマーは、CeNTP及びhNTPの組み込みに、より効果のあるポリメラーゼを単離するために使用した。
2つのバリエーションの間の重要な差異は、選択されるプライマー(特異的ではなくランダム、不十分なバインダーではなく安定したバインダー)及び下流の試料プロセシング(37℃でのインキュベーションではなくホルムアミド洗浄)にある。方法におけるこれらの変化は、観察された改善の手掛かりとなった。
CST実験の単純なインシリコモデルは、全回収DNAの増幅が、クローンの改善がまれであったライブラリーについての活性と相関する必要がなかったことを示唆した。一度、修飾がすべて組み込まれたら、例えば、野生型及び不活性フレームシフト変異体を比較するモデル選択は、修飾前よりも3倍不十分な濃縮をもたらした(観察された以前の30倍ではなく10倍のwtの濃縮)。しかし、それは、効率的な選択が野生型よりも高い活性レベルを必要としていた場合に期待されるであろう。
10Aモチーフライブラリー(N6プライマーを使用するhNTP選択)に対する単一ラウンドの選択を実行し、多くの個々のクローンをhNTP活性について評価した。表2において要約される結果は、図6において示されるように、選択が実際起こり、多くの改善されたポリメラーゼが単離されたことを確認した。
[実施例3]
DNAポリメラーゼライブラリー設計
最初に、ポリメラーゼ活性部位をなす3つの保存モチーフ:A、B、及びCモチーフを標的にしてTgoT及び9°NTポリメラーゼの両方における3つのライブラリーを作製した。ライブラリーは、領域において利用可能な任意の系統学的多様性(phylogenetic diversity)並びに機能的に重要な残基(例えば触媒アスパルテート)以外における低レベルの変異を包含するように試みた。Pfuにおける類似するライブラリーは、Cy標識ヌクレオチドの組み込み及び複製が可能なポリメラーゼを単離するために使用するのに成功している(N. Ramsay et al., J Am Chem Soc 132, 5096 (Apr 14, 2010))。
3つのモチーフが、ポリメラーゼの活性部位及び入って来るヌクレオチドのポケットを裏打ちするが、それらの最適化が、進化性のポリメラーゼを得るのには十分になり得なかったことは明らかであった。その結果として、変異を導入するための類似するアプローチを使用して、さらなるライブラリーを設計した(添付のpptファイルにおいて詳述)。
PolBファミリーの2つのポリメラーゼのみが、DNAと共に現在までに結晶化されており(進化性の立体構造で)−図5A及び5Cにおいて示されるようにRb69(M. C. Franklin, J. Wang, T. A. Steitz, Cell 105, 657 (Jun 1, 2001))及び最近ではphi29(A. J. Berman et al., EMBO J 26, 3494 (Jul 25, 2007))ポリメラーゼ−配列アライメントのみでは、多様化のための他の候補領域を同定するのに十分ではなかったので、3つのポリメラーゼ(phi29、Rb69、及びTgo)の構造的アライメントは、多様化のための他の可能な領域を同定するために使用した。
最初のプライマー伸長反応は、TgoTが、停止前に、シクロヘキセニルヌクレオチドの後に天然ヌクレオチドを効率的に組み込むであろうということを同定した。よって、調査するためのさらなる残基は、Rb69ポリメラーゼ構造のプライマー鎖における+1の組み込みの10Å以内にすべての残基を位置づけることによって同定した。次いで、その探索において同定した水分子は、さらなる5Åの範囲を探索するために使用した。Rb69構造上で同定した残基は、入手可能なTgo構造にマッピングした。9つのパッチが、新生ヘリックスの近くにあると期待されるTgo配列において同定された。さらに2つのパッチが、Rb69及びTgoのthumb構造の構造的比較によって同定された。次いで、同定されたモチーフは、それらの位置を確認するためにphi29にマッピングし、thumbモチーフ以外(phi29は構造的に異なるthumbを有する)は、マッピングに成功した。
結果として生じた11のパッチは、図5D及び5Eにおいて示される、さらなる18のライブラリーを設計するためのベースとして使用した。
図5は、Rb69(A)、Tgo(B)、及びphi29(C)ポリメラーゼ構造を示す。N末端ドメイン、エキソヌクレアーゼドメイン、及び他のドメインは、すべて淡黄色で示す。Palmサブドメインは、桃色、fingerサブドメインは、灰色、thumbドメインは、水色で示す。もとのライブラリーにおける3つの保存ポリメラーゼモチーフ標的は、赤色で示し、Tgo配列(D)において強調表示する。新しいライブラリーは、Tgo構造で示し、Tgo配列(D)において下線を引く。3つの最初に入手可能なライブラリーは、赤色で下線を引く。ライブラリー10A及び12は青色で示す。
多様性は、ライブラリーを生成するために使用するプライマーのオリゴヌクレオチド合成を通して導入した(添付のpptファイルを参照されたい)。典型的な増幅反応(100μl)は、メーカーによって推奨される条件を使用するRoche's Expand High Fidelity及び発明者らの野生型プラスミドDNAを用いて実行する。PCRは、「タッチダウン」反応として実行する(アニール温度はそれぞれの伸長サイクルの後に低下した)。プライマーがBsaI部位の下流に小さなオーバーラップを有するので、それは、全プラスミドが増幅され、BsaI(NEB社)及びDpnI(NEB社)制限反応及びT4 DNAポリメラーゼ(NEB社)との続くライゲーションの後に、シームレスにクローニングされるのを可能にする。反応はすべて、メーカーの推奨に従って実行した。第1のラウンドライブラリーについては、phi29(NEB社)を使用するさらなる増幅ステップは、プライマーとしてのN6オリゴ及びメーカーによって推奨される反応条件を使用して実行した。
発明者らが「野生型」と呼び、すべての合成ライブラリーのベースをなすポリメラーゼが、サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)から単離されるようなポリメラーゼ遺伝子中に存在しない、存在する多くの変異を有することに注目することは重要である。発明者らの「野生型」は、4つの変異を含む:V93Q(ウラシルが鋳型上で検出される場合に失速を引き起こすポリメラーゼ先読み機能を低下させるために導入)(M. J. Fogg, L. H. Pearl, B. A. Connolly, Nat Struct Biol 9, 922 (Dec, 2002))、D141A及びE143A(3’→5’エキソヌクレアーゼドメインを不活性化するために導入)(C. M. Joyce, V. Derbyshire, Methods Enzymol 262, 3 (1995)、L. Blanco, A. Bernad, M. Salas, Gene 112, 139 (Mar 1, 1992)、A. Bernad, L. Blanco, J. M. Lazaro, G. Martin, M. Salas, Cell 59, 219 (Oct 6, 1989))、並びにA485L(Therminatorとして市販で入手可能であるが、B−ファミリーポリメラーゼにおける非天然基質の組み込みを改善することが示されている)(A. F. Gardner, W. E. Jack, Nucleic Acids Research 27, 2545 (Jun 15, 1999))。
一度PCRによって合成されたら、ライゲーションしたプラスミドを形質転換し、クローンの小さな試料(ライブラリー当たり10〜30のクローン)は、同一性を確認し、かつライブラリー多様性を推定するために、配列決定した。遺伝子の完全性(dNTP組み込み活性及び配列決定結果)並びにライブラリー多様性が高度であることが推定されたら、大規模形質転換は、残りのプロジェクトのために使用するライブラリーを作製するために実行した。
[実施例4]
HNA/CeNA/RNAポリメラーゼ活性が増強したクローンの選択
図6は、モチーフ10A及びモチーフ12ライブラリーに対する単一のCSTラウンドの後に単離された、改善されたポリメラーゼの例を示す。
それらのdNTP組み込み活性について標準化したすべての入手可能なライブラリーの粗製溶解物は、どのライブラリーが可能性のあるシンテターゼを収容する最も高度な可能性を有したかを同定するために使用した。選択は、それらのライブラリーにおいて実行した。
単一のラウンド選択は、CeNTP及びhNTPの組み込みの両方についてモチーフライブラリーB−、8、9、10A、10B、10C、11、及び12において実行した。小規模スクリーニングは、モチーフ8、10A、及び12に対して実行した。CeNTP組み込み改善は検出されたが、hNTP改善は実質的により高度であった。それらの結果は、CSTがシンテターゼ選択に適していたことを確認した。
HNA及びCeNAの両方に対して組み込みパラメーターが改善された変異体を単離し(配列を含有する添付ファイルを参照されたい)、CST2.0アプローチを検証し、CST選択のさらなるラウンドを、結果として生じる10Aライブラリーに対して実行した。CST選択はまた、RNAを合成する際に野生型TgoTよりも優れ得る酵素を単離するために、10Aモチーフライブラリー(立体的ゲート(steric gate)変異体Y409Nとの関連において作製)に対しても実行した(実施例7〜12を参照されたい)。
[実施例5]
CeNA及び/又はHNAの進化性の合成のためのポリメラーゼの設計及び進化
改善された変異体が異なるモチーフライブラリーから単離されたので、発明者らは、同定されている変異が相加的なものとなり得るかどうかを調査した。そのために、発明者らは、8つの可能性のあるキメラを得るために、2つのモチーフ12変異体及び4つのモチーフ10A変異体を交差させた。
変異体活性は野生型活性を常に超えたが、有意な増加はキメラのうちのどれによっても獲得されなかった。これは、モチーフ10A及びモチーフ12における変異がポリメラーゼにおいて類似する機能を標的にし、よって、10A/12キメラは、活性におけるいかなる増加にも至らないことを示唆する。
調査した他の可能性は、交差基質活性であった。CeNTP又はhNTP組み込みに対する選択は、hNTP及びCeNTPについて類似しているかもしれない、修飾核酸構造を認識する酵素の能力を改変するかもしれない。活性における増加は、CeNTP組み込みに対してhNTP選択変異体について観察されなかったが、相補的な実験(CeNTP選択酵素によるhNTP組み込み)は、図7において示されるように、さらに高度なhNTP活性を有する多くのクローンを同定した。したがって、CeNTPを使用する選択は、オルソゴナルポリマーを合成することができるポリメラーゼの進化のためのより強力な選択圧をもたらした。
図7は、清澄化した細菌溶解物を使用する、CeNTP選択(C1、D4、C7、及びG11)並びにhNTP選択(E6、B12、H12)変異体ポリメラーゼによるhNTP組み込みを図示する写真を示す。1時間の全伸長時間。DNA鋳型の長さは、57の組み込みを可能にする。
同様に、単離変異体はまた、rNTP(リボヌクレオチド)組み込みについても試験した。rNTP組み込みを非常に低下させるすべての選択されたポリメラーゼにおけるY409立体的ゲート(A. F. Gardner, W. E. Jack, Nucleic Acids Research 27, 2545 (Jun 15, 1999))の存在にもかかわらず、D4は、図8において示されるように、rNTPの相当な組み込みを示した。その活性のために、D4は、さらなる特徴付けのため、及びDNA依存性の進化性RNAポリメラーゼを単離する目的でさらなる多様化のための出発点として果たすために、単離した(実施例7を参照されたい)。
18の単離モチーフ10A変異体の配列分析は、局所的なタンパク質構造の維持に関与するための残基及び伸長するプライマーリン酸主鎖の非常に近くにある可能性がある、したがって機能的に重要な可能性のある残基(RB69 polBとの構造的アライメントに基づく)を標的にする、導入された多様性内に変異の2つのクラスターを同定した。
[実施例6]
進化性のHNAポリメラーゼ:6G12
CSTの第2のラウンド(CeNTP選択)は、ライブラリー活性に対するさらなる選択ラウンドの効果を調査するために、10Aモチーフライブラリー(最初にCeNTPにより選択)に対して実行した。あるスクリーニングは、有意な交差基質(hNTP)活性をも示した、CeNTP組み込み潜在能力が改善した(第1のラウンドにおいて同定されたすべての変異体よりもわずかに効果のある)変異体を同定した:6G12。
選択されたモチーフの外部に位置する6つを含む合計14の変異が6G12において収集された。変異はすべて、RB69構造にマッピングした場合、図9において示されるように、新生プライマー鎖と密接に接触するポリメラーゼの内部表面を裏打ちする。
図9は、Tgo(A)及びRB69(B)構造にマッピングした6G12変異を示す。6G12において同定された変異はすべて、Tgo構造(赤色の球体)上にマッピングし、構造的アライメントは、RB69における等価な残基を同定するために使用した。同定された変異はすべて、thumbドメイン(青色)内に位置し、ほとんどが、新生プライマー鎖と接触する内部タンパク質表面に位置する。
6G12変異はそれぞれ、そのHNAシンテターゼ活性に対するそれぞれの変異の寄与を決定するために、復帰させて、TgoTに戻した。試験した復帰変異のうちの2つは、HNA組み込み活性の改善を示し、試験した残りの11の変異は、活性における小さな減少をもたらしたが、TgoTレベルを超える活性を保持した。
図10は、様々な鋳型に対する6G12復帰点変異体hNTP組み込み活性を示す。ポリメラーゼ活性は、dNTPに対して標準化し、これまでに得られた変異体はすべて、それらのhNTP組み込み活性について評価した。変異K609及びQ664Eは、ポリメラーゼ活性に寄与するように思われないが、他のすべての変異は、改善されたHNAシンテターゼ表現型に対して相加的であるように思われる。
活性の点では、6G12はまた、現在までに単離された他のすべてのポリメラーゼよりも優れており、ポリメラーゼ活性を増加させることが知られているMn+2イオンの非存在下においてでさえ(いくらかの正確性の損失で)、より長いtRNA鋳型の合成を可能にした。活性における差を図11に示す。
図4は、部分的に精製された変異体ポリメラーゼによる、tRNA鋳型に対するhNTP組み込みを示す。2つの変異体(6G12及びC7)は、hNTPにおいてtRNA遺伝子を合成することができるかどうかを試験するために使用した。より短い鋳型により観察されるように、6G12は、特にMn+2の非存在下において、C7(CST選択の単一ラウンドから単離)よりも非常に優れていた。プライマーのほぼ100%は、2時間で、完了まで伸長した。
HNAは、反応緩衝剤(ThermoPol緩衝剤−NEB社)中に、100pmol標識プライマー、過剰量の鋳型(2:1)、修飾ヌクレオチド、及び0.5mMマンガンを含有する100μl反応において精製6G12により典型的に合成した。ポリメラーゼを伴わない反応は、プライマーアニーリングを可能にするために加熱し、冷却し、ポリメラーゼを追加し、次いで、反応は、3サイクルのPCR(50℃で90分、65℃で90分、94℃で1分)として実行した。
[実施例6a]
6G12 HNA合成の正確性
発明者らは、hNTPのうちの各1つを欠く伸長反応を実行することによって、6G12によるHNA合成の正確性を調査した。図12において示されるように、4つのhNTPがすべて存在しない限り、完全長産物は得られなかった。図12は、6G12による、4つの利用可能なhNTPのうちの3つを用いるHNA合成を示す。ヌクレオチドのいずれか1つの非存在下において、6G12は、進化性のHNA合成ができない。これは、6G12が、4つすべてのhNTPの非存在下においてHNAポリマーを合成することができない好適な正確性を有する鋳型依存性のポリメラーゼであることを示す。
6G12の正確性のさらなる指標は、6G12が最終的に単離されたELISAスクリーニング(実施例1)に由来する。それは、HNAポリマーの合成及び相補的オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションによるその検出を含む。ELISAにおける検出は、したがって、所望のポリマーの正確な合成に依存している。
6G12の正確性についてのよりストリンジェントでより定量的な手段は、521L(HNA RT)に関連して得られ(実施例を参照されたい)、エラー率の総計(つまり6G12によるHNA合成、その後に続く、HNAからの521L DNA合成、その後に続く、Taqによる回収DNAの増幅)が、塩基対当たり、7×103エラー未満であることを示唆した(実施例を参照されたい)。
実施例1〜6に対する参考文献:
1. J. L. Ong, D. Loakes, S. Jaroslawski, K. Too, P. Holliger, Journal of Molecular Biology 361, 537 (Aug, 2006).
2. N. Ramsay et al., J Am Chem Soc 132, 5096 (Apr 14, 2010).
3. M. C. Franklin, J. Wang, T. A. Steitz, Cell 105, 657 (Jun 1, 2001).
4. A. J. Berman et al., EMBO J 26, 3494 (Jul 25, 2007).
5. M. J. Fogg, L. H. Pearl, B. A. Connolly, Nat Struct Biol 9, 922 (Dec, 2002).6. C. M. Joyce, V. Derbyshire, Methods Enzymol 262, 3 (1995).
7. L. Blanco, A. Bernad, M. Salas, Gene 112, 139 (Mar 1, 1992).
8. A. Bernad, L. Blanco, J. M. Lazaro, G. Martin, M. Salas, Cell 59, 219 (Oct 6, 1989).
9. A. F. Gardner, W. E. Jack, Nucleic Acids Research 27, 2545 (Jun 15, 1999).
以下の実施例は、進化性のHNA及び/又はCeNAポリメラーゼの単離を目的としたCST選択実験からの進化性のRNAポリメラーゼについての単離に関する。
[実施例7]
D4における立体的ゲート残基Y409の変異は進化性の高正確性RNAポリメラーゼをもたらす
D4は、Tgo、超好熱性古細菌サーモコッカス・ゴルゴナリウス由来の複製DNAポリメラーゼに由来する。開始遺伝子(TgoT)は、非天然基質の組み込みを増強するために、先読み停止(V93Q)及びエキソヌクレアーゼドメイン(D141A、E143A)を不能にするための変異並びにTherminator変異(A485L)を有した。決定的に
、それはまた、thumbドメイン(残基586〜773)(モチーフ10A)の領域における、非天然基質の処理能力に対して決定的であるように思われる8つの変異のクラスターを含む。
しかしながら、D4における立体的ゲート残基はなお損なわれておらず、rNTPの組み込みを非常に妨げる。RNAポリメラーゼ活性を改善するために、立体的ゲート(TgoにおけるY409)を変異させ、様々な変異体を調査した(図13a、d)。
図13(a)立体的ゲート設計。入って来るrNTPの2’OHは、明らかに、チロシンの立体的ゲートと衝突するように見え得る。これは、ロイシン、アスパラギン、又はセリンへの変異によって緩和される。(b)105アミノ酸長の産物を作製するための87の組み込みを必要とする酵母YtRNAの伸長。反応条件:3μlの最終的な体積中1×Thermopol緩衝剤、1.8pmolプライマー、3.6pmol鋳型、2mM rNTP、3mM MgCl、0.5mM MnCl、0.15μl 精製D4N3。サーモサイクリング:1分間94℃、5分間50℃、5分間65℃、10秒間94℃、5分間50℃、5分間65℃で、20分間伸長時間をなす。(c)D4N3によるDNA及びRNAプライマー伸長の比較。反応は方法において示されるように実行した。(d)D4における立体的ゲートを修飾する効果を実証する、全rNTP置換を用いるプライマー伸長。アスパラギン(Y409N)への立体的ゲート残基の変異は、D4N3、例えば酵母YtRNAを含む87ntまでのRNAを進化性に合成するための著しい能力を有する変異体ポリメラーゼをもたらした(図13b)。さらに、D4N3は、DNA及びRNAプライマーの両方を伸長することができる(図13c)。
RNAポリメラーゼが、最適な活性のためにDNAポリメラーゼよりも高度なMg2+及びNTP濃度を多くの場合必要とするという観察の後に、発明者は、rNTP及びMg2+濃度の両方を故意に変えた。最適化した条件は、D4N3によるRNA合成の処理能力及び速度並びに産物収率を有意に改善し、ここでは、D4N3は、20分間未満で87アミノ酸長のtRNAを合成することができた(図13b)。
ポリメラーゼ機能の決定的なパラメーターは、正確性である。D4N3がDNA鋳型鎖をRNAに正確にコピーしたかどうか調査するために、発明者は、標準的な方法を使用してポリAテーリング及びRT−PCR(Superscript II)によってD4N3転写物をクローニングした。配列決定は、正確性の総計を明らかにし(D4N3によるRNA合成、Superscript IIによる逆転写、及びPlatinum TaqポリメラーゼによるPCRの30サイクルを含む)、1300を超える組み込みにおける合計13のエラー又はおよそ10−2のエラー率の総計をなす、69塩基を超える19の読み取りにわたる4つの点変異及び7つの欠失のみを伴った。
[実施例8]
D4の立体的ゲートの異なる変異は、他の2’修飾NTPの組み込みを可能にする
2’修飾ヌクレオチドは、天然RNAにおいて広く生じ、いくつかの機能(例えばリボソーム機能、好熱性rRNAの熱安定性)にとって重要である。それらはまた、RNAi及びアプタマーなどのような核酸治療薬におけるものを含む、多くの興味ある生物工学的な適用を有し、それらは、効力及び血清安定性を増強する。しかしながら、多数が、天然に存在するRNAポリメラーゼに対する不十分な基質である。
発明者らは、D4N3活性部位のモデリングの第2のラウンドを実行し、よりかさ高い2’修飾(例えばO−メチル)を収容するのに最適なものとしてアラニン、グリシン、又はセリンを示唆した。
より小さなアラニン及びグリシン変異は、実際、2’アミノ−ATP、2’アラ−ATP、2’アジド−ATP、及び2−O−メチル−ATPの組み込みの改善を可能にした(図14)。
図14−2’修飾ATPを用いるプライマー伸長。D4の立体的ゲート(Y409)のさらなる修飾は、様々な基質の野生型よりも効果のある組み込みを可能にする。これは、立体的ゲートが、小さく中性の残基への変異によって単純に除去されるものとは対照的に、基質に従って最適化することができることを示唆する。Trilink Biotechnologies社(www. trilinkbiotech. com)からの構造
完全なCeTempN鋳型(13Asを含む57の組み込み)は、2’アラ−ATP及びGTP、CTP、TTPを用いて合成した。
これは、D4N3及びその誘導体が、RNA(又はDNA)に2’修飾NTP(特にアラビノ誘導体)を組み込む能力が改善され得ることを示唆する。
[実施例9]
モチーフ10Aにおける単一の点変異のみがD4N3処理能力に必要である
立体的ゲートを修飾するのみでは、進化性のRNAポリメラーゼをもたらさないので、発明者らは、10Aモチーフにおける変異が進化性のRNA合成にとって決定的であるに違いないと結論付けた。
D4は、モチーフ10Aにおいて野生型Tgoと比較して8つの変異を有し、Aモチーフにおいて散在性のLからPへの変異を有する。野生型への、10A領域における8つの変異した位置のそれぞれを復帰させるための個々の点変異は、664位を除いて、RNA合成に対して効果がほとんどなく、この復帰は、活性における劇的な低下をもたらした(図15a)。これは、単一の変異Q664Eが主として進化性のRNA合成を可能にする役割を担うことを示唆した。この仮説を試験するために、発明者は、変異した立体的ゲートを有するTgoT Y409Nの中にこの変異を導入し、新しいポリメラーゼ(TNQ)を得た。実際、この単一の変異Q664Eは、ポリメラーゼTNQに、D4N3より優れたRNAポリメリゼーション能力を与えるのに十分であることを証明した(図15b)。図15−全rNTP置換を用いるプライマー伸長反応。(a)10A逆変異:TgoT、アスパラギンに変異させた立体的ゲートを有するTgoT(TgoT Y409N)、アスパラギンの立体的ゲートを有するD4(D4N3)、野生型の立体的ゲートを有するD4(D4)、及びD4 10A領域における変異を復帰させて、野生型に戻す点変異。(b)Q664正変異。左から右に、野生型の立体的ゲート及びQ664E変異を有するTgoT(TgoT Y409 Q664E)、アスパラギンの立体的ゲート及びQ664E変異を有するTgoTを有する2つのレーン(TgoT Y490N、Q664E 9及び10)、野生型の立体的ゲート(D4)及びアスパラギンの立体的ゲート(D4N3)を有するD4、並びにTgoT。反応は、方法において示されるように実行した。(c)Tgo及びD4における10A配列。ナンバリングはTgoに従う。
[実施例10]
熱安定性RNAポリメラーゼ(TNQ)によるRNAプライマー依存性のtRNA合成
YtRNAは、余分な2mM MgSO(合計4mM)及び0.625mMの各dNTPを補足したNEB社 ThermoPol緩衝剤の存在下において、精製TNQ(TgoT/Y409N/E664Q)を使用して合成した。20mlの反応は、10pmol FITC標識RNAプライマー、20pmol DNA鋳型、及び1:10希釈の1.5ml 精製酵素を含有した。サイクリング条件:
5ulの簡潔な伸長(理論上2.5pmolのプライマーを含有)を、13%アクリルアミド/8M尿素/1×TBEゲル上で実行した(図16を参照されたい;図16は写真を示す)。
これは、2×5分間の伸長サイクルが完全長tRNAを合成し、117のrNTP組み込みを必要とするのに十分であり、産物が、rNTPの非存在下において生成されないことを実証する。
反応の残りは、イソプロパノール沈殿し、ペレットにし、3ml Turbo DNアーゼを含有する100ml 1×Turbo DNアーゼ緩衝剤に再懸濁し、酸フェノール:クロロホルム抽出及び第2のイソプロパノール沈殿の前に、37℃で90分間、インキュベートした。今回は、ペレットは、QIAGEN社 RNeasyキットからの100ml dH2O、100mlイソプロパノール、及び100ml RLT緩衝剤中に懸濁し、RNAは、メーカーの指示に従って精製した。純粋なRNAは、30mlの提供されたヌクレアーゼなしの水において溶出し、2mlは、SuperScript OneStep RT-PCR System(Invitrogen社)及びTranscriptor One-Step RT-PCRキット(Roche社)の両方を用いてRT−PCRのために使用した。
150bpの期待される産物のサイズは、2×5分間の伸長サイクルがtRNAを合成し、117のrNTP組み込みを必要とするのに十分であるPAGE結果を確認する。
[実施例11]
熱安定性RNAポリメラーゼ(TNQ)によるタンパク質をコードする遺伝子(GFP)のmRNAの合成
748のrNTP組み込みを必要とするGFP遺伝子は、m6GFPコードプラスミドから作製した一本鎖DNA鋳型からTNQ(TgoT/Y409N/E664Q)を使用して合成した。鋳型は、1つのビオチン化プライマー及び1つの非ビオチン化プライマーを使用して調製し、両方の鎖を捕捉し、所望の鎖は、0.1M NaOHを使用して洗浄した。図17を参照されたい。図17は写真を示す。
合成は、0.625mMの各rNTP、5pmol FITC標識RNAプライマー、9.9pmol ssDNA鋳型、4mM Mg2+の最終濃度を与える、2mM MgSOを補足したNEB社 ThermoPol緩衝剤中に1:10希釈された酵素0.75mlを含有する10ml反応液において実行した。サイクリング条件:
合成の後に、反応をイソプロパノール沈殿し、ペレットを、2mlのTurbe DNアーゼを含有する48ml 1×Turbo DNアーゼ緩衝剤において懸濁した。37℃での60分間のインキュベーションの後に、RNAは、酸フェノール:クロロホルム抽出し、再度、イソプロパノール沈殿させた。ペレットは、QIAGEN社RNeasyキットからの100ml dH2O、100mlイソプロパノール、及び100ml RLT緩衝剤中に懸濁し、RNAは、メーカーの指示に従って精製した。純粋なRNAは、30mlの提供されたヌクレアーゼなしの水に溶出した。陽性対照反応は、dNTPを用いて実行し、DNアーゼ処理も、RNeasy精製もしなかった。それは、QIAGEN社 QIAquick PCR精製カラムのみを使用して精製し、同じ水の同じ体積(30ml)中に溶出した。2.5mlの精製RNAは、500bp断片を生成するための内部RTプライマー及び完全長GFP遺伝子を生成するための第2のプライマーセットを使用して、SuperScript OneStep RT-PCR System(Invitrogen社)を使用し、RT−PCRの鋳型として使用した(図18を参照されたい)。
図18は写真を示す。
ポリメラーゼ機能の決定的なパラメーターは、正確性である。TNQがDNA鋳型鎖をRNAに正確にコピーしたかどうか調査し、RNA合成のその正確性をD4N3(及び他のRNAポリメラーゼ)と比較するために、発明者らは、TOPO cloning kit(Invitrogen社)を使用して、完全長+rNTP及び+dNTPレーンをクローニングした。結果として生じるコロニーの大部分は明らかに緑色であり、RNA合成に由来する9つのランダムコロニーの配列決定及びRT−PCRは、D4N3より優れた、約10−3(6732の配列決定した塩基において5つの単一の塩基誤組み込み及び1つの挿入)の優れた正確性の総計を確認した(D4N3によるRNA合成、Superscript IIによる逆転写、及びPlatinum TaqポリメラーゼによるPCRの30サイクルを含む)。
[実施例12]
RNAポリメリゼーションに対する改善された第2のゲート変異
10A領域(E664Q)における単一の点変異のみが進化性のRNA合成のために必要であったという発見の後に、その位置及びその隣接する残基(E662、Y663、E664、Q665)の両方を個々にNNSコドンを使用して多様化した。2×96ウェルプレートを、ELISAによってスクリーニングし、実験当たりの単一の残基に対する限られた多様性は、20の可能性のあるアミノ酸のうちのいずれかを失う可能性が低かったことを意味した。典型的なELISA結果を図18に示す。
陽性のヒットを配列決定し、以下の変異は、進化性のRNA合成を可能にすることが分かった。
徹底的な調査は、まだ実行していないが、E664の変異は、RNAポリメリゼーションに対して最も大きな効果を有し、E664Kは、かなりの差によって最も有効であるように思われる(図20)。
[実施例13]
CST 2.0アプローチ
区画化自己転写(CST,compartmentalised self-transcription)アプローチ:CSRにおけるように、区画化は、異なる遺伝子型を単離する。ビオチン化DNAプライマーを、インビトロプライマー伸長反応において使用し、したがって、遺伝子型を表現型に対して関連づける。プラスミドに結合したプライマーは、ストレプトアビジンコーティングされた常磁性ビーズを使用して、回収し、単離する。理想的には、プライマーは、伸長しない限り、有効なプラスミド捕捉には短すぎる。伸長及びプロセシング条件は、選択圧を調整するために適合させることができる。回収されたプラスミドは、増幅し、続くラウンドの開始集団として使用する。
区画化自己転写。短いビオチン化DNAプライマー(A)は、エマルション(B)中でそれを伸長することができる酵素を選択するために使用する。CeNAシンテターゼを選択するためのCSRに対するCSTの最も重要な長所は、選択した遺伝情報が、反応の全体にわたってDNAとして残るということであり、したがって、CSR方法、プルスルー(pull-through)の大きな限界のうちの1つを避ける。CSTにおける選択圧は、CSRにおける選択圧よりも実質的に低く、発明者らは、それによって、全CeNTP及びHNTP置換を用いるCST選択を実行することができた。モデル実験(野生型対フレームシフト変異体)から得られる濃縮推定値は、選択の1ラウンド当たり30倍の改善を得ることが可能であることを示唆する。系の選択パラメーターのうちのいくつかは、選択をさらに増加させるために最適化してもよい。
プロトコール:
水相(150ul):
Thermopol緩衝剤(10×) 15ul
50%グリセロール 30ul
MnCl2(30mM) 5ul
MgCl2(25mM) 3ul
プライマー(BC36N6−50uM) 1ul
ホルムアミド 3ul
DTT(100mM) 1.5ul
BSA(10mg ml−1) 1.5ul
ヌクレオチド(各2.5mM) 8ul
細胞+水 82ul
−−−−−−
150 ul
Vogelstein油相 600ul
すべて、5mm鋼ベアリングを有する2mlチューブ中。
誘発したライブラリー細胞を、CSRにおけるように調製する。手短かに言えば、1mlの培養物を低速度遠心分離によって収集し、1mlの1×Pol緩衝剤中に再懸濁した。プロセスは、最初に500ul、最終的に200ulまで懸濁体積を低下させて繰り返す。細胞数は、1:50希釈のA595から推定する。2E8(2×108)細胞を選択反応当たりに使用する。
エマルションは、標準的な条件を使用してtissuelyser中で調製し(10”@15Hz、7”@17Hz)、必要に応じてPCRチューブに移動する。
全シクロヘキセニル置換を用いる第1のラウンド選択のために合成Tgoライブラリーに対するBC36N8についての成功した伸長条件:
次いで、反応を4℃に保つ(このステップは任意選択であってもよい)。
エマルションは、EBS及び飽和ヘキサノール(およそ100ul TBT2及び1000ulヘキサノール)を用いて壊した。相を分離するために遠心10’@13,000RPM。1mlのヘキサノール/油相を除去し、700ulのヘキサノールを追加し、界面を再懸濁し、遠心分離によって再分離する。
DNAは、イソプロパノール沈殿によって回収し(1:10V 3M NaOAc、1ulグリコーゲン、2Vイソプロパノール、−20℃で一晩)、100ul TBT2中に再懸濁する。
25ulのDNA溶液を475ulのTBT2に追加し、Microcon YM100に追加する。カラムは、DNA溶液をフィルターにかけるために40分間、2000RPMで回転させる。およそ25〜50ulを回収し、BWBS中のあらかじめブロックしたMyOne C1ビーズ(試料当たり10ul)に追加する。
*ビーズ調製及び洗浄ステップ*
反応当たり10ulビーズ
洗浄(500ul):1×BWBS
1×TBT2
1×BWBS
BWBS中のビーズをブロックするために緩やかな撹拌下で室温で1時間インキュベートする。
20ul BWBS中に再懸濁する。
20ulビーズを、およそ25ulのYM100精製プラスミドに追加し、さらなる400ulのBWBSを追加する。室温でオーバーヘッドローテータにおいて一晩(少なくとも2時間)、捕捉する。
ビーズは、Kingfisher mLロボット及びCSTプログラム(Kingfisher mLプロトコールにおいて詳述)を使用して精製する。
1ulビーズは、プルスルーの鋳型として使用することができる(20ul反応の希釈系列として使用するとよい;1.8kbの産物について約25サイクル)。ビーズからのDNAの直接的な増幅はまた、phi29(phi29プロトコールにおいて詳述)を用い、2ulビーズを使用して達成することができる。
[実施例14]
HNA/RNAの進化性の逆転写のためのポリメラーゼの設計
現在までに、RNA逆転写が可能なB−ファミリーDNAポリメラーゼについてのただ一つの報告がある(米国特許出願公開第2003/0228616号明細書)。それは、高度に保存された残基(L408)についてのポリメラーゼ活性部位(Aモチーフ)に対する変異が、RNA鋳型からDNA合成することができるポリメラーゼ変異体を生成することを報告する。報告された変異体は、HNA−RT活性について試験したが(発明者らのTgoT「野生型」バックグラウンドに対して)、不成功に終わり、HNAオリゴマーに対する有意なDNA合成は、TgoT活性と適合性の一連の温度(50℃〜65℃)での2時間の伸長の後にポリメラーゼ活性ELISAによって検出されなかった。
方法は、配列保存だけでなく配列協調的変異にも基づいて、大きなタンパク質アライメントから情報を得るために報告された:統計カップリング分析(SCA,statistical coupling analysis)(S. W. Lockless, R. Ranganathan, Science 286, 295 (Oct 8, 1999))。SCAがまた、タンパク質内のアロステリック情報伝達を同定するためにも使用することができることが提唱された(G. M. Suel, S. W. Lockless, M. A. Wall, R. Ranganathan, Nat Struct Biol 10, 59 (Jan, 2003)、N. Halabi, O. Rivoire, S. Leibler, R. Ranganathan, Cell 138, 774 (Aug 21, 2009))。
ポリメラーゼにおいてアロステリックネットワークがあり、それらがポリメラーゼ機能に影響を与え得るという仮定に取り組みながら、発明者らは、鋳型分子の性質に関してポリメラーゼ−鋳型−プライマー複合体において利用可能な「情報」がある場合、ポリメラーゼ機能と相関する活性部位に近い又はそれから遠い残基を同定するためにSCAを使用することが可能であるはずであると仮定した。600のB−ファミリーDNAポリメラーゼに対して手動で生成した構造的アライメントから開始して、SCAは、ポリメラーゼ内の可能性のあるアロステリックネットワークを同定するために使用した。不運にも、残基408の高度な保存は、SCAにおいてそれを含むことができなかったことを意味した。しかしながら、「情報」が送り手及び受け手の間で物理的に運ばれなければならないので、発明者らは、408の物理的に近くにある、SCAによって同定された残基が、鋳型認識に関与するアロステリックネットワークの一部であるかもしれないと仮定した。
その関連において、1TGO構造における残基408のまわりの5Åのシェルを選択し、SCAによって同定された残基をランダム変異誘発のために選択した。このアプローチは、「鋳型情報伝達」に関与する可能性のある部位として、残基405、408、520、521、及び575を同定した。
図25:残基L408、保存ポリメラーゼモチーフ、及び可能性のある「情報」残基を同定するために使用した5Åシェル。
図26:408のまわりのÅシェル内のSCAによって同定された残基。最初に、保存的アプローチは、これらの部位のそれぞれにおいて可能性のある変異の限られたセットを導入して試みた(主として疎水性及び芳香族化合物)。変異は、標的にした位置にNWCをコードするプライマーを使用してiPCRによって導入した。プライマーは、BsaI部位の下流に小さなオーバーラップを有するように設計した。メーカーの推奨に従ってRoche社のExpand High Fidelityを使用して、全プラスミドを増幅し、BsaI及びDpnI制限消化し、続いて、形質転換前にT4 DNAにライゲーションした。
多くの変異体を単離し、確立されたポリメラーゼ活性ELISAスクリーニングを使用して、HNA−RT活性についてスクリーニングした。低レベルのHNA−RT活性は、Y520F及びL575V変異体並びに521位で変異させた多くの候補において検出された。
得られた結果を考慮して、残基521は、NNSを含有するプライマーによってコードされる変異体と共に、より徹底的にスクリーニングした。続くスクリーニングの結果は、表1に要約する。
I521L変異体は、反応条件のさらなる特徴付け及び最適化のため、並びにそのような変異体もまたRNA−RT活性を有していたかどうかを調査するために選んだ。
図27:HNA RT活性のための521変異体のプライマー伸長スクリーニング。活性を標準化した(dNTP)粗製溶解物を、521変異体の選択のHNA RT活性を試験するために使用した。実験条件下で、521L及び521Pは、完了までHNA鋳型を合成することができる唯一のポリメラーゼであった。精製521Lは、TritonX-100(0〜5%)及び無関係なRNA(0.01〜3μg/μl)を含む多くの添加剤によって抑制することができた、かなりの鋳型非依存性の活性を示した。
図28:tRNA遺伝子に基づいてHNA鋳型からDNAを合成するHNA RT反応(103塩基鋳型、HNAに対する76dNTPの組み込み)。HIV RT(AB)、スルホロブス・アイスランディカス(Sulfolobus islandicus)DNAポリメラーゼIV(NEB社)−いくらかのHNA RT活性を有するYファミリーポリメラーゼ、及び521L変異。反応は、4時間、単一の伸長サイクル@65℃として実行した。521Lがいくらかの鋳型非依存性の活性を示すので、鋳型対照は反応に含めなかった。「伸長なし」は、6G12を伴わない反応を鋳型DNAキャリーオーバーのバックグラウンド対照として使用した、HNA合成反応を指す。
[実施例15]
DNAからHNAへの、またHNAからDNAに戻る情報伝達
6G12はDNA鋳型からHNAへの情報の移動を可能にしたが、そのステップのみでは、限られた効果しかない。非天然DNA類似体ポリマー(TNA及びPNA)を、フォワード合成のみから機能についてどのように選択することができるかについての報告がある(J. K. Ichida et al., J Am Chem Soc 127, 2802 (Mar 9, 2005)、Y. Brudno, M. E. Birnbaum, R. E. Kleiner, D. R. Liu, Nat Chem Biol 6, 148 (Feb, 2010))。しかしながら、そのような系が強力な遺伝子型−表現型連結をもたらすであろう(正確性の情報が限られるので)という、又はそれらの成分が相当な大きさの分子が合成されるのを可能にするであろうという証拠はほとんどない。
したがって、521Lは、それが、HNAからDNAに戻る情報復旧を可能にするのでプロセスの手掛かりとなる。サイクルが完了すると、2つの酵素の総計の正確性を評価し、SELEXによって機能の選択を始めることができるようになる(C. Tuerk, L. Gold, Science 249, 505 (Aug 3, 1990))。これが発明者らの系を用いて可能であったことを証明するために、発明者らは、6G12を使用してtRNA分子をHNAに合成し、521Lを使用して、コードされた情報をDNAに戻して回復させた。
多くの制御及びプロセスは、系によってHNA合成ステップを回避することができる可能性を最小限にするために導入した。重要なステップを下記に要約する:
−鋳型/プライマーミスマッチ:以前に報告されるように(J. K. Ichida, A. Horhota, K. Zou, L. W. McLaughlin, J. W. Szostak, Nucleic Acids Res 33, 5219 (2005))、ミスマッチは、得られたDNAの配列決定の際に、配列決定分子の起源を決定することができるように、鋳型の中に導入した、つまり、それは、もとの鋳型配列ではなくプライマー配列を含有しているはずである。
−プライマーオーバーハング:もとの鋳型よりも長いプライマーは、回収したDNAの増幅のためにプライマーアウトネスティング(outnesting)を可能にするために使用した。これは、どの分子が回収されるかに関して特異性を増加させる。
−鎖依存性の反応:DNAテールの鋳型非依存性の追加もまた、さらなる増幅前に正確な鎖を選択するために使用した。
−DNアーゼ及びエキソヌクレアーゼ処理:これらの酵素の組み合わせは、できるだけ多くのもとの鋳型が6G12合成の後に分解されることを保証するために使用した。偽陽性結果を起こし得る非伸長RTプライマーを除去するために、エキソヌクレアーゼは、521L反応の後にもう一度使用した。
−陰性対照:フォワード合成を実行した反応(6G12なし)、RTを実行しなかった反応(521Lなし)、及びその組み合わせを、回収された分子の起源を確実にするために使用した。さらに、反応ステップはすべて、変性ゲル電気泳動によってモニターした。
図29:DNAからHNAへの、また、DNAに戻る情報伝達。tRNA遺伝子をコードし、特異的タグが側面に位置するDNA鋳型は、6G12を用いてHNA分子を合成するために使用した。その反応は、HNA精製前にDNアーゼ及びExoSAP−ITを用いて処理した。次いで、HNAは、521Lを用いるRT反応において鋳型として使用した。反応は、1つのアウトネステッド(outnested)タグ(もとの鋳型中に存在しない)及びプライマーとしてフォワード合成において使用したプライマーを使用するPCRによる増幅前にExoSAP-ITを用いてもう一度処理した。プライマーのみの対照及びPCRのための鋳型なしの対照を実行し、明白な増幅は観察されなかった(データ示さず)。反応は、20サイクル実行した。
異なる情報回復戦略もまた、図25に類似する結果を得た。そのアプローチにおいて、フォワード合成(6G12)は、DNアーゼ処理し、HNAは、RTステップ(521L)前に精製した。HNA鋳型からのDNA合成は521Lを用いて実行し、図24に示す。典型的な521L反応(50μl)は、1×ThermoPol緩衝剤(NEB社)中、等濃度の標識プライマー及びHNA鋳型を使用して実行した。プライマー鋳型複合体をアニールした後に、521Lを追加し、4時間65℃で反応を実行した。RT反応を精製し、ターミナルトランスフェラーゼ(NEB社)反応は、合成DNAにポリdAテールを追加するために
メーカーの推奨に従って実行した。
テールのあるDNA分子は、変性ゲルを使用してゲル精製し、DNAは、Superscript II RT−PCR(Invitrogen社)、標識ポリ−dTプライマー、及びRTを開始するために使用した同じプライマーを使用して、増幅に成功した。Superscript(中温性の逆転写酵素)ステップは、増幅産物を得るために必要とされたが、酵素が有意なHNA−RT活性を有していないことを考慮すれば、低温(ポリ−dTプライマーの低融解温度による)でプライマー伸長が可能であり、中程度の鎖置換(strand displacing)能力を有する酵素が、続いて熱安定性ポリメラーゼによって増幅されるのに十分なDNAを生成するために必要とされたと考えられる。
得られた増幅産物は、精製し、TOPO-TA(Invitrogen社)クローニングした。単離した変異体は、PCRによってスクリーニングし、配列決定に送った。配列決定の結果は、(フォワード合成)プライマー/鋳型ミスマッチが存在したことを示し、表2において示されるように2つの酵素の正確性の総計の第1の手段を提供した。
[実施例16]
熱安定性RTへのプルーフリーディングの再導入
先に記載されたように、発明者らの「野生型」酵素は、ポリメラーゼのプルーフリーディング機能にとって重要である、3’→5’エキソヌクレアーゼドメインを不活性化する2つの変異(D141A及びE143A)を含む、4つの変異をその真の野生型に対して実際に有する。
521Lにも存在するD141A及びE143変異は、発明者らが521L RT機能に対する効果を調査したように、復帰させて、それらの野生型に戻した。521L(exo+)への521L変異は、先に記載されたようにiPCRによって実行した。
期待されるように、エキソヌクレアーゼ活性の再導入は、HNAに対する酵素の観察されたRT活性を低下させた。しかしながら、それは、酵素のRNAに対するRT活性を改善した。実際、図26において示されるように、521L(exo+)は、RNA鋳型からのDNA合成について521Lよりも優れていた。
図210:TNQによってRNAとして合成されたtRNA遺伝子に対して実行したRT反応のPCR増幅。2つのRNA合成伸長時間を使用した(それぞれ、5’又は20’の2サイクル)。RNAは、さらなる精製ステップ(RNeasy; Qiagen社)を用いて図25において記載されるように精製した。RT反応は、521L及び521L(exo+)を用いて実行した。反応は、1つのアウトネステッド(outnested)タグ(もとの鋳型中に存在しない)及びプライマーとしてフォワード合成において使用したプライマーを使用するPCRによる増幅前にExoSAP−ITを用いてもう一度処理した。反応は、30サイクル実行した。
[実施例17]
HNA/RNAの進化性の逆転写のためのポリメラーゼのさらなる設計
入手可能な他のPolB構造、特に、RB69の三元複合体(M. C. Franklin, J. Wang, T. A. Steitz, Cell 105, 657 (Jun 1, 2001))の検査により、I521に等価な残基(L594)は、鋳型、プライマー、及びヌクレオチドがすべて活性部位に存在する場合に、触媒ステップで、L408に等価な残基(L415)から5Åよりもさらに遠いことを示唆した。
これは、SCA「情報伝達」パラダイム内の2つの可能性を高めた:408及び521の間の情報伝達はポリメラーゼサイクルにおけるこのステップで生じない、又は、情報は未同定の中間残基によって伝えられる。他の明らかな可能性は、SCAフレームワークが有効でないということである。
それらの仮説を試験するために、5Åシェルの中心としてI521残基を使用してI521を同定した同じアプローチを採用した。多くの残基は、またSCAを通して同定されたI521からその距離内で同定された。しかしながら、SCAを試験するために、発明者らは、SCAにおいて存在しなかった残基:Y388、G517、及びT541に発明者らの探索を集中させた。
521に類似するスキャニングアプローチは、標的位置にNNSを含有するプライマーを用いてiPCRによって生成した変異体ライブラリーと共に採用した。個々の変異体は、単離し、RT活性をスクリーニングするために使用した。
残基G517及びT541は、高度に保存された残基(96%を超える同一性)であり、T541は、触媒ステップに関与する2つのアスパルテート残基が側面に位置する。期待されるように、それらの位置でのスクリーニングにより、野生型以上のHNA RT活性を有する酵素は得られなかった。
[実施例18]
残りの残基(Y388)は、非常に不十分に保存されており、これは、おそらくSCAにおけるその不在を説明する。興味深いことには、残基388での多くの異なる側鎖は、HNA RT活性を示した:(V、R、H、N、T)。これらは、それらの潜在能力及び521Lバックグラウンドにおけるそれらの潜在能力を評価するためにここでさらに特徴付ける。残基388は、ポリメラーゼ正確性及び処理能力に影響を与えることが報告されたモチーフ:YXGG/Aのすぐ下流にある(V. Truniger, J. M. Lazaro, M. Salas, L. Blanco, EMBO J 15, 3430 (Jul 1, 1996)、K. Bohlke et al., Nucleic Acids Res 28,
3910 (Oct 15, 2000))。
それらの結果を考慮して、RT活性における可能な改善を同定するためのSCAの予測の使用に関して疑問が生じる。Y388が方法の通例の実行によって同定されない偽陰性となり得るが、それは、また、より単純な仮説が効果を現すことも示唆するかもしれない:触媒部位から一定の距離の範囲内の残基(特に、Cモチーフ中央の三連構造DTD)は、ポリメラーゼ機能、この場合、HNA RT活性をわずかに改変するために変異させることができる。
実施例14〜18に対する参考文献:
1. S. W. Lockless, R. Ranganathan, Science 286, 295 (Oct 8, 1999).
2. G. M. Suel, S. W. Lockless, M. A. Wall, R. Ranganathan, Nat Struct Biol 10, 59 (Jan, 2003).
3. N. Halabi, O. Rivoire, S. Leibler, R. Ranganathan, Cell 138, 774 (Aug 21, 2009).
4. J. K. Ichida et al., J Am Chem Soc 127, 2802 (Mar 9, 2005).
5. Y. Brudno, M. E. Birnbaum, R. E. Kleiner, D. R. Liu, Nat Chem Biol 6, 148 (Feb, 2010).
6. C. Tuerk, L. Gold, Science 249, 505 (Aug 3, 1990).
7. J. K. Ichida, A. Horhota, K. Zou, L. W. McLaughlin, J. W. Szostak, Nucleic Acids Res 33, 5219 (2005).
8. M. C. Franklin, J. Wang, T. A. Steitz, Cell 105, 657 (Jun 1, 2001).
9. V. Truniger, J. M. Lazaro, M. Salas, L. Blanco, EMBO J 15, 3430 (Jul 1, 1996).
10. K. Bohlke et al., Nucleic Acids Res 28, 3910 (Oct 15, 2000).
[実施例19]
DNAからCeNAへの、またCeNAからDNAに戻る情報伝達
前の実施例に類似して、DNA鋳型からの遺伝情報は、単離ポリメラーゼを使用してCeNA分子に運ばれ、回復することができる。
フォワード合成(DNA→CeNA)は、6G12について先に記載されるものに非常に類似する条件でC7を用いて実行した。典型的な反応は、1μMプライマー及び鋳型及び適したCeNTP濃度(30〜500μMの各ヌクレオチド)を有するThermoPol緩衝剤(NEB社)中で実行した。反応は、B−ファミリー熱安定性ポリメラーゼと適合性の一連の温度で実行することができた。6G12のように、C7もまた、DNA及びRNAプライマーの両方から非天然核酸合成を開始することができる(図27)。
図27:C7によるCeNA合成(変性条件下でのPAGE)。RNA及びDNAプライマーの両方は、DNA鋳型の末端までC7及びCeNTPを使用して伸長することができる(57の組み込み)。
6G12及びHNAを用いる反応に類似して、多くのステップ(上記の対応する実施例において記載される)は、いかなるもとのDNA鋳型も持ち越されず、プライマー合成分子とあらゆる可能性のあるキャリーオーバーを区別することができることを確実にするために導入した。
521LがRNA及びHNAに対するRT活性を既に示したように、それは、CeNAに対して使用されることとなる明白な候補であった。HNAのように、DNアーゼ処理し、精製したフォワード合成は、図28において示すRT反応のための鋳型として使用した。
図118:C7合成CeNA鋳型を使用する521Lを用いるDNA合成。鋳型の末端への伸長は、C7合成鎖の両方について観察することができるが、RNAプライマーから生成したCeNA鋳型は、DNAプライマーのものよりも明らかに優れていた。CeNA鋳型からの521LによるDNA合成は、RNA、HNA、及びCeNA RTとしての521Lの確認に成功した。典型的なCeNA−RT 521L反応(50μl)は、1×ThermoPol緩衝剤(NEB社)中、等濃度の標識プライマー及びCeNA鋳型を使用して実行した。プライマー−鋳型複合体をアニールした後、521Lを追加し、反応は、65℃で4時間の伸長ステップを用いて4サイクルPCRとして実行した。
[実施例20]
特異的で例示的な配列
本実施例における名称が配列表においてインデックスを付けたクローン名であり、アミノ酸を示すものではないことに注意されたい(例えば、C7=クローンC7、位置7でのシステインを示すものではない)。
CeNTP組み込みのために選択されるポリメラーゼ:
モチーフ10A:A1、C1、C7、D4、E8、G3、H2、NC11
モチーフ12:G11
HNTP組み込みのために選択されるポリメラーゼ:
モチーフ10A:6G12、E3、E6、H6
モチーフ12:B11、B12、H12
発明者らの野生型:TgoT
真の野生型:Tgo_wt
[実施例21]
HNAベースの遺伝子系
発明者らは、遺伝情報コード及び解読を検討しようとした。おおまかに、発明者らは、完全に非天然の構成成分から遺伝及び進化の両方を支援する人工的な遺伝子系を構築することができるかどうかについて考えた。最小限に、そのような系は、DNA又はRNAとのクロストークが可能な化学的フレームワーク(XNA)、XNA合成のための手段(つまり、DNAからXNAに天然遺伝情報を運ぶためのDNA鋳型XNAポリメラーゼ)、及びXNAを解読するための手段(つまりXNA逆転写酵素)を必要とする。発明者らは、DNA及びRNAの両方とクロスハイブリダイズするそれらの能力、それらのヘリックス形成特性、それらの化学的安定性、並びにヌクレオシド及びオリゴマーの両方としてのそれらの低毒性のために、望ましい物理化学的特性を有する可能性のあるXNAとしてHNA(1,5アンヒドロヘキシトール核酸)及びCeNA(シクロヘキセニル核酸)を同定した(図29a)(Vandermeeren, M. et al. Biological activity of hexitol nucleic acids targeted at Ha-ras and intracellular adhesion molecule-1 mRNA. Biochem Pharmacol 59, 655-663, doi:S0006-2952(99)00367-6 [pii] (2000))。しかしながら、HNA(hNTP)及びCeNA(ceNTP)の両方の三リン酸は、市販で入手可能なポリメラーゼ(Vastmans, K., Froeyen, M., Kerremans, L., Pochet, S. & Herdewijn, P. Reverse transcriptase incorporation of 1,5-anhydrohexitol nucleotides. Nucleic Acids Res 29, 3154-3163 (2001)、Kempeneers, V., Renders, M., Froeyen, M. & Herdewijn, P. Investigation of the DNA-dependent cyclohexenyl nucleic acid polymerization and the cyclohexenyl nucleic acid-dependent DNA polymerization. Nucleic Acids Res 33, 3828-3836, doi:33/12/3828 [pii] 10.1093/nar/gki695 (2005))及び遺伝子操作したポリメラーゼの発明者らの組織内のレパートリーの両方に対して、不十分な基質であることが証明された(図38)。発明者らのスクリーニングは、HNA/CeNAポリメラーゼ進化のための最も有望な出発点として超好熱性古細菌サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Tgo)から複製ポリメラーゼのバリアントを同定した(3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(D141A、E143A)、ウラシル停止機能(V93Q)を欠き、A485L(「Therminator」変異)を含む)。これ以降TgoTと呼ばれるこのポリメラーゼは、様々な鋳型に対して6つの連続hNTP(及びceNTP)まで重合することができる。
hNTP又はceNTPを利用する際にTgoTでさえ活性が不十分であることは、ポリメラーゼ遺伝子操作の確立された方法の適用を妨げた(Sweasy, J. B. & Loeb, L. A. Detection and characterization of mammalian DNA polymerase beta mutants by functional complementation in Escherichia coli. Proc Natl Acad Sci U S A 90, 4626-4630 (1993)、Ghadessy, F. J., Ong, J. L. & Holliger, P. Directed evolution of polymerase function by compartmentalized self-replication. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 98, 4552-4557 (2001)、Xia, G. et al. Directed evolution of novel polymerase activities: mutation of a DNA polymerase into an efficient RNA polymerase. Proc Natl Acad Sci U S A 99, 6597-6602, doi:10.1073/pnas.102577799 99/10/6597 [pii] (2002))。そのため、発明者らは、進化性のHNA又はCeNA合成の可能なポリメラーゼの発見を可能にするために、区画化自己タギング(CST)と呼ばれる新しい高度に感受性の選択戦略を開発した。CSTは、正のフィードバックループに基づき、それによって、ポリメラーゼは、準安定性のビオチン化オリゴヌクレオチドの伸長によってそれ自体のコード遺伝子にタグを付ける。伸長は、オリゴヌクレオチド−プラスミド複合体を安定化し、プラスミド当たり3〜6の組み込み事象の感受性を有する活性なポリメラーゼをコードするプラスミドの選択的な捕捉を可能にする(図29b)。重要なことには、CSTは、自己複製から選択を切り離し、したがって、シンテターゼの回収は、合成ポリマーについての逆転写酵素の利用可能性に依存性ではない。
多様化したHNA及び/又はCeNAポリメラーゼ活性の発見を促進するために、発明者らは、TgoTの22の別々の変異誘発ライブラリーを生成した。多様性は、系統発生多様性及び5〜10%のランダム変異(保存位置に)を含み(図37)、関連するRB69 DNAポリメラーゼの三次複合体構造においてモデル化される新生DNA鎖及びその水和殻の10Å内に位置する短い配列モチーフ(10〜24アミノ酸)に集中した(Franklin, M. C., Wang, J. & Steitz, T. A. Structure of the replicating complex of a pol alpha family DNA polymerase. Cell 105, 657-667, doi:S0092-8674(01)00367-1 [pii] (2001)、Wang, J. et al. Crystal structure of a pol alpha family replication DNA polymerase from bacteriophage RB69. Cell 89, 1087-1099, doi:S0092-8674(00)80296-2 [pii] (1997))。
発明者らは、最初に、22のTgoTライブラリーのそれぞれに対してCST選択を別々に実行し、ポリクローナルプライマー伸長による選択の前後にそれらのhNTP及びceNTP組み込み潜在能力をスコアリングした(示さず)。このスクリーニングは、ポリメラーゼ構造上にマッピングした場合(図29c)、HNA/CeNAポリメラーゼ活性のための重要な構造モチーフが、ポリメラーゼ活性部位ではなく、プライマー3’末端から20Åを超える、ポリメラーゼthumbドメインにおけるプライマー−鋳型二重鎖相互作用界面の周辺に位置したことを明らかにした(Pol II(3MAQ)及びRB69(1IG9)の両方において)。そのため、発明者らは、これらの領域にCST選択をさらに集中した。発明者らは、CSTの2つのラウンドを実行し、伸長産物の固相捕捉及び伸長プライマーの60fmol未満の感受性を有する特異的な標識プローブに対するハイブリダイゼーションを介してのそれらの検出に基づいて、新しいハイスループットポリメラーゼ活性アッセイ(PAA)を使用して、選択したポリメラーゼをスクリーニングした(図33)。ラウンド2のクローンのPAAスクリーニングは、CSTの急速な適応が、実質的なHNAポリメラーゼ活性に対してポリメラーゼ集団を選択することを明らかにした。それらのうちの1つ、Pol6G12(TgoT:V589A、E609K、I610M、K659Q、E664Q、Q665P、R668K、D669Q、K671H、K674R、T676R、A681S、L704P、E730G)は、著しい一般的なHNAポリメラーゼ活性を示し、例えばtRNA遺伝子などのような、意味のある遺伝情報をコードするのに十分に長いHNAの進化性の及び定量的合成を可能にした。Pol6G12を使用して、発明者らは、S.セレビシエ(S. cerevisiae)tRNAAla及びtRNAPhe並びに大腸菌tRNA supEの複数のそのようなtHNAを容易に合成し(図30a)、DNA依存性のHNAポリメラーゼとしてPol6G12を確立した。
天然核酸は、RNAの場合には逆転写酵素(RT)などのような鋳型ポリメラーゼの作用によって解読することができる。HNAポリマーを解読する手段がなければ、HNA合成(遺伝子サイレンシングにおける適用のためにssHNAオリゴマーの大量生産のための可能性として有用であるが)は、DNAから運ばれる遺伝情報がHNAにおいて閉じ込められたままとなるので、「行き止まり」となり、分析及び進化の両方を妨げる。しかしながら、利用可能なポリメラーゼのどれも、HNA RT活性を示さなかった。そのため、発明者らは、親ポリメラーゼTgoTにおいて新規のHNA RTを開発することに決めた。逆転写酵素活性(RNA鋳型から)は、L409の変異に際して関連するPfu DNAポリメラーゼにおいて記載されている(Arezi, B., Hogrefe, H., Sorge, J. A. & Hansen, C. J. DNA Polymerase mutants with reverse transcriptase activity. United States of America patent US 2003/0228616 A1 (2003))。発明者らは、それが、RNA様A型立体構造に対するHNAの傾向によると仮定した。HNA−RT活性は、RNA RTの構造の近くに見出されるかもしれない。しかしながら、TgoTにおける等価なL408の変異は、弱いが検出可能なHNA−RT活性を有するバリアントのみが得られた。そのため、発明者らは、L408(polBファミリーにおける高度に保存された残基)の構造的及び機能的な関連をより詳細に調査することに決めた。発明者らは、鋳型認識に関与する可能性のあるアロステリック相互作用ネットワークの一部として、L408の近くで、位置的な協調的変異(covariation)を発見するために、系統発生における配列変異の対での位置的な相関をスコアリングする統計アプローチである統計相関分析(SCA)を使用した。SCAは、機能的なアミノ酸ネットワークの推測を可能にすることが示唆され、選択された変異に合理的説明を与え(Loakes, D., Gallego, J., Pinheiro, V. B., Kool, E. T. & Holliger, P. Evolving a polymerase for hydrophobic base analogues. J Am Chem Soc 131, 14827-14837, doi:10.1021/ja9039696 (2009)、Lockless, S. W. & Muir, T. W. Traceless protein splicing utilizing evolved split inteins. Proc Natl Acad Sci U S A 106, 10999-11004, doi:0902964106 [pii] 10.1073/pnas.0902964106 (2009))、タンパク質設計を支援する(Russ, W. P., Lowery, D. M., Mishra, P., Yaffe, M. B. & Ranganathan, R. Natural-like function in artificial WW domains. Nature 437, 579-583, doi:nature03990 [pii] 10.1038/nature03990 (2005))ために以前に適用された。GenBankにおいて委託されたPolBファミリー遺伝子内の配列変異は、高度すぎて、SCAのために十分に正確なアライメントを提供することができないことが分かった。そのため、発明者らは、SCAのための入力として構造的アライメントに基づいて、671の非冗長PolB配列の手で生成したデータセットを編集した。SCAのヒットのランダム変異(F405、Y520、I521、L575)及び4つのミニレパートリーのPAAスクリーニングは、DNAへのtHNA supE(上記参照)の逆転写によって実証されるように、一般的な進化性のHNA RTとしてTgoT:I521L(RT521)を同定した(図30b)。
HNAを合成し、逆転写する両方の能力は、発明者らがDNAとHNA間の情報伝達の正確性を決定することを可能にした。発明者らは、Pol6G12によってHNAに変換され、RT521によってDNAに戻る大腸菌tRNA supEのクローニング及び配列決定によって、エラー率の総計(HNA合成及びHNA逆転写の両方のエラー率の合計)を決定した。PCRの30サイクルの寄与率を修正して、発明者らは、8.3×10−3誤組み込み率の総計及び5.2×10−3のindel(挿入/欠失)率の総計を得た。個々のエラー率(同一のRNA鋳型の逆転写から推定するRT521の正確性)のディコンボリューションにより、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ(ref)のエラー率と同等であるPol6G12について8×10−3(及びRT521について1.2×10−3)の正確性が得られる(SI 図1)。変異ホットスポットの検査は、最初の5つの組み込み事象において変異の著しいクラスタリング(全体の30%を超え、indelの70%を超える)を示す。誤りがちな開始からより高度な正確性の進化性のモードへのこの推移についての機構的な原因は、現在不明瞭であるが、RNAプライマー排除に際して、RNA−DNAからHNA−DNAハイブリッドへの立体構造推移の効果を含んでいてもよい。そのため、完全に合成のHNAプライマーの将来の使用は、エラー率を有意に低下させるかもしれない。
変異スペクトルの総計の検査は、塩基互変異性によりすべてのポリメラーゼについて一般に観察されるA/G、C/T塩基転位型変異を主に明らかにする。しかしながら、発明者らはまた、Pol6G12による鋳型dTの向かい側のhG誤組み込みを示す、珍しく優位なT/G転換をも観察する(又はRT521による鋳型hCの向かい側のdA)。
ともに、HNAポリメラーゼPol6G12及びRT521 HNA RTは、HNAベースの遺伝に基づいて構築される合成遺伝子系を確立する。
[実施例22]
HNAアプタマーに対する本発明の適用
次に、発明者らは、そのようなHNAベースの合成遺伝子系もまたダーウィン的進化を支援し得るかどうかについて考えた。そのため、発明者らは、HNAアプタマーについてインビトロ選択実験を開始した。DNA及びHNAの間の並びに戻りの情報伝達の正確性の総計は、長さが100ntを超えるHNA配列の選択と容易に適合性であるはずである(Ichida, J. K., Horhota, A., Zou, K., McLaughlin, L. W. & Szostak, J. W. High fidelity TNA synthesis by Therminator polymerase. Nucleic Acids Res 33, 5219-5225, doi:33/16/5219 [pii] 10.1093/nar/gki840 (2005))が、分子標的の特異的認識が可
能な安定した三次元構造にフォールドするssHNAオリゴマーの能力は未知であった。そのため、発明者らは、最初に、DNA及びRNAアプタマーの両方が以前に単離されたHIV TAR(トランス活性化応答)RNAである、十分に特徴付けられた核酸標的に対するHNAアプタマーを選択した(Boiziau, C., Dausse, E., Yurchenko, L. & Toulme, J. J. DNA aptamers selected against the HIV-1 trans-activation-responsive RNA element form RNA-DNA kissing complexes. J Biol Chem 274, 12730-12737 (1999)、Duconge, F. & Toulme, J. J. In vitro selection identifies key determinants for loop-loop interactions: RNA aptamers selective for the TAR RNA element of HIV-1. RNA 5, 1605-1614 (1999))。HNA TARバインダーは容易に進化したが、RNA又はDNAアプタマーと異なり、「kissing loop」相互作用を介してTARに結合するように思われなかった。HNA抗TARアプタマーの相互作用のマッピングは、TARステム及び非対称性バルジを標的にする又は結合のためにループ及びバルジの両方を必要とする2つのクレードを明らかにした(図32)。以前に最適化されたRNAアプタマーよりもわずかに低い親和性であるにもかかわらず(たいていはゆっくりとしたkon速度による)、HNA抗TARアプタマーは、TAR RNAとのHIV TAT(転写のトランス活性化因子)タンパク質の相互作用の阻害でより有効であることが証明された。
本明細書において記載される合成遺伝子系は、探索のための、以前には到達できなかった新しい配列空間への合成ルートを提供する。本発明は、この「HNA空間」が新しい表現型と共にどのように占めるかを調査するために使用されてもよく、少なくとも特異的リガンド結合を示すHNAアプタマーは容易に発見されるように思われる。選択が広範囲の標的に広く適用される場合、そのようなHNAアプタマーは、ヌクレオシド及びオリゴマーの両方として頑健な化学的安定性及び低毒性を提供する非同起源の化学的構造により大きな生物工学的及び治療用の潜在能力を有していてもよい。
そのような合成遺伝子系は、診断及び治療効果における適用のための特注の化学的性質を有する、新しい受容体及び触媒の豊富な供給源をもたらすはずである。
実施例21〜22についての図面の説明
図29:人工的な生体高分子の合成のためのポリメラーゼの定向進化。(a)デオキシリボース(DNA)、1,5アンヒドロヘキシトール(HNA)、及びシクロヘキセニル(CeNA)核酸の構造。(b)区画化自己タギング(CST)。油中水型エマルションは、ポリメラーゼ及びそれらの遺伝子型が、標識プライマー及び修飾ヌクレオチドを含有する反応において単離されることを可能にする。修飾ヌクレオチドを組み込むことができるポリメラーゼによるプライマーの伸長は、プライマー結合を安定化し、それら自体のコードプラスミドにタグを付け、それらの遺伝情報が回収されるのを可能にする。(c)野生型(1TGO)及び関連する大腸菌pol II(3MAQ)の三元複合体にマッピングした、ランク付けしたライブラリーポリクローナル活性を示すヒートマップ。ポリメラーゼthumbを標的にするライブラリーは、選択の単一の一ラウンド後に最も高度な基本の活性及び最良の改善を示した。
図30:HNAシンテターゼ(Pol6G12)及び一本鎖HNA特性。(a)構造的に等価な大腸菌pol II(3MAQ)残基にマッピングされたPol6G12変異。赤色で示すPol6G12において同定された14の変異のうちの11は、pol II三元複合体にマッピングすることができ、それらのほぼ半分は、緑色で示す新生HNA鎖の近くにクラスタリングする。(b)精製野生型酵素は、6つの組み込み以上にHNAをあまり合成しないが、精製Pol6G12は、示される大腸菌アンバーサプレッサーtRNA遺伝子などのようなHNAを定量的に合成することができる。(c)一本鎖HNAは試験したすべてのヌクレアーゼに不応性であり、酸性環境においてDNAよりも実質的に抵抗性である(d)。それらの条件下でのHNAの半減期(t1/2HNA=347分、R2=0.899)は、DNA(t1/2DNA=43.3分、R2=0.975)よりもほぼ8倍高度である。
図31 HNA逆転写酵素及びHNA遺伝子系の正確性。(a)RT521は、6G12によって合成された大腸菌tRNA遺伝子(追加のタグを有する)などのようなssHNA鋳型からDNAを定量的に合成することができる(NA:RTのみの対照)。(b)Tgo I521に対する構造的に等価な残基を大腸菌pol IIにおいて示す(赤色)。三元複合体において、それは、ポリメラーゼの保存活性部位モチーフと密接に接触している(A−モチーフはオレンジ色;C−モチーフは青色)。新生DNA鎖(紫色)及びHNA鋳型(緑色)を示す。(c)6G12によってDNAからHNAに運ばれた情報は、塩基当たり12.2×10−3のエラー率の総計で、RT521によって復旧させ、DNAに戻すことができる(NP:プライマーを用いないで実行したHNA合成;NT:鋳型なしのPCR対照)。示すエラープロファイルは、期待されるHNA鎖を指す。より詳細については、補助情報を参照されたい。
図32:HNAアプタマー特異性及びHIV−TAT結合阻害。(a)TAR及び修飾TAR RNA標的に結合するアプタマーのELISA検出。R06は、TARに対して報告されたRNAアプタマーであり、HNA−GAは、以前に報告されたHNAアプタマーである。T5S8−7及びT4S8−14は、以前に報告されたミニTAR(標的A)に対する結合について選択された(Kolb, G. et al. Hexitol nucleic acid-containing aptamers are efficient ligands of HIV-1 TAR RNA. Biochemistry 44, 2926-2933, doi:10.1021/bi048393s (2005))。LTS19−7は、TARのより長いバージョンに対して選択された(標的H)。標的(オレンジ色)の異なる領域のスクランブル又はそれらのすべての除去(標的F及びG)は、T5S8−7が、完全な非修飾標的のみに結合する真のアプタマーであることを確認する。(b)TATアプタマーミニTAR結合競合アッセイ。固定ミニTARに対するTAT結合の免疫検出は、TAT結合を阻害するのに必要とされるアプタマー濃度を推定するために使用した(IC50)。HNAアプタマーT5S8−7(IC50=1.9nM(CI95% 1.3〜2.8nM))は、もとのRNA R06(IC50=313nM(CI95% 166〜675nM))よりも100倍の低い濃度でTATにとって代わることができる。
図33 HNA遺伝子系のエラースペクトル及びエラー率。(a)もとの鋳型として大腸菌tRNA遺伝子を使用する一連のHNA合成及び逆転写の後に1974の配列決定塩基から照合された誤組み込み、欠失(塗りつぶしの三角形)、及び挿入(白抜きの三角形)。RNA合成プライマーは青色で示し(アウトネスティングタグは太字上付き文字で示し、合成ミスマッチは赤色で示す)、エラーは、HNA合成鎖にマッピングする。hNTP組み込みの数を示す。逆転写プライマーは、緑色で示す(RTミスマッチは赤色で、アウトネスティングタグは太字で示す)。(b)HNA及びDNA合成についてPol6G12及びRT521について決定されたエラー率の総計及び個々のエラー率。モード詳細については、副教材及び方法を参照されたい。
図34:DNA〜HNA〜DNA:使用した方法の図。開始DNA鋳型は、HNAのプライマー非依存性の合成を最小限にするために短いポリdAテールを含有したが、合成プライマーは、プライマー依存性の産物が同定されるのを可能にするために鋳型に対してアウトネスティングタグ及びミスマッチの両方を含有した。フォワード合成は、物質及び方法において記載されるようにPol6G12を用いて実行し、合成なしの対照(ヌクレオチド又は酵素なし)及びプライマーなしの対照(プライマー非依存性のHNA合成が進行するのを可能にする)を含んだ。HNA合成後に、鋳型はTurbo DNaseIを用いて除去し、反応はDNA断片及び非伸長プライマーを除去するために精製した。RT521を用いて実行したRT反応は、次いで、さらなるミスマッチ及びアウトネスティングタグを含有するDNAプライマーにより設定した。反応はRT後に精製し、断片はPCRによって増幅した(プライマーとしてアウトネスティングタグを使用)。アウトネスティングタグは、フォワード及びリバース合成アウトネストの両方を含有するDNA断片のみ、つまり、成功したRTに続いて成功したプライマー依存性の合成によって生成された断片が、増幅されることを保証する。次いで、クローニングされた断片は、得られたDNAがHNA中間を介してもとのDNA鋳型に由来するに違いないことを確実にするために、2つの導入されたミスマッチについてチェックする(図31cにおいて示されるように)。
図35:PolB及び521ネットワークの統計カップリング分析(SCA)。(a)671の非冗長B−ファミリーポリメラーゼの手で生成した配列アライメントは、ポリメラーゼ内のアロステリックネットワークを同定するための対の協調的残基を同定するために、SCAにおいて使用した。得られた協調的変異値の分布は、対数正規分布(μ=−1.749、σ=0.808)に適合させた。第99パーセンタイル(kT>1.964)以上の値は、有意であると考えられ、PolBアロステリックネットワークを確立するために使用した。高度に有意な残基(kT>2.4)は、SCA(シアン)において含むことができなかった保存残基と一緒に、Tgo(1TGO)apo構造(オレンジ色)上にマッピングして示す。(b)関連する大腸菌pol II(3MAQ)において示すSCAの結果−SCA及び保存残基は、(a)のように示し、プライマー鎖は緑色で、鋳型は紫色で示す。(c)使用したアライメントにおいてI521と協調的変異することが同定された残基の階層クラスタリング。
図36:ポリメラーゼ活性ELISA(PAE)。(a)PAEの原理。プライマー伸長反応は、ストレプトアビジンでコーティングした固体表面上に伸長産物を固定するために使用することができるビオチン化プライマーを使用して実行する。もとの鋳型は、熱又はアルカリ処理によって除去し、ジゴキシゲニン(DIG)−標識プローブは、伸長産物に結合する。次いで、DIG標識は、伸長の免疫検出において使用する。(b)小さく、単一の残基で、部分的な適用範囲のライブラリー(NWCとしてコード)からの個々の分離株は、化学的に合成されたHNA鋳型に対するDNA合成のために、PAEを用いてスクリーニングした。残基408及びその空間的近辺(405、520、521、及び575)における有意なSCA残基は、残基521及び575において同定された有意な活性を用いて最初に調査した。あらかじめ伸長した対照は、マゼンタ(+7)及び緑色(+9)並びに野生型TgoT(赤色)で示す。いくつかのHNA RT活性は、TgoT並びに521及び575変異体を用いて観察されるが、521だけが、HNAのより長いストレッチに対してDNAを合成することに成功する。
図37:変異誘発ライブラリー。多様性について標的にした残基は、Tgo(a)及び大腸菌pol II(b)主鎖上に青色(表面表示)で示す(白色の図)。交互の色の個々のライブラリーをTgoT配列(c)に対して示す。ポリメラーゼpalm(モチーフ4、A−、A、A+、6−、6+、C、C+、及び7)、finger(モチーフ5、B−、B)、並びにthumb(モチーフ8、9、10A、10B、11、及び12)サブドメインに加えた、エキソヌクレアーゼドメイン(モチーフ1及び2)並びにヘリックス間ドメイン(モチーフ3及び4)のライブラリー標的部分。
図38:非天然ヌクレオチドの基本の組み込み。きれいにしたポリメラーゼ溶解物は、入手可能な「野生型」、キメラ、及び遺伝子操作ポリメラーゼによってTempT鋳型(TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCTCCCTATAGTGAGTCGTATTA)に対するCeATPの組み込みを試験するために使用した。「野生型」ポリメラーゼは、サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)(Tgo)、サーモコッカス種9°N−7(9°N)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)(Vent)、及びパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)は、ウラシル停止(V93Q又は等価物)及びエキソヌクレアーゼ(D141AE143A)活性を欠く。「Therminator」変異(A485L)(Gardner, A. F. & Jack, W. E. Determinants of nucleotide sugar recognition in an archaeon DNA polymerase. Nucleic Acids Research 27, 2545-2553 (1999))を含むバリアントはT(例えばTgoT)と標識し、蛍光標識ヌクレオチドの組み込みを改善することが決定された変異を有するバリアント(Ramsay, N. et al. CyDNA: synthesis and replication of highly Cy-Dye substituted DNA by an evolved polymerase. J Am Chem Soc 132, 5096-5104, doi:10.1021/ja909180c (2010))はE10と標識する。キメラは、エキソヌクレアーゼポリメラーゼとして示す(つまり、Pfu−Tgoは、Tgoのポリメラーゼドメインに対するPfuのエキソヌクレアーゼドメインのキメラである)。
実施例21〜22についての参考文献
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[実施例23]
HNA分子に結合するDNAプライマーの改善
塩基組成、特にプリン及びピリミジンバイアスは、HNA/DNA融解温度に強力な影響を有する(Boudou, V., et al., Base pairing of anhydrohexitol nucleosides with 2,6-diaminopurine, 5-methylcytosine and uracil asbase moiety. Nucleic Acids Res, 1999. 27(6): p.1450-6)。これらのバイアスを利用することによって、HNAに結合することが可能なDNAプライマーを設計し、521型ポリメラーゼによって伸長が成功するようにすることは可能である(HNA RT)。
最初に、3つのDNAプライマー配列を、知られているHNA分子(DNA鋳型から合成されることとなる)に対して試験した(Testbind3):
NAPfd(以前に記載;結合部位は下線を引いて上記に示す)2’OMe RNAプライマーは、3つの試験プローブすべてに対する結合部位を含むHNA分子を合成するために使用する。合成されたHNAは、TURBO DNアーゼ合成反応をPAGE精製することによって単離し(記載されるように)、プライマー結合実験は、図39に示されるように、様々な条件において実行した。
図39:精製HNA分子に結合するDNAプライマー。rREVfdは、HNA合成において使用されるfdタグに相補的なRNAプライマーであり、プライマー結合についての内部標準として使用した。1pmolのHNAを、1pmolのDNAプライマー結合を試験するために使用した。非効率的であったが、プライマーは、HNA、特にTest7及びTest8に明らかに結合することができる。さらなる作業をTest7に集中した。
組成にバイアスがかかったHNA分子にDNAプライマーが結合することができるということを考慮して、発明者は、同様の結果を有するバイアスがない鋳型(TempNpurine: CCTAGTTCTTCCTCTTCCCGATGCTGGACCAGATAAGCACTTAGCCACGTAGTGCTGTTCGGTAATCGATCTGGCAAACGCTAATAAGG)に対するtest7について実験を繰り返した。HNAに結合するDNAプライマーは、DNA上の5’オーバーハングによって影響されなかった。プライマー結合を得るのに成功したので、発明者らは、原理証明としてプライマー依存性のRTを実行した。
図40:プライマー依存性のHNA RT。FITC標識HNA(赤色)は、Cy5標識Test7プライマー(緑色)を使用して、RT521を用いて実行したRTについての鋳型として使用した。完全長産物は、65℃で4時間の伸長後に、使用したRT521の両方の濃度について観察することができた。これらの結果は、RT反応から、続くPCRによって確証された。適切なRT産物を得たので、発明者らは、知られている配列(TempNpurine)の分子における系の検出限界を調査した。RT産物(2倍のoutnestアプローチを使用して)のPCR検出は、0.25pmol HNAを用いて実行されたRTまでRT521がHNA RT産物を検出するかもしれないことを示唆した。さらに、他のヌクレオチドの化学的性質(例えばLNA、2’OMe−RNA)を有するDNAプライマーを加えることを含むプライマーの最適化を実行している。しかしながら、代替物は、RT酵素自体をさらに改善するものであった。
[実施例24]
HNA/RNAの進化性の逆転写のためのポリメラーゼのさらなる設計
RNAポリメラーゼの設計との関連において記載されるE664K変異は、プライマー鋳型複合体に対するポリメラーゼの親和性を増加させるために決定した。HNA/DNAハイブリッドが実質的にねじれたヘリックスを起こすと期待されるので、この鋳型に対するRT521の親和性を増加させることはHNA逆転写を改善するであろう。
iPCRは、RT521関連でE664K変異を導入するために使用し、両方の酵素は、上記に記載されるTempNpurine系を使用して、HNA RT−PCRについて並行して試験した。
図41:RT521及びRT521K(RT521+E664K変異)を比較するHNA RT−PCR。RT−PCRの感受性は、1pmol及び続く2倍希釈系列の反応において入力HNA鋳型を滴定することによって決定した。HNAについては、RT521Kは、少なくとも60倍改善された検出限界を得るように思われる。対照は、PCRについての鋳型なし(NT)、RTについての鋳型なし(NTRT)、及びRTステップを用いないで実行した反応(NoRT)を含んだ。
検出の感受性を増加させるためにインネステッド(in-nested)PCRを使用して類似する実験を実行することにより、521Kを用いて実行したRTステップへの入力HNAの9アトモルまでの単一のHNA配列の明らかな増幅を得た。これは、検出限界であると期待されず、さらなる反応最適化がさらに感受性を改善することが期待されるであろう。
重要なことには、Test7は持ち運び可能であり、図42において示されるApLib5(CCCTAGTTCTTCCTCTTCCCNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNCGAACAGCACTACCTtTTGGCAAACGCTAATAAGGGGTCCTAAAAAAAAA)などのような縮重ライブラリーを含む他の鋳型に対して使用することができる。
図122:実施例2において記載される同じ二重のアウトネストアプローチを使用する縮重N40ライブラリーからのHNA RT−PCR。フォワード合成は、Aplib5鋳型に対してNAPfd 2’OMeを用いて実行し、RTは、1pmol HNAに対してLMB3+Test7プライマーを用いて実行した。続くPCRは、25サイクルについてNAP及びLMB3+を用いて実行した。鋳型なしの対照をPCRについて含み(NT)、RTなしの対照もまた、実行した(−)。
[実施例25]
RNAポリメラーゼ
DNAポリメラーゼ基質特異性は、ゲノムの完全性にとって決定的であり、現在のパラダイムは、立体的ゲート変異によって例示されるように、それが活性部位によってもっぱら決定されるということである。そのような変異は、数桁、すべてのファミリーからのDNAポリメラーゼによるNTPの組み込みを増加させるが、進化性のRNAポリメラーゼをもたらさない。実際、ほとんどの修飾DNAポリメラーゼは、印象的な組み込み効率にもかかわらず、6〜7のNTP組み込み後に失速する。B−ファミリーポリメラーゼ(Tgo)のthumbドメインへの集中を通して、発明者らは、この伸長のブロックを軽減する新生鎖のすぐ近くの点変異を同定した:「第2のゲート」。古典的な立体的ゲート変異(Y409G)と組み合わせたTgo(E664K)の第2のゲートの変異は、TGK:DNA足場から遺伝子操作された第1のプライマー依存性熱安定性RNAポリメラーゼをもたらす。TGKは、1分未満でtRNA遺伝子を合成することができ、わずか1時間で1.7kbルシフェラーゼ遺伝子を合成することができる。
さらに、E664K変異は、立体的ゲート変異の非存在下においてでさえ損傷乗り越え合成を可能にする。「第2のゲート」は、したがって、DNAからRNAポリメラーゼへの進化論的な経路において決定的な欠けているステップを特定し、活性部位に対して遠位の、ポリメラーゼ基質特異性の新しい合成後決定因子を定義し、複製正確性及びポリメラーゼ基質拡張の両方に関する研究においてさらなる調査に値する領域としてthumbドメインを確立する。
DNAポリメラーゼ基質特異性は、ゲノム安定性及びバイオテクノロジーにおける適用にとって最も重要であり、一般に、ポリメラーゼ活性部位の幾何学的配置及び化学的性質によってもっぱら決定されることが想定される。しかし、ヌクレオチド基質の高度に効率的な組み込みは、DNAポリメラーゼの活性部位における「立体的ゲート」残基の変異によって例示されるように、必ずしも核酸ポリマーの進化性の合成をもたらさない。そのような変異は、数桁、NTP組み込みの触媒効率を増加させるが、結果として生じるポリメラーゼはなお、進化性のRNA合成ができないままである。本明細書で、発明者らは、プライマー3’末端から25Åのポリメラーゼthumbドメインに位置する、決定的な二次特異性決定因子(「第2のゲート」)の発見を記載する。Tgo、T.ゴルゴナリウスからの複製DNAポリメラーゼにおけるこの第2のゲート残基(E664K)の変異は、古典的な立体的ゲート変異(Y409G)と一緒に、進化性、熱安定性、プライマー依存性RNAポリメラーゼを得、T7 RNAポリメラーゼに匹敵する正確性で、長さが1.7kbまでのタンパク質コードmRNAを合成することができる。「第2のゲート」は、DNAからRNAポリメラーゼへの進化論的な経路において決定的な欠けているステップを特定し、活性部位に対して遠位の、ポリメラーゼ基質特異性の新しい合成後決定因子を定義する。
ポリメラーゼ基質特異性を理解するにあたっての著しい進歩にもかかわらず、DNAポリメラーゼ足場からの進化性のRNAポリメラーゼの遺伝子操作は、わかりにくいことが証明されている。DNAポリメラーゼの活性部位における「立体的ゲート」残基の変異は、NTP組み込みの触媒効率を増加させるが、結果として生じるポリメラーゼは、進化性のRNA合成ができないままである。本明細書で、発明者らは、プライマー3’末端から25Åのポリメラーゼthumbドメインに位置する、決定的な二次決定因子(「第2のゲート」)の発見を記載する。Tgo、T.ゴルゴナリウスからの複製DNAポリメラーゼにおけるこの第2のゲート残基(E664K)の変異は、古典的な立体的ゲート変異(Y409G)と一緒に、第1の進化性、熱安定性、プライマー依存性RNAポリメラーゼを得、T7 RNAポリメラーゼに匹敵する正確性で、長さが1.7kbまでのタンパク質コードmRNAを合成することができる。この「第2のゲート」は、DNAからRNAポリメラーゼへの進化論的な経路において決定的な欠けているステップを特定し、活性部位に対して遠位の、ポリメラーゼ基質特異性の新しい合成後決定因子を定義する。
DNAポリメラーゼは、ゲノムの正確な複製及び維持を通して遺伝情報の伝達を可能にし、したがって、すべての生物に最も重要である。ゲノム複製は、ポリメラーゼ正確性を確実にし、ゲノムの中への組み込みから非同起源の及び/又は損傷を受けたヌクレオチドを除くために、高度な基質認識メカニズムを必要とする。ヌクレオチド化学的性質に加えた詳細な構造的検査は、ポリメラーゼ活性部位が非同起源のヌクレオチドの化学的性質及び幾何学的配置から同起源のものをどのように区別し得るかについての分子メカニズムを明らかにし始めた。ゲノムの中への組み込みからのリボヌクレオチドの排除が、DNAベースのゲノムの完全性にとって特に重要である。リボヌクレオチド三リン酸(NTP)は、リボフラノース環上の2’−ヒドロキシル(−OH)の存在によってのみデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)と異なり、同起源のdNTPの100倍まで上回る濃度で細胞中に存在する。DNAポリメラーゼは、それらの活性部位及びよってゲノムからNTPを除くが、ゲノム安定性及び修復についての有意な関連と共に、組み込みが検出可能な程度まで生じることが最近示された。この問題は、3’ホスホジエステル結合に対するリボースの近接する2’OHの求核攻撃による、RNAの自発的な分解を加速することによって高温がゲノム不安定性をさらに増加させるので、好熱生物にとってさらに深刻である。
したがって、DNAポリメラーゼは、新生鎖の中にNTP組み込みを防ぐ例外的に有効なメカニズムを使用する;単一残基、「立体的ゲート」は、入って来るヌクレオチドの2’位の化学的性質のストリンジェントな立体的な制御を行う。立体的ゲート残基は、すべての複製(Evans, R.J., et al., Structure of PolC reveals unique DNA binding and fidelity determinants. Proc Natl Acad Sci U S A, 2008. 105(52): p. 20695-700、Bonnin, A., et al., A single tyrosine prevents insertion of ribonucleotides in the eukaryotic-type phi29 DNA polymerase. J Mol Biol, 1999. 290(1): p. 241-51、Yang, G., et al., A conserved Tyr residue is required for sugar selectivity in a Polalpha DNA polymerase. Biochemistry, 2002. 41(32): p. 10256-61、Gardner, A.F. and W.E. Jack, Determinants of nucleotide sugar recognition in an archaeon DNA polymerase. Nucleic Acids Res, 1999. 27(12): p. 2545-53)(polB、polC)及び修復(Astatke, M., et al., A single side chain prevents Escherichia coli DNA polymerase I (Klenow fragment) from incorporating ribonucleotides. Proc Natl Acad Sci U S A, 1998. 95(7): p. 3402-7、DeLucia, A.M., N.D. Grindley, and C.M. Joyce, An error-prone family Y DNA polymerase (DinB homolog from Sulfolobus solfataricus) uses a 'steric gate' residue for discrimination against ribonucleotides. Nucleic Acids Res, 2003. 31(14): p. 4129-37、Jarosz, D.F., et al., A single amino acid governs enhanced activity of DinB DNA polymerases on damaged templates. Nature, 2006. 439(7073): p. 225-8、Brown, J.A., et al., A novel mechanism of sugar selection utilized by a human X-family DNA polymerase. J Mol Biol, 2010. 395(2): p. 282-90)(polA、polY、polX−Pal Muの可能な例外を有する(Ruiz, J.F., et al., Lack of sugar discrimination by human Pol mu requires a single glycine residue. Nucleic Acids Res, 2003. 31(15): p. 4441-9))ポリメラーゼファミリー並びに逆転写酵素(Gao, G., et al., Conferring RNA polymerase activity to a DNA polymerase: a single residue in reverse transcriptase controls substrate selection. Proc Natl Acad Sci U S A, 1997. 94(2): p. 407-11、Cases-Gonzalez, C.E., M. Gutierrez-Rivas, and L. 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Joyce, How E. coli DNA polymerase I (Klenow fragment) distinguishes between deoxy- and dideoxynucleotides. J Mol Biol, 1998. 278(1): p. 147-65)、このメカニズムは、非常に有効であり、より小さな側鎖を有するアミノ酸残基に立体的ゲートを変異させることは、数桁、NTP組み込みに対する識別を低下させることができる(Bonnin, A., etal., A single tyrosine prevents insertion of ribonucleotides in the eukaryotic-type phi29 DNA polymerase. J Mol Biol, 1999. 290(1): p. 241-51、Yang, G., et al., A conserved Tyr residue is required for sugar selectivity in a Pol alpha DNA polymerase. Biochemistry, 2002. 41(32): p. 10256-61、Gardner, A.F. and W.E. Jack, Determinants of nucleotide sugar recognition in an archaeon DNA polymerase. Nucleic Acids Res, 1999. 27(12): p. 2545-53、Astatke, M., et al., A single side chain prevents Escherichia coli DNA polymerase I (Klenow fragment) from incorporating ribonucleotides. Proc Natl Acad Sci U S A, 1998. 95(7): p. 3402-7、DeLucia, A.M., N.D. Grindley, and C.M. 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しかしながら、一般に立体的ゲート残基の変異がDNAポリメラーゼをNTP組み込みについて自由にしているが、そのような変異は、それら自体、伸長RNAオリゴマーの合成を可能にしない。DNAポリメラーゼからのRNAポリメラーゼの遺伝子操作は、合理的な設計(Yang, G., et al., A conserved Tyr residue is required for sugar selectivity in a Pol alpha DNA polymerase. Biochemistry, 2002. 41(32): p. 10256-61)、インビトロ若しくはインビボスクリーニング(Patel, P.H. and L.A. Loeb, Multiple amino acid substitutions allow DNA polymerases to synthesize RNA. J Biol Chem, 2000. 275(51): p. 40266-72、Staiger, N. and A. Marx, A DNA polymerase with increased reactivity for ribonucleotides and C5-modified deoxyribonucleotides. Chembiochem, 2010. 11(14): p. 1963-6)及びファージディスプレイによる定向進化(Xia, G., et al., Directed evolution of novel polymerase activities: mutation of a DNA polymerase into an efficient RNA polymerase. Proc Natl Acad Sci U S A, 2002. 99(10): p. 6597-602)、又は区画化自己複製(Ong, J.L., et al., Directed evolution of DNA polymerase, RNA polymerase and reverse transcriptase activity in a single polypeptide. J Mol Biol, 2006. 361(3): p. 537-50)を使用して試みられてきた。これらの努力はNTPを効率的に組み込むDNAポリメラーゼを得たが、n+6でほとんどが失速し、どれも、58のヌクレオチド組み込みよりも長いRNAオリゴマーを合成することができず、これでさえ、典型的に、長いインキュベーション時間(数時間)、高度なポリメラーゼ濃度、及び変異誘発金属イオン(Mn2+)を必要とする(Patel, P.H. and L.A. Loeb, Multiple amino acid substitutions allow DNA polymerases to synthesize RNA. J Biol Chem, 2000. 275(51): p. 40266-72、Staiger, N. and A. Marx, A DNA polymerase with increased reactivity for ribonucleotides and C5-modified deoxyribonucleotides. Chembiochem, 2010. 11(14): p. 1963-6、McCullum, E.O. and J.C. Chaput, Transcription of an RNA aptamer by a DNA polymerase. Chem Commun (Camb), 2009(20): p. 2938-40、Shinkai, A., P.H. Patel, and L.A. Loeb, The conserved active site motif A of Escherichia coli DNA polymerase I is highly mutable. J Biol Chem, 2001. 276(22): p. 18836-42)。したがって、発明者ら(Ong, J.L., et al., Directed evolution of DNA polymerase, RNA polymerase and reverse transcriptase activity in a single polypeptide. J Mol Biol, 2006. 361(3): p. 537-50)及び他の人たち(Astatke, M., et al., A single side chain prevents Escherichia coli DNA polymerase I (Klenow fragment) from incorporating ribonucleotides. Proc Natl Acad Sci U S A, 1998. 95(7): p. 3402-7、Brown, J.A. and Z. Suo, Unlocking the sugar "steric gate" of DNA polymerases. Biochemistry, 2011. 50(7): p. 1135-42)は、活性部位における立体的ゲート残基とは別に、進化性のRNA合成を中断する少なくとも1つの他の決定的な決定因子がDNAポリメラーゼ構造中にあるに違いないと推論した。実際、DNAポリメラーゼフレームワークからの進化性のRNAポリメラーゼの進化は、天然の先例があるように、可能であるに違いない。構造的及び系統発生的証拠は、広く使用されるT7 RNAポリメラーゼが属する、ミトコンドリア及びT−oddバクテリオファージの単一サブユニットRNAポリメラーゼ(ssRNAP)が、原始AファミリーDNAポリメラーゼに由来することを示唆する(Delarue, M., et al., An attempt to unify the structure of polymerases. Protein Eng, 1990. 3(6): p. 461-7、Moras, D., Two sisters and their cousin. Nature, 1993. 364(6438): p. 572-3、Sousa, R., Structural and mechanistic relationships between nucleic acid polymerases. Trends Biochem Sci, 1996. 21(5): p. 186-90、Cermakian, N., et al., On the evolution of the single-subunit RNA polymerases. J Mol Evol, 1997. 45(6): p. 671-81)。2つのファミリー由来のポリメラーゼは広く分かれており、知られている現存する「ミッシングリンク」はないが、RNAポリメラーゼ及びDNAポリメラーゼを関連づける適応性のある経路があるに違いない。
本明細書で、発明者らは、プライマー3’末端から25Åの、T.ゴルゴナリウスDNAポリメラーゼ(Tgo)のthumbドメイン中に位置するポリメラーゼ基質認識の決定的な決定因子の発見及び特徴付けを記載する(図43)。それは、立体的ゲート変異と組み合わせられた場合、RNAポリメリゼーションについて合成ブロックを軽減する単一変異を含み、DNA又はRNAオリゴヌクレオチドプライマーから開始された、たった1時間で長さが1.7kbを超えるmRNAの合成を可能にする。thumb変異及び立体的ゲート変異は、RNAポリメラーゼ活性にとって必要十分であり、したがって、DNAポリメラーゼからRNAポリメラーゼへの最小の適応性のある経路を定義する。最終的に、この変異は、ポリメラーゼ基質スペクトルを拡張し、化学的に修飾されたRNAの進化性の合成及び損傷乗り越え合成(TLS)を可能にし、したがって、活性部位から遠いポリメラーゼ基質特異性の新しい合成後チェックポイントを正確に決定する。
材料及び方法
DNAオリゴヌクレオチドはすべて、Sigma社、IDT社、Eurogentech社、又はMWG Eurofins社からのものとし、RNAオリゴヌクレオチドはすべて、Dharmacon社又はIDT社からのものとした。使用したdNTPはすべて、Roche社(Roche Diagnostics GmbH社、Germany)、GE社(GE Healthcare Life Sciences社、UK)、又はAgilent社(Agilent Technologies Inc社、California、USA)からのものとした。使用したNTPはすべて、Roche社からのものとした。2’フルオロ及び2’アジドdNTPは、(Trilink Biotechnologies Inc社、California、USA)からのものとし、2’ヨード−dATPは、Jena Bioscience社(Jena Bioscience GmbH社、Germany)からのものとした。
DNA操作、タンパク質発現、及び精製
DNA操作及び小規模の発現はすべて、NEB社 10□□細胞において実行した(New England Biolabs Inc.社、Massachusetts、USA)。TgoT及びすべての変異体は、pASK75において維持した。大規模発現及び精製は、BL21 CodonPlus-RIL(Agilent Technologies社)又はNEB社 T7 Express LysY(NEB社)を使用した以外は記載されるとおりとし(Ramsay, N., et al., CyDNA: synthesis and replication of highly Cy-dye substituted DNA by an evolved polymerase. J Am Chem Soc, 2010. 132(14): p. 5096-104)、培養物は、37℃で4時間誘導し、透明溶解物は、6/10 Hi-Prep Heparin FFカラム上にロードする前にDE52陰イオン交換樹脂(Whatman Inc社、New Jersey、USA)であらかじめきれいにした。0.7〜0.8M NaClで溶出したポリメラーゼはすべて、2×Vent storage bufferでフィルター透析し(Amicon Ultra Centrifugal Filters 50K;Millipore社、Massachusetts、USA)、50%グリセロール中に保存した。変異体は、NEB社 10□細胞(NEB社)から典型的に発現させ、熱処理によって溶解し、1×Thermopol buffer(NEB社)中に保存し、清澄化した10×溶解物として活性をスクリーニングした。
点変異は、Expand Hi-Fidelity PCR System(Roche社)又はHerculase II(Agilent Technologies社)を使用して、iPCRによって導入し、Xbal及びBsu361を用いてTgoT及びD4を切断し、消化物をゲル精製し、適切な断片をライゲーションすることによってTgoTに導入したL403P以外は、BsaI(NEB社)消化し、T4DNAリガーゼ(NEB社)を用いてライゲーションし、発現前に変異の存在を確認するために配列決定し、TgoT L403P及びD4 P403Lを生成した。
区画化自己タギング(CST)
D4は、(VP、CC、PHにより投稿準備中)において記載されるようにCST選択の第1のラウンドから単離した。
プライマー伸長
スクリーニング(変異体ポリメラーゼ又は新しい基質との活性についての)のためのプライマー伸長は、2倍の過剰量の鋳型と共に1〜10pmolプライマーを含有する3〜5□l反応において実行した。通常、5’ビオチン、5’FITC、5’Cy3、5’Cy5を有する、又は5’FITC−dT−ビオチンにより二重標識したDNA又はRNAにおけるプライマーFD(5’-CCCCTTATTAGCGTTTGCCA-3’)は、0.25〜0.75mMの各NTPを有し、ある種の立体的ゲート変異体の場合にはMgSOを補足した1×Thermopol緩衝剤(NEB社)において、TempN(5’-CTCACGATGCTGGACCAGATAAGCACTTAGCCACGTAGTGCTGTTCGGTAATCGATCTGGCAAACGCTAATAAGGGG-3’)を伸長するために使用した。典型的な伸長プロトコールは、10秒94℃、1分50℃、10分65℃の2サイクルとした。時間的経過について、2pmol RNAプライマーYtRHNA2HNA2(5’FITC-CAGGAAACAGCTATGACAAATGGTGGTGGGG-3’;下線を引かれた部は鋳型結合部位である)は、30秒間94℃まで加熱し、0.1C/秒で4℃まで冷却することによって、1×Thermopol、+3mM MgSO、2.5mM NTP(0.75mMの各NTP)において反応当たり4pmol鋳型tRNAtemp1(5’-GGTGGGGTTCCCGAGCGGCCAAAGGGAGCAGACTCTAAATCTGCCGTCATCGACTTCGAAGGTTCGAATCCTTCCCCCACCACCA-3’、GI:174470に基づく)にアニールした。酵素は、氷上で追加し、反応は、2V 98%ホルムアミド/10mM EDTAによりクエンチし、15%アクリルアミド/8M尿素PAGE上で分離する前に65℃でインキュベートした。
ポリメラーゼ活性アッセイ(PAA)スクリーニング
ポリメラーゼ活性アッセイ(PAA)スクリーニングは、ジゴキシゲニン(DIG)標識プローブオリゴヌクレオチドを含有する10□l 8M尿素/10mM EDTAを、ビオチン化プライマーを使用するプライマー伸長の後に、反応ミックスに追加し(プライマー伸長に関しては、典型的に、5pmol 5’ビオチンFD及び10pmol TempNを含有する5□l反応)、2分間65℃でインキュベートした以外は、記載されるように実行した(VP、CC、PHにより投稿準備中)。この熱い混合物は、96ウェルStreptaWellプレート(Roche社)中の200□lのあらかじめ冷却したPBS−T(PBS+0.1%Tween-20)に追加し、プローブは、ビオチンをプレートに結合させながら、伸長プライマーにハイブリダイズさせた。プレートは、共に、PBS−T中への液浸によって3回洗浄し、プローブは、抗ジゴキシゲニンPOD Fab断片(Roche社)及びUltra-TMB ELISA基質(Thermo Scientific社、Massachusetts、USA)を使用して検出した。
タンパク質濃度アッセイ
精製タンパク質濃度は、NuPAGE 4-12% Bis-Tris gels(Invitrogen Ltd社、UK)上での分離、SYPRO orange(Sigma-Aldrich社、Missouri、USA)を用いる染色、並びにTyphoon TRIO及びImageQuantによる定量を介してアッセイした。既知濃度(Thermo)のBSA標準物質から生成した標準曲線は、ポリメラーゼ濃度を導き出すために使用した。
GFP及びルシフェラーゼ鋳型調製及び合成
鋳型は、1つのビオチン化プライマー及び1つの非ビオチン化プライマーと共にHerculase II(Agilent Technologies社)を使用してPCRによってGFPについてmGFP6(Haseloff, J., GFP variants for multispectral imaging of living cells. Methods Cell Biol, 1999. 58: p. 139-51)又はルシフェラーゼT7対照DNA(Promega社#L482A)から調製した。この方法は、特有のフォワードプライミング部位の導入を可能にし、QIAquick(Qiagen NV社、Netherlands)精製PCR産物を適切な体積の常磁性ビーズ(DynaBeads MyONE Streptavidin C1、Invitrogen社)に結合させることによって一本鎖DNA鋳型の生成を可能にした。所望の鎖は、37℃で20mM又は100mM NaOHを使用して溶出させ、等しい体積の3M NaOAc pH5.5において中和し、イソプロパノール沈殿した。
フォワード合成は、1×Thermopol(NEB社)、+3mM MgSO、2.5mM NTP(それぞれ0.75mM)、それぞれの10pmol〜70pmolに変化する1:1のプライマー:鋳型比、及び150nM TGKからなる50□l反応において、RNAプライマーL3T32からとした(5’TYE665-C5’-AGGAAACAGCTATGACAAACAAGGTAGTGCTGTTCGtggga-3’;鋳型結合部位に下線を引き、配列の5’は、PCRのためにアウトネストを導入する)。伸長は、10秒94℃、1分50℃、1時間65℃の2サイクルとし、合計2時間の伸長を行った。DNA鋳型は、TURBO DNアーゼ(Applied Biosystems/Ambion社、Texas、USA)処理によって消化し(1×TURBO DNアーゼ緩衝剤を追加した反応ミックスにおいて37℃で1時間、8U)、RNAは、RNeasy column(Qiagen社)上で精製した。
精製RNAの逆転写は、ルシフェラーゼについてのプライマーGB1lucfo(5’-GAAATGGTAAGGCAAATACGGTTACAATTTGGACTTTCCG-3’;鋳型結合部位に下線を引き、配列の5’は、PCRのためにアウトネストを導入する)又はGB1GFPfo(5’-GAAATGGTAAGGCAAATACGGCTATTTGTATAGTTCATCCATGCCATG-3’;鋳型結合部位に下線を引き、配列の5’は、PCRのためにアウトネストを導入する)を用い、Transcriptor RT(Roche社)を使用して実行し、cDNAは、プライマーLMB3+(5’CAGGAAACAGCTATGACAAA-3’)及びNAP(5’-CAGTATCGACAAAGGA-3’)を用いてFastStart Taq(Roche社)を使用して、PCR増幅した。PCR産物は、TOPO TA Cloning Kit For Sequencing(Invitrogen社)を使用して、pCR4.1の中にTOPOクローニングし、コロニーから配列決定した。共に、合成され、逆転写されたとして配列を同定することができるように、フォワード合成及びRTプライマーの両方は、ミスマッチを導入した。エラー率は、Roche社によって提供されるTranscriptorエラー率(1.98×10−5)を使用し、先のようにTaqエラー率を想定して計算した(VP、CC、PHにより投稿準備中)。
TGK合成RNAの合成及びインビトロ翻訳
シャインダルガルノ配列(下線を引く)をコードするプライマーL3SDGFPba(5’ビオチン-CAGGAAACAGCTATGACAGGAGGAGCGAGATGAGTAAAGGAGAAGAACTTTTC-3’)を使用する以外、ssDNA鋳型は、上記のように記載した。プライマーRNA L3AGG(5’-CAGGAAACAGCTATGACAGG-3’)は、10秒94℃、1分50℃、15分65℃の2サイクルについて上記に記載されるようにRNA合成のために使用し、合計30分の伸長を行い、先に記載されるように精製した。IVTは、3□lのFluoroText GreenLys in vitro Translation Labelling System(Promega社)を補足したPURExpress In Vitro Protein Synthesis Kit(NEB社)に直接追加した1.4□g RNAを使用して実行し、NuPAGE Novex 10% Bis-Tris Gel(Invitrogen社)での分析前に37℃で2時間インキュベートした。
電気泳動度シフトアッセイ(EMSA)
DNA:DNA又はDNA:RNAについての変異体Tgoポリメラーゼの親和性は、1×Thermpol緩衝剤(NEB社)、250fmolプライマーKO、2.5nmol TempK4、1mM EDTA、1U RNasin(Promega社)、及び0.02〜1.25uMポリメラーゼを含有するSul反応混合物において、DNA又はRNAの5’FITC標識プライマーK0(5’-GCACGGCAGCACGTG-3’)及び鋳型TempK4(5’ビオチン-ACTGCGATGACTGTACTCGTCTAGTAGCACTGCACGTGCTGCCGTGC-3’)を使用してアッセイした。反応は、混合し、30秒間94℃まで加熱し、あらかじめ冷却した6%TBEゲル(Invitrogen社)上にロードする前に4℃まで0.1℃/秒で冷却し、あらかじめ冷却した1×TBEで100Vで1時間、実行した。バンドは、Typhoon Trio及びImageQuantを使用して定量化し、シフトは、MatLab(The MathWorks Ltd社)を使用してy = (Bmax*x)/(Kd+x)に適合させた。
ポリメラーゼ処理能力及び障害バイパスアッセイ
48塩基長DNA鋳型、5’-TCG-ATA-CTG-GTA-CTA-ATG-ATT-AAC-GAA-YXA-AGC-ACG-TCC-GTA-CCA-TCG-3’、YX=TT、TT−CPD(cis−synシクロブタンピリミジン二量体)又はTAb(Ab脱塩基部位)及び16塩基長DNAプライマー(5’-TGG-TAC-GGA-CGT-GCT-T-3’)又はRNAプライマー(5’-UGG-UAC-GGA-CGU-GCU-U-3’)は、プライマー伸長実験において使用した。プライマー、未損傷かつ脱塩基部位を含有する鋳型は、Lofstrand Laboratories社(Gaithersburg、MD)によって合成した。CPD含有鋳型は、Phoenix Biotechnologies社(Huntsville、AL)によって合成した。オリゴヌクレオチドはすべて、使用前にゲル精製した。プライマーは、T4ポリヌクレオチドキナーゼ及び[γ−32P]−ATPを使用して、5’末端標識した。DNA基質は、1.5:1モル比で32P標識プライマーを用いてDNA鋳型をアニールすることによって調製した。ハイブリダイゼーションは、100℃で、10分間、アニーリング緩衝剤において必要とされる混合物を加熱し[50mM Tris-HCl(pH8)、5mM MgCl、50μg ml−1 BSA、1.42mM 2−メルカプトエタノール]、その後、約2時間、室温まで徐冷することによってすることによって達成した。アニーリング効率は、95%を超えていた。
標準的な反応は、1×Thermopol緩衝剤において65℃で4分間、実行し、10nM
DNA鋳型(プライマー末端として発現)、0.25mMのdNTP又はNTP混合物、及び適切なnMのTgoT、TGE、TYK、又はTGKを含有した。酵素処理能力を分析するために、反応は、「シングルヒット」条件を確実にするために、ポリメラーゼに対して、多量のモル過剰量のDNA鋳型を用いて実行した。反応は、90%ホルムアミド中50mM EDTA、0.1%キシレンシアノール、及び0.1%ブロモフェノールブルーを含有する1用量のホルムアミドローディング色素溶液と混合することによって終了させた。ゲル上にロードする前に、反応は、10分間100℃で加熱することによって変性させ、2分間、氷上に直ちに移動させた。産物は、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(8M尿素、15%アクリルアミド、2000Vで3時間)によって決定し、次いで、Fuji image analyser FLA-3000及びMultiGauge softwareを使用して可視化し、定量化した。鋳型位置1〜14についての終了可能性(割合として表現)は、その位置及びすべてのより長い産物の強度によって割った、特異的な位置でのバンド強度として計算した(Kokoska, R.J., S.D. McCulloch, and T.A. Kunkel, The efficiency and specificity of apurinic/apyrimidinic site bypass by human DNA polymerase eta and Sulfolobus solfataricus Dpo4. J Biol Chem, 2003. 278(50): p. 50537-45)。
RNA合成の改善を可能にするポリメラーゼ領域の同定
新しい非天然核酸ポリマーを合成することができるポリメラーゼを記載する。標準的なリボフラノース環が代替の構造、例えば6員1,5アンヒドロヘキシトール環(ヘキシトール核酸、HNA)と交換されているこれらのいくつかは、A様の(RNA様の)らせん立体構造を示す(Herdewijn, P., Nucleic acids with a six-membered 'carbohydrate' mimic in the backbone. Chem Biodivers, 2010. 7(1): p. 1-59、Lescrinier, E., et al., Solution structure of a HNA-RNA hybrid. Chem Biol, 2000. 7(9): p. 719-31)(図43)。この立体構造類似性を考慮すれば、発明者らは、RNAポリメラーゼ活性についてHNA合成(VP、CC、PHにより投稿準備中)について遺伝子操作した変異体ポリメラーゼを試験することに決めた。これらのポリメラーゼのうちの1つ(D4)は、RNAポリメラーゼ活性の増強を示し、本明細書において記載される作業の出発点となる。
D4は、超好熱性古細菌サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Tgo)の複製DNAポリメラーゼのバリアントに由来し、これは、ウラシル停止(V93Q(Fogg, M.J., L.H. Pearl, and B.A. Connolly, Structural basis for uracil recognition by archaeal family B DNA polymerases. Nat Struct Biol, 2002. 9(12): p. 922-7))及び3’−5’エキソヌクレアーゼ活性(D141A、E143A)を不能にするために追加の変異並びに非天然基質の組み込みを増強するための「Therminator」(Gardner, A.F. and W.E. Jack, Acyclic and dideoxy terminator preferences denote divergent sugar recognition by archaeon and Taq DNA polymerases. Nucleic Acids Res, 2002. 30(2): p. 605-13)変異(A485L)を有する。この変異体ポリメラーゼ(これ以降TgoTと呼ぶ)は、バックグラウンドレベル以上のRNAポリメラーゼ活性を示さず、TgoTによるRNA合成は、DNAプライマーから6〜7つの組み込み後に失速し、RNAプライマーからはない。対照的に、D4は、同じ条件下で、20ntを超えて、DNA及びRNAプライマーの両方を伸長する(図43)。D4における機能のこの獲得は、ポリメラーゼthumbドメインにおける8つの変異(P657T、E658Q、K659H、Y663H、E664Q、D669A、N671K、I676T)のクラスター及びポリメラーゼAモチーフにおける単一の変異(L403P)を含むTgoT足場に対するさらなる9つの変異によって達成される。
立体的ゲートの変異は進化性のRNAポリメリゼーションさせる
発明者らは、とりわけ活性部位に対して遠位にある8つの変異の、RNAポリメラーゼ表現型に対するこれらの変異の機能をよりよく理解することを目的とした。より自由な活性部位との関連におけるRNAポリメラーゼ活性に対するそれらの寄与を決定するために、発明者らは、D4の中に立体的ゲート変異を導入した。Bファミリー(polB)ポリメラーゼに対する以前の研究は、立体的ゲート残基として保存チロシン(Tgo:Y409)を同定した。Yのより小さな残基との交換は、10倍を超えて、NTP/dNTP識別を低下させ、進化性のRNA合成をなお可能にしないことが知られている(Bonnin, A., et al., A single tyrosine prevents insertion of ribonucleotides in the eukaryotic-type phi29 DNA polymerase. J Mol Biol, 1999. 290(1): p. 241-51、Yang, G., et al., A conserved Tyr residue is required for sugar selectivity in a Pol alpha DNA polymerase. Biochemistry, 2002. 41(32): p. 10256-61、Gardner, A.F. and W.E. Jack, Determinants of nucleotide sugar recognition in an archaeon DNA polymerase. Nucleic Acids Res, 1999. 27(12): p. 2545-53)。しかしながら、Y409はまた、金属イオン配位及び生産的なヌクレオチド位置決めに関与するとも考えられており、発明者らは、「null」変異(例えばAなどのような小さな側鎖アミノ酸への)が、全体的なポリメラーゼ機能及び正確性に悪影響を及ぼすかもしれないことを懸念していた(Blasco, M.A., et al., Phi 29 DNA polymerase active site. Mutants in conserved residues Tyr254 and Tyr390 are affected in dNTP binding. J Biol Chem, 1992. 267(27): p. 19427-34、Yang, W., J.Y. Lee, and M. Nowotny, Making and breaking nucleic acids: two-Mg2+-ion catalysis and substrate specificity. Mol Cell, 2006. 22(1): p. 5-13、Kirouac, K.N., Z. Suo, and H. Ling, Structural mechanism of ribonucleotide discrimination by a Y-family DNA polymerase. J Mol Biol, 2011. 407(3): p. 382-90)。古細菌B−ファミリーポリメラーゼが三元複合体として現在まで結晶化されていないので、発明者らは、活性部位の幾何学的配置を緩めないようにするために十分な大きさを維持しながら入って来るNTPとの立体的な衝突を軽減するアミノ酸側鎖を見出すために相同なpolB RB69(PDB:IQ9Y、(Freisinger, E., et al., Lesion (in)tolerance reveals insights into DNA replication fidelity. EMBO J, 2004. 23(7): p. 1494-505))を使用して、インシリコモデリングを実行した。発明者らは、Yの中程度のサイズの側鎖(例えばS、L、N)との交換が、D4バックグラウンドにおいてRNAポリメラーゼ活性を改善することを発見した。実際、D4環境の中へのY409N変異の導入は(D4:Y409N、これ以降D4Nと呼ぶ)、20分間、65のヌクレオチド組み込みからなるtRNA(大腸菌supF tRNATyr)遺伝子を合成することができる高度に有能なRNAポリメラーゼを得たが、「野生型」ポリメラーゼTgoTの中に導入された同じ変異(TgoT:Y409N、TN)のみでは、RNAポリメラーゼ活性をわずかに改善した(図44)。そのため、発明者らは、D4ポリメラーゼにおける変異のうちのいくつか(又はすべて)が、単純な立体的ゲート変異体ポリメラーゼにおける合成ブロックを軽減し、より長いRNAオリゴマーの合成を可能にすることを担ったことを結論付けた。
thumbドメインにおける単一の点変異は進化性のRNA合成にとって決定的である
Y409N立体的ゲート変異に関連するD4における9つの変異が進化性のRNA合成を可能にしたことが確立されたので、発明者らは、RNA合成へのD4Nにおける異なる変異の寄与を決定しようとした。この目的のために、発明者らは、野生型に個々のD4N変異を復帰させて、RNA合成に対する効果を決定した。thumbドメイン変異の復帰は、著しいパターンを明らかにした:8つの逆変異(D4N:T657P、Q658E、H659K、H663Y、A669D、K671N、T676I)のうちの7つは、RNAポリメラーゼ活性を低下させなかったが、野生型への1つの特異的な残基の復帰(D4N:Q664E)は、進化性のRNA合成に対して劇的な陰性の効果を有した(図44)。実際、復帰変異体D4N Q664Eは、親ポリメラーゼTgoTと本質的に同じレベルのRNAポリメラーゼ活性を示し、他の8つの変異の存在にもかかわらず、ポリメラーゼが、6つのNTP組み込み以上にプライマーを伸長することを不可能にした。これはまた、Aモチーフ変異、L403Pが進化性のRNAポリメラーゼ活性の一因とならないことを示唆し、実際、それは、変異立体的ゲートの存在下においてNTP組み込みに有害である(図49)。
他のD4変異の関連がないこの重要な変異の効果を決定するために、発明者らは、TgoTフレームワークの中に新規の立体的ゲート変異Y409Nと一緒にE664Qフォワード変異を導入した。結果として生じるTgoTポリメラーゼ二重変異体TNQ(TgoT:Y409N、E664Q)は、立体的ゲート変異体TN(TgoT Y409N)及びもとのD4Nポリメラーゼの両方と比較して優れたRNAポリメラーゼ活性を示した。これらの結果は、E664Q変異が進化性のRNA合成にとって必要十分であることを示す。DNAポリメラーゼは、立体的ゲートが変異している場合でさえ、進行性のRNA合成を行うことができないので(以前に(Astatke, M., et al., A single side chain prevents Escherichia coli DNA polymerase I (Klenow fragment) from incorporating ribonucleotides. Proc Natl Acad Sci U S A, 1998. 95(7): p. 3402-7、Patel, P.H. and L.A. Loeb, Multiple amino acid substitutions allow DNA polymerases to synthesize RNA. J Biol Chem, 2000. 275(51): p. 40266-72、Staiger, N. and A. Marx, A DNA polymerase with increased reactivity for ribonucleotides and C5-modified deoxyribonucleotides. Chembiochem, 2010. 11(14): p. 1963-6、Xia, G., et al., Directed evolution of novel polymerase activities: mutation of a DNA polymerase into an efficient RNA polymerase. Proc Natl Acad Sci U S A, 2002. 99(10): p. 6597-602、Ong, J.L., et al., Directed evolution of DNA polymerase, RNA polymerase and reverse transcriptase activity in a single polypeptide. J Mol Biol, 2006. 361(3): p. 537-50)及びTNの実施例において本明細書で示されるように)、発明者らは、E664が、通常RNAオリゴマーの合成を防ぐDNAポリメラーゼ構造における第2のチェックポイントを形成する(又はその決定的な部分である)ことを結論付ける。この「第2のゲート」の残基E664の変異は、チェックポイントを不能にし、合成のブロックを軽減し、立体的ゲート残基Y409の変異と一緒に、二重変異体ポリメラーゼTNQにおける進化性のRNA合成を可能にし、これは、10分間未満で、65ヌクレオチドsupF tRNA遺伝子を合成することができる(図44)。
進化性のRNA合成についてのポリメラーゼ最適化
E664の変異が進化性のRNA合成を可能にする際に重要な役割を果たすことを確立したので、発明者らは、最適な「第2のゲート」残基を同定するためにTNにおける664位をランダム化した。発明者らは、プライマー伸長産物の捕捉及び特異的アンチセンスプローブへのハイブリダイゼーションを介してのそれらの定量に基づいて、新しいハイスループットポリメラーゼ活性アッセイ(PAA)を使用して、RNAポリメラーゼ活性の増強についてスクリーニングした。PAAスクリーニングは、RNAポリメラーゼ活性を促進するいくつかの変異を同定し(E664 K、L、Q、R)、リシン(E664K)が非常に有効であることを証明した(図49)。実際、新しい二重変異体ポリメラーゼTNK(TgoT:Y409N E664K)は、以前のベンチマークポリメラーゼ(TNQ)と比較して有意に改善されたRNAポリメラーゼ活性を示した。
この戦略の成功の後に、発明者らは、E664K変異との関連において409位をランダム化し、類似性のPAAスクリーニングを実行した。これは、いくつかの有望な変異(Y409 A、G、P)を同定し、これらのうち、G及びPが非常に好都合であることを証明した(図49)。発明者らは、Y409G変異を選び、E664Kとそれを組み合わせて、新しいTgoT二重変異体ポリメラーゼTGK(TgoT:Y409G E664K)を生じさせた。TGKは、30秒未満でsupF tRNA遺伝子の定量的合成が可能である例外的に活性なRNAポリメラーゼであることを証明した(図44)。Therminator変異のみでは、進化性のRNAポリメラーゼ表現型をもたらさないが、野生型(L485A)へのTGKにおけるTherminator変異の復帰は、それほど有能でないRNAポリメラーゼ(図49)をもたらした(Staiger, N. and A. Marx, A DNA polymerase with increased reactivity for ribonucleotides and C5-modified deoxyribonucleotides. Chembiochem, 2010. 11(14): p. 1963-6、McCullum, E.O. and J.C. Chaput, Transcription of an RNA aptamer by a DNA polymerase. Chem Commun (Camb), 2009(20): p. 2938-40)。
発明者らは、野生型ポリメラーゼにおいてRNA合成を阻害するB−ファミリーDNAポリメラーゼ構造には2つの重要な位置があり、両方の変異が進化性のRNAポリメラーゼの遺伝子操作にとって重要であることを結論付ける。一方の立体的ゲート残基(Y409)は、活性部位にあり、立体排除によってNTPの組み込みを防ぎ、したがって、活性部位における最大の立体的な可動性を提供するためにGに最も変異させられる。他方、「第2のゲート」残基(E664)は、より長いRNAオリゴマーの合成をブロックし、最もKに変異させられ、この位置で静電的荷電を逆転させる。
遺伝子操作したRNAポリメラーゼTGKを使用する、タンパク質コードし、機能的にされたmRNAの合成
tRNA合成におけるTGKの著しい活性によって促進されて、発明者らは、実質的により長いRNAを生成するようにTGKに挑んだ。発明者らは、最初に、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする748のヌクレオチドmRNAの合成を試験した。驚いたことに、TGKは、アガロースゲル電気泳動、RT−PCR、及び配列決定によって判断されるように、10分間未満で、完全長GFP RNAを生成した(図45)。合成されたGFP mRNAは、インビトロ翻訳抽出物において正確なサイズの26.8kDaのタンパク質産物の合成を指示し(図45)、クローニングした場合、緑色蛍光大腸菌コロニーが得られた(示さず)。発明者らはまた、ホタル(P.ピラリス(P.pyralis))ルシフェラーゼをコードする非常に長い1,691ヌクレオチドmRNAの合成を検査した。なおまた、TGKは、完全長産物のアガロースゲル電気泳動、RT−PCR、及び配列決定によって判断されるように、完全長ルシフェラーゼRNAを生成し、このより困難なRNAの合成について1時間を必要とした(図45)。
発明者らは、RNA合成に由来するPCR産物を明白に同定する特有のミスマッチを含むフォワード合成及びリバース転写プライマーの両方を使用して、2ステップRT−PCRプロトコール(下記)により、TGKによってRNA合成の正確性を決定した。ルシフェラーゼmRNAの8.2kbの配列データの分析は、5.5×10−4の誤組み込み率を明らかにし、これは、T7 RNAポリメラーゼのエラー率(2.1×10−4)及びdNTPとのTgoTの正確性(7.5×10−3、図44)と同等である。
第2のゲート機能の機構的な態様
RNA合成について立体的ゲート残基を変異させる効果がかなり詳細に調査され、そのメカニズムは、構造的及び生化学的データを使用して合理的説明を与えられているが(Brown, J.A. and Z. Suo, Unlocking the sugar "steric gate" of DNA polymerases. Biochemistry, 2011. 50(7): p. 1135-42)、進化性のRNA合成に対する「第2のゲート」変異の著しい効果についてのベースは、現在不明瞭である。発明者らは、そのメカニズムをよりよく理解しようとして、第2のゲート機能の決定的なパラメーターを決定しようとした。この目的のために、発明者らは、RNA、DNA、及びキメラプライマーを用いるそれらのRNAポリメラーゼ活性及び処理能力について、TGK及び親ポリメラーゼTgoTだけでなく、中間TYK(TgoT E664K)及びTGE(TgoT Y409G)もまた検査した。
示されるように、TGKは、NTPを用いて、DNA及びRNAプライマーの両方を効率的に及び進化性に伸長することができる。対照的に、TgoTは、RNAプライマー(高度に強制的な条件下を除いて)を伸長することができず、DNAプライマーから6番目のNTP組み込みの後に強力な伸長終了を示す。6つのリボヌクレオチドのストレッチを越えた伸長に対する根本的なブロックがあると思われる。1(又は2以上)の3’末端NMPを含むDNA−RNAキメラプライマーを使用する場合、一度、6NMPのストレッチに達すれば、なおまた強力な終了がある(つまり、1つの末端NMPを有するプライマーの伸長は、さらなる5つのNMPの組み込みの後に失速し、6末端NMPを有するプライマーは、伸長しない、図46)。その修飾活性部位にもかかわらず、TGEはまた、n+6で強力な終止を示す(図51)。これは、第2のゲート変異がこの合成ブロックを克服し、進化性のRNA合成を可能にするのに決定的であることを示唆する。
第2のゲートはまた、ポリメラーゼ基質特異性の他の態様を制御するように思われる。TGK及びTYKの両方(TgoT及びTGEではない)は、損傷乗り越え合成(TLS、図46)が可能であり、鋳型脱塩基部位及びシクロピリミジン二量体の両方を回避する(CPD、図46)。したがって、TLSは、鋳型障害から25Åに位置づけられる変異によって制御されるように思われる。
したがって、発明者らは、DNAポリメラーゼのthumbサブドメインが新生DNA二重鎖と多くの重要な相互作用をなすことを実証する(Swan, M.K., et al., Structural basis of high-fidelity DNA synthesis by yeast DNA polymerase delta. Nat Struct Mol Biol, 2009. 16(9): p. 979-86、Wang, M., et al., Insights into Base Selectivity from the 1.8 A Resolution Structure of an RB69 DNA Polymerase Ternary Complex. Biochemistry, 2011. 50(4): p. 581-90)。ポリメラーゼ機能についてのこの決定的な領域における変異は、正確性、処理能力、及びDNA結合親和性における減少を引き起こし得、ゲノム不安定性及び疾患に関係してきた(Kirchner, J.M., H. Tran, and M.A. Resnick, A DNA polymerase epsilon mutant that specifically causes +1 frameshift mutations within homonucleotide runs in yeast. Genetics, 2000. 155(4): p. 1623-32、Kokoska, R.J., et al., Increased rates of genomic deletions generated by mutations in the yeast gene encoding DNA polymerase delta or by decreases in the cellular levels of DNA polymerase delta. Mol Cell Biol, 2000. 20(20): p. 7490-504、Stocki, S.A., R.L. Nonay, and L.J. Reha-Krantz, Dynamics of bacteriophage T4 DNA polymerase function: identification of amino acid residues that affect switching between polymerase and 3' --> 5' exonuclease activities. J Mol Biol, 1995. 254(1): p. 15-28、Kasiviswanathan, R., et al., Disease mutations in the human mitochondrial DNA polymerase thumb subdomain impart severe defects in mitochondrial DNA replication. J Biol Chem, 2009. 284(29): p. 19501-10、Loh, E. and L.A. Loeb, Mutability of DNA polymerase I: implications for the creation of mutant DNA polymerases. DNA Repair (Amst), 2005. 4(12): p. 1390-8)。本明細書で、発明者らは、複製ポリメラーゼのthumbドメイン内の重要な合成後基質特異性チェックポイントを発見した。変異によるその不活性化は、非同起源の核酸の合成及び鋳型障害のバイパスに対するブロックを解放する。立体的ゲート残基の変異と一緒に、この「第2のゲート」変異は、DNAポリメラーゼを、業界基準T7 RNAポリメラーゼに匹敵する正確性により数秒で100塩基長RNAの及び数分〜数時間で1.7kbまでのタンパク質コードmRNAの合成が可能である、プライマー依存性のRNAポリメラーゼに変換する。
ポリメラーゼthumbドメインに位置する合成物質チェックポイントの存在は、短いオリゴマー(典型的にn+6)の合成後の伸長の終了及び新生RNA−DNAヘテロ二本鎖のモデリング(Ong, J.L., et al., Directed evolution of DNA polymerase, RNA polymerase and reverse transcriptase activity in a single polypeptide. J Mol Biol, 2006. 361(3): p. 537-50)を含む複数の方針の証拠に基づいて、発明者ら及び他の人たちによって予測された(Astatke, M., et al., A single side chain prevents Escherichia coli DNA polymerase I (Klenow fragment) from incorporating ribonucleotides. Proc Natl Acad Sci U S A, 1998. 95(7): p. 3402-7、Brown, J.A. and Z. Suo, Unlocking the sugar "steric gate" of DNA polymerases. Biochemistry, 2011. 50(7): p. 1135-42、Xia, G., et al., Directed evolution of novel polymerase activities: mutation of a DNA polymerase into an efficient RNA polymerase. Proc Natl Acad Sci U S A, 2002. 99(10): p. 6597-602、Ong, J.L., et al., Directed evolution of DNA polymerase, RNA polymerase and reverse transcriptase activity in a single polypeptide. J Mol Biol, 2006. 361(3): p. 537-50)。実際、D4における9つの変異のうちの8つ(P657T、E658Q、K659H、Y663H、E664Q、D669A、N671K、I676T)は、thumbドメインの中心で、n+6のあたりの新生鎖と密接に接触する配列セグメント(P657〜T676)に位置する。スクリーニング及び部位特異的変異誘発の反復サイクルを使用して、発明者らは、単一の残基(E664)まで決定的な機能的な決定因子を限定し、この変異は、進化性のRNAポリメラーゼ活性にとって必要で、十分であることを証明した。発明者らが「第2のゲート」と呼んだこの重要な残基は、陽性に荷電したリシン(E664K)に最も有効に変異させられるが、無電荷グルタミン(E664Q)への変異は、著しいRNAポリメラーゼ活性を既に提供している。この傾向は、新生鎖の近くに位置する親のE664の負電荷が、RNA合成を阻止するためのその機能の重要な構成成分であるかもしれないことを示唆する。
立体的ゲート機能は、入って来るヌクレオチドに対する2’OHの立体排除に基づく(Brown, J.A. and Z. Suo, Unlocking the sugar "steric gate" of DNA polymerases. Biochemistry, 2011. 50(7): p. 1135-42、Kirouac, K.N., Z. Suo, and H. Ling, Structural mechanism of ribonucleotide discrimination by a Y-family DNA polymerase. J Mol Biol, 2011. 407(3): p. 382-90)。しかしながら、第2のゲート機能の機構的なベースは、現在明らかでなく、幾何学的な制御以外のメカニズムを含むかもしれない。実際、RNA合成における改善のうちのいくつかは、電気泳動度シフトアッセイ(EMSA)によって決定されるように、第2のゲート変異によって媒介されるDNA:DNA及びDNA:RNAプライマー鋳型二重鎖の両方についての親和性における3〜10倍の増加によって引き起こされるかもしれない。第2のゲート残基E664の変異は、新生鎖リン酸主鎖に近いポリメラーゼthumbドメインにおける反発的な負電荷を除去し、これは、プライマー鋳型二重鎖への親和性を増加させるかもしれない。しかしながら、E664変異を欠くポリメラーゼ(TgoT、TGE)におけるn+6での著しい終了は、強くメカニズムに対する第2の幾何学的な構成成分を示唆する。
立体的モデルの製剤は、古細菌B−ファミリーポリメラーゼの三次複合体の構造が現在ないという事実によって妨げられる。既存のB−ファミリーポリメラーゼ構造において、ポリメラーゼthumbドメイン配列における決定的な領域は、古細菌配列と異なり(Swan, M.K., et al., Structural basis of high-fidelity DNA synthesis by yeast DNA polymerase delta. Nat Struct Mol Biol, 2009. 16(9): p. 979-86、Franklin, M.C., J. Wang, and T.A. Steitz, Structure of the replicating complex of a pol alpha family DNA polymerase. Cell, 2001. 105(5): p. 657-67、Wang, F. and W. Yang, Structural insight into translesion synthesis by DNA Pol II. Cell, 2009. 139(7): p. 1279-89、Liu, S., et al., Crystal structure of the herpes simplex virus 1 DNA polymerase. J Biol Chem, 2006. 281(26): p. 18193-200、Savino, C., et al., Insights into DNA replication: the crystal structure of DNA polymerase B1 from the archaeon Sulfolobus solfataricus. Structure, 2004. 12(11): p. 2001-8)、類似性による比較を不確実にしている。そのため、発明者らは、密接に関連する古細菌polB Pfuの変異体の二次複合体の構造(S. Wynne, PH, A. Leslie、非公開の結果)及びDNA鋳型上の新生RNA鎖をモデル化するためのより異なるRB69 DNAポリメラーゼの三次複合体構造(Wang, M., et al., Insights into Base Selectivity from the 1.8 A Resolution Structure of an RB69 DNA Polymerase Ternary Complex. Biochemistry, 2011. 50(4): p. 581-90)(RNA−DNAヘテロ二本鎖のNMR構造に基づく(PDB:1EFS(Hantz, E., et al., Solution conformation of an RNA--DNA hybrid duplex containing a pyrimidine RNA strand and a purine DNA strand. Int J Biol Macromol, 2001. 28(4): p. 273-84)、図47)を使用した。両方の場合において、発明者らは、第2のゲート残基E664(RB69:S783)の近く(7Å)にポリメラーゼthumbドメインとのRNA鎖のn+6位のあたりの衝突を観察した。
thumbドメインとのRNA−DNAヘテロ二本鎖の不十分な幾何学的な相補性は、ポリメラーゼ活性部位における非常によい適合と対照をなす。実際、Aファミリー及びXファミリーDNAポリメラーゼの三次複合体の構造は、活性部位中の及びその近くの好ましい糖のひだはC3’−エンドであり、プライマー鋳型二重鎖(n+3まで)のらせん立体構造はA様であるが、プライマー鋳型二重鎖がthumbドメインと相互作用するので、同起源のB−DNAへの立体構造スイッチを受け、ポリメラーゼを出ることを示す(Kiefer, J.R., et al., Visualizing DNA replication in a catalytically active Bacillus DNA polymerase crystal. Nature, 1998. 391(6664): p. 304-7、Pelletier, H., et al., Structures of ternary complexes of rat DNA polymerase beta, a DNA template-primer, and ddCTP. Science, 1994. 264(5167): p. 1891-903、 Li, Y., S. Korolev, and G. Waksman, Crystal structures of open and closed forms of binary and ternary complexes of the large fragment of Thermus aquaticus DNA polymerase I: structural basis for nucleotide incorporation. EMBO J, 1998. 17(24): p. 7514-25)。この立体構造スイッチは、ポリメラーゼ特異性において役割を果たすことが以前に観察されており、それによって、G−Tミスマッチの組み込み及び伸長についての構造的観察は、鋳型鎖を通して活性部位に「伝えられ」、ポリメラーゼの停止を促進したミスマッチによるAからB型への構造推移の破壊を明かした(Johnson, S.J. and L.S. Beese, Structures of mismatch replication errors observed in a DNA polymerase. Cell, 2004. 116(6): p. 803-16)。thumbドメインにおける第2のゲートチェックポイント及びポリメラーゼ活性部位の間のそのような合成後クロストークは、同様に、RNA合成において観察されるn+6での停止を媒介するかもしれない。そのため、第2のゲートチェックポイントは、新生核酸二重鎖、おそらく非同起源のらせん立体構造の出現する特徴を検出するかもしれない。
最も有効な第2のゲート変異(E664K)が側鎖のかさの除去ではなく電荷反転をもたらすという事実は、E664が単純な立体的な妨害としてそれ自体機能しないことを示唆する。実際、発明者らのモデルにおけるn+6での立体的な衝突は、残基E664と直接生じない。むしろE664が、静電気の「舵」として作用し、thumbドメインによるらせんパラメーターの読み出しを可能にするように新生鎖を操縦するかもしれない。その代わりに、E664の変異は、thumbドメインの構造的再構成に至り、それを、非B型構造核酸に対してより自由にしてもよい。いずれの場合も、第2のゲート残基の変異は、ポリメラーゼthumbドメインが一連のらせん立体構造を収容するのを可能にするであろう。したがって、TGKの緩やかな基質特異性及び障害バイパス能力は、活性部位における新生及び鋳型鎖の位置決めの幾何学的な制御の緩和から生じ、非同起源の二重鎖立体構造の遭遇に際してポリメラーゼ伸長の停止を防ぐであろう。
サーモコッカス目のpolBファミリーメンバーの間で高度に保存されているが第2のゲート残基664(又は等価物)の同一性は、polBファミリーのより遠縁のメンバーの間で変化する。しかし、S.セレビシエ Polのデルタ及び大腸菌Pol IIの両方における三次複合体の構造は、thumbドメインにおけるその構造的付近において少なくとも1つの広範囲の保存を示す。そのため、より広いpol8ファミリーにおいて(実際、他のファミリーにおいて)類似する「第2のゲート」チェックポイントが存在することは可能であるように思われるが、ポリメラーゼファミリーの間で変化する立体的ゲート残基に対する類似性において(表SI−図52)、異なる形態で実現されるかもしれない。
ゲノムからのRNAの排除は、S.セレビシエのような中温性の生物におけるゲノム安定性にとって重要であり(Nick McElhinny, S.A., et al., Genome instability due to ribonucleotide incorporation into DNA. Nature Chemical Biology, 2010. 6(10): p. 774-81)、好熱性生物にとってさらに高度に重要であるかもしれない。しかしながら、TLSに対する第2のゲート変異の著しい効果は、それがRNA合成の予防をしのぐ生物学的機能を有しているかもしれないことを示唆する。これらは、同じクラスの古細菌ポリメラーゼにおける、鋳型ウラシル及びヒポキサンチンの先読み認識を反映する誤組み込み及び/又はDNA損傷のリードスルーの合成後認識を含むかもしれない(Firbank, S.J., et al., Uracil recognition in archaeal DNA polymerases captured by X-ray crystallography. J Mol Biol, 2008. 381(3): p. 529-39)。
TGKは、熱安定性、最も重要なことには、オリゴヌクレオチドプライマーからRNA合成を開始する能力を含む、T7 RNAポリメラーゼのような単一サブユニットのRNAPといくつかの可能性として有用な方法において異なる。遺伝子操作されたポリメラーゼTGKは、したがって、第1の熱安定性プライマー依存性の進化性RNAポリメラーゼである。RNA合成が、細胞性のmRNAから「Capスナッチング」によって誘導される短いRNAプライマーから開始される(例えばウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ(Plotch, S.J., et al., A unique cap(m7GpppXm)-dependent influenza virion endonuclease cleaves capped RNAs to generate the primers that initiate viral RNA transcription. Cell, 1981. 23(3): p. 847-58、Mir, M.A., et al., Storage of cellular 5' mRNA caps in P bodies for viral cap-snatching. Proc Natl Acad Sci U S A, 2008. 105(49): p. 19294-9))例があるが、DNA鋳型由来のプライマー依存性のRNA合成は、自然界において一般に観察されない表現型であり、RNA合成は、特異的プロモーター配列(例えばT7 RNAポリメラーゼ(Steitz, T.A., The structural basis of the transition from initiation to elongation phases of transcription, as well as translocation and strand separation, by T7 RNA polymerase. Curr Opin Struct Biol, 2004. 14(1): p. 4-9))又はタンパク質転写因子複合体から典型的に新たに開始される。T7 RNAポリメラーゼは、プライマー依存性のRNA合成が可能であるが(Rusakova, E.E., et al., Mutant T7 RNA polymerase is capable of catalyzing DNA primer extension reaction. FEBS Lett, 1998. 423(2): p. 189-92、Ivanov, S.A., et al., RNA synthesis by T7 RNA polymerase supported primer extension. Mol Biol (Mosk), 2004. 38(5): p. 798-803)、推定上、あらかじめアニールされたDNAプライマーへの結合がT7 RNAポリメラーゼの進化性の形態への立体構造変化を引き起こさないので、それは、弱く、非進化性である(Yin, Y.W. and T.A. Steitz, Structural basis for the transition from initiation to elongation transcription in T7 RNA polymerase. Science, 2002. 298(5597): p. 1387-95)。
それがRNA 5’末端又はRNA 5’UTRの化学的性質の自由選択を可能にするので、プライマー依存性のRNA合成は多くの適用にとって可能性として有用である。TGKは、ビオチン、Cy3、又はFITCなどのような5’基を有するもの並びに内部アルファS、2’OMe、又はLNA修飾を含むDNA及びRNAプライマーオリゴヌクレオチドの両方を含む種々様々のプライマーを伸長することができる。実際、発明者らは、TGKによる伸長を著しい程度まで低下させるプライマー修飾をまだ同定していない。さらに、TGKは、Gとの転写を初期化するためのT7 RNAポリメラーゼの必要性から、酵素RNA合成を自由にする。
TGKはまた、修飾NTPの組み込みに関して、拡張した基質スペクトルを示す。例えば、TGKは、5−メチル−C及びプソイドウリジン(Ψ)と完全に置換された1.7kbルシフェラーゼmRNAの合成を可能にし、最近、示されているように、遺伝子療法及び幹細胞再プログラムにおける適用の可能性を有する(Warren, L., et al., Highly Efficient Reprogramming to Pluripotency and Directed Differentiation of Human Cells with Synthetic Modified mRNA. Cell Stem Cell, 2010、Kormann, M.S., et al., Expression of therapeutic proteins after delivery of chemically modified mRNA in mice. Nat Biotechnol, 2011. 29(2): p. 154-7)。さらに、TGKは、完全に2’−アジド(2’−N)又は2’−フルオロ(2’−F)によって置換されたDNAを効率的に合成し、拡張した化学的性質を有するヌクレアーゼ抵抗性(Watts, J.K., et al., Studies on the hydrolytic stability of 2'-fluoroarabinonucleic acid (2'F-ANA). Org Biomol Chem, 2009. 7(9): p. 1904-10、Ono, T., M. Scalf, and L.M. Smith, 2'-fluoro modified nucleic acids: polymerase-directed synthesis, properties and stability to analysis by matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry. Nucleic Acids Research, 1997. 25(22): p. 4581-4588)アプタマーの進化における適用を有する。2’F−RNAの一晩での合成が、先に記載されているが(Ono, T., M. Scalf, and L.M. Smith, 2'-fluoro modified nucleic acids: polymerase-directed synthesis, properties and stability to analysis by matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry. Nucleic Acids Research, 1997. 25(22): p. 4581-4588)、TGKは、数分で完全に置換された2’F−RNAの合成が可能である。
結論として、発明者らの結果は、DNAポリメラーゼからRNAポリメラーゼへの適応性のある経路が驚くほど短いことを示唆する。発明者らの「野生型」ポリメラーゼTgoTは、エキソヌクレアーゼ(D141A、E143A)及びウラシル停止(V93Q)機能の不能並びに基質混在を増加させるためのTherminator変異(A485L)の、4つの変異を含有したが、これらは、ベースライン以上のRNAポリメラーゼ活性を与えなかった。したがって、RNAポリメラーゼ活性への「進化論的なジャンプ」は、たった2つの残基の変異を含んだ:ともに進化性のRNAポリメラーゼ活性だけでなく、高度に修飾されたRNAポリマーのTLS及び合成をも可能にした活性部位における古典的な立体的ゲート(Y409)及びthumbドメインにおける新しく記載された「第2のゲート」(E664)。ポリメラーゼthumbサブドメインにおける「第2のゲート」の同定は、ポリメラーゼ基質特異性の重要な決定因子が活性部位の外側に位置し、最初の組み込み及び伸長ステップの後にその影響を及ぼすことを示す。
実施例25についての図面の説明
図43.thumbドメイン変異によるRNAポリメラーゼ活性の増強。a)相同な大腸菌DNA pol II(PDB:3MAQ(Ono, T., M. Scalf, and L.M. Smith, 2'-fluoro modified nucleic acids: polymerase-directed synthesis, properties and stability to analysis by matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry. Nucleic Acids Research, 1997. 25(22): p. 4581-4588))上にマッピングしたD4Nの構造。D4における9つの変異は青色で示し、立体的ゲート変異(D4 Y409Nを作製するために追加)は、赤色で示し、TgoTにおける既存の変異は、黄色で示す(D141A、E143A、A485L)。b)B−DNA、A−RNA、及びHNA−RNAヘテロ二本鎖のらせんパラメーター(Swan, M.K., et al., Structural basis of high-fidelity DNA synthesis by yeast DNA polymerase delta. Nat Struct Mol Biol, 2009. 16(9): p. 979-86)。c)DNAからのRNA伸長、並びにd)D4N及びその親ポリメラーゼによるRNAプライマー。
図44.RNAポリメラーゼ活性に対するthumbドメインに対する変異の効果。a)D4におけるthumb変異の復帰分析。変異はそれぞれ、個々に野生型に復帰させ、dNTP活性に従って標準化した溶解物を用いてアッセイした進化性のRNAポリメラーゼ活性に対する効果。b)RNAプライマーからの、精製ポリメラーゼD4N、TNQ、及びTGKによる大腸菌tRNATyr合成の時間的経過。
図45.TGKによるmRNA合成。a)標識RNAプライマーからTGKによって合成したCy5標識GFP RNAの変性アガロース電気泳動。b)a)において示すRNAからのRT−PCR。c)TGKによって合成したGFPのインビトロ翻訳。GFPは、ゲルを染色せずに、GFPの中に組み込まれた蛍光リシンの励起によって視覚化した。d)TGKによって合成されたルシフェラーゼの天然アガロース電気泳動。RNAは、Cy5によって直接視覚化する;ラダーはSYBR Goldを用いて染色した。e)d)において示されるRNAからのRT−PCR。
図46.修飾核酸の合成。a)完全長のGFP(a)を示す2’OHプリン、5−メチルCTP、及び偽UTP(Ψ)を使用する、修飾RNAの変性アガロース電気泳動及びb)ルシフェラーゼc)完全置換2’フルオロ−NTP、2’アジド−NTP、並びに2’フルオロ−ATP、2’アジド−GTP、CTP、及びdTTPの混合物を用いるRNAプライマーの伸長。d)TGKによる修飾プライマーからのRNA合成。プライマーFITC 5’A、FITC 5’C、FITC 5’G、及びFITC 5’Uは、示されるように修飾された5’塩基と共に配列5’-CCCCTTATTAGCGTTTGCC-3’を有するRNAプ
ライマーである。プライマー4チオは、同じRNA配列であるが、塩基4及び5の間にホスホロチオエート結合を有する。プライマー2’O−メチルは、同じRNA配列であるが、2’O−メチル塩基と交換された塩基4及び5を有する。プライマーLNA2、LNA3、及びLNA5は、LNA(LNA2)と交換された塩基19及び20(2つの3’塩基)、LNA(LNA3)と交換された塩基17及び19、又はLNA(LNA5)と交換された塩基17、18、及び19を有するDNAプライマーである。e)2’アジド、2’フルオロ(f)、プソイドウリジン(g)、及び5−メチルデオキシシチジン(h)の構造。
図47.第2のゲート機能の機構的な態様。a)664変異の重要性を示すNTPを用いるプライマー伸長。プライマーDはすべて、DNAであり、プライマー+1は、同一のDNAプライマー+1NMPであり、プライマー+6は、同じDNAストレッチ+6NMPであり、プライマーRは、プライマーDの等価物であるが、RNAとしての等価物である。赤色のボックスは、プライマーの3’を強調表示する。本明細書で、TgoT及びTYKは、NTPを不十分に組み込み、TGEは、6NTPを効率的に組み込むが、次いで失速し、TGKはプライマーを完全に伸長することができる。b)TgoTの処理能力。NTPを用いる、TGE(TgoT Y409G)、TYK(TgoT E664K)、及びTGK(TgoT Y409G E664K)は、DNAプライマーからシングルヒット条件下でアッセイした。c)RNAプライマー以外は(b)と同様。TGKのみが、NTPを用いてプライマーを伸長することができる。d)dNTPと共に示されるように脱塩基部位を有するDNAプライマー以外は(b)と同様。この場合、TYK及びTGKの両方(E664K変異を有するポリメラーゼの両方)は、プライマー伸長が可能であるが、TgoT及びTGEは可能でない。e)障害がシクロピリミジン二量体(CPD)である以外は(e)と同様。なおまた、TYK及びTGKのみが障害バイパスが可能である。
図48.遺伝子操作された進化性のRNAポリメラーゼの構造モデル a)相同な大腸菌DNA pol II(3MAQ;(Ono, T., M. Scalf, and L.M. Smith, 2'-fluoro modified nucleic acids: polymerase-directed synthesis, properties and stability to analysis by matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry. Nucleic Acids Research, 1997. 25(22): p. 4581-4588))上にマッピングしたTGKの構造。2ステップの適応性のある経路を形成する重要な変異は、赤色で示す。野生型からの他の変異(V93Q、D141A、E143A、A485L)は、黄色で示す。鋳型鎖は、紫色の図として示し、プライマー鎖は、オレンジの図として示す。入って来るdGTPは緑色で示す。b)A型及びB型の間の核酸中間体がDNAポリメラーゼによって合成される場合に生成される衝突を示す、Pfuの三元複合体にモデル化されたRNA:DNAハイブリッド二重鎖(1EFS;(Wang, M., et al., Insights into Base Selectivity from the 1.8 A Resolution Structure of an RB69 DNA Polymerase Ternary Complex. Biochemistry, 2011. 50(4): p. 581-90))(S. Wynne and A. Leslie、非公開の構造)。c)引き起こされる電荷反転を示すE664K変異以外は(b)と同様。
図49.RNAポリメラーゼ最適化 a)664位のスクリーニング。TgoT Y409N 位E664は、iPCR(NNKコドンを使用して)によって多様化し、190のコロニーはPAAによってスクリーニングした。活性変異体は、配列決定し、dNTP活性によって標準化した5×溶解物は、NTP活性についてスクリーニングした。b)立体的ゲートスクリーニング。TgoT E664K(Y409)の立体的ゲートを多様化し、E664位に関してスクリーニングした。
図50.TGK RNAポリメラーゼ及びT7 RNAポリメラーゼのエラースペクトル a)TGK b)T7
図51.終了可能性 それぞれのNTP組み込みステップの終了の可能性の分析は、E664K変異の効果を明らかに実証する:TGE(TgoT Y409G)は6つのNTPを組み込むことができるが、プライマー鎖の100%が、+6で終了する。対照的に、TYK(TgoT E664K)及びTGK(TgoT Y409G/E664K)は、+6以上にNTPを組み込むことができ、終了可能性における明らかな変化をほとんど有していない。
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上記の本明細書において言及される刊行物はすべて、参照によって本明細書において組み込まれる。本発明の記載される態様及び実施形態の様々な修飾及び変形は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者らに明らかになるであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載したが、主張される本発明がそのような特定の実施形態に不当に限定されないことが理解されたい。実際、当業者らに明らかな、本発明を実行するための記載されるモードの様々な修飾は、以下の請求項の範囲内にあるように意図される。

Claims (18)

  1. DNAヌクレオチドポリマー鋳型から非DNAヌクレオチドポリマーを産生することができる核酸ポリメラーゼであって、
    配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも36%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
    前記アミノ酸配列が、thumb領域の1又は2以上の残基で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異しており、前記残基が、アミノ酸651〜679(パッチ10A)から選択され、
    前記アミノ酸配列が、残基E664で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異している、核酸ポリメラーゼ。
  2. 非DNAヌクレオチドポリマーが、RNAポリマーであり、
    アミノ酸配列が、残基Y409で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異している、請求項1に記載の核酸ポリメラーゼ。
  3. 変異Y409G及びE664Kを含む、請求項2に記載の核酸ポリメラーゼ。
  4. RNAヌクレオチドポリマーを作製するための方法であって、請求項2又は3に記載の核酸ポリメラーゼとDNA鋳型とを接触させるステップ及びポリメリゼーションさせるためにインキュベートするステップを含む方法。
  5. DNAヌクレオチドポリマー鋳型からHNAヌクレオチドポリマーを産生することができ、配列番号12のアミノ酸651〜679(パッチ10A)に相当するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の核酸ポリメラーゼ。
  6. DNAヌクレオチドポリマー鋳型からHNAヌクレオチドポリマーを産生することができ、配列番号12に相当するアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の核酸ポリメラーゼ。
  7. HNAヌクレオチドポリマーを作製するための方法であって、請求項5又は6に記載の核酸ポリメラーゼとDNA鋳型とを接触させるステップ及びポリメリゼーションさせるためにインキュベートするステップを含む方法。
  8. HNAヌクレオチドポリマーをDNAヌクレオチドポリマーに逆転写することができる核酸ポリメラーゼであって、
    配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも36%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
    前記アミノ酸配列が、残基I521で、配列番号1のアミノ酸配列に比べて変異している、核酸ポリメラーゼ。
  9. I521L、I521P、及びI521Hからなる群から選択される変異を含む、請求項8に記載の核酸ポリメラーゼ。
  10. 変異I521Lを含む、請求項9に記載の核酸ポリメラーゼ。
  11. 変異A485Lをさらに含む、請求項1、2、3、5、6、8、9及び10のいずれかに記載の核酸ポリメラーゼ。
  12. 変異V93Qをさらに含む、請求項1、2、3、5、6、8、9、10及び11のいずれかに記載の核酸ポリメラーゼ。
  13. 変異E141A及びE143Aをさらに含む、請求項1、2、3、5、6、8、9、10、11及び12のいずれかに記載の核酸ポリメラーゼ。
  14. 非DNAポリマーが、HNAポリマーであり、ポリメラーゼが、変異I521Lを含み、前記ポリメラーゼが、変異A485Lをさらに含み、前記ポリメラーゼが、変異V93Qをさらに含み、前記ポリメラーゼが、変異E141A及びE143Aをさらに含む、請求項8〜13のいずれかに記載の核酸ポリメラーゼ。
  15. DNAヌクレオチドポリマーを作製するための方法であって、請求項8〜14のいずれかに記載の核酸ポリメラーゼとHNA鋳型とを接触させるステップ及びポリメリゼーションさせるためにインキュベートするステップを含む方法。
  16. 請求項1、2、3、5、6及び8〜14のいずれかに記載のポリメラーゼをコードする核酸。
  17. 請求項16に記載の核酸を含む宿主細胞。
  18. (i)HNAヌクレオチドポリマーを、請求項1、5及び6のいずれかに記載のDNAヌクレオチドポリマー鋳型から産生することができる核酸ポリメラーゼ及び
    (ii)HNAヌクレオチドポリマーを、請求項8〜14のいずれかに記載のDNAヌクレオチドポリマーに逆転写することができる核酸ポリメラーゼ
    を含む系。
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